説明

交通量推定装置及び交通量推定方法

【課題】道路の任意の地点における任意の時間帯の交通量の情報を得ることを可能とする。
【解決手段】交通量推定装置1は、推定点及び推定時間帯を含む処理要求を受け付ける処理要求受付部10と、複数の位置情報を記憶する位置情報記憶手段と、推定時間帯に測位時刻が該当する位置情報を取得する位置情報取得部13と、同一ユーザの複数の位置情報の軌跡であるトリップを生成するトリップ生成部14と、全トリップ合計時間を算出するトリップ時間算出部15と、推定点を通過する通過トリップ数を計数するトリップ計数部16と、全トリップ合計時間及び通過トリップ数に基づいて推定交通量を算出する推定交通量算出部17と、推定交通量を出力する処理結果出力部18とを備える。これにより、任意の場所における任意の時間帯の交通量の情報を得ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通量推定装置及び交通量推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、いわゆる道路交通センサスとして、所定の調査地点における交通量調査や、アンケート等による自動車の起終点調査(OD調査)が行われている。また、道路に沿って設けられたビーコンにより車両を検出し、検出結果を集計することにより交通量を計測するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−283373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、道路交通センサスにより得られる交通量の情報は、調査が実施された場所に関する情報であるので、調査実施箇所以外の任意の場所における交通量の情報を得ることはできない。また、ビーコンにより車両を検出して交通量を計測する場合であっても、得られる情報は、ビーコンの設置場所における交通量の情報である。また、道路交通センサスでは、所定の調査地点において調査を実施して情報を収集するので、調査コストが高くなると共に、収集される情報は、調査が実施された時点のものに限られることとなる。
【0005】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、道路の任意の地点における任意の時間帯の交通量の情報を容易に得ることが可能な交通量推定装置及び交通量推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の交通量推定装置は、ユーザの所在位置を示すと共に、当該ユーザが当該所在位置に所在した時刻を示す情報である測位時刻を含む位置情報に基づいて、道路の任意の地点における交通量を推定する交通量推定装置であって、交通量推定の対象の地点である推定点、及び交通量推定の対象の時間帯である推定時間帯の情報を含む処理要求を受け付ける処理要求受付手段と、複数の位置情報を記憶する位置情報記憶手段と、処理要求に含まれる推定時間帯に測位時刻が該当する位置情報を位置情報記憶手段から取得する位置情報取得手段と、位置情報取得手段により取得された位置情報に基づき、同一ユーザの複数の位置情報に示される所在位置の軌跡であるトリップを生成するトリップ生成手段と、トリップ生成手段により生成されたトリップに基づき、トリップの始点から終点に至るまでの時間であるトリップ時間をトリップ毎に算出し、全てのトリップのトリップ時間の合計時間であるトリップ合計時間を算出するトリップ時間算出手段と、トリップ生成手段により生成されたトリップのうち、処理要求に含まれる推定点を通過するトリップの数である通過トリップ数を計数するトリップ計数手段と、トリップ時間算出手段により算出されたトリップ合計時間、及びトリップ計数手段により計数された通過トリップ数に基づいて、推定点における交通量である推定交通量を算出する推定交通量算出手段と、推定交通量算出手段により算出された推定交通量を出力する処理結果出力手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の交通量推定方法は、ユーザの所在位置を示すと共に、当該ユーザが当該所在位置に所在した時刻を示す情報である測位時刻を含む位置情報に基づいて、道路の任意の地点における交通量を推定する交通量推定装置における交通量推定方法であって、交通量推定の対象の地点である推定点、及び交通量推定の対象の時間帯である推定時間帯の情報を含む処理要求を受け付ける処理要求受付ステップと、複数の位置情報を記憶する位置情報記憶手段から、処理要求に含まれる推定時間帯に測位時刻が該当する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、位置情報取得ステップにおいて取得された位置情報に基づき、同一ユーザの複数の位置情報に示される所在位置の軌跡であるトリップを生成するトリップ生成ステップと、トリップ生成ステップにおいて生成されたトリップに基づき、トリップの始点から終点に至るまでの時間であるトリップ時間をトリップ毎に算出し、全てのトリップのトリップ時間の合計時間であるトリップ合計時間を算出するトリップ時間算出ステップと、トリップ生成ステップにおいて生成されたトリップのうち、処理要求に含まれる推定点を通過するトリップの数である通過トリップ数を計数するトリップ計数ステップと、トリップ時間算出ステップにおいて算出されたトリップ合計時間、及びトリップ計数ステップにおいて計数された通過トリップ数に基づいて、推定点における交通量である推定交通量を算出する推定交通量算出ステップと、推定交通量算出ステップにおいて算出された推定交通量を出力する処理結果出力ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の交通量推定装置及び交通量推定方法では、交通量推定の対象となる推定点及び推定時間帯が処理要求として受け付けられ、ユーザに移動に伴って逐次測位された取得容易な位置情報であり、且つ処理要求に含まれる推定時間帯に測位時刻が該当する位置情報に基づいてトリップが生成されるので、任意の時間帯における交通量の情報を得ることができる。