付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法
【課題】小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する雨滴と室内側に付着する結露の判別も可能な付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法を提供する。
【解決手段】室内外を仕切るガラス20に付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、発光部30と、ガラス20および水分からの反射光を受光する受光部40と、受光部30からの出力を演算処理する演算処理部50とを有してなり、発光部30が、可視光から水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光を発光する白色光源からなり、受光部40が、水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41と感度の高い第2画素42からなる画素対で構成されてなり、演算処理部50が、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを演算処理して、ガラス20に付着する水分を判別して検出する付着水分検出装置100とする。
【解決手段】室内外を仕切るガラス20に付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、発光部30と、ガラス20および水分からの反射光を受光する受光部40と、受光部30からの出力を演算処理する演算処理部50とを有してなり、発光部30が、可視光から水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光を発光する白色光源からなり、受光部40が、水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41と感度の高い第2画素42からなる画素対で構成されてなり、演算処理部50が、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを演算処理して、ガラス20に付着する水分を判別して検出する付着水分検出装置100とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置が、例えば、特開平8−261933号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図15は、特許文献1に開示されたガラスの付着物検出装置を示す図である。図16は、図15の付着物検出装置における発光素子10の発光強度と第1・第2の各受光素子11・12の検出感度を光の波長に対して示した図である。また、図17は、図15の付着物検出装置についての制御の一例を示したフロー図である。
【0004】
図15に示すように、この付着物検出装置は、自動車のボンネット1の上面に配設された発光部2と、ルームミラー3の裏側に配設され受光部4と、車内の適所に配置された制御回路5とからなっており、フロントウインドウガラス6の外面の雨滴並びに汚れの付着状況を判別し、その付着状況に応じてワイパモータ7並びにウォッシャポンプ8を作動させるワイパ駆動回路9に作動信号を出力するものである。
【0005】
発光部2には発光手段としての発光素子10が、受光部4には受光手段としての第1・第2の2つの受光素子11・12がそれぞれ内蔵されており、これら発光素子10並びに受光素子11・12は、受光部4に向けて投光された発光素子10の光が、フロントウインドウガラス6のワイパ払拭領域を透過した後に、第1・第2の両受光素子11・12に到達するように互いに対向して配置されている。
【0006】
発光素子10は、図16に示されるように、水吸収波長を含む広範囲の波長帯域(0.5〜2.0μm)の光を発するSiCからなる発光ダイオードである。一方、第1受光素子11は、水吸収波長の近傍(0.6〜1.8μm)に検出感度ピークを有するGeからなるフォトダイオードであり、第2受光素子12は、水に吸収されず汚れによって遮断される波長帯域(0.6〜0.9μm)に検出感度ピークを有するGaAsからなるフォトダイオードである。
【0007】
上記付着物検出装置の制御では、図17に示すように、ステップS91において雨滴並びに汚れの付着状況が判別される。この雨滴並びに汚れの付着状況の判別は、第1・第2の受光素子11・12における各検出値を、制御回路5に予め記憶された所定の基準値とそれぞれ比較することで行われる。例えば、第1・第2の各受光素子11・12における検出値が共に基準値を下回っていれば、汚れが付着しているものと判定される。一方、ステップS91において、第1受光素子11の検出値だけが基準値を下回った場合には、非水吸収波長光が遮断されていないことから、雨滴のみが付着しているものと判定され、ステップS92に進む。ステップS92では、制御回路5に予め記憶された雨量判定値と比較されて、雨滴の多少、すなわち降雨状況の強弱が判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−261933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図15〜図17に示した特許文献1の付着物検出装置では、発光部2が自動車のボンネット1の上面に配設され、受光部4が車室内のルームミラー3の裏側に配設されている。このためため、発光部2から受光部4までの光の経路が長くなり、装置全体が大型化する。また、光の経路が長いため外光の影響を受け易く、第1・第2の各受光素子11・12の受光強度が外光の影響で変化してしまい、正確な光量比を計測できない場合がある。さらに、該付着物検出装置では、フロントウインドウガラス6の外面に付着する雨滴の水分と内面に付着する結露の水分を判別できないといった問題もある。
【0010】
そこで本発明は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する雨滴と室内側に付着する結露の判別も可能な付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の付着水分検出装置は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、室内から前記ガラスに向かって光を照射する発光部と、前記発光部により照射される光の一部が前記ガラスおよび前記水分で反射され、該反射光を室内において受光できるように配置されてなる受光部と、前記反射光の強度に対応した前記受光部からの出力を演算処理する演算処理部とを有してなり、前記発光部が、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光を発光する白色光源からなり、前記受光部が、前記水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素と前記水吸収波長の光に対して前記第1画素より感度の高い第2画素からなる画素対で構成されてなり、前記演算処理部が、前記第1画素の出力Lと前記第2画素の出力Rを演算処理して、前記ガラスに付着する水分を判別して検出することを特徴としている。
【0012】
上記付着水分検出装置は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出するために、付着した水分による光の反射と吸収の両方を評価するものである。
【0013】
上記付着水分検出装置において、付着水分の検出プローブである光の発光部と受光部は、室内側にまとめて配置されており、発光部からガラスに向かってコリメートされた光を照射し、該照射光の一部がガラスおよび付着水分で反射され、付着水分の情報を含んだ反射光を受光部で受光してその強度を検出する。このように、上記付着水分検出装置は、検出媒体である光の反射経路を利用しており、発光部から受光部までの光の経路を短くすることができ、装置全体の小型化と外光の影響の低減が可能である。
【0014】
また、上記付着水分検出装置においては、発光部が白色光源からなり、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光をガラスに向かって照射する。一方、受光部で受光する反射光の強度は、光の経路にある媒質の屈折率差による界面での反射率に起因した反射光量と、光の経路にある媒質の光の吸収に起因した吸収光量に依存している。この反射光量と吸収光量を識別するため、上記付着水分検出装置の受光部は、水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素と水吸収波長の光に対して第1画素より感度の高い第2画素からなる、波長感度の異なる画素の対で構成している。そして、演算処理部において、第1画素の出力Lと第2画素の出力Rを演算処理して、後述する付着水分検出方法において示すように、ガラスに付着する室内外の水分を判別して検出する。このように、上記付着水分検出装置によれば、受光部で受光する反射光の強度に対して、付着水分による光の反射だけでなく、付着水分による光の吸収を含んだ詳細分析が可能である。
【0015】
従って、請求項2に記載のように、上記付着水分検出装置が検出する前記水分は、前記ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の少なくとも一方であってよい。
【0016】
上記付着水分検出装置は、請求項3に記載のように、前記受光部が、複数の前記画素対で構成されてなり、前記演算処理部が、複数の前記画素対における前記出力Lと前記出力Rを順次演算処理して、前記ガラスに付着する水分を検出することが好ましい。また、この場合には、特に請求項4に記載のように、前記複数の画素対が行列状に配置されて、画素対アレイが構成されてなることが好ましい。
【0017】
複数の画素対で受光部を構成することにより、複数の位置で付着水分を検出することができ、より正確な付着水分の検出が可能となる。また、複数の画素対を行列状に配置して画素対アレイを構成することで、付着水分の分布状態も検出することができる。
【0018】
以上のようにして、上記付着水分検出装置は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する水分と室内側に付着する水分の判別も可能な付着水分検出装置とすることができる。
【0019】
従って、上記付着水分検出装置は、請求項5に記載のように、雨滴と結露が同時に発生する環境下で使用される車載用で、前記ガラスが、車両前方の車室内と車室外を仕切るフロントガラスである場合に好適である。
【0020】
請求項6〜9に記載の発明は、上記付着水分検出装置による、付着水分検出方法に関する。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴であり、前記演算処理部において、前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴なしと判定する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴判定基準比V4rを比較し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に雨滴でないと判定し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に雨滴ありと判定する第3のステップを実行することを特徴としている。
【0022】
上記付着水分検出方法は、結露の判別が不要な環境下において、ガラスの室外側に付着する雨滴の検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部において、次の第1〜第3のステップを順に実行する。
【0023】
第1のステップでは、受光部の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素の出力Rを読み込む。
【0024】
次の第2のステップでは、ガラスに水分が付着すると反射光量が減少することを利用して、「雨滴なし(水分の付着がない)」を判別し、この場合には、次の第3のステップを除外する。このため、第2のステップでは、第1画素について予め設定した第2出力基準VL2と前記出力L、および第2画素について予め設定した第2出力基準VR2と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「雨滴なし」と判定する。
【0025】
次の第3のステップでは、第1画素と第2画素の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「雨滴あり(室外側に水分の付着がある)」と「雨滴でない(汚れ等による減衰)」を判別する。このため、第3のステップでは、第2のステップを通過した第1画素の出力Lと第2画素の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した雨滴判定基準比V4rを比較する。そして、出力比Crが雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に「雨滴でない」と判定し、出力比Crが雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に「雨滴あり」と判定する。
【0026】
以上の第1〜第3のステップを順に実行することで、ガラスの室外側に付着する雨滴を判別して検出することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、前記水分が、前記ガラスの室内側に付着する結露であり、前記演算処理部において、前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に結露なしと判定する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の結露判定基準比V4dを比較し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に結露でないと判定し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に結露ありと判定する第4のステップを実行することを特徴としている。
【0028】
上記付着水分検出方法は、雨滴の判別が不要な環境下において、ガラスの室内側に付着する結露の検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部において、次の第1,第2のステップと第4のステップを順に実行する。
【0029】
第1,第2のステップは、前述した雨滴を検出する請求項6の付着水分検出方法にある第1,第2のステップと同じで、第2のステップにおいて予め設定する第2出力基準VL2,VR2の値も同じであってよい。
【0030】
第1のステップでは、受光部の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素の出力Rを読み込む。
【0031】
次の第2のステップでは、ガラスに水分が付着すると反射光量が減少することを利用して、「結露なし(水分の付着がない)」を判別し、この場合には、次の第4のステップを除外する。このため、第2のステップでは、第1画素について予め設定した第2出力基準VL2と前記出力L、および第2画素について予め設定した第2出力基準VR2と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「結露なし」と判定する。
【0032】
