伸縮自在鍋
【課題】取っ手や握持柄などの突出部をなくすだけではなく、鍋自体の大きさもコンパクトにすることができ、持ち運び時に嵩張らないようにコンパクト収納可能な持ち運びに便利な画期的な鍋を提供することを目的とする。
【解決手段】径の異なる複数の筒状体1をスライド自在に嵌合して伸縮自在に構成し、最下部となる筒状体1は、底部2を有する有底筒状体1aとして伸縮自在な鍋本体3を形成し、この鍋本体3の最上部となる筒状体1と最下部となる有底筒状体1aとの間に突っ張り支持棒体4を屈曲自在に架設して鍋本体3の伸張状態を保持するように構成し、この突っ張り支持棒体4にスライドロック機構5を設けた伸縮自在鍋。
【解決手段】径の異なる複数の筒状体1をスライド自在に嵌合して伸縮自在に構成し、最下部となる筒状体1は、底部2を有する有底筒状体1aとして伸縮自在な鍋本体3を形成し、この鍋本体3の最上部となる筒状体1と最下部となる有底筒状体1aとの間に突っ張り支持棒体4を屈曲自在に架設して鍋本体3の伸張状態を保持するように構成し、この突っ張り支持棒体4にスライドロック機構5を設けた伸縮自在鍋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運びに便利なコンパクト収納可能な鍋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
登山やキャンプなどのアウトドアで野外炊飯を行う際、目的地まで炊事道具を携帯して山道を歩いたり登ったりしなければならないが、特に人数が多い場合は、炊事道具も数が多くなり、また、個々の道具の大きさも大型のものが多くなってしまう。
【0003】
また、このように野外炊飯を行う際の炊事道具の中で、特に持ち運びが厄介なものが鍋であり、この鍋は径も深さもあるため、持ち運びの際には非常に嵩張る道具であった。
【0004】
従来、この鍋を持ち運ぶ際に、少しでもコンパクトな状態にしてカバンや袋に収納し持ち運びし易いようにすることができるようにと、特許文献1のように取っ手や握持柄を折りたたみ式にしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−000298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1では取っ手や握持柄などの突出部をなくすだけで鍋自体の大きさは変わらないのでコンパクトになるというわけではなく、持ち運びの際には、やはり嵩張ってしまうものであった。
【0007】
そこで、本発明では、取っ手や握持柄などの突出部をなくすだけではなく、鍋自体の大きさもコンパクトにすることができ、持ち運び時に嵩張らないようにコンパクト収納可能な持ち運びに便利な画期的な鍋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
径の異なる複数の筒状体1をスライド自在に嵌合して伸縮自在に構成し、最下部となる前記筒状体1は、底部2を有する有底筒状体1aとして伸縮自在な鍋本体3を形成し、この鍋本体3の最上部となる筒状体1と最下部となる前記有底筒状体1aとの間に突っ張り支持棒体4を屈曲自在に架設して前記複数の筒状体1のスライド伸張状態を保持するように構成し、この突っ張り支持棒体4に該突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止し前記鍋本体3を形成する前記複数の筒状体1及び有底筒状体1aのスライド伸張状態を保持するスライドロック機構5を設けたことを特徴とする伸縮自在鍋に係るものである。
【0010】
また、前記複数の筒状体1は、上端側開口部の開口径を下端側開口部の開口径よりも大径に形成し下方に窄まるテーパー形状に形成し、且つ前記鍋本体3を形成した際に上側に位置する筒状体1の下端側開口部の開口径を下側に位置する筒状体1の上端側開口部の開口径よりも小径に形成し、前記鍋本体3を縮退重合状態からスライド伸張状態にする際、前記突っ張り支持棒体4が直立し上側に位置する筒状体1と下側に位置する筒状体1とを互いに離反方向に押しやり、摺動面となる前記上側に位置する筒状体1の下端側内面と前記下側に位置する筒状体1の上端側外面とが密着係止するように構成したことを特徴とする請求項1記載の伸縮自在に鍋に係るものである。
【0011】
また、前記摺動面となる前記上側に位置する筒状体1の下端側内面と前記下側に位置する筒状体1の上端側外面とが密着係止するシール部6は、前記上側に位置する筒状体1と前記下側に位置する筒状体1の一方にステンレス材を採用し他方にアルミニウム材又は銅材を採用し異なる金属を密着係止する構成、若しくは、前記上側に位置する筒状体1と前記下側に位置する筒状体1の一方にシール性向上材16としてのアルミニウム、銅、シリコン樹脂、又はフッ素樹脂を被着した構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【0012】
また、前記突っ張り支持棒体4は、第一支持棒体4aと第二支持棒体4bとからなり、前記第一支持棒体4aの一端を前記鍋本体3の最上部となる筒状体1に回動自在に設け、前記第二支持棒体4bの一端を前記鍋本体3の最下部となる有底筒状体2に回動自在に設け、前記第一支持棒体4aの他端と前記第二支持棒体4bの他端とを回動自在に連設した構成とし、この突っ張り支持棒体4にテンション調整部7を設けて前記鍋本体3をスライド伸張状態にする際に、前記複数の筒状体1及び前記有底筒状体1aの夫々の摺動面の密着係止状態を調整自在に構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【0013】
また、前記スライドロック機構5は、筒状に形成し前記突っ張り支持棒体4にスライド自在に設け、前記鍋本体3をスライド伸張状態にして前記突っ張り支持棒体4を直立状態とした際に自動スライドし前記第一支持棒体4aと前記第二支持棒体4bとを連設した連設部8に被嵌しこの突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【0014】
また、前記突っ張り支持棒体4を前記鍋本体3に着脱自在に設け、前記突っ張り支持棒体4を取り外した際に前記鍋本体3を分離可能に構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【0015】
また、前記鍋本体3の最上部となる筒状体1に取っ手部9を折りたたみ自在に設け、前記鍋本体3を縮退重合状態にしこの取っ手部9を折りたたんだ際に、この取っ手部9が前記有底筒状体1aの底部2に当接し前記鍋本体3をスライド伸張不能状態に保持するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、本発明の伸縮自在鍋を、例えばリックサックなどの運搬用袋に収納して持ち運ぶ場合は、鍋本体を形成する筒状体及び有底筒状体がスライド縮退して夫々の筒状体が重合状態となって、鍋本体の高さが縮んでコンパクト化され収納に適した状態にすることができるので、リックサックなどの運搬用袋に収納した際にも嵩張らずに他の荷物と一緒に持ち運ぶことができるようになり食料や炊事道具などをまとめて効率的に持ち運ぶことができるようになる。
【0017】
また、使用するために鍋本体を伸張状態とした場合は、突っ張り支持棒体が屈曲状態から直立状態に伸長してこの突っ張り支持棒体の夫々の端部を設けた鍋本体の最上部となる筒状体と最下部となる有底筒状体とを夫々外方に押しやり鍋本体の伸張状態を保持するので、夫々の筒状体の嵌合部に隙間ができることなく密着係止状態となり、例えば水などの液体を入れた場合でも漏洩が生ずる心配がなく安心して使用することができ、しかも、この突っ張り支持棒体の屈曲をスライドロック機構が阻止するので、使用中に突っ張り支持棒体を屈曲して鍋本体が縮んでしまうといった不具合も生ずる心配が無い、携帯性並びに実用性に優れた画期的な伸縮自在鍋となる。
【0018】
また、請求項2記載の発明においては、鍋本体を縮退重合状態からスライド伸張状態にする際に突っ張り支持棒体が直立し上側に位置する筒状体と下側に位置する筒状体とを互いに離反方向に押しやり、摺動面となる上側に位置する筒状体の下端側内面と下側に位置する筒状体の上端側外面とを密着係止させるので、例えば、鍋本体に注入した水などの液体が漏洩することなく、特に請求項3記載の発明においては、より一層摺動面のシール性を向上させ、安心して使用することができる伸縮自在鍋となる。
【0019】
また、請求項4記載の発明においては、例えば、経時劣化により摺動面の密着性(シール性)が低下した際にも、テンション調整部で突っ張り支持棒体自体の長さを伸長させることで鍋本体を形成する筒状体同士の伸張状態を調整することができるので、筒状体同士の摺動面を常に強固に密着係止した状態に保つことができ、漏洩の心配が無い状態に保つことができる画期的な伸縮自在鍋となる。
