位置検査方法及び装置、露光方法及び装置、並びにインライン検査システム
【課題】露光光によって基板にパターンを形成する場合に、露光工程中にそのパターンの位置を高精度に検出する。
【解決手段】露光光の照射によってシート基板Pに形成されるパターンの位置情報を求める像位置検査装置21であって、シート基板Pのマーク42A内に露光光によって改質可能な樹脂層を形成する樹脂層形成装置22と、その樹脂層に露光光の照射によって部分パターンが形成された後、シート基板Pのマーク42A以外の領域に実質的に影響を与えることなく、その部分パターンを顕在化させる吸引装置24と、顕在化されたその部分パターンの位置情報を計測するマーク検出装置26とを備える。
【解決手段】露光光の照射によってシート基板Pに形成されるパターンの位置情報を求める像位置検査装置21であって、シート基板Pのマーク42A内に露光光によって改質可能な樹脂層を形成する樹脂層形成装置22と、その樹脂層に露光光の照射によって部分パターンが形成された後、シート基板Pのマーク42A以外の領域に実質的に影響を与えることなく、その部分パターンを顕在化させる吸引装置24と、顕在化されたその部分パターンの位置情報を計測するマーク検出装置26とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光光の照射によって基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査技術、この位置検査技術を用いる露光技術及びインライン検査技術に関する。さらに本発明は、その露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置として液晶表示パネルが多用されている。液晶表示パネルは通常、フォトリソグラフィ工程を用いてガラスプレートに透明薄膜電極をパターニングすることにより製造されている。そのフォトリソグラフィ工程で、マスクパターンの像をガラスプレートに露光するために露光装置が使用されている。
最近では、ガラスプレートに替わり、ロール状に巻き取られる長いシート基板が使用されることがある。このような長いシート基板用の従来の露光装置で、シート基板の2層目以降に重ね合わせて露光する場合、予めマスクのアライメントマークの像の位置を露光テーブル側で計測していた。そして、この計測結果に基づいて、マスクのパターンの像とシート基板の一つのパターン形成領域との位置合わせを行って、マスク及び投影光学系を介して当該パターン形成領域を一括露光(静止露光)していた。その後、露光テーブルでそのシート基板を吸着して移動する動作と、シート基板の次のパターン形成領域に対する上記の一括露光動作とを繰り返して、そのシート基板を供給ローラから巻き取りローラ側に間欠的に移動していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−114385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の露光装置を用いてシート基板に重ね合わせて露光する場合、露光中にマスクのパターンの像とシート基板のパターン形成領域との相対位置がずれると、それ以降にシート基板に露光されるマスクのパターンの像と各パターン形成領域との相対位置もずれるようになる。即ち、ロール単位で露光が行われるため、途中で重ね合わせ精度が低下すると、それ以降は重ね合わせ精度が低下した状態が継続するため、最終的に製造されるデバイスの歩留まりが低下する。
【0005】
また、シート基板の感光層に形成されるマスクのアライメントマークの像を潜像の段階で検出することも可能である。しかしながら、現状では感光層に形成された潜像を検出する場合には、検出信号のコントラストが低いため、計測精度を高めることが困難である。
本発明の態様は、このような事情に鑑み、露光光によって基板にパターンを形成する場合に、露光工程中にそのパターンの位置を高精度に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、基板に露光光を照射して該基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査方法であって、その基板の所定領域にその露光光によって改質可能な樹脂層を形成することと、その樹脂層にその露光光を照射してそのパターンのうちの部分パターンを形成することと、その基板のその所定領域以外の領域に実質的に影響を与えることなく、その樹脂層に形成されたその部分パターンを顕在化させることと、顕在化されたその部分パターンを検出して、該部分パターンの位置情報を計測することと、を含む位置検査方法が提供される。
【0007】
また、本発明の第2の態様によれば、基板に露光光を照射して、第1及び第2パターンを含む複数のパターンをその基板に順次重ね合わせて形成する露光方法において、その基板の第1領域にその第1パターンの第1部分パターンを形成することと、その基板のその第1領域に対応する第2領域にその第2パターンの第2部分パターンを形成することと、本発明の第1の態様による位置検査方法を用いて、その第1部分パターンに対するその第2部分パターンの位置情報を計測することと、を含む露光方法が提供される。
【0008】
また、本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様による露光方法を用いて、基板にパターンを形成することと、そのパターンが形成されたその基板をそのパターンに基づいて加工することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
また、本発明の第4の態様によれば、露光光の照射によって基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査装置であって、その基板の所定領域にその露光光によって改質可能な樹脂層を形成する樹脂層形成装置と、その樹脂層にその露光光の照射によってそのパターンのうちの少なくとも部分パターンが形成された後、その基板のその所定領域以外の領域に実質的に影響を与えることなく、その樹脂層に形成されたその部分パターンを顕在化させる顕在化装置と、顕在化されたその部分パターンを検出して、該部分パターンの位置情報を計測するパターン計測装置と、を備える位置検査装置が提供される。
【0009】
また、本発明の第5の態様によれば、基板に露光光を照射して、該基板にパターンを形成する露光装置であって、本発明の第4の態様による位置検査装置と、その基板のその所定領域を含む領域にその露光光を照射してそのパターンを形成する露光光学系と、を備える露光装置が提供される。
また、本発明の第6の態様によれば、本発明の第5の態様による露光装置を用いて、基板にパターンを形成することと、そのパターンが形成されたその基板をそのパターンに基づいて加工することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第7の態様によれば、本発明の第4の態様による位置検査装置と、その基板を所定方向に移動する搬送機構と、その基板のその所定領域以外の領域にその露光光で感光する感光層を形成する感光層形成装置と、その基板のその所定領域を含む領域にその露光光を照射してそのパターンを形成する露光光学系と、その位置検査装置によって計測されるその位置情報に応じた処理を行う制御装置と、を備えるインライン検査システムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、基板の樹脂層に形成されてから顕在化された部分パターンを検出しているため、露光光によって基板にパターンを形成する場合に、露光工程中にそのパターンの部分パターンの位置に基づいてそのパターンの位置を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係るインライン露光検査システム10の機構部を示す斜視図である。
【図2】図1のインライン露光検査システムの制御系を示すブロック図である。
【図3】(A)はシート基板にフォトレジストを塗布している状態を示す正面図、(B)は図3(A)のシート基板を示す平面図、(C)はシート基板の基板マーク内に紫外線硬化樹脂を塗布している状態を示す正面図、(D)は図3(C)中の基板マークを示す拡大平面図、(E)は図3(D)のEE線に沿う断面図である。
【図4】(A)はマスクマークの像が形成されたシート基板の一部を示す拡大平面図、(B)は図4(A)の基板マーク内から未硬化の樹脂を吸引する状態を示す拡大斜視図、(C)は未硬化の樹脂を吸引した状態を示す拡大斜視図である。
【図5】(A)は基板マーク及び硬化マークを示す拡大平面図、(B)はマーク検出装置の構成を示す図である。
【図6】第1の実施形態の露光及び検査動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】(A)はシート基板の第2層に形成された硬化マーク及びマスクマークの像を示す拡大平面図、(B)は図7(A)のBB線に沿う断面図、(C)はシート基板の第2層に形成された基板マークを示す拡大平面図、(D)は図7(C)のDD線に沿う断面図、(E)はシート基板の第3層に形成されたマスクマークの像を示す拡大平面図、(F)は図7(E)のFF線に沿う断面図、(G)は図7(F)の状態から未硬化の樹脂を吸引した状態を示す断面図である。
【図8】第2の実施形態に係るインライン露光検査システム10Aの機構部を示す斜視図である。
【図9】(A)はシート基板の基板マーク内にポリイミド樹脂を塗布した状態を示す拡大平面図、(B)は図9(A)のBB線に沿う断面図、(C)は図9(A)のポリイミド樹脂にマスクマークの像を露光した状態を示す拡大平面図、(D)は図7(C)のDD線に沿う断面図である。
【図10】(A)は図9(D)のポリイミド樹脂を着色する状態を示す拡大断面図、(B)は図10(A)のマスクマークの像が着色された状態を示す拡大断面図、(C)は図10(B)中の基板マーク及び着色マークを示す拡大平面図である。
【図11】液晶表示パネルの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態につき図1〜図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態のインライン露光検査システム10の機構部の概略構成を示す斜視図、図2は、インライン露光検査システム10の制御系を示すブロック図である。インライン露光検査システム10は、ロール状に巻いて保管可能な長いシート状の基板であるシート基板Pを移動させながら、シート基板Pの表面に順次フォトレジストの塗布、マスクのパターンの像の露光、及び露光したパターンの像位置の検査を行うものである。シート基板Pには、それぞれ表示素子(例えば液晶表示パネル)を製造するための多数のパターンが長手方向に沿って形成される。
【0014】
シート基板Pは、一例として可視光を透過する耐熱性の合成樹脂フィルム、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は酢酸ビニル樹脂等のフィルムから形成されている。基板がシート状とは、その基板の大きさ(面積)に比してその厚さが十分に小さく(薄く)、その基板が可撓性を有していることを意味する。
【0015】
以下の説明においては、図1中に設定したXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系は、X軸及びY軸がある水平面上に設定され、Z軸が鉛直方向に設定される。本実施形態では、シート基板Pはその表面がXY平面に平行な状態で、X軸に平行な方向(X方向)に、かつ+X方向に向けて間欠的又は連続的に搬送(移動)される。
【0016】
本実施形態のシート基板Pの表面には、長手方向(X方向)に沿って所定間隔でそれぞれ表示素子が製造される一連の矩形のパターン形成領域40A,40B,40C,…が配列され、パターン形成領域40A,40B等にはこれまでのデバイス製造工程で第1層の回路パターン(不図示)が形成されている。さらに、パターン形成領域40A,40B等に+X方向に接するマーク形成領域に、アライメントマークとしてのほぼ正方形の枠状の凸部からなる基板マーク42A,44Aが形成されている。なお、シート基板Pの一部の平面図である図3(B)に示すように、パターン形成領域40B等の−X方向に接するマーク形成領域にも、基板マーク42A,44Aと同じ形状の基板マーク43A,45Aが形成されている。
【0017】
また、図3(D)の拡大平面図、及び図3(E)の拡大断面図で示すように、一例として基板マーク42Aは500μm角程度の正方形の枠状の凸部であり、その段差(段差)は10μm程度である。なお、基板マーク42Aは、平坦な表面に深さが10μm程度の凹部(窪み)として形成してもよい。さらに、パターン形成領域40B等及び基板マーク42A〜45Aを含むマーク形成領域には、第2層の回路パターン形成用の薄膜が形成されている。以下では、一方の基板マーク42A,44Aを参照して説明するが、他方の基板マーク43A,45Aについても同様に処理が行われる。
【0018】
図1において、インライン露光検査システム10は、防振機構(不図示)を介して床面に載置されたX方向に細長い平板状のベース部材12と、ベース部材12の−X方向の端部上面に固定され、ロール状に巻かれたシート基板Pを巻き出す供給ローラ14と、ベース部材12の+X方向の端部上面に固定され、シート基板Pを巻き取る巻き取りローラ16と、供給ローラ14の直後及び巻き取りローラ16の直前にそれぞれ配置され、シート基板Pの表面がXY平面に平行でZ位置が一定になるようにシート基板Pを案内するガイドローラ13A,13Bとを備えている。供給ローラ14は、シート基板Pを巻き出すローラ15Aと、ローラ15Aを回転する駆動モータ15Bと、ローラ15A及び駆動モータ15Bを支持する支持部材15C,15Dとを有する。巻き取りローラ16は、シート基板Pを巻き取るローラ17Aと、ローラ17Aを回転する駆動モータ17Bと、ローラ17A及び駆動モータ17Bを支持する支持部材17C,17Dとを有する。
【0019】
ガイドローラ13A,13Bは、ベース部材12の上面にそれぞれ支持部材(不図示)及び回転角を検出するロータリーエンコーダ13AR,13BRを介して、シート基板Pの移動に追従して回転するように支持されている。ガイドローラ13A,13Bの回転角からシート基板PのX方向の相対位置を検出可能である。
また、インライン露光検査システム10は、供給ローラ14に近い位置でシート基板Pの表面にフォトレジスト(感光剤)を塗布するレジストコータ18と、シート基板Pのフォトレジストが塗布された領域にマスクパターンの像を露光するとともに、その像の位置を検出する機能を備えた露光装置EXと、システム全体の動作を統括的に制御するコンピュータよりなる主制御装置50(図2参照)とを備えている。ロータリーエンコーダ13AR,13BRの検出信号から図2のプレート位置演算系54によってシート基板PのX方向の位置情報が求められ、この位置情報は主制御装置50に供給される。この位置情報等に基づいて、主制御装置50は基板制御系55を介して駆動モータ15B及び17Bの動作を制御する。この場合、駆動モータ17Bによってシート基板Pの移動速度が規定され、駆動モータ15Bはシート基板Pが緩まないようにシート基板Pを送り出す。
【0020】