また、生成されたトリップのうち推定点を通過する通過トリップ数が計数され、トリップ合計時間と通過トリップ数に基づいて推定交通量が算出されるので、任意の場所における交通量の情報を得ることが可能となる。
【0009】
また、本発明の交通量推定装置では、トリップ生成手段は、測位時刻の差が所定時間より短い複数の位置情報に示される所在位置の軌跡からトリップを生成することが好ましい。
【0010】
この場合には、測位時刻の差が所定時間より短い複数の位置情報に示される所在位置間をつなぐ軌跡により、ユーザの移動の軌跡が表されるので、トリップを適切に生成することができる。
【0011】
また、本発明の交通量推定装置では、位置情報記憶手段は、ある母集団のうちの位置情報を収集可能な一定数のユーザに関する位置情報を記憶しており、推定交通量算出手段は、通過トリップ数をトリップ合計時間で除した数に、推定時間帯の時間幅及び母集団の全人口を乗じて推定交通量を算出することを特徴とする。
【0012】
この場合には、位置情報を収集可能なユーザに関する情報である通過トリップ数を、トリップ合計時間で除した数に推定時間帯の時間幅及び母集団の全人口を乗じて推定交通量が算出されるので、算出された推定交通量は、推定点における通過トリップ数を、位置情報を収集可能でないユーザを含めた数に拡張したものとなる。これにより、精度よく交通量の推定を行うことができる。
【0013】
また、本発明の交通量推定装置では、位置情報は、ユーザが所持する移動端末により測位された当該ユーザの所在位置を示す情報であることを特徴とする。
【0014】
本発明の交通量推定装置では、所定条件に合致する複数の位置情報からトリップを生成して、生成されたトリップに基づいて推定交通量が算出されるので、例えば車両に搭載されるカーナビゲーション装置により収集される位置情報のようにユーザの移動を常時監視可能な位置情報でなくとも、ユーザがアプリケーションを利用した時にだけ移動端末により測位されるような位置情報に基づいて、推定交通量を算出することができる。また、移動端末により測位された位置情報の収集が容易であるので、交通量推定のための調査コストの削減が可能となる。
【0015】
また、本発明の交通量推定装置では、推定点とは異なる任意の地点である基準点において実測された交通量であり予め記憶された観測交通量を取得し、取得した観測交通量を当該基準点における推定交通量で除した値である補正係数を求め、推定交通量算出手段により算出された推定交通量に補正係数を乗じて補正推定交通量を算出する推定交通量補正手段を備え、処理結果出力手段は、推定交通量補正手段により算出された補正推定交通量を推定交通量として出力することが好ましい。
【0016】
この場合には、基準点における推定交通量に対する観測交通量の比を補正係数として求め、推定点における推定交通量に求めた補正係数を乗じて補正推定交通量が算出されるので、より高精度な交通量の情報を得ることが可能となる。
【0017】
また、本発明の交通量推定装置は、推定点とは異なる任意の地点である複数の基準点において実測された交通量であり予め記憶された観測交通量を取得し、取得した観測交通量を当該基準点における推定交通量で除した値である補正係数を基準点毎に求め、複数の基準点の補正係数、複数の基準点と推定点との地理的位置関係、推定点における道路の特徴、及び複数の基準点における道路の特徴に基づいて、地理的加重回帰法を用いて前記推定点における補正係数を求め、推定交通量算出手段により算出された推定交通量に推定点における補正係数を乗じて補正推定交通量を算出する推定交通量補正手段を備え、処理結果出力手段は、推定交通量補正手段により算出された補正推定交通量を推定交通量として出力することが好ましい。
【0018】
この場合には、複数の基準点における推定交通量に対する観測交通量の比である補正係数に基づいて、地理的加重回帰法により推定点における補正係数が求められ、この補正係数を推定交通量に乗じて補正推定交通量が算出されるので、より高精度な交通量の情報を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の交通量推定装置及び交通量推定方法によれば、道路の任意の地点における任意の時間帯の交通量の情報を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】交通量推定装置を含むシステムの全体構成図である。
【図2】位置情報記憶部の構成及び内容の一例を示す図である。
【図3】交通量推定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】移動方向推定装置のハードブロック図である。
【図5】位置情報取得部により取得された位置情報の構成及び内容の例を示す図である。
【図6】トリップ生成部14によるトリップの生成処理を示すフローチャートである。
