付着力が増大された接着接合アセンブリ
本発明は、接着接合要素の分野に関する。接着剤の制御された収縮を通じて、複数の基材部への付着力を向上させ、その結果、接着接合要素によって伝達された結合要素間における力を増大されることが可能となることが明らかになった。接着剤の縮幅部を有する接着接合要素をどのように製作するかについての様々な方法が開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤を含む基材部の接着接合の分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
接着接合アセンブリを製作する際、接着剤は、接合される基材部に三角ビード形状に塗付され、次いでさらなる基材部と共に圧縮される。望むべき接着剤層の厚さに押圧された後、接着剤が、接着接合アセンブリの接着を通じて横断面に、接合ビードに対して横方向に、長方形、正方形、樽形、又は台形、若しくは菱形、若しくは菱形の形状を有するように、三角ビードの外形寸法は意図される。
【0003】
付着力は、接着剤技術の主要目的である。その理由として、被着材、即ち接着接合アセンブリの接合基材部、の間の作用力は、接着剤が基材部に付着力を発揮する場合にのみ力が伝達され得ることが挙げられる。接着剤の接合される基材部への接着力は材質に極めて依存することから、多くの場合に下塗剤が用いられ、この下塗剤が、接着剤と基材部との間の接着架橋(bonding bridge)となる。
【0004】
しかしながら、接着接合体におけるこのような典型的な配置、特に高弾性接着剤が使用される場合、不利であり、とりわけ低温において不利であることわかった。力負荷条件下で、基材部と接着剤との間、基材部と下塗剤との間、又は下塗剤と接着剤との間の界面、若しくは基材部内の表面に近接する界面における接着接合の不具合が頻繁に発生することが見出された。接着接合の弱い点は、とりわけ接着剤のそれぞれの縁部に存在する。これらの箇所において、三つの媒体、すなわち接着剤、基材部又は下塗剤、及び本明細書にて“接着剤と隣接する媒質(M)”と称され、一般に空気である第三の媒体が互いに接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3971751号明細書
【特許文献2】米国特許第6207766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、付着力が増大され、且つそれによって大きな力伝達が特徴付けられる接着接合アセンブリを提供することである。
【0007】
本発明の目的は、請求項1に記載の接着接合アセンブリによって達成される。極めて意外なことに、付着力及び力伝達それぞれの増大は、接着剤の意図的に形成される形状、すなわち接着剤の縮幅部のよって達成されてよい。結果的に、接着剤が硬化する前に単純な方法ステップによって、接着剤の化学組成を変化することなく、接着接合で伝達される力の粘性及びレベルを増大することは可能である。この効果は、特に低温、即ち<0℃、さらに詳しくは<−20℃において発揮される。この効果は、大きな、且つ重要な技術的進歩であることは明らかである。とりわけ驚くべきことに、これら方法ステップは極めて単純な方法ステップであり、多額の費用若しくは複雑さを必要とせずに実現することが可能である。
【0008】
本発明の対象は、接着接合アセンブリのみならず、請求項11、12、及び14に記載の接着接合アセンブリを製作する方法、また同様に請求項18に記載の方法によって製作された硬化製品、及び請求項19に記載の力伝達を増大する方法など、多様な可能性を含むものである。
【0009】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項の対象である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1の基材部(S1)と第2の基材部(S2)とを備えた接着接合アセンブリに関し、これら第1の基材部及び第2の基材部は、接着剤(K)で互いに接合する。接着接合アセンブリは、第1の基材部(S1)と接着剤との間に第1の下塗剤(P1)を、且つ/若しくは第2の基材部(S2)と接着剤との間に第2の下塗剤(P2)を任意に有する。
【0011】
接着剤(K)は、第1の基材部(S1)の表面と垂直な接合アセンブリの断面(Q)において、接着剤(K)の最小断面領域を形成し、縮幅部を呈する。縮幅部は、一般に、接着剤を接着剤から成るビードとして塗付した場合に、ビード方向に対して横方向の断面である。この接着剤は、一般的な工業用接着ボンドでよい。
【0012】
本明細書を通じて使用される用語「基材部」は、接着接合が生じる、若しくは生じた表面を有する固形部材を意味する。
【0013】
接着剤が第1の基材部(S1)、又は存在する場合には第1の下塗剤(P1)、と接触する領域、及び接着剤が第2の基材部(S2)、又は存在する場合には第2の下塗剤(P2)、と接触する領域において、接着剤が内部領域より広域な層を有するとき、縮幅部が存在する。
【0014】
本明細書を通じて使用される「縮幅部」の可能な定義の一つとして、以下に記述する。断面(Q)において、縮幅部の長さ(d2)とも称される、縮幅部の距離(d2)は、二つの界面長さ(d1)のより短い方よりも短い。この断面(Q)において縮幅部の距離(d2)は、接着剤に接する媒質と接着剤との間の二つの界面間の、接着剤の最小距離である。この界面長さ(d1)は、接着剤から基材部(S1、S2)若しくは存在するならば下塗剤(P1、P2)への接触する距離の長さである。
【0015】
接着剤と隣接する媒質(M)は、第1の基材部(S1)と第2の基材部(S2)とのどちらでもなく、また第1の下塗剤(P1)でも第2の下塗剤(P2)でもない。接着剤と隣接する媒質(M)は、一般に空気である。
【0016】
ここで、特に、縮幅部の長さ(d2)の界面の長さ(d1)に対する比d2/d1の値は、1よりも小さく、0よりも大きく、さらに詳しくは0.5〜0.9の値であり、好ましくは、0.5〜0.8である。
【0017】
縮幅部の一つの好適な実施形態では、上述した断面(Q)において、第1の角度(α1)と、第2の角度(α2)と、第3の角度(α3)と、第4の角度(α4)を形成し、それぞれの角度が>5°、<85°である。
【0018】
ここで、第1の角度(α1)は、第1の接点(C1)において、第1の接点(C1)と第2の接点(C2)との間の距離と、第1の接点(C1)と第1の縮幅点(E1)との間の距離とによって形成される角度である。
【0019】
第2の角度(α2)は、第2の接点(C2)において、第2の接点(C2)と第1の接点(C1)との間の距離と、第2の接点(C2)と第2の縮幅点(E2)との間の距離とによって形成される角度である。
【0020】
第3の角度(α3)は、第3の接点(C3)において、第3の接点(C3)と第4の接点(C4)との間の距離と、第3の接点(C3)と第1の縮幅点(E1)との間の距離とによって形成される角度である。
【0021】
第4の角度(α4)は、第4の接点(C4)において、第4の接点(C4)と第3の接点(C3)との間の距離と、第4の接点(C4)と第2の縮幅点(E2)との間の距離とによって形成される角度である。
【0022】
ここで、第1の縮幅部(E1)及び第2の縮幅部(E2)は、縮幅部の距離(d2)の各端点を示す。
【0023】
これら記載されたすべての角度(α1、α2、α3、α4)は、接着剤の上を通る。
【0024】
上述した断面(Q)において、三つの媒体、すなわち接着剤(K)と、基材部(S1、S2)あるいは該基材部(S1、S2)に下塗り被覆が施されている場合は下塗剤(P1、P2)と、接着剤と隣接する媒質(M)とが互いに“接点”において接触する。
【0025】
最後に、この断面(Q)において、第1の接点(C1)、第3の接点(C3)、及び第1の縮幅部(E1)が、接着剤と該接着剤に接する媒質(M)との間の同一界面(P1)上に位置する一方で、第2の接点(C2)、第4の接点(C4)、及び第2の縮幅部(E2)は、接着剤と該接着剤に接する媒質(M)との間の同一界面(P2)上に位置する。二つの界面(P1、P2)は、接着剤の異なる面に位置する。
【0026】
一つの好適な実施形態において、第1の角度(α1)及び/又は第2の角度(α2)及び/又は第3の角度(α3)及び/又は第4の角度(α4)の値が、10°〜80°、さらに詳しくは25°〜75°、好ましくは35〜70°、より好ましくは45°〜65°である。
【0027】
さらなる好適な実施形態において、第1の角度(α1)、第2の角度(α2)、第3の角度(α3)、第4の角度(α4)の値すべてが、10°〜80°、さらに詳しくは25°〜75°、好ましくは35〜70、より好ましくは45°〜65°である。
【0028】
記載されている角度(α1、α2、α3、α4)が極めて大きい、すなわち85°より大きい場合、付着力の増加はごく僅かである。また、極めて小さい、すなわち5°より小さい角度を有する接着接合アセンブリは、製作するのに非常に困難である一方、簡素な縮幅部及び接着剤部分の限られた結合力であるため、一般に小さな力を伝達する場合にのみ使用することができる。
【0029】
第1の基材部(S1)及び第2の基材部(S2)は、同じ、若しくは異なる材質で形成される。基材部は、複数の可能な材質で形成されてもよい。
【0030】
適切な基材部(S1、S2)の例として、ガラス、ガラス・セラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏、及び天然石(花崗岩又は大理石など)などの無機性基質;アルミニウム、鋼鉄、非鉄金属類、亜鉛めっき金属類などの金属若しくは合金;木材やプラスチック(PVC、ポリカーボネート類、PMMA、ポリエステル類、エポキシ樹脂など)の有機基質;粉体塗装された金属、合金などの被覆された基質;塗料及びワニス、とりわけ自動車のトップコート、が挙げられる。
【0031】
縮幅部を有する接着剤の形状によって得られる付着力の増大、若しくはより高い伝達力は、基材部が被覆された場合にさらに有利な結果をもたらすことがわかった。さらに詳しくは、塗膜が被覆される基材部に対して低付着力、及び/又は低強度を示す被覆基材部の場合に、本発明の長所が特に発揮される。
【0032】
この種の被覆された基材部は、さらに詳しくは被覆金属または金属合金である。
【0033】
第1の好適な実施形態において、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)は金属又は合金であり、これらの表面は化学的前処理によって、さらに詳しくは、耐食性を高めるために化学的前処理によって改質される。この種の化学的前処理は、一般に亜鉛めっき作業である。化学的前処理によって改質された表面を有する基材部は、さらに詳しくは、亜鉛めっきされた基材部である。ここで亜鉛めっきは、さらに詳しくは、溶融亜鉛めっき、電解亜鉛めっき、又はBonazinc(商標)、Galvalume(商標)、Galfan(商標)若しくはガルバニーリング(galvanneal)の処理過程を経て得られる。
【0034】
化学的前処理によって改質された表面を有する好適な基質は、溶融亜鉛めっきされた鋼鉄、Bonazinc(商標)鋼鉄、Galvalume(商標)鋼鉄、Galfan(商標)鋼鉄、若しくはガルバニーリング処理した鋼鉄であり、さらに詳しくは、溶融亜鉛めっきされた鋼鉄、電解亜鉛めっきされた鋼鉄、Bonazinc(商標)鋼鉄、若しくはガルバニーリング処理した鋼鉄である。本実施形態において、最も好適な第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)はガルバニーリング処理した鋼鉄である。
【0035】
第2の好適な実施形態において、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)は被覆された金属又は合金である。被覆された金属又は合金は一つ以上の塗膜を含んでよい。ここで塗膜は、一般に自動車塗膜であり、好ましくはカチオン電着塗装、中塗り、適切な場合にはベースコート、及びトップコートを特徴とする。接着剤は、随意に下塗剤を経て、被覆された金属又は合金と接触することが好ましい。
【0036】
第3の好適な実施形態において、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)は下塗剤で被覆された基材部であり、さらに詳しくは、下塗剤で被覆されたガラス、ガラス・セラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏、及び花崗岩又は大理石などの天然石;アルミニウム、鋼鉄、非鉄金属類、亜鉛めっき金属類などの金属若しくは合金;木材やプラスチック(PVC、ポリカーボネート類、PMMA、ポリエステル類、エポキシ樹脂など)の有機基質;粉体塗装された金属又は合金などの被覆された基質;塗料及びワニス、とりわけ自動車のトップコート、が挙げられる。下塗剤は、さらに詳しくは、エポキシ基又はイソシアネート基を含有する結合剤を含む下塗剤である。
【0037】
実際に、この方法で被覆された基材部は、従来技術による接着接合アセンブリにおいて、基材部からの塗膜の剥離、若しくは一定の力負荷、さらに詳しくは剥離力存在下、塗膜の凝縮破壊(cohesive fracture)が生じることがわかった。しかしながら、驚くべきことに、本発明によるシステムを用いることによって、このような問題は生じないか、生じにくいことがわかった。
【0038】
第1の基材部(S1)及び第2の基材部(S2)は、互いに平行に配置されることが好ましい。当業者にとって、基材部が平面ではない、若しくは互いに平行に配置されていない接着接合構造が存在することは、言うまでもなく明白なことである。
【0039】
“接着剤の最終厚さ”とも称する、接着剤層の最終的な厚さ(dk)は、好ましくは1mm〜20mm、さらに詳しくは1mm〜10mm、より好ましくは3mm〜8mmである。接着剤の最終厚さ(dk)は、記載されている断面(Q)において、第1の接点(C1)と第3の接点(C3)との間、あるいは第2の接点(C2)と第4の接点(C4)との間の距離に対応する。これら二つの距離が等しい距離で無い場合、すなわち基材部(S1、S2)の表面が互いに平行でない場合、接着剤の平均厚さ、さらに詳しくは、第1の接点(C1)から第3の接点(C3)への距離と、第2の接点(C2)から第4の接点(C4)への距離とから得られる平均値は、接着剤の最終厚さ(dk)として示される。
【0040】
原則として、基材部間に介在する接着剤層の厚さは、如何なる役割も果たさない。接着剤層の最終的な厚さは、1mm〜20mmであり、さらに詳しくは1mm〜10mm、好ましくは3mm〜8mmである。
【0041】
上述された接着接合アセンブリ構造の定義が、無負荷状態で使用され、加えられる力による引張荷重下でないということは、本発明を理解するために極めて重要である。しかしながら、本文脈中で使用される用語“無負荷”は、絶対的な用語であると解釈されるべきではない。どのような接着接合においても、さらなる硬化の過程においてでさえ、例えば被着体の重さによって生じる重力など、作用する特定の力が存在することは当業者にとって明白である。従って、使用される用語“無負荷”の解釈については、接着剤が硬化されるときにさえ生じるすべての力を無視する必要がある。
【0042】
界面長さ(d1)は、一般的に2mm〜4cm、さらに詳しくは5mm〜2cmの値を有する。接着剤は、以下により詳細に説明されるように、三角ノズルを用いて、実質的に界面長さ(d1)に対応する底幅を有する三角ビードとして典型的に塗付されるので、界面長さ(d1)として8mm〜16mmの値が好ましい。
【0043】
実際、接着剤(K)は異なってもよい。原則として、いかなる既知の接着剤は適切である。ここで問われる接着剤は、さらに詳しくは反応型接着剤であり、すなわち、塗付に続いて化学反応し、その結果、架橋される接着剤である。この種の化学反応は、二成分接着剤の二つの成分の反応によるものであるか、若しくは空気中の水分との反応によるものであってよい。
【0044】
この種の化学的架橋システムの例としては、二成分形又は一成分形の可能性が挙げられる。二成分接着剤は、さらに詳しくは、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、(メタ)アクリル酸系接着剤である。一成分接着剤は、特に、ポリウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、及びアルコキシシラン官能基を有するプレポリマーに基づいた接着剤などの湿気硬化型である。
【0045】
二成分接着剤は、二つの成分が混合されたとき、ラジカル重合、アニオン重合、又はカチオン重合、若しくは付加反応、或いは縮合反応を経て架橋されてよい。
【0046】
(メタ)アクリル酸系接着剤は、第1の成分がアクリル酸、及び/又はメタクリル酸、及び/又はこれらのエステル類を含有し、第2の成分が遊離基開始剤、さらに詳しくは過酸化物を含有する二成分接着剤である。そのような好ましい接着剤は、Sika Schweiz AGの製品品目SikaFast(登録商標)として市販されている。
【0047】
エポキシ樹脂系接着剤は、グリシジルエーテル類、さらに詳しくは、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFのジグリシジルエーテルに基づいて配合された接着剤である。特に適しているのは、二成分エポキシ樹脂系接着剤であり、第1の成分はビスフェノールA及び/又はビスフェノールFのジグリシジルエーテル類を含有し、第2の成分はポリアミン類及び/又はポリメルカプタン類を含有する。典型的な二成分エポキシ樹脂系接着剤は、Sika Schweiz AGの製品品目Sikadur(登録商標)として販売されている。
【0048】
二成分ポリウレタン系接着剤は、一般に、一方の成分としてポリイソシアネート類を含有し、他方の成分としてポリアミン及び/又はポリオールを含有する。典型的な二成分ポリウレタン系接着剤は、Sika Schweiz AGの製品品目SikaForce(登録商標)として販売されている。
【0049】
湿気硬化型の一成分ポリウレタン系接着剤は、イソシアネート基を含み、大気中水分の影響を受けて架橋するきっかけを与えるポリウレタンプレポリマー類を含有する。
【0050】
これらイソシアネート基を含むプレポリマー類は、一般にポリオール類とポリイソシアネート類とから生成される。この目的に適したポリオール類は、とりわけジオール類及びトリオール類であり、さらに詳しくは、ポリエステルジオール類、ポリエステルトリオール類、ポリオキシアルキレンジオール類、ポリオキシアルキレントリオール類、ポリエーテルジオール類、ポリエーテルトリオール類、及びこれらの組み合わせである。
【0051】
例えば、いわゆるダブルメタルシアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて得られる、(ASTM D−2849−69に準拠して測定され、且つポリオール1グラム当たりのミリ当量不飽和度(mEq/g)によって表される低い不飽和度)を有するポリオキシアルキレンポリオール類が用いられる場合、とりわけ有利であることが明らかになった。特に適しているのは、不飽和度0.02mEq/g以下を有し、且つ1,000〜30,000g/molの範囲内の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール類又はポリオキシアルキレントリオール類、及び400〜8,000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール類及びポリオキシプロピレントリオール類である。本明細書において、用語“分子量”は平均分子量Mnを示す。
【0052】
イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーに用いられるポリイソシアネート類の例として、以下の市販されているポリイソシアネート類が挙げられる。例として、ここでは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネートならびにこれら異性体の任意の望ましい混合物、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(即ち、イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロ−2,4’−及び−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4−ジイソシアナート−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、メタ−及びパラ−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−XDI)、メタ−及びパラ−テトラメチル−1,3−及び−1,4−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−TMXDI)、ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ナフタレン、2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネートならびにこれら異性体の任意の望ましい混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−、及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートならびにこれら異性体の任意の望ましい混合物(MDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナートベンゼン、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナートビフェニル(TODI)、上述したイソシアネート類のオリゴマー類及びポリマー類、及び上述したイソシアネート類の任意の望ましい混合物である。
【0053】
別々に生成されたポリウレタンプレポリマーの組み合わせは特に有利であることがわかり、さらに詳しくは、これら少なくとも一種がポリエステルジオールとポリイソシアネートとから生成され、少なくとも一種がポリオキシアルキレンジオールとポリイソシアネートとから生成される。当然ながら、ポリオール混合物から、とりわけ少なくとも一種のポリエステルジオール、少なくとも一種のポリオキシアルキレンジオール、及び少なくとも一種のポリイソシアネートのポリオール混合物から、in-situ反応により生成されたポリウレタンプレポリマー混合物も同様に特に有利である。特に、この方法によって“クイック・フィックス(quick−fix)”と称する特性を示す、ポリウレタンの接着剤及びポリウレタンの封止材を合成することが可能である。この種の接着剤は、約50〜80℃のわずかに高い温度で塗付される。この温度では、関連するプレポリマーは融解された状態にある。接着剤が室温に冷却されると、利用されるプレポリマーの少なくとも一部が固化される。この種のクイック・フィックス接着剤は極めて有利であり、これは接着接合アセンブリの縮幅部の形成が成し遂げられた後、滑りを防止するために、接合アセンブリが硬化されるまで固定されなくてよい十分な耐荷重力を既に生成しているからである。
【0054】
好ましい湿気硬化型(moisture curing)ポリウレタン接着剤は、Sika Schweiz AGの製品品目Sikaflex(登録商標)として市販されている。
【0055】
湿気硬化型シリコーン接着剤は、ポリオルガノシロキサン類に基づいた接着剤であり、シロキサン基−Si−O−Si−を含有する。湿気硬化型シリコーン接着剤は、しばしばRTV−1(RTV−1:一成分性室温加硫型)シリコーン類とも称される。湿気の影響下における硬化は、特にアルコール類又は酸類、主にメタノール、エタノール、及び酢酸の放出と共に生じる。この種の湿気硬化型接着剤は、例えばElastosil(登録商標)の商標名でWacker Chemie AGより市販されている。
【0056】
アルコキシシラン官能基を含むプレポリマー類に基づいた様々な接着剤がある。特に好ましくは、アルコキシシラン官能基を含むポリマー:
i) アミノアルコキシシランとイソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーとの反応を経て得られる、シラン官能基を有するポリウレタンプレポリマー(P1)、
ii) イソシアネートアルコキシシランと水酸基を含有するプレポリマーとの反応を経て得られる、シラン官能基を有するポリウレタンプレポリマー(P2)、
iii) 末端二重結合を有するプレポリマーのヒドロシリル化を経て得られる、シラン官能基を有するプレポリマー(P3)、
の三種のうち一つに基づいている。
【0057】
シラン官能基を有するポリウレタンプレポリマーP1は、アミノアルコキシシランから、及び一成分性湿気硬化型ポリウレタン接着剤のためにすでに記述されるイソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーから好ましくは生成される。とりわけ適したアミノシラン類は、Si−C結合を経てケイ素原子に付随し、少なくとも一つのアミノ基を含有する、有機官能基を有するトリアルコキシシラン類である。
【0058】
シラン官能基を有するポリウレタンプレポリマーP2は、既述され、且つイソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマー類の生成に用いられる、ポリイソシアネート類及びポリオール類から好ましくは生成される。しかしながら、化学量論によって、水酸基を含有するプレポリマー類が生成されるように反応する。適切なイソシアナートアルコキシシラン類は、さらに詳しくはSi−C結合を経てケイ素原子に付随し、且つ少なくとも一つのイソシアネート基を含有する有機官能基を有するトリアルコキシシラン類である。
【0059】
市販されているシラン官能基を有するポリウレタンプレポリマーP2の例として、Spur+(登録商標) 1010LM、1015LM、1050MM(すべてGE社より市販)、及びGeniosil(登録商標)STP−E15、Geniosil(登録商標)STP−E35(共にWacker Chemie AGより市販)の商標名を有する製品が挙げられる。
【0060】
シラン官能基を有するプレポリマーP3は、末端二重結合を有するプレポリマーのヒドロシリル化を経て得られる。末端二重結合を有するプレポリマーは、例えば、ポリ(メタ)アクリレートポリマー類又はポリエーテルポリマー類、特に、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている末端アリル基を有するポリオキシアルキレンポリマー類が挙げられる。
【0061】
市販されているシラン官能基を有するプレポリマーP3の例として、MS−Polymer(登録商標) S203(H)、S303(H)、S227、S810、MA903、S943、及びSilyl(登録商標) SAX220、SAX350、SAX400、SAX725、及びSilyl(登録商標) SAT350、SAT400、及びまたXMAP(登録商標)SA100、SA310S(すべてKaneka社より入手);Polymer ST50(Hanse−Chemieより入手);及びExcestar(登録商標)S2410、S2420、S3430、S3630、W2450、MSX931(すべて旭硝子社より市販)の商標名を有する製品が挙げられる。
【0062】
接着剤は、とりわけ流動性から粘性の接着接合剤及び充填剤に基づくペースト状の接着剤であることが好ましい。
【0063】
接着剤は、イソシアネート基及び/又はシラン基を含有するポリウレタンプレポリマーに基づいた、カーボンブラックが充填された湿度硬化型接着剤であることがとりわけ好ましい。
【0064】
接着剤の反応性、若しくはオープンタイム(open time)は、接着接合アセンブリが以下記載されているとおりに製作されるように、より詳細に選択される。
【0065】
本発明の接着接合アセンブリがいかに製作されるかについては、様々な可能性がある。縮幅部は、
1)接着剤硬化前に接着ボンドを意図的に引き伸ばすことによる、
2)特定の形状を有する差込形材(insertion profile)を使用することによる、
3)丸みを帯びたスパチュラを用いて接着剤接合部から接着剤を機械的に取り除くことによる、
のうちいずれか一つの方法で形成されることが好ましい。
【0066】
接着接合アセンブリの製作の第1の方法において、
i)第1の基材部(S1)の表面上に、接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
ii)接着剤(K)が第2の基材部(S2)の表面と接するステップと、
iii)圧力(Fd)を加えることによって接着剤(K)が圧縮されるステップであって、圧力(Fd)は、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤圧縮厚さ(dk2)へと接着剤の厚さが減少するステップと、
iv)張力(Fz)を加えることによって接着剤(K)に縮幅部を形成するステップであって、張力(Fz)は、接着剤(K)のオープンタイム内に第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として接着剤圧縮厚さ(dk2)から接着剤の最終厚さ(dk)へと接着剤の厚さが増大するステップと、
を備えるか、または、
i’)第2の基材部(S2)の表面上に、接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
ii’)接着剤(K)が第1の基材部(S1)の表面と接するステップと、
iii’)圧力(Fd)を加えることによって接着剤(K)が圧縮されるステップであって、圧力(Fd)は、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、結果として接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤圧縮厚さ(dk2)へと接着剤の厚さが減少するステップと、
iv’)張力(Fz)を加えることによって接着剤(K)に縮幅部を形成するステップであって、張力(Fz)は、接着剤(K)のオープンタイム内に第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として接着剤圧縮厚さ(dk2)から接着剤の最終厚さ(dk)へと接着剤の厚さが増大するステップと、
を備える。
【0067】
接着剤を塗付する際に三角ビードを用いることによって、接着するための適正な量の接着剤が使用されていることを確認できる。i)、ii)、及びi’)、ii’)、且つiii)のステップは、既に知られており且つ塗付されている、接着剤の塗付の方法に相当する。一般に、圧縮はスペーサを用いることによって成し遂げられ、スペーサは接着剤接合における接着ビードの周辺に付随し、且つ三角ビードの最適な圧縮を保証するように意図されている。圧縮が不十分な場合、接着剤の断面は結果的に台形形状となる。圧縮が過度の場合、接着剤の断面は結果的にバレル形状となる。
【0068】
一実施形態において、スペーサは伸縮素材である。圧縮は、このスペーサを締め付ける。縮幅部を生じさせるとき、スペーサは再度拡張され得る。伸び縮みするスペーサを含む本実施形態において、基材部を適切な位置に保持可能であることは、とりわけ有利である。しかしながら、本実施形態において、接着剤は伸び縮みするスペーサの均等差(equilibrium difference)を経て有利に拡大される。
【0069】
ステップ(iv)によってのみ、縮幅部及び付随する利点が得られる。これは、圧縮される最適な条件のみならず、不十分な圧縮若しくは過度な圧縮でも同様である。本明細書で用いられる用語“接着剤塗付厚さ(dk1)”、“接着剤圧縮厚さ(dk2)”、及び“接着剤の最終厚さ(dk)”は、本発明の中核、すなわち縮幅部が、硬化されていない接着剤層の意図的な厚さの変化を経て得られるという事実を説明することを意図している。界面長さ、言い換えれば、接着剤と基材部若しくは下塗剤との接触の距離、即ち第1の接点(C1)と第2の接点(C2)との間の距離、及びまた第3の接点(C3)と第4の接点(C4)との間の距離、が減少されない、若しくはステップ(iv)の縮幅部を生じる段階によって、実質的に減少されていないことがわかった。
【0070】
この方法は、手動によって、若しくはロボットを用いて実施されてよい。少なくともステップ(iii)及び(iv)は、ロボットを用いて実施されることが好ましい。適用される張力及び圧力は、吸着カップ(sunction cup)を経て、基材部若しくは接着剤に有利に適用される。
【0071】
接着接合アセンブリの製作の第2の方法において、
I)第1の基材部(S1)又は第2の基材部(S2)の表面上に、互いに離れた二つの形材(2及び3)を配置するステップであって、二つの形材は、接着剤に付着されない物質で形成されることが好ましく、それぞれの表面がもう一方の形材に面する方向に凸状に湾曲しているステップと、
II)接着剤(K)を、隔てた二つの形材間に、第1の基材部(S1)若しくは第2の基材部(S2)の表面上に塗付するステップであって、接着剤(K)が接着剤塗付厚さ(dk1)を有するステップと、
III)接着剤が第2の基材部(S2)若しくは第1の基材部(S1)の表面と接するステップと、
IV)圧力(Fd)を加えることによって接着剤(K)が圧縮されるステップであって、圧力(Fd)は、接着剤(K)のオープンタイム内に第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、結果として、接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤の最終厚さ(dk)へ接着剤の厚さが減少するステップと、
を備える。
【0072】
形材2及び3は、発砲材料、さらに詳しくは泡状物質若しくは気泡ゴムで作られてよい。
【0073】
接着剤は、形材2及び3に対して有るか無しかの付着力を示すことが好ましい。
【0074】
形材2及び3は、テフロン(登録商標)、又はポリエチレン、若しくはポリプロピレンで形成されることが好ましい。形材は、二つの基材部S1及びS2間のスペーサとしての機能を担ってよい。用途によっては、接着剤が硬化された後に形材を取り外す、若しくは接着接合アセンブリにそのまま残したほうが有利である。
【0075】
圧縮された後に形材を取り外す場合、形材が接着剤に付着力を示さない材料で形成されていると、甚大な利点を呈示する。この場合、一方では形材の取り外しが容易となり、他方ではさらなる接着において形材が再利用可能となる大きな利点を持つことになる。
【0076】
この方法について、形材は有利に柔軟性を有しており、若しくは接合ラインの形状に順応するよう事前に形成される。
【0077】
形材は、丸みを帯びた形材であってよく、これは、形材が泡状物質若しくは気泡ゴムで形成されるときにとりわけ有利である。実際に、丸みを帯びた形材は、例えば押出成型によって容易に形成され、ステップ(I)の配置の際の位置付けについては比較的影響を及ぼさない。
【0078】
最後に、接着接合アセンブリの製作の第3の方法において、
I’)第1の基材部(S1)若しくは第2の基材部(S2)の表面上に、接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
II’)接着剤(K)が第2の基材部(S2)若しくは第1の基材部(S1)の表面と接触するステップと、
III’)圧力(Fd)を加えることによって接着剤(K)が圧縮されるステップであって、圧力(Fd)は、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤の最終厚さ(dk)へと接着剤の厚さが減少するステップと、
IV’)丸みを帯びたスパチュラ先端部を有するスパチュラ(4)を用いて、接着剤(K)のオープンタイム内に接着剤を剥ぎ取るステップであって、結果的に接着剤に縮幅部が形成されるステップと、
を備える。
【0079】
スパチュラは、接着剤に対して有るか無いかの付着力を示す物質で形成されていることが好ましい。従って、スパチュラは、テフロン(登録商標)、又はポリエチレン、若しくはポリプロピレンで形成されることが好ましい。この種のスパチュラは、洗浄するのが容易であり、よって複数の接着接合アセンブリを製作するのに用いることが可能となる利点を有する。
【0080】
これら三つすべての方法において、接着剤は適当な器具によって塗付される。接着剤を塗付する適切な方法は、例えば、手動又は圧縮空気の使用によって実施される市販されているカートリッジからの塗付、若しくは輸送ポンプ又は押出機による、適切には塗付ロボットによる、好ましくは噴出口、及び必要に応じて静的ミキサーを経て、ドラム容器若しくはブリキのベール缶(hobbock)からの塗付を含む。
【0081】
これら三つすべての方法において、iv)、IV)、IV’)のステップそれぞれの後に、接着剤が硬化される、それぞれのさらなるv)、V)、若しくはV’)ステップが一般的に続く。しかしながら、二成分接着剤については二つの成分が混合された直後、また、湿気硬化型接着剤については湿気と接触することで、架橋反応が開始され、それ故に結果として部分架橋へと導かれることは、当業者にとって明らかであろう。但し、iv)、IV)、またはIV’)のステップの以前に、接着剤のオープンタイムを上回るまで、これら架橋反応が進行しないことが重要である。従って、最終的な強度はステップiv)、又はIV)、又はIV’)の後、未だ達成されていない。この最終的な強度は、ステップv)、又はV)、又はV’)の硬化反応のさらなる進行によってのみ達成される。
【0082】
最も好ましい接着剤は、湿気硬化型接着剤であり、接着剤の硬化は湿気、さらに詳しくは、大気中の水分によって硬化される。
【0083】
硬化された製品は、硬化された接着接合アセンブリである。
【0084】
この種の接着接合アセンブリは、多様であって、幅広い種類が存在する。さらに詳しくは、これら接着接合アセンブリは工業生産、又は建設若しくは土木の製品であってよい。そのような製品は、建築構造物、さらに詳しくは建築又は土木用の構造物、若しくは陸上車若しくは水上車、とりわけ、自動車、バス、トラック、電車、又は船などの輸送機関、若しくそれらについて取り付ける部材であってもよい。弾性接着剤は、例えば、輸送機関の塗装本体へのプラスチックカバー、トリム・ストリップ(trim strip)、フランジ、バンパー、ドライバーズ・キャブ(driver’s cab)、または取り付けられるその他のパーツなどの部材の接着接合、若しくは本体へのガラス嵌め配設における接着剤の導入などのとりわけ自動車の製造に適している。輸送手段の例として、自動車、トラック、バス、鉄道車両、及び船が挙げられる。
【0085】
驚くべきことに、縮幅部を有する接着接合アセンブリは、対応する縮幅部を有しない接着接合アセンブリと比較して、多様な基材部、とりわけ自動車のトップコートに対して改善された付着力が示され、それ故により大きな力を伝達することが可能となった。これらの伸び率は、低温、特に<0℃、とりわけ<−20℃においてより大きくなる。力伝達の増加は、+100%まで観察された。
【0086】
