説明

位相差フィルム、光学補償偏光板、およびその製造方法

【課題】 液晶表示装置の視野角補償等の目的に使用でき、かつ、コスト・生産性に優れた位相差フィルムおよび、光学補償偏光板を提供すること。
【解決手段】 波長586.7nmにおけるフィルム製膜方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも小さく、かつ波長586.7nmにおけるフィルム面内遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)としたとき、0.0≦NZ≦1.5を満たすことを特徴とした位相差フィルムを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の光学補償用途等に用いることができる位相差フィルムおよび、光学補償偏光板に関するものである。より詳細には、本発明は、フィルム幅方向に遅相軸を有し、生産性に優れる位相差フィルムおよび、光学補償偏光板に関する。
【背景技術】
【0002】
位相差フィルムは液晶表示装置などの表示装置に広く使用されている。位相差フィルムとしては一般に、ポリカーボネートや環状ポリオレフィン、セルロース誘導体等からなるポリマーフィルムを延伸したものが使用されている。
【0003】
位相差フィルムは偏光板と積層されて、液晶表示装置の光学補償偏光板として広く用いられており、用いられる液晶セルの種類やパネルの設計により、偏光板の透過軸と、位相差フィルムの遅相軸を平行とするか、所定の角度で交差させて用いられる。一般に偏光板は偏光フィルムの両面にアセチルセルロースや、環状オレフィンポリマーからなる保護フィルムを積層した構成が広く用いられている。また、偏光フィルムはポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素及び/又は二色性染料を吸着させて延伸したものが用いられ、その延伸方向が吸収軸、延伸方向と直交する方向が透過軸となる。それに対して、位相差フィルムにポリカーボネートや環状ポリオレリン等の正の複屈折を有する樹脂からなるものを用いた場合、延伸方向の屈折率が大きくなる、すなわち、延伸方向が遅相軸になるという性質を有している。
【0004】
そのため、例えば、偏光板、位相差フィルムともに縦方向、すなわち、フィルム長手方向に延伸を行ったものを用いる場合、偏光板の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸がそれぞれフィルム長手方向と略平行となるため、偏光板の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸を略平行とする場合は、ロール・ツゥー・ロール法での積層が可能となり、低コスト、高生産性を得ることができる。それに対して、偏光板の吸収軸と、位相差フィルムの遅相軸が交差するような構成が要求される場合には、偏光板、位相差フィルムの少なくともどちらか一方をフィルム長手方向と所定の角度を付けて切り抜いた上で積層する必要があるため、コストや生産性に劣るという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、フィルム長手方向に対しポリマーの遅相軸を所望の角度傾斜させる方法がいくつか提案されている(例えば特許文献1または2を参照のこと)。また、
液晶等の光学補償層をコーティングする方法や、フィルムを幅方向に延伸することで、位相差フィルムの幅方向を遅相軸とし、偏光板の透過軸を略平行とする方法が提案されている(例えば特許文献3を参照のこと)。
【特許文献1】特開2000−9912号公報
【特許文献2】特開2002−86554号公報
【特許文献3】特開2003−315556
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載されるような単に横延伸を用いる方法では、フィルム幅方向だけでなく、長手方向の屈折率も大きくなる。そのため、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)としたとき、NZは1.5より大きくなる傾向がある。対して、フィルムを斜め方向から見た際の位相差も好適に制御し、位相差フィルムに視野角補償の特性が必要となる場合等には、一軸性、すなわちnx>ny≒nzの特性や、フィルム面内の進相軸方向の屈折率よりもフィルム厚み方向の屈折率が大きい、すなわち、nx≧nz>nyの特性を満たす位相差フィルムが要求される場合がある。本発明は、このような光学特性を有する位相差フィルムおよび光学補償偏光板を開発する目的でなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の工程を有することで、上記課題を克服し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、波長586.7nmにおけるフィルム長手方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも小さく、かつ波長586.7nmにおけるフィルム面内遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nz、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)としたとき、0.0≦NZ ≦1.5満たす位相差フィルムに関する。
