説明

伝送装置

【課題】
SDH/SONET信号の低速パスはデータ量が少ないことから、パケット化する際の収容効率向上手法としては、パケット収容前に蓄積するフレーム数を増やす方法がある。しかし、この手法では少なくとも蓄積フレーム数分の遅延が生じることになり、転送遅延が増大する。
【解決手段】
接続先のインタフェース部が同一である複数の低次パスを同一パケットに収容させることで、短い低次パスデータを収容してもパケット長を長くすることが可能となり、収容効率を向上させることができる。接続先のインタフェース部が同一である低次パスを集めることで、経路途中のノードでパケットを分解せず、パケットのまま転送することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時分割多重された信号をパケット形式の信号に収容する伝送装置や伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信キャリアのバックボーンネットワークのフルIP・Ethernet(登録商標)化が進展している。このため、旧来から存在する、時分割多重技術を用いる例えばSDH/SONET技術をベースとするバックボーンネットワークと、新しく登場し始めた、パケット形式で情報を伝達する例えばIP・Ethernet技術をベースとするバックボーンネットワークが並存する状況となっている。
【0003】
本状況を受け、ネットワーク並存による設備、保守の非効率解消の為に、旧来のSDH/SONET信号、PDH/DS-n信号をIP・Ethernetパケット化することにより、SDH/SONET技術をベースとするバックボーンネットワークを、IP・Ethernetベースのバックボーンネットワークに集約を図る為の検討が行われている。この検討により、例えばITU-T Y.1370.1、Y.1371、Y.1381などでT-MPLS技術が規定された。
【0004】
しかし、SDHの標準であるITU-T G.707で規定されるTU-11、TU-12などの低速パスは、STM-0(51.84Mbit/sec)1フレーム中の1パスあたりのバイト数はそれぞれ27バイト(管理バイトを除く純粋なユーザトラフィック部分は25バイト)、36バイト(管理バイトを除く純粋なユーザトラフィック部分は35バイト)であり、パケット化を行う単位によっては、パケット化の際に付加されるオーバヘッド、フレーム間ギャップ等による非ペイロードが通信に占める割合が高まり、逆にペイロードの割合が低下する。これを防止する為には、ITU-T Y.1413(03/04)の9.1.1節に記述されている様に、低速パスをフレーム単位を基本として、十分長い時間一旦蓄積し、纏めてパケット化する方式が考えられる。例えば、TU-11 1パスをSTM-0 10フレーム分蓄積してパケット化すれば、ペイロードの占有率を10倍にすることが出来る。前出のITU-T Y.1413では、27バイト(1フレーム分)を基本単位とし、整数倍分蓄積し、一括してパケット化する方式が勧告されている。
【0005】
【非特許文献1】ITU-T Y.1413
【非特許文献2】ITU-T G.703
【非特許文献3】ITU-T G.707
【非特許文献4】Telcordia GR-253-CORE
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のパケット収容前に蓄積するフレーム数を増やす方法では、少なくとも蓄積フレーム数分の遅延が生じることになり、SDH/SONET方式の1つのメリットである低遅延伝送が損なわれてしまう。つまり、パケットへの収容効率を高めるために、時分割多重された信号を多く蓄積すると、蓄積に要する時間が増えて、結果として信号の遅延時間が増大する。
【0007】
遅延時間を低くするためには、時分割多重された信号の蓄積量を小さくすることが考えられる。しかし、IEEE802.3は最小パケット長を64バイトと規定しており、これ以下にすることは出来ない。例えば1フレームの長さが27バイトであるTU-11をT-MPLSフレームへ収容することを考えると、最小パケット長からT-MPLSのパケットヘッダ部分を除いたT-MPLSのペイロード部分は34バイトである。T-MPLSペイロード部分に無駄なくTU-11データを収容するには、最低でも(64-34)/27フレーム以上のTU-11データを収容させる必要があり、この分の遅延が生じることになる。また、64バイトのように小さなパケット長だとパケットヘッダがペイロードに比較して非常に多い為、収容効率が低下する。
【0008】
