説明

人工椎間板

【課題】新規な構成の人工椎間板を提供する。
【解決手段】人工椎間板10は、互いに対面する間隔を空けた内側表面16、18、および間隔を空けた椎骨表面と係合するための、逆向きに面する外側表面20、22を備え、ハウジング部材12、14と、該ハウジング部材に対して移動し、脊椎ディスクの運動を調節し、そして補償するための、自動調節ベアリング手段28、30ならびに、該ベアリング手段の運動および位置を制御し、そして圧縮負荷を吸収するための、位置決めリング手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許出願番号10/653,540(2003年9月2日出願)の一部継続出願であり、これは、米国特許出願番号10/430,861(2003年5月6日出願)の一部継続出願である。これらは、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、隣接する椎骨の間の椎間空間に移植して、安定化ならびに継続的な術後の可撓性および適切な解剖学的運動性を提供するための、脊椎移植 物アセンブリに関する。より具体的には、本発明は、損傷したか、弱まったか、または他に機能しない椎間板の交換のために、負荷共有およびベアリングデバイスとして機能するための、人工椎間板(時々、椎間スペーサーデバイスと称される)に関する。
【背景技術】
【0003】
脊椎は、複数の可撓性レベルを構成する複雑な構造体である。各レベルは、隣接する椎骨によって規定される関節のシステムからなる。この関節のシステム は、椎間板を備え、これらは、2部分の構造体である。椎間板は、核および環からなる。このシステムは、関節突起間関節が脊柱に後方の安定化を加える間、運動を可能にする。これらの椎間板は、運動性および関節に対するクッションを可能にする。
【0004】
この関節の複雑なシステムは、時間が経つにつれて変化する負荷および問題(種々の理由による椎間板の劣化が挙げられる)に供される。椎間板の劣化は、加 齢、過剰の負荷に起因する損傷、外傷、および他の解剖学的問題に起因し得る。この構造体の関節突起間関節は、同じ理由に起因して、そして関節炎の変化に起因して、損なわれ得る。重篤な関節の退化および不全は、しばしば、かなりの疼痛を引き起こし、外科的介入を必要とし得る。
【0005】
脊椎関節の問題によって引き起こされる重篤な疼痛に対する処置の、現在の標準的な方法は、損傷したレベルの脊椎の癒合である。この処置は、成功すると、 損傷したセクションを単一の塊の骨に癒合させる。関節の癒合は、その関節の運動性を排除し、これによって、そのレベルでの疼痛を低減または排除する。疼痛の排除に対する成功率は、この処置方法について非常に高い。しかし、脊椎全体が1つのシステムとして働くので、癒合は、合併症を生じる。
【0006】
脊椎における運動性の排除は、他のレベル全てにおける、その脊椎の生体力学を変化させる。1つのレベルが癒合する場合、負荷が、1つの椎間板が少ないシ ステム(これは、そのような変化に対して設計されていない)によって吸収される。従って、残りの椎間板は、負荷を再分配しなければならず、各椎間板が、より大きい負荷を吸収する。さらに、脊椎は、負荷を吸収するために撓む。癒合は、脊椎が撓む様式を変化させ、このこともまた、残りの健常な椎間板に対する負 荷を増加させる。次に、癒合の合併症は、将来さらなる癒合を必要とし得ることであるということが、十分に理解されている。なぜなら、他の椎間板が、その脊椎の変化した生体力学に起因して、悪化するからである。換言すれば、短期間での疼痛の緩和は、その脊椎の長期間の変化と引き換えられ、これは次に、通常、 さらなる手術を必要とする。
【0007】
椎間板交換の問題に取り組む、多数の先行技術特許が存在する。椎間の負荷をクッションするための、ポリマー複合構造体が開示される(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。また、椎間の運動性の問題に取り組む、球継手の型の移植物が開示される(例えば、特許文献3および特許文献4を参照のこと)。これらの特許文献は、エラストマーを運動性および緩衝性の構造体として使用する、第一 のアプローチ、ならびに可動性の車軸関節を作製するための球関節を利用する、第二のアプローチの例示である。これらの概念に対する多くのバリエーションが存在し、これらとしては、機械的ばねおよびより複雑な構造機構が挙げられる。先行技術のかなりの部分は、椎間の運動性の問題に取り組むが、解剖学的な負荷 の問題に取り組まない。
【0008】
先行技術の人工椎間板の現在の水準には、種々の問題が付随する。例えば、ポリマーから構築される多数の移植物は、より高い負荷の領域(例えば、腰椎)に おいて効果的に働くためには強度が十分ではない。このようなポリマーは、しばしば、圧縮硬化を起こし、その結果、この移植物の元の高さが、時間が経つにつれて減少する。外科医は、最初により大きいポリマープロテーゼを使用することによって圧縮を補償し、そして圧縮を推定しなければならないか、または適切な 大きさのポリマープロテーゼを使用し、そして後に、このプロテーゼの不可逆な圧縮が認容不可能になると、このプロテーゼを外科的に交換しなければならないかの、いずれかである。
【0009】
球関節から構築される移植物は、通常の椎間板の衝撃緩衝効果を、かなり制限または排除する。この移植物は、運動性を提供し得るが、生体力学的には、球関 節は、その脊椎の他の健常な椎間板にネガティブに影響を与える。その結果は、現在の癒合処置において見られるような、その脊椎の他のレベルにおける長期間にわたる問題であり得る。
【0010】
上で議論されない、他の移植物は、ベアリング表面を利用し、これは通常、金属界面に対するポリエチレンのベアリングを有する。ベアリング表面としてのポ リエチレンは、その物質の磨耗特性に起因して、大きい関節の交換においては問題を生じる。人工椎間板は、長期間にわたって移植されることが意図されるので、このような磨耗は、周囲の組織および骨に非常に損傷を与え得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,443,987号明細書
【特許文献2】米国特許第6,001,130号明細書
【特許文献3】米国特許第5,258,031号明細書
【特許文献4】米国特許第5,314,477号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のことを考慮して、損傷した天然の椎間板領域に対する運動性を回復させ、同時に天然に存在する椎間板と類似の、運動性ならびにクッション性および緩 衝性を可能にする、椎間板の交換に対する解決策を提供することが望ましい。さらに、このような運動性、クッション性および緩衝性を可能にし、同時にポリマー材料またはエラストマー材料が、脊椎において見られる比較的高い圧縮負荷を経験することを防止することが、好ましい。ベアリング表面が、脊椎の負荷 を、ポリマー材料またはエラストマー材料と共有することもまた、好ましい。最後に、解剖学的状態を調節するために、人工的な運動に対する変化を術中に制御することが、好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明に従って、人工椎間板が提供され、この人工椎間板は、ハウジング部材であって、互いに対面する間隔を空けた内側表面、および間隔を空けた椎骨表面 と係合するための、逆向きに面する外側表面を有する、ハウジング部材;内側表面の間に配置される自動調節ベアリング機構であって、ハウジング部材に対して移動し、脊椎ディスクの運動を調節し、そして補償するための、自動調節ベアリング機構;ならびに位置決めリングであって、ベアリング機構の運動および位置を制御し、そして圧縮負荷を吸収するための、位置決めリング手段を備える。人工椎間板がまた提供され、この人工椎間板は、ハウジング部材であって、互いに面する間隔を空けた内側表面、およ び間隔を開けた椎間板表面と係合するための、逆向きに面する外側表面を有し、内側表面が、そこに楕円形凹部を備える、ハウジング部材;内側表面の間で、楕円形凹部内に作動可能に配置される楕円形ベアリング機構であって、ハウジング部材に対して移動し、脊椎ディスクの運動を調節し、そして補償するための、楕 円形ベアリング機構;ならびに楕円形位置決めリング機構であって、楕円形凹部および楕円形ベアリング機構と係合し、ベアリング機構の運動および位置を制御し、そしてベアリング機構とハウジング部材との間の負荷を吸収するための、位置決めリング機構を備える。本発明は、さらに、人工椎間板のためのばね部材を 提供し、このばね部材は、軸方向に延びるボアを備える、実質的に環状の本体を備え、このボアを通して、通路を規定する。
