説明

会議システム、会議システムの制御方法、及びプログラム

【課題】会議参加者同士の視線を容易に一致させることが可能な会議システム、会議システムの制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置3は、プロジェクター1の投写範囲内であるスクリーン2の略中央に位置しているため、会議参加者Mを正面から撮像することが可能であり、会議参加者M同士の視線を一致させることができる。ただし、このような構成では、撮像装置3がプロジェクター1から投写される光を受光してしまうため、撮像装置3の自動露出機能によって会議参加者Mが暗く撮像され、撮像画像の視認性が低下してしまう。このため、本実施形態では、プロジェクター1から投写する画像光の輝度を周期的に低下させるとともに、プロジェクター1が画像光の輝度を低下させているときに撮像装置3に撮像を行わせるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信によって会議を行う会議システム、会議システムの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信によって遠隔地間で会議を行う会議システムは、撮像装置と表示装置とを含んでおり、撮像装置で撮像した会議参加者の画像を通信先に送信するとともに、通信先で撮像された会議参加者の画像を受信して表示装置に表示させる。このような会議システムにおいて、表示装置が大きな画面サイズを有し、その近傍に撮像装置が配置される場合には、会議参加者が視線を向ける位置(例えば、画面中央付近)と、撮像装置の位置とが離れてしまうため、撮像装置とは異なる方向を見ている画像が送信されることになり、双方の会議参加者の視線が一致しない。このため、会議参加者同士の視線を一致させるシステムが種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、表示手段の前方にハーフミラーが配置され、表示装置に表示される画像がハーフミラーを介して会議参加者に観察されるとともに、撮像装置がハーフミラーを介して会議参加者を撮像するように構成されている。
【0004】
また、特許文献2には、画像光を投写するプロジェクターと、このプロジェクターから投写された画像光を拡散して画像を表示する拡散板と、この拡散板に対してプロジェクターと同じ側に設けられる撮像手段と、これらを制御する制御手段と、を備えたシステム(投射スクリーン)が記載されている。このシステムにおいて、拡散板は、画像光を拡散して画像を表示する拡散状態と、照明光を透過する透明状態とを切り替え可能になっており、制御手段は、照度が周期的に(例えば、60Hz程度の周波数で)変化する照明環境下において照明光の照度が低いときに拡散板を拡散状態として画像を表示させ、照明光の照度が高いときに拡散板を透明状態として撮像手段で被写体の撮像を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−177949号公報
【特許文献2】特開平6−110131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、表示手段の前方にハーフミラーを配置する必要があるため、システムが大型化するうえ、システムのコストが上昇してしまうという問題がある。特に、表示手段の画面サイズが大きい場合ほど、この問題は顕著になる。また、特許文献2に記載のシステムでは、プロジェクターの画像を投写する際には照明光の照度が低く、撮像手段で撮像を行う際には高い照度で被写体が照明されるため、投写される画像、及び撮像される画像とも良好な画質とすることが可能となるが、照明装置、拡散板、プロジェクター及び撮像手段のすべてを同期させて動作させる必要があるため、システムが大掛かりになり、コストが上昇してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る会議システムは、通信によって会議を行う会議システムであって、画像光を投写するプロジェクターと、前記プロジェクターの投写範囲内に配置され、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像して生成した第1の画像情報を通信先に送信するとともに、前記通信先から第2の画像情報を受信して前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる制御装置と、を備え、前記プロジェクターは、前記画像光の輝度を周期的に低下させ、前記撮像装置は、前記プロジェクターが前記画像光の輝度を低下させているときに前記被写体を撮像することを特徴とする。
【0009】
この会議システムによれば、撮像装置がプロジェクターの投写範囲内に配置されるため、プロジェクターから投写される画像を会議参加者が見ている場合に、この会議参加者を正面から撮像することが可能となる。このため、システムを大型化することなく、会議参加者同士の視線を一致させることが可能となる。また、プロジェクターは、画像光の輝度を周期的に低下させ、撮像装置は、プロジェクターが画像光の輝度を低下させているときに被写体を撮像するため、プロジェクターから投写される光を撮像装置が受光することによって、撮像された画像の視認性が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記プロジェクターから前記画像光が投写されるスクリーンをさらに備え、前記スクリーンには、前記プロジェクターの投写範囲内に、光を透過させる透過部が形成され、前記撮像装置は、前記スクリーンの背面側に配置され、前記透過部を通して前記スクリーンの投写面側を撮像することが望ましい。
【0011】
この会議システムによれば、撮像装置が、スクリーンの背面側に配置され、スクリーンに形成された透過部を通して投写面側を撮像するように構成されているため、撮像装置を目立たなくすることができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記プロジェクターは、光源と、前記光源から射出された光を前記画像光に変調する光変調装置と、前記光変調装置で変調された前記画像光を投写する投写光学系と、前記光源から射出された光を周期的に遮って前記画像光の輝度を低下させる遮光装置と、を備えることが望ましい。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記プロジェクターは、固体光源と、前記固体光源から射出された光を前記画像光に変調する光変調装置と、前記光変調装置で変調された前記画像光を投写する投写光学系と、前記固体光源の輝度を周期的に低下させる光源制御部と、を備えることが望ましい。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記プロジェクターは、前記画像光の投写を周期的に停止させ、前記撮像装置は、前記プロジェクターが前記画像光の投写を停止させているときに前記被写体を撮像することが望ましい。
