説明

位置検出装置

【課題】 表面に水滴等が付着しても指示体の指示位置を正確に検出できる位置検出装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 表示装置の表示面上に設置される透光性材料からなる導光板1と、前記導光板1の厚み方向では全反射し、面方向では所定の方向に向かって進行するように所定幅の光束を前記導光板1の側面からX方向及びY方向に複数個列状に投射する投射手段2と、前記各光束が前記導光板1の側面に沿ってX方向及びY方向に順次走査するように前記投射手段2を制御する投射制御手段3と、前記導光板1に接触させることにより、前記導光板1内部を進行する光を導入する導光部41と、前記導光部41が導入した光を検知して、検知信号を出力する検知部42とを有する指示体4と、前記検知信号と前記投射制御手段3による走査位置に基づいて、前記指示体4が前記導光板1と接触する座標位置を演算する座標演算手段43とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示画面上の指示体による指示位置を光学的に検出する位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学的に表示画面上の指示体の指示位置を検出する装置としては、表示装置の表示面上に設置される透光性材料の導光板の対向する側面の一方に照明手段を、他方に光センサーアレイを設置し、先端部に透光性材料からなる接触部を有する指示体を導光板表面に接触させて、光センサーアレイに到達する光量の変化から指示体の位置を検出するタッチパネルが提案されている。(例えば特許文献1参照。)
【0003】
【特許文献1】特開2000−172444号公報(段落0017〜0034、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなタッチパネルでは、照明手段からの光を導光板の厚み方向に全反射しながら対向する側面に向かうように調整し、指示体の接触により全反射条件が崩れて照明手段に対向する光センサーアレイに到達する光量が低下することを検知して指示体の位置を検出している。そのため、表示画面の最表面となる導光板の表面に水滴が付着した場合に、全反射条件が崩れて光が外部に漏れ出てしまい、光センサーアレイへ到達する光量が減少し、指示位置を誤って検出するという問題が生ずる。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、表面に水滴等が付着しても指示体の指示位置を正確に検出できる位置検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
位置検出装置を、表示装置の表示面上に設置され、透光性材料からなる導光板と、前記導光板の厚み方向では全反射し、面方向では所定の方向に向かって進行するように所定幅の光束を前記導光板の側面からX方向及びY方向に複数個列状に投射する投射手段と、前記各光束が前記導光板の側面に沿ってX方向及びY方向に順次走査するように前記投射手段を制御する投射制御手段と、前記導光板に接触させることにより、前記導光板内部を進行する光を導入する導光部と、前記導光部が導入した光を検知して、検知信号を出力する検知部とを有する指示体と、前記検知信号と前記投射制御手段による走査位置に基づいて、前記指示体が前記導光板と接触する座標位置を演算する座標演算手段とを備えてなることにした。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、表面に水滴等が付着しても、指示体の指示位置を正確に検出することができる位置検知装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1〜4は、本発明の実施の形態1における表示装置の表示画面上に設置される位置検出装置を示したもので、図1(a)は位置検出装置の構成を示す平面図、図1(b)は側面図、図2は位置検出装置の指示体を示す構成図、図3は位置検出装置の回路の一部を示すブロック図、図4(a)は投射制御パターンを示す図、図4(b)は指示体の検知部の出力を示す図である。図1において、位置検出装置は、透光性材料からなる方形平板上の導光板1と、導光板1の厚み方向で全反射し、面方向では所定の方向に向かって進行するように所定幅の光束を導光板1の側面から複数個列状に投射する投射手段2と、投射手段2からの各光束が導光板1の側面に沿って順次走査するように投射手段2の投射パターンを制御する投射制御手段3と、指示体4を有する。
【0009】
導光板1は、屈折率が約1.5で、厚さ5mm程度の方形のガラス板であり、図示しない表示装置の表示面上に隙間を設けて設置され、導光板1を通して表示装置の画面を見ることができる。
