説明

低い経口生物学的利用能を有する化合物のプレ圧縮崩壊性製剤

本発明は薬化学の分野に関する。本発明の態様は、低い経口生物学的利用能を有する化合物のプレ圧縮速崩壊性製剤に関し、そしてそれらを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬化学の分野に関する。本発明の態様は、低い経口生物学的利用能を有する化合物のプレ圧縮(precompacted)速速崩壊性製剤に関し、そしてそれらを提供する。
【背景技術】
【0002】
創薬計画から生まれる多くの新薬分子は、経口投与後に低い生物学的利用能を有する。生物学的利用能は、主に2つの因子:初回通過クリアランスおよび吸収により決定される。吸収は、主として化合物の溶解性、その溶解速度および/もしくはその透過性により影響される。初回通過クリアランスは、腸および肝臓クリアランスの両方の結果である(非特許文献1)。
【0003】
上記の結果として、原則的に3つの異なるタイプの妨げられた生物学的利用能を表すことができる。薬剤分子は、(1)低い溶解速度、(2)低い溶解性もしくは(3)限られた透過速度に起因する低い経口生物学的利用能を有し得る。原因により、経口薬剤吸収を改善するための異なる戦略が進められている。難溶性薬剤分子の溶解速度を改善しようとする試みには、マイクロ化、ナノ化または固体分散体もしくは固溶体としての薬剤分子の製剤が包含される。
【0004】
溶解速度限定薬剤物質の生物学的利用能は異なる可溶化技術により、例えば大量の界面活性剤、シクロデキストリン、ミセル、ポリマーミセル、リポソームもしくはデンドリマーを使用することにより改善することができる。低い透過性の問題に対処するために、粘膜接着性ポリマー、pH調整剤、透過促進剤および流出阻害剤を包含する多数の透過性改善物質が文献により示唆される。透過性改善物質は、低い薬剤吸収のために経口生物学的利用能が限定される場合に、透過促進剤として固体投与形態物に加えられる液体、半固体もしくは固体賦形剤であることができる。
【0005】
最近の研究活動は、問題のある化合物の生物学的利用能を増加するための新規製剤方法の開発もしくは改善に主に焦点が置かれた。比較的洗練された方法において調合される薬剤の有益な放出プロフィールを維持するかもしくは改善さえする最終固体投与形態物もまた開発するためには、より少ない努力が行われている。選択した製剤技術の成功のために、製剤の有益な特性が最終固体投与形態物においても維持されることは必須である。固体投与形態物の崩壊時間を減少するための1つの標準的な方法は、崩壊剤の使用である。崩壊剤は、液体環境に入れられる場合に圧縮された塊の崩壊を助けるために固体投与形態物、例えば錠剤もしくはカプセル製剤に加えられる賦形剤である。これは、薬剤物質の迅速な放出が必要とされる即時放出製品にとって特に重要である。崩壊剤は、直接圧縮もしくはカプセル封入のための粉末混合物に加えることができる。それはまた、湿式造粒される製品で用いることもできる(http://www.pformulate.com/disintegrs.htm)。多数の崩壊剤が記述されている(非特許文献2)。大量の界面活性剤(可溶化方法用)もしくはポリマー(例えば固体分散体用)の使用は、得られる固体投与形態物の崩壊挙動を著しく損ない得る。ある固体投与形態物は「粘着性」になり、そして決して完全には溶解もしくは崩壊しない。薬剤ナノ粒子を含有する製剤を圧縮することもまた、薬剤ナノ粒子の顕著な凝集により溶解速度の著しい減少をもたらし得る。この逆効果は、必要とされない。従って、全製剤の圧縮に起因する増加した崩壊時間は、生物学的利用能増強製剤方法のプラス効果を相殺するかもしくは過度に相殺さえし得る。従って、高められた崩壊挙動を必要とする固体投与形態物の製剤方法を提供することは重要である。
【0006】
特許文献1は、優れた崩壊特性を有する非脆弱性(non−friable)錠剤を製造するための直接圧縮打錠機における使用に特に適している、プレ圧縮澱粉粉末からなる自由流動結合剤−崩壊剤粉末材料の使用を開示する。
【0007】
特許文献2は、圧縮成形品の崩壊を改善するための圧縮崩壊剤顆粒の使用を開示する。特に、この特許は、水に溶けない少なくとも60〜99%(w/w)のセルロース、1〜40%(w/w)の少なくとも1つのポリマー結合剤および水中でゲルを形成する0〜7%(w/w)の少なくとも1つの液体界面活性剤を含んでなる、錠剤用の圧縮崩壊剤顆粒の使用を開示する。特許文献2の目的は、以下の特性:
・有効成分との容易なプレ混合および打錠機の容易な充填のための自由流動均一粒子;
・錠剤化後にサイズが一定のままでありそして必要とされる処理に耐える、高い硬度、低い脆弱性および均一な投薬量の錠剤への均一圧縮率を与えるために適当なかさ密度;
・有効成分と適合しそして経口摂取に適当な不活性材料;
・有効な崩壊速度;および
・低コストで容易に利用可能である
を有する直接圧縮用の製剤を開発することであった。
【0008】
特許文献3は、崩壊剤および微結晶性セルロースのプレ圧縮混合物の使用を開示した。この方法はいくつかの不都合を有する:
・大きい錠剤サイズもしくは低い薬剤負荷のいずれかをもたらす、最終投与形態物における比較的高い賦形剤負荷。サイズは、純粋な崩壊剤が使用される場合に減少され得る。