図1において、レジストコータ18は、フォトレジストを個別に塗布するY方向に配列された2つのヘッド部19A,19Bと、X軸に平行に支持されたガイド部19Dと、リニアエンコーダ(不図示)で計測されるヘッド部19A,19Bの位置情報に基づいて、ガイド部19Dに沿ってヘッド部19A,19Bを移動する駆動部19Cと、可撓性を持つ配管19Eを介してヘッド部19A,19Bにフォトレジストを供給する供給部19Fとを有する。なお、ヘッド部19A,19Bは3個以上のヘッド部に分かれていてもよい。
【0021】
露光装置EXは、ほぼ紫外域の露光光ILによって投影光学系PLを介してシート基板Pの表面にマスクパターンの像を露光する露光本体部20と、像位置検査装置21とを有する。像位置検査装置21は、シート基板Pの基板マーク42A内(又はこの近傍の領域)に紫外線硬化樹脂を塗布する樹脂層形成装置22と、基板マーク42A内から未硬化の樹脂を吸引する吸引装置24と、基板マーク42Aとその中の紫外線硬化樹脂が硬化して形成される硬化マーク(後述)とのX方向、Y方向の位置ずれ量を計測する画像処理型のマーク検出装置26とを有する。マーク検出装置26は巻き取りローラ16の手前に配置されている。樹脂層形成装置22は、レジストコータ18のヘッド部19A,19Bと投影光学系PLとの間で、シート基板Pの表面に紫外線硬化樹脂を塗布するノズルヘッド23Aと、可撓性を持つ配管23Bを介してノズルヘッド23Aに紫外線硬化樹脂を供給する供給部23Cとを有する。その紫外線硬化樹脂は、露光光ILの照射によって硬化する。なお、ノズルヘッド23AのY方向の位置を調整する駆動部(不図示)も設けられている。
【0022】
吸引装置24は、圧縮された清浄な気体(ドライエアー等)を噴き出す送風ノズル25Aと、その圧縮された気体とともに未硬化の樹脂を吸引する吸引ノズル25Bと、可撓性を持つ配管25Cを介して送風ノズル25Aに圧縮気体を供給するコンプレッサ25Eと、吸引ノズル25Bから可撓性を持つ配管25Dを介して気体及び樹脂を吸引する吸引ポンプ25Fとを有する。ノズル25A,25Bは投影光学系PLとマーク検出装置26との間に配置されている。なお、ノズル25A,25BのY方向の位置を調整する駆動部(不図示)も設けられている。実際には、図4(B)に拡大して示すように、送風ノズル25Aは、−X方向及び+Y方向に圧縮気体を噴き出す2つの送風ノズル25AX,25AYよりなり、吸引ノズル25Bは、−X方向及び+Y方向に気体及び樹脂を吸引する2つの吸引ノズル25BX,25BYよりなる。なお、吸引装置24は、吸引ノズル25B、配管25D、及び吸引ポンプ25Fのみを備えてもよい。
【0023】
図2の主制御装置50が、コータ制御系60を介してレジストコータ18の供給部19F及び駆動部19Cの動作を制御するとともに、樹脂層形成装置22の供給部23Cの動作を制御する。さらに、主制御装置50は、吸引装置制御系59を介して、吸引装置24のコンプレッサ25E及び吸引ポンプ25Fの動作を制御する。
図5(B)に示すように、マーク検出装置26は、例えば可視域の検出光DLを発生する光源部27Aと、検出光DLをほぼ平行光束にするレンズ27B,27Cを含むコリメータ系と、検出光DLの一部を透過させるビームスプリッタ27Dと、ビームスプリッタ27Dを透過した検出光DLをシート基板Pの表面の2つの被検マークに照射する対物レンズ27Eとを有する。シート基板Pの表面で反射した検出光DLは、対物レンズ27Eを介してビームスプリッタ27Dに戻る。さらに、マーク検出装置26は、ビームスプリッタ27Dで反射された検出光DLを反射するミラー27Fと、反射された検出光DLを集光して2つの被検マークの像を形成する結像レンズ27Gと、その像を検出するCCD又はCMOS型の2次元の撮像素子27Hとを有する。撮像素子27Hの検出信号から図2の位置ずれ演算系58によって2つの被検マークの像の位置ずれ量が求められ、その位置ずれ量は主制御装置50に供給される。
【0024】
図1において、露光装置EXの走査露光型の露光本体部20は、例えばg線(波長436nm)、h線(波長405nm)及びi線(波長365nm)を含む波長域から選択されたほぼ紫外域の露光光ILを発生する露光光源30と、露光光源30からの露光光ILを折り曲げて伝える送光光学系31と、送光光学系31からの露光光ILでマスクMのパターン面の照明領域(本実施形態では4つの照明領域)を照明する照明装置32と、マスクMを吸着保持してほぼX方向に沿って往復移動するマスクステージMSTとを備えている。さらに、露光本体部20は、マスクMのパターンの一部の像をそれぞれシート基板P上に投影する投影光学系PLと、走査露光時にシート基板Pを吸着保持して+X方向に所定速度で移動する基板ステージPSTと、図2の露光制御系51とを備えている。なお、説明の便宜上、図1においてマスクM及びマスクステージMSTは2点鎖線で表されている。マスクステージMSTは、照明装置32と投影光学系PLとの間で、露光光を通す開口が形成されたマスクベース(不図示)のXY平面に平行な上面にエアーベアリングを介して移動可能に載置されている。基板ステージPSTは、ベース部材12に固定された平板状の基板ベースPBのXY平面に平行な上面にエアーベアリングを介して移動可能に載置されている。
【0025】
照明装置32は、送光光学系31から入射する露光光ILを4個の光束に分岐し、各光束をそれぞれオプティカルインテグレータ、リレー光学系、可変ブラインド(可変視野絞り)、及びコンデンサレンズを介してマスクMの対応するY方向に細長い点線で示す照明領域に照射する。露光制御系51が露光光源30の発光動作及び照明装置32内の可変ブラインドの開閉動作等を制御する。
【0026】
また、マスクMのパターン領域は、Y方向に4個の部分パターン領域M1,M2,M3,M4に分かれ、かつそのパターン領域の+X方向側の端部にアライメントマークとしての十字型のマスクマーク38A及び正方形の枠状のマスクマーク38Bが形成されている。マスクマーク38A,38Bは、遮光膜中に形成された開口パターンである。そのパターン領域の−X方向側の端部にも同様のマスクマーク(不図示)が形成されている。マスクマーク38A,38B等と部分パターン領域M1〜M4内のデバイス用パターンとの位置関係情報は主制御装置50内の記憶部に記憶されている。マスクMの部分パターン領域M1〜M4とマスクマーク38Aとの位置関係は、シート基板Pのパターン形成領域40A,40B等とこれらの近傍の基板マーク42Aとの位置関係と製造誤差を除いて同じである。また、部分パターン領域M1〜M4に交互にX方向にずれるように照明領域が設定されている。なお、マスクMのアライメント用のマークとしては、各部分パターン領域M1〜M4に対応してそれぞれ2個形成されているマーク(不図示)を使用してもよい。
【0027】
本実施形態の投影光学系PLは、マスクMの4つの照明領域に対応して4個のそれぞれ等倍で正立正像をシート基板Pの表面に形成する部分投影光学系PL1,PL2,PL3,PL4を有する。部分投影光学系PL1〜PL4は、それぞれマスクMの照明領域内のパターンの等倍の像をシート基板Pの表面の点線で示す露光領域(照明領域と光学的に共役な領域)に形成する。部分投影光学系PL1〜PL4はそれぞれ例えば反射屈折系である。
【0028】
マスクMを保持するマスクステージMSTの位置情報は、X軸の2軸の干渉計33XA,33XB及びY軸の干渉計33Yによって計測され、計測値が図2のステージ座標演算系52に供給される。同様に、基板ステージPSTの位置情報は、例えば3軸以上の干渉計よりなる基板側干渉計35(図2参照)によって計測され、計測値がステージ座標演算系52に供給される。ステージ座標演算系52は、上記の計測値からマスクステージMST及び基板ステージPSTのそれぞれのX方向、Y方向の位置、並びにZ軸に平行な軸の回り(以下、θz方向という)の回転角を求め、これらの位置情報を主制御装置50及び露光制御系51に供給する。露光制御系51は、これらの位置情報及び主制御装置50からの制御情報に基づいて、リニアモータ等の駆動機構53Mを介してマスクステージMSTの位置及び速度を制御し、リニアモータ等の駆動機構53Pを介して基板ステージPSTの位置及び速度を制御する。さらに、露光制御系51は、基板ステージPSTの上面の吸着パッド(不図示)等を含む吸着装置53Vを介して基板ステージPSTの上面に対するシート基板Pの吸着及び吸着の解除を制御する。
【0029】
なお、巻き取りローラ16及び供給ローラ14によってシート基板Pの移動速度を高精度に制御する場合には、基板ステージPSTは単にシート基板Pのガイド部材として使用してもよい。この場合、基板ステージPSTは基板ベースPBに固定され、基板ステージPSTの上面にはシート基板Pを非接触で移動させるための真空予圧型の複数のエアーパッドが設置される。
【0030】
また、基板ステージPSTの上部に、マスクMのマスクマーク38A,38B等の部分投影光学系PL1〜PL4のいずれかによる像の位置を計測する空間像計測系よりなるマスクアライメント系34A,34Bが設置されている。さらに、露光本体部20は、供給ローラ14とレジストコータ18のヘッド部19A,19Bとの間でシート基板Pの基板マーク42A,44A等の位置を検出する画像処理型の基板アライメント系36A,36Bを備えている。マスクアライメント系34A,34B及び基板アライメント系36A,36Bの検出信号は図2のアライメント演算系56に供給される。アライメント演算系56は、マスクマーク38A,38B等の像からマスクMのパターン領域(部分パターンM1〜M4)のX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角(マスクMの位置情報)を求め、基板マーク42A,44A等の位置からシート基板Pのパターン形成領域40A,40B等のX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角(シート基板Pの位置情報)を求める。
【0031】
また、予め例えばテストプリント等によって、マスクマーク38A,38B等の像をマスクアライメント系34A,34Bで検出している状態における、基板アライメント系36A,36Bの検出中心とマスクマーク38A,38B等の像の中心との位置関係(X方向、Y方向の間隔及びθz方向の回転角)であるベースラインが求められており、このベースラインがアライメント演算系56の記憶部に記憶されている。さらに、そのベースラインのオフセット情報が記憶装置57に記憶されており、アライメント演算系56は、必要に応じて記憶装置57に記憶されているオフセットでそのベースラインを補正する。アライメント演算系56は、上記のマスクMの位置情報及び補正後のベースラインで補正したシート基板Pの位置情報を主制御装置50に供給する。その位置情報は主制御装置50から露光制御系51にも供給される。主制御装置50の記憶部には、基板アライメント系36A,36Bの検出中心、レジストコータ18のヘッド部19A,19B、樹脂層形成装置22のノズルヘッド23A、及び吸引装置24のノズル25A,25Bの相対的な位置関係の情報も記憶されている。
【0032】
走査露光時には、上記の位置情報に基づいて露光制御系51は、マスクMの部分パターン領域M1〜M4の像とシート基板Pのパターン形成領域40A,40B等とが重なり合う状態で、マスクステージMST及び基板ステージPSTを同期して+X方向に同じ速度で駆動する。そして、照明装置32からの露光光ILが照射される照明領域に対するマスクMの+X方向への走査と、露光領域に対するシート基板Pの+X方向への走査とを同期して行うことによって、シート基板Pのパターン形成領域40A,40B等及びこれらに隣接する基板マーク42を含む領域にそれぞれ部分パターン領域M1〜M4のパターンの像及びマスクマーク38A,38Bの像が露光される。
【0033】
以下、本実施形態のインライン露光検査システム10の露光及び検査動作の一例につき図6のフローチャートを参照して説明する。この動作は主制御装置50によって制御される。以下では、説明の便宜上、シート基板Pのパターン形成領域40B以降のパターン形成領域に露光する場合につき説明する。
まず、図6のステップ101において、図1のマスクステージMST上にマスクMがロードされ、マスクアライメント系34A,34Bを介してマスクMの位置情報の計測が行われ、計測結果が主制御装置50から露光制御系51に供給される。この計測結果に応じて、例えばマスクMのθz方向の回転角の補正等(アライメント)が行われる。次のステップ102において、上記のように基板アライメント系36A,36Bのベースラインがアライメント演算系56に設定される。この段階では、主制御装置50は記憶装置57に記憶されるベースラインのオフセットを0にする。次のステップ103において、1ロールのシート基板Pを供給ローラ14に取り付け、シート基板Pの先端部をガイドローラ13A,13Bを介して巻き取りローラ16に架け渡し、巻き取りローラ16によってシート基板Pの+X方向への卷き取りを開始する。
【0034】
この後、露光本体部20の基板アライメント系36A,36Bは、所定のサンプリングレートで継続してシート基板Pの基板マーク42A,44A等の検出動作を繰り返す。そして、ステップ104において、シート基板Pの例えばパターン形成領域40Bの+X方向の基板マーク42A,44Aが検出された場合、ステップ105に移行する。そして、アライメント演算系56は、基板マーク42A,44Aの検出された位置を、記憶装置57から読み出したオフセットを用いて補正した後の上記のベースラインで補正し、マスクMのパターン像を基準としたパターン形成領域40BのX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角(シート基板Pの位置情報)を求め、この位置情報を主制御装置50に送る。この位置情報は露光制御系51にも供給される。なお、この段階では、記憶装置57から読み出されるオフセットは0であり、実質的にベースラインのオフセットの補正は行われていない。
【0035】
次のステップ106において、レジストコータ18のヘッド部19A,19Bを図3(A)の位置A31からシート基板Pに対して相対的に−X方向に移動して、シート基板Pのレジスト塗布領域41BにフォトレジストPRを所定厚さで塗布する。図3(A)の平面図である図3(B)に示すように、レジスト塗布領域41Bは、パターン形成領域40B及びマーク形成領域のうちの基板マーク44A,45Aを含む領域を覆っている。基板マーク42A及びこの近傍のマーク形成領域にはフォトレジストPRは塗布されない。同様に、パターン形成領域40A,40Cを覆うレジスト塗布領域41A,41CにもフォトレジストPRが塗布される。
【0036】
次のステップ107において、樹脂層形成装置22のノズルヘッド23Aからパターン形成領域40Bに近接している基板マーク42A中に、図3(C)に示すように紫外線硬化樹脂46を流し込む(塗布する)。なお、本実施形態では、図3(D)及び図3(D)のEE線に沿う断面図である図3(E)に示すように、紫外線硬化樹脂46は凸の枠状の基板マーク42A内にのみ塗布されている。
【0037】
次のステップ108において、露光装置EXの露光本体部20は、図3(B)のシート基板Pのパターン形成領域40B及び基板マーク42A〜45Aを含むマーク形成領域(レジスト塗布領域41B及び基板マーク42Aを含む領域)に、マスクMの部分パターン領域M1〜M4のパターン像及びマスクマーク38A,38Bの像を走査露光する。この際に、マスクステージMST及び基板ステージPSTは同期して+X方向に移動する。これによって、図4(A)に示すように、レジスト塗布領域41B内の基板マーク44Aを含むマーク形成領域には、マスクマーク38Bの像38BPが露光され、基板マーク42A内の紫外線硬化樹脂46中にマスクマーク38Aの像38APが露光される。紫外線硬化樹脂46の像38APの部分のみが硬化する。