【0010】
投射手段2は、複数の光源21(X方向に19個、Y方向に13個)と、各光源21に対応し、光源21から出力された光を整形して、導光板1の側面から列状に光束を投射する光学処理部22を有する。光源21には、出力分布が2次元的な広がりを持つ半導体赤外線レーザーを使用している。半導体赤外線レーザーの特性として、各光源21から出力された光の出力分布は2次元的な広がりを持っているが、光学処理部22を構成するコリメータレンズ、シリンドリカルレンズによって整形され、導光板1の厚み方向に所定角度内で拡散し、面方向では対向する側面に隣接する側面に対して平行な数mmの幅の光束となる。整形された光は各光源21毎に導光板1の側面に向かって投射され、図1(b)に示すように屈折率1の空気中に保持された導光板1の厚み方向で全反射し、導光板1の表面から漏れることなく、対向する側面に向かって進行する。本実施の形態では、導光板1の図中上側の側面1uに設置され、水平方向(X方向)に19個の光束を直線状に配列した投射手段2xと、導光板1の右側面1rに設置され、垂直方向(Y方向)に13個の光束を直線状に配列した投射手段2yによって投射手段2を構成している。そして、投射手段2xから投射された光束は、導光板1の内部を投射された側面1rに隣接する側面1uに対して平行を保った状態で進行して下側面1dに到達し、投射手段2yから投射された光束は、投射された側面1uに隣接する側面1rに対して平行を保った状態で進行して左側面1Lに到達する。このとき、隣接する光束の光路は導電板1内部でオーバーラップするように制御することにより、光束が進行しない領域をなくすことが可能となる。
【0011】
投射制御手段3は、各光源21を駆動するレーザードライバ3aと各レーザードライバ3aの駆動を制御する制御部3bからなり、投射手段2から各光束が導光板1の側面に沿って約10msの間に順次走査するように各光源21の点灯を制御する。
【0012】
指示体4は、導光板1に接触させることにより、導光板1の内部を進行する光を導入する導光部41と、導光部41が導入した光を検知して検知信号を出力する検知部42とを有し、さらに検知信号と投射制御手段3による走査位置に基づいて指示体4が導光板1と接触する座標位置を演算する座標演算手段43とを有している。
【0013】
以下、指示体4の構成を図2に基づいて説明する。なお、本実施の形態では2本の指示体4を使用しており、それぞれを個別に示すときは番号にAまたはBを付して指示体4A、指示体4Bのように表記し、まとめて表記する場合は指示体4と表記する。指示体4の先端部には、柔軟性のある透明な樹脂製の導光部41を有している。導光部41は導光板1と同程度の屈折率を有し、所定の圧力で導光板1に押し当てられることにより、導光板1に密着して導光板1と光学的に一体となり、導光板1内の全反射条件を崩して導光板1内を進行する光を導光部41の内部に導入する。導入した光は指示体4内部の検知部42で検知され、電気信号に変換されて検知信号として出力される。さらに指示体4は、検知部42が出力する検知信号と投射制御手段3の走査タイミングにより、導光部41が検知した光がどの光源からの光束であるかを特定し、特定した光束から指示体4が導光板1に接触した座標位置を演算して座標信号SCを出力する座標演算手段43を有する。また、指示体4Aと指示体4Bには、異なる識別情報が割り当てられ、前記識別情報から識別信号SIを生成して出力する識別信号出力部44を有する。そして、座標信号SCと識別信号SIは送信周波数が2.4GHz帯の送信部45に出力され、送信部45から座標信号SCを識別信号SIとともに送信信号STとして外部に送信される。
【0014】
指示体4の送信部45から送信された送信信号STは、座標出力手段5に受信される。座標出力手段5は、図3に示すように指示体4からの送信信号STを受信する受信部51と、受信部51が受信した送信信号STを座標信号SCと識別信号SIに分離し、指示体毎の座標位置を出力するCPU52を有している。そして、座標出力手段5のCPU52の出力はLAN、USBなどの外部インターフェース61を経由してコンピュータ62に出力される。コンピュータ62では、内部にアプリケーションソフトがインストールされており、指示体4A、4B毎に出力された座標位置を基に、図示しない表示面に表示させる映像を制御し、指示体4Aと指示体4Bの位置情報に基づいて制御された映像が表示面に出力され、導光板1を通して見ることが可能である。なお、本実施の形態においては、2つの指示体4A、4Bを同時に使用するので、受信部51にはそれぞれの指示体に対応して2つの受信機51Aと51Bを有している。
【0015】