【0014】
1.人工椎間板であって、以下:
ハウジング部材であって、互いに対面する間隔を空けた内側表面、および間隔を空けた椎骨表面と係合するための、逆向きに面する外側表面を備える、ハウジング部材;
該内側表面の間に配置される自動調節ベアリング手段であって、該ハウジング部材に対して移動し、脊椎ディスクの運動を調節し、そして補償するための、自動調節ベアリング手段;ならびに
位置決めリング手段であって、該ベアリング手段の運動および位置を制御し、そして圧縮負荷を吸収するための、位置決めリング手段、
を備える、人工椎間板。
【0015】
2.前記内側表面が、該内側表面の各々の内部に、少なくとも1つの凹部を備え、該凹部は、その内部に前記位置決めリングをシーリングするためのものである、項1に記載の人工椎間板。
【0016】
3.前記位置決めリング手段が、前記自動調節ベアリング手段にしっかりと係合し、そして該ベアリング手段の移動を可能にする、項2に記載の人工椎間板。
【0017】
4.前記ハウジング部材が、金属、セラミック、およびプラスチックから本質的になる群より選択される組成物から構築される、項1に記載の人工椎間板。
【0018】
5.前記ハウジング部材が、外側表面を備え、該外側表面上にコーティングを有する、項4に記載の人工椎間板。
【0019】
6.前記コーティングが、TiN(窒化チタン)、ダイヤモンド、ダイヤモンド様材料、合成炭素ベース材料、およびクロムベース材料から本質的になる群より選択される、項5に記載の人工椎間板。
【0020】
7.前記ベアリング手段が、金属、セラミック、およびプラスチックから本質的になる群より選択される組成物から構築される、項1に記載の人工椎間板。
【0021】
8.前記位置決めリング手段が、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、ウレタン複合材料、プラスチック、ポリマー、およびエラストマーから本質的になる群より選択される組成物から構築される、項1に記載の人工椎間板。
【0022】
9.前記ハウジング部材が、少なくとも1つの骨ねじを収容するための少なくとも1つの開口部を備える、項1に記載の人工椎間板。
【0023】
10.人工椎間板であって、以下
ハウジング部材であって、互いに面する間隔を空けた内側表面、および間隔を開けた椎間板表面と係合するための、逆向きに面する外側表面を備え、該内側表面が、そこに凹部を備える、ハウジング部材;
該内側表面の間で、楕円形凹部内に作動可能に配置されるベアリング手段であって、該ハウジング部材に対して移動し、脊椎ディスクの運動を調節し、そして補償するための、ベアリング手段;ならびに
該凹部と該ベアリング手段との間に作動可能に係合するばね手段であって、該ベアリング手段の衝撃を吸収し、そして自動中心合わせさせるための、ばね手段、
を備える、人工椎間板。
【0024】
11.人工椎間板であって、以下
ハウジング部材であって、互いに面する間隔を空けた内側表面、および間隔を開けた椎間板表面と係合するための、逆向きに面する外側表面を備え、該内側表面が、そこに凹部を備える、ハウジング部材;
該内側表面の間で、楕円形凹部内に作動可能に配置される楕円形ベアリング手段であって、該ハウジング部材に対して移動し、脊椎ディスクの運動を調節し、そして補償するための、楕円形ベアリング手段;ならびに
楕円形位置決めリング手段であって、該楕円形凹部および該楕円形ベアリング手段と係合し、該ベアリング手段の運動および位置を制御し、そして該ベアリング手段と該ハウジング部材との間の負荷を吸収するための、位置決めリング手段、
を備える、人工椎間板。
【0025】
12.人工椎間板のためのばね部材であって、以下:
軸方向に延びるボアを備える、実質的に環状の本体であって、該ボアを通して、通路を規定する、本体;
該ボアの方へと半径方向内向きに延びる据付手段であって、該据付手段内に、脊椎ディスクの運動を調節および補償するためのベアリング手段を据え付けるための、据付手段;ならびに
該ボアから半径方向外向きに延びる係合手段であって、ハウジング部材を係合し、そして該ばね部材を該ハウジング部材内に固定するための、係合手段;
を備え、該ばね部材は、該ベアリング部材と該ハウジング部材との間の圧縮負荷を吸収し、同時に該ベアリング手段の運動および位置を制御する、ばね部材。
【0026】
13.前記係合手段が、前記ハウジング部材上に位置付けられる凹部の下側の溝と作動可能に係合する、項12に記載のばね部材。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の他の利点は、添付の図面と組み合わせて考慮される場合に、以下の詳細な説明を参照することによって、本発明がよりよく理解されると同時に、容易に理解され得る。
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態の側面斜視図である。
【図2】図2は、図1に示される実施形態の側面分解図である。
【図3】図3は、本発明の第二の実施形態の側面斜視図である。
【図4】図4は、本発明に従って構築された、下部ディスクの斜視図である。
【図5】図5は、本発明に従って構築された、上部ディスクの側面図である。
【図6】図6は、本発明に従って作製された、上部ハウジング部材の上面斜視図である。
【図7】図7は、本発明に従って作製された、下部ハウジング部材の上面平面図である。
【図8】図8は、本発明の第三の実施形態の側面斜視図である。
【図9】図9は、頂部ハウジング部材が取り外された、本発明の斜視図である。
【図10】図10は、本発明の代替のパッド構成の斜視図である。
【図11】図11は、パッド部材のさらなる代替の実施形態の斜視図である。
【図12】図12は、本発明のさらなる代替の実施形態である。
【図13】図13は、図12に示される実施形態の分解側面斜視図である。
【図14】図14は、本発明のハウジング部材の代替の実施形態を示す。
【図15】図15は、本発明のハウジング部材のさらなる代替の実施形態を示す。
【図16】図16は、ハウジング部材へのディスク部材の差込型のロッキングを示す、本発明のさらなる実施形態の分解図である。
【図17】図17は、ハウジング部材内にディスク部材をロックする差込ロッキング機構を利用する、ディスク部材の斜視図である。
【図18】図18は、ハウジング部材内にディスク部材をロックするためのロッキング機構のさらなる実施形態を示す、ディスク部材およびハウジング部材の分解図である。
【図19】図19は、ハウジング部材内にロックされたディスク部材を示す、斜視図である。
【図20】図20は、ハウジング部材のさらな実施形態の斜視図である。
【図21】図21は、図20の線21−21に沿ってとった断面図である。
【図22】図22は、図20および21に示されるハウジング部材の凹部内での係合をロックするためのフランジを備える、負荷共有パッド部材の斜視図である。
【図23】図23は、本発明に従って作製される、ロッキング機構のさらなる実施形態を示す。
【図24】図24は、本発明の可動ベアリングの上面図である。
【図25】図25は、負荷共有パッドを有さない可動ベアリングを備える、人工ディスクの上面図である。
【図26】図26は、本発明の他方向可動ベアリングの上面図である。
【図27】図27AおよびBは、本発明の可動ベアリングの側面図である。
【図28】図28は、シート内にある、本発明の可動ベアリングの側面斜視図である。
【図29】図29は、負荷共有パッドのための凹部を有するハウジング内の、シートおよびベアリングの組み合わせの上面斜視図である。
【図30】図30は、本発明の第三の実施形態の側面斜視図である。
【図31】図31は、本発明の第三の実施形態の基部プレートの斜視図である。
【図32】図32は、本発明の下部ハウジングの第三の実施形態の側面図である。
【図33】図33は、球状表面がベアリングに組み込まれている、本発明の第三の実施形態の斜視図である。
【図34】図34は、球状表面がベアリングに組み込まれている、本発明の第三の実施形態の斜視図である。
【図35】図35は、本発明の第三の実施形態の側面図である。
【図36】図36は、本発明の第三の辞し形態の斜視図である。
【図37】図37は、本発明の代替の実施形態の側面斜視図である。
【図38】図38は、ベアリングが凸状または凹状のいずれかである、本発明の第三の実施形態の基部プレートの斜視図である。