【0038】
走査露光終了後、マスクステージMSTは高速で−X方向の次の走査開始位置に戻り、基板ステージPSTは、シート基板Pの吸着を解除した後、高速で−X方向の次の走査開始位置に戻る。なお、巻き取りローラ16及び供給ローラ14によってシート基板Pの走査速度も制御する場合には、基板ステージPSTは静止したままでよい。
次のステップ109において、巻き取りローラ16によってシート基板Pの基板マーク42Aを吸引装置24のノズル25A,25Bの下方に移動する。その後、図4(B)に拡大して示すように、基板マーク42A内の紫外線硬化樹脂46に送風ノズル25AX,25BYから気体を噴き出し、吸引ノズル25BX,25BYで吸引することによって、像38AP以外の硬化されていない部分の紫外線硬化樹脂46を吸引装置24で吸引して除去する。これによって、図4(C)に示すように、基板マーク42A内に像38APに対応する部分が十字型の凸の硬化マーク46Aとして顕在化される。
【0039】
次のステップ110において、巻き取りローラ16によってシート基板Pの基板マーク42Aの部分をマーク検出装置26の視野内に移動する。そして、マーク検出装置26を用いて、図5(A)及び図5(B)に示すように、シート基板Pの基板マーク42A及び硬化マーク46Aの像を検出する。この検出結果から位置ずれ量演算系58は、基板マーク42Aに対する硬化マーク46AのX方向、Y方向の位置ずれ量ΔX,ΔYを求める。この際に、基板マーク42A及び硬化マーク46Aはともに凸のマークであり、少なくともそれらのエッジ部は高いコントラスト(高いSN比)の画像となるため、その位置ずれ量ΔX,ΔYを高精度に検出できる。主制御装置50は、この位置ずれ量ΔX,ΔYを用いて記憶装置57内の上記のベースラインのオフセットを補正する。この場合には、例えば(−ΔX,−ΔY)が補正後のX方向、Y方向のオフセットとなる。このオフセットは、マスクMのパターン像とシート基板Pのパターン形成領域40Bとの重ね合わせ誤差でもある。
【0040】
なお、さらに、例えば図3(B)のパターン形成領域40Bの−X方向側の基板マーク43A内にも紫外線硬化樹脂の硬化マークを形成し、これらのマーク間の位置ずれ量を計測し、パターン形成領域40BとマスクMのパターン像とのX方向、Y方向の位置ずれ量、及びθz方向の回転角を求めてもよい。この場合には、そのベースラインのオフセットのθz方向の回転角も補正できる。
【0041】
次のステップ111において、シート基板Pの全部のパターン形成領域40A,40B等に露光が終了したかどうかが判定される。未露光のパターン形成領域40A,40B等がある場合には、動作はステップ104に戻り、シート基板Pの次のパターン形成領域40C等に対してステップ104〜110の露光及び検査動作が繰り返される。なお、実際には、例えばステップ104〜106の動作と、ステップ107〜110の動作とはシート基板Pの隣接するパターン形成領域40B,40C等に対して並行して実行される。そして、次に基板アライメント系36A,36Bによって例えばシート基板Pのパターン形成領域40Dの基板マーク42A,44Aの位置を検出した場合、ステップ105では、先のステップ110で補正された記憶装置57のオフセットを用いてベースラインが補正される。従って、シート基板Pの一連のパターン形成領域40A,40B等に対する露光の途中で、マスクMのパターン像と例えばパターン形成領域40Bとの重ね合わせ誤差(オフセット)が発生しても、次のステップ105でそのオフセットを補正することによって、シート基板Pの次のパターン形成領域40D等とマスクMのパターンの像との重ね合わせ誤差を低減させることができる。
【0042】
その後、ステップ111でシート基板Pの全部のパターン形成領域に対する露光が終了したときに、動作はステップ112に移行し、巻き取りローラ16から1ロール分のシート基板Pがアンロードされ、アンロードされたシート基板Pは不図示の現像装置で現像される。
図7(A)は、図4(C)のシート基板Pの基板マーク42A及び硬化マーク46Aと、レジスト塗布領域41Bに形成されたマスクマークの像38BPとを示す拡大図である。また、図7(A)のBB線に沿う断面図である図7(B)において、基板マーク42Aはシート基板Pの第1層に形成され、基板マーク42Aは第2層の薄膜47Aで覆われ、薄膜47Aの表面のフォトレジストPRの層に像38BPが形成されている。この後、フォトレジストの現像及びパターン形成工程を経ることによって、図7(C)に示すように、基板マーク42Aに隣接して基板マーク42Bが形成される。図7(C)のDD線に沿う断面図である図7(D)に示すように、基板マーク42Bは第2層の薄膜47Aに形成され、基板マーク42Bは第3層の薄膜47Bで覆われている。なお、第2層のフォトレジストの現像工程で、基板マーク42A内の硬化マーク46Aは除去されているが、基板マーク42Aは第2層及び第3層の薄膜47A,47Bで覆われているため、位置検出精度は低下する恐れがある。
【0043】
そこで、シート基板Pの第3層への露光工程において、図7(E)及び図7(E)のFF線に沿う断面図である図7(F)に示すように、基板マーク42B内に紫外線硬化樹脂46が塗布され、紫外線硬化樹脂46内に第3層用のマスクのマスクマークの像38CPが露光され、基板マーク42Bに隣接して塗布されたフォトレジストPRに別のマスクマークの像38DPが露光される。さらに、その露光工程中で像38CP以外の部分の紫外線硬化樹脂46を除去することによって、図7(G)に示すように、基板マーク42B内に硬化マーク46Bが形成される。従って、基板マーク42Bと硬化マーク46Bとの位置ずれ量をマーク検出装置26で計測することによって、露光工程の途中で重ね合わせ誤差を求めることができる。
【0044】
さらに、フォトレジストPRを現像し、パターン形成工程を経ることによって、像38DPの部分が第3層の基板マーク42Cとなるため、この基板マーク42Cを用いて基板マーク42Aを用いる場合と同様に露光工程中に重ね合わせ誤差を求めることができる。
本実施形態の効果等は以下の通りである。
(1)本実施形態の像位置検査装置21は、露光光ILの照射によってシート基板Pに形成されるマスクMのパターン像の位置情報を求める位置検査装置であって、シート基板Pの基板マーク42A内(所定領域)に露光光ILによって硬化する紫外線硬化樹脂46の層を形成する樹脂層形成装置22と、その樹脂46の層に露光光ILの照射によってそのパターン像の内のマスクマーク38Aの像38AP(部分パターン)が形成された後、シート基板Pの基板マーク42A以外の領域に実質的に影響を与えることなく、紫外線硬化樹脂46の層に形成された像38APを硬化マーク46Aとして顕在化させる吸引装置24(顕在化装置)と、基板マーク42Aと硬化マーク46Aとの位置ずれ量を計測するマーク検出装置26(パターン計測装置)と、を備えている。
【0045】
像位置検査装置21を用いて、紫外線硬化樹脂46の層に形成されてから顕在化された硬化マーク46Aを検出することによって、露光光ILによってシート基板PにマスクMのパターン像を形成する場合に、露光工程中に硬化マーク46Aの位置に基づいてそのパターン像の位置を高精度に検出できる。
また、本実施形態の露光装置EX(露光本体部20及び像位置検査装置21)を用いる露光及び検査動作は、シート基板Pに露光光ILを照射してシート基板Pに形成されるマスクMのパターン像の位置情報を求める位置検査方法であって、シート基板Pの基板マーク42A内に紫外線硬化樹脂46の層を形成するステップ107と、紫外線硬化樹脂46の層に露光光ILを照射してそのパターン像のうちのマスクマーク38Aの像38APを形成するステップ108と、基板マーク42A以外の領域に実質的に影響を与えることなく、紫外線硬化樹脂46に形成された像38APを顕在化させて硬化マーク46Aとするステップ109と、基板マーク42Aと像38APとの位置ずれ量を計測するステップ110とを含んでいる。
【0046】
本実施態様によれば、紫外線硬化樹脂46に形成されてから顕在化された硬化マーク46Aを検出しているため、露光工程中にマスクMのパターン像の位置を高精度に検出できる。
(2)また、本実施形態では、像38APを顕在化させるために、紫外線硬化樹脂46を用いて、露光されなかった部分(未硬化の部分)の樹脂を除去している。紫外線硬化樹脂は取り扱いが容易であるため、容易に像38APを顕在化できる。
【0047】
(3)なお、本実施形態では、樹脂層形成装置22及び吸引装置24によってマスクマーク38Aの像38APを顕在化させている。しかしながら、マスクMの部分パターン領域M1〜M4内のパターンの一部の回路パターン(部分パターン)の像を顕在化させて、その回路パターンの像に対応する硬化マークの位置をマーク検出装置26で検出してもよい。
【0048】
(4)また、本実施形態では、顕在化された像38AP(硬化マーク46A)とシート基板Pの基板マーク42A(下地マーク)との位置ずれ量を計測している。従って、露光工程中に、マスクMのパターン像とシート基板Pのパターン形成領域40A,40B等との重ね合わせ誤差を高精度に直接計測できる。
なお、シート基板Pの基板マーク42Aを基準とするのではなく、例えばマーク検出装置26の指標マーク等を基準として顕在化された像38AP(硬化マーク46A)の位置を計測してもよい。
【0049】
(5)また、基板マーク42Aは凸の枠状のマークであり、像38APを基板マーク42A内(基板マーク42Aの近傍)に形成している。この場合、基板マーク42Aの内部にのみ容易に紫外線硬化樹脂46を塗布できるため、シート基板Pの他の領域に紫外線硬化樹脂46が付着しない。
なお、像38APは基板マーク42Aに対してX方向又はY方向に横ずれした近傍の位置に形成してもよい。
【0050】
(6)本実施形態の露光装置EXは、シート基板Pに露光光ILを照射して、シート基板PにマスクMのパターン像を形成する露光装置であって、像位置検査装置21と、シート基板Pの基板マーク42A及びパターン形成領域40A,40B等に露光光ILを照射してマスクMのパターン像を形成する投影光学系PL(露光光学系)と、を備えている。
また、露光装置EXの露光方法は、シート基板Pに露光光ILを照射して、パターン形成領域40B等及びこれに近接したマーク形成領域に形成されているパターン(第1のパターン)と、マスクMのパターン像(第2のパターン)を含む複数のパターンをシート基板Pに順次重ね合わせて形成する露光方法において、シート基板Pのパターン形成領域40Bに接するマーク形成領域に、第1のパターンの一部である基板マーク42Aを形成するステップと、シート基板Pの基板マーク42A内にマスクMのマスクマーク38Aの像38AP(第2のパターン)を形成するステップ108と、本実施形態のステップ107〜110までの露光及び検査動作とを用いて、基板マーク42Aに対する像38AP(硬化マーク46A)の位置情報を計測している。
【0051】
従って、露光工程中にフォトレジストの現像を行うことなく、マスクMのパターン像とシート基板Pのパターン形成領域40Bとの重ね合わせ誤差を計測できる。
(7)また、本実施形態のインライン露光検査システム10は、像位置検査装置21とシート基板Pを+X方向に移動する供給ローラ14及び巻き取りローラ16と、シート基板Pの基板マーク42A以外のパターン形成領域40A,40B等及びマーク形成領域に露光光ILで感光するフォトレジスト(感光層)を形成するレジストコータ18(感光層形成装置)と、シート基板Pに露光光ILを照射してマスクMのパターンの像を形成する投影光学系PLと、マーク検出装置26によって計測される基板マーク42Aに対する像38AP(硬化マーク46A)の位置情報に応じた処理を行う主制御装置50とを備えている。
【0052】
従って、例えばロールに巻かれる長いシート基板Pを移動しながら、シート基板Pの一連のパターン形成領域40A等及びマーク形成領域に対するフォトレジストの塗布、マスクMのパターン像の露光、及びシート基板Pのパターン形成領域40AとマスクMのパターン像の重ね合わせ誤差の検査を効率的に行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、図8〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。以下、図8、図9(A)、図9(C)、及び図10(A)において、図1、図3(D)、図4(A)、及び図4(B)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
図8は、本実施形態のインライン露光検査システム10Aの機構部を示す斜視図である。図8において、インライン露光検査システム10Aは、供給ローラ14と、巻き取りローラ16と、レジストコータ18と、露光装置EXAとを備えている。露光装置EXAは、露光本体部20と、像位置検査装置21Aとを備えている。さらに、像位置検査装置21Aは、露光光ILの照射によって親水性が変化する樹脂であるポリイミド樹脂をシート基板Pの基板マーク42A内に塗布する樹脂層形成装置70と、ポリイミド樹脂中の露光光ILの照射によって親水性が変化した部分を所定のインク材料で着色する着色装置74と、マーク検出装置26とを備えている。
【0054】
樹脂層形成装置70は、塗布装置71と、塗布したポリイミド樹脂を焼き固めるベーク処理装置73とを有する。塗布装置71は、ポリイミド樹脂を滴下するノズルヘッド72Aと、可撓性を持つ配管72Bを介してノズルヘッド72Aにポリイミド樹脂を供給する供給部72Cとを有する。ノズルヘッド72Aは基板アライメント系36A,36Bの+X方向側の近傍に配置され、ノズルヘッド72Aに対して+X方向側にベーク処理装置73が配置されている。ベーク処理装置73と投影光学系PLとの間にレジストコータ18のヘッド部19A,19BがX方向に移動可能に配置されている。
【0055】
着色装置74は、インク材料としての銀(Ag)のナノ粒子を滴下するノズルヘッド75Aと、可撓性を持つ配管を介してノズルヘッド75Aにインク材料を供給する供給部75Bとを有する。ノズルヘッド72A及び75AにもY方向の位置を調整する駆動部(不図示)が設けられている。また、インライン露光検査システム10Aの制御系としては、図2の制御系において、吸引装置制御系59の代わりに着色装置74の供給部75Bを制御する制御系を設け、コータ制御系60が樹脂層形成装置70の供給部72C及びベーク処理装置73の制御を行うようにした制御系が使用できる。この外の構成は図1の実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態のインライン露光検査システム10Aにおいても、ほぼ図6のフローチャートど同様の動作で露光及びマスクMのパターン像の位置の検査が行われる。ただし、本実施形態では、図6のステップ107の代わりにポリイミド樹脂の供給が行われる。ただし、そのポリイミド樹脂の供給はステップ106の前に実行される。即ち、樹脂層形成装置70の塗布装置71によって、図9(A)のシート基板Pの基板マーク42A内にポリイミド樹脂76が供給される。基板マーク42Aはほぼ500μm角程度の正方形の凸部の枠である。図9(A)のBB線に沿う断面図である図9(B)に示すように、基板マーク42Aの凸部の高さ(深さ)は10μm程度である。その後、基板マーク42A内のポリイミド樹脂76は、ベーク処理装置73によって焼き固められる。
