説明

位置決め・マーカーを持つ血管内カテーテル及び配置法

血管内カテーテルは、挿入のための遠位端と近位端とを含むであろう。挿入のための遠位端は先端を末端に持つであろう。それは少なくとも一つの開口部を規定してよく、該開口部の一つは遠位端において最も近位である。前記遠位端は、最も近位の開口部に個別に配置されると共に、該遠位端の残りから該最も近位の開口部を放射線画像上で区別する第一放射線不透過性マーカーを含んでよい。該遠位端には更に、先端の目印となる第二放射性不透過性マーカーが含まれてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その出願の内容を引用をもってここに援用することとする、2009年12月14日出願の米国仮出願第61/286,127号、及び2010年4月1日出願の米国仮出願第61/320,044号に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
カテーテル先端の位置が低すぎると、心臓の穿孔、生命を脅かす不整脈及び血栓の形成などの合併症がある。カテーテルの先端が高すぎることに関する合併症もまた重篤であり、その中にはカテーテルの機能不全及び血管損傷がある。
【0003】
右心房血栓症又は心臓穿孔及び不整脈などのより重篤なカテーテル合併症は、右心房の後方壁又は床に物理的に接触するような、先端位置が低すぎることに関する。そのために、カテーテルの先端は心臓内にあるべきではないことを推奨する声明をFDAが発行している。反対に、先端位置が高すぎると、カテーテル機能が損なわれたり、フィブリンの鞘形成が促進されたり、それに続いて中心静脈の狭窄が起きたりする場合がある。それが理由で、多くの医師はカテーテル先端を右心房中に挿入する方を好む。カテーテル先端は、カテーテルの低い位置への配置に伴う合併症を起こし、開口部を最も近くすると、カテーテルが高すぎることに伴う合併症を起こすようである。
【0004】
カテーテル合併症は三つのグループに分けられる:感染症、血栓症及びフィブリン鞘形成である。これらの合併症は、カテーテルが患者中にまだある内に現れる。これらは臨床的に現れることも、あるいはカテーテルの機能不全として現れることもある。遅発型の合併症は中心静脈狭窄及び閉塞や、中心静脈又は心臓の穿孔である。カテーテル機能はまた、透析用カテーテルの重要な成分であり、カテーテルの位置に影響される。
【0005】
側壁の穴は隣接する血管の内膜又は内層に損傷を引き起こすと考えられる。この損傷は、大量の血液を吸引しようとする透析機械が生じる高圧によって引き起こされる場合もあろう。これは、最も近位に配置される、カテーテルの動脈内腔の近位側壁の穴に起きる。この内膜損傷は、その後に血栓及び血管狭窄を引き起こしかねない。
【0006】
カテーテルの機能的な部分は先端と、最も近位の開口部との間である。この開口部は通常、先端に対して近位の数センチに位置している。現在のところ、最も近位の開口部は撮像にあたって特定することができない。その理由は、最も近位の開口部には印が付けられておらず、カテーテル全体が放射線不透過性だからである。血管内カテーテルを精確に挿入したい操作者であっても、どこが最も近位の開口部かを、そしてそれが患者の身体又はカテーテル先端との関係でどこにあるか、を知る方法がない。更に、カテーテルの挿入は、時に画像の劣る蛍光顕微鏡法下で行われる。加えて、患者の中には過体重のものがおり、このことも画像の低品質に寄与する。これらの場合、操作者は、カテーテルの精確な配置及び位置を特定するのに困難な時間を有してしまう。本発明で開示するカテーテル実施例により、医師は、カテーテルの最も近位の開口部がどこにあるか、それがカテーテル先端との関係からどこにあるか、そして患者の身体内の解剖学的マーカーに対してどこにあるかを精確に知ることができる。
【0007】
カテーテルの位置決めは通常、X線又は蛍光顕微鏡法に対してカテーテルの先端を配置することによって行われる。血管内カテーテルは通常、その長さ方向全体に放射線不透過性である。操作者はカテーテル及びカテーテル先端を特定し、それを患者の身体内に精確に配置する。患者の解剖学的構造はX線又は蛍光顕微鏡法で特定される。具体的には、右心房及び上大静脈間の接合部は、カテーテル配置に用いられる、ごく普通の解剖学的マーカーである。透析用カテーテルの先端位置は議論を呼び、問題点である。先端は上大静脈中にあるべきであると述べるものがあり、右心房及び上大静脈間の接合部を提唱するものもあり、またそれは右心房中にあるべきであると言うものもいる。しばしば好まれる先端位置は、カテーテルの先端が右心房の上側部分又は中間に来るものである。