このように、時分割多重された信号を蓄積してからパケット化する方法では、時分割多重された信号をパケットに収容する際の収容効率と、時分割多重された信号の伝送遅延との間にトレードオフの関係があり、いずれか一方を改良すると、もう一方に影響を及ぼす。以上のことから、SDH/SONET信号をパケットに収容する際に特に低次パスの収容においては高効率収容かつ低遅延な装置の実現が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願発明に係る装置は、外部の装置から時分割多重された信号をフレームごとに受信する、複数の第1のインタフェースと、この複数の第1のインタフェースに接続され、複数の第1のインタフェースから受信した信号の経路をパケットごとに設定するスイッチと、スイッチとそれぞれ接続され、スイッチを経由して第1のインタフェースから受信した信号をパケットごとに他の伝送装置に送信する、複数の第2のインタフェースとを有するよう構成する。そして第1のインタフェースは、受信したフレームに含まれる複数の信号のうち、行先が同じ信号を1つのパケットにまとめて収容する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による伝送装置は、SONET/SDH信号をパケット化し伝送する際に、パケット化に伴うオーバヘッドなどの非ペイロードの増加を抑え、パケット化に伴う遅延を低減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0012】
以下では、本発明に関する実施形態の一例について、図面を用いながら詳細に説明する。
【0013】
図2は、本実施例のパケット伝送装置がリング状に接続されたネットワークを説明する為の図である。本例は4装置でのリング構成を示している。パケット伝送装置201〜204は、各々の装置のEtherインタフェース部221〜228同士を光ファイバ251〜254によりリング状に接続されている。また、各パケット伝送装置は、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)インタフェース部211〜218を介して外部接続装置と接続されている。この外部接続装置からのSDH信号は、SDHインタフェース部211〜218へ収容され、T-MPLS(Multi Protocol Label Switching)フレームへ変換後、パケットスイッチ部241〜244にてT-MPLSラベルに従い適切なEtherインタフェース部221〜228へ転送される。
【0014】
なお、この実施例では時分割多重された信号のプロトコルとしてSDHを、パケット信号のプロトコルとしてT-MPLS(Ether)を例示し、SDH信号をT-MPLSへ収容するパケット伝送装置を例に取って説明している。しかし、これら以外のプロトコルであっても、時分割多重された信号をパケット形式の信号に収容するような場合には、本願発明が適用できることは言うまでもない。
【0015】
図3を用いて、リング構成におけるVC(Virtual Container)パスの転送方法について説明する。パケット伝送装置201のSDHインタフェース部212に収容されるSDH信号に多重されるTU(Tributary Unit)パス301が、パケット伝送装置203のSDHインタフェース部215のSDH信号へ接続される場合を説明する。まずSDHインタフェース部212が、受信したSDH信号からTU信号を分離し、これをT-MPLSフレームへ収容する。そしてSDHインタフェース部212は、外部監視制御機能部161の指示により当該T-MPLSフレームへラベルを付与する。なお、外部監視制御機能部161は、経路情報も各パケット伝送装置201〜204へ配布する。
【0016】
外部監視制御機能部161は、一例としてリング内のSDHインタフェース部単位にラベルを割り当て、そのラベル対応テーブル302を各パケット伝送装置201〜204へ配布する。SDHインタフェース部212は、TUパス301を伝送されるT-MPLSフレームに、行先SDHインタフェース部215に割り当てられたラベル“E”を付与する。そしてパケットスイッチ241へ転送されたT-MPLSフレームはラベル対応テーブル302に従って経路を切り替えられ、Etherインタフェース部222へ転送される。Etherインタフェース部222は光ファイバ251によりパケット伝送装置202のEtherインタフェース部223へ接続されている為、当該T-MPLSフレームはパケットスイッチ部242へ転送される。パケットスイッチ部242では、パケット伝送装置202が有するラベル対応テーブル302に従い、T-MPLSフレームをEtherインタフェース部224へ転送する。そしてEtherインタフェース部224は、T-MPLSフレームを、光ファイバ252で接続されたEtherインタフェース部225へ転送する。
【0017】
パケット転送装置203も同様にラベル対応テーブル302を参照して、Etherインタフェース部225、パケットスイッチ243を介してSDHインタフェース部215にT-MPLSフレームを転送する。SDHインタフェース部215は、受信したT-MPLSフレームを用いてSDHフレームを組み立て、外部接続装置に転送する。
【0018】
