説明

付着物検出装置及び検出方法

【課題】付着物を精度良く検出することができる付着物検出装置及び検出方法を提供する。
【解決手段】金属管2内に、発熱体3及び測温体4が挿入され、該発熱体3及び測温体4と該金属管2の内面との間に充填材5が充填されてなるプローブ1と、該発熱体3への通電制御手段と、該測温体の計測温度から該金属管外面の付着物の付着判定を行う判定手段とを備える。該発熱体3への通電量を変化させた際に該測温体4で計測される温度の変化に基づいて該金属管2の外面への付着物の付着を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環式冷却水系などの循環水系におけるスライムやスケールの検知に好適に用いられる付着物検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却塔等の循環水中に発生する微生物によって熱交換器や配管等の壁面に形成される微生物膜厚さの増加量を検知する方法としては、ゴム板等のスライムが付着しやすい物質を循環水中に浸漬し、定期的にゴム板を引き上げて前記ゴム板に付着するSS量を計測するゴム板法がある。
【0003】
このゴム板法の場合、前記ゴム板に付着するスライム量の値の信頼度を確保するため、複数のゴム板を循環水に浸漬し、かつ計測時の誤差を低減するために3日間浸漬してスライムの付着がある程度期待できる時点での付着量を計測しているため、最低でも判断までの期間が3日かかる。また、計測の信頼度を確保する上で、一旦引き上げたゴム板は再度計測点に戻すことがないため、経時的な付着量の変化を計測しようとした場合には、複数のゴム板を予め浸漬しておかなければならず、時間的な感覚を短くしようとする場合にはゴム板の枚数も多量となり、計測操作が煩雑となる。
【0004】
特開昭61−26809号には、配管内や配管外部に設けた発熱部を発熱させ、配管周囲に設けられた感温部(熱伝対等)で計測した伝熱部の温度と、予め計測された配管内の流体温度から伝熱量を計測し、配管内側壁面に付着した微生物膜(スライム)や析出物(スケール)等による伝熱阻害を前記伝熱量の変化より検出する方法が記載されている。
【0005】
この特開昭61−26809号の方法は、配管内側壁面に付着する付着物によって生じる伝熱阻害を配管管肉内部に埋め込んだ測温体の温度上昇によって検出する方法であり、経時的な観察が可能であり、付着の短時間での検出が可能な方法である。しかしながら、(1)水温を計測する計測部を別途用意する必要がある。(2)測温体を埋め込んだ特別な配管を通常の配管以外に別途用意する必要がある。(3)加熱部を前記配管内に埋め込む又は配管外部に固定し、配管側への熱供給量を安定化させるために、配管外への放熱量を一定に保つ(外気温を一定にしたり保温する等)といった操作が必要となるため、計測のための手段の準備は容易ではない。
【0006】
特開平10−332610号には、平板上に白金等の抵抗体をパターン状に形成したヒーターを発熱させた時の抵抗変化から、前記平板上に形成されたスライムによって阻害される放熱量の減少を、計測温度の上昇(抵抗値の増加)によって計測する方法が記載されている。この方法によれば、小型の計測部を循環水系に浸漬することができ、ゴム板法や特開昭61−26809号の方法に比べて計測操作は容易になる。しかしながら、特開平10−332610号では、水温や水流速度を計測していないために、水温や流速の変動による放熱量の変化と、スライム付着による放熱量の変化の区別が不可能であり、前記水温や流速の変化を別途計測する手段を設ける必要があった。
【特許文献1】特開昭61−26809号
【特許文献2】特開平10−332610号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特開昭61−26809のように、ヒーターを発熱させた時の配管に埋め込んだ測温体の出力と、予め計測された配管内を流れる流体の温度から放熱量を計測する方法により、配管壁面等への付着物を常時検出することは可能である。また、特開平10−332610号によれば、小型で特別な配管を必要としない計測手段を実現することは可能である。しかし、これらの方法は、流速による放熱量が流速変動により変化する場合、付着物による温度の変動と流速による変動との識別が困難であり、安定した計測のためには水流の影響を軽減する必要がある。特に特開平10−332610号の計測手段を用いる場合、水の流れが直接計測手段にあたる場合は、水流速の変化の影響を直接受けることとなる。