説明

人工透析装置用洗浄剤

【課題】次亜塩素酸ナトリウムのような含ハロゲン物質を使用すること無く、蛋白質等の有機汚染物質を除去すると共に殺菌効果を併せ持ち、更には水へ溶解した際に析出物の生成が無く保存安定性に優れた、人工透析装置用洗浄剤を提供する。
【解決手段】過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムからなり、過炭酸ナトリウムの配合重量比率が珪酸ナトリウムに対し、0.1〜1.3であることを特徴とする人工透析装置用洗浄剤であり、これを0.05〜17重量%の水溶液として人工透析装置を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工透析装置及び連結するライン等の、有機汚染物質の除去及び殺菌のための洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人工透析医療において、治療後の透析装置及び連結するライン等には、蛋白質やカルシウム分等種々の汚染物質がバイオフィルム様に付着する。患者の安全確保、衛生面、装置保守等の観点から、透析後にこれら汚染物質を洗浄除去する事は不可欠である。現在多くの透析医療施設では、殺菌洗浄効果並びにランニングコストから、治療毎に次亜塩素酸ナトリウム又はこれを含有した溶液にて蛋白質等の有機汚染物質を洗浄し、加えて定期的に酸性溶液でカルシウム等の無機汚染物質を除去する方法が主流となっている(特許文献1、2参照)。
【0003】
しかし、用いられる次亜塩素酸ナトリウムは含ハロゲン物質である為、排水による環境負荷が懸念されており、また装置部品の腐食を添加剤等により抑制する手法も試みられてはいるが、完全に回避出来ていないのが実状である。殺菌効果を高める目的で配合される、塩素化イソシアヌル酸塩等でも同様な問題が指摘されている。
【0004】
また、現行使用されている多くの洗浄剤の荷姿は液体であり、運搬や貯蔵タンクへの投入の際に、医療スタッフの肉体的負担となっているケースも見受けられる。透析患者数は年々増加しており、1台の透析装置で1日に数回の治療を行うことも頻繁に行われている。装置の洗浄回数も増加していることから、洗浄剤には優れた殺菌洗浄力のみならず、取り扱い易さや脱ハロゲン化能が所望されている。
【特許文献1】特許第2721804号公報
【特許文献2】特許第2838730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、含ハロゲン物質を使用すること無く、蛋白質等の有機汚染物質を除去すると共に殺菌効果を併せ持ち、更には水へ溶解した際に析出物の生成が無く保存安定性に優れた、人工透析装置用洗浄剤の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成する為、鋭意検討を行った結果、過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムから成る組成物がハロゲンを含有することなく、蛋白質等の有機汚染物質の除去及び殺菌効果を併せ持つことを見出し、更にはその配合比及び水に溶解した際の水溶液組成物の濃度を一定範囲内とすることにより、析出物の生成が無く保存安定性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムからなり、過炭酸ナトリウムの配合重量比率が珪酸ナトリウムに対し、0.1〜1.3であることを特徴とする人工透析装置用洗浄剤に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、含ハロゲン物質を使用すること無く、蛋白質等の有機汚染物質を除去すると共に殺菌効果を併せ持ち、更には該洗浄剤を水に溶解した際に析出物の生成が無く保存安定性に優れた、人工透析装置用洗浄剤の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
過炭酸ナトリウムは、アルカリ剤として有機汚染物質を洗浄除去する効果に加え、発生する酸素ガスによりバイオフィルム様に付着した汚染物質の除去効果を促進すると共に、該活性酸素による優れた殺菌効果を有する。過炭酸ナトリウムは、一般に入手可能な市販品でよいが、所望の効果に合わせて粒径等の性状や適当な有効酸素量のものを選択することが好ましい。また過炭酸ナトリウムは製造過程にて、キレート剤等の安定剤やバインダー或いは希釈剤が一般に添加されているが、本発明の効果を損なわない範囲であればそれら添加剤等が含まれていてもよい。他に配合可能な過酸化物アルカリ金属塩としては、過硼酸ナトリウム等が挙げられる。
【0009】