【0009】
本発明に関する位相差フィルムは、さらに、(nx−ny)≧5.0×10-4を満たすことが好ましい。
【0010】
本発明に関する位相差フィルムはさらに、は正の複屈折を有するポリマーからなることが好ましい。
【0011】
本発明に関する位相差フィルムはさらに、フィルム長手方向に収縮する工程を有することが好ましい。
【0012】
本発明に関する位相差フィルムはさらに、フィルムの片面または両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成する工程と、該積層体をフィルム長手方向に収縮する工程を有することが好ましい。
【0013】
本発明に関する位相差フィルムはさらに、フィルム幅方向に延伸する工程を有することが好ましい。
【0014】
またさらに、本発明は、上記位相差フィルムと偏光板を積層してなる光学補償偏光板に関する。
【0015】
本発明に関する光学補償偏光板は、さらに、位相差フィルムと偏光板をロール・ツゥー・ロールで積層することが好ましい。
また、これら位相差フィルム、光学補償偏光板の製造方法を提供した。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、フィルム幅方向に遅相軸を有し、かつ液晶表示装置の視野角補償フィルムとしても使用可能な位相差フィルムを得ることができる。また、その位相差フィルムを偏光板とロール・ツゥー・ロールで積層することで、低コスト、高生産性を有する光学補償偏光板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、波長586.7nmにおけるフィルム長手方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも小さく、かつ波長586.7nmにおけるフィルム面内遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)としたとき、0.0≦NZ≦1.5を満たすことを特徴とした位相差フィルムに関するものである。
【0018】
本発明における「フィルム長手方向」とは、フィルムの寸法の長い方向を意味し、フィルムの搬送方向であることが好ましい。また、ロールに巻き取る際は、巻き取り方向であることが好ましい。一方、本発明において、フィルムの幅(フィルム長手方向に垂直な方向の長さ)や長さ(フィルム長手方向の長さ)は特に限定されないが、量産の観点から、幅は好ましくは300mm以上、さらに好ましくは500mm以上である。また、長さは好ましくは50m以上、さらに好ましくは100m以上であり、このような形態とすることで、より好適にフィルムをロール状に巻取り量産に供することができる。
【0019】
本発明による位相差フィルムは、長尺のポリマーフィルムを、フィルム長手方向に収縮させて連続に得られることが好ましい。
【0020】
対象のポリマーフィルムは特に限定されないが、光透過性の適宜なフィルムを用いることが好ましい。特に、透光性に優れ、就中、光透過率が75%以上、特に85%以上で配向ムラの少ないフィルムが好ましく用いられる。フィルムを形成するポリマーについても特に限定はなく、適宜なものを用いることができる。ポリマーは、そのフィルムを延伸処理した場合に示す延伸方向と屈折率の関係による複屈折特性で正負に分類されるが、本発明にてはそのいずれも用いることができる。特に本発明においては、処理効率や耐熱性等の点から、延伸方向の屈折率が高くなる、すなわち、正の複屈折特性を示すポリマーからなるフィルムが好ましく用いられる。そのポリマーの例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステルや、その他のセルロース系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの如きポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、環状オレフィン系ポリマー、ポリスルホン、ポノエーテルスルホン、ポリエチレンやポリプロピレンの如きポリオレフィンなどがあげられる。特に、非晶質で耐熱性に優れるポリマーを好ましく用いることができる。
【0021】
ポリマーフィルムは、例えば流延法等のキャスティング法や押出法などの適宜な方式で形成したものであってよい。キャスティング法等の溶液製膜法が厚さムラや配向歪ムラ等の少ないフィルムを得る点などより好ましい。フィルムの厚さは、目的とする位相差等により適宜に決定しうるが、一般には10〜500μm、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは40〜200μmである。フィルムは、連続製造を目的にロール状等とした長尺体が用いられるが、その長さや幅は任意である。
【0022】
フィルムをその長手方向に収縮させる工程において、その方法は特に限定されないが、ロール延伸機を用いることが好ましい。処理条件は、ポリマーフィルムの収縮を達成する点より延伸炉の入口側に設けられたニップロールの周速(vi)と、延伸炉出口側に設けられたニップロールの周速(vt)の比(vt/vi)は1以下とされる。得られる位相差フィルムの屈折率等の位相差特性は、ポリマーフィルムの種類や厚さや厚さ変化率、収縮率や処理温度などにより制御することができる。処理温度は、ポリマーフィルムの融点以下であれば、特に限定されないが、好ましくはガラス転移温度(Tg)に対して(Tg−20)℃以上、(Tg+20)℃以下、さらに好ましくは、Tg以上、(Tg−20)度以下である。