本発明のさらなる実施態様は、少なくとも一つの第1の基材部(S1)及び第2の基材部(S2)と、二つの基材部と互いに結合する接着剤とをさらに備えた接着接合製品において接着剤に縮幅部が形成される、接着接合製品における力の伝達を増大させる方法である。
【0087】
縮幅部は、さらに詳しくは、接着結合の断面において、接着剤が台形、正方形、長方形、菱形、又はバレル形の形状を有しない。
【0088】
以下、本発明を図面により概略的にさらに説明する。ここで、異なる図面の同じ要素に対しては同じ参照符号を付する。動作及び力は、矢印によって示してある。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1a】接着接合アセンブリの構造における、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面(Q)を示す図である。
【図1b】接着接合アセンブリの構造における、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面(Q)であって、基材部の表面が下塗りされた図である。
【図1c】接着接合アセンブリの構造における、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面(Q)であって、基材部の表面S1及びS2が互いに平行に配置されていない図である。
【図2a】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、長方形形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図2b】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、正方形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図2c】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、台形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図2d】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、菱形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図2e】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、バレル形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図3a】接着接合アセンブリの第1の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、接着剤を塗付及び押圧するステップを示す図である。
【図3b】接着接合アセンブリの第1の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、接着剤に縮幅部を生じさせるステップを示す図である。
【図3c】接着接合アセンブリの第1の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、縮幅部を生じさせた後の接着接合アセンブリの最終形状を示す図である。
【図4a】接着接合アセンブリの第2の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、配置された物体の側面を示す図である。
【図4b】接着接合アセンブリの第2の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、接着剤を塗付且つ圧縮するステップを示す図である。
【図4c】接着接合アセンブリの第2の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、圧縮後の接着接合アセンブリの最終的な形状を示す図である。
【図5a】接着接合アセンブリの第3の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、接着剤を塗付且つ圧縮するステップを示す図である。
【図5b】接着接合アセンブリの第3の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、丸みを帯びたスパチュラを用いて接着剤を剥ぎ取るステップを示す図である。
【図5c】接着接合アセンブリの第3の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、剥いだ後の接着接合アセンブリの最終的な形状を示す図である。
【図6a】引張せん断試験要素の製作における、使用される引張せん断試験要素の鋳型6の概略断面(Q)を示す図である。
【図6b】引張せん断試験要素の製作における、使用される引張せん断鋳型6の見本の写真側面図である。
【図6c】引張せん断試験要素の製作における、使用される引張せん断試験要素の鋳型6の概略断面(Q)であり、圧縮後の接着接合アセンブリと一体となった状態を示す図である。
【図6d】引張せん断試験要素の製作における、使用される引張せん断試験要素の鋳型6の概略断面(Q)であり、縮幅部を生じさせた後の接着接合アセンブリと一体となった状態を示す図である。
【図6e】引張せん断試験要素の製作における、引張せん断試験要素の鋳型6の写真側面図であり、縮幅部を生じさせた後の接着接合アセンブリ1と一体となった状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図1では、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面Qの種々の実施形態が開示され、この断面Qにおいて接着剤の最小断面領域が形成される。
【0091】
図1aでは、基材部の表面と垂直な第1の接着接合アセンブリ1の断面Qが示され、この断面Qにおいて接着剤の最小断面領域が形成される。この場合、接着接合アセンブリ1は、第1の基材部S1と第2の基材部S2とを備え、これら第1の基材部S1及び第2の基材部S2は接着剤Kを経て互いに接合される。接着剤Kは、界面長さd1を経て第1の基材部S1と直接接する。この接触の端点は、第1の接点C1及び第2の接点C2によって示され、これらの点にて接着剤Kと、第1の基材部S1と、接着剤に隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0092】
接着剤Kは、界面長さd1を経て第2の基材部S2と直接接する。この接触の端点は、第3の接点C3及び第4の接点C3で示され、これらの点にて接着剤Kと、第2の基材部S2と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0093】
接着剤Kは縮幅部が生じた状態となり、この実施例において縮幅部長さd2は、接着剤の最終厚さdkの半分の高さに位置し、平行に設置された基材部S1及びS2の表面と平行であり、且つ界面長さd1よりも短いことを特徴とする。縮幅部長さd2の端点は、第1の縮幅点E1及び第2の縮幅点E2である。この断面Qにおいて、接着剤は空気Mと二つの界面を形成する。一つの界面は、第1の接点C1と第3の接点C3との間に介在する。この界面には、第1の縮幅点E1が同様に位置される。他の界面は、第2の接点C2と第4の接点C4との間に介在する。この界面には、第2の縮幅点E2が同様に位置される。第1の接点C1において、第1の接点C1と第2の接点C2との間の結合線と、第1の接点C1と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第1の角度α1が存在する。第2の接点C2には、第2の接点C2と第1の接点C1との間の結合線と、第2の接点C2と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第の2角度α2が存在する。第3の接点C3には、第3の接点C3と第4の接点C4との間の結合線と、第3の接点C3と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第3の角度α3が存在する。最後に、第4の接点C4には、第4の接点C4と第3の接点C3との間の結合線と、第4の接点C4と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第4の角度α4が存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4のすべては、接着剤上を通り、約46〜50度の角度を有する。
【0094】
図1bでは、第1の基材部S1が第1の下塗剤P1で被覆され、且つ第2の基材部S2が第2の下塗剤P2で被覆されているものの、実質的に図1aと同一である。
【0095】
従って、接着剤Kは、界面長さd1を経て第1の下塗剤P1と直接接する。この接触の端点は、第1の接点C1及び第2の接点C2で示され、これらの点において接着剤Kと、第1の下塗剤P1と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0096】
接着剤Kは、界面長さd1を経て第2の下塗剤P2と直接接触する。この接触の端点は、第3の接点C3及び第4の接点C4で示され、これらの点において接着剤Kと、第2の下塗剤P2と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0097】
接着剤Kには縮幅部が形成され、この実施例において縮幅部長さd2は、接着剤の最終厚さdkの半分の高さに位置し、平行に設置された基材部S1及びS2の表面と、若しくは下塗剤P1、P2のそれぞれと平行であり、且つ界面長さd1よりも短いことを特徴とする。縮幅部長さd2の端点は、第1の縮幅点E1及び第2の縮幅点E2である。この断面Qにおいて、接着剤は空気Mと二つの界面を形成する。一つの界面は、第1の接点C1と第3の接点C3との間に介在する。この界面には、第1の縮幅点E1が同様に位置される。他の界面は、第2の接点C2と第4の接点C4との間に介在する。この界面には、第2の縮幅点E2が同様に位置される。第1の接点C1において、第1の接点C1と第2の接点C2との間の結合線と、第1の接点C1と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第1の角度α1が存在する。第2の接点C2には、第2の接点C2と第1の接点C1との間の結合線と、第2の接点C2と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第2の角度α2が存在する。第3の接点C3には、第3の接点C3と第4の接点C4との間の結合線と、第3の接点C3と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第3の角度α3が存在する。最後に、第4の接点C4には、第4の接点C4と第3の接点C3との間の結合線と、第4の接点C4と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第4の角度α4が存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4のすべては、接着剤上を通り、約46〜50度の角度を有する。
【0098】
図1cでは、二つの基材部S1及びS2が平行ではなく、互いに対してある角度をなして配置されているものの、実質的に図1aと同一である。接着剤Kは、界面長さd1を経て第1の基材部S1と直接接する。この接触の端点は、第1の接点C1及び第2の接点C2で示され、これらの点において接着剤Kと、第1の基材部S1と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0099】
接着剤Kは、接着剤/基材部の界面を経て第2の基材部と直接接する。この接触の端点は、第3の接点C3及び第4の接点C4で示され、これらの点において接着剤Kと、第2の基材部S2と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。接着剤Kは、接着剤/基材部S1の界面を経て第1基材部と接触する。この第1の接点C1と第2の接点C2との間の接触の距離(stretch:張り)が第3の接点C3と第4の接点C4との間の接触の距離より長いことから、界面長さd1は短い接触距離、すなわち第3の接点C3と第4の接点C4との間の距離を示す。接着剤Kは縮幅部が生じた状態となり、この実施例において縮幅部長さd2が基材部S1及びS2の表面と平行ではないことを特徴とする。接着剤の最終厚さdkは、第3の接点C3から第1の接点C1への距離と第4の接点C4から第2の接点C2への距離との間の平均距離である。縮幅部長さd2の端点は、第1の縮幅点E1及び第2の縮幅点E2である。この断面Qにおいて、接着剤は空気Mと二つの界面を形成する。一つの界面は、第1の接点C1と第3の接点C3との間に介在する。この界面には、第1の縮幅点E1が同様に位置される。他の界面は、第2の接点C2と第4の接点C4との間に介在する。この界面には、第2の縮幅点E2が同様に位置される。第1の接点C1において、第1の接点C1と第2の接点C2との間の結合線と、第1の接点C1と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第1の角度α1が存在する。第2の接点C2には、第2の接点C2と第1の接点C1との間の結合線と、第2の接点C2と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第2の角度α2が存在する。第3の接点C3には、第3の接点C3と第4の接点C4との間の結合線と、第3の接点C3と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第3の角度α3が存在する。最後に、第4の接点C4には、第4の接点C4と第3の接点C3との間の結合線と、第4の接点C4と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第4の角度α4が存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4のすべてが、接着剤上を通過する。
【0100】
図2は、接着材Kの最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリ1’の断面Qの様々な実施例を開示する。
【0101】
図2aでは、接着剤が長方形形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。
【0102】
図2bでは、接着剤が正方形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。
【0103】
図2cでは、接着剤が台形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。この形状は、例えば、従来技術に基づいた接合アセンブリの製造の際に被着材S1及びS2が適切に押圧されていない場合に生じる。
【0104】
図2dでは、接着剤が菱形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。この形状は、例えば、従来技術に基づいた接合アセンブリの製造の際に被着材S1及びS2の表面が表面と平行して横方向に移動される場合に出現する。
【0105】
図2eでは、接着剤がバレル形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。この形状は、例えば、従来技術に基づいた接合アセンブリの製造の際に被着材S1及びS2が過度に押圧される場合に生じる。
【0106】
図2の全ての実施例において、接着剤Kは縮幅部を有していない。従って、接着剤と第1の基材部S1若しくは第2の基材部S2との間の界面長さよりも小さい接着剤の縮幅部距離d2もまた存在しない。このため、縮幅点及び角度α1、α2、α3、α4も同様に存在しない。接着剤Kと接着剤と隣接する媒質Mとの間の界面、及び接着剤Kと基材部S1、S2との間の界面を通じて接着剤を介して形成される接点の少なくとも二つの角度が≧90度である。
【0107】
図3は、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面Qにおいて、接着剤の最小断面領域を形成する第1の好適な方法を開示する。ここで示す接着接合アセンブリは、引張せん断試験要素である。他の接着接合アセンブリも同様に、本実施例に基づいて、変更すべきところは変更することが可能である。
【0108】
図3a〜3cは、本目的に用いられるステップを時間的順序に沿って示したものである。
【0109】
図3aでは、表面に接着剤Kが三角ビード状に塗付された第1の基材部を示す。接着剤は、三角形の断面領域を有しており、界面長さd1を介して第1の基材部S1と接触し、且つ接着剤塗付厚さdk1で示される高さを有する。第2の基材部S2は下塗剤P2で被覆されている。この下塗剤で被覆された基材部は、接着剤と圧力Fdによって接する。ここに示される実施例において、下塗剤で被覆された基材部S2の移動は第1の基材部S1の表面に向かって垂直方向に行われ、且つ圧力Fdも同じ方向に生じる。接着剤が下塗剤で被覆された基材部S2と一緒に圧縮されるとき、下塗剤と接着剤との間の界面長さ、すなわち第3の接点C3と第4の接点C4との間の距離が次第に長くなる。同時に、接着剤厚さが小さくなり、具体的には接着剤塗付厚さdk1から接着剤圧縮厚さdk2へと小さくなる。
【0110】
接着剤Kは、接着剤が接着剤圧縮厚さdk2の厚みに達するまで圧縮される。接着剤が不十分に圧縮された場合、圧縮された後の結果は、図2cに示すような二次元の台形形状の接着剤となる。接着剤が過度に圧縮されると、図2eに示すような二次元のバレル形状の接着剤となる。
【0111】
図3bでは、縮幅部を形成するステップの初期段階を示し、接着剤のオープンタイム内に、接着接合アセンブリに第1の基材部S1の表面に対して垂直方向に張力Fzの適用を伴う。結果的に、接着剤厚さが再び増大され、具体的には接着剤圧縮厚さdk2から接着剤の最終厚さdkへと増大される。この場合、第1の接点C1と第2の接点C2との間、及び第3の接点C3と第4の接点C4との間の距離もまた実質的に変化しないままである。
【0112】
図3cは、本方法によって製作された、接着剤に縮幅部を形成した後の接着接合アセンブリ1を示す。この場合、接着剤は縮幅部長さd2の縮幅部を有し、縮幅部長さd2は、第1の縮幅部E1及び第2の縮幅部E2と境を接する。本実施例において、縮幅部の距離d2は、二つの基材部S1及びS2の表面と平行であり、接着剤の中央に存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4は、図1に詳細に記載されるように形成され、約46〜50度の角度の有する。接着接合アセンブリ1は硬化される前にこの形状を有する。硬化された後も、付加力を与えることなくこの形状が同じように存在する。
【0113】
図4は、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面Qにおいて、接着剤の最小断面領域を形成するさらなる方法を開示する。
【0114】
図4a〜4cは、この目的に用いられるステップを時間的順序に沿って示したものである。
【0115】
図4aでは、第1の基材部S1を示し、第1の基材部S1の表面に第1の形材2と第2の形材3が配置される。これらの形材の間には、一定の距離が存在する。形材は、少なくとも他方の形材に面する側が凸面形状、即ち曲線的な形状を有している。好ましくは、形材がテフロン(登録商標)で形成される。
【0116】