【0057】
その後、図6のステップ106のフォトレジストPRの塗布が行われる。また、次のステップ108によって、図9(B)に示すように、シート基板Pに露光光ILが照射され、図9(C)に示すように、基板マーク42A内の疎水性のポリイミド樹脂76中にマスクマークの像38APが露光される。さらに、その+Y方向側のレジスト塗布領域41BのフォトレジストPRにマスクマークの像38BPが露光される。図9(C)のDD線に沿う断面図である図9(D)に示すように、ポリイミド樹脂76のうちで像38APの部分が親水性となり、それ以外の部分は疎水性のままである。
【0058】
その後、図6のステップ109に対応する工程で、図8の着色装置74を用いて、図10(A)に示すように、基板マーク42A内のポリイミド樹脂76に水銀のナノ粒子よりなるインク材料IKを滴下する。この結果、図10(B)に示すように、ポリイミド樹脂76内の像38APの部分(親水性の部分76A)にインク材料IKが付着し、像38APは顕在化された着色マークIKAとなる。従って、次の図6のステップ110に対応する工程では、図8のマーク検出装置26を用いて、図10(C)に示すように、基板マーク42Aに対する着色マークIKA(像38AP)の位置ずれ量ΔX,ΔYを高精度に計測できる。従って、第1の実施形態と同様に、その位置ずれ量に基づいて基板アライメント系36A,36Bのベースラインのオフセットを補正することによって、マスクMのパターン像とシート基板Pの次のパターン形成領域40D等との重ね合わせ誤差を低減できる。
【0059】
なお、この第2の実施形態では、露光光ILの照射によって親水性が変化する樹脂としてポリイミド樹脂を用いているが、その他の樹脂も使用可能である。また、インク材料IKとしては、水銀のナノ粒子の外の親水性又は疎水性の材料を使用可能である。インク材料IKが疎水性の場合には、像38AP以外の部分にインク材料が付着するため、同様に高精度に検出が可能である。
【0060】
また、この実施形態においても、ポリイミド樹脂76は基板マーク42AからX方向、Y方向に横ずれした領域に付着させ、この領域に像38APを露光してもよい。
なお、上記の各実施形態では、以下のような変形が可能である。
(1)上記の各実施形態では、マーク検出装置26の計測結果を用いて基板アライメント系36A,36Bのベースラインのオフセットを補正している。しかしながら、ベースラインのオフセットを補正することなく、例えばマーク検出装置26の計測結果から重ね合わせ誤差が許容範囲を超えた場合に、アラームを発生し、シート基板Pの移動を停止して露光工程を中断してもよい。この場合には、例えばベースラインを再計測した後、その露光工程を中断した位置からシート基板Pの露光を再開することによって、デバイスの歩留まりの低下を防止できる。
【0061】
(2)上記の各実施形態では、露光光ILの照射によって改質可能な樹脂として、紫外線硬化樹脂又は親水性が変化する樹脂を使用している。その他の物理特性又は化学特性が変化する樹脂をその改質可能な樹脂として使用可能である。
(3)上記の実施形態では、シート基板Pを+X方向に間欠的又は連続的に移動しているが、必要に応じて、シート基板Pを−X方向に巻き戻す動作が含まれていてもよい。
【0062】
(4)上記の各実施形態では、投影光学系PLは等倍の部分投影光学系PL1〜PL4を有する。しかしながら、投影光学系PLとしては、任意の個数の部分投影光学系を有する投影光学系の外に、単独の投影光学系を使用してもよい。さらに、投影光学系PL(又はこれを構成する部分投影光学系)の倍率は等倍以外の縮小又は拡大でもよい。さらに、投影光学系PLは、X方向及び/又はY方向に倒立像を形成してもよい。
【0063】
(5)露光光ILとしては、紫外LEDからの光、KrFエキシマレーザ(248nm)やArFエキシマレーザ(193nm)からのレーザ光、又は固体レーザ(半導体レーザ等)の高調波、例えばYAGレーザの3倍高調波(波長355nm)等を用いる場合であっても本発明を適用することが可能である。
(6)露光本体部20としては、走査露光型の露光本体部の外に、一括露光型の露光本体部、又は電子線描画方式若しくはレーザビーム描画方式の描画装置等を使用することも可能である。
【0064】
(7)例えば図1の実施形態において、マーク検出装置26と巻き取りローラ16との間隔を広げ、この間隔にフォトレジストの現像装置を設置してもよい。
(8)インライン露光検査システム10,10Aにおいて、レジストコータ18を省略し、インライン露光検査システム10,10AではマスクMのパターンの像の露光、及びその像位置の検査のみを行うようにしてもよい。
【0065】
(9)上述の実施形態では、露光対象は可撓性を持つ長いシート基板Pであるが、露光対象の基板としては、液晶表示パネル等を製造するための比較的剛性の高い矩形の平板状のガラスプレート、薄膜磁気ヘッド製造用のセラミックス基板、又は半導体素子製造用の円形の半導体ウエハ等も使用できる。
また、上記の実施形態の露光装置EX,EXA若しくは露光方法(又はインライン露光検査システム10,10A)を用いて、シート基板P上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての多数の液晶表示パネル(液晶表示素子)を得ることもできる。以下、図11のフローチャートを参照して、この製造方法の一例につき説明する。
【0066】
図11のステップS401(パターン形成工程)では、先ず、露光対象のシート状のプレート上にフォトレジストを塗布して感光基板(シート基板P)を準備する塗布工程、上記の露光装置を用いて液晶表示パネル用のマスクのパターンをその感光基板上の多数のパターン形成領域に転写露光する露光工程、及びその感光基板を現像する現像工程が実行される。この塗布工程、露光工程、及び現像工程を含むリソグラフィ工程によって、そのプレート上に所定のレジストパターンが形成される。このリソグラフィ工程に続いて、そのレジストパターンをマスクとしたエッチング工程、及びレジスト剥離工程等を経て、そのプレート上に多数の電極等を含む所定パターンが形成される。そのリソグラフィ工程等は、そのプレート上のレイヤ数に応じて複数回実行される。
【0067】
その次のステップS402(カラーフィルタ形成工程)では、赤R、緑G、青Bに対応した3つの微細なフィルタの組をマトリックス状に多数配列するか、又は赤R、緑G、青Bの3本のストライプ状の複数のフィルタの組を水平走査線方向に配列することによってカラーフィルタを形成する。その次のステップS403(セル組立工程)では、例えばステップS401にて得られた所定パターンを有するプレートとステップS402にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0068】
その後のステップS404(モジュール組立工程)では、そのようにして組み立てられた多数の液晶パネル(液晶セル)に表示動作を行わせるための電気回路、及びバックライト等の部品を取り付けて、液晶表示パネルとして完成させる。
上述の液晶表示パネルの製造方法によれば、上記の実施形態の露光方法又は露光装置を用いて感光基板(シート基板P)にマスクのパターンの像(潜像パターン)を形成する工程(ステップS401の一部)と、この工程によりその潜像パターンが形成された感光基板をその潜像パターンに基づいて加工(現像、エッチング等)する工程(ステップS401の他の部分)とを含んでいる。
【0069】
その露光方法又は露光装置によれば、シート基板Pの全部のパターン形成領域における重ね合わせ精度を全体として向上できるため、デバイスを高精度に高い歩留まりで製造できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0070】
10,10A…インライン露光検査システム、EX,EXA…露光装置、M…マスク、PL…投影光学系、P…シート基板、14…供給ローラ、16…巻き取りローラ、18…レジストコータ、20…露光本体部、21,21A…像位置検査装置、22,70…樹脂層形成装置、24…吸引装置、26…マーク検出装置、36A,36B…基板アライメント系、38A,38B…マスクマーク、42A,42B…基板マーク、50…主制御装置、74…着色装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光光の照射によって基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査技術、この位置検査技術を用いる露光技術及びインライン検査技術に関する。さらに本発明は、その露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置として液晶表示パネルが多用されている。液晶表示パネルは通常、フォトリソグラフィ工程を用いてガラスプレートに透明薄膜電極をパターニングすることにより製造されている。そのフォトリソグラフィ工程で、マスクパターンの像をガラスプレートに露光するために露光装置が使用されている。
最近では、ガラスプレートに替わり、ロール状に巻き取られる長いシート基板が使用されることがある。このような長いシート基板用の従来の露光装置で、シート基板の2層目以降に重ね合わせて露光する場合、予めマスクのアライメントマークの像の位置を露光テーブル側で計測していた。そして、この計測結果に基づいて、マスクのパターンの像とシート基板の一つのパターン形成領域との位置合わせを行って、マスク及び投影光学系を介して当該パターン形成領域を一括露光(静止露光)していた。その後、露光テーブルでそのシート基板を吸着して移動する動作と、シート基板の次のパターン形成領域に対する上記の一括露光動作とを繰り返して、そのシート基板を供給ローラから巻き取りローラ側に間欠的に移動していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−114385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の露光装置を用いてシート基板に重ね合わせて露光する場合、露光中にマスクのパターンの像とシート基板のパターン形成領域との相対位置がずれると、それ以降にシート基板に露光されるマスクのパターンの像と各パターン形成領域との相対位置もずれるようになる。即ち、ロール単位で露光が行われるため、途中で重ね合わせ精度が低下すると、それ以降は重ね合わせ精度が低下した状態が継続するため、最終的に製造されるデバイスの歩留まりが低下する。
【0005】
また、シート基板の感光層に形成されるマスクのアライメントマークの像を潜像の段階で検出することも可能である。しかしながら、現状では感光層に形成された潜像を検出する場合には、検出信号のコントラストが低いため、計測精度を高めることが困難である。
本発明の態様は、このような事情に鑑み、露光光によって基板にパターンを形成する場合に、露光工程中にそのパターンの位置を高精度に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、基板に露光光を照射して該基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査方法であって、その基板の所定領域にその露光光によって改質可能な樹脂層を形成することと、その樹脂層にその露光光を照射してそのパターンのうちの部分パターンを形成することと、その基板のその所定領域以外の領域に実質的に影響を与えることなく、その樹脂層に形成されたその部分パターンを顕在化させることと、顕在化されたその部分パターンを検出して、該部分パターンの位置情報を計測することと、を含む位置検査方法が提供される。
【0007】
また、本発明の第2の態様によれば、基板に露光光を照射して、第1及び第2パターンを含む複数のパターンをその基板に順次重ね合わせて形成する露光方法において、その基板の第1領域にその第1パターンの第1部分パターンを形成することと、その基板のその第1領域に対応する第2領域にその第2パターンの第2部分パターンを形成することと、本発明の第1の態様による位置検査方法を用いて、その第1部分パターンに対するその第2部分パターンの位置情報を計測することと、を含む露光方法が提供される。
【0008】
また、本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様による露光方法を用いて、基板にパターンを形成することと、そのパターンが形成されたその基板をそのパターンに基づいて加工することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
また、本発明の第4の態様によれば、露光光の照射によって基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査装置であって、その基板の所定領域にその露光光によって改質可能な樹脂層を形成する樹脂層形成装置と、その樹脂層にその露光光の照射によってそのパターンのうちの少なくとも部分パターンが形成された後、その基板のその所定領域以外の領域に実質的に影響を与えることなく、その樹脂層に形成されたその部分パターンを顕在化させる顕在化装置と、顕在化されたその部分パターンを検出して、該部分パターンの位置情報を計測するパターン計測装置と、を備える位置検査装置が提供される。
【0009】
また、本発明の第5の態様によれば、基板に露光光を照射して、該基板にパターンを形成する露光装置であって、本発明の第4の態様による位置検査装置と、その基板のその所定領域を含む領域にその露光光を照射してそのパターンを形成する露光光学系と、を備える露光装置が提供される。
また、本発明の第6の態様によれば、本発明の第5の態様による露光装置を用いて、基板にパターンを形成することと、そのパターンが形成されたその基板をそのパターンに基づいて加工することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第7の態様によれば、本発明の第4の態様による位置検査装置と、その基板を所定方向に移動する搬送機構と、その基板のその所定領域以外の領域にその露光光で感光する感光層を形成する感光層形成装置と、その基板のその所定領域を含む領域にその露光光を照射してそのパターンを形成する露光光学系と、その位置検査装置によって計測されるその位置情報に応じた処理を行う制御装置と、を備えるインライン検査システムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、基板の樹脂層に形成されてから顕在化された部分パターンを検出しているため、露光光によって基板にパターンを形成する場合に、露光工程中にそのパターンの部分パターンの位置に基づいてそのパターンの位置を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係るインライン露光検査システム10の機構部を示す斜視図である。
【図2】図1のインライン露光検査システムの制御系を示すブロック図である。
【図3】(A)はシート基板にフォトレジストを塗布している状態を示す正面図、(B)は図3(A)のシート基板を示す平面図、(C)はシート基板の基板マーク内に紫外線硬化樹脂を塗布している状態を示す正面図、(D)は図3(C)中の基板マークを示す拡大平面図、(E)は図3(D)のEE線に沿う断面図である。