【0015】
[適用例6]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記プロジェクターは、前記制御装置から入力される前記第2の画像情報に基づく画像光を投写する状態と、輝度を低下させるための画像光を投写する状態とを周期的に交互に繰り返すようにしてもよい。
【0016】
[適用例7]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記撮像装置は、前記プロジェクターが前記画像光の輝度を低下させる周期の間に複数回の撮像を行い、前記制御装置は、前記撮像装置が撮像して生成した前記第1の画像情報を解析して、前記複数回の撮像で生成された複数の第1の画像情報のうち、前記画像光の輝度が低下している間の撮像により生成された第1の画像情報を特定し、前記通信先に送信するようにしてもよい。
【0017】
[適用例8]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記制御装置は、前記プロジェクター及び前記撮像装置に同期信号を出力し、前記プロジェクターは、前記同期信号に同期して前記画像光の輝度を低下させ、前記撮像装置は、前記同期信号に同期して前記被写体を撮像するようにしてもよい。
【0018】
[適用例9]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記プロジェクターは、前記画像光の輝度の低下に同期するための同期信号を前記撮像装置に出力し、前記撮像装置は、前記同期信号に同期させて前記被写体を撮像するようにしてもよい。
【0019】
[適用例10]本適用例に係る会議システムの制御方法は、通信によって会議を行う会議システムの制御方法であって、画像光を投写するプロジェクターの投写範囲内に配置された撮像装置が、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像ステップと、前記撮像装置が撮像して生成した第1の画像情報を通信先に送信する送信ステップと、前記通信先から第2の画像情報を受信する受信ステップと、前記第2の画像情報を前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる投写ステップと、を備え、前記投写ステップでは、前記プロジェクターに前記画像光の輝度を周期的に低下させ、前記撮像ステップでは、前記プロジェクターが前記画像光の輝度を低下させているときに前記被写体を撮像することを特徴とする。
【0020】
この会議システムの制御方法によれば、撮像装置がプロジェクターの投写範囲内に配置されるため、プロジェクターから投写される画像を会議参加者が見ている場合に、この会議参加者を正面から撮像することが可能となる。このため、システムを大型化することなく、会議参加者同士の視線を一致させることが可能となる。また、投写ステップでは、プロジェクターに画像光の輝度を周期的に低下させ、撮像ステップでは、プロジェクターが画像光の輝度を低下させているときに被写体を撮像するため、プロジェクターから投写される光を撮像装置が受光することによって、撮像された画像の視認性が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【0021】
[適用例11]本適用例に係るプログラムは、画像光を投写するプロジェクターと、前記プロジェクターの投写範囲内に配置され、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像装置とを備えた会議システムの動作を制御するコンピューターに、前記撮像装置に前記被写体を撮像させて第1の画像情報を生成させる撮像ステップと、前記撮像装置が撮像して生成した前記第1の画像情報を通信先に送信する送信ステップと、前記通信先から第2の画像情報を受信する受信ステップと、前記第2の画像情報を前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる投写ステップと、を実行させて、前記通信先との間で会議を行うためのプログラムであって、前記投写ステップでは、前記プロジェクターに前記画像光の輝度を周期的に低下させ、前記撮像ステップでは、前記プロジェクターが前記画像光の輝度を低下させているときに前記撮像装置に前記被写体を撮像させることを特徴とする。
【0022】
このプログラムによれば、投写ステップでは、プロジェクターに画像光の輝度を周期的に低下させ、撮像ステップでは、プロジェクターが画像光の輝度を低下させているときに撮像装置に被写体を撮像させるため、プロジェクターから投写される光を撮像装置が受光することによって、撮像された画像の視認性が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】会議システムの概略構成を示す構成図。
【図2】スクリーンの正面図。
【図3】制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】プロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図5】光学ユニットの構成をより詳細に説明するための構成図。
【図6】第1実施形態に係るプロジェクター及び撮像装置の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(a)は、プロジェクターが画像光を投写するタイミングを示す図、(b)は、撮像装置が撮像を行うタイミングを示す図、(c)は、双方のタイミングを同期させるための同期信号を示す図。
【図7】第2実施形態のプロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図8】第3実施形態のプロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図9】第3実施形態に係るプロジェクター及び撮像装置の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(a)は、プロジェクターが画像光を投写するタイミングを示す図、(b)は、撮像装置が撮像を行うタイミングを示す図、(c)は、双方のタイミングを同期させるための同期信号を示す図。