・崩壊剤−充填剤の組み合わせの使用は、製剤の複雑さを増す。充填剤−崩壊剤混合物を製造するためにローラー圧縮を用いる場合、再現性のあるプロセスを保証するために不完全に処理された材料を廃棄しなければならない。これは、純粋な崩壊剤のように、単一の成分のみが処理される場合は当てはまらない。
・追加の充填剤材料はより大きい粒状体積をもたらし、それは最終的に錠剤化過程の間にモールドのより遅い充填をもたらす。
【0009】
低い固有生物学的利用能を有する薬剤物質の生物学的利用能を高めるためのプレ圧縮崩壊剤と一緒の生物学的利用能増強製剤方法の使用を記述する文書はない。本発明の目的は、固有の低い生物学的利用能を有する薬剤分子に改善された製剤を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US 4,072,535明細書
【特許文献2】US 6,303,560明細書
【特許文献3】EP 1070741明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Thakker,D.R.,“Strategic use of preclinical pharmacokinetic studies and in vitro models in optimizing ADME properties of lead compounds”,Optimizing the“Drug−Like”Properties of Leads in Drug Discovery”,eds.R.T Borchardt,E.H.Kerns,M.J.Hageman,D.R.Thakker,J.L.Stevens,AAPS press/Springer,2006
【非特許文献2】Rowe,R.C.,P.J.Shesky and S.C.Owen(editors),Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition,Pharmaceutical Press,London,Chicago,2006)
【発明の概要】
【0012】
[開示]
本発明は、低い固有生物学的利用能を有する化合物のプレ圧縮速崩壊性製剤に、医薬品有効成分、水膨潤性ポリマーおよび膨潤性賦形剤のプレ圧縮顆粒を含んでなる経口投与用の固体製薬学的製剤に関する。
【0013】
さらなる態様は、膨潤性賦形剤に圧縮力を適用することにより該プレ圧縮顆粒を製造する1つもしくはそれ以上の製剤を提供する。有用な圧縮力は、摩擦下ローラー(rollers under friction)、ローラーもしくはキューブプレス、押出機、リングマトリックスプレスおよびペレット化プレスから選択される装置により引き出すことができる。
【0014】
本発明はまた、ある態様において、透過促進賦形剤もしくは界面活性剤をさらに含んでなる上記の通りの製剤にも関する。
【0015】
他の態様は、該医薬品有効成分がナノ粒子の形態においてである上記の通りの1つもしくはそれ以上の製剤を提供する。
【0016】
本発明の好ましい態様において、膨潤性賦形剤は「架橋されたポリビニルピロリドン」であり;水膨潤性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMC E5およびHPMC E6、微結晶性セルロースならびにポリビニルピロリドンK12から選択され、そして界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウムおよび「ビタミンE TPGS 1000」から選択される。
【0017】
本発明はまた、
(i)水を加熱し、そして均質な懸濁液が得られるまで攪拌しながら水膨潤性ポリマーをその後で加えることにより水膨潤性ポリマーの清澄溶液を調製し、それを冷却させる段階、
(i)攪拌しそして加熱することにより、医薬品有効成分および弱酸を界面活性剤に溶解する段階、
(i)段階(i)から得られる溶液を段階(i)から得られるものと混合し、そして混合物を噴霧乾燥させる段階、
もしくは
(i)医薬品有効成分および水膨潤性ポリマーを溶媒に溶解し、そして溶媒を蒸発により除いて、非晶質分散体を生成せしめる段階、
(ii)膨潤性賦形剤(崩壊剤)を錠剤に圧縮する段階、
(iii)大きい錠剤を顆粒に分割する段階、
(iv)これらの顆粒のふるい画分を段階(i)の噴霧乾燥生成物もしくは段階(i)において得られる非晶質分散体と混合する段階
(v)得られる混合物の錠剤を圧縮する段階
を含んでなる上記の通りの製剤を製造する方法にも関する。
【0018】
これらの方法の好ましい態様において、膨潤性賦形剤は「架橋されたポリビニルピロリドン」であり;水膨潤性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMC E5およびHPMC E6、微結晶性セルロースならびにポリビニルピロリドンK12から選択され、弱酸はクエン酸であり、そして界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウムおよび「ビタミンE TPGS 1000」から選択される。
【0019】
[定義]
