説明

代謝調節型GABA[B]レセプター、レセプター特異的リガンドおよびそれらの使用

【課題】精製GABAレセプターおよびレセプタータンパク質、ならびにそのようなタンパク質をコードする核酸を提供すること。更にDNAクローニング法および本明細書で提供される配列由来のプローブを使用したGABAレセプターファミリーの他のメンバーの単離のための方法ならびにこのような方法で単離したGABAレセプターファミリーの新規メンバーを提供することを課題とする。GABAレセプターの活性を調節する化合物の同定および特徴付けにおける、GABAレセプターおよびレセプタータンパク質ならびにGABAレセプタータンパク質をコードする遺伝子で形質転換した細胞の使用も課題とする。
【解決手段】GABAレセプターおよびそれをコードするDNAと有意な相同性を有する精製GABAレセプターおよびレセプタータンパク質を提供することにより解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGABAレセプターファミリーのタンパク質をコードする核酸、ならびにそれらによりコードされるタンパク質およびそのようなタンパク質の薬理活性物質の開発のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
γ−アミノ酪酸(GABA)は脳および末梢神経系に見られる主要な抑制性神経伝達物質である。GABAのレセプターは、GABAとGABAレセプターの二つのサブファミリーに分割されている。これらの中で、GABAレセプターは迅速型抑制シグナル伝達に関与し、一方、GABAレセプターは神経伝達の調節に関与しているように見える。前シナプス性GABAレセプターは、GABA、グルタメート、ノルアドレナリン、ドーパミン、5−ヒドロキシトリプタミン、サブスタンスP、コレシストキニンおよびソマトスタチンのような神経伝達物質および神経ペプチドの放出に影響し、一方後シナプス性GABAレセプターは、Gタンパク質を介してカリウムチャンネルに結合し、遅延性抑制性後シナプス電位(IPSP)を調整する。GABAレセプターの両方のサブタイプの活性化の効果は、シナプス性伝達の調節である。
【0003】
GABAレセプターは中枢および末梢神経系のいたる所に位置し(OngおよびKerr, Life Sciences, (1990) 46, 1489−1501;Bowery et al., Drug. Res. (1992) 42(1), 2a, 215−223参照)、従って、記憶および学習から筋肉収縮までの広範囲の神経制御生理学的応答の調節に関与する。このことにより、GABAレセプターは中枢および末梢神経疾患の処置を意図した薬剤の標的となり、実際種々のGABAアゴニストおよびアンタゴニストが既知であり、治療への使用が提案されている(Bittiger et al., GABA:Receptors, Transporters and Metabolism, Tanaka, C., およびBowery, N. G. (編) Birkhaeuser Verlag Basel/Switzerland (1996), 297−305;Bittiger et al., Trends Pharmacol. Sci., 14, 391−394, 1993;Froestl et al., J. Med. Chem., 38, 3297−3312, 1995;Froestl et al., 同書, 3313−3331)。例えば、アルツハイマー病および老人性痴呆症(Age Associated Memory Impairment)および脳血管性痴呆において、認識機能の損失は脳内の多くの神経伝達物質のレベルの減少に関連する。特に、L−グルタミン酸の不足は、L−グルタミン酸が記憶形成および学習の基礎を成す過程に重大に関与していると考えられるため、認識機能の大きな損失をもたらすと予測される。GABAは、多くのシナプスで直接作用し、GABAヘテロレセプターに作用することによりL−グルタミン酸の放出を減少させる。従って、GABAレセプターアンタゴニストが痴呆症の処置に処方され、動物実験で認識機能を改善することが示されている。加えて、GABAレセプターアンタゴニストは鬱病、不安および癲癇のような精神医学的および神経学的疾患に作用することが予測されている(Bittiger et al., 1993, 1996, 前掲;Froestl et al., 1995, 前掲)。GABAレセプターアゴニストは抗痙攣剤として既知であり、末梢神経系投与において、アゴニストは気管支の炎症、喘息および咳に有益であることが予期される(Bertrand et al., Am. J. Resp. Crit. Care Med. 149, A900, 1994)。GABAは更に腸、心臓血管系、胆嚢および膀胱ならびに他の種々の組織での活性に関与する(OngおよびKerr, 前掲)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の各場合に作用するGABAはGABAレセプターによって媒介されていることが既知であり、多くの疾病を処置するための薬剤の設計にこのレセプターが標的となる。
分子生物学およびタンパク質精製法の進歩、かつ薬理学的実験のために精製GABAレセプターを得る明確な要求にもかかわらず、GABAレセプターはこれまでには均質物にまでクローン化または精製されていない。その部分的精製に関する先の報告は(Nakayasu et al., J. Biol. Chem., 268, 8658−8664, 1993)、現在我々が小さすぎることを知っている80Kdaタンパク質に関して不正確であると考えられる。GABAレセプターをクローンできるようにするために、我々は多くのGABAレセプター特異的リガンドを開発している。高度に特異的な放射活性で標識したこのような高度に選択的なGABAレセプターリガンドの一つを使用した発現クローニングにより、我々は本発明によりラットおよびヒト源から異なるGABAレセプターをクローン化し、それらを配列決定し、哺乳類細胞培養において対応する組換えレセプターを発現させた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要約
本発明は、精製GABAレセプターおよびGABAレセプタータンパク質ならびにこのようなタンパク質をコードする核酸を提供する。本発明のタンパク質および核酸は、本明細書に記載のようにGABAレセプターおよびそれをコードするDNAと有意な相同性を有する。特に、ラットから単離されたGABAの明確な変異体である、GABAR1aおよびGABAR1bと名付けられた二つのGABAレセプタータンパク質を提供する。それぞれのcDNAおよび由来するアミノ酸配列は、配列番号1、2および5、6にそれぞれ記載する。更に、ヒト源から単離されたGABAR1a/b(部分的レセプタークローンを示す)およびGABAR1b(完全な長さのレセプタークローンを示す)と名付けた二つのヒトGABAを提供する。それぞれのcDNAおよび由来するアミノ酸配列は、配列番号3、4および7、8にそれぞれ記載する。
【0006】
本発明のGABAレセプターおよびGABAレセプタータンパク質は、式Iおよび式II:
【化1】

の選択的GABAレセプターアンタゴニストの一個またはそれ以上に特異的結合を示す。
【0007】
本発明は、従って、式Iおよび式IIの化合物を提供する。更に、これらの選択的GABAレセプターアンタゴニストの結合は、式IIIおよび式IV:
【化2】

