説明

伝送方法、伝送システム、送信方法、送信装置、受信方法及び受信装置

【課題】HDMI規格などの伝送できるビット数が固定的に決められた規格を利用して、より効率良くデータ伝送ができるようにする。
【解決手段】8ビット単位の映像データを、画素クロックに同期して、色データ毎もしくは輝度および色差信号毎に、個別の伝送ラインを使用して、ソース側装置からシンク側装置に伝送する伝送方式を利用して映像データを伝送する場合に、ソース側装置からシンク側装置に伝送する1画素の映像データとして、8ビットの整数倍でない所定ビット数とし、8ビットの整数倍でない所定ビット数の映像データを、画素クロックに同期したタイミングで伝送し、1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間に、所定ビット数の映像データとは別のデータを配置して、ソース側装置からシンク側装置に伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格と称されるデジタル映像・音声入出力インターフェース規格に適用して好適な伝送方法及び伝送システム、並びにこの伝送システムに適用される送信方法、送信装置、受信方法及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数台の映像機器の間で、非圧縮のデジタル映像データなどを伝送させるインターフェース規格として、HDMI規格と称されるものが開発されている。HDMI規格は、映像データを、各色の原色データとして、1画素単位で個別に伝送する規格である(以下画素をピクセルと称する)。音声データ(オーディオデータ)についても、映像データのブランキング期間に、映像データの伝送ラインを使用して伝送するようにしてある。伝送する原色データは、赤,緑,青の加法混色の3チャンネルの原色データ(Rデータ,Gデータ,Bデータ)を伝送する場合、もしくはY,Cb,Crといった輝度および色差信号による場合などがある。
【0003】
各色の1ピクセルのデータは、基本的に8ビットで構成される。水平同期信号や垂直同期信号などの同期信号についても、それぞれの同期信号が配置されるタイミングに送信される。また、映像データのピクセルクロックの伝送ラインと、制御データの伝送ラインについても設けてある。
【0004】
図8は、HDMI規格のインターフェースで、原色データ(Rデータ,Gデータ,Bデータ)を伝送する場合の例の概要を示した図である。映像データについては、チャンネル0とチャンネル1とチャンネル2との3つのチャンネルで、BデータとGデータとRデータとを個別に伝送するようにしてある。図8の例では、ピクセル0、ピクセル1、ピクセル2、ピクセル3の4画素のデータを送る期間を示してあり、それぞれのチャンネルの1ピクセルのデータが8ビットで構成されている。
【0005】
即ち、Bデータ(青データ)については、チャンネル0を使用して、ピクセル0の期間に、8ビットのB0データが送られ、以下、8ビットのB1データ、B2データ、B3データがピクセルクロック(図示せず)に同期して順に送られる。Gデータ(緑データ)については、チャンネル1を使用して、ピクセル0の期間に、8ビットのG0データが送られ、以下、8ビットのG1データ、G1データ、G2データ、G3データがピクセルクロックに同期して順に送られる。Rデータ(赤データ)については、チャンネル2を使用して、ピクセル0の期間に、8ビットのR0データが送られ、以下、8ビットのR1データ、R2データ、R3データがピクセルクロックに同期して順に送られる。
【0006】
図8では示していないが、別のチャンネルを使用して、制御データやピクセルクロックを伝送するようにしてある。制御データについては、映像データの送信側機器(ソース側機器)から受信側機器(シンク側機器)への伝送だけでなく、受信側機器(シンク側機器)から送信側機器(ソース側機器)への伝送も行える構成としてある。また、ソース側機器では、8ビット単位でデータを暗号化してあり、シンク側機器では、8ビット単位でデータをその暗号化からの復号化を行うようにしてある。
【0007】
このように、HDMI規格のインターフェースでは、1ピクセルを、1色あたり8ビットで送ることを前提として規格化されたものである。一方、近年、色の解像度を高めることが検討されており、1ピクセルの1色あたりのビット数を、8ビット以上とすることが提案されている。例えば、1ピクセルの1色あたりのビット数を、10ビット又は12ビットとすることが提案されている。
【0008】