【0020】
また、請求項5記載の発明においては、一々スライドロック機構を突っ張り支持棒体の連設部に被嵌させなくとも、突っ張り支持棒体を直立状態にした際には、自動で連設部に被嵌するので、ロックの掛け忘れによって使用中に突っ張り支持棒体が屈曲して鍋本体を縮退させ、調理中の中身をこぼしてしまうといった不具合を生ずることがなく、安心して使用することができる実用性に優れた伸縮自在鍋となる。
【0021】
また、請求項6記載の発明においては、洗浄作業を容易に行うことができる実用性に優れた伸縮自在鍋となる。
【0022】
また、請求項7記載の発明においては、鍋本体から突出している取っ手部を折りたたむことで突出部がなくなり、収納時の嵩張りを抑えてより一層コンパクトに収納することができると共に、コンパクト収納状態にある鍋本体が筒状体のスライド伸張によって伸張状態となることを防止するので、持ち運び途中で鍋本体が伸張することなく、また、鍋自体をそのまま持ったときも、筒状体がスライド伸長しないように一々底部を手で押えるなどといった配慮しながら持つ必要が無い持ち運びに便利な伸縮自在鍋となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例の鍋本体が伸張した状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例の鍋本体が縮退重合した状態を示す斜視図である。
【図3】本実施例の鍋本体の伸張状態を示す説明断面図である。
【図4】本実施例の鍋本体の縮退重合状態を示す説明断面図である。
【図5】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図6】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図7】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図8】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図9】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図10】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図11】本実施例の突っ張り支持棒体の屈曲状態を示す説明側面図である。
【図12】本実施例の突っ張り支持棒体の伸長状態を示す説明側面図である。
【図13】本実施例のテンション調整部を示す説明斜視図である。
【図14】本実施例の突っ張り支持棒体を着脱可能な状態に屈曲した状態を示す説明側面図である。
【図15】本実施例の突っ張り支持棒体を示す分解斜視図である。
【図16】本実施例のスライドロック機構が突っ張り支持棒体を屈曲阻止した状態を示す説明斜視図である。
【図17】本実施例の鍋本体を縮退重合してコンパクト収納する方法を示す説明斜視図である。
【図18】本実施例の取っ手部を折りたたみ収納した状態を示す説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0025】
筒状体1同士が縮退重合したコンパクト収納状態から、夫々の筒状体1をスライド伸張させて鍋本体3を伸張状態にすることで深さを有する炊事に使用可能な鍋状体になり、この筒状体1のスライド伸張に際して突っ張り支持棒体4が、屈曲状態から直立状態に伸長してこの突っ張り支持棒体4の夫々の端部を設けた鍋本体3の最上部となる筒状体1と最下部となる有底筒状体1aとを夫々外方に押しやり鍋本体3の伸張状態を保持する。
【0026】
即ち、鍋本体3の最上部となる筒状体1に設けた突っ張り支持棒体4の端部がこの最上部の筒状体1を上方に押しやり、また、鍋本体3の最下部となる有底筒状体1aに設けた突っ張り支持棒体4の端部がこの最下部の有底筒状体1aを下方に押しやることで、この鍋本体3を形成する複数の筒状体1の上下関係にある夫々の筒状体1を互いに離反する方向に押しやり伸張状態を保持している。
【0027】
従って、例えば、各筒状体1の上端側開口部の開口径を下端側開口部の開口径よりも大径に形成し下方に窄まるテーパー形状に形成し、且つ鍋本体3を形成した際に上側に位置する筒状体1の下端側開口部の開口径を下側に位置する筒状体1の上端側開口部の開口径よりも小径に形成した場合は、複数の筒状体1をスライド伸張させて鍋本体3を伸張状態にした際には、摺動面となる上側に位置する筒状体1の下端側内面と下側に位置する筒状体1の上端側外面とに隙間が生ずることなく強固に密着係止するので、例えば、水などの液体を入れた際にも、各筒状体1の摺動面から液体が漏洩するといった不具合が生ずる心配がない。
【0028】
更に、突っ張り支持棒体4には、この突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止し鍋本体3の伸張状態を保持するスライドロック機構5を設けているので、使用中の鍋の突っ張り支持棒体4が屈曲して鍋本体3を形成している筒状体1がスライド縮退し、鍋本体3が縮退重合状態となって、調理中の中身がこぼれ落ちるなどの不具合が生ずる心配もなく、安心して使用できる実用性に優れた伸縮自在鍋となる。
【実施例】
【0029】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
本実施例は、径の異なる複数の筒状体1をスライド自在に嵌合して伸縮自在に構成し、最下部となる筒状体1は、底部2を有する有底筒状体1aとして伸縮自在な鍋本体3を形成し、この鍋本体3の最上部となる筒状体1と最下部となる有底筒状体1aとの間に突っ張り支持棒体4を屈曲自在に架設して複数の筒状体1のスライド伸張状態を保持するように構成し、この突っ張り支持棒体4に、該突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止し鍋本体3を形成する複数の筒状体1及び有底筒状体1aのスライド伸張状態を保持するスライドロック機構5を設けた伸縮自在鍋である。
【0031】
具体的には、本実施例では、五つの径の異なる円形状の筒状体1で鍋本体3を形成する構成としており、この鍋本体3を形成する筒状体1は、上端側開口部の直径を下端側開口部の直径よりも大径に形成し下方に窄まるテーパー形状に形成し、且つ鍋本体3を形成した際に上側に位置する筒状体1の下端側開口部の直径を下側に位置する筒状体1の上端側開口部の直径よりも小径に形成した構成としている。
【0032】
即ち、鍋本体3を伸張状態にした際には最上部となり縮退重合状態にした際には最外周部となる筒状体1の上端側開口部の直径が最大径となり、この最上部且つ最外周部となる一段目の筒状体1の上端側開口部の直径よりも二段目の筒状体1の上端側開口部の直径を小径にし、この二段目の筒状体1の上端側開口部の直径よりも三段目の筒状体1の上端側開口部の直径を小径に、この三段目の筒状体1の上端側開口部の直径よりも四段目の筒状体1の上端側開口部の直径を小径にし、この四段目の筒状体1の上端側開口部の直径よりも鍋本体3を伸張状態にした際には最下部となり縮退重合状態にした際には最内周部となる五段目の有底筒状体1aの上端側開口部の直径を小径に設定して鍋本体3が伸張状態となった際の形状を下方に窄まるテーパー状の鍋状体となるように構成している。
【0033】
また、最上部且つ最外周部となる一段目の筒状体1の下端側開口部の直径よりも二段目の筒状体1の上端側開口部の直径を大径にし、この二段目の筒状体1の下端側開口部の直径よりも三段目の筒状体1の上端側開口部の直径を大径にし、この三段目の筒状体1の下端側開口部の直径よりも四段目の筒状体1の上端側開口部の直径を大径にし、この四段目の筒状体1の下端側開口部の直径よりも最下部且つ最内周部となる五段目の有底筒状体1aの上端側開口部の直径を大径に設定して、縮退重合状態の鍋本体3を伸縮状態にするために、外周側(伸張状態時の上段側)の筒状体1に対して内周側(伸張状態時の下段側)の筒状体1若しくは有底筒状体1aを下方にスライド移動させた際に、外周側(上段側)の筒状体1の下端側開口部から内周側(下段側)の筒状体1若しくは有底筒状体1aが離脱し分離状態とならずに、摺動面となる外周側の筒状体1の下端側内周面と内周側の筒状体1若しくは有底筒状体1aの上端側外周面とが密着係止するように構成している。
【0034】
また、上述した複数の筒状体1及び有底筒状体1aは、ステンレス材、アルミニウム材、銅材などの軽金属材で形成しており、具体的には、本実施例では安価で耐食性にも優れているステンレス材を用いた構成とし、更に、このステンレス材で形成した複数の筒状体1及び有底筒状体1aの摺動面となる外周側の筒状体1の下端側内周面と内周側の筒状体1若しくは有底筒状体1aの上端側外周面とが密着係止するシール部6のシール性(密着性)をより向上させ、一層シール部6からの漏洩を可及的に阻止する構成としている。