特に本発明の洗浄剤は、固体粉末状であり、洗浄に供する際は水に溶解して用いるが、多くの透析装置は次亜塩素酸ナトリウム溶液の使用を想定している事から、洗浄液貯蔵タンクに攪拌装置等は特に付設されていない為、固体粉末洗浄剤は容易に溶解する事が所望される。一般的な過炭酸ナトリウムは、珪酸ナトリウムに比べ若干水への溶解性に劣る事から、溶解速度の高い過炭酸ナトリウムを配合する事が好ましい。溶解性の指標として、1000mlビーカーに25℃の純水995gを入れ、縦40mm×幅25mmの翼が付いた直径8mmの攪拌棒を、ビーカー底部より30mmの位置に固定し、250rpmで回転させながら試料5gを液面中央に投入後、溶解開始30秒経過時及び最終平衡時の導電率を測定し、30秒時の導電率を平衡時の値で除して、溶解開始30秒後の試料溶解率を算出した。本試験方法にて実用上望ましい溶解開始30秒後溶解率は、50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上である。具体例として、三菱ガス化学(株)製SPC−G、SPC−Q、SPC−Z等が挙げられる。
【0010】
珪酸ナトリウムは、アルカリ剤としての効能の他に、水溶液中において共存する過酸化物アルカリ金属塩の分解を抑制する効果を有する。また水への溶解性も優れている。珪酸ナトリウムの中でもオルト珪酸ナトリウムは吸湿性が低く、更には水溶液中における過炭酸ナトリウムの安定化効果も高い為、本発明の洗浄剤において固体粉末状態及び水に溶解した際の水溶液状態における保存安定性に優れる。他に配合可能な無機酸金属塩としては、珪酸、炭酸、重炭酸、硼酸等の各金属塩が挙げられる。
【0011】
過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムは、衣類等の洗剤、いわゆる洗濯用洗剤等に配合剤の一部として添加されている。しかし、医療分野における装置及び器具の洗浄用途としては、衣類用途以上の殺菌力及び有機汚染物質に対する洗浄能力が要求される。また本発明の過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムを主成分とした組成物を実用に供する際には、水に溶解した水溶液の状態で使用される為、固体粉末状態で保管される際の保存安定性のみならず、水に溶解した水溶液状態においても、有効酸素の保持率が高く析出物が生成しない、優れた保存安定性を有することが必要不可欠である。
【0012】
現在多くの透析医療施設に導入されている透析装置は、次亜塩素酸ナトリウム溶液による洗浄を想定した仕様である。一般的には、貯蔵タンクに保管された高濃度の洗浄剤原液を使用時に15〜50倍に希釈して、装置及び連結するライン等を流通洗浄するシステムとなっている。従って該洗浄システムを大きな改造無しにそのまま使用出来ることが要求される。本発明の洗浄剤は、水に溶解した水溶液状態で析出物が無く、優れた保存安定性を示し、上記要求を満たしている。
【0013】
本発明における過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムの配合比の上限は、過炭酸ナトリウムの配合重量比率が珪酸ナトリウムに対し、1.3以下とすることが好ましく、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.7以下である。これより過炭酸ナトリウムの配合比を高めると、水へ溶解した際に析出物が生成し好ましくない。配合比の下限は、過炭酸ナトリウムの配合重量比率が珪酸ナトリウムに対し、0.1以上とすることが好ましく、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上である。これより珪酸ナトリウムの配合比を低くしてもアルカリ剤としての効果は頭打ちとなり、また過炭酸ナトリウムの配合比も低下することから好ましくない。
【0014】
本発明の人工透析装置用洗浄剤は、その効能を損なわない範囲でキレート剤等の各種添加剤を添加してもよい。キレート剤等を添加することにより過炭酸ナトリウムの分解抑制効果、更には透析装置及び連結するライン等に付着した、カルシウム等の無機汚染物質の除去能力を付与することが可能となる。
【0015】
無機系の添加剤としては、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、二リン酸ナトリウム(ピロリン酸ナトリウム)、三リン酸五ナトリウム(トリポリリン酸ナトリウム)等の各種リン酸金属塩、硫酸マグネシウムや塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、スズ酸ナトリウム等が挙げられ、有機系の添加剤としては、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、トリエチレンテトラミンヘキサメチレンホスホン酸、トリアミノトリエチルアミンヘキサメチレンホスホン酸、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミンテトラメチレンホスホン酸、グリコールエーテルジアミンテトラメチレンホスホン酸等の各種アミノホスホン酸及びその塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、テトラエチレンヘプタメチレンホスホン酸等の各種ホスホン酸及びその塩、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸等の各種アミノカルボン酸及びその塩、ポリヒドロキシカルボン酸等の各種カルボン酸及びその塩、フェニル尿素等が挙げられる。これらは2種類以上を同時に添加することも可能である。
