説明

人及び/又は荷物を運搬するための動力化された二輪車又は三輪車

この発明に係る二輪車又は三輪車は、自動車における一般的な収容設備に類似する、と同時に正面衝突の場合における運転者(D)の安全性を増す、乗客(B)収容設備を提案する。乗客(B)は、乗降、着席、視界、安全性、エアコンとエンターテインメントに関し、自動車において一般的な収容設備に相当し得る保護シェル(A)内において運転者(D)の前方の領域に収容される。正面衝突時における運転者(D)の怪我のリスクは、運転者の体の広い範囲をカバーする弾力性ある区域(K)によって軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力化された二輪車と三輪車に関し、特に少なくとも1つの乗客席及び/又は荷物運搬器具を有する動力化された二輪車又は三輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のモーターバイシクルは周知である。動力化された二輪車又は三輪車(以下「モーターバイシクル」という)において、運転者と同様に、他の人(以下「乗客」という)も運搬可能にする目的で、前記モーターバイシクルは、同じ進行方向に運転者のように、乗客が運転者の後に座る乗客席(よく「後部座席」ともいう)が一般的に備えつけられている。乗客席は、分離席としてあるいはベンチのような運転席の延長としてデザインされる。いわゆるモーター人力車をデザインしたたいていの三輪は、乗客席が2人の乗客を乗せるためのベンチシートとして普通延長される。
【0003】
この従来の運転者と乗客のシート配置は、運転者と乗客の両方に不利をもたらす。運転者にとっては、(1)動力化された二輪車は例えばベルト又はエアバッグのような抑止装置を通常有していないので、車両の正面衝突時に怪我の高いリスクにさらされるという不利を引き起こす。また、(2)乗客の体重は、減速の間そして衝突時においてはなお一層、運転者に直接後ろから作用する。更に、(3)突然の(シート配置の結果として運転者の視野外に位置している)乗客の体の動きは、運転者に対して車両の重心を突然に変更し得て、特に二輪の車両の場合に意図しない運転操縦をもたらし得る。車両の安全なコントロールは、こうして難しくなる。(4)乗客は、運転者と同様に、事故の場合に怪我の重大なリスクにさらされる。(5)多くの国々で、防護服の着用、少なくともヘルメットの着用がそれゆえ乗客のために規定されており、この規定は快適さにおいて逆効果を意味する。(6)乗客は通常、例えば雨、太陽照射そして寒さといった天候の影響からの十分な保護を享受していない。(7)乗客は、移動によって生ずる空力的な力とノイズにさらされる。(8)正面への自由な視界は通常乗客に与えられず、仮にそうであるとしても、傾斜状態やとても高い後部座席によってあるいは単に身体的に突き出ることによって手に入れ得る。この場合、これは運転行為にネガティブな影響をもつ不利な重量配分を導く。
【0004】
潜在的な乗客は、後部座席上で運転者の背後に置かれるのをたびたび差し控える。なぜなら、このシート配置は、事故時における怪我の高いリスク、例えば雨、太陽と寒さといった天候の影響のための保護の欠如に関し、そして乗客の姿勢と運転動作との間の相互作用に関してあまりに危険であることが認められ、また正面への視界、ヘルメットをかぶる義務、運転者との直接の肉体的な接触に関して不愉快であることが認められるからである。これはこれまで、モーターバイシクルを例えばタクシーサービス用に使うには魅力ないものにしていた。
【0005】
モーターバイシクルで荷物を運搬するとき、問題は乗客の運搬に関する限りでは部分的に同じか同様であり、ほとんどの場合、運転席の背後に設置された荷物棚及び/又はかごは荷物を運ぶために用いられる。これは、一方ではより大きな運搬商品を収容するのにまったく適しておらず、ほとんどの場合、わずかばかりのスペースしか運搬商品を収容するための1つの場所において利用可能でしかなく、また、重い荷物は高い重心の結果として運転動作の劇的な低下を生ずる。荷積みは通常難儀である。
【発明の概要】
【0006】
この背景に対して、この発明の目的は、上述の不利を未然に防ぐついでに、少なくとも1人の乗客及び/又はより大きな荷物が安全にかつ快適に運搬され得る、動力化された二輪車又は三輪車を提供することにある。また、正面衝突時における運転者の怪我のリスクを減らすことと、運転の安全性を増すことも目指す。
【0007】
本発明の1つの特徴によれば、この目的が請求項1に従う動力化された二輪車と三輪車とともに実現されることにある。この発明のさらなる特徴によれば、この目的が請求項9に従う動力化された二輪車と三輪車とともに実現されることにある。この発明の好ましい実施例は、請求項2〜請求項8と請求項10〜請求項34の1つに従って構成され得る。
【0008】
この発明に従う二輪車又は三輪車を用いて、乗客とより大きな荷物は、自動車による輸送に比較してより速くより経済的に、特にとかく交通渋滞しがちな都市区域において従来のオートバイと比較してより安全により快適に、それらの送り先へと持っていかれる。それゆえ、特に人の営利的輸送に適している。
