説明

伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)に由来する中空キメラ性ウイルス様粒子、これらの製造および応用

伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)に由来する中空キメラ性ウイルス様粒子は、IBDV pVP2タンパク質または上述のIBDV pVP2の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501までの整数である)を含む領域A、ならびに予防、治療または診断の目的に有用なポリペプチドのような所望のポリペプチドを備える異種ポリペプチドを含む領域Bを包含する融合タンパク質の集合体によって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)に由来する中空キメラ性ウイルス様粒子の製造およびその応用に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
ウイルス様粒子は、核酸およびタンパク質の収納および輸送に特化した構造物である。ウイルス様粒子の通常の特性は、宿主の免疫反応を刺激する優秀な能力である。これらの性質によって、ウイルス様粒子が細胞内輸送系およびサブユニットワクチンに用いる非常に興味深い作用物質になる。異なる遺伝子発現系の利用は、例えば、ロタウイルス(米国公開2003/0175301号)、レトロウイルス(米国特許6,602,705号)パルボウイルス(米国特許6,458,362号)など、種々のウイルスに由来する空のウイルスカプシドまたはウイルス様粒子(VLPs)の製造に役立っている。これらの発現系の遺伝的な手法は、天然のウイルスカプシドを形成している、これらとは異なるタンパク質に由来する異種のアミノ酸配列を含んでいる、VLPsの製造を可能にする。これらのVLPsは、通常、異形の、組み換えのまたはキメラのVLPs(CVLPs)と呼ばれ、それらは、主に以下の2つの目的:(i)免疫学的に該当する異種のペプチドを用いた多価のワクチンを産生すること、および(ii)受容体−リガンドの相互作用に関与するアミノ酸配列の挿入による親和性の改変に使用される。
【0003】
Birnaviridae科に属する伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)は、種々のトリ類の種に感染し、かつ世界的にトリ類の産業において相当な経済的な損失を引き起こす重篤な免疫抑制疾患である、感染性の滑液包炎の直接的な原因である。
【0004】
IBDV粒子は、T=13の対称性を有する正20面体であり、エンベロープを欠き、かつ単一のタンパク質層によって形成されている。これまでのところ、IBDV粒子の原子モデルの取得を目指した試みは、失敗している。このため、IBDV粒子の構造に関する情報は、精製されたウイルス、およびVLPsの極低温電子顕微鏡法によって得られた画像から生成された3次元モデルに基づいている。これらの研究に基づいて、IBDV粒子の外部表面が5つの異なる高次構造に配置されたタンパク質VP2(37kDa)の260個の3量体の連続的な格子構造によって形成されていることが観察されている。IBDV粒子の内側は、タンパク質VP3(29kDa)の200個の3量体を含んでいる。タンパク質VP3の3量体は、互いに独立して、VP2の3量体の基部領域と結合されている。VP4(28kDa)である第3のポリペプチドもまた、正20面体構造の角を形成する5量体の基部に位置している、IBDV粒子の一部であるだろうと、示唆されている。
【0005】
ポリペプチドVP2、VP3およびVP4は、109kDaの大きさを有する前駆体ポリペプチドのタンパク分解性のプロセシングから生成される。この前駆体は、自己触媒的にプロセシングされて、結果としてポリペプチドpVP2(48kDa)、VP3およびVP4を生じる。ポリタンパク質の中央付近に位置しているVP4領域は、イオン性のタンパク質分解酵素の一群に属しており、タンパク質分解性の切断を担う。ポリペプチドVP2およびVP3は、カプシドの集合を直接に担う。pVP2産物は、生成された粒子に見られる形態であるタンパク質の成熟形態のVP2を生じる前に、C末端において最後に切断を受ける。このpVP2のプロセシングは、カプシドを正しく形成することに必要であり、かつVP3の存在を必要とするが、これを担うタンパク質分解酵素は、同定されていない。
【0006】
形態形成は、前駆体ポリペプチドにおける修飾に関与する連続的な段階を必要とするウイルス周期(viral cycle)に関する生活過程である。結果として、ウイルスは、構成要素の1つ1つの間において連続的なおよび正確な相互作用を可能にする、発達した戦略を有している。正20面体のウイルスによってしばしば用いられているこれら戦略の1つは、構造的な構成要素の基本として、単一のポリタンパク質のポリペプチドを利用することから成り立っている。これらの場合において、上記ポリタンパク質の正確なタンパク質分解性のプロセシングは、集合過程において重要な役割を果たしている。
【0007】
IBDVカプシド集合に関するこの原理は、以前の研究において証明されている(Fernandez−Arias A et al. 1998.“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのORF A1の発現がウイルス様粒子を結果として生じる”Journal of General Virology 79:1047−1054)。IBDVポリタンパク質をコードする遺伝子の真核細胞における発現は、形態学および生化学の両方の観点から、IBDVビリオンと完全に区別できないVLPsの形成を生じさせる。また、カプシドの集合がウイルスのポリタンパク質の合成および正確なプロセシングのみを要求し、かつウイルスゲノムあるいはVP5およびVP1タンパク質のようなウイルスゲノムにコードされる他のタンパク質の存在とは独立している、ということが観察されている。
【0008】
これまでにおいて、異なる組み換え系におけるIBDV遺伝子の発現から得られた結果は、(i)集合過程がウイルスの遺伝的な物質の存在と独立している、(ii)ポリタンパク質遺伝子によってコードされるそれらのポリタンパク質のみが、集合に必要である、および(iii)集合がポリペプチドVP2とVP3との間の調整された相互作用を必要とする、という推論を可能にする。
【0009】
しかし、修飾されていないときでさえ、pVP2/VP3の相互作用が前駆体ポリタンパク質のVP2領域とVP3領域との間に形成されるか否か、または逆にこの相互作用が当該前駆体のプロセシングの後に生じるか否か、がわかっていない。さらに、現在の情報は、VP4がカプシドの形態生成に関連のある役割を果たすことができるのかについては、考慮されていない。実際には、IBDVのVP2、VP3およびVP4タンパク質の集合によって形成されるIBDVのVLPsが開示されている(米国特許6,528,063号、米国特許5,788,970号および特開平5−194597号)。
【0010】
本願の発明者らによって開発された成果によって、異なる真核発現ベクターを用いることによって得られるIBDV VLPs用の系を確立することができる。これらのベクターは、ウイルスRNA重合酵素であるVP1の存在または非存在において、IBDVポリタンパク質を発現するために使用される。精製したVLPsの生化学的な性質決定は、ウイルスポリタンパク質だけが発現されているとき、VLPsがpVP2、VP2およびVP3タンパク質を含み、かつポリタンパク質およびウイルスRNA重合酵素が同時に発現されているとき、VLPsがpVP2、VP2、VP3およびVP1タンパク質を含むことを示している(Fernandez−Arias A et al. 1998.“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのORF A1の発現がウイルス様粒子を結果として生じる”Journal of General Virology 79: 1047−1054、Martinez−Torrecuadrada JL et al. 2000.“昆虫細胞において発現された、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのカプシドタンパク質の集合における異なる集合体”Virology 278:322−331、Maraver A et al. 2003.“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの足場タンパク質であるVP3のオリゴマー形成領域はカプシド形成に重要な役割を果たす”Journal of Virology 77:6438−49、Lombardo E et al. 1999.“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの推定されるRNA依存的なRNA重合酵素であるVP1はカプシドタンパク質VP3と複合体を形成して、ウイルス様粒子への効率的なカプシド形成を導く”Journal of Virology 73:6973−6983)。
【0011】
それから、特許文献WO02/088339には、カルボキシル末端において1つのポリペプチドと結合したIBDVポリタンパク質を含むキメラタンパク質の集合によって形成される、IBDVウイルス様粒子が開示されている。
【0012】
IBDVのpVP2タンパク質またはこれらの断片に単独に基づくCVLPs、所望のポリペプチドと融合したCVLPs、あるいはワクチンまたは所望の産物にとっての輸送物としてそれらを潜在的に利用することは、これまでに述べられていない。
【0013】
〔発明の要約〕
本発明は、例えば、薬物、ポリペプチドタンパク質、または核酸などの生物学的な活性を有する分子のような所望の産物を、ベクター化するまたは担体に組み込む新しいツールを提供するという問題に取り組む。
【0014】
本発明によって提供される解決法は、本明細書において、通常、IBDV CVLP−pVP2s*と呼ばれる所望のポリペプチドを含む異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むために遺伝子的に改変された、自身が集合してウイルス様粒子を形成するIBDV pVP2タンパク質、または当該タンパク質の断片を発現した結果として中空キメラ性ウイルス様粒子を取得できることを観察した発明者らに基づいている。実際に、本発明者らは、全長のIBDV pVP2タンパク質、またはIBDV pVP2タンパク質のアミノ酸の1番目から始まっている連続する501のアミノ酸残基、通常、441〜466アミノ酸残基のタンパク質の断片が、異種ポリペプチドと融合されて、このようにして得られた融合(キメラ)タンパク質がともに集合して、CVPLs、特にCVLPs−pVP2*を形成できることを観察している。上述のCVPLs、特にCVLPs−pVP2*は、細胞に対する特異性および細胞との相互作用という点について、天然のウイルスカプシドの性質と類似の性質を有し、かつ他の標的細胞に向かって導くようにさらに操作可能である。
【0015】
上述のCVLPs−pVP2*は、IBDV pVP2タンパク質、またはIBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501までの整数である)の配列に対して相同な少なくとも1つの配列を含む当該IBDV pVP2タンパク質の断片を包含する領域A、ならびに異種ポリペプチドを包含し、かつ上記IBDV pVP2タンパク質のアミノ末端またはカルボキシル末端に結合された領域Bを包含する融合タンパク質の集合体によって形成される。1つの実施形態において、上記異種ポリペプチドは、ワクチン接種(免疫化)、治療または診断などに使用するポリペプチドのような所望のポリペプチドを含む。上記CVLP−pVP2*は、例えば、治療、予防医学または予防、あるいは診断の目的(例えば、ワクチンまたは遺伝子治療ベクターなどの調製)など、保健医療の目的に使用されてもよい。
【0016】
本発明者らによって実施された研究は、驚くべきことに、(i)IBDV pVP2タンパク質断片(例えば、IBDV pVP2タンパク質のアミノ酸の1番目から始まっている連続する441〜501、好ましくは441〜466アミノ酸残基を有するpVP2断片)によって形成されるCVLPs、および(ii)上記CVLPsの形成の妨げにならない異種のアミノ酸配列を包含する融合タンパク質によって形成されるCVLPsが得られることを示している。また、本発明者らは、上記CVLPsがIBDVによって誘導される感染に対してトリを効果的に免疫する、または(上記CVLPsに存在する異種のアミノ酸残基および上記配列に含まれる抗原/免疫原に依存して、)他の原因因子によって誘導される感染から動物を効果的に保護することができることを観察している。
【0017】
詳細な実施形態において、本発明者らは、IBDV pVP2タンパク質の断片(例えば、IBDV pVP2タンパク質のアミノ酸の1番目から始まっている、連続する441〜466のアミノ酸残基を有するpVP2断片)およびヒスチジンタグ(実施例1)のような異種のアミノ酸配列を包含する融合タンパク質の集合体によって形成されるCVLPsを得ている。他の詳細な実施形態において、本発明者らはまた、IBDV pVP2タンパク質断片、特に、タンパク質pVP2として本明細書において同定されている、FMDV BおよびT細胞エピトープを含むBTと呼ばれる口蹄疫ウイルス(FMDV)のキメラタンパク質と融合された断片(実施例3)(Zhang, Q. et al., 2002, Acta Virologica 46(1): 1−9)の発現を用いたCVLP形成を観察している。
【0018】
単一のタンパク質(pVP2*)に基づくCVLPs産物は、2つのタンパク質(例えば、IBDV pVP2タンパク質およびIBDV VP3タンパク質に基づく融合タンパク質)によって形成された他のCVLPsの産物と比較して、使用された発現ベクターを操作する水準および産物産生の水準の両方において、多くの利点を有している。
【0019】
従って、本発明の1つの局面において、IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は441から501までの整数である)と相同な少なくとも1つの配列を含むIBDV pVP2タンパク質の断片を含むまたはからなる領域A、ならびに異種ポリペプチドを含む、またはからなる領域Bを包含する融合タンパク質に関する。1つの実施形態において、上記異種ポリペプチドは、所望のポリペプチドを含んでいる。上記融合タンパク質を取得する方法は、本発明の付加的な局面を構成する。
【0020】
他の局面において、本発明は、通常、IBDV CVLP−pVP2*(単一の)またはCVLP−pVP2s*(複数の)と呼ばれる、上記融合タンパク質の集合によって形成されるという点において特徴づけられる、後ほど定義されているような、中空キメラ性ウイルス様粒子に関する。
【0021】
本発明の付加的な局面において、上記融合タンパク質の遺伝子発現に基づく、後ほど定義されているような、本発明による上記IBDV CVLP−pVP2s*を製造する方法に関する。
【0022】
上記融合タンパク質の遺伝子発現に基づく、上記融合タンパク質または上記IBDV CVLP−pVP2sを製造する方法の実施に関して生み出される上記核酸、発現カセット、組み換えベクターおよび宿主細胞は、上記IBDV CVLP−pVP2sの製造への利用だけでなく、本発明の付加的な局面を構成する。
【0023】
上記IBDV CVLP−pVP2s*は、例えば、薬物、ポリペプチド、タンパク質、抗体または核酸などの生物学的な活性を有する所望の分子を、ベクター化するまたは担体に組み込む能力を有している。