【図10】第4実施形態に係るプロジェクター及び撮像装置の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(a)は、プロジェクターが画像光を投写するタイミングを示す図、(b)は、撮像装置が撮像を行うタイミングを示す図、(c)は、双方のタイミングを同期させるための同期信号を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の会議システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、会議システムの概略構成を示す構成図であり、図2は、会議システムを構成するスクリーンの正面図である。
図1に示すように、会議システム100は、プロジェクター1と、スクリーン2と、撮像装置3と、制御装置4と、スピーカー5と、マイク6とを備えて構成されている。会議システム100(第1の会議システム100a)は、遠隔地に備わる他の会議システム100(第2の会議システム100b)とネットワークNWを介して接続されており、会議システム100同士で通信を行うことによって遠隔地間での会議を実現させる。なお、図示は省略しているが、第2の会議システム100bも、第1の会議システム100aと同一の構成を有している。
【0025】
プロジェクター1は、制御装置4から入力される画像情報に基づく画像光をスクリーン2に投写し、スクリーン2の投写面2aに画像を表示する。
【0026】
スクリーン2は、プロジェクター1から投写される画像光を反射して画像を表示する反射型のスクリーンであり、このスクリーン2の投写面2a内に画像が投写されるように、プロジェクター1及びスクリーン2の位置関係やプロジェクター1の投写条件(ズーム状態等)が調整されている。また、図2に示すように、スクリーン2の略中央には、円形状の透過部2cが形成されている。透過部2cは、画像光が投写される投写面2a側からその背面2b側に光を透過させる部位であり、光透過性を有する部材で構成してもよいし、表裏を貫通する孔を設けるだけであってもよい。
【0027】
撮像装置3は、CCD(Charge Coupled Device)センサー、或いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等からなる撮像素子(図示せず)と、被写体から発せられた光を撮像素子上に結像させるための撮像レンズ3aとを備えており、スクリーン2の背面2b側に配置される。撮像装置3は、撮像レンズ3aがスクリーン2の透過部2cと対向するように配置され、透過部2cを通してスクリーン2の投写面2a側、即ちプロジェクター1が配置される側の被写体を撮像可能になっている。つまり、撮像装置3は、プロジェクター1の投写範囲内に配置され、スクリーン2の投写面2aに対峙して画像を見ている会議参加者Mを正面から撮像することができる。撮像装置3は、制御装置4の制御に基づいて撮像を行い、撮像した画像(撮像画像)の画像情報を生成して制御装置4に出力する。なお、撮像装置3には、被写体を適正な露出で撮像するための自動露出機能が備えられている。
【0028】
制御装置4には、プロジェクター1、撮像装置3、スピーカー5及びマイク6が接続されている。制御装置4は、会議システム100の動作を制御するものであり、例えば、コンピューターによって構成することができる。また、制御装置4は、ネットワークNWに接続されており、他の会議システム100との間で通信を行うことができる。
【0029】
スピーカー5は、制御装置4から供給される音声情報に基づく音声を出力し、マイク6は、周囲の音声を集音して音声情報を生成し、制御装置4に供給する。
【0030】
図3は、制御装置4の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置4は、処理部91と、記憶部92と、入出力インターフェイス(I/F)93と、補助記憶部94と、ネットワーク通信部95と、を有している。
【0031】
処理部91は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され、記憶部92は、RAM(Random Access Memory)等によって構成される。処理部91は、補助記憶部94に記憶されているOS(Operating System)やアプリケーションプログラムを記憶部92に読み出し、これらのプログラムに従って様々な処理を行う。また、記憶部92は、各種データの一時記憶等にも用いられる。
【0032】
入出力インターフェイス93は、様々な周辺デバイスとの間でデータの入出力を行うものであり、本実施形態では、補助記憶部94、ネットワーク通信部95、プロジェクター1、撮像装置3、スピーカー5及びマイク6が接続されている。また、図示は省略しているが、入出力インターフェイス93には、ユーザーの入力操作を受け付ける入力装置(例えば、キーボードやマウス等)も接続される。
【0033】
補助記憶部94は、例えば、ハードディスクドライブであり、OSやアプリケーションプログラム、各種データ等が記憶されている。本実施形態の補助記憶部94には、ネットワークNWを介した通信によって遠隔地間で会議を行うための会議プログラム(図示せず)が記憶されている。
【0034】
ネットワーク通信部95は、ネットワークNWに接続されており、同じくネットワークNWに接続されている他の装置との間で、データ通信を行うことができる。図1に示したように、本実施形態では、第1の会議システム100a及び第2の会議システム100bが、それぞれの制御装置4のネットワーク通信部95によってネットワークNWに接続されており、第1の会議システム100aと第2の会議システム100bとの間の通信が可能になっている。
【0035】
第1の会議システム100a及び第2の会議システム100bの双方において、会議プログラムを起動すると、制御装置4は、マイク6から入力される音声情報と、撮像装置3から入力される画像情報とを、両者を同期させながら、ネットワーク通信部95からネットワークNWを介して他方の会議システム100に送信するとともに、他方の会議システム100から音声情報及び画像情報を受信する。そして、双方の制御装置4は、受信した音声情報に基づく音声をスピーカー5から出力させるとともに、音声の出力に同期させて、受信した画像情報に基づく画像をプロジェクター1からスクリーン2に投写させる。ここで、撮像装置3は、プロジェクター1の投写範囲内であるスクリーン2の略中央に位置しているため、会議参加者Mを正面から撮像することが可能であり、会議参加者M同士の視線を一致させることができる。ただし、このような構成では、撮像装置3がプロジェクター1から投写される光を受光してしまうため、撮像装置3の自動露出機能によって会議参加者Mが暗く撮像され、撮像画像の視認性が低下してしまう。このため、本実施形態では、プロジェクター1から投写する画像光の輝度を周期的に低下させるとともに、プロジェクター1が画像光の輝度を低下させているときに撮像装置3に撮像を行わせるようにしている。
【0036】