次に、動作について説明する。
投射制御手段3は、図4(a)に示すように光源21を所定間隔で2回全点灯させる第1一斉制御(WL1)の後、光束が導光板1の左から右へ順次走査(SLX)するように投射手段2xの19個の光源21を順次点灯させ、次いで光束が導光板1の下から上へ順次走査(SLY)するように投射手段2yの13個の光源21を順次点灯させる走査式制御(SL)を行い、再度光源21を所定時間全点灯させる第2一斉制御(WL2)からなる1サイクル約10msの投射制御を繰り返し行う。各光源21から出力された光は、光学処理部22に整形されて所定幅の光束となって投射され、投射された光束は、上述したように導光板1の厚み方で全反射しながら投射された面に隣接する側面に対して平行な状態で、対向する側面に向かって進行する。
【0016】
このとき、指示体4Aの先端部の導光部41を導光板1に押し当てると、導光部41が導光板1に密着することによって導光板1と導光部41間の空気の界面がなくなり、光学的に一体となって全反射条件が崩れ、導光板1の表面で全反射していた光の一部が導光部41に導入される。密着した部分から入射して導光板41に導入された光は、検知部42が検知して検知信号を出力する。ここで、指示体4Aを図1の(3,10)の位置に置いた場合、検知部42が出力する信号は図4(b)のようになる。指示体4Aが導光板1上のどの領域内に置かれても第1一斉制御により光源21を全点灯させたときの光を検知して第1信号S1を出力する。次に、走査式制御により指示体4Aが接触している位置に対応した投射手段2xの左から3番目の光源21からの光束を検知してX走査信号Sxを出力し、さらに投射手段2yの下から10番目の光源21からの光束を検知してY走査信号Syを出力し、最後に第2一斉制御により光源21を所定時間全点灯させたときの光束を検知して第2信号S2を出力する。
【0017】
この実施の形態によれば、光束の内、導光部41に漏れ出る光の量は少量であり、複数の指示体4を用いたとしても他の指示体4の位置検出精度に影響を及ぼすことはない。また、表示画面の最表面である導光板1の表面に水滴等が付着し、光が外部に漏れ出た場合でも、対向する面に到達する光量が低下する程度であって、水滴の位置を指示体4の位置と誤認識することはない。
【0018】
第1信号S1は上述したように第1一斉制御による所定間隔での2回の点灯により、他の信号と区別することができ、同様に第2信号S2も第2一斉制御による所定時間の点灯により他の信号と区別することができる。また、投射制御手段3が制御する走査による各光束が投射される時間は、第1一斉制御WL1から第2一斉制御WL2までの時間から容易に算出することができるので、第1信号S1、第2信号S2をX走査信号Sx、Y走査信号Syと見分けることにより、検出した光束の光源21を特定することができる。本実施の形態では、走査式制御SLと第1一斉制御WL1、第2一斉制御WL2とで点灯の仕方を変化させたので、第1信号S1をスタートビット、第2信号S2をストップビットと定義すれば、走査式制御SLにより検出されたX走査信号Sx及びY走査信号Syを第1信号S1から第2信号S2間のどのタイミングで検出したかを計算することにより、投射制御手段3による走査位置、つまり、検知した光束がどの光源21から投射されたかを特定することができる。また、投射装置2xから投射された光束は所定の幅を保ったままY軸に対して平行に、投射装置2yから投射された光束も所定の幅を保ったままX軸に対して平行に進行するので、光源21を特定することにより、指示体4Aの位置をX座標、Y座標の位置(3,10)として演算することができる。したがって、指示体4Aの座標演算手段43Aは検知部42Aの出力した検知信号から検知した光束がどの光源21からの光束かを特定し、さらに特定した光源21から指示体4Aの導光板1上での2次元座標位置を演算することができる。しかも、投射制御は1サイクル10ms程度の短い時間であるので、動きを伴う指示体4Aの位置をリアルタイムでスムーズに検知することができる。このとき、隣接する光束の光路がオーバーラップしている領域では、走査制御時に連続して2つの検知信号が出力されることになるが、この場合も、2つの光源21の中間位置にあることが特定できるので、正確に位置を検出することができる。
【0019】
なお、隣接する光束の光路間に間隔があるような場合でも、指示体4の導光部41が光路間の間隔より広い面積で導光板1と密着し、光を導入することができる場合、導光板1の面内に光を検知できない非検知領域を形成することなく、座標位置を検知することが可能となる。
【0020】