【図7】トリップ生成部により生成されたトリップのトリップ情報を示す図、ポリラインにより表されるトリップデータを模式的に表した図、及びトリップ時間算出部により算出されたユーザ毎のトリップ数及びトリップ合計時間を示す図である。
【図8】交通量推定装置において実施される交通量推定方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態における交通量推定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図10】推定交通量記憶部の構成及び内容の一例を示す図である。
【図11】観測交通量記憶部の構成及び内容の一例を示す図である。
【図12】第2実施形態における交通量推定装置において実施される交通量推定方法の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る交通量推定装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る交通量推定装置を含むシステムの全体構成図である。図1に示すように、交通量推定装置1は、位置情報記憶装置3、及び道路情報記憶装置4とネットワークNを介して通信可能である。また、アプリケーションサービス提供装置6及び移動端末5もネットワークNを介した通信をすることができる。
【0023】
ここで、交通量推定装置1の説明に先立って、位置情報記憶装置3、道路情報記憶装置4及びアプリケーションサービス提供装置6について説明する。
【0024】
位置情報記憶装置3は、アプリケーションサービス提供装置6から移動端末5の位置情報を取得し、取得した位置情報を保存する装置である。位置情報記憶装置3は、位置情報を記憶するための記憶手段である位置情報DB30を備える。
【0025】
位置情報DB30は、移動端末のユーザの所在位置を示す位置情報を記憶している記憶手段である。図2は、位置情報DB30に記憶されている位置情報の構成及び内容の一例を示す図である。図2のテーブル30Aに示すように、位置情報DB30は、ユーザID、緯度、経度及び時刻の情報を対応付けて記憶している。ユーザIDは、移動端末5を識別すると共にユーザに固有の識別子である。緯度及び経度は、当該移動端末の所在位置を示す情報である。時刻は、当該位置情報に示される所在位置が測位された測位時刻を示す情報であり、当該ユーザが当該所在位置に所在した時刻を示すものである。
【0026】
道路情報記憶装置4は、道路情報を予め取得して保存する装置であり、道路情報を記憶するための記憶手段である道路情報DB40を備える。道路情報DB40は、道路の位置、車線数及び幅員等の道路情報を記憶している。
【0027】
なお、本実施形態では、位置情報DB30及び道路情報DB40は、それぞれ交通量推定装置1とネットワークNを介して通信可能な位置情報記憶装置3及び道路情報記憶装置4に備えられることとしたが、交通量推定装置1の一機能部として備えられることとしてもよい。
【0028】
アプリケーションサービス提供装置6は、例えば経路案内サービスといったアプリケーションサービスを移動端末5に提供する装置であり、例えば、サーバ装置により構成される。経路案内サービスのようなアプリケーションサービスを移動端末5が使用する場合には、移動端末5が有するGPS装置により測定された位置情報が当該移動端末5の所在位置を示す情報として用いられる。アプリケーションサービス提供装置6は、移動端末5が上記のような位置情報を利用するアプリケーションサービスを利用した場合に、移動端末5の位置情報を収集することができる。
【0029】
ユーザは、任意のタイミングでアプリケーションサービスを利用するので、アプリケーションサービスの利用時に収集される位置情報は、例えば車両に搭載されるカーナビゲーション装置により収集される位置情報に例示されるようなユーザの移動を常時監視可能な位置情報ではない。本実施形態では、後述するように、所定条件に合致する複数の位置情報からトリップを生成して、生成されたトリップに基づいて推定交通量が算出されるので、ユーザがアプリケーションを利用した時にだけ移動端末5により測位されるような位置情報に基づいて、推定交通量を算出することができる。なお、以下に引き続き説明する本実施形態では、移動端末5が有するGPS装置により測定された位置情報が当該移動端末5の所在位置を示す情報として用いられるが、例えば車両に搭載されるカーナビゲーション装置により収集される位置情報を用いても良い。
【0030】
続いて、交通量推定装置1の機能について詳細に説明する。図3は、交通量推定装置1の機能的構成を示すブロック図である。交通量推定装置1は、ユーザの所在位置を示すと共に当該ユーザが当該所在位置に所在した時刻を示す情報である測位時刻を含む位置情報に基づいて、道路の任意の地点における交通量を推定する装置である。
【0031】
交通量推定装置1は、機能的には、処理要求受付部10、位置情報記憶部11(位置情報記憶手段)、道路情報記憶部12、位置情報取得部13(位置情報取得手段)、トリップ生成部14(トリップ生成手段)、トリップ時間算出部15(トリップ時間算出手段)、トリップ計数部16(トリップ計数手段)、推定交通量算出部17(推定交通量算出手段)及び処理結果出力部18(処理結果出力手段)を備える。
【0032】
図4は、交通量推定装置1のハードウエア構成図である。交通量推定装置1は、物理的には、図4に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図3に示した各機能は、図4に示すCPU101、RAM102等のハードウエア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。再び、図3を参照し、交通量推定装置1の各機能部について詳細に説明する。
