説明

付け替え容器

【課題】 機能部分の機能部キャップの外装体への組付けを利用して、付け替え容器体の外装体に対する着脱を簡単に達成し、付け替え容器体と外装体と機能部キャップの着脱を簡単にすると共に、外装体に対する付け替え容器体の強固な組付けが、維持されることを目的とする。
【解決手段】 内容物を収納する付け替え容器体1の外装体6に対する組付けを、外装体6に対する機能部キャップ17の螺合組付きにより、付け替え容器体1と外装体6の係合組付き部分を、変位不能として確保し、これにより付け替え容器体1と外装体6と機能部キャップ17との強固で安定した組付きを確保すると共に、付け替え容器体1の取扱いを容易とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアシャンプー、リンス、ボディーシャンプーや台所用洗剤などの液状や粒状等の内容物が収納された容器体を付け替え用とし、外装体に組付け使用する、付け替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヘアシャンプー、リンス、ボディシャンプー、台所用洗剤等の容器体には、優れた機械的性質、耐薬品性等を有するポリエチレン等の合成樹脂が使用されており、また液状の内容物を定量ずつ安定して注出できるポンプや、液状や粒状等の内容物を取り出すヒンジキャップを取り付けた容器が多く利用されている。
【0003】
これらの容器は、多くの場合、内容物を使い終わった時点で、ゴミとして廃棄されてきたが、最近に至って、環境問題、省資源、さらには内容物の劣化防止の観点から、繰り返し利用できる容器、使い切り容器、あるいは廃棄量を少しでも少なくする方法が、商品に対して要求されるようになっている。
【0004】
このような要求に答える手段の一つとして、特開平7−17538号公報には、口部を有した付け替え容器体に内容物を充填し、この付け替え容器体を、機械的強度の安定した外装体内に、着脱自在に内装組付けする技術が示されている。
【0005】
上記した従来技術にあっては、安定した自立性を保持しながら、内容物の注出操作も容易に実現することができ、使用後には付け替え容器体のみを廃棄し、ポンプやキャップ等の機能部分を含めた外装体は再利用すればいいので、かなりのゴミ減量化を実現することができる。
【特許文献1】特開平7−17538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記した特許文献1に示された従来技術にあっては、容器の組立て固定化のために付け替え容器体、外装体のほかに肩リングなる部品を使い、さらに各種の係止構造を設けて回動係止により固定する等の構成であり、この場合も製造コストが高くなり、また付け替え容器体の付け替え操作も、その分煩雑になる、という問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、ポンプやヒンジキャップ等の機能部分の機能部キャップの外装体への組付けを利用して、付け替え容器体の外装体に対する着脱を簡単に達成することを技術的課題とし、もって付け替え容器体と外装体と機能部キャップの着脱を簡単にすると共に、機能部キャップの外装体に対する装着を解除しない限り、付け替え容器体の強固な組付けが、維持されることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するための本発明の主たる構成は、
内容物を収納する有底の収納部の上端部に、外周面に係止突条を設けた口部を立設した付け替え容器体を有すること、
筒状の外装筒の上端に、内鍔状の頂壁を介して取り付け筒を立設した外装体を有すること、
この外装体の取り付け筒に外装して螺合する組付き筒を備えた機能部キャップを有すること、
にある。
【0009】
外装体の頂壁から取り付け筒にかけての部分には、切欠きを設けることにより、付け替え容器体の係止突条に係止する係止突片を内面に有すると共に、外面を当接面とした垂下舌片が複数残存形成されている。
【0010】
機能部キャップの組付き筒の下端部は、外装体の垂下舌片の当接面に、外嵌して内面を当接させる当接筒部となっている。
【0011】
付け替え容器体と外装体と機能部キャップとの組み立ては、まず外装体内に、口部を開放した付け替え容器体を下方から挿入させることにより、垂下舌片を弾性変形させて、付け替え容器体の係止突条を外装体の係止突片に乗り越え係止しさせる。
【0012】
次いで、機能部キャップの組付き筒を、外装体の取り付け筒に螺合組付けすることにより、この組付け筒の下端部分である当接筒部が、垂下舌片の当接面に外側から当接し、これにより垂下舌片は拡径変位することが不能となるので、付け替え容器体の係止突条と外装体の係止突片との係止が確保される。
【0013】
この付け替え容器体の係止突条と外装体の係止突片との係止は、外装体に対する機能部キャップの螺合組付きを解除しない限り、強固に確保されるので、外装体に対する付け替え容器体の組付けは、安定して確保される。
【0014】
外装体から付け替え容器体を取外すには、外装体から機能部キャップを螺脱して、外装体の垂下舌片の当接面から機能部キャップの当接筒部を離脱させた状態で、外装体に対して付け替え容器体を相対的に引き下げ、これにより付け替え容器体の係止突条と外装体の係止突片の係止を解除させて達成される。
【0015】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、付け替え容器体を肉薄とした、ものである。
【0016】