【図4】(A)はマスクマークの像が形成されたシート基板の一部を示す拡大平面図、(B)は図4(A)の基板マーク内から未硬化の樹脂を吸引する状態を示す拡大斜視図、(C)は未硬化の樹脂を吸引した状態を示す拡大斜視図である。
【図5】(A)は基板マーク及び硬化マークを示す拡大平面図、(B)はマーク検出装置の構成を示す図である。
【図6】第1の実施形態の露光及び検査動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】(A)はシート基板の第2層に形成された硬化マーク及びマスクマークの像を示す拡大平面図、(B)は図7(A)のBB線に沿う断面図、(C)はシート基板の第2層に形成された基板マークを示す拡大平面図、(D)は図7(C)のDD線に沿う断面図、(E)はシート基板の第3層に形成されたマスクマークの像を示す拡大平面図、(F)は図7(E)のFF線に沿う断面図、(G)は図7(F)の状態から未硬化の樹脂を吸引した状態を示す断面図である。
【図8】第2の実施形態に係るインライン露光検査システム10Aの機構部を示す斜視図である。
【図9】(A)はシート基板の基板マーク内にポリイミド樹脂を塗布した状態を示す拡大平面図、(B)は図9(A)のBB線に沿う断面図、(C)は図9(A)のポリイミド樹脂にマスクマークの像を露光した状態を示す拡大平面図、(D)は図7(C)のDD線に沿う断面図である。
【図10】(A)は図9(D)のポリイミド樹脂を着色する状態を示す拡大断面図、(B)は図10(A)のマスクマークの像が着色された状態を示す拡大断面図、(C)は図10(B)中の基板マーク及び着色マークを示す拡大平面図である。
【図11】液晶表示パネルの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態につき図1〜図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態のインライン露光検査システム10の機構部の概略構成を示す斜視図、図2は、インライン露光検査システム10の制御系を示すブロック図である。インライン露光検査システム10は、ロール状に巻いて保管可能な長いシート状の基板であるシート基板Pを移動させながら、シート基板Pの表面に順次フォトレジストの塗布、マスクのパターンの像の露光、及び露光したパターンの像位置の検査を行うものである。シート基板Pには、それぞれ表示素子(例えば液晶表示パネル)を製造するための多数のパターンが長手方向に沿って形成される。
【0014】
シート基板Pは、一例として可視光を透過する耐熱性の合成樹脂フィルム、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は酢酸ビニル樹脂等のフィルムから形成されている。基板がシート状とは、その基板の大きさ(面積)に比してその厚さが十分に小さく(薄く)、その基板が可撓性を有していることを意味する。
【0015】
以下の説明においては、図1中に設定したXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系は、X軸及びY軸がある水平面上に設定され、Z軸が鉛直方向に設定される。本実施形態では、シート基板Pはその表面がXY平面に平行な状態で、X軸に平行な方向(X方向)に、かつ+X方向に向けて間欠的又は連続的に搬送(移動)される。
【0016】
本実施形態のシート基板Pの表面には、長手方向(X方向)に沿って所定間隔でそれぞれ表示素子が製造される一連の矩形のパターン形成領域40A,40B,40C,…が配列され、パターン形成領域40A,40B等にはこれまでのデバイス製造工程で第1層の回路パターン(不図示)が形成されている。さらに、パターン形成領域40A,40B等に+X方向に接するマーク形成領域に、アライメントマークとしてのほぼ正方形の枠状の凸部からなる基板マーク42A,44Aが形成されている。なお、シート基板Pの一部の平面図である図3(B)に示すように、パターン形成領域40B等の−X方向に接するマーク形成領域にも、基板マーク42A,44Aと同じ形状の基板マーク43A,45Aが形成されている。
【0017】
また、図3(D)の拡大平面図、及び図3(E)の拡大断面図で示すように、一例として基板マーク42Aは500μm角程度の正方形の枠状の凸部であり、その段差(段差)は10μm程度である。なお、基板マーク42Aは、平坦な表面に深さが10μm程度の凹部(窪み)として形成してもよい。さらに、パターン形成領域40B等及び基板マーク42A〜45Aを含むマーク形成領域には、第2層の回路パターン形成用の薄膜が形成されている。以下では、一方の基板マーク42A,44Aを参照して説明するが、他方の基板マーク43A,45Aについても同様に処理が行われる。
【0018】
図1において、インライン露光検査システム10は、防振機構(不図示)を介して床面に載置されたX方向に細長い平板状のベース部材12と、ベース部材12の−X方向の端部上面に固定され、ロール状に巻かれたシート基板Pを巻き出す供給ローラ14と、ベース部材12の+X方向の端部上面に固定され、シート基板Pを巻き取る巻き取りローラ16と、供給ローラ14の直後及び巻き取りローラ16の直前にそれぞれ配置され、シート基板Pの表面がXY平面に平行でZ位置が一定になるようにシート基板Pを案内するガイドローラ13A,13Bとを備えている。供給ローラ14は、シート基板Pを巻き出すローラ15Aと、ローラ15Aを回転する駆動モータ15Bと、ローラ15A及び駆動モータ15Bを支持する支持部材15C,15Dとを有する。巻き取りローラ16は、シート基板Pを巻き取るローラ17Aと、ローラ17Aを回転する駆動モータ17Bと、ローラ17A及び駆動モータ17Bを支持する支持部材17C,17Dとを有する。
【0019】
ガイドローラ13A,13Bは、ベース部材12の上面にそれぞれ支持部材(不図示)及び回転角を検出するロータリーエンコーダ13AR,13BRを介して、シート基板Pの移動に追従して回転するように支持されている。ガイドローラ13A,13Bの回転角からシート基板PのX方向の相対位置を検出可能である。
また、インライン露光検査システム10は、供給ローラ14に近い位置でシート基板Pの表面にフォトレジスト(感光剤)を塗布するレジストコータ18と、シート基板Pのフォトレジストが塗布された領域にマスクパターンの像を露光するとともに、その像の位置を検出する機能を備えた露光装置EXと、システム全体の動作を統括的に制御するコンピュータよりなる主制御装置50(図2参照)とを備えている。ロータリーエンコーダ13AR,13BRの検出信号から図2のプレート位置演算系54によってシート基板PのX方向の位置情報が求められ、この位置情報は主制御装置50に供給される。この位置情報等に基づいて、主制御装置50は基板制御系55を介して駆動モータ15B及び17Bの動作を制御する。この場合、駆動モータ17Bによってシート基板Pの移動速度が規定され、駆動モータ15Bはシート基板Pが緩まないようにシート基板Pを送り出す。
【0020】
図1において、レジストコータ18は、フォトレジストを個別に塗布するY方向に配列された2つのヘッド部19A,19Bと、X軸に平行に支持されたガイド部19Dと、リニアエンコーダ(不図示)で計測されるヘッド部19A,19Bの位置情報に基づいて、ガイド部19Dに沿ってヘッド部19A,19Bを移動する駆動部19Cと、可撓性を持つ配管19Eを介してヘッド部19A,19Bにフォトレジストを供給する供給部19Fとを有する。なお、ヘッド部19A,19Bは3個以上のヘッド部に分かれていてもよい。
【0021】
露光装置EXは、ほぼ紫外域の露光光ILによって投影光学系PLを介してシート基板Pの表面にマスクパターンの像を露光する露光本体部20と、像位置検査装置21とを有する。像位置検査装置21は、シート基板Pの基板マーク42A内(又はこの近傍の領域)に紫外線硬化樹脂を塗布する樹脂層形成装置22と、基板マーク42A内から未硬化の樹脂を吸引する吸引装置24と、基板マーク42Aとその中の紫外線硬化樹脂が硬化して形成される硬化マーク(後述)とのX方向、Y方向の位置ずれ量を計測する画像処理型のマーク検出装置26とを有する。マーク検出装置26は巻き取りローラ16の手前に配置されている。樹脂層形成装置22は、レジストコータ18のヘッド部19A,19Bと投影光学系PLとの間で、シート基板Pの表面に紫外線硬化樹脂を塗布するノズルヘッド23Aと、可撓性を持つ配管23Bを介してノズルヘッド23Aに紫外線硬化樹脂を供給する供給部23Cとを有する。その紫外線硬化樹脂は、露光光ILの照射によって硬化する。なお、ノズルヘッド23AのY方向の位置を調整する駆動部(不図示)も設けられている。
【0022】
吸引装置24は、圧縮された清浄な気体(ドライエアー等)を噴き出す送風ノズル25Aと、その圧縮された気体とともに未硬化の樹脂を吸引する吸引ノズル25Bと、可撓性を持つ配管25Cを介して送風ノズル25Aに圧縮気体を供給するコンプレッサ25Eと、吸引ノズル25Bから可撓性を持つ配管25Dを介して気体及び樹脂を吸引する吸引ポンプ25Fとを有する。ノズル25A,25Bは投影光学系PLとマーク検出装置26との間に配置されている。なお、ノズル25A,25BのY方向の位置を調整する駆動部(不図示)も設けられている。実際には、図4(B)に拡大して示すように、送風ノズル25Aは、−X方向及び+Y方向に圧縮気体を噴き出す2つの送風ノズル25AX,25AYよりなり、吸引ノズル25Bは、−X方向及び+Y方向に気体及び樹脂を吸引する2つの吸引ノズル25BX,25BYよりなる。なお、吸引装置24は、吸引ノズル25B、配管25D、及び吸引ポンプ25Fのみを備えてもよい。
【0023】
図2の主制御装置50が、コータ制御系60を介してレジストコータ18の供給部19F及び駆動部19Cの動作を制御するとともに、樹脂層形成装置22の供給部23Cの動作を制御する。さらに、主制御装置50は、吸引装置制御系59を介して、吸引装置24のコンプレッサ25E及び吸引ポンプ25Fの動作を制御する。
図5(B)に示すように、マーク検出装置26は、例えば可視域の検出光DLを発生する光源部27Aと、検出光DLをほぼ平行光束にするレンズ27B,27Cを含むコリメータ系と、検出光DLの一部を透過させるビームスプリッタ27Dと、ビームスプリッタ27Dを透過した検出光DLをシート基板Pの表面の2つの被検マークに照射する対物レンズ27Eとを有する。シート基板Pの表面で反射した検出光DLは、対物レンズ27Eを介してビームスプリッタ27Dに戻る。さらに、マーク検出装置26は、ビームスプリッタ27Dで反射された検出光DLを反射するミラー27Fと、反射された検出光DLを集光して2つの被検マークの像を形成する結像レンズ27Gと、その像を検出するCCD又はCMOS型の2次元の撮像素子27Hとを有する。撮像素子27Hの検出信号から図2の位置ずれ演算系58によって2つの被検マークの像の位置ずれ量が求められ、その位置ずれ量は主制御装置50に供給される。
【0024】
図1において、露光装置EXの走査露光型の露光本体部20は、例えばg線(波長436nm)、h線(波長405nm)及びi線(波長365nm)を含む波長域から選択されたほぼ紫外域の露光光ILを発生する露光光源30と、露光光源30からの露光光ILを折り曲げて伝える送光光学系31と、送光光学系31からの露光光ILでマスクMのパターン面の照明領域(本実施形態では4つの照明領域)を照明する照明装置32と、マスクMを吸着保持してほぼX方向に沿って往復移動するマスクステージMSTとを備えている。さらに、露光本体部20は、マスクMのパターンの一部の像をそれぞれシート基板P上に投影する投影光学系PLと、走査露光時にシート基板Pを吸着保持して+X方向に所定速度で移動する基板ステージPSTと、図2の露光制御系51とを備えている。なお、説明の便宜上、図1においてマスクM及びマスクステージMSTは2点鎖線で表されている。マスクステージMSTは、照明装置32と投影光学系PLとの間で、露光光を通す開口が形成されたマスクベース(不図示)のXY平面に平行な上面にエアーベアリングを介して移動可能に載置されている。基板ステージPSTは、ベース部材12に固定された平板状の基板ベースPBのXY平面に平行な上面にエアーベアリングを介して移動可能に載置されている。
【0025】
照明装置32は、送光光学系31から入射する露光光ILを4個の光束に分岐し、各光束をそれぞれオプティカルインテグレータ、リレー光学系、可変ブラインド(可変視野絞り)、及びコンデンサレンズを介してマスクMの対応するY方向に細長い点線で示す照明領域に照射する。露光制御系51が露光光源30の発光動作及び照明装置32内の可変ブラインドの開閉動作等を制御する。
【0026】
また、マスクMのパターン領域は、Y方向に4個の部分パターン領域M1,M2,M3,M4に分かれ、かつそのパターン領域の+X方向側の端部にアライメントマークとしての十字型のマスクマーク38A及び正方形の枠状のマスクマーク38Bが形成されている。マスクマーク38A,38Bは、遮光膜中に形成された開口パターンである。そのパターン領域の−X方向側の端部にも同様のマスクマーク(不図示)が形成されている。マスクマーク38A,38B等と部分パターン領域M1〜M4内のデバイス用パターンとの位置関係情報は主制御装置50内の記憶部に記憶されている。マスクMの部分パターン領域M1〜M4とマスクマーク38Aとの位置関係は、シート基板Pのパターン形成領域40A,40B等とこれらの近傍の基板マーク42Aとの位置関係と製造誤差を除いて同じである。また、部分パターン領域M1〜M4に交互にX方向にずれるように照明領域が設定されている。なお、マスクMのアライメント用のマークとしては、各部分パターン領域M1〜M4に対応してそれぞれ2個形成されているマーク(不図示)を使用してもよい。
【0027】
本実施形態の投影光学系PLは、マスクMの4つの照明領域に対応して4個のそれぞれ等倍で正立正像をシート基板Pの表面に形成する部分投影光学系PL1,PL2,PL3,PL4を有する。部分投影光学系PL1〜PL4は、それぞれマスクMの照明領域内のパターンの等倍の像をシート基板Pの表面の点線で示す露光領域(照明領域と光学的に共役な領域)に形成する。部分投影光学系PL1〜PL4はそれぞれ例えば反射屈折系である。
【0028】
マスクMを保持するマスクステージMSTの位置情報は、X軸の2軸の干渉計33XA,33XB及びY軸の干渉計33Yによって計測され、計測値が図2のステージ座標演算系52に供給される。同様に、基板ステージPSTの位置情報は、例えば3軸以上の干渉計よりなる基板側干渉計35(図2参照)によって計測され、計測値がステージ座標演算系52に供給される。ステージ座標演算系52は、上記の計測値からマスクステージMST及び基板ステージPSTのそれぞれのX方向、Y方向の位置、並びにZ軸に平行な軸の回り(以下、θz方向という)の回転角を求め、これらの位置情報を主制御装置50及び露光制御系51に供給する。露光制御系51は、これらの位置情報及び主制御装置50からの制御情報に基づいて、リニアモータ等の駆動機構53Mを介してマスクステージMSTの位置及び速度を制御し、リニアモータ等の駆動機構53Pを介して基板ステージPSTの位置及び速度を制御する。さらに、露光制御系51は、基板ステージPSTの上面の吸着パッド(不図示)等を含む吸着装置53Vを介して基板ステージPSTの上面に対するシート基板Pの吸着及び吸着の解除を制御する。