【0009】
この発明に従うシート配置又は運搬構造は、運転者の正面に配置された乗客や運搬荷物とともに、乗客や運搬荷物の重心を下方へシフトすることにより、運転の安全性が増大されることを可能にする。さらに、乗客は進行方向に自由な視野を持ち、そして全ての側面を閉じることができて、着席姿勢、正面視界、乗降、安全装置、エアコンとマルチメディア装置に関し、四輪自動車における乗客に提供し得る利便性の全てを与える事のできる、保護シェル内に有利に収容され得るから、乗客はより高い運転快適性を楽しむ。前記保護シェルは、落下及び/又は衝撃時に乗客を機械的に保護するものとして機能を果たすよう望ましくは構成される。運搬荷物はまた、保護シェル内で天候及び/又はダメージから有利に保護され得る。
【0010】
この発明は、添付の概略図面に関連して典型的な様式で以下に詳細に説明される。多数の好ましい典型的な実施例が説明されるが、この発明を制限するものではない。
【0011】
原則として、本願の枠組みの中で記述されるか示唆される本発明の種々の変形は、特定の場合に経済的及び技術的条件次第で特に好ましくあり得る。反対のことを述べていない限り、あるいは基本的に技術的に実現可能である限り、記述された実施例の個々の特徴は先行技術から本質的に知られる特徴で相互に置換され得るか組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の典型的な実施例を示す正面図。
【図2】図1に示した実施例を示す側面図。
【図3】他の実施例を示す側面図。
【図4】本発明の特に好ましい実施例に従う連続的なトランスバースリンクを含むホイールサスペンションの構成要素をきわめて概略的に示す図。
【図5】図4のホイールサスペンションの構成要素を、まっすぐに運転するときの組み合わされた形状及び直立アライメントにおいて示す図。
【図6】図5のホイールサスペンションの構成要素の変移を、例えばカーブを回って運転するときに発生する傾斜時において示す図。
【図7】本発明のさらなる特に好ましい実施例に従う分離されたトランスバースリンクを含むホイールサスペンションの構成要素をきわめて概略的に示す図。
【図8】図7のホイールサスペンションの構成要素を、まっすぐに運転するときの組み合わされた形状及びで直立アライメントにおいて示す図。
【図9】図8の構成要素の変移を、両ハブキャリアの偏りにおいて示す図。
【図10】荷物運搬のための本発明の典型的な実施例を示す図。
【図11】図10の実施例において破線を用いて表した横断面22を正面から見た断面図。
【図12】リーディングリンクフォークを含む好ましい実施例のフロントホイールサスペンションを示す図。
【図13】トレーリングロングスイングアームを含むさらに好ましい実施例のフロントホイールサスペンションを示す図。
【図14】テレスコピックフォークを含むさらに好ましい実施例のフロントホイールサスペンションを示す図。
【図15】図14のフロントホイールサスペンションを、回転軸15に沿って示す平面図。
【図16】直進時における図14のフロントホイールサスペンションを、回転軸15に沿って示す平面図。
【図17】図15から右に舵を切るときの配列を示す図。
【図18】図15から左に舵を切るときの配列を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図示したモーターバイシクルは、とりわけ内部燃焼機関及び/又は電気モーターを持っている従来のモーターバイシクルのように、実質的に運転され得る。制動技術、シャーシ技術などは、従来のモーターバイシクルにあるように実質的に構成され得る。図1〜図3及び図10及び図11は、二輪すなわちシングルトラック・モーターバイシクルのための典型的な実施例を示す。しかし、後輪又は前輪は、市販されている三輪モータースクーターに代用されている例えばダブルトラック配置により置き換えられ得る。図4〜図9は、2つの前輪を持つ三輪モータースクーターの典型的な変形実施例を示す。
【0014】
1人の大人の乗客B又は2人の子供と随意的に運搬される荷物Cを保持する保護シェルAは、前輪の近くに及び/又は運転者Dの正面に直接的ではないが後ろに配置される。ところが、運転者Dは、一般の自動車の席に類似するように構成されたサドルのような席L、乗客席Fに収容される。望ましい快適性と重量にもよるが、乗客席Fはより頑丈かより弱いか全く布張りしていないか、手動か電動か、1つか複数か、調整できるか全く調整できないかであり得る。
【0015】
保護シェルAは、乗客Bだけ、あるいは乗客及び/又は1以上の運搬商品Cだけを囲むが、運転者Dは囲まない。収納室Eは、運搬商品Cを収容する乗客が座る面Fの下に配置される。乗客Bは、進行方向に向かって座る。
【0016】
乗降、着席、エアコン、通信、有害な作用からの保護に関し、保護シェルAは従来の閉じた自動車のように実質的に備え付けられ得る。完全に閉じられた保護シェルAの他に、半開き例えば側面で開く、デザインが考えられる。特に、完全に閉じられた保護シェルAの場合、しかし半開きの保護シェルAの場合における運転ノイズの結果としても、双方向通信可能な内部通話システムが乗客Bと運転者Fとの間に提供される。これは、有線としてあるいは無線としても実現し得る。例えば、運転者側の通信インタフェースは、運転者Fのヘルメットに一体化され得る。特に、商業的な人の運搬のために、内部通話システムとしてブルートゥース又は類似のインタフェースを用いることもでき、乗客Bのモバイルテレフォンを乗客側の通信インタフェースとして使用することもできる。