【0023】
また、フィルムの収縮時にはポリマーフィルムの支持性が保持されていることが好ましい。ここでいう「フィルムの支持性」とは、ロール延伸機の2対のニップロール間でフィルムが弛んでいない状態、すなわち、2対のニップロール間に張力が付与された状態をさしている。フィルムの支持性を保ちながら、収縮させるには、ポリマーフィルムにあらかじめ揮発成分を含有させておき、延伸機の炉内で揮発分率を低下させる方法等を用いることができる。この場合の揮発成分は特に限定されないが、ポリマーフィルムの延伸温度よりも沸点の低いものが好ましく、生産性の観点からはポリマーフィルムを流延製膜する際の溶剤を完全には乾燥させずに残しておく方法が好ましい。揮発分率は特に限定されないが、好ましくは1重量部以上、30重量部以下、より好ましくは2重量部以上、20重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上、15重量部以下である。ここでいう揮発分率は、揮発成分とポリマーの合計を100重量部としたときの値を指す。また、揮発分率の値は、フィルムをその長手方向に収縮させる工程の全過程を通してその範囲であることを意味するのではなく、工程の一部に揮発分率が前記範囲に該当する部分を有することを意味している。
【0024】
さらに、ポリマーフィルムをその長手方向に収縮させる前に、ポリマーフィルムの片面または両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成する工程を有することもできる。ポリマーフィルムの片面または両面に収縮性フィルムを接着し、その積層体を前記したような方法で長手方向に収縮させると、収縮性フィルムの収縮力の作用下で処理することとなり、収縮できる範囲を任意に制御できるため、好ましい構成である。ポリマーフィルムに接着した収縮性フィルムに対しては、加熱処理によりその収縮力を発現させるが、その加熱処理は適宜な方式で行うことができ、特に限定されない。中でも前期したロール延伸機を用いる方法が好ましい。また、加熱処理する温度は、収縮フィルムを形成するポリマーの融点以下であれば特に限定されないが、熱収縮性フィルムを形成するポリマーのガラス転移温度(Tg)に対して、(Tg−20)℃以上、(Tg+30)℃が好ましい。
【0025】
積層体を形成する収縮フィルムは特に限定されないが、収縮力の付与性などの点から、ポリマーフィルムのガラス転移温度付近にて熱収縮性を示すものが好ましく用いられる。熱収縮性フィルムの収縮力は、例えばポリマーの種類や延伸倍率等の延伸条件、フィルム厚などにより制御することができる。また、加熱による収縮力がフィルム全面で可及的に均一な熱収縮性フィルムは、ポリマーフィルムに均一な配向を付与できる点から好ましい。さらにまた、フィルム長手方向に収縮力を付与するために、少なくともフィルム長手方向に延伸された熱収縮フィルムが特に好ましい。
【0026】
収縮性フィルムとポリマーフィルムの積層方法は特に限定されないが、良密着による収縮力の伝播性などの点より接着剤を用いることが好ましい。その接着剤としては、収縮性フィルムの収縮処理時にはその収縮力を透光性フィルムに良好に伝達し、その処理後にはポリマーフィルムの処理物よりその光学特性を可及的に変質させないで処理後の収縮性フィルムを分離できるものが好ましく用いられ、粘着層などがより好ましく用いられる。その粘着層としては、例えばアクリル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリウレタン系、ポリエーテル系やゴム系等の適宜なものを用いることができ、その種類について特に限定はない。なお収縮性フィルムは、ポリマーフィルムの片面又は両面に同種又は異種のものをそれぞれ1層又は2層以上接着することができる。
【0027】
また、上記のような縮性フィルムの収縮力の作用下で、フィルム長手方向に収縮する方法を用いる場合、ポリマーフィルムの揮発分率は特に限定されず、表面のタック性が無い状態、すなわち、例えば、フィルムを指先で触れても、フィルムが指紋状に変形しない程度に乾燥されていればよい。
【0028】
さらに本発明による位相差フィルムは、フィルム長手方向に収縮させる工程の前後いずれか、あるいは前後両方、または同時に、フィルム幅方向に延伸する工程を有することで、屈折率の異方性、すなわち複屈折を任意の値に制御することができる。幅方向に延伸する方法は特に制限されず、公知のいかなる方法をも用いることができる。例えば、テンター横延伸や二軸延伸が挙げられる。二軸延伸の場合は、フィルム長手方向の延伸倍率が幅方向の延伸倍率よりも小さいこと好ましく、さらに、フィルム長手方向の延伸倍率がマイナス、すなわち、フィルム長手方向に収縮させることがより好ましい。また、二軸延伸は全テンター方式による同時二軸延伸、ロールーテンター法による逐次二軸延伸のいずれの方法でも用いることができる。幅方向に延伸することで得られるフィルムの屈折率等の位相差特性は、ポリマーフィルムの種類や厚さや厚さ延伸倍率、収縮率や処理温度などにより制御することができる。また、延伸温度は、ポリマーフィルムの融点以下であれば特に限定されないが、好ましくはガラス転移温度(Tg)に対して(Tg−20)℃以上、(Tg+20)℃以下、さらに好ましくは、Tg以上、(Tg+20)度以下である。
