説明

位置監視システム、位置監視方法、および位置監視プログラム

【課題】位置監視対象に関する移動範囲の正否を効率的かつ正確に設定可能とする。
【解決手段】コンピュータ100が、各端末1から送信されてくる位置情報を受信し、該位置情報をエリア情報テーブルに照合して該当端末1の所在エリアを特定し記憶部101に格納する処理と、記憶部101に蓄積された所定端末1の各所在エリアの情報を読み出し、各エリアにおける該当端末の所在頻度の算定を行い、該所在頻度と所定基準とを比較し、所在頻度が所定基準以上のエリアを該当端末1における移動可能範囲として特定し記憶する処理と、端末1から送信されてきた最新の位置情報をエリア情報テーブルに照合して、該当端末1が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末1について記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定し、前記所在エリアが移動可能範囲に該当しない場合、監視対象に異常が生じたと判定し予め定めた所定手順を行う処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置監視システム、位置監視方法、および位置監視プログラムに関するものであり、具体的には、位置監視対象に関する移動範囲の正否を効率的かつ正確に設定可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
子供の迷子、高齢者の徘徊、物の盗難等を検知するための手法として、GPSや携帯電話基地局により測位ができる携帯端末を人に所持させたり、物に設置することにより、対象となる人や物の位置を監視する位置監視システムが提案されている。
【0003】
そうした従来技術としては、例えば、衛星測位を行い現在地点の緯度経度情報を検出する衛星測位手段と、無線通信を行う通信手段とを有し現在位置情報を送信可能な移動体端末装置と、 前記移動体端末装置から送信された位置情報を受信し、その位置情報に基づいて前記移動体端末装置の位置を監視するセンタ装置とを備えた移動体位置監視システムにおいて、 前記移動体端末装置は、発報のための少なくとも1つの発報エリアの情報を記憶し、前記衛星測位手段で検出された緯度経度情報に基づいて、自身が前記発報エリアに進入又は前記発報エリアから脱出した場合に、その情報を現在位置情報と共に前記無線手段を介して発報する手段を備えたことを特徴とする移動体位置監視システム(特許文献1参照)などが提案されている。
【0004】
また、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信部と、携帯電話基地局からの基地局信号を受信する受信部とを有し、受信した前記GPS信号および/または前記基地局信号に基づく測位信号を送信する、移動体が所持する携帯端末と、 前記携帯端末が送信する前記GPS信号および/または前記基地局信号に基づく測位信号を受信し、受信した前記測位信号に基づいて、前記移動体の位置情報を算出する位置情報算出センターと、 算出した前記位置情報に基づいて、前記移動体の住所位置情報を段階的に検索し、前記移動体の位置を監視する移動体監視センターとを備えた、移動体の位置監視システム(特許文献2参照)なども提案されている。
【0005】
また、GPS衛星の信号を利用して現在位置の測位を行うためのGPS信号処理部を備えた移動情報端末の移動範囲に関する特定の領域である行動エリアを所定の基地局との関連によって設定し、当該移動情報端末が該設定された行動エリア内に位置しているか否かを該当する基地局とこの移動情報端末との交信に基づいて弁別し、該移動情報端末の所在位置が前記行動エリアを逸脱していると弁別されたときには、前記GPS信号処理部による測位によって該移動情報端末の位置を検出することを特徴とする移動情報端末位置監視方法(特許文献3参照)なども提案されている。
【0006】
また、子供が1人になってしまった場合でも事件や事故に巻き込まれてしまうことを未然に防ぐ自動通報システム(特許文献4参照)や、監視対象の移動体端末の動きを的確に監視することができ、異常な動きを早期に検知することができる監視システム(特許文献5参照)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−14592号公報
【特許文献2】特開2002−209245号公報
【特許文献3】特開2007−134760号公報
【特許文献4】特開2008−234314号公報
【特許文献5】特開2008−252798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、携帯端末を携行する人やモノが異常事態(迷子や盗難など)に陥る一方で、その状況を自ら判断して通知等を行うことができない場合において、従来技術のように、携帯端末の現在位置に基づいて監視センタ側で異常検知をし、所定利用者への連絡や迅速な捜索対応などにつなげることは可能である。
【0009】
しかしながら、そうした従来の位置監視に際して高い確度で異常を検知するためには、各監視対象毎に問題ない移動範囲について適切な事前設定が必要となってくる。適切な事前設定がなされていない場合、問題ない位置に所在する人やモノに関して頻繁にアラートをあげたり、或いは捜索対応を開始したりと、ユーザにとっても監視センタにとっても煩雑で非効率な状況を生み出しかねない。
【0010】
ところが、ユーザが監視対象となる人や物の移動パターンを正確に把握した上で、上記の移動範囲を事前定義することは非常に困難である。従って従来は、適宜な事前設定が無い状態で位置監視が行われることになり、不必要なアラートや捜索対応等の頻発に由来する課題は残されたままとなっている。
【0011】
