説明

伸縮性、手裂き可能、柔軟、及び引き締め可能な補強接着テープ物品

本開示は、伸縮性また手裂き可能、加えて高度に柔軟でかつ引き締め可能な補強接着テープ物品を形成するために接着剤とともに、組み合わせで使用するのに特に適合した強化物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強接着テープ物品を形成するために接着剤とともに、組み合わせで使用するのに特に適合した強化物品に関わる。更に詳述すれば、本発明は、伸縮性また手裂き可能、加えて高度に柔軟でかつ引き締め可能な補強接着テープ物品を作製するために用いる、強化物品を目的としている。
【背景技術】
【0002】
典型的な補強接着テープ物品、例えばダクトテープは、組み合わせで、補強スクリム層までほぼ同一の広がりを持つ支持層、及び補強スクリム層を覆う感圧性接着剤層、を含む。補強接着テープ物品に選択される材料は、一般に強度を呈し、通常伸縮抵抗力がある。かようなテープはまた、一般に柔軟性があり、多くの異なる表面質感を有する多くの異なる基板に接着する。これらのテープが強度及び伸縮抵抗を保有するために、これらは通常手裂き抵抗力をも持つ。ある状況では、手裂き特性を促進するために裂けを伝播する穿孔が付加される場合がある。これは成功が実証されているが、しかしながら、穿孔は、もちろん、特別の装置及び加工条件を要求する付加的な加工工程である。結果的に、これらの付加的な装置及び加工リクワイヤメントは、全体的な時間及び加工コストを付加させることになる。更に、補強接着テープ物品は、無数の異なる使用に対して高度の多用途性を示してきたが、しかしながら、別の場合には望ましいほどに高度に柔軟になるという特性をそれらの物的特性が制限することになる状況(例えば、小径のパイプの周囲を巻く、又は、他の反目する不均一な表面への適用、などの)もある。例えば、ある種の補強接着テープ物品は、ある不均一な基材に付着させられたときに、それにより意図された便益を危うくする場合がある空隙やギャップを残す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
補強接着テープ物品、例えばダクトテープは、無数の便益をもたらすが、しかしながら、伸縮性でもあり、容易に手裂き可能で、引き締め可能でもある、更により柔軟な補強接着テープ物品を提供することに特に関わる、改良を求める継続的な欲求がある。
【0004】
既知の接着テープに比較してより伸縮性で、容易に裂け、引き締め可能で柔軟でもある接着テープ、例えばダクトテープ、に関して継続的な改良のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの例示的実施形態によれば、柔軟な補強接着テープに、組み合わせで、使用されるのに適合した強化物品に対する準備がなされている。強化物品は、対になる第1及び第2の主表面を有する一つのエラストマー高分子支持層と、第1及び第2の主表面のうち少なくとも一方に沿っている一つのエラストマー高分子補強材料層と、を含み、前記強化物品の前記支持層及び前記補強材料層が、ほぼ少なくとも約25〜60%の破断点伸張と、約17.5N/cm(10ポンド/インチ)の破断点引張強度を呈する、強化物品とを含む。
【0006】
本発明のもう一つの例示的実施形態は、補強接着テープの長さを目的としている。記述した強化物品は、上記のように、支持層上の補強用材料層に対しておおむね被覆する関係にある一つの接着層に合体されている。もう一つの例示的実施形態では、接着層は、多様な表面に適用可能な感圧接着剤であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の原則に従って形成された補強接着テープの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
テープ部品の手裂き性能を可能にする十分な引張強度と共に、拡張性又は伸縮性特性を保有している、補強接着テープ物品12に、組み合わせで使用するのに特に適合した、強化物品10の一つの例示的実施形態を示す図が参照されている。後に記述するように、強化物品12の特性は、それを高度に柔軟にし、更に高い弾性回復特性により、既知の補強テープ物品に比較して高度に引き締め可能なその能力を改良する。