本発明は、カテーテルの位置を簡単かつより精確にすることを狙いとする。カテーテル上の最も近位の開口部に隣接するマーカーにより、操作者は、このマーカーを、上大静脈及び右心房接合部であってもよい所望の場所に精確かつ容易に配置することができるであろう。市場にはたくさんの種類のカテーテルがあり、これらのカテーテルの近位開口部及び先端のデザインはかなり様々であるため、このマーカーは、どのような種類のカテーテルを用いようとも均一かつ精確な位置決めを可能にするであろう。カテーテルがその長さ方向に放射線不透過性であっても、その上の放射線不透過性マーカーにより、カテーテル上の特定の位置の特定が可能になり、そうしてカテーテルの挿入がより精確になるであろう。
【0008】
要約
血管内カテーテルは、放射線不透過性であってよいマーカーをその上に有していてもよい。該マーカーは、カテーテルの最も近位の開口部の位置にあっても、又は同開口部に隣接してもよく、そして画像上に見られるであろう。この形のマーキングにより、使用者は、カテーテルの「機能的な長さ」を、カテーテルの残り部分から区別することができ、適正な配置を確実にするのに役立てることができる。
【0009】
位置決めマーカー又はマーカーで血管内カテーテルを配置する方法を解説する。この配置する方法は、患者の身体内への安全、簡単かつ精確な器具の配置を可能にするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、血管内カテーテルの食い違い型先端:二重内腔ねじれ型先端カテーテルのデザインを示す。
【図2】図2は、血管内カテーテルの先割れ型先端デザインを示す。
【図3】図3は、らせん型先端デザインを持つ対称性血管内カテーテルを示す。
【図4】図4は、らせん型先端デザイン(側面図)を持つ対称性血管内カテーテルを示す。」
【図5】図5は、二重カテーテル・デザインを示す。
【図6】図6は、二重D食い違い型カテーテル・デザインを示す。静脈用内腔はより長く、カテーテル先端まで延びる。
【図7】図7は、血管内カテーテルの全長を示す。カテーテルは近位のハブから先端まで延びる。
【図8】図8は、予め湾曲させた、先割れ型先端のカテーテルを示す。
【図9】図9は、予め湾曲させた、食い違い型先端カテーテルを示す。
【図10】図10は、側壁の穴又は側壁の開口部のない、二重Dデザインを持つ食い違い型先端カテーテルの先端を示す。
【図11】図11は、より短い動脈用内腔にのみ開口部のある、二重Dデザインを持つカテーテルの先端を示す。
【図12】図12は、先割れ型先端カテーテルの先端を示す。
【図13】図13は、二つのマーカーを持つ、二重D食い違い型先端デザインの先端を示す。
【図14】図14は、患者の身体内における先割れ型先端カテーテルの好適な配置を示す。
【図15】図15は、患者の身体内における対称性先端カテーテルの好適な配置を示す。
【図16】図16は、患者の身体内における食い違い型先端カテーテル・デザインの位置を示す。
【図17】図17は、放射線不透過性のマーカーを持つ鋭形二重内腔カテーテルを示す。
【図18】図18は、放射線不透過性マーカーを持つ鋭形三重内腔カテーテルを示す。
【図19】図19は、先端を左側から右心房内に配置したカテーテルを示すX線像である。
【図20】図20は、ワイヤ上に配置されたカテーテルを示すX線画像である。
【図21】図21は、ワイヤ上のカテーテルを示すX線画像である。マーカーは長い線状であり、近位の側壁の穴から先端まで延びる。
【図22】図22は、近位の側壁の穴及び先端にマーカーを持つ、ワイヤ上の先割れ型先端カテーテルを示すX線画像である。
【図23】図23−24は、多様なカテーテル配置技術におけるステップを示す。
【0011】
詳細な説明
血管内カテーテルには、撮像して目に見えるマーカーを含めることがある。マーカーは、カテーテルの最も近位の開口部に隣接して配置されるであろう。マーカーは、最も近位の開口部に配置することも、それに対して近位に配置することも、又はそれに対して遠位に配置することもできる。マーカーはいずれのカテーテル・デザイン上でも配置することができる。それが二重内腔又は先割れ型先端デザインであれば、複数のマーカーを配置することができ、一つ又は二つを各カテーテル上に配置することもできる。放射線不透過性のマーカーは、例えばタングステン、ヨウ素、鉛、バリウム又はいずれか他の物質など、いずれの放射線不透過性材料からも作製することができる。放射線不透過性マーカーは、カテーテル上の様々な位置に配置することができ、優先的には最も近位の開口部(即ち側壁の穴、側壁のスロット、孔、開窓、又は他の液体透過性連絡路)に対して近位、に配置することができる。マーカーの目的は、患者の身体内におけるカテーテルの位置を医師が精確に判断できるようにすることであろう。具体的には、操作者は、右心房/上大静脈接合部に、カテーテル上のマークを位置合わせすることができる。このカテーテルにより精確な配置が可能になり、従って、血管内カテーテルが低すぎる又は高すぎることで起きる合併症を減らすことができよう。