【0029】
なお、巻き取りローラ16及び供給ローラ14によってシート基板Pの移動速度を高精度に制御する場合には、基板ステージPSTは単にシート基板Pのガイド部材として使用してもよい。この場合、基板ステージPSTは基板ベースPBに固定され、基板ステージPSTの上面にはシート基板Pを非接触で移動させるための真空予圧型の複数のエアーパッドが設置される。
【0030】
また、基板ステージPSTの上部に、マスクMのマスクマーク38A,38B等の部分投影光学系PL1〜PL4のいずれかによる像の位置を計測する空間像計測系よりなるマスクアライメント系34A,34Bが設置されている。さらに、露光本体部20は、供給ローラ14とレジストコータ18のヘッド部19A,19Bとの間でシート基板Pの基板マーク42A,44A等の位置を検出する画像処理型の基板アライメント系36A,36Bを備えている。マスクアライメント系34A,34B及び基板アライメント系36A,36Bの検出信号は図2のアライメント演算系56に供給される。アライメント演算系56は、マスクマーク38A,38B等の像からマスクMのパターン領域(部分パターンM1〜M4)のX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角(マスクMの位置情報)を求め、基板マーク42A,44A等の位置からシート基板Pのパターン形成領域40A,40B等のX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角(シート基板Pの位置情報)を求める。
【0031】
また、予め例えばテストプリント等によって、マスクマーク38A,38B等の像をマスクアライメント系34A,34Bで検出している状態における、基板アライメント系36A,36Bの検出中心とマスクマーク38A,38B等の像の中心との位置関係(X方向、Y方向の間隔及びθz方向の回転角)であるベースラインが求められており、このベースラインがアライメント演算系56の記憶部に記憶されている。さらに、そのベースラインのオフセット情報が記憶装置57に記憶されており、アライメント演算系56は、必要に応じて記憶装置57に記憶されているオフセットでそのベースラインを補正する。アライメント演算系56は、上記のマスクMの位置情報及び補正後のベースラインで補正したシート基板Pの位置情報を主制御装置50に供給する。その位置情報は主制御装置50から露光制御系51にも供給される。主制御装置50の記憶部には、基板アライメント系36A,36Bの検出中心、レジストコータ18のヘッド部19A,19B、樹脂層形成装置22のノズルヘッド23A、及び吸引装置24のノズル25A,25Bの相対的な位置関係の情報も記憶されている。
【0032】
走査露光時には、上記の位置情報に基づいて露光制御系51は、マスクMの部分パターン領域M1〜M4の像とシート基板Pのパターン形成領域40A,40B等とが重なり合う状態で、マスクステージMST及び基板ステージPSTを同期して+X方向に同じ速度で駆動する。そして、照明装置32からの露光光ILが照射される照明領域に対するマスクMの+X方向への走査と、露光領域に対するシート基板Pの+X方向への走査とを同期して行うことによって、シート基板Pのパターン形成領域40A,40B等及びこれらに隣接する基板マーク42を含む領域にそれぞれ部分パターン領域M1〜M4のパターンの像及びマスクマーク38A,38Bの像が露光される。
【0033】
以下、本実施形態のインライン露光検査システム10の露光及び検査動作の一例につき図6のフローチャートを参照して説明する。この動作は主制御装置50によって制御される。以下では、説明の便宜上、シート基板Pのパターン形成領域40B以降のパターン形成領域に露光する場合につき説明する。
まず、図6のステップ101において、図1のマスクステージMST上にマスクMがロードされ、マスクアライメント系34A,34Bを介してマスクMの位置情報の計測が行われ、計測結果が主制御装置50から露光制御系51に供給される。この計測結果に応じて、例えばマスクMのθz方向の回転角の補正等(アライメント)が行われる。次のステップ102において、上記のように基板アライメント系36A,36Bのベースラインがアライメント演算系56に設定される。この段階では、主制御装置50は記憶装置57に記憶されるベースラインのオフセットを0にする。次のステップ103において、1ロールのシート基板Pを供給ローラ14に取り付け、シート基板Pの先端部をガイドローラ13A,13Bを介して巻き取りローラ16に架け渡し、巻き取りローラ16によってシート基板Pの+X方向への卷き取りを開始する。
【0034】
この後、露光本体部20の基板アライメント系36A,36Bは、所定のサンプリングレートで継続してシート基板Pの基板マーク42A,44A等の検出動作を繰り返す。そして、ステップ104において、シート基板Pの例えばパターン形成領域40Bの+X方向の基板マーク42A,44Aが検出された場合、ステップ105に移行する。そして、アライメント演算系56は、基板マーク42A,44Aの検出された位置を、記憶装置57から読み出したオフセットを用いて補正した後の上記のベースラインで補正し、マスクMのパターン像を基準としたパターン形成領域40BのX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角(シート基板Pの位置情報)を求め、この位置情報を主制御装置50に送る。この位置情報は露光制御系51にも供給される。なお、この段階では、記憶装置57から読み出されるオフセットは0であり、実質的にベースラインのオフセットの補正は行われていない。
【0035】
次のステップ106において、レジストコータ18のヘッド部19A,19Bを図3(A)の位置A31からシート基板Pに対して相対的に−X方向に移動して、シート基板Pのレジスト塗布領域41BにフォトレジストPRを所定厚さで塗布する。図3(A)の平面図である図3(B)に示すように、レジスト塗布領域41Bは、パターン形成領域40B及びマーク形成領域のうちの基板マーク44A,45Aを含む領域を覆っている。基板マーク42A及びこの近傍のマーク形成領域にはフォトレジストPRは塗布されない。同様に、パターン形成領域40A,40Cを覆うレジスト塗布領域41A,41CにもフォトレジストPRが塗布される。
【0036】
次のステップ107において、樹脂層形成装置22のノズルヘッド23Aからパターン形成領域40Bに近接している基板マーク42A中に、図3(C)に示すように紫外線硬化樹脂46を流し込む(塗布する)。なお、本実施形態では、図3(D)及び図3(D)のEE線に沿う断面図である図3(E)に示すように、紫外線硬化樹脂46は凸の枠状の基板マーク42A内にのみ塗布されている。
【0037】
次のステップ108において、露光装置EXの露光本体部20は、図3(B)のシート基板Pのパターン形成領域40B及び基板マーク42A〜45Aを含むマーク形成領域(レジスト塗布領域41B及び基板マーク42Aを含む領域)に、マスクMの部分パターン領域M1〜M4のパターン像及びマスクマーク38A,38Bの像を走査露光する。この際に、マスクステージMST及び基板ステージPSTは同期して+X方向に移動する。これによって、図4(A)に示すように、レジスト塗布領域41B内の基板マーク44Aを含むマーク形成領域には、マスクマーク38Bの像38BPが露光され、基板マーク42A内の紫外線硬化樹脂46中にマスクマーク38Aの像38APが露光される。紫外線硬化樹脂46の像38APの部分のみが硬化する。
【0038】
走査露光終了後、マスクステージMSTは高速で−X方向の次の走査開始位置に戻り、基板ステージPSTは、シート基板Pの吸着を解除した後、高速で−X方向の次の走査開始位置に戻る。なお、巻き取りローラ16及び供給ローラ14によってシート基板Pの走査速度も制御する場合には、基板ステージPSTは静止したままでよい。
次のステップ109において、巻き取りローラ16によってシート基板Pの基板マーク42Aを吸引装置24のノズル25A,25Bの下方に移動する。その後、図4(B)に拡大して示すように、基板マーク42A内の紫外線硬化樹脂46に送風ノズル25AX,25BYから気体を噴き出し、吸引ノズル25BX,25BYで吸引することによって、像38AP以外の硬化されていない部分の紫外線硬化樹脂46を吸引装置24で吸引して除去する。これによって、図4(C)に示すように、基板マーク42A内に像38APに対応する部分が十字型の凸の硬化マーク46Aとして顕在化される。
【0039】
次のステップ110において、巻き取りローラ16によってシート基板Pの基板マーク42Aの部分をマーク検出装置26の視野内に移動する。そして、マーク検出装置26を用いて、図5(A)及び図5(B)に示すように、シート基板Pの基板マーク42A及び硬化マーク46Aの像を検出する。この検出結果から位置ずれ量演算系58は、基板マーク42Aに対する硬化マーク46AのX方向、Y方向の位置ずれ量ΔX,ΔYを求める。この際に、基板マーク42A及び硬化マーク46Aはともに凸のマークであり、少なくともそれらのエッジ部は高いコントラスト(高いSN比)の画像となるため、その位置ずれ量ΔX,ΔYを高精度に検出できる。主制御装置50は、この位置ずれ量ΔX,ΔYを用いて記憶装置57内の上記のベースラインのオフセットを補正する。この場合には、例えば(−ΔX,−ΔY)が補正後のX方向、Y方向のオフセットとなる。このオフセットは、マスクMのパターン像とシート基板Pのパターン形成領域40Bとの重ね合わせ誤差でもある。
【0040】
なお、さらに、例えば図3(B)のパターン形成領域40Bの−X方向側の基板マーク43A内にも紫外線硬化樹脂の硬化マークを形成し、これらのマーク間の位置ずれ量を計測し、パターン形成領域40BとマスクMのパターン像とのX方向、Y方向の位置ずれ量、及びθz方向の回転角を求めてもよい。この場合には、そのベースラインのオフセットのθz方向の回転角も補正できる。
【0041】
次のステップ111において、シート基板Pの全部のパターン形成領域40A,40B等に露光が終了したかどうかが判定される。未露光のパターン形成領域40A,40B等がある場合には、動作はステップ104に戻り、シート基板Pの次のパターン形成領域40C等に対してステップ104〜110の露光及び検査動作が繰り返される。なお、実際には、例えばステップ104〜106の動作と、ステップ107〜110の動作とはシート基板Pの隣接するパターン形成領域40B,40C等に対して並行して実行される。そして、次に基板アライメント系36A,36Bによって例えばシート基板Pのパターン形成領域40Dの基板マーク42A,44Aの位置を検出した場合、ステップ105では、先のステップ110で補正された記憶装置57のオフセットを用いてベースラインが補正される。従って、シート基板Pの一連のパターン形成領域40A,40B等に対する露光の途中で、マスクMのパターン像と例えばパターン形成領域40Bとの重ね合わせ誤差(オフセット)が発生しても、次のステップ105でそのオフセットを補正することによって、シート基板Pの次のパターン形成領域40D等とマスクMのパターンの像との重ね合わせ誤差を低減させることができる。
【0042】
その後、ステップ111でシート基板Pの全部のパターン形成領域に対する露光が終了したときに、動作はステップ112に移行し、巻き取りローラ16から1ロール分のシート基板Pがアンロードされ、アンロードされたシート基板Pは不図示の現像装置で現像される。
図7(A)は、図4(C)のシート基板Pの基板マーク42A及び硬化マーク46Aと、レジスト塗布領域41Bに形成されたマスクマークの像38BPとを示す拡大図である。また、図7(A)のBB線に沿う断面図である図7(B)において、基板マーク42Aはシート基板Pの第1層に形成され、基板マーク42Aは第2層の薄膜47Aで覆われ、薄膜47Aの表面のフォトレジストPRの層に像38BPが形成されている。この後、フォトレジストの現像及びパターン形成工程を経ることによって、図7(C)に示すように、基板マーク42Aに隣接して基板マーク42Bが形成される。図7(C)のDD線に沿う断面図である図7(D)に示すように、基板マーク42Bは第2層の薄膜47Aに形成され、基板マーク42Bは第3層の薄膜47Bで覆われている。なお、第2層のフォトレジストの現像工程で、基板マーク42A内の硬化マーク46Aは除去されているが、基板マーク42Aは第2層及び第3層の薄膜47A,47Bで覆われているため、位置検出精度は低下する恐れがある。
【0043】
そこで、シート基板Pの第3層への露光工程において、図7(E)及び図7(E)のFF線に沿う断面図である図7(F)に示すように、基板マーク42B内に紫外線硬化樹脂46が塗布され、紫外線硬化樹脂46内に第3層用のマスクのマスクマークの像38CPが露光され、基板マーク42Bに隣接して塗布されたフォトレジストPRに別のマスクマークの像38DPが露光される。さらに、その露光工程中で像38CP以外の部分の紫外線硬化樹脂46を除去することによって、図7(G)に示すように、基板マーク42B内に硬化マーク46Bが形成される。従って、基板マーク42Bと硬化マーク46Bとの位置ずれ量をマーク検出装置26で計測することによって、露光工程の途中で重ね合わせ誤差を求めることができる。
【0044】
さらに、フォトレジストPRを現像し、パターン形成工程を経ることによって、像38DPの部分が第3層の基板マーク42Cとなるため、この基板マーク42Cを用いて基板マーク42Aを用いる場合と同様に露光工程中に重ね合わせ誤差を求めることができる。
本実施形態の効果等は以下の通りである。
(1)本実施形態の像位置検査装置21は、露光光ILの照射によってシート基板Pに形成されるマスクMのパターン像の位置情報を求める位置検査装置であって、シート基板Pの基板マーク42A内(所定領域)に露光光ILによって硬化する紫外線硬化樹脂46の層を形成する樹脂層形成装置22と、その樹脂46の層に露光光ILの照射によってそのパターン像の内のマスクマーク38Aの像38AP(部分パターン)が形成された後、シート基板Pの基板マーク42A以外の領域に実質的に影響を与えることなく、紫外線硬化樹脂46の層に形成された像38APを硬化マーク46Aとして顕在化させる吸引装置24(顕在化装置)と、基板マーク42Aと硬化マーク46Aとの位置ずれ量を計測するマーク検出装置26(パターン計測装置)と、を備えている。
【0045】
像位置検査装置21を用いて、紫外線硬化樹脂46の層に形成されてから顕在化された硬化マーク46Aを検出することによって、露光光ILによってシート基板PにマスクMのパターン像を形成する場合に、露光工程中に硬化マーク46Aの位置に基づいてそのパターン像の位置を高精度に検出できる。
また、本実施形態の露光装置EX(露光本体部20及び像位置検査装置21)を用いる露光及び検査動作は、シート基板Pに露光光ILを照射してシート基板Pに形成されるマスクMのパターン像の位置情報を求める位置検査方法であって、シート基板Pの基板マーク42A内に紫外線硬化樹脂46の層を形成するステップ107と、紫外線硬化樹脂46の層に露光光ILを照射してそのパターン像のうちのマスクマーク38Aの像38APを形成するステップ108と、基板マーク42A以外の領域に実質的に影響を与えることなく、紫外線硬化樹脂46に形成された像38APを顕在化させて硬化マーク46Aとするステップ109と、基板マーク42Aと像38APとの位置ずれ量を計測するステップ110とを含んでいる。
