説明

付加物付容器

【課題】容器本体に充填される内容物と、それに関連する付加物を組み合わせて販売する場合に、いちいち容器本体の蓋体を開閉しなくても付加物を取り出すことができ、しかも、蓋体も上蓋も軽い力で開けることのできる、優れた付加物付容器を提供する。
【解決手段】容器本体11と、上記容器本体11の上面開口を蓋する蓋体12とを備え、上記蓋体12が、容器本体11内に充填される内容物とは異なる付加物を収納するための凹部23を有する蓋体台部13と、上記凹部23の開口をスライド自在に蓋する上蓋14とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体内の内容物とは異なる付加物を蓋体部分に収納することのできる容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、ボトルタイプの容器に粒状のチューインガムを多数充填したものが、多く出回っている。このような容器では、チューインガムを噛んだあと包んで捨てるための捨て紙を、チューインガムとともに収納して販売することが望まれており、例えば、図8(a)に示すように、容器本体1の上面開口に取り付けられる蓋体2の内側に、冊子状の捨て紙3を接着保持させたものや、図8(b)に示すように、容器本体1内に仕切り4を設け、チューインガムを充填するスペース5とは別に捨て紙3充填用のスペース6を設けたもの(蓋体2は図示を省略)が、提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3101914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの容器では、チューインガムを喫食するたびに、チューインガムを取り出すときと捨て紙3を取り出すときの2回、蓋体2を開閉しなければならず、その開閉の繰り返しによって、蓋体2の開閉部の強度や密閉性が、低下しやすいという問題がある。また、捨て紙3を取り出す際、蓋体2を大きく開かなければならず、その都度ほこりや手指についた雑菌が容器内に侵入して衛生的でないという問題もある。
【0004】
そこで、図9に示すように、蓋体2に厚みをもたせ、その上面に捨て紙3収納用の凹部7を設け、この凹部7の上面開口を、ヒンジ連結によって取り付けた上蓋8でさらに蓋したものが提案されている。しかし、このものは、上蓋8を開けるとき、その力で蓋体2全体が開いてしまわないように、蓋体2と容器本体1との係合を、従来よりも強固にせざるを得ず、蓋体2を開けるとき、強い力が必要となる。また、蓋体2が分厚い分、力の入れ方が難しいという問題もある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、チューインガムと捨て紙のように、容器本体に充填される内容物と、それに関連する付加物を組み合わせて販売する場合に、いちいち容器本体の蓋体を開閉しなくても付加物を取り出すことができ、しかも、蓋体も上蓋も軽い力で開けることのできる、優れた付加物付容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、容器本体と、上記容器本体の上面開口を蓋する蓋体とを備え、上記蓋体が、容器本体内に充填される内容物とは異なる付加物を収納するための凹部を有する蓋体台部と、上記凹部開口をスライド自在に蓋する上蓋とで構成されている付加物付容器を第1の要旨とする。
【0007】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記蓋体台部の上面に、付加物収納用の凹部開口を挟んで左右一対の平行な係合用溝が形成されているとともに、上記上蓋下面に、左右一対の平行な係合用凸条が形成されており、上記係合用溝と係合用凸条の係合により、上記上蓋が蓋体台部にスライド自在に取り付けられている付加物付容器を第2の要旨とし、上記蓋体台部の凹部開口の左右両側縁部に、あり溝が形成されているとともに、上記上蓋下面に、あり部が形成されており、上記あり溝とあり部の係合により、上記上蓋が蓋体台部にスライド自在に取り付けられている付加物付容器を第3の要旨とする。
【0008】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、蓋体が容器本体の上面開口を蓋した状態で、上記蓋体台部の付加物収納用の凹部が、容器本体の上面開口の内側に入り込むようになっている付加物付容器を第4の要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
すなわち、本発明の付加物付容器は、蓋体台部に付加物収納用の凹部を設け、その凹部開口を、スライド自在に取り付けられた上蓋でカバーするようにしたものである。この付加物付容器によれば、いちいち蓋体全体を開けなくても、蓋体のうち上蓋のみを開けて、蓋体台部の凹部内に収納された付加物を取り出すことができるため、蓋体全体の開閉回数を少なくすることができ、蓋体の開閉部の強度や密封性を従来品より長く維持することができる。そして、容器本体内を、より清浄に保つことができる。また、上蓋を大きくスライドさせなくても、その下の凹部内に収納された付加物を取り出せる程度に開けばよいため、開閉を繰り返しても、付加物自体をも比較的衛生的に保つことができる。