【図39】図39は、ベアリングが凸状または凹状のいずれかである、本発明の第三の実施形態の基部プレートの斜視図である。
【図40】図40は、本発明の緩衝器の上面斜視図である。
【図41】図41は、本発明のハウジング部材の実施形態の斜視図であり、ここで、このハウジング部材は、骨ねじおよび位置決めリングのためのカイコUを備える。
【図42】図42は、本発明のハウジング部材の実施形態の斜視図であり、ここで、位置決めリングおよびベアリングディスクを収容するための凹部が示されている。
【図43】図43は、楕円形のハウジング部材の実施形態の斜視図である。
【図44】図44は、楕円形の位置決めリングの斜視図である。
【図45】図45は、楕円形の位置決めリング、ベアリングディスク、およびハウジング部材の斜視図である。
【図46】図46は、固定されたベアリングディスクを備える、上部ハウジング部材の側面図である。
【図47】図47は、ベアリング表面の係合および楕円形位置決めリングの係合を示す、本発明のディスクの切り取り図であり、ここで、ベアリングディスクは、楕円形であり、そしてハウジング部材上の凹部は、楕円形である。
【図48】図48は、本発明のディスクアセンブリの斜視図である。
【図49】図49は、椎間腔内へのトライアルの挿入を示す。
【図50】図50は、ガイドプレートの位置でパイロット穴を穿孔する際に使用するための、ドリルガイドを示す。
【図51】図51は、タッピンガイドプレートねじを用いてガイドプレートを固定することを示す。
【図52】図52は、トライアル数に一致するリーミングディスクをディスクアセンブリに挿入することを示す。
【図53】図53は、トライアルとディスクアセンブリとの係合を示す。
【図54】図54は、ガイドプレートねじおよびガイドプレートの取り外しを示す。
【図55】図55は、穴を有するディスクホルダをプレートに挿入することを示す。
【図56】図56は、ディスクを椎骨本体に固定するための、ねじ切りされた穴へのねじの挿入を示す。
【図57】図57は、取り付けられたディスクアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明に従って構築される人工椎間板は、図において、一般に10で示される。種々の実施形態の類似の構造体は、図において、プライム付きの番号によって 示される。本発明は、脊椎における損傷した椎間板の交換のための、人工椎間板(時々、先行技術において、他の専門用語(例えば、椎間スペーサーデバイス、または脊椎ディスク)によって称される)である。本発明は、損傷した天然の椎間板に対する運動(これは、運動性ならびにクッションおよび緩衝を可能にす る)を回復させる。以下にさらに詳細に記載されるように、本発明はまた、特定の解剖学的な状態に対する調節のために、人工椎間板の運動性の変化を術中に可能にする。
【0029】
図を参照すると、ディスク10は、一般に12で示される上部ハウジング部材および一般に14で示される下部ハウジング部材を備える。ハウジング部材12、14は、互いに対面した、間隔を空けた内側表面16および18、ならびに互いに逆向きに面する外側表面20、22を備え、これらの外側表面は、間隔を空けた脊椎表面に係合するためのものである。1対のベアリング表面24、26が、内側表 面16、18の各々から延び、これらのベアリング表面は、圧縮下で、ハウジング部材12、14の互いに対する低い摩擦の圧縮抵抗性の運動を可能にしながら、互いに係合するためのものである。種々の図に示されるように、ベアリング表面は、ディスク部材28、30と一体である。ハウジング部材12、14は、 種々の材料(金属(例えば、チタン)ならびにセラミックおよびプラスチックが挙げられる)から作製され得る。さらに、ハウジング部材12、14は、ディスク10の構成要素の間、特に、ハウジング部材12、14と、ベアリングディスク部材28、30との間の摩擦を減少させるための材料でコーティングされ得 る。コーティング材料としては、TiN(窒化チタン)、ダイヤモンド、ダイヤモンド様材料、合成炭素ベース材料、クロムベース材料、および当業者に公知の他の任意の類似のコーティング材料が挙げられるが、これらに限定されない。ベアリング表面24、26と一体的である場合、ハウジング部材12、14は、上 で議論されるような、ベアリングディスク28、30について好ましい材料から作製され得る。この教示に基づいて、種々の他の構成が、本発明を組み込んで、当業者によってなされ得る。
【0030】
ベアリング表面24、26は、好ましくは、可動ベアリング23を形成しこれは、ベアリング23の、ハウジング14内での位置を、必要とされるように自動 的に調節し得る。可動ベアリング23は、図24〜29に示される。ベアリング23は、好ましくは、これが配置されるハウジング14の表面に沿って、最小の摩擦〜摩擦なしで、ベアリング23またはハウジング14のいずれかの上をスライドする、任意の材料から作製される。このような材料の例としては、セラミッ ク、金属、またはハウジング14とネガティブに作用しない他の適切な材料が挙げられる。
【0031】
本発明のベアリング23は、ハウジング14のスロット35内に配置される。このベアリング23は、ハウジング14の移動に応答して、スロット35内を自 由に移動または浮動し得る。ベアリング23は、ベアリング23が配置される特定のシステムによって要求されるように、ハウジング14の適切なクッションおよび支持を提供するように設計される。ベアリング23は、関節の適切な支持を提供するために、任意の関節において使用され得る。例えば、ベアリング23が 人工椎間板アセンブリにおいて使用される場合、ベアリング23は、このディスクを収容するプレートが互いに接触し、そして磨耗することを防止するように、クッションを提供する。ベアリング23が膝において利用される場合、このベアリングはまた、ハウジング14の移動の間、ハウジング14に対するクッション を提供する。
【0032】
本明細書中で開示されるベアリング23は、上部ベアリング表面20および下部ベアリング表面24の接触領域を最大にしながら、負荷条件下で自由に動き得 る。換言すれば、ベアリング23が配置されるスロット35内で、ベアリング23は、ハウジング14に対する適切な支持を提供するために必要な、任意の方向で移動し得る。ベアリング23は、浮動ベアリングであり、従って、このベアリングが配置されているハウジング14に付着も固定もされていないので、ベアリ ング23は、この様式で動き得る。その代わりに、ベアリング23は、ハウジング14内で「浮動」し、従って、ベアリング23が可動であり、そして適切な支持を提供するために必要な任意の方向に自由に動くことを可能にする。
【0033】
ハウジング14は、ベアリング23の「浮動」運動を制限する。換言すれば、ベアリング23の移動は、ハウジング14、およびより具体的には、ベアリング 23が配置されるスロット35の大きさに依存して、制限され得る。内部にベアリング23が配置されるスロット35は、ベアリング23の移動の範囲を決定する。すなわち、移動は、ベアリング23が前位置から後位置へ飲み移動し得るように、閉じ込められ得る。より具体的には、スロットは、側壁37(これは、スロット35の大きさおよび形状を規定する)、およびシート39(この上に、ベアリングが配置される)を備える。ベアリング23の移動は、ベアリング23が据え付けられるスロット35の壁 35の形状に基づいて、制限される。例えば、スロット35は、円形、楕円形、または他の任意の丸い辺の形状であり得る。スロット35は、ベアリング23がスロット35の角にはまることを防止するために、丸い片を有さなければならない。スロット35は、シート39が均一な深さを有さず、その結果、図27に示 されるように、スロット35内に山または角度が存在するように、形成され得る。均一性を欠くことにより、スロット35内でのベアリング23の移動が制限される。なぜなら、ベアリング23は、山または角度の方向にスライドするために、さらなる力を必要とするからである。
【0034】
図28および29に示されるような、取り外し可能な挿入物33もまた、ベアリング23を適所に保持するために、ハウジング14内に配置され得る。挿入物 33は、ベアリング表面24、26と係合するための、上部表面29を備える。挿入物33は、過度の摩擦なしで、ベアリング23を挿入物33を横切って機能的に「浮動」させる、任意の材料から作製され得る。ハウジング14内に挿入物33を備えることの利点は、挿入物33が、ハウジング14とは異なる材料から 作製され得ることである。従って、ハウジング14は、ハウジングの機能のために有利であり、そして他の強度特徴を提供する、第一の組成物から作製され得、一方で、挿入物33は、その上でのベアリング23のより効率的な、摩擦のない移動を可能にする、より潤滑性の材料から作製され得る。
