説明

交流電動機の制御装置

【課題】変換器のサイリスタが失弧しても、トルク脈動を発生させることなく装置を停止させることが可能な交流電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】第1の変換器1と、第2の変換器2と、位置検出手段4と、速度検出手段5と、電流検出手段6と、速度検出手段5の速度帰還が速度指令となるように制御して電流指令を出力する速度制御器72と、電流検出手段6の電流帰還が電流指令となるように第1の変換器1の制御角指令αを出力する電流制御器73と、位置検出手段4の検出位相に応じて第2の変換器2の位相を制御する位相制御器79と、失弧検出手段9とで構成する。失弧検出手段9は、αが第1の所定値以下となり、且つ、電流指令から電流帰還を減算した偏差に第1の定数を乗じて遅延手段によって遅延させた信号から、電流指令に第2の定数を乗じた値を減算した値が第2の所定値以上となったとき、失弧発生とみなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はサイリスタ電力変換器により駆動される交流電動機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年電力変換装置は、蒸気タービンに変わって、10MW以上の可変速モータが駆動機として採用されるようになってきている。しかし可変速モータでは、電気・機械練成問題に起因するトルク変動問題がある。この問題はモータの軸や、カップリングを破損させるため、さまざまな対策が採られてきている(たとえば非特許文献1参照。)。
【0003】
またLCI装置(Load Commutated Inverter)、またはサイリスタモータ用インバータは電流形インバータであり、電圧形インバータに対し、大型化が容易でロバストな製品として広く採用されている。
【0004】
このようなLCI装置を運転中、LCI装置で用いられる変換器のサイリスタが点弧不能となる現象が生じることがある。これを失弧と呼称するが、この失弧現象に対する対策として、直列接続されたサイリスタの1つが部分失弧した場合に、サイリスタの両端電圧に過電圧が発生することを抑制する手法が提案されている(たとえば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】中村、「大容量VSDの技術動向とエンジニアリング上の留意点」、ターボ機械、日本工業出版、2009年3月、第37巻3号
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−112567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されている従来のサイリスタ失弧を検出し、自己点弧させる回路を、従来のLCI装置の変換器に適用した場合、たとえば、コンバータ側を直列接続したサイリスタで構成し、アームを形成するサイリスタの一方が失弧したとき、自己点弧によって運転継続可能となるが、両方のサイリスタのゲート線が外れるなどして何れかのアームのサイリスタがすべて失弧したときには自己点弧はできない。このような場合はコンバータ出力の直流電流はリプルを持った電流となり、モータへの電機子電流もリプルを持った電流となる。この結果、モータトルクは脈動することとなり、非特許文献1に記載されているようにトルク変動が発生し、モータの軸や、カップリングを破損させる危険性が高まる。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためのものであり、変換器のアームを構成するサイリスタのすべてが失弧しても、トルク脈動を発生させることなく装置を停止させることが可能な交流電動機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の交流電動機の制御装置は、交流を直流に変換する第1の変換器と、第1の変換器の直流出力を交流に変換し、その出力で交流電動機を駆動する電流形の第2の変換器と、前記交流電動機の回転位相を検出する位置検出手段と、前記交流電動機の回転速度を検出する速度検出手段と、前記第1の変換器の入力電流を検出する電流検出手段と、前記速度検出手段の速度帰還が速度指令となるように制御して電流指令を出力する速度制御器と、前記電流検出手段の電流帰還が前記電流指令となるように前記第1の変換器のゲートパルスの制御角指令αを出力する電流制御器と、を有する第1の制御手段と、前記位置検出手段の検出位相に応じて前記第2の変換器のゲートパルス位相を制御する第2の制御手段と、前記電流制御器の入出力信号から前記第1の変換器を構成するサイリスタが失弧したことを検出する失弧検出手段とを具備し、前記失弧検出手段は、前記制御角指令αが第1の所定値以下となり、且つ、前記電流指令から前記電流帰還を減算した偏差に第1の定数を乗じて遅延手段によって遅延させた信号から、前記電流指令に第2の定数を乗じた値を減算した値が第2の所定値以上となったとき、失弧発生とみなすようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、変換器のアームを構成するサイリスタのすべてが失弧しても、トルク脈動を発生させることなく装置を停止させることが可能な交流電動機の制御装置を提供すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係る交流電動機の制御装置の回路構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係る交流電動機の制御装置の失弧検出を説明するタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施例2に係る交流電動機の制御装置における失弧検出回路の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例1に係る交流電動機の制御装置を図1及び図2を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例1に係る交流電動機の制御装置の回路構成図である。図2は本発明の実施例1に係る交流電動機の制御装置の各部の波形を示したタイミングチャートである。
【0015】
図1(a)において、商用交流電源からの交流をコンバータ1(第1の変換器)によって直流に変換し、インバータ2(第2の変換器)によってその直流を可変周波の交流に変換している。インバータ2の出力で界磁巻線Fを有する同期電動機3を駆動している。同期電動機3の回転部分には、回転軸の回転角位置に応じた位相の位置信号を出力する位置検出器4が取り付けられ、更に速度検出器5が取り付けられている。
【0016】
界磁巻線Fには、界磁電流指令Ifpによって制御された界磁電流が界磁電流制御ユニット8から与えられる。コンバータ1及びインバータ2は、主制御ユニット7から各々に個別に与えられる位相制御パルスによって位相制御されている。位置検出器4の位置信号と速度検出器5の速度信号は主制御ユニット7に与えられる。また、コンバータ1の入力電流は電流検出器6によって検出され主制御ユニット7に与えられる。以下、主制御ユニット7の内部構成について説明する。
【0017】
速度指令回路71の出力と速度検出器5で検出された速度帰還信号は速度制御器72に与えられる。速度制御器72は前記両者の信号の偏差が最小となるようにPI制御を行い、電流指令を出力し、電流制御器73の一方の入力とする。電流制御器73の他方の入力には、電流検出器6によって検出された電流帰還(I_FBK)が与えられる。電流制御器73は前記両者の信号の偏差が最小となるようにPI制御を行い、リミッタを介して制御角指令αを出力する。この制御角指令αはゲートパルス位相器74に与えられ、ゲートパルス位相器74はコンバータ1を構成する各サイリスタの点弧位相を制御する。ここで、速度制御器72、電流制御器73及びゲートパルス位相器74はコンバータ1を制御する第1の制御手段を構成している。また、電流検出器6で検出された電流帰還は、インバータ2が電流形変換器であるので、直流電流または交流電動機3の電機子電流を検出していることと等価である。
【0018】
電流帰還(I_FBK)と速度制御器72の出力である電流指令(I_REF)は最大値選択回路75に与えられ、この最大値選択回路75は電流帰還と電流指令のうち大きい方を選択してベクトル演算器76に与える。
【0019】
ベクトル演算器76は、上記信号のほか、交流電動機3の端子電圧に対する電機子電流の進み角θ(力率角)を指令する力率角指令回路77及び交流電動機3の無負荷時の端子電圧Voを指令する無負荷端子電圧指令回路78の各信号から、演算によって界磁ユニット8に対する界磁電流指令信号Ifp及びインバータ2の位相指令βを出力する。そして位相指令βは、位置検出器4の位置信号と位相制御器79で突き合わされ、その偏差を最小とするような位相指令がゲートパルス位相器80に出力される。ゲートパルス位相器80はインバータ2を構成する各サイリスタの点弧位相を制御する。ここで、位相制御器79及びゲートパルス位相器80はインバータ2を制御する第2の制御手段を構成している。