【0046】
本実施態様によれば、紫外線硬化樹脂46に形成されてから顕在化された硬化マーク46Aを検出しているため、露光工程中にマスクMのパターン像の位置を高精度に検出できる。
(2)また、本実施形態では、像38APを顕在化させるために、紫外線硬化樹脂46を用いて、露光されなかった部分(未硬化の部分)の樹脂を除去している。紫外線硬化樹脂は取り扱いが容易であるため、容易に像38APを顕在化できる。
【0047】
(3)なお、本実施形態では、樹脂層形成装置22及び吸引装置24によってマスクマーク38Aの像38APを顕在化させている。しかしながら、マスクMの部分パターン領域M1〜M4内のパターンの一部の回路パターン(部分パターン)の像を顕在化させて、その回路パターンの像に対応する硬化マークの位置をマーク検出装置26で検出してもよい。
【0048】
(4)また、本実施形態では、顕在化された像38AP(硬化マーク46A)とシート基板Pの基板マーク42A(下地マーク)との位置ずれ量を計測している。従って、露光工程中に、マスクMのパターン像とシート基板Pのパターン形成領域40A,40B等との重ね合わせ誤差を高精度に直接計測できる。
なお、シート基板Pの基板マーク42Aを基準とするのではなく、例えばマーク検出装置26の指標マーク等を基準として顕在化された像38AP(硬化マーク46A)の位置を計測してもよい。
【0049】
(5)また、基板マーク42Aは凸の枠状のマークであり、像38APを基板マーク42A内(基板マーク42Aの近傍)に形成している。この場合、基板マーク42Aの内部にのみ容易に紫外線硬化樹脂46を塗布できるため、シート基板Pの他の領域に紫外線硬化樹脂46が付着しない。
なお、像38APは基板マーク42Aに対してX方向又はY方向に横ずれした近傍の位置に形成してもよい。
【0050】
(6)本実施形態の露光装置EXは、シート基板Pに露光光ILを照射して、シート基板PにマスクMのパターン像を形成する露光装置であって、像位置検査装置21と、シート基板Pの基板マーク42A及びパターン形成領域40A,40B等に露光光ILを照射してマスクMのパターン像を形成する投影光学系PL(露光光学系)と、を備えている。
また、露光装置EXの露光方法は、シート基板Pに露光光ILを照射して、パターン形成領域40B等及びこれに近接したマーク形成領域に形成されているパターン(第1のパターン)と、マスクMのパターン像(第2のパターン)を含む複数のパターンをシート基板Pに順次重ね合わせて形成する露光方法において、シート基板Pのパターン形成領域40Bに接するマーク形成領域に、第1のパターンの一部である基板マーク42Aを形成するステップと、シート基板Pの基板マーク42A内にマスクMのマスクマーク38Aの像38AP(第2のパターン)を形成するステップ108と、本実施形態のステップ107〜110までの露光及び検査動作とを用いて、基板マーク42Aに対する像38AP(硬化マーク46A)の位置情報を計測している。
【0051】
従って、露光工程中にフォトレジストの現像を行うことなく、マスクMのパターン像とシート基板Pのパターン形成領域40Bとの重ね合わせ誤差を計測できる。
(7)また、本実施形態のインライン露光検査システム10は、像位置検査装置21とシート基板Pを+X方向に移動する供給ローラ14及び巻き取りローラ16と、シート基板Pの基板マーク42A以外のパターン形成領域40A,40B等及びマーク形成領域に露光光ILで感光するフォトレジスト(感光層)を形成するレジストコータ18(感光層形成装置)と、シート基板Pに露光光ILを照射してマスクMのパターンの像を形成する投影光学系PLと、マーク検出装置26によって計測される基板マーク42Aに対する像38AP(硬化マーク46A)の位置情報に応じた処理を行う主制御装置50とを備えている。
【0052】
従って、例えばロールに巻かれる長いシート基板Pを移動しながら、シート基板Pの一連のパターン形成領域40A等及びマーク形成領域に対するフォトレジストの塗布、マスクMのパターン像の露光、及びシート基板Pのパターン形成領域40AとマスクMのパターン像の重ね合わせ誤差の検査を効率的に行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、図8〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。以下、図8、図9(A)、図9(C)、及び図10(A)において、図1、図3(D)、図4(A)、及び図4(B)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
図8は、本実施形態のインライン露光検査システム10Aの機構部を示す斜視図である。図8において、インライン露光検査システム10Aは、供給ローラ14と、巻き取りローラ16と、レジストコータ18と、露光装置EXAとを備えている。露光装置EXAは、露光本体部20と、像位置検査装置21Aとを備えている。さらに、像位置検査装置21Aは、露光光ILの照射によって親水性が変化する樹脂であるポリイミド樹脂をシート基板Pの基板マーク42A内に塗布する樹脂層形成装置70と、ポリイミド樹脂中の露光光ILの照射によって親水性が変化した部分を所定のインク材料で着色する着色装置74と、マーク検出装置26とを備えている。
【0054】
樹脂層形成装置70は、塗布装置71と、塗布したポリイミド樹脂を焼き固めるベーク処理装置73とを有する。塗布装置71は、ポリイミド樹脂を滴下するノズルヘッド72Aと、可撓性を持つ配管72Bを介してノズルヘッド72Aにポリイミド樹脂を供給する供給部72Cとを有する。ノズルヘッド72Aは基板アライメント系36A,36Bの+X方向側の近傍に配置され、ノズルヘッド72Aに対して+X方向側にベーク処理装置73が配置されている。ベーク処理装置73と投影光学系PLとの間にレジストコータ18のヘッド部19A,19BがX方向に移動可能に配置されている。
【0055】
着色装置74は、インク材料としての銀(Ag)のナノ粒子を滴下するノズルヘッド75Aと、可撓性を持つ配管を介してノズルヘッド75Aにインク材料を供給する供給部75Bとを有する。ノズルヘッド72A及び75AにもY方向の位置を調整する駆動部(不図示)が設けられている。また、インライン露光検査システム10Aの制御系としては、図2の制御系において、吸引装置制御系59の代わりに着色装置74の供給部75Bを制御する制御系を設け、コータ制御系60が樹脂層形成装置70の供給部72C及びベーク処理装置73の制御を行うようにした制御系が使用できる。この外の構成は図1の実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態のインライン露光検査システム10Aにおいても、ほぼ図6のフローチャートど同様の動作で露光及びマスクMのパターン像の位置の検査が行われる。ただし、本実施形態では、図6のステップ107の代わりにポリイミド樹脂の供給が行われる。ただし、そのポリイミド樹脂の供給はステップ106の前に実行される。即ち、樹脂層形成装置70の塗布装置71によって、図9(A)のシート基板Pの基板マーク42A内にポリイミド樹脂76が供給される。基板マーク42Aはほぼ500μm角程度の正方形の凸部の枠である。図9(A)のBB線に沿う断面図である図9(B)に示すように、基板マーク42Aの凸部の高さ(深さ)は10μm程度である。その後、基板マーク42A内のポリイミド樹脂76は、ベーク処理装置73によって焼き固められる。
【0057】
その後、図6のステップ106のフォトレジストPRの塗布が行われる。また、次のステップ108によって、図9(B)に示すように、シート基板Pに露光光ILが照射され、図9(C)に示すように、基板マーク42A内の疎水性のポリイミド樹脂76中にマスクマークの像38APが露光される。さらに、その+Y方向側のレジスト塗布領域41BのフォトレジストPRにマスクマークの像38BPが露光される。図9(C)のDD線に沿う断面図である図9(D)に示すように、ポリイミド樹脂76のうちで像38APの部分が親水性となり、それ以外の部分は疎水性のままである。
【0058】
その後、図6のステップ109に対応する工程で、図8の着色装置74を用いて、図10(A)に示すように、基板マーク42A内のポリイミド樹脂76に水銀のナノ粒子よりなるインク材料IKを滴下する。この結果、図10(B)に示すように、ポリイミド樹脂76内の像38APの部分(親水性の部分76A)にインク材料IKが付着し、像38APは顕在化された着色マークIKAとなる。従って、次の図6のステップ110に対応する工程では、図8のマーク検出装置26を用いて、図10(C)に示すように、基板マーク42Aに対する着色マークIKA(像38AP)の位置ずれ量ΔX,ΔYを高精度に計測できる。従って、第1の実施形態と同様に、その位置ずれ量に基づいて基板アライメント系36A,36Bのベースラインのオフセットを補正することによって、マスクMのパターン像とシート基板Pの次のパターン形成領域40D等との重ね合わせ誤差を低減できる。
【0059】
なお、この第2の実施形態では、露光光ILの照射によって親水性が変化する樹脂としてポリイミド樹脂を用いているが、その他の樹脂も使用可能である。また、インク材料IKとしては、水銀のナノ粒子の外の親水性又は疎水性の材料を使用可能である。インク材料IKが疎水性の場合には、像38AP以外の部分にインク材料が付着するため、同様に高精度に検出が可能である。
【0060】
また、この実施形態においても、ポリイミド樹脂76は基板マーク42AからX方向、Y方向に横ずれした領域に付着させ、この領域に像38APを露光してもよい。
なお、上記の各実施形態では、以下のような変形が可能である。
(1)上記の各実施形態では、マーク検出装置26の計測結果を用いて基板アライメント系36A,36Bのベースラインのオフセットを補正している。しかしながら、ベースラインのオフセットを補正することなく、例えばマーク検出装置26の計測結果から重ね合わせ誤差が許容範囲を超えた場合に、アラームを発生し、シート基板Pの移動を停止して露光工程を中断してもよい。この場合には、例えばベースラインを再計測した後、その露光工程を中断した位置からシート基板Pの露光を再開することによって、デバイスの歩留まりの低下を防止できる。
【0061】
(2)上記の各実施形態では、露光光ILの照射によって改質可能な樹脂として、紫外線硬化樹脂又は親水性が変化する樹脂を使用している。その他の物理特性又は化学特性が変化する樹脂をその改質可能な樹脂として使用可能である。
(3)上記の実施形態では、シート基板Pを+X方向に間欠的又は連続的に移動しているが、必要に応じて、シート基板Pを−X方向に巻き戻す動作が含まれていてもよい。
【0062】
(4)上記の各実施形態では、投影光学系PLは等倍の部分投影光学系PL1〜PL4を有する。しかしながら、投影光学系PLとしては、任意の個数の部分投影光学系を有する投影光学系の外に、単独の投影光学系を使用してもよい。さらに、投影光学系PL(又はこれを構成する部分投影光学系)の倍率は等倍以外の縮小又は拡大でもよい。さらに、投影光学系PLは、X方向及び/又はY方向に倒立像を形成してもよい。
【0063】
(5)露光光ILとしては、紫外LEDからの光、KrFエキシマレーザ(248nm)やArFエキシマレーザ(193nm)からのレーザ光、又は固体レーザ(半導体レーザ等)の高調波、例えばYAGレーザの3倍高調波(波長355nm)等を用いる場合であっても本発明を適用することが可能である。
(6)露光本体部20としては、走査露光型の露光本体部の外に、一括露光型の露光本体部、又は電子線描画方式若しくはレーザビーム描画方式の描画装置等を使用することも可能である。
【0064】
(7)例えば図1の実施形態において、マーク検出装置26と巻き取りローラ16との間隔を広げ、この間隔にフォトレジストの現像装置を設置してもよい。
(8)インライン露光検査システム10,10Aにおいて、レジストコータ18を省略し、インライン露光検査システム10,10AではマスクMのパターンの像の露光、及びその像位置の検査のみを行うようにしてもよい。
【0065】
(9)上述の実施形態では、露光対象は可撓性を持つ長いシート基板Pであるが、露光対象の基板としては、液晶表示パネル等を製造するための比較的剛性の高い矩形の平板状のガラスプレート、薄膜磁気ヘッド製造用のセラミックス基板、又は半導体素子製造用の円形の半導体ウエハ等も使用できる。
また、上記の実施形態の露光装置EX,EXA若しくは露光方法(又はインライン露光検査システム10,10A)を用いて、シート基板P上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての多数の液晶表示パネル(液晶表示素子)を得ることもできる。以下、図11のフローチャートを参照して、この製造方法の一例につき説明する。
【0066】
図11のステップS401(パターン形成工程)では、先ず、露光対象のシート状のプレート上にフォトレジストを塗布して感光基板(シート基板P)を準備する塗布工程、上記の露光装置を用いて液晶表示パネル用のマスクのパターンをその感光基板上の多数のパターン形成領域に転写露光する露光工程、及びその感光基板を現像する現像工程が実行される。この塗布工程、露光工程、及び現像工程を含むリソグラフィ工程によって、そのプレート上に所定のレジストパターンが形成される。このリソグラフィ工程に続いて、そのレジストパターンをマスクとしたエッチング工程、及びレジスト剥離工程等を経て、そのプレート上に多数の電極等を含む所定パターンが形成される。そのリソグラフィ工程等は、そのプレート上のレイヤ数に応じて複数回実行される。
【0067】
その次のステップS402(カラーフィルタ形成工程)では、赤R、緑G、青Bに対応した3つの微細なフィルタの組をマトリックス状に多数配列するか、又は赤R、緑G、青Bの3本のストライプ状の複数のフィルタの組を水平走査線方向に配列することによってカラーフィルタを形成する。その次のステップS403(セル組立工程)では、例えばステップS401にて得られた所定パターンを有するプレートとステップS402にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0068】
その後のステップS404(モジュール組立工程)では、そのようにして組み立てられた多数の液晶パネル(液晶セル)に表示動作を行わせるための電気回路、及びバックライト等の部品を取り付けて、液晶表示パネルとして完成させる。
上述の液晶表示パネルの製造方法によれば、上記の実施形態の露光方法又は露光装置を用いて感光基板(シート基板P)にマスクのパターンの像(潜像パターン)を形成する工程(ステップS401の一部)と、この工程によりその潜像パターンが形成された感光基板をその潜像パターンに基づいて加工(現像、エッチング等)する工程(ステップS401の他の部分)とを含んでいる。
【0069】
その露光方法又は露光装置によれば、シート基板Pの全部のパターン形成領域における重ね合わせ精度を全体として向上できるため、デバイスを高精度に高い歩留まりで製造できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0070】