【0035】
具体的には、母材であるステンレス材のほかに、シール性向上材16としてのアルミニウム材若しくは銅材を採用して異なる金属同士を接合させて、この異なる金属が加熱された際の熱膨張係数の差を利用して、よりシール性を高める構成としており、例えば、最上部となる一段目の筒状体1をステンレス材で形成し、二段目の筒状体1をアルミニウム材若しくは銅材で形成し、三段目の筒状体1は、またステンレス材で形成して、ステンレス材とアルミニウム材若しくは銅材を交互に配置した構成としても良く、また、例えば、摺動面となる外周側の筒状体1の下端側内周面と内周側の筒状体1若しくは有底筒状体1aの上端側外周面のシール部6となる位置に部分的にシール性向上材16としてのアルミニウム材若しくは銅材を付着した構成としても良い。
【0036】
また、上述したように異なる金属の熱膨張率の差を用いてシール性を向上させる以外にも、例えば、筒状体1及び有底筒状体1aの上端側縁部にシール性向上材16としてシリコン樹脂を被嵌し、このシリコン樹脂の弾性変形によってシール部6をより一層シールするように構成したり、また、例えば、筒状体1と有底筒状体1aとの摺動面にシール性向上材16としてフッ素樹脂加工を施し、このフッ素樹脂の撥水特性を利用してシール部6に侵入する水などの液体をはじくことでシール部6への水などの液体の侵入を阻止する構成としても良い。
【0037】
また、本実施例は、複数の筒状体1及び有底筒状体1aがスライド伸張して鍋本体3がスライド伸張状態となった際に、このスライド伸張状態を保持する突っ張り支持棒体4を設けた構成とし、本実施例では、この突っ張り支持棒体4を四箇所に設け、具体的には、直交する四方向、即ち、90°毎の等間隔に配置した構成としている。
【0038】
この突っ張り支持棒体4は、第一支持棒体4aと第二支持棒体4bとからなり、第一支持棒体4aの一端を鍋本体3の最上部且つ最外周部となる筒状体1に回動自在に設け、第二支持棒体4bの一端を鍋本体3の最下部且つ最内周部となる有底筒状体2に回動自在に設け、第一支持棒体4aの他端と第二支持棒体4bの他端とを回動自在に連設し、この第一支持棒体4aの他端と第二支持棒体4bの他端とを回動自在に連設した連設部8が屈曲する屈曲自在な構成としている。
【0039】
即ち、鍋本体3が縮退重合状態の際は、この連設部8が屈曲して突っ張り支持棒体4が屈曲状態となり、鍋本体3が伸張状態の際は、連設部8が伸長して突っ張り支持棒体4が直立状態となり、この突っ張り支持棒体4が直立状態となることで、鍋本体3の伸張状態を保持すると共に、この鍋本体3を形成する筒状体1及び有底筒状体1aの上段側の筒状体1と下段側の筒状体1若しくは有底筒状体1aとを互いに離反方向に押しやり、摺動面となる上段側の筒状体1の下端側内面と下段側の筒状体1若しくは有底筒状体1aの上端側外面とがより一層密着係止しシール性を向上させる構成としている。
【0040】
また更に、この突っ張り支持棒体4は、この突っ張り支持棒体4の長さを自在に調整するテンション調整部7を設けた構成としており、前記鍋本体3をスライド伸張状態にする際に、複数の筒状体1及び有底筒状体1aの夫々の摺動面の密着係止状態を調整自在に構成している。
【0041】
即ち、本実施例を長期に渡って継続的に使用していくと、徐々に摺動面となるシール部6が摩耗してシール性が低下してしまう可能性があり、このような場合に、テンション調整部7で突っ張り支持棒体4の長さを長くする方向に調整して、この突っ張り支持棒体4を直立状態とした際に、この突っ張り支持棒体4の両端が鍋本体3を形成する筒状体1及び有底筒状体1aの上段側の筒状体1と下段側の筒状体1若しくは有底筒状体1aとをより一層離反方向に押しやり、シール性を回復させることができる構成としている。
【0042】
このテンション調整部7は、具体的には、第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bの少なくとも一方の途中に配設し、テンション調整部7は両端に雄ネジ部を設けた構成とし、第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bにこの雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を形成し、或いは、テンション調整部7は両端に雌ネジ部を設けた構成とし、第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bにこの雌ネジ部と螺合する雄ネジ部を形成し、一端側を逆ネジしてこのテンション調整部7を一方向に回した場合は、テンション調整部7と第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bとが離反して突っ張り支持棒体4の長さが長くなり、他方向に回した場合は、テンション調整部7と第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bとが接近して突っ張り支持棒体4の長さが短くなるように構成している。
【0043】
また、この突っ張り支持棒体4は、鍋本体3に着脱自在に設けた構成としており、突っ張り支持棒体4を所定方向に屈曲状態とした際にのみ、鍋本体3から離脱可能な状態となるように構成している。
【0044】
具体的には、鍋本体3の最上部となる筒状体1の外周面に第一支持棒体4aの一端部と嵌合係止する最上部側嵌合部10を設け、鍋本体3の最下部となる有底筒状体1aの外周面に第二支持棒体4bの一端部と嵌合係止する最下部側嵌合部11を設け、最上部側嵌合部10に第一支持棒体4aの一端部を着脱自在に設け、最下部側嵌合部11に第二支持棒体4bの一端部を着脱自在に設けて突っ張り支持棒体4を鍋本体3に着脱自在に設けた構成としている。
【0045】
また、この突っ張り支持棒体4が、通常使用時において容易に鍋本体3から外れてしまい鍋本体3が縮退して調理中の中身がこぼれないように、突っ張り支持棒体4を所定方向に所定角度屈曲状態とした場合のみ、鍋本体3に対して着脱可能となる構成としている。
【0046】
具体的には、鍋本体3側となる最上部側嵌合部10は、鍋本体3の最上部となる筒状体1の外周面に円柱形状体10aを水平方向に突設しこの円柱形状体10aの先端側周面に凸部10bを設けた構成とし、また、最下部側嵌合部11は、第二支持棒体4bの一端部を挿入する先端側入口形状をD字形状に形成しこの先端側より基端側の内周面を円形状に形成し、鍋本体3の最下部となる有底筒状体1aの外周面に水平方向に突設した構成としている。
【0047】
また、上述のように構成した鍋本体3側の夫々の嵌合部10,11に嵌合する突っ張り支持棒体4の両端部、即ち、第一支持棒体4aの一端部及び第二支持棒体4bの一端部については、第一支持棒体4aの一端部は、円形状に形成した一端部に円形状の貫通孔12を形成し、この貫通孔12を形成した内周面に、最上部側嵌合部10に設けた凸部10bと嵌合する凹条溝部13をこの内周面方向と直交する方向に形成した構成とし、第二支持棒体4bの一端部は、断面D字形状に形成した構成としている。
【0048】
このように形成した突っ張り支持棒体4の両端部は、この突っ張り支持棒体4を所定方向側に所定角度折曲した状態の場合のみ、鍋本体3に設けた最上部側嵌合部10及び最下部側嵌合部11と着脱自在となり、この突っ張り支持棒体4を最上部側嵌合部10及び最下部側嵌合部11に嵌合した状態で所定方向側以外に屈曲若しくは直立状態とした場合は、最上部側嵌合部10の凸部10bと第一支持棒体4aの凹条溝部13とが嵌合せず、また、最下部側嵌合部11の出入り口形状と第二支持棒体4bの一端側の形状が合致せずに引き抜き不能な構成となっている。
【0049】
また、この突っ張り支持棒体4は、この突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止し直立状態を保持して鍋本体3の伸張状態を保持するスライドロック機構5を設けた構成としている。
【0050】
具体的には、このスライドロック機構5は、筒状に形成し突っ張り支持棒体4にスライド自在に設け、鍋本体3をスライド伸張状態にして突っ張り支持棒体4を直立状態とした際に自動スライドして第一支持棒体4aと第二支持棒体4bとを連設した連設部8に被嵌しこの突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止する構成としている。
【0051】