図4は、プロジェクター1の概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、プロジェクター1は、光学ユニット10と、制御部80と、入出力部81と、画像処理部82と、液晶駆動部83と、遮光制御部84とを備えている。光学ユニット10は、光源としての光源装置21、遮光装置27、光変調装置としての液晶ライトバルブ50、投写光学系としての投写レンズ70等を備えており、光源装置21から射出された光を液晶ライトバルブ50で画像光に変調し、この画像光を投写レンズ70から投写して、スクリーン2に画像を表示する。
【0037】
図5は、光学ユニット10の構成をより詳細に説明するための構成図である。
図5に示すように、光学ユニット10は、照明光学系20と、色光分離光学系30と、リレー光学系40と、液晶パネル51等を含んで構成される液晶ライトバルブ50と、色光合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム60と、投写レンズ70とを備えて構成されている。
【0038】
照明光学系20は、光源装置21と、平行化レンズ22と、第1のレンズアレイ23と、第2のレンズアレイ24と、偏光変換素子25と、重畳レンズ26と、遮光装置27とを備えて構成されている。光源装置21は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ21aと、回転楕円面形状の反射面を有する楕円リフレクター21bとを備えている。光源ランプ21aは、楕円リフレクター21bの第1焦点F1に配置されており、光源ランプ21aから射出された光は、楕円リフレクター21bの反射面で反射して、楕円リフレクター21bの第2焦点F2に収束する。そして、第2焦点F2を通過した光は、発散しながら平行化レンズ22に入射し、平行化レンズ22で平行化されて第1のレンズアレイ23に入射する。
【0039】
第1のレンズアレイ23及び第2のレンズアレイ24は、それぞれ微小なレンズ23a,24aがマトリクス状に配置された構成になっている。そして、光源装置21から入射した光束は、第1のレンズアレイ23によって複数の微小な部分光束に分割される。第2のレンズアレイ24及び重畳レンズ26は、第1のレンズアレイ23で分割された部分光束のそれぞれが、照明対象である液晶パネル51の全体に照射するように構成されている。このため、各部分光束は、液晶パネル51で重畳され、液晶パネル51の全体がほぼ均一に照明される。偏光変換素子25は、光源装置21からの光を液晶パネル51で効率よく利用可能とするため、特定の偏光方向を有する偏光光に揃える機能を有している。
【0040】
遮光装置27は、開き戸(扉)式に開閉する一対のルーバー27aを備えて構成され、楕円リフレクター21bの第2焦点F2の近傍、即ち光源装置21から射出された光が収束する位置の近傍に配置されている。遮光装置27は、遮光制御部84の制御に基づいて、このルーバー27aの開閉状態を変化させることが可能であり、ルーバー27aが閉じた状態では、光源装置21から射出された光を遮断(遮光)し、プロジェクター1からの画像光の投写を遮る。一方、ルーバー27aが開いている状態では、光源装置21から射出された光は、遮光装置27を通過して色光分離光学系30に入射する。
【0041】
色光分離光学系30は、第1のダイクロイックミラー31と、第1の反射ミラー32と、第2のダイクロイックミラー33とを備えており、照明光学系20から射出された光を、波長域の異なる3色の光に分離する。第1のダイクロイックミラー31は、略赤色の光である赤色光Rを反射するとともに、赤色光Rよりも短波長の光を透過する。第1のダイクロイックミラー31で反射した赤色光Rは、第1の反射ミラー32でさらに反射し、平行化レンズ28で平行化されて赤色光用の液晶ライトバルブ50Rの液晶パネル51を照明する。
【0042】
第2のダイクロイックミラー33は、略青色の光である青色光Bを透過するとともに、透過する光よりも長波長の光を反射する。このため、第1のダイクロイックミラー31を透過した光のうち、略緑色の光である緑色光Gは、第2のダイクロイックミラー33で反射し、平行化レンズ28で平行化されて緑色光用の液晶ライトバルブ50Gの液晶パネル51を照明する。また、青色光Bは、第2のダイクロイックミラー33を透過してリレー光学系40に入射する。そして、リレー光学系40を経由した後、平行化レンズ28で平行化されて青色光用の液晶ライトバルブ50Bの液晶パネル51を照明する。
【0043】
なお、リレー光学系40は、青色光Bの経路が他の色光の経路に比べて長くなってしまうことから、光束の発散による液晶パネル51への照明効率の低下を抑制するために設けられている。リレー光学系40は、入射側レンズ41と、第2の反射ミラー42と、リレーレンズ43と、第3の反射ミラー44とを備えており、リレー光学系40に入射した青色光Bは、入射側レンズ41によってリレーレンズ43の近傍で収束し、平行化レンズ28に向けて発散する。
【0044】
液晶ライトバルブ50(赤色光用の液晶ライトバルブ50R、緑色光用の液晶ライトバルブ50G、青色光用の液晶ライトバルブ50B)は、それぞれ液晶パネル51と、各液晶パネル51の入射側及び射出側にそれぞれ配置された入射側偏光板52及び射出側偏光板53とを備えて構成されている。
【0045】
液晶パネル51は、液晶が封入された一対の透明基板を備えており、透明基板の内面には、液晶に対して微小領域(画素)毎に駆動電圧を印加可能な透明電極(画素電極)がマトリクス状に形成されている。また、入射側偏光板52及び射出側偏光板53は、それぞれ特定の偏光方向の偏光光のみを透過させる光学素子である。このうち、入射側偏光板52は、偏光変換素子25によって揃えられた偏光方向の偏光光を透過可能になっている。つまり、液晶パネル51に向けて照射された各色光の大部分は入射側偏光板52を透過して、液晶パネル51に入射する。
【0046】
ここで、液晶パネル51の各画素に、外部から入力された画像情報に基づく駆動電圧が印加されると、液晶パネル51に入射した光は、駆動電圧に応じて変調され、画素毎に異なる偏光方向を有した偏光光となる。この偏光光のうち、射出側偏光板53を透過可能な偏光成分のみが射出側偏光板53から射出される。つまり、液晶ライトバルブ50が、画像情報に応じて画素毎に異なる透過率で入射光を透過させることによって、階調を有する画像光が色光毎に形成される。
【0047】
クロスダイクロイックプリズム60には、赤色光Rを反射する誘電体多層膜61と、青色光Bを反射する誘電体多層膜62とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられている。このため、赤色光Rが誘電体多層膜61で反射し、青色光Bが誘電体多層膜62で反射し、緑色光Gが双方の誘電体多層膜61,62を透過することにより、各色の画像光が合成され、カラーの画像光として投写レンズ70に入射する。