【0024】
従って、他の局面において、本発明は、ワクチン、遺伝子治療ベクターおよび活性物質の輸送系のような、薬学的組成物の調製における上記IBDV CVLP−pVP2s*の利用に関する。上記ワクチン、遺伝子治療ベクターおよび活性物質の輸送系は、本発明の付加的な局面を構成する。
【0025】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、N末端にHisタグを有している、および有していないpVP2のC末端欠損変異体の発現を示している。Hisタグを有している(図1A)および有していない(図1Bおよび図9C)pVP2/VP2発現変異体の回収は、SDS−PAGEおよび抗VP2ポリクロナル抗体(図1Aおよび1B)および抗Hisポリクロナル抗体(図1C)を用いたウエスタンブロッティングによって解析された。同量の細胞抽出物が、pVP2/VP2変異体の相対的な発現水準を比較するために、各変異体について載せられた。IBDVカプシドは、陽性対照として使用され、pVP2およびVP2に対応する位置が示されている。単純化のために、pVP2/VP2変異体は、最後のアミノ酸の位置に従って記載されている。VP3タンパク質が存在していないことを確かめて、混入の可能性を切り捨てるために、ウエスタンブロッティングが抗VP3抗体を用いて対照化された(図示せず)。
【0026】
図2は、pVP2のC末端におけるαらせんの解析を示している。図2Aは、30%のトリフルオロエタノール(TEE)の存在下(破線)または非存在下(実線)のPES緩衝液における、1文字表記においてFGFKDIIRAIRRI(配列番号1)と表される、ポリペプチドの円偏光2色性(CD)スペクトルを示している。208nmおよび220nmにおける最小値ならびに195nmにおける増加した楕円形の形状が、この図面において観察された。図2Bにおいて、LmTIMの241〜250残基の2次構造が示されている。αらせんの両親媒性が見られる。
【0027】
図3は、クーマシーブルーを用いて染色したSDS−PAGEゲルにおけるpVP2タンパク質、およびHT−pVP2変異体の解析を示している。図3Aは、pVP2のC末端領域の図を示しており、変異体において欠損として選択された位置および配列が表されている。また、Hisタグ変異体の異形が生成された。タグ付きの変異体(図3C)およびタグなしの変異体(図3B)の両方が高い水準において発現され、以下の2段階:12の画分が取られて20倍に濃縮され、それから画分のそれぞれ1〜10μl(HT−pVP2変異体ごとに0.1μl)が載せられたことにおいて遠心分離された。それらは、SDS−PAGEによって分析され、かつクーマシーブルー染色によって現像された。星印は、ゲルが抗VP2抗体(VP2−512)を用いてウエスタンブロッティングによって分析されたことを示している。VP2−487およびVP2−494変異体は、精製条件に耐える十分に安定な構造を形成しなかったので、これらは第1のショ糖勾配(図示せず)から沈降物を得られなかった。図3Dには、IBDVに感染した細胞におけるIBDVタンパク質の通常の性質が示されている。遠心沈降方向は、右から左であり、画分12は、各勾配の上部部分を表している。
【0028】
図4は、C末端領域欠損変異体であるpVP2の集合体の電子顕微鏡写真を示している。図4Aおよび図4Bは、いくつかの残基が12面体の粒子12個によって形成されたより大きな不安定な構造(図4Aにおける矢印)に関与しているという事実にもかかわらず、VP2−441およびVP2−456変異体がT=1の対称性のカプシドを有する粒子を形成することを示している。図4C、4Dおよび4Eは、異なるVP2−466集合体の写真を示している。図4Cには、下部の画分におけるフーリエ変換(挿入)から推論される六角形の配列を有する管状の構造が示されている。図4Dは、主な構造として、T=1のカプシドを有する粒子、断続的な細い管および解離した物質を示しており、かつ培養液画分におけるT=13のカプシドを有する粒子がまた得られる。図4Eは、上部の画分においてT=1を有する粒子を示している。
【0029】
図5は、電子顕微鏡によって得られた、C末端領域に欠損を有する変異タンパク質His−pVP2に対応する集合体の写真から構成されている。濃縮画分は、得られた集合体の観察を最適化するために希釈(1/50)された。図5Aは、HT−VP2−441の集合体(T=1のカプシド構造およびより大きな12面体の集合体(矢印を用いて示されている))を示している。図5Bは、HT−VP2−466の集合体(中間の画分におけるT=13およびT=7のカプシドを有する粒子)を示している。図5Cは、中間の画分におけるT=13およびT=7のカプシドを有するHT−VP2−466粒子の集合体を示している。図5D、5Eおよび5Fは、HT−VP2−476の集合体を示している。図5Dは、下部の画分における種類Iの管状構造を示している。図5Eは、中間の画分におけるT=13およびT=7のカプシドを有する粒子ならびに管状の集合体を有する断片を示している。図5Fは、上部の画分における異常な集合体を示している。棒は、100nmの長さに一致する。
【0030】
図6は、IBDVカプシドの3次元構造を示している。図6Aは、IBDVカプシド極低温電子顕微鏡写真を示している。棒の長さは、50nmである。図6Bは、正20面体の2次元軸に沿って見た、IBDVカプシドの外表面(左)および内表面(右)の配置像(map)を示している。その表面配置像は、VP2−441の780分子の存在および部分的な特定のタンパク質の体積として0.73cm/gの値と仮定して表されている。エンベロープ細孔がはっきりと見えるように、配置像の前半球のみが示されている。5種類の3量体カプソマーが、文字a〜eを用いて示されている。棒の長さは、200オングストロームである。
【0031】
図7は、HT−VP2−466カプシドの3次元的な構造を示している。図7Aは、HT−VP2−466集合体の電子顕微鏡写真(画分7)を示している。棒の長さは、50nmである。円は、T=13、T=7、およびおそらくT=1の対称性を有する、明確に区別ができる3つの正20面体の集合体を囲んでいる。棒の長さは、50nmである。図7Bにおいて、これらの密度配置像が、780(T=13)および420(T=7)分子のHT−VP2−466の容積を含むために断面図が描かれた。HT−VP2−466の3量体の種類が示されている。棒の長さは、200オングストロームである。
【0032】
図8は、IBDVカプシドとHT−VP2−466カプシドとの構造の比較を示している。図8Aは、3次元再構成したIBDVカプシド(実線)およびHT−VP2−466カプシド(破線)の密度の特徴を示しており、どちらも15オングストロームの解像度において分析されている。タンパク質の外皮(r=253〜350オングストローム)は、わずかな隔たり(矢印)を除いて、ほとんど完全に重なり合っている。図8Bは、極低温電子顕微鏡法に使用されるIBDVカプシドおよびHT−VP2−466カプシドのタンパク質を、クーマシーブルーを用いて染色したSDS−PAGEゲルの写真を示している。pVP2/VP2およびVP3は、同じゲルから定量化された。図8Cおよび8Dは、IBDVおよびHT−VP2−466のそれぞれを3次元再構成して得られたカプシドの断面図を示している。タンパク質およびRNAは、黒である。図8Eは、IBDVカプシドとHT−VP2−466カプシドとの違いを算出することによる配置像を表している。生じた配置像は、2次元的な正20面体の軸に沿って見られるIBDVカプシドの外表面を表している。図8Fは、HT−VP2−466カプシドに対するIBDVカプシドの差異から算出された、異なる配置像を表している。これらの差異の差し引いて、132の主な突起として示される結果としての配置像は、2次元的な正20面体の軸に沿って見られるHT−VP2−466の内表面について示されている。部分的なタンパク質の容積として0.73cm/gを用いた、これらの密度を示す各島の1つは、約26kDaに対応している。一方において、442〜466(2.6kDa)およびHisタグ(3.4kDa)の部分の複製物5〜6個の大きさは、それぞれ31から37kDaの範囲にある。棒の長さは、200オングストロームである。
【0033】
図9は、IBDVカプシドおよびHT−VP2−466カプシドの構造的な構成を示している。IBDV(左半分)およびHT−VP2−466(右半分)の3次元再構成したカプシドの正20面体断面が15オングストロームの解像度おいて示されており、かつ2次元の軸に基づいて見られる。T=13を有するカプシドの中心から示されている正20面体断面の垂直方向における距離は、328オングストローム(A)、319オングストローム(B)、311オングストローム(C)、302オングストローム(D)、294オングストローム(E)、286オングストローム(F)、277オングストローム(G)、および269オングストローム(H)である。多面体の面は、ファセット(Facets)プログラム(R.A.クラウザー,MRC,ケンブリッジによって提供される)から生成された。棒の長さは200オングストロームである。
【0034】
図10は、pVP2およびHT−pVP2変異タンパク質の集合体を示している。図10Aは、C末端配列の伸張によって決まっている、単独の(VP2)またはHisタグを有する(HT−VP2)異なるC末端の伸張を有するVP2によって導入される集合体を示す図を示している。1文字表記において443−GFKLDIIRAIR−453(配列番号2)と表されるポリペプチドが示されている。VP2に結合されているC末端配列(またはそのHisタグ型)の長さが増えているので、T=1のカプシドを有する構造および管の間において、六角形の管状構造という形態を好む、置き換えについての平衡があることに注目する必要がある。また、pVP2のC末端領域および本発明に使用されている部位の完全な配列が、示されている。図10Bは、左に配列番号2のポリペプチドのここまでに説明したαらせんの説明を示している。本発明に使用される両親媒性のαらせんとVP3のC末端領域にある5つのアミノ酸(または類似のVP3 Hisタグ(H−tag)領域の配列構造)との間の提案される相補的な積み重なりが図の右側に示されている。VP3およびH−tagの配列は、C末端からN末端に向かう反対方向に示されている。
【0035】
図11は、IBDVpVP2−456タンパク質の集合体によって形成されるIBDVのキメラカプシド、ならびに酵母において発現させた口蹄疫ウイルス(FMDV)のBおよびTエピトープのキメラBTペプチドを含む、異なる分画(F6〜F11)のウエスタンブロッティング分析の結果を示している。上段のブロットは、特異的なIBDV抗VP2抗体を用いた結果を示しており、一方において、下段のブロットは、特異的な抗FMDV抗体を用いて得られた結果を示している。カプシドが形成されているときに、タンパク質を産生する凝集塊が原因である異なる免疫反応のバンド(ポリペプチド)が、上段のブロットにおいて観察され、同じポリペプチドが特異的な抗FMDV抗体によって認識される(下段のパネル)。対照(pESCURA/pVP2)は、特異的なFMDV抗体によって認識されない、特異的な抗VP2抗体に対するより小さな分子量を有する免疫反応バンドを示している。
【0036】
図12は、CVLPsを用いてマウスにワクチン接種した3週間後に、口蹄疫ウイルス(FMDV)に対する抗体を用いたELISA検定から得られた結果を示している。
【0037】
〔発明の詳細な説明〕
第1の局面において、本発明は、融合タンパク質に関する。本発明の融合タンパク質は、以下の、IBDVのpVP2タンパク質もしくは上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は441か501までの整数)を含むまたはからなる領域A、ならびに異種ポリペプチドを含む、またはからなる領域Bを包含する融合タンパク質である。1つの実施形態において、上記異種ポリペプチドは、所望のポリペプチドを包含する。領域Bは、領域Aに対してアミノ(N−)末端位置またはカルボキシル(C−)末端位置に配置されてもよい。本発明において使用されているように、“IBDV”という用語は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスを意味し、かつあらゆる公知の抗原型(1または2)に属するIBDVの異なる株を包含する(例証の方法として、van den Berg TP et al. 2000. Rev Sci Tech. 19:509−43による総説を参照のこと)。
【0038】
“IBDV pVP2 タンパク質”という用語は、通常、IBDV pVP2タンパク質のアミノ酸配列を含む、またはからなるアミノ酸配列のタンパク質と同様に、上記IBDVタンパク質と実質的に相同なタンパク質(例えば、あるIBDV pVP2タンパク質の配列と良好な整合を示すタンパク質)を意味し、かつSanchezおよびRodriguez (1999)によって与えられた定義に従って、IBDVの上記あらゆる株に典型的なあらゆる異なるpVP2タンパク質(NCBI タンパク質バンク)を包含する(Sanchez AB & Rodriguez JF.“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスにおけるタンパク質分解性のプロセシング:部位特異的な突然変異生成によるポリタンパク質切断の同定”Virology. 1999 Sep 15; 262(1): 190−199)。上記IBDVタンパク質と実質的に相同なタンパク質とは、例えば、上記IBDV pVP2タンパク質に対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性の程度を有するアミノ酸配列のタンパク質である。IBDV pVP2タンパク質の配列と相同な配列は、配列の比較に好適なコンピュータプログラム(例えば、BLASTプログラム(Altschul et al. 1997. Nucleic Acids Res. 25:3389))の助けを借りて、当該分野における当業者によって容易に同定され得る。詳細な実施形態において、IBDV pVP2タンパク質は、アクセス番号AAD30136としてNCBIに寄託されているアミノ酸配列の全長である、ソロア(Soroa)株のIBDV pVP2タンパク質である。
【0039】
“上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は441か501までの整数)という用語は、通常、IBDV pVP2タンパク質の1番目の残基から“n”番目の残基に含まれる(ここで、“n”は、441から501の間の整数である)、連続するアミノ酸配列からなるアミノ酸配列のペプチドまたはタンパク質を意味する。従って、場合に応じて、本発明によって提供されるCVLP−pVP2s*における上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片は、あらゆるIBDV株の典型的なあらゆるpVP2タンパク質(例えば、ソロア株のIBDV pVP2タンパク質(NCBIのアクセス番号AAD30136))の、1番目のアミノ酸残基から始まっている連続する441から501のアミノ酸からなる、から必須に構成される、または、を含むアミノ酸配列を有する。
【0040】
IBDV pVP2タンパク質の特定の1〜n断片は、以下の構成“pVP2−n”を意味している(ここで、“n”は、先に定義されている)。詳細な実施形態において、上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片は、以下の群:
(i)IBDV pVP2タンパク質の1から441残基を含む連続するアミノ酸の配列からなるアミノ酸配列のpVP2−441;
(ii)IBDV pVP2タンパク質の1から452残基を含む連続するアミノ酸の配列からなるアミノ酸配列のpVP2−452;
(iii)IBDV pVP2タンパク質の1から456残基を含む連続するアミノ酸の配列からなるアミノ酸配列のpVP2−456;
(iv)IBDV pVP2タンパク質の1から466残基を含む連続するアミノ酸の配列からなるアミノ酸配列のpVP2−466;
(v)IBDV pVP2タンパク質の1から476残基を含む連続するアミノ酸の配列からなるアミノ酸配列のpVP2−476;
(vi)IBDV pVP2タンパク質の1から487残基を含む連続するアミノ酸の配列からなるアミノ酸配列のpVP2−487;
(vii)IBDV pVP2タンパク質の1から494残基を含む連続するアミノ酸の配列からなるアミノ酸配列のpVP2−494;および
(viii)IBDV pVP2タンパク質の1から501残基を含む連続するアミノ酸の配列からなるアミノ酸配列のpVP2−501
からなる群から選択されたタンパク質である。
【0041】
本発明の融合タンパク質は、IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は441から501の整数である)を含む、またはからなる領域A、ならびに異種ポリペプチドを含む、またはからなる領域Bを包含する。1つの実施形態において、本発明の上記融合タンパク質は、IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501の整数である)を含む領域Aを包含する。他の実施形態において、本発明の上記融合タンパク質は、IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501の整数である)からなる領域Aを包含する。他の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、異種ポリペプチドを含む領域Bを包含する。他の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、異種ポリペプチドを含む領域Bからなる。1つの実施形態において、本発明の融合タンパク質は、IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は441から501の整数である)を含む、またはからなり、異種ポリペプチドを含む、またはからなる領域Bと結合された領域Aを包含する。詳細な実施形態において、詳細な実施形態において、上記領域Bは、IBDV pVP2タンパク質のアミノ末端領域に結合されており、一方、他の詳細な実施形態において、上記領域Bは、IBDV pVP2タンパク質のカルボキシル末端領域に結合されている。
【0042】
詳細な実施形態において、上記領域Aha,IBDV pVP2タンパク質を含むまたはからなる。この場合において、本発明の融合タンパク質を形成しているIBDV pVP2タンパク質は、あらゆるIBDV株の典型的なあらゆるpVP2タンパク質(例えば、ソロア株の全長のIBDV pVP2(NCBI アクセス番号AAD30136))であってもよい。
【0043】
他の詳細な実施形態において、上記領域Aは、上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片からなる。この場合において、本発明の融合タンパク質の領域Aを形成しているIBDV pVP2タンパク質の1〜n断片は、あらゆるIBDV株(例えば、ソロア株)の典型的なpVP2タンパク質のあらゆる1〜n断片であってもよい。詳細な実施形態において、上記領域Aを形成しているIBDV pVP2タンパク質の1〜n断片は、pVP2−441タンパク質、pVP2−452タンパク質、pVP2−456タンパク質、pVP2−466タンパク質、pVP2−476タンパク質、pVP2−487タンパク質、pVP2−494タンパク質およびpVP2−501タンパク質からなる群から選択された、中でも好ましくは、pVP2−441タンパク質、pVP2−452タンパク質、pVP2−456タンパク質およびpVP2−466タンパク質から選択されたタンパク質である。
【0044】
本発明の融合タンパク質に存在する領域Bは、異種ポリペプチドを含む、またはからなる。本発明において用いられているように、“異種ポリペプチド”という用語は、天然のIBDVカプシドを成していないポリペプチドを意味する。
【0045】
1つの実施形態において、上記異種ポリペプチドは、所望のポリペプチドを含む、またはからなる。所望のポリペプチドの大きさは、数アミノ酸から数百アミノ酸までの広い範囲において変わってもよい。上記所望のポリペプチドは、その由来(真核生物、真核生物、またはウイルスなど)に関わりなく、動物(ヒトを含む)において免疫反応を誘導することが好ましい、ウイルス、細菌または微生物の抗原のような、組み換え的に発現された、例えば、抗原を生じやすい、ほとんど完全にあらゆるポリペプチド、生体にとって不十分である機能の補助を目的とする酵素、あるいは標的のDNAまたはRNAの特異的な認識を可能にする核酸結合ペプチド領域を含む、本発明の融合タンパク質と上記標的の核酸配列を含む核酸配列との結合、および上記本発明の融合タンパク質(IBDV CVLPs−pVP2s*)を含むウイルス様粒子のカプシド形成を可能にするポリペプチドであり得る。詳細な実施形態において、上記所望のポリペプチドは、ウイルス、細菌、寄生生物、またはあらゆる他の微生物に起因する疾患、あるいは腫瘍性の疾患に対して、動物およびヒトにおいて免疫反応を誘導することが可能なエピトープまたは抗原決定因子のような、ワクチン接種、治療または診断に有用な、ポリペプチドである。
【0046】
詳細な実施形態において、上記所望のポリペプチドは、FMDV B細胞エピトープ(Bエピトープ)およびFMDV T細胞エピトープ(Tエピトープ)を含む、BTと呼ばれる口蹄疫ウイルス(FMDV)のキメラポリペプチドである(Zhang, Q. et al., 2002, Acta Virologica 46(1):1−9)。詳細な実施形態において、Bエピトープは、FMDVのVP1タンパク質(例えば、上記FMDVのスペイン抗原型Cの単離されたVP1タンパク質における133−159位または他の単離体の等価な位置)に位置しており、一方において、Tエピトープは、FMDVのVP1タンパク質(例えば、上記FMDVのアジア抗原型のVP4タンパク質における20〜34位)に位置している。
【0047】
詳細な実施形態において、上記領域Bは、単一の所望のポリペプチドを含んでいる。しかし、他の詳細な実施形態において、上記領域Bは、直列の1組を形成してもよい2つ以上の同一なまたは異なる所望のポリペプチドを含んでいる。
【0048】
詳細な実施形態において、本発明の融合タンパク質は、単一の領域Bと結合された領域Aを含む。この場合において、上記領域Bは、上記IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片のアミノ末端領域に結合されていてもよく、あるいは選択可能に、上記領域Bは、上記IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片のカルボキシル末端領域に結合されていてもよい。
【0049】
上記のように、領域Bは、1つ以上の所望のポリペプチドを含んでいてもよい。詳細な実施形態において、上記領域Bは、単一の所望のポリペプチドを含んでいるが、一方、他の詳細な実施形態において、上記領域Bは、2つ以上の所望のポリペプチドを含んでいる。
【0050】
他の詳細な実施形態において、本発明の融合タンパク質は、1つの領域Bが領域Aに存在するIBDV pVP2タンパク質またはIBDV pVP2タンパク質の1〜n断片のアミノ末端領域と結合され、かつもう1つの領域Bが領域Aに存在するIBDV pVP2タンパク質またはIBDV pVP2タンパク質の1〜n断片のカルボキシル末端領域と結合されている、2つの領域Bと結合されている領域Aを包含する。上記2つの領域Bは、同一であるまたは異なるものであってよく、かつこれらの領域Bのそれぞれが、互いに同一のまたは異なる2つ以上の所望のポリペプチドを含むことができる。
【0051】
従って、1つの実施形態において、本発明の融合タンパク質は、第1の領域Bが領域Aのアミノ末端領域と結合され、かつ第2の領域Bが領域Aのカルボキシル末端領域と結合されている、第1および第2の領域Bに結合された領域Aを包含している。上述のように、上記第1および第2の領域Bは、同一のまたは異なる異種ポリペプチドを含む。
【0052】
特定の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、所望の第1のポリペプチド(PI1)を含む第1の領域Bおよび所望の第2のポリペプチド(PI2)を含む第2の領域Bと結合された領域Aを包含する。上記所望のポリペプチド(PI1およびPI2)は、同一であるまたは異なるものであってもよい。特定の実施形態において、上記所望のポリペプチド(PI1およびPI2)は、互いに異なっている。
【0053】
他の詳細な実施形態において、本発明の融合タンパク質は、1つの領域Bが領域Aに存在するIBDV pVP2タンパク質またはIBDV pVP2タンパク質の1〜n断片のアミノ末端領域と結合され、かつもう1つの領域Bが領域Aに存在するIBDV pVP2タンパク質またはIBDV pVP2タンパク質の1〜n断片のカルボキシル末端領域と結合されている、2つの領域Bと結合されている領域Aを包含する。上記2つの領域Bは、同一であるまたは異なるものであってよく、かつこれらの領域Bのそれぞれが、互いに同一のまたは異なる2つ以上の所望のポリペプチドを含むことができる。特定の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、所望の第1のポリペプチド(PI1)を含む第1の領域Bおよび所望の第2のポリペプチド(PI2)を含む第2の領域Bと結合された領域Aを包含する。上記所望のポリペプチド(PI1およびPI2)は、同一であるまたは異なるものであってもよい。特定の実施形態において、上記所望のポリペプチド(PI1およびPI2)は、異なっている。
【0054】
本発明の融合タンパク質の領域Aは、上記領域Bと直接に結合されていてもよい。選択可能に、上記領域Aは、上記領域Bと直接に結合されていなくてもよいが、むしろ領域Aと領域Bとの間にあるリンカーポリペプチドを介して結合されている。従って、必要に応じて、本発明の融合タンパク質は、上記領域Aと領域Bとの間に位置しているリンカーポリペプチドをさらに含むことができる。上記リンカーポリペプチドは、構造的な安定性を有するペプチド、好ましくは免疫反応を誘導可能なまたは不可能な非構造的な領域を生じるペプチドであれば好適である。説明を目的として、上記適応性のあるペプチドは、アミノ酸残基、特にGlyおよびSerの繰り返し、あるいは他の好適なアミノ酸残基の繰り返しを含む。
【0055】
本発明の融合タンパク質は、好適な宿主細胞において当該融合タンパク質をコードする
核酸配列の遺伝子発現という手段によって得られてもよい。上記宿主細胞は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。当該細胞は、例えば、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸配列を有する細胞、または当該核酸によって形質転換された細胞、あるいは本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を含む組み換えベクターを用いて形質転換された、トランスフェクトされた、または感染された細胞である。本発明の融合タンパク質の取得に好適な核酸配列、発現カセット、組み換えベクターおよび宿主細胞は、IBDV CVLP−pVP2s*を産生する過程と一緒に、以下において詳細に説明されている。
【0056】
好適な宿主において発現される本発明の融合タンパク質は、自身を集合させて、本明細書において、通常、IBDV CVLP−pVP2*(単一)またはIBDV CVLP−pVP2s*(複数)と呼ばれるIBDVから由来する中空キメラ性ウイルス様粒子を形成する。
【0057】
従って、他の局面において、本発明は、上記IBDV CVLP−pVP2s*(例えば、本発明融合タンパク質を少なくとも包含している中空キメラ性ウイルス様粒子)に関する。当該IBDV CVLP−pVP2s*は、本発明の融合タンパクの集合によって形成される。当該IBDV CVLP−pVP2s*は、T=1の対称性を有し、かつIBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は441から501までの整数である)を含むまたはからなる領域A、ならびに異種ポリペプチドを含む、またはからなる領域Bを包含する本発明の融合タンパク質の集合体のみからなるという点において特徴付けられる。
【0058】
本発明のIBDV CVLP−pVP2s*は、IBDVの上記ウイルス様粒子の形成が可能な条件において、好適な宿主細胞における本発明の融合タンパク質の発現によって得られてもよい。
【0059】
従って、他の局面において、本発明の核酸配列は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸配列に関する。
【0060】
詳細な実施形態において、(i)IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501までの整数である)に対応するオープンリーディングフレーム、またはコード領域を含むまたはからなる核酸配列、ならびに(ii)1つ以上の所望のポリペプチドを含む1つ以上の異種ポリペプチドのオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる核酸配列を含んでいる。
【0061】
他の詳細な実施形態において、本発明によって提供される核酸の配列は、(i)IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501までの整数である)に対応するオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる核酸配列、(ii)1つ以上の所望のポリペプチドを含む1つ以上の異種ポリペプチドのオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる第1の核酸配列、ならびに(ii’)1つ以上の所望のポリペプチドを含む1つ以上の異種ポリペプチドのオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる第2の核酸配列を包含し、当該第2の核酸配列が当該第1の核酸配列と同一であっても、異なっていてもよい。この場合において、当該第1または第2の核酸配列のいずれか一方が、上記IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片に対応する、オープンリーディングフレームまたはコード領域を含む核酸配列の5’末端と作動可能に結合され、かつ当該第1または第2の核酸配列の残る一方が、上記IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片に対応する、オープンリーディングフレームまたはコード領域を含む核酸配列の3’末端と作動可能に結合されている。
【0062】