のような他の選択的GABAレセプターアゴニストまたはアンタゴニストと競合し得る。
【0008】
本発明は、更に、DNAクローニング法および本明細書で提供される配列由来のプローブを使用したGABAレセプターファミリーの他のメンバ−の単離法ならびにこのような方法で単離されたGABAレセプターファミリーの新規メンバ−を提供する。
【0009】
更に、本発明は、中枢および末梢神経系に関する疾病の処置のための医薬として有用であり得るGABAレセプターアゴニストおよびアンタゴニストのようなGABAレセプターの活性を修飾する化合物の同定および特徴付けの方法における、GABAレセプターおよびGABAレセプタータンパク質ならびにこのようなGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする遺伝子で形質転換された細胞の使用に関する。特に、GABAレセプターアンタゴニストは、例えば、脳疾患、鬱病、不安、小発作型癲癇、精神分裂病および近視のような向知性薬、抗痴呆薬、抗鬱剤および抗不安剤として有用であり得、一方GABAレセプターアゴニストは、例えば、痙攣、三叉神経痛、喘息、咳、嘔吐、潰瘍、尿失禁およびコカイン中毒のような疾病の処置に有用であり得る。
【0010】
図面の簡単な説明
図1aは、COS1細胞での組換えGABAR1aの発現を記載する。ラット皮質膜(レーン1)およびGABAR1aラットcDNAでトランスフェクトしたCOS1細胞(レーン2および3)由来の膜を光親和性リガンド[125I]CGP 71872で標識する。レーン当たり25μgタンパク質を充填した6%SDSゲルのオートラジオグラフィ−を示す。レーン1および2:0.6nM[125I]CGP 71872の特異的結合。レーン3:0.6nM[125I]CGP 71872での特定の結合が、1μMの非標識CGP 54626A(GABAレセプター特異的アンタゴニスト)と競合する、対照実験。天然および組換えGABAレセプターの見かけの分子量は、SDS−PAGE標準(BioRad)と比較して、ゲル移動性で概算した。図1bは更にGABAR1bラットーcDNAでトランスフェクトしたCOS1細胞の結果を示す(レーン3)。
【0011】
図2はラット大脳皮質由来の膜のGABAレセプター(白抜き)およびCOS1細胞由来の組換えGABAR1aレセプター(黒塗り)に結合する[125I]CGP 64213の、GABAレセプターアンタゴニストCGP 54626A(●)、CGP 64213(▲)およびCGP 35348(■)による阻害を示す。
【0012】
図3はラット大脳皮質由来の膜のGABAレセプター(白抜き)およびCOS1細胞由来の組換えGABAR1aレセプター(黒塗り)に結合する[125I]CGP 64213の、GABAレセプターアゴニストGABA(●)、L−バクロフェン(▲)およびAPPA3−(アミノプロピル−ホスフィン酸)(■)による阻害を示す。
【0013】
図4は、GABAレセプタータンパク質の光親和性架橋を示す。示す組織の細胞膜は、[125I]CGP 71872で光親和性標識し、SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィ−に付す。a、bは光親和性リガンド[125I]CGP 71872の選択性。aは神経系の組織の130Kおよび100KのGABAレセプター変異体の異なる分散。[125I]CGP 71872結合は選択的GABAレセプターアンタゴニストであるCGP 54626A 1μMの添加により開始する。bは異なるリガンドで標識した[125I]CGP 71872の競合。膜抽出物の光親和性リガンドとのインキュベーションは、示す濃度での競合物質の存在下で行う。cはGABAレセプターはN−グリコシル化である。光親和性標識ラット皮質細胞膜を0.4単位のN−グリコシダーゼFまたは0.6ミリ単位のO−グリコシダーゼ(Boehringer Mannheim)とインキュベートする。dは異なる種由来のGABAレセプターの光標識。示す種由来の脳組織は、下記のように標識する。Drosophila melanogasterおよびHaemonchus concortusの場合、全動物を分析する。
【0014】
図5は天然および組換えGABAレセプターの薬理学的特性に関するアッセイの結果を示す。GABAR1aはアデニレートシクラーゼの阻害を介在する。安定にGABAR1aを発現するHEK293細胞をホルスコリン(Fsk)20μMで処理し、cAMP形成を刺激する(100%)。Fsk誘導cAMP蓄積は、300μM L−バクロフェンの同時添加により有意(2P<0.001;デュネットのt検定)に減少する。L−バクロフェンの作用は10μM CGP 54626A存在下で拮抗する。百日咳毒素(PTX)10ng/mlとの細胞の15−20時間の予備インキュベーションは、L−バクロフェンの作用を完全になくす。L−バクロフェン反応は、非トランスフェクトHEK293細胞では観察されない(挿入)。棒は、4回行った実験の少なくとも個々の3回の平均値±S.E.M.を示す。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は精製GABAレセプターおよびGABAレセプタータンパク質、それをコードする核酸およびそれらの種々の適用に関する。本発明の前には、GABAレセプターは精製形で入手可能ではなく、粗膜調製物のみであった。本発明は、最初に、組換えDNA法により、実質的に純粋な形で、種々の相互に関連するGABAレセプターの製造を可能にした。一般に、グリコシル化形のこのようなタンパク質は、100から130kDaの間の観察される分子量を有し、一方非グリコシル化形はそれぞれ90から110kDaの間の観察される分子量を有することが予期される。
【0016】
本発明のGABAレセプターは、GABAに反応する、神経伝達物質活性のG−タンパク質結合調節物質である。それらは、GABAレセプターに選択的な標識リガンド、特に[125I]CGP 62413および[125I]CGP 71872に結合することにより定義し得る。組換えGABAレセプターをG−タンパク質およびGABAおよびGABAレセプターアゴニストにより活性化できるイオンチャンネルのようなエフェクタ−を含む細胞系で発現させる、機能実験もまた可能である。
【0017】
本発明のタンパク質は、トランスジェニックまたはノックアウト動物で電気生理学的に、例えば、遅延IPSP(抑制性シナプス後電位)の測定、電場EPSP(興奮性シナプス後電位)の対パルス阻害または(−)−バクロフェン誘導抑制のような当分野で既知のGABAレセプターのアッセイでの反応性によって定義し得る。GABAレセプターは神経のカリウムチャンネルへの間接的結合の結果としてIPSPの観察に対応し、このように確認されたGABAレセプターのアゴニストおよびアンタゴニストは、IPSPに関する効果の検出により、神経性試料中におけるGABAレセプターの存在を決定するのに使用し得る。
【0018】
しかしながら、有利には、本発明のGABAレセプタータンパク質は、電場EPSPの対パルス拡大により測定される、CGP 64213およびCGP 71872への感受性により評価する。両方の上記化合物が、それらが有効なGABAオートレセプターアンタゴニストであるため、GABAレセプターに通常関連する対パルス拡大をなくす。好ましくは、従って、本発明のGABAレセプタータンパク質は、CGP 64213およびCGP 71872により特異的に阻害される。これらの化合物による特異的阻害の例は下に示す。
【0019】
本明細書での使用において、“GABAレセプター”なる用語はその配列が実質的に配列番号2および8に記載のものであるタンパク質を意味し、一方“GABAレセプタータンパク質”なる用語は、構造的におよび/または機能的にGABAレセプターに関連した、例えば、接合変異体のような、誘導体および変異体を含む。好ましくは、本発明のGABAレセプタータンパク質は、例えば、配列番号4および6に記載のものであり、それぞれ配列番号2および8に記載するアミノ酸配列を有するGABAレセプターと少なくとも一つの共通構造決定基を共有する。“共通構造決定基”は、上記誘導体が配列番号2および8に記載のGABAレセプターの少なくとも一つの構造的特性を含むことを意味する。構造的特性は、天然に発生するまたは変性GABAレセプターポリペプチドまたはそのフラグメントに対して発生した抗体と交差反応できるエピトープまたは抗原性部位の所有、GABAレセプターと同一性を有するアミノ酸配列の所有および共通の構造/機能関係を有することを含む。従って、本発明により提供されるGABAレセプタータンパク質は、アミノ酸変異体、グリコシレーション変異体および他のGABAレセプターの生理学的および/または物理的特性を保持するGABAレセプターの共有結合誘導体を含む。
【0020】
更に、“GABAレセプタータンパク質”なる用語の範囲内には、特定の種、好ましくは哺乳類で見られるGABAレセプターの天然に存在する変異体も含まれる。このような変異体は、同じ遺伝子ファミリーの関連遺伝子、特定の遺伝子の対立変異体によりコードされ得、またはGABAレセプター遺伝子の別のスプライシング変異体を示す。本発明の変異体は、GABAレセプターと同じ基本的機能を有するが、変異体としてのその性質に一致した異なる特性を有し得る。例えば、GABAレセプターはGABAレセプタータンパク質のファミリーのメンバ−であり、その単離および特徴付けは本発明により最初に可能になったことが予期される。GABAレセプターファミリーの異なるメンバ−は、恐らくその組織特異的局在性および神経シグナル伝達の調節の役割の差異に従って異なる活性プロフィールを有することが予測され得る。
【0021】
更に、本発明は、ヒトを含む種由来の、更なるGABAレセプター、GABAレセプタータンパク質およびGABAレセプタータンパク質コード核酸の単離および特徴付けを可能にする。配列デ−タの供給は、既知のようにおよび下記の実施例に記載のように、所望のGABAレセプターコード核酸を単離するために、当業者が標準ハイブリダイゼーション法を行うことを可能にする。
【0022】
本発明は、更に、GABAレセプターの少なくとも一つの共通構造決定基を保持する、GABAレセプターの誘導体を含む。例えば、誘導体は、本発明のタンパク質が、置換、化学的、酵素的または他の適当な手段により、天然に存在するアミノ酸以外の分子と共有結合的に修飾されている分子を含む。このような分子は、酵素または放射性同位体のような検出可能分子であり得る。
【0023】
共通構造決定基を保持する誘導体は、GABAレセプターのフラグメントであり得る。GABAレセプターのフラグメントは、その個々のドメインおよびドメイン由来のより小さなポリペプチドを含む。好ましくは、本発明のGABAレセプター由来の小さいポリペプチドは、GABAレセプターに特徴的な一つの特性を定義する。フラグメントは、理論的に、GABAレセプターの一つの特性を保持する限り、ほとんど任意のサイズであり得る。好ましくは、フラグメントは5から600アミノ酸長の間である。より長いフラグメントは完全長GABAレセプターの切断物とみなされ、一般に用語“GABAレセプター”に包含される。好ましくは、上記フラグメントはGABAレセプターの機能的活性を保持する。このようなフラグメントは、慣用法を使用して、本発明のGABAレセプタータンパク質から、GABAレセプタータンパク質の特定の機能的態様に必須でないアミノ酸残基を除去することにより、当業者は製造し得る。GABAレセプタータンパク質の機能的態様の決定は、本明細書に記載の薬理学的または電気生理学的アッセイを用いて、および特にGABAまたはGABA模倣物に結合する、またはGタンパク質に結合するGABAレセプタータンパク質の能力の追跡によりなし得る。
【0024】
GABAレセプターの誘導体は、アミノ酸欠失、付加または置換を含み得、GABAレセプターの少なくとも一つの特性を維持する要求に従う、その変異体もまた含む。従って、保存的アミノ酸置換が、実質的にGABAレセプターの性質を変えることなくなし得る。置換および更なる欠失は、本発明に含まれるGABAレセプタータンパク質のフラグメントを製造し得る。GABAレセプタータンパク質変異体は、例えば、アミノ酸をコードするトリプレットを、一組またはそれ以上付加、交換および/または欠失によりもたらされるインビトロ変異に付されたGABAレセプタータンパク質をコードするDNAから製造し得る。例えば、GABAレセプターの置換、欠失または挿入変異体は、組換え法およびGABAレセプターの天然形との免疫的−または生理学的交差反応性をスクリーニングすることにより製造できる。
【0025】
変異は、当業者が既知の方法で行い得る。好ましくは、しかしながら、関心のポリペプチドをコードする核酸配列の部位特異的変異誘発である。部位特異的変異誘発の多くの方法が、M13のような一本鎖ファージを使用する方法から、PCR基本法まで当分野で既知である(“PCR Protocols:A guide to methods and applications”, M. A. Innis, D. H. Gelfand, J. J. Sninsly, T. J. White (編), Academic Press, New York, 1990参照)。好ましくは、商品として入手可能なAltered Site II Mutagenesis System(Promega)を、使用説明書に従って用い得る。
【0026】
GABAレセプターのフラグメント、変異体および他の誘導体は、好ましくはGABAレセプターとかなりの相同性を保持する。本明細書での使用において、“相同性”は二つの物が、起源および機能が同じであると当業者が決定するのに十分な特徴を共有することを意味する。好ましくは、相同性は配列同一性を意味するために使用する。従って、GABAレセプターの誘導体は、好ましくはそれぞれ配列番号2および8に記載の配列とかなりの配列同一性を保持する。
【0027】
“かなりの相同性”は、相同性が配列同一性を意味する場合、30%以上の配列同一性、好ましくは65%以上の配列同一性および最も好ましくは80%またはそれ以上の配列同一性を意味する。
【0028】
本発明の更なる態様に従い、GABAレセプターをおよびGABAレセプタータンパク質をコードする核酸が提供される(それぞれ配列番号1、7および3、5)。組換えGABAレセプターおよびレセプタータンパク質の製造に有用であることに加えて、これらの核酸はまたプローブとしても有用であり、従って前記のように、当業者はGABAレセプターファミリーの更なるメンバ−をコードする核酸の同定および/または単離が可能となる。
【0029】
他の態様において、本発明は、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする核酸と相補的な、またはこれらとハイブリダイズできる核酸配列を提供する。好ましくは、このような核酸は下記のように、高いまたは中程度のストリンジェンシー下でハイブリダイズできる。
【0030】
更に、本発明の核酸はGABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的核酸の存在を測定する方法に有用であり、この方法はGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする(または相補的な)DNA(またはRNA)を試験サンプル核酸とハイブリダイズさせ、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的核酸の存在を測定することを含む。
【0031】
本発明は、核酸ポリメラーゼ(連鎖)反応を、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする核酸(DNAまたはRNA)またはそれらに相補的な核酸で開始させることを含む、核酸試験サンプルの増幅法も提供する。
【0032】
単離GABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的核酸は、DNAライブラリーのような、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的核酸の天然源または粗核酸調製物に通常含まれる、少なくとも一つの汚染核酸を含まない核酸を含む。単離核酸は、従って、天然に見られる形または配置以外で存在する。しかしながら、単離GABAレセプターおよびレセプタータンパク質をコードする核酸は、本来のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質−発現細胞中にGABAレセプターおよびレセプタータンパク質−特異的核酸を含み、核酸は天然細胞のものと異なる染色体座であるか、そうでなければ天然で見られるのと異なるDNA配列に併列している。
【0033】
本発明に従って、GABAレセプターおよびGABAレセプタータンパク質、例えば、ヒトおよびラットGABAレセプターおよびレセプタータンパク質のような哺乳類GABAレセプターおよびレセプタータンパク質、またはそれらのフラグメントをコードする単離核酸、例えばDNAまたはRNAが提供される。特に、本発明はヒトおよびラットGABAレセプターまたはレセプタータンパク質、またはそのフラグメントをコードするDNA分子を提供する。定義上、このようなDNAはコード一本鎖DNA、上記コードDNAとそれに相補的なDNAからなる二本鎖DNA、またはこの相補的(一本鎖)DNA自体を含む。例示として、GABAレセプターおよびGABAレセプタータンパク質をコードする核酸は、それぞれ配列番号1、7および3、5により示される。
【0034】
好ましいGABAレセプターおよびレセプタータンパク質をコードする配列は、配列番号1、3、5および7のコード配列と実質的に同じ配列を有するものであり、配列番号1、3、5および7のコード配列と同じ配列を有する核酸が最も好ましい。本明細書で使用する限り、実質的に同じ核酸配列は少なくとも約90%の同一性を共有する。しかしながら、例えば、付加的エクソン配列相同性を有するスプライス変異体は、低くてもよい。
【0035】
本発明の核酸は、プローブとしてかまたはそうでない使用でも、好ましくは配列番号1、3、5および7に示すGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする配列と実質的に相同である。“実質的に”および“相同”なる用語は、GABAレセプターポリペプチドに関して前記で定義した通りに使用する。
【0036】
好ましくは、本発明の核酸は、ポリペプチドに関して前記で定義のようなGABAレセプターまたはレセプタータンパク質−コード配列のフラグメント、またはその誘導体である。数ヌクレオチド長、好ましくは5から150ヌクレオチド長の核酸のフラグメントは、特にプローブとして有用である。
【0037】
例示的に、核酸は、別に、前記で定義のようなGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードし、配列番号1、3、5および/または7に記載のDNA配列、または上記DNA配列の選択したフラグメントとハイブリダイズするヌクレオチド配列として特徴付け得る。配列番号1、3、5および/または7に記載の配列と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードするこのような配列が好ましい。
【0038】
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、その条件下でポリ核酸ハイブリッドが安定である条件を意味する。このような条件は、当業者には明白である。当業者に既知のように、ハイブリッドの安定性はハイブリッドの融点(T)に反映され、それは配列相同性の1%減少に付き、約1から1.5℃減少する。一般に、ハイブリッドの安定性はナトリウムイオン濃度と温度の関数である。典型的に、ハイブリダイゼーション反応は高ストリンジェンシー条件下で行い、続いて種々のストリンジェンシーで洗浄する。
【0039】
本明細書で使用する限り、高ストリンジェンシーは1M Na中、65−68℃で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件である。高ストリンジェンシー条件は、例えば、6×SSC、5×デンハルト、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、0.1ピロリン酸ナトリウムおよび非特異的競合剤としての0.1mg/ml変性サケ精子DNAを含む水溶液中でのハイブリダイゼーションにより提供できる。ハイブリダイゼーションに続いて、高ストリンジェンシー洗浄が、0.2−0.1×SSC、0.1%SDSでハイブリダイゼーション温度での最終洗浄(約30分)を含んで数段階でなし得る。
【0040】
中位のストリンジェンシーは、上記の溶液中であるが、約60−62℃でのハイブリダイゼーションに対応する。この場合、最終洗浄はハイブリダイゼーション温度で、1×SSC、0.1%SDSで行う。
【0041】
低ストリンジェンシーは、約50−52℃での上記溶液中でのハイブリダイゼーションに対応する。この場合、最終洗浄はハイブリダイゼーション温度で、2×SSC、0.1%SDSで行う。
【0042】
これらの条件は、種々の緩衝液、例えば、ホルムアミドーベース緩衝液および温度を使用して、適合させ得、反復し得ることは理解される。デンハルト溶液およびSSCは、他の適当なハイブリダイゼーション溶液のように、当業者に既知である(例えば、Sambrook, et al., 編 (1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New YorkまたはAusubel, et al., 編 (1990)Current Protocols in Molecular Biology, John & Wiley & Sons, Inc.参照)。特に、当業者はハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを多くのパラメ−タ−、主に塩濃度と温度を変えることにより変化し得、得られる条件はこのような全てのパラメ−タ−の複合作用の結果であることを理解する。最適ハイブリダイゼーション条件は、プローブのGC含量がまた役割を担うため、経験的に決定しなければならない。
【0043】
本発明の核酸は、更に、アミノ酸コードの縮重の活用により、天然源から由来したGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする核酸と幾分異なる配列を有するように設計し得る。ほとんどの場合、多くの核酸トリプレットを使用し、あるアミノ酸をコードさせる。従って、同一のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードするほとんど無限の数の核酸を設計し得る。天然に存在する核酸と最も異なる配列のものは、それとハイブリダイズできない程異なり得る。従って、本発明は特に前記で定義のようなGABAレセプターまたはGABAレセプタータンパク質をコードする核酸を特に包含する。好ましくは、GABAレセプターおよびレセプタータンパク質をコードする全ての核酸が、それぞれ配列番号2、8および4、6である。
【0044】
本明細書に記載のガイダンスに従って、本発明の核酸は当分野で既知の方法に従って得ることができる。例えば、本発明のDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用した化学合成、またはゲノムライブラリーのスクリーニングまたはGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を有すると考えられる源から調製した適当なcDNAライブラリーにより得、それを検出可能なレベルで発現させることができる。
【0045】
関心の核酸の合成の化学法は当分野で既知であり、トリエステル、ホスファイト、ホスホロアミデートおよびH−ホスホネート法、PCRおよび他の自己プライマー法ならびに固体支持体上のオリゴヌクレオチド合成を含む。これらの方法は、核酸の全核酸配列が既知である場合、またはコード鎖に相補的な核酸の配列が利用可能な場合、使用し得る。あるいは、標的アミノ酸配列が既知である場合、各アミノ酸残基に対して既知のおよび好ましいコード残基を使用して、可能性の有る核酸配列を推理し得る。
【0046】
GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする遺伝子を単離する別の方法は、例えば、Sambrook et al., 1989に記載のようなPCR法の使用である。この方法は、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブの使用を必要とする。
【0047】
GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする核酸は、プローブ、即ち、配列番号1、3、5および7に記載の配列由来のオリゴヌクレオチドを含む本明細書に記載の核酸との適当なハイブリダイゼーション条件下で、適当なcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングして単離できる。適当なライブラリーは、商品として入手可能であるか、または、例えば、細胞系、組織サンプルなどから調製できる。ライブラリーは、プローブもしくは関心の遺伝子またはそれによりコードされるタンパク質を同定するために設計した分析的ツ−ルでスクリーニングする。cDNA発現ライブラリーに関して、適当な手段はGABAレセプターまたはGABAレセプタータンパク質を認識し、特異的に結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体;同じまたは異なる種由来の既知のまたは推定のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的cDNAをコードする約20から80塩基対長のオリゴヌクレオチド;および/または同じまたはハイブリダイズした遺伝子をコードする相補的または相同cDNAまたはそのフラグメントを含む。ゲノムDNAライブラリーをスクリーニングするために適当なプローブは、同じまたはハイブリダイズしたDNAをコードするオリゴヌクレオチド、cDNAまたはそのフラグメント;および/または相同ゲノムDNAまたはそのフラグメントを含むがこれらに限定されない。
【0048】