そこで本発明の目的は、位置監視対象に関する移動範囲の正否を効率的かつ正確に設定可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の位置監視システムは、監視対象に付帯する端末からその位置情報を得て、前記監視対象が移動可能範囲に所在するか監視するコンピュータシステムであって、端末と通信する通信部と、所定の監視地域を区分した各エリアの情報を記憶したエリア情報テーブルを格納した記憶部と、各端末から送信されてくる位置情報を受信し、該位置情報を前記エリア情報テーブルに照合して該当端末の所在エリアを特定し記憶部に格納する処理と、記憶部に蓄積された所定端末の各所在エリアの情報を読み出し、各エリアにおける該当端末の所在頻度の算定を行い、該所在頻度と所定基準とを比較し、所在頻度が所定基準以上のエリアを該当端末における移動可能範囲として特定し記憶部に記憶する処理と、端末から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定し、前記所在エリアが移動可能範囲に該当しない場合、監視対象に異常が生じたと判定し予め定めた所定手順を行う処理を実行する演算部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の位置監視方法は、監視対象に付帯する端末からその位置情報を得て、前記監視対象が移動可能範囲に所在するか監視すべく、端末と通信する通信部と、所定の監視地域を区分した各エリアの情報を記憶したエリア情報テーブルを格納した記憶部を備えるコンピュータが、各端末から送信されてくる位置情報を受信し、該位置情報を前記エリア情報テーブルに照合して該当端末の所在エリアを特定し記憶部に格納する処理と、記憶部に蓄積された所定端末の各所在エリアの情報を読み出し、各エリアにおける該当端末の所在頻度の算定を行い、該所在頻度と所定基準とを比較し、所在頻度が所定基準以上のエリアを該当端末における移動可能範囲として特定し記憶部に記憶する処理と、端末から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定し、前記所在エリアが移動可能範囲に該当しない場合、監視対象に異常が生じたと判定し予め定めた所定手順を行う処理とを実行することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の位置監視プログラムは、監視対象に付帯する端末からその位置情報を得て、前記監視対象が移動可能範囲に所在するか監視すべく、端末と通信する通信部と、所定の監視地域を区分した各エリアの情報を記憶したエリア情報テーブルを格納した記憶部を備えるコンピュータに、各端末から送信されてくる位置情報を受信し、該位置情報を前記エリア情報テーブルに照合して該当端末の所在エリアを特定し記憶部に格納する処理と、記憶部に蓄積された所定端末の各所在エリアの情報を読み出し、各エリアにおける該当端末の所在頻度の算定を行い、該所在頻度と所定基準とを比較し、所在頻度が所定基準以上のエリアを該当端末における移動可能範囲として特定し記憶部に記憶する処理と、端末から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定し、前記所在エリアが移動可能範囲に該当しない場合、監視対象に異常が生じたと判定し予め定めた所定手順を行う処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位置監視対象に関する移動範囲の正否を効率的かつ正確に設定可能とできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の位置監視システムを含むネットワーク構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の携帯端末情報テーブルの構成例を示す図である。
【図3】本実施形態のエリア情報テーブルの構成例を示す図である。
【図4】本実施形態におけるエリアの定義例を示す図である。
【図5】本実施形態の位置情報履歴テーブルの構成例を示す図である。
【図6】本実施形態のエリア頻度テーブルの構成例を示す図である。
【図7】本実施形態における位置監視方法の処理手順例を示すフロー図である。
【図8】本実施形態における頻度のカウント例を示す図である。
【図9】本実施形態における頻度による移動可能範囲の設定例を示す図である。
【図10】本実施形態における端末操作による移動可能範囲の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の位置監視システム100を含むネットワーク構成図である。図1に示す位置監視システム100(以下、システム100)は、位置監視対象に関する移動範囲の正否を効率的かつ正確に設定可能とするとするコンピュータシステムであり、一例として、顧客に位置監視サービスを提供する各種企業、団体等が管理するサーバ装置を想定できる。
【0018】
本実施形態では、監視対象となる人に所持されたり、監視対象となる物に設置される携帯端末1と、当該携帯端末1から発信される位置情報を受信してその位置を監視する前記システム100とが通信可能に結ばれたネットワーク構成となっている。
【0019】
前記携帯端末1は、GPS衛星5や基地局2により自端末の位置(例:緯度、経度)を測位することができ、移動体通信網3との無線通信やネットワーク120における有線通信を介してシステム100と通信することができる。この携帯端末1は、専用に開発された端末はもちろん、携帯電話機やスマートフォンなどであってもよく、前記システム100との通信を実施する通信機能の他、携帯端末保持者に対して情報表示ができる表示装置、携帯端末保持者が入力を行える入力装置といったユーザインタフェースを具備している。
【0020】
一方、前記システム100のハードウェア構成は以下の如くとなる。前記システム100は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶装置で構成される記憶部101、RAMなど揮発性記憶装置で構成されるメモリ103、前記記憶部101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出して実行することで必要な機能部を実装すると共に、装置自体の統括制御を行なうCPUなどの演算部104、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力部105、ネットワーク120と接続し携帯端末1らとの通信処理を担う通信部106、を備える。なお、記憶部101内には、本実施形態の位置監視システムとして必要な機能を実装する為のプログラム102と、携帯端末情報テーブル125、エリア情報テーブル126、位置情報履歴テーブル127、およびエリア頻度テーブル128が少なくとも記憶されている。
【0021】
続いて、本実施形態の位置監視システム100が備える機能について説明する。上述したように、以下に説明する機能は、例えば前記システム100が備えるプログラム102を実行することで実装される。