次の第4のステップでは、第1画素と第2画素の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「結露あり(室内側に水分の付着がある)」と「結露でない(汚れ等による減衰)」を判別する。このため、第4のステップでは、第2のステップを通過した第1画素の出力Lと第2画素の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した結露判定基準比V4dを比較する。そして、出力比Crが結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に「結露でない」と判定し、出力比Crが結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に「結露あり」と判定する。ここで、第4のステップにおける結露判定基準比V4dと前述した請求項6の第3のステップにおける雨滴判定基準比V4rの設定値を比較すると、一般的には結露判定基準比V4dのほうが雨滴判定基準比V4rより小さな値となる。これは、ガラスの室内側に付着する結露による水分のほうが、ガラスの室外側に付着する雨滴による水分よりも通過経路の違いに伴う光の吸収割合が大きくなるためである。
【0033】
以上の第1,第2のステップと第4のステップを順に実行することで、ガラスの室内側に付着する結露を判別して検出することができる。
【0034】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の両方であり、前記演算処理部において、前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴と結露の両方なしと判定する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記出力Lと前記第2出力基準VL2より小さい第1画素についての所定の第3出力基準VL3および前記出力Rと前記第2出力基準VR2より小さい第2画素についての所定の第3出力基準VR3をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に雨滴と結露の両方ありと判定する第5のステップと、前記第5のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴結露判定基準比V4を比較し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に結露だけありと判定し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に雨滴だけありと判定する第6のステップを実行することを特徴としている。
【0035】
上記付着水分検出方法は、ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の両方の検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部において、次の第1,第2のステップと第5,第6のステップを順に実行する。
【0036】
第1,第2のステップは、前述した請求項6および請求項7の付着水分検出方法にある第1,第2のステップと同じで、第2のステップにおいて予め設定する第2出力基準VL2,VR2の値も同じであってよい。
【0037】
第1のステップでは、受光部の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素の出力Rを読み込む。
【0038】
次の第2のステップでは、ガラスに水分が付着すると反射光量が減少することを利用して、「雨滴と結露の両方なし(水分の付着がない)」を判別し、この場合には、次の第5,第6のステップを除外する。このため、第2のステップでは、第1画素について予め設定した第2出力基準VL2と前記出力L、および第2画素について予め設定した第2出力基準VR2と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「雨滴と結露の両方なし」と判定する。
【0039】
次の第5のステップでは、ガラスの両側に水分が付着すると一方側だけの場合に較べて反射光量がより減少することを利用して、「雨滴と結露の両方あり(ガラスの両側に水分の付着がある)」を判別し、この場合には、次の第6のステップを除外する。このため、第5のステップでは、第1画素について予め設定した第3出力基準VL3と前記出力L、および第2画素について予め設定した第3出力基準VR3と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に、「雨滴と結露の両方あり」と判定する。ここで、第5のステップにおける第3出力基準VL3,VR3と第2のステップにおける第2出力基準VL2,VR2の設定値を比較すると、ガラスの両側に水分が付着するほうが一方側だけに水分が付着するよりも反射光量がより減少するため、第3出力基準VL3,VR3のほうがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2より小さな値となる。
【0040】
次の第6のステップでは、第1画素と第2画素の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「雨滴だけあり(室外側だけに水分の付着がある)」と「結露だけあり(室内側だけに水分の付着がある)」を判別する。このため、第6のステップでは、第5のステップを通過した第1画素の出力Lと第2画素の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した雨滴結露判定基準比V4を比較する。そして、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に「結露だけあり」と判定し、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に「雨滴だけあり」と判定する。ここで、第6のステップにおける雨滴結露判定基準比V4と前述した請求項6の第3のステップにおける雨滴判定基準比V4rおよび請求項7の第4のステップにおける結露判定基準比V4dの設定値を比較すると、雨滴結露判定基準比V4は雨滴判定基準比V4rと結露判定基準比V4dの中間の値となる。
【0041】
以上の第1,第2のステップと第5,第6のステップを順に実行することで、ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の両方を判別して検出することができる。
【0042】
上記した付着水分検出方法は、請求項9に記載のように、前記第1のステップと第2のステップの間において、前記出力Lと前記第2出力基準VL2より大きい第1画素についての所定の第1出力基準VL1および前記出力Rと前記第2出力基準VR2より大きい第2画素についての所定の第1出力基準VR1をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に水分以外の付着物ありと判定し、前記出力L,Rの少なくとも一方が前記第1出力基準VL1,VR1より小さい場合に前記第2のステップに移行する、第7のステップを有してなることが好ましい。
【0043】
上記第7のステップは、請求項6〜8に記載の付着水分検出方法において、ガラスに泥や鳥の糞等からなる水分以外の付着物があると反射光量が増大することを利用して、「(水分以外の)付着物あり」を判別し、この場合には、次の第2のステップを除外する。このため、第7のステップでは、第1画素について予め設定した第1出力基準VL1と前記出力L、および第2画素について予め設定した第1出力基準VR1と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に、「付着物あり」と判定する。ここで、第7のステップにおける第1出力基準VL1,VR1と第2のステップにおける第2出力基準VL2,VR2の設定値を比較すると、ガラスの室外側に水分以外の付着物がある場合のほうが、付着物がない場合より反射光量が増大する。このため、第3出力基準VL1,VR1のほうが、それぞれ第2出力基準VL2,VR2より大きな値となる。
【0044】
上記第7のステップを有することで、第2のステップ以降の詳細な付着水分の判別を実施する前に予め水分以外の付着物がある場合を除外できるため、演算処理部における処理時間が短縮できる。
【0045】
以上のようにして、上記付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する雨滴と室内側に付着する結露の判別も可能な付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は、本発明の一例である付着水分検出装置100の構成を示したブロック図であり、(b)は、(a)の付着水分検出装置100を用いて検出する室内外を仕切るガラス20に付着する水分21r、21dと検出プローブである光の経路の一例を示した概略図である。
【図2】(a)は、受光部40の構成要素で、第1画素41と第2画素42からなる画素対を示した図である。(b)は、第1画素41と第2画素42にそれぞれ配置されているフィルタの光波長に対する透過率を模式的に示した図である。また、(c)は、水による吸収係数の光波長依存性を示した図である。
【図3】受光部40として、図2(a)に示した第1画素41と第2画素42からなる画素対で構成される画素対アレイを示した図である。
【図4】付着水分検出装置100により、雨滴だけを判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。
【図5】各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、雨滴がない場合とある場合について比較して示した図である。
【図6】L0とR0の各組み合わせにおいて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Crを計算した結果である。
【図7】付着水分検出装置100により、結露だけを判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。
【図8】各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、結露がない場合とある場合について比較して示した図である。
【図9】付着水分検出装置100により、雨滴と結露の両方を判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。
【図10】各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、雨滴と結露の両方がある場合について示した図である。
【図11】図4に対応した付着水分検出方法の変形例で、ガラス20に水分以外の付着物がある場合を予め除外する信号処理のフロー図である。
【図12】図7に対応した付着水分検出方法の変形例で、ガラス20に水分以外の付着物がある場合を予め除外する信号処理のフロー図である。
【図13】図9に対応した付着水分検出方法の変形例で、ガラス20に水分以外の付着物がある場合を予め除外する信号処理のフロー図である。
【図14】各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、付着物がない場合と水分以外の付着物がある場合について比較して示した図である。
【図15】特許文献1に開示されたガラスの付着物検出装置を示す図である。
【図16】図15の付着物検出装置における発光素子10の発光強度と第1・第2の各受光素子11・12の検出感度を光の波長に対して示した図である。
【図17】図15の付着物検出装置についての制御の一例を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法に関する。以下、本発明を実施するための形態を、図に基づいて説明する。
【0048】
図1は、本発明に係る付着水分検出装置の構成を説明する図で、図1(a)は、本発明の一例である付着水分検出装置100の構成を示したブロック図であり、図1(b)は、図1(a)の付着水分検出装置100を用いて検出する室内外を仕切るガラス20に付着する水分21r、21dと検出プローブである光の経路の一例を示した概略図である。
【0049】
図2は、図1に示した受光部40の詳細を説明する図である。図2(a)は、受光部40の構成要素で、第1画素41と第2画素42からなる画素対を示した図である。図2(b)は、第1画素41と第2画素42の感度特性の違いを説明する図で、第1画素41と第2画素42にそれぞれ配置されているフィルタの光波長に対する透過率を模式的に示した図である。また、図2(c)は、水による吸収係数の光波長依存性を示した図である。
【0050】
図3は、受光部40として、図2(a)に示した第1画素41と第2画素42からなる画素対で構成される画素対アレイを示した図である。
【0051】
図1に示す付着水分検出装置100は、車両前方の車室内と車室外を仕切るフロントガラス20に付着する雨滴および結露による水分21r、21dを検出する、車載用の付着水分検出装置である。付着水分検出装置100は、車室内からフロントガラス20に向かって光を照射する発光部30と、発光部30により照射される光の一部がフロントガラス20および該フロントガラス20に付着する水分21r、21dで反射され、該反射光を車室内において受光できるように配置されてなる受光部40と、反射光の強度に対応した受光部40からの出力を演算処理する演算処理部50とを有している。
【0052】
発光部30は、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域(例えば、波長λ=0.4〜2μm)の光を発光する、白色光源からなる。該白色光源として、例えば、発光ダイオードやタングステンランプを用いることができる。
【0053】
受光部40は、図2に示すように、第1画素41と第2画素42からなる画素対で構成されている。第1画素41と第2画素42は、同じフォトダイオードからなる受光素子でできているが、図2(b)に示す光波長に対する透過率の異なる別のフィルタが配置されている。従って、図2(b)からわかるように、第1画素41は、水吸収波長の光を選択的に遮断し、水吸収波長の光に対して感度が低い。一方、第2画素42は、水吸収波長の光を選択的に透過し、水吸収波長の光に対して第1画素より感度が高い。例えば、第1画素41を青色帯域(λ=0.5μm)に感度を有するようにして、第2画素42を水吸収波長の赤外帯域(λ=1μm)に感度を有するように構成する。尚、第1画素41と第2画素42は、図2(b)の異なる光波長特性のフィルタを配置する代わりに、感度ピークの光波長帯域が異なる別のフォトダイオードで構成するようにしてもよい。
【0054】
演算処理部50は、後述するように、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを演算処理して、フロントガラス20に付着する水分を判別して検出する。
【0055】
図1に示す付着水分検出装置100は、室内外を仕切るガラス20に付着する水分21r、21dを検出するために、付着した水分21r、21dによる光の反射と吸収の両方を評価するものである。
【0056】
上記付着水分検出装置100において、付着水分の検出プローブである光の発光部30と受光部40は、図1(b)に示すように、室内側にまとめて配置されており、発光部30からガラス20に向かってコリメートされた光を照射し、該照射光の一部がガラス20および付着水分21r、21dで反射され、付着水分21r、21dの情報を含んだ反射光を受光部40で受光してその強度を検出する。このように、上記付着水分検出装置100は、検出媒体である光の反射経路を利用しており、図15に示した付着物検出装置と異なり、発光部30から受光部40までの光の経路を短くすることができ、装置全体の小型化と外光の影響の低減が可能である。
【0057】
また、上記付着水分検出装置100においては、発光部30が白色光源からなり、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光をガラス20に向かって照射する。一方、受光部40で受光する反射光の強度は、光の経路にある媒質の屈折率差による界面での反射率に起因した反射光量と、光の経路にある媒質の光の吸収に起因した吸収光量に依存している。この反射光量と吸収光量を識別するため、上記付着水分検出装置100の受光部40は、図2に示したように、水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41と水吸収波長の光に対して第1画素より感度の高い第2画素42からなる、波長感度の異なる画素の対で構成している。そして、図1(a)に示す演算処理部50において、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを演算処理して、後述する付着水分検出方法において示すように、ガラス20に付着する室内外の水分21r、21dを判別して検出する。このように、上記付着水分検出装置100によれば、受光部40で受光する反射光の強度に対して、付着水分21r、21dによる光の反射だけでなく、付着水分21r、21dによる光の吸収を含んだ詳細分析が可能である。