そして、指示体4Aの座標演算手段43Aは演算した座標位置(3,10)を座標信号SCAとして出力する。一方、識別信号出力部44Aは指示体4Aに割り当てられた識別信号SIAを生成し、出力するので、座標演算手段43Aからの座標信号SCAと識別信号出力部44Aからの識別信号SIAを受けた送信部45Aは、座標信号SCAを識別信号SIAとともに送信信号STAとして外部に送信する。
【0021】
送信部45Aからの送信信号STAは、指示体4Aの発信周波数に対応した座標出力手段5の受信機51Aが受信し、受信した送信信号STAはCPU52によって座標信号SCAと識別信号SIAに分離され、座標出力手段5から指示体4Aの座標位置として出力される。
【0022】
同様に、導光板1の(7,2)の位置に置かれた指示体4Bについても、上述したように検知信号から座標位置(7,2)を算出でき、指示体4Bの送信部45Bから指示体4Bの識別信号SIBを座標信号SCBとともに送信信号STBとして送信され、送信された送信信号STBは、指示体4Bの発信周波数に対応した受信機51Bが受信し、受信した送信信号STBがCPU52によって座標信号SCBと識別信号SIBに分離され、座標出力手段5から指示体4Bの座標位置(7,2)として出力される。
【0023】
上記座標出力手段5からの出力は、表示画面上の指示体4の2次元座標として指示体4ごとに区別して出力され、LAN、USBなどの外部インターフェース61を経由してコンピュータ62に入力される。コンピュータ62は、内部に映像情報を保有しており、保有する映像情報を映像信号として図示しない表示装置に出力している。このとき、外部インターフェース61から座標信号SCと識別信号SIが入力されると、内部にインストールされたアプリケーションソフトウェアにより、入力された位置情報に基づいて、映像情報を制御し、制御した映像情報を映像信号として表示装置に出力し、表示装置の表示面に映し出された映像を導光板1を通して見ることができる。
【0024】
つまり、指示体4に導光部41と検知部42を備え、表示装置の表示面上に置かれた導光板1の側面に向かって所定幅の光束を順次走査するように投射させた状態で、指示体4の導光部41を導光板1に接触させることにより、導光板1内の光を指示体4が検知して、検知信号と走査位置に基づいて座標位置を検出するようにしたので、表示面の表面となる導光板1に水滴等が付着しても指示体4の位置を正確にしかもリアルタイムで検出することができる。また、紙などの障害物があっても、導光板1内の全反射条件に影響を与えることはなく、指示体4と導光板1との間に障害物を挟むようなことがない限り、座標を正確に検知することができる。また、導光板1に投射する光を非可視領域の光にしたので、表示画面の画質に影響を与えることもない。
【0025】
さらに、各指示体4に識別情報を割り当てることにより、複数の指示体を同時に使用しても、各指示体を区別して指示体毎の位置を正確に検出することができる。なお、本実施の形態においては、送信周波数が異なる指示体4A、4Bからの送信信号が混信しないように受信部51には支持体の数に応じて2つの受信機51Aと51Bを備えたが、使用できる支持体の数は本実施の形態に限定されず、さらに増加させることも可能である。また、IEEE802.15.1規格に示されるように、ひとつの受信機で複数の機器と接続が可能である受信機を使用し、複数の指示体からの信号を受信できるようにしてもよい。
【0026】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2における位置検出装置を示したもので、図5(a)は位置検出装置の構成を示す平面図、図5(b)は断面図である。本実施の形態では導光板100を、ガラス製の第1の導光板100aに第1の導光板100aよりも軟質で容易に変形する第2の導光板100bを重ねて構成した。他は実施の形態1と同様であり、同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
第1の導光板100aは、屈折率が約1.5で、厚さ5mm程度の方形のガラス板であり、第2の導光板100bは屈折率が約1.3の軟質な樹脂である。図5(b)に示すように第1の導光板100aと第2の導光板100bを重ねて導光板100を構成している。投射手段2については、光学処理部22により、光源21から出力された光の導光板1の厚み方向での角度を調整することにより、実施の形態1と同様に、投射した光を導光板100の表面で全反射するようにしている。このとき、第2の導光板100bが第1の導光板100aと密着している部分では導光板100の厚み方向で全反射し、第2の導光板100bが第1の導光板100aと密着していない部分では第2の導光板100b内および第1の導光板100a内それぞれの厚み方向で全反射し、いずれの部分でも導光板100の表面から光が漏れることなく、投射した光を対向する側面に向かって進行させることができる。