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、付着物を精度良く検出することができる付着物検出装置及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の付着物検出装置は、金属管内に発熱体及び測温体が挿入され、該発熱体及び測温体と該金属管の内面との間に充填材が充填されてなるプローブと、該発熱体への通電制御手段と、該測温体の計測温度から該金属管外面への付着物の付着判定を行う判定手段とを備え、該発熱体への通電量を変化させた際に該測温体で計測される温度の変化に基づいて該金属管外面への付着物の付着を判定することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の付着物検出装置は、請求項1において、前記発熱体に定電流iを所定時間t通電した後、所定時間tだけ非通電とするか、または、所定時間tだけ定電流iよりも小さい定電流iとするサイクルを繰り返し行い、該金属管外面への付着物の付着を判定することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の付着物検出装置は、請求項2において、該所定時間tの開始時または該所定時間tの終期における測温体の計測温度Tと、該所定時間tの終期または該所定時間tの開始時における測温体の計測温度Tとの温度差の経時変化に基づいて、該金属管外面への付着物の付着を判定することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4の付着物検出装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、該プローブに近接して、かつ該プローブから見て一方のサイドにのみバッフルが配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5の付着物検出方法は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の付着物検出装置のプローブを、水流の速度が8cm/sec以上である水中に配置して付着物の検出を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、金属管内部に発熱体と測温体を設置したプローブを水中に配置し、一定時間毎に該発熱体への通電電流量を増減させる。そして、通電量をゼロとした又は少なくしたときに水温に依存した温度を計測し、通電量を多くしたときに発熱量に依存した温度を計測する。これにより、一つのセンサーで水温と発熱時の内部温度を計測することができる。
【0015】
また、本発明の付着物検出装置では、流れの上流側にバッフルを設けてプローブに直接流れがあたることを防ぐ事により、水流速の変動による計測温度の変化を軽減する事が可能である。このバッフルの形状を半円柱形又は半筒状形とすることにより、バッフルの裏側のプローブ周辺に適度な乱流を発生させることができる。これにより、プローブ表面の境膜が薄くなり、安定した計測を行うことができる。
【0016】
このバッフルを設けることにより、プローブからの放熱量は水の温度のみに依存するようになる。このため、通電量をゼロとした(又は少なくした)ときの、水温に依存した内部温度と、通電量を多くしたときの、発熱に依存した内部温度を計測し、この2つの温度の差を算出すれば、スライム付着による伝熱阻害により上昇する内部温度上昇を正確に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0018】
第1図は実施の形態に係る付着物検出装置のプローブ付近の長手方向の断面図である。
【0019】
このプローブ1は、基端側が開放し先端側が閉じた真鍮、ステンレス等の耐食性金属よりなる金属管2と、該金属管2内に配置した発熱体3及び測温体4と、金属管2の内周面と該発熱体3及び測温体4との間のスペースに充填された電気絶縁性かつ熱良導性の酸化マグネシウム(マグネシア)粒子などの充填材5等を有する。プローブ1の基端側はエポキシ樹脂等の樹脂14で封止されている。
【0020】
金属管2の肉厚は0.05〜0.5mm程度が好適である。金属管2の直径は2〜5mm程度が好適である。
【0021】
発熱体3としては、絶縁性基板上に白金薄膜を形成したものなどが好適である。測温体4としては、熱電対やサーミスタ等が好適である。ただし、発熱体3及び測温体4としてはこれら以外のものを用いてもよい。
【0022】
発熱体3は、金属管2の軸心部に配置されるのが好ましい。測温体4は、発熱体3と金属管2の内周面との間において金属管2の内周面と接するように設けられるのが好ましい。
【0023】