特に好ましいスクリーニング法は、DNAの試験サンプル(cDNAまたはゲノムライブラリー)のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的cDNA(配列番号1、3、5、7)との適当なハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションを含む。GABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的cDNAの完全長またはフラグメントをプローブとして使用できる。このようなスクリーニングは、最初に低ストリンジェンシー条件下で行う。低ストリンジェンシー条件は前記で定義の通りであるが、ハイブリダイゼーション溶液の温度およびイオン強度を調節することにより変え得る。例えば、適当な条件は、40℃から60℃の間の温度で、0.5M NaHPO、pH7.2、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1%ウシ血清アルブミン、1mM EDTA中のハイブリダイゼーションおよび2×標準クエン酸食塩水(SSC、20×SSCは3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナトリウムを含む、pH7.0)、0.1%SDSでの50℃またはそれ以下での洗浄を含む。好ましくは、ハイブリダイゼーション条件は、プローブに関して少なくとも40%配列相同性を有する核酸配列の同定を可能にするように選択する。更なるcDNAおよびGABA−レセプター遺伝子ファミリーの遺伝子の同定および単離に有用な同様の相同性スクリーニング法は、米国特許第5,202,257号に記載され、本明細書に引用して包含させる。
【0049】
プローブ配列と実質的類似性を有するcDNAまたはゲノムクローンを同定するために、低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを使用した後、これらのクローンを次いで中位から高ストリンジェンシー条件下に付し、プローブ配列に関して特に高レベルの相同性を有するこれらのクローンを同定する。高ストリンジェンシー条件下での更なる実験は、上記ハイブリダイゼーション溶液を使用した、約60℃から68℃のハイブリダイゼーション温度を含む。洗浄条件は、0.5×SSC、0.1%SDSまたはそれ以下で、約65℃またはそれ以下の温度を含む。
【0050】
本発明のGABAレセプターおよびレセプタータンパク質特異的cDNAの同定の観点から、集められた配列情報を使用して、遺伝子ファミリーのメンバ−の中で、最も保存的な領域から、変性オリゴヌクレオチドプライマー配列のセットを設計する。このようなオリゴヌクレオチドプライマーの混合物は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)中で、すでに単離されたGABAレセプターおよびレセプタータンパク質−特異的cDNAに関する遺伝子由来のcDNAまたはゲノムセグメントを増幅するために使用する。
【0051】
続いて、これらのセグメントは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件を使用して、更なる完全長cDNAクローンを同定するプローブとして働き得る。あるいは、本発明により提供されたGABAレセプターまたはGABAレセプタータンパク質に対して発生した抗体は精製に使用でき、GABAレセプターおよびGABAレセプタータンパク質に関連する配列がまた本抗体により認識される。
【0052】
本発明の核酸を単離するためのライブラリーのスクリーニングは、更に発現スクリーニングにより行い得る。このような方法は、当業者に既知であり、例えばSambrook et al.(前掲)に記載の通りであるが、本質的に核酸クローンの発現ベクタ−への包含を含み、続いて所望のタンパク質生産物に特異的なリガンドを使用してスクリーニングされる。GABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的リガンドは、下記のように抗体、または特異的GABAアンタゴニストまたはアゴニストであり得る。特に好ましいのは、下記のCGP 64213のような化合物である。
【0053】
本明細書で使用する限り、オリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは配列番号1、3、5および7に記載の近接塩基対の同じ数またはより大きい数と同じ(または相補的な)である、10から50、好ましくは15から30および最も好ましくは約20近接塩基を含むヌクレオチドの配列を有する一本鎖DNAまたはRNAである。プローブとして選択する核酸配列は、偽陽性の結果を最小とするために、十分な長さであり、十分明白であるべきである。ヌクレオチド配列は、通常GABAレセプターまたはレセプタータンパク質の保存的または非常に相同的なヌクレオチド配列または領域に基づいている。プローブとして使用する核酸は、1箇所またはそれ以上で変性されている。変性オリゴヌクレオチドの使用は、ライブラリーが、その種での優先的コドン使用が既知でない種からスクリーニングされる点で、特に重要である。
【0054】
プローブを構築するのに好ましい領域は、5'および/または3'コード配列、リガンド結合部位をコードすることが予測される配列などを含む。例えば、本明細書に記載の完全長cDNAクローンまたはそのフラグメントをプローブとして使用できる。好ましくは、本発明の核酸はハイブリダイゼーション後、容易に検出するための適当な標識手段で標識されている。例えば、適当な標識手段は放射性標識である。DNAフラグメントの標識の好ましい方法は、当分野で既知のような、ランダムプライミング反応におけるα32P dATPの、DNAポリメラーゼによるクレノウフラグメントと一緒の挿入である。オリゴヌクレオチドは、通常γ32P−標識ATPおよびポリヌクレオチドキナーゼで末端標識されている。しかしながら、他の方法(例えば、非放射活性)も、フラグメントまたはオリゴヌクレオチドの標識に使用し得、例えば酵素標識、適当なフルオロフォアでの蛍光標識およびビオチニル化を含む。
【0055】
例えば、実質的に完全なGABAレセプターまたはレセプタータンパク質−コード配列または該DNAの一部に基づいた適当なオリゴヌクレオチドでのライブラリーのスクリーニング後、陽性クローンを、ハイブリダイゼーションシグナルの検出により同定する;同定クローンを制限酵素地図および/またはDNA配列分析で特徴付けし、続いて、例えば、本明細書に記載の配列との比較により試験し、それらが完全なGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を含むか否か(即ち、それらが翻訳開始および停止コドンを含むかどうか)を確認する。選択クローンが不完全である場合、それらは同じまたは異なるライブラリーの再スクリーニングに使用し得、重複クローンを得る。ライブラリーがゲノムである場合、重複クローンはエクソンおよびイントロンを含み得る。ライブラリーがcDNAライブラリーである場合、重複クローンは読み取り枠を含み得る。両方の場合、完全なクローンをDNAおよび本明細書に記載の推定アミノ酸配列との比較により同定し得る。
【0056】
内因性GABAレセプターまたはレセプタータンパク質の異常性の検出のために、遺伝子スクリーニングを、本発明のヌクレオチド配列をハイブリダイゼーションプローブとして使用して行い得る。また、本明細書に記載の核酸配列を基本にして、アンチセンス型治療剤を設計し得る。それの特定の引用として、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、先に定義のようなオリゴヌクレオチドプローブに基づいており、その定義の範囲内であることは特記すべきである。このようなオリゴヌクレオチドは、特にではあるが、唯一でなく、アンチセンス治療剤としての使用を意図する場合、例えば、非天然ヌクレオチドアナログの取りこみおよび天然オリゴヌクレオチドへの修飾により、オリゴヌクレオチドへの修飾を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドが置換骨格を、例えば、ホスホロチオエート、2'−O−メチル修飾のような修飾の形で含み得、またはペプチド核酸の形であり得る。
【0057】
本発明の核酸は、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド挿入またはヌクレオチド伸長の反転およびこれらの組み合わせにより容易に修飾できることは認識される。このような変異体は、例えば、本明細書に記載のまたは天然で見られるGABAレセプターまたはレセプタータンパク質配列と異なるアミノ酸配列を有する、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質変異体の製造に使用できる。変異誘発は、予定される(部位特異的)かまたは無作為である。沈黙変異以外の変異は、読み取り枠の外の配列に位置せず、好ましくはループまたはヘアピンのような2次mRNA構造を製造するためにハイブリダイズする相補的領域を製造しない。
【0058】
本発明の更に別の態様において、核酸はDNA分子であり、更にベクターにより形質転換された宿主により認識される制御配列に作動可能に結合したGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコピーする核酸を含む、複製可能ベクターを更に含む。本明細書で使用する限り、ベクター(またはプラスミド)は異種DNAを細胞内に、発現または複製のために挿入するために使用する不連続エレメントを意味する。このような媒体の選択および使用は、当業者には日常の事であり、例えば、Sambrook et al., (1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。多くのベクターが利用可能であり、適当なベクターの選択は、ベクターの意図される使用、即ち、DNA増幅またはDNA発現のどちらに使用するのか、ベクターに挿入するDNAのサイズおよびベクターで形質転換する宿主細胞に依存する。各ベクターは、その機能(DNAの増幅またはDNAの発現)に依存して種々の成分およびそれと適合する宿主を含む。ベクター成分は、一般に、一個またはそれ以上の下記のものを含むが、これらに限定されない:複製起源、一個またはそれ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、転写停止配列およびシグナル配列。
【0059】
有利には、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする真核発現ベクターは遺伝子座調節領域(LCR)を含む。LCRは、宿主細胞染色質に統合された導入遺伝子の高レベルの統合部位非依存的発現の指示が可能であり、これはGABAレセプターまたはレセプタータンパク質が、ベクターの染色質的統合が起こった永久トランスフェクト真核細胞系の状況で、遺伝子治療適用に設計されたベクター中で、またはトランスジェニック動物で発現される場合、特に重要である。
【0060】
酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物由来の有核細胞を含む真核宿主細胞での発現に適当なベクターは、また転写の停止のためにおよびmRNAの安定化のために必要な配列も含む。このような配列は、真核またはウイルスDNAまたはcDNAの5'および3'非翻訳領域から一般に利用可能である。
【0061】
更に、本発明はこのようなベクターで形質転換した宿主細胞および、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質−特異的核酸を、形質転換宿主細胞の培養中に発現させ、所望により、宿主細胞培養からGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を回収することを含む、このようなGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を製造するための、本発明のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする核酸の使用法を提供する。本発明の他の態様に従って、上記核酸を含む細胞が提供される。原核生物、酵母および高等真核細胞のようなこのような宿主細胞を、DNAの複製およびGABAレセプターまたはレセプタータンパク質の製造に使用し得る。適当な原核生物は、エシェリキア・コリ、例えばエシェリキア・コリK-12株DH5a、MC1061/P3およびHB101またはバチルス属のようなグラム陰性またはグラム陽性生物生物のような真正細菌を含む。GABAレセプタータンパク質コードベクターに適当な更なる宿主は、糸状菌または酵母、例えば、サッカロマイセス・セレビシアエを含む。高等真核細胞は、昆虫および脊椎動物細胞、特に哺乳類細胞を含む。近年、培養(組織培養)における脊椎動物細胞が慣用法になっている。有用な哺乳類宿主細胞系の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、NIH 3T3細胞、HeLa細胞またはHEK293細胞のような上皮または繊維芽細胞系である。宿主細胞は、本明細書で、インビトロ培養の細胞および宿主動物内の細胞を含むことを意味する。
【0062】
DNAは、Sambrook et al., 前掲またはAusubel et al., (1990) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc.に記載のような、当分野で既知の方法を使用して、安定に細胞内に包含されるか、または一過性に発現され得る。
【0063】
本発明のポリペプチドは、有利には全昆虫を含む昆虫細胞系中で発現できる。本発明の方法に使用するのに適した昆虫細胞系は、原則として、発現ベクターで形質転換され、それによりコードされる異種タンパク質を発現できる鱗翅目細胞を含む。特に、スポドプテラ・フルギペルダ細胞系IPBL-SF-21(Vaughn, et al., (1997) In Vitro, 13, 213-217)のようなSf細胞系の使用が好ましい。派生細胞系Sf9が特に好ましい。しかしながら、トリコプルシア・ニ368(KurstackおよびMarmorosch, (1976) Invertebrate Tissue Culture Applications in Medicine, Biology and Agriculture. Academic Press, New York, USA)のような他の細胞系も使用し得る。これらの細胞系および本発明での使用に適当な他の昆虫細胞系は、商品として入手可能である(例えば、Stratagene, La Jolla, CA, USAから)。
【0064】
本発明での使用に適当な発現ベクターは、昆虫細胞系で異種タンパク質の発現ができる全てのベクターを含む。一般に、哺乳類および他の真核細胞で有用なベクターは、昆虫細胞培養にも適用可能である。特に昆虫細胞培養を意図したバキュロウイルスベクターが特に好ましく、広く商品として入手可能である(例えば、InvitrogenおよびClontechから)。シンドビスウイルスのような昆虫細胞に感染できる他のウイルスベクターが既知である(Hahn et al., (1992) PNAS (USA) 89, 2679-2683)。選りすぐりのバキュロウイルス(Miller (1988) Ann. Rev. Microbiol. 42, 177-199にレビュー)は、オートグラファ・カルボルニカ多重核多核体病ウイルス、AcMNPVである。
【0065】
本発明の核酸および/またはタンパク質は、GABAレセプターの調節剤の可能性のある、従って、医薬の可能性のある化合物の混合物化合物のスクリーニング法に使用し得る。例えば、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする遺伝子で形質転換した細胞を、細胞ベースのスクリーニングアッセイに使用でき、試験する薬剤に対する細胞の応答を追跡する。反応は、レポーター遺伝子の活性化、測定可能な薬理学的または電子生理学的変化などの形であり得る。あるいは、本発明の精製GABAレセプターまたはレセプタータンパク質を、インビトロアッセイに使用し、GABAレセプター活性の調節剤をスクリーニングできる。
【0066】
同様に、GABAレセプター遺伝子の発現を調節でき、従ってGABAレセプター活性を調節できる化合物が、試験遺伝子(GABAレセプター遺伝子自体の一つであり得る)が通常GABAレセプター遺伝子に関連している制御配列に作動可能に結合している発現系を使用して、スクリーニングできる。
【0067】
本発明は、更に、このようなスクリーニングアッセイで同定された化合物および、前に例示したように、GABAレセプター調節により処置できる疾病の処置のためのこのような化合物の使用を含む。
【0068】
本発明の更に別の態様に従って、本発明のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質の一個またはそれ以上を特異的に認識し、結合する抗体が提供される。例えば、このような抗体は、配列番号2および8に記載のアミノ酸配列を有するGABAレセプターに対して製造できる。あるいは、配列番号4および6に記載のGABAレセプタータンパク質またはGABAレセプタータンパク質フラグメント(インビトロ法でもまた合成し得る)を、免疫原性ポリペプチドに融合させ(組換え発現またはインビトロペプチジル結合で)、次にこの融合タンパク質を使用して、GABAレセプタータンパク質エピトープに対して抗体を発生させる。
【0069】
抗−GABAレセプターまたはレセプタータンパク質抗体は、免疫化動物の血清から回収し得る。モノクローナル抗体を、慣用法で、免疫化動物由来の細胞から調製し得る。
【0070】
本発明の抗体は、GABAレセプタータンパク質局在化、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする核酸の同定のための発現ライブラリーのスクリーニングまたは機能的ドメインの構造の研究およびGABAレセプターまたはレセプタータンパク質の精製などに有用である。
【0071】
本発明の抗体は、IgEおよびIgM抗体のような天然クラスの全ての抗体であり得るが、好ましくはIgG抗体である。更に、本発明はFab、F(ab')、FvおよびScFvのような抗体フラグメントを含む。FvおよびScFvのような小さいフラグメントは、その小さいサイズおよびその結果の優れた組織分散のために、診断および治療適用の目的に有利である。
【0072】
本発明の抗体は、診断および治療適用に使用し得る。従って、それらは、毒素または標識のようなエフェクタータンパク質を含む変形抗体であり得る。特に好ましいのは、インビボでの抗体の分散の造影が可能な標識である。このような標識は、金属粒子のような放射活性標識またはラジオオパーク標識であり得、それらは生体内で容易に見ることができる。更に、それらは蛍光標識または生物から回収した組織サンプルで可視の他の標識であり得る。
【0073】
組換えDNA法を使用して、本発明の抗体を改善し得る。従って、キメラ抗体を、診断または治療適用におけるその免疫原性を減少させるために構築し得る。更に、免疫原性は、CDR移植により抗体をヒト化する[欧州特許出願0239400号(Winter)参照]ことにより、および所望によりフレームワーク修飾[欧州特許0239400号およびRiechmann et al., Nature 332, 323-327, 1988参照]により最小にし得る。
【0074】
本発明の抗体は、動物血清から得、もしくはモノクローナル抗体またはそのフラグメントの場合、細胞培養で製造し得る。組換えDNA法を使用して、確立された方法に従って、細菌または好ましくは哺乳類細胞培養で抗体を製造し得る。選択した細胞培養系は、好ましくは抗体生産物を分泌する。
【0075】
従って、本発明は、タンパク質をコードする第2のDNA配列に適当な枠内で結合した、シグナルペプチドをコードする第一のDNA配列に作動可能に結合したプロモーターを含む発現カセットを含むハイブリッドベクターで形質転換された、宿主、例えばエシェリキア・コリまたは哺乳類細胞を培養し、該タンパク質を単離することを含む、本発明の抗体の製造法を含む。
【0076】
本発明は更に、本発明のモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系に関する。本発明の好ましいハイブリドーマ細胞系は、遺伝的に安定であり、望ましい特異性の本発明のモノクローナル抗体を分泌し、融解および再クローニングにより急速冷凍した培養物から活性化できる。
【0077】
本発明はまた、適当な哺乳類、例えば、Balb/cマウスを精製GABAレセプターまたはレセプタータンパク質、精製GABAレセプターまたはレセプタータンパク質を含む抗原性担体、もしくはGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を有する細胞で免疫化し、免疫化動物の抗体産生細胞を適当な骨髄腫細胞系と融合させ、誘導で得られたハイブリッド細胞系をクローン化し、所望の抗体を分泌する細胞クローンを選択することを特徴とする、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質を指向するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系の製造法にも関する。例えば、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質を有する細胞で免疫化したBalb/cマウスの脾臓細胞を、骨髄腫細胞系PAIまたは骨髄腫細胞系Sp2/0-Ag14の細胞と融合させ、得られたハイブリッド細胞を所望の抗体の分泌についてスクリーニングし、陽性ハイブリドーマ細胞をクローン化する。
【0078】
本発明は、前記のようなGABAレセプターまたはレセプタータンパク質の細胞外ドメインを指向する抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードする挿入物を含む組換えDNAにも関する。定義に従って、このようなDNAはコード一本鎖DNA、上記コードDNAおよびその相補的DNAから成る二本鎖DNA、またはこれらの相補的(一本鎖)DNAそれ自体を含む。
【0079】
本発明はまた、内因性GABAレセプターまたはレセプタータンパク質の発現を調節するために修飾されているトランスジェニック非ヒト哺乳類を提供する。好ましくは、トランスジェニック非ヒト哺乳類はトランスジェニックマウスである。例えば、従って、当分野で既知の方法に従って、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質生産が非常に減少しているか除かれているトランスジェニックマウスを設計し得る(Mansour et al., Nature 336, 348-352, 1988)。あるいは、本発明のトランスジェニックマウスは、増加したレベルのGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を発現し得、または発生上または組織特異的方法で、または外来試薬による制御を介して、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質発現の制御をされ得る。このような動物の実験は、インビボでのGABAレセプターおよびレセプタータンパク質の重要性の洞察を提供する。
【実施例】
【0080】
本発明は、更に、下記に、説明のみの目的で、以下の実施例で記載する。
実施例1
リガンドCGP 64213の合成
COS細胞内で発現したGABAレセプターの可視化に使用する放射性リガンド[125I]CGP 64213は、スキーム1に従って、以下の試薬および条件を使用して合成する:
(1)NaH、THF、室温、3時間;5−ブロモバレロニトリル、室温、16時間;(2)ラネイニッケル、EtOH中4%NH、45℃、16時間;(3)N−エトキシ−カルボニルフタルイミド、NaCO、HO、CHCl、室温、5時間;(4)MeSiCl、EtOH、CHCl(1:9)、室温、17時間;(5)MeSiCl、EtN、THF、室温、17時間;(R)−エピクロロヒドリン、10mol% ZnCl THF、80℃、17時間;HOAC、MeOH、室温、17時間(6)i−PrEtN、EtOH、80℃、7日;(7)LiOH、EtOH、HO(1:1)、100℃、17時間;MeOH、HPO;(8)濃HCl、100℃、17時間;(9)i−PrEtN、DMF、室温、72時間;(10)Na125I、リン酸緩衝液pH7.4、H2O2、cat.ラクトペルオキシダーゼ、30分、RP−HPLC。
【0081】
Froestl, W., et al. J. Med. Chem. (1995), 38, 3297-3312に従って、ホスフィン酸とトリエチルオルト酢酸から、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル化合物による触媒下製造した(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィン酸エチル1を、5−ブロモバレロニトリルと縮合して油状シアノ誘導体2(沸点0.13mbarで164℃)を得、それを4%アンモニア含有エタノール中のラネイニッケルで水素化し、一級アミン3(沸点10−4mbarで150−160℃;クーゲルロー浴温度)を得る。3のアミノ基をフタルイミドとして保護し、4を得、それを次に非常に緩和な条件下でホスフィン酸部分で脱保護し、一置換ホスフィン酸エステル5を得る。トリメチルクロロシランとの反応で、5価ホスフィン酸エステル5を非常に反応性のシリル化ホスホナイトに変換し、それは(R)−エプクロリヒドリンと塩化亜鉛触媒下容易に反応し、クロロヒドリン7を得る。それ自体ラセミ体(3−シアノ−フェニル)−エチルアミンのN−アセチル−L−ロイシンによる1−(S)−(+)−(3−シアノフェニル)−エチルアミン(Pickard et al., J. Amer. Chem. Soc. (1990) 112, 5741-5747)を分離するための分割を介して製造する、1−(R)−(+)−(3−シアノフェニル)−エチルアミン8との縮合および残った母液の(−)−カンファン酸との処置、続く3回の結晶化により、芳香族ニトリル−エステル9を得、それを水酸化リチウムと加水分解してメタ−安息香酸誘導体10を得る。同時にホスフィン酸エチルエステルの加水分解が起こる。フタルイミド保護基を濃縮塩酸と一晩沸騰させることにより除去し、重要な中間体CGP 57604A([3−[1−(R)−[[3−(5−アミノペンチル)−ヒドロキシホスフィニル]−2−(S)−ヒドロキシプロピル]アミノ]−エチル]−安息香酸塩酸塩)を得る。これを商品として入手可能なN−ヒドロキシスクシンイミジル−3−(4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート11と、DMF中、ヒューニッヒの塩基を使用して反応させ、中間体12を得、それをヨウ化ナトリウム(125異性体)と、ヒドロペルオキシドおよび触媒量のラクトペルオキシダーゼを使用してヨウ素化し、放射標識リガンド[125I]CGP 64213を得る。
【0082】
【化3】