ここで、接着剤が、形材2及び3の間の空間に圧入され、擬似三角形状のビードの形状を成す。接着剤Kの高さは、接着剤塗付厚さdk1である。接着剤によって形材間の空間は濡らされ、且つ満たされる。従って、接着剤Kと、第1の接点C1及び第2の接点C2と境界となる第1の基材部S1との間に界面が形成され、第1の接点C1及び第2の接点C2は、接着剤Kが第1の基材部S1と、それぞれ第1の形材2若しくは第2の形材3と接する箇所である。
【0117】
図4bでは、形成方法の段階を示し、第2の基材部S2が、接着剤Kへと移行され、且つ第1の基材部の表面に対して垂直に作用する圧力Fdを加えることによって押圧される。接着剤が第2の基材部と接すると、接着剤K/第2の基材部S2界面が形成され、この界面は加えられる圧力が増大されるとともに大きくなる。その一方、接着剤厚さは、接着剤塗付厚さdk1から接着剤圧縮厚さへと減少され、ここで接着剤圧縮厚さは接着剤の最終厚さdkと同じになる。ここで説明される実施例において、形材はスペーサとしての機能を同時に果たす。
【0118】
図4cでは、形材2、3が取り除かれた後の、前記形成作業の最終的な状態を示す。このようにして形成される接着接合アセンブリ1は、硬化前に縮幅部を特徴付ける。硬化された後も、付加力を与えることなくこの形状が同じように存在する。従って、図4Cは図1aに相当する。
【0119】
図5では、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面において、接着剤の最小断面領域を形成する第3の方法を開示する。ここに示される接着接合アセンブリは、引張せん断試験要素である。その他の接着接合アセンブリもまた、本実施例に基づいて、変更すべきところは変更されてよい。
【0120】
図5a〜5cでは、この目的に用いられるステップを時間的順序に沿って示したものである。
【0121】
図5aでは、表面に接着剤が三角ビード状に塗付された第1の基材部を示す。接着剤は、三角形の断面領域を有しており、界面長さd1を介して第1の基材部S1と接触し、且つ接着剤塗付厚さdk1で示される高さを有する。第2の基材部S2は、圧力Fdによって接着剤と接する。ここに開示される実施例において、基材部S2の移動は第1の基材部S1の表面に向かって垂直方向に行われ、且つ圧力Fdも同じ方向に生じる。接着剤が基材部S2と一緒に圧縮されるとき、基材部S2と接着剤Kとの間の界面長さ、すなわち第3の接点C3と第4の接点C4との間の距離は次第に長くなる。同時に、接着剤厚さが小さくなり、具体的には接着剤塗付厚さdk1から接着剤圧縮厚さへと小さくなり、本実施例において接着剤圧縮厚さは接着剤の最終厚さdkと同じである。接着剤の圧縮が不十分な場合、圧縮された後の結果は、図2cに示すような二次元の台形形状の接着剤となる。接着剤が過度に圧縮されると、図2eに示すような二次元のバレル形状の接着剤となる。
【0122】
図5bでは、縮幅部を形成するステップの初期段階を示し、この段階は接着剤Kと空気Mとの間の二つの界面である端部において接着剤の部分的な除去を伴い、丸みを帯びた先端部5を有するスパチュラ4が使用される。これは、第1の基材部の表面と平行して接着剤にスパチュラが挿入され、次いでこの面において接着剤のビードに対して前後方向、すなわち、ここに示す断面において、まずブレードの面へ、続くブレードの面に垂直に動かすことによって達成される。
【0123】
図5cでは、本方法によって製作された、接着剤に縮幅部を形成した後の接着接合アセンブリ1を示す。この場合、接着剤は縮幅長さd2の縮幅部を有し、縮幅長さd2は、第1の縮幅部E1及び第2の縮幅部E2と境を接する。本実施例において、縮幅部の距離d2は、二つの基材部S1及びS2の表面と平行であり、接着剤の中央に存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4は、図1に詳細に記載されるように形成され、約46〜50度の角度の有する。接着接合アセンブリ1は硬化される前にこの形状を有する。硬化された後も、付加力を与えることなくこの形状が同じように存在する。
【0124】
[実施例]
以下に、本発明のさらなる態様の提供を目的とする具体例を示す。ここに示す実施例は引張せん断試験要素の製作である。
【0125】
[引張せん断試験要素の製作]
図6bにおいて側面から撮影され、且つ図6aにおいて概略的に断面が示されるように、引張せん断試験要素の鋳型6は、三つのテフロン(登録商標)の引張せん断試験を行うために製作され、鋳型6は六個のねじ7(140×100×30mm;75×100×10mmの主要切欠き部(main cutout)と65×12.5×10mmの中間切欠き部(intermediate cutout)とを含む)を有する。図1に描写されるように、スペーサ板8は切欠き部内に位置し、これによって切欠き部は5mmの残余深さを有する。次いで、100×40×1mmの寸法を有する自動車の塗装パネルが、主たる切欠け部内に横方向に配置され、且つ接着固着用テープ(adhesive fixing tape)9を用いて鋳型に固定される。その次に、接着剤Sikaflex(登録商標)−250 UH−1cool(米国Sika Corporationより市販)が三角形状ビードとして塗付される。続いて、80×25×1mmの寸法を有する三つの自動車の塗装パネルが、接着剤に押圧され、且つさらなる板及び留め具を用いて鋳型にしっかりと固定される。従って、接着剤層は15×25×4mmの寸法を有する。
【0126】
比較される試験要素“Ref.1”は、この方法によって硬化される。
【0127】
縮幅部を有する接着接合アセンブリを得るため、図6dに示すように、ねじをねじ込むことによって鋳型と塗装パネルとの間の距離が1mmに大きくなり、それ故に接着剤の厚さが4mmから5mmへと大きくなる。サンプル要素1はこの位置において硬化される。
【0128】
図6eは、この方法によって製作された接着接合アセンブリ1の写真側面図である。
【0129】
硬化は、23℃、相対湿度50%において7日間行われた。
【0130】
使用される塗装パネル(DuPont Clear Coat RK 8034、ACT Laboratoriesより入手)は、Sika(登録商標)Aktivator UH−2 LUM(米国Sika Corporationより市販)で前処理され、蒸発が生じるように10分間放置される。
【0131】
【表1】
【0132】
[引張せん断強度試験]
接着接合アセンブリの引張せん断試験は、−40℃において引張速度20mm/minの条件で、DIN EN 1465に基づいて実施された。結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
【0134】
表2に示す結果より、縮幅部を有する接着接合アセンブリは著しく増大した最大力を伝達することができ、それ故に縮幅部を有しない比較の接着接合アセンブリよりも著しく高い引張せん断強度が発揮された。さらに、縮幅部を有する接着接合アセンブリは縮幅部を有しない接着接合アセンブリと比較して、自動車トップコートパネルへの著しく改善された付着力を発揮することが明らかとなった。
【符号の説明】
【0135】
α1 第1の角度
α2 第2の角度
α3 第3の角度
α4 第4の角度
1 接着接合アセンブリ
1’ 接着接合アセンブリ
2 第1の形材
3 第2の形材
4 丸みを帯びた先端部を有するスパチュラ
5 スパチュラの曲線部
6 引張せん断試験要素の鋳型
7 ねじ
8 スペーサ板
9 接着固着用テープ
d1 界面長さ
d2 縮幅部長さ
dk 接着剤の最終厚さ
dk1 接着剤塗付厚さ
dk2 接着剤圧縮厚さ
C1 第1の接点
C2 第2の接点
C3 第3の接点
C4 第4の接点
E1 第1の縮幅点
E2 第2の縮幅点
Fd 圧力
Fz 張力
K 接着剤
M 周囲媒質
P1 第1の下塗剤
P2 第2の下塗剤
Q 断面
S1 第1の基材部
S2 第2の基材部
【図1a)】
【図1b)】
【図1c)】
【図2a)】
【図2b)】
【図2c)】
【図2d)】
【図2e)】
【図3a)】
【図3b)】
【図3c)】
【図4a)】
【図4b)】
【図4c)】
【図5a)】
【図5b)】
【図5c)】
【図6a)】
【図6b)】
【図6c)】
【図6d)】
【図6e)】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤を含む基材部の接着接合の分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
接着接合アセンブリを製作する際、接着剤は、接合される基材部に三角ビード形状に塗付され、次いでさらなる基材部と共に圧縮される。望むべき接着剤層の厚さに押圧された後、接着剤が、接着接合アセンブリの接着を通じて横断面に、接合ビードに対して横方向に、長方形、正方形、樽形、又は台形、若しくは菱形、若しくは菱形の形状を有するように、三角ビードの外形寸法は意図される。
【0003】
付着力は、接着剤技術の主要目的である。その理由として、被着材、即ち接着接合アセンブリの接合基材部、の間の作用力は、接着剤が基材部に付着力を発揮する場合にのみ力が伝達され得ることが挙げられる。接着剤の接合される基材部への接着力は材質に極めて依存することから、多くの場合に下塗剤が用いられ、この下塗剤が、接着剤と基材部との間の接着架橋(bonding bridge)となる。
【0004】
しかしながら、接着接合体におけるこのような典型的な配置、特に高弾性接着剤が使用される場合、不利であり、とりわけ低温において不利であることわかった。力負荷条件下で、基材部と接着剤との間、基材部と下塗剤との間、又は下塗剤と接着剤との間の界面、若しくは基材部内の表面に近接する界面における接着接合の不具合が頻繁に発生することが見出された。接着接合の弱い点は、とりわけ接着剤のそれぞれの縁部に存在する。これらの箇所において、三つの媒体、すなわち接着剤、基材部又は下塗剤、及び本明細書にて“接着剤と隣接する媒質(M)”と称され、一般に空気である第三の媒体が互いに接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3971751号明細書
【特許文献2】米国特許第6207766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、付着力が増大され、且つそれによって大きな力伝達が特徴付けられる接着接合アセンブリを提供することである。
【0007】
本発明の目的は、請求項1に記載の接着接合アセンブリによって達成される。極めて意外なことに、付着力及び力伝達それぞれの増大は、接着剤の意図的に形成される形状、すなわち接着剤の縮幅部のよって達成されてよい。結果的に、接着剤が硬化する前に単純な方法ステップによって、接着剤の化学組成を変化することなく、接着接合で伝達される力の粘性及びレベルを増大することは可能である。この効果は、特に低温、即ち<0℃、さらに詳しくは<−20℃において発揮される。この効果は、大きな、且つ重要な技術的進歩であることは明らかである。とりわけ驚くべきことに、これら方法ステップは極めて単純な方法ステップであり、多額の費用若しくは複雑さを必要とせずに実現することが可能である。
【0008】
本発明の対象は、接着接合アセンブリのみならず、請求項11、12、及び14に記載の接着接合アセンブリを製作する方法、また同様に請求項18に記載の方法によって製作された硬化製品、及び請求項19に記載の力伝達を増大する方法など、多様な可能性を含むものである。
【0009】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項の対象である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1の基材部(S1)と第2の基材部(S2)とを備えた接着接合アセンブリに関し、これら第1の基材部及び第2の基材部は、接着剤(K)で互いに接合する。接着接合アセンブリは、第1の基材部(S1)と接着剤との間に第1の下塗剤(P1)を、且つ/若しくは第2の基材部(S2)と接着剤との間に第2の下塗剤(P2)を任意に有する。
【0011】
接着剤(K)は、第1の基材部(S1)の表面と垂直な接合アセンブリの断面(Q)において、接着剤(K)の最小断面領域を形成し、縮幅部を呈する。縮幅部は、一般に、接着剤を接着剤から成るビードとして塗付した場合に、ビード方向に対して横方向の断面である。この接着剤は、一般的な工業用接着ボンドでよい。
【0012】
本明細書を通じて使用される用語「基材部」は、接着接合が生じる、若しくは生じた表面を有する固形部材を意味する。
【0013】
接着剤が第1の基材部(S1)、又は存在する場合には第1の下塗剤(P1)、と接触する領域、及び接着剤が第2の基材部(S2)、又は存在する場合には第2の下塗剤(P2)、と接触する領域において、接着剤が内部領域より広域な層を有するとき、縮幅部が存在する。
【0014】
本明細書を通じて使用される「縮幅部」の可能な定義の一つとして、以下に記述する。断面(Q)において、縮幅部の長さ(d2)とも称される、縮幅部の距離(d2)は、二つの界面長さ(d1)のより短い方よりも短い。この断面(Q)において縮幅部の距離(d2)は、接着剤に接する媒質と接着剤との間の二つの界面間の、接着剤の最小距離である。この界面長さ(d1)は、接着剤から基材部(S1、S2)若しくは存在するならば下塗剤(P1、P2)への接触する距離の長さである。
【0015】
接着剤と隣接する媒質(M)は、第1の基材部(S1)と第2の基材部(S2)とのどちらでもなく、また第1の下塗剤(P1)でも第2の下塗剤(P2)でもない。接着剤と隣接する媒質(M)は、一般に空気である。
【0016】
ここで、特に、縮幅部の長さ(d2)の界面の長さ(d1)に対する比d2/d1の値は、1よりも小さく、0よりも大きく、さらに詳しくは0.5〜0.9の値であり、好ましくは、0.5〜0.8である。
【0017】
縮幅部の一つの好適な実施形態では、上述した断面(Q)において、第1の角度(α1)と、第2の角度(α2)と、第3の角度(α3)と、第4の角度(α4)を形成し、それぞれの角度が>5°、<85°である。
【0018】
ここで、第1の角度(α1)は、第1の接点(C1)において、第1の接点(C1)と第2の接点(C2)との間の距離と、第1の接点(C1)と第1の縮幅点(E1)との間の距離とによって形成される角度である。
【0019】
第2の角度(α2)は、第2の接点(C2)において、第2の接点(C2)と第1の接点(C1)との間の距離と、第2の接点(C2)と第2の縮幅点(E2)との間の距離とによって形成される角度である。
【0020】
第3の角度(α3)は、第3の接点(C3)において、第3の接点(C3)と第4の接点(C4)との間の距離と、第3の接点(C3)と第1の縮幅点(E1)との間の距離とによって形成される角度である。
【0021】
第4の角度(α4)は、第4の接点(C4)において、第4の接点(C4)と第3の接点(C3)との間の距離と、第4の接点(C4)と第2の縮幅点(E2)との間の距離とによって形成される角度である。
【0022】
ここで、第1の縮幅部(E1)及び第2の縮幅部(E2)は、縮幅部の距離(d2)の各端点を示す。
【0023】
これら記載されたすべての角度(α1、α2、α3、α4)は、接着剤の上を通る。
【0024】
上述した断面(Q)において、三つの媒体、すなわち接着剤(K)と、基材部(S1、S2)あるいは該基材部(S1、S2)に下塗り被覆が施されている場合は下塗剤(P1、P2)と、接着剤と隣接する媒質(M)とが互いに“接点”において接触する。
【0025】
最後に、この断面(Q)において、第1の接点(C1)、第3の接点(C3)、及び第1の縮幅部(E1)が、接着剤と該接着剤に接する媒質(M)との間の同一界面(P1)上に位置する一方で、第2の接点(C2)、第4の接点(C4)、及び第2の縮幅部(E2)は、接着剤と該接着剤に接する媒質(M)との間の同一界面(P2)上に位置する。二つの界面(P1、P2)は、接着剤の異なる面に位置する。
【0026】
一つの好適な実施形態において、第1の角度(α1)及び/又は第2の角度(α2)及び/又は第3の角度(α3)及び/又は第4の角度(α4)の値が、10°〜80°、さらに詳しくは25°〜75°、好ましくは35〜70°、より好ましくは45°〜65°である。
【0027】
さらなる好適な実施形態において、第1の角度(α1)、第2の角度(α2)、第3の角度(α3)、第4の角度(α4)の値すべてが、10°〜80°、さらに詳しくは25°〜75°、好ましくは35〜70、より好ましくは45°〜65°である。
【0028】
記載されている角度(α1、α2、α3、α4)が極めて大きい、すなわち85°より大きい場合、付着力の増加はごく僅かである。また、極めて小さい、すなわち5°より小さい角度を有する接着接合アセンブリは、製作するのに非常に困難である一方、簡素な縮幅部及び接着剤部分の限られた結合力であるため、一般に小さな力を伝達する場合にのみ使用することができる。
【0029】
第1の基材部(S1)及び第2の基材部(S2)は、同じ、若しくは異なる材質で形成される。基材部は、複数の可能な材質で形成されてもよい。
【0030】
適切な基材部(S1、S2)の例として、ガラス、ガラス・セラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏、及び天然石(花崗岩又は大理石など)などの無機性基質;アルミニウム、鋼鉄、非鉄金属類、亜鉛めっき金属類などの金属若しくは合金;木材やプラスチック(PVC、ポリカーボネート類、PMMA、ポリエステル類、エポキシ樹脂など)の有機基質;粉体塗装された金属、合金などの被覆された基質;塗料及びワニス、とりわけ自動車のトップコート、が挙げられる。
【0031】
縮幅部を有する接着剤の形状によって得られる付着力の増大、若しくはより高い伝達力は、基材部が被覆された場合にさらに有利な結果をもたらすことがわかった。さらに詳しくは、塗膜が被覆される基材部に対して低付着力、及び/又は低強度を示す被覆基材部の場合に、本発明の長所が特に発揮される。
【0032】
この種の被覆された基材部は、さらに詳しくは被覆金属または金属合金である。
【0033】
第1の好適な実施形態において、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)は金属又は合金であり、これらの表面は化学的前処理によって、さらに詳しくは、耐食性を高めるために化学的前処理によって改質される。この種の化学的前処理は、一般に亜鉛めっき作業である。化学的前処理によって改質された表面を有する基材部は、さらに詳しくは、亜鉛めっきされた基材部である。ここで亜鉛めっきは、さらに詳しくは、溶融亜鉛めっき、電解亜鉛めっき、又はBonazinc(商標)、Galvalume(商標)、Galfan(商標)若しくはガルバニーリング(galvanneal)の処理過程を経て得られる。
【0034】
化学的前処理によって改質された表面を有する好適な基質は、溶融亜鉛めっきされた鋼鉄、Bonazinc(商標)鋼鉄、Galvalume(商標)鋼鉄、Galfan(商標)鋼鉄、若しくはガルバニーリング処理した鋼鉄であり、さらに詳しくは、溶融亜鉛めっきされた鋼鉄、電解亜鉛めっきされた鋼鉄、Bonazinc(商標)鋼鉄、若しくはガルバニーリング処理した鋼鉄である。本実施形態において、最も好適な第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)はガルバニーリング処理した鋼鉄である。
【0035】
第2の好適な実施形態において、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)は被覆された金属又は合金である。被覆された金属又は合金は一つ以上の塗膜を含んでよい。ここで塗膜は、一般に自動車塗膜であり、好ましくはカチオン電着塗装、中塗り、適切な場合にはベースコート、及びトップコートを特徴とする。接着剤は、随意に下塗剤を経て、被覆された金属又は合金と接触することが好ましい。