発熱体3への通電用リード線3a,3bのうち、一方のリード線3aはプローブ1外にまで延在し、他方のリード線3bは金属管2に半田付け等により接続され、金属管2を介してリード線3cに導通しているが、リード線3bもリード線3aと同様にプローブ1外にまで延在してもよい。なお、リード線3cは金属管2の基端に半田付け等により接続されている。測温体4からの2本のリード線4a,4bは、プローブ1外に引き出されている。これらのリード線には絶縁被覆が施されている。
【0024】
第2図は、このプローブ1を有したセンサの斜視図である。略円筒形のケーシング6の先端面の中心部からプローブ1が突設されている。このプローブ1に近接して、かつプローブ1から見て一方のサイドにのみバッフル7a,7bが設けられている。第2図(a)の形態では、バッフル7aは一端側が半円筒形(弧の長さが円周の1/2である曲板形)であるバッフル部8aとしたものであり、他端側の基部9aにケーシング6を嵌入させて、バッフル部8aがプローブ1の一方のサイドを囲うように固定されている。バッフル8aは、プローブ1と平行方向に、かつプローブ1と同様の長さで、ケーシング6の先端から突設されている。バッフル部8aとプローブ1の中心との距離は、ケーシング6の半径と略等しく、例えばプローブ1の外径の3〜10倍程度である。バッフル8aの弧の長さは、円周の1/2に限られないが、弧の長さが大きすぎるとプローブ1の周囲の液が滞留して液の交換が行われないために正確な検出が行えず、小さすぎると流速の影響を十分に抑えることができないため、円周の1/3〜1/2とするのが好ましい。
【0025】
バッフル部8aの形状は、半円筒形に限られず、第2図(b)のように、半円柱状としてもよく、平板状(図示せず)としてもよいが、バッフル部8bとプローブ1との距離が短すぎるとバッフル部8bとプローブ1の間にスライム等の付着物がブリッジングを起こすおそれがあり、距離が長すぎると流速の影響を十分に抑えられないおそれがあるため、第2図(a)のように曲板形とするのが好ましい。
【0026】
このプローブ1の発熱体3への通電制御手段と、測温体4の出力信号を処理して付着物の付着状況の判定を行う判定手段とを有する計測ユニットの構成について第3図を参照して説明する。
【0027】
この計測ユニット10は、発熱体3に電流を出力する電流出力部11と、測温体4からの温度信号を入力してデジタル信号に変換する温度入力部12と、温度入力部12からの信号を入力して、測温体の温度情報に基づいて電流出力部11が出力すべき電流値を演算すると共に、スライムの付着判定を行う演算部13より構成される。この演算部13はマイクロコンピュータ(μ−CPU)や大規模集積回路(LSI)によって構成された演算処理回路である。演算部13は、発熱体3への通電電流値を周期的に変動させながら、測温体4からの温度データに基づき、プローブ1の表面に付着する付着物によって発生する伝熱抵抗の上昇から付着物の付着状況を判定する。
【0028】
この付着物検出装置を用いて水系のスライム発生状況を観察するには、プローブ1を水系の水中に没するように、かつ、バッフル7が水の流れ方向においてプローブ1よりも上流側となるように配置する。そして、第4図のように発熱体3にパルス状に通電を行い、測温体4の計測温度を検出し、この結果に基づいてプローブ1へのスライムの付着量を判定し、水系におけるスライムの発生状況(発生し易さ)を判定する。
【0029】
第4図のように、発熱体3に通電を開始すると、発熱体3の発熱が測温体4に伝熱することにより、測温体4の検出温度がTから上昇を開始する。測温体4の検出温度は、発熱体3からの発熱量と、プローブ1の表面からの放熱量とがバランス(平衡)するまで上昇する。
【0030】
通電時間tを、測温体4の検出温度がほぼ平衡温度Tに達するのに十分な時間となるように選定しておく。この時間tは、予め通電試験を行って決定すればよい。ただし、tを過度に長くすると、測定のリアルタイム性が乏しくなるので、実質的に平衡温度とみなせる温度(例えば、最終的な平衡温度との差が0.1℃以内となる温度)まで昇温するのに要する時間をtとして設定すればよい。通常の場合、tは5〜60秒特に5〜20秒程度が好ましい。
【0031】
発熱体3への通電を停止すると、プローブ1から周囲の水中に放熱することにより、測温体4の検出温度が低下し始める。通電停止時間tを、プローブ1にスライムが付着している場合でも測温体4の検出温度が周囲水温とほぼ等しい平衡温度Tに達するのに十分な時間となるように選定しておく。この時間tは、予め通電試験を行って決定すればよい。ただし、tを過度に長くすると、測定のリアルタイム性が乏しくなるので、実質的に平衡温度とみなせる温度(例えば、水温との差が0.1℃以内となる温度)まで低下するのに要する時間をtとして設定すればよい。通常の場合、tは20〜300秒特に60〜300秒程度が好ましい。