【0048】
投写レンズ70は、複数のレンズを備えて構成され、クロスダイクロイックプリズム60で合成された画像光を拡大して投写する。
【0049】
図4に戻って、制御部80は、CPUと、制御プログラムや設定データ等が記憶される不揮発性のROM(Read Only Memory)と、各種処理の一時記憶等に用いられるRAM(いずれも図示せず)とを備え、ROMに記憶されている制御プログラムに従ってCPUが動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部80は、コンピューターとして機能する。
【0050】
入出力部81は、制御装置4の入出力インターフェイス93に接続され、制御装置4との間で画像情報や制御情報(同期信号等)の入出力を行う。入出力部81は、制御装置4から入力された画像情報を画像処理部82に出力し、制御装置4から入力された制御情報を制御部80に出力する。また、制御部80は、入出力部81から制御装置4に制御情報等を出力することができる。
【0051】
画像処理部82は、入出力部81から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ50の各画素の階調を表す画像情報、即ち各画素に印加する駆動電圧を規定するための画像情報に変換する。さらに、画像処理部82は、制御部80の指示に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等の画質を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像情報を液晶駆動部83に出力する。
【0052】
液晶駆動部83は、画像処理部82から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ50を駆動する。この結果、光源装置21から射出された光は、液晶ライトバルブ50によって画像情報に応じた画像光に変調され、この画像光が投写レンズ70からスクリーン2に投写される。
【0053】
遮光制御部84は、制御部80の指示に基づいて、遮光装置27(ルーバー27a)の開閉を制御する。例えば、遮光制御部84は、画像情報のフレーム周波数(60Hzとする。)と同じ周波数で遮光装置27の開閉を繰り返させる。つまり、プロジェクター1は、画像情報に基づく画像光を投写する状態と、光源装置21が発する光源光を遮光装置27で遮光して画像光の投写を停止する状態とを1/60秒の周期で繰り返す。
【0054】
図3に戻って、制御装置4の処理部91は、撮像装置3を制御して、プロジェクター1の遮光装置27が光源光を遮光しているとき、即ちプロジェクター1が画像光の投写を停止しているときに、撮像を行わせる。つまり、撮像装置3は、プロジェクター1から画像光が投写されていない状態で被写体(会議参加者M)を撮像する。
【0055】
図6は、プロジェクター1及び撮像装置3の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(a)は、プロジェクター1が画像光を投写するタイミングを示す図、(b)は、撮像装置3が撮像を行うタイミングを示す図、(c)は、双方のタイミングを同期させるための同期信号を示す図である。
【0056】
図6(a)に示すように、プロジェクター1は、遮光装置27を開いて画像光を投写する期間tBと、遮光装置27を閉じて画像光の投写を停止する期間tCとを画像情報のフレーム周期tA(1/60秒)と同じ周期で交互に繰り返す。そして、図6(b)に示すように、撮像装置3は、プロジェクター1が画像光を投写している期間tBには撮像を行わず、画像光の投写を停止している期間tC内の所定の期間tDに撮像を行う。また、図6(c)に示す同期信号は、プロジェクター1の動作(遮光装置27の開閉)と撮像装置3の動作(撮像)を同期させるための信号であり、制御装置4は、プロジェクター1と撮像装置3の双方に同期信号を出力する。そして、プロジェクター1は、この同期信号に基づいて遮光装置27の開閉、即ち画像光の投写とその停止とを制御し、撮像装置3は、この同期信号に基づいて撮像を行う。なお、同期信号は、制御装置4からプロジェクター1及び撮像装置3に出力する態様に限られず、プロジェクター1が制御装置4を経由して撮像装置3に出力するようにしてもよい。また、プロジェクター1と撮像装置3とを直接接続し、プロジェクター1の入出力部81から撮像装置3に同期信号を直接出力するようにしてもよい。これらの場合には、制御装置4に代わって、プロジェクター1が撮像装置3の撮像タイミングを制御することになる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の会議システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0058】
(1)本実施形態の会議システム100によれば、撮像装置3がプロジェクター1の投写範囲内であるスクリーン2の略中央に配置されているため、プロジェクター1から投写される画像を会議参加者Mが見ている場合に、この会議参加者Mを正面から撮像することが可能となる。このため、システムを大型化したり高価格化したりすることなく、会議参加者M同士の視線を一致させることが可能となる。
【0059】
(2)本実施形態の会議システム100によれば、プロジェクター1が遮光装置27の開閉によって画像光の投写を周期的に停止させ、撮像装置3は、画像光の投写が停止しているときに撮像を行うため、プロジェクター1から投写される光を撮像装置3が受光することによって、撮像された画像の視認性が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【0060】
(3)本実施形態の会議システム100によれば、撮像装置3が、スクリーン2の背面2b側に配置され、スクリーン2に形成された透過部2cを通して投写面2a側を撮像するように構成されているため、撮像装置3を目立たなくすることができる。
【0061】
(4)本実施形態の会議システム100によれば、遮光装置27は、楕円リフレクター21bの第2焦点F2の近傍、即ち光源装置21から射出された光が収束する位置の近傍に配置されているため、遮光装置27を小型化することが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態のプロジェクター1は、遮光装置27を閉じることによって画像光の投写を周期的に停止している。言い替えれば、投写する画像光の輝度を周期的にほぼゼロにしている。しかしながら、期間tCでは、必ずしも輝度をゼロにする必要はなく、プロジェクター1から撮像装置3に照射される光量が低減するように、投写する画像光の輝度を低下させるだけであってもよい。つまり、遮光装置27のルーバー27aを完全に閉じる必要はなく、遮光装置27を閉じた状態でルーバー27a間に隙間が空いていてもよい。そして、撮像装置3は、画像光の輝度が低下しているときに撮像を行えばよい。