【0033】
処理要求受付部10は、交通量推定装置1に対する交通量を推定する処理要求を受け付ける部分である。処理要求は、例えば、ネットワークNを介して通信可能な端末装置(図示せず)から交通量推定装置1に対して送信されたり、交通量推定装置1が備える入力装置106を介して入力されたりするものであり、交通量推定の対象の地点である推定点、及び交通量推定の対象の時間帯である推定時間帯の情報を含む。
【0034】
なお、処理要求受付部10は、処理要求を受け付けるに際して、道路情報記憶部12から道路情報を取得し、取得した道路情報に基づいてディスプレイ等に視覚的に道路の構成を表示させることができ、交通量推定装置1による交通量推定の処理を所望するユーザは、ディスプレイ等に表示された道路構成を参照して推定点の指定をすることが可能であることとしてもよい。
【0035】
位置情報記憶部11は、複数の位置情報を記憶または一時記憶する部分である。位置情報記憶部11に記憶される位置情報は、位置情報記憶装置3の位置情報DB30から取得されたものであり、位置情報DB30の構成及び内容として例示した図2のテーブル30Aと同様の構成及び内容を有する。
【0036】
道路情報記憶部12は、道路の位置、車線数及び幅員といった道路情報を記憶または一時記憶する部分である。道路情報記憶部12に記憶される道路情報は、道路情報記憶装置4の道路情報DB40から取得されたものである。
【0037】
位置情報取得部13は、処理要求に含まれる推定時間帯に測位時刻が該当する位置情報を位置情報記憶部11から取得する部分である。位置情報取得部13により取得された位置情報の構成及び内容の例を図5のテーブル11Aに示す。なお、図5のテーブル11Aに示す位置情報の例では、各位置情報がユーザID毎にソートされている。
【0038】
トリップ生成部14は、位置情報取得部13により取得された位置情報に基づき、同一ユーザの複数の位置情報に示される所在位置の軌跡であるトリップを生成する部分である。具体的には、トリップ生成部14は、測位時刻の差が所定時間より短い複数の位置情報に示される所在位置の軌跡からトリップを生成する。続いて、図6を用いて、トリップ生成部14によるトリップの生成処理を詳細に説明する。図6は、トリップ生成部14によるトリップの生成処理を示すフローチャートである。
【0039】
まず、トリップ生成部14は、位置情報取得部13により取得された位置情報のうちの同一ユーザの位置情報について、時刻の値が小さい順にソートし(S1)、ソートされた位置情報のうち1行目の位置情報を参照する(S2)。続いて、トリップ生成部14は、1行目の位置情報における「時刻」の値を変数t1に設定する(S3)。
【0040】
次に、トリップ生成部14は、参照中の位置情報に示される所在位置を始点とするトリップにトリップIDを付与し(S4)、当該位置情報の「時刻」の値を生成するトリップの「開始時刻」として記憶する(S5)。
【0041】
続いて、トリップ生成部14は、参照中の位置情報の「緯度」及び「経度」の値をトリップデータに追加し(S6)、参照中の「時刻」の値から変数t1に設定された値を減じた値が所定の閾値より大きいか否か、または参照中の位置情報が当該ユーザの位置情報のうちの最後の行であるか否かを判定する(S7)。
【0042】
ステップS7において、「時刻」の値から変数t1に設定された値を減じた値が所定の閾値より大きくない場合、または参照中の位置情報が当該ユーザの位置情報のうちの最後の行でない場合には、処理手順はステップS8に進められる。ステップS8において、トリップ生成部14は、参照中の位置情報の「時刻」の値を変数t1に設定し(S8)、参照中の位置情報の次の行の位置情報を参照する(S9)。そして、処理手順は、ステップS6に戻る。
【0043】
一方、ステップS7において、「時刻」の値から変数t1に設定された値を減じた値が所定の閾値より大きい場合、または参照中の位置情報が当該ユーザの位置情報のうちの最後の行である場合には、処理手順はステップS10に進められる。ステップS10において、トリップ生成部14は、参照中の位置情報の「時刻」の値を生成するトリップの「終了時刻」として記憶する(S10)。
【0044】
続くステップS11では、トリップ生成部14は、参照中の位置情報が当該ユーザの位置情報のうちの最後の行であるか否かを判定し、最後の行である場合には当該ユーザに関するトリップ生成処理を終了する。一方、参照中の位置情報が当該ユーザの位置情報のうちの最後の行でない場合には、トリップ生成部14は、参照中の位置情報の次の行の位置情報を参照し(S12)、処理手順はステップS4に戻る。
【0045】
以上説明した処理手順により、トリップ生成部14は、測位時刻の差が所定の閾値(所定時間)より短い複数の位置情報に示される所在位置の軌跡からトリップを生成することができる。図7(a)は、トリップ生成部14により生成されたトリップのトリップ情報14Aを示す図である。図7(a)のトリップ情報14Aに示すように、トリップ情報14Aは、ユーザID、トリップID、開始時刻、終了時刻及びトリップデータを含む。トリップ情報14AにおけるユーザIDは、ユーザを識別する情報であり、トリップIDは、当該トリップを識別する情報である。また、開始時刻及び終了時刻はそれぞれ、当該トリップの始点及び終点の位置情報の測位時刻である。そして、トリップ情報14Aにおけるトリップデータは、トリップの形状を表すデータであり、いわゆるポリラインのデータとして表される。図7(b)は、ポリラインにより表されるトリップデータPLを模式的に表した図である。図7(b)に示すように、トリップデータPLは、複数の位置情報に示される所在位置を直線によりつなげた折れ線のデータである。図7(b)に示す例では、5つの位置情報に示される5点の所在位置xy〜xyの軌跡によりトリップデータPLが構成されている。