【0010】
また、本発明のなかでも、特に、上記蓋体台部の上面に、付加物収納用の凹部開口を挟んで左右一対の平行な係合用溝が形成されているとともに、上記上蓋下面に、左右一対の平行な係合用凸条が形成されており、上記係合用溝と係合用凸条の係合により、上記上蓋が蓋体台部にスライド自在に取り付けられているものは、スライドによる上蓋の移動がスムーズで、長期にわたって良好に使用することができる。そして、上記蓋体台部の凹部開口の左右両側縁部に、あり溝が形成されているとともに、上記上蓋下面に、あり部が形成されており、上記あり溝とあり部の係合により、上記上蓋が蓋体台部にスライド自在に取り付けられているものも、同様に、スライドによる上蓋の移動がスムーズで、長期にわたって良好に使用することができる。
【0011】
さらに、本発明のなかでも、特に、蓋体が容器本体の上面開口を蓋した状態で、上記蓋体台部の付加物収納用の凹部が、容器本体の上面開口の内側に入り込むようになっている付加物付容器は、蓋体のうち、容器本体の上面開口より上に配置される部分の厚みを薄く設定することができるため、全体形状がコンパクトになるとともに、容器本体から蓋体を開けるときに、蓋体に力をかけやすく開けやすいという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明を実施するための最良の形態を示している。この容器は、粒状のチューインガムを多数個充填して販売に供するもので、ポリプロピレン製の容器本体11と、この容器本体11の上面開口を蓋するポリエチレン製の蓋体12とで構成されている。
【0014】
より詳しく説明すると、上記容器本体11は、図1のA−A′断面図である図2に示すように、首部11aが胴部11bよりやや小径に絞られたボトル形状で、この中に、粒状のチューインガムが多数個充填されるようになっている。また、上記蓋体12は、容器本体11の首部11aに冠着される蓋体台部13と、この蓋体台部13にスライド自在に取り付けられる上蓋14とで構成されている。
【0015】
上記蓋体台部13は、容器本体11の上面開口を蓋する天井壁15と、その周端縁から垂下して容器本体11の首部11aに外嵌する第1の円筒部16と、容器本体11の上面開口から容器内側に入り込んで内部を密封する第2の円筒部17とを備えている。
【0016】
上記第1の円筒部16には、図1に示すように、上下2本のスリット18、19が周方向に形成されており、開封時に、この2本のスリット18、19に挟まれた帯状部分Pを取り外す(奥側の所定部分はつながったままで、蓋体12の開閉用ヒンジ部となる)ことにより、スリット18から上の部分を、いわゆる「蓋」として開閉させることができるようになっている(図6参照)。21は上記帯状部分Pを取り外す際のつまみ部であり、22は、スリット18から上の部分を上に開くときに指をかけるための突出片である。
【0017】
また、上記蓋体台部13の天井壁15の中央部には、平面視長方形状の凹部23(図3参照)が設けられており、この凹部23内に、粒状チューインガムを喫食後、包んで捨てるための捨て紙30が重ねて収納されるようになっている(図4参照)。そして、この凹部23の左右両側の凹部開口縁部に、それぞれあり溝24、25が形成されており、このあり溝24、25を、上蓋14の下面から突出する突出部26の左右両側に設けられたあり部27、28(図5参照)と係合させることにより、上蓋14を、前後方向にスライド自在に保持している。ただし、蓋体台部13から完全に上蓋14が抜けないよう所定の部分に、抜け止め手段が設けられている(図示せず)。
【0018】
上記上蓋14を手前から後にスライドさせた状態を図3に示す。また、凹部23内に捨て紙30を収納した状態を図4に示す。なお、31は、凹部23内から捨て紙30を取り出すとき、取り出しやすくするために、凹部23の開口縁部手前側に設けられた小凹部である。また、32は、上蓋14をスライドさせるとき指をかけるために、上蓋14の上面手前側に設けられた小凹部である。
【0019】
さらに、上記蓋体台部13の凹部23内に収納される捨て紙30は、1枚1枚がばらばらではなく、多数枚重ねた状態で、互いの奥側の一辺部を粘着剤で弱く接着して冊子状にしたものが収納されるようになっている。
【0020】
上記容器によれば、粒状チューインガムを取り出す場合は、図6に示すように、容器本体11の上面開口に冠着された蓋体12自体を開けて、中の粒状チューインガムを取り出し、これを噛んだ後は、図4に示すように、蓋体12を閉じたまま、その上蓋14をスライドさせて、凹部23内の捨て紙30を1枚取り出し、これでチューインガムを包んで捨てればよい。このように、捨て紙30を、蓋体12を閉じた状態で取り出すことができるため、蓋体12の開閉回数を少なくすることができ、蓋体12の開閉部の強度や密封性を従来品より長く維持することができる。そして、容器本体11内を、より清浄に保つことができる。また、上蓋14は、前後方向にスライドさせて開閉するものであり、この開閉動作時に、蓋体12が開くおそれはないため、蓋体12自体と容器本体11の係合を強くする必要はなく、それぞれの開閉をスムーズに行うことができる。
【0021】