付け替え容器体を肉薄としたものにあっては、廃棄物となる付け替え容器体の樹脂量を少なくすることができるので、ゴミ減量化を得ることができる。
【0017】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、外装筒の下端部に、指先で付け替え容器体を挟持できる開放欠部を設けた、ものである。
【0018】
外装筒の下端部に、指先で付け替え容器体を挟持できる開放欠部を設けたものにあっては、外装体に内装されている付け替え容器体に対して、指先により取扱い操作力を直接作用させることができる。
【0019】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、付け替え容器体を外装体に組付けた状態で、外装体の下端を付け替え容器体の下端よりも下位に位置させた、ものである。
【0020】
外装体の下端を、付け替え容器体の下端よりも下位に位置させたものにあっては、機械的強度が高く、自己形状保持力の大きい外装体が、脚部機能を発揮することになる。
【0021】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、外装体の垂下舌片より上の取り付け筒内面箇所から、内鍔片を介して、付け替え容器体の口部に密嵌入する密嵌筒片を垂下設した、ものである。
【0022】
外装体に密嵌筒片を設けたものにあっては、外装体に対する付け替え容器体の口部による組付きを、簡単にかつ確実に密とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成にあっては、外装体に対する付け替え容器体の組付けは、外装体に対する機能部キャップの螺着により安定して確保されるので、付け替え容器体と外装体との組付きを、簡単にかつ強固に達成することができ、さらに機能部キャップをも含めた三者の強固な組付きを簡単に得ることができる。
【0024】
このように、外装体に対して付け替え容器体を安定して強固に組付けることができるので、容器を他の物品と一緒にバッグ等に入れて携帯した際に、他の物品との突き当たり等の衝撃により、付け替え容器体と外装体の組付きが外れることがなく、安全な携帯取扱いを得ることができる。
【0025】
外装体に対する付け替え容器体の着脱操作は、単純な出し入れ操作により達成できるので、容器の取扱いが簡単で容易である。
【0026】
付け替え容器体を肉薄としたものにあっては、廃棄物となる付け替え容器体の樹脂量を少なくすることができるので、ゴミ減量化を得ることができ、これにより高い省資源化効果を得ることができる。
【0027】
外装筒の下端部に、指先で付け替え容器体を挟持できる開放欠部を設けたものにあっては、外装体に内装されている付け替え容器体に対して、指先により取扱い操作力を直接作用させることができるので、付け替え容器体の取扱いが容易となって、適正な取扱いを得ることができる。
【0028】
外装体の下端を、付け替え容器体の下端よりも下位に位置させたものにあっては、外装体が脚部機能を発揮することになるので、容器に安定した脚機能を付与することができると共に、付け替え容器体のさらなる薄肉化を可能とすることができる。
【0029】
外装体に密嵌筒片を設けたものにあっては、外装体に対する付け替え容器体の口部による組付きを、簡単にかつ確実に密とすることができるので、付け替え容器体の安全な取扱いを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1ないし図4は、本発明による付け替え容器の一実施形態例を示すもので、内容物を収納する付け替え容器体1と、この付け替え容器体1を内装保持する外装体6と、この外装体6に螺合により着脱される機能部キャップ17とから構成されており、この図1ないし図4の実施形態例における機能部キャップ17は、ディスペンサーであるポンプ21のポンプキャップとなっている。
【0031】
付け替え容器体1は、使い捨ての付け替え用として使用され、内容物を収納する有底筒状の収納部2の上端部に肩部を介して口部3を立設して構成され、専用のネジキャップを螺着するための螺条を刻設した口部3の外周面上端部には、係止突条4が周設されている。
【0032】
この付け替え容器体1は、生産コストを低くすること、および廃棄物の減量の観点から、内容物を収納する機能が保持される範囲で、できる限り薄肉に形成することが望ましく、PET、PE,PP等のブロー成形品や、PETの2軸延伸ブロー成形品を利用するのが有利である。
【0033】
外装体6は、付け替え容器体1を内装し、下部に指先の侵入が自在な大きさの開放欠部8を形成した外装筒7の上端に、内鍔状の頂壁9を介して外周面に螺条を刻設した取り付け筒11を起立設し、頂壁9から取り付け筒11の下端部にかけての部分に、切欠き15を形成することにより、複数、例えば二個の垂下舌片12を軸対称に残存形成している。
【0034】
垂下舌片12の内側面には、付け替え容器体1の係止突条4が、上方から乗り越え係止する係止突片13を突設しており、この垂下舌片12の外側面の下端部分は、略垂直面の当接面14に形成されていて、この当接面14につながる上側の外側面部分は、下外方に傾斜した傾斜面となっている。
【0035】
頂壁9の上面外周端には、高さの低い係止外筒10が起立設されており、また垂下舌片12の直ぐ上となる取り付け筒11の内周面箇所には、内鍔片を介して、付け替え容器体1の口部3に密嵌入する密嵌筒片16が垂下設されている。
【0036】
なお、外装筒7は、付け替え容器体1を外装体6に組付けた状態で、その下端が、付け替え容器体1の底面5と同じか、底面5よりも下位に位置する高さを有しており、それゆえ外装筒7の下端部は、容器の脚部を形成することになる。