非標識CGP 64213をわずかに異なる方法で製造する:3−(4−ヒドロキシ−5−ヨードフェニル)プロピオン酸13を、3−(4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオン酸から、Runeberg, J., Acta Chem. Scand. (1958), 12, 188-91に従って製造する。N−ヒドロキシ−スクシンイミジル−3−(4−ヒドロキシ−5−ヨードフェニル)プロピオネート14(沸点:191−4℃)をスキーム2に従って製造し、収率は73%である。CGP 57604A(スキーム1)と14の、スキーム1の反応9のように行う室温で72時間のDMF中のヒューニッヒ塩基を使用した縮合により、非放射標識CGP 64213(沸点:170−5℃、アセトンから結晶化)を、53%の収率で得る。
【0083】
【化4】


試薬および条件:N−ヒドロキシスクシンイミド、DCC、ジオキサン、室温、16時間。
放射性リガンド[125I]CGP 64213の特徴付け:
ラット大脳皮質からのシナプス膜の調製
【0084】
約200gの体重の20匹の雄ラット[Tif:RAIf(SPF)]を使用する。動物を断首し、脳を取りだし、大脳皮質を切除して集め、10容量の、MgCl(1mM)およびKHPO(1mM)含有氷冷0.32スクロース中で、ガラス/テフロンホモジナイザーで均質化する。膜を1000×gで15分遠心し、ペレットを再懸濁して遠心を繰り返す。上清をプールし、20000×gで15分遠心する。ペレットを10容量のHOに再懸濁することにより浸透圧性に衝撃を与え、氷上に30分置く。この懸濁液を39000×gで遠心し、クレブス−ヘンゼライト緩衝液(20mMトリス、pH7.4、118mM NaCl、5.6mMグルコース、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO、4.7mM KCl、1.8mM CaCl)に再懸濁し、2日間、−20℃に保つ。膜を室温で融解し、3回クレブス−ヘンゼライト緩衝液で、20000×g、15分遠心することにより洗浄し、一晩4℃で放置し、再び3回洗浄する。最終ペレットを、20mlの同じ緩衝液中にガラス/テフロン均質化で再懸濁する。2mlのアリコートを凍結させ、液体窒素中に貯蔵する。使用直前に膜を37℃の水浴で急速に融解し、再び同じ緩衝液で3回20000×g、15分遠心することにより洗浄する。
【0085】
結合アッセイおよび放射性リガンドの特徴付け
新しい物質で2000Ci/mmolの特異的放射活性の[125I]CGP 64213とのインキュベーションを、0.2mlクレブス−ヘンゼライト−トリス緩衝液、pH7.4中で、20℃で90分、基質としての50μg皮質膜タンパク質と共に行う。インキュベーションをGF/Bワットマングラスファイバー濾紙での濾過により終結させる。非特異的結合を、10−6M CGP 54626Aにより定義し、それは2nM濃度で全結合の5%である。増加した濃度の[125I]CGP 64213および非直線最小2乗法フィッティングでの飽和実験により、2.66nMの解離定数Kを測定する。0.1nM[125I]CGP 64213の濃度での阻害実験で、L−バクロフェンは442nMの阻害定数Kiを示し、2.5nMのKiのアンタゴニストCGP 54626Aは、他のGABAレセプターアンタゴニスト放射性リガンドで得られたKiと良好に一致する。GABA、ベンゾジアゼピン、カイネート、AMPA、NMDAレセプターのアッセイで、ムスカリンコリン作動性、α−およびα−アドレナリン作動性、β−アドレナリン作動性、5HT、5HT、5HT、ヒスタミン、ヒスタミン、アデノシンμ−オピエートおよびサブスタンスPレセプターでのストリキニーネ非依存的結合部位で、非標識CGP 64213は、1μMで不活性である。本化合物は、従って、GABAレセプターに選択的である。[125I]CGP 64213の0.1nMの濃度で、結合および解離定数を測定する。結合の半減期は20℃で20分、および解離の半減期は40分である。解離の半減期は、温度を4℃に下げると4時間に延長する。この[125I]CGP 64213の遅い解離速度および高い特異的放射活性が、GABAレセプターの発現系としてのCOS細胞で結合しているレセプターのオートラジオグラフィー実験を可能にする。
【0086】
実施例2
光親和性リガンドの製造
ラット皮質膜由来のタグGABAレセプターおよびCOS細胞内で発現した組換えGABAレセプターを使用した光親和性リガンド[125I]CGP 71872をスキーム3に従って製造する:商品として入手可能なN−ヒドロキシ−スクシンイミジル−4−アジド−サリチレート15をCGP 57604Aと縮合し、中間体16を得、それを、クロラミンTを使用してヨウ化ナトリウム125アイソトープでヨウ素化し、5−ヨード誘導体[125I]CGP 71872および3−ヨード−誘導体[125I]CGP 72565の約1:1の混合物を得る。それらを、Vydac 218TP54カラムの逆相HPLC(保持時間:それぞれ16.4分および17.4分)で分離する。試薬および条件は下記の通りである:
(1)CGP 57604A(スキーム1)、i−PrEtN、DMF,室温、70時間;(2)Na125I、クロラミンT、0.01N NaOH、室温、1時間;RP−HPLC。
【0087】
【化5】