【0009】
一つの例示的実施形態では、強化物品10は、組み合わせで、エラストマー支持層14及びエラストマー補強層16を含む。補強接着テープ物品12を形成するために、エラストマー接着層18も、補強層16に対して十分に被覆する関係で、組み合わせで、提供されている。補強接着テープ物品12は、後に記述するように、既知のタイプの同様な物品をしのぐ利点を提供する。利点には、以下に限定しないが、増強された伸縮性、伸縮性でありながら手裂き性能、また既知のタイプの補強接着テープ物品より相対的に高い柔軟性及び弾性回復特性を保有することをも含む。
【0010】
エラストマー支持層14は、この手段で共通に指定され、参照によりこの手段に組みこまれている「透明補強テープ」に向けられた例えば米国特許第7,056,844 B2号に記述される、標準タイプのダクトテープの伸び特性を典型的に越える、ストレッチネス又は拡張性の特性を呈す。一つの例示的実施形態では、使用されるであろう材料の伸び又はストレッチ特性は、約200%より大きい、より典型的には約300%から500%の、破断点伸張を含む。前述のストレッチ又は伸びの特性を保有することに加えて、支持層14は、十分な引張強度を含み、支持層14のストレッチネスに関わらずテープ12の手裂きを容易にしている。一つの例示的実施形態では、支持層14は、約44N/cm(25ポンド/インチ)よりおよそ少なくとも大きい範囲の引張強度を有する場合がある。もう一つの例示的実施形態では、支持層14は、破断点でおよそ少なくとも約44N/cm(25ポンド/インチ)〜約105N/cm(60ポンド/インチ)の範囲の引張強度を有する場合がある。破断点で約105N/cm(60ポンド/インチ)を越える引張強度は、成功的な手裂き、まして、そうでなければ上記の引張強度の範囲によって提供される程度の柔軟性、を可能にするには比較的硬すぎる強化物品を提示することになるものと判定された。
【0011】
支持層14は、特に補強テープ物品に使用される支持層に適合した多様な材料から作ることができるが、それは高分子フィルムから製造されてもよい。高分子フィルムは、以下に限定しないが、ポリオレフィン・エラストマー、ポリプロピレン・エラストマー、ポリビニル・エラストマー、ポリウレタン・エラストマー、及びそれらの混合物からなるグループ、を含む材料の範囲に入り得る。
【0012】
以下の表1は、試験した試料の高分子フィルム支持層14の説明を列記する。このリストは、フィルム支持層を作るのに使用する樹脂の商標名の説明コラム、支持層の化学的名称の頭字語を列記する頭字語コラム、を含み、一方第3番目のコラムは、より完全に、その頭字語及び、どこでかような支持材料が得られるか又は記述されるか、を記述する。フィルム裏張りは、19mm Brabender押出成形機を使用して15.2cm(6インチ)単一層フラットダイキャスト押出成形で約190℃でこれらの樹脂から組み立てられた。試験した試料に用いた追加の支持層は、例えば米国特許第6,797,375号に記述された、3M配向ポリプロピレン、3M Scotchcal(商標)220−114、3M Company,St.Paul,MN.から入手可能な可塑化ビニルフィルム製品、3M Company,St.Paul,MN.から入手可能なポリウレタンフィルム製品である、3M Tagederm(商標)、及び、Paliant Corporation,Schaumberg,IL.から入手可能なGF−10低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、を含む。
【0013】
表1 プラスチックフィルム裏張りの説明
【表1】

【実施例】
【0014】
実験結果
本発明に従って、ここに記述した試験機及び方法を使用し、数多くの試料を試験した。かような試験から収集された実験データは、本明細書に記述した試験方法を採用し以下の表及びチャートに記録されている。
【0015】
試験方法
フィルムのパフォーマンス特性は、より高い伸び特性を有するダクトテープ向けのフィルムの効用に関連付けるように、以下の試験手順により室温で計測された。