【0017】
保護シェルAの構造に関し、当業者はその形状と素材の両方について大きな創造の余地を持つ。特に、保護シェルAはエネルギー効率と到達可能最大速度を増す目的で空気力学的に最適化され得る。さらに、例えば側面縦通材、補強フレーム、畳み込みかご、保護シェルAの基部における縦及び交差部材、その他同様のものなど、の構造の集積は、乗客の安全性を増すのに都合が良い。プラスチック(例えば、ポリカーボネイドやアクリルガラス)及び窓表面の複合ガラスの他に、様々なプラスチック、特にファイバー補強されたプラスチック、鉄、アルミニウム及び自動車製造で知られているその他の素材が、保護シェルAの素材として用いられ得る。それらの素材は、重量の軽減、剛性、強度など、通常のデザイン観点に従って選択される。
【0018】
望ましくは、2つの三点支持ベルト(G)は、事故の場合に乗客又は乗客達(B)を拘束する設備として使用される。一方は右側の席にもう一方は左側の席に取り付けられる。ゆえに1人の大人を運搬するとき、両方のベルトが身に着けられ得、2人の子供を運搬するとき、1つのベルトがそれぞれ身に着けられ得る。あるいは、本発明に係るモーターバイシクルは、五点支持ベルト、ウェストベルト、isofixチャイルドシート台及び同様のものを取り付けられ得る。さらに、乗客保護は、1以上のエアバッグを設置することによって改善され得る。フロントエアバッグの他に、例えば、自動車製造で知られているような席の側面及び/又は側面カーテンエアバッグに一体化され得るサイドエアバッグが取り付けられ得る。
【0019】
運転者Dは、ほぼ頭の高さ分だけ保護シェルAの上を突き出るように、保護シェルAの背後に置かれ、これにより、運転者は進行方向に保護シェルAを超えて自由に正面を見ることができる。保護シェルの背後に置かれていない運転者の体の部分として、図2において、ハンドルバーHを動かすために、両腕が、側面に沿って及び/又は保護シェルを超えて延びている。図2に記述された状態の代わりに、運転者の脚はまた保護シェルAの特別な収納部Iにおいて保護シェルAの横に収容され得、そして脚は図3に示されるフットレストFに既知の様式で置かれる。
【0020】
保護シェルAの背もたれは、正面衝突時における運転者Dのための抑止装置として機能を果たす。エネルギー吸収機構(K)は、運転手との中間領域において保護シェルの外側リアサイドに取り付けられ、その形状の結果としての構造は運転者の体になじみ、その素材厚さ及びその緩衝特性は車両の正面衝突時における運転者Dに影響を与える力を減らすのに適している。加えて、機構Kは望ましくは、運転者Dが車両をコントロールしようとする体重移動の横の動きが邪魔されないような形状に構成される。エネルギー吸収機構Kは、素材混合物又は適切な単独素材から作成し得る。例えば、開放気泡と特に閉鎖気泡が適切である。付加的な衝撃吸収帯、例えば、荷重を受けて折り重なる鉄板又は同様のもので作成されたものが、機構Kと保護シェルAとの間に配置され得る。さらに、運転者は衝突時に保護するエアバッグを有利に提供され得る。
【0021】
保護シェルAの背もたれ又はエネルギー吸収機構Kは、正面衝突時に運転者に作用する力が太ももの表面、おしり、胃、肩領域ともしかするとヘルメット又は頭を超えて均等にいきわたるように、望ましくは構成され得る。
【0022】
保護シェルA及び機構Kの選択された構成は、わずかに後に傾けられた着席姿勢へ運転者Dを直立に強いて、正面衝突時に運転者Dが席L内の下方へ押し付けられることを確実にする。移動中、運転者Dは、布張りしたレッグレストM上の下方のリム(すね)の領域に脚を休ませることができる。レッグレストMは、運転者Dがいつでもすぐに地上へ脚を伸ばすことのできるように、外側へ向かって開放されている。レッグレストMは、高さ及び傾きが調整可能であるように、望ましくは構成される。このようにして、それぞれの運転者のサイズ関係にあわせられ得る。
【0023】
運転者Dの席Lは高さ調整可能であり、それによって運転者Dのサイズ関係にあわせられ得る。席とひざ上の小さな部品と下方のリムにかかる運転者Dの体重のほとんどが調整されるであろう。このようにして、快適な着席姿勢が実現され、運転者Dは自由に脚を動かし得ることが確保される。
【0024】