【0022】
前記システム100は、各携帯端末1から送信されてくる位置情報を前記通信部106を介して受信し、該位置情報をエリア情報テーブル126に照合して該当携帯端末1の所在エリアを特定し記憶部101の位置情報履歴テーブル127に格納する機能を備える。
【0023】
また、前記システム100は、記憶部101の位置情報履歴テーブル127に蓄積された所定携帯端末1の各所在エリアの情報を読み出し、各エリアにおける該当携帯端末1の所在頻度の算定を行い、該所在頻度と所定基準とを比較し、所在頻度が所定基準以上のエリアを該当携帯端末1における移動可能範囲として特定し記憶部101に記憶する機能を備える。
【0024】
また、前記システム100は、携帯端末1から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブル126に照合して、該当携帯端末1が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当携帯端末1について記憶部101に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定し、前記所在エリアが移動可能範囲に該当しない場合、監視対象に異常が生じたと判定し予め定めた所定手順を行う機能を備える。
【0025】
なお、前記システム100は、所定エリアに関し、位置情報を記憶部101の位置情報履歴テーブル127に蓄積し前記所在頻度の算定対象エリアとするか、および前記最新の位置情報に対応するエリアが移動可能範囲に該当するか否かの判定対象エリアか、につき携帯端末1から指定を受け付けて、該当携帯端末1に対応付けて記憶部101に記憶する機能を備えるとすれば好適である。
【0026】
この場合、前記システム100は、携帯端末1から送信されてくる位置情報をエリア情報テーブル126に照合して、該当携帯端末1が所在する所在エリアを特定し、該特定した所在エリアが、該当携帯端末1について記憶部101に記憶した前記算定対象エリアおよび前記判定対象エリアに該当する場合に、前記所在エリアの情報を記憶部101の位置情報履歴テーブル127に格納し、前記所在エリアが、該当携帯端末1について記憶部101に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定することとなる。
【0027】
また、前記システム100は、携帯端末1から送信されてくる位置情報をエリア情報テーブル126に照合して、該当携帯端末1が所在する所在エリアを特定し、該特定した所在エリアが、該当携帯端末1について記憶部101に記憶した前記算定対象エリアに該当する一方、前記判定対象エリアに該当しない場合、前記所在エリアの情報を記憶部101の位置情報履歴テーブル127に格納し、前記所在エリアが、該当携帯端末1について記憶部101に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定しない、とすれば好適である。
【0028】
また、前記システム100は、前記所在エリアが前記移動可能範囲に該当するか判定した結果、前記所在エリアが移動可能範囲に該当せず、監視対象に異常が生じたと判定した場合、該当携帯端末1に対し、通信部106を介して異常有無に関する確認要求の通知を送信し、該当携帯端末1より異常なしとの応答が得られない場合に、予め定めたアドレスへのアラートの出力を行う機能を備える。
【0029】
また、前記システム100は、前記該当携帯端末1に対し、通信部106を介して異常有無に関する確認要求の通知を送信し、該当携帯端末1より異常なしとの応答が得られた場合、前記該当携帯端末1に関して、前記所在エリアを一定時間だけ有効な一時的な移動可能範囲として記憶部101に情報を記憶する機能を備えるとすれば好適である。
【0030】
この場合、前記システム100は、携帯端末1から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブル126に照合して、該当携帯端末1が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当携帯端末1について記憶部101に記憶した前記一時的な移動可能範囲に該当する場合、監視対象に異常が生じていないと判定する。
【0031】
−−−データ構造例−−−
次に、本実施形態の前記システム100が用いるテーブルにおけるデータ構造例について説明する。前記記憶部101には、携帯端末1と通信するための情報や携帯端末1の利用者の情報を格納する携帯端末情報テーブル125と、エリアの定義を格納するエリア情報テーブル126と、携帯端末1の位置情報の履歴を格納する位置情報履歴テーブル127と、携帯端末1の過去の所在位置が各エリアに属した頻度を記憶しておくエリア頻度テーブル128が格納されている。以下、各テーブルについて構成例を示す。
【0032】
図2に、前記携帯端末情報テーブル125の構成例を示す。携帯端末情報テーブル125は、各携帯端末1に一意に割り当てられた端末識別子31−1と、MDN等の携帯端末固有の情報、通信プロトコル等の携帯端末1と通信するための情報、および携帯端末1の最新位置が含まれる端末情報31−2と、利用者の氏名、住所、連絡先等の利用者に関する情報である利用者情報31−3と、監視に関する設定の情報である監視設定情報31−4と、レコードの更新日時である携帯端末情報更新日時31−5を含むレコードの集合体である。なお、前記監視設定情報31−4は、以降、所定エリアに関し発生する位置情報を所在頻度の算定対象とするか否かを示す頻度対象設定フラグ、以降、所定エリアに関し発生する位置情報を異常/正常の判定対象とするか否かを設定する監視設定フラグ、および前記所在頻度に関する閾値(所定基準)といった情報を含んでいる。
【0033】
図3にエリア情報テーブル126の構成例を示す。エリア情報テーブル126は、前記システム100が監視領域とする地域について、例えば一定面積毎に区画したエリアに関する定義情報を格納したテーブルとなる。本実施形態では、一例として、前記エリアが矩形領域である例を想定している。勿論、エリアの形状についてはこれに限定せず、状況や必要性に応じて様々な形状のものを採用できる。
【0034】