次に図1を用いて、本実施例のパケット伝送装置の構成を説明する。図1に例示されるパケット伝送装置では、パケットスイッチ141を挟んで、一方にITU-T G.707で規定されるSDH信号を収容するSDHインタフェース部111および112、もう一方にIEEE802.3で規定されるEther信号を収容するEtherインタフェース部121、122、131、132が設置される。ここで、Etherインタフェース部121、122は図2のリングに接続されるインタフェースであり、Etherインタフェース部131、132は、SDHインタフェース部111、112と同様に外部装置と接続されるインタフェース部である。また、外部監視制御機能部161から信号を受信し、SDHインタフェース部やEtherインタフェース部、パケットスイッチ141に指示を行う装置内監視制御機能部151を備える。
【0019】
SDHインタフェース部111、112は、外部装置からのSDH信号を収容し、T-MPLSフレームへ変換し、装置内監視制御部151から配布されるSDH信号に多重されているTU-11等の低次パスの接続先に応じたラベルを付与する。またEtherインタフェース部121、122は、リング状に接続される隣接パケット伝送装置からのT-MPLS形式のEther信号を収容する。Etherインタフェース部131、132は、外部装置からのEther信号を収容し、装置内監視制御部151から配布されるEther信号の行き先に応じたラベルを付与しT-MPLS形式に変換する。パケットスイッチ部141では、SDHインタフェース部111、112、Etherインタフェース部121、122、131、132から入力されるT-MPLSフレームのラベル毎に、装置内監視制御機能部151が持つラベル対応テーブル302に従い、適切なインタフェース部へT-MPLSフレームを転送する。
【0020】
装置内監視制御部151は外部監視制御部161からのパス設定情報に従い、SDH低次パスとT-MPLSラベルの対応、T-MPLSラベルと各インタフェース部の対応のテーブルを作成し、各インタフェース部111、112、121、122、131、132及びパケットスイッチ部141へ配信する。基準フレームパルス・クロック分配機能部171は、SDHインタフェース部111、112へSDHの基準フレームを配信し、SDHインタフェース部では基準フレームを元にSDHフレームの組み立て、TUポインタの生成を行う。
【0021】
次に図4を用いてITU-T G.707に規定されるSTM-0フレーム中にTU-11パスを収容する場合を例にして、SDHフレームフォーマットについて説明する。STM-0は、管理情報を格納するセクションオーバヘッド401と、データ領域のペイロード402で構成される。ITU-T G.707に規定されるSDHフレームは、セクションオーバヘッド+ペイロードの領域を125μsecで伝送することが規定されている。1つのTU-11(404)は9row × 3column=27バイトで構成され、このTU-11を4つ収容したものがTUG-2(403)である。STM-0ペイロード中にはTUG-2が7個収容されるため、全体では28個のTU-11収容される。このような多重化階層構造を持つことにより、ペイロード中の各TU-11パスのタイムスロット位置は固定化され、かつ各TU-11間の遅延が等しくなるという特徴を有している。
【0022】
次に図5を用いてTU-11パスの構成について説明する。図4に示すように一つのSDHフレームフォーマット内にTU-11(404)は27バイトで構成され、4つのTU-11で一つのデータ信号を収容している。各TU-11は低次群パスオーバヘッドV1バイト501〜V4バイト504を有し、V1バイト501とV2バイト502にTUポインタが格納され、このTUポインタ値からデータ信号の先頭を表すV5バイト505の位置を認識することができる。
【0023】
次に図6を用いてT-MPLSフレームフォーマットについて説明をする。T-MPLSフレームは、IEEE802.3に規定されるディスティネーションアドレス(DA)601、ソースアドレス(SA)602、Type603と、パケットの行き先を示すラベル604と、ペイロードの管理用の情報を格納する管理情報バイト605からなるパケットヘッダ部610、データを格納するペイロード611、フレーム全体の誤り有無を判断するためのフレームチェックシーケンス(FCS)612から構成される。IEEE802.3により最小パケット長が64バイトで規定されており、パケットヘッダが26バイト、FCSが4バイトであるため、パケットヘッダ+FCSを除いたペイロードデータ長は34バイト以上である必要がある。
【0024】
次に図7を用いて、本実施例のSDHインタフェース部111の詳細を説明する。本実施例ではSDHフレームのパケットへの収容方法に特徴があり、パケット伝送装置の機能ブロックではSDHインタフェース部111に特徴がある。
【0025】
SDHインタフェース部111のセクション高次パス終端部711は、外部装置より受信したSDH信号に対し、ITU-T G.707で規定されるセクションオーバヘッド終端、AUポインタ終端、高次パスオーバヘッド終端を実施する。その後、低次パスポインタ終端部712は、V1バイト501とV2バイト502から成るTUポインタ値からV5バイトの位置を認識する。
【0026】