【0029】
本発明による位相差フィルムは、その単層物や同種又は異種の積層物などとして液晶セルの視野角の拡大やコントラストの向上等を目的とした複屈折による位相差の補償などに好ましく用いられる。本発明の位相差フィルムは、波長586.7nmにおけるフィルム長手方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも小さいという特徴を有する。前記特徴により、位相差フィルムと偏光板をロール・ツゥー・ロールで積層することで、偏光板の吸収軸、または透過軸と、位相差フィルムの遅相軸が略平行な光学補償偏光板を、低コスト、高生産性で得ることができる。ここで、本発明において「略平行」とは、両者のなす角度が概ね±5°の範囲にあることを指すが、±3°以内であることが好ましく、±2°の以内であることがさらに好ましい。
【0030】
さらに、本発明の位相差フィルムは、波長586.7nmにおけるフィルム面内遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nz、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)としたとき、0.0≦NZ≦1.5を満たすことを特徴とする。更には、0.0≦NZ≦1.3の範囲であることが好ましい。通常の一軸延伸フィルムのNZは概ね1.0〜1.1であり、二軸延伸フィルムのNZは2を超える場合が多い。それに対して、NZ<1.0のフィルムは斜め方向から見た場合の位相差変化が小さく、液晶ディスプレイの視野角補償フィルムとして広く用いられている。位相差フィルムを液晶表示装置の視野角を拡大する等の目的で用いる場合には、NZの範囲は好ましくは0.0≦NZ<1.0、より好ましくは0.0≦NZ≦0.6である。特に、NZ=0.5のフィルムでは、斜め方向から見た場合の位相差変化がゼロとなるが、実際には用いる液晶セルの種類や、偏光板の持つ複屈折との組み合わせにより、所望とするNZの値が異なるため、本発明の位相差フィルムにおいては、0.0≦NZ≦1.5の範囲で任意に選択することができる。
【0031】
本発明による位相差フィルムは、さらに、(nx−ny)≧5.0×10-4であることが好ましい。(nx−ny)の値が前記範囲を下回ると、液晶セルの視野角の拡大やコントラストの向上等を目的とした光学補償などに用いる際に、所望の位相差値を得ようとすると、フィルム厚みを大きくする必要があり、ハンドリング性や生産性に劣る場合がある。
【0032】
位相差フィルムの実用に際しては、例えば位相差フィルムの片面又は両面に粘着層を設けたものや、その粘着層を介して偏光フィルム、および/またはは、等方性の透明な樹脂層やガラス層等からなる保護層を接着積層したものなどの2層又は3層以上の積層体からなる適宜な形態の光学部材として適用することもできる。特に本発明の位相差フィルムと偏光板を積層することで、光学補償偏光板とすることができる。中でも、本発明の位相差フィルムと偏光板をロール・ツゥー・ロールで積層してなる光学補償偏光板は、低コスト、高生産性を有するため好ましい構成である。また、位相差フィルムと偏光板を貼り合わせて光学補償偏光板とする際に用いられる位相差フィルムとしては、本発明の位相差フィルムを1枚のみ用いてもよく、2枚以上用いてもよい。さらに、本発明位相差フィルムと、その他の光学補償フィルムとの組み合わせで用いることもできる。本発明以外の光学補償フィルムを用いる場合、補償効果の向上などを目的とし、その光学補償フィルムは特に限定されないが、例えばポリマーフィルムの一軸や二軸等による延伸処理物、ディスコティック系やネマチック系等の液晶配向板などの適宜なものを用いることができる。
【0033】
また、偏光板として使用されるものは特に限定されず、適宜なものを用いることができる。偏光板は一般に偏光フィルムの両面に透明保護層を有するものが広く用いられているが、偏光フィルムとしてはポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素及び/又は二色性染料を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルム等からなるもの等があげられる。偏光フィルムの配向方法は特に限定されないが、一般には、フィルムを長手方向および/または幅方向に延伸したものが用いられる。前記偏光フィルムが、フィルム長手方向に延伸を行ったものである場合は、偏光板の透過軸と位相差フィルムの遅相軸が略平行となり、偏光フィルムが幅方向に延伸を行ったものである場合は、偏光板の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸が略平行となる。これらはいずれも好ましい構成であるが、生産性の観点から、偏光フィルムはフィルム長手方向に延伸を行ってなるものがより好ましい。
【0034】
偏光板、特に偏光フィルムは、その片側又は両側に透明保護層を有するものであってもよい。また偏光板は、反射層を有する反射型のものであってもよい。反射型の偏光板は、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化をはかりやすいなどの利点を有する。