【0046】
トリップ時間算出部15は、トリップ生成部14により生成されたトリップに基づき、トリップの始点から終点に至るまでの時間であるトリップ時間をトリップ毎に算出し、全てのトリップのトリップ時間の合計時間である全トリップ合計時間を算出する部分である。トリップ毎のトリップ時間は、図7(a)のトリップ情報における「開始時刻」から「終了時刻」までの時間を算出することにより求められる。図7(c)は、トリップ時間算出部15により算出されたユーザ毎のトリップ数及びトリップ合計時間を示すテーブル15Aである。図7(c)に示す例においては、トリップ時間算出部15は、全てのユーザのトリップ合計時間の和(T+T+T+・・・)を算出することにより、全トリップ合計時間を求めることができる。
【0047】
トリップ計数部16は、トリップ生成部14により生成されたトリップのうち、処理要求に含まれる推定点を通過するトリップの数である通過トリップ数を計数する部分である。
【0048】
トリップ計数部16は、例えば、推定点を中心とした所定大きさのエリアを生成し、当該エリアを通過するトリップデータPLを計数することにより通過トリップ数を求めることができる。
【0049】
また、トリップ計数部16は、例えば、道路情報記憶部12を参照し、推定点が含まれる道路の道路情報を取得し、当該道路の幅員方向に沿うように推定点を含む幅員長さの線分を生成し、当該線分と交差するトリップデータPLを計数することにより通過トリップ数を求めることができる。
【0050】
推定交通量算出部17は、トリップ時間算出部15により算出された全トリップ合計時間、及びトリップ計数部16により計数された通過トリップ数に基づいて、推定点における交通量である推定交通量を算出する部分である。
【0051】
例えば、日本の全人口(母集団の全人口)のうちの一定数の人が位置情報を収集可能な所定の移動端末5を所有するユーザであり、そのユーザが移動端末5を用いて所定のアプリケーションサービスを利用した場合に、当該移動端末5の位置情報がアプリケーションサービス提供装置6を介して位置情報DB30に記憶される場合において、以下に具体的に推定交通量の算出を説明する。この場合には、推定交通量算出部17は、下記式(1)により、推定交通量を算出する。
推定交通量=(通過トリップ数/全トリップ合計時間)×(推定時間帯の時間幅)×(日本の全人口) ・・・(1)
【0052】
上記式(1)により、位置情報を収集可能なユーザに関する情報である通過トリップ数を、全トリップ合計時間で除した数に推定時間帯の時間幅及び日本の全人口を乗じて推定交通量が算出されるので、算出された推定交通量は、推定点における通過トリップ数を、位置情報を収集可能でないユーザを含めた数に拡張したものとなる。これにより、精度よく交通量の推定を行うことができる。
【0053】
処理結果出力部18は、推定交通量算出部17により算出された推定交通量を出力する部分である。処理結果出力部18は、例えば、交通量推定装置1に処理要求を送信した端末装置(図示せず)に対して、推定交通量の情報を返信したり、交通量推定装置1が備える、例えばディスプレイといった出力装置107に推定交通量の情報を表示させたりする。
【0054】
続いて、図8を用いて、本実施形態の交通量推定方法における交通量推定装置1の動作について説明する。図8は、交通量推定装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
【0055】
まず、処理要求受付部10は、交通量推定の処理要求を受け付ける(S20)。処理要求には、推定点及び推定時間帯の情報が含まれる。次に、位置情報取得部13は、処理要求に含まれる推定時間帯に測位時刻が該当する位置情報を位置情報記憶部11から取得し(S21)、取得した位置情報をユーザ毎に分割する(S22)。位置情報のユーザ毎の分割は、例えば、取得した位置情報を、ユーザIDをキーとしてソートすることにより実現される。
【0056】
次に、トリップ生成部14は、ステップS21において取得された位置情報のユーザのうちの一のユーザを選択し(S23)、選択したユーザの位置情報からトリップを生成する(S24)。ステップS24におけるトリップ生成処理の詳細は、図6のフローチャートに示したとおりである。
【0057】
続いて、トリップ時間算出部15は、ステップS24において生成されたトリップに基づき、トリップの始点から終点に至るまでの時間であるトリップ時間をトリップ毎に算出し、ステップS23において選択されたユーザのトリップ時間の合計時間であるトリップ合計時間を算出する(S25)。ここで、トリップ生成部14は、ステップS21において取得された位置情報のユーザのうちの全てのユーザを選択したか否かを判定する(S26)。全てのユーザを選択していない場合には、処理手順はステップS23に戻る。一方、全てのユーザを選択した場合には、処理手順はステップS27に進められる。
【0058】