【0020】
ベクトル演算器76の内部演算を適切に行えば、負荷変動等による交流電動機3の端子電圧や力率角θの変動を抑制することができる。また、電機子反作用を打ち消すように界磁電流を制御することができる。尚、電機子反作用を打ち消すように界磁電流を制御する為には必ずしもベクトル演算器76を用いる必要はない。
【0021】
電流制御器73の入出力周辺部に失弧検出回路9が接続されている。以下にこの失弧検出回路9の構成について図1(b)を参照して説明する。
【0022】
電流制御器73の出力である制御角指令α(以下単に制御角αという。)は比較器91(CMP1)の減算入力として与えられ、設定器92によって比較器91に加算入力された比較値Aから減算される。そしてこの減算結果が所定の閾値を超えたとき、比較器91は論理信号1をAND回路97に出力する。
【0023】
電流制御器73の入力の偏差信号である{電流指令(I_REF)−電流帰還(I_FBK)}は、乗算器93でK1倍され、1次遅れ回路94を介して比較器96(CMP2)の加算入力として与えられる。比較器96の減算入力には電流指令(I_REF)を乗算器95によってK2倍した値が与えられる。そしてこの減算結果が所定の閾値を超えたとき、比較器96は論理信号1をAND回路97に出力する。
【0024】
制御角αは、図1の速度制御器73の出力信号である電流指令(I_REF)と電流検出器6電流帰還(I_FBK)を突き合わせPI制御を行っているため、(I_REF)>(I_FBK)の場合、すなわち、出力電流を増やそうとする場合、減少する。また(I_REF)<(I_FBK)の場合、すなわち、出力電流を減らそうとする場合、制御角αは増加する。失弧が生じた場合は、(I_REF)>(I_FBK)が当てはまり、制御角αは1相分の電流が流れない分さらに減少し、最小側のリミッタに張り付く動作となる。そこで、設定器92の比較値Aを最小側リミッタの値より若干大きめの固定値としておけば、失弧が生じた場合の最小値となるαを検出することができる。即ち図1(b)のCMP1の場合はA>αとなったとき、CMP1はHigh(論理信号1)を出力する。
【0025】
比較器96(CMP2)は、PI制御の入力から引き出した信号を元に、乗算器93で比例ゲインK1を乗算し、これを1次遅れフィルタ94によってω/(s+ω)だけ遅らせた信号を一方の入力にもち、電流指令I_REFにゲインK2を乗じた値と比較している。図1(b)のCMP2の場合は1次遅れフィルタ94の出力>K2*I_REFとなった場合、CMP2はHighになる。
【0026】
図2のタイミングチャートにより図1の動作を以下に説明する。尚、図2において、図2(a)は電源の相電圧、図2(b)は相電流、図2(C)は電流指令と直流電流、図2(d)は制御角α、比較値A、1次遅れフィルタ94の出力及び乗算器95の出力、図2(e)はAND回路97の出力、図2(f)は比較器96の出力、図2(g)は比較器91の出力を夫々示す。
【0027】
図2の装置は起動開始後、時刻t1までは100%出力状態、時刻t1からt2までは10%の低出力状態、時刻t2からは再度100%出力状態になるようにしている。時刻t1まで図1のI_REFに相当する電流指令に従い、コンバータ1の出力である直流電流は100%を出力している。この直流電流は前述したように図1のI_FBKに相当する。時刻t1になり、出力が100%の高出力から10%の低出力に変化すると、制御角αは電流を絞る方向に増加する。よって、CMP1では比較値Aとは乖離する方向となり、CMP1が動作することはない(CMP1=Low)。しかし、CMP2の入力である1次遅れフィルタ94の出力がK2*I_REFより高いため、CMP2が短時間動作(=High)してしまう。CMP2の動作は装置の出力状態が、高出力と低出力を繰り返す状態において、高出力状態から低出力状態に遷移するときに現れる。これは1次遅れ作用で起こりえることである。しかしながら、時刻t1の装置の出力が高出力から低出力状態の遷移期間においてCMP1はLow、CMP1はHighとなるため、後段のAND回路97で失弧と判定されることはない。