【0035】
ベアリング23の移動は、ベアリング23が配置される挿入物33の形状に基づいて、制限される。挿入物33は、側壁41(これは、挿入物33の大きさお よび形状を規定する)、および挿入物シート29(この上に、ベアリングが配置される)を備える。ベアリング23の移動は、ベアリング23が据え付けられる挿入物33の壁41の形状に基づいて、制限される。例えば、挿入物は、円形、楕円形、または他の任意の丸い辺の形状であり得る。挿入物は、ベアリング23 が挿入物33の角にはまることを防止するように、丸い辺を有する形状にされなければならない。挿入物33は、挿入物シートが均一な深さを有さず、その結果、図27に示されるように、挿入物33内に山または角度が存在するように、形成され得る。均一性を欠くことによって、挿入物33内でのベアリング23の 移動が制限される。なぜなら、ベアリング23は、山または角度の方向にスライドするために、さらなる力を必要とするからである。
【0036】
ハウジング14はまた、負荷分配緩衝およびクッションパッド凹部32、58を備え得る。負荷共有パッド(一般に31で示され、そして詳細には、図1およ び2において、パッド32および34として示される)が、内側表面16、18の間で、ベアリング表面24、26の少なくとも一部の周りで配置されて、ベアリング表面24、26と圧縮負荷の吸収を共有し、同時にハウジング部材12、14の相対的な移動を制限する。より具体的には、インビボでの負荷条件下で、 中心合わせされたベアリング表面24、26は、ハウジング部材12、14の間の相対的な三次元の移動を提供するのみでなく、デバイス10に対する圧縮負荷を分配して、運動性および効果的な負荷分配のためのシステムを提供する機能を、負荷共有パッド32、34と共有する。中心合わせされた、低摩擦の圧縮抵抗 性のベアリング表面24、26は、脊椎の複数の面内での完全な運動を可能にし、一方で、負荷を分配するダンパーおよびクッションパッド32、34が同時に負荷を共有する。ベアリング表面24、26と負荷を共有するパッド32、34の機能が、重要である。パッド32、34は、圧縮可能であり得るが、この圧縮 は、ベアリング表面24、26の非圧縮可能性によって制限される。同様に、ベアリング表面は、複数の面内での運動を可能にするが、パッド32、34が、ハウジング部材12、14をしっかりと固定し、これによって、ある程度の可撓性、および従って、ハウジング部材12、14の互いに対する移動を可能にし、このような移動をなお制限する。全体的に、各要素(ベアリング表面24、26、およびパッド32、34)は、移動を可能にし、この移動がベアリング表面24、26のスライド移動であっても、パッド32、34によって可能にされるクッション性移動であっても、なおこのような移動を制限する。各 要素は、相対的な移動を可能にし、なお各要素は、そのシステムにおける他の要素の移動を制限する。
【0037】
上記のことを考慮して、このシステムは、健常な椎間板の負荷クッション能力を維持しながら、通常の運動性の回復を可能にする。このことは、脊椎の運動性 において特に明らかである。上部ハウジング部材12および下部ハウジング部材14の任意の回転が、負荷分配緩衝およびクッションパッド32、34に、負荷のいくらかを吸収させる。
【0038】
種々の図に示されるように、ベアリング表面24、26は、上部ディスク部材28または下部ディスク部材30のうちの一方に、凹状表面部分を備え得、そし て凸状表面部分を、他方に備え得る。この凹状表面は、凸状表面とのスライド移動のために、凸状表面内に設置され、ハウジング部材12、14の相対的な旋回運動を効果的に生じさせ、この旋回運動は、負荷共有パッド32、34の少なくとも一部を圧縮させ、一方で対向して配置された負荷ベアリングパッド32、 34の少なくとも一部を拡張させる。あるいは、頂部ディスク部材28および底部ディスク部材30のうちのいずれか一方が、凸状表面または凹状表面のうちのいずれかを有し得る。
【0039】
ディスク部材28、30は、非圧縮可能な組成物から作製され得る。このような組成物は、セラミック、プラスチック、および金属のベアリング材料(例え ば、コバルトおよびクロム)を含む群から選択され得る。あるいは、ハウジング部材12、14は、突出部を備え得、ここで、ディスク部材28、30は、ハウジング12、14と効果的に統合される。この状況において、ハウジング全体(ベアリング表面24、26を有する突出部を含む)は、非圧縮可能な材料(好ま しくは、セラミック)から作製され得る。上で言及されたように、本発明を一旦理解すると、代替の構成が、当業者によって、作製され得る。
【0040】
負荷共有パッド32、34は、図に示される種々の構成であり得、例えば、図1〜3に示される、対のパッド32、34であり得る。あるいは、デバイス10 は、図10に示されるように、対向して配置される4つのパッド38、40、42、44を備え得る。本発明のさらなる実施形態が、図11に示されており、ここで、単一のパッド46が、ハウジング部材14””’の表面18””’を実質的に覆っている。これらのパッドは、図12、13に示されるように、ハウジン グ部材の形状に従い得、ここで、パッド部材48は、環状ハウジング12”””、14”””と共に配置される環状パッド部材である。このようなハウジング部材12、14およびパッド部材31の選択は、デバイス10の配置の位置、ならびに取り組まれている脊椎のレベルに依存して必要とされる、椎骨と負荷ベアリ ングとの間の間隔の状態に基づいて、決定され得る。換言すれば、異なる形状のデバイス(例えば、図12に示される円形のハウジング部材)は、より小さい椎間板(例えば、頸部の脊椎)の間での配置のために使用され得、一方で、より矩形の形状(例えば、図1〜11に示されるハウジング部材)は、腰椎の間で使用 され得る。
【0041】
負荷共有パッド31は、これらがどのような構成であっても、ハウジング部材12、14の間の相対的なねじれ移動を可能にし、ハウジング部材12、14の 間での相対的な三次元の移動を引き起こし、一方でベアリング表面24、26の間での接触を除いて、ハウジング部材12、14の間での移動を制限し、そしてこれらの接触を防止する。弾性とは、パッド部材31が、圧縮可能かつ伸長可能であり、特にハウジング部材12、14およびベアリング表面24、26に関し て、アセンブリにおいての自動中心合わせ効果をなお提供することを意味する。ベアリング表面24、26、および同様にハウジング部材12、14の相対的な運動に起因して発生する偏向および回転の力は、これらの力に反作用するような様式で、パッド31を強制的に働かせ、これによって、アセンブリ10に独特の自動中心合わせの能力を与える。理想的な状況(ここで、患者の小関節面が損なわれず、そして靭帯のバランスがインタクトである)においては、この自動中心合わせの局面は、完全には必要ではないかもしれない。換言すれば、患 者の解剖学的構造は、安定化および特性をなお提供し得、靭帯は、自動中心合わせを提供し得る。しかし、靭帯の不安定、および損傷した小関節面は、通常、人工椎間板を、利用可能な現在の技術の利用に関して、問題のあるものにするのみである。このような場合、自動中心合わせして運動を制限する能力を有すること によって(本発明のパッド31は、弾性であり、従って、伸長しそして静止位置に戻ることによって運動を制限する)、人工椎間板の技術の範囲外であると現在考えられている患者に対する適応を拡張する可能性が、非常に有利になる。
【0042】
本発明のパッド31は、本発明のさらなる利点を提供する。主要な利点は、パッド31を患者および手術要件に調節する能力である。損なわれた小関節面に起 因して、運動性の範囲が制限される必要があるような場合において、より硬い、弾性の低いパッドが、ハウジング部材12、14の間に挿入され得る。このより低い弾性のパッドは、移動および伸長がより少ないので、椎間板は、自動的に、運動が制限される。パッドを調節するこの方法は、術中になされて、手術および 患者の状態を補償し得る。当業者は、異なる特性および材料の複数のパッドを用いて、患者および手術の必要性に、アセンブリ10を微調整し得る。
【0043】