当該エリア情報テーブル126は、各エリアに一意に割り当てられたエリア識別子32−1と、各エリアにおける始点(例:矩形領域のうち左上角の頂点)の緯度、経度である始点位置32−2、各エリアの終点(例:矩形領域のうち右下角の頂点)の緯度・経度である終点位置32−3と、レコードの更新日時であるエリア情報更新日時32−4を含んだレコードにより構成されている。
【0035】
図4にて本実施形態におけるエリア定義の例を示している。図中の升目状に分割された個々の矩形がエリアであり、所定間隔の緯度と経度により区切られた領域となっている。図左下端のエリアは、始点の緯度・経度の座標が(X0,Y0)、終点の緯度・経度の座標が(X1,Y1)であり、緯度XがX0≦X<X1かつ経度YがY0≦Y<Y1を満足する位置情報すなわち座標(X,Y)が当該エリアに属することになる。以下、座標が(Xn,Yn)である位置をP(Xn,Yn)と記載し、始点がP(Xs,Ys)で終点がP(Xe,Ye)であるエリアをA((Xs,Ys),(Xe,Ye))と記載する。
【0036】
なお、エリア情報テーブル126において、各エリアのレコードは、自エリアを含む複数の下位エリアで構成される上位エリアの情報も含むものとし、エリアが階層構造をもっているとしてもよい。例えば、前記システム100が位置情報をエリア情報テーブル126に照合して該当エリアを特定する際、まずは該当位置情報が範囲に含まれる上位エリアを特定し、下位エリアの候補をいくつかに絞り込み、その上で各下位エリアの情報と位置情報との照合を行って該当エリアの特定を行うとすれば、エリアが多数存在する状況であってもエリア特定の処理速度を良好なものとできる。
【0037】
図5に位置情報履歴テーブル127の構成例を示す。位置情報履歴テーブル127は、位置情報を送信してきた携帯端末1の識別子であり、前記携帯端末情報テーブル125と共通である端末識別子33−1と、携帯端末1の測位した位置情報たる緯度・経度を示す測位位置33−2と、測位位置33−2が属するエリアの識別子であり、前記エリア情報テーブル126と共通であるエリア識別子33−3と、当該位置情報を所在頻度の計算対象にするか否か設定された頻度対象フラグ33−4と、エリア識別子33−3の該当エリアを所定の時間中においてそれまでの所在頻度に関わらず移動可能範囲とするか否か設定された非監視フラグ33−5と、レコードの更新日時である位置情報履歴更新日時33−6を含むレコードの集合体である。
【0038】
図6にエリア頻度テーブル128の構成例を示す。エリア頻度テーブル128は、対応する携帯端末1の識別子であり、前記携帯端末情報テーブル125と共通である端末識別子34−1と、所在頻度を計算したエリアの識別子であり、前記エリア情報テーブル126と共通であるエリア識別子34−2と、所在頻度の値であるエリア頻度34−3と、レコードの更新日時であるエリア頻度更新日時34−4を含むレコードの集合体である。
【0039】
−−−処理手順例−−−
以下、本実施形態における位置監視方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する位置監視方法に対応する各種動作は、前記システム100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0040】
図7は、本実施形態における位置監視方法の処理手順例を示すフロー図である。ここでは、前記システム100における処理に加えて、携帯端末1での処理についても述べておく。まず、携帯端末1の管理者等は、必要な情報を前記システム100の記憶装置101に登録しておく必要がある。必要な情報とは、前記携帯端末情報テーブル125における、携帯端末1を特定し通信するために必要な情報(例:端末識別子、MDN等の携帯端末固有の情報、通信プロトコル等の情報)や、利用者に関する情報(例:氏名、住所、連絡先等)である。また、この必要な情報に、エリア情報テーブル126における、エリアの定義に関する情報(例:エリア識別子、始点、終点の位置等)が含まれるとしてもよい。その場合、エリア定義自体も携帯端末1のユーザ等が設定することになる。勿論、エリアの定義についてはデフォルトで決まっていて、携帯端末1のユーザによる設定は必要無いとしてもよい。
【0041】
携帯端末1は、こうした必要な情報のユーザ入力を適宜な入力装置(キーボード等)で受け、該当情報を含む登録要求を、上述した基地局2、移動体通信網3、およびネットワーク120を介して前記システム100に送る(s100)。
【0042】
一方、前記システム100は通信部106を介して前記登録要求を受信し、例えば、該登録要求が含む携帯端末1に関する情報を、携帯端末情報テーブル125に登録する(s101)。勿論、こうした情報の登録処理だけでなく、情報の検索、更新、削除といった要求を携帯端末1から前記システム100に送り、これにシステム100が対応することも出来る。
【0043】
その後、携帯端末1は、前記システム100からの周期的な要求に応じて、または所定周期で自律的に、自らの位置をGPS衛星5や基地局2により測位し、前記移動体通信網3およびネットワーク120を介して、前記測位した位置(緯度・経度)を含む位置情報をシステム100に送信する(s102)。
【0044】
一方、システム100は前記通信部106を介して、前記ネットワーク120から前記携帯端末1の位置情報を受信する(s103)。また前記システム100は、前記ステップs103で受信した位置情報が示す、前記携帯端末1の位置P(Xn、Yn)の情報を前記エリア情報テーブル126に照合し、前記位置Pがどのエリアに属するか特定する(s104)。このとき前記システム100は、エリア情報テーブル126を参照し、Xs≦Xn<XeかつYs≦Yn<Yeを満足するエリアA((Xs,Ys),(Xe,Ye))を特定することとなる。
【0045】
続いて前記システム100は、前記位置情報に含まれる携帯端末固有の情報(例:端末識別子)を携帯端末情報テーブル125に照合して携帯端末1がどの端末であるか特定し、該当携帯端末1の端末識別子31−1、端末情報31−2、利用者情報31−3、監視設定情報31−4、携帯端末情報更新日時31−5の各情報を取得する(s105)。ここで前記システム100は、前記取得した端末情報31−2内の最新位置を前記P(Xn、Yn)に、携帯端末情報更新日時31−5を現在時刻に更新する(s106)。
【0046】