ハンドルバーHと前輪Nのホイールサスペンションとの間の接続は、これが保護シェルAを外側に完全に作動させて、ついては乗客に正面(図2)自由な視野を与える。このために、上方のステアリングベアリングO及び下方のステアリングベアリングPは、保護シェルA上において一方から分かれて設置される。ハンドルバーHは、フロントホイールサスペンションRのばねのついていない部分へ保護シェルを外側に作動するリンケージQを用いて接続される。リンケージQは2つのロッドから構成され得るものであり、図1に表すように、乗客は該ロッド間から正面を明確に見ることができる。あるいは、ステアリングは、連続的なステアリングコラム又はステアリング軸Sを介して、前輪のホイールサスペンションに達し得る。該ステアリング軸Sは、最短の通り道(図3)上で上方及び下方のステアリングベアリングを接続し、ハンドルバーH及び前輪のホイールサスペンションが共通の回転軸を持つ。ハンドルバーH及び前輪のホイールサスペンションの共通回転軸は、特に「ダイレクト」であることを知覚させ、その結果として、特にベテランのモーターサイクリストにとって、自信に満ちた乗車を実感させ、その結果としてドライビングの安全性を増す、というステアリング操作上の利点を有する。カルダンシャフト、ケーブル、油圧アクチュエータ又は電気的あるいは電子的にコントロールされたサーボモーター(“ワイヤによる操舵”)を介したステアリングもまた可能である。
【0025】
ステアリングリンケージQはまた、例えばブレーキング中に発生するねじり力を吸収するのに使用される。これは、下方ステアリングベアリングPの特に低いデザインを可能にし、それによって乗客Bのために利用できるスペースを増す。
【0026】
保護シェルAの領域にできるだけ小さく突き出すフロントホイールサスペンションが有する目的はまた、しかしながら、図12〜図18に示されるようにステアリングベアリングの特別な配置によって実現され得る。下方ステアリングベアリングは、ホイールリムの直径に対応する最大直径(18)の、また互いからのリムフランジ(21)又はリム側面の距離に対応する長さの、架空シリンダの内部に配置される。このようにして、下方ステアリングベアリングは引き起こされた力を遮る十分に大きなレバーを形成するために、上方ステアリングベアリングから十分に離れている。図12及び図13に示すように、少なくとも1つの支持材又は支持チューブ(10)は、下方ステアリングベアリング(12)まで延長される。スプリングダンパーユニットを用いて支持されたスイングアーム(11)は、この支持材又は支持チューブ(10)に関節構造で接続される。図12に示したリーディングショートスイングアームの変形と図13に示したトレーリングロングスイングアームの変形の他に、リーディングロングスイングアームとトレーリングショートスイングアームもまた、考慮すべき事項に入る。この場合、全ての実施例において、スイングアームはホイールの一方の側面又はホイールの両側面にホイール軸を案内し得る。
【0027】
さらに、図14〜図18に示したようにテレスコピックフォークと共にホイール切断面の中に配置された下方ステアリングベアリングの様式を実行することも可能である。しかし、下方ステアリングベアリング(19)は、ステアリングによって引き起こされる回転方向の動きに加えて、例えばスプリングの圧縮と伸長中に現れる軸方向におけるホイールサスペンションの動きを許すように、デザインされるべきである。摩擦を減じるブッシュ又は他の適切なベアリングは、ここで例として用いられ得る。
【0028】
図4〜図6はさらに、2つの隣接して配置されたホイールの特別なホイールサスペンションの好ましい実施例を示す。この図は、ハブキャリアVに限定して描写してある。これらのハブキャリアVは、平行四辺形様式の関節点Wを介して2つのトランスバースリンクU及びTにより懸下されており、カーブにおいて該ハブキャリアVが互いに実質的に平行に傾けられ得るようになっている。これは、少なくとも3つの分かれたベアリングX、該ベアリングXは円弧形状のガイドに沿って配列されるもの、半径が少なくとも10センチメートルであるものにより保護シェルAに関して回転可能に取り付けられるので、上方トランスバースリンクの実施例に特に適用される。こうして、保護シェルA内で利用可能な空間を明確に向上させることができ、例えば、共通の足元空間が乗客Bの両足に設けられ得る。
【0029】
図7〜図9は、円弧形状の上方トランスバースリンクと同じ原理を示すが、2つの別々の上方トランスバースリンクT1,T2及び2つの別々の下方トランスバースリンクU1,U2で構成されている。このデザインは、両輪のサスペンションとダンピングがただ1つのスプリングダンパーユニットYにより実現されることを可能にする。図9に、どのようにしてスプリングダンパーユニットYがハブキャリアを圧縮するときに一緒に押されるかを見られ得る。
【0030】
図10及び図11は、荷物運搬のためにデザインされた本発明の実施例を示す。追加的に、電気駆動のための充電式バッテリー4を収容する好ましい可能性を示しており、これは乗客版にも適する。この場合における保護シェルの内部寸法は、望ましくは高さ1が少なくとも60センチメートル、長さ2が少なくとも30センチメートル、幅3が少なくとも40センチメートルである。
【0031】
保護シェルAの開閉は、図11に示すような特別な扉5a,5bにより有利に行われ得る。これらの扉5a,5bは、柔軟でわずかに伸縮可能な素材、例えばプラスチックからなり、必要に応じて窓のように透明にデザインされ得る。開いてみると、この扉は車両下のポジション5bに完全に押し込まれ、それから車両の外観に留まる。扉の開口はそれゆえ、移動中開いたままである。そのような扉はまた、乗客運搬に提供される変形に組み込まれ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を運搬する動力化された二輪車又は三輪車であって、