図9は、HDMI規格のインターフェースで、1ピクセルの1色あたり10ビットのデータを伝送することを想定した、伝送状態の例である。HDMI規格は既に説明したように、8ビットを1単位でデータを伝送することを想定した規格であり、1ピクセルクロックで、8ビット伝送する構成としてあり、10ビットのデータを伝送するためには、2ピクセルクロックが必要である。図9の例では、3ピクセルクロックで、2ピクセルのデータを伝送するデータ配置としてある。図9に示したフェーズ0,1,2が、それぞれ1ピクセルクロックの1周期を示している。
【0009】
図9のデータ構成について説明すると、例えばBデータについては、チャンネル0のフェーズ0の期間で、ピクセル0の10ビットの内の8ビットを送り、フェーズ1の期間で、ピクセル0の残りの2ビットを送り、続いた2ビット期間に、無効なデータであるダミーデータを送る。そして、フェーズ1の期間の後半の4ビット期間で、次のピクセル1の10ビットの内の4ビットを送る。次のフェーズ2の期間で、ピクセル1の残りの6ビットを送り、続いた2ビット期間に、無効なデータであるダミーデータを送る。以下、この配置が繰り返される。チャンネル1のGデータ、チャンネル2のRデータについても、同じデータ配置でピクセルデータ及びダミーデータを送る。ダミーデータが配置される期間は一例であり、別の期間に配置してもよい。なお、この図9に示すデータ配置の場合には、1つのピクセルの伝送に、1.5ピクセルクロック期間が必要であるので、ピクセルクロックについても対応して高周波数化する必要がある。
【0010】
この図9に示すデータ構成としてあることで、8ビットを1単位でデータを伝送することを想定したHDMI規格のインターフェースを利用して、比較的効率良くビット数の多いピクセルデータを送ることができる。
【0011】
特許文献1には、HDMI規格の詳細についての記載がある。
【特許文献1】WO2002/078336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、HDMI規格などのこの種のインターフェースを利用して、より高度なデータ伝送ができるようにすることについての要請がある。即ち、HDMI規格は、映像データと、それに付随する音声データを、ソース側の映像機器とシンク側の映像機器との間で伝送するものであり、映像データや音声データを伝送する伝送ラインとは別に、制御データを伝送する伝送ラインも用意され、その制御データ用のラインを使用して制御データの伝送も可能である。しかしながら、さらに別のデータを同時に伝送できるようにすることが要請されている。
【0013】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、HDMI規格などの伝送できるビット数が固定的に決められた規格を利用して、より効率良くデータ伝送ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、8ビット単位の映像データを、画素クロックに同期して、色データ毎もしくは輝度および色差信号毎に、個別の伝送ラインを使用して、ソース側装置からシンク側装置に伝送する伝送方式を利用して映像データを伝送する場合に、ソース側装置からシンク側装置に伝送する1画素の映像データとして、8ビットの整数倍でない所定ビット数とし、8ビットの整数倍でない所定ビット数の映像データを、画素クロックに同期したタイミングで伝送し、1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間に、所定ビット数の映像データとは別のデータを配置して、ソース側装置からシンク側装置に伝送するようにしたものである。
【0015】
このようにしたことで、1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間を利用して、メインの映像データとは別の各種データを伝送できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間を利用して、メインの映像データとは別の各種データを伝送できるようになり、8ビットを越える多ビット数の画素データの伝送と、メインの映像データとは別の各種データの伝送とが、両立して行えるようになり、伝送効率が向上する。また、伝送規格で定められた8ビットの伝送単位を維持した伝送形態であり、8ビット単位での暗号化や復号化が、規格で定められた状態で行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図7を参照して説明する。
【0018】