【0063】
また、本実施形態では、遮光装置27を楕円リフレクター21bの第2焦点F2の近傍に配置しているが、遮光装置27の位置は、この位置に限定されない。例えば、投写レンズ70の入射側又は射出側に配置するようにしてもよい。
【0064】
本実施形態では、遮光装置27は、ルーバー27aの開閉によって光源光を遮光しているが、遮光装置27の構成はこれに限定されず、様々な方式を採用することができる。例えば、光透過領域と遮光領域とが配置された回転板を回転させるようにしてもよいし、光透過率を制御可能なエレクトロクロミックガラスや液晶シャッター等を利用するようにしてもよい。
【0065】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の会議システムについて、図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態のプロジェクター1の光学ユニット10は、放電型の光源ランプ21aを有する光源装置21の代わりに、LED(発光ダイオード)や半導体レーザー等、瞬時点灯や瞬時消灯が可能な固体光源121aを有する光源装置121を備えている。また、プロジェクター1は、光学ユニット10内に遮光装置27を備えていないうえ、遮光装置27の開閉を制御する遮光制御部84の代わりに、光源装置121の点灯及び消灯を制御する光源制御部85を備えている。上記以外の構成については第1実施形態と同一である。
【0066】
光源制御部85は、制御部80の指示に基づいて、画像情報のフレーム周波数(60Hzとする。)と同じ周波数で光源装置121の点灯と消灯とを繰り返させる。つまり、プロジェクター1は、光源装置121の点灯によって画像光を投写する状態と、光源装置121の消灯によって画像光の投写を停止する状態とを1/60秒の周期で繰り返す。
【0067】
制御装置4は、撮像装置3を制御して、プロジェクター1の光源装置121が消灯しているとき、即ちプロジェクター1が画像光の投写を停止しているときに、撮像を行わせる。つまり、第1実施形態と同様、撮像装置3は、プロジェクター1から画像光が投写されていない状態で被写体(会議参加者M)を撮像する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の会議システム100によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0069】
本実施形態の会議システム100によれば、プロジェクター1が、光源装置121(固体光源121a)を消灯させることによって画像光の投写を停止させているため、遮光装置27を備える必要がなくなり、プロジェクター1の構成を簡略化することが可能となる。
【0070】
なお、本実施形態のプロジェクター1は、光源装置121を消灯させることによって画像光の投写を周期的に停止している。言い替えれば、投写する画像光の輝度を周期的にゼロにしている。しかしながら、必ずしも画像光の輝度を周期的にゼロにする必要はなく、プロジェクター1から撮像装置3に照射される光量が低減するように、投写する画像光の輝度、即ち光源装置121の発光輝度を周期的に低下させるだけであってもよい。そして、撮像装置3は、画像光の輝度が低下しているときに撮像を行えばよい。
【0071】
また、本実施形態において、白色光を発する光源装置121を用いて、第1実施形態と同様、RGBの三色の色光に分離するようにしてもよいが、それぞれ赤色光R、緑色光G、青色光Bを発する3つの光源装置121を用いれば、色光分離を行う必要はなくなる。
【0072】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態の会議システムについて、図面を参照して説明する。
図8は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示すブロック図である。
図8に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、第1実施形態と同様、放電型の光源ランプ21aを有する光源装置21を備えているが、遮光装置27及び遮光制御部84を備えていない。その代わりに、本実施形態のプロジェクター1は、画像情報に基づく画像光(通常画像)を投写している間に、全面が黒色の画像光(全黒画像)、即ち液晶ライトバルブ50の全画素の光透過率が最小となる画像光の投写を周期的に行うようになっている。
【0073】
図9は、本実施形態に係るプロジェクター1及び撮像装置3の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(a)は、プロジェクター1が画像光を投写するタイミングを示す図、(b)は、撮像装置3が撮像を行うタイミングを示す図、(c)は、双方のタイミングを同期させるための同期信号を示す図である。
【0074】
図9(a)に示すように、プロジェクター1は、通常画像を投写する期間tEと、全黒画像を投写する期間tFとを、画像情報のフレーム周期tA(1/60秒)と同じ周期で交互に繰り返す。具体的には、プロジェクター1の画像処理部82は、制御装置4から入力される画像情報の1フレーム期間(1/60秒)を1/120秒の2つの期間tE,tFに分割し、このうちの一方の期間tEでは、通常画像に対応する画像情報、即ち制御装置4から入力されて上述した画質調整処理等を施した画像情報を液晶駆動部83に出力し、他方の期間tFでは、全黒画像に対応する画像情報を液晶駆動部83に出力する。そして、液晶駆動部83が、120Hzのフレーム周波数で液晶ライトバルブ50を駆動すると、通常画像と全黒画像が交互に投写される。そして、図9(b)に示すように、撮像装置3は、プロジェクター1が通常画像を投写している期間tEには撮像を行わず、全黒画像を投写している期間tF内の所定の期間tGに撮像を行う。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の会議システム100によれば、第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
なお、本実施形態において、期間tFに投写する画像光は、全画素の光透過率を最小にする全黒画像に限定されず、輝度を低下させる画像光、即ちプロジェクター1から撮像装置3に照射される光量が低減するような画像光であればよい。