【0012】
更に、マーカーを持つ血管内透析カテーテルを配置する方法も開示されている。本方法は、蛍光顕微鏡法による指針下での配置用である。マーカーはX線画像上で見られよう。本方法は、例えば鋭型、非トンネル型カテーテルや、慢性のトンネル型カテーテルについて解説されている。血管内カテーテルには、第一放射線不透過性マーカーを持つ挿入用の遠位端であって、最も近位の開口部に別個に配置されると共に、該遠位端の残りから、最も近位の開口部を放射線画像上で識別させる遠位端と;先端のマークとなる第二放射線不透過性マーカーとが含まれよう。
【0013】
最も近位の開口部以外の開口部は、遠位端の残りの部分から放射線画像上、識別可能ではないように血管内カテーテルを形成してもよい。図19は、先端を右心房内に入れた状態で左側から配置される血管内カテーテルを示すX線画像である。二つの位置決めマーカーが見え、一つは近位の側壁の穴に、そして他方は先端にあって、最も近位の開口部が、放射線画像上で識別可能な唯一の開口部となっている。
【0014】
第一放射線不透過性マーカーと先端との間の位置に他の放射線不透過性マーカーが他には一つも配置されていないように、血管内カテーテルを形成してもよい。代替的には、カテーテルには、最も近位の開口部以外に少なくとも一つの開口部を、遠位端の残りから放射線画像上で識別可能にする第三放射線不透過性マーカーを含めることができる。
【0015】
遠位端が、第一及び第二放射線不透過性マーカー以外に何の放射線不透過性マーカーを有さないように、血管内カテーテルを形成してもよい。
【0016】
第二放射線不透過性マーカーが先端に別個に配置されているように血管内カテーテルを形成してもよい。図12は、先割れ型先端カテーテルの先端への第二放射線不透過性マーカー(52)の別個の配置を示す。
【0017】
第二放射線不透過性マーカーがカテーテル遠位端の全て又は実質的に全ての目印となるように血管内カテーテルを形成してもよい。
【0018】
先端と第一放射線不透過性マーカーとの間の距離が、約1.5cm乃至約5cmの範囲の長さの機能的カテーテル長を規定するように、血管内カテーテルを形成してもよい。
【0019】
血管内カテーテルは、約3cmの機能的カテーテル長を有してもよい。
【0020】
カテーテルを患者内に最適に配置したときに、第一放射線不透過性マーカーが遠位端に配置され、その結果、第一放射線不透過性マーカーがヒトの患者の右心房及び上大静脈の接合部に位置するように、血管内カテーテルを形成してもよい。
【0021】
カテーテルの先端は開放していても、閉じていてもよい。即ち、先端が開口部で終わっていても、先端が開口部なしで終わっていてもよい。
【0022】
先端が対称性、食い違い型、尖頭型、ワイヤに向かって先細り型、又は先割れ型であるように血管内カテーテルを形成してもよい。図1は、透析カテーテル−食い違い型先端デザインの図を示す。これは二重内腔食い違い型先端カテーテルである。カテーテル先端(1)が見える。より短い動脈内腔は通常、静脈内腔(3)よりも2.5cm、短い。
【0023】
最も近位の側壁の穴(4)が見える。マーカー(5)はそれに近位で特定される。
【0024】
図2は血管内カテーテル先端−先割れ型先端デザインを示す。カテーテルの先端が見える(6)。これは通常、より長い静脈内腔である。より短い動脈内腔の先端が特定される(7)。複数の側壁の穴が両内腔に見られる(8)。放射線不透過性マーカー(9)が各カテーテルに、カテーテルの後方近位開口部に隣接して配置される。図22は、近位の側壁の穴及び先端にマーカーを持つ先割れ型先端カテーテルをワイヤ上で示すX線画像である。図20は、
ワイヤ上に配置されたカテーテルを示す。精確なカテーテル先端位置は見えにくい。マーカーは点の形になっており、近位の穴及び先端に配置されている。マーカーにより、カテーテル位置が特定しやすい。
【0025】
図3は、らせん型先端デザインを持つ対称性カテーテルを示す。カテーテルの先端が特定される。近位の開口部又は側壁のスロットが見られる(11)。マーカー(12)はそれにちょうど近位に特定される。図4は、らせん型先端デザインを持つ対称性カテーテルの側面図である。カテーテル先端(13)が特定される。カテーテルの遠位開口部(14)が見える。近位の開口部(15)又は側壁のスロットが、カテーテル先端近位に見える。放射線不透過性マーカー(16)は、最も近位の開口部に対して近位に見られる。