【0058】
従って、上記付着水分検出装置100が検出する水分21r、21dは、ガラス20の室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の少なくとも一方であってよい。
【0059】
上記付着水分検出装置100においては、図2(a)に示す画素対を複数並べて、受光部40を複数の画素対で構成するようにし、図1(a)に示す演算処理部50が、複数の前記画素対における出力Lと出力Rを順次演算処理して、ガラス20に付着する水分21r、21dを検出することが好ましい。また、この場合には、特に図3に示すように、前記複数の画素対が行列状に配置されて、画素対アレイが構成されてなることが好ましい。
【0060】
複数の画素対で受光部40を構成することにより、複数の位置で付着水分21r、21dを検出することができ、より正確な付着水分21r、21dの検出が可能となる。また、図3に示すように、複数の画素対を行列状に配置して画素対アレイを構成することで、付着水分21r、21dの分布状態も検出することができる。
【0061】
以上のようにして、上記した本発明の付着水分検出装置は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する水分と室内側に付着する水分の判別も可能な付着水分検出装置とすることができる。
【0062】
従って、本発明の付着水分検出装置は、図1〜3で例示した付着水分検出装置100のように、雨滴と結露が同時に発生する環境下で使用される車載用で、前記ガラスが、車両前方の車室内と車室外を仕切るフロントガラス20である場合に好適である。しかしながら、これに限らず、例えば車両の後方のリアガラスや家屋の窓ガラスに付着する水分の付着水分検出装置であってもよい。
【0063】
次に、図1〜図3に示した付着水分検出装置100による、付着水分検出方法について説明する。
【0064】
図4は、付着水分検出装置100により、雨滴だけを判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。また、図5は、各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、雨滴がない場合とある場合について比較して示した図である。
【0065】
図4に示す付着水分検出方法は、付着水分検出装置100による付着水分検出方法であって、図5に示すガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rを判別して検出する。
【0066】
図4に示す付着水分検出方法では、付着水分検出装置100の演算処理部50において、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを読み込む第1のステップS1と、前記出力Lと第1画素41についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素42についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴なしと判定する第2のステップS2と、第2のステップS2の後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴判定基準比V4rを比較し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に雨滴でないと判定し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に雨滴ありと判定する第3のステップS3を実行する。
【0067】
図4に示すフロー図は、図3に示した複数の画素対を行列状に配置して画素対アレイを構成してなる受光部40に対応しており、画素対(1),画素対(2),・・・,画素対(k),・・・,画素対(N)を図3に矢印で示したように走査して、第1〜第3のステップS1〜S3を実行するようになっている。尚、以降に示す各フロー図についても、同様である。
【0068】
図4に示す付着水分検出方法は、結露の判別が不要な環境下(例えば、エアコン作動中)において、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rの検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部50において、次の第1〜第3のステップS1〜S3を順に実行する。
【0069】
第1のステップS1では、受光部40の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素42の出力Rを読み込む。
【0070】
次の第2のステップS2では、図5において雨滴なしの代表的な反射率8%と雨滴ありの代表的な反射率6.3%で例示したように、ガラス20の室外側に水分21rが付着すると反射光量が減少することを利用して、「雨滴なし(水分21rの付着がない)」を判別し、この場合には、次の第3のステップS3を除外する。このため、第2のステップS2では、第1画素41について予め設定した第2出力基準VL2と第1のステップS1で検出した第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第2出力基準VR2と第1のステップS1で検出した第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「雨滴なし」と判定する。第1画素41と第2画素42についての第2出力基準VL2,VR2としては、図5の例からわかるように、それぞれ、例えば反射率7%の反射光の受光に相当する第1画素41と第2画素42の出力値とする。
【0071】
次の第3のステップS3では、第1画素41と第2画素42の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「雨滴あり(室外側に水分21rの付着がある)」と「雨滴でない(汚れ等による減衰)」を判別する。このため、第3のステップS3では、第2のステップS2を通過した第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した雨滴判定基準比V4rを比較する。そして、出力比Crが雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に「雨滴でない」と判定し、出力比Crが雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に「雨滴あり」と判定する。
【0072】
ここで、上記第3のステップS3の判定について、その判定原理と具体的な例を説明する。
【0073】
図2(b)に示すように、第1画素41は、主として青色帯域(λ=0.5μm)に感度を有しており、第2画素42は、主として水吸収波長の赤外帯域(λ=1μm)に感度を有している。一方、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rは、それぞれに感度を有する波長帯域の全体に係わる量であり、フィルタの組み合わせや発光部30の白色光源の選定によって異なってくる。
【0074】
ここで、第1画素41と第2画素42の間隔が狭く、反射光の波長強度分布が第1画素41と第2画素42で同じである条件の下で、カラスからの反射光について、水分による吸収がない場合と水分による吸収がある場合を比較する。水分による吸収がなく反射光が減衰していない場合の第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを、それぞれL=L0,R=R0とする。次に、ガラスに水分(厚さ2mm)が付着して該水分による反射光の吸収がある場合、第2画素42のほうが水分による吸収で反射光の減衰が大きいので、第2画素42の出力Rのほうが第1画素41の出力Lより大きく低下し、例えばL=0.999*L0,R=0.9*R0のようになる。
【0075】
図6は、L0とR0の各組み合わせにおいて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Crを計算した結果である。
【0076】
図6に示すように、L0とR0のいずれの組み合わせにおいても、水分による吸収がある場合の出力比Cr=0.9*R0/(0.999*L0+0.9*R0)は、水分による吸収がない場合の出力比Cr=R0/(L0+R0)に較べて小さくなる。例えば、L0:R0=1:1の時、水分による吸収がない場合の出力比Cr=0.5に対して、水分による吸収がある場合の出力比Cr=0.4739である。従って、この場合には、図4の第3のステップS3において、例えば雨滴判定基準比V4r=0.487と設定しておけば、「雨滴あり」と「雨滴でない」を判別することができる。
【0077】
以上のようにして、図4に示す第1〜第3のステップS1〜S3を各画素対について順に実行することで、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rを判別して検出することができる。
【0078】
図7は、付着水分検出装置100により、結露だけを判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。また、図8は、各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、結露がない場合とある場合について比較して示した図である。
【0079】
図7に示す付着水分検出方法は、付着水分検出装置100による付着水分検出方法であって、図8に示すガラス20の室内側に付着する結露による水分21dを判別して検出する。
【0080】
図7に示す付着水分検出方法では、付着水分検出装置100の演算処理部50において、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを読み込む第1のステップS1と、前記出力Lと第1画素41についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に結露なしと判定する第2のステップS2と、第2のステップS2の後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の結露判定基準比V4dを比較し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に結露でないと判定し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に結露ありと判定する第4のステップS4を実行する。
【0081】
図7に示す付着水分検出方法は、雨滴の判別が不要な環境下(例えばガラス20の外面に反射板を設けて結露だけを検出する場合)において、ガラス20の室内側に付着する結露による水分21dの検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部50において、次の第1,第2のステップS1,S2と第4のステップS4を順に実行する。
【0082】
第1,第2のステップS1,S2は、前述した雨滴を検出する図4の付着水分検出方法にある第1,第2のステップS1,S2と同じで、第2のステップS2において予め設定する第2出力基準VL2,VR2の値も同じであってよい。
【0083】
第1のステップS1では、受光部40の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素42の出力Rを読み込む。
【0084】
次の第2のステップS2では、図8において結露なしの代表的な反射率8%と結露ありの代表的な反射率6.3%で例示したように、ガラス20の室内側に水分21dが付着すると反射光量が減少することを利用して、「結露なし(水分21dの付着がない)」を判別し、この場合には、次の第4のステップS4を除外する。このため、第2のステップS2では、第1画素41について予め設定した第2出力基準VL2と第1のステップS1で検出した第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第2出力基準VR2と第1のステップS1で検出した第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「結露なし」と判定する。
【0085】
次の第4のステップS4では、第1画素41と第2画素42の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「結露あり(室内側に水分21dの付着がある)」と「結露でない(汚れ等による減衰)」を判別する。このため、第4のステップS4では、第2のステップS2を通過した第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した結露判定基準比V4dを比較する。そして、出力比Crが結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に「結露でない」と判定し、出力比Crが結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に「結露あり」と判定する。
【0086】
尚、結露だけを判別して検出する上記第4のステップS4の判定原理は、前述した雨滴だけを判別して検出する図4の第3のステップS3と同様であり、その説明は省略する。ここで、第4のステップS4における結露判定基準比V4dと前述した図4の第3のステップS3における雨滴判定基準比V4rの設定値を比較すると、一般的には、結露判定基準比V4dのほうが雨滴判定基準比V4rより小さな値となる。これは、ガラス20の室内側に付着する結露による水分21dのほうが、ガラスの室外側に付着する雨滴による水分21rよりも、通過経路の違いに伴う光の吸収割合が大きくなるためである。代表例で説明すると、図5では、雨滴による水分21rと室外側の空気の界面で反射される2%の反射光が、水分21rを1回通過している。これに対し、図8では、ガラス20と室外側の空気の界面で反射される4%の反射光、および結露による水分21dとガラス20の界面で反射される0.3%の反射光とが、水分21dを1回通過している。従って、ガラス20の室内側に付着する結露による水分21dのほうが、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rよりも、光の吸収割合が大きくなる。
【0087】
以上の第1,第2のステップS1,S2と第4のステップS4を各画素対について順に実行することで、ガラス20の室内側に付着する結露による水分21dを判別して検出することができる。
【0088】
図9は、付着水分検出装置100により、雨滴と結露の両方を判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。また、図10は、各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、雨滴と結露の両方がある場合について示した図である。尚、雨滴と結露の両方がない場合および雨滴だけがある場合と結露だけがある場合については、図5および図8と同じであり、これらを参照して説明する。
【0089】
図9に示す付着水分検出方法は、付着水分検出装置100による付着水分検出方法であって、図10に示すガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rと室内側に付着する結露による水分21dを判別して検出する。
【0090】