【0032】
なお、第4図ではt時間帯では通電量をゼロとしているが、t時間帯の通電量iに比べて微量の定電流iを通電するようにしてもよい。ただし、i=0とするのが好ましい。
【0033】
水系の水温が変動しない場合、プローブ1にスライムが付着していない状態では、1つの通電時間t開始前の計測温度Tと、この通電時間t末期の計測温度Tとはいずれも経時的に一定である。なお、TとTとの差が5〜20℃程度となるように発熱体3への通電量を設定するのが好ましい。
【0034】
プローブ1にスライムが付着した状態では、通電時間t末期の計測温度Tは、プローブ1にスライムが付着してないときに比べて高い温度となる。これは、スライムによってプローブ1から水への伝熱が阻害されるからであり、詳しいメカニズムについては次に述べる。
【0035】
従って、第4図に示すパルス通電を繰り返し行いながら温度T,Tを経時的に測定し、TとTとの差(T−T)の経時的変化からプローブ1へのスライムの付着の有無及び付着量を検知することができる。
【0036】
上記の温度T,Tからスライムの付着厚さを求める算出式は下記の数1の通りである。なお、この式は、第5図に示す伝熱モデルに基づくものである。
【0037】
【数1】

【0038】
第5図において、Tw(水温)はTである。Ts(センサ表面温度)は、センサ内部の熱伝導度がkfに比べて無視できる程度に小さい値であるときには、Tに等しい値とすることができる。また、Tw、Ts以外の右辺の項目は、センサの形状、発熱体の抵抗値及び通電量などより求められる定数である。
【0039】
例えば、熱流束qについては、発熱体3の電気抵抗値R、発熱体3への通電電流値i,発熱体3のプローブ長手方向の長さL、金属管2の半径rより次式に従って算出することができる。
【0040】
【数2】

【0041】
従って、TとTを計測することにより、スライム(センサ表面付着物)の厚みを計測することができる。
【0042】
但し、層流境膜伝熱係数を定数と見なすためには、層流境膜の厚みを一定にする必要があり、その為にはセンサが浸漬された水の流速を一定、または層流境膜伝熱係数の変動が無視できる速度値以上とする必要がある。第2図のようにバッフル7を設けると、この層流境膜が薄くなり、精度の高い測定が可能となる。
【実施例】
【0043】
[センサ製作例1]
直径3.0mm、肉厚0.1mm、長さ35mmのステンレス製の金属管2内の先端部に、発熱体3として、φ1.7×4.0mmの金属皮膜抵抗120Ωを設置した。また、この発熱体3に近接して、測温体4として熱電対を金属管2の内周面に接するように配置した。金属管2の内周面と発熱体3及び測温体4との間に、平均粒径約100μmの酸化マグネシウム粉体を充填した。金属管2の基端はエポキシ樹脂で封じた。このプローブ1を外径18mmのケーシング6の先端に取り付けてセンサとした。プローブ1のケーシング6の先端からの突出長さは18mmである。
【0044】
[測温試験例1]
水温を30℃に保った水道水を張った水深310mmの水槽の中央部に、上記センサのプローブ1を水面から30mm差し込んで設置し、水槽端部の底面からのエアレーションにより水槽内の水を循環させた。プローブ1付近での水平方向の流速を電磁流量計(アレック電子株式会社製、2成分電磁流量計ACM250−A)により計測しながら、エアレーションの強度を調整して流速1cm/secとした。
【0045】
発熱体3にt=60sec、t=60sec、通電時の電流値i=40mAにて通電した。また、エアレーションの強さを徐々に強くすることにより、36時間かけて、プローブ1付近での水平方向の流速を1cm/secから5cm/secまで増加させた。
【0046】
このときの側温体4によるセンサ出力値(T−T)の経時変化を第6図(a)に示す。
【0047】
[センサ製作例2及び測温試験例2]
上記センサ製作例1において、プローブ1と平行にバッフル7aを設けた。このバッフル7aは一端に外径24mm、内径18mm、板厚3mm、長さ18mmの半円筒形のバッフル部8aを有し、他端に外径24mm、内径18mm、長さ17mmの基部9aを有している。この基部9aに外径18mmのケーシング6を嵌入して固定されている。
【0048】
上記測温試験例1と同一条件で通水及び温度計測を行った。測温体4の出力の経時変化を第6図(b)に示す。
【0049】
第6図(a)及び(b)の対比から明らかなように、バッフルを設けた第6図(b)の場合は、バッフルを設けなかった第6図(a)の場合に比べて半分の温度変動しか生じておらず、流速の影響が軽減されることが認められる。