1)「引張強度」は、破断するエネルギーの度量であり(破断ポイントで計測される)、フィルムの強靱性の特性である。それは、応力−ひずみ曲線のもとにあるエリアである。引張値は、フィルムの伸びで得られる。測定値は、Instron Corporation,Norwood,MA.から入手できるInstron Model 5544試験器を使用して、23.0+/−2.0℃(73.4+/−3.6°F)でASTM D3759に従って得られた。
2)「伸び」はフィルムの変形又は延性である(破断点で計測される)。測定値は、Instron Model 5544試験器を使用して、23.0+/−2.0℃(73.4+/−3.6°F)でASTM D3759に従って得られた。標点距離及び分離スピードは、フィルム伸び範囲に従って設定された。
a.伸び量20%より少ないフィルムには、標点距離12.7cm(5インチ)及び分離率12.7cm/分(1分当り5インチ)を使用した。
b.伸び量20%〜100%のフィルムには、標点距離10.2cm(4インチ)及び分離率30.5cm/分(1分当り12インチ)を使用した。
c.100%の伸び量より少ないフィルムには、標点距離5.1cm(2インチ)及び分離率50.8cm/分(1分当り20インチ)を使用した。
3)「弾性率」は、フィルムの硬さの度量である。より高い値は、フィルムの伸縮(変形)に対するより大きい抵抗を示す。ヤング率(弾性)測定値は、Instron Model 5544試験器を使用して、23.0+/−2.0℃(73.4+/−3.6°F)でASTM D3759に従って、標点距離25.4cm(10インチ)及び分離率1.3cm/分(1分当り0.5インチ)を使用し、得られた。
4)「弾性回復」は、フィルムの、拡張、永久歪み及び応力保持から回復する度量である。弾性回復特性は、フィルム試料を規定の拡張に曝し、元の試料の寸法に関して回復及び永久的変化の量を計測することにより決定される。得られた試料の弾性回復値は、ASTM試験方法D5459−95に従い破断点の拡張に合致していた。
【0016】
上記支持層フィルムの物理的特性(引張伸び率及び弾性率)は、既知のダクトテープより高い伸び特性を持つダクトテープに対するそれらの効用に関連させて、前記説明した試験手順により計測し、以下の表2に示す。データは、例えばポリオレフィン、試料2〜10及びポリウレタンフィルム、試料12のような、幾つかのフィルムが、より硬くなかったこと、及び、既知のダクトテープ物品より柔軟なダクトテープ物品になりうる支持層として良くなる可能性のある代表的な材料であること、を示している。さまざまなフィルムの引張特性は、試料C2と同等であるか、又はよりよかった。
【0017】
表2 プラスチックフィルム裏張りの物理的特性:引張伸び及びヤング弾性率
【表2】


注記:5.1cm(2インチ)標点距離及び50.8cm/分(20インチ/分)分離率における引張及び伸び試験。分離率1.3cm/分(0.5インチ/分)での標点距離12.7cm(5インチ)における弾性率試験。
【0018】
加えて、支持層14は、約0.0025cm(1ミル)から約0.0178cm(7ミル)の範囲の厚さを有してもよい。もう一つの例示的実施形態では、厚さの範囲は、約0.005〜0.007cm(2〜3ミル)であってもよい。広くは、厚さの範囲は、補強接着テープが保有すべきタイプの特性により決定される。このようなものとして、支持層14の材料及び厚さは、補強層16とのいかなる適切な組み合わせにも使用されるように選択されてもよく、本特許にこれまで説明され今後も説明される利点を生み出すことになる。明らかに、厚すぎる又は薄すぎる厚さでは、補強接着テープは、例えば手裂きするには過度に硬く、又は基材に適用しているときには過度に簡単に裂け、意図した様に機能できないであろう。高分子支持層14は上記のように注記されているが、本発明は、例えば複合支持構成体の形で不織材料のような、ほかの好適な材料を想定している。
【0019】