V5バイトの位置の認識処理の詳細を図8にて説明する。SDHインタフェース部111内の基準位相生成部710は、パケット伝送装置101内の基準フレームパルス・クロック分配機能部171より分配された基準フレームパルス・クロックに基づいて、装置内の複数の機能ブロックに基準フレーム801を分配する。低次群パスポインタ終端部712では様々なV5位相を持つ受信TU-11#a(804)、受信TU-11#b(805)を受信し、V1バイト501とV2バイト502から成るTUポインタ値からデータ信号の先頭を表すV5バイト505の位置を認識する。ここまではITU-T G.707規定通りの処理を実施する。
【0027】
一つのTU-11パスは125μsec(825)であり、パケット化に伴う遅延を低減するため、125μsecを細分化する。図8の例では1パケット化時間803を3分割している。送信TU-11#a(805)、送信TU-11#b(806)は、基準フレーム801によりV1バイト501、V2バイト502のバイト位置を決める。データの先頭を示すV5バイトの位置は受信・送信で保持する必要があるため、送信側V5位置を再計算する。再計算は、低次パスポインタ終端部712で認識されたV5バイト505の位置と、基準フレーム801の位相を位相比較部720で比較し、この位相差に基づいてポインタ再計算部721でポインタの再計算を行い、送信するパケット内のV5オフセット値811を算出する。
【0028】
再び図7に戻って処理の流れを説明する。低次群パスポインタ終端部712で処理された信号は、受信バッファ部714にてパケットへ収容する低次パスのデータ長分だけバッファリングされ、受信バッファ部714と接続されるパケット化処理部716にてT-MPLSフレームへ組み立てられる。受信バッファ部714は、受信バッファ書込制御部713と受信バッファ部715の制御に従い読み書きされる。
【0029】
図9を用いて、受信バッファ書込制御部713、受信バッファ部714、受信バッファ読出制御部715、パケット化処理部716における一連の処理の流れについて説明する。受信バッファ書込制御部713は、図7における低次パスポインタ終端部712からの信号を図4のSDHの多重則に従い読み出す。本実施例では、例えば図4の最下段に図示されたTU-11単位で9バイトごとに信号を読み出し、受信バッファ部714の各TU毎に決められたバッファ領域(図9の例では#1〜#28のいずれか)に書き込む。これにより、受信バッファ部714では、TU番号毎に連続したデータが格納されることになる。なお、図9における受信バッファ部(714)にバッファリングする低次パスのデータ長9バイト(3row分)は一例である。
【0030】
また各TU毎に格納されているデータのV5位置情報も同時に格納する。格納例を図10に示す。図10において受信バッファ部714の各TU毎にV5オフセットバッファ722を設ける。図7では、オフセットバッファ722は受信バッファ部714に併設されている。このv5オフセットバッファ722は、TU-11の#1から#28それぞれの領域の中にV5バッファがあるか否かの情報(V5有無)と、ある場合はオフセット値(V5オフセット値)との情報を格納する。
【0031】
図10の例ではTU-11#1では受信バッファ部714の当該領域にV5バイトが存在し、オフセットが“2”の状態であるので、V5オフセットバッファ722ではV5の有無情報“1”とV5有の場合のオフセット“2”が書き込まれている。TU-11#2では受信バッファ部714の当該領域にV5が存在しないため、V5オフセットバッファ722ではV5の有無情報“0”とV5無の場合のオフセット“0”が書き込まれている。
【0032】
受信バッファ読出制御部715は、SDHインタフェース部監視制御部730の記憶部731に格納されたクロスコネクトテーブル901を参照し、各TUの信号を適切なパケットへ収容する。この記憶部731に格納されたクロスコネクトテーブル901は、装置内監視制御機能部151から受信した情報を基に作成される。クロスコネクトテーブル901のラベル#(図9の#Aや#Eなど)は、識別子生成部723がTUパスの行先のSDHインタフェース部に対して生成したユニークな識別情報であり、受信バッファ読出制御部715がパケット内に格納する。
【0033】
行先が同一のSDHインタフェース部であるTUデータであれば、経路の途中でパケットを分解せずに行先のSDHインタフェース部まで転送可能である為、同一パケットへ収容可能である。パケット化処理部716では、ラベル#毎に受信バッファ読出制御部715より読み出された行先が同一である複数のTUパスをT-MPLSパケット化する。例えばラベル#Aのパケット化はラベル#Aパケット化処理部902で実施され、TU-11#aとTU-11#bが収容される。
【0034】