【0036】
第3の好適な実施形態において、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)は下塗剤で被覆された基材部であり、さらに詳しくは、下塗剤で被覆されたガラス、ガラス・セラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏、及び花崗岩又は大理石などの天然石;アルミニウム、鋼鉄、非鉄金属類、亜鉛めっき金属類などの金属若しくは合金;木材やプラスチック(PVC、ポリカーボネート類、PMMA、ポリエステル類、エポキシ樹脂など)の有機基質;粉体塗装された金属又は合金などの被覆された基質;塗料及びワニス、とりわけ自動車のトップコート、が挙げられる。下塗剤は、さらに詳しくは、エポキシ基又はイソシアネート基を含有する結合剤を含む下塗剤である。
【0037】
実際に、この方法で被覆された基材部は、従来技術による接着接合アセンブリにおいて、基材部からの塗膜の剥離、若しくは一定の力負荷、さらに詳しくは剥離力存在下、塗膜の凝縮破壊(cohesive fracture)が生じることがわかった。しかしながら、驚くべきことに、本発明によるシステムを用いることによって、このような問題は生じないか、生じにくいことがわかった。
【0038】
第1の基材部(S1)及び第2の基材部(S2)は、互いに平行に配置されることが好ましい。当業者にとって、基材部が平面ではない、若しくは互いに平行に配置されていない接着接合構造が存在することは、言うまでもなく明白なことである。
【0039】
“接着剤の最終厚さ”とも称する、接着剤層の最終的な厚さ(dk)は、好ましくは1mm〜20mm、さらに詳しくは1mm〜10mm、より好ましくは3mm〜8mmである。接着剤の最終厚さ(dk)は、記載されている断面(Q)において、第1の接点(C1)と第3の接点(C3)との間、あるいは第2の接点(C2)と第4の接点(C4)との間の距離に対応する。これら二つの距離が等しい距離で無い場合、すなわち基材部(S1、S2)の表面が互いに平行でない場合、接着剤の平均厚さ、さらに詳しくは、第1の接点(C1)から第3の接点(C3)への距離と、第2の接点(C2)から第4の接点(C4)への距離とから得られる平均値は、接着剤の最終厚さ(dk)として示される。
【0040】
原則として、基材部間に介在する接着剤層の厚さは、如何なる役割も果たさない。接着剤層の最終的な厚さは、1mm〜20mmであり、さらに詳しくは1mm〜10mm、好ましくは3mm〜8mmである。
【0041】
上述された接着接合アセンブリ構造の定義が、無負荷状態で使用され、加えられる力による引張荷重下でないということは、本発明を理解するために極めて重要である。しかしながら、本文脈中で使用される用語“無負荷”は、絶対的な用語であると解釈されるべきではない。どのような接着接合においても、さらなる硬化の過程においてでさえ、例えば被着体の重さによって生じる重力など、作用する特定の力が存在することは当業者にとって明白である。従って、使用される用語“無負荷”の解釈については、接着剤が硬化されるときにさえ生じるすべての力を無視する必要がある。
【0042】
界面長さ(d1)は、一般的に2mm〜4cm、さらに詳しくは5mm〜2cmの値を有する。接着剤は、以下により詳細に説明されるように、三角ノズルを用いて、実質的に界面長さ(d1)に対応する底幅を有する三角ビードとして典型的に塗付されるので、界面長さ(d1)として8mm〜16mmの値が好ましい。
【0043】
実際、接着剤(K)は異なってもよい。原則として、いかなる既知の接着剤は適切である。ここで問われる接着剤は、さらに詳しくは反応型接着剤であり、すなわち、塗付に続いて化学反応し、その結果、架橋される接着剤である。この種の化学反応は、二成分接着剤の二つの成分の反応によるものであるか、若しくは空気中の水分との反応によるものであってよい。
【0044】
この種の化学的架橋システムの例としては、二成分形又は一成分形の可能性が挙げられる。二成分接着剤は、さらに詳しくは、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、(メタ)アクリル酸系接着剤である。一成分接着剤は、特に、ポリウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、及びアルコキシシラン官能基を有するプレポリマーに基づいた接着剤などの湿気硬化型である。
【0045】
二成分接着剤は、二つの成分が混合されたとき、ラジカル重合、アニオン重合、又はカチオン重合、若しくは付加反応、或いは縮合反応を経て架橋されてよい。
【0046】
(メタ)アクリル酸系接着剤は、第1の成分がアクリル酸、及び/又はメタクリル酸、及び/又はこれらのエステル類を含有し、第2の成分が遊離基開始剤、さらに詳しくは過酸化物を含有する二成分接着剤である。そのような好ましい接着剤は、Sika Schweiz AGの製品品目SikaFast(登録商標)として市販されている。
【0047】
エポキシ樹脂系接着剤は、グリシジルエーテル類、さらに詳しくは、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFのジグリシジルエーテルに基づいて配合された接着剤である。特に適しているのは、二成分エポキシ樹脂系接着剤であり、第1の成分はビスフェノールA及び/又はビスフェノールFのジグリシジルエーテル類を含有し、第2の成分はポリアミン類及び/又はポリメルカプタン類を含有する。典型的な二成分エポキシ樹脂系接着剤は、Sika Schweiz AGの製品品目Sikadur(登録商標)として販売されている。
【0048】
二成分ポリウレタン系接着剤は、一般に、一方の成分としてポリイソシアネート類を含有し、他方の成分としてポリアミン及び/又はポリオールを含有する。典型的な二成分ポリウレタン系接着剤は、Sika Schweiz AGの製品品目SikaForce(登録商標)として販売されている。
【0049】
湿気硬化型の一成分ポリウレタン系接着剤は、イソシアネート基を含み、大気中水分の影響を受けて架橋するきっかけを与えるポリウレタンプレポリマー類を含有する。
【0050】
これらイソシアネート基を含むプレポリマー類は、一般にポリオール類とポリイソシアネート類とから生成される。この目的に適したポリオール類は、とりわけジオール類及びトリオール類であり、さらに詳しくは、ポリエステルジオール類、ポリエステルトリオール類、ポリオキシアルキレンジオール類、ポリオキシアルキレントリオール類、ポリエーテルジオール類、ポリエーテルトリオール類、及びこれらの組み合わせである。
【0051】
例えば、いわゆるダブルメタルシアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて得られる、(ASTM D−2849−69に準拠して測定され、且つポリオール1グラム当たりのミリ当量不飽和度(mEq/g)によって表される低い不飽和度)を有するポリオキシアルキレンポリオール類が用いられる場合、とりわけ有利であることが明らかになった。特に適しているのは、不飽和度0.02mEq/g以下を有し、且つ1,000〜30,000g/molの範囲内の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール類又はポリオキシアルキレントリオール類、及び400〜8,000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール類及びポリオキシプロピレントリオール類である。本明細書において、用語“分子量”は平均分子量Mnを示す。
【0052】
イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーに用いられるポリイソシアネート類の例として、以下の市販されているポリイソシアネート類が挙げられる。例として、ここでは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネートならびにこれら異性体の任意の望ましい混合物、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(即ち、イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロ−2,4’−及び−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4−ジイソシアナート−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、メタ−及びパラ−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−XDI)、メタ−及びパラ−テトラメチル−1,3−及び−1,4−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−TMXDI)、ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ナフタレン、2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネートならびにこれら異性体の任意の望ましい混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−、及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートならびにこれら異性体の任意の望ましい混合物(MDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナートベンゼン、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナートビフェニル(TODI)、上述したイソシアネート類のオリゴマー類及びポリマー類、及び上述したイソシアネート類の任意の望ましい混合物である。
【0053】
別々に生成されたポリウレタンプレポリマーの組み合わせは特に有利であることがわかり、さらに詳しくは、これら少なくとも一種がポリエステルジオールとポリイソシアネートとから生成され、少なくとも一種がポリオキシアルキレンジオールとポリイソシアネートとから生成される。当然ながら、ポリオール混合物から、とりわけ少なくとも一種のポリエステルジオール、少なくとも一種のポリオキシアルキレンジオール、及び少なくとも一種のポリイソシアネートのポリオール混合物から、in-situ反応により生成されたポリウレタンプレポリマー混合物も同様に特に有利である。特に、この方法によって“クイック・フィックス(quick−fix)”と称する特性を示す、ポリウレタンの接着剤及びポリウレタンの封止材を合成することが可能である。この種の接着剤は、約50〜80℃のわずかに高い温度で塗付される。この温度では、関連するプレポリマーは融解された状態にある。接着剤が室温に冷却されると、利用されるプレポリマーの少なくとも一部が固化される。この種のクイック・フィックス接着剤は極めて有利であり、これは接着接合アセンブリの縮幅部の形成が成し遂げられた後、滑りを防止するために、接合アセンブリが硬化されるまで固定されなくてよい十分な耐荷重力を既に生成しているからである。
【0054】
好ましい湿気硬化型(moisture curing)ポリウレタン接着剤は、Sika Schweiz AGの製品品目Sikaflex(登録商標)として市販されている。
【0055】
湿気硬化型シリコーン接着剤は、ポリオルガノシロキサン類に基づいた接着剤であり、シロキサン基−Si−O−Si−を含有する。湿気硬化型シリコーン接着剤は、しばしばRTV−1(RTV−1:一成分性室温加硫型)シリコーン類とも称される。湿気の影響下における硬化は、特にアルコール類又は酸類、主にメタノール、エタノール、及び酢酸の放出と共に生じる。この種の湿気硬化型接着剤は、例えばElastosil(登録商標)の商標名でWacker Chemie AGより市販されている。
【0056】
アルコキシシラン官能基を含むプレポリマー類に基づいた様々な接着剤がある。特に好ましくは、アルコキシシラン官能基を含むポリマー:
i) アミノアルコキシシランとイソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーとの反応を経て得られる、シラン官能基を有するポリウレタンプレポリマー(P1)、
ii) イソシアネートアルコキシシランと水酸基を含有するプレポリマーとの反応を経て得られる、シラン官能基を有するポリウレタンプレポリマー(P2)、
iii) 末端二重結合を有するプレポリマーのヒドロシリル化を経て得られる、シラン官能基を有するプレポリマー(P3)、
の三種のうち一つに基づいている。
【0057】
シラン官能基を有するポリウレタンプレポリマーP1は、アミノアルコキシシランから、及び一成分性湿気硬化型ポリウレタン接着剤のためにすでに記述されるイソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーから好ましくは生成される。とりわけ適したアミノシラン類は、Si−C結合を経てケイ素原子に付随し、少なくとも一つのアミノ基を含有する、有機官能基を有するトリアルコキシシラン類である。
【0058】
シラン官能基を有するポリウレタンプレポリマーP2は、既述され、且つイソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマー類の生成に用いられる、ポリイソシアネート類及びポリオール類から好ましくは生成される。しかしながら、化学量論によって、水酸基を含有するプレポリマー類が生成されるように反応する。適切なイソシアナートアルコキシシラン類は、さらに詳しくはSi−C結合を経てケイ素原子に付随し、且つ少なくとも一つのイソシアネート基を含有する有機官能基を有するトリアルコキシシラン類である。
【0059】
市販されているシラン官能基を有するポリウレタンプレポリマーP2の例として、Spur+(登録商標) 1010LM、1015LM、1050MM(すべてGE社より市販)、及びGeniosil(登録商標)STP−E15、Geniosil(登録商標)STP−E35(共にWacker Chemie AGより市販)の商標名を有する製品が挙げられる。
【0060】
シラン官能基を有するプレポリマーP3は、末端二重結合を有するプレポリマーのヒドロシリル化を経て得られる。末端二重結合を有するプレポリマーは、例えば、ポリ(メタ)アクリレートポリマー類又はポリエーテルポリマー類、特に、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている末端アリル基を有するポリオキシアルキレンポリマー類が挙げられる。
【0061】
市販されているシラン官能基を有するプレポリマーP3の例として、MS−Polymer(登録商標) S203(H)、S303(H)、S227、S810、MA903、S943、及びSilyl(登録商標) SAX220、SAX350、SAX400、SAX725、及びSilyl(登録商標) SAT350、SAT400、及びまたXMAP(登録商標)SA100、SA310S(すべてKaneka社より入手);Polymer ST50(Hanse−Chemieより入手);及びExcestar(登録商標)S2410、S2420、S3430、S3630、W2450、MSX931(すべて旭硝子社より市販)の商標名を有する製品が挙げられる。
【0062】
接着剤は、とりわけ流動性から粘性の接着接合剤及び充填剤に基づくペースト状の接着剤であることが好ましい。
【0063】
接着剤は、イソシアネート基及び/又はシラン基を含有するポリウレタンプレポリマーに基づいた、カーボンブラックが充填された湿度硬化型接着剤であることがとりわけ好ましい。
【0064】
接着剤の反応性、若しくはオープンタイム(open time)は、接着接合アセンブリが以下記載されているとおりに製作されるように、より詳細に選択される。
【0065】
本発明の接着接合アセンブリがいかに製作されるかについては、様々な可能性がある。縮幅部は、
1)接着剤硬化前に接着ボンドを意図的に引き伸ばすことによる、
2)特定の形状を有する差込形材(insertion profile)を使用することによる、
3)丸みを帯びたスパチュラを用いて接着剤接合部から接着剤を機械的に取り除くことによる、
のうちいずれか一つの方法で形成されることが好ましい。
【0066】
接着接合アセンブリの製作の第1の方法において、
i)第1の基材部(S1)の表面上に、接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
ii)接着剤(K)が第2の基材部(S2)の表面と接するステップと、
iii)圧力(Fd)を加えることによって接着剤(K)が圧縮されるステップであって、圧力(Fd)は、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤圧縮厚さ(dk2)へと接着剤の厚さが減少するステップと、
iv)張力(Fz)を加えることによって接着剤(K)に縮幅部を形成するステップであって、張力(Fz)は、接着剤(K)のオープンタイム内に第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として接着剤圧縮厚さ(dk2)から接着剤の最終厚さ(dk)へと接着剤の厚さが増大するステップと、
を備えるか、または、
i’)第2の基材部(S2)の表面上に、接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
ii’)接着剤(K)が第1の基材部(S1)の表面と接するステップと、
iii’)圧力(Fd)を加えることによって接着剤(K)が圧縮されるステップであって、圧力(Fd)は、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、結果として接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤圧縮厚さ(dk2)へと接着剤の厚さが減少するステップと、
iv’)張力(Fz)を加えることによって接着剤(K)に縮幅部を形成するステップであって、張力(Fz)は、接着剤(K)のオープンタイム内に第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として接着剤圧縮厚さ(dk2)から接着剤の最終厚さ(dk)へと接着剤の厚さが増大するステップと、
を備える。
【0067】
接着剤を塗付する際に三角ビードを用いることによって、接着するための適正な量の接着剤が使用されていることを確認できる。i)、ii)、及びi’)、ii’)、且つiii)のステップは、既に知られており且つ塗付されている、接着剤の塗付の方法に相当する。一般に、圧縮はスペーサを用いることによって成し遂げられ、スペーサは接着剤接合における接着ビードの周辺に付随し、且つ三角ビードの最適な圧縮を保証するように意図されている。圧縮が不十分な場合、接着剤の断面は結果的に台形形状となる。圧縮が過度の場合、接着剤の断面は結果的にバレル形状となる。
【0068】
一実施形態において、スペーサは伸縮素材である。圧縮は、このスペーサを締め付ける。縮幅部を生じさせるとき、スペーサは再度拡張され得る。伸び縮みするスペーサを含む本実施形態において、基材部を適切な位置に保持可能であることは、とりわけ有利である。しかしながら、本実施形態において、接着剤は伸び縮みするスペーサの均等差(equilibrium difference)を経て有利に拡大される。
【0069】