図9に示す付着水分検出方法では、付着水分検出装置100の演算処理部50において、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを読み込む第1のステップS1と、前記出力Lと第1画素41についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素42についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴と結露の両方なしと判定する第2のステップS2と、第2のステップS2の後で、第2のステップS2を通過した前記出力Lと前記第2出力基準VL2より小さい第1画素41についての所定の第3出力基準VL3および第2のステップS2を通過した前記出力Rと前記第2出力基準VR2より小さい第2画素42についての所定の第3出力基準VR3をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に雨滴と結露の両方ありと判定する第5のステップS5と、前記第5のステップS5の後で、第5のステップS5を通過した前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴結露判定基準比V4を比較し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に結露だけありと判定し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に雨滴だけありと判定する第6のステップS6を実行する。
【0091】
図9に示す付着水分検出方法は、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rおよび室内側に付着する結露による水分21dの両方の検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部50において、次の第1,第2のステップS1,S2と第5,第6のステップS5,S6を順に実行する。
【0092】
第1,第2のステップS1,S2は、前述した図4および図7の付着水分検出方法にある第1,第2のステップS1,S2と同じで、第2のステップにおいて予め設定する第2出力基準VL2,VR2の値も同じであってよい。
【0093】
第1のステップS1では、受光部の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素42の出力Rを読み込む。
【0094】
次の第2のステップS2では、図5,図8,図10において雨滴と結露の両方なしの代表的な反射率8%、雨滴だけまたは結露だけありの代表的な反射率6.3%および雨滴と結露の両方ありの代表的な反射率4%で例示したように、ガラス20に水分21r,21dが付着すると反射光量が減少することを利用して、「雨滴と結露の両方なし(水分21r,21dの付着がない)」を判別し、この場合には、次の第5,第6のステップS5,S6を除外する。このため、第2のステップS2では、第1画素41について予め設定した第2出力基準VL2と第1のステップS1で検出した第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第2出力基準VR2と第1のステップS1で検出した第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「雨滴と結露の両方なし」と判定する。
【0095】
次の第5のステップS5では、ガラス20の両側に水分21r,21dが付着すると一方側だけに水分21rまたは水分21dが付着する場合に較べて反射光量がより減少することを利用して、「雨滴と結露の両方あり(ガラス20の両側に水分21r,21dの付着がある)」を判別し、この場合には、次の第6のステップS6を除外する。このため、第5のステップS5では、第1画素41について予め設定した第3出力基準VL3と第2のステップS2を通過した第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第3出力基準VR3と第2のステップS2を通過した第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に、「雨滴と結露の両方あり」と判定する。ここで、第5のステップS5における第3出力基準VL3,VR3と第2のステップS2における第2出力基準VL2,VR2の設定値を比較すると、ガラス20の両側に水分21r,21dが付着するほうが一方側だけに水分21rまたは水分21dが付着するよりも反射光量がより減少するため、第3出力基準VL3,VR3のほうがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2より小さな値となる。第1画素41と第2画素42についての第3出力基準VL3,VR3としては、図10の例と図5および図8の例を比較してわかるように、それぞれ、例えば反射率5%の反射光の受光に相当する第1画素41と第2画素42の出力値とする。
【0096】
次の第6のステップS6では、第1画素41と第2画素42の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「雨滴だけあり(室外側だけに水分21rの付着がある)」と「結露だけあり(室内側だけに水分21の付着がある)」を判別する。このため、第6のステップS6では、第5のステップS5を通過した第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した雨滴結露判定基準比V4を比較する。そして、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に「結露だけあり」と判定し、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に「雨滴だけあり」と判定する。
【0097】
この「雨滴だけあり」と「結露だけあり」を判別して検出する上記第6のステップS6の判定原理は、前述した雨滴だけを判別して検出する図4の第3のステップS3および結露だけを判別して検出する図7の第4のステップS4についての判定原理と異なり、反射光の水分通過回数が雨滴の場合と結露の場合とで異なることを利用している。すなわち、図5の雨滴ありでは、2%の反射光が水分を1回通過しているのに対し、図8の結露ありでは、4%の反射光と0.3%の反射光がそれぞれ水分を1回通過している。従って、受光部40側のガラスの内側に付着する結露の場合ほうが、ガラスの外側に付着する雨滴の場合に較べて、一般的に、水分による反射光の減衰が大きくなる。この差を利用して、図9の第6のステップS6では、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に「結露だけあり」と判定し、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に「雨滴だけあり」と判定する。尚、第6のステップS6における雨滴結露判定基準比V4と前述した図5の第3のステップS3における雨滴判定基準比V4rおよび図5の第4のステップS4における結露判定基準比V4dの設定値を比較すると、雨滴結露判定基準比V4は、雨滴判定基準比V4rと結露判定基準比V4dの中間の値となる。
【0098】
以上の第1,第2のステップS1,S2と第5,第6のステップS5,S6を順に実行することで、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rおよび室内側に付着する結露による水分21dの両方を判別して検出することができる。
【0099】
図11〜図13は、それぞれ図4,図7,図9に対応した付着水分検出方法の変形例で、ガラス20に水分以外の付着物がある場合を予め除外する信号処理のフロー図である。また、図14は、各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、付着物がない場合と水分以外の付着物21mがある場合について比較して示した図である。
【0100】
図11〜図13に示した付着水分検出方法は、第1のステップS1と第2のステップS2の間に第7のステップS7を有している点を除いて、それぞれ対応する図4,図7,図9に示した信号処理のフロー図と同じである。
【0101】
図11〜図13に示した付着水分検出方法は、いずれも、第1のステップS1と第2のステップS2の間において、第1画素41の出力Lと次の第2のステップS2における第2出力基準VL2より大きい第1画素41についての所定の第1出力基準VL1および第2画素42の出力Rと次の第2のステップS2における第2出力基準VR2より大きい第2画素についての所定の第1出力基準VR1をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に水分以外の付着物ありと判定し、前記出力L,Rの少なくとも一方が前記第1出力基準VL1,VR1より小さい場合に第2のステップS2に移行する、第7のステップS7を有している。
【0102】
上記第7のステップS7は、図14において付着物なしの代表的な反射率8%と付着物ありの代表的な反射率14%で例示したように、ガラス20に泥や鳥の糞等からなる水分以外の付着物21mがあると反射光量が増大することを利用して、「(水分以外の)付着物あり」を判別し、この場合には、次の第2のステップS2を除外する。このため、第7のステップS7では、第1画素41について予め設定した第1出力基準VL1と第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第1出力基準VR1と第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に、「付着物あり」と判定する。ここで、第7のステップS7における第1出力基準VL1,VR1と第2のステップS2における第2出力基準VL2,VR2の設定値を比較すると、ガラス20の室外側に水分以外の付着物21mがある場合のほうが、付着物がない場合より反射光量が増大する。このため、第3出力基準VL1,VR1のほうが、それぞれ第2出力基準VL2,VR2より大きな値となる。第1画素41と第2画素42についての第1出力基準VL1,VR1としては、図14の例からわかるように、それぞれ、例えば反射率11%の反射光の受光に相当する第1画素41と第2画素42の出力値とする。
【0103】
上記第7のステップS7を有することで、第2のステップS2以降の詳細な付着水分の判別を実施する前に予め水分以外の付着物21mがある場合を除外できるため、演算処理部50における処理時間が短縮できる。
【0104】
以上のようにして、上記した付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法は、いずれも、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する雨滴と室内側に付着する結露の判別も可能な付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法とすることができる。
【符号の説明】
【0105】
100 付着水分検出装置
20 (フロント)ガラス
21r、21d 水分
21m 付着物
30 発光部
40 受光部
41 第1画素
42 第2画素
50 演算処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置が、例えば、特開平8−261933号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図15は、特許文献1に開示されたガラスの付着物検出装置を示す図である。図16は、図15の付着物検出装置における発光素子10の発光強度と第1・第2の各受光素子11・12の検出感度を光の波長に対して示した図である。また、図17は、図15の付着物検出装置についての制御の一例を示したフロー図である。
【0004】
図15に示すように、この付着物検出装置は、自動車のボンネット1の上面に配設された発光部2と、ルームミラー3の裏側に配設され受光部4と、車内の適所に配置された制御回路5とからなっており、フロントウインドウガラス6の外面の雨滴並びに汚れの付着状況を判別し、その付着状況に応じてワイパモータ7並びにウォッシャポンプ8を作動させるワイパ駆動回路9に作動信号を出力するものである。
【0005】
発光部2には発光手段としての発光素子10が、受光部4には受光手段としての第1・第2の2つの受光素子11・12がそれぞれ内蔵されており、これら発光素子10並びに受光素子11・12は、受光部4に向けて投光された発光素子10の光が、フロントウインドウガラス6のワイパ払拭領域を透過した後に、第1・第2の両受光素子11・12に到達するように互いに対向して配置されている。
【0006】
発光素子10は、図16に示されるように、水吸収波長を含む広範囲の波長帯域(0.5〜2.0μm)の光を発するSiCからなる発光ダイオードである。一方、第1受光素子11は、水吸収波長の近傍(0.6〜1.8μm)に検出感度ピークを有するGeからなるフォトダイオードであり、第2受光素子12は、水に吸収されず汚れによって遮断される波長帯域(0.6〜0.9μm)に検出感度ピークを有するGaAsからなるフォトダイオードである。
【0007】
上記付着物検出装置の制御では、図17に示すように、ステップS91において雨滴並びに汚れの付着状況が判別される。この雨滴並びに汚れの付着状況の判別は、第1・第2の受光素子11・12における各検出値を、制御回路5に予め記憶された所定の基準値とそれぞれ比較することで行われる。例えば、第1・第2の各受光素子11・12における検出値が共に基準値を下回っていれば、汚れが付着しているものと判定される。一方、ステップS91において、第1受光素子11の検出値だけが基準値を下回った場合には、非水吸収波長光が遮断されていないことから、雨滴のみが付着しているものと判定され、ステップS92に進む。ステップS92では、制御回路5に予め記憶された雨量判定値と比較されて、雨滴の多少、すなわち降雨状況の強弱が判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−261933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図15〜図17に示した特許文献1の付着物検出装置では、発光部2が自動車のボンネット1の上面に配設され、受光部4が車室内のルームミラー3の裏側に配設されている。このためため、発光部2から受光部4までの光の経路が長くなり、装置全体が大型化する。また、光の経路が長いため外光の影響を受け易く、第1・第2の各受光素子11・12の受光強度が外光の影響で変化してしまい、正確な光量比を計測できない場合がある。さらに、該付着物検出装置では、フロントウインドウガラス6の外面に付着する雨滴の水分と内面に付着する結露の水分を判別できないといった問題もある。
【0010】
そこで本発明は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する雨滴と室内側に付着する結露の判別も可能な付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の付着水分検出装置は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、室内から前記ガラスに向かって光を照射する発光部と、前記発光部により照射される光の一部が前記ガラスおよび前記水分で反射され、該反射光を室内において受光できるように配置されてなる受光部と、前記反射光の強度に対応した前記受光部からの出力を演算処理する演算処理部とを有してなり、前記発光部が、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光を発光する白色光源からなり、前記受光部が、前記水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素と前記水吸収波長の光に対して前記第1画素より感度の高い第2画素からなる画素対で構成されてなり、前記演算処理部が、前記第1画素の出力Lと前記第2画素の出力Rを演算処理して、前記ガラスに付着する水分を判別して検出することを特徴としている。
【0012】
上記付着水分検出装置は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出するために、付着した水分による光の反射と吸収の両方を評価するものである。
【0013】