補強材料又は層16が言及されている。補強層は、延伸性、及び十分な引張強度を持たなければならず、それは、上記した、裏張り材料又は層とともに組み合わせて使用されるとき、本発明の物理的特性を有する強化物品を提供する。本発明によれば、補強層は、少なくとも、伸びの間に好適な平衡をもたらし、それによりそれが、支持層14と組み合わされて働くよう十分に伸びることができるようにし、それは、従来のダクトテープのストレッチネスを越え、しかしねじれず又は破断せずに補強層として挙動する強度を持ち、同様にテープの長さに関して直方向又は横断方向に手で裂くことができ、同様に以下に説明するように引き締め可能であり高度に柔軟である。
【0020】
本発明の内容に合致した多様な材料が使用されるようになることが認められるであろう。補強層16は、補強接着テープに従来典型的に使用されてきたと思われるスクリムより延伸性があってもよい。一つの例示的実施形態では、縦糸延伸糸(warp drawn yarns)を使用することができる。これらは、例えば、ポリエステルから製造された部分的配向糸(POY)から準備することができる。POYは、所定の速さで紡ぐことを含めて多様な既知の技術を使用して製造することができる。ポリエステル以外に、他の天然材、合成材、又は、例えば米国特許第7,056,844号に記述されるような、それらの混合物を使用することができる。これら他の好適な材料は、限定せず、グラスファイバー、アセテート、アクリル、モダクリル、レーヨン、ナイロン、綿、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミン、及びケブラー、を含む。
【0021】
加えて、補強層16は、前記米国特許第7,056,844号に記述されるものと同様な構成体を有してもよい。この点で、ポリエステルPOY補強層は単独で又は束ねてあってもよく、かつこれらの繊維及び/又は繊維の束は不織補強層を形成するようにランダムに配置してもよく、又は、2方向のどちらかに互いに直角方向に直線のテープ引き裂きを導くように支持層が引き裂かれるとき、紡がれた繊維間又は束間の交点で手で破れる補強層を形成するために、繊維間又は束間にスペースをとり直交交差パターンに処理してもよい。繊維が束になっているときそれらが接着剤で容易に濡らされるように処理してよく(即ち、撚り合わされ、織られ、詰まった間隔で重ね合わされ、又は不織層になっている、束の繊維は、繊維が束になって緩やかに置かれているときより、濡らすのが更に難しいことが判明している)、テープが基材に合わされるとき束のほとんど全ての繊維が接着剤により濡らされてもよいように、充分に小さい直径を有してもよい。スクリムを形成している繊維の束の中にある単独繊維のデニールは、一般的に約0.10〜15デニール、約0.75〜10デニール、及び約1〜5デニールの範囲にあってもよく、並びに束の単独繊維のデニールの合計は一般的に約500を下回ってもよく、約300を下回ってもよく、及び約100でもよい。繊維産業界の通常のスキルを有する同業者に知られるように、多数の多様な材料、デニール、及び他のより糸構成体が、補強層材料、物理的特性及び構成体の前述の説明と同等な他の補強層のために選択され得ることが認められるであろう。
【0022】
本開示の一つの例示的実施形態では、American Fiber and Finishing,Inc.,Newberry SCからの96/150デニール(25×7スレッド/インチ)(ダウンウエブによる交差ウエブ)115×150デニール(ダウンウエブによる交差ウエブ)のポリエステル部分配向糸(POY)スクリムは縦糸引張伸び値60%を有し、資料25〜31に使用した。引下げ伸び値約60%は、スクリムには充分に伸縮性のある伸びを提供しているものと理解されるであろう。かような伸び値は、例えば米国特許第7,056,844号に記述されるスクリムのような、補強接着ダクトテープ物品に使用される既知のスクリムによりもたらされる値より高い。最後に記した特許に記述したポリエステルスクリムは、約20〜25%の引下げ伸び値を有する可能性がある。対比的に、本開示は、より大きな伸び特性を有する可能性があるPOYスクリムの使用を想定しており、例えば、ポリエステルPOY引下げ30%〜約60%の引下げ伸び値、より典型的には、約40〜60%の伸び量を有する可能性がある。約60%の伸び量まで引下げられたポリエステルPOYスクリムは、上記のタイプの、ポリエステルPOYスクリムによって許容される拡張量の上限界に近づいており、並びに、例えば本発明の利点を提供しながらダクトテープとして、接着テープ物品のなかでスクリムとして機能する充分な引張強度を保持している、と信じられている。