ステップ(iv)によってのみ、縮幅部及び付随する利点が得られる。これは、圧縮される最適な条件のみならず、不十分な圧縮若しくは過度な圧縮でも同様である。本明細書で用いられる用語“接着剤塗付厚さ(dk1)”、“接着剤圧縮厚さ(dk2)”、及び“接着剤の最終厚さ(dk)”は、本発明の中核、すなわち縮幅部が、硬化されていない接着剤層の意図的な厚さの変化を経て得られるという事実を説明することを意図している。界面長さ、言い換えれば、接着剤と基材部若しくは下塗剤との接触の距離、即ち第1の接点(C1)と第2の接点(C2)との間の距離、及びまた第3の接点(C3)と第4の接点(C4)との間の距離、が減少されない、若しくはステップ(iv)の縮幅部を生じる段階によって、実質的に減少されていないことがわかった。
【0070】
この方法は、手動によって、若しくはロボットを用いて実施されてよい。少なくともステップ(iii)及び(iv)は、ロボットを用いて実施されることが好ましい。適用される張力及び圧力は、吸着カップ(sunction cup)を経て、基材部若しくは接着剤に有利に適用される。
【0071】
接着接合アセンブリの製作の第2の方法において、
I)第1の基材部(S1)又は第2の基材部(S2)の表面上に、互いに離れた二つの形材(2及び3)を配置するステップであって、二つの形材は、接着剤に付着されない物質で形成されることが好ましく、それぞれの表面がもう一方の形材に面する方向に凸状に湾曲しているステップと、
II)接着剤(K)を、隔てた二つの形材間に、第1の基材部(S1)若しくは第2の基材部(S2)の表面上に塗付するステップであって、接着剤(K)が接着剤塗付厚さ(dk1)を有するステップと、
III)接着剤が第2の基材部(S2)若しくは第1の基材部(S1)の表面と接するステップと、
IV)圧力(Fd)を加えることによって接着剤(K)が圧縮されるステップであって、圧力(Fd)は、接着剤(K)のオープンタイム内に第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、結果として、接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤の最終厚さ(dk)へ接着剤の厚さが減少するステップと、
を備える。
【0072】
形材2及び3は、発砲材料、さらに詳しくは泡状物質若しくは気泡ゴムで作られてよい。
【0073】
接着剤は、形材2及び3に対して有るか無しかの付着力を示すことが好ましい。
【0074】
形材2及び3は、テフロン(登録商標)、又はポリエチレン、若しくはポリプロピレンで形成されることが好ましい。形材は、二つの基材部S1及びS2間のスペーサとしての機能を担ってよい。用途によっては、接着剤が硬化された後に形材を取り外す、若しくは接着接合アセンブリにそのまま残したほうが有利である。
【0075】
圧縮された後に形材を取り外す場合、形材が接着剤に付着力を示さない材料で形成されていると、甚大な利点を呈示する。この場合、一方では形材の取り外しが容易となり、他方ではさらなる接着において形材が再利用可能となる大きな利点を持つことになる。
【0076】
この方法について、形材は有利に柔軟性を有しており、若しくは接合ラインの形状に順応するよう事前に形成される。
【0077】
形材は、丸みを帯びた形材であってよく、これは、形材が泡状物質若しくは気泡ゴムで形成されるときにとりわけ有利である。実際に、丸みを帯びた形材は、例えば押出成型によって容易に形成され、ステップ(I)の配置の際の位置付けについては比較的影響を及ぼさない。
【0078】
最後に、接着接合アセンブリの製作の第3の方法において、
I’)第1の基材部(S1)若しくは第2の基材部(S2)の表面上に、接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
II’)接着剤(K)が第2の基材部(S2)若しくは第1の基材部(S1)の表面と接触するステップと、
III’)圧力(Fd)を加えることによって接着剤(K)が圧縮されるステップであって、圧力(Fd)は、第1の基材部(S1)及び/又は第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤の最終厚さ(dk)へと接着剤の厚さが減少するステップと、
IV’)丸みを帯びたスパチュラ先端部を有するスパチュラ(4)を用いて、接着剤(K)のオープンタイム内に接着剤を剥ぎ取るステップであって、結果的に接着剤に縮幅部が形成されるステップと、
を備える。
【0079】
スパチュラは、接着剤に対して有るか無いかの付着力を示す物質で形成されていることが好ましい。従って、スパチュラは、テフロン(登録商標)、又はポリエチレン、若しくはポリプロピレンで形成されることが好ましい。この種のスパチュラは、洗浄するのが容易であり、よって複数の接着接合アセンブリを製作するのに用いることが可能となる利点を有する。
【0080】
これら三つすべての方法において、接着剤は適当な器具によって塗付される。接着剤を塗付する適切な方法は、例えば、手動又は圧縮空気の使用によって実施される市販されているカートリッジからの塗付、若しくは輸送ポンプ又は押出機による、適切には塗付ロボットによる、好ましくは噴出口、及び必要に応じて静的ミキサーを経て、ドラム容器若しくはブリキのベール缶(hobbock)からの塗付を含む。
【0081】
これら三つすべての方法において、iv)、IV)、IV’)のステップそれぞれの後に、接着剤が硬化される、それぞれのさらなるv)、V)、若しくはV’)ステップが一般的に続く。しかしながら、二成分接着剤については二つの成分が混合された直後、また、湿気硬化型接着剤については湿気と接触することで、架橋反応が開始され、それ故に結果として部分架橋へと導かれることは、当業者にとって明らかであろう。但し、iv)、IV)、またはIV’)のステップの以前に、接着剤のオープンタイムを上回るまで、これら架橋反応が進行しないことが重要である。従って、最終的な強度はステップiv)、又はIV)、又はIV’)の後、未だ達成されていない。この最終的な強度は、ステップv)、又はV)、又はV’)の硬化反応のさらなる進行によってのみ達成される。
【0082】
最も好ましい接着剤は、湿気硬化型接着剤であり、接着剤の硬化は湿気、さらに詳しくは、大気中の水分によって硬化される。
【0083】
硬化された製品は、硬化された接着接合アセンブリである。
【0084】
この種の接着接合アセンブリは、多様であって、幅広い種類が存在する。さらに詳しくは、これら接着接合アセンブリは工業生産、又は建設若しくは土木の製品であってよい。そのような製品は、建築構造物、さらに詳しくは建築又は土木用の構造物、若しくは陸上車若しくは水上車、とりわけ、自動車、バス、トラック、電車、又は船などの輸送機関、若しくそれらについて取り付ける部材であってもよい。弾性接着剤は、例えば、輸送機関の塗装本体へのプラスチックカバー、トリム・ストリップ(trim strip)、フランジ、バンパー、ドライバーズ・キャブ(driver’s cab)、または取り付けられるその他のパーツなどの部材の接着接合、若しくは本体へのガラス嵌め配設における接着剤の導入などのとりわけ自動車の製造に適している。輸送手段の例として、自動車、トラック、バス、鉄道車両、及び船が挙げられる。
【0085】
驚くべきことに、縮幅部を有する接着接合アセンブリは、対応する縮幅部を有しない接着接合アセンブリと比較して、多様な基材部、とりわけ自動車のトップコートに対して改善された付着力が示され、それ故により大きな力を伝達することが可能となった。これらの伸び率は、低温、特に<0℃、とりわけ<−20℃においてより大きくなる。力伝達の増加は、+100%まで観察された。
【0086】
本発明のさらなる実施態様は、少なくとも一つの第1の基材部(S1)及び第2の基材部(S2)と、二つの基材部と互いに結合する接着剤とをさらに備えた接着接合製品において接着剤に縮幅部が形成される、接着接合製品における力の伝達を増大させる方法である。
【0087】
縮幅部は、さらに詳しくは、接着結合の断面において、接着剤が台形、正方形、長方形、菱形、又はバレル形の形状を有しない。
【0088】
以下、本発明を図面により概略的にさらに説明する。ここで、異なる図面の同じ要素に対しては同じ参照符号を付する。動作及び力は、矢印によって示してある。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1a】接着接合アセンブリの構造における、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面(Q)を示す図である。
【図1b】接着接合アセンブリの構造における、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面(Q)であって、基材部の表面が下塗りされた図である。
【図1c】接着接合アセンブリの構造における、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面(Q)であって、基材部の表面S1及びS2が互いに平行に配置されていない図である。
【図2a】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、長方形形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図2b】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、正方形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図2c】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、台形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図2d】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、菱形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図2e】接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリの断面(Q)において、バレル形状を有する接着剤の断面を示す図である。
【図3a】接着接合アセンブリの第1の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、接着剤を塗付及び押圧するステップを示す図である。
【図3b】接着接合アセンブリの第1の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、接着剤に縮幅部を生じさせるステップを示す図である。
【図3c】接着接合アセンブリの第1の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、縮幅部を生じさせた後の接着接合アセンブリの最終形状を示す図である。
【図4a】接着接合アセンブリの第2の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、配置された物体の側面を示す図である。
【図4b】接着接合アセンブリの第2の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、接着剤を塗付且つ圧縮するステップを示す図である。
【図4c】接着接合アセンブリの第2の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、圧縮後の接着接合アセンブリの最終的な形状を示す図である。
【図5a】接着接合アセンブリの第3の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、接着剤を塗付且つ圧縮するステップを示す図である。
【図5b】接着接合アセンブリの第3の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、丸みを帯びたスパチュラを用いて接着剤を剥ぎ取るステップを示す図である。
【図5c】接着接合アセンブリの第3の製造方法の、接着剤の最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な断面(Q)において、剥いだ後の接着接合アセンブリの最終的な形状を示す図である。
【図6a】引張せん断試験要素の製作における、使用される引張せん断試験要素の鋳型6の概略断面(Q)を示す図である。
【図6b】引張せん断試験要素の製作における、使用される引張せん断鋳型6の見本の写真側面図である。
【図6c】引張せん断試験要素の製作における、使用される引張せん断試験要素の鋳型6の概略断面(Q)であり、圧縮後の接着接合アセンブリと一体となった状態を示す図である。
【図6d】引張せん断試験要素の製作における、使用される引張せん断試験要素の鋳型6の概略断面(Q)であり、縮幅部を生じさせた後の接着接合アセンブリと一体となった状態を示す図である。
【図6e】引張せん断試験要素の製作における、引張せん断試験要素の鋳型6の写真側面図であり、縮幅部を生じさせた後の接着接合アセンブリ1と一体となった状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図1では、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面Qの種々の実施形態が開示され、この断面Qにおいて接着剤の最小断面領域が形成される。
【0091】
図1aでは、基材部の表面と垂直な第1の接着接合アセンブリ1の断面Qが示され、この断面Qにおいて接着剤の最小断面領域が形成される。この場合、接着接合アセンブリ1は、第1の基材部S1と第2の基材部S2とを備え、これら第1の基材部S1及び第2の基材部S2は接着剤Kを経て互いに接合される。接着剤Kは、界面長さd1を経て第1の基材部S1と直接接する。この接触の端点は、第1の接点C1及び第2の接点C2によって示され、これらの点にて接着剤Kと、第1の基材部S1と、接着剤に隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0092】
接着剤Kは、界面長さd1を経て第2の基材部S2と直接接する。この接触の端点は、第3の接点C3及び第4の接点C3で示され、これらの点にて接着剤Kと、第2の基材部S2と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0093】
接着剤Kは縮幅部が生じた状態となり、この実施例において縮幅部長さd2は、接着剤の最終厚さdkの半分の高さに位置し、平行に設置された基材部S1及びS2の表面と平行であり、且つ界面長さd1よりも短いことを特徴とする。縮幅部長さd2の端点は、第1の縮幅点E1及び第2の縮幅点E2である。この断面Qにおいて、接着剤は空気Mと二つの界面を形成する。一つの界面は、第1の接点C1と第3の接点C3との間に介在する。この界面には、第1の縮幅点E1が同様に位置される。他の界面は、第2の接点C2と第4の接点C4との間に介在する。この界面には、第2の縮幅点E2が同様に位置される。第1の接点C1において、第1の接点C1と第2の接点C2との間の結合線と、第1の接点C1と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第1の角度α1が存在する。第2の接点C2には、第2の接点C2と第1の接点C1との間の結合線と、第2の接点C2と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第の2角度α2が存在する。第3の接点C3には、第3の接点C3と第4の接点C4との間の結合線と、第3の接点C3と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第3の角度α3が存在する。最後に、第4の接点C4には、第4の接点C4と第3の接点C3との間の結合線と、第4の接点C4と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第4の角度α4が存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4のすべては、接着剤上を通り、約46〜50度の角度を有する。
【0094】
図1bでは、第1の基材部S1が第1の下塗剤P1で被覆され、且つ第2の基材部S2が第2の下塗剤P2で被覆されているものの、実質的に図1aと同一である。
【0095】
従って、接着剤Kは、界面長さd1を経て第1の下塗剤P1と直接接する。この接触の端点は、第1の接点C1及び第2の接点C2で示され、これらの点において接着剤Kと、第1の下塗剤P1と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0096】
接着剤Kは、界面長さd1を経て第2の下塗剤P2と直接接触する。この接触の端点は、第3の接点C3及び第4の接点C4で示され、これらの点において接着剤Kと、第2の下塗剤P2と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0097】
接着剤Kには縮幅部が形成され、この実施例において縮幅部長さd2は、接着剤の最終厚さdkの半分の高さに位置し、平行に設置された基材部S1及びS2の表面と、若しくは下塗剤P1、P2のそれぞれと平行であり、且つ界面長さd1よりも短いことを特徴とする。縮幅部長さd2の端点は、第1の縮幅点E1及び第2の縮幅点E2である。この断面Qにおいて、接着剤は空気Mと二つの界面を形成する。一つの界面は、第1の接点C1と第3の接点C3との間に介在する。この界面には、第1の縮幅点E1が同様に位置される。他の界面は、第2の接点C2と第4の接点C4との間に介在する。この界面には、第2の縮幅点E2が同様に位置される。第1の接点C1において、第1の接点C1と第2の接点C2との間の結合線と、第1の接点C1と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第1の角度α1が存在する。第2の接点C2には、第2の接点C2と第1の接点C1との間の結合線と、第2の接点C2と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第2の角度α2が存在する。第3の接点C3には、第3の接点C3と第4の接点C4との間の結合線と、第3の接点C3と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第3の角度α3が存在する。最後に、第4の接点C4には、第4の接点C4と第3の接点C3との間の結合線と、第4の接点C4と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第4の角度α4が存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4のすべては、接着剤上を通り、約46〜50度の角度を有する。
【0098】
図1cでは、二つの基材部S1及びS2が平行ではなく、互いに対してある角度をなして配置されているものの、実質的に図1aと同一である。接着剤Kは、界面長さd1を経て第1の基材部S1と直接接する。この接触の端点は、第1の接点C1及び第2の接点C2で示され、これらの点において接着剤Kと、第1の基材部S1と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。
【0099】