本例においては、HDMI規格でソース側機器からシンク側機器に映像データなどを伝送する伝送システムに適用したものである。図1は、本例のシステム構成例を示した図で、ソース側機器であるビデオ記録再生装置10と、シンク側機器であるテレビジョン受像機30とを、HDMIケーブル1で接続して、ビデオ記録再生装置10から映像データや音声データを、テレビジョン受像機30に伝送する構成としてある。以下の説明で、HDMI規格について、必要な構成などを順に説明するが、基本的には既存のHDMI規格をそのまま適用してあり、HDMIケーブル1の構成などは従来と同じである。
【0019】
まず、ビデオ記録再生装置10について説明すると、ビデオ記録再生装置10は記録再生部11を備え、映像データや音声データを記録し再生することができる。記録再生部11としては、例えばハードディスクドライブ(HDD)装置を使用できる。記録再生部11で再生して得た映像データは、映像処理部12に供給し、再生して得た音声データは、音声処理部14に供給する。また、チューナ16を備え、そのチューナ16で受信して得た映像データ及び音声データを、映像処理部12及び音声処理部14に供給する。
【0020】
映像処理部12では、再生又は受信して得た映像データを、伝送用の映像データとする処理が行われる。ここで、本例の映像処理部12では、2系統の映像データを同時に処理できる構成としてあり、主画像用の映像データと副画像用の映像データを生成させることができる。主画像用の映像データについては、例えば1ピクセルが1色あたり10ビットのデータとするようにしてあり、副画像用の映像データについては、例えば1ピクセルが1色あたり2ビットのデータとするようにしてある。
【0021】
音声処理部14は、再生又は受信して得た音声データを、伝送用の音声データとする処理が行われる。ここで、本例の音声処理部14では、供給される音声データを、2チャンネルオーディオ再生用の一般的なデータ構成の音声データの他に、5.1チャンネルなどのマルチチャンネル再生を行う音声データとする処理が可能としてある。2チャンネル再生用の音声データと、マルチチャンネル再生用の音声データとは、同時に出力することが可能な構成としてある。マルチチャンネル再生用の音声データについては、ビット圧縮された音声データとしてもよい。
【0022】
映像処理部12及び音声処理部14が出力する映像データ及び音声データは、HDMI伝送処理部20に供給する。HDMI伝送処理部20は、HDMI規格のインターフェースの伝送処理を行う回路部であり、例えば集積回路化してある。HDMI伝送処理部20に供給される映像データ及び音声データは、多重化回路21で多重化する。多重化の際に、主画像の映像データについては、1.5ピクセルクロック期間を使用して、1ピクセルのデータを配置するようにしてある。但し、1ピクセルクロック期間は1チャンネルあたり8ビットの伝送が可能であるので、1.5ピクセルクロック期間で12ビットの伝送が可能であり、その1.5ピクセルクロック期間ごとに生じる余裕の期間である2ビット分を利用して、本例の場合にはその他のデータを多重化回路21で配置するようにしてある。
【0023】
その他のデータとしては、例えば映像処理部12で生成された副画像データを配置する。既に説明したように、副画像データは、1色あたり1ピクセル2ビットの非圧縮映像データであり、1ピクセルあたり2ビット生じる余裕の期間に、1ピクセルずつ配置する。但し、ブランキング期間での垂直同期データや水平同期データは、主画像だけについて伝送し、副画像データについては、その副画像データ専用の垂直同期データや水平同期データは伝送しない。具体的なデータの伝送例については後述する。なお、上述したその他のデータとして、マルチチャンネル再生用の音声データを、1.5ピクセルクロック期間ごと2ビットずつ分けて配置するようにしてもよい。或いは、ビデオ記録再生装置10の制御部15で生成された比較的伝送データ量の多い制御データもしくは付帯情報を、1.5ピクセルクロック期間ごとに2ビットずつ分けて配置するようにしてもよい。
【0024】
2チャンネル音声データについては、その映像データが伝送されるチャンネルのブランキング期間を使用して伝送するように、多重化を行うようにしてある。この2チャンネル音声データをブランキング期間に配置して伝送する処理は、HDMI規格でフォーマット化された一般的な伝送処理である。
【0025】
そして、多重化回路21で多重化された伝送用のデータを、HDCP暗号化部22で暗号化する。HDCP暗号化部22は、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection System)規格で、少なくとも映像データが伝送されるチャンネルの暗号化を行うようにしてある。ここでの暗号化は、1チャンネルの8ビットのデータを単位として行うようにしてある。
【0026】