【0028】
次に、動作について説明する。
実施の形態1と同様に投射手段2から導光板100内に光を投射している状態で、指示体4の先端である導光部41を導光板100に押し当てると、図6に示すように、第2の導光板100bのαで示す部分が変形し、導光板100の表面の角度が変化する。さらに、導光部41と第2の導光板100bの密着面積が増大し、導光板100内を進行していた光の一部を導光部41に効率的に導入することができる。そのため、指示体4の位置を正確に検出することが容易となる。
【0029】
つまり、第2の実施の形態によれば、導光板100を第1の導光板100aと第1の導光板100aよりも軟質の第2の導光板100bを重ねて構成したので、指示体4の導光部41の硬度、形状に依存することなく容易に導光板100内を進行する光を検知して、検知信号と投射制御手段3の操作位置に基づいて、指示体4の位置を検出することが可能となる。
【0030】
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3における位置検出装置の導光板を示す断面図である。本実施の形態では導光板を3層構造で構成した。他は実施の形態2と同様であり、同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
第1の導光板200aは、実施の形態2と同じ屈折率が約1.5で、厚さ5mm程度の方形のガラス板である。第1の導光板200aの表面には第3の導光板200bを形成し、さらに第3の導光板200bの表面に第4の導光板200cを形成している。第3の導光板200bには、柔軟性の高い透明材料を使用するが、固体以外の純水、アルコール等の流動性のある材料を第1の導光板200aと第4の導光板200cの間に密封して使用することも可能である。第4の導光板200cには、薄いアクリル等を使用することができる。投射手段2については、光束の導光板200の厚み方向での角度が、各導光板200a、200b、200c間では投射光は透過し、導光板200と空気との界面では全反射条件となるように光学処理部22を調整する。
【0032】
次に、動作について説明する。
実施の形態2と同様に投射手段2から導光板200内に光を投射している状態で、指示体4の先端である導光部41を導光板200に押し当てると、柔軟性のある第3の導光板200bが変形するので、200bに重なっている薄い第4の導光板200cも変形する。そのため、導光板200の表面(200c)は、第2の実施の形態と同様に、導光部41に押し当てられて変形し、導光板200の表面の角度が変化する。さらに、導光部41と第4の導光板200cの密着面積が増大し、導光板200内を進行していた光の一部を導光部41に効率的に導入することができる。このとき、導光部41と接触する第4の導光板200cは、柔軟な第3の導光板200b上に重ねられているので、強度が高い材料を用いても、厚みを薄くすることによって変形させることができるので、導光部41との摩擦を抑制したり、擦れによる磨耗を抑制することができる。
【0033】
つまり、第3の実施の形態によれば、導光板200を第1の導光板200aと第4の導光板200cの間に軟質な第3の導光板200bを有する3層構造で構成したので、指示体4の導光部41の硬度、形状に依存することなく容易に導光板200内を進行する光を検知することが可能となり、しかも、導光板200の表面の高強度化や低磨耗化が容易となる。
【0034】
なお、上記各実施の形態では、指示体4に座標演算手段43を設けたが、指示体4には光を検知して検知信号を単独又は識別信号とともに送信する機能のみを備え、座標出力手段5が指示体4の位置を演算する機能を有するようにしてもよい。
【0035】
また、上記各実施の形態では、各光束に対応して光源21を設け、光源21の点灯を制御することによって各光束の投射を制御したが、光源21は点灯したままで、光学処理部22の出口にLCDなどのシャッター等を設け、各光束に対応するシャッターの開閉を制御することで各光束の投射を制御してもよい。この場合、レーザーの出力を水平方向に広げた後、レンズを使って平行光にすることにより、一つのレーザーが複数の光束の光源として使用できるので、レーザーの本数を低減することができる。
【0036】
また、光束の数は位置精度や画面サイズに応じて適宜変更可能である。なお、光源21にはレーザー以外にダイオードを使用してもよい。ただし、レーザーに比べて集光性が劣るため、位置検出精度を維持するために、光源に対応して光学処理部22等の調整が必要である。
【0037】