本明細書において使用されるように、“IBDV pVP2タンパク質に対応する、オープンリーディングフレーム”または“IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片に対応する、オープンリーディングフレーム”という用語は、上記オープンリーディングフレームの核酸配列に加えて、当該pVP2タンパク質および1〜n断片(ここで、“n”は、441から501までの整数である)をコードする同じ核酸配列と類似の他のオープンリーディングフレームを包含する。
【0063】
さらに、“1つ以上の所望のポリペプチドを含む1つ以上の異種ポリペプチドのオープンリーディングフレーム”という用語は、1つ以上の所望のポリペプチドを含む上記ポリペプチドのあらゆるコード核酸配列を含む。“類似の”という用語は、本明細書に使用されるように、IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は441から501までの整数である)のコード核酸配列に基づいて、例えば、1つ以上のヌクレオチドの挿入、核酸分子のあらゆる末端に対する1つ以上のヌクレオチドの付加、あるいはあらゆる末端または配列内における1つ以上のヌクレオチドの欠損を含む、保存的なまたは非保存的なヌクレオチドの置換によって、単離または集合されるあらゆる核酸配列を包含することを指す。通常、他の核酸配列と類似の核酸配列は、当該核酸配列と実質的に相同なものである。
【0064】
本明細書において用いられる場合、“実質的に相同な”という表現は、該当の核酸配列がヌクレオチドのレベルにおいて、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性の度合いを有していることを意味している。
【0065】
他の局面において、本発明は、本発明によって提供される核酸配列(例えば、転写因子、ならびに付加的に翻訳因子および制御因子と作動可能に結合されている本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸)を含む発現カセットを提供する。
【0066】
詳細な実施形態において、本発明によって提供される発現カセットは、(i)IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501までの整数である)に対応する、オープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる核酸配列、ならびに(ii)1つ以上の所望のポリペプチドを含む1つ以上の異種ポリペプチドのオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる核酸配列を含む、転写因子ならびに付加的に翻訳因子および制御因子と結合されている、核酸配列を包含する。
【0067】
他の実施形態において、本発明によって提供される発現カセットは、(i)IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501までの整数である)に対応するオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる核酸配列、(ii)1つ以上の所望のポリペプチドを含む1つ以上の異種ポリペプチドのオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる第1の核酸配列、ならびに(ii’)1つ以上の所望のポリペプチドを含む1つ以上の異種ポリペプチドのオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む、またはからなる第2の核酸配列(ここで、当該第2の核酸配列は、当該第1の核酸配列と同一であっても、異なっていてもよい)を含む、転写因子ならびに付加的に翻訳因子および制御因子と結合されている、核酸配列を包含する。この場合において、上記第1または第2の核酸配列のいずれか一方は、上記IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片に対応するオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む核酸の5’末端と作動可能に結合され、かつ残る他方は、上記IBDV pVP2タンパク質または上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片に対応するオープンリーディングフレームまたはコード領域を含む核酸の3’末端と作動可能に結合されている。
【0068】
本発明によって提供される発現カセットに存在する上記転写因子ならびに付加的な翻訳因子および制御因子は、作動可能に連結されている核酸配列(IBDV pVP2またはこれらの断片あるいは異種ポリペプチド)の転写を導くプロモータ、ならびに適切な時期および位置における転写および転写の好適な制御に必要な他の配列(例えば、開始シグナルおよび終止シグナル、切断部位、ポリアデニル化シグナル、複製開始点、転写促進因子、転写サイレンサーなど)を含む。本発明に係る上記因子だけでなく発現カセットの集合に使用されるベクターおよび組み換えベクターは、使用される予定の宿主細胞に従って選択される。
【0069】
他の局面において、本発明は、本発明によって提供される核酸配列または本発明によって提供される発現カセットを含む組み換えベクターを提供する。実際には、本発明によって提供される組み換えベクターの生成には、あらゆるベクターを使用してもよい。一例を挙げると、上記好適な発現系またはベクターは、個々の場合における条件および必要に従って、異種複製開始点(例えば、細菌または酵母の中において増幅されるように、細菌または酵母の開始点)と同様に、所望の1つまたは複数の遺伝子とは異なる、トランスフェクションされた細胞の選択に使用され得るマーカをさらに有する上記プラスミド、バックミド、酵母人工染色体(YACs)、細菌人工染色体(BACs)、バクテリオファージP1に基づく人工染色体(PACs)、コスミドまたはウイルスから選択されればよい。これらの組み換えベクターは、従来の遺伝工学的な技術(Sambrook et al. 1989. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 第2版 Cold Spring Harbor Laboratory出版 Cold Spring Harbor, N.Y.)を用いて、当該分野における当業者によって得られてもよく、これらは、本発明の一部である。
【0070】
詳細な実施形態において、上記組み換えベクターは、集合してIBDV CVLP−pVP2s*を形成する本発明の融合タンパク質を複製周期の間に発現する、酵母の形質転換に好適なプラスミドのようなプラスミド、あるいは組み換えバキュロウイルスのようなウイルスである。詳細な実施形態において、pVP−456タンパク質におけるC末端位置にFMDVキメラBTペプチドを含むCVLPs、特にIBDV CVLP−pVP2s*は、酵母において得られる。Saccharomyces cerevisiae菌株(実施例3)の形質転換に使用された発現プラスミドpESCURA/pVP2−456−BTは、この目的のために生成された。他の詳細な実施形態において、CVLPsは、rBVに基づく発現系(実施例1)を用いて得られている。
【0071】
他の局面において、本発明は、本発明によって提供される核酸配列(例えば、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列をコードしている核酸配列を含む核酸)を含む宿主細胞を提供する。詳細な実施形態において、上記宿主細胞は、本発明の融合タンパク質をコードしている核酸配列を含む、本発明によって提供される核酸配列によって形質転換された細胞である。他の詳細な実施形態において、上記細胞は、本発明の融合タンパク質をコードしている核酸配列を含む本発明の核酸配列を用いて形質転換された、トランスフェクションされた、または感染されている細胞である。
【0072】
本発明によって提供される核酸配列を用いた形質転換に好適なあらゆる宿主細胞、または本発明によって提供される組み換えベクターを用いた形質転換された、トランスフェクションされた、もしくは感染に好適なあらゆる宿主細胞としては、例えば、哺乳類の細胞、トリの細胞、または酵母の細胞などを用いられてもよいが、詳細な実施形態において、上記宿主細胞は、酵母細胞および昆虫細胞から選択される。酵母は、容易さおよび生産費用に関して好適である。昆虫細胞は、発現系がrBVを含むときに、好適である。rBVの使用は、バキュロウイルスの宿主範囲に関する生物学的研究における安全性の問題にとって有利である。
【0073】
詳細な実施形態において、本発明は、本発明によって提供される組み換えベクター、または本発明の核酸配列を含むプラスミドのような本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を含む本発明によって提供される発現カセットを用いて形質転換された、酵母(S. cerevisiaeまたはS. pombeなどのようなSaccharomyces属あるいはP. pastorisなどのようなPichia属の酵母)のような宿主細胞を提供する。
【0074】
詳細な実施形態において、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードしている核酸配列を含む本発明の核酸配列または本発明によって提供される発現カセットを含むrBVのような、本発明によって提供される組み換えベクターを用いて感染させた、昆虫細胞のような宿主細胞を提供する。
【0075】
他の局面において、本発明は、上記融合タンパク質の発現および必要に応じて上記IBDV CVLP−pVP2s*の回収を可能にする条件において、本発明の融合タンパク質をコードする核酸を含み、かつ本発明によって提供される宿主細胞を、培養することを包含する、IBDV CVLP−pVP2s*を生産する方法を提供する。詳細な実施形態において、当該方法は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸を含む本発明の核酸配列によって形質転換された細胞からなる、本発明によって提供される宿主細胞を用いて実施される。他の詳細な実施形態において、当該方法は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を含む本発明によって提供される組み換えベクターを用いて形質転換された、トランスフェクションされた、または感染されている細胞からなる、本発明によって提供される宿主細胞を用いて実施される。
【0076】
上記細胞において本発明の融合タンパク質を発現した後に、発現されたタンパク質は、集合してIBDV CVLP−pVP2s*を形成する。IBDV CVLP−pVP2s*は、必要に応じて、培地から単離または除去ならびに精製されてもよい。当該IBDV CVLP−pVP2s*の単離および精製は、例えば、ショ糖勾配分画法のような従来の方法によって行なわれてもよい。
【0077】
詳細な実施形態において、宿主細胞は、昆虫細胞であり、かつ本発明の融合タンパク質の遺伝子発現は、昆虫細胞において本発明によって提供される核酸配列から本発明の融合タンパク質を発現することができるrBVを用いた方法によって行われる。従って、詳細な実施形態において、本発明は、(i)組み換えタンパク質を発現して、これらの集合によるIBDV CVLP−pVP2s*の形成を可能にする条件において、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を含むrBVを用いて感染させた昆虫細胞を培養すること、および(ii)必要に応じて、当該IBDV CVLP−pVP2s*を単離および付加的に精製することを包含するIBDV CVLP−pVP2s*の生産方法を提供する。従って、当該方法は、まず、本発明の融合タンパク質をコードする核酸を含む、本発明の核酸配列または本発明によって提供される発現カセットを含むrBVから構成される組み換えベクターを得ること、当該rBVを昆虫細胞に感染させて組み換えタンパク質を発現させること、ならびに必要に応じて、本発明の融合タンパク質の集合によって形成されるIBDV CVLP−pVP2s*の単離および続いて付加的に当該IBDV CVLP−pVP2s*の実質的な精製を包含する。
【0078】
本発明の融合タンパク質の発現を可能にする組み換えバキュロウイルスの集合は、ここに記載された事項およびこの技術に関する分野の状態(Sambrook et al. 1989. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd Ed. Cold Spring Harbor Laboratory 第2版 Cold Spring Harbor, N.Y.、Leusch MS et al. 1995.“Escherichia coliにおける組み換えバキュロウイルス(バックミド)の直接の選択にとっての新規の宿主ベクター系”Gene 160:91 − 4、およびLuckow VA et al. 1993.“Escherichia coliにおいて増殖させたバキュロウイルスゲノムに外来遺伝子の部位特異的なトランスポゾンを媒介する挿入することによる、感染性組み換えバキュロウイルスの効率的な生成”J Virol 67:4566−79)に基づいて当該分野における当業者によって実施されてもよい。
【0079】
他の詳細な実施形態において、宿主細胞は、酵母細胞であり、本発明の融合タンパク質の遺伝子発現は、酵母細胞において本発明の融合タンパク質の発現を可能にする組み換えベクターを用いる方法によって行われてもよい。従って、詳細な実施形態において、本発明は、(i)組み換え融合タンパク質の発現およびこれらの集合によるIBDV CVLP−pVP2s*の形成を可能にする条件において、本発明の融合タンパク質をコードする核酸を含む組み換えベクターを用いて形質転換した酵母の培養、ならびに(ii)必要に応じて、当該IBDV CVLP−pVP2s*の単離および付加的な精製を包含するIBDV CVLP−pVP2s*の生産方法を提供する。従って、当該方法は、まず、本発明の融合タンパク質をコードする核酸を含む、本発明の核酸配列または本発明によって提供される発現カセットを含むプラスミドから構成される組み換えベクターを得ること、当該組み換えベクターを用いて酵母細胞を形質転換させて組み換えタンパク質を発現させること、ならびに必要に応じて、本発明の融合タンパク質の集合によって形成されるIBDV CVLP−pVP2s*の単離および続いて付加的に当該IBDV CVLP−pVP2s*の実質的な精製を包含する。特定の実施形態において、酵母の形質転換に好適な発現系は、pESC酵母発現系(Stratagene)に基づいている。本発明の融合タンパク質の発現を可能にする好適な組み換えベクターを用いて形質転換した酵母を培養することは、ここに記載された事項およびこの技術に関する分野の状態(pESC エピトープタグ付きベクターの取り扱い説明書 Stratagene www.stratagene.com、およびSambrook et al. 1989. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 第2版 Ed. Cold Spring Harbor Laboratory出版 Cold Spring Harbor, N.Y.)に基づいて、当該分野における当業者によって行われてもよい。通常、酵母細胞において得られたIBDV CVLP−pVP2s*は、T=1のカプシドである。一例を挙げると、領域AがpVP2−441タンパク質から構成されるIBDV CVLP−pVP2s*、pVP2−456タンパク質またはpVP2−466タンパク質は、酵母細胞において産生されるとき、このようにして得られたIBDV CVLP−pVP2s*は、T=1のカプシドのみであった。