ステップS27において、トリップ計数部16は、ステップS24において生成されたトリップのうち、推定点を通過するトリップの数である通過トリップ数を計数する(S27)。さらに、トリップ時間算出部15は、全てのトリップのトリップ時間の合計時間である全トリップ合計時間を算出する(S28)。
【0059】
次に、推定交通量算出部17は、ステップS28において算出された全トリップ合計時間、及びステップS27において計数された通過トリップ数に基づいて、上記式(1)により推定交通量を算出する(S29)。そして、処理結果出力部18は、ステップS29において算出された処理結果である推定交通量を出力する(S30)。こうして、本実施形態の交通量推定方法の処理を終了する。
【0060】
以上説明した第1実施形態の交通量推定装置1では、交通量推定の対象となる推定点及び推定時間帯が処理要求受付部10により処理要求として受け付けられ、ユーザの所在位置を示す位置情報であり、且つ処理要求に含まれる推定時間帯に測位時刻が該当する位置情報に基づいてトリップ生成部によりトリップが生成されるので、任意の時間帯における交通量の情報を得ることができる。また、生成されたトリップのうち推定点を通過する通過トリップ数がトリップ計数部16により計数され、全トリップ合計時間と通過トリップ数に基づいて推定交通量が推定交通量算出部17により算出されるので、任意の場所における交通量の情報を得ることが可能となる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る交通量推定装置1について説明する。図9は、第2実施形態に係る交通量推定装置1の機能的構成を示すブロック図である。第2実施形態に係る交通量推定装置1は、推定交通量記憶部20、観測交通量記憶部21及び推定交通量補正部22(推定交通量補正手段)をさらに備えている点で第1実施形態と異なる。
【0062】
推定交通量記憶部20は、推定交通量算出部17により算出された推定交通量を記憶する部分である。図10は、推定交通量記憶部20の構成及び内容の例を示す図である。図10に示す推定交通量記憶部20Aでは、推定点を識別する推定点IDに対応付けて、当該推定点Pの緯度y、経度x及び推定交通量Mが記憶されている。
【0063】
観測交通量記憶部21は、任意に設定された地点である基準点において実測された交通量である観測交通量を予め記憶している部分である。観測交通量記憶部21に記憶される観測交通量は、例えば道路交通センサスにより取得される情報から取得することができる。図11は、観測交通量記憶部21の構成及び内容の例を示す図である。図11に示す観測交通量記憶部21Aでは、基準点を識別する基準点IDに対応付けて、当該基準点Pの緯度y、経度x及び観測交通量Mが記憶されている。
【0064】
推定交通量補正部22は、推定点とは異なる地点である基準点において実測された交通量である観測交通量を観測交通量記憶部21から取得し、取得した観測交通量を当該基準点における推定交通量で除した値である補正係数kを求め、推定交通量算出部17により算出された推定交通量に補正係数kを乗じて補正推定交通量を算出する部分である。
【0065】
具体的には、推定交通量補正部22は、後述する選択アルゴリズムに基づき基準点Pを選択する。続いて、推定交通量補正部22は、観測交通量記憶部21を参照し、選択した基準点Pにおける観測交通量Mを取得する。次に、推定交通量補正部22は、推定交通量記憶部20を参照し、基準点Pと同一の地点について算出された推定交通量Mを取得する。推定交通量補正部22は、取得した観測交通量M及び推定交通量Mを用いて、下記式(2)により補正係数kを求める。
k=(観測交通量M)/(推定交通量M) ・・・(2)
【0066】
そして、推定交通量補正部22は、下記式(3)により、推定交通量算出部17により算出された推定交通量を補正して、補正推定交通量を算出する。
(補正推定交通量)=k×(推定交通量) ・・・(3)
【0067】
ここで、推定交通量補正部22が推定交通量の補正に用いる基準点の選択アルゴリズムについて説明する。補正係数の算出に用いる観測交通量及び推定交通量の値は、推定点と類似する特徴を有する地点のものであることが好ましい。また、推定点との距離が近い地点は、推定点の特徴に類似した特徴を有する蓋然性が高い。そこで、推定交通量補正部22は、推定点との距離が最も近い基準点を選択し、選択した基準点における観測交通量及び推定交通量を用いて補正係数kを算出する。
【0068】
より具体的には、推定点の緯度及び経度をy及びxとし、基準点の緯度及び経度をy及びxとしたときに、推定交通量補正部22は、下記式(4)により算出される値が最小となるような基準点を、補正係数kの算出に用いる基準点として選択する。
{(x−x+(y−y1/2 ・・・(4)
【0069】
処理結果出力部18は、推定交通量補正部22により算出された補正推定交通量を推定交通量として出力する。
【0070】
続いて、図12を用いて、第2実施形態における交通量推定方法の処理内容を説明する。図12は、交通量推定装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
【0071】
図12のフローチャートにおいて、ステップS40〜ステップS49における処理内容は、第1実施形態(図8)のフローチャートにおけるステップS20〜ステップS29の処理内容と同様である。
【0072】