【0026】
図5は二重カテーテル・デザインを示す。カテーテル先端が特定される(17)。側壁の開口部(18)が両方のカテーテルに見える。マーカー(19)は最も近位の開口部に隣接して見える。
【0027】
図6は二重D食い違い型カテーテル・デザインを示す。静脈内腔はより長く、カテーテル先端まで延びる(20)。静脈内腔に対して近位の開口部が見える(21)。動脈内腔(22)は通常、静脈内腔よりも2乃至4cm、短い。動脈内腔に対して近位の開口部(23)が見える。マーカー(24)は、最も近位の開口部(25)に対してちょうど近位に配置される。
【0028】
図7は、血管内カテーテルの全長を示す。カテーテルは近位のハブ(26)から先端(27)まで延びる。カテーテルは、上にクランプ(28)を有する接続管材料を有する。カテーテルは、内植目的のために、ダクロン又は他の材料から作製されたカフ(29)を有することができる。放射線不透過性マーカー(30)が、側壁の穴(31)に近位に見える。
【0029】
図8は、予め湾曲させてある先割れ先端型カテーテルを示す。接続管材料(32)、クランプ(33)、接続ハブ(34)、カフ(35)が見える。カーブ(36)が見える。複数の開口部(37)が、それらに対して近位にマーカー(38)を配置させてカテーテル上に存在する。
【0030】
図9は、予め湾曲させてある食い違い型先端カテーテルを示す。カテーテルのカーブ(39)はカフ(40)に対して遠位に見られる。静脈内腔(41)は動脈内腔(42)を超えて延びる。カテーテルの側壁の開口部が見える(43)。第一又は近位の放射線不透過性マーカー(44)が、最も近位の開口部に対して隣接して、又はちょうど遠位側に見られる。第二マーカー(45)がカテーテル先端(46)に配置される。
【0031】
図10は、側壁の穴又は側壁の開口部のない、二重Dデザインを持つ食い違い型先端カテーテルの先端を示す。静脈内腔(47)は動脈内腔(48)を超えて延びる。放射線不透過性マーカー(49)が、動脈内腔(48)の開口部に対して近位に見える。
【0032】
図11は、より短い動脈内腔のみに開口部を持つ、二重Dデザインのカテーテルの先端を示す。マーカー(50)は、近位の側壁の穴(51)に対して近位に見える。
【0033】
図12は先割れ型先端カテーテルの先端を示す。二つの第一放射線不透過性マーカー(53)が各内腔上に配置される。遠位の第二放射線不透過性マーカー(52)が先端に見える。近位のマーカー(53)は最も近位の側壁の穴(54)に対して隣接して見える。
【0034】
図13は、二つのマーカーを持つ、二重D食い違い型先端デザインの先端を示す。第二放射線不透過性マーカー(55)がカテーテル先端(56)に配置されている。第一放射線不透過性マーカーが、最も近位の開口部又は側壁の穴(58)に隣接して配置されている。
【0035】
図14及び15は、第一放射線不透過性マーカー(図14及び15ではそれぞれ62、64とラベルした)を右心房(図14では60)と上大静脈(図14では59)との接合部(図14では61)に最適に配置した状態の、それぞれ先割れ型先端及び対称性カテーテルを示す。図16は、患者の身体内における食い違い型先端カテーテル・デザインの最適な配置を示す。カテーテル先端(67)は右心房(68)に位置する。放射線不透過性マーカー(69)は、最も近位の側壁の開口部(70)に対してちょうど遠位側で隣接して配置される。マーカー(69)はRA/SVC接合部(71)のちょうど上である。
【0036】
第一放射線不透過性マーカーを右心房及び上大静脈の接合部に位置するようにカテーテルを挿入したときに、先端が右心房の壁又は床に接触しないよう、第一放射線不透過性マーカーが遠位端に位置するように血管内カテーテルを形成してもよい。図14、15、及び16は、第一放射線不透過性マーカーを、右心房及び上大静脈の接合部に、又は同接合部に隣接して配置したときに、カテーテルの先端が右心房の壁又は床に接触しないことを示す。
【0037】
第一放射線不透過性マーカーが、第二放射線不透過性マーカーから放射線画像上、識別可能なように、第二放射線不透過性マーカーかよりも充分に放射線不透過性であるように、血管内カテーテルを形成してもよい。
【0038】