【0080】
他の局面において、本発明は、本発明の融合タンパク質および/または本発明のIBDV CVLP−pVP2s*を産生して得るための本発明によって提供される組み換えベクターの利用に関する。
【0081】
当該IBDV CVLP−pVP2s*は、ベクター、または生物学的活性を有する分子(例えば、疾患を処置する治療的な能力を有する、薬物、ポリペプチド、タンパク質、抗体、ホルモン、酵素、または核酸など)のような所望の産物の輸送体として使用されてもよい。このため、当該IBDV CVLP−pVP2s*は、治療、診断または研究の目的に使用されてもよい。詳細な実施形態において、上記生物学的な所望の分子は、輸送された動物もしくはヒトにおける免疫反応抗原または誘導因子のような所望のポリペプチドを包含するので、当該IBDV CVLP−pVP2s*ウイルス、細菌、寄生虫または他の種類の微生物に起因するヒトおよび動物の疾患に対するワクチンの調製に使用されてもよい。また、上記生物学的な所望の分子は、好適な細胞内において誘導されるような遺伝子治療に有用な核酸配列を含むので、当該IBDV CVLP−pVP2s*遺伝子治療ベクターの調製に使用されてもよい。また、上記生物学的な所望の分子は、所望の衛生的な化合物(疾患を処置する能力を有する抗体、ホルモン、または酵素など)含むので、当該IBDV CVLP−pVP2s*活性物質の輸送系として使用されてもよい。
【0082】
従って、他の局面において、本発明は、薬学的組成物(例えば、ワクチン、または活性物質の輸送系など)の調製におけるIBDV CVLP−pVP2s*の利用に関する。詳細な実施形態において、当該薬学的組成物は、ウイルス、細菌、寄生虫または他の種類の微生物に起因するヒトまたは動物の疾患、あるいは腫瘍性の疾患に対する予防を与えることを目的とするワクチンである。他の詳細な実施形態において、当該薬学的組成物は、遺伝子治療ベクターである。他の詳細な実施形態において、当該薬学的組成物は、活性物質の輸送系である。上記活性物質は、例示的かつ非限定的に、疾患の治療に潜在的に関与する薬物、抗体、ホルモンまたは酵素などである。
【0083】
さらに、他の局面において、本発明は、治療に有効な量のIBDV CVLP−pVP2s*ならびに薬学的に受容可能な補助剤または賦形剤を含む薬学的組成物に関する。詳細な実施形態において、当該薬学的組成物は、ワクチン、遺伝子治療または活性物質の輸送系である。
【0084】
他の局面において、本発明は、薬学的に受容可能な補助剤および/または賦形剤を付加的に有する治療に有効な量のIBDV CVLP−pVP2s*を含むワクチンに関する。当該ワクチンは、微生物(例えば、ウイルス、細菌または寄生虫など)に起因する疾患、または腫瘍性の疾患に対する動物およびヒトの保護(例えば、予防)に有用である。詳細な実施形態において、当該ワクチンは、1つ以上の感染性の疾患誘導因子に起因する感染に対する動物およびヒトの同時の予防にとって、特に有用である。一例を挙げると、本発明によって提供されるワクチンは、トリ(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、ガン、キジ、ウズラおよびダチョウなど)をIBDVおよびトリの疾患の原因である1つ以上の感染性因子(トリの病原体)に対して予防することに使用されてもよい。
【0085】
本明細書において使用される意味において、“治療に有効な量”という表現は、所望の影響を引き起こすように、IBDV CVLP−pVP2s*の計算された量を意味しており、この量は、他にも理由があるが、IBDV CVLP−pVP2s*の典型的な性質および得られる免疫効果によって、通常、決定される。
【0086】
上記ワクチンに使用され得る薬学的に受容可能な補助剤および担体は、当該分野における当業者にとって周知であり、かつ従来のワクチンの調製に使用される補助剤および担体である。
【0087】
詳細な実施形態において、上記ワクチンは、食塩溶液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)もしくはあらゆる他の薬学的に受容可能な希釈剤のような、薬学的に受容可能な希釈剤における溶液または水性の懸濁液として調製される。
【0088】
本発明によって提供されるワクチンは、上記ワクチンが選択された投与方法に好適である薬学的な形態に調合されるために、使用された異種の配列またはエピトープに対して、結果として免疫反応を生じるあらゆる好適な投与方法によって投与されてもよい。詳細な実施形態において、本発明によって提供されるワクチンの投与は、非経口的(例えば、腹腔内的または皮下的など)に実施される。
【0089】
他の局面において、本発明は、IBDV CVLP−pVP2s*を含む遺伝子治療ベクターに関する。
【0090】
他の局面において。本発明は、少なくとも1つのIBDV CVLP−pVP2s*および1つの活性物質を含む活性物質の輸送系に関する。例示的かつ非限定的に、活性物質としては、疾患の処置に治療の能力を有する薬物、抗体、ホルモンまたは酵素が挙げられる。
【0091】
以下の実施例は、本発明を説明するものであり、あらゆる意味において本発明を限定するものではない。
【0092】
〔実施例1:昆虫細胞におけるIBDV CVLP−pVP2s*採取および構造的多様性の解析〕
I.材料と方法
(ウイルスの調製)
抗体型IのIBDV株であるIBDV ソロア株は、ウズラの筋肉QM7細胞から通常の手順によって精製され(Lombardo et al. 1999.“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの推定されるRNA依存的なRNA重合酵素であるVP1はカプシドタンパク質VP3と複合体を形成して、ウイルス様粒子への効率的なカプシド形成を導く”J Virol 73, 6973−6983)、25mM PES緩衝液に保存された(ピペラジン−N−N’−ビス(2−エタノスルホン酸) [PIPES] pH=6.2、150mMのNaClおよび20mMのCaCl)。
【0093】
(組み換えバキュロウイルスの集合)
組み換えバキュロウイルス(rBV)FB/VP2−456は、以前に説明されている(Caston et al., 2001. “伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの主要なカプシドタンパク質VP2のC末端は、カプシド集合体にとってのT数の決定に関与する”J Virol 75, 10815−10828)。
【0094】
プラスミドpVOTE./POLY(Ona et al, 2004.“pVP2のC末端領域は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのカプシドポリペプチドである、VP2とVP3との相互作用に必須である”Virology 322, 135−142.)は、FB/VP2−441、FB/VP2−466、FB/VP2−441FB/VP2−476、FB/VP2−487、FB/VP2−494、FB/VP2−501およびFB/VP2−512として同定されているrBVを生成するために、pVP2に由来するこれらのDNA断片のPCR合成に関する鋳型DNAとして使用されている。PCRは、ベントDNA(Vent DNA)重合酵素(Biolabs)とともに、5’末端に対する同じプライマー(5’−pVP2)および各変異体の3’末端に特異的なプライマー(表1)を用いて実施された。
【0095】
【表1】

【0096】
Bgl III−Hind IIIを用いたPCR消化の断片は、タンパク質発現プラスミドFastBacおよびpHisFastBac−C(Invitrogen)の多(ポリリンカー)クローン化部位にクローン化された。プラスミドpHisFastBac−Cは、pVP2の変種を発現させるために用いられた。使用された外部のタグ配列の1文字表記は、MSYYHHHHHHDYDIPTTENLYFQGAMGS(配列番号12)である。結果として生じるプラスミド配列は、サンガー(Sanger)の配列決定法によって確認された(Sanger et al., 1977.“連鎖停止阻害剤を用いたDNA配列決定”Proc Natl Acad Sci USA 74, 5463−5467)。
【0097】
バックミドの選別は、E. coliのDH10Bac株から得て、リポフェクトアミンを用いてそれらをトランスフェクションするためのこれらの調製は、製品(Invitrogen)の手順に従って実施した。
【0098】
集合体は、H5昆虫細胞において発現された(Maraver et al., 2003.“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのカプシドの内部タンパク質VP3の同定およびRNA結合モチーフの性質決定”J Virol 77, 2459−2468)(図1)。
【0099】
(pVP2欠損変異体構造の性質決定)
H5細胞は、好適なrBVを用いて、1つの細胞につきプラーク形成単位(PFU)1〜5の感染の多重度(m.o.i.)に感染させた。細胞は、感染後48時間(48 hours post−infection)(h.p.i.)において回収され、氷上において1%のIGEPAL CA−630(Sigma)を含むPES溶解緩衝液に溶解された。粒子の材料は、20%のショ糖の緩衝物および25〜50%の直線的なショ糖勾配を通して精製された。pVP2欠損変異タンパク質を含む粒子の材料は、超遠心分離によって20倍に濃縮され、SDS−PAGEおよびウエスタンブロッティングによって同定された。VP2を豊富に含む分画は、構造的な研究用に選抜され、精製の後から最初の1〜2日以内に使用された。
【0100】
(SDS−PAGEおよびウエスタンブロッティング)
感染細胞の細胞抽出物(10〜15μl)またはショ糖濃度勾配の画分(2〜5μl)は、1倍の最終濃度に達するまでレムリ(Laemmli)緩衝液に加えられ、加熱された(100℃において2分間)。電気泳動は、11%のポリアクリルアミドゲル(38.96%(体積あたりの重さ)のアクリルアミドおよび1.04(体積あたりの重さ)のビス−アクリルアミドメチレン)において実施された。ウエスタンブロッティングは、抗VP2血清(Lombardo et al. 1999.“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの推定されるRNA依存的なRNA重合酵素であるVP1はカプシドタンパク質VP3と複合体を形成して、ウイルス様粒子への効率的なカプシド形成を導く”J Virol 73:6973−6983)を用いて実施された。ウサギ抗VP3血清は、陰性対照として使用された。抗Hisタグ抗体は、Sigmaから得られた。
【0101】
(従来の電子顕微鏡法)
ショ糖勾配の各画分の試料2〜5μlが用意され、2%(体積あたりの重量)の水性の酢酸ウラニルを用いて逆染色された。顕微鏡写真は、100kVにおいて動作する公称倍率40000倍のJEOL 1200 EXII電子顕微鏡を用いて記録された。
【0102】
(電子顕微鏡法)
試料(5μlの液滴)またはビリオンもしくはHT−VP2−466カプシドを含む画分は、Caston et al(Caston et al., 2001. “伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの主要なカプシドタンパク質VP2のC末端は、カプシド集合体にとってのT数の決定に関与する”J Virol 75, 10815−10828)によって本質的に開示されているように確立された方法に従って、石炭を用いて覆われた網の上に置かれ、水滴を用いて2回洗浄され、吸収によって乾燥され、かつ液体エタン槽に沈められた。顕微鏡写真は、200kVにおいて動作し、かつ視野装置を備えるTecnai G2電子顕微鏡において、公称倍率50000倍において捕えられた試料が6−10e/nmの露光を受け取るように、最小の露光条件において記録された。バクテリオファージT4がガラス化され、尾部の鞘の軸方向に対する40.5オングストロームの間隔が内部の倍率対照として使用された。
【0103】
(円偏光2色性(CD)顕微鏡法)
配列番号1のペプチドは化学的に合成され、遠紫外線円偏光2色性のスペクトルが、25℃において0.1〜1mmの大きさを有する細胞を用いてJasco 2色性写真に記録された。ペプチド濃度は、10から200μMの範囲を使用した。CDスペクトルは、Jimenez 1999(Jimenez et al, 1999.“アルファチュブリンのC末端(404−451)組み換えペプチドおよびベータチュブリンのC末端(394−445)組み換えペプチドのらせん構造”Protein Sci 8, 788−799)によって以前に説明されたように分析された(図4A)。
【0104】
(画像解析)
通常の画像処理操作が、PICソフトウェアシステム(Trus et al. 1996.“電子顕微鏡のデジタル画像処理:PIC システム−III”J Struct Biol 116, 61−67)を用いて実施された。顕微鏡写真は、フーリエ解析によって、それらの解像度および非点収差に関して評価された。選択された電子顕微鏡写真のサブフォーカル(sub−forcal)値は、電子顕微鏡のコントラスト伝達関数の第1の0以内にある解像度において構造を再構成することを可能にする。解析された選択された顕微鏡写真にとってのサブフォーカル値(IBDVにとって81、HT−VP2−466カプシドにとって82)は、0.6から3.7μMの範囲(それぞれ、12〜30オングストロームの間隔におけるCTF)にわたって、ビーソフトパッケージ(Bsoft package)(Heymann, 2001)を用いて測定された。顕微鏡写真は、Zeiss PhotoScan TD scannerを用いて21μm/ピクセル(試料において4.2オングストローム)において得られ、かつ階級化して(binned)21μmピクセルを生成した。タンパク質の粒子は、抽出され、かつConway et al.の自動化された方法(Conway et al., 1993.“HSV−1の凍結した水和カプシドに対する放射線障害に対する影響”J Struct Biol 111, 222−233)を用いて前処理された。粒子の角度方向に関する第1の評価は、開始モデルとして3次元再構成したIBDVを用い、好適な尺度および28オングストロームの解像度において、“通常の方式の”フーリエ変換における処理(PFT:processes in Fourie Transforms)(Baker and Cheng, 1996.“凍結電子顕微鏡法によって結像された生物学的な巨大分子の方向を決定するモデルベース(model−based)手法”J Struct Biol 116, 120−130)によって測定される。新しい密度配置像が算出され、かつ振幅および面情報の両方が使用可能なように、PFTの演算手順を改良した様式を用いて、続く面方向決定のすべての補足および起点に使用された。
【0105】