【0050】
[測温試験例3,4]
上記測温試験例1,2において、流速を5,10又は15cm/secとして測温体4により計測した結果を第7図に示す。バッフルを設けていないセンサでは低流速から高流速にかけてセンサ出力(T−T)は流速の依存性が高く安定しないが、バッフルを付けると、高流速の部分でセンサ出力値が安定することがわかった。これはバッフルを設けることにより、バッフルからセンサプローブへ巻き込まれる乱流によりプローブ表面の境膜の厚みが薄く安定するためであると推測される。
【0051】
[測温試験例5,6]
測温試験例1,2において、t=60sec,t=60sec、通電時の電流値i=20mAにて通電した。通水速度は8〜15cm/secの間で第8図にプロットした値とした。T−Tの経時変化を第8図に示す。
【0052】
[測温試験例7,8]
測温試験例5,6において、i=40mAとしたこと以外は同一条件として測定した結果を第8図に示す。
【0053】
第8図の通り、いずれの場合も流速8cm/sec以上においてセンサ出力値が安定しており、センサを流速8cm/sec以上の箇所に設置すれば流速の影響を受けることなく測定できることがわかった。
【0054】
[実水系への適用例]
製作例2のセンサを保有水量300RTNの循環冷却塔のピット(平均水温30℃)に設置し、t=t=60秒、i=40mAとして4日間測定を行った後、センサを取り出してスライム付着量を計測した。その結果、4日間にわたってT−Tは0.05℃/dayの割合で上昇した。スライムは4日間で12mg/dm増加した。この結果より、T−Tの経時変化に基づいてスライム付着量を定量的に検出可能であることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施の形態に係る付着物検出装置のプローブの断面図である。
【図2】実施の形態に係る付着物検出装置のセンサの斜視図である。
【図3】実施の形態の回路ブロック図である。
【図4】通電パターン及び温度変化パターン図である。
【図5】管壁部分における温度分布図である。
【図6】測定温度の経時変化を示すグラフである。
【図7】測定温度の経時変化を示すグラフである。
【図8】測定温度差と流速との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
1 プローブ
2 金属管
3 発熱体
4 測温体
5 充填材
7 バッフル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管内に発熱体及び測温体が挿入され、該発熱体及び測温体と該金属管の内面との間に充填材が充填されてなるプローブと、
該発熱体への通電制御手段と、
該測温体の計測温度から該金属管外面への付着物の付着判定を行う判定手段とを備え、
該発熱体への通電量を変化させた際に該測温体で計測される温度の変化に基づいて該金属管外面への付着物の付着を判定することを特徴とする付着物検出装置。
【請求項2】
請求項1において、前記発熱体に定電流iを所定時間t通電した後、所定時間tだけ非通電とするか、または、所定時間tだけ定電流iよりも小さい定電流iとするサイクルを繰り返し行い、該金属管外面への付着物の付着を判定することを特徴とする付着物検出装置。
【請求項3】
請求項2において、該所定時間tの開始時または該所定時間tの終期における測温体の計測温度Tと、該所定時間tの終期または該所定時間tの開始時における測温体の計測温度Tとの温度差の経時変化に基づいて、該金属管外面への付着物の付着を判定することを特徴とする付着物検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、該プローブに近接して、かつ該プローブから見て一方のサイドにのみバッフルが配置されていることを特徴とする付着物検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の付着物検出装置のプローブを、水流の速度が8cm/sec以上である水中に配置して付着物の検出を行うことを特徴とする付着物検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−101840(P2010−101840A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275741(P2008−275741)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】