【0088】
非標識CGP 71872は異なる方法で製造する:N−ヒドロキシ−スクシンイミジル−4−アジド−5−ヨード−サリチレート17を4−アジドサリチル酸のヨウ素化および続くN−ヒドロキシ−スクシンイミドとの縮合を介して製造する(スキーム4)。17とCGP 57604Aとの縮合(スキーム1、反応9参照)は、57%の収率で、非放射活性CGP 71872を得る(融点:>190℃分解)。
【0089】
試薬および条件は下記の通りである:(1)(1)NaI、2N NaOH、クロラミンT、室温、88時間;(2)N−ヒドロキシスクシンイミド、DCC、ジオキサン、室温、16時間;
【0090】
【化6】

【0091】
光親和性リガンド[125I]CGP 71872の特徴付け
リガンドの結合アッセイおよび特徴付け
[125I]CGP 64213アッセイで記載したようにラット皮質膜を基質として使用する。新鮮な物質で特異的放射活性2000Ci/mmolである[125I]CGP 71872とのインキュベーションを、0.2mlクレブス−ヘンゼライト緩衝液、pH7.4中、20℃で90分、基質としての50μg膜タンパク質と共に行う。インキュベーションをGF/Cワットマングラスファイバー濾紙での濾過により停止させる。非特異的結合を10−6M CGP 54626Aで測定し、2nMの[125I]CGP 71872の濃度で、全結合の5%である。増加した濃度の[125I]CGP 71872および非直線最小2乗法フィッティングでの飽和実験により、3.1nMの解離定数Kと計算される。L−バクロフェンは阻害実験で、340nMのKiおよびアンタゴニストCGP 54626Aは3.1nMのKiを示す。非標識CGP 64213は、[125I]CGP 64213で記載したのと同じレセプターアッセイで1μMの濃度で不活性であり、従って、GABAレセプターにまた特異的であることが判明する。2nMの濃度および20℃で、結合の半減期は5分、解離の半減期は10分である。8℃での解離時間は長い。わずか25%の放射性リガンドが120分後に解離する。
【0092】
膜の光親和性標識
それぞれGABAR1aおよびGABAR1bラット−cDNAで一過性に形質転換したラット大脳皮質およびCOS1細胞由来の膜をクレブス−ヘンゼライト−トリス緩衝液、pH7.3に、4mgタンパク質/mlの濃度で懸濁し、暗中、0.6nM[125I]CGP 71872と1時間室温でインキュベーションする。インキュベーションを20000×g、10分、4℃の遠心により停止させる。この段階は、遊離非結合光親和性標識を除去する。これらの条件下で、使用した全放射活性の約50%がレセプターに結合した。ペレットをポリエチレンバイアルに4mgタンパク質/mlの濃度で再懸濁し、UV光(365nm)で3分(24W)照射する。懸濁液を20000×gで10分遠心し、緩衝液中に8mg/mlタンパク質の濃度で再懸濁する。過剰の非標識GABAレセプターアンタゴニスト(10−6M CGP 54626A)存在下で標識を行った時、放射活性は膜に結合しない。標識膜は−80℃で貯蔵できる。結果は図1aおよび1bに示す。
【0093】
加えて、皮質、小脳および脊髄細胞膜の[125I]CGP 71872光親和性標識を、上記に概説のように分析し、二つのGABAタンパク質変異体R1aおよびR1bが神経系で別々に発現することを確認する。小脳において、100Kタンパク質は130Kタンパク質より優勢であるが、一方脊髄では130Kタンパク質がより優勢である。皮質組織において、両方のタンパク質が同等に多い。GABAレセプターを欠くことが予測される肝臓および腎臓のような組織で、タンパク質は標識されず、従って、コントロールとして使用されている(図4a参照)。
【0094】
更に、天然GABAレセプターは、図4bに示す種々の競合物質存在下で光親和性標識される。GABA選択的リガンドムシモールおよびビククリンもGABAレセプターアゴニストシス−アミノクロトン酸(CACA)またはGABA取りこみシステム阻害剤SK&F89976A(Zuiderwijk, M., Veenstra, E., Lopes Da Silva, F. H. & Ghijsen, W. E. J. M. Effects of uptake carrier blockers SK&F89976-A and L-trans-PDC on in vivo release of amino acids in rat hippocampus. Eur. J. Pharmacol. 307, 275-282 (1996))も、放射性リガンド結合と明白には競合しない。対照的に、GABAレセプターアゴニストGABA、APPA(3−アミノプロピル−ホスフィン酸)およびL−バクロフェンは結合で[125I]CGP 71872と競合する。他の既知の基準として、L−バクロフェンはD−バクロフェンよりも強く競合する。GABAレセプターアンタゴニストCGP 54626A、CGP 35348および非放射活性光親和性リガンドがまた天然レセプターで[125I]CGP 71872の有効な置換剤である。試験した全リガンドに関して、130Kおよび100Kタンパク質で[125I]CGP 71872の置換に関して認識できる差異はなく、二つのレセプターの質的に同じ結合薬理学を示す。
【0095】
天然GABAレセプターは、N−グリコシダーゼFでの開裂後の、分子量のそれぞれ110Kおよび90Kへの減少により示されるように、N−グリコシル化されている(図4c)。分子量の明白なシフトはO−グリコシダーゼでの酵素処理後に検出されない(図4c)。130Kおよび100Kの光親和性標識タンパク質は、ゼブラダニオを含む分析した全ての脊椎動物から検出され(図4d)、二つのタンパク質およびそのアンタゴニスト結合部位が非常に保存的であることが示される。鳥類GABAレセプタータンパク質は他の種より有意に大きい分子量を示し、恐らくグリコシル化および/またはRNAスプライシングにおける差異を反映する。光親和性リガンドのタンパク質への結合がショウジョウバエDrosophila melanogasterおよび線虫類Haemonchus concortsで検出できない。
【0096】
実施例3
GABAアンタゴニストリガンドCGP 54626Aの合成:
置換実験で使用するリガンドCGP 54626Aをスキーム5に従って合成する:
【化7】