パッド31は、負荷下での偏向を可能にする、ポリマーまたはエラストマーから作製される。このようなポリマーおよびエラストマーの例は、シリコーン、ポ リウレタン、およびウレタンの複合材料である。可撓性または弾性に関して上で議論されたように、パッド31の成分および組成は、調節可能である。非常に密な材料は、非常に剛性のディスクを作製し、一方で非常に柔軟な材料は、非常に自由に動くディスクを作製する。その運動性は、これらの要因に依存して、その パッドの全ての面内で制限される。このディスクの回転、ならびに撓みおよび移動もまた制限される。可能な圧縮の量は、パッド材料の特性に従って、制限されるか、または可能にされる。このことは、後方への運動、または横方向への運動にあてはまる。従って、パッド31は、ハウジング部材12、14の相対的な位 置の任意の調節下で、常に接触しており、そして常に負荷を共有している。運動は、パッドを強制的に接触させるので、パッド31は、人工椎間板構築物10によって付与される負荷を自動的に緩衝する。
【0044】
パッド31のポリマーまたはエラストマーの組成物の可撓性または弾性に関して特に、これらのパッドは、ショアOOスケールで20〜98のデュロメータを 有する組成物から選択され得る。あるいは、パッド31は、ショアAスケールで10〜100のデュロメータを有する組成物から選択され得る。さらなる代替は、ショアDスケールで22〜75のデュロメータを有する組成物から選択されるパッド31に対してである。いずれの場合においても、パッド部材31は、手 術および手順の間に、臨床医によって、特定の状況に適合するように選択され得る。パッド部材31は、デバイス10のインサイチュでの挿入の前に、ハウジング部材12、14の間に予め挿入され得るが、本発明の種々の構成は、パッド31のインサイチュでの交換を可能にし得、これによって、部材の可撓性または弾 性があつらえて選択される。この様式で、パッド部材31は、このデバイスが配置される椎間空間の個々の環境に対してあつらえて設計される。
【0045】
ディスク部材28および30、ならびにパッド31は、種々の手段によって、ハウジング部材12、14の間の位置に収容またはロックされ得る。ディスク 28、30は、プレスばめテーパ、保持リング、または他の手段によって、ハウジング部材12、14にロックされ得る。このようなロッキング機構の主要な局面は、ディスク部材28、30が、一旦装着されると、上部ハウジング部材12または下部ハウジング部材14に対して移動することを防止し、さらなる磨耗を防止することである。
【0046】
図1および2は、ハウジング部材12、14の内側表面16、18の各々における、凹部に配置されたディスク部材28、30(下部凹部50のみが、図2に おいて分解図で示される)を示す。図6および7は、ハウジング部材12’、14’の第二の実施形態の平面図を示し、ここで、各凹部50’、52は、傾斜表面54、56を備え、これらの傾斜表面は、外側の縁部から、内向きにテーパ状の凹部50’、52に到る。傾斜54、56は、槌間空間内へのハウジング部材 12’、14’の配置の後の、ハウジング部材12’、14’の間のディスク部材28、30の接近を可能にする。ディスク部材28、30のこの術中のアクセスは、外科医が、負荷条件下で異なる大きさのディスク部材を試験して、ディスク部材を適所に完全に適合させることを可能にする。このような利点は、いずれ の先行技術のデバイスを用いても、得られない。
【0047】
ハウジング部材内にディスク部材をロックするための、代替の機械的機構が、図16に示されている。代表的なハウジング部材12”’は、凹部52’を備え る。凹部52’は、実質的に弓型の周縁下方溝70を備える。この溝は、少なくとも1つであり好ましくは少なくとも2つの開口部74、76を備える、リップ部分72によって規定される。ディスク部材28”’は、このディスク部材から半径方向外向きに延びる差込型のフランジ78、80を備え、これらのフランジ 78、80は、凹部74、76を通して受容されるような形状にされる。手術の際に、ディスク部材28”’は、フランジ78、80が凹部74、76と整列するように、凹部52’内に配置され得る。一旦、ディスク部材28”’が回転され得ると、これによって、図17に示されるような、ハウジング12”’内での ディスク部材28”’の差込型のロッキング機構が提供される。
【0048】
ロッキング機構のさらなる代替の実施形態が、図18および19に示されている。ハウジング部材12”’は、実質的に弓型の凹部52”を備え、この凹部 は、ハウジング部材12”’の縁部84に延びる開口端部82を有する。凹部52”は、そのかなりの部分の周りに延びるリップ部分86を備え、このリップ部分は、凹部52”の設置表面90とリップ部分86との間に、内側溝88を規定する。アーム部分92、94は、リップ部分86からの延長部であるが、ハウジ ング部材12”’の周縁端部96、98から延び、そしてこれらの端部とは別個である。アーム部分92、94は、ばね様の性質を有し、その結果、これらは、凹部52”によって規定される弓型の円から外向きに偏向し得る。アーム92、94の各々は、肘部100、102を備え、これらは、各アーム部92、94か ら設置表面90の方へとそれぞれ延びる。ディスク部材28”’は、実質的に弓型の周縁の、半径方向外向きに延びるフランジ部分104を備える。フランジ部分104は、2つの当接縁部106、108を備える。手術の際に、フランジ104およびディスク部材28”’は、環状凹部または溝88内に配置され、アー ム92、94を外向きに偏向させる。一旦、図19に示されるように、凹部52”内に配置されると、肘部100、102は、ディスク部材28”’の当接表面106、108に係合し、これによって、ディスク28”’を適所にロックする。アーム92、94の外向きへの偏向は、ディスク部材28”’をロックされた 係合から選択的に解放して、手術手順の間、ディスク部材のさらなる調節または選択を提供し得る。
【0049】
また、図6および7に最良に示されるように、パッド部材31は、それぞれ下部ハウジング部材12’および上部ハウジング部材14’の凹部58および60 内に配置され得る。機械的機構および/または種々の接着剤(例えば、シアノアクリレート、ウレタン、および他の医療等級の接着剤)の使用によって、パッド部材31をハウジング部材12’、14’に永続的に接着することが好ましい。この接着剤の列挙は、本願の他の成分の列挙と同様に、単に例示であり、そして 排他的であることを意味しない。
【0050】
パッド部材31をハウジング部材の凹部内にロックするための機械的機構の例は、図20〜23に示されている。1つのこのような機構は、図20〜22に示される、アンダーカットロッキング機構である。ハウジング部材12””は、図6に示されるような、傾斜部分56を有する中心凹部52を備える。傾斜部分 56は、中心に位置する舌形の溝57を備え、ディスク部材を凹部から取り外すために、靴べら型の機構の使用と同様に、凹部52内に配置されたディスクの下に、へら型のデバイスを挿入することを可能にする。凹部60’は、パッド部材31’の縁部116から延びる周縁フランジ部分114との係合をロックするた めの、アンダーカット凹部110、112を備える。パッド部材は、変形可能な材料から作製されるので、フランジ部分114は、アンダーカット110、112内にプレスばめされ、そしてそこに設置され得る。このアンダーカットロッキング機構は、パッド部材31’がハウジング部材12””でインサイチュで 脱係合することを効果的に防止する。もちろん、上部フランジ118は、対向するハウジング部材(図示せず)内の凹部の、類似のアンダーカットロッキング細部内にロックされる。
【0051】
パッド部材とハウジング部材との間の代替のロッキング機構は、図23に示されるような、さねはぎの関係であり得る。パッドまたはハウジングのいずれか が、舌部分122を備え得、そしてパッドおよびハウジング部材のうちの他方が、溝124を備え得る。換言すれば、ロッキング機構のいずれかが、舌122を備え得、そしてロックされる機構の他方が、溝124を備える。示されるこのロッキング機構または他のロッキング機構の代替は、凹部および/またはパッド が、複数の溝またはスロットおよび複数の舌を備え得るものである。
【0052】
種々の凹部またはポケット50’、52、58、60は、異なる相対的な大きさおよび形状であり得る。例えば、上部ハウジング部材12’は、上記ディスク 28の比較的大きいものを設置するために、より大きい凹部またはポケットを有し得、そして下部ハウジング部材14’は、下部ディスク30のうちの比較的小さいものを設置するために、より小さい凹部またはポケットを備え得(大きいおよび小さいとは、環状凹部の直径をいう)、これによって、ベアリング表面の界 面において、増加した範囲の運動性を提供する。