HDCP暗号化部22で暗号化されたデータは、伝送処理部23に供給し、各色のピクセルデータを個別のチャンネルに配置し、またピクセルクロックチャンネルや制御データチャンネルなども、それぞれ対応したクロックやデータとし、HDMI端子24に接続されたHDMIケーブル1に送出する。
【0027】
HDMIケーブル1は、テレビジョン受像機30のHDMI端子41に接続するようにしてある。HDMI端子41に接続されたHDMIケーブル1で伝送されたデータは、HDMI伝送処理部40内の伝送処理部42で、ピクセルクロックに同期して検出(受信)される。検出された各チャンネルのデータは、HDCP復号化部42で送信時の暗号化からの復号化を行う。ここでの復号化についても、1チャンネルごとに8ビット単位で行われる。
【0028】
復号化されたデータは、多重分離回路44に供給して、各チャンネルに多重化されたデータを分離する。ここでの分離処理としては、映像が伝送されるチャンネルのブランキング期間に配置された音声データ(2チャンネルの音声データ)を、映像データ(主映像データ)から分離する。また、1.5ピクセルクロック期間ごとに生じる2ビット分の余裕の期間に配置されたデータについても、映像データから分離する。この余裕の期間に配置されたデータが、副映像データである場合には、その副映像データを取出す。また、余裕の期間に配置されたデータが、マルチチャンネル音声データである場合には、そのマルチチャンネル音声データを取出す。さらに、余裕の期間に配置されたデータが、制御データや付帯情報である場合には、その制御データや付帯情報を取出す。
【0029】
多重分離回路44で分離された主映像データと、副映像データについては、映像選択合成部31に供給する。映像選択合成部31では、このテレビジョン受像機30の制御部36からの指示に基づいて、いずれかの映像を選択し、選択された映像データを映像処理部32に供給する。映像処理部32では、供給される映像データに必要な処理を施し、表示処理部33に供給する。表示処理部33では、表示パネル60を駆動する処理を行う。
【0030】
多重分離回路44で分離された音声データについては、音声処理部34に供給し、アナログ変換などの音声処理を行い、処理された出力を出力処理部35に供給して、スピーカ駆動用に増幅などの処理を行い、出力処理部35に接続された複数のスピーカ51〜54から出力させる。音声処理部34に供給される音声データが、2チャンネル音声データである場合には、2チャンネル用の処理を行い、マルチチャンネル音声データである場合には、そのマルチチャンネル音声再生用の処理を行う。
【0031】
多重分離回路44で分離された制御データについては、制御部36に供給する。なお、制御データについては、制御データチャンネルを使用して、このテレビジョン受像機30の制御部36から、ビデオ記録再生装置10側の制御部15に送ることもできる。
【0032】
図2は、ビデオ記録再生装置10の伝送処理部23と、テレビジョン受像機30の伝送処理部42との間で、HDMIケーブル1で伝送される各チャンネルのデータ構成例を示した図である。図2に示すように、映像データを伝送するチャンネルとして、チャンネル0と、チャンネル1と、チャンネル2の3つのチャンネルが用意してあり、さらにピクセルクロックを伝送するクロックチャンネルが用意してある。また、制御データ伝送チャンネルとしての、DDCライン及びCECラインが用意してある。
【0033】
送信側では、映像データを伝送するチャンネル毎に、伝送処理部(送信部)23a,23b,23cが伝送処理部23内に用意してあり、受信側でも、映像データを伝送するチャンネル毎に、伝送処理部(データ受信部)42a,42b,42cが伝送処理部42内に用意してある。
【0034】
各チャンネルの構成について説明すると、チャンネル0では、Bデータのピクセルデータと、垂直同期データと水平同期データと補助データとを伝送するようにしてある。チャンネル1では、Gデータのピクセルデータと、2種類の制御データ(CTL0,CTL1)と、補助データとを伝送するようにしてある。チャンネル2では、Rデータのピクセルデータと、2種類の制御データ(CTL2,CTL3)と、補助データとを伝送するようにしてある。
【0035】
図3は、本例の伝送構成で伝送される、1フレームのライン構成及びピクセル構成を示した図である。本例の場合に伝送される映像データ(主映像データ)は、非圧縮データであり、垂直ブランキング期間及び水平ブランキング期間が付加されている。具体的には、図3の例では、表示される映像エリア(アクティブビデオエリアとして示すエリア)として、480ライン×720ピクセルのピクセルデータとしてあり、ブランキング期間まで含めたライン数及びピクセル数として525ライン及び858ピクセルとしてある。ブランキング期間中のダブルハッチング(右方向と左方向の斜線)で示すエリアはデータアイランドと称される、補助データが付加可能な期間である。