【0037】
機能部キャップ17は、その組付き筒18を外装体6の取り付け筒11に螺合限界位置まで組付けた状態で、組付き筒18の下端部分である当接筒部19の内側面を、外装体6の垂下舌片12の当接面14に、当接もしくは圧接させており、この機能部キャップ17の外装体6に対する螺合組付きは、パッキン20により密に達成されている。
【0038】
付け替え容器体1を外装体6に内装組付けして、係止突条4を係止突片13に対して乗り越え係止させた状態(図1参照)で、機能部キャップ17を外装体6に螺着すると、当接筒部19が垂下舌片12に外装して当接(図2参照)するので、垂下舌片12は、当接筒部19により外側から押え付けられた状態となり、拡径変位が不能となる。
【0039】
このため、係止突条4と係止突片13との係止は解除不能に保持されることになり、外装体6に対する付け替え容器体1の離脱不能な組付けが、強固に達成維持される。
【0040】
反対に、図1の状態から、図3に示すように、外装体6に対して機能部キャップ17を螺脱させると、当接筒部19が垂下舌片12から離れて(図4参照)、垂下舌片12の拡径変位が可能となるので、係止突条4と係止突片13の係止を解除することが可能となり、この状態で、開放欠部8で付け替え容器体1を指先で挟持して引き下げることにより、外装体6から付け替え容器体1を取り外すことができる。
【0041】
図1ないし図4に示した実施形態例にあっては、機能部キャップ17によりポンプ21が外装体6に組付けられるが、このポンプ21は、ノズルヘッド22とシリンダ部23を有しており、またこのポンプ21全体を覆う形態で、外装体6の係止外筒10にオーバーキャップ28が着脱される。
【0042】
図5は、機能部キャップ17を、ヒンジキャップ24のキャップ本体部としたもので、このヒンジキャップ24のキャップ本体部である機能部キャップ17には注出筒25が起立設されており、またこの機能部キャップ17には、注出筒25を開閉する開閉蓋26がヒンジ27を介して連結されている。
【0043】
なお、上記説明においては、機能部キャップ17として、ポンプキャップとヒンジキャップのキャップ本体部を例として説明したが、機能部キャップ17は、この二つに特定されることはなく、内容液の塗布体のキャップや、櫛キャップ等であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明における外装体と機能部キャップの結合構造は、両者の結合が達成されることにより、第三の部材である付け替え容器体の外装体への組付きを確保するものであり、複数の部材を簡単にかつ強固に結合する技術として、幅広い利用展開が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態例の組付き状態を示す、半縦断面図である。
【図2】図1中、丸で囲った部分の、格段断面図である。
【図3】図1の実施形態例の取り外し状態を示す、半縦断面図である。
【図4】図3中、丸で囲った部分の、格段断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態例の組付き状態を示す、半縦断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ;付け替え容器体
2 ;収納部
3 ;口部
4 ;係止突条
5 ;底面
6 ;外装体
7 ;外装筒
8 ;開放欠部
9 ;頂壁
10;係止外筒
11;取り付け筒
12;垂下舌片
13;係止突片
14;当接面
15;切欠き
16;密嵌筒片
17;機能部キャップ
18;組付き筒
19;当接筒部
20;パッキン
21;ポンプ
22;ノズルヘッド
23;シリンダ部
24;ヒンジキャップ
25;注出筒
26;開閉蓋
27;ヒンジ
28;オーバーキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納する有底の収納部の上端部に、外周面に係止突条を設けた口部を立設した付け替え容器体と、筒状の外装筒の上端に、内鍔状の頂壁を介して取り付け筒を立設した外装体と、前記取り付け筒に外装して螺合する組付き筒を備えた機能部キャップとを有し、前記外装体の頂壁から取り付け筒にかけての部分に切欠きを設けることにより、前記係止突条に係止する係止突片を内面に有すると共に、外面を当接面とした垂下舌片を複数残存形成し、前記組付き筒の下端部を、前記当接面に内面が当接する当接筒部とした付け替え容器。
【請求項2】
付け替え容器体を肉薄とした、請求項1に記載の付け替え容器。
【請求項3】
外装筒の下端部に、指先で付け替え容器体を挟持できる開放欠部を設けた請求項1または2に記載の付け替え容器。
【請求項4】
付け替え容器体を外装体に組付けた状態で、前記外装体の下端が付け替え容器体の下端よりも下位に位置させた請求項1〜3のいずれか1項に記載の付け替え容器。
【請求項5】
垂下舌片より上の取り付け筒内面箇所から、内鍔片を介して口部に密嵌入する密嵌筒片を垂下設した請求項1〜4のいずれか1項に記載の付け替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−155620(P2010−155620A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333876(P2008−333876)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】