【0053】
種々の図は、ハウジング部材12、14の種々の実施形態の外側表面20、22が、一般的に60で示されるフランジを備え得ることを示す。フランジ60 (またはこれらが当該分野において時々呼ばれるようなフィン)は、椎間表面の固定のための機構を提供する。図1および2に示されるような種々の実施形態は、二重フィンの構成である。図8、12、および13に示されるような、他の実施形態は、単一フィンまたは単一フランジの構成である。外側表面20、22 が当接する表面の性質に依存して、外科医は、種々のフランジまたはフィンの構成を選択し得る。さらに、フィン60は、代替の位置(図の多くに示されるように中心の位置、または図14に示されるように、前方拡張プレートと共に(例えば、ねじでの固定を用いて)特定に使用するために、周縁の位置のいずれか)に 配置され得る。フランジ(例えば、フランジ60”””’は、それを通るボア62を備え得、このボアは、その意図される使用に依存して、平滑な表面であり得るか、またはねじ切りされ得る。
【0054】
外側表面20、22は、平滑であり得るか(このことは、より容易な修正を可能にする。なぜなら、これらが内方成長を最小にし得るかまたは可能にしないか らである)、あるいはテクスチャーされ得る。外側表面20、22のテクスチャー加工は、アセンブリ10の長期間の固定のために、内方成長を可能にする。多孔性のコーティング、プラズマスプレー、グリットブラスト、機械加工、化学エッチング、またはフライス削りが、内方成長可能な表面を作製するための技術の 例である。骨の成長を増強するコーティングもまた、塗布され得る。このようなコーティングの例は、ヒドロキシアパタイトおよび骨形成タンパク質である。
【0055】
図20および21は、インサイチュでのデバイスのさらなる回転安定性のための構造を提供する。ハウジング部材12””は、その外側表面20’から延びる 尖頭部分126、128を備える。尖頭部材126、128は、フランジ部分61’と組み合わせて機能して、対向する椎骨表面を係合する。尖頭部分126、128は、中心に配置されたフランジ61’から半径方向に外側に配置され、椎骨表面の少なくとも3点の係合を提供し、これによって、ハウジング部材 12””の、この椎骨表面に対する回転を防止する。もちろん、特定の椎骨表面の形状にあつらえて適合するように、尖頭部分126、128は、種々の構成で作製され得、そして外側表面20’から種々の量で延び得る。
【0056】
あるいは、図30〜40に示されるように、ディスク10””””は、椎間空間に挿入される2つの別個の片(図30において一般に146として示される) として形成され得る。ディスク10””””のこの形成の利点は、ディスク10””””が後側挿入の間に挿入され得ることである。2つのディスク10””””は、このユニットが縦に作動し、そして1つの人工椎間板アセンブリになるように、機能する。2つのディスク10””””の配置は、各ディスク 10””””が、脊柱のいずれかの側で、椎間空間146内に挿入され、そして単一の人工椎間板アセンブリ10””””として一緒に働くことを可能にする。2つのディスク10””””は、脊椎本体146の正中線に向かって角度を付けられる。2ディスクのアセンブリ10””””が本明細書中に記載されるが、2 つより多いディスク10””””もまた、本発明の精神から逸脱することなく利用され得る。
【0057】
ディスク10””””の各々は、上部はウイング部材12””””および下部ハウジング部材14””””を備える。ハウジング部材12””””、 14””””は、各々、ハウジング部材12””””、14””””内に、スロット35’を備える。スロット35’は、ベアリング23が、ハウジング14の移動に応答して、スロット35’内で自由に動くかまたは「浮動する」ことを可能にする。図31、33〜34、および38〜39に示されるように、スロット 35’は、ベアリング23の適切な移動を可能にする任意の形状で形成され得るが、好ましくは、スロット35’は、シート39’および側壁37’を有する、端の開いたU字型のスロットである。側壁37’は、ベアリング23を、ハウジング12””””、14””””内での適切な配置に維持する。上に開示される ように、ベアリング23は、スロット35’内を浮動し得、従って、ベアリング23が可動であり、そしてハウジング12””””、14””””に対する適切な支持を提供するために必要な、任意の方向に動くことを可能にする。ハウジング12””””、14””””は、ベアリング23の運動を制限する。ハウジン グ12””””、14””””、およびより具体的には、内部にベアリング23が配置されるスロット35’の大きさは、ベアリング23の運動を制限する。さらに、緩衝器130、132が、スロット35’内に備えられて、ベアリング23の運動をさらに制限し得、ベアリング23の運動の緩衝を提供し得、そしてこ のベアリングがハウジング12””””、14””””からずれることを防止し得る。緩衝器130、132は、ベアリング23に対して必要な制限を提供するために十分な任意の大きさであり得る。例えば、単一の緩衝器が、両方のハウジング12””””、14””””に対して使用され得る。あるいは、各ハウジン グ12””””、14””””が、別個の緩衝器130、132を組み込み得る。緩衝器130、132はまた、負荷を共有し、従って、ハウジング部材12””””、14””””が互いに接触することを防止するために有用である。本発明の緩衝器130、132は、スロット35’の形状に一致するような形 状にされる。換言すれば、緩衝器130、132は、緩衝器103、132が配置されるスロット35’に正確に嵌る形状にされる。好ましくは、緩衝器130、132は、ハウジング12””””、14””””の長さを越えて延びない。緩衝器130、132は、それぞれ壁134、136を有し、これらの壁 は、スロット35’の壁37’に係合する。このことは、緩衝器130、132が整列して維持されることを可能にし、そして緩衝器130、132が動くことを防止する。
【0058】
上部ハウジング12””””は、下部ハウジング14””””のスロットと同一のスロット35’を備え得るか、またはベアリング23と相補的な一致するベ アリングを有する単一片を備え得るかの、いずれかである。換言すれば、上部ハウジング12””””は、下部ハウジング14””””のスロット35’の形状と同一であるスロット35’を有し得、その結果、ベアリング23が、両方のハウジング12””””、14””””において等しく両方が動くか、または上部 ハウジング12””””は、単一の片が利用されるように形成され得、そしてベアリング23の頂部プレート内での移動が存在しないかの、いずれかである。
【0059】
ベアリング23’は、サイドアーム138、140を備え、これらのサイドアームは、スロット35’の壁37’にスライド可能に係合する。従って、ベアリング23’は、サイドアーム138、140および緩衝器130、132を介して、スロット35’内で適所に保持される。
【0060】
本発明のベアリング23はまた、ベアリング表面24に、図に示されるような種々の形状を組み込み得る。具体的には、図32は、表面24’が球状表面であ るベアリング表面24’を示す。球状表面24’は、ベアリング23’の回転中心が、球の中心に位置することを可能にする。従って、1対のディスク10””””は、単一の回転中心を有する単一の人工椎間板として機能する。あるいは、ベアリング23は、凸状24”または凹状24”’のいずれかの表面を 有し得る。この実施形態は図9および10に特に示されており、ここで、ハウジング23’の中心部分は、凸状または凹状のいずれかであり、そしてベアリング23’の平坦部分29が存在する。凸状表面24”または凹状表面24”’が利用される場合、回転中心は、横から横へ(side−to−side)の回転に ついては、中心ではない。従って、このアセンブリは、横から横への屈曲に対していくらか抵抗性であるが、より容易に整列される。
【0061】