【0036】
次に、本例の伝送構成で、ピクセルデータが伝送されるチャンネル0とチャンネル1とチャンネル2を使用して、データが伝送される状態を、図4を参照して説明する。図4の例では、3ピクセルクロックで、2ピクセルのデータを伝送するデータ配置としてある。1.5ピクセルクロック期間ごとに生じる2ビット分の余裕の期間に配置されるデータとしては、副画像データの例としてある。図4に示したフェーズ0,1,2が、それぞれ1ピクセルクロックの1周期を示している。
【0037】
図4のデータ構成について説明すると、例えばBデータについては、チャンネル0のフェーズ0の期間で、主画像データのピクセル0の10ビットの内の8ビットを送り、フェーズ1の期間で、主画像データのピクセル0の残りの2ビットを送り、続いた2ビット期間に、副画像データのBデータの1ピクセルを送る。
【0038】
そして、フェーズ1の期間の後半の4ビット期間で、主画像データの次のピクセル1の10ビットの内の4ビットを送る。次のフェーズ2の期間で、主画像データのピクセル1の残りの6ビットを送り、続いた2ビット期間に、副画像データのBデータの1ピクセルを送る。以下、この配置が繰り返される。チャンネル1のGデータ、チャンネル2のRデータについても、同じデータ配置で主画像データのピクセルデータ及び副画像のピクセルデータを送る。図4では、データB0,G0,R0,B1,G1,R1は、それぞれ主画像の3原色のピクセルデータを示してあり、データBS0,GS0,RS0,BS1,GS1,RS1は、それぞれ副画像の3原色のピクセルデータを示してある。
【0039】
図5は、別のデータ構成例を示す図である。この例では、図4の例に比べて、フェーズ1の期間として、最初の2ビット期間で、前のフェーズ0の期間から続いたピクセル0の主画像のピクセルデータの残りの2ビットを送り、次に、副画像のピクセル0の2ビットのピクセルデータを送り、さらに、副画像のピクセル1の2ビットのピクセルデータを送る。そして、フェーズ1の最後の2ビット期間で、ピクセル1の主画像のピクセルデータの最初の2ビットを送り、フェーズ2では、ピクセル1の残りの8ビットの主画像のピクセルデータを送る構成としてある。このように、図5の例は、副画像のピクセルデータを配置する位置が、図4の例とは異なるものである。
【0040】
図4、図5の例では、主画像のピクセルデータ以外のデータとして、副画像のピクセルデータとしたが、マルチチャンネル音声データや、制御データなどのその他のデータを配置する場合にも、同様の位置に配置すればよい。制御データとしては、例えば、表示パネルが必要なバックライトの輝度制御データなどを送るようにしてもよい。
【0041】
図6は、このように主画像のピクセルデータ以外のデータを配置する多重化を行った場合に、ソース側から、伝送データの構成について指示するデータである、VSDBと称されるデータで、多重化データ例をシンク側に指示する場合の例である。VSDBのデータは、DDCライン(図2)を使用して伝送されるデータである。この例のVSDBの場合には、6バイト目のデータで、1ピクセルが何ビットのデータであるかが示される。本例の場合には、1色の1ピクセルごとに10ビットで合計30ビットのデータであることが示される。そして、副画像の有無が示される。この副画像の有無のデータの代わりに、マルチチャンネル音声の付加の有無、又は制御データの付加の有無を示すようにしてもよい。
【0042】
シンク側機器(テレビジョン受像機30)の制御部36(図1)では、このVSDBのデータを判断して、どのようなフォーマットで副画像が伝送されているのか判断し、受信した副画像のデータの分離やデコードなどの処理を、多重分離回路44などで実行させて、副画像を使用した表示などを正しく実行させる。
【0043】
VSDBで送られる副画像に関するデータとしては、副画像のピクセル数などのより詳細なデータを送るようにしてもよい。例えば、副画像のフォーマットとして、フォーマットA,B,C,Dの4種類が存在する場合に、6バイト目のデータの下位4ビットを使用して、その4種類のいずれであるかを示す伝送構成としてもよい。フォーマットA,B,C,Dの詳細については、別に伝送してシンク側機器に知らせるようにしてもよい。例えば、フォーマットAは、主画像と同じ画素数で、各色の1画素が2ビットで、主画像と副画像が同一のフレームレートを持つ場合とし、フォーマットBは、主画像の1/4の画素数で、各色の1画素が8ビットで、主画像と副画像が同一のフレームレートを持つ場合とし、のような副画像のデータ構成の詳細を送信して知らせるようにしてもよい。