【0023】
本開示によれば、補強層を製造するためにいかなる材料が選ばれようと、またいかなるプロセスが使用されようと、これらは、支持層と組み合わせて使用するため、本明細書に開示のように、この物理的特性を有する補強層を生産し、本発明の特性を有する強化物品を生産しなければならない。
【0024】
本開示では、補強スクリム層16を実質的にカバーすることができるコーティングされた接着層18を利用することができる。繊維のプロファイルがより細く、より多くのスペースが繊維の糸で占められるほど、より少ない接着剤が繊維スペース及び表面をカバーすることになる。一つの例示的実施形態では、接着層18が、補強接着テープ物品12が取り付けられるべき基材(示さず)に解放可能なようにしっかり固定するよう想定されている。本開示では多様な接着システムが接着層に使用されてもよい。補強接着テープ物品12製品を意図する使用を前提として、本例示的実施形態は、接着層18のために感圧性接着剤の使用を想定している。感圧性接着剤は、ダクトテープとともに典型的に使用されるタイプであり得る。したがって、多様な感圧性接着剤の処方が存在する。しかしながら、補強接着テープ物品12の伸縮しやすい特性を前提として、接着テープ18の厚さは、取り付けたときに接着特性を失わずかような伸縮ができるように充分でなければならない。
【0025】
この点について、表3に説明した次の試料に使用された接着層18は、トルエン中に固形物45%に溶解された、接着付与剤及び可塑剤を伴ったKraton非対称ブロックコポリマーに構成された、感圧接着剤であってもよい。表3に列記した試料を調製するのに使用された手続は以下のようになる。(1)上記の感圧接着剤溶液を厚さ約0.015cm(6ミル)になるまでシリコン処理した剥離ライナ上に塗布し、10分間65℃(150°F)で強制空気オーブンで乾燥させ、(2)手でスクリム材料を15.2cm(6インチ)ゴムインクパッドローラーを使用して乾燥させた感圧接着剤にラミネートし、(3)述べられた暑さ0.015cm(6ミル)の感圧接着剤溶液に、工程(2)からのスクリムコンポジット上に塗布し、10分間65℃(150°F)で強制空気オーブンで乾燥させ、(4)プラスチックフィルム裏張り層試料をElectro−Technic Products,Inc.,Chicago,IL,から入手可能なハンドヘルド高周波スパークテスターモデルBD−20dでコロナ処理し、2ロールゴムスクイーズラミネータと共に約138kPa(20psi)で、工程(3)からの感圧接着剤複合材料にラミネートする。
【0026】
例示の感圧接着剤が除去可能で恒久的な接着剤を包含してもよいことが認められるであろう。使用を企図されている感圧接着剤は、有機溶媒系アクリル、水溶性アクリル、シリコーン接着剤、天然ゴム系接着剤、及び熱可塑性樹脂系接着剤からなる基から選択されてもよい。接着層はコーティングされているが、それは他の好適な手法で適用されてもよい。
【0027】
表3は、例えばダクトテープのような、補強接着テープに使用できるように企図されている二つの異なる強化物品構成体のデータを比較する実験結果を示す。強化物品のタイプの一つは、異なる裏張り材料の列記を含み、それらのおのおのは、米国特許第7,056,844号に記載されているようにポリエステルスクリムにラミネートされている、試料17〜23を参照されたい。使用されたスクリムは、約20〜25%の伸び値を有していた。他の強化物品のタイプは、試料17〜23に使用されているように、認識されている支持層材料を含むが、本開示に従って製造されている異なる補強スクリム層を伴なう、試料25〜31を参照されたい。前記のように、本開示の一つの例示的実施形態では、96/150デニール(25×7スレッド/インチ)(ダウンウエブによる交差ウエブ)115×150デニール(ダウンウエブによる交差ウエブ)のAmerican Fiber and Finishing,Inc.の約60%の伸び量を有するポリエステル部分配向糸スクリムを使用した。米国特許第6,211,099号にはかようなスクリムの構成体が参照されている。