また、上記各実施の形態で用いたスタートビット、ストップビットを認識させるための点灯制御は適宜変更することは可能である。また、スタートビット、ストップビットを用いた非同期式の手法以外にクロック埋め込みなど他の同期手法を用いても走査位置を特定することは可能である。
【0038】
なお、導光板にはガラスの代わりにアクリル等の樹脂を用いてもよい。その場合には、投射手段2において、投射光を厚み方向で全反射させるために厚み方向の拡散角度の調整が必要である。光束が投射される側面に対向する側面については言及していないが、投射光を有効に利用するためにミラーコーティングを行い、投射光を投射した光源21に向かって反射するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施の形態1による位置検出装置の構成を示す平面図と側面図である。
【図2】この発明の実施の形態1による指示体の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による座標出力手段を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1による投射制御パターンおよび検知信号を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2による位置検出装置の構成を示す平面図と断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2による動作を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3による位置検出装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 導電板、 2 投射手段、 3 投射制御手段、 4 指示体、 5 座標出力手段、 41 導光部、 42 検知部、 43 座標演算手段、 45 送信部、 100a 第1の導光板、 100b 第2の導光板、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示面上に設置され、透光性材料からなる導光板と、
前記導光板の厚み方向では全反射し、面方向では所定の方向に向かって進行するように所定幅の光束を前記導光板の側面からX方向及びY方向に複数個列状に投射する投射手段と、
前記各光束が前記導光板の側面に沿ってX方向及びY方向に順次走査するように前記投射手段を制御する投射制御手段と、
前記導光板に接触させることにより、前記導光板内部を進行する光を導入する導光部と、前記導光部が導入した光を検知して、検知信号を出力する検知部とを有する指示体と、
前記検知信号と前記投射制御手段による走査位置に基づいて、前記指示体が前記導光板と接触する座標位置を演算する座標演算手段とを
備えてなる位置検出装置。
【請求項2】
前記投射手段は,前記導光板の側面に沿って前記光束を出力する複数の光源を有することを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記投射手段は、前記導光板の側面に沿って前記光束の投射を制御する複数のシャッターを有することを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記指示体は、前記座標演算手段と、前記座標演算手段が演算した座標位置を座標信号として外部へ送信する送信部とを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記指示体は、異なる識別情報を有する複数の指示体であり、前記識別情報に基づく識別信号を前記座標信号とともに送信し、
前記指示体から送信された前記識別信号及び前記座標信号を受信し、受信した前記識別信号及び前記座標信号に基づき、前記複数の指示体の座標位置を区別して出力する座標出力手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記投射手段は、前記光束を順次走査させる前後に、前記光束を一斉に投射させる第1一斉制御と第2一斉制御を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記導光板は、第1の導光板の上に前記第1の導光板よりも軟質な第2の導光板を重ねて構成することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−158616(P2008−158616A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344026(P2006−344026)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】