【0035】
前記の透明保護層は、ポリマーの塗布層や保護フィルムの積層物などとして適宜に形成でき、その形成には透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーなどが好ましく用いられる。その例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、ないし紫外線硬化型の樹脂などがあげられる。透明保護層は、微粒子の含有によりその表面が微細凹凸構造に形成されていてもよい。特に、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いる場合は、接着性を上昇させるために、フィルム表面をケン化処理して用いることもできる。さらにまた、本発明の位相差フィルムを偏光フィルムの透明保護層と用いることで、光学補償偏光板を形成することもできる。
【0036】
また反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明樹脂層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式で行うことができる。その具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルム等の透明樹脂層の片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設したものや、前記透明樹脂層の微粒子含有による表面微細凹凸構造の上に蒸着方式やメッキ方式等の適宜な方式で金属反射層を付設したものなどがあげられる。
【0037】
なお、本発明の光学補償偏光板において、位相差フィルムと偏光板の積層方法は適宜に決定することができる。例えば、液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層する方式にて実施することもできるが、前記位相差フィルムと偏光板を予め積層することにより、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置の製造効率を向上させうる利点などがある。積層には、適宜な透明接着剤ないし粘着剤などを用いることができ、その接着剤等の種類について特に限定はない。屈折率が異なるものを積層する場合には、反射損の抑制などの点より中間の屈折率を有する接着剤等が好ましく用いられる。また、本発明の位相差フィルムをコロナ放電等によって表面処理することで、接着剤等との密着性を向上させ、接着剤等の剥がれを防止する方法も好ましく用いられる。
【0038】
また光学特性の変化防止の点よりは、積層の際に硬化や乾燥等で高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。その点よりは、粘着層による積層方式が好ましい。その粘着層には、上記の熱収縮性フィルムの接着で例示したものなどの適宜なものを用いうる。就中、耐熱性や光学特性などの点よりアクリル系のものが好ましく用いられる。
【0039】
なお粘着層には、必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤や酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また微粒子を含有させて光拡散性を示す粘着層とすることもできる。
【0040】
本発明による位相差フィルムおよび/または光学補償偏光板を用いた、液晶表示装置の形成は、公知の方法に準じて行うことができる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと位相差フィルム、及び必要に応じての偏光板や照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては上記の如く、本発明による位相差フィルムを光学補償用のものに用いて、それを液晶セルの片側又は両側に設ける点を除いて特に限定されない。
【0041】
従って、液晶セルの片側又は両側に偏光板を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。偏光板を用いた液晶表示装置の場合、位相差フィルムは液晶セルと偏光板、特に視認側の偏光板との間に配置することが補償効果の点などより好ましい。その配置に際しては、上記の光学補償偏光板としたものを用いることもできる。
【0042】
また、上記した位相差フィルムや偏光板、透明保護層や粘着層などの各層は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能をもたせることもできる。
【0043】
本発明による位相差フィルム、および/または光学補償偏光板は、視野角の拡大やコントラストの向上などの、液晶セルの複屈折の補償を目的に、TN型やSTN型、VA型やIPS型、OCB型等、任意の液晶セルに用いることができる。
【0044】