上記付着水分検出装置において、付着水分の検出プローブである光の発光部と受光部は、室内側にまとめて配置されており、発光部からガラスに向かってコリメートされた光を照射し、該照射光の一部がガラスおよび付着水分で反射され、付着水分の情報を含んだ反射光を受光部で受光してその強度を検出する。このように、上記付着水分検出装置は、検出媒体である光の反射経路を利用しており、発光部から受光部までの光の経路を短くすることができ、装置全体の小型化と外光の影響の低減が可能である。
【0014】
また、上記付着水分検出装置においては、発光部が白色光源からなり、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光をガラスに向かって照射する。一方、受光部で受光する反射光の強度は、光の経路にある媒質の屈折率差による界面での反射率に起因した反射光量と、光の経路にある媒質の光の吸収に起因した吸収光量に依存している。この反射光量と吸収光量を識別するため、上記付着水分検出装置の受光部は、水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素と水吸収波長の光に対して第1画素より感度の高い第2画素からなる、波長感度の異なる画素の対で構成している。そして、演算処理部において、第1画素の出力Lと第2画素の出力Rを演算処理して、後述する付着水分検出方法において示すように、ガラスに付着する室内外の水分を判別して検出する。このように、上記付着水分検出装置によれば、受光部で受光する反射光の強度に対して、付着水分による光の反射だけでなく、付着水分による光の吸収を含んだ詳細分析が可能である。
【0015】
従って、請求項2に記載のように、上記付着水分検出装置が検出する前記水分は、前記ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の少なくとも一方であってよい。
【0016】
上記付着水分検出装置は、請求項3に記載のように、前記受光部が、複数の前記画素対で構成されてなり、前記演算処理部が、複数の前記画素対における前記出力Lと前記出力Rを順次演算処理して、前記ガラスに付着する水分を検出することが好ましい。また、この場合には、特に請求項4に記載のように、前記複数の画素対が行列状に配置されて、画素対アレイが構成されてなることが好ましい。
【0017】
複数の画素対で受光部を構成することにより、複数の位置で付着水分を検出することができ、より正確な付着水分の検出が可能となる。また、複数の画素対を行列状に配置して画素対アレイを構成することで、付着水分の分布状態も検出することができる。
【0018】
以上のようにして、上記付着水分検出装置は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する水分と室内側に付着する水分の判別も可能な付着水分検出装置とすることができる。
【0019】
従って、上記付着水分検出装置は、請求項5に記載のように、雨滴と結露が同時に発生する環境下で使用される車載用で、前記ガラスが、車両前方の車室内と車室外を仕切るフロントガラスである場合に好適である。
【0020】
請求項6〜9に記載の発明は、上記付着水分検出装置による、付着水分検出方法に関する。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴であり、前記演算処理部において、前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴なしと判定する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴判定基準比V4rを比較し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に雨滴でないと判定し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に雨滴ありと判定する第3のステップを実行することを特徴としている。
【0022】
上記付着水分検出方法は、結露の判別が不要な環境下において、ガラスの室外側に付着する雨滴の検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部において、次の第1〜第3のステップを順に実行する。
【0023】
第1のステップでは、受光部の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素の出力Rを読み込む。
【0024】
次の第2のステップでは、ガラスに水分が付着すると反射光量が減少することを利用して、「雨滴なし(水分の付着がない)」を判別し、この場合には、次の第3のステップを除外する。このため、第2のステップでは、第1画素について予め設定した第2出力基準VL2と前記出力L、および第2画素について予め設定した第2出力基準VR2と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「雨滴なし」と判定する。
【0025】
次の第3のステップでは、第1画素と第2画素の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「雨滴あり(室外側に水分の付着がある)」と「雨滴でない(汚れ等による減衰)」を判別する。このため、第3のステップでは、第2のステップを通過した第1画素の出力Lと第2画素の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した雨滴判定基準比V4rを比較する。そして、出力比Crが雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に「雨滴でない」と判定し、出力比Crが雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に「雨滴あり」と判定する。
【0026】
以上の第1〜第3のステップを順に実行することで、ガラスの室外側に付着する雨滴を判別して検出することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、前記水分が、前記ガラスの室内側に付着する結露であり、前記演算処理部において、前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に結露なしと判定する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の結露判定基準比V4dを比較し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に結露でないと判定し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に結露ありと判定する第4のステップを実行することを特徴としている。
【0028】
上記付着水分検出方法は、雨滴の判別が不要な環境下において、ガラスの室内側に付着する結露の検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部において、次の第1,第2のステップと第4のステップを順に実行する。
【0029】
第1,第2のステップは、前述した雨滴を検出する請求項6の付着水分検出方法にある第1,第2のステップと同じで、第2のステップにおいて予め設定する第2出力基準VL2,VR2の値も同じであってよい。
【0030】
第1のステップでは、受光部の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素の出力Rを読み込む。
【0031】
次の第2のステップでは、ガラスに水分が付着すると反射光量が減少することを利用して、「結露なし(水分の付着がない)」を判別し、この場合には、次の第4のステップを除外する。このため、第2のステップでは、第1画素について予め設定した第2出力基準VL2と前記出力L、および第2画素について予め設定した第2出力基準VR2と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「結露なし」と判定する。
【0032】
次の第4のステップでは、第1画素と第2画素の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「結露あり(室内側に水分の付着がある)」と「結露でない(汚れ等による減衰)」を判別する。このため、第4のステップでは、第2のステップを通過した第1画素の出力Lと第2画素の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した結露判定基準比V4dを比較する。そして、出力比Crが結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に「結露でない」と判定し、出力比Crが結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に「結露あり」と判定する。ここで、第4のステップにおける結露判定基準比V4dと前述した請求項6の第3のステップにおける雨滴判定基準比V4rの設定値を比較すると、一般的には結露判定基準比V4dのほうが雨滴判定基準比V4rより小さな値となる。これは、ガラスの室内側に付着する結露による水分のほうが、ガラスの室外側に付着する雨滴による水分よりも通過経路の違いに伴う光の吸収割合が大きくなるためである。
【0033】
以上の第1,第2のステップと第4のステップを順に実行することで、ガラスの室内側に付着する結露を判別して検出することができる。
【0034】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の両方であり、前記演算処理部において、前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴と結露の両方なしと判定する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記出力Lと前記第2出力基準VL2より小さい第1画素についての所定の第3出力基準VL3および前記出力Rと前記第2出力基準VR2より小さい第2画素についての所定の第3出力基準VR3をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に雨滴と結露の両方ありと判定する第5のステップと、前記第5のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴結露判定基準比V4を比較し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に結露だけありと判定し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に雨滴だけありと判定する第6のステップを実行することを特徴としている。
【0035】
上記付着水分検出方法は、ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の両方の検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部において、次の第1,第2のステップと第5,第6のステップを順に実行する。
【0036】
第1,第2のステップは、前述した請求項6および請求項7の付着水分検出方法にある第1,第2のステップと同じで、第2のステップにおいて予め設定する第2出力基準VL2,VR2の値も同じであってよい。
【0037】
第1のステップでは、受光部の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素の出力Rを読み込む。
【0038】
次の第2のステップでは、ガラスに水分が付着すると反射光量が減少することを利用して、「雨滴と結露の両方なし(水分の付着がない)」を判別し、この場合には、次の第5,第6のステップを除外する。このため、第2のステップでは、第1画素について予め設定した第2出力基準VL2と前記出力L、および第2画素について予め設定した第2出力基準VR2と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「雨滴と結露の両方なし」と判定する。
【0039】
次の第5のステップでは、ガラスの両側に水分が付着すると一方側だけの場合に較べて反射光量がより減少することを利用して、「雨滴と結露の両方あり(ガラスの両側に水分の付着がある)」を判別し、この場合には、次の第6のステップを除外する。このため、第5のステップでは、第1画素について予め設定した第3出力基準VL3と前記出力L、および第2画素について予め設定した第3出力基準VR3と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に、「雨滴と結露の両方あり」と判定する。ここで、第5のステップにおける第3出力基準VL3,VR3と第2のステップにおける第2出力基準VL2,VR2の設定値を比較すると、ガラスの両側に水分が付着するほうが一方側だけに水分が付着するよりも反射光量がより減少するため、第3出力基準VL3,VR3のほうがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2より小さな値となる。
【0040】
次の第6のステップでは、第1画素と第2画素の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「雨滴だけあり(室外側だけに水分の付着がある)」と「結露だけあり(室内側だけに水分の付着がある)」を判別する。このため、第6のステップでは、第5のステップを通過した第1画素の出力Lと第2画素の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した雨滴結露判定基準比V4を比較する。そして、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に「結露だけあり」と判定し、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に「雨滴だけあり」と判定する。ここで、第6のステップにおける雨滴結露判定基準比V4と前述した請求項6の第3のステップにおける雨滴判定基準比V4rおよび請求項7の第4のステップにおける結露判定基準比V4dの設定値を比較すると、雨滴結露判定基準比V4は雨滴判定基準比V4rと結露判定基準比V4dの中間の値となる。
【0041】
以上の第1,第2のステップと第5,第6のステップを順に実行することで、ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の両方を判別して検出することができる。
【0042】
上記した付着水分検出方法は、請求項9に記載のように、前記第1のステップと第2のステップの間において、前記出力Lと前記第2出力基準VL2より大きい第1画素についての所定の第1出力基準VL1および前記出力Rと前記第2出力基準VR2より大きい第2画素についての所定の第1出力基準VR1をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に水分以外の付着物ありと判定し、前記出力L,Rの少なくとも一方が前記第1出力基準VL1,VR1より小さい場合に前記第2のステップに移行する、第7のステップを有してなることが好ましい。
【0043】
上記第7のステップは、請求項6〜8に記載の付着水分検出方法において、ガラスに泥や鳥の糞等からなる水分以外の付着物があると反射光量が増大することを利用して、「(水分以外の)付着物あり」を判別し、この場合には、次の第2のステップを除外する。このため、第7のステップでは、第1画素について予め設定した第1出力基準VL1と前記出力L、および第2画素について予め設定した第1出力基準VR1と前記出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に、「付着物あり」と判定する。ここで、第7のステップにおける第1出力基準VL1,VR1と第2のステップにおける第2出力基準VL2,VR2の設定値を比較すると、ガラスの室外側に水分以外の付着物がある場合のほうが、付着物がない場合より反射光量が増大する。このため、第3出力基準VL1,VR1のほうが、それぞれ第2出力基準VL2,VR2より大きな値となる。