試薬および条件:(1)NaH、THF、室温、3時間;ブロモメチルシクロヘキサン、環流、24時間;(2)MeSiCl、EtOH、CHCl(1:9)、室温、24時間;(3)MeSiCl、EtN、THF、室温、24時間;(R)−エピクロロヒドリン、10mol%ZnCl THF、80℃、17時間;HOAc、MeOH、室温、17時間;(4)i−PrEtN、EtOH、80℃、7日;(5)濃HCl、100℃、24時間。
【0097】
Froestl et al., J. Med. Chem. (1995), 38, 3297-3312に従って、ホスフィン酸およびトリエチルオルト酢酸から、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル化合物による触媒下製造した(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィン酸エチル1を、ブロモメチルシクロヘキサンと縮合させ、油状誘導体18(沸点6×10−4mbarで85℃)を得、それを非常に緩和な条件下でホスフィン酸部分を脱保護し、一置換ホスフィン酸エステル19(沸点3×10−4mbarで50℃)を得る。トリメチルクロロシランとの反応で、5価ホスフィン酸エステル19を非常に反応性の3価エチルホスホナイトに変換させ、それは(R)−エピクロロヒドリン6と塩化亜鉛で触媒した時に容易に反応し、クロロヒドリン20を製造する。欧州特許EP543780A2に従ったラセミ体1−(3,4−ジクロロフェニル)−エチルアミンの(+)−マンデル酸での分割により製造した1−(S)−(−)−(3,4−ジクロロフェニル)−エチルアミン21との縮合により、ジアステレオ異性体の1:1混合物としての対応する二級アミン22を得、それを濃塩酸と沸騰させて加水分解し、CGP 54626Aを得る。
【0098】
[H]CGP 54626Aは、対応するCGP 54626Aの3,4−デヒドロ誘導体、即ち、CGP 54951Aを(1,1−ジエトキシエチル)ホスフィン酸エチル1を、3,4−デヒドロ−シクロヘキシルメチルブロミド(YadavおよびFallis, (1991) Can. J. Chem. 69, 779-789に従って製造)の縮合により製造し、それを非常に注意深く制御された条件下でトリチウム化し、[H]CGP 54626Aを製造する、同様の方法(スキーム6)で製造した。この化合物は、Bittiger et al., Pharmacol. Commun. (1992), 2, 23により特徴付けされた最初のGABAレセプターアンタゴニスト放射性リガンドである。
【0099】
【化8】