ラベル#AのT-MPLSフレーム例を図11に示す。本実施例のT-MPLSフレームは、パケットヘッダ610と識別子1101、1103、TU-11データ1102、1103、FCS612より構成される。TU-11データ1102、1103は、図7における受信バッファ部715から読み出されたTU-11#aとTU-11#bのデータである。識別子1101、1103は各々のTUパスの付加情報であり、クロスコネクトテーブル901に示される当該TUパスの行先SDHインタフェース部におけるタイムスロット(STS番号、TUG番号、TU番号)と当該T-MPLSフレームに収容されるTUデータ中のV5バイトの有無及びオフセット情報が含まれている。これにより行先SDHインタフェース部において当該パケットに収容されるTUデータをSDHフレームの当該タイムスロットに復元可能である。上記により1つのパケットに行き先が同じである複数TUデータを収容可能となり、パケットの収容効率が向上する。また、同じSTM-0フレームに含まれる複数のTUデータを1つのパケットに収容するため、伝送遅延を低下させることができる。
【0035】
次に、パケットを受信したSDHインタフェース部215にて、図7によりパケット化されたTUデータをSDHフレームへ再生させる方法について以下説明する。図1におけるパケットスイッチ部141から入力されるT-MPLSフレームはパケット解除部741に入力され、図11のペイロードから識別子1101、1103とTU-11データ1102、1104に分離され、これら識別子やデータは送信バッファ書込制御部742に受け渡される。
【0036】
図12を用いて、送信バッファ書込制御部742、送信バッファ部743、送信バッファ読出制御部744における一連の処理を説明する。送信バッファ書込制御部742は、受信した識別子1101、1103の行先インタフェース部におけるタイムスロット情報(STS番号、TUG番号、TU番号)とクロスコネクトテーブル901のラベル#に従い、TU-11データ1102、1104と識別子1101、1103に格納されている当該TUデータ中のV5バイトの有無及びオフセット情報を送信バッファ部742の各TU毎に決められた領域に格納する。送信バッファ部742とV5バイトの有無ならびにオフセット情報との対応については、図10に示した受信バッファの場合と同様、送信バッファ部の各TU-11パスごとにV5オフセットバッファを設ける構成でも良い。
【0037】
送信バッファ読出制御部744は、送信バッファ部743よりTUデータや識別子、V5バイトの有無やオフセット情報を取り出し、低次郡パス生成部745に受け渡す。低次群パス生成部745は、送信バッファ読出制御部744から受信したデータや情報を用いて低次パス信号を生成する。このとき低次郡パス生成部745は、基準位相生成部710より分配される基準位相と送信バッファ部より読み出されるV5位置との比較によりTUポインタを算出する。
【0038】
TUポインタの算出処理の一実施例について詳細を図13にて説明する。SDHインタフェース部111内の基準位相生成部710は、パケット伝送装置101内の基準フレームパルス・クロック分配機能部171より分配されたより基準フレームに基づいて基準フレーム801を分配する。低次群パス生成部745では様々なV5位相を持つ受信TU-11#a(1304)、受信TU-11#b(1306)を受信し、V5オフセット値1310よりデータ信号の先頭を表すV5バイト(505)の位置を認識する。低次群パス生成部745は、基準フレーム801により、送信TU-11#a(1305)や送信TU-11#b(1307)それぞれのV1バイト501、V2バイト502の位置を決める。位相比較部720は、低次パス生成部745で認識されたV5バイト505位置と、基準フレーム801との位相を比較する。ポインタ再計算部721は、位相比較部720から受信した位相の比較結果に基づいてポインタの再計算を行い、TUポインタ値1311を算出する。TUポインタ算出後、低次群パス生成部745は、TUポインタとTUデータによりTUフレームを組み立て、次にセクション高次パス生成部746がTUフレームを含む高次パスを組み立て、更にはSDHフレームへの組み立てを実施し、外部接続装置へ送信する。
【0039】
以上説明したように、本実施例に係る伝送装置は、装置外部の伝送路と接続される1以上のITU-T G.707またはTelcordia GR-253-COREにより規定されるSDH/SONET信号を収容するインタフェース部と、1以上のIEEE802.3により規定される信号を収容するインタフェース部と、基準フレームを生成し当該装置内のインタフェース部へ分配するクロック部と、これらのインタフェース部間を任意に接続するパケットスイッチ部とを有する。
【0040】
さらに本実施例に係る伝送装置は、装置内のSDH/SONET信号を収容する全てのインタフェース部に対し、ITU-T G.707またはTelcordia GR-253-COREにより規定される低次パスにおけるマルチフレーム1サイクル分に相当する基準フレームパルスを分配する手段を有する。
【0041】
また、本実施例に係る伝送装置は、SDH/SONET信号を収容するインタフェース部の受信機能部において、低次パスのポインタ解釈を実施し、V5バイト位置を認識する手段と、パスの接続先のインタフェース部が同一である複数の低次パスを同一パケットに収容する手段と、低次パスの先頭に当該パスの行き先のタイムスロット番号及びV5位置を記録した識別子を付加する手段とを備える。
