説明

位置制御装置および位置制御方法

【課題】
加速度制御系を用いないで構成を簡便にし、理想伝達ゲインを1に近い伝達特性とし、しかも速度センサや位置近似微分の演算手段を必要とせず、位置情報のみを利用した位置制御系を構成する。
【解決手段】
制御対象30を制御要素31によって制御して位置を制御する制御系において、状態オブザーバ35によって出力位置に基いて速度の推定値を出力し、この推定値を比較器36で速度の目標値と比較し、比例要素37を通して加算器38に供給する。さらに速度の目標値に対して乗算器39で逆動特性P−1(s)を乗算し、その演算値を加算器38によって制御入力に加算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置制御装置および位置制御方法に係り、とくに出力位置を位置の目標値と比較して偏差を制御要素に入力し、該制御要素によって制御対象の位置を目標値に一致するように制御する位置制御装置および位置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業における制御技術の代表的なものに、モーションコントロールの技術が存在する。モーションコントロールの技術は、FA機器、メカトロニクス、ロボティクス等の分野において、電気と機械との複合系のいろいろな動作を成立させるための重要な技術である。そしてこのような技術の中に、位置決め制御が含まれる。
【0003】
例えば特開平5−252772号公報には、サーボモータの高速位置決め制御において、外乱抑制特性と耐ノイズ特性の周波数特性を有する補償器をサーボモータに直列に接続し、位置情報のみによってサーボモータを高速位置決めする制御方法が開示されており、このような構成によれば、速度や加速度情報を用いることなく位置情報のみによってサーボモータの位置決めが可能になる。
【0004】
このような位置決め制御の内の、分解加速度制御法による位置決めの制御系の構成を図8によって説明する。この制御系は制御対象1を制御要素2によって制御するものであって、制御対象1の出力側に積分器3が接続され、積分器3の出力側にさらに積分器4が接続されている。また積分器4の出力と目標位置との比較のための比較器5と、積分器3の出力と速度の目標値との比較を行なう比較器6を備えている。そしてこの比較器6の出力側に比例要素7が接続され、比例要素7は加算器8に接続される構成になっている。
【0005】
このような制御系においては、制御対象1の出力として得られる加速度を、該制御対象1に含まれる等価的な積分器3によって速度に変換し、さらにこの速度を積分器4によって位置に変換し、この位置に関する情報を比較器5において目標位置と比較し、その偏差を制御要素2に入力する。一方上記積分器3の速度出力を比較器6によって目標の速度と比較し、比例要素7を介して加算器8によって制御要素2が出力する制御対象1の制御入力に加算する。ここではさらに加算器8によって加速度の目標値が加算される。そしてこのような加算器8の出力を制御入力として制御対象1の制御が行なわれる。
【0006】
このような図8に示す構成の分解加速度制御法は、制御対象1の位置や速度情報を必要とし、しかもシステムの伝達特性は位置偏差ゲインKと速度偏差ゲインKによって決まってしまう特徴がある。
【0007】
図9は別の従来の位置制御装置の構成を示しており、ここでは制御対象1を制御するための制御要素2の他に、外乱オブザーバ11と、この外乱オブザーバ11の出力を出力位置と比較する比較器12と、逆動特性の外乱オブザーバ13と、この外乱オブザーバ13の出力を制御入力に加算する加算器14と、出力位置を微分する微分器15とを備え、上記微分器15の出力を比較器6に供給するようにしている。
【0008】
このような構成において、比較器5は制御対象1の出力である位置を目標値位置と比較し、偏差を制御要素2に入力する。また制御対象1の出力である位置は微分器15によって微分されて速度に変換され、この速度が比較器6で目標速度と比較されて比例要素7を通して加算器8で制御入力に加算される。なお加算器8は加速度の目標値をも制御入力に加算する。また制御入力は外乱オブザーバ11に入力されるとともに、外乱オブザーバ11の出力と制御対象1の出力位置とを比較器12によって比較し、その偏差を逆特性の外乱オブザーバ13を通して加算器14によって制御入力に加算し、これによって制御対象1を制御している。
【0009】