ステップS50において、推定交通量補正部22は、推定点とは異なる任意の地点である基準点において実測された交通量である観測交通量を観測交通量記憶部21から取得し、取得した観測交通量を当該基準点における推定交通量で除した値である補正係数kを求め、推定交通量算出部17により算出された推定交通量に補正係数kを乗じて補正推定交通量を算出する(S50)。そして、処理結果出力部18は、推定交通量補正部22により算出された補正推定交通量を処理結果として出力する(S51)。
【0073】
以上説明した第2実施形態の交通量推定装置1及び交通量推定方法では、基準点における推定交通量に対する観測交通量の比を補正係数kとして求め、推定点における推定交通量に補正係数kを乗じて補正推定交通量が算出されるので、より高精度な交通量の情報を得ることが可能となる。
【0074】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る交通量推定装置1について説明する。第3実施形態に係る交通量推定装置1は、第2実施形態に係る交通量推定装置1と同様の機能構成(図9)を有するが、推定交通量補正部22における補正係数kの求め方が第2実施形態と異なる(式(3)参照)。第3実施形態では、推定交通量補正部22は、推定点とは異なる任意の地点である複数の基準点において実測された交通量であり予め記憶された観測交通量を取得し、取得した観測交通量を当該基準点における推定交通量で除した値である補正係数を基準点毎に求め、複数の基準点の補正係数、複数の基準点と推定点との地理的位置関係、推定点における道路の特徴、及び複数の基準点における道路の特徴に基づいて、地理的加重回帰法を用いて推定点における補正係数を求める。以下、推定交通量補正部22における地理的加重回帰法による推定点における補正係数の求め方について詳細に説明する。
【0075】
地理的加重回帰法による補正係数の推定に際して、推定点の補正係数kは、下記式(5)により表される。
【数1】


式(5)において、x1i、x2i、・・はそれぞれ、推定点iにおける車線数、幅員、制限速度といった道路を特徴づけるパラメータであり、道路情報記憶部12に予め記憶されている。また、βi0、βi1、βi2、・・は、各パラメータが補正係数に与える影響に基づく重みである。そして、εは、残差である。
【0076】
また、複数の基準点j、k、・・の補正係数k、k、・・・も同様に、下記式(6)、(7)、・・のように表される。
【数2】


【数3】

【0077】
上記式(6)、(7)、・・において、補正係数k、k、・・の値は、第2実施形態において説明したように、当該基準点j、k、・・における観測交通量を当該基準点における推定交通量で除した値として、推定交通量補正部22により算出される。また、推定交通量補正部22は、基準点j、k、・・における道路のパラメータであるx1j、x2j、・・、x1k、x2k、・・といった値を、道路情報記憶部12から取得することができる。
【0078】
推定交通量補正部22は、上記式(5)〜(7)、全ての基準点j、k、・・の補正係数k、k、・・、推定点のパラメータ値、及び基準点における道路のパラメータ値に基づいて、下記式(8)
【数4】


の値が最小となるように、式(5)における重みの値βi0、βi1、βi2、・・を決定することにより、推定点の補正係数kを推定する。なお、式(8)におけるdixは、地点iと地点xとの間の距離であり、bは、所定の定数である。
【0079】
そして、推定交通量補正部22は、下記式(9)により、推定交通量算出部17により算出された推定交通量を補正して、補正推定交通量を算出する。
(補正推定交通量)=k×(推定交通量) ・・・(9)
【0080】
以上説明した第3実施形態の交通量推定装置1では、複数の基準点における推定交通量に対する観測交通量の比である補正係数に基づいて、地理的加重回帰法により推定点における補正係数が求められ、この補正係数を推定交通量に乗じて補正推定交通量が算出されるので、より高精度な交通量の情報を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0081】
1…交通量推定装置、3…位置情報記憶装置、4…道路情報記憶装置、5…移動端末、6…アプリケーションサービス提供装置、10…処理要求受付部、11…位置情報記憶部、12…道路情報記憶部、13…位置情報取得部、14…トリップ生成部、15…トリップ時間算出部、16…トリップ計数部、17…推定交通量算出部、18…処理結果出力部、20…推定交通量記憶部、21…観測交通量記憶部、22…推定交通量補正部、30…位置情報DB、40…道路情報DB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの所在位置を示すと共に、当該ユーザが当該所在位置に所在した時刻を示す情報である測位時刻を含む位置情報に基づいて、道路の任意の地点における交通量を推定する交通量推定装置であって、
交通量推定の対象の地点である推定点、及び交通量推定の対象の時間帯である推定時間帯の情報を含む処理要求を受け付ける処理要求受付手段と、
複数の前記位置情報を記憶する位置情報記憶手段と、
前記処理要求に含まれる前記推定時間帯に前記測位時刻が該当する前記位置情報を前記位置情報記憶手段から取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段により取得された前記位置情報に基づき、同一ユーザの複数の前記位置情報に示される所在位置の軌跡であるトリップを生成するトリップ生成手段と、