しかも、上記容器は、捨て紙30を収納する凹部23が、蓋体台部13の、容器本体11の上面開口と嵌合する第2の円筒部17の内側に設けられており、容器本体11の内側に入り込む配置になっているため、蓋体12が分厚くならず、全体としてコンパクトになる。そして、蓋体12が分厚くならないため、容器本体11から蓋体12を開けるとき、蓋体12に力をかけやすく、開けやすいという利点を有する。
【0022】
さらに、蓋体12において、上蓋14を大きくスライドさせなくても、凹部23内に収納された捨て紙30を手前に引き出せる程度に開けばよいため、凹部23内も、比較的衛生的に保つことができる。
【0023】
なお、上蓋14と蓋体台部13をスライド自在に係合させる方法として、上記の例では、凹部23近傍に設けたあり溝24、25と、上蓋14下面に設けたあり部27、28とを係合させるようにしているが、これに限らず、適宜の係合方法を適用することができる。例えば、上記蓋体台部13の上面に、凹部23の開口を挟んで左右一対の平行な係合用溝を形成し、上記上蓋下面に、左右一対の平行な係合用凸条を形成して、上記係合用溝と係合用凸条の係合により、上記上蓋14を蓋体台部13にスライド自在に取り付けるようにしてもよい。なお、この場合も、適宜の抜け止め手段が必要である。
【0024】
また、スライドの方向も、容器正面に対し前後方向にスライドさせる必要はなく、左右方向や斜め方向にスライドさせるようにしてもよい。あるいは、図7に示すように、上蓋14を、蓋体台部13の天井壁15(図2参照)の一個所に、ピン50を介して回動自在に取り付け、図示のように横方向にスライドさせて、凹部23を露出させるようにしても差し支えない。
【0025】
さらに、容器の全体形状や容器本体11への蓋体12の取付形態は、上記の例に限らず適宜に設定することができる。例えば、容器形状として、円柱状、四角柱状、楕円柱状等の容器、背の低い略板状容器等があげられる。そして、容器本体11と蓋体台部13の取り付け方法としては、上記の例の他、ねじによるら合等があげられる。
【0026】
そして、蓋体台部13に設けられる凹部23は、必ずしも、蓋体12を閉じた状態で、容器本体11の内側に入り込むようにする必要はなく、容器本体11の上面開口から上になるような配置にしてもよい。ただし、すでに述べたように、容器本体11の内側に入り込むようにした方が、全体がコンパクトになり、また蓋体12の開閉動作もしやすく好ましい。
【0027】
そして、上記の例は、本発明を、粒状チューインガムと捨て紙を組み合わせて販売する容器に適用したものであるが、内容物およびこれに付加する物品は、特に限定するものではない。例えば、容器本体にファンデーションを充填し、蓋体台部13の凹部23内に油とり紙を収納して組み合わせたものや、容器本体にネイル(付け爪)を充填し、蓋体台部13の凹部23内に装飾用の石やビーズを収納して組み合わせたもの等、各種のものに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】図1のA−A′断面図である。
【図3】上記実施例の蓋体の説明図である。
【図4】上記実施例の蓋体に捨て紙を収納した状態を示す説明図である。
【図5】上記実施例の上蓋の下面を示す説明図である。
【図6】上記実施例の蓋体を開けた状態を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す部分的な説明図である。
【図8】(a)および(b)は、いずれも従来のチューインガム容器の説明図である。
【図9】従来の他のチューインガム容器の説明図である。
【符号の説明】
【0029】
12 蓋体
13 蓋体台部
14 上蓋
23 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、上記容器本体の上面開口を蓋する蓋体とを備え、上記蓋体が、容器本体内に充填される内容物とは異なる付加物を収納するための凹部を有する蓋体台部と、上記凹部開口をスライド自在に蓋する上蓋とで構成されていることを特徴とする付加物付容器。
【請求項2】
上記蓋体台部の上面に、付加物収納用の凹部開口を挟んで左右一対の平行な係合用溝が形成されているとともに、上記上蓋下面に、左右一対の平行な係合用凸条が形成されており、上記係合用溝と係合用凸条の係合により、上記上蓋が蓋体台部にスライド自在に取り付けられている請求項1記載の付加物付容器。
【請求項3】
上記蓋体台部の凹部開口の左右両側縁部に、あり溝が形成されているとともに、上記上蓋下面に、あり部が形成されており、上記あり溝とあり部の係合により、上記上蓋が蓋体台部にスライド自在に取り付けられている請求項1記載の付加物付容器。
【請求項4】
蓋体が容器本体の上面開口を蓋した状態で、上記蓋体台部の付加物収納用の凹部が、容器本体の上面開口の内側に入り込むようになっている請求項1〜3のいずれか一項に記載の付加物付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−123944(P2006−123944A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312397(P2004−312397)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【出願人】(393029974)カネボウフーズ株式会社 (64)
【Fターム(参考)】