この制御系においては、位置偏差ゲインKと速度偏差ゲインKにかかわらず、システムの伝達ゲインを1に極めて近い値とする伝達特性を達成することが可能になる。ところが加速度制御系の構成は、フィードバック型となるために、ノイズ特性や安定性を劣化させる危険がある。また閉ループ系の極操作を行なうために、位置制御器を再設計する必要がある。また速度センサまたは位置の微分演算が必要となる。またここでは外乱オブザーバによる手法を示したが、加速度制御系を構成する場合も同様で、この場合にはさらに制御器の次数が高次元化する場合が多く、その次数に比例して演算量も増大する問題がある。
【0010】
一方精密ステージ、例えば半導体製造用露光装置に用いる精密ステージにおいては、ステップアンドリピート駆動方式がこれまで主流であった。今後は生産性の向上に向け、連続軌跡駆動方式に置換えられるのが明白である。この場合に、制御の観点から、高応答、高速度、低追従誤差という条件が同時に満足される必要がある。
【特許文献1】特開平5−252772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明の課題は、高応答性、高速度、低追従誤差の条件が同時に満足される位置制御装置および位置制御方法を提供することである。
【0012】
本願発明の別の課題は、各状態量(位置、速度、または加速度)の目標値に対する伝達特性の理想ゲインを1に近づけ、連続軌跡プロファイルに対する制御性能の向上を図るようにした位置制御装置および位置制御方法を提供することである。
【0013】
本願発明のさらに別の課題は、連続軌跡に対する応答特性に優れた制御が可能な位置制御装置および位置制御方法を提供することである。
【0014】
本願発明の別の課題は、精密ステージ、NC工作機、産業用ロボット、自律飛行制御等の連続軌跡をプロファイルとする制御分野に広く応用可能な位置制御装置および位置制御方法を提供することである。
【0015】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想およびその実施の形態によって明らかにされよう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願の主要な発明は、出力位置を位置の目標値と比較して偏差を制御要素に入力し、該制御要素によって制御対象の位置を目標値に一致するように制御する位置制御装置において、
状態オブザーバを具備し、該状態オブザーバが出力位置に基いて速度の推定値を出力するとともに、該速度の推定値と速度の目標値との偏差を前記制御要素の出力に加算して前記制御対象に入力し、
しかも速度の目標値と制御対象の逆動特性の積を前記制御要素の出力に加算して前記制御対象に入力することを特徴とする位置制御装置に関するものである。
【0017】
ここで前記制御要素の出力側に加算器を有し、該加算器によって前記速度の推定値と速度の目標値との偏差と、前記速度の目標値と制御対象の逆動特性の積とを、前記制御対象に制御入力に加算して入力してよい。また制御対象がその動特性中に粘性項を含んでよい。また制御要素と、状態オブザーバと、速度の目標値と制御対象の動特性の積を形成する手段と、前記加算器とがコンピュータによって構成されてよい。
【0018】
制御方法に関する主要な発明は、出力位置を位置の目標値と比較して偏差を制御要素に入力し、該制御要素によって制御対象の位置を目標値に一致するように制御する位置制御方法において、
状態オブザーバによって出力位置に基いて速度の推定値を出力し、該速度の推定値と速度の目標値との偏差を制御入力に加算して前記制御対象に入力し、
しかも速度の目標値と制御対象の逆動特性の積を前記制御入力に加算して前記制御対象に入力することを特徴とする位置制御法に関するものである。
【0019】
ここで制御系全体の伝達ゲインをほぼ1にしてよい。また前記速度の目標値と制御対象の逆動特性の積を低域通過フィルタによってプロパーな伝達関数にして制御入力に加算してよい。
【0020】
本願発明の好ましい態様は、連続軌跡プロファイルに対する追従性向上を目的とした制御系設計法に関するものであって、提案する制御系設計法は従来から用いられている分解加速度制御法(図8参照)をシステムの動特性を利用して拡張したものであって、その特徴は、加速度制御系を用いない簡便な構成によって、理想伝達ゲイン1に近い伝達特性を達成でき、速度センサや位置近似微分が必要でなく、位置情報のみによって制御系の構成を可能にするものであり、フィードバックによる極操作がないために、現在利用の位置制御に追加・拡張できることを特徴とするものである。このような構成によって連続軌跡に対する応答性に優れた制御を可能にするものである。
【発明の効果】
【0021】