また前記システム100は、前記ステップs104で特定した位置Pの所属エリアに関して、前記ステップs105で取得した監視設定情報31−4の監視設定フラグが「ON」であるか「OFF」であるか参照する(s107)。監視設定フラグは、初期設定後も携帯端末保持者が携帯端末1を操作することで適時設定変更可能であり、以降の位置情報に対して前記システム100による異常/正常判定の監視を実施するかを決定するフラグである。前記監視を行わず位置情報の蓄積のみを行う試用期間を設けたり、旅行等で通常は行かない場所に行くことが予め判明している場合に、前記監視設定フラグを「OFF」にして前記監視を実施しないといった運用ができる。
【0047】
監視設定フラグがデフォルトの「ON」であって前記監視を実施する場合(s107:YES)、記憶部101に該当監視対象に関する移動可能範囲の情報が格納されている状況(例:前記システム100が過去に位置情報を受信して移動可能範囲を決定しているか、ユーザの初期設定によって移動可能範囲が決定されている)であって、前記システム100は処理をs108に進める。他方、監視設定フラグが「OFF」で前記監視を実施しない場合(s107:NO)、前記システム100は処理をステップs121に進める。
【0048】
前記監視を実施する場合、前記システム100は、位置情報履歴テーブル127において、前記ステップs105で得ている端末識別子31−1をキーに当該携帯端末1の位置情報の履歴を検索する(s108)。ここでの検索対象となる位置情報の履歴は、過去の位置情報の受信に際して、後述するステップs118、s119、s122、s123のいずれかの処理で登録されたものである。
【0049】
前記システム100は、前記ステップs108での検索結果である履歴群より、同一エリアごとに対応レコードを抽出し、前記ステップs104で特定したエリアに関する情報(最新の位置情報に対応)と合わせてその総数をカウントし、携帯端末1の過去の所在位置が各エリアに属した所在頻度を計算する(s109)。当然ながら、まだ位置監視を開始して間もないために全エリアについて位置情報の蓄積が皆無である場合や、或いは過去に一度も位置情報の蓄積が無いエリアについて頻度算定を行う場合、前記ステップs108の検索によって履歴群は検索できず、前記ステップs104で特定したエリアに関する情報(最新の位置情報に対応)の件数が前記総数となる。なお、計算した所在頻度は、次回の計算の処理負荷を軽減するためにエリア頻度テーブル128における該当エリアのレコードに格納しておく。
【0050】
図8は、子供の通学を例とした所在頻度のカウント例を示す図である。図中の丸印80は、通学時間中において、前記システム100が子供の所持する携帯端末1から周期的に受信した位置情報が示す所在位置であり、矢印の方向に順次遷移していく様を示している。また、図中におけるエリア内に付した数字は、数字の記載されたエリアに関して算定した所在頻度の値を示している。図の例では、前記システム100は所定時間中に位置情報を8回受信しており、そのうち、A((X2,Y1)(X3、Y2)のエリア81に属する位置情報は2回受信しており、従って当該エリア81に関する所在頻度は「2」とカウントされる。同様にカウントすると、所在頻度が「1」のエリアが、エリア82〜87の6つあり、他のエリアの所在頻度は「0」となる。
【0051】
次に、前記システム100は、前記ステップs109で算定した各エリアの所在頻度に基づいて、携帯端末1の移動可能範囲を決定し、その情報を記憶部101に格納する(s110)。この決定には、前記ステップs109で算定した各エリアの所在頻度と監視設定情報31−4に含まれる閾値を使用する。1つの方法として、所在頻度が閾値以上となるエリア群を移動可能範囲と判定する方法がある。例えば、前記閾値が「1」などと明確に設定されており、過去に移動したことのあるエリアは移動可能範囲とするといった運用時に採用する。例えば、前記ステップs108での検索の結果、あるエリアに関して蓄積されたレコードは無く、前記ステップs104で特定したエリアに関する情報(最新の位置情報に対応)1件のみが処理対象であった場合、該当エリアの所在頻度は「1」となり、それまでは移動可能範囲ではなかったが、最新の移動情報を受信したことで、前記エリアは閾値「1」を達成して移動可能範囲となる。或いは別の方法として、所定期間中に監視対象がエリアに所在した確率を頻度ととらえ、これと閾値とを比較し、前記確率が閾値以上となるエリア群を移動可能範囲とする方法がある。例えば、過去1ヶ月間に該当監視対象に関して受信した位置情報が30件で、そのうち3件が或るエリアに関するものであったとすれば、該当エリアに前記監視対象が所在した確率は、10パーセントとなる。閾値が5パーセントである時、前記エリアは閾値である5パーセント以上の確率で監視対象が所在したことになり、つまり移動可能範囲と判定できる。移動可能範囲の判定処理は、前記システム100が携帯端末1より位置情報を受信した件数が一定数に達する毎に実行するとすれば好適である。
【0052】
図9は、A((X1,Y1)(X2、Y2))のエリア82に住んでいて、A((X2,Y4)(X3、Y5))のエリア87にある学校に通う子供を想定した場合の、移動可能範囲例を示す図である。また、A((X4,Y3)(X5、Y4))のエリア88には友人の家があるとする。図中の数字は、数字の記載されたエリアに関して算定した所在頻度の値を示す。子供が自宅、学校、友人の家とその間にいることが多い例である。ここで、所在頻度の閾値を「30」とすると、図中の白色エリア90(破線で囲った領域に含まれるエリア群)が移動可能範囲となる。移動可能範囲のエリアに挟まれているA((X4,Y2)(X5、Y3))のエリア89は手動による設定だと移動可能範囲としそうなところであるが、例えば実際は工事中で立ち入り禁止である場合など、位置情報の履歴が全く得られないエリアであって、そもそも移動してはいけない範囲(すなわち移動可能範囲外)として前記システム100が自動的に決定することができる。ここまでの処理により、移動可能範囲が決定されることになる。
【0053】
次に、前記システム100は、前記ステップs104で特定したエリアが上記移動可能範囲に該当するか判定し、該当監視対象に関して監視結果の異常/正常を判定する(s111)。この監視結果は記憶部101に保持する。前記ステップs111の結果、「異常」と判定した場合(s111:YES)、前記システム100は処理をステップs112に、一方、「正常」と判定した場合(s111:NO)、処理をステップs121に進める。
【0054】