試薬および条件:(1)NaH、THF、室温、3時間;3,4−デヒドロブロモ−メチルシクロヘキサン、還流、24時間;(2)MeSiCl、EtOH、CHCl(1:9)、室温、24時間;(3)MeSiCl、EtN、THF、室温、24時間;(R)−エピクロロヒドリン、10mol% ZnCl THF、80℃、17時間;HOAc、MeOH、室温、17時間;(4)i−PrEtN、EtOH、80℃、4日;(5)LiOH、EtOH、HO、100℃、17時間;HCl、MeOH、室温、1時間;(6)、5%Pd/C、HCl、MeOH、pH=1、室温、15分、分取TLC。
【0100】
実施例4
インビトロ電気生理学的測定による、CGP 64213およびCGP 71872のGABAレセプターアンタゴニストとしての機能的活性の証明
実験は、雌ウィスターCOBラット(3−4週齢)または雄ラットTif:RAI f(SPF)から、標準法を使用して得た400μm厚の海馬薄片で行う。簡単に、ラットを断頭前に頸部脱臼させる。小脳を除いた脳をすぐに取りだし、氷冷人工脳脊髄液(ACSF)に入れる。海馬を注意深く単離し、組織チョッパー(Sorvall(登録商標))または振動スライサー(Campden)を使用して、横方向400μm厚切片を切断する。各切片のCA3領域を外科用メス切断で除去する。この方法を、CA3領域における癲癇様発作のために起こり得るネットワーク機能の変化を除くために行う。得られるCA3−切除切片を暖めた(32℃)インターフェースでナイロンメッシュに置き、ACSFおよび酸素に富む(95%O、5%CO)、加湿雰囲気を環流(1−2ml.分−1)する。標準環流培地は:NaCl、124;KCl、3;NaHCO、26;NaHPO、1.25;CaCl、2;MgSO、1;D−グルコース、10を含み(mM)、95%O、5%COであわ立たせる。アクソプローブまたはアクソクランプ−2増幅器(Axon Instruments, Foster City, CA, USA)をブリッジモードで使用し、4M NaCl−充電微小電極(2−5MΩ)を使用して、放線状層または多形細胞層から細胞外記録をする。細胞内記録は、2Mメチル硫酸カリウム微小電極(60−100MΩ)を使用して行う。デジタル化記録をオフライン分析のためにIBM−互換性PCのハードディスクに保存する。55μm直径の絶縁ニッケル−クロムワイヤーからなる2極性刺激電極を、放線状層または多形細胞層に置いた記録電極の近くに置き、CA1ニューロンの順方向モノシナプス性活性化を提供する(Davies et al., (1990) Journal of Physiology 424:513)。各実験において、刺激は固定強度で相同シナプス的に送達される方形波パルス(20−200μs;5−30V)を含む。全ての医薬は、環流媒体で投与する。データは平均±平均からの標準誤差(S.E.M.)で示し、統計的有意をスチューデンドのt検定を使用して評価する。n価は特定の実験を行った数であり、それぞれ異なるラットから取った異なる切片である。
GABAオートレセプター
【0101】
電場EPSPの対のパルス拡大を、CGP 71872およびCGP 64213のGABAオートレセプターへの効果の追跡に使用する。対のパルス拡大は、二つの刺激が5−10Hz(刺激間間隔100−200ms)で伝達される時;全ての場合、2次電場EPSPの促進よりむしろ減少をもたらす、GABAヘテロレセプターを活性化するのに十分なGABAを遊離しない刺激プロトコールに起こる。これはまたシナプス後GABAレセプターと無関係である(Nathan et al. (1991) Exp. Brain Res. 84(3) 529-537)。しかしながら、阻害GABAレセプター介在IPSPにより妨げられ、GABAレセプターアンタゴニストにより、GABAオートレセプターを阻害するのに必要な濃度で阻害される(Nathan et al. (1990), Brain Research 531, 55-65)。(これらの濃度は、錐体ニューロンおよび阻害介在ニューロンの両方でシナプス後GABAレセプターを阻害するのに必要な濃度よりも3−10倍高く、これらのレセプターの効果を妨げること注意すべきである)。電場EPSP(fEPSP)の対のパルス拡大はGABAオートレセプター活性の感受性測定である。本試験システムで有効である化合物は今までなく、GABAオートレセプター活性のアッセイ、例えば、対のパルスまたは(−)−バクロフェン−誘導IPSCの減少でもない。
【0102】
200msの刺激間間隔での対のパルス刺激は、第1のEPSPと比べて第2のEPSPの一貫した拡大をもたらす。従って、第2のfEPSPの曲線下面積は、第1のfEPSPの、それぞれ247±17%(CGP 64213シリーズの実験)および241±21%(CGP 71872シリーズの実験)である。CGP 64213(0.3μM;n=5)およびCGP 71872(1μM;n=3)の存在下、このEPSPの対のパルス拡大はなくなり、これらの化合物のGABAオートレセプターのアンタゴニストとしての効力を示す。
GABAヘテロレセプター
【0103】
CGP 71872の、(−)−バクロフェンの電解槽投与により誘発される電場EPSPの減少における効果を、グルタメート求心性末端に位置するGABAヘテロレセプターへのこの化合物の効果のアッセイとして使用する。しかしながら、これらの条件下で、(−)−バクロフェンは、GABAヘテロレセプターに加えて、他のGABAレセプターの集団(例えば、GABAオートレセプターおよびシナプス後GABAレセプター)を活性化し、これらのレセプターの活性化は、電場EPSPのサイズを減少よりもむしろ増加させる傾向にある。それ自体、この方法はGABAヘテロレセプターでの活性化の妥当な測定である。この方法は、ヘテロレセプターの活性化に生理学的に遊離されたGABAに依存していないため、Isaacson et al. (1993) Neuron 332:156-158で使用されるGABAヘテロレセプターの活性化よりもより信頼でき、定量的により再現性のある方法を提供する。この後者の方法は、ヘテロレセプターが異なる調製物調整物でさらされるシナプス的に遊離されるGABAの異なる濃度;GABAのレベルに依存するパラメータ、遊離部位とヘテロレセプターの間の距離、およびGABA取りこみ部位の効果のため、本質的に可変である。しかしながら、今日まで、GABAヘテロレセプターを実験するためのこれらの二つの方法を使用して得られた結果の間で、試験された化合物で矛盾は証明されていないことに注目するのは重要である。
【0104】
(−)−バクロフェン(10μM)は、放線状層で記録された電場EPSP(コントロールの100±1%;P>0.05)のシナプス前繊維斉射で明白な効果を有しないが、増幅された電場EPSPスロープおよびピークを、それぞれ65±6%および76±9%(n=10)に減少させる。最大減少は、5−10分環流後に得られ、このレベルをアゴニスト適用の継続時間中持続する。CGP 71872(1μM)の環流媒体への添加は、試験した全ての実験で減少を逆転させる(n=6;P<0.05)。同様の結果が、多形細胞層(n=3)で記録された電場EPSPで観察される、脳スライスにおいて、CGP 71872は、放線状層(n=4;P>0.05)または多形細胞層(n=3)で記録された電場EPSPピーク増幅、スロープまたはシナプス前繊維斉射(volley)に有意な作用を及ぼさない。
【0105】
シナプス後GABAレセプター
CGP 71872の薬理学的に単離された遅延IPSPへの作用を、CA1錐体ニューロンに位置するシナプス後GABAレセプターへのCGP 71872の作用を評価する試験システムとして使用する。IPSPがGABAレセプターのシナプス活性化により介在されることを示すかなりの文献がある(Froestl et al. (1995) 前掲;Jarolimek et al. (1993) Neurosci. Lett. 154:31-34;Olpe et al. (1990) Clim. Neuropharmacol. 13 Suppl. 2;396;McCormick, (1990) J. Neurophysiol. 62/5:1018;Lambert et al. (1989) Neurosci. Lett. 107:125-128;Soltesz et al. (1989) Brain Research 479:49-55;MullerおよびMisgeld, (1989) Neurosci. Lett. 102:229-234;DutarおよびNicoll (1988) Nature 322:156-8;Karlsson, PozzaおよびOlpe (1988) Eur. J. Pharmacol. 148:485-486)。加えて、この方法は、過去に何回も使用されており、得られたデータは常に(−)−バクロフェン−誘導過分極の拮抗作用;シナプス後GABAレセプターでの活性のアッセイとしてまた採用される実験により得られたものと一致する。
【0106】
CGP 71872での効果を、向イオン性興奮性アミノ酸アンタゴニストD−2−アミノ−5−ホスホノペンタノエート(AP5;50μM)および6−シアノ−7−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン(CNQX;20μM)およびGABAレセプターアンタゴニストピクロトキシン(50μM)の組み合わせを使用して単離した、単一シナプス活性化GABAレセプター介在遅延IPSPで試験する。全ての試験したニューロンで、CGP 71872(1μM)は遅延IPSP(n=6)を除き、この化合物がシナプス後GABAレセプターのアンタゴニストであることを示す。
【0107】
実施例5
cDNAライブラリー構築
RNAを、Chomczynski, P. & Sacchi, N. (1987) Anal. Biochem. 162, 156-159に従って、7日齢ラットの皮質および小脳から精製する。ポリA(+)RNAを、記載(Maniatis, T., Fritsch, E. F. & Sambrook, J. (1982) Molecular cloning:A laboratory manual (Cold Spring Harbor Lab., Cold Spring Harbor, NY)に記載のように、オリゴ(dT)カラム(Boehringer Mannheim)を2回通過させて富化する。オリゴ(dT)刺激された二本鎖cDNAを、商品cDNA合成システム(Amersham)を使用して、5μgのポリA(+)RNAから合成する。キットに供給されている逆転写酵素は、RNAseH(-)SuperscriptII逆転写酵素(Gibco BRL)と置きかえる。cDNA溶液をtRNAで予備吸着したCentricon-100装置(Amicon)で濃縮し、最終量100μlとする。小cDNAをChromaspin-1000カラム(Clontech)を通して除去する。BstXIアダプター(Invitrogen)をT4 DNAリガーゼ(Boehringer Mannheim)を使用して添加し、cDNAをアガロースゲルでサイズ分画する。2kbより大きいサイズのcDNAを精製(Qiaex, Qiagen)し、発現ベクターpcDNAI(Invitrogen)のBstXI部位にライゲートする。ライゲーション混合物のアリコートで、エレクトロコンピテントMC1061/P3エシェリキア・コリ細胞を形質転換(BioRad Gene Pulser II)する。ライブラリーの複雑さを2×10の個々のクローンで概算する。48クローンの分析から推測される平均挿入サイズは、2.9kb(2.0kbから6.6kbのサイズの範囲)である。
【0108】
COS1細胞のトランスフェクションのためのプラスミドは、cDNA形質転換の最初の回の後に得た細菌コロニーから単離する。簡単に、cDNAライブラリーのアリコートでエレクトロコンピテントMC1061/P3エシェリキア・コリ細胞を形質転換し、寒天プレートで平板培養することにより力価測定する。cDNAライブラリーを約2000コロニーのプールに分け、9cmの寒天プレートで平板培養し、一晩37℃で生育させる。細菌をプレートから掻き出し、プラスミドDNAをイオン交換カラム(Qiawell, Qiagen)を使用して製造する。
【0109】
実施例6
COS細胞のcDNAでのトランスフェクション
COS1細胞をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から得、10%ウシ胎児血清(FCS)および15μg/mlゲンタマイシン(Gibco BRL)を添加したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)で、5%COの加湿雰囲気下で生育させる。
【0110】
個々の細菌コロニーのプール由来のプラスミドDNAを、標準DEAE−デキストラントランスフェクション法の変法を使用して、COS1細胞内に挿入する。簡単に、トランスフェクション1日前に、7.5×10細胞を、9cm皿に撒く。翌日、培地を除き、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS錠、Gibco BRL)10ml中で15分インキュベートする。その後、PBSを除き、PBS中の1mg/ml DEAE−デキストラン(Pharmacia)4mlを皿に添加する。9分、室温でインキュベーション後、細胞を2回それぞれ5mlのPBSで洗浄する。PBSを吸引し、540μl PBS中の4μgプラスミドDNA(2000の個々の細菌コロニーのプール由来)を更に添加し、DNAと30分、37℃で時々揺らしながらインキュベーションする。続いて、10%NU−血清(Collaboratorive Research)および80μMクロロキン(Sigma)添加DMEM培地4mlを添加する。4時間、37℃でインキュベーション後、培地を除去し、細胞をPBS中の10%(v/v)ジメチルスルフオキシド(Merck)中で2分インキュベートする。細胞をPBSですすぎ、細胞培養培地を培養皿に添加し、細胞を更に2から3日生育させる。
【0111】
実施例7
リガンド結合アッセイによるGABAレセプタークローンの同定
DNAのプール(各2000の個々のコロニー)を、COS1細胞の一過性形質転換後に、ヨウ素化CGP 64213(特異的活性2000Ci/mmol)での放射性リガンド結合アッセイを使用して、GABAレセプター発現に関して分析する。
【0112】
トランスフェクトしたCOS1細胞の培養皿を氷上に置き、2回、各5mlのクレブス−ヘンゼライト−トリス緩衝液(20mMトリス−Cl、pH7.4、118mM NaCl、5.6mMグルコース、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO、4.7mM KCl、1.8CaCl)で洗浄する。その後、細胞を、クレブス−トリス緩衝液中で0.2nMの125I−CGP 64213と共にインキュベートする(1ml溶液/9cm皿)。80分、室温でインキュベーション後、皿を氷で冷やし、2回、5分、氷冷クレブス−トリス緩衝液5mlで洗浄する。続いて、皿をファンを使用して空気乾燥し、プレートの壁を除去する。オートラジオグラフィーのために、プレートの皿を、補力するスクリーンと共に、コダックX-OMAT ARフィルムに、2から3週間、−80℃でさらす。
【0113】
上記cDNAライブラリーからの全640,000の個々のクローン(320の別々のプール)をスクリーニングする。一つのプールはリガンド結合アッセイにおいて陽性シグナルを発生する。このプールからのプラスミドDNAでエレクトロコンピテントMC1061/P3細胞を再形質転換する。各500コロニー由来の10プラスミドプールを製造し、その二つは結合アッセイの再スクリーニングで陽性である。二つのプールの一つの4回連続細分後(SIB選択;McCormick, M. (1987) Methods Enzymol. 151, 445-449)、4376bp挿入を含む一つのcDNAクローンを同定する。最初の同定したcDNAクローンは、本来F4と読んでいたが、GABAR1a(配列番号1)と命名する。このcDNAクローンは、108kDaの計算される分子量の推定される960アミノ酸のタンパク質をコードする読み取り枠を包含する(配列番号2)。von Heijne(von Heijne, G. (1986) Nucl. Acids. Res. 14, 4686-4691)に従って、最初の16アミノ酸は高い可能性で、成熟タンパク質では欠失するシグナルペプチドをコードする。予測される成熟タンパク質の計算される分子量は106kDaである。推定されるタンパク質のKyteおよびDolittle(1982) J. Mol. Biol. 157, 105-132のアルゴリズムでの、University of Wisconsin Genetics Computer Group (Devereux, et al., (1984) Nucl. Acids. Res. 12, 387-395)の配列分析プログラムを使用した疎水性分析は、G−タンパク質に結合する細胞表面レセプターで予期されるように、数個の膜スパンニング領域を予測する。推定のN−グリコシル化部位は、配列番号2に記載の予測される成熟タンパク質のアミノ酸位置7、67、392、423、465、485、497および614に見られる。
【0114】
実施例8
クローン化GABAレセプターのアッセイ
クローン化GABAレセプターを含む膜を単離するために、GABAレセプター−発現COS細胞を含む培養皿を2回クレブス−ヘンゼライト−トリス緩衝液で洗浄する。その後、細胞を皿から掻き出し、ガラス−ガラスホモジナイザーで均質化し、30分、4℃で40,000gで遠心する。均質化および遠心段階をもう一回繰り返す。ペレットを緩衝液に再懸濁し、更に分析するまで液体窒素中に貯蔵する。
【0115】
GABAレセプターcDNAでトランスフェクトしたCOS1細胞由来の膜(脳組織から同様の方法で得た膜を対照として使用する)をクレブス−ヘンゼライト−トリス緩衝液に約1mg/mlの濃度で懸濁する。膜を次いで暗所で、0.6nM 125I−CGP 71872と、1時間室温でインキュベーションする。コントロール実験は、1μMのGABAレセプター特異的アンタゴニストである非標識CGP 54626Aを含む。インキュベーションを20,000g、10分、4℃での遠心により停止する。ペレットを一度緩衝液で洗浄し、非結合物を結合光親和性標識から除去する。ペレットを緩衝液に再懸濁し、UV光(365nm、24W)で3分照射する。懸濁液を再び遠心(20分、40,000g)する。ペレットを緩衝液で洗浄し、SDSサンプル緩衝液に溶解し、6%SDSゲルで、Laemmli, U. K. (1970) Nature 227, 680-685に従って分離する。ゲルを乾燥させ、補力スクリーンと共に、Dupont Reflection NEF-495X線フィルムに一晩さらす。4,376bp cDNAクローンから発現されたタンパク質は、約120kDaの見かけの分子量を有する(図1)。組換えGABAレセプターの見かけの分子量は、SDS−PAGE標準(BioRad)に対するゲル移動性から概算する。
【0116】
COS1細胞で発現されたGABAR1aレセプターの結合薬理学は、ラット大脳皮質膜の天然GABAレセプターの結合薬理学と同等である。この目的のために、放射性リガンド[125I]CGP 64213の結合特性ならびにこの結合の選択的GABAレセプターアンタゴニストおよびアゴニストでの阻害を比較する。COS細胞で発現されたGABAR1aレセプターの解離定数Kは1.85nMと決定する。皮質膜で発現されたGABAレセプターのKは2.7nMであり、従って組換えレセプターで得られたのと類似の値である。GABAレセプターアンタゴニストCGP 54626A(Froestl et al., (1992) Pharmacol. Communicaitons 2, 52-56)、CGP 71872、CGP 64213およびCGP 35348(Froestl et al., 1992)のIC50値(表1)および阻害曲線の傾斜は、組換えおよび天然レセプターで非常に類似である。アゴニストGABA、L−バクロフェンおよびCGP 27492(アミノホスホン酸、APPA)の親和性の順番は、組換えおよび天然レセプターで同じであるが、アゴニスト親和性は組換えGABAR1aレセプターで常に有意に低い(図3、表1)。GTPまたはその安定アナログGpp(NH)pは天然GABAレセプターでのアゴニスト親和性を、そのG−タンパク質からのレセプターの解離により減少させる(Hill et al., (1984) J. Neurochem. 42, 652-657)。従って、アゴニストの組換えレセプターでの低い親和性は、COS細胞内で、脳細胞内で通常GABAレセプターに結合しているG−タンパク質が利用できないという事実を反映する。我々は、ラット皮質GABAレセプターに関して、L−バクロフェンのIC50値は、300μM Gpp(NH)p存在下で170nMから10μMにシフトすることを測定している。従って、天然GABAレセプターからのG−タンパク質の解離は、COS細胞で発現された組換えGABAR1aレセプターで得られた34μMと同等のIC50値をもたらす。結論として、組換えGABAR1aレセプターは、ラット皮質由来の天然GABAレセプターと同様の結合薬理学を示す。
【0117】
表1. 天然および組換えGABAレセプターの結合薬理学
【表1】

