説明

位置検出装置

【課題】本発明は、容易に小型化ができる位置検出装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の位置検出装置は、移動可能に配設されたレンズ1と、このレンズ1とともに移動するように設けられた磁気シート2と、前記レンズ1の位置を検出するように前記磁気シート2と対向する位置に固定された磁気抵抗効果素子3とを備え、前記磁気シート2を基材とこの基材の上面に着磁された磁性層とで構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス用レンズまたはズーム用レンズの位置を検出する位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の位置検出装置は、カメラ内に移動可能に配設されたオートフォーカス用またはズーム用のレンズと、このレンズとともに移動するように前記カメラ内に設けられ、かつ棒状に焼結されたマグネット(永久磁石)と、前記レンズの位置を検出するようにカメラ内の前記マグネットと対向する位置に固定された磁気抵抗効果素子とを備えていた。
【0003】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平6−105206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の位置検出装置においては、厚みを薄くすることができない棒状のマグネットを使用しているため、小型化が困難であるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、容易に小型化ができる位置検出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、移動可能に配設されたレンズと、このレンズとともに移動するように設けられた磁気シートと、前記レンズの位置を検出するように前記磁気シートと対向する位置に固定された磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気シートを基材とこの基材の上面に着磁された磁性層とで構成したもので、この構成によれば、基材と、この基材の上面に着磁された磁性層とで構成した磁気シートを使用しているため、磁気シートの厚みを薄くすることができ、これにより、容易に小型化ができるという作用効果が得られるものである。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、磁気シートを構成する基材の下面に両面テープを形成したもので、この構成によれば、磁気シートを所定箇所に簡易な方法で取り付けることができるという作用効果が得られるものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の位置検出装置は、移動可能に配設されたレンズと、このレンズとともに移動するように設けられた磁気シートと、前記レンズの位置を検出するように前記磁気シートと対向する位置に固定された磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気シートを基材とこの基材の上面に着磁された磁性層とで構成しているため、磁気シートの厚みを薄くすることができ、これにより、容易に小型化ができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態における位置検出装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施の形態における位置検出装置の模式図、図2は同位置検出装置に使用される磁気シートの側面図である。
【0012】
本発明の一実施の形態における位置検出装置は、図1、図2に示すように、移動可能に配設されたレンズ1と、このレンズ1とともに移動するように設けられた磁気シート2と、前記レンズ1の位置を検出するように前記磁気シート2と対向する位置に固定された磁気抵抗効果素子3とを備え、前記磁気シート2を基材4とこの基材4の上面に着磁された磁性層5とで構成したものである。
【0013】
上記構成において、前記レンズ1は、デジタルビデオカメラ等のカメラ内に形成されたオートフォーカス用またはズーム用のレンズであり、カメラ内のレンズ鏡筒6の内部に設けられている。また、このレンズ1は、軸受部7を介してレンズ鏡筒6に形成された軸部8に移動可能に固定されている。なお、このレンズ1の移動はモータ(図示せず)を駆動させることによってなされるもので、光軸(矢印Aの方向)に沿って前後進する。
【0014】
そして、前記磁気シート2は、あらかじめ200μm〜300μmの等間隔でN極とS極が交互に着磁されている。また、この磁気シート2は軸受部7に形成されており、そのため、前記レンズ1が移動するとともにこの磁気シート2も移動する。すなわち、軸受部7と磁気シート2がレンズ1とともに図3の破線で示すように移動する。これにより、磁気シート2が、磁気抵抗効果素子3の近傍で磁気抵抗効果素子3と対向して平行移動するため、N極とS極が交互に着磁された磁気シート2からの磁界の変化を磁気抵抗効果素子3で検出することによって、レンズ1の移動量を検出することができる。
【0015】
そしてまた、この磁気シート2は、図2に示すように、厚みが約100μm〜250μmのポリエチレンテレフタレート等の可撓性の樹脂で構成された細長い基材4と、この基材4の上面にN極とS極が交互に着磁された厚みが約100μm〜150μmの磁性層5とで構成されている。また、前記磁性層5はフェライト粉に樹脂を混合させた磁性ペーストを基材4上に薄く塗布して乾燥させることにより形成している。そして、前記基材4の下面(磁性層5を形成した反対側の面)には両面テープ9が形成され、さらに、この両面テープ9の下面にはセパレータ10が形成されている。なお、前記セパレータ10は磁気シート2を軸受部7に取り付ける際に剥がされるもので、この結果、磁気シート2の全体の厚みは最大でも約500μmとなる。
【0016】
次に、本発明の一実施の形態における位置検出装置に使用する磁気シート2の製造方法について説明する。なお、図4(a)(c)は側面図、図4(b)(d)および図5は上面図である。
【0017】
まず、図4(a)(b)に示すように、厚みが約100μm〜250μmのポリエチレンテレフタレート等の樹脂で構成された大判状またはロール状の基材4aの上面に、フェライト粉と樹脂を混合させた磁性ペーストを厚みが約100μm〜150μmとなるように薄く均一に塗布し乾燥させることにより磁性層5を形成する。
【0018】