【0016】
各種添加剤の配合量は、本発明の洗浄剤に対し0.01重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上であり、所望の無機汚染物質除去力を発揮する量を指標に配合するとよい。
【0017】
本発明における過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムから成る人工透析装置用洗浄剤を、水に溶解させた水溶液濃度は0.05〜17重量%、好ましくは0.07〜15重量%、更に好ましくは0.09〜13重量%である。これより低いと十分な蛋白質等の有機汚染物質の除去効果及び殺菌効果が得られず、またこれより高いと該洗浄剤を水に溶解した際の有効酸素保持率が低く好ましくない。
【0018】
本洗浄剤を水に溶解させ使用するまでの保管形態としては、過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウム粉末を混合した状態としてもよいし、また各々を別途保管し使用時に所定の比率で溶解させてもよい。
【0019】
本発明の過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムから成る人工透析装置用洗浄剤を水に溶解させた水溶液組成物は、pHが10以上、好ましくは11以上となる濃度とすることが望ましい。しかし必要以上に濃度を高くする事は、洗浄後の装置及び連結するライン等に洗浄剤が残留し、多量の水と水洗時間を要するため好ましくない。
【0020】
本発明の洗浄剤が適用可能な装置或いは器具としては、人工透析装置及び周辺器具のみならず、血液成分等の付着する手術及び検査用の装置並びに周辺器具、更には畜産及び水産関係の食品製造施設での、血液等が付着する機器等が挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
【0022】
・ 析出物確認試験
設定した溶質配合比及び濃度の試験液を50g調製する。25℃で72時間保存後、溶液を観察し析出物生成の有無を確認する。
【0023】
2.溶液保存安定性試験
試料液5gを秤量し、純水50ml、硫酸溶液(1+3)15ml、5%モリブデン酸アンモニウム溶液0.18ml、20%よう化カリウム溶液15mlを表記順に加え混合する。0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定を行い、液が淡黄色になったら0.5%でんぷん溶液を2ml加え、無色の時点を終点として有効酸素濃度を測定し、仕込んだ過炭酸ナトリウムの有効酸素量を基準に有効酸素保持率を算出し、安定性の指標とした。
【0024】
有効酸素保持率[%]=100×(試料液の有効酸素濃度)÷(仕込み過炭酸ナトリウムの有効酸素量から算出した試料液の理論有効酸素濃度)
【0025】
3.血液汚染布洗浄試験
EMPA社製テストクロスNo.111(豚血液汚染布)を5cm角に裁断して、25℃50%R.H.下で5時間調湿し重量を測定する。本クロス2枚を25℃の試験液100gに5分間浸漬後、純水で十分に洗浄する。25℃50%R.H.下で17時間風乾及び調湿し、重量を測定して減少率を算出する。減少率が大きいほど洗浄効果の高いことを示す。本試験結果を有機汚染物質除去力の指標とした。
【0026】
4.殺菌効力試験
試料液10mlに菌数10CFU/mlの接種菌液0.1mlを加え混合し、25℃で60分間作用後、1mlを採取して1重量%カタラーゼ添加リン酸緩衝液9mlに接種し、10倍希釈系列を作製する。SCD寒天培地(日本ビオメリュー(株)製)を用いカンテン平板混釈法(35℃で48時間培養)で生菌数を測定し、試料液1ml中の菌数に換算する。
【0027】
5.カルシウム分除去性能試験
試料液100gを秤量して0.25mol/l酢酸カルシウムで滴定を行い、白色沈殿を生ずる時点を終点とする。キレート配合量を基準にキレート価を算出し、カルシウム分除去力の指標とした。
【0028】
実施例1〜3、比較例1
表1に示す様に、過炭酸ナトリウム(三菱ガス化学(株)製標準グレードSPC−G)及び純度約80%のオルト珪酸ナトリウム(広栄化学工業(株)製ネオオルソ80粒)の比率を変えて混合し、4重量%の溶液を調製して析出物確認試験を行った。調製直後に使用する場合は問題ないが、水溶液状態で保存が必要な場合は過炭酸ナトリウムの配合重量比率が珪酸ナトリウムに対し1.3以下でないと、析出物が生成し不適である。
【0029】
【表1】