以上、本発明の目的は、波長586.7nmにおけるフィルム長手方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも小さく、かつ波長586.7nmにおけるフィルム面内遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)としたとき、0.0≦NZ≦1.5を満たすことを特徴とした位相差フィルムおよび、それを積層してなる光学補償偏光板を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載したポリマーフィルムや収縮性フィルムの種類、延伸方法や収縮方法などの条件、有する位相差値等に存するのではない。したがって、上記の位相差フィルムおよび、それを積層してなる光学補償偏光板は、その原料や製造方法等によらず、本発明の範囲に属することに留意しなければならない。
【0045】
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
【0046】
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
〔測定方法〕
本明細書中に記載の材料特性値などは、以下の評価法によって得られたものである。
【0049】
(1)位相差値
王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRを用いて、測定波長586.7nmにおける位相差を測定した。
【0050】
(2)NZ
王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRを用いて、測定波長586.7nmにおける平面方向位相差と、フィルム遅相軸を回転軸として45°傾けた際の位相差とを測定し、装置付属のプログラムにより、NZを算出した。NZ算出にあたって用いた平均屈折率(Nave)の値を表1に示す。
【0051】
(3)厚み
アンリツ製電子マイクロメーターを用いて測定した。
【0052】
(4) 全光線透過率
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aを用いて、JIS K7105−1981の5.5記載の方法により測定した。
【0053】
(5)ヘイズ
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aを用いて、JIS K7105−1981の6.4記載の方法により測定した。
【0054】
(6)nx−ny
フィルム遅相軸方向と進相軸方向の屈折率(それぞれ、nx、ny)の差は、前記(1)の位相差値を、(3)の厚みで除算することにより算出した。
【0055】
(7)遅相軸角度範囲
フィルムの幅方向中央1000mmの範囲において、幅方向100mmおきの11点に関して、フィルム長手方向と遅相軸のなす角度を測定し、その範囲を求めた。角度の測定は、王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRを用い、測定波長は586.7nmとした。
【0056】
(8)揮発分率
約10gのフィルムを切り出し、その重量を分析天秤(島津製作所製 AUY120)により秤量した後、フィルムを150℃のオーブンにて30分間加熱し、再度分析天秤にて重量を秤量し、下記式により求めた。
【0057】
揮発分率(重量部)=100×{(加熱前重量)−(加熱後重量)}/(加熱前重量)
〔フィルム作成例1〕
芳香族2価フェノール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン成分を有するポリカーボネート系樹脂(帝人化成製パンライトC1400)を100重量部、塩化メチレンを400重量部含むドープを調製した。このドープを室温(23℃)、湿度15%の環境下で、長手方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上に連続的に流延、乾燥した後、PETフィルムからポリカーボネートフィルムを剥離してさらに乾燥させて、厚み66μm、塩化メチレンの揮発分率が13重量部である、フィルムを得た。
【0058】
〔フィルム作成例2〕
アセチル基の置換度が0.1、プロピオニル基の置換度が2.6、数平均分子量が75000であるセルロースアセテートプロピオネートを50重量部、アセチル基の置換度が0.1、プロピオニル基の置換度が2.4、数平均分子量が25000であるセルロースアセテートプロピオネートを50重量部、ジエチルフタレートを2重量部、塩化メチレンを566重量部含むドープを調製した。このドープを室温(23℃)、湿度15%の環境下で、長手方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上に連続的に流延、乾燥した後、PETフィルムからセルロースアセテートプロピオネートフィルムを剥離してさらに乾燥させて、厚み110μm、塩化メチレンの揮発分率が1重量部である長尺フィルムを得た。
【0059】
〔実施例1〕
フィルム作成例1で作成したフィルムをロール延伸機にてロール周速比0.90、雰囲気温度145℃の条件で収縮処理し、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さな位相差フィルムを連続的に得た。
【0060】
[実施例2]
実施例1で得られた位相差フィルムをさらにクリップテンターを有する横延伸機にて、幅方向の延伸倍率が1.40倍となるように横延伸し、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さな位相差フィルムを連続的に得た。
【0061】
〔実施例3〕