ハウジング12””””、14””””は、最初に浮動ベアリング23を組み込まずに、同位に挿入され得る。このことは、ディスク10””””が椎間空間 に挿入されることを可能にし、そして一旦、ディスク10””””が挿入されると、緩衝器130、132およびベアリング23は、スロット35’内を適所でスライドされ得る。本発明の別の実施形態において、下部ハウジング部材12””””’および上部ハウジング部材14””””’は、凹部52”’を備え、こ の凹部は、位置決めリング15またはばね機構15、およびベアリングディスク28””、30””をその内部に据え付けるためのものである(図41および42を参照のこと)。好ましくは、凹部52”’は、実質的に弓形の周囲の下側の溝70”または壁70”、および超仕上げされて平滑であり得る底部表面19 を備える。凹部52”’は、その内部に位置決めリング15を収容し、そして下側の溝70”は、位置決めリング15を固定する。下側の溝70”は、リップ部分72”によって規定される。ハウジング12””””’、14””””’は、少なくとも1つの開口部17を備え、この開口部は、その内部にねじを挿入し、 そしてハウジング12””””’、14””””’を椎骨本体に固定するためのものである。位置決めリング15は、ハウジング12”””’、14””””’にしっかりと取り付けられ得るか、または取り外し可能に取り付けられ得る。同様に、ベアリングディスク28””、30””は、ハウジング12””””’、 14””””’にしっかりと取り付けられ得るか、または取り外し可能に取り付けられ得る。
【0062】
位置決めリング15、またはばね部材15は、弾性であり、そして任意の材料から作製され得る。この材料としては、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、ウレ タン複合材料、プラスチック、ポリマー、エラストマー、および当業者に公知の任意の他の類似のエラストマー材料が挙げられるが、これらに限定されない。位置決めリング15は、図41〜46に詳細に図示されている。好ましくは、位置決めリング15またはばね部材15は、実質的に環状の本体であり、軸方向に延びるボアを備え、このボアを通して、通路を規定する。位置決めリングは、形状が円形であるが、任意の類似または適切な設計(例えば、楕円形状)が、使用され得る。さらに、実質的に環状の 本体は、内部にベアリングディスク28、30を据え付けるための、ボアに向かって半径方向内側に延びるシートを有し、そしてハウジング部材12、14の凹部52に係合するため、および凹部52内に位置決めリングを固定するための、ボアから半径方向外向きに延びる係合部材を有する。好ましくは、係合部材は、 実質的に環状の本体の、ボアから半径方向に帯びる任意の部分であり得る。係合部材としては、テーパ状の縁部、フランジなどが挙げられるが、これらに限定されない。係合部材は、凹部によって受容されるような形状にされ、そしてこの凹部は、係合部材をしっかりと係合して、凹部内への位置決めリングの固定を生じ る。
【0063】
位置決めリング15またはばね部材15の目的は、ベアリングディスク28、30と、ハウジング部材の凹部の下側の溝70”または壁”との間の圧縮負荷を 吸収し、同時にベアリングディスク28、30の運動および位置を制御することである。位置決めリング15は、クッションを与え、そして偏向を提供して、圧縮および横方向の力を吸収し、一方で、椎骨の機能を介して移動された後に、ベアリングディスク28、30を再中心合わせするためのばねとして作用する。
【0064】
ベアリングディスク28””、30””は、位置決めリング15またはばね部材15の開口部内に設置される。ベアリングディスク28””、30””は、位 置決めリング15内、および従って、その内部のハウジング12””””’、14””””’内を移動し得る。しかし、ハウジング12””””’、14”””’内での移動は、位置決めリング15によって半分閉じ込められている。位置決めリングは、ベアリングディスク28””、30””を自動中心合わせさせるた めのばねとして、および衝撃吸収部材として、働く。ベアリング部材28””、30””は、自由に浮動するので、位置決めリング15は、緩衝器および自動中心合わせばねとして働く。従って、ベアリングは、任意の方向に並進し得、一方で、位置決めリングは、力を付与して、ベアリングを中心に押し戻す。ベアリン グがより遠くに動くほど、位置決めリング15はより大きな力を付与する。任意の椎骨または脊椎の運動は、脊椎に対する負荷の共有および力の緩衝を可能にする。負荷が伝達されるにつれて、ベアリングディスク28””、30””が動き、そしてその力が、位置決めリング15またはばね部材15によって共有され る。
【0065】
本発明の別の実施形態において、ベアリングディスク28””’、30””’は、位置決めリング15’と一緒に、楕円形である。さらに、各ハウジング部材 12”””””、14”””””上に位置する凹部52””は、楕円形であり、一方で、ハウジング部材12、14はまた、楕円形、円形、または当業者に公知の他の任意の適切な形状であり得る。凹部52””は、位置決めリング15’をその中に収容し、そして下にある溝70”’は、位置決めリング15’を固定す る。下にある溝70”’は、リップ部分72”’によって規定される。図43から48に示されるように、ベアリングディスク28””’、30””’は、楕円慶応部52”’内に固定され得るか、またはベアリングディスク28””’、30””’は、ハウジング部材12”””””、14”””””の楕円形凹部 52”’内で浮動し得る(すなわち、可動ベアリングディスク)。ベアリングディスク28””’、30””’は、楕円形の周囲の外側辺21、およびベアリング表面24、26内に一致する球状表面を有する。図44は、位置決めリング15’のおよその形状を示す。図45は、凹部52””内で適所にある位置決めリ ング15’を示し、そして楕円の形状を、さらに詳細に示す。図46は、上部ハウジング部材14”””””を示し、ここで、ベアリングディスク30””’が、上部ハウジング部材14”””””上に固定されている。ベアリングディスクの外側周囲は、楕円形であり、ベアリング表面24、26は、球状である。
【0066】
回転負荷の下で、位置決めリング15’は、ベアリングディスク28””’、30””’楕円形の周囲の外側辺21、およびハウジング部材12”””””、 14”””””の凹部52””の下にある溝70”’に係合する。回転が大きいほど、より多くの圧縮力が、位置決めリング15’ン対して付与される。従って、ディスク10は、通常の解剖学的ディスクと類似の働きをし、これによって、輪が運動を可能にするが、過剰の運動の制限もまた提供する。このような回転 を用いて、位置決めリング15’は、回転力に反作用するばねとして働いて、回転を可能にし、一方で、そこからの過剰の回転を防止する。位置決めリング15’は、デュロメータが変化して、材料の有効ばね率を変化させることによって、より大きい運動またはより小さい運動を生じ得る。従って、患者特異的な位 置決めリング15’が、患者の要求に基づいて選択され得る。小関節面の関節が劣化する場合、ディスク10は、より高いデュロメータの位置決めリング15’を使用することによって補償され得、医師の、手術の時点での完全な最適化を可能にする。
【0067】
並進負荷の下で、位置決めリング15’は、過剰の運動に抵抗するためのばねとして働き、一方で、ディスクの較正を自動中心合わせさせるためのばねとして 働く。図に示されるように、楕円形の局面は、組み合わせの利益を可能にするために必要な係合面積を可能にする。また、このような楕円形の表面を使用することによって、位置決めリング15’は、全ての時点において圧縮を維持し、種々のポリマーからの最大の利益および性能を可能にする。当業者に対して、楕円形 凹部52””は、位置決めリング15’に力を付与するためのいくらかの運動アームを効果的に提供する、任意の細長表面であり得る。
【0068】
種々の方法が、インサイチュでの本発明の挿入のために利用され得る。例えば、図1に示されるような組み立てられたデバイス10が、空間、深さ、および高 さの計算の後に、手術の間に、椎間空間の間に配置され得る。あるいは、対向するハウジング部材12、14が、椎間空間の間に配置され得、そしてパッド31およびディスク部材24、26が、その固定の前にインサイチュで試験されて、あつらえのサイズ決めを可能にし得る。従って、本発明は、人工椎間板10をイ ンビボで組み立てるための方法を広範に提供し、この方法は、上部ハウジング部材12および下部ハウジング部材14を、椎間空間に挿入する工程、ならびにハウジング部材12、14の内側表面16、18の間にクッションパッド31を配置し、これによって、これらのパッドを圧縮して配置する工程による。1対の ディスク部材28、30が、プレート16、18の内側表面の間に挿入される。ディスク部材28、30は、それらの間に、当接低摩擦表面24、26を有する。ディスク部材28、30は、パッド31によって囲まれ、これによって、ディスク部材28、30およびパッド31は、圧縮力下にあり、そしてこのような 圧縮力を共有する。ベアリング表面24、26および衝撃吸収パッド31が圧縮力の吸収を共有し、そしてハウジング部材12、14の相対的な移動を制限するこの工程は、先行技術には見られない利点である。