接着剤Kは、接着剤/基材部の界面を経て第2の基材部と直接接する。この接触の端点は、第3の接点C3及び第4の接点C4で示され、これらの点において接着剤Kと、第2の基材部S2と、接着剤と隣接する媒質Mの空気とが互いに接する。接着剤Kは、接着剤/基材部S1の界面を経て第1基材部と接触する。この第1の接点C1と第2の接点C2との間の接触の距離(stretch:張り)が第3の接点C3と第4の接点C4との間の接触の距離より長いことから、界面長さd1は短い接触距離、すなわち第3の接点C3と第4の接点C4との間の距離を示す。接着剤Kは縮幅部が生じた状態となり、この実施例において縮幅部長さd2が基材部S1及びS2の表面と平行ではないことを特徴とする。接着剤の最終厚さdkは、第3の接点C3から第1の接点C1への距離と第4の接点C4から第2の接点C2への距離との間の平均距離である。縮幅部長さd2の端点は、第1の縮幅点E1及び第2の縮幅点E2である。この断面Qにおいて、接着剤は空気Mと二つの界面を形成する。一つの界面は、第1の接点C1と第3の接点C3との間に介在する。この界面には、第1の縮幅点E1が同様に位置される。他の界面は、第2の接点C2と第4の接点C4との間に介在する。この界面には、第2の縮幅点E2が同様に位置される。第1の接点C1において、第1の接点C1と第2の接点C2との間の結合線と、第1の接点C1と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第1の角度α1が存在する。第2の接点C2には、第2の接点C2と第1の接点C1との間の結合線と、第2の接点C2と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第2の角度α2が存在する。第3の接点C3には、第3の接点C3と第4の接点C4との間の結合線と、第3の接点C3と第1の縮幅点E1との間の結合線とによって形成される第3の角度α3が存在する。最後に、第4の接点C4には、第4の接点C4と第3の接点C3との間の結合線と、第4の接点C4と第2の縮幅点E2との間の結合線とによって形成される第4の角度α4が存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4のすべてが、接着剤上を通過する。
【0100】
図2は、接着材Kの最小断面領域を形成する、基材部の表面と垂直な非発明の接着接合アセンブリ1’の断面Qの様々な実施例を開示する。
【0101】
図2aでは、接着剤が長方形形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。
【0102】
図2bでは、接着剤が正方形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。
【0103】
図2cでは、接着剤が台形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。この形状は、例えば、従来技術に基づいた接合アセンブリの製造の際に被着材S1及びS2が適切に押圧されていない場合に生じる。
【0104】
図2dでは、接着剤が菱形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。この形状は、例えば、従来技術に基づいた接合アセンブリの製造の際に被着材S1及びS2の表面が表面と平行して横方向に移動される場合に出現する。
【0105】
図2eでは、接着剤がバレル形状の断面を有している。この接着剤は縮幅部を有していない。この形状は、例えば、従来技術に基づいた接合アセンブリの製造の際に被着材S1及びS2が過度に押圧される場合に生じる。
【0106】
図2の全ての実施例において、接着剤Kは縮幅部を有していない。従って、接着剤と第1の基材部S1若しくは第2の基材部S2との間の界面長さよりも小さい接着剤の縮幅部距離d2もまた存在しない。このため、縮幅点及び角度α1、α2、α3、α4も同様に存在しない。接着剤Kと接着剤と隣接する媒質Mとの間の界面、及び接着剤Kと基材部S1、S2との間の界面を通じて接着剤を介して形成される接点の少なくとも二つの角度が≧90度である。
【0107】
図3は、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面Qにおいて、接着剤の最小断面領域を形成する第1の好適な方法を開示する。ここで示す接着接合アセンブリは、引張せん断試験要素である。他の接着接合アセンブリも同様に、本実施例に基づいて、変更すべきところは変更することが可能である。
【0108】
図3a〜3cは、本目的に用いられるステップを時間的順序に沿って示したものである。
【0109】
図3aでは、表面に接着剤Kが三角ビード状に塗付された第1の基材部を示す。接着剤は、三角形の断面領域を有しており、界面長さd1を介して第1の基材部S1と接触し、且つ接着剤塗付厚さdk1で示される高さを有する。第2の基材部S2は下塗剤P2で被覆されている。この下塗剤で被覆された基材部は、接着剤と圧力Fdによって接する。ここに示される実施例において、下塗剤で被覆された基材部S2の移動は第1の基材部S1の表面に向かって垂直方向に行われ、且つ圧力Fdも同じ方向に生じる。接着剤が下塗剤で被覆された基材部S2と一緒に圧縮されるとき、下塗剤と接着剤との間の界面長さ、すなわち第3の接点C3と第4の接点C4との間の距離が次第に長くなる。同時に、接着剤厚さが小さくなり、具体的には接着剤塗付厚さdk1から接着剤圧縮厚さdk2へと小さくなる。
【0110】
接着剤Kは、接着剤が接着剤圧縮厚さdk2の厚みに達するまで圧縮される。接着剤が不十分に圧縮された場合、圧縮された後の結果は、図2cに示すような二次元の台形形状の接着剤となる。接着剤が過度に圧縮されると、図2eに示すような二次元のバレル形状の接着剤となる。
【0111】
図3bでは、縮幅部を形成するステップの初期段階を示し、接着剤のオープンタイム内に、接着接合アセンブリに第1の基材部S1の表面に対して垂直方向に張力Fzの適用を伴う。結果的に、接着剤厚さが再び増大され、具体的には接着剤圧縮厚さdk2から接着剤の最終厚さdkへと増大される。この場合、第1の接点C1と第2の接点C2との間、及び第3の接点C3と第4の接点C4との間の距離もまた実質的に変化しないままである。
【0112】
図3cは、本方法によって製作された、接着剤に縮幅部を形成した後の接着接合アセンブリ1を示す。この場合、接着剤は縮幅部長さd2の縮幅部を有し、縮幅部長さd2は、第1の縮幅部E1及び第2の縮幅部E2と境を接する。本実施例において、縮幅部の距離d2は、二つの基材部S1及びS2の表面と平行であり、接着剤の中央に存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4は、図1に詳細に記載されるように形成され、約46〜50度の角度の有する。接着接合アセンブリ1は硬化される前にこの形状を有する。硬化された後も、付加力を与えることなくこの形状が同じように存在する。
【0113】
図4は、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面Qにおいて、接着剤の最小断面領域を形成するさらなる方法を開示する。
【0114】
図4a〜4cは、この目的に用いられるステップを時間的順序に沿って示したものである。
【0115】
図4aでは、第1の基材部S1を示し、第1の基材部S1の表面に第1の形材2と第2の形材3が配置される。これらの形材の間には、一定の距離が存在する。形材は、少なくとも他方の形材に面する側が凸面形状、即ち曲線的な形状を有している。好ましくは、形材がテフロン(登録商標)で形成される。
【0116】
ここで、接着剤が、形材2及び3の間の空間に圧入され、擬似三角形状のビードの形状を成す。接着剤Kの高さは、接着剤塗付厚さdk1である。接着剤によって形材間の空間は濡らされ、且つ満たされる。従って、接着剤Kと、第1の接点C1及び第2の接点C2と境界となる第1の基材部S1との間に界面が形成され、第1の接点C1及び第2の接点C2は、接着剤Kが第1の基材部S1と、それぞれ第1の形材2若しくは第2の形材3と接する箇所である。
【0117】
図4bでは、形成方法の段階を示し、第2の基材部S2が、接着剤Kへと移行され、且つ第1の基材部の表面に対して垂直に作用する圧力Fdを加えることによって押圧される。接着剤が第2の基材部と接すると、接着剤K/第2の基材部S2界面が形成され、この界面は加えられる圧力が増大されるとともに大きくなる。その一方、接着剤厚さは、接着剤塗付厚さdk1から接着剤圧縮厚さへと減少され、ここで接着剤圧縮厚さは接着剤の最終厚さdkと同じになる。ここで説明される実施例において、形材はスペーサとしての機能を同時に果たす。
【0118】
図4cでは、形材2、3が取り除かれた後の、前記形成作業の最終的な状態を示す。このようにして形成される接着接合アセンブリ1は、硬化前に縮幅部を特徴付ける。硬化された後も、付加力を与えることなくこの形状が同じように存在する。従って、図4Cは図1aに相当する。
【0119】
図5では、基材部の表面と垂直な接着接合アセンブリの断面において、接着剤の最小断面領域を形成する第3の方法を開示する。ここに示される接着接合アセンブリは、引張せん断試験要素である。その他の接着接合アセンブリもまた、本実施例に基づいて、変更すべきところは変更されてよい。
【0120】
図5a〜5cでは、この目的に用いられるステップを時間的順序に沿って示したものである。
【0121】
図5aでは、表面に接着剤が三角ビード状に塗付された第1の基材部を示す。接着剤は、三角形の断面領域を有しており、界面長さd1を介して第1の基材部S1と接触し、且つ接着剤塗付厚さdk1で示される高さを有する。第2の基材部S2は、圧力Fdによって接着剤と接する。ここに開示される実施例において、基材部S2の移動は第1の基材部S1の表面に向かって垂直方向に行われ、且つ圧力Fdも同じ方向に生じる。接着剤が基材部S2と一緒に圧縮されるとき、基材部S2と接着剤Kとの間の界面長さ、すなわち第3の接点C3と第4の接点C4との間の距離は次第に長くなる。同時に、接着剤厚さが小さくなり、具体的には接着剤塗付厚さdk1から接着剤圧縮厚さへと小さくなり、本実施例において接着剤圧縮厚さは接着剤の最終厚さdkと同じである。接着剤の圧縮が不十分な場合、圧縮された後の結果は、図2cに示すような二次元の台形形状の接着剤となる。接着剤が過度に圧縮されると、図2eに示すような二次元のバレル形状の接着剤となる。
【0122】
図5bでは、縮幅部を形成するステップの初期段階を示し、この段階は接着剤Kと空気Mとの間の二つの界面である端部において接着剤の部分的な除去を伴い、丸みを帯びた先端部5を有するスパチュラ4が使用される。これは、第1の基材部の表面と平行して接着剤にスパチュラが挿入され、次いでこの面において接着剤のビードに対して前後方向、すなわち、ここに示す断面において、まずブレードの面へ、続くブレードの面に垂直に動かすことによって達成される。
【0123】
図5cでは、本方法によって製作された、接着剤に縮幅部を形成した後の接着接合アセンブリ1を示す。この場合、接着剤は縮幅長さd2の縮幅部を有し、縮幅長さd2は、第1の縮幅部E1及び第2の縮幅部E2と境を接する。本実施例において、縮幅部の距離d2は、二つの基材部S1及びS2の表面と平行であり、接着剤の中央に存在する。四つの角度α1、α2、α3、及びα4は、図1に詳細に記載されるように形成され、約46〜50度の角度の有する。接着接合アセンブリ1は硬化される前にこの形状を有する。硬化された後も、付加力を与えることなくこの形状が同じように存在する。
【0124】
[実施例]
以下に、本発明のさらなる態様の提供を目的とする具体例を示す。ここに示す実施例は引張せん断試験要素の製作である。
【0125】
[引張せん断試験要素の製作]
図6bにおいて側面から撮影され、且つ図6aにおいて概略的に断面が示されるように、引張せん断試験要素の鋳型6は、三つのテフロン(登録商標)の引張せん断試験を行うために製作され、鋳型6は六個のねじ7(140×100×30mm;75×100×10mmの主要切欠き部(main cutout)と65×12.5×10mmの中間切欠き部(intermediate cutout)とを含む)を有する。図1に描写されるように、スペーサ板8は切欠き部内に位置し、これによって切欠き部は5mmの残余深さを有する。次いで、100×40×1mmの寸法を有する自動車の塗装パネルが、主たる切欠け部内に横方向に配置され、且つ接着固着用テープ(adhesive fixing tape)9を用いて鋳型に固定される。その次に、接着剤Sikaflex(登録商標)−250 UH−1cool(米国Sika Corporationより市販)が三角形状ビードとして塗付される。続いて、80×25×1mmの寸法を有する三つの自動車の塗装パネルが、接着剤に押圧され、且つさらなる板及び留め具を用いて鋳型にしっかりと固定される。従って、接着剤層は15×25×4mmの寸法を有する。
【0126】
比較される試験要素“Ref.1”は、この方法によって硬化される。
【0127】
縮幅部を有する接着接合アセンブリを得るため、図6dに示すように、ねじをねじ込むことによって鋳型と塗装パネルとの間の距離が1mmに大きくなり、それ故に接着剤の厚さが4mmから5mmへと大きくなる。サンプル要素1はこの位置において硬化される。
【0128】
図6eは、この方法によって製作された接着接合アセンブリ1の写真側面図である。
【0129】
硬化は、23℃、相対湿度50%において7日間行われた。
【0130】
使用される塗装パネル(DuPont Clear Coat RK 8034、ACT Laboratoriesより入手)は、Sika(登録商標)Aktivator UH−2 LUM(米国Sika Corporationより市販)で前処理され、蒸発が生じるように10分間放置される。
【0131】
【表1】
【0132】
[引張せん断強度試験]
接着接合アセンブリの引張せん断試験は、−40℃において引張速度20mm/minの条件で、DIN EN 1465に基づいて実施された。結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
【0134】
表2に示す結果より、縮幅部を有する接着接合アセンブリは著しく増大した最大力を伝達することができ、それ故に縮幅部を有しない比較の接着接合アセンブリよりも著しく高い引張せん断強度が発揮された。さらに、縮幅部を有する接着接合アセンブリは縮幅部を有しない接着接合アセンブリと比較して、自動車トップコートパネルへの著しく改善された付着力を発揮することが明らかとなった。
【符号の説明】
【0135】
α1 第1の角度
α2 第2の角度
α3 第3の角度
α4 第4の角度
1 接着接合アセンブリ
1’ 接着接合アセンブリ
2 第1の形材
3 第2の形材
4 丸みを帯びた先端部を有するスパチュラ
5 スパチュラの曲線部
6 引張せん断試験要素の鋳型
7 ねじ
8 スペーサ板
9 接着固着用テープ
d1 界面長さ
d2 縮幅部長さ
dk 接着剤の最終厚さ
dk1 接着剤塗付厚さ
dk2 接着剤圧縮厚さ
C1 第1の接点
C2 第2の接点
C3 第3の接点
C4 第4の接点
E1 第1の縮幅点
E2 第2の縮幅点
Fd 圧力
Fz 張力
K 接着剤
M 周囲媒質
P1 第1の下塗剤
P2 第2の下塗剤
Q 断面
S1 第1の基材部
S2 第2の基材部
【図1a)】
【図1b)】
【図1c)】
【図2a)】
【図2b)】
【図2c)】
【図2d)】
【図2e)】
【図3a)】
【図3b)】
【図3c)】
【図4a)】
【図4b)】
【図4c)】
【図5a)】
【図5b)】
【図5c)】
【図6a)】
【図6b)】
【図6c)】
【図6d)】
【図6e)】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材部(S1)と第2の基材部(S2)とを備え、前記第1の基材部と前記第2の基材部とが接着剤(K)によって互いに接合されている接着接合アセンブリであって、
任意に、前記第1の基材部(S1)と前記接着剤との間に第1の下塗剤(P1)、及び/又は前記第2の基材部(S2)と前記接着剤との間に第2の下塗剤(P2)を備えた接着接合アセンブリ(1)において、
前記接着剤(K)が、前記第1の基材部(S1)の表面と垂直な前記接着接合アセンブリの断面(Q)において、前記接着剤(K)の最小断面領域を形成し、縮幅部を呈することを特徴とする接着接合アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記縮幅部が、前記断面(Q)において、前記接着剤に接する媒質(M)と接着剤との間の二つの界面間の、接着剤の最小距離を示す縮幅部の距離(d2)が、二つの界面長さ(d1)のうち短い界面長さよりも短く、前記界面長さ(d1)が、前記接着剤から前記基材部(S1、S2)若しくは存在するならば前記下塗剤(P1、P2)へと接する距離の長さであるように定義されることを特徴とする請求項1に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記縮幅部の長さ(d2)の前記界面長さ(d1)に対する比d2/d1の値が、1よりも小さく、0よりも大きく、さらに詳しくは0.5〜0.9の値であり、好ましくは、0.5〜0.8であることを特徴とする請求項2に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記断面(Q)において、第1の角度(α1)と、第2の角度(α2)と、第3の角度(α3)と、第4の角度(α4)が形成され、それぞれの角度が>5°、<85°であって、
前記第1の角度(α1)が、前記第1の接点(C1)において、第1の接点(C1)と第2の接点(C2)との間の距離と、第1の接点(C1)と第1の縮幅点(E1)との間の距離とによって形成され、
前記第2の角度(α2)が、前記第2の接点(C2)において、第2の接点(C2)と第1の接点(C1)との間の距離と、第2の接点(C2)と第2の縮幅点(E2)との間の距離とによって形成され、
前記第3の角度(α3)が、前記第3の接点(C3)において、第3の接点(C3)と第4の接点(C4)との間の距離と、第3の接点(C3)と第1の縮幅点(E1)との間の距離とによって形成され、
前記第4の角度(α4)が、前記第4の接点(C4)において、第4の接点(C4)と第3の接点(C3)との間の距離と、第4の接点(C4)と第2の縮幅点(E2)との間の距離とによって形成され、
前記第1の縮幅部(E1)と前記第2の縮幅部(E2)とが、前記縮幅部の距離(d2)の各端点を示し、
前記第1の接点(C1)、前記第3の接点(C3)、及び前記第1の縮幅(E1)が、前記接着剤と該接着剤に接する媒質(M)との間の同一界面(P1)上に位置され、
且つ、前記第2の接点(C2)、前記第4の接点(C4)、及び前記第2の縮幅部(E2)が、前記接着剤と該接着剤に接する媒質(M)との間の同一界面(P2)上に位置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記第1の角度(α1)、及び/又は前記第2の角度(α2)、及び/又は前記第3の角度(α3)、及び/又は前記第4の角度(α4)の値が、10°〜80°、さらに詳しくは25°〜75°、好ましくは35〜70°、より好ましくは45°〜65°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記第1の角度(α1)、前記第2の角度(α2)、前記第3の角度(α3)、及び前記第4の角度(α4)の値すべてが、10°〜80°、さらに詳しくは25°〜75°、好ましくは35〜70、より好ましくは45°〜65°であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記接着剤層の最終的な厚さ(dk)が、1mm〜20mm、さらに詳しくは1mm〜10mm、好ましくは3mm〜8mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記第1の基材部(S1)と前記第2の基材部(S2)とが平行に配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記界面長さ(d1)の値が2mm〜4cm、さらに詳しくは5mm〜2cm、好ましくは8mm〜16mmであることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記接着剤がペースト状の接着剤であって、さらに詳しくは、流動性から粘性の接着接合剤及び充填剤に基づく接着剤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項11】