前記ステップs111で「異常」と判定した場合、前記システム100は、位置情報履歴テーブル127にて、前記位置情報についてステップs105で得ているものと同一の端末識別子33−1、同一のエリア識別子33−3、かつ非監視フラグ33−5が「ON」であるレコードを検索する(s112)。
【0055】
この検索により、該当レコードが検索できた場合(s112:YES)、前記システム100は、前記ステップs104で特定したエリアについて、「現在時刻より所定時間以内の過去の時点で得た該当エリアの位置情報について、監視結果が「異常」とはなったが、携帯端末保持者の携帯端末1の操作により問題ないことが確認され、非監視フラグ33−5を「ON」としたエリア」であると認識する。その場合、前記システム100は、当該エリアを無条件に移動可能範囲とすることで、頻繁な確認メッセージ(ステップs120で後述)の送信を抑止して、使い勝手を向上することができる。所定時間とは、ある一定の時間であったり、日付であったりする。このように前記ステップs112にて、該当レコードが検索できた場合(s112:YES)、前記システム100は処理をステップs121、検索出来なかった場合(s112:NO)、処理をs113に進める。
【0056】
前記ステップs112で該当レコードが検索できなかった場合、前記システム100は、携帯端末1に確認メッセージを表示させる要求(異常有無に関する確認要求の通知)を送信する(s113)。この要求は、位置情報と同様の経路を逆に辿って前記システム100から携帯端末1に送信される。また確認メッセージの内容は、「現在の位置が異常と判定されたが実際に問題が発生しているか」、を確認するメッセージである。この確認メッセージは携帯端末1の表示部に表示され、携帯端末保持者に問題の有無について入力部に入力するよう促すものとなる。前記確認メッセージに応じて、携帯端末保持者が入力を行った場合、もしくは入力待ちが所定時間を超えタイムアウトした場合、携帯端末1は前記システム100に宛てて、前記確認メッセージに対する応答を送信する(s114)。
【0057】
一方、前記システム100は、前記携帯端末1から、前記位置情報と同様の経路と手段で前記応答を受信する(s115)。また前記システム100は、前記携帯端末1からの前記応答が示す問題有無の情報(例えば、「問題あり」ないし「問題なし」とのテキストの有無や、所定欄へのチェックスやフラグの設定など)を確認し、問題がないことを確認できた場合(s116:NO)、処理をステップs117に、他方、問題がある場合や入力がタイムアウトした場合(s116:YES)、処理をステップs120に進める。
【0058】
前記ステップs116で問題がないことを確認できた場合、前記システム100は、前記エリアに関して、前記ステップs111で記憶部101に保持していた監視結果を「正常」に変更するとともに、前記携帯端末情報テーブル125において、該当携帯端末1に関する監視設定情報31−4の頻度対象設定フラグが「ON」であるか「OFF」であるかを参照する(s117)。頻度対象設定フラグは、初期設定後も携帯端末保持者が携帯端末1を操作することで適時設定変更可能であり、以降の位置情報の履歴をエリアの所在頻度の計算対象とするか決定するフラグである。このフラグはエリアを指定して設定されている場合、該当エリアに関して位置情報を受信した際に所在頻度の計算対象か否か判定する基準となり、エリアの指定無く設定されている場合、該当携帯端末1に関して一定期間に位置情報を受信した際に所在頻度の計算対象か否か判定する基準となる。例えば、旅行に伴う移動先であり、通常は行くことがないエリアについては、その位置情報を前記システム100が受信しても、移動可能範囲の元となる所在頻度の計算対象にしないよう、携帯端末保持者は前記頻度対象設定フラグを「OFF」にするといった設定が可能である。或いは、旅行期間が決まっている場合、その期間中に前記システム100が受信した全ての位置情報を、移動可能範囲の元となる所在頻度の計算対象にしないよう、携帯端末保持者は有効期限を付与して前記頻度対象設定フラグを「OFF」にするといった設定が可能である。
【0059】
前記ステップs117で頻度対象設定フラグが「OFF」であった場合(s117:NO)、前記システム100は、当該位置情報のレコードにおいて頻度対象フラグ33−4を「OFF」にして前記所在頻度の計算対象とならないよう設定し、また非監視フラグ33−5を「ON」にして前記エリア識別子33−3のエリアが所定時間の間は所在頻度に関わらず移動可能範囲となるよう設定し、前記位置情報を位置情報履歴テーブル127に登録する(s118)。
【0060】
他方、前記ステップ117で頻度対象設定フラグが「ON」であった場合(s117:YES)、前記システム100は、当該位置情報のレコードにおいて頻度対象フラグ33−4を「ON」にして所在頻度の計算対象となるよう設定し、また非監視フラグ33−5も「ON」にしてエリア識別子33−3のエリアが所定時間の間は所在頻度に関わらず移動可能範囲となるよう設定し、前記位置情報を位置情報履歴テーブル127に登録する(s119)。
【0061】
なお、前記システム100は、所定時間が過ぎた後に、位置情報履歴テーブル127における前記非監視フラグ33−5が「ON」の前記レコードについて、非監視フラグ33−5を「OFF」に戻す周期処理を行う。
【0062】
図10は、携帯端末保持者による携帯端末1の操作で移動可能範囲が変更される例を示す図である。図9と同様のケースにおいて、通学時に移動可能範囲を逸脱し、A((X4,Y5)(X5、Y6))のエリアZに所用で立ち寄った場合を示す図である。図中の数字は、数字の記載されたエリアの所在頻度の値を示し、所在頻度の閾値を「30」とする。A((X4,Y5)(X5、Y6))のエリアZは所在頻度から移動可能範囲外となるため、携帯端末1が該当エリアに移動すると前記監視により「異常」と判定され、当該携帯端末1に前記確認メッセージが表示されることになる。ここで、携帯端末保持者が、前記携帯端末1にて問題がないことを入力すると、その旨が携帯端末1から前記システム100に返信される。この場合、前記システム100は前記非監視フラグ33−5を「ON」として位置情報のレコードを位置情報履歴テーブル127に登録することになる。その結果、所定の時間内において、A((X4,Y5)(X5、Y6))のエリアZは無条件に移動可能範囲となり、塗りつぶされていない移動可能範囲90は図9の状態から図10の状態に一定時間変更される。