流延法により製膜された、厚み66μmの長尺ポリカーボネートフィルム(カネカ製 エルメック R−フィルム無延伸品)の両面に、フィルム長手方向に延伸された厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを、アクリル系粘着層を介して接着して、積層フィルムを得た。この積層フィルムを、ロール周速比0.85、雰囲気温度155℃の条件で収縮処理した後、ポリプロピレンフィルムを剥離して、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さいフィルムを連続的に得た。得られたフィルムをさらにクリップテンターを有する横延伸機にて、フィルム長手方向の延伸倍率が1.00倍、幅方向の延伸倍率が1.35倍、となるように横延伸し、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さな位相差フィルムを連続的に得た。
【0062】
[実施例4]
流延法により製膜された、厚み66μmの長尺ポリカーボネートフィルム(カネカ製 エルメック R−フィルム無延伸品)の両面に、フィルム長手方向に延伸された厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを、アクリル系粘着層を介して接着して、積層フィルムを得た。この積層フィルムを、ロール周速比0.75、雰囲気温度150℃の条件で収縮処理した後、ポリプロピレンフィルムを剥離して、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さいフィルムを連続的に得た。得られたフィルムをさらにクリップテンターを有する横延伸機にて、フィルム長手方向の延伸倍率が1.00倍、幅方向の延伸倍率が1.18倍、となるように横延伸し、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さな位相差フィルムを連続的に得た。
【0063】
〔実施例5〕
フィルム作成例2で作製したフィルムの両面に、フィルム長手方向に延伸された厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを、アクリル系粘着層を介して接着して、積層フィルムを得た。この積層フィルムを、ロール周速比0.72、雰囲気温度150℃の条件で収縮処理した後、ポリプロピレンフィルムを剥離して、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さなフィルムを連続的に得た。得られたフィルムをさらにクリップテンターを有する横延伸機にて、フィルム長手方向の延伸倍率が1.00倍、幅方向の延伸倍率が1.65倍となるように横延伸し、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さな位相差フィルムを連続的に得た。
【0064】
〔実施例6〕
溶融押出法により製膜された、厚み100μmの長尺環状オレフィンポリマーフィルム(オプテス製 ゼオノアフィルム)の両面に、フィルム長手方向に延伸された厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを、アクリル系粘着層を介して接着して、積層フィルムを得た。この積層フィルムを、ロール周速比0.75、雰囲気温度150℃の条件で収縮処理した後、ポリプロピレンフィルムを剥離して、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さいフィルムを連続的に得た。得られたフィルムをさらにクリップテンターを有する横延伸機にて、フィルム長手方向の延伸倍率が1.00倍、幅方向の延伸倍率が1.33倍となるように横延伸し、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さな位相差フィルムを連続的に得た。
【0065】
[比較例1]
流延法により製膜された、厚み66μmの長尺ポリカーボネートフィルム(カネカ製 エルメック R−フィルム無延伸品)を、クリップテンターを有する横延伸機にて、フィルム長手方向の延伸倍率が1.00倍、幅方向の延伸倍率が1.25倍となるように横延伸し、位相差フィルムを連続的に得た。
【0066】
[比較例2]
溶融押出法により製膜された、厚み100μmの長尺環状オレフィンポリマーフィルム(オプテス製 ゼオノアフィルム)を、クリップテンターを有する横延伸機にて、フィルム長手方向の延伸倍率が1.00倍、幅方向の延伸倍率が1.70倍となるように横延伸し、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さな位相差フィルムを連続的に得た。
【0067】
[比較例3]
溶融押出法により製膜された、厚み100μmの長尺環状オレフィンポリマーフィルム(オプテス製 ゼオノアフィルム)をロール速比0.95、雰囲気温度145℃の条件で収縮処理し、フィルム長手方向の屈折率が、幅方向の屈折率よりも小さな位相差フィルムを連続的に得ようとしたが、フィルム搬送に必要な張力が、延伸機の2対のニップロール間に発生せずにフィルムが蛇行し、得られた位相差フィルムに折れシワが発生して実用に供せるものではなかった。
【0068】
実施例1〜6、比較例1〜2で得られた位相差フィルムのフィルム厚み、測定波長586.7nmにおける位相差値、NZ、全光線透過率、ヘイズを表1に示す。