【0077】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態の会議システムについて、図面を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係るプロジェクター1及び撮像装置3の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(a)は、プロジェクター1が画像光を投写するタイミングを示す図、(b)は、撮像装置3が撮像を行うタイミングを示す図、(c)は、双方のタイミングを同期させるための同期信号を示す図である。
【0078】
本実施形態のプロジェクター1は、例えば、第1実施形態と同一の構成を有しており、遮光装置27を開いて画像光を投写する期間tBと、遮光装置27を閉じて画像光の投写を停止する期間tCとを画像情報のフレーム周期tA(1/60秒)と同じ周期で交互に繰り返す。
【0079】
一方、撮像装置3は、期間tB,tCに拘らず、1フレーム期間(1周期)の間に複数回の撮像を実施する。図10に示した例では、画像光の投写を停止する期間tCよりも短い期間tHでの撮像を1フレーム期間内に3回実施する。そして、撮像装置3は、撮像して生成した画像情報を制御装置4に出力する。
【0080】
制御装置4の処理部91は、撮像装置3から画像情報が入力されると、入力された画像情報を解析し、画像光を投写している期間tBに撮像されたものか、画像光の投写を停止している期間tCに撮像されたものかを判断する。具体的には、処理部91は、撮像装置3から入力された画像情報に基づいて、明るさ(輝度)の分布を表すヒストグラムを生成し、所定の輝度以上の画素が所定の数以上存在する場合には、画像光を投写している期間tBに撮像されたと判断し、所定の数を下回る場合には、画像光の投写を停止している期間tCに撮像されたと判断する。そして、処理部91は、撮像装置3から入力される画像情報のうち、画像光の投写を停止している期間tCに撮像された画像情報を特定し、この画像情報のみをネットワーク通信部95から他方の会議システム100に送信する。
【0081】
なお、撮像装置3が1フレーム期間内に行う複数回の撮像のうち少なくとも1回の撮像が、画像光の投写を停止している期間tC内に実施されるように、制御装置4又はプロジェクター1から撮像装置3に同期信号を出力して、撮像するタイミングを制御するようにしてもよい。ただし、画像光の投写を停止している期間tC内に複数回の撮像が可能な程度に撮像の周期が短く、撮像するタイミングを制御しなくとも期間tC内に少なくとも1回の撮像が実施される場合には、同期信号を撮像装置3に出力する必要はない。また、画像光の投写を停止している期間tC内に撮像されたという判断が複数回連続する場合には、そのうちの1回分の画像情報を他方の会議システム100に送信するようにすればよい。
【0082】
また、期間tBに投写している画像光が暗い画像光である場合には、期間tBに撮像されたにも拘らず期間tCに撮像されたと誤った判断がなされることもともあり得るが、その場合でも、撮像装置3に投写されるのは暗い画像光であるため、撮像画像の視認性への影響は小さくて済む。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の会議システム100によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0085】
上記実施形態では、撮像装置3をスクリーン2の背面2b側に配置しているが、撮像装置3が小型の場合には、スクリーン2の投写面2a側に配置するようにしてもよい。
【0086】
上記実施形態において、複数の会議システム100が接続されるネットワークNWとしては、インターネット等の公衆ネットワークを利用してもよいし、LAN(Local Area Network)や専用回線を利用してもよい。また、会議システム100同士が直接通信する態様に限定されず、例えば、ネットワークNWに接続されたサーバーを経由して通信するようにしてもよい。
【0087】
上記実施形態では、プロジェクター1、撮像装置3、制御装置4、スピーカー5、マイク6がそれぞれ分離した構成になっているが、これに限定されない。例えば、撮像装置3、制御装置4、スピーカー5、マイク6を一体的に備えたノート型のパーソナルコンピューターを利用することも可能であるし、制御装置4の機能をプロジェクター1に包含するようにしてもよい。
【0088】
上記実施形態では、ネットワークNWに2つの会議システム100(第1及び第2の会議システム100a,100b)が接続されている態様を示したが、3つ以上の会議システム100を接続するようにしてもよい。例えば、3つの会議システム100を接続する場合には、各会議システム100は、通信先が2つあるため、プロジェクター1の投写画像を2つのブロックに区分して、それぞれに通信先を対応付け、通信先から受信した画像情報に基づく画像を対応するブロックに表示させる。さらに、スクリーン2には、各ブロックの画像が投写される領域毎に透過部2cを設けて、それぞれの背面2b側に撮像装置3を配置し、各撮像装置3で撮像して生成した画像情報を対応する通信先に送信する。これにより、いずれの通信先とも視線を一致させることが可能となる。
【0089】
上記実施形態において、プロジェクター1及びスクリーン2は、会議以外の用途(撮像装置3を必要としない用途)に利用することも可能である。この場合には、光を反射する部材で透過部2cを覆えばよい。また、エレクトロクロミックガラスのように透過率(反射率)を変更可能な部材で透過部2cを構成して、用途によって透過率を切り替えるようにしてもよい。
【0090】
なお、第1〜第4実施形態において、撮像装置3が撮像して生成した画像情報が第1の画像情報に相当し、通信先から受信した画像情報が第2の画像情報に相当する。
【符号の説明】
【0091】
1…プロジェクター、2…スクリーン、2a…投写面、2b…背面、2c…透過部、3…撮像装置、3a…撮像レンズ、4…制御装置、5…スピーカー、6…マイク、10…光学ユニット、20…照明光学系、21…光源装置、21a…光源ランプ、21b…楕円リフレクター、22…平行化レンズ、23…第1のレンズアレイ、23a…レンズ、24…第2のレンズアレイ、24a…レンズ、25…偏光変換素子、26…重畳レンズ、27…遮光装置、27a…ルーバー、28…平行化レンズ、30…色光分離光学系、31…第1のダイクロイックミラー、32…第1の反射ミラー、33…第2のダイクロイックミラー、40…リレー光学系、41…入射側レンズ、42…第2の反射ミラー、43…リレーレンズ、44…第3の反射ミラー、50,50R,50G,50B…液晶ライトバルブ、51…液晶パネル、52…入射側偏光板、53…射出側偏光板、60…クロスダイクロイックプリズム、61,62…誘電体多層膜、70…投写レンズ、80…制御部、81…入出力部、82…画像処理部、83…液晶駆動部、84…遮光制御部、85…光源制御部、91…処理部、92…記憶部、93…入出力インターフェイス、94…補助記憶部、95…ネットワーク通信部、100…会議システム、100a…第1の会議システム、100b…第2の会議システム、121…光源装置、121a…固体光源、R…赤色光、G…緑色光、B…青色光、F1…第1焦点、F2…第2焦点、M…会議参加者、NW…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信によって会議を行う会議システムであって、