【0044】
なお、ここでは、VSDBのデータとして、ソース側から多重化データ例を指示するのに使用したが、シンク側の機器が、受信可能なデータの能力(表示処理可能な能力)を示すために、同様のデータをソース側に送るようにしてもよい。即ち、接続された機器を相互に認証する際などに、シンク側機器の制御部は、自身の表示処理能力を、VSDBのデータ(又は別のデータ)を使用してソース側に示す。ソース側の制御部では、その能力に合わせたフォーマットで、副画像のデータを伝送するように構成する。このようにすることで、適切な副画像データの伝送状態となる。
【0045】
DDCラインで伝送されるVSDBのデータを使用して、副画像に関するデータを伝送するようにしたのは、一例であり、ソース側機器とシンク側機器との間で伝送される、その他のデータ区間を使用して、同様なデータを伝送するようにしてもよい。例えば、図3に示したブランキング期間中のデータアイランドの区間の一部に、副画像を含むデータが伝送されていることを示す付加情報を配置するようにしてもよい。
【0046】
ここで、本例の伝送構成で、副画像などを伝送可能なデータ量について検証すると、例えば、クロックチャンネルの周波数が225MHz程度であった場合には、
225MHz*(3ch*8bit)*((12bit-10bit)/12bit) = 900Mbps
より、900Mbps程度までのデータを転送することができる。
また、主画像のピクセル数から検証すると、例えば主画像が1920ピクセル×1080pで60Hzであった場合については、副映像として、たとえば2^6=64色で1920ピクセル×1080pの60Hzとなり、この副画像が主映像と同期して送られる。また別の例として、主映像が1920ピクセル×1080pで60Hzであった場合には、副画像の解像度を主画像の縦横それぞれ半分の960ピクセル×540pにすれば、各色ごとに、1ピクセル8ビットの副映像が得られる。また、各色の1ピクセル12ビットで720ピクセル×480pの60HzのSD解像度の副映像を、主映像と同期して送ることができる。このように、副画像は、主画像の伝送で余っているデータ(図9でのダミーデータ)の伝送速度を超えない範囲にて、色の多ビット化と画素数の組み合わせを任意に変えることができる。
【0047】
図7は、主画像と副画像の例を示したものである。この例では、テレビジョン受像機30に表示される主画像として、特定の場所の航空写真(衛星写真)画像61としてあり、その場所の地図画像を副画像62としてある。このように関連のある主画像と副画像を送って表示させることで、画像の使い分けが可能になる。なお、本例の場合には、主画像と副画像は、ビット位置などを完全に同期させて伝送することが可能であるので、同期データについては、主画像のものを共通に使用でき、効率の良い伝送が可能である。
【0048】
このように本例の伝送処理を適用することで、主となる画像データのビット数を、1伝送単位のビット数に増やすことができると共に、その際に余るビット位置を利用して、副画像などの各種データを伝送することができ、多ビット化と伝送効率の向上とを両立させることができる。
【0049】
なお、ここまで説明した実施の形態では、1ピクセル10ビットのデータを伝送する場合の例としたが、基本的な伝送単のビット数(ここでは8ビット)と異なる12ビットや14ビットなどのデータを伝送する際に、その場合に余るビット区間に、副画像などのその他のデータを伝送するようにしてもよい。
【0050】
また、1ピクセルが16ビット単位で伝送可能なフォーマットなどの、その他のビット数で伝送可能なフォーマットに適用してもよい。暗号化や復号化の単位についても、16ビットなどのその他のビット数を単位として処理を行うものに適用してもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態では、HDMI規格のインターフェースを前提として説明したが、その他の同様な伝送規格にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態によるシステム構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による伝送チャンネル構成例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるビット構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるデータパッキング例(例1)を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるデータパッキング例(例2)を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるVSDBのデータ構成例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態による主画像と副画像の表示例を示す説明図である。