更に具体的に説明すると、本実施例では、このスライドロック機構5を円形筒状体5に形成し、この円形筒状体5を丸棒状に形成した突っ張り支持棒体4に遊嵌し、この突っ張り支持棒体4がガイドとなって上下方向にスライド自在に遊動する構成としている。
【0052】
即ち、スライドロック機構5としての円形筒状体5は、突っ張り支持棒体4が屈曲状態から直立状態にして鍋本体3を伸張状態に下際にも、一々手で移動させて連設部8に被嵌させなくとも、自重で下方側にスライド移動して第二支持棒体4bに設けたスライドロック当接部14に当接し係止して連設部8に被嵌し、また、鍋本体3を縮退重合状態にする際にも、一々円形筒状体5を手で押し上げて連設部8から離脱させることなく、鍋本体3の底部2側を上方に配して上下逆さまの状態にするだけで、円形筒状体5が自重で下方(鍋本体3の最上部となる筒状体1側)にスライド移動して連設部8から容易に離脱する構成としている。
【0053】
また、本実施例では、鍋本体3の最上部となる筒状体1に取っ手部9を折りたたみ自在に設け、鍋本体3を縮退重合状態にしこの取っ手部9を折りたたんだ際に、この取っ手部9が有底筒状体1aの底部2に当接し鍋本体3をスライド伸張不能状態に保持するように構成している。
【0054】
具体的には、この取っ手部9は、金属製の棒状体を握持可能な細長形状の枠体に折曲形成し、この取っ手部9の基端部を取っ手取付け部15に回動自在に設けた構成としている。
【0055】
尚、本実施例では、取っ手部9を片持ち握持柄として片手鍋とした構成としているが、この取っ手部9を対向位置に設けて両手鍋としても良い。
【0056】
本実施例は、上述のように構成したから、次の作用効果を有する。
【0057】
本実施例を携帯して持ち運ぶ場合は、鍋本体3を形成する筒状体1及び有底筒状体1aがスライド縮退して夫々の筒状体1が重合状態となって、鍋本体3の高さが縮んでコンパクト化され収納に適した状態となるので、例えば、リックサックなどの運搬用袋に収納した際にも嵩張らずに他の荷物と一緒に持ち運ぶことができるようになり食料や炊事道具などをまとめて効率的に持ち運ぶことができる非常に携帯性に優れた伸縮自在鍋となる。
【0058】
しかも、突っ張り支持棒体4の端部がこの最上部の筒状体1を上方に押しやり、また、鍋本体3の最下部となる有底筒状体1aに設けた突っ張り支持棒体4の端部がこの最下部の有底筒状体1aを下方に押しやることで、この鍋本体3を形成する複数の筒状体1の上下関係にある夫々の筒状体1を互いに離反する方向に押しやるので、摺動面となる上側に位置する筒状体1の下端側内面と下側に位置する筒状体1の上端側外面とに隙間が生ずることなく強固に密着係止し、例えば、水などの液体を入れた際にも、各筒状体1の摺動面から液体が漏洩するといった不具合が生ずる心配がなく安心して使用することができる。
【0059】
更に、突っ張り支持棒体4に設けたスライドロック機構5によって、直立状態の突っ張り支持棒体4の屈曲が阻止された状態となっているので、使用中の鍋の突っ張り支持棒体4が屈曲して鍋本体3を形成している筒状体1がスライド縮退し、鍋本体3が縮退重合状態となって、調理中の中身がこぼれ落ちるなどの不具合が生ずる心配もなく、安心して使用できる実用性に優れた伸縮自在鍋となる。
【0060】
しかも、このスライドロック機構5は一々手で操作することなく自動スライドによって連設部8を被嵌若しくは離脱するので、このスライドロック機構5の掛け忘れによって使用中に突っ張り支持棒体4が屈曲して鍋本体3を縮退させ、調理中の中身をこぼしてしまうといった不具合を生ずることもない実用性に優れた画期的な伸縮自在鍋となる。
【0061】
また更に、経時劣化により摺動面が摩耗して密着性(シール性)が低下した場合でも、突っ張り支持棒体4に設けたテンション調整部7で突っ張り支持棒体4自体の長さを伸長させることで鍋本体3を形成する筒状体1及び有底筒状体1aを互いに離反方向に押しやる作用を回復させ、初期状態と同様の伸張状態に調整することが容易にできるので、筒状体1及び有底筒状体1aの摺動面を常に強固に密着係止した状態に保つことができ、摺動面となるシール部6からの漏洩の心配が無い状態に保つことができる画期的な伸縮自在鍋となる。
【0062】
更に、この突っ張り支持棒体4は、鍋本体3から取り外すことが可能なので、この突っ張り支持棒体4を取り外して、複数の筒状体1及び有底筒状体1aをバラバラに分解することができ、組付け状態では洗浄しにくい摺動面などもきれいに洗浄することができ、常に清潔感を保つことができる。
【0063】
また、本実施例は、鍋本体3だけでなく、鍋本体3から突出している取っ手部9を折りたたむことで突出部がなくなり、収納時の嵩張りを抑えてより一層コンパクトに収納することができ、しかも、この折りたたんだ取っ手部9がコンパクト収納状態にある鍋本体3の底部2に当接し鍋本体3が伸長状態となることを阻止するので、持ち運び途中に鍋本体3が伸張することもなく、また、収納状態の鍋を持つ場合も、鍋本体3がスライド伸長しないように底部2を一々手で押えながら持つ必要も無いので、非常に持ち運びに便利な伸縮自在鍋となる。
【0064】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0065】
1 筒状体
1a 有底筒状体
2 底部
3 鍋本体
4 突っ張り支持棒体
4a 第一支持棒体
4b 第二支持棒体
5 スライドロック機構
6 シール部
7 テンション調整部
8 連設部
9 取っ手部
16 シール性向上材
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運びに便利なコンパクト収納可能な鍋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
登山やキャンプなどのアウトドアで野外炊飯を行う際、目的地まで炊事道具を携帯して山道を歩いたり登ったりしなければならないが、特に人数が多い場合は、炊事道具も数が多くなり、また、個々の道具の大きさも大型のものが多くなってしまう。
【0003】
また、このように野外炊飯を行う際の炊事道具の中で、特に持ち運びが厄介なものが鍋であり、この鍋は径も深さもあるため、持ち運びの際には非常に嵩張る道具であった。
【0004】
従来、この鍋を持ち運ぶ際に、少しでもコンパクトな状態にしてカバンや袋に収納し持ち運びし易いようにすることができるようにと、特許文献1のように取っ手や握持柄を折りたたみ式にしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−000298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1では取っ手や握持柄などの突出部をなくすだけで鍋自体の大きさは変わらないのでコンパクトになるというわけではなく、持ち運びの際には、やはり嵩張ってしまうものであった。
【0007】
そこで、本発明では、取っ手や握持柄などの突出部をなくすだけではなく、鍋自体の大きさもコンパクトにすることができ、持ち運び時に嵩張らないようにコンパクト収納可能な持ち運びに便利な画期的な鍋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
径の異なる複数の筒状体1をスライド自在に嵌合して伸縮自在に構成し、最下部となる前記筒状体1は、底部2を有する有底筒状体1aとして伸縮自在な鍋本体3を形成し、この鍋本体3の最上部となる筒状体1と最下部となる前記有底筒状体1aとの間に突っ張り支持棒体4を屈曲自在に架設して前記複数の筒状体1のスライド伸張状態を保持するように構成し、この突っ張り支持棒体4に該突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止し前記鍋本体3を形成する前記複数の筒状体1及び有底筒状体1aのスライド伸張状態を保持するスライドロック機構5を設けたことを特徴とする伸縮自在鍋に係るものである。
【0010】
また、前記複数の筒状体1は、上端側開口部の開口径を下端側開口部の開口径よりも大径に形成し下方に窄まるテーパー形状に形成し、且つ前記鍋本体3を形成した際に上側に位置する筒状体1の下端側開口部の開口径を下側に位置する筒状体1の上端側開口部の開口径よりも小径に形成し、前記鍋本体3を縮退重合状態からスライド伸張状態にする際、前記突っ張り支持棒体4が直立し上側に位置する筒状体1と下側に位置する筒状体1とを互いに離反方向に押しやり、摺動面となる前記上側に位置する筒状体1の下端側内面と前記下側に位置する筒状体1の上端側外面とが密着係止するように構成したことを特徴とする請求項1記載の伸縮自在に鍋に係るものである。
【0011】