【0063】
一方、前記ステップs116で、問題があった場合や入力がタイムアウトした場合、前記システム100は、例えば、出力部105に当該携帯端末1の位置監視に際して異常が発生した情報を表示するか、或いは所定の保護者の端末に電子メールや所定のメッセージを前記携帯端末1の最新位置とともに送信する(s120)。前記システム100の操作者、すなわち監視センタの管理者等は、前記出力部105での表示情報に基づいて携帯端末情報テーブル125を検索し、該当携帯端末1の利用者に関する、住所、氏名、連絡先、最新位置の各情報を取得し、監視対象の保護者に連絡したり、警察に最新位置を伝え捜索依頼を行うことができる。
【0064】
続いて、前記システム100は、前記携帯端末情報テーブル125において、該当携帯端末1に関する監視設定情報31−4の頻度対象設定フラグが「ON」であるか「OFF」であるか参照する(s121)。
【0065】
前記ステップs121の結果、前記頻度対象設定フラグが「OFF」であった場合(s121:NO)、前記システム100は、当該位置情報のレコードにおいて頻度対象フラグ33−4を「OFF」にして所在頻度の計算対象とならないよう設定し、また非監視フラグ33−5は「OFF」に設定し、前記位置情報を位置情報履歴テーブル127に登録する(s122)。
【0066】
一方、前記ステップs121の結果、前記頻度対象設定フラグが「ON」であった場合(s121:YES)、前記システム100は、当該位置情報のレコードにおいて頻度対象フラグ33−4を「ON」にして所在頻度の計算対象となるよう設定し、また非監視フラグ33−5は「OFF」に設定し、前記位置情報を位置情報履歴テーブル127に登録する(s123)。
【0067】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0068】
こうした本実施形態によれば、位置監視において正常/異常判定に使用する移動可能範囲について、端末すなわち監視対象における実際の移動履歴に基づいた行動パターン、実空間の物理的な制約などを正確に反映したものを、自動設定することが出来る。例えば、当初想定している主たる行動範囲が自宅と最寄り駅との間の往復経路といった監視対象であっても、しばらく後に立ち寄り先が増えたり、或いは隣接する別経路を使用するようになる事態は通常でもよくありうる。しかし、監視対象本人にもそうした行動に関し全て予測を行うことは非常に困難である。すなわち、移動可能範囲の初期設定を正確に行うことは難しく、またその後の変化に確実に対応することも手間の点から言っても困難である。
【0069】
しかしこうした状況にあっても、本実施形態の位置監視システムであれば柔軟かつ確実に対応して、移動可能範囲を正確に設定することが可能である。このように、移動可能範囲について適切な設定がなされることで、問題ない位置に所在する人やモノに関して頻繁にアラートをあげたり或いは捜索対応を開始したりと、ユーザにとっても監視側にとっても煩雑で非効率な状況を回避することができる。ひいては、通常移動する位置=移動可能範囲外に移動した監視対象についてシステム側で検知し、異常事態の発生を確実かつ効率的に特定することにつながる。加えて、監視対象の保護者等への連絡や警備機関等による捜索などの迅速化につなげることもできる。
【0070】
したがって、位置監視対象に関する移動範囲の正否を効率的かつ正確に設定可能とできる。
【0071】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、前記位置監視システムにおいて、前記演算部は、所定エリアに関し、位置情報を記憶部に蓄積し前記所在頻度の算定対象エリアとするか、および前記最新の位置情報に対応するエリアが移動可能範囲に該当するか否かの判定対象エリアか、につき端末から指定を受け付けて、該当端末に対応付けて記憶部に記憶する処理を実行し、端末から送信されてくる位置情報をエリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該特定した所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記算定対象エリアおよび前記判定対象エリアに該当する場合に、前記所在エリアの情報を記憶部に格納し、前記所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定する、ものであるとしてもよい。
【0072】
また前記位置監視システムにおいて、前記演算部は、端末から送信されてくる位置情報をエリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該特定した所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記算定対象エリアに該当する一方、前記判定対象エリアに該当しない場合、前記所在エリアの情報を記憶部に格納し、前記所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定しない、としてもよい。
【0073】
また前記位置監視システムにおいて、前記演算部は、前記所在エリアが前記移動可能範囲に該当するか判定した結果、前記所在エリアが移動可能範囲に該当せず、監視対象に異常が生じたと判定した場合、該当端末に対し、異常有無に関する確認要求の通知を送信し、該当端末より異常なしとの応答が得られない場合に、予め定めたアドレスへのアラートの出力を行うものであるとしてもよい。
【0074】
また前記位置監視システムにおいて、前記演算部は、前記該当端末に対し、異常有無に関する確認要求の通知を送信し、該当端末より異常なしとの応答が得られた場合、前記該当端末に関して、前記所在エリアを一定時間だけ有効な一時的な移動可能範囲として記憶部に情報を記憶し、端末から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記一時的な移動可能範囲に該当する場合、監視対象に異常が生じていないと判定するものである、としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 携帯端末(端末)
2 基地局
3 移動体通信網
5 GPS衛星
100 位置監視システム
101 記憶部
102 プログラム
103 メモリ
104 演算部
105 出力部
106 通信部
120 ネットワーク