運転者(D)を収容する運転席(L)と少なくとも1人の乗客(B)を収容する少なくとも1つの乗客席(F)とを含んでなり、前記少なくとも1つの乗客席(F)は進行方向において運転席(L)正面に配置されることを特徴とする、動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項2】
前記乗客席(F)の座席面は、運転席(L)の座席面よりも低く設置されることを特徴とする請求項1に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項3】
前記乗客席(F)は、進行方向において当該二輪車又は三輪車の前輪の回転軸後ろ側に設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項4】
進行方向において乗客席(F)の背もたれの前方に配置されたハンドルバー(H)を含んでなる請求項1乃至3のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項5】
少なくとも1人の乗客(B)のための少なくとも1つのシートベルト(G)を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項6】
両方のベルトを身につけることにより1人の大人を固定するために、1つのベルトそれぞれを身につけることにより2人の子供を固定するために構成される2つの三点支持シートベルト(G)を有する請求項5に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項7】
タクシーメーターを取り付けられた請求項1乃至6のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項8】
運転者(D)と乗客(B)との間の会話のための内部通話システムを取り付けられた請求項1乃至7のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項9】
運転者(D)を収容する運転席(L)と、少なくとも1つの荷物運搬部とを備える、動力化された二輪車又は三輪車であって、
前記荷物運搬部は、進行方向において運転席(L)の前方に設置され、少なくとも1つの被運搬商品が運転席(L)の座席面よりも該荷物運搬部内の深い位置に配置されるように該荷物運搬部が構成されていることを特徴とする、動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項10】
少なくとも前記荷物運搬部のほとんどの部分が、進行方向において当該動力化された二輪車又は三輪車の前輪の回転軸の後ろに配置される請求項9に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項11】
進行方向において前記荷物運搬部(F)の背部の前方に配置されたハンドルバー(H)を有する請求項9又は10に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項12】
前記荷物運搬部は、少なくとも1つの被運搬商品を保護するための閉じたあるいは部分的に閉じた保護シェル(A)を含んでなる請求項9乃至11のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項13】
前記閉じたあるいは部分的に閉じた保護シェル(A)は、乗客席(F)の周りに配置されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項14】
前記保護シェル(A)は、落下及び/又は衝突時において乗客(B)を機械的に保護するものとして機能を果たすよう構成されることを特徴とする請求項13に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項15】
前記運転席(L)の座席面は、該運転席(L)に収容された略平均的な身長の運転者(D)が少なくとも頭を前記保護シェル(A)を超えて突き出すように、前記保護シェル(A)に対して配置されることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項16】
前記運転席(L)の座席面と前記保護シェル(A)の最も高い位置との高さの違いは、90センチメートル以下であることを特徴とする請求項15に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項17】
前記運転席(L)の座席面と前記保護シェル(A)の最も高い位置との高さの違いは、60センチメートル以下であることを特徴とする請求項16に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項18】