【0028】
本開示は、約30〜60%からの、及び約40〜55%からの範囲にある伸び値を有するPOYスクリムの使用を想定している。試料17〜23に列記されている二つの強化物品の物理的特性は、それらの引張強度、(ヤングの)弾性率及び伸び特性を計測して評価された。この試験の結果は、表3の適当なコラムに示され、そのコラムはまた試料の対応する厚さ(cm(ミル)表示のキャリパー総計)を含む。
【0029】
表3 フィルム裏張り+スクリムの物理的特性:引張伸びヤング弾性率
【表3】


注記:12.7cm(5インチ)ゲージ長及び12.7cm/分(5インチ/分)分離率における引張試験。ダクトテープの弾性率特性は、1.3cm/分(0.5インチ/分)分離率における12.7cm(5インチ)ゲージ長を活用した。
【0030】
引張、弾性、及び伸び試験の結果は、約60%の引下げ伸び量を有するポリエステル部分配向糸(POY)スクリムの物理的特性は、強化物品の伸び特性に対するコントロールをもたらしたことを示した。前記のように、支持層14は、有意の伸び値があったが、補強スクリム層16と組み合わせて使用したとき延伸性に極めて乏しかった。補強層は、本開示で提供した伸びの程度を、加えて手裂き性能、柔軟性、及び弾性回復を可能にするための引張強度を呈する、強化物品を提供するために使ってもよい。
【0031】
表3のデータから、既知のスクリム(試料17〜23参照)及びポリオレフィンを使った支持層の破断値での伸びは、約18〜25%,破断点引張約31〜44N/cm(13〜25ポンド/インチ)の範囲だった。対比的に、60%伸びまで引下げられた部分配向ポリエステルスクリム(POY)及びポリオレフィン支持層を用いている試料25〜31の破断点伸び値の範囲は、破断点引張値約31〜44N/cm(13〜25ポンド/インチ)で、約60%だった。強化物品10(試料30)は試料22の2倍の伸びであることを呈したが、2軸方向配向ポリプロピレン(3M O−PP)フィルムは、著しく高い(ヤング)弾性率値のため、補強接着物品で有用であるには硬すぎると思われていることが注目されるであろう。
【0032】
観察されたように、支持層及び部分配向ポリエステルスクリム(POY)層の組み合わせを含む強化物品は、既知のスクリム及び支持層の組み合わせの二倍程度の伸びを、例えばダクトテープのような接着物品を形成するのに有用な他の物理的特性を減ずることなく呈した。
【0033】
支持層の材料が、強化物品12中でPOY補強スクリムと組み合わされたとき、支持層の著しく高い伸び値が、約300〜500%から20〜50%に顕著に減少した。プラスチック裏張り層及び補強層の組成物が、強化物品の引張強度及び伸び特性双方に影響することが決定されている。明白に、強化物品の、60%伸び(即ち試料25〜31)を使用した部分配向糸を用いた、構成体は、既知スクリム、試料17〜23、を用いた構成体に較べて約二(2)倍大きい伸びを示した。しかし、既知で部分的配向糸(POY)のスクリム及び3M配向プロピレン(O〜PP)(試料22及び30)の伸び値は、ほとんど等価であることが注目される。
【0034】
表4の試料は、入手可能なダクトテープに典型的な接着及びせん断特性を生み出すように粘着付与剤及び可塑性と共に計画された100%固形天然ゴム系接着剤の熱溶解コーティングによって、1平方メートル当り164グラム(24平方インチ当り35グレイン)のコーティング重量で、感圧性テープを形成するために、準備した。試料32は、0.008cm(3.2ミル)の厚さの、Pliant Corporation社の(P1と呼ばれる)、16.1N/cm(9.2ポンド/インチ)の引張強度、494%の伸び、及び214MPa(31,000psi)の弾性率を有する低濃度ポリエステルフィルムと、伸張した部分偏向ポリエステルスクリム(POY)AFF 96/150デニール(1インチ当り25×7糸)、60%引張伸び(POY〜60%)とで製造された。試料33は、フィルム試料と、American Fabric and Finishing,Inc.から入手可能の、約30%未満の引下げ伸び量を有する、既知のポリエステルスクリムAFF 70/150デニール(25×7)とで、製造された。試料34は、0.006cm(2.5ミル)の厚さの低密度ポリエチレン、Pliant Corporation(P2と呼ばれる)からの、23.8N/cm(13.7ポンド/インチ)の伸び引張強度、754%の伸び、及び69MPa(10,000psi)の弾性率と、及び部分配向ポリエステル糸(POY)スクリムAFF 96/150デニール(1インチ当り25×7糸)、縦糸引張60%、とで、作られた。