また、前記摺動面となる前記上側に位置する筒状体1の下端側内面と前記下側に位置する筒状体1の上端側外面とが密着係止するシール部6は、前記上側に位置する筒状体1と前記下側に位置する筒状体1の一方にステンレス材を採用し他方にアルミニウム材又は銅材を採用し異なる金属を密着係止する構成、若しくは、前記上側に位置する筒状体1と前記下側に位置する筒状体1の一方にシール性向上材16としてのアルミニウム、銅、シリコン樹脂、又はフッ素樹脂を被着した構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【0012】
また、前記突っ張り支持棒体4は、第一支持棒体4aと第二支持棒体4bとからなり、前記第一支持棒体4aの一端を前記鍋本体3の最上部となる筒状体1に回動自在に設け、前記第二支持棒体4bの一端を前記鍋本体3の最下部となる有底筒状体2に回動自在に設け、前記第一支持棒体4aの他端と前記第二支持棒体4bの他端とを回動自在に連設した構成とし、この突っ張り支持棒体4にテンション調整部7を設けて前記鍋本体3をスライド伸張状態にする際に、前記複数の筒状体1及び前記有底筒状体1aの夫々の摺動面の密着係止状態を調整自在に構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【0013】
また、前記スライドロック機構5は、筒状に形成し前記突っ張り支持棒体4にスライド自在に設け、前記鍋本体3をスライド伸張状態にして前記突っ張り支持棒体4を直立状態とした際に自動スライドし前記第一支持棒体4aと前記第二支持棒体4bとを連設した連設部8に被嵌しこの突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【0014】
また、前記突っ張り支持棒体4を前記鍋本体3に着脱自在に設け、前記突っ張り支持棒体4を取り外した際に前記鍋本体3を分離可能に構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【0015】
また、前記鍋本体3の最上部となる筒状体1に取っ手部9を折りたたみ自在に設け、前記鍋本体3を縮退重合状態にしこの取っ手部9を折りたたんだ際に、この取っ手部9が前記有底筒状体1aの底部2に当接し前記鍋本体3をスライド伸張不能状態に保持するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、本発明の伸縮自在鍋を、例えばリックサックなどの運搬用袋に収納して持ち運ぶ場合は、鍋本体を形成する筒状体及び有底筒状体がスライド縮退して夫々の筒状体が重合状態となって、鍋本体の高さが縮んでコンパクト化され収納に適した状態にすることができるので、リックサックなどの運搬用袋に収納した際にも嵩張らずに他の荷物と一緒に持ち運ぶことができるようになり食料や炊事道具などをまとめて効率的に持ち運ぶことができるようになる。
【0017】
また、使用するために鍋本体を伸張状態とした場合は、突っ張り支持棒体が屈曲状態から直立状態に伸長してこの突っ張り支持棒体の夫々の端部を設けた鍋本体の最上部となる筒状体と最下部となる有底筒状体とを夫々外方に押しやり鍋本体の伸張状態を保持するので、夫々の筒状体の嵌合部に隙間ができることなく密着係止状態となり、例えば水などの液体を入れた場合でも漏洩が生ずる心配がなく安心して使用することができ、しかも、この突っ張り支持棒体の屈曲をスライドロック機構が阻止するので、使用中に突っ張り支持棒体を屈曲して鍋本体が縮んでしまうといった不具合も生ずる心配が無い、携帯性並びに実用性に優れた画期的な伸縮自在鍋となる。
【0018】
また、請求項2記載の発明においては、鍋本体を縮退重合状態からスライド伸張状態にする際に突っ張り支持棒体が直立し上側に位置する筒状体と下側に位置する筒状体とを互いに離反方向に押しやり、摺動面となる上側に位置する筒状体の下端側内面と下側に位置する筒状体の上端側外面とを密着係止させるので、例えば、鍋本体に注入した水などの液体が漏洩することなく、特に請求項3記載の発明においては、より一層摺動面のシール性を向上させ、安心して使用することができる伸縮自在鍋となる。
【0019】
また、請求項4記載の発明においては、例えば、経時劣化により摺動面の密着性(シール性)が低下した際にも、テンション調整部で突っ張り支持棒体自体の長さを伸長させることで鍋本体を形成する筒状体同士の伸張状態を調整することができるので、筒状体同士の摺動面を常に強固に密着係止した状態に保つことができ、漏洩の心配が無い状態に保つことができる画期的な伸縮自在鍋となる。
【0020】
また、請求項5記載の発明においては、一々スライドロック機構を突っ張り支持棒体の連設部に被嵌させなくとも、突っ張り支持棒体を直立状態にした際には、自動で連設部に被嵌するので、ロックの掛け忘れによって使用中に突っ張り支持棒体が屈曲して鍋本体を縮退させ、調理中の中身をこぼしてしまうといった不具合を生ずることがなく、安心して使用することができる実用性に優れた伸縮自在鍋となる。
【0021】
また、請求項6記載の発明においては、洗浄作業を容易に行うことができる実用性に優れた伸縮自在鍋となる。
【0022】
また、請求項7記載の発明においては、鍋本体から突出している取っ手部を折りたたむことで突出部がなくなり、収納時の嵩張りを抑えてより一層コンパクトに収納することができると共に、コンパクト収納状態にある鍋本体が筒状体のスライド伸張によって伸張状態となることを防止するので、持ち運び途中で鍋本体が伸張することなく、また、鍋自体をそのまま持ったときも、筒状体がスライド伸長しないように一々底部を手で押えるなどといった配慮しながら持つ必要が無い持ち運びに便利な伸縮自在鍋となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例の鍋本体が伸張した状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例の鍋本体が縮退重合した状態を示す斜視図である。
【図3】本実施例の鍋本体の伸張状態を示す説明断面図である。
【図4】本実施例の鍋本体の縮退重合状態を示す説明断面図である。
【図5】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図6】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図7】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図8】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図9】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図10】本実施例の鍋本体の摺動面にシール性向上材を設けた状態を示す説明断面図である。
【図11】本実施例の突っ張り支持棒体の屈曲状態を示す説明側面図である。
【図12】本実施例の突っ張り支持棒体の伸長状態を示す説明側面図である。
【図13】本実施例のテンション調整部を示す説明斜視図である。
【図14】本実施例の突っ張り支持棒体を着脱可能な状態に屈曲した状態を示す説明側面図である。
【図15】本実施例の突っ張り支持棒体を示す分解斜視図である。
【図16】本実施例のスライドロック機構が突っ張り支持棒体を屈曲阻止した状態を示す説明斜視図である。
【図17】本実施例の鍋本体を縮退重合してコンパクト収納する方法を示す説明斜視図である。
【図18】本実施例の取っ手部を折りたたみ収納した状態を示す説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0025】
筒状体1同士が縮退重合したコンパクト収納状態から、夫々の筒状体1をスライド伸張させて鍋本体3を伸張状態にすることで深さを有する炊事に使用可能な鍋状体になり、この筒状体1のスライド伸張に際して突っ張り支持棒体4が、屈曲状態から直立状態に伸長してこの突っ張り支持棒体4の夫々の端部を設けた鍋本体3の最上部となる筒状体1と最下部となる有底筒状体1aとを夫々外方に押しやり鍋本体3の伸張状態を保持する。
【0026】
即ち、鍋本体3の最上部となる筒状体1に設けた突っ張り支持棒体4の端部がこの最上部の筒状体1を上方に押しやり、また、鍋本体3の最下部となる有底筒状体1aに設けた突っ張り支持棒体4の端部がこの最下部の有底筒状体1aを下方に押しやることで、この鍋本体3を形成する複数の筒状体1の上下関係にある夫々の筒状体1を互いに離反する方向に押しやり伸張状態を保持している。
【0027】
従って、例えば、各筒状体1の上端側開口部の開口径を下端側開口部の開口径よりも大径に形成し下方に窄まるテーパー形状に形成し、且つ鍋本体3を形成した際に上側に位置する筒状体1の下端側開口部の開口径を下側に位置する筒状体1の上端側開口部の開口径よりも小径に形成した場合は、複数の筒状体1をスライド伸張させて鍋本体3を伸張状態にした際には、摺動面となる上側に位置する筒状体1の下端側内面と下側に位置する筒状体1の上端側外面とに隙間が生ずることなく強固に密着係止するので、例えば、水などの液体を入れた際にも、各筒状体1の摺動面から液体が漏洩するといった不具合が生ずる心配がない。