【0044】
上記第7のステップを有することで、第2のステップ以降の詳細な付着水分の判別を実施する前に予め水分以外の付着物がある場合を除外できるため、演算処理部における処理時間が短縮できる。
【0045】
以上のようにして、上記付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する雨滴と室内側に付着する結露の判別も可能な付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は、本発明の一例である付着水分検出装置100の構成を示したブロック図であり、(b)は、(a)の付着水分検出装置100を用いて検出する室内外を仕切るガラス20に付着する水分21r、21dと検出プローブである光の経路の一例を示した概略図である。
【図2】(a)は、受光部40の構成要素で、第1画素41と第2画素42からなる画素対を示した図である。(b)は、第1画素41と第2画素42にそれぞれ配置されているフィルタの光波長に対する透過率を模式的に示した図である。また、(c)は、水による吸収係数の光波長依存性を示した図である。
【図3】受光部40として、図2(a)に示した第1画素41と第2画素42からなる画素対で構成される画素対アレイを示した図である。
【図4】付着水分検出装置100により、雨滴だけを判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。
【図5】各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、雨滴がない場合とある場合について比較して示した図である。
【図6】L0とR0の各組み合わせにおいて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Crを計算した結果である。
【図7】付着水分検出装置100により、結露だけを判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。
【図8】各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、結露がない場合とある場合について比較して示した図である。
【図9】付着水分検出装置100により、雨滴と結露の両方を判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。
【図10】各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、雨滴と結露の両方がある場合について示した図である。
【図11】図4に対応した付着水分検出方法の変形例で、ガラス20に水分以外の付着物がある場合を予め除外する信号処理のフロー図である。
【図12】図7に対応した付着水分検出方法の変形例で、ガラス20に水分以外の付着物がある場合を予め除外する信号処理のフロー図である。
【図13】図9に対応した付着水分検出方法の変形例で、ガラス20に水分以外の付着物がある場合を予め除外する信号処理のフロー図である。
【図14】各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、付着物がない場合と水分以外の付着物がある場合について比較して示した図である。
【図15】特許文献1に開示されたガラスの付着物検出装置を示す図である。
【図16】図15の付着物検出装置における発光素子10の発光強度と第1・第2の各受光素子11・12の検出感度を光の波長に対して示した図である。
【図17】図15の付着物検出装置についての制御の一例を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法に関する。以下、本発明を実施するための形態を、図に基づいて説明する。
【0048】
図1は、本発明に係る付着水分検出装置の構成を説明する図で、図1(a)は、本発明の一例である付着水分検出装置100の構成を示したブロック図であり、図1(b)は、図1(a)の付着水分検出装置100を用いて検出する室内外を仕切るガラス20に付着する水分21r、21dと検出プローブである光の経路の一例を示した概略図である。
【0049】
図2は、図1に示した受光部40の詳細を説明する図である。図2(a)は、受光部40の構成要素で、第1画素41と第2画素42からなる画素対を示した図である。図2(b)は、第1画素41と第2画素42の感度特性の違いを説明する図で、第1画素41と第2画素42にそれぞれ配置されているフィルタの光波長に対する透過率を模式的に示した図である。また、図2(c)は、水による吸収係数の光波長依存性を示した図である。
【0050】
図3は、受光部40として、図2(a)に示した第1画素41と第2画素42からなる画素対で構成される画素対アレイを示した図である。
【0051】
図1に示す付着水分検出装置100は、車両前方の車室内と車室外を仕切るフロントガラス20に付着する雨滴および結露による水分21r、21dを検出する、車載用の付着水分検出装置である。付着水分検出装置100は、車室内からフロントガラス20に向かって光を照射する発光部30と、発光部30により照射される光の一部がフロントガラス20および該フロントガラス20に付着する水分21r、21dで反射され、該反射光を車室内において受光できるように配置されてなる受光部40と、反射光の強度に対応した受光部40からの出力を演算処理する演算処理部50とを有している。
【0052】
発光部30は、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域(例えば、波長λ=0.4〜2μm)の光を発光する、白色光源からなる。該白色光源として、例えば、発光ダイオードやタングステンランプを用いることができる。
【0053】
受光部40は、図2に示すように、第1画素41と第2画素42からなる画素対で構成されている。第1画素41と第2画素42は、同じフォトダイオードからなる受光素子でできているが、図2(b)に示す光波長に対する透過率の異なる別のフィルタが配置されている。従って、図2(b)からわかるように、第1画素41は、水吸収波長の光を選択的に遮断し、水吸収波長の光に対して感度が低い。一方、第2画素42は、水吸収波長の光を選択的に透過し、水吸収波長の光に対して第1画素より感度が高い。例えば、第1画素41を青色帯域(λ=0.5μm)に感度を有するようにして、第2画素42を水吸収波長の赤外帯域(λ=1μm)に感度を有するように構成する。尚、第1画素41と第2画素42は、図2(b)の異なる光波長特性のフィルタを配置する代わりに、感度ピークの光波長帯域が異なる別のフォトダイオードで構成するようにしてもよい。
【0054】
演算処理部50は、後述するように、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを演算処理して、フロントガラス20に付着する水分を判別して検出する。
【0055】
図1に示す付着水分検出装置100は、室内外を仕切るガラス20に付着する水分21r、21dを検出するために、付着した水分21r、21dによる光の反射と吸収の両方を評価するものである。
【0056】
上記付着水分検出装置100において、付着水分の検出プローブである光の発光部30と受光部40は、図1(b)に示すように、室内側にまとめて配置されており、発光部30からガラス20に向かってコリメートされた光を照射し、該照射光の一部がガラス20および付着水分21r、21dで反射され、付着水分21r、21dの情報を含んだ反射光を受光部40で受光してその強度を検出する。このように、上記付着水分検出装置100は、検出媒体である光の反射経路を利用しており、図15に示した付着物検出装置と異なり、発光部30から受光部40までの光の経路を短くすることができ、装置全体の小型化と外光の影響の低減が可能である。
【0057】
また、上記付着水分検出装置100においては、発光部30が白色光源からなり、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光をガラス20に向かって照射する。一方、受光部40で受光する反射光の強度は、光の経路にある媒質の屈折率差による界面での反射率に起因した反射光量と、光の経路にある媒質の光の吸収に起因した吸収光量に依存している。この反射光量と吸収光量を識別するため、上記付着水分検出装置100の受光部40は、図2に示したように、水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41と水吸収波長の光に対して第1画素より感度の高い第2画素42からなる、波長感度の異なる画素の対で構成している。そして、図1(a)に示す演算処理部50において、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを演算処理して、後述する付着水分検出方法において示すように、ガラス20に付着する室内外の水分21r、21dを判別して検出する。このように、上記付着水分検出装置100によれば、受光部40で受光する反射光の強度に対して、付着水分21r、21dによる光の反射だけでなく、付着水分21r、21dによる光の吸収を含んだ詳細分析が可能である。
【0058】
従って、上記付着水分検出装置100が検出する水分21r、21dは、ガラス20の室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の少なくとも一方であってよい。
【0059】
上記付着水分検出装置100においては、図2(a)に示す画素対を複数並べて、受光部40を複数の画素対で構成するようにし、図1(a)に示す演算処理部50が、複数の前記画素対における出力Lと出力Rを順次演算処理して、ガラス20に付着する水分21r、21dを検出することが好ましい。また、この場合には、特に図3に示すように、前記複数の画素対が行列状に配置されて、画素対アレイが構成されてなることが好ましい。
【0060】
複数の画素対で受光部40を構成することにより、複数の位置で付着水分21r、21dを検出することができ、より正確な付着水分21r、21dの検出が可能となる。また、図3に示すように、複数の画素対を行列状に配置して画素対アレイを構成することで、付着水分21r、21dの分布状態も検出することができる。
【0061】
以上のようにして、上記した本発明の付着水分検出装置は、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する水分と室内側に付着する水分の判別も可能な付着水分検出装置とすることができる。
【0062】
従って、本発明の付着水分検出装置は、図1〜3で例示した付着水分検出装置100のように、雨滴と結露が同時に発生する環境下で使用される車載用で、前記ガラスが、車両前方の車室内と車室外を仕切るフロントガラス20である場合に好適である。しかしながら、これに限らず、例えば車両の後方のリアガラスや家屋の窓ガラスに付着する水分の付着水分検出装置であってもよい。
【0063】
次に、図1〜図3に示した付着水分検出装置100による、付着水分検出方法について説明する。
【0064】
図4は、付着水分検出装置100により、雨滴だけを判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。また、図5は、各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、雨滴がない場合とある場合について比較して示した図である。
【0065】
図4に示す付着水分検出方法は、付着水分検出装置100による付着水分検出方法であって、図5に示すガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rを判別して検出する。
【0066】
図4に示す付着水分検出方法では、付着水分検出装置100の演算処理部50において、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを読み込む第1のステップS1と、前記出力Lと第1画素41についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素42についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴なしと判定する第2のステップS2と、第2のステップS2の後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴判定基準比V4rを比較し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に雨滴でないと判定し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に雨滴ありと判定する第3のステップS3を実行する。
【0067】
図4に示すフロー図は、図3に示した複数の画素対を行列状に配置して画素対アレイを構成してなる受光部40に対応しており、画素対(1),画素対(2),・・・,画素対(k),・・・,画素対(N)を図3に矢印で示したように走査して、第1〜第3のステップS1〜S3を実行するようになっている。尚、以降に示す各フロー図についても、同様である。
【0068】
図4に示す付着水分検出方法は、結露の判別が不要な環境下(例えば、エアコン作動中)において、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rの検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部50において、次の第1〜第3のステップS1〜S3を順に実行する。
【0069】
第1のステップS1では、受光部40の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素42の出力Rを読み込む。
【0070】
次の第2のステップS2では、図5において雨滴なしの代表的な反射率8%と雨滴ありの代表的な反射率6.3%で例示したように、ガラス20の室外側に水分21rが付着すると反射光量が減少することを利用して、「雨滴なし(水分21rの付着がない)」を判別し、この場合には、次の第3のステップS3を除外する。このため、第2のステップS2では、第1画素41について予め設定した第2出力基準VL2と第1のステップS1で検出した第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第2出力基準VR2と第1のステップS1で検出した第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「雨滴なし」と判定する。第1画素41と第2画素42についての第2出力基準VL2,VR2としては、図5の例からわかるように、それぞれ、例えば反射率7%の反射光の受光に相当する第1画素41と第2画素42の出力値とする。
【0071】
次の第3のステップS3では、第1画素41と第2画素42の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「雨滴あり(室外側に水分21rの付着がある)」と「雨滴でない(汚れ等による減衰)」を判別する。このため、第3のステップS3では、第2のステップS2を通過した第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した雨滴判定基準比V4rを比較する。そして、出力比Crが雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に「雨滴でない」と判定し、出力比Crが雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に「雨滴あり」と判定する。
【0072】
ここで、上記第3のステップS3の判定について、その判定原理と具体的な例を説明する。
【0073】
図2(b)に示すように、第1画素41は、主として青色帯域(λ=0.5μm)に感度を有しており、第2画素42は、主として水吸収波長の赤外帯域(λ=1μm)に感度を有している。一方、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rは、それぞれに感度を有する波長帯域の全体に係わる量であり、フィルタの組み合わせや発光部30の白色光源の選定によって異なってくる。