【0035】
例示のダクトテープの引張伸び及び弾性率の試験結果を表4に示す。この試験は、引張伸び、又は弾性率測定では試料32及び試料34の間になんらの有意の差もみられなかったことを示した。しかし、米国特許第7,056,844号に記載されたスクリムを有する試料33に比較すると、POY〜60%スクリムを有する試料32及び34は、それらの対応する破断点での伸び値によって示されたようにおよそ二(2)倍高い伸び(ストレッチ)を呈する。また、破断点での伸びのコラムの値で決定されたように、試料33は、試料32及び34よりも約50%少ない伸びを呈した。表4の弾性率計測は、ダクトテープ構成体の多様なフィルム及びスクリムの組み合わせの間にいかなる有意な差も示していない。
【0036】
表4 ダクトテープ物理的特性:引張伸びヤング率
【表4】


注記:5.1cm(2インチ)ゲージ長及び50.8cm/分(20インチ/分)分離率における引張及び伸び試験
【0037】
弾性回復特性は、ダクトテープ(試料32〜34)の引き締め可能性能を計測するが、試験方法ASTM D5459〜95に従って計測された。上記構成体の弾性特性は、試料を規定された伸張に曝し、最初の試料に対して回復及び永久的変化の量を計測する、ことによって決定された。この試験では、弾性回復計測は、各標本に対して破断点伸張に至るまでなされた。
【0038】
この試験の結果は、チャート1に示す。既知のスクリムを伴うテープ試料、試料33、は22%の伸びで破断した。ポリエステルPOY〜60%の伸びたスクリムを伴ったダクトテープ試料、すなわち試料32及び34は、おのおの破断前で、58%〜54%に至るまでの伸びを示したが、前記で検討した試験結果を確認している。それによりもたらされた増強された弾性回復のゆえに、これらの試料は、特に既知のダクトテープ構成体に比較するときには、高度に柔軟及び引き締め可能であった。
【0039】
しかし、伸び又は弾性率試験に比較したこの試験方法の一つの有意な差は、それが、スクリムを含む全般的なダクトテープの物理的特性に関わるフィルム裏張りの特性の効果又は影響を示したことである。より高い伸びのフィルム裏張りを有する試料34は、既知のLDPEフィルムの裏張りを伴う試料32に比較して著しく高い弾性回復を呈した。弾性回復試験結果は、試料34が、より高い回復値を有し、例えばホース、管類及びパッケージ用箱のような、テープ適用に関連したよりよい「引き締め」あるいは「快適性」特性を有するであろうことを示唆している。データは、約20%〜60%の破断点伸張を伴う約80〜90%の弾性回復を呈す。
【0040】
チャート1 本発明の標準対柔軟ダクトテープ構成体の弾性回復
【表5】

【0041】
前述のチャートから、本開示の試料、試料32(POY〜60%)スクリム及び裏張りフィルム試料P1)、同様に試料34(POY〜60%)スクリム及びより高い伸び裏張りフィルム試料P2)は、ダクトテープ構成体の試料33を凌駕することを決定することが可能である。試料32及び34は、コントロール試料を上回る、より増強された破断伸びを提供し、同様に著しく増強された弾性回復を呈し、それにより増強された引き締め性能を提供する。
【0042】
上記の表及びチャートに示された実験データは、既知の補強接着テープ物品に較べて改善された伸縮可能な、手裂き可能な、柔軟な、締上げ可能な補強接着テープ物品の特性を提供するための、使用された材料と、補強接着テープ物品12の性能面で改善された強化物品10によりもたらされたドラマチックな効果と、を明示する。
【0043】