【0028】
更に、突っ張り支持棒体4には、この突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止し鍋本体3の伸張状態を保持するスライドロック機構5を設けているので、使用中の鍋の突っ張り支持棒体4が屈曲して鍋本体3を形成している筒状体1がスライド縮退し、鍋本体3が縮退重合状態となって、調理中の中身がこぼれ落ちるなどの不具合が生ずる心配もなく、安心して使用できる実用性に優れた伸縮自在鍋となる。
【実施例】
【0029】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
本実施例は、径の異なる複数の筒状体1をスライド自在に嵌合して伸縮自在に構成し、最下部となる筒状体1は、底部2を有する有底筒状体1aとして伸縮自在な鍋本体3を形成し、この鍋本体3の最上部となる筒状体1と最下部となる有底筒状体1aとの間に突っ張り支持棒体4を屈曲自在に架設して複数の筒状体1のスライド伸張状態を保持するように構成し、この突っ張り支持棒体4に、該突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止し鍋本体3を形成する複数の筒状体1及び有底筒状体1aのスライド伸張状態を保持するスライドロック機構5を設けた伸縮自在鍋である。
【0031】
具体的には、本実施例では、五つの径の異なる円形状の筒状体1で鍋本体3を形成する構成としており、この鍋本体3を形成する筒状体1は、上端側開口部の直径を下端側開口部の直径よりも大径に形成し下方に窄まるテーパー形状に形成し、且つ鍋本体3を形成した際に上側に位置する筒状体1の下端側開口部の直径を下側に位置する筒状体1の上端側開口部の直径よりも小径に形成した構成としている。
【0032】
即ち、鍋本体3を伸張状態にした際には最上部となり縮退重合状態にした際には最外周部となる筒状体1の上端側開口部の直径が最大径となり、この最上部且つ最外周部となる一段目の筒状体1の上端側開口部の直径よりも二段目の筒状体1の上端側開口部の直径を小径にし、この二段目の筒状体1の上端側開口部の直径よりも三段目の筒状体1の上端側開口部の直径を小径に、この三段目の筒状体1の上端側開口部の直径よりも四段目の筒状体1の上端側開口部の直径を小径にし、この四段目の筒状体1の上端側開口部の直径よりも鍋本体3を伸張状態にした際には最下部となり縮退重合状態にした際には最内周部となる五段目の有底筒状体1aの上端側開口部の直径を小径に設定して鍋本体3が伸張状態となった際の形状を下方に窄まるテーパー状の鍋状体となるように構成している。
【0033】
また、最上部且つ最外周部となる一段目の筒状体1の下端側開口部の直径よりも二段目の筒状体1の上端側開口部の直径を大径にし、この二段目の筒状体1の下端側開口部の直径よりも三段目の筒状体1の上端側開口部の直径を大径にし、この三段目の筒状体1の下端側開口部の直径よりも四段目の筒状体1の上端側開口部の直径を大径にし、この四段目の筒状体1の下端側開口部の直径よりも最下部且つ最内周部となる五段目の有底筒状体1aの上端側開口部の直径を大径に設定して、縮退重合状態の鍋本体3を伸縮状態にするために、外周側(伸張状態時の上段側)の筒状体1に対して内周側(伸張状態時の下段側)の筒状体1若しくは有底筒状体1aを下方にスライド移動させた際に、外周側(上段側)の筒状体1の下端側開口部から内周側(下段側)の筒状体1若しくは有底筒状体1aが離脱し分離状態とならずに、摺動面となる外周側の筒状体1の下端側内周面と内周側の筒状体1若しくは有底筒状体1aの上端側外周面とが密着係止するように構成している。
【0034】
また、上述した複数の筒状体1及び有底筒状体1aは、ステンレス材、アルミニウム材、銅材などの軽金属材で形成しており、具体的には、本実施例では安価で耐食性にも優れているステンレス材を用いた構成とし、更に、このステンレス材で形成した複数の筒状体1及び有底筒状体1aの摺動面となる外周側の筒状体1の下端側内周面と内周側の筒状体1若しくは有底筒状体1aの上端側外周面とが密着係止するシール部6のシール性(密着性)をより向上させ、一層シール部6からの漏洩を可及的に阻止する構成としている。
【0035】
具体的には、母材であるステンレス材のほかに、シール性向上材16としてのアルミニウム材若しくは銅材を採用して異なる金属同士を接合させて、この異なる金属が加熱された際の熱膨張係数の差を利用して、よりシール性を高める構成としており、例えば、最上部となる一段目の筒状体1をステンレス材で形成し、二段目の筒状体1をアルミニウム材若しくは銅材で形成し、三段目の筒状体1は、またステンレス材で形成して、ステンレス材とアルミニウム材若しくは銅材を交互に配置した構成としても良く、また、例えば、摺動面となる外周側の筒状体1の下端側内周面と内周側の筒状体1若しくは有底筒状体1aの上端側外周面のシール部6となる位置に部分的にシール性向上材16としてのアルミニウム材若しくは銅材を付着した構成としても良い。
【0036】
また、上述したように異なる金属の熱膨張率の差を用いてシール性を向上させる以外にも、例えば、筒状体1及び有底筒状体1aの上端側縁部にシール性向上材16としてシリコン樹脂を被嵌し、このシリコン樹脂の弾性変形によってシール部6をより一層シールするように構成したり、また、例えば、筒状体1と有底筒状体1aとの摺動面にシール性向上材16としてフッ素樹脂加工を施し、このフッ素樹脂の撥水特性を利用してシール部6に侵入する水などの液体をはじくことでシール部6への水などの液体の侵入を阻止する構成としても良い。
【0037】
また、本実施例は、複数の筒状体1及び有底筒状体1aがスライド伸張して鍋本体3がスライド伸張状態となった際に、このスライド伸張状態を保持する突っ張り支持棒体4を設けた構成とし、本実施例では、この突っ張り支持棒体4を四箇所に設け、具体的には、直交する四方向、即ち、90°毎の等間隔に配置した構成としている。
【0038】
この突っ張り支持棒体4は、第一支持棒体4aと第二支持棒体4bとからなり、第一支持棒体4aの一端を鍋本体3の最上部且つ最外周部となる筒状体1に回動自在に設け、第二支持棒体4bの一端を鍋本体3の最下部且つ最内周部となる有底筒状体2に回動自在に設け、第一支持棒体4aの他端と第二支持棒体4bの他端とを回動自在に連設し、この第一支持棒体4aの他端と第二支持棒体4bの他端とを回動自在に連設した連設部8が屈曲する屈曲自在な構成としている。
【0039】
即ち、鍋本体3が縮退重合状態の際は、この連設部8が屈曲して突っ張り支持棒体4が屈曲状態となり、鍋本体3が伸張状態の際は、連設部8が伸長して突っ張り支持棒体4が直立状態となり、この突っ張り支持棒体4が直立状態となることで、鍋本体3の伸張状態を保持すると共に、この鍋本体3を形成する筒状体1及び有底筒状体1aの上段側の筒状体1と下段側の筒状体1若しくは有底筒状体1aとを互いに離反方向に押しやり、摺動面となる上段側の筒状体1の下端側内面と下段側の筒状体1若しくは有底筒状体1aの上端側外面とがより一層密着係止しシール性を向上させる構成としている。
【0040】
また更に、この突っ張り支持棒体4は、この突っ張り支持棒体4の長さを自在に調整するテンション調整部7を設けた構成としており、前記鍋本体3をスライド伸張状態にする際に、複数の筒状体1及び有底筒状体1aの夫々の摺動面の密着係止状態を調整自在に構成している。
【0041】
即ち、本実施例を長期に渡って継続的に使用していくと、徐々に摺動面となるシール部6が摩耗してシール性が低下してしまう可能性があり、このような場合に、テンション調整部7で突っ張り支持棒体4の長さを長くする方向に調整して、この突っ張り支持棒体4を直立状態とした際に、この突っ張り支持棒体4の両端が鍋本体3を形成する筒状体1及び有底筒状体1aの上段側の筒状体1と下段側の筒状体1若しくは有底筒状体1aとをより一層離反方向に押しやり、シール性を回復させることができる構成としている。
【0042】