モデルベース処理のみが、小さなVP2カプシドを再構成するために使用され、大きなVP2カプシドから抽出された他の小さなVP2カプシドは、開始モデルとして使用された。その3次元構造は、対称性によって元のカプシドと関連する無作為に選択する等価な観察によって、加重逆投影法を用いて正20面体の対称性を課すことなく、かつ全体の配向性間隔を通して、方向決定を分布させることなく、内部対照として算出された。結果として得られた密度配置像は、低解像度においてであるが、正20面体の対称性に基づく方法を用いて得られた密度配置像と類似であった(図示せず)。面は、要求されたCTFの小葉(lobule)面の単純な転移を用いて、コントラスト伝達関数(CTF)に関して補正された。再構成は、フーリエ−ベッセル手法(Crowther, 1971.“電子顕微鏡写真からのフーリエ合成による3次元再構成の手法”Phil Trans R Soc Ser B 261, 221−230)を用いて算出された。最終的な再構成は、IBDVおよびHT−VP2−466カプシドに関する10849および1557の画像を組み合わせ、かつ解像度は、それぞれ12および15オングストロームの外皮のフーリエ相関基準(閾値0.5)を用いて得られた。より小さいHT−VP2−466カプシドについての他の再構成は、顕微鏡写真の同じ設定から算出された。108の粒子を含む最終的な再構成解像度は、FSC解析(Convay et al., 1993.“HSV−1の凍結した水和カプシドに対する放射線障害に対する影響”J Struct Biol 111, 222−233)によって得られた評価に従って、約23オングストロームと評価された。
【0106】
球面的に定量された半径方向の密度プロファイルは、T=13の配置像の両方について算出され、かつ標準化および両方のプロファイルを重ねる倍率にされた。それから、配置像は、両方の差異および2つの配置像の水準を変えることによって得られた。小さな密度の島は、タンパク質の外皮に対応する半径について、より大きな差異のみに考慮して、フィルタを通して、両方の配置像の結果(図8Eおよび8Fを参照のこと)に転換された。
【0107】
II.結果
(N末端にHis−タグを有しているpVP2タンパク質C末端欠損変異体)
組み換えバキュロウイルスにおいて発現されるとき、VP2タンパク質(441アミノ酸)に生じているpVP2タンパク質のC末端(512アミノ酸)のプロセシングが起こらないと仮定すると、C末端の長さについて変化しているpVP2の異なる集合体が、上述の系において発現される。456、466、476、487、494および501位(図3A)は、上述の領域を均一に覆うために選択される。これらのpVP2/VP2変種のウエスタンブロッティング解析は、C末端に欠損を有するpVP2変異体のすべてが、正確に発現されて、主要なバンドを生じる(図1)。また、HisタグとそれらのN末端において融合されている(HT−VP2)、pVP2/VP2変異体の同じ組が、生成される。pVP2/VP2の変種の分子量は、表2に示されている。
【0108】
【表2】

【0109】
pVP2/VP2の変種は、高い水準に発現され、かつショ糖勾配を受けて、ショ糖の緩衝物を用いて精製された。上述の勾配から得られた画分は、SDS−PAGE電気泳動によって性質決定された。クーマシーブルーを用いて染色されたゲルは、pVP2の変種を含む画分が非常にブロードなバンドを有していることを示した(図3Bおよび3C)。以下に説明されている手法に従ってIBDVを感染させた細胞から得られた融合タンパク質は、上述の結果と比較するために精製された(図3D)。Hisタグを含んでいないpVP2変異体は、異種の指向性を示し、一方において、Hisタグを含んでいるpVP2/VP2融合タンパク質は、C末端領域の長さの増加に合わせてその大きさが増加するように構成されている(図3C)。
【0110】
(pVP2/VP2集合体の電子顕微鏡解析)
ショ糖勾配から得られ、電子顕微鏡法によって逆染色された、異なるタンパク質の画分の解析は、pVP2のC末端の長さおよびHisタグの有無に依存して異なる形態を示した。
【0111】
VP2−441(図4A)およびVP2−465(図4B)は、T=12の対称性を有する12面体のカプシドの直径と一致する23nmの直径を有するドーナツ型の集合体構造を生じる。従って、形成されるVP2−466集合体の種類によって、その変種は、ショ糖勾配を通ってある位置に置かれる。約25nmの直径を有する細い管を含む(図4C)下部の画分は、らせんの形態に規則正しく整列した(図4Cの箱)。中間の画分は、この対称性がおそらく非常に不安定であることを示すカプシドを妨げる物質によって取り囲まれた、T=1と類似の対称性のカプシドを有する短めの細い管を示した(図4D)。また、T=13と類似の対称物が、たまに観察された(図4Dの箱)。勾配における上部に優勢な構造は、同程度の小さい粒子であった(図4E)。VP2−476VP2−466と同じような挙動を示す。VP2−501のほとんどは、勾配の下半分における画分に移動し、約35nmの直径を有する部分的に整列した管に集合した(図4F)。勾配の上半分の部分において、VP2−502は、不規則な大きさを有する等軸のねじれた管状の構造に集合している。VP2−512が、曲がった短い細管および不規則な粒子として最終的に観察された。
【0112】
IBDVによって感染した細胞において、生成した構造のほとんどは、勾配の中間に位置し、かつ65〜70nmの直径を有する正20面体の粒子と一致していた(図4H)。しかし、種類Iの管と呼ばれる六角形の構成を有する管状の構造は、勾配の下部の近くに観察された(図4G)。
【0113】
これらの結果のすべては、VP2−466が6量体(細い管)種のカプシドおよび5量体(T=1のカプシド)種のカプシドを形成するという十分な情報を示し、かつT=13集合体を有するカプシドがたまに観察された。
【0114】
((His−)pVP2/VP2集合体の電子顕微鏡解析)
HT−pVP2/VP2融合タンパク質の集合体は、同様に解析された。23nmの直径を有する粒子の存在は、HT−VP2−441が豊富に含まれる画分において観察された(図5A)。HT−VP2−456変異体は、実際に感染性を有するT=13のカプシドと類似の形態を有する、勾配の中間に移動した構造の集合体を産生した(図5Bと図4Hとを比較すればよい)。T=1のカプシドであるHT−VP2−465のほとんどは、勾配の上部の部分に位置していた。正しいカプシドを形成する傾向は、HT−VP2−466において向上された(図5C)。T=13と類似のカプシドを有する粒子は、多量に存在することを示し、かつこれらが高い効率において得られるので、これらは、高い解像度の構造的な研究用に選抜された。53nmという中程度の大きさを有するカプシドは、T=13のカプシドと容易に区別され得る(図5Cの矢印)。
【0115】
HT−VP2−476(図5D〜F)およびHT−VP2−487の融合タンパク質は、ウイルスと同様の構造を有するカプシドとして集合される能力を維持していたが、その効率は低かった。優勢な構造は、種々の長さを有する六角形の管であった(図5D)。最後に、HT−VP2−494、HT−VP2−501およびHT−VP2−512の融合タンパク質は、明らかに六角形の配列を有する管状の構造のみを形成した。
【0116】
異なるpVP2/VP2タンパク質のN末端におけるHisタグは、規則正しい粒子におけるサブユニットの集合に影響を与えなかった。VP3の非存在において、カプシドの他の主要な構成要素であるHT−VP2−456は、T=13のカプシド類似の対称性を有する構造の正確な集合を可能にする。
【0117】
(pVP2C末端領域の443〜452アミノ酸の円偏光2色性解析)
pVP2タンパク質C末端の443〜452アミノ酸と一致する、配列番号2のペプチドの2次構造は、アガディール(Agadir)コンピュータプログラム(Munoz and Serrano, 1994.“実証的な要因を用いたらせん状のペプチドの折りたたみに関する課題の解明”Nat Struct Biol 1, 399−409)を用いて予測された。上述のプログラムは、両親媒性のαらせんを生じる、上記ペプチドにおいて明白ならせん状の傾向を検出した(図10Bの左)。この予測を対比するために、442〜454アミノ酸である合成ペプチドが合成され、2次構造の平均が円偏光2色性によって解析された。水性の緩衝液において、上記ペプチドは、不揃いな曲がりくねった形態を取り入れたような、無意味ならせん構造を示した。らせん体を誘導する溶媒であるトリフルオロエタノール(TFE)が加えられたとき、上記ペプチド明確にらせん体の構成要素の形態を生じた。類似の周知の構造を有するペプチドが見られるか否かを調べるために、WHATIF(http://www.cmbi.kun.nl/gv/wahtif)を用いてPDB(タンパク質データベース)において検索され、上記ペプチドは、Leishmania mexcanaのトリオースリン酸イソメラーゼにおける241〜250アミノ酸(Lm TIM)(Williams et al., 1999.“leishmaniaトリオースリン酸イソメラーゼの構造的かつ変異生成の研究:点変異が触媒能力を失うことなく、中温性の酵素を非常に安定な酵素に転換することができる”Protein Eng 12, 243−250)に見られた。一文字表記においてEFRDIIDATR(配列番号13)と表される上記ペプチドを10個のpVP2アミノ酸と比較すると、保存的な変化(Kに対してR)、負荷された鎖の片側の維持によって極性を変えるRを用いたDの置換、およびIに対してTの変化があり、両親媒性がほとんど一致していることが観察された。
【0118】
(IBDV カプシドの構造)
IBDV粒子の極低温顕微鏡写真は、明確に周辺を表す領域を示している(図6A)。T=13のカプシドの最終的な密度配置像は、12オングストロームの解像度を用いて算出された。上記カプシドの分子集合体は、Bottcher et al.(Bottcher et al., 1997.“極低温電子顕微鏡法によって決定された伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの3次元構造”J Virol 71, 325−330)によって開示されている、主要な性質として連続的な外皮から突出している260個のVP2の3量体が存在し、かつ異なる形態における5種類に並べられている(図6Bのa〜e)ことと、必須に類似している。解像度の向上によって、より正確かつ厳密な方法において構造的な詳細の多く、特にカプシドの内側における5つの軸を同定することができた。このようにして、5量体ごとに5つある内側に60個ある3量体は、2つの環状の端部によって置き換えられている。一方において、予測されていたように(図9)、最も外側の端部は、10個の緊密に接続された球状の密集体によって形成され、内側の端部は、5つの球状体によって形成されている。他の関連する面は、カプセル状の外皮における穴の存在に関与している。これらの穴(全部をあわせて616個)は、約15オングストロームの直径を有しており、外側における隣接する3量体の間にある接続腕と呼ばれる、密度接続に基づいて正確に配置されている。
【0119】
(His−VP2−466 カプシドの構造)
ウイルス様粒子が豊富に含まれる画分の遠視顕微鏡解析は、VP2−466カプシドが、異なっているが、類似の集合体を有するカプシドの複雑な混合物によって形成されていることを示している(図7A)。これらのカプシドは、より小さい異性体の集合体を有する、65nm(T=13のIBDVカプシドと類似している)から53nmまでの範囲にある大きさをほぼ有している。これらの構造物のすべては、同じ周辺を表す領域を示した。HT−VP2−466カプシド3次元再構成は、15オングストロームの解像度を用いて測定された(図7Bの左および中央)。IBDVカプシドおよびHT−VP2−466カプシドの外側は、ほとんど重なり合っているが、内側は、明らかな差異を示している。より大きな構造上の差は、HT−VP2−466カプシドにおいてY字型の3量体の構造を接続しているが、IBDVカプシドにはない付加的な密度が観察される、対照な5つの部分から成る軸および6つの部分から成る軸に関する。
【0120】
中間の大きさを有するHT−VP−466カプシドの密度配置像は、3角形のカプソマーの3種類(a’、b’およびc’と呼ばれる)のみを必要とすることを除いて、T=13のカプシドにおける3量体のカプソマーの類似物との等価性に基づいて、T=7の対称性を示した(図7Bの右)。T=13のカプシドとT=7のカプシドとは、正20面体の格子においてHT−VP−466の同じ必須の3量体の塊を共有している。
【0121】
(IBDV カプシドとHT−VP2−466 カプシドとの構造的および生化学的な比較)
構造上の類似性は、IBDVカプシドおよびHT−VP−466カプシドの半径方向の密度プロファイル(図8A)ならびに中央の断面(図8CおよびD)の両方において、ほとんど完全に重なっているということが、見られた。2つの軽微な差異がタンパク質の覆い(約253オングストローム〜350オングストロームの半径)に見られる(図8Aの矢印)。付加的な密度の頂点が、主にIBDVカプシドの内側において観察され、HT−VP2−466カプシドにおける他の密度の頂点が、325オングストローム〜345オングストロームの半径において、位置している。異なる配置像は、より厳密に上述の差を位置付けるために、両方の構造物において、タンパク質の鞘が有する密度の数値の数学的な減算によって算出された。2つの配置像における減算の次数を変えることによって、結果として生じる配置像は、各構造の原因になっているそれらの構造上の差異のみを示す(図8EおよびF)。IBDV上にある構造上の差異の位置は、大きく異なっている領域が隣接するVP2の3量体の間にある接続腕であるということを示している。内側における構造上の差異は、正確にはHT−VP2−466カプシドの内側の高密度体が配置されている、主に対称な5つの部分から成るおよび6つの部分から成る軸にある。
【0122】
クーマシーブルーを用いたSDS−PAGEゲル染色は、ウイルス粒子を多く含む画分が、全体のタンパク質のほぼ90%を構成する主要な要素として、pVP2/VP2およびVP3を含んでいるということを示した(図8B)。HT−VP2−466カプシドによって電子顕微鏡データを得るために使用した画分の等価な分析は、上述のカプシドが約54kDaの単一のポリペプチドから構成されていることを示した。タンパク質のさやの水準における最小の差異がVP3との差異を確認したことを考慮しないので、得られた結果は、両方のカプシドがIBDVカプシドおよびHT−VP2−466カプシドのそれぞれにとって、単一のタンパク質、VP2またはそのHisタグ変種から集合され、かつVP3がIBDVカプシドの必須な構成要素として組み入れられないということを意味している。
【0123】
(カプシドT=13における擬似等価物の解析)
このカプシドは擬似等価物を考慮する必要があるので、IBDVカプシドにとって新しい概要が考慮される必要がある。この仮定を確かめ、かつIBDVカプシドおよびHT−VP2−カプシドの同等な性質を評価するために、上述したカプシドの正20面体の配置像が比較された(図9)。最も外側の断面(328〜311オングストローム)は、4両体の単位が基本的に一致していることを示した(図9A、9Bおよび9C)。さらに、連続したカプシドが明確であり(302〜294オングストローム)、かつ最初の差異が観察された(図9Dおよび9E)。286オングストロームの半径において、T=13のカプシドの両方における内側の層が始まる部分に一致する断面は、内側にある3量体の単位260個が、対称な5つの部分から成る軸を周囲のそれらを含む、他の3量体の単位260個と明確に連続していることを示した(図9F)。5量体を形成する3量体は、6量体を形成する3量体よりも緊密に集合しており、かつHT−VP2−466カプシドの対称な6つの部分から成る軸における可視的な付加的な高密度体がある、277オングストロームの半径に明らかに融合されている。階数6の対称な軸における付加的な高密度体は(図9H)、269オングストロームの半径であることが明確である。
【0124】
III.考察