【図8】HDMI規格のデータパッキング例(1ピクセル8ビットの例)を示す説明図である。
【図9】HDMI規格のデータパッキング例(1ピクセル10ビットの例)を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…HDMIケーブル、10…ビデオ記録再生装置(ソース側機器)、11…記録再生部、12…映像処理部、14…音声処理部、15…制御部、16…チューナ、20…HDMI伝送処理部、21…多重化回路、22…HDCP暗号化部、23…伝送処理部、24…HDMI端子、30…テレビジョン受像機(シンク側機器)、31…映像選択合成部、32…映像処理部、33…表示処理部、34…音声処理部、35…出力処理部、36…制御部、40…HDMI伝送処理部、41…HDMI端子、42…伝送処理部、43…HDCP復号化部、44…多重分離回路、51〜54…スピーカ、60…表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
8ビット単位の映像データを、画素クロックに同期して、色データ毎もしくは輝度および色差信号毎に、個別の伝送ラインを使用して、ソース側装置からシンク側装置に伝送する伝送方式を利用して映像データを伝送する伝送方法であって、
前記ソース側装置から前記シンク側装置に伝送する1画素の映像データとして、8ビットの整数倍でない所定ビット数とし、
前記8ビットの整数倍でない所定ビット数の映像データを、前記画素クロックに同期したタイミングで伝送し、
1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と前記所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間に、前記所定ビット数の映像データとは別のデータを配置して、前記ソース側装置から前記シンク側装置に伝送することを特徴とする
伝送方法。
【請求項2】
請求項1記載の伝送方法において、
前記ソース側装置で、各伝送ラインに送出させるデータを、8ビット単位で暗号化し、
前記シンク側装置で、各伝送ラインを介して受信したデータを、8ビット単位で復号化することを特徴とする
伝送方法。
【請求項3】
請求項1記載の伝送方法において、
前記別のデータは、前記映像データとは別の副映像データであることを特徴とする
伝送方法。
【請求項4】
請求項1記載の伝送方法において、
前記別のデータは、音声データであることを特徴とする
伝送方法。
【請求項5】
請求項1記載の伝送方法において、
前記別のデータは、付帯情報であることを特徴とする
伝送方法。
【請求項6】
8ビット単位の映像データを、画素クロックに同期して、色データ毎もしくは輝度および色差信号毎に、個別の伝送ラインを使用して、ソース側装置からシンク側装置に伝送する伝送方式を利用して映像データを伝送する伝送システムであって、
前記ソース側装置として、
1画素の映像データが8ビットの整数倍でない所定ビット数の映像データを生成する映像データ生成部と、
前記映像データ生成部で生成された前記所定ビット数の映像データを、前記伝送方式の8ビット単位の映像データ伝送期間に配置し、1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と前記所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間に、前記所定ビット数の映像データとは別のデータを配置して、8ビット単位のデータとする伝送データ配置部と、
前記伝送データ配置部で配置された8ビット単位のデータを、前記画素クロックに同期して前記伝送ラインに送出する送出部とを備え、
前記シンク側装置として、
前記伝送ラインから受信したデータを前記画素クロックに同期して8ビット単位で検出する受信部と、
前記受信部で受信した8ビット単位のデータから、前記所定ビット数の映像データと、前記余裕の伝送期間に伝送された前記別のデータとを分離するデータ分離部とを備えたことを特徴とする
伝送システム。
【請求項7】
請求項1記載の伝送システムにおいて、