【0074】
ここで、第1画素41と第2画素42の間隔が狭く、反射光の波長強度分布が第1画素41と第2画素42で同じである条件の下で、カラスからの反射光について、水分による吸収がない場合と水分による吸収がある場合を比較する。水分による吸収がなく反射光が減衰していない場合の第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを、それぞれL=L0,R=R0とする。次に、ガラスに水分(厚さ2mm)が付着して該水分による反射光の吸収がある場合、第2画素42のほうが水分による吸収で反射光の減衰が大きいので、第2画素42の出力Rのほうが第1画素41の出力Lより大きく低下し、例えばL=0.999*L0,R=0.9*R0のようになる。
【0075】
図6は、L0とR0の各組み合わせにおいて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Crを計算した結果である。
【0076】
図6に示すように、L0とR0のいずれの組み合わせにおいても、水分による吸収がある場合の出力比Cr=0.9*R0/(0.999*L0+0.9*R0)は、水分による吸収がない場合の出力比Cr=R0/(L0+R0)に較べて小さくなる。例えば、L0:R0=1:1の時、水分による吸収がない場合の出力比Cr=0.5に対して、水分による吸収がある場合の出力比Cr=0.4739である。従って、この場合には、図4の第3のステップS3において、例えば雨滴判定基準比V4r=0.487と設定しておけば、「雨滴あり」と「雨滴でない」を判別することができる。
【0077】
以上のようにして、図4に示す第1〜第3のステップS1〜S3を各画素対について順に実行することで、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rを判別して検出することができる。
【0078】
図7は、付着水分検出装置100により、結露だけを判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。また、図8は、各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、結露がない場合とある場合について比較して示した図である。
【0079】
図7に示す付着水分検出方法は、付着水分検出装置100による付着水分検出方法であって、図8に示すガラス20の室内側に付着する結露による水分21dを判別して検出する。
【0080】
図7に示す付着水分検出方法では、付着水分検出装置100の演算処理部50において、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを読み込む第1のステップS1と、前記出力Lと第1画素41についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に結露なしと判定する第2のステップS2と、第2のステップS2の後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の結露判定基準比V4dを比較し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に結露でないと判定し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に結露ありと判定する第4のステップS4を実行する。
【0081】
図7に示す付着水分検出方法は、雨滴の判別が不要な環境下(例えばガラス20の外面に反射板を設けて結露だけを検出する場合)において、ガラス20の室内側に付着する結露による水分21dの検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部50において、次の第1,第2のステップS1,S2と第4のステップS4を順に実行する。
【0082】
第1,第2のステップS1,S2は、前述した雨滴を検出する図4の付着水分検出方法にある第1,第2のステップS1,S2と同じで、第2のステップS2において予め設定する第2出力基準VL2,VR2の値も同じであってよい。
【0083】
第1のステップS1では、受光部40の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素42の出力Rを読み込む。
【0084】
次の第2のステップS2では、図8において結露なしの代表的な反射率8%と結露ありの代表的な反射率6.3%で例示したように、ガラス20の室内側に水分21dが付着すると反射光量が減少することを利用して、「結露なし(水分21dの付着がない)」を判別し、この場合には、次の第4のステップS4を除外する。このため、第2のステップS2では、第1画素41について予め設定した第2出力基準VL2と第1のステップS1で検出した第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第2出力基準VR2と第1のステップS1で検出した第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「結露なし」と判定する。
【0085】
次の第4のステップS4では、第1画素41と第2画素42の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「結露あり(室内側に水分21dの付着がある)」と「結露でない(汚れ等による減衰)」を判別する。このため、第4のステップS4では、第2のステップS2を通過した第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した結露判定基準比V4dを比較する。そして、出力比Crが結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に「結露でない」と判定し、出力比Crが結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に「結露あり」と判定する。
【0086】
尚、結露だけを判別して検出する上記第4のステップS4の判定原理は、前述した雨滴だけを判別して検出する図4の第3のステップS3と同様であり、その説明は省略する。ここで、第4のステップS4における結露判定基準比V4dと前述した図4の第3のステップS3における雨滴判定基準比V4rの設定値を比較すると、一般的には、結露判定基準比V4dのほうが雨滴判定基準比V4rより小さな値となる。これは、ガラス20の室内側に付着する結露による水分21dのほうが、ガラスの室外側に付着する雨滴による水分21rよりも、通過経路の違いに伴う光の吸収割合が大きくなるためである。代表例で説明すると、図5では、雨滴による水分21rと室外側の空気の界面で反射される2%の反射光が、水分21rを1回通過している。これに対し、図8では、ガラス20と室外側の空気の界面で反射される4%の反射光、および結露による水分21dとガラス20の界面で反射される0.3%の反射光とが、水分21dを1回通過している。従って、ガラス20の室内側に付着する結露による水分21dのほうが、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rよりも、光の吸収割合が大きくなる。
【0087】
以上の第1,第2のステップS1,S2と第4のステップS4を各画素対について順に実行することで、ガラス20の室内側に付着する結露による水分21dを判別して検出することができる。
【0088】
図9は、付着水分検出装置100により、雨滴と結露の両方を判別して検出する場合の信号処理のフロー図である。また、図10は、各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、雨滴と結露の両方がある場合について示した図である。尚、雨滴と結露の両方がない場合および雨滴だけがある場合と結露だけがある場合については、図5および図8と同じであり、これらを参照して説明する。
【0089】
図9に示す付着水分検出方法は、付着水分検出装置100による付着水分検出方法であって、図10に示すガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rと室内側に付着する結露による水分21dを判別して検出する。
【0090】
図9に示す付着水分検出方法では、付着水分検出装置100の演算処理部50において、第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rを読み込む第1のステップS1と、前記出力Lと第1画素41についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素42についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴と結露の両方なしと判定する第2のステップS2と、第2のステップS2の後で、第2のステップS2を通過した前記出力Lと前記第2出力基準VL2より小さい第1画素41についての所定の第3出力基準VL3および第2のステップS2を通過した前記出力Rと前記第2出力基準VR2より小さい第2画素42についての所定の第3出力基準VR3をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に雨滴と結露の両方ありと判定する第5のステップS5と、前記第5のステップS5の後で、第5のステップS5を通過した前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴結露判定基準比V4を比較し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に結露だけありと判定し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に雨滴だけありと判定する第6のステップS6を実行する。
【0091】
図9に示す付着水分検出方法は、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rおよび室内側に付着する結露による水分21dの両方の検出に最適な方法である。上記付着水分検出方法では、演算処理部50において、次の第1,第2のステップS1,S2と第5,第6のステップS5,S6を順に実行する。
【0092】
第1,第2のステップS1,S2は、前述した図4および図7の付着水分検出方法にある第1,第2のステップS1,S2と同じで、第2のステップにおいて予め設定する第2出力基準VL2,VR2の値も同じであってよい。
【0093】
第1のステップS1では、受光部の画素対を構成している水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素41の出力Lと水吸収波長の光に対して感度の高い第2画素42の出力Rを読み込む。
【0094】
次の第2のステップS2では、図5,図8,図10において雨滴と結露の両方なしの代表的な反射率8%、雨滴だけまたは結露だけありの代表的な反射率6.3%および雨滴と結露の両方ありの代表的な反射率4%で例示したように、ガラス20に水分21r,21dが付着すると反射光量が減少することを利用して、「雨滴と結露の両方なし(水分21r,21dの付着がない)」を判別し、この場合には、次の第5,第6のステップS5,S6を除外する。このため、第2のステップS2では、第1画素41について予め設定した第2出力基準VL2と第1のステップS1で検出した第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第2出力基準VR2と第1のステップS1で検出した第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に、「雨滴と結露の両方なし」と判定する。
【0095】
次の第5のステップS5では、ガラス20の両側に水分21r,21dが付着すると一方側だけに水分21rまたは水分21dが付着する場合に較べて反射光量がより減少することを利用して、「雨滴と結露の両方あり(ガラス20の両側に水分21r,21dの付着がある)」を判別し、この場合には、次の第6のステップS6を除外する。このため、第5のステップS5では、第1画素41について予め設定した第3出力基準VL3と第2のステップS2を通過した第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第3出力基準VR3と第2のステップS2を通過した第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に、「雨滴と結露の両方あり」と判定する。ここで、第5のステップS5における第3出力基準VL3,VR3と第2のステップS2における第2出力基準VL2,VR2の設定値を比較すると、ガラス20の両側に水分21r,21dが付着するほうが一方側だけに水分21rまたは水分21dが付着するよりも反射光量がより減少するため、第3出力基準VL3,VR3のほうがそれぞれ第2出力基準VL2,VR2より小さな値となる。第1画素41と第2画素42についての第3出力基準VL3,VR3としては、図10の例と図5および図8の例を比較してわかるように、それぞれ、例えば反射率5%の反射光の受光に相当する第1画素41と第2画素42の出力値とする。
【0096】
次の第6のステップS6では、第1画素41と第2画素42の水吸収波長に対する感度の違いを利用して、「雨滴だけあり(室外側だけに水分21rの付着がある)」と「結露だけあり(室内側だけに水分21の付着がある)」を判別する。このため、第6のステップS6では、第5のステップS5を通過した第1画素41の出力Lと第2画素42の出力Rについて、出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと予め設定した雨滴結露判定基準比V4を比較する。そして、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に「結露だけあり」と判定し、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に「雨滴だけあり」と判定する。
【0097】
この「雨滴だけあり」と「結露だけあり」を判別して検出する上記第6のステップS6の判定原理は、前述した雨滴だけを判別して検出する図4の第3のステップS3および結露だけを判別して検出する図7の第4のステップS4についての判定原理と異なり、反射光の水分通過回数が雨滴の場合と結露の場合とで異なることを利用している。すなわち、図5の雨滴ありでは、2%の反射光が水分を1回通過しているのに対し、図8の結露ありでは、4%の反射光と0.3%の反射光がそれぞれ水分を1回通過している。従って、受光部40側のガラスの内側に付着する結露の場合ほうが、ガラスの外側に付着する雨滴の場合に較べて、一般的に、水分による反射光の減衰が大きくなる。この差を利用して、図9の第6のステップS6では、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に「結露だけあり」と判定し、出力比Crが雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に「雨滴だけあり」と判定する。尚、第6のステップS6における雨滴結露判定基準比V4と前述した図5の第3のステップS3における雨滴判定基準比V4rおよび図5の第4のステップS4における結露判定基準比V4dの設定値を比較すると、雨滴結露判定基準比V4は、雨滴判定基準比V4rと結露判定基準比V4dの中間の値となる。
【0098】
以上の第1,第2のステップS1,S2と第5,第6のステップS5,S6を順に実行することで、ガラス20の室外側に付着する雨滴による水分21rおよび室内側に付着する結露による水分21dの両方を判別して検出することができる。
【0099】
図11〜図13は、それぞれ図4,図7,図9に対応した付着水分検出方法の変形例で、ガラス20に水分以外の付着物がある場合を予め除外する信号処理のフロー図である。また、図14は、各媒質の屈折率、検出プローブである光の経路および各界面での光の代表的な反射率の例を、付着物がない場合と水分以外の付着物21mがある場合について比較して示した図である。
【0100】