このテンション調整部7は、具体的には、第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bの少なくとも一方の途中に配設し、テンション調整部7は両端に雄ネジ部を設けた構成とし、第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bにこの雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を形成し、或いは、テンション調整部7は両端に雌ネジ部を設けた構成とし、第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bにこの雌ネジ部と螺合する雄ネジ部を形成し、一端側を逆ネジしてこのテンション調整部7を一方向に回した場合は、テンション調整部7と第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bとが離反して突っ張り支持棒体4の長さが長くなり、他方向に回した場合は、テンション調整部7と第一支持棒体4a若しくは第二支持棒体4bとが接近して突っ張り支持棒体4の長さが短くなるように構成している。
【0043】
また、この突っ張り支持棒体4は、鍋本体3に着脱自在に設けた構成としており、突っ張り支持棒体4を所定方向に屈曲状態とした際にのみ、鍋本体3から離脱可能な状態となるように構成している。
【0044】
具体的には、鍋本体3の最上部となる筒状体1の外周面に第一支持棒体4aの一端部と嵌合係止する最上部側嵌合部10を設け、鍋本体3の最下部となる有底筒状体1aの外周面に第二支持棒体4bの一端部と嵌合係止する最下部側嵌合部11を設け、最上部側嵌合部10に第一支持棒体4aの一端部を着脱自在に設け、最下部側嵌合部11に第二支持棒体4bの一端部を着脱自在に設けて突っ張り支持棒体4を鍋本体3に着脱自在に設けた構成としている。
【0045】
また、この突っ張り支持棒体4が、通常使用時において容易に鍋本体3から外れてしまい鍋本体3が縮退して調理中の中身がこぼれないように、突っ張り支持棒体4を所定方向に所定角度屈曲状態とした場合のみ、鍋本体3に対して着脱可能となる構成としている。
【0046】
具体的には、鍋本体3側となる最上部側嵌合部10は、鍋本体3の最上部となる筒状体1の外周面に円柱形状体10aを水平方向に突設しこの円柱形状体10aの先端側周面に凸部10bを設けた構成とし、また、最下部側嵌合部11は、第二支持棒体4bの一端部を挿入する先端側入口形状をD字形状に形成しこの先端側より基端側の内周面を円形状に形成し、鍋本体3の最下部となる有底筒状体1aの外周面に水平方向に突設した構成としている。
【0047】
また、上述のように構成した鍋本体3側の夫々の嵌合部10,11に嵌合する突っ張り支持棒体4の両端部、即ち、第一支持棒体4aの一端部及び第二支持棒体4bの一端部については、第一支持棒体4aの一端部は、円形状に形成した一端部に円形状の貫通孔12を形成し、この貫通孔12を形成した内周面に、最上部側嵌合部10に設けた凸部10bと嵌合する凹条溝部13をこの内周面方向と直交する方向に形成した構成とし、第二支持棒体4bの一端部は、断面D字形状に形成した構成としている。
【0048】
このように形成した突っ張り支持棒体4の両端部は、この突っ張り支持棒体4を所定方向側に所定角度折曲した状態の場合のみ、鍋本体3に設けた最上部側嵌合部10及び最下部側嵌合部11と着脱自在となり、この突っ張り支持棒体4を最上部側嵌合部10及び最下部側嵌合部11に嵌合した状態で所定方向側以外に屈曲若しくは直立状態とした場合は、最上部側嵌合部10の凸部10bと第一支持棒体4aの凹条溝部13とが嵌合せず、また、最下部側嵌合部11の出入り口形状と第二支持棒体4bの一端側の形状が合致せずに引き抜き不能な構成となっている。
【0049】
また、この突っ張り支持棒体4は、この突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止し直立状態を保持して鍋本体3の伸張状態を保持するスライドロック機構5を設けた構成としている。
【0050】
具体的には、このスライドロック機構5は、筒状に形成し突っ張り支持棒体4にスライド自在に設け、鍋本体3をスライド伸張状態にして突っ張り支持棒体4を直立状態とした際に自動スライドして第一支持棒体4aと第二支持棒体4bとを連設した連設部8に被嵌しこの突っ張り支持棒体4の屈曲を阻止する構成としている。
【0051】
更に具体的に説明すると、本実施例では、このスライドロック機構5を円形筒状体5に形成し、この円形筒状体5を丸棒状に形成した突っ張り支持棒体4に遊嵌し、この突っ張り支持棒体4がガイドとなって上下方向にスライド自在に遊動する構成としている。
【0052】
即ち、スライドロック機構5としての円形筒状体5は、突っ張り支持棒体4が屈曲状態から直立状態にして鍋本体3を伸張状態に下際にも、一々手で移動させて連設部8に被嵌させなくとも、自重で下方側にスライド移動して第二支持棒体4bに設けたスライドロック当接部14に当接し係止して連設部8に被嵌し、また、鍋本体3を縮退重合状態にする際にも、一々円形筒状体5を手で押し上げて連設部8から離脱させることなく、鍋本体3の底部2側を上方に配して上下逆さまの状態にするだけで、円形筒状体5が自重で下方(鍋本体3の最上部となる筒状体1側)にスライド移動して連設部8から容易に離脱する構成としている。
【0053】
また、本実施例では、鍋本体3の最上部となる筒状体1に取っ手部9を折りたたみ自在に設け、鍋本体3を縮退重合状態にしこの取っ手部9を折りたたんだ際に、この取っ手部9が有底筒状体1aの底部2に当接し鍋本体3をスライド伸張不能状態に保持するように構成している。
【0054】
具体的には、この取っ手部9は、金属製の棒状体を握持可能な細長形状の枠体に折曲形成し、この取っ手部9の基端部を取っ手取付け部15に回動自在に設けた構成としている。
【0055】
尚、本実施例では、取っ手部9を片持ち握持柄として片手鍋とした構成としているが、この取っ手部9を対向位置に設けて両手鍋としても良い。
【0056】
本実施例は、上述のように構成したから、次の作用効果を有する。
【0057】
本実施例を携帯して持ち運ぶ場合は、鍋本体3を形成する筒状体1及び有底筒状体1aがスライド縮退して夫々の筒状体1が重合状態となって、鍋本体3の高さが縮んでコンパクト化され収納に適した状態となるので、例えば、リックサックなどの運搬用袋に収納した際にも嵩張らずに他の荷物と一緒に持ち運ぶことができるようになり食料や炊事道具などをまとめて効率的に持ち運ぶことができる非常に携帯性に優れた伸縮自在鍋となる。
【0058】
しかも、突っ張り支持棒体4の端部がこの最上部の筒状体1を上方に押しやり、また、鍋本体3の最下部となる有底筒状体1aに設けた突っ張り支持棒体4の端部がこの最下部の有底筒状体1aを下方に押しやることで、この鍋本体3を形成する複数の筒状体1の上下関係にある夫々の筒状体1を互いに離反する方向に押しやるので、摺動面となる上側に位置する筒状体1の下端側内面と下側に位置する筒状体1の上端側外面とに隙間が生ずることなく強固に密着係止し、例えば、水などの液体を入れた際にも、各筒状体1の摺動面から液体が漏洩するといった不具合が生ずる心配がなく安心して使用することができる。
【0059】
更に、突っ張り支持棒体4に設けたスライドロック機構5によって、直立状態の突っ張り支持棒体4の屈曲が阻止された状態となっているので、使用中の鍋の突っ張り支持棒体4が屈曲して鍋本体3を形成している筒状体1がスライド縮退し、鍋本体3が縮退重合状態となって、調理中の中身がこぼれ落ちるなどの不具合が生ずる心配もなく、安心して使用できる実用性に優れた伸縮自在鍋となる。
【0060】
しかも、このスライドロック機構5は一々手で操作することなく自動スライドによって連設部8を被嵌若しくは離脱するので、このスライドロック機構5の掛け忘れによって使用中に突っ張り支持棒体4が屈曲して鍋本体3を縮退させ、調理中の中身をこぼしてしまうといった不具合を生ずることもない実用性に優れた画期的な伸縮自在鍋となる。
【0061】
また更に、経時劣化により摺動面が摩耗して密着性(シール性)が低下した場合でも、突っ張り支持棒体4に設けたテンション調整部7で突っ張り支持棒体4自体の長さを伸長させることで鍋本体3を形成する筒状体1及び有底筒状体1aを互いに離反方向に押しやる作用を回復させ、初期状態と同様の伸張状態に調整することが容易にできるので、筒状体1及び有底筒状体1aの摺動面を常に強固に密着係止した状態に保つことができ、摺動面となるシール部6からの漏洩の心配が無い状態に保つことができる画期的な伸縮自在鍋となる。
【0062】
更に、この突っ張り支持棒体4は、鍋本体3から取り外すことが可能なので、この突っ張り支持棒体4を取り外して、複数の筒状体1及び有底筒状体1aをバラバラに分解することができ、組付け状態では洗浄しにくい摺動面などもきれいに洗浄することができ、常に清潔感を保つことができる。
【0063】