10,10A…インライン露光検査システム、EX,EXA…露光装置、M…マスク、PL…投影光学系、P…シート基板、14…供給ローラ、16…巻き取りローラ、18…レジストコータ、20…露光本体部、21,21A…像位置検査装置、22,70…樹脂層形成装置、24…吸引装置、26…マーク検出装置、36A,36B…基板アライメント系、38A,38B…マスクマーク、42A,42B…基板マーク、50…主制御装置、74…着色装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に露光光を照射して該基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査方法であって、
前記基板の所定領域に前記露光光によって改質可能な樹脂層を形成することと、
前記樹脂層に前記露光光を照射して前記パターンのうちの部分パターンを形成することと、
前記基板の前記所定領域以外の領域に実質的に影響を与えることなく、前記樹脂層に形成された前記部分パターンを顕在化させることと、
顕在化された前記部分パターンを検出して、該部分パターンの位置情報を計測することと、
を含むことを特徴とする位置検査方法。
【請求項2】
前記露光光は紫外光であり、前記樹脂層は紫外線硬化樹脂の層であり、
前記部分パターンを顕在化させることは、前記樹脂層のうち紫外光によって硬化していない部分を取り除くことを含むことを特徴とする請求項1に記載の位置検査方法。
【請求項3】
前記露光光は紫外光であり、前記樹脂層は紫外光の照射によって親水性が変化する樹脂の層であり、
前記樹脂層を形成することは、形成した後の前記樹脂を加熱することを含み、
前記部分パターンを顕在化させることは、前記樹脂層のうち紫外光によって親水性が変化した部分をインク材料で着色することを含むことを特徴とする請求項1に記載の位置検査方法。
【請求項4】
前記親水性が変化する樹脂は、ポリイミド樹脂であり、
前記樹脂層を形成することは、前記所定領域に前記ポリイミド樹脂を塗布することと、前記所定領域に塗布された前記ポリイミド樹脂を加熱することとを含むことを特徴とする請求項3に記載の位置検査方法。
【請求項5】
前記インク材料は水銀ナノ粒子を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の位置検査方法。
【請求項6】
前記部分パターンの位置情報を計測することは、前記所定領域内で顕在化された前記部分パターンと前記基板に形成された下地マークとの位置ずれ量を計測することを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の位置検査方法。
【請求項7】
前記所定領域は、前記下地マークに隣接する領域であることを特徴とする請求項6に記載の位置検査方法。
【請求項8】
前記基板は、シート状に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の位置検査方法。
【請求項9】
基板に露光光を照射して、第1及び第2パターンを含む複数のパターンを前記基板に順次重ね合わせて形成する露光方法において、
前記基板の第1領域に前記第1パターンの第1部分パターンを形成することと、
前記基板の前記第1領域に対応する第2領域に前記第2パターンの第2部分パターンを形成することと、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の位置検査方法を用いて、前記第1部分パターンに対する前記第2部分パターンの位置情報を計測することと、
を含むことを特徴とする露光方法。
【請求項10】
前記第1部分パターンに対する前記第2部分パターンの位置情報に基づいて、前記基板に対するパターンの形成位置を補正することを含むことを特徴とする請求項9に記載の露光方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の露光方法を用いて、基板にパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を前記パターンに基づいて加工することと、
を含むデバイス製造方法。
【請求項12】
露光光の照射によって基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査装置であって、
前記基板の所定領域に前記露光光によって改質可能な樹脂層を形成する樹脂層形成装置と、
前記樹脂層に前記露光光の照射によって前記パターンのうちの少なくとも部分パターンが形成された後、前記基板の前記所定領域以外の領域に実質的に影響を与えることなく、前記樹脂層に形成された前記部分パターンを顕在化させる顕在化装置と、
顕在化された前記部分パターンを検出して、該部分パターンの位置情報を計測するパターン計測装置と、
を備えることを特徴とする位置検査装置。
【請求項13】
前記露光光は紫外光であり、前記樹脂層は紫外線硬化樹脂の層であり、
前記顕在化装置は、前記樹脂層のうち紫外光によって硬化していない部分を取り除く吸引部を含むことを特徴とする請求項12に記載の位置検査装置。
【請求項14】
前記露光光は紫外光であり、前記樹脂層は紫外光の照射によって親水性が変化する樹脂の層であり、
前記樹脂層形成装置は、形成した後の前記樹脂を加熱する加熱部を含み、
前記顕在化装置は、前記樹脂層のうち紫外光によって親水性が変化した部分をインク材料で着色する着色部を含むことを特徴とする請求項12に記載の位置検査装置。
【請求項15】
前記親水性が変化する樹脂は、ポリイミド樹脂であり、
前記樹脂層形成装置は、前記所定領域に前記ポリイミド樹脂を塗布する塗布部と、前記所定領域に塗布された前記ポリイミド樹脂を加熱する加熱部とを含むことを特徴とする請求項14に記載の位置検査装置。
【請求項16】
前記パターン計測装置は、前記所定領域内で顕在化された前記部分パターンと前記基板に形成された下地マークとの位置ずれ量を計測することを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の位置検査装置。
【請求項17】
前記基板は、シート状に形成されていることを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の位置検査装置。
【請求項18】
基板に露光光を照射して、該基板にパターンを形成する露光装置であって、
請求項12〜17のいずれか一項に記載の位置検査装置と、
前記基板の前記所定領域を含む領域に前記露光光を照射して前記パターンを形成する露光光学系と、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項19】
前記基板の位置情報を計測する基板計測装置と、
前記位置検査装置の計測結果に基づいて前記基板計測装置の計測結果を補正する制御装置と、を備えることを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の露光装置を用いて、基板にパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を前記パターンに基づいて加工することと、
を含むデバイス製造方法。
【請求項21】
請求項12〜17のいずれか一項に記載の位置検査装置と、
前記基板を所定方向に移動する搬送機構と、
前記基板の前記所定領域以外の領域に前記露光光で感光する感光層を形成する感光層形成装置と、
前記基板の前記所定領域を含む領域に前記露光光を照射して前記パターンを形成する露光光学系と、
前記位置検査装置によって計測される前記位置情報に応じた処理を行う制御装置と、
を備えることを特徴とするインライン検査システム。
【請求項22】
前記基板の位置情報を計測する基板計測装置を備え、
前記制御装置は、前記位置情報に基づいて前記基板計測装置の計測結果を補正することを特徴とする請求項21に記載のインライン検査システム。
【請求項1】
基板に露光光を照射して該基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査方法であって、
前記基板の所定領域に前記露光光によって改質可能な樹脂層を形成することと、
前記樹脂層に前記露光光を照射して前記パターンのうちの部分パターンを形成することと、
前記基板の前記所定領域以外の領域に実質的に影響を与えることなく、前記樹脂層に形成された前記部分パターンを顕在化させることと、
顕在化された前記部分パターンを検出して、該部分パターンの位置情報を計測することと、
を含むことを特徴とする位置検査方法。
【請求項2】
前記露光光は紫外光であり、前記樹脂層は紫外線硬化樹脂の層であり、
前記部分パターンを顕在化させることは、前記樹脂層のうち紫外光によって硬化していない部分を取り除くことを含むことを特徴とする請求項1に記載の位置検査方法。
【請求項3】
前記露光光は紫外光であり、前記樹脂層は紫外光の照射によって親水性が変化する樹脂の層であり、
前記樹脂層を形成することは、形成した後の前記樹脂を加熱することを含み、
前記部分パターンを顕在化させることは、前記樹脂層のうち紫外光によって親水性が変化した部分をインク材料で着色することを含むことを特徴とする請求項1に記載の位置検査方法。
【請求項4】
前記親水性が変化する樹脂は、ポリイミド樹脂であり、
前記樹脂層を形成することは、前記所定領域に前記ポリイミド樹脂を塗布することと、前記所定領域に塗布された前記ポリイミド樹脂を加熱することとを含むことを特徴とする請求項3に記載の位置検査方法。
【請求項5】
前記インク材料は水銀ナノ粒子を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の位置検査方法。
【請求項6】
前記部分パターンの位置情報を計測することは、前記所定領域内で顕在化された前記部分パターンと前記基板に形成された下地マークとの位置ずれ量を計測することを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の位置検査方法。
【請求項7】
前記所定領域は、前記下地マークに隣接する領域であることを特徴とする請求項6に記載の位置検査方法。
【請求項8】
前記基板は、シート状に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の位置検査方法。
【請求項9】
基板に露光光を照射して、第1及び第2パターンを含む複数のパターンを前記基板に順次重ね合わせて形成する露光方法において、
前記基板の第1領域に前記第1パターンの第1部分パターンを形成することと、
前記基板の前記第1領域に対応する第2領域に前記第2パターンの第2部分パターンを形成することと、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の位置検査方法を用いて、前記第1部分パターンに対する前記第2部分パターンの位置情報を計測することと、
を含むことを特徴とする露光方法。
【請求項10】
前記第1部分パターンに対する前記第2部分パターンの位置情報に基づいて、前記基板に対するパターンの形成位置を補正することを含むことを特徴とする請求項9に記載の露光方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の露光方法を用いて、基板にパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を前記パターンに基づいて加工することと、
を含むデバイス製造方法。
【請求項12】
露光光の照射によって基板に形成されるパターンの位置情報を求める位置検査装置であって、
前記基板の所定領域に前記露光光によって改質可能な樹脂層を形成する樹脂層形成装置と、
前記樹脂層に前記露光光の照射によって前記パターンのうちの少なくとも部分パターンが形成された後、前記基板の前記所定領域以外の領域に実質的に影響を与えることなく、前記樹脂層に形成された前記部分パターンを顕在化させる顕在化装置と、
顕在化された前記部分パターンを検出して、該部分パターンの位置情報を計測するパターン計測装置と、
を備えることを特徴とする位置検査装置。
【請求項13】
前記露光光は紫外光であり、前記樹脂層は紫外線硬化樹脂の層であり、
前記顕在化装置は、前記樹脂層のうち紫外光によって硬化していない部分を取り除く吸引部を含むことを特徴とする請求項12に記載の位置検査装置。
【請求項14】
前記露光光は紫外光であり、前記樹脂層は紫外光の照射によって親水性が変化する樹脂の層であり、
前記樹脂層形成装置は、形成した後の前記樹脂を加熱する加熱部を含み、
前記顕在化装置は、前記樹脂層のうち紫外光によって親水性が変化した部分をインク材料で着色する着色部を含むことを特徴とする請求項12に記載の位置検査装置。
【請求項15】
前記親水性が変化する樹脂は、ポリイミド樹脂であり、
前記樹脂層形成装置は、前記所定領域に前記ポリイミド樹脂を塗布する塗布部と、前記所定領域に塗布された前記ポリイミド樹脂を加熱する加熱部とを含むことを特徴とする請求項14に記載の位置検査装置。
【請求項16】
前記パターン計測装置は、前記所定領域内で顕在化された前記部分パターンと前記基板に形成された下地マークとの位置ずれ量を計測することを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の位置検査装置。
【請求項17】
前記基板は、シート状に形成されていることを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の位置検査装置。
【請求項18】
基板に露光光を照射して、該基板にパターンを形成する露光装置であって、
請求項12〜17のいずれか一項に記載の位置検査装置と、
前記基板の前記所定領域を含む領域に前記露光光を照射して前記パターンを形成する露光光学系と、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項19】
前記基板の位置情報を計測する基板計測装置と、
前記位置検査装置の計測結果に基づいて前記基板計測装置の計測結果を補正する制御装置と、を備えることを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の露光装置を用いて、基板にパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記基板を前記パターンに基づいて加工することと、
を含むデバイス製造方法。
【請求項21】
請求項12〜17のいずれか一項に記載の位置検査装置と、
前記基板を所定方向に移動する搬送機構と、
前記基板の前記所定領域以外の領域に前記露光光で感光する感光層を形成する感光層形成装置と、
前記基板の前記所定領域を含む領域に前記露光光を照射して前記パターンを形成する露光光学系と、
前記位置検査装置によって計測される前記位置情報に応じた処理を行う制御装置と、
を備えることを特徴とするインライン検査システム。
【請求項22】
前記基板の位置情報を計測する基板計測装置を備え、
前記制御装置は、前記位置情報に基づいて前記基板計測装置の計測結果を補正することを特徴とする請求項21に記載のインライン検査システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−40591(P2011−40591A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187059(P2009−187059)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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