制御装置に関する主要な発明は、出力位置を位置の目標値と比較して偏差を制御要素に入力し、該制御要素によって制御対象の位置を目標値に一致するように制御する位置制御装置において、状態オブザーバを具備し、該状態オブザーバが出力位置に基いて速度の推定値を出力するとともに、該速度の推定値と速度の目標値との偏差を制御要素の出力に加算して制御対象に入力し、しかも速度の目標値と制御対象の逆動特性の積を制御要素の出力に加算して制御対象に入力するようにしたものである。
【0022】
従ってこのような位置制御装置によれば、加速度制御系を必要とせず、構成を簡便にでき、しかも理想伝達ゲインがほぼ1の伝達特性を達成できる。また速度センサや位置近似微分を必要とせず、位置情報のみによって制御系の構成を可能にする。またフィードバックによる極操作がないために、現在利用されている制御系に追加・拡張できる。従ってこのような制御装置は、連続軌跡に対する応答特性に優れた制御を可能にすることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1は本実施の形態の位置制御装置のシステム構成を示すものであって、この位置制御装置は制御対象30を制御要素31によって位置制御するものである。制御対象30の出力側には積分器32が接続される。また積分器32の出力と目標値との比較を行なうための比較器33が設けられている。さらにこのシステムは状態オブザーバ35を備え、この状態オブザーバ35の出力が比較器36において速度の目標値と比較されるようになっている。また比較器36の出力側には比例要素37が接続され、比例要素37の出力側は加算器38に接続されている。加算器38は制御要素31の出力に上記の比例要素37の出力を加算する。また加算器38は乗算器39の出力をも加算するようになっている。
【0024】
このようなシステムは、次のような動作を行なう。制御対象30の出力が積分器32によって位置情報に変換されるとともに、この位置情報、すなわち出力位置が比較器33において目標位置と比較される。そしてこの比較器33の出力を制御要素31に供給し、この制御要素31によって制御対象30の制御を行なうようにしている。
【0025】
ここで状態オブザーバ35は積分器32の出力として得られる出力位置情報と制御入力とに基いて速度の推定値を演算する。そして演算された速度の推定値が比較器36において速度の目標値と比較されるとともに、この目標値を比例要素37を通して加算器38で制御対象31の出力である制御入力に加算する。さらに速度の目標値に制御系の逆動特性を乗算した値を乗算器39によって得、この乗算器39の出力を加算器38によって制御入力に加算している。従って制御入力は上記制御要素31の出力に上記の2つの値が加算されたものとなり、この加算された値が制御入力として制御対象30に入力され、位置制御が行なわれる。
【0026】
このような連続軌跡追従制御系において、図1におけるP(s)は制御対象30の動特性を示し、C(s)は位置制御器31の伝達特性である。またsはラプラス演算子を表わしている。従来手法の1つである分解加速度制御系(図8参照)と異なる点は、図8における加速度指令accref を入力し、加速度制御系を構成する代りに、速度指令velref にP(s)の逆動特性P−1(s)を乗算して入力する点にある。ここで、F(s)はP−1(s)をプロパーな伝達関数とするための低域通過フィルタである。このフィードフォワード項によって、加速度制御系を構成せずに伝達ゲイン1に極めて近い伝達特性が達成可能になる。同時に、加速度フィードバック制御による極操作がないために、現在利用の位置制御系に対しても適用可能である。またその動特性を用いて状態オブザーバ35を構成することによって、速度推定が可能になるために、速度センサや位置の近似微分演算が不要になる。
【0027】
なおこのような制御システムにおいて、制御対象30および積分器32以外の部分はコンピュータによって達成される。図2はこのようなコンピュータによって図1に示すシステムの動作を可能にするフローチャートを示している。図2に示すフローチャートにおいて、中央のルーチンがこの制御システムの骨格を成す制御要素31の動作を示している。これに対して左側のルーチンは、加算器38に対して乗算器39によって演算した出力を加算する動作を示している。また右側のルーチンは、状態オブザーバ35による速度推定値を比較器36で比較して、比例要素37を通して加算器38によって制御入力に加算する動作を示している。
【0028】
この制御系の大きな特徴は、上述の如く伝達ゲイン1に極めて近い伝達特性が達成可能になることである。伝達ゲイン1になることは次に示す証明の通りである。
【0029】
【数1】

【0030】