前記ソース側装置は、前記伝送データ配置部で配置された伝送データを、8ビット単位で暗号化する暗号化部を備え、前記暗号化部で暗号化された伝送データを、前記送出部から送出し、
前記シンク側装置は、前記受信部で受信した伝送データを、8ビット単位で復号化する復号化部を備え、前記復号化部で復号化された伝送データを、前記データ分離部で分離することを特徴とする
伝送システム。
【請求項8】
8ビット単位の映像データを、画素クロックに同期して、色データ毎もしくは輝度および色差信号毎に、個別の伝送ラインを使用して送信する伝送方式を利用して映像データを送信する送信方法であって、
送信する1画素の映像データとして、8ビットの整数倍でない所定ビット数とし、
前記8ビットの整数倍でない所定ビット数の映像データを、前記画素クロックに同期したタイミングで送信し、
さらに、1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と前記所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間に、前記所定ビット数の映像データとは別のデータを配置して、前記ソース側装置から前記シンク側装置に伝送することを特徴とする
送信方法。
【請求項9】
8ビット単位の映像データを、画素クロックに同期して、色データ毎もしくは輝度および色差信号毎に、個別の伝送ラインを使用して送信する伝送方式を利用して映像データを送信する送信装置であって、
1画素の映像データが8ビットの整数倍でない所定ビット数の映像データを生成する映像データ生成部と、
前記映像データ生成部で生成された前記所定ビット数の映像データを、前記伝送方式の8ビット単位の映像データ伝送期間に配置し、1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と前記所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間に、前記所定ビット数の映像データとは別のデータを配置して、8ビット単位のデータとする伝送データ配置部と、
前記伝送データ配置部で配置された8ビット単位のデータを、前記画素クロックに同期して前記伝送ラインに送出する送出部とを備えたことを特徴とする
送信装置。
【請求項10】
請求項9記載の送信装置において、
前記伝送データ配置部で配置された伝送データを、8ビット単位で暗号化する暗号化部を備え、前記暗号化部で暗号化された伝送データを、前記送出部から送出することを特徴とする
送信装置。
【請求項11】
8ビット単位の映像データを、画素クロックに同期して、色データ毎もしくは輝度および色差信号毎に、個別の伝送ラインを使用して伝送する伝送方式を利用して映像データを受信する受信方法であって、
前記受信する1画素の映像データとして、8ビットの整数倍でない所定ビット数とし、
前記8ビットの整数倍でない所定ビット数の映像データを、前記画素クロックに同期したタイミングで受信し、
1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と前記所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間に配置された、前記所定ビット数の映像データとは別のデータを分離することを特徴とする
受信方法。
【請求項12】
8ビット単位の映像データを、画素クロックに同期して、色データ毎もしくは輝度および色差信号毎に、個別の伝送ラインを使用して伝送する伝送方式を利用して映像データを受信する受信装置であって、
前記伝送ラインから受信したデータを前記画素クロックに同期して8ビット単位で検出する受信部と、
前記受信部で受信した8ビット単位のデータから、前記8ビットの整数倍でない所定ビット数の映像データと、1画素の伝送に割当てた画素クロックの期間に伝送されるビット数と前記所定ビット数との差のビット数だけ生じる余裕の伝送期間に伝送された別のデータとを分離するデータ分離部とを備えたことを特徴とする
受信装置。
【請求項13】
請求項12記載の受信装置において、
前記受信部で受信した伝送データを、8ビット単位で復号化する復号化部を備え、前記復号化部で復号化された伝送データを、前記データ分離部で分離することを特徴とする
受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−311928(P2007−311928A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136917(P2006−136917)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】