IBDVにおいて最も豊富なタンパク質であるVP2の立体配置に関する多形性が、本発明において解析されている。VP2は、まず、成熟したVP2タンパク質(441アミノ酸)を生じるためにC末端において数回のプロセシングを受ける、512アミノ酸の前駆体pVP2として合成される。従って、本発明において開発したバキュロウイルスの系において発現される変異体のほとんどは、ウイルスの集合過程の間に自然に生じる中間体と一致することができる。多形性の制御を担う分子機構が、そのC末端に対して一時的に結合され、かつその機能を果たしたときに取り除かれる71アミノ酸にある。VP3の非存在において、VP2タンパク質のN末端にHisタグが存在することは、このHisタグが集合におけるVP3タンパク質の機能を再現することを示しており、正しい集合に必要である。従って、T=13のIBDVカプシド複合体の集合を制御することは、本発明の系において遮断されてもよい、2つのポリペプチド要素の独立した相互作用を必要とする。
【0125】
本発明の結果は、VP2タンパク質の変化における分子制御因子が、αらせんの形状に配列されている443−GFKDIIRAIR−453(配列番号2)断片に配置されていることを示している。本発明のHT−VP2−456変異体は、VP2における単一の立体配置または複数の立体配置の形成における境界を表す。集合体の単位が短ければ、HT−VP2−461の場合のように、5量体構造のみが産生され(T=1のカプシド)、443〜453アミノ酸が含まれていれば、T=13カプシドおよびT=1カプシドの両方が形成される。
【0126】
〔実施例2:IBDV CVLP−pVP2s*免疫原性の性質決定〕
実施例1において得られたCVLPs−pVP2−456の免疫原性を評価するために、免疫化試験が1日齢のニワトリにおいて実施された。簡単に説明すると、7個体のSPF(特異的抗原なし)動物の群がPBSに希釈された1動物につき10μgのCVLPs−pVP2−456を含む200μlの1回投与によって筋肉内に免疫化された。類似の群は、PBSを注射された。血清が両方の群における動物の1匹ずつから毎週に抽出された。群における個々の等しい容積によって代表される同質の血清(プール)を得るために、各群および日に由来する血清は、混合された。当該血清は、ELISAを用いて分析された。これを受けて、ウェルが10ngのCVLPs−pVP2−456を用いて覆われた。試験は、これまでに開示されている手法(Bierer、Coligan、Margulies、Shevach、Strober、John WileyおよびSonsによって編集された、Current Protocols in Immunology. http://www.interscience.wiley.com/c_p/index.htm)に従って実施された。得られた結果は、補助剤の非存在において単一の免疫化がpVP2−456タンパク質に対する強力な反応を引き起こすことを示す。実施例1において得られた他のCVLPs−pVP2s*が試験されたとき、同様の結果が得られた。また、スペイン特許出願P200300751、P200400120およびP200400121に開示されているIBDV VP2を含む、他のキメラおよび非キメラのVLPの両方が試験されたとき、同様の結果が得られた。
【0127】
〔実施例3:酵母におけるCVLP−pVP2s*(pVP2-*BT)の採取〕
発現プラスミドpESCURA/pVP2−456−BTは、酵母(S. cerevisiae)の培養細胞においてIBDV CVLP−pVP2s*の取得を可能にする研究用に、pVP2−456のN末端に結合された、BTと呼ばれるFMDVキメラペプチドをコードする異種の遺伝子(Zhang, Q. et al., 2002, Acta Virologica 46(1): 1−9)を用いて生成された。当該キメラBTペプチドは、B細胞エピトープ(FMDVのスペイン抗原型における単離されたVP1タンパク質の133〜159位に配置されている)およびT細胞エピトープ(FMDVのアジア抗原型におけるVP4タンパク質の20〜34位に配置されている)を含んでいる。当該B細胞エピトープのアミノ酸配列は、一文字表記においてSIINNYYMQQYQNSM(配列番号14)であり、一方において、当該T細胞エピトープのアミノ酸配列は、一文字表記においてMTTTYTASARGDLAHLTTTHARHLP(配列番号15)である。
【0128】
発現プラスミド集合における第1の段階は、ベクターpESCURAinvにpVP2タンパク質のコード領域をクローニングすることによって実施された。プラスミドpESCURAinvは、酵素Pvu IIを用いてベクターpRS426(Stratagene)を消化し、かつ消化混合物を最連結することによって生成された。pESCURAinvである結果物のベクターは、親ベクターpRS426に対して逆の位置に他クローン化領域を含んでいる。pVP2−456タンパク質に対応するDNA断片は、鋳型としてプラスミドpVOTE.2/Polyを用いて対応するオリゴヌクレオチド(表1)とともにPCR(Fernandez−Arias, A., Risco, C., Martinez, S., Albai, J. P. & Rodriguez, J. F.(1998).“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのORF A1の発現がウイルス様粒子を結果として生じる”Journal of General Virology 79:1047−1054)することによって得られた。断片は、精製され、酵素Bgl IIおよびHind IIIを用いて消化が実施され、かつBamH IおよびHind IIIを用いてあらかじめ消化した上述のベクターpESCURA.invにクローン化された。結果物のプラスミドは、pESCURA/pVP2−456と呼ばれた。
【0129】
上述のFMDVキメラBTペプチドのオープンリーディングフレームを含むDNA断片は、あらかじめ好適な制限酵素を用いて消化された上述のプラスミドpESCURA/pVP2−456にクローン化された。
【0130】
上述のプラスミドpESCURA/pVP2−456−BTは、続いて、これまでに開示された手法(Gietz, R.D. and R. A. Woods. (2002)“Liac/SS担体DNA/PEG法による酵母の形質転換”Methods in Enzymology 350: 87−96)に従って、S. cerevisiae酵母の1倍体株である499の培養細胞の形質転換に使用された。上述のプラスミドを用いて形質転換した酵母は、アミノ酸であるトリプトファン、ロイシンおよびヒスチジンを補い、かつウラシルを欠いている(−Ura)SC培地(CSM+YNB、2%グルコースおよびバクトアガー)を用いた培養皿における増殖によって選抜された。30℃において48時間に渡ってインキュベーションした後に、タンパク質発現の以降の解析およびCVLPs−VP2−456−BTの形成の実施に使用される、コロニーが選抜された。
【0131】
pVP2−456およびBTタンパク質発現ならびにCVLP形成の解析は、他の発現系においてIBDV VLPの性質決定するこれまでに開示された手法(Fernandez−Arias, A., Risco, C., Martinez, S., Albar, J. P. & Rodriguez, J. F.(1998).“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのORF A1の発現がウイルス様粒子を結果として生じる”Journal of General Virology 79:1047−1054、およびLombardo, E., Maraver, A., Caston, J. R., Rivera, J., Fernandez−Arias, A., Serrano, A., Carrascosa, J. L. & Rodriguez, J. F. (1999).“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの推定されるRNA依存的なRNA重合酵素であるVP1はカプシドタンパク質VP3と複合体を形成して、ウイルス様粒子への効率的なカプシド形成を導く”Journal of Virology 73:6973−698)に従って実施された。選抜されたコロニーは、2%ラフィノースを補ったCSM(−Ura)+YNB液体培地において培養された。培養細胞は、30℃において24時間に渡ってインキュベートされた。この培養細胞は、光学密度(OD)0.2を有する、2%のガラクトース誘導因子を補ったCMS(Ura)+YNB培地を入れた200mlのフラスコにおいて、接種に使用された。培養細胞は、18時間に渡って(ODが1.0から2.0になるまで)30℃に維持された。酵母は、4℃において5分間に渡って3000prmによって遠心分離され、蒸留水を用いて1回の洗浄を行ったあと、ペレットは溶解緩衝液(TEN:pH8.0の10mMのTris、150mMのNaClおよび1mMのEDTA)+2倍のタンパク質分解酵素阻害剤(Compl Roche)に懸濁された。および425〜600ミクロンの大きさを有するガラスビーズ(Sigma)の1体積が溶解物に加えられた。この混合物は、常に4℃において、20秒の休憩を挟んで、30秒間に渡って4回の激しいボルテックスを実施した。それから、可溶性画分は、4℃において15分間に渡って13000rpmによって溶解混合物を遠心分離によって回収された。この試料は、これまでに開示されている手法(Lombardo, E., Maraver, A., Caston, J. R., Rivera, J., Fernandez−Arias, A., Serrano, A., Carrascosa, J. L. & Rodriguez, J. F.(1999).“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの推定されるRNA依存的なRNA重合酵素であるVP1はカプシドタンパク質VP3と複合体を形成して、ウイルス様粒子への効率的なカプシド形成を導く”Journal of Virology 73:6973−6983)に従ってショ糖勾配における画分に供された。分画後の試料および開始材料の試料は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)(分子生物学における現在の手法)ならびに抗pVP2−456および抗BT血清を用いたウエスタンブロッティング(分子生物学における現在の手法)によって解析された。ウエスタンブロットは、pVP2と一致する予想される分子量(48kDa)およびBTタンパク質と一致する予想される分子量を有する、バンドの存在を示した(図11)。これらの結果は、プラスミドpESCURA/pVP2−456−BTを用いて形質転換したS. cerevisiae培養細胞において両方のタンパク質の正しい発現を示している。異なる勾配の画分は、前述したようなTEM(Lombardo, E., Maraver, A., Caston, J. R., Rivera, J., Fernandez−Arias, A., Serrano, A., Carrascosa, J. L. & Rodriguez, J. F.(1999).“伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの推定されるRNA依存的なRNA重合酵素であるVP1はカプシドタンパク質VP3と複合体を形成して、ウイルス様粒子への効率的なカプシド形成を導く”Journal of Virology 73:6973−6983)によって解析された。勾配画分のTEM解析は、CVLPs−VP2−456−BTの存在を示した(図示せず)。
【0132】
〔実施例4:抗FMDV免疫反応を誘導するCVLPsの能力〕
CVLPsが(すなわち、CVLPs−pVP2*(pVP2−BT)(実施例3))マウスにおけるFMDVに対する免疫反応を誘導する能力を評価するために、14日齢のバルブク(Balbc)マウスの4つの群(1群につき10匹の動物)が、筋肉内的に免疫化された。処置群は、以下の群:
群1、偽薬(PBS);
群2、50μgのCVLPs;
群3、100μgのCVLPs;および
群4、50μgのCVLPsに加えて補助剤
であった。
【0133】
トコフェロールが補助剤として使用され、かつ免疫原(CVLPs)の量は、最終量が0.2mlになるようにPBSに懸濁された。ワクチン接種から3週間の後に、血清試料は、各動物から回収され、口蹄疫ウイルス(FMDV)特異抗体の存在が、前述のようなウサギ 抗抗原型C FMDV血清(抗C1ノビル(Noville))(E. de Oliveira et al. Vaccine 23 (2005) 2647−2657)を用いて捕捉した非精製のFMDV株C−S8clウイルスに対する、捕捉ELISA(trapping ELISA)によって検出された。
【0134】
簡単に説明すると、96穴プレートが炭酸塩緩衝液における抗C1ノビル血清を用いて覆われ、室温において1昼夜に渡って乾燥させた。プレートは、PBS−Tween 20(0.005%)(洗浄緩衝液)を用いて3回洗浄され、FMDV株C−S8clに感染させた胎児のハムスターの腎(BHK)細胞からの上清と一致する抗原がウェルに加えられた。インキュベーション(37℃において1時間)の後に、ウェルは、洗浄緩衝液を用いて3回洗浄され、5%BSAのPBS溶液(ブロッキング緩衝液)を用いて1時間ブロッキングされた。
【0135】
ブロッキングの後に、プレートは、0.1%のTween 20を加えたブロッキング緩衝液を用いた、上述したマウス(例えば、偽薬マウスおよびCVLPs免疫化マウス)の4つの群に由来する血清の希釈物に用いて2時間インキュベートされた。洗浄(洗浄緩衝液を用いて2回)の後に、ウェルは、0.1%のTween 20を加えたブロッキング緩衝液に懸濁させたホースラディッシュ ペルオキシダーゼと結合されたヤギ抗マウス血清を用いて1時間インキュベートされた。多数回の洗浄の後に、基質テトラメチルベンジジン(TMB)がウェルに加えられ、反応は、10分間現像され、2MのHSOを用いて停止された。抗原抗体反応は、292nmにおける分光光度計において決定された。
【0136】
図12に示されているように、群3および4に由来する動物のいくらかが、FMDVに対する特異的な抗体を主張する資格を示した。これらの結果は、CVLPs(CVLPs−pVP2*(pVP2*−BT)(実施例3))を用いた免疫化がFMDVに対する免疫反応を誘導し、かつこの免疫反応が補助剤の付加によって増加されたことを明瞭に指し示している。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1は、N末端にHisタグを有している、および有していないpVP2のC末端欠損変異体の発現を示しており、Hisタグを有している(図1A)および有していない(図1Bおよび図9C)pVP2/VP2発現変異体の回収は、SDS−PAGEおよび抗VP2ポリクロナル抗体(図1Aおよび1B)および抗Hisポリクロナル抗体(図1C)を用いたウエスタンブロッティングによって解析された。
【図2】図2は、pVP2のC末端におけるαらせんの解析を示しており、図2Aは、30%のトリフルオロエタノール(TEE)の存在下(破線)または非存在下(実線)のPES緩衝液における、1文字表記においてFGFKDIIRAIRRI(配列番号1)と表される、ポリペプチドの円偏光2色性(CD)スペクトルを示し、図2Bにおいて、LmTIMの241〜250残基の2次構造が示されている。