図1および図2に示す制御方法において、位置、速度、加速度の各状態量の指令に対する伝達特性を、理想ゲイン1とするために、加速度制御系ではなく、制御対象の逆動特性P−1(s)をフィードフォワード部に用いている。従って制御対象30の動特性に粘性項を含めることで容易に粘性補償ができるようになる。また制御系の構成が容易でありながら、従来と同等、またはそれ以上の制御性能を達成することができる。また制御系の極を変化させないため、安定性に優れるという利点を奏する。
【実施例】
【0031】
次に上記の連続軌跡追従位置制御を半導体製造用の精密ステージの制御に用いた実施例を説明する。図4に示すようにこの制御装置はステージ42を備え、一対のリニアガイド43によってそれらの長さ方向に移動自在に支持される。そしてステージ42は非共振型超音波モータ44によってリニアガイド43に沿って移動されるようになっている。非共振型超音波モータ44は上述の連続軌跡追従位置制御を行なうコンピュータを内蔵するコントローラ45によって制御されるようになっている。
【0032】
コントローラ45にはリニアスケール46の出力から位置情報を読込むリニアエンコーダ47の出力と、リミットセンサ48の出力とがそれぞれ入力される。さらにコントローラ45は操作用パソコン49と接続される。
【0033】
上記非共振型超音波モータ44は駆動脚51、52を備えている。これらの駆動脚51、52はそれぞれ図5に示すように、伸縮変形部53と剪断変形部54とを備えている。伸縮変形部53はその伸縮方向、すなわち長さ方向に分極され、これに対して剪断変形部54は横方向に分極されている。
【0034】
ここで駆動脚51の伸縮変形部53に電圧が加えられると伸張し、この駆動脚51の先端側の部分がステージ42に接触する。そしてこの状態において剪断変形部54を剪断変形させることによって、駆動脚51の先端部が送り方向にステージ42に駆動力を与える。なおこのときに反対側の駆動脚52の伸縮変形部53が収縮しているために、駆動脚52はその先端部がステージ42から離間している。そしてこのように先端部がステージ42から離間している駆動脚52の剪断変形部54は、次の駆動に備えて反対方向に剪断変形を行なっている。
【0035】
このような動作が2本の駆動脚51、52に交互にかつ順次繰返されることによって、ステージ42が矢印で示すリニアガイド43の長さ方向に移動される。そしてその位置がリニアスケール46と対接するリニアエンコーダ47によって読出され、コントローラ45に入力される。
【0036】
実際に、100mmストロークの精密ステージに応用した結果を示す。制御系の設計条件としては、位置制御帯域幅が100Hz、速度制御帯域が400Hz、F(s)の帯域幅が400Hz、状態推定オブザーバの帯域幅が1000Hz、サンプリング時間が0.1msである。
【0037】
図5に5mm/secの傾きを持つランプ位置指令に対するステージの位置42および追従誤差を示す。図5は提案法(proposed)と、従来法(conventional 1)、さらには従来法を改善(位置制御器にPI制御器を利用、外乱および速度は状態オブザーバによる推定値を利用:conventional 2)した結果を同時に示す。従来法では、位置制御器が比例項のみであるために定常偏差が大きいが、提案法では、定常偏差も小さく、応答性も改善されていることが確認できる。
【0038】
正弦波位置指令(±1mmp−p ,1Hz)に対する位置および追従誤差を図6に示す。提案手法により追従誤差が低減できることが確認できる。また図7に提案法と従来法の改善システムに対する追従誤差の度数分布を示す。ここでデータ数は10000個で、センサ分解能は0.1μmである。センサ分解能内に入る度数、および標準偏差ともに提案法により改善されていることが確認される。
【0039】
このように本実施の形態は、連続軌跡に対する追従性向上に用いられる分解速度制御法をシステムの動特性を利用して拡張したもので、その特徴は、(1)システムの逆動特性P−1(s)をフィードフォワードに用いることで、加速度制御系を用いない簡便な構成で理論的に伝達ゲイン1を達成することができる。(2)速度センサや位置近似微分が必要でなく、位置情報のみによって制御系の構成が可能である。(3)フィードバックによる極操作がないために、現在利用の位置制御系に追加・拡張できる点である。これによって連続軌跡に対する応答特性の優れた制御系の構築が可能になる。
【0040】
このような制御装置は、連続軌跡に対する追従性が大幅に改善可能であるために、実施例として示した精密ステージの制御のみならず、NC工作機や、産業用ロボット、自律飛行制御等の連続軌跡をプロファイルとするほとんどの制御分野に広く応用可能である。またこのような機器の制御装置に付加導入するのに最適である。
【0041】