前記接着剤が、イソシアネート基及び/又はシラン基を含有するポリウレタンプレポリマーに基づいた、カーボンブラックが充填された湿度硬化型接着剤であることを特徴とする請求項9に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項12】
i)前記第1の基材部(S1)の表面上に、前記接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
ii)前記接着剤(K)が前記第2の基材部(S2)の表面と接するステップと、
iii)圧力(Fd)を加えることによって前記接着剤(K)を圧縮するステップであって、前記圧力(Fd)は、前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として前記接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤圧縮厚さ(dk2)へと前記接着剤の厚さが減少するステップと、
iv)張力(Fz)を加えることによって前記接着剤(K)に縮幅部を形成するステップであって、前記張力(Fz)は、前記接着剤(K)のオープンタイム内に前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として前記接着剤圧縮厚さ(dk2)から接着剤の最終厚さ(dk)へと前記接着剤の厚さが増大するステップと、
を備えるか、または、
i’)前記第2の基材部(S2)の表面上に、前記接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
ii’)前記接着剤(K)が前記第1の基材部(S1)の表面と接するステップと、
iii’)圧力(Fd)を加えることによって前記接着剤(K)を圧縮するステップであって、前記圧力(Fd)は、前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、結果として前記接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤圧縮厚さ(dk2)へ前記接着剤の厚さが減少するステップと、
iv’)張力(Fz)を加えることによって前記接着剤(K)に縮幅部を形成するステップであって、前記張力(Fz)は、前記接着剤(K)のオープンタイム内に前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として前記接着剤圧縮厚さ(dk2)から接着剤の最終厚さ(dk)へと前記接着剤の厚さが増大するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)を製作する方法。
【請求項13】
I)前記第1の基材部(S1)又は前記第2の基材部(S2)の表面上に、互いに離れた二つの形材(2及び3)を配置するステップであって、前記二つの形材は、前記接着剤に付着されない物質で形成されることが好ましく、前記形材のそれぞれの表面がもう一方の形材に面する方向に凸状に湾曲しているステップと、
II)前記接着剤(K)を、隔てた前記二つの形材間に、前記第1の第1の基材部(S1)若しくは前記第2の基材部(S2)の表面上に塗付するステップであって、前記接着剤(K)が接着剤塗付厚さ(dk1)を有するステップと、
III)前記接着剤が、前記第2の基材部(S2)若しくは前記第1の基材部(S1)の表面と接触するステップと、
IV)圧力(Fd)を加えることによって前記接着剤(K)を圧縮するステップであって、前記圧力(Fd)は、前記接着剤(K)のオープンタイム内に前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、結果として、前記接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤の最終厚さ(dk)へ前記接着剤の厚さが減少するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)を製作する方法。
【請求項14】
前記形材が、テフロン(登録商標)、又はポリエチレン、若しくはポリプロピレンで形成されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
I’)前記第1の基材部(S1)若しくは前記第2の基材部(S2)の表面上に、前記接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
II’)前記接着剤(K)が、前記第2の基材部(S2)若しくは前記第1の基材部(S1)の表面と接するステップと、
III’)圧力(Fd)を加えることによって前記接着剤(K)を圧縮するステップであって、前記圧力(Fd)は、前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として前記接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤の最終厚さ(dk)へと前記接着剤の厚さが減少するステップと、
IV’)丸みを帯びたスパチュラ先端部を有するスパチュラ(4)を用いて、前記接着剤(K)のオープンタイム内に前記接着剤を剥ぎ取るステップであって、その結果として前記接着剤に縮幅部を形成するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)を製作する方法。
【請求項16】
前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)が事前に下塗剤(P1、P2)で前処理されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップiv)、又はIV)、又はIV’)の後に、前記接着剤が硬化されるステップv)、又はV)、又はV’)を実施することを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記接着剤の硬化は、湿気、さらに詳しくは、大気中の水分によって硬化されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項16又は17の方法によって製作された、硬化された接着接合アセンブリ(1)。
【請求項20】
少なくとも一つの第1の基材部(S1)及び第2の基材部(S2)と、二つの基材部と互いに結合する接着剤をさらに備えた接着接合製品において、前記接着剤が縮幅部を呈することを特徴とする、接着接合製品における力の伝達を増大する方法。
【請求項21】
前記接着接合の断面において、前記接着剤の断面領域が台形、又は正方形、又は長方形、又は菱形、又はバレル形の形状を有しないことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項1】
第1の基材部(S1)と第2の基材部(S2)とを備え、前記第1の基材部と前記第2の基材部とが接着剤(K)によって互いに接合されている接着接合アセンブリであって、
任意に、前記第1の基材部(S1)と前記接着剤との間に第1の下塗剤(P1)、及び/又は前記第2の基材部(S2)と前記接着剤との間に第2の下塗剤(P2)を備えた接着接合アセンブリ(1)において、
前記接着剤(K)が、前記第1の基材部(S1)の表面と垂直な前記接着接合アセンブリの断面(Q)において、前記接着剤(K)の最小断面領域を形成し、縮幅部を呈することを特徴とする接着接合アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記縮幅部が、前記断面(Q)において、前記接着剤に接する媒質(M)と接着剤との間の二つの界面間の、接着剤の最小距離を示す縮幅部の距離(d2)が、二つの界面長さ(d1)のうち短い界面長さよりも短く、前記界面長さ(d1)が、前記接着剤から前記基材部(S1、S2)若しくは存在するならば前記下塗剤(P1、P2)へと接する距離の長さであるように定義されることを特徴とする請求項1に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記縮幅部の長さ(d2)の前記界面長さ(d1)に対する比d2/d1の値が、1よりも小さく、0よりも大きく、さらに詳しくは0.5〜0.9の値であり、好ましくは、0.5〜0.8であることを特徴とする請求項2に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記断面(Q)において、第1の角度(α1)と、第2の角度(α2)と、第3の角度(α3)と、第4の角度(α4)が形成され、それぞれの角度が>5°、<85°であって、
前記第1の角度(α1)が、前記第1の接点(C1)において、第1の接点(C1)と第2の接点(C2)との間の距離と、第1の接点(C1)と第1の縮幅点(E1)との間の距離とによって形成され、
前記第2の角度(α2)が、前記第2の接点(C2)において、第2の接点(C2)と第1の接点(C1)との間の距離と、第2の接点(C2)と第2の縮幅点(E2)との間の距離とによって形成され、
前記第3の角度(α3)が、前記第3の接点(C3)において、第3の接点(C3)と第4の接点(C4)との間の距離と、第3の接点(C3)と第1の縮幅点(E1)との間の距離とによって形成され、
前記第4の角度(α4)が、前記第4の接点(C4)において、第4の接点(C4)と第3の接点(C3)との間の距離と、第4の接点(C4)と第2の縮幅点(E2)との間の距離とによって形成され、
前記第1の縮幅部(E1)と前記第2の縮幅部(E2)とが、前記縮幅部の距離(d2)の各端点を示し、
前記第1の接点(C1)、前記第3の接点(C3)、及び前記第1の縮幅(E1)が、前記接着剤と該接着剤に接する媒質(M)との間の同一界面(P1)上に位置され、
且つ、前記第2の接点(C2)、前記第4の接点(C4)、及び前記第2の縮幅部(E2)が、前記接着剤と該接着剤に接する媒質(M)との間の同一界面(P2)上に位置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記第1の角度(α1)、及び/又は前記第2の角度(α2)、及び/又は前記第3の角度(α3)、及び/又は前記第4の角度(α4)の値が、10°〜80°、さらに詳しくは25°〜75°、好ましくは35〜70°、より好ましくは45°〜65°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記第1の角度(α1)、前記第2の角度(α2)、前記第3の角度(α3)、及び前記第4の角度(α4)の値すべてが、10°〜80°、さらに詳しくは25°〜75°、好ましくは35〜70、より好ましくは45°〜65°であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記接着剤層の最終的な厚さ(dk)が、1mm〜20mm、さらに詳しくは1mm〜10mm、好ましくは3mm〜8mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記第1の基材部(S1)と前記第2の基材部(S2)とが平行に配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記界面長さ(d1)の値が2mm〜4cm、さらに詳しくは5mm〜2cm、好ましくは8mm〜16mmであることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記接着剤がペースト状の接着剤であって、さらに詳しくは、流動性から粘性の接着接合剤及び充填剤に基づく接着剤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項11】
前記接着剤が、イソシアネート基及び/又はシラン基を含有するポリウレタンプレポリマーに基づいた、カーボンブラックが充填された湿度硬化型接着剤であることを特徴とする請求項9に記載の接着接合アセンブリ(1)。
【請求項12】
i)前記第1の基材部(S1)の表面上に、前記接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
ii)前記接着剤(K)が前記第2の基材部(S2)の表面と接するステップと、
iii)圧力(Fd)を加えることによって前記接着剤(K)を圧縮するステップであって、前記圧力(Fd)は、前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として前記接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤圧縮厚さ(dk2)へと前記接着剤の厚さが減少するステップと、
iv)張力(Fz)を加えることによって前記接着剤(K)に縮幅部を形成するステップであって、前記張力(Fz)は、前記接着剤(K)のオープンタイム内に前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として前記接着剤圧縮厚さ(dk2)から接着剤の最終厚さ(dk)へと前記接着剤の厚さが増大するステップと、
を備えるか、または、
i’)前記第2の基材部(S2)の表面上に、前記接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
ii’)前記接着剤(K)が前記第1の基材部(S1)の表面と接するステップと、
iii’)圧力(Fd)を加えることによって前記接着剤(K)を圧縮するステップであって、前記圧力(Fd)は、前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、結果として前記接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤圧縮厚さ(dk2)へ前記接着剤の厚さが減少するステップと、
iv’)張力(Fz)を加えることによって前記接着剤(K)に縮幅部を形成するステップであって、前記張力(Fz)は、前記接着剤(K)のオープンタイム内に前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として前記接着剤圧縮厚さ(dk2)から接着剤の最終厚さ(dk)へと前記接着剤の厚さが増大するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)を製作する方法。
【請求項13】
I)前記第1の基材部(S1)又は前記第2の基材部(S2)の表面上に、互いに離れた二つの形材(2及び3)を配置するステップであって、前記二つの形材は、前記接着剤に付着されない物質で形成されることが好ましく、前記形材のそれぞれの表面がもう一方の形材に面する方向に凸状に湾曲しているステップと、
II)前記接着剤(K)を、隔てた前記二つの形材間に、前記第1の第1の基材部(S1)若しくは前記第2の基材部(S2)の表面上に塗付するステップであって、前記接着剤(K)が接着剤塗付厚さ(dk1)を有するステップと、
III)前記接着剤が、前記第2の基材部(S2)若しくは前記第1の基材部(S1)の表面と接触するステップと、
IV)圧力(Fd)を加えることによって前記接着剤(K)を圧縮するステップであって、前記圧力(Fd)は、前記接着剤(K)のオープンタイム内に前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、結果として、前記接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤の最終厚さ(dk)へ前記接着剤の厚さが減少するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)を製作する方法。
【請求項14】
前記形材が、テフロン(登録商標)、又はポリエチレン、若しくはポリプロピレンで形成されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
I’)前記第1の基材部(S1)若しくは前記第2の基材部(S2)の表面上に、前記接着剤(K)を三角ビード形状に接着剤塗付厚さ(dk1)で塗付するステップと、
II’)前記接着剤(K)が、前記第2の基材部(S2)若しくは前記第1の基材部(S1)の表面と接するステップと、
III’)圧力(Fd)を加えることによって前記接着剤(K)を圧縮するステップであって、前記圧力(Fd)は、前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)の表面と垂直に作用する力成分を有し、その結果として前記接着剤塗付厚さ(dk1)から接着剤の最終厚さ(dk)へと前記接着剤の厚さが減少するステップと、
IV’)丸みを帯びたスパチュラ先端部を有するスパチュラ(4)を用いて、前記接着剤(K)のオープンタイム内に前記接着剤を剥ぎ取るステップであって、その結果として前記接着剤に縮幅部を形成するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着接合アセンブリ(1)を製作する方法。
【請求項16】
前記第1の基材部(S1)及び/又は前記第2の基材部(S2)が事前に下塗剤(P1、P2)で前処理されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップiv)、又はIV)、又はIV’)の後に、前記接着剤が硬化されるステップv)、又はV)、又はV’)を実施することを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記接着剤の硬化は、湿気、さらに詳しくは、大気中の水分によって硬化されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項16又は17の方法によって製作された、硬化された接着接合アセンブリ(1)。
【請求項20】
少なくとも一つの第1の基材部(S1)及び第2の基材部(S2)と、二つの基材部と互いに結合する接着剤をさらに備えた接着接合製品において、前記接着剤が縮幅部を呈することを特徴とする、接着接合製品における力の伝達を増大する方法。
【請求項21】
前記接着接合の断面において、前記接着剤の断面領域が台形、又は正方形、又は長方形、又は菱形、又はバレル形の形状を有しないことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【公表番号】特表2009−537689(P2009−537689A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511527(P2009−511527)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055050
【国際公開番号】WO2007/135186
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055050
【国際公開番号】WO2007/135186
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】
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