本開示は、趣旨及び範囲から逸脱することなく多様な修正及び変更を受けてもよい。したがって、本開示は、上記の実施形態に限定されないが、以下の請求項及びいかなるそれらの等価物に詳述する制限によって規制されるべきである。
【0044】
本開示はまた、本特許に明確に開示されない任意のエレメントを除外して、適切に実施されてもよい。上記のあらゆる特許及び公表内容は、「背景技術」の項に記したいかなるものをも含め、本文書中に参照することにより全体的に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強接着テープに組み合わせで使用されるのに適合した柔軟な強化物品であって、前記強化物品が、対になる第1及び第2の主表面を有する一つのエラストマー高分子支持層と、前記第1及び前記第2の主表面のうち少なくとも一方に沿っている一つのエラストマー高分子補強材料層と、を含み、前記強化物品の前記支持層及び前記補強材料層が、ほぼ少なくとも約25〜60%の破断点伸張と、約17N/cm(10ポンド/インチ)の破断点引張強度を呈する、強化物品。
【請求項2】
補強テープを形成するために前記補強材料層に対して略被覆する関係で配置された接着層を更に含む、請求項1に記載の強化物品。
【請求項3】
前記強化物品の前記引張強度が、手裂き性能で約35〜70N/cm(20〜40ポンド/インチ)である、請求項1に記載の強化物品。
【請求項4】
前記強化物品が、約20%〜60%の破断伸張を伴う約80〜90%の弾性回復を呈する、請求項3に記載の強化物品。
【請求項5】
更に、前記支持層が、少なくとも50%を超える破断点伸張を呈する、請求項1に記載の強化物品。
【請求項6】
更に、前記支持層が、約300〜500%の破断点伸張を呈する、請求項1に記載の強化物品。
【請求項7】
前記補強材料層が、高度に延伸性のある補強スクリム材料から製造される、請求項1に記載の強化物品。
【請求項8】
前記補強スクリム材料が、グラスファイバー、アセテート、アクリル、モダクリル、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、綿、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミン、ケブラー、及びこれらのいかなる組み合わせからなる材料の群から製造される、請求項7に記載の強化物品。
【請求項9】
前記補強スクリム材料が、約30%を超え約60%までの範囲で引下げ伸び値を有する部分的配向糸から製造される、請求項8に記載の強化物品。
【請求項10】
前記部分的配向糸の補強スクリムが、約40%〜約55%の範囲の引下げ伸び値を有する、請求項9に記載の強化物品。
【請求項11】
前記支持層用の高分子材料が、ポリオレフィンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリビニルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、及びこれらのいかなる組み合わせからなる群から製造される、請求項1に記載の強化物品。
【請求項12】
前記支持層が、0.002cm〜約0.018cm(約1.0ミル〜約7.0ミル)の厚さを有する、請求項11に記載の強化物品。
【請求項13】
前記接着層が感圧性材料を含む、請求項2に記載の強化物品。
【請求項14】
前記感圧性材料が、天然ゴム、合成ゴム、合成エラストマー、アクリレート、及びそれらの配合物からなる群から製造される、請求項13に記載の強化物品。

【図1】
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【公表番号】特表2011−507733(P2011−507733A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539596(P2010−539596)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/085375
【国際公開番号】WO2009/082602
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】