前記運転席(L)の座席面は、前記保護シェル(A)に対して高さ調整可能であることを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項19】
前記運転席(L)の座席面は、前記運転席(L)の座席面と前記保護シェル(A)の最も高い位置との最小の調整可能な高さの違いが90センチメートル以下であるような、調整範囲を有することを特徴とする請求項18に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項20】
前記運転席(L)の座席面は、前記運転席(L)の座席面と前記保護シェル(A)の最も高い位置との最小の調整可能な高さの違いが60センチメートル以下であるように、調整範囲を有することを特徴とする請求項18に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項21】
正面衝突時における運転者(D)保護のためのエネルギー吸収機構(K)が、前記保護シェル(A)の背部に配置されていることを特徴とする請求項12乃至20のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項22】
前記エネルギー吸収機構(K)は、少なくとも部分的に発泡素材から作られることを特徴とする請求項21に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項23】
前記保護シェル(A)は、正面衝突の場合に運転者(D)のための抑制装置としての機能を果たすよう構成されることを特徴とする請求項12乃至22のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項24】
前記運転席(L)は、座席に似せてデザインされ、前記保護シェル(A)の背部に配置されることを特徴とする請求項12乃至23のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項25】
進行方向において前記保護シェル(A)の背部の前方に配置されたハンドルバー(H)を含んでなる請求項12乃至24のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項26】
前記保護シェル(A)の背部からの前記ハンドルバー(H)の距離は、少なくとも20センチメートルであることを特徴とする請求項25に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項27】
平行四辺形様式で2つのトランスバースリンク(U,T)を介して接続された2つの隣接配置されたホイールを含んでなり、前記トランスバースリンク(U,T)の上側はマウンティング(X)を介して前記保護シェル(A)に連結され、前記マウンティング(X)は少なくとも10センチメートルの半径を有する円弧上に作られることを特徴とする請求項12乃至26のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項28】
前記ハンドルバー(H)と前輪のホイールサスペンションは、共通の回転軸を有する請求項1乃至27のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項29】
運転者(F)の下肢を休ませるための布張りをしたレッグレスト(M)を取り付けられた請求項1乃至28のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項30】
前記レッグレスト(M)は調整可能であることを特徴とする請求項29に記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項31】
カーブ上でそのカーブの内側へ向かって傾き得る請求項1乃至30のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項32】
前輪のリムフランジ又はリム側面により補われた架空のシリンダの内側に配置された下方ステアリングベアリング(12,19)を有する請求項1乃至31のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項33】
電気駆動部を有する請求項1乃至32のいずれかに記載の動力化された二輪車又は三輪車。
【請求項34】
進行方向において運転席(L)の前方に収容された充電式バッテリー(4)を有する請求項33に記載の動力化された二輪車又は三輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2012−502843(P2012−502843A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527353(P2011−527353)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062257
【国際公開番号】WO2010/031874
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511072677)
【Fターム(参考)】