前記トリップ生成手段により生成された前記トリップに基づき、前記トリップの始点から終点に至るまでの時間であるトリップ時間を前記トリップ毎に算出し、全てのトリップの前記トリップ時間の合計時間である全トリップ合計時間を算出するトリップ時間算出手段と、
前記トリップ生成手段により生成された前記トリップのうち、前記処理要求に含まれる前記推定点を通過する前記トリップの数である通過トリップ数を計数するトリップ計数手段と、
前記トリップ時間算出手段により算出された前記全トリップ合計時間、及び前記トリップ計数手段により計数された前記通過トリップ数に基づいて、前記推定点における交通量である推定交通量を算出する推定交通量算出手段と、
前記推定交通量算出手段により算出された前記推定交通量を出力する処理結果出力手段と
を備えることを特徴とする交通量推定装置。
【請求項2】
前記トリップ生成手段は、前記測位時刻の差が所定時間より短い複数の前記位置情報に示される所在位置の軌跡から前記トリップを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の交通量推定装置。
【請求項3】
前記位置情報記憶手段は、ある母集団のうちの前記位置情報を収集可能な一定数のユーザに関する位置情報を記憶しており、
前記推定交通量算出手段は、前記通過トリップ数を前記全トリップ合計時間で除した数に、前記推定時間帯の時間幅及び前記母集団の全人口を乗じて前記推定交通量を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の交通量推定装置。
【請求項4】
前記位置情報は、前記ユーザが所持する移動端末により測位された当該ユーザの所在位置を示す情報であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通量推定装置。
【請求項5】
前記推定点とは異なる任意の地点である基準点において実測された交通量であり予め記憶された観測交通量を取得し、取得した前記観測交通量を当該基準点における前記推定交通量で除した値である補正係数を求め、前記推定交通量算出手段により算出された前記推定交通量に前記補正係数を乗じて補正推定交通量を算出する推定交通量補正手段を備え、
前記処理結果出力手段は、前記推定交通量補正手段により算出された前記補正推定交通量を前記推定交通量として出力する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通量推定装置。
【請求項6】
前記推定点とは異なる任意の地点である複数の基準点において実測された交通量であり予め記憶された観測交通量を取得し、取得した前記観測交通量を当該基準点における前記推定交通量で除した値である補正係数を前記基準点毎に求め、複数の前記基準点の補正係数、複数の前記基準点と前記推定点との地理的位置関係、前記推定点における道路の特徴、及び複数の前記基準点における道路の特徴に基づいて、地理的加重回帰法を用いて前記推定点における前記補正係数を求め、前記推定交通量算出手段により算出された前記推定交通量に前記推定点における前記補正係数を乗じて補正推定交通量を算出する推定交通量補正手段を備え、
前記処理結果出力手段は、前記推定交通量補正手段により算出された前記補正推定交通量を前記推定交通量として出力する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通量推定装置。
【請求項7】
ユーザの所在位置を示すと共に、当該ユーザが当該所在位置に所在した時刻を示す情報である測位時刻を含む位置情報に基づいて、道路の任意の地点における交通量を推定する交通量推定装置における交通量推定方法であって、
交通量推定の対象の地点である推定点、及び交通量推定の対象の時間帯である推定時間帯の情報を含む処理要求を受け付ける処理要求受付ステップと、
複数の前記位置情報を記憶する位置情報記憶手段から、前記処理要求に含まれる前記推定時間帯に前記測位時刻が該当する前記位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップにおいて取得された前記位置情報に基づき、同一ユーザの複数の前記位置情報に示される所在位置の軌跡であるトリップを生成するトリップ生成ステップと、
前記トリップ生成ステップにおいて生成された前記トリップに基づき、前記トリップの始点から終点に至るまでの時間であるトリップ時間を前記トリップ毎に算出し、全てのトリップの前記トリップ時間の合計時間である全トリップ合計時間を算出するトリップ時間算出ステップと、
前記トリップ生成ステップにおいて生成された前記トリップのうち、前記処理要求に含まれる前記推定点を通過する前記トリップの数である通過トリップ数を計数するトリップ計数ステップと、
前記トリップ時間算出ステップにおいて算出された前記全トリップ合計時間、及び前記トリップ計数ステップにおいて計数された前記通過トリップ数に基づいて、前記推定点における交通量である推定交通量を算出する推定交通量算出ステップと、
前記推定交通量算出ステップにおいて算出された前記推定交通量を出力する処理結果出力ステップと
を有することを特徴とする交通量推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−96004(P2011−96004A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249263(P2009−249263)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】