【0042】
また、本実施例に係る伝送装置は、SDH/SONET信号を収容するインタフェース部の送信機能部において、上記受信部にて組み立てたパケットを受信し、当該パケットに複数収容される低次パスの識別子からタイムスロット情報に従いITU-T G.707またはTelcordia GR-253-COREで規定されるフレームにマッピングする手段と、当該識別子のV5バイト位置情報とクロック部からの基準フレームとの位相関係から低次パスポインタを生成する手段を備える。
【0043】
さらに本実施例に係る伝送装置は、外部制御装置から低次パス経路情報を取得し、パケットの宛先アドレス及びラベルに変換する手段と、その変換情報をテーブルに保持する手段を備えても良い。本実施例に係る伝送装置は、ITU-T G.703またはTelcordia GR-253-COREに規定されるPDH信号を収容し、ITU-T G.703またはTelcordia GR-253-COREに規定されるTU-11、TU-12、TU-2またはVT1.5 SPE、VT2 SPE、VT3 SPE、VT6 SPEへ変換する手段を有する。
【0044】
本実施例に記載の伝送装置によれば、複数の低次パスを同一パケットに収容させることで、短い低次パスデータを収容してもパケット長を長くすることが可能となり、収容効率を向上させることができる。同一パケットへ収容する複数の低次パスは、接続先のインタフェース部が同一である低次パスを集めることで、経路途中のノードでパケットを分解せず、パケットのまま転送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】パケット伝送装置の装置構成の一実施例である。
【図2】パケット伝送装置におけるリング網構成の一実施例である。
【図3】パケット伝送装置のリング網構成におけるパス設定の一実施例である。
【図4】ITU-T G.707規定のTU-11多重則である。
【図5】ITU-T G.707規定のTU-11のマルチフレーム構成である。
【図6】T-MPLSフレームフォーマットである。
【図7】SDHインタフェース部の一構成例である。
【図8】V5オフセットの算出例である。
【図9】時分割多重された信号をパケット化する処理の一実施例である。
【図10】受信バッファ部のデータ収容例である。
【図11】フレームフォーマット例である。
【図12】パケットに含まれる信号を再び時分割多重信号に戻す処理の一実施例である。
【図13】TU-11ポインタ算出例である。
【符号の説明】
【0046】
101、201〜204:パケット伝送装置
111、112、211〜218:SDHインタフェース部
121、122、131、132、221〜228:Etherインタフェース部
141:パケットスイッチ部
151:装置内監視制御機能部
241〜244:パケットスイッチ部
710:基準位相生成部
712:低次パスポインタ終端部
713:受信バッファ書込制御部
714:受信バッファ部
715:受信バッファ読出制御部
720:位相比較部
721:ポインタ再計算部
722:V5オフセットバッファ
723:識別子生成部
716:パケット処理部
741:パケット解除部
742:送信バッファ書込制御部
743:送信バッファ部
744:送信バッファ読出制御部
745:低次パス生成部
746:セクション高次パス生成部
901:クロスコネクトテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の装置から時分割多重された信号をフレームごとに受信する、複数の第1のインタフェースと、
前記複数の第1のインタフェースに接続され、前記複数の第1のインタフェースから受信した信号の経路をパケットごとに設定するスイッチと、
前記スイッチとそれぞれ接続され、前記スイッチを経由して前記第1のインタフェースから受信した信号をパケットごとに他の伝送装置に送信する、複数の第2のインタフェースとを有し、
前記第1のインタフェースは、前記受信したフレームに含まれる複数の信号のうち、行先が同じ信号を1つのパケットにまとめて収容することを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送装置であって、
前記第2のインタフェースは、他の伝送装置からパケットごとに信号を受信すると、前記スイッチを経由して前記複数の第1のインタフェースのいずれかに当該信号を送信し、
前記第1のインタフェースは、前記複数の信号それぞれの行先が同じか否かを、当該信号が他の伝送装置の同じ前記第1のインタフェースに送信されるか否かで判別することを特徴とする伝送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の伝送装置であって、
前記第1のインタフェースは、
前記フレームのあらかじめ定められたタイムスロットごとに、当該タイムスロットに収容された信号を格納する領域を有するバッファ部と、