【図3】図3は、クーマシーブルーを用いて染色したSDS−PAGEゲルにおけるpVP2タンパク質およびHT−pVP2変異体の解析を示している。図3Aは、pVP2のC末端領域の図を示しており、変異体において欠損として選択された位置および配列が表されている。タグ付きの変異体(図3C)およびタグなしの変異体(図3B)の両方が高い水準において発現され、以下の2段階:12の画分が取られて20倍に濃縮され、それから画分のそれぞれ1〜10μl(HT−pVP2変異体ごとに0.1μl)が載せられたことにおいて遠心分離された。それらは、SDS−PAGEによって分析され、かつクーマシーブルー染色によって現像された。星印は、ゲルが抗VP2抗体(VP2−512)を用いてウエスタンブロッティングによって分析されたことを示している。図3Dには、IBDVに感染した細胞におけるIBDVタンパク質の通常の性質が示されている。
【図4】図4は、C末端領域欠損変異体であるpVP2の集合の電子顕微鏡写真を示している。図4Aおよび図4Bは、いくつかの残基が12面体の粒子12個によって形成されたより大きな不安定な構造(図4Aにおける矢印)に関与しているという事実にもかかわらず、VP2−441およびVP2−456変異体が対称性T=1のカプシドを有する粒子を形成することを示している。図4C、4Dおよび4Eは、異なるVP2−466集合体の写真を示している。図4Cには、下部の画分におけるフーリエ変換(挿入)から推論される六角形の配列を有する管状の構造が示されている。図4Dは、主な構造として、T=1のカプシドを有する粒子、断続的な細い管および解離した物質を示しており、かつ培養液画分におけるT=13のカプシドを有する粒子がまた得られる。図4Eは、上部の画分においてT=1を有する粒子を示している。
【図5】図5は、電子顕微鏡によって得られた、C末端領域に欠損を有する変異タンパク質His−pVP2に対応する集合体の写真から構成されている。図5Aは、HT−VP2−441の集合体(T=1のカプシド構造およびより大きな12面体の集合体(矢印を用いて示されている))を示している。図5Bは、HT−VP2−466の集合体(中間の画分におけるT=13およびT=7のカプシドを有する粒子)を示している。図5Cは、中間の画分におけるT=13およびT=7のカプシドを有するHT−VP2−466粒子の集合体を示している。図5D、5Eおよび5Fは、HT−VP2−476の集合体を示している。図5Dは、下部の画分におけるタイプIの管状構造を示している。図5Eは、中間の画分におけるT=13およびT=7のカプシドを有する粒子ならびに管状の集合体を有する断片を示している。図5Fは、上部の画分における異常な集合体を示している。
【図6】図6は、IBDVカプシドの3次元構造を示している。図6Aは、IBDVカプシド極低温電子顕微鏡写真を示している。図6Bは、正20面体の2次元軸に沿って見た、IBDVカプシドの外表面(左)および内表面(右)の配置像(map)を示している。
【図7】図7は、HT−VP2−466カプシドの3次元的な構造を示している。図7Aは、HT−VP2−466集合体の電子顕微鏡写真(画分7)を示している。図7Bは、これらの密度配置像は、780(T=13)および420(T=7)分子のHT−VP2−466の容積を含むために断面図が描かれた。
【図8】図8は、IBDVカプシドとHT−VP2−466カプシドとの構造の比較を示している。図8Aは、3次元再構成したIBDVカプシド(実線)およびHT−VP2−466カプシド(破線)の密度の特徴を示しており、どちらも15オングストロームの解像度において分析されている。図8Bは、極低温電子顕微鏡法に使用されるIBDVカプシドおよびHT−VP2−466カプシドのタンパク質を、クーマシーブルーを用いて染色したSDS−PAGEゲルの写真を示している。図8Cおよび8Dは、IBDVおよびHT−VP2−466のそれぞれを3次元再構成して得られたカプシドの断面図を示している。図8Eは、IBDVカプシドとHT−VP2−466カプシドとの違いを演算することによる配置像を表している。図8Fは、HT−VP2−466カプシドに対するIBDVカプシドの差異から算出された、異なる配置像を表している。
【図9】図9は、IBDVカプシドおよびHT−VP2−466カプシドの構造的な構成を示している。T=13を有するカプシドの中心から示されている正20面体断面の垂直方向における距離は、328オングストローム(A)、319オングストローム(B)、311オングストローム(C)、302オングストローム(D)、294オングストローム(E)、286オングストローム(F)、277オングストローム(G)、および269オングストローム(H)である。
【図10】図10は、pVP2およびHT−pVP2変異タンパク質の集合体を示している。図10Aは、C末端配列の伸張によって決まっている、単独の(VP2)またはHisタグを有する(HT−VP2)異なるC末端の伸張を有するVP2によって導入される集合体を示す図を示している。pVP2のC末端領域および本発明に使用されている部位の完全な配列がまた、示されている。図10Bは、左に配列番号2のポリペプチドのここまでに説明したαらせんの説明を示している。
【図11】図11は、IBDVpVP2−456タンパク質の集合体によって形成されるIBDVのキメラカプシド、ならびに酵母において発現させた口蹄疫ウイルス(FMDV)のBおよびTエピトープキメラBTペプチドを含む、異なる分画(F6〜F11)ウエスタンブロッティング分析の結果を示している。上段のブロットは、特異的なIBDV抗VP2抗体を用いた結果を示しており、下段のブロットは、特異的な抗FMDV抗体を用いて得られた結果を示している。
【図12】図12は、CVLPsを用いてマウスにワクチン接種した3週間後に、口蹄疫ウイルス(FMDV)に対する抗体を用いたELISA検定から得られた結果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)のpVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片(ここで、“n”は、441から501までの整数である)を含む領域A、ならびに異種ポリペプチドを含む領域Bを包含する融合タンパク質。
【請求項2】
上記領域Aが、IBDV pVP2タンパク質からなる請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
上記領域Aが、以下の群:
(i)IBDV pVP2タンパク質の1残基目から441残基目までを含むアミノ酸配列から構成されるアミノ酸配列であるpVP2−441;
(ii)IBDV pVP2タンパク質の1残基目から452残基目までを含むアミノ酸配列から構成されるアミノ酸配列であるpVP2−452;
(iii)IBDV pVP2タンパク質の1残基目から456残基目までを含むアミノ酸配列から構成されるアミノ酸配列であるpVP2−456;
(iv)IBDV pVP2タンパク質の1残基目から466残基目までを含むアミノ酸配列から構成されるアミノ酸配列であるpVP2−466;
(v)IBDV pVP2タンパク質の1残基目から476残基目までを含むアミノ酸配列から構成されるアミノ酸配列であるpVP2−476;
(vi)IBDV pVP2タンパク質の1残基目から487残基目までを含むアミノ酸配列から構成されるアミノ酸配列であるpVP2−487;
(vii)IBDV pVP2タンパク質の1残基目から494残基目までを含むアミノ酸配列から構成されるアミノ酸配列であるpVP2−494;ならびに
(viii)IBDV pVP2タンパク質の1残基目から501残基目までを含むアミノ酸配列から構成されるアミノ酸配列であるpVP2−501
から選択された上記IBDV pVP2タンパク質の1〜n断片からなる請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
上記領域Bが、上記IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の上記1〜n断片のアミノ末端領域に結合されている請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
上記領域Bが、上記IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の上記1〜n断片のカルボキシル末端領域に結合されている請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
上記異種ポリペプチドが所望のポリペプチドを含み、当該所望のポリペプチドがワクチン接種、治療または診断に使用するポリペプチドである請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
上記領域Bが上記異種ポリペプチドを含み、当該異種ポリペプチドが単一の所望のポリペプチドを含む請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
上記領域Bが上記異種ポリペプチドを含み、当該異種ポリペプチドが2つ以上の所望のポリペプチドを含む請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
領域Aおよび1つの領域Bを包含する請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
領域Aならびに2つの同一なまたは異なる領域Bを包含し、
上記領域Bの一方が、上記領域Aに存在する、上記IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の上記1〜n断片のアミノ末端領域に結合されており、
上記領域Bの他方が、上位領域Aに存在する、上記IBDV pVP2タンパク質または当該IBDV pVP2タンパク質の上記1〜n断片のカルボキシル末端領域に結合されている
請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
領域Bのそれぞれが異種ポリペプチドを含み、当該異種ポリペプチドが同一のまたは異なる1つ以上の所望のポリペプチドを含む請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
上記領域Aと上記領域Bとの間に置かれたリンカーポリペプチドをさらに包含する請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の融合タンパク質を少なくとも1つ包含する中空キメラ性ウイルス様粒子。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を包含する核酸。
【請求項15】
転写因子と、付加的に翻訳因子および制御因子と、作動可能に結合された請求項14に記載の核酸を包含する発現カセット。
【請求項16】
請求項14に記載の核酸を包含する組み換えベクター。
【請求項17】
付加的に異種複製開始点を有している、プラスミド、バックミド、酵母人工染色体(YACs)、細菌人工染色体(BACs)、バクテリオファージP1に基づく人工染色体(PACs)、コスミドまたはウイルスから選択される請求項16に記載のベクター。
【請求項18】
請求項14に記載の核酸、または請求項15に記載の発現カセット、または請求項16もしくは17に記載の組み換えベクターを包含する宿主細胞。
【請求項19】
請求項14に記載の核酸配列によって形質転換された宿主細胞。
【請求項20】
請求項16または17に記載の組み換えベクターを用いて形質転換された、トランスフェクションされた、または感染された宿主細胞。
【請求項21】
上記細胞が、哺乳類細胞、トリ細胞、昆虫細胞または酵母細胞である請求項18〜20のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養することを含み、さらに必要に応じて上記中空キメラ性ウイルス様粒子を回収することを包含する請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子の製造方法。
【請求項23】
上記宿主細胞が昆虫細胞であり、(i)請求項1〜12のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸を含む組み換えバキュロウイルスを用いて感染させた昆虫細胞を、上記融合タンパク質を発現することおよびその集合体が請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子であるIBDV CVLP−pVP2s*を形成することを可能にする条件において、培養すること、ならびに必要に応じて、(ii)上記IBDV CVLP−pVP2s*を単離および付加的に精製することを包含する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記宿主細胞が酵母細胞であり、(i)請求項1〜12のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸を含む組み換えベクターを用いて形質転換された酵母細胞を、上記融合タンパク質を発現することおよびその集合体が請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子であるIBDV CVLP−pVP2s*を形成することを可能にする条件において、培養すること、ならびに必要に応じて、(ii)上記IBDV CVLP−pVP2s*を単離および付加的に精製することを包含する請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子を産生かつ取得するための請求項16または17に記載の組み換えベクターの使用。
【請求項26】
薬学的組成物の調製における請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子の使用。
【請求項27】
上記薬学的組成物がワクチン、遺伝子治療ベクターまたは活性物質の輸送系である請求項26に記載の使用。
【請求項28】
付加的な薬学的に受容可能な補助剤および/または賦形剤とともに、治療に有効な量の請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子を包含する薬学的組成物。
【請求項29】
ワクチン、遺伝子治療ベクターまたは活性物質の輸送系である請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
付加的な薬学的に受容可能な補助剤および/または賦形剤とともに、治療に有効な量の請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子を包含するワクチン。
【請求項31】
2つ以上の疾患を誘導する感染性因子によって引き起こされるウイルス感染から動物およびヒトを保護する請求項30に記載のワクチン。
【請求項32】
請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子を包含する遺伝子治療ベクター。
【請求項33】
請求項13に記載の中空キメラ性ウイルス様粒子および活性物質を包含する活性物質の輸送系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−501012(P2009−501012A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520808(P2008−520808)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006915
【国際公開番号】WO2007/009673
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(508014327)
【出願人】(508014350)ビオノストラ,ソシエダッド リミターダ (1)
【Fターム(参考)】