挿入に向けた遠位端が複数の内腔に分かれているように血管内カテーテルを形成してもよい。図17は、急性二重内腔カテーテルを示す。急性カテーテルは直線状及び硬質である。第一放射線不透過性マーカー(72)は、カテーテル(73)の最も近位の開口部に対して隣接して配置される。図18は、放射線不透過性マーカーを持つ急性三重内腔カテーテルを示す。急性カテーテルは、輸注及び採血に用いられる、三つ以上の内腔を有する。マーカー(74)は、カテーテル上の最も近位の側壁の穴(75)に対して隣接して配置される。第一放射線不透過性マーカーがタングステン、ヨウ素、鉛、又はバリウムから作製されているように血管内カテーテルを形成してもよい。
【0039】
第一放射線不透過性マーカーが点、線、又はZ型の形状であるように血管内カテーテルを形成してもよい。
【0040】
第一及び第二放射線不透過性マーカーが一緒になって、最も近位の開口部から先端まで連続して延びる、放射線画像上識別可能な線を形成しているように、血管内カテーテルを形成してもよい。図21は、最も近位の開口部から先端まで延びる、この放射線画像上識別可能な線を示すX線画像である。代替的には、カテーテル自体が、最も近位の開口部から先端まで放射線不透過性であってもよい。
【0041】
血管内カテーテルを標的内腔に挿入し、医薬を血管内カテーテルの内腔に注入し、該血管内カテーテルの内腔から身体の標的内腔に医薬を噴射させ、第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線撮像することで血管内カテーテルの位置を評価して、身体の標的内腔へ医薬を輸注してもよい。
【0042】
血管内カテーテルを血管系に進行させ、第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像により撮像することで血管内カテーテルの位置を評価することによって、ヒトの身体を処置するために血管内カテーテルを用いてもよい。
【0043】
血管内カテーテルのいずれかの部分を心臓の右心房中に進行させ、第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより血管内カテーテルの位置を評価することで、血管内カテーテルを用いて、ヒトの身体を処置してもよい。
【0044】
右心房と上大静脈との間の接合部位に血管内カテーテルの第一放射線不透過性マーカーが来るまで、カテーテルの先端を心臓の右心房に進行させ、第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより血管内カテーテルの位置を評価することで、血管内カテーテルを用いて、ヒトの身体を処置してもよい。
【0045】
血管系中に血管内カテーテルを進行させ、第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより血管内カテーテルの位置を評価することで、血管内カテーテルを用いてヒトに対して透析を行ってもよい。
【0046】
心臓の右心房に血管内カテーテルのいずれかの部分を進行させ、第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像により撮像することで、血管内カテーテルを用いてヒトに対して透析を行ってもよい。
【0047】
右心房と上大静脈との間の接合部位に血管内カテーテルの第一放射線不透過性マーカーが来るまで、カテーテルの先端を心臓の右心房に進行させ、第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより血管内カテーテルの位置を評価することで、血管内カテーテルを用いてヒトに対して透析を行ってもよい。
【0048】
放射線不透過性マーカーを導入した血管内カテーテルの具体的な実施態様の例をここで開示する:
【0049】
最も近位の開口部に放射線不透過性マーカーを持つ透析用カテーテル。
【0050】
最も近位の開口部に対して近位の放射線不透過性マーカーを持つ透析用カテーテル。
【0051】
二つ以上の放射線不透過性マーカーを持ち、そのうちの一つが、カテーテルの最も近位の開口部にあるか、又は該開口部に隣接する、透析用カテーテル。他方のマーカーはカテーテルの先端にあってもよい。付加的な位置決めマーカーはカテーテルに沿った位置にあってよい。代替的には、カテーテル自体が、最も近位の開口部から先端まで放射線不透過性であってもよい。
【0052】
カテーテルの各一つの上に位置決めマーカーを持つ二重カテーテル。
【0053】
先割れ型先端、食い違い型先端、対称型先端、及びいずれか他のカテーテル。
【0054】
ファレーシス(原語:pharesis)又は輸注治療法に用いることのできるカテーテル。
【0055】
クランプを持つカテーテル。
【0056】
接続管材料を持つカテーテル。
【0057】
患者の身体での内植及び固定を可能にする、ダクロン又は他の材料によるカフを持つカテーテル。
【0058】
急性カテーテル。