【0118】
実施例9
関連遺伝子をクローンするためのGABAR1aレセプターの使用
単離したラットGABAR1a−レセプター(配列番号1)は、更なるGABA−レセプター遺伝子ファミリーのcDNA、遺伝子およびタンパク質の同定および単離のためのプローブとして有用である。例えばヒトのような他の種におけるGABA−レセプター遺伝子ファミリーのcDNA、遺伝子およびタンパク質の同定および単離にもまた有用である。
【0119】
更なるラットクローン(GABAR1bと呼ぶ)およびヒトGABAレセプタークローンを単離するために、上記ラットライブラリーおよびヒト胎児脳cDNAライブラリー(Clontech, Palo Alto, カタログ番号HL3025s)をGABAR1a cDNAと、適当なハイブリダイゼーション条件下で交差ハイブリダイズさせる。ヒトライブラリーは、発現ベクターpcDNAIに挿入された、1.2×10の個々のcDNAクローンを含む単方向オリゴ(dT)−刺激ライブラリーである。プラスミドライブラリーをコロニーハイブリダイゼーションによりスクリーニングする方法は、Sambrook et al. (1989)に記載されている。使用するハイブリダイゼーションプローブは、GABAR1a cDNA(配列番号1)の塩基1931から3264に対応する32P−標識1.3kb PvuII/ScaIフラグメントである。ハイブリダイゼーションは、0.5M NaHPO(pH7.2)、7%SDS、1mM EDTA中、60℃で一晩であった。続く洗浄段階は、1時間、0.5×SSC、0.1%SDSで55℃(ラットライブラリー)または2×SSC、0.1%SDSで50℃(ヒトライブラリー)の最終強度である。コダックX OMAT ARフィルムを一晩膜に、補力スクリーンと共に−80℃でさらす。X線フィルムを、細菌コロニーを含む寒天プレートに並べ、交差ハイブリダイズcDNAクローンを含むコロニーを単離する。細菌を寒天皿で再平板培養し、コロニーハイブリダイゼーションスクリーニングを2回繰り返す。得られた個々のコロニーをサザンブロットハイブリダイゼーションで分析する。選択したcDNAコロニーを配列決定により分析し、ラットGABAR1bの2.9kbcDNAを特徴付ける(配列番号5参照)。このcDNAは844アミノ酸のタンパク質をコードする(配列番号6参照)。この成熟GABAR1bはN−末端147アミノ酸残基が18の異なる残基に置換されていることにより、前記GABAR1aと異なる。恐らく、これらの二つのGABAレセプター変異体は、選択的スプライシングにより同じ遺伝子から由来する。ヒトライブラリースクリーニングで陽性のこれらのクローンをまた配列決定で分析し、793アミノ酸残基(配列番号4)のレセプタータンパク質をコードする部分的配列を有するGABAR1a/b(配列番号3参照)と名付けた一つのクローンならびに、アミノ酸(配列番号8)を有するヒトGABAレセプターをコードする完全長cDNAを示すGABAR1bヒト(配列番号7参照)と名付けた他のクローンを明らかにする。
【0120】
実施例10
HEK293細胞で安定に発現されるGABAレセプターは、アデニレートシクラーゼに陰性に結合する
GABAレセプターは、アデニレートシクラーゼを阻害し、ホスホリパーゼAを刺激し、K−チャンネルを活性化し、ボルト数依存的Ca2+−チャンネルを不活性化し、イノシトールリン脂質加水分解を調節すると記載されている。GABAR1aおよび−bは細胞内と予期される全てのドメインで同一の配列を有するため、同じエフェクターシステムに結合すると予期される。ラット皮質切片調製物を使用して、L−バクロフェンはホルスコリン−刺激cAMP蓄積を約40%まで減少させることが示されている。HEK293細胞で安定に発現されているGABAR1aがホルスコリン−刺激cAMP蓄積を減少させる能力を分析する(図5)。我々は、最大効果を製造するホルスコリンおよびL−バクロフェンの濃度を選択した。ホルスコリンはHEL293細胞内でcAMPレベルを基底レベルの10倍以上まで刺激する。組換え発現GABAレセプターの300μM L−バクロフェンとの共投与による刺激は、ホルスコリン刺激cAMP蓄積を約30%まで減少させる。この阻害は、GABAレセプターアンタゴニストであるCGP 54626Aにより拮抗される。アデニレートシクラーゼ活性のGABAR1aによる調節は、百日咳毒素に感受性であり、Gを欠失するKEK293細胞で、GABAR1aがGに結合することを示す。コントロールとして、L−バクロフェンはホルスコリン−刺激cAMP形成を非トランスフェクトHEK293細胞で阻害しない(図5)。
【0121】
寄託データ
ラット由来のGABAレセプタークローンGABAR1aは、ブタペスト条約に基づいて、ドイツ、デー−38124ブラウンシュヴァイク、マシェローダーヴェーク1ベー番のドイッチェ・サムルング・フォン・ミクロオルファニズメン・ウント・ゼルクルツレン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(DSMZ)に、1996年5月17日に、受託番号DSM10689で寄託した。
ラット由来のGABAレセプタークローンGABAR1bおよびヒト源由来のGABAR1bは、ブタペスト条約に基づいて、ドイツ、デー−38124ブラウンシュヴァイク、マシェローダーヴェーク1ベー番のドイッチェ・サムルング・フォン・ミクロオルファニズメン・ウント・ゼルクルツレン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(DSMZ)に、1997年2月21日に、それぞれ受託番号DSM11422および11421でで寄託した。
【0122】
【表2】


【表3】


【表4】


【表5】

【0123】

【表6】


【表7】


【表8】


【表9】

【表10】

【0124】
【表11】


【表12】


【表13】


【表14】

【0125】

【表15】


【表16】


【表17】


【表18】


【表19】


【表20】

【0126】

【表21】


【表22】


【表23】


【表24】


【表25】

【0127】
【表26】


【表27】


【表28】


【表29】


【表30】

【0128】
【表31】


【表32】


【表33】


【表34】


【表35】

【0129】
【表36】


【表37】


【表38】


【表39】


【表40】

【0130】
【表41】

【表42】


【表43】


【表44】

【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】図1aは、COS1細胞での組換えGABAR1aの発現を記載する。ラット皮質膜(レーン1)およびGABAR1aラットcDNAでトランスフェクトしたCOS1細胞(レーン2および3)由来の膜を光親和性リガンド[125I]CGP 71872で標識する。レーン当たり25μgタンパク質を充填した6%SDSゲルのオートラジオグラフィ−を示す。レーン1および2:0.6nM[125I]CGP 71872の特異的結合。レーン3:0.6nM[125I]CGP 71872での特定の結合が、1μMの非標識CGP 54626A(GABAレセプター特異的アンタゴニスト)と競合する、対照実験。天然および組換えGABAレセプターの見かけの分子量は、SDS−PAGE標準(BioRad)と比較して、ゲル移動性で概算した。図1bは更にGABAR1bラットーcDNAでトランスフェクトしたCOS1細胞の結果を示す(レーン3)。
【図2】図2はラット大脳皮質由来の膜のGABAレセプター(白抜き)およびCOS1細胞由来の組換えGABAR1aレセプター(黒塗り)に結合する[125I]CGP 64213の、GABAレセプターアンタゴニストCGP 54626A(●)、CGP 64213(▲)およびCGP 35348(■)による阻害を示す。
【図3】図3はラット大脳皮質由来の膜のGABAレセプター(白抜き)およびCOS1細胞由来の組換えGABAR1aレセプター(黒塗り)に結合する[125I]CGP 64213の、GABAレセプターアゴニストGABA(●)、L−バクロフェン(▲)およびAPPA3−(アミノプロピル−ホスフィン酸)(■)による阻害を示す。
【図4】図4は、GABAレセプタータンパク質の光親和性架橋を示す。示す組織の細胞膜は、[125I]CGP 71872で光親和性標識し、SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィ−に付す。a、bは光親和性リガンド[125I]CGP 71872の選択性。aは神経系の組織の130Kおよび100KのGABAレセプター変異体の異なる分散。[125I]CGP 71872結合は選択的GABAレセプターアンタゴニストであるCGP 54626A 1μMの添加により開始する。bは異なるリガンドで標識した[125I]CGP 71872の競合。膜抽出物の光親和性リガンドとのインキュベーションは、示す濃度での競合物質の存在下で行う。cはGABAレセプターはN−グリコシル化である。光親和性標識ラット皮質細胞膜を0.4単位のN−グリコシダーゼFまたは0.6ミリ単位のO−グリコシダーゼ(Boehringer Mannheim)とインキュベートする。dは異なる種由来のGABAレセプターの光標識。示す種由来の脳組織は、下記のように標識する。Drosophila melanogasterおよびHaemonchus concortusの場合、全動物を分析する。
【図5】図5は天然および組換えGABAレセプターの薬理学的特性に関するアッセイの結果を示す。GABAR1aはアデニレートシクラーゼの阻害を介在する。安定にGABAR1aを発現するHEK293細胞をホルスコリン(Fsk)20μMで処理し、cAMP形成を刺激する(100%)。Fsk誘導cAMP蓄積は、300μM L−バクロフェンの同時添加により有意(2P<0.001;デュネットのt検定)に減少する。L−バクロフェンの作用は10μM CGP 54626A存在下で拮抗する。百日咳毒素(PTX)10ng/mlとの細胞の15−20時間の予備インキュベーションは、L−バクロフェンの作用を完全になくす。L−バクロフェン反応は、非トランスフェクトHEK293細胞では観察されない(挿入)。棒は、4回行った実験の少なくとも個々の3回の平均値±S.E.M.を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号1のヌクレオチド182位から3061位;配列番号3のヌクレオチド1位から2379位;配列番号5のヌクレオチド228位から2759位;または配列番号7のヌクレオチド169位から2700位に記載の核酸配列を含む核酸配列のいずれかにより;
(b)受託番号DSM10689、DMS11421およびDSM11422でDSMZに寄託されたクローンから成る群から選択される核酸クローンにより;または
(c)配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7のポリヌクレオチドと中位のストリンジェンシー条件下(ここで、中位のストリンジェンシー条件は、60−62℃で、1×SSC、0.1%SDSでの洗浄段階で終わる)でハイブリダイズする核酸配列のいずれかにより;
コードされる、単離されたGABAレセプターまたはレセプタータンパク質。
【請求項2】
式Iまたは式II:
【化1】

の選択的GABAレセプターアンタゴニストの少なくとも一つに特異的結合できる、請求項1記載のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質。
【請求項3】
ヒトGABAレセプターまたはレセプタータンパク質である、請求項1記載のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質。
【請求項4】
アミノ酸配列が配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8と30%を超える相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1記載のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質。
【請求項5】
配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1記載のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質。
【請求項6】
配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むGABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする、単離核酸。
【請求項7】
核酸配列が配列番号1のヌクレオチド182位から3061位;配列番号3のヌクレオチド1位から2379位;配列番号5のヌクレオチド228位から2759位;または配列番号7のヌクレオチド169位から2700位に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項6記載の単離核酸。
【請求項8】
核酸配列が受託番号DSM10689、DMS11421およびDSM11422でDSMZに寄託されたクローンから成る群から選択される核酸クローンによりコードされる、請求項6記載の単離核酸。
【請求項9】
配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7を含む核酸配列のいずれか一つと中位のストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシー条件下(ここで、中位のストリンジェンシー条件は、60−62℃で、1×SSC、0.1%SDSでの洗浄で終わり、高ストリンジェンシー条件は65−68℃で、0.2−1×SSC、0.1%SDSでの洗浄で終わる)でハイブリダイズできる、核酸プローブ(ただし、EMBL受託番号X90542の核酸プローブを除く)。
【請求項10】
核酸プローブが請求項9に記載の核酸配列に関してアンチセンス核酸配列を有する、請求項9記載の核酸プローブ。
【請求項11】
配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8に記載のレセプターまたはレセプタータンパク質に対して発生させた、抗体。
【請求項12】
モノクローナル、ポリクローナルまたはキメラ抗体である、請求項11記載の抗体。
【請求項13】
Fab、F(ab')、FvまたはScFvフラグメントである、請求項11記載の抗体。
【請求項14】
制御配列に作動可能に結合した請求項6記載の核酸から成るコード配列を含む、複製可能核酸ベクター。
【請求項15】
請求項14記載のベクターで形質転換した宿主細胞。
【請求項16】
請求項1記載のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を含む、トランスジェニック非ヒト動物細胞(ただし、該トランスジェニック非ヒト動物細胞は請求項1記載のGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を内因性に発現しない)。
【請求項17】
GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする可能性のあるcDNA分子をコードする発現ライブラリーを製造し;
GABAレセプターまたはレセプタータンパク質と結合できる特異的リガンドで発現ライブラリーをスクリーニングする段階を含み、ここで、該特異的リガンドが式I
【化2】

の化合物または式II
【化3】

の化合物である、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする核酸の同定法。
【請求項18】
(a)GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする可能性のあるcDNAまたはゲノムDNA分子をコードする発現ライブラリーの製造;
(b)請求項10に記載の核酸プローブとのハイブリダイズによる発現ライブラリーのスクリーニング;および
(c)プローブとハイブリダイズする核酸分子の同定:
の段階を含む、GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする核酸の同定法。
【請求項19】
組換えGABAレセプターまたはレセプタータンパク質を含む試験システムの調製;
化合物または化合物の混合物への試験システムの暴露;
試験システムで測定してGABAレセプター活性の調節をもたらす化合物または化合物の混合物の同定:
の段階を含む、GABAレセプター活性の調節剤の可能性のある化合物または化合物の混合物のスクリーニング法。
【請求項20】
通常GABAレセプターまたはレセプタータンパク質をコードする遺伝子と結合している制御配列と作動可能に結合した試験遺伝子を含む発現系の提供;
試験遺伝子の発現のレベルの変化をもたらす化合物の同定:
の段階を含む、GABAレセプター発現の調節剤の可能性のある化合物または化合物の混合物のスクリーニング法。
【請求項21】
請求項2記載の式Iまたは式IIの選択的GABAレセプターアンタゴニスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−113662(P2008−113662A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291036(P2007−291036)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【分割の表示】特願平10−500118の分割
【原出願日】平成9年3月19日(1997.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】