【0028】
時刻t2において、装置は低出力10%から高出力100%に遷移する。このとき、制御角αは電流を増加させる方向(α=0方向)に動作する。たとえば、制御角αのリミットが0、CMP1の比較値Aを5degとしておけば、制御角αがゼロリミットにあたるような出力急変(特に低出力から高出力への遷移)を行う場合、CMP1はHighレベルを出力してしまう。すなわち、図2のt3以降のCMP1出力はHigh状態となる。このHigh状態は、短時間継続し、制御角αの変動によっては図示したようにHighとLowを繰り返す場合もある。しかしながら、CMP2の入力となる1次遅れフィルタ94の出力は電流指令I_REFにより可変される乗算器95の出力K2*I_REFより常に小さくなる。よって、時刻t2における低出力から高出力状態への遷移においてCMP1はHigh、CMP2はLowとなるため、後段のAND回路97で失弧と判定されることはない。
【0029】
時刻t4において、例えばs相の失弧が発生したとすると、r相電流はr相のサイリスタ主電流があるため、サイリスタは保持電流以上となり、しばらくは主電流が流れ続けるが、コンバータ1側の失弧の場合、故障相の電流は自然減流する。
【0030】
s相失弧のためr相減流後、3相交流入力電流がなくなるので、制御角αは電流を増加させる方向(α=0方向)に動作する。よって、CMP1はHighレベルを出力する。また、CMP2の入力となる1次遅れフィルタ94の出力もK2*I_REFより大きな値を出力することにより、1次遅れフィルタ94の時定数に相当する時間だけ遅れた時刻t5でCMP2はHighレベルを出力する。よって、時刻t4で検出されたCMP1出力のHighレベル、時刻t5で検出されたCMP2出力のHighレベルの結果を受け、時刻t5でAND回路97の出力はHighレベルとなり、失弧を検出できることになる。
【0031】
このように失弧検出回路9が失弧検出したとき、コンバータ1の動作を停止するようにすればトルク脈動を発生させることなく装置を停止させることが可能となる。
【実施例2】
【0032】
図3は本発明の実施例2に係る交流電動機の制御装置における失弧検出回路の回路構成図である。この実施例2の各部について、図1(b)の本発明の実施例1に係る交流電動機の制御装置の失弧検出回路の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例2が実施例1と異なる点は、失弧検出開始信号98を設け、この出力をAND回路97Aに与え、失弧検出開始信号が入力されたときに、はじめて失弧検出回路の動作を開始する構成とした点である。
【0033】
ここで、失弧検出回路9Aに使用される失弧検出開始信号98は、低出力時のコンバータ1の電流断続動作時の誤検出を回避するために設けられている。図2において、時刻t1からt2の期間において、コンバータ1の出力である直流電流は断続電流となっている。その間、CMP1側の入力となる制御角αと比較値Aは乖離し、安定しているが、CMP2側の入力となる1次遅れフィルタ94の出力は、断続電流のためK2*I_REFとの差が小さくなってきていることがわかる。図2では時刻t2でコンバータ1を低出力から高出力へ切り替えているのでCMP2の出力がHighレベルになることはないが、断続電流領域(低出力)が長時間続き、CMP2がHigh出力をしてしまうと、その後にコンバータ1が低出力から高出力に切り替わる際に、CMP1がHighレベルになる可能性がある。このとき失弧検出回路9は失弧誤検出をしてしまう。本実施例の失弧検出開始信号98はこのような誤検出を防ぐために存在する。
【0034】
尚、この誤検出は、強制的に電流を断続させて始動する始動時にも生ずる。従って、所定の負荷電流以上で且つ所定の速度以上のとき上記失弧検出開始信号98を与えるようにすることが好ましい。
【0035】
以上の実施例ではコンバータ1側の動作を説明したが、通常のLCI装置は力行動作が主である。この場合、インバータ2側の失弧は転流失敗につながる。従って、インバータ2側の出力電流を検知していれば、コンバータ1側との差分を検出することによって異常検知できるため、コンバータ1側の失弧検出ができれば、トルク変動の発生によって、モータの軸やカップリングを破損させる危険性は下がる。
【0036】
実施例で示した失弧検出回路9、9Aは、電流制御部に機能を追加するだけで済むため、通常のLCI装置にソフトウエア処理を追加すればよい。従って、主回路や、制御回路に追加するハード用品は不要であることはいうまでもない。