以上本願発明を図示の実施の形態および実施例によって説明したが、本願発明は上記実施の形態や実施例によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内で各種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本願発明は、精密ステージ、NC工作機、産業用ロボット、自律飛行制御等における連続軌跡をプロファイルとする位置制御装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】位置制御装置のシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】同システムの動作をコンピュータによって実現するためのフローチャートである。
【図3】ステージの位置決め装置のブロック図である。
【図4】非共振型超音波モータの動作を示す要部正面図である。
【図5】ランプ位置指令に対するステージの位置および追従誤差の比較を示すグラフである。
【図6】正弦波位置指令に対する位置および追従誤差の比較を示すグラフである。
【図7】追従誤差に対する度数分布の比較を示すグラフである。
【図8】従来の分解加速度制御法のシステム構成を示すブロック図である。
【図9】従来の外乱オブザーバによる加速度制御系のシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
1‥‥制御対象、2‥‥制御要素、3‥‥積分器、4‥‥積分器、5‥‥比較器、6‥‥比較器、7‥‥比例要素、8‥‥加算器、11‥‥外乱オブザーバ、12‥‥比較器、13‥‥外乱オブザーバ、14‥‥加算器、15‥‥微分器、30‥‥制御対象、31‥‥制御要素、32‥‥積分器、33‥‥比較器、35‥‥状態オブザーバ、36‥‥比較器、37‥‥比例要素、38‥‥加算器、39‥‥乗算器、42‥‥ステージ、43‥‥リニアガイド、44‥‥非共振型超音波モータ、45‥‥コントローラ、46‥‥リニアスケール、47‥‥リニアエンコーダ、48‥‥リミットセンサ、49‥‥操作用パソコン、51、52‥‥駆動脚、53‥‥伸縮変形部、54‥‥剪断変形部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力位置を位置の目標値と比較して偏差を制御要素に入力し、該制御要素によって制御対象の位置を目標値に一致するように制御する位置制御装置において、
状態オブザーバを具備し、該状態オブザーバが出力位置に基いて速度の推定値を出力するとともに、該速度の推定値と速度の目標値との偏差を前記制御要素の出力に加算して前記制御対象に入力し、
しかも速度の目標値と制御対象の逆動特性の積を前記制御要素の出力に加算して前記制御対象に入力することを特徴とする位置制御装置。
【請求項2】
前記制御要素の出力側に加算器を有し、該加算器によって前記速度の推定値と速度の目標値との偏差と、前記速度の目標値と制御対象の逆動特性の積とを、前記制御対象に制御入力に加算して入力することを特徴とする請求項1に記載の位置制御装置。
【請求項3】
制御対象がその動特性中に粘性項を含むことを特徴とする請求項1に記載の位置制御装置。
【請求項4】
制御要素と、状態オブザーバと、速度の目標値と制御対象の動特性の積を形成する手段と、前記加算器とがコンピュータによって構成されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の位置制御装置。
【請求項5】
出力位置を位置の目標値と比較して偏差を制御要素に入力し、該制御要素によって制御対象の位置を目標値に一致するように制御する位置制御方法において、
状態オブザーバによって出力位置に基いて速度の推定値を出力し、該速度の推定値と速度の目標値との偏差を制御入力に加算して前記制御対象に入力し、
しかも速度の目標値と制御対象の逆動特性の積を前記制御入力に加算して前記制御対象に入力することを特徴とする位置制御法。
【請求項6】
制御系全体の伝達ゲインをほぼ1にすることを特徴とする請求項5に記載の位置制御方法。
【請求項7】
前記速度の目標値と制御対象の逆動特性の積を低域通過フィルタによってプロパーな伝達関数にして制御入力に加算することを特徴とする請求項5に記載の位置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−72941(P2006−72941A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259084(P2004−259084)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【出願人】(500471043)有限会社熊本テクノロジー (3)
【Fターム(参考)】