【0069】
【表1】

上記実施例に示したように、フィルム長手方向に収縮する工程を有することで、位相差フィルムの遅相軸と長手方向が略垂直、すなわち、フィルム幅方向に遅相軸を有し、かつ、NZを所望の値に調整できることがわかった。これらの位相差フィルムを偏光板とロール・ツゥー・ロールで積層することにより、低コスト、高生産性を有する光学補償偏光板を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明を用いれば、フィルム幅方向に遅相軸を有し、生産性に優れる位相差フィルムおよび、光学補償偏光板を提供することができるので、液晶表示装置などの表示装置において幅広く利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長586.7nmにおけるフィルム長手方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも小さく、かつ波長586.7nmにおけるフィルム面内遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)としたとき、0.0≦NZ≦1.5を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
【請求項2】
さらに、(nx−ny)≧5.0×10-4を満たすことを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
【請求項3】
正の複屈折を有するポリマーからなることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【請求項4】
製造時にフィルム長手方向に収縮する工程を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【請求項5】
製造時に、フィルムの片面または両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成する工程と、該積層体をフィルム長手方向に収縮する工程を有していることを特徴とする、請求項4に記載の位相差フィルム。
【請求項6】
製造時にフィルム幅方向に延伸する工程を有していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の位相差フィルムと偏光板を積層してなる光学補償偏光板。
【請求項8】
位相差フィルムと偏光板をロール・ツゥー・ロールで積層することを特徴とする請求項7に記載の光学補償偏光板。
【請求項9】
正の複屈折を有するポリマーを含有して形成されるフィルムを、フィルム長手方向に収縮する工程を通すことにより、波長586.7nmにおけるフィルム長手方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも小さく、かつ波長586.7nmにおけるフィルム面内遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)としたとき、0.0≦NZ≦1.5とすることを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
【請求項10】
フィルム長手方向に収縮する工程が、2つのロールを有し、工程入口側に設けられたロールの周速(vi)と出口側に設けられたロールの周速(vt)の比(vt/vi)が1以下とされていることを特徴とする、請求項9に記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項11】
フィルム長手方向に収縮する工程が、フィルムの片面または両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成する工程と、該積層体をフィルム長手方向に収縮する工程を有していることを特徴とする、請求項9または10のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項12】
フィルム長手方向に収縮する工程に供するフィルムの揮発分率が、1重量部以上、30重量部以下であることを特徴する、請求項9から11のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項13】
更にフィルム幅方向に延伸する工程を有していることを特徴とする、請求項9から12のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法により得られた位相差フィルムと偏光板を、連続的に積層することを特徴とする、請求項9から13のいずれか1項に記載の光学補償偏光板の製造方法。
【請求項15】
ロール・ツゥー・ロールで積層することを特徴とする、請求項14に記載の光学補償偏光板の製造方法。
【請求項16】
請求項1から6のいずれか1項に記載の位相差フィルムと偏光板が、連続的に積層されていることを特徴とする、光学補償偏光板。

【公開番号】特開2006−330650(P2006−330650A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158232(P2005−158232)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】