図11〜図13に示した付着水分検出方法は、第1のステップS1と第2のステップS2の間に第7のステップS7を有している点を除いて、それぞれ対応する図4,図7,図9に示した信号処理のフロー図と同じである。
【0101】
図11〜図13に示した付着水分検出方法は、いずれも、第1のステップS1と第2のステップS2の間において、第1画素41の出力Lと次の第2のステップS2における第2出力基準VL2より大きい第1画素41についての所定の第1出力基準VL1および第2画素42の出力Rと次の第2のステップS2における第2出力基準VR2より大きい第2画素についての所定の第1出力基準VR1をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に水分以外の付着物ありと判定し、前記出力L,Rの少なくとも一方が前記第1出力基準VL1,VR1より小さい場合に第2のステップS2に移行する、第7のステップS7を有している。
【0102】
上記第7のステップS7は、図14において付着物なしの代表的な反射率8%と付着物ありの代表的な反射率14%で例示したように、ガラス20に泥や鳥の糞等からなる水分以外の付着物21mがあると反射光量が増大することを利用して、「(水分以外の)付着物あり」を判別し、この場合には、次の第2のステップS2を除外する。このため、第7のステップS7では、第1画素41について予め設定した第1出力基準VL1と第1画素41の出力L、および第2画素42について予め設定した第1出力基準VR1と第2画素42の出力Rをそれぞれ比較し、出力L,Rがそれぞれ第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に、「付着物あり」と判定する。ここで、第7のステップS7における第1出力基準VL1,VR1と第2のステップS2における第2出力基準VL2,VR2の設定値を比較すると、ガラス20の室外側に水分以外の付着物21mがある場合のほうが、付着物がない場合より反射光量が増大する。このため、第3出力基準VL1,VR1のほうが、それぞれ第2出力基準VL2,VR2より大きな値となる。第1画素41と第2画素42についての第1出力基準VL1,VR1としては、図14の例からわかるように、それぞれ、例えば反射率11%の反射光の受光に相当する第1画素41と第2画素42の出力値とする。
【0103】
上記第7のステップS7を有することで、第2のステップS2以降の詳細な付着水分の判別を実施する前に予め水分以外の付着物21mがある場合を除外できるため、演算処理部50における処理時間が短縮できる。
【0104】
以上のようにして、上記した付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法は、いずれも、室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法であって、小型で外光の影響を受け難く、ガラスの室外側に付着する雨滴と室内側に付着する結露の判別も可能な付着水分検出装置およびそれによる付着水分検出方法とすることができる。
【符号の説明】
【0105】
100 付着水分検出装置
20 (フロント)ガラス
21r、21d 水分
21m 付着物
30 発光部
40 受光部
41 第1画素
42 第2画素
50 演算処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、
室内から前記ガラスに向かって光を照射する発光部と、前記発光部により照射される光の一部が前記ガラスおよび前記水分で反射され、該反射光を室内において受光できるように配置されてなる受光部と、前記反射光の強度に対応した前記受光部からの出力を演算処理する演算処理部とを有してなり、
前記発光部が、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光を発光する白色光源からなり、
前記受光部が、前記水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素と前記水吸収波長の光に対して前記第1画素より感度の高い第2画素からなる画素対で構成されてなり、
前記演算処理部が、前記第1画素の出力Lと前記第2画素の出力Rを演算処理して、前記ガラスに付着する水分を判別して検出することを特徴とする付着水分検出装置。
【請求項2】
前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の付着水分検出装置。
【請求項3】
前記受光部が、複数の前記画素対で構成されてなり、
前記演算処理部が、複数の前記画素対における前記出力Lと前記出力Rを順次演算処理して、前記ガラスに付着する水分を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の付着水分検出装置。
【請求項4】
前記複数の画素対が行列状に配置されて、画素対アレイが構成されてなることを特徴とする請求項3に記載の付着水分検出装置。
【請求項5】
前記付着水分検出装置が、車載用であり、
前記ガラスが、車両前方の車室内と車室外を仕切るフロントガラスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の付着水分検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、
前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴であり、
前記演算処理部において、
前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、
前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴なしと判定する第2のステップと、
前記第2のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴判定基準比V4rを比較し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に雨滴でないと判定し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に雨滴ありと判定する第3のステップを実行することを特徴とする付着水分検出方法。
【請求項7】
請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、
前記水分が、前記ガラスの室内側に付着する結露であり、
前記演算処理部において、
前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、
前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に結露なしと判定する第2のステップと、
前記第2のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の結露判定基準比V4dを比較し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に結露でないと判定し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に結露ありと判定する第4のステップを実行することを特徴とする付着水分検出方法。
【請求項8】
請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、
前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の両方であり、
前記演算処理部において、
前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、
前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴と結露の両方なしと判定する第2のステップと、
前記第2のステップの後で、前記出力Lと前記第2出力基準VL2より小さい第1画素についての所定の第3出力基準VL3および前記出力Rと前記第2出力基準VR2より小さい第2画素についての所定の第3出力基準VR3をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に雨滴と結露の両方ありと判定する第5のステップと、
前記第5のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴結露判定基準比V4を比較し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に結露だけありと判定し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に雨滴だけありと判定する第6のステップを実行することを特徴とする付着水分検出方法。
【請求項9】
前記第1のステップと第2のステップの間において、
前記出力Lと前記第2出力基準VL2より大きい第1画素についての所定の第1出力基準VL1および前記出力Rと前記第2出力基準VR2より大きい第2画素についての所定の第1出力基準VR1をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に水分以外の付着物ありと判定し、前記出力L,Rの少なくとも一方が前記第1出力基準VL1,VR1より小さい場合に前記第2のステップに移行する、第7のステップを有してなることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の付着水分検出方法。
【請求項1】
室内外を仕切るガラスに付着する水分を検出する付着水分検出装置であって、
室内から前記ガラスに向かって光を照射する発光部と、前記発光部により照射される光の一部が前記ガラスおよび前記水分で反射され、該反射光を室内において受光できるように配置されてなる受光部と、前記反射光の強度に対応した前記受光部からの出力を演算処理する演算処理部とを有してなり、
前記発光部が、可視光から所定の水吸収波長を含んだ赤外光まで連続する波長帯域の光を発光する白色光源からなり、
前記受光部が、前記水吸収波長の光に対して感度の低い第1画素と前記水吸収波長の光に対して前記第1画素より感度の高い第2画素からなる画素対で構成されてなり、
前記演算処理部が、前記第1画素の出力Lと前記第2画素の出力Rを演算処理して、前記ガラスに付着する水分を判別して検出することを特徴とする付着水分検出装置。
【請求項2】
前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の付着水分検出装置。
【請求項3】
前記受光部が、複数の前記画素対で構成されてなり、
前記演算処理部が、複数の前記画素対における前記出力Lと前記出力Rを順次演算処理して、前記ガラスに付着する水分を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の付着水分検出装置。
【請求項4】
前記複数の画素対が行列状に配置されて、画素対アレイが構成されてなることを特徴とする請求項3に記載の付着水分検出装置。
【請求項5】
前記付着水分検出装置が、車載用であり、
前記ガラスが、車両前方の車室内と車室外を仕切るフロントガラスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の付着水分検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、
前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴であり、
前記演算処理部において、
前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、
前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴なしと判定する第2のステップと、
前記第2のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴判定基準比V4rを比較し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて大きい場合に雨滴でないと判定し、該出力比Crが前記雨滴判定基準比V4rに較べて小さい場合に雨滴ありと判定する第3のステップを実行することを特徴とする付着水分検出方法。
【請求項7】
請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、
前記水分が、前記ガラスの室内側に付着する結露であり、
前記演算処理部において、
前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、
前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に結露なしと判定する第2のステップと、
前記第2のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の結露判定基準比V4dを比較し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて大きい場合に結露でないと判定し、該出力比Crが前記結露判定基準比V4dに較べて小さい場合に結露ありと判定する第4のステップを実行することを特徴とする付着水分検出方法。
【請求項8】
請求項1に記載の付着水分検出装置による付着水分検出方法であって、
前記水分が、前記ガラスの室外側に付着する雨滴および室内側に付着する結露の両方であり、
前記演算処理部において、
前記出力Lと前記出力Rを読み込む第1のステップと、
前記出力Lと第1画素についての所定の第2出力基準VL2および前記出力Rと第2画素についての所定の第2出力基準VR2をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第2出力基準VL2,VR2に較べて大きい場合に雨滴と結露の両方なしと判定する第2のステップと、
前記第2のステップの後で、前記出力Lと前記第2出力基準VL2より小さい第1画素についての所定の第3出力基準VL3および前記出力Rと前記第2出力基準VR2より小さい第2画素についての所定の第3出力基準VR3をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第3出力基準VL3,VR3に較べて小さい場合に雨滴と結露の両方ありと判定する第5のステップと、
前記第5のステップの後で、前記出力Lと出力Rの和に対する出力Rの出力比Cr=R/(L+R)を算出し、該出力比Crと所定の雨滴結露判定基準比V4を比較し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて小さい場合に結露だけありと判定し、該出力比Crが前記雨滴結露判定基準比V4に較べて大きい場合に雨滴だけありと判定する第6のステップを実行することを特徴とする付着水分検出方法。
【請求項9】
前記第1のステップと第2のステップの間において、
前記出力Lと前記第2出力基準VL2より大きい第1画素についての所定の第1出力基準VL1および前記出力Rと前記第2出力基準VR2より大きい第2画素についての所定の第1出力基準VR1をそれぞれ比較し、前記出力L,Rがそれぞれ前記第1出力基準VL1,VR1に較べて大きい場合に水分以外の付着物ありと判定し、前記出力L,Rの少なくとも一方が前記第1出力基準VL1,VR1より小さい場合に前記第2のステップに移行する、第7のステップを有してなることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の付着水分検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−252856(P2011−252856A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128229(P2010−128229)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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