【0059】
湾曲した、又は予め湾曲させたカテーテル。
【0060】
急性ファレーシス(原語:pharesis)又は透析用の急性カテーテル。
【0061】
マーカーの具体的な実施態様の例には:
1. 放射線不透過性マーカーは、好ましくは、近位の開口部、そして、最も近位の開口部から最高1cmまでにあるか、あるいは、カテーテルの側壁の穴に位置していてもよい。
【0062】
2. マーカーは、近位の側壁の穴からカテーテル先端まで延びる線形であってもよい。
【0063】
3. マーカーは点の形状であってもよい。
【0064】
4. マーカーは、カテーテルを弱めないように、あるいはそれをより破壊可能でないように、配置されていてもよい。
【0065】
5. 近位の開口部のない透析用カテーテルの場合、マーカーは先端にあるか、又は先端近傍にあってもよい。
【0066】
6. マーカーは、急性の透析用及びファレーシス・カテーテル上に配置されていてもよい。
【0067】
7. 一つ又は複数のマーカーが、精確な配置がより精確になるように、カテーテル上の他の位置に配置されていてもよい。
【0068】
8. 一つ又は複数のマーカーが、右心房及び上大静脈など、解剖学的に特定された位置に操作者がそれらを精確に配置する助けとなるような位置に配置されていてもよい。
【0069】
9. 開口部は、円形、楕円形、四角又はダイヤモンド型に関係なく、いずれの形状又は形であってもよい。
【0070】
それらは小さいものから大きいものまで、いずれの大きさであってもよい。マーカーはこれらの開口部の一つに対してちょうど近位に配置されても、該開口部の一つに配置されても、又は該開口部の一つに対して隣接して配置されてもよい。
【実施例】
【0071】
実施例
以下は、急性及び慢性カテーテルを配置する手法例である。
【0072】
実施例1: 急性カテーテルの場合:
1. 静脈(1)に針(2)を到達させる(図23)。好ましくは超音波による案内があるとよい。好適な静脈は内頸静脈であるが、他の静脈も用いることができる。
【0073】
2. ワイヤ(3)を針を通じて進行させる(図24)。ワイヤは、蛍光顕微鏡による案内下で右心房(4)に進行させる。ワイヤは、更に下大静脈内にも進行させることができる。
【0074】
3. 針を取り除く。
【0075】
4. 拡張具をワイヤ上に進行させて、組織管を拡張させる。(随意)。
【0076】
5. 蛍光顕微鏡画像下で、カテーテル(7)をワイヤ(3)上から右心房(4)内に進行させる(図25)。
【0077】
6. マーカー(5)が右心房/上大静脈接合部(6)に来るようにカテーテルを配置する(図26)。複数のマーカーがある場合、最も上位のマーカーの上側を右心房/上大静脈接合部に配置する必要がある。
【0078】
7. カテーテルを皮膚に縫い付けて、その移動を防ぐ。
【0079】
実施例2: 慢性カテーテルの場合(最初の二つのステップは急性と同じ):
1. 静脈(1)に針(2)を到達させる(図23)。好ましくは超音波による案内下であるとよい。好適な静脈は内頸静脈であるが、他の静脈も用いることができる。
【0080】
2. ワイヤ(3)を針を通じて進行させる(図24)。ワイヤは、蛍光顕微鏡による案内下で右心房(4)に進行させる。ワイヤは、更に下大静脈内にも進行させることができる。
【0081】
3. 静脈到達部位(9)からカテーテルの皮膚脱出部位(10)まで皮下のトンネル(8)を作る(図27)。
【0082】
4. マーカー(12)を持つカテーテル(11)を、トンネル(8)を通じて皮下の静脈到達部位(9)まで進行させる(図28)。この慢性カテーテルは通常、上にカフ(13)を有する。
【0083】
5. 針を取り除く。
【0084】
6. 拡張具をワイヤ上に進行させて組織管を拡張させる。(随意)。
【0085】
7. 拡張具を取り除く。
【0086】
8. 引き剥がし可能な鞘をワイヤ上に進行させる(随意)。
【0087】
カテーテル(11)を引き剥がし鞘又はワイヤ(3)上のいずれかを通じて右心房内まで蛍光顕微鏡画像下で進行させる(図29)。
【0088】
10. マーカー(12)が右心房/上大静脈接合部(6)に来るようにカテーテルを配置する(図30)。複数のマーカーがある場合、最も上位のマーカーの上側を右心房/上大静脈接合部に配置する必要がある。
【0089】
11. カテーテルを皮膚に縫い付けてそれの移動を防ぐ。
【0090】
実施例3: 慢性カテーテルの代替的配置法(最初の二つのステップは急性と同じ):
1. 静脈(1)に針(2)を到達させる(図23)。好ましくは超音波による案内下であるとよい。好適な静脈は内頸静脈であるが、他の静脈も用いることができる。