【0030】
実施例4〜6
表2に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で、洗浄剤水溶液濃度(以下、溶液濃度と言う)を変え析出物確認試験を行った。
【0031】
【表2】

【0032】
実施例7〜15、比較例2〜3
表3に示す様に、過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムの溶質配合比並びに溶液濃度を変え、25℃72時間保存での溶液保存安定性試験を行った。溶液濃度が高いと有効酸素保持率が低くなる。
【0033】
【表3】

【0034】
実施例16〜20、比較例4〜5
表4に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で、溶液濃度及び珪酸ナトリウム種を変え血液汚染布洗浄試験を行った。
【0035】
【表4】

【0036】
比較例6〜8
表5に示す様に、実施例16〜20の比較対照として溶質を次亜塩素酸ナトリウム(東亞合成(株)製アロンクリンSG)に変更し、血液汚染布洗浄試験を行った。
【0037】
【表5】

【0038】
実施例16〜20及び比較例6〜8の洗浄試験において、現在多くの透析医療施設で使用されている次亜塩素酸ナトリウムに比べ、本発明の洗浄剤は低濃度でも優れた洗浄力を発揮した。
【0039】
実施例21〜24
表6に示す様に、過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムの溶質配合比を変え、血液汚染布洗浄試験を行った。
【0040】
【表6】

【0041】
実施例25〜29、比較例9
表7に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で、溶液濃度を変え大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)に対する殺菌効力試験を行った。
【0042】
【表7】

【0043】
実施例30〜34、比較例10
表8に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で、溶液濃度を変え緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)に対する殺菌効力試験を行った。
【0044】
【表8】

【0045】
実施例35〜45
表9に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で溶液濃度が6重量%の水溶液に、溶質に対して各添加剤を0.5重量%配合し、20℃72時間保存での溶液保存安定性試験を行った。
【0046】
【表9】

【0047】
実施例46〜55
表10に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で溶液濃度が6重量%の水溶液に、溶質に対して各添加剤を5重量%配合し、20℃72時間保存での溶液保存安定性試験を行った。
【0048】
【表10】

【0049】
実施例56〜65
表11に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で溶液濃度が6重量%の水溶液に、溶質に対して各添加剤を10重量%配合し、20℃72時間保存での溶液保存安定性試験を行った。
【0050】
【表11】

【0051】
実施例66〜75
表12に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で溶液濃度が6重量%の水溶液に、溶質に対して各添加剤を15重量%配合し、20℃72時間保存での溶液保存安定性試験を行った。
【0052】
【表12】

【0053】
比較例11
表13に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で溶液濃度が6重量%の水溶液の、20℃72時間保存での溶液保存安定性試験を行った。
【0054】
【表13】

【0055】
実施例76〜85
表14に示す様に、過炭酸ナトリウム38重量%、オルト珪酸ナトリウム62重量%の溶質配合比で溶液濃度が6重量%の水溶液に、溶質に対して各添加剤を10重量%配合し、カルシウム分除去性能試験を行った。
【0056】
【表14】

【0057】
本発明の洗浄剤に各種添加剤を配合する事によって、更なるカルシウム分除去力を付与する事が可能であり、アミノカルボン酸及びアミノホスホン酸系のキレート剤は特に効果が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムからなり、過炭酸ナトリウムの配合重量比率が珪酸ナトリウムに対し、0.1〜1.3であることを特徴とする人工透析装置用洗浄剤。
【請求項2】
珪酸ナトリウムがオルト珪酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
【請求項3】
さらに、リン酸金属塩または有機キレート剤を含有することを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
【請求項4】
有機キレート剤がアミノホスホン酸、アミノカルボン酸またはそれらの塩であることを特徴とする請求項3記載の洗浄剤。
【請求項5】
過炭酸ナトリウムが、水への30秒後溶解率が50%以上であることを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
【請求項6】
過炭酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムからなり、過炭酸ナトリウムの配合重量比率が珪酸ナトリウムに対し、0.1〜1.3である人工透析装置用洗浄剤の0.05〜17重量%水溶液を用いて、人工透析装置を洗浄する方法。

【公開番号】特開2007−302882(P2007−302882A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105060(P2007−105060)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】