画像光を投写するプロジェクターと、
前記プロジェクターの投写範囲内に配置され、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮像して生成した第1の画像情報を通信先に送信するとともに、前記通信先から第2の画像情報を受信して前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる制御装置と、
を備え、
前記プロジェクターは、前記画像光の輝度を周期的に低下させ、前記撮像装置は、前記プロジェクターが前記画像光の輝度を低下させているときに前記被写体を撮像することを特徴とする会議システム。
【請求項2】
請求項1に記載の会議システムであって、
前記プロジェクターから前記画像光が投写されるスクリーンをさらに備え、
前記スクリーンには、前記プロジェクターの投写範囲内に、光を透過させる透過部が形成され、
前記撮像装置は、前記スクリーンの背面側に配置され、前記透過部を通して前記スクリーンの投写面側を撮像することを特徴とする会議システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の会議システムであって、
前記プロジェクターは、
光源と、
前記光源から射出された光を前記画像光に変調する光変調装置と、
前記光変調装置で変調された前記画像光を投写する投写光学系と、
前記光源から射出された光を周期的に遮って前記画像光の輝度を低下させる遮光装置と、
を備えることを特徴とする会議システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の会議システムであって、
前記プロジェクターは、
固体光源と、
前記固体光源から射出された光を前記画像光に変調する光変調装置と、
前記光変調装置で変調された前記画像光を投写する投写光学系と、
前記固体光源の輝度を周期的に低下させる光源制御部と、
を備えることを特徴とする会議システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の会議システムであって、
前記プロジェクターは、前記画像光の投写を周期的に停止させ、前記撮像装置は、前記プロジェクターが前記画像光の投写を停止させているときに前記被写体を撮像することを特徴とする会議システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の会議システムであって、
前記プロジェクターは、前記制御装置から入力される前記第2の画像情報に基づく画像光を投写する状態と、輝度を低下させるための画像光を投写する状態とを周期的に交互に繰り返すことを特徴とする会議システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の会議システムであって、
前記撮像装置は、前記プロジェクターが前記画像光の輝度を低下させる周期の間に複数回の撮像を行い、
前記制御装置は、前記撮像装置が撮像して生成した前記第1の画像情報を解析して、前記複数回の撮像で生成された複数の第1の画像情報のうち、前記画像光の輝度が低下している間の撮像により生成された第1の画像情報を特定し、前記通信先に送信することを特徴とする会議システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の会議システムであって、
前記制御装置は、前記プロジェクター及び前記撮像装置に同期信号を出力し、
前記プロジェクターは、前記同期信号に同期して前記画像光の輝度を低下させ、
前記撮像装置は、前記同期信号に同期して前記被写体を撮像することを特徴とする会議システム。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の会議システムであって、
前記プロジェクターは、前記画像光の輝度の低下に同期するための同期信号を前記撮像装置に出力し、
前記撮像装置は、前記同期信号に同期させて前記被写体を撮像することを特徴とする会議システム。
【請求項10】
通信によって会議を行う会議システムの制御方法であって、
画像光を投写するプロジェクターの投写範囲内に配置された撮像装置が、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像ステップと、
前記撮像装置が撮像して生成した第1の画像情報を通信先に送信する送信ステップと、
前記通信先から第2の画像情報を受信する受信ステップと、
前記第2の画像情報を前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる投写ステップと、
を備え、
前記投写ステップでは、前記プロジェクターに前記画像光の輝度を周期的に低下させ、前記撮像ステップでは、前記プロジェクターが前記画像光の輝度を低下させているときに前記被写体を撮像することを特徴とする会議システムの制御方法。
【請求項11】
画像光を投写するプロジェクターと、前記プロジェクターの投写範囲内に配置され、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像装置とを備えた会議システムの動作を制御するコンピューターに、
前記撮像装置に前記被写体を撮像させて第1の画像情報を生成させる撮像ステップと、
前記撮像装置が撮像して生成した前記第1の画像情報を通信先に送信する送信ステップと、
前記通信先から第2の画像情報を受信する受信ステップと、
前記第2の画像情報を前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる投写ステップと、
を実行させて、前記通信先との間で会議を行うためのプログラムであって、
前記投写ステップでは、前記プロジェクターに前記画像光の輝度を周期的に低下させ、前記撮像ステップでは、前記プロジェクターが前記画像光の輝度を低下させているときに前記撮像装置に前記被写体を撮像させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−222421(P2012−222421A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83357(P2011−83357)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】