【0091】
2. ワイヤ(3)を針を通じて進行させる(図24)。ワイヤは、蛍光顕微鏡による案内下で右心房(4)に進行させる。ワイヤは、更に下大静脈内にも進行させることができる。
【0092】
3. 針を取り除く。
【0093】
4. 拡張具をワイヤ上に進行させて組織管を拡張させる。(随意)。
【0094】
5. 拡張具を取り除く。
【0095】
6. 引き剥がし可能な鞘をワイヤ上に進行させる(随意)。
【0096】
7. マーカー(12)を持つカテーテル(11)を引き剥がし鞘又はワイヤ(3)上のいずれかを通じて右心房(4)内まで蛍光顕微鏡画像下で進行させる(図31)。
【0097】
8. 静脈到達部位(9)からカテーテルの皮膚脱出部位(10)まで皮下のトンネル(8)を作る(図32)。
【0098】
9. マーカー(12)を持つカテーテル(11)を静脈到達部位(9)から皮膚脱出部位(10)まで貫通させる(図33)。
【0099】
10. カテーテルをカテーテル・ハブに接続する。
【0100】
11. マーカー(12)がRA/SVC接合部(6)に来るようにカテーテル(11)を配置する(図34)。複数のマーカーがある場合、最も上位のマーカーの上側を右心房/上大静脈接合部に配置する必要がある。
【0101】
12. カテーテルを皮膚に縫い付けてそれの移動を防ぐ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入のための遠位端と、近位端とを含む血管内カテーテルであって、挿入のための前記遠位端が:
先端を末端に持ち;
少なくとも二つの開口部を規定し、前記開口部の一つは遠位端に最も近位であり;そして:
前記最も近位の開口部に個別に配置されると共に、遠位端の残りから前記最も近位の開口部を放射線画像上で区別する第一放射線不透過性マーカーと
前記先端の目印となる第二放射線不透過性マーカーと
を含む、血管内カテーテル。
【請求項2】
前記最も近位の開口部以外の開口部は、前記遠位端の残りから放射線画像上で区別可能ではない、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項3】
前記第一放射線不透過性マーカーと前記先端との間の位置には他に放射線不透過性マーカーが配置されていない、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項4】
前記遠位端が、前記第一及び第二放射線不透過性マーカー以外に放射線不透過性マーカーを含まない、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項5】
前記第二放射線不透過性マーカーが前記先端に個別に配置されている、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項6】
前記第二放射線不透過性マーカーが、カテーテル遠位端の全て又は実質的に全ての目印となる、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項7】
前記先端と前記第一放射線不透過性マーカーとの間の距離が、約1.5センチメートル乃至約5センチメートルの範囲の機能的カテーテル長を規定する、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項8】
前記機能的カテーテル長が約3センチメートルである、請求項7に記載の血管内カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルを患者に随意に配置したときに、前記第一放射線不透過性マーカーが患者の右心房と上大静脈との接合部に位置するように、前記第一放射線不透過性マーカーが前記遠位端に配置される、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項10】
前記第一放射線不透過性マーカーが右心房と上大静脈との接合部に位置するように前記カテーテルを挿入したときに、前記先端が右心房の壁面にも又は床にも接触しないように、前記第一放射線不透過性マーカーが前記遠位端に配置される、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項11】
前記第一放射線不透過性マーカーが、第二放射線不透過性マーカーから放射線画像上識別可能であるように第二放射線不透過性マーカーよりも充分に放射線不透過性である、請求項6に記載の血管内カテーテル。
【請求項12】
挿入のための前記遠位端が複数の内腔に分割されている、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項13】