それぞれの前記タイムスロットに対応付けて、当該タイムスロットに収容された信号が、他の伝送装置のいずれの前記第1のインタフェースに送信されるのかを識別するラベルを格納するクロスコネクトテーブルと、
前記ラベルごとに、前記クロスコネクトテーブルで同じラベルに対応付けられたタイムスロットの信号を前記バッファ部から読み出し、1つのパケットに収容するパケット化処理部とを有することを特徴とする伝送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の伝送装置であって、
前記第1のインタフェースは、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)もしくはSONET(Synchronous Optical Network)に従い時分割多重された信号を含むSTM(Synchronous Transfer Mode)フレームを収容し、
前記第2のインタフェースは、IEEE802.3で規定されるEther信号を収容し、
前記バッファ部は前記STMフレームに含まれるTU(Tributary Unit)ごとに、当該TUに含まれる信号を格納することを特徴とする伝送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の伝送装置であって、
装置内に基準フレームを分配する基準フレーム分配機能部を有し、
前記第1のインタフェースは、前記基準フレーム分配機能部から分配された基準フレームを用いて、前記TUに含まれるV5バイトの位置を再計算し、当該再計算した結果を前記スイッチに送出する信号に格納することを特徴とする伝送装置。
【請求項6】
他の伝送装置からの信号をパケット単位で受信する複数の第1のインタフェースと、
前記複数の第1のインタフェースに接続され、前記複数の第1のインタフェースから受信した信号の経路をパケットごとに設定するスイッチと、
前記スイッチとそれぞれ接続され、前記スイッチを経由して前記第1のインタフェースから受信したパケット単位の信号を、時分割多重された信号を含むフレーム単位で他の伝送装置に送信する、複数の第2のインタフェースとを有し、
前記第2のインタフェースは、前記受信したパケット単位の信号のうち1つのパケットに含まれる複数の信号を、1つの前記フレームのそれぞれ異なるタイムスロットに収容することを特徴とする伝送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の伝送装置であって、
前記第2のインタフェースが受信するパケット単位の信号には、当該パケットに含まれる複数の信号それぞれが、前記フレーム内のいずれのタイムスロットに収容されるかを表すタイムスロット情報が含まれ、
前記第2のインタフェースは、
前記フレームのあらかじめ定められたタイムスロットごとに、当該タイムスロットに収容される信号を格納する領域を有するバッファ部と、
前記スイッチから受信するパケット単位の信号を、前記タイムスロット情報を参照して前記タイムスロットごとの複数の信号に分離し、前記バッファ部の前記タイムスロットごとに定められた領域に格納するバッファ書込制御部と、
前記バッファ部から前記タイムスロットごとに格納された複数の信号から、時分割多重されたフレーム単位の信号を生成するパス生成部とを有することを特徴とする伝送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の伝送装置であって、
前記第1のインタフェースは、IEEE802.3で規定されるEther信号を収容し、
前記第2のインタフェースは、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)もしくはSONET(Synchronous Optical Network)に従い時分割多重された信号を含むSTM(Synchronous Transfer Mode)フレームを収容し、
前記バッファ部は前記STMフレームに含まれるTU(Tributary Unit)ごとに、当該TUに含まれる信号を格納することを特徴とする伝送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の伝送装置であって、
装置内に基準フレームを分配する基準フレーム分配機能部を有し、
前記第2のインタフェースが受信するパケット単位の信号には、V5バイトの有無ならびにV5バイトの位置に関する情報が含まれ、
前記第1のインタフェースは、前記基準フレーム分配機能部から分配された基準フレームならびに前記V5バイトの有無ならびに位置に関する情報を用いて、TUポインタを算出することを特徴とする伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−103783(P2010−103783A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273721(P2008−273721)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】