125 携帯端末情報テーブル
126 エリア情報テーブル
127 位置情報履歴テーブル
128 エリア頻度テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に付帯する端末からその位置情報を得て、前記監視対象が移動可能範囲に所在するか監視するコンピュータシステムであって、
端末と通信する通信部と、
所定の監視地域を区分した各エリアの情報を記憶したエリア情報テーブルを格納した記憶部と、
各端末から送信されてくる位置情報を受信し、該位置情報を前記エリア情報テーブルに照合して該当端末の所在エリアを特定し記憶部に格納する処理と、
記憶部に蓄積された所定端末の各所在エリアの情報を読み出し、各エリアにおける該当端末の所在頻度の算定を行い、該所在頻度と所定基準とを比較し、所在頻度が所定基準以上のエリアを該当端末における移動可能範囲として特定し記憶部に記憶する処理と、
端末から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定し、前記所在エリアが移動可能範囲に該当しない場合、監視対象に異常が生じたと判定し予め定めた所定手順を行う処理を実行する演算部と、
を備えることを特徴とする位置監視システム。
【請求項2】
前記演算部は、
所定エリアに関し、位置情報を記憶部に蓄積し前記所在頻度の算定対象エリアとするか、および前記最新の位置情報に対応するエリアが移動可能範囲に該当するか否かの判定対象エリアか、につき端末から指定を受け付けて、該当端末に対応付けて記憶部に記憶する処理を実行し、
端末から送信されてくる位置情報をエリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該特定した所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記算定対象エリアおよび前記判定対象エリアに該当する場合に、前記所在エリアの情報を記憶部に格納し、前記所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定する、
ものであることを特徴とする請求項1に記載の位置監視システム。
【請求項3】
前記演算部は、
端末から送信されてくる位置情報をエリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該特定した所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記算定対象エリアに該当する一方、前記判定対象エリアに該当しない場合、前記所在エリアの情報を記憶部に格納し、前記所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の位置監視システム。
【請求項4】
前記演算部は、
前記所在エリアが前記移動可能範囲に該当するか判定した結果、前記所在エリアが移動可能範囲に該当せず、監視対象に異常が生じたと判定した場合、該当端末に対し、異常有無に関する確認要求の通知を送信し、該当端末より異常なしとの応答が得られない場合に、予め定めたアドレスへのアラートの出力を行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位置監視システム。
【請求項5】
前記演算部は、
前記該当端末に対し、異常有無に関する確認要求の通知を送信し、該当端末より異常なしとの応答が得られた場合、前記該当端末に関して、前記所在エリアを一定時間だけ有効な一時的な移動可能範囲として記憶部に情報を記憶し、
端末から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記一時的な移動可能範囲に該当する場合、監視対象に異常が生じていないと判定するものである、ことを特徴とする請求項4に記載の位置監視システム。
【請求項6】
監視対象に付帯する端末からその位置情報を得て、前記監視対象が移動可能範囲に所在するか監視すべく、端末と通信する通信部と、所定の監視地域を区分した各エリアの情報を記憶したエリア情報テーブルを格納した記憶部を備えるコンピュータが、
各端末から送信されてくる位置情報を受信し、該位置情報を前記エリア情報テーブルに照合して該当端末の所在エリアを特定し記憶部に格納する処理と、
記憶部に蓄積された所定端末の各所在エリアの情報を読み出し、各エリアにおける該当端末の所在頻度の算定を行い、該所在頻度と所定基準とを比較し、所在頻度が所定基準以上のエリアを該当端末における移動可能範囲として特定し記憶部に記憶する処理と、
端末から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定し、前記所在エリアが移動可能範囲に該当しない場合、監視対象に異常が生じたと判定し予め定めた所定手順を行う処理と、
を実行することを特徴とする位置監視方法。
【請求項7】
監視対象に付帯する端末からその位置情報を得て、前記監視対象が移動可能範囲に所在するか監視すべく、端末と通信する通信部と、所定の監視地域を区分した各エリアの情報を記憶したエリア情報テーブルを格納した記憶部を備えるコンピュータに、
各端末から送信されてくる位置情報を受信し、該位置情報を前記エリア情報テーブルに照合して該当端末の所在エリアを特定し記憶部に格納する処理と、
記憶部に蓄積された所定端末の各所在エリアの情報を読み出し、各エリアにおける該当端末の所在頻度の算定を行い、該所在頻度と所定基準とを比較し、所在頻度が所定基準以上のエリアを該当端末における移動可能範囲として特定し記憶部に記憶する処理と、
端末から送信されてきた最新の位置情報を、前記エリア情報テーブルに照合して、該当端末が所在する所在エリアを特定し、該所在エリアが、該当端末について記憶部に記憶した前記移動可能範囲に該当するか判定し、前記所在エリアが移動可能範囲に該当しない場合、監視対象に異常が生じたと判定し予め定めた所定手順を行う処理と、
を実行させることを特徴とする位置監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25537(P2013−25537A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159190(P2011−159190)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】