また、本実施例は、鍋本体3だけでなく、鍋本体3から突出している取っ手部9を折りたたむことで突出部がなくなり、収納時の嵩張りを抑えてより一層コンパクトに収納することができ、しかも、この折りたたんだ取っ手部9がコンパクト収納状態にある鍋本体3の底部2に当接し鍋本体3が伸長状態となることを阻止するので、持ち運び途中に鍋本体3が伸張することもなく、また、収納状態の鍋を持つ場合も、鍋本体3がスライド伸長しないように底部2を一々手で押えながら持つ必要も無いので、非常に持ち運びに便利な伸縮自在鍋となる。
【0064】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0065】
1 筒状体
1a 有底筒状体
2 底部
3 鍋本体
4 突っ張り支持棒体
4a 第一支持棒体
4b 第二支持棒体
5 スライドロック機構
6 シール部
7 テンション調整部
8 連設部
9 取っ手部
16 シール性向上材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径の異なる複数の筒状体をスライド自在に嵌合して伸縮自在に構成し、最下部となる前記筒状体は、底部を有する有底筒状体として伸縮自在な鍋本体を形成し、この鍋本体の最上部となる筒状体と最下部となる前記有底筒状体との間に突っ張り支持棒体を屈曲自在に架設して前記複数の筒状体のスライド伸張状態を保持するように構成し、この突っ張り支持棒体に該突っ張り支持棒体の屈曲を阻止し前記鍋本体を形成する前記複数の筒状体及び有底筒状体のスライド伸張状態を保持するスライドロック機構を設けたことを特徴とする伸縮自在鍋。
【請求項2】
前記複数の筒状体は、上端側開口部の開口径を下端側開口部の開口径よりも大径に形成し下方に窄まるテーパー形状に形成し、且つ前記鍋本体を形成した際に上側に位置する筒状体の下端側開口部の開口径を下側に位置する筒状体の上端側開口部の開口径よりも小径に形成し、前記鍋本体を縮退重合状態からスライド伸張状態にする際、前記突っ張り支持棒体が直立し上側に位置する筒状体と下側に位置する筒状体とを互いに離反方向に押しやり、摺動面となる前記上側に位置する筒状体の下端側内面と前記下側に位置する筒状体の上端側外面とが密着係止するように構成したことを特徴とする請求項1記載の伸縮自在鍋。
【請求項3】
前記摺動面となる前記上側に位置する筒状体の下端側内面と前記下側に位置する筒状体の上端側外面とが密着係止するシール部は、前記上側に位置する筒状体と前記下側に位置する筒状体の一方にステンレス材を採用し他方にアルミニウム材又は銅材を採用し異なる金属を密着係止する構成、若しくは、前記上側に位置する筒状体と前記下側に位置する筒状体の一方にシール性向上材としてのアルミニウム、銅、シリコン樹脂、又はフッ素樹脂を被着した構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項4】
前記突っ張り支持棒体は、第一支持棒体と第二支持棒体とからなり、前記第一支持棒体の一端を前記鍋本体の最上部となる筒状体に回動自在に設け、前記第二支持棒体の一端を前記鍋本体の最下部となる有底筒状体に回動自在に設け、前記第一支持棒体の他端と前記第二支持棒体の他端とを回動自在に連設した構成とし、この突っ張り支持棒体にテンション調整部を設けて前記鍋本体をスライド伸張状態にする際に、前記複数の筒状体及び前記有底筒状体の夫々の摺動面の密着係止状態を調整自在に構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項5】
前記スライドロック機構は、筒状に形成し前記突っ張り支持棒体にスライド自在に設け、前記鍋本体をスライド伸張状態にして前記突っ張り支持棒体を直立状態とした際に自動スライドし前記第一支持棒体と前記第二支持棒体とを連設した連設部に被嵌しこの突っ張り支持棒体の屈曲を阻止するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項6】
前記突っ張り支持棒体を前記鍋本体に着脱自在に設け、前記突っ張り支持棒体を取り外した際に前記鍋本体を分離可能に構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項7】
前記鍋本体の最上部となる筒状体に取っ手部を折りたたみ自在に設け、前記鍋本体を縮退重合状態にしこの取っ手部を折りたたんだ際に、この取っ手部が前記有底筒状体の底部に当接し前記鍋本体をスライド伸張不能状態に保持するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項1】
径の異なる複数の筒状体をスライド自在に嵌合して伸縮自在に構成し、最下部となる前記筒状体は、底部を有する有底筒状体として伸縮自在な鍋本体を形成し、この鍋本体の最上部となる筒状体と最下部となる前記有底筒状体との間に突っ張り支持棒体を屈曲自在に架設して前記複数の筒状体のスライド伸張状態を保持するように構成し、この突っ張り支持棒体に該突っ張り支持棒体の屈曲を阻止し前記鍋本体を形成する前記複数の筒状体及び有底筒状体のスライド伸張状態を保持するスライドロック機構を設けたことを特徴とする伸縮自在鍋。
【請求項2】
前記複数の筒状体は、上端側開口部の開口径を下端側開口部の開口径よりも大径に形成し下方に窄まるテーパー形状に形成し、且つ前記鍋本体を形成した際に上側に位置する筒状体の下端側開口部の開口径を下側に位置する筒状体の上端側開口部の開口径よりも小径に形成し、前記鍋本体を縮退重合状態からスライド伸張状態にする際、前記突っ張り支持棒体が直立し上側に位置する筒状体と下側に位置する筒状体とを互いに離反方向に押しやり、摺動面となる前記上側に位置する筒状体の下端側内面と前記下側に位置する筒状体の上端側外面とが密着係止するように構成したことを特徴とする請求項1記載の伸縮自在鍋。
【請求項3】
前記摺動面となる前記上側に位置する筒状体の下端側内面と前記下側に位置する筒状体の上端側外面とが密着係止するシール部は、前記上側に位置する筒状体と前記下側に位置する筒状体の一方にステンレス材を採用し他方にアルミニウム材又は銅材を採用し異なる金属を密着係止する構成、若しくは、前記上側に位置する筒状体と前記下側に位置する筒状体の一方にシール性向上材としてのアルミニウム、銅、シリコン樹脂、又はフッ素樹脂を被着した構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項4】
前記突っ張り支持棒体は、第一支持棒体と第二支持棒体とからなり、前記第一支持棒体の一端を前記鍋本体の最上部となる筒状体に回動自在に設け、前記第二支持棒体の一端を前記鍋本体の最下部となる有底筒状体に回動自在に設け、前記第一支持棒体の他端と前記第二支持棒体の他端とを回動自在に連設した構成とし、この突っ張り支持棒体にテンション調整部を設けて前記鍋本体をスライド伸張状態にする際に、前記複数の筒状体及び前記有底筒状体の夫々の摺動面の密着係止状態を調整自在に構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項5】
前記スライドロック機構は、筒状に形成し前記突っ張り支持棒体にスライド自在に設け、前記鍋本体をスライド伸張状態にして前記突っ張り支持棒体を直立状態とした際に自動スライドし前記第一支持棒体と前記第二支持棒体とを連設した連設部に被嵌しこの突っ張り支持棒体の屈曲を阻止するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項6】
前記突っ張り支持棒体を前記鍋本体に着脱自在に設け、前記突っ張り支持棒体を取り外した際に前記鍋本体を分離可能に構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【請求項7】
前記鍋本体の最上部となる筒状体に取っ手部を折りたたみ自在に設け、前記鍋本体を縮退重合状態にしこの取っ手部を折りたたんだ際に、この取っ手部が前記有底筒状体の底部に当接し前記鍋本体をスライド伸張不能状態に保持するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸縮自在鍋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−16439(P2012−16439A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154844(P2010−154844)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(591271173)ニイガタ機械株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(591271173)ニイガタ機械株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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