前記第一放射線不透過性マーカーが、タングステン、ヨウ素、鉛、又はバリウムを含む、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項14】
前記第一放射線不透過性マーカーが、点、線、又はZ型の形状である、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項15】
前記先端が対称、食い違い型、尖頭型、ワイヤに向かって先細り型、又は先割れ型である、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項16】
前記第一及び第二放射線不透過性マーカーが、最も近位の開口部から前記先端まで連続して延びる、放射線画像上識別可能な線を一緒に形成する、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項17】
最も近位の開口部以外に、前記遠位端の残りから放射線画像上識別可能な少なくとも一つの開口部を成す第三放射線不透過性マーカーを更に含む、請求項1に記載の血管内カテーテル。
【請求項18】
請求項1の血管内カテーテルを血管系に進行させるステップと;
前記第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより、血管内カテーテルの位置を評価するステップと
を含む、ヒトの身体を処置する方法。
【請求項19】
請求項1の血管内カテーテルのいずれかの部分を心臓の右心房に進行させるステップと;
前記第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより、血管内カテーテルの位置を評価するステップと
を含む、ヒトの身体を処置する方法。
【請求項20】
請求項1の血管内カテーテルの先端を、血管内カテーテルの第一放射線不透過性マーカーが右心房と上大静脈との接合部に来るまで、心臓の右心房に進行させるステップと;
前記第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより、血管内カテーテルの位置を評価するステップと
を含む、ヒトの身体を処置する方法。
【請求項21】
請求項1の血管内カテーテルを血管系に進行させるステップと;
前記第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより、血管内カテーテルの位置を評価するステップと
を含む、ヒトに対して透析を行う方法。
【請求項22】
請求項1の血管内カテーテルのいずれかの部分を心臓の右心房に進行させるステップと;
前記第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより、血管内カテーテルの位置を評価するステップと
を含む、ヒトに対して透析を行う方法。
【請求項23】
請求項1の血管内カテーテルの先端を、血管内カテーテルの第一放射線不透過性マーカーが右心房と上大静脈との接合部に来るまで、心臓の右心房に進行させるステップと;
前記第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより、血管内カテーテルの位置を評価するステップと
を含む、ヒトに対して透析を行う方法。
【請求項24】
請求項1に記載の血管内カテーテルを標的内腔に挿入するステップと;
血管内カテーテルの内腔に薬剤を注入するステップと;
血管内カテーテルの内腔から、身体の標的内腔に薬剤を放出するステップと;
前記第一放射線不透過性マーカーの位置を放射線画像上で撮像することにより、血管内カテーテルの位置を評価するステップと
を含む、身体の標的内腔に薬剤を輸注する方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2013−513458(P2013−513458A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544666(P2012−544666)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/059998
【国際公開番号】WO2011/081859
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512154910)
【氏名又は名称原語表記】TAL,Michael, G.
【住所又は居所原語表記】24 Wensley Drive, Great Neck, NY 11021 (US).
【Fターム(参考)】