【0037】
以上本発明のいくつかの実施例を説明したが、これらの実施例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0038】
例えば、交流電動機1の界磁電流制御やインバータ2の位相指令βの制御は必ずしも行わなくても良い。また、図2から明らかなように、1次遅れフィルタ94は必ずしも1次遅れである必要はなく、単純な遅延回路であっても良い。また同期電動機3は必ずしも同期電動機である必要はなく、誘導電動機にコンデンサを並列接続したものであっても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 コンバータ
2 インバータ
3 同期電動機
4 位置検出器
5 速度検出器
6 電流検出器
7 主制御ユニット
8 界磁制御ユニット
9、9A 失弧検出回路
71 速度指令回路
72 速度制御器
73 電流制御器
74 ゲートパルス位相器
75 最大値選択回路
76 ベクトル演算器
77 力率角指令回路
78 無負荷端子電圧指令回路
79 位相制御器
80 ゲートパルス位相器
91 比較器
92 設定器
93 乗算器
94 1次遅れフィルタ
95 乗算器
96 比較器
97、97A AND回路
98 失弧検出開始信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流を直流に変換する第1の変換器と、
第1の変換器の直流出力を交流に変換し、その出力で交流電動機を駆動する電流形の第2の変換器と、
前記交流電動機の回転位相を検出する位置検出手段と、
前記交流電動機の回転速度を検出する速度検出手段と、
前記第1の変換器の入力電流を検出する電流検出手段と、
前記速度検出手段の速度帰還が速度指令となるように制御して電流指令を出力する速度制御器と、前記電流検出手段の電流帰還が前記電流指令となるように前記第1の変換器のゲートパルスの制御角指令αを出力する電流制御器と、を有する第1の制御手段と、
前記位置検出手段の検出位相に応じて前記第2の変換器のゲートパルス位相を制御する第2の制御手段と、
前記電流制御器の入出力信号から前記第1の変換器を構成するサイリスタが失弧したことを検出する失弧検出手段と
を具備し、
前記失弧検出手段は、
前記制御角指令αが第1の所定値以下となり、
且つ、前記電流指令から前記電流帰還を減算した偏差に第1の定数を乗じて遅延手段によって遅延させた信号から、前記電流指令に第2の定数を乗じた値を減算した値が第2の所定値以上となったとき、
失弧発生とみなすようにしたことを特徴とする交流電動機の制御装置。
【請求項2】
前記電流検出手段の電流帰還が第3の所定値以上で且つ前記速度検出手段の速度帰還が第4の所定値以上のとき、前記失弧検出手段による失弧検出を開始するようにした請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
【請求項3】
前記遅延手段は1次遅れ特性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の交流電動機の制御装置。
【請求項4】
前記交流電動機は界磁巻線を有する同期電動機であり、電機子反作用を打ち消すように界磁電流を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置。
【請求項5】
前記電流指令と前記電流帰還のうち大きい方の信号と、前記交流電動機の力率角の指令値と、前記交流電動機の無負荷時の端子電圧とを入力とするベクトル演算回路を具備し、
負荷変動による前記交流電動機の力率角及び端子電圧の変動を抑制するように前期界磁電流を制御すると共に前記第2の変換器のゲートパルス位相を制御するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の交流電動機の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−200109(P2012−200109A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63677(P2011−63677)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】