次に、図4(c)(d)に示すように、大判状またはロール状の基材4aの下面にセパレータ10付きの両面テープ9をラミネート接着する。
【0019】
次に、図5(a)に示すように、大判状またはロール状の基材4aの所定寸法で短冊状に切断し、図5(b)に示すような短冊状基材4bを得る。このとき、着磁機により磁性層5に200μm〜300μmの等間隔でN極とS極を交互に着磁する。
【0020】
最後に、図5(c)に示すように、この着磁された短冊状基材4bを所定サイズで個片に切断し、図2に示す個片状の磁気シート2を作製する。
【0021】
そして、セパレータ10を剥がし、磁気シート2を軸受部7に取り付けるものである。この結果、両面テープ9の厚みを仮に100μmとした場合、磁気シート2の全体の厚みは最大でも約500μmとなる。
【0022】
また、前記磁気抵抗効果素子3は、GMR素子またはMR素子で構成され、そして、前記レンズ鏡筒6の内壁における磁気シート2と対向する位置に磁気シート2と一定の間隔を隔てて固定される。そしてまた、この磁気抵抗効果素子3は磁気シート2から与えられた磁界の変化に応じて抵抗値が変化し、レンズ1の位置が検出できるようになっている。すなわち、レンズ1の移動によって磁気シート2が移動すれば、この磁気シート2から磁気抵抗効果素子3に与えられる磁界の強さが変化し、これにより、磁気抵抗効果素子3の抵抗値が変化するもので、そしてこの抵抗値の変化率を処理回路で検知することによりレンズ1の位置を検出する。
【0023】
上記した本発明の一実施の形態においては、基材4と、この基材4の上面に着磁された磁性層5とで構成した磁気シート2を使用しているため、磁気シート2の厚みを薄くすることができ、これにより、容易に小型化ができるという効果が得られるものである。
【0024】
すなわち、磁性層5として棒状のマグネットを使用する場合は、厚みを約1200μm程度にしか薄くすることができないが、本発明の一実施の形態のように磁気シート2を使用すれば、基材4に磁性ペーストを塗布するだけであるため、両面テープ9の厚みを仮に100μmとしても最大でも約500μmにまでその厚みを薄くすることができる。このことから、磁気シート2はマグネットよりも重心が低くなる。
【0025】
さらに、磁気シート2は、樹脂からなる基材4と、磁性ペーストを塗布してなる磁性層5と、両面テープ9とで構成されているため、従来の金属からなるマグネットより軽い。そして、レンズ1の移動時にはレンズ1、磁気シート2(マグネット)に加速が加わるが、上記のように磁気シート2は、従来のマグネットより重心が低く(薄く)、かつ軽いため、使用中に脱落する可能性は非常に小さい。
【0026】
そしてまた従来は、マグネットを1個ずつ焼結して形成しているため、両面テープを個別に貼り付けることは生産上困難であり、これにより、マグネットにUV接着剤を塗布した後にUV照射してマグネットを軸受部7に固定していた。一方、本発明の一実施の形態における磁気シート2は、上述したようにシート状の基材4に両面テープ9を一度に貼った後、複数の個片状に分割して形成されているため、簡単な方法で磁気シート2を軸受部7に取り付けることができる。
【0027】
また、マグネットの場合は角が欠けたりすることがあるが、磁気シート2ではそのような可能性は少なく、さらに、磁気シート2は安価な樹脂基材、磁性ペースト、両面テープ、セパレータを使用しているため、コストの面でも有利である。
【0028】
なお、磁性層5を基材4に磁性ペーストを塗布していることにより形成していることから、本発明の一実施の形態における磁性層5の厚みは100μm〜150μm程度である。一方、マグネットの場合では全体が磁性層5となるため、磁性層5としての厚みは約1200μmとなり、この結果、本発明の一実施の形態における磁気シート2は従来のマグネットと比べて磁性層5の厚みが薄くなる。これにより、磁気シート2の磁界強度が弱くなり、磁気抵抗効果素子3の抵抗値変化が少なくなって検知精度が悪化するという可能性も考えられる。しかし、図6の特性図に示すように、300μm程度以下の着磁ピッチの場合、磁性層5の膜厚が80μm以上であれば磁界強度は変わらないため、本発明の一実施の形態のように磁性層5の厚みが薄くても、厚みが100μm〜150μmであれば問題はない。
【0029】
一方、磁性層5の厚みを必要以上(着磁ピッチ以上)に厚くして、厚み方向の深い箇所まで着磁を行なうと、その箇所で表面の着磁方向とは逆の反磁界を形成するため、結果的に表面の磁界強度が弱くなる。したがって、従来のように厚みが約1200μmのマグネットを使用すると、磁界強度が弱くなってしまうため、好ましくないものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る位置検出装置は、容易に小型化ができるという効果を有するものであり、特にオートフォーカス用レンズまたはズーム用レンズの位置を検出する位置検出装置等において有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態における位置検出装置の模式図
【図2】同位置検出装置に使用される磁気シートの側面図
【図3】同位置検出装置の磁気シートと磁気抵抗効果素子との関係を示す図
【図4】(a)〜(d)同位置検出装置に使用される磁気シートの製造方法を示す図
【図5】(a)〜(c)同位置検出装置に使用される磁気シートの製造方法を示す図
【図6】磁性層の膜厚と磁界強度との関係を示す特性図
【符号の説明】
【0032】
1 レンズ
2 磁気シート
3 磁気抵抗効果素子
4 基材
5 磁性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能に配設されたレンズと、このレンズとともに移動するように設けられた磁気シートと、前記レンズの位置を検出するように前記磁気シートと対向する位置に固定された磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気シートを基材とこの基材の上面に着磁された磁性層とで構成した位置検出装置。
【請求項2】
磁気シートを構成する基材の下面に両面テープを形成した請求項1記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−54200(P2010−54200A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216131(P2008−216131)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】