【0069】
本発明のベアリングの1つの使用は、脊椎において損傷した椎間板の交換のための、人工椎間板においてである。本発明の人工椎間板10は、可動ベアリング 23を備え、これは、ベアリング23が動いて椎骨ディスクの運動を調節および補償することを可能にする。ベアリングの自動調節を可能にすることによって、ベアリング23は、並進負荷条件下でより自由に運動し得、一方で、上部ベアリング表面20と下部ベアリング表面24との接触面積を最大にする。
【0070】
腰椎のような適用において、ディスクの上部部材および下部部材は、互いに対して角度を付けられて、脊椎の湾曲を維持する。負荷分配緩衝およびクッション パッドは、脊椎が動く場合に常にいくらかの負荷下にあるが、これらは、脊椎が動いていない場合に、中性の負荷なしの状況に調節され得る。
【0071】
負荷分配緩衝およびクッションパッドはまた、ディスク構築物を自動中心合わせする、弾性手段を作製する。ディスクの回転の撓みがパッドに力を与え、この力に反作用するような様式で働き、これによって、独特の自動中心合わせ能力を可能にする。患者の小関節面が犠牲にされず、そして靭帯のバランスがインタク トである、理想的な状況においては、これは必要ではない。しかし、靭帯のバランスおよび損傷した小関節面は、通常、従来技術を用いると、最もよくても、人工椎間板を問題あるものにする。このような場合には、自動中心合わせし、そして運動を制限する能力を有すること(パッドが弾性であり、従って、伸長および 休止に戻ることによって、運動を制限する)によって、現在人工椎間板技術の範囲外であるとみなされている、患者に対する伸長表示の可能性は、非常に有利である。浮動ベアリング設計において、パッドの緩衝能力と組み合わせた自動中心合わせの能力は、人工椎間板のための理想的なシステムを作製する。
【0072】
パッドはまた、患者および医師の要求に従って、調節され得る。犠牲にされた小関節面に起因して、運動の必要性の範囲が制限されるような場合、より硬い、 弾性の低いパッドが挿入され得る。より弾性の低いパッドは、あまり動いたり伸長したりしないので、このディスクは、自動的に、運動が制限される。パッドの調節のこの方法は、術間になされて、医師および患者の状態を補償し得る。
【0073】
上記のように、上記実施形態の任意のものが、頸部椎間板外科手順において使用され得る。図41および42に示されるハウジング部材12、14の実施形態 に関して、一般的手順は、損傷した椎間板の除去(図49〜57が、この手順を示す)で開始する。次いで、トライアル(trial)ハンドルがトライアルに取り付けられ、そしてこのトライアルが、ディスク空間に挿入される(図49)。このトライアルは、ディスクの高さがおよそ復元されるまで調節され、一方 で、靭帯を伸長させすぎないように注意される。ドリルガイドを使用して、パイロット穴が、4つのガイドプレート穴位置に穿孔される(図50)。このガイドプレートは、タッピンガイドプレートねじで固定される(図51)。終末板調製器具を使用して、リーミングディスクが挿入されて、トライアル数に一致させら れる。次いで、一致する数へのダイヤルにおける器具の深さが、設定されなければならない。一旦設定されると、この器具は、ボタンが係合した応対でディスク空間に進められる(図52)。この器具のフィンは、安定性のために、ガイドプレートのスロットに係合したままである。一旦、最大深さに達すると、終末板調 製器具が取り除かれる(図53)。次いで、ガイドプレートねじおよびガイドプレートが、取り除かれる(図54)。穴が適所で脊椎の穴と整列しているディスクホルダが、完全に据え付けられるまで挿入される(図55)。次いで、ねじが、ねじ切りされた穴に挿入されて、ディスクを脊椎本体に固定する(図56)。 最後に、ディスク挿入器が取り除かれる(図57)。
【0074】
本願を通じて、種々の刊行物(米国特許を含む)が、著者および年度、ならびに特許番号によって参照される。刊行物の全引用は、以下に列挙される。これら の刊行物および特許の開示は、本発明が属する分野の技術水準をより完全に記載するために、その全体が、本願に参考として援用される。
【0075】
本発明は、例示的な様式で記載され、そして使用される専門用語は、限定ではなく、本質的に説明の言葉であることが意図されることが、理解されるべきである。
【0076】
明らかに、本発明の多くの改変およびバリエーションが、上記教示を考慮して可能である。従って、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、具体的に記載されたものとは他の様式で実施され得ることが、理解されるべきである。
【0077】
人工椎間板であって、ハウジング部材であって、互いに対面する間隔を空けた内側表面、および間隔を空けた椎骨表面と係合するための、逆向きに面する外側表面を有する、ハウジング部材;内側表面の間に配置される自動調節ベアリング機構であって、ハウジング部材に対して移動し、脊椎ディスクの運動を調節し、そして補償するための、自動調節ベアリング機構;ならびに位置決めリングであって、ベアリング機構の運動および位置を制御し、そして圧縮負荷を吸収するための、位置決めリ ング手段を備える、人工椎間板。人工椎間板であって、内側表面に楕円形凹部を有するハウジング部材;内側表面の間で楕円形凹部内に作動可能に配置される、楕円形ベアリング機構であって、ハウジング部材に対して移動して、脊椎ディスクの運動を調節および補償するための、楕円形ベアリング機構;および楕円形位 置決めリングを備える、人工椎間板。人工椎間板のためのばね部材であって、軸方向に延びるボアを備える、実質的に環状の本体を備え、このボアを通して、通路を規定する、ばね部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工椎間板(10)であって、以下:
ハウジング部材(12、14)であって、互いに対面する間隔を空けた内側表面(16、18)、および間隔を空けた椎骨表面(20、22)と係合するための、逆向きに面する外側表面を備える、ハウジング部材;
該内側表面(16、18)の間に配置される自動調節ベアリング手段(23)であって、該ハウジング部材(12、14)に対して移動し、脊椎ディスクの運動を調節し、そして補償するための、自動調節ベアリング手段;ならびに
位置決めリング手段(33)であって、該ベアリング手段の運動および位置を制御し、そして圧縮負荷を吸収するための、位置決めリング手段、を備え、該内側表面(16、18)が、該内側表面の各々の内部に、該位置決めリング手段をその中に設置するための少なくとも1つの凹部(52)を備え、該凹部(52)が下方溝(70)を含みそして該位置決めリング手段(33)が、該下方溝(70)と作動可能に係合する係合手段を備える、人工椎間板。
【請求項2】
前記位置決めリング手段(33)が、前記自動調節ベアリング手段(23)にしっかりと係合し、そして該ベアリング手段(23)の移動を可能にする、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項3】
前記ハウジング部材(12、14)が、本質的に金属、セラミックおよびプラスチックからなる群から選択される組成物から構築される、請求項1に記載の人工椎間板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2010−284540(P2010−284540A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178189(P2010−178189)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2004−321363(P2004−321363)の分割
【原出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(508091465)イシュラップ インプラント システムズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】