本記述の文脈内で、「膨潤性賦形剤」という用語には、高体積膨張下で液状媒質を吸収することができる物質が包含される。膨潤率は、吸水能力によって重量測定法で決定することができる。このようにして決定される吸水は、好ましくは、その間の全ての値および部分範囲を含めて、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800および1900%を包含する500〜2000%である。好ましい膨潤性賦形剤は、ポリビニルポリピロリドンもしくはPVP−CLとも呼ばれる、架橋されたポリビニルピロリドンである。
【0020】
「水溶性ポリマー」とも呼ばれる「水膨潤性ポリマー」には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が包含される。好ましい水膨潤性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMC E5およびHPMC E6、微結晶性セルロースならびにポリビニルピロリドンK12である。本発明において用いることができるセルロースエーテルは当該技術分野において周知であり、製薬等級においてそしてこれらのセルロースエーテルの溶液の異なる粘度をもたらす異なる平均分子量で入手可能である。親水性ポリマーは、低粘度(約1,000mPas未満)、中間粘度(約1,000mPas〜約10,000mPas)および高粘度(約10,000mPasより大きい)として2%w/w水溶液におけるそれらの粘度により特性化することができる。親水性ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー(HPMCのもの)は、商標名Methocel(R)でDow Chemical Co.からそしてMetolose(R)でShin Etsuから異なる粘度等級において入手可能である。低粘度ポリマーの例はMethocel E5(R)、Methocel E−15LV(R)、Methocel E50LV(R)、Methocel K100LV(R)およびMethocel F50LV(R)であり、25℃でのその2%水溶液はそれぞれ5mPas、15mPas、50mPas、100mPasおよび50mPasの粘度を有する。中間粘度HPMCのものの例はMethocel E4M(R)およびMethocel K4Mであり、25℃でのその2%水溶液は4,000mPasの粘度を有する。高粘度HPMCのものの例はMethocel K15M(R)およびMethocel K100M(R)であり、25℃でのその2%水溶液は15,000mPasおよび100,000mPasの粘度を有する。親水性ヒドロキシエチルセルロースポリマー(HECのもの)は、商標名Natrosol(R)でAQUALONからそしてCellosize(R)でAmerchol Corporationから異なる粘度等級において入手可能である。低粘度ポリマーの例はNatrosol L(R)およびNatrosol J(R)であり、25℃でのその2%水溶液はそれぞれ10mPaおよび20mPasの粘度を有する。中間粘度ポリマーの例はNatrosol G(R)およびNatrosol K(R)であり、その25℃での2%水溶液はそれぞれ200mPasおよび1,500mPasの粘度を有する。高粘度ポリマーの例はNatrosol M(R)およびNatrosol HH(R)であり、その2%水溶液はそれぞれ4,000mPasおよび90,000mPasの25℃での粘度を有する。
【0021】
クエン酸は「弱酸」の例であり、そしてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および「ビタミン E TPGS 1000」(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)は「界面活性剤」の例である。
【0022】
「固有生物学的利用能」という用語は、粒径もしくは結晶化度のような製剤パラメーターを考慮せずに定量的構造特性関係(QSPR)に基づいて理論的に決定される経口生物学的利用能を表す(Kim,J.et al.,“Improvement of bioavailability of water insoluble drugs:E
stimation of intrinsic bioavailability”,Korean J.Chem.Eng.,25(1),171−175(2008))。「経口生物学的利用能」という用語は、経口投与後に吸収されると体循環に到達する医薬品有効成分の割合および程度を表す。同じAPIの静脈内投与後の対応する血漿濃度とそれを比較する場合に絶対経口生物学的利用能として表すことができる。本発明の文脈において20%未満の絶対経口生物学的利用能は、「低い経口生物学的利用能」と見なされる。
【0023】
本発明の「プレ圧縮顆粒」は、膨潤性賦形剤のより高密度の凝集をもたらす膨潤性賦形剤の粉末製剤に圧縮力を適用することによってのみ製造される顆粒をさす。
【0024】
「ナノ粒子」という用語は、1000nm未満の平均サイズを有する医薬品有効成分を含んでなる粒子を定義する。本発明の枠組みにおける「平均サイズ」という用語は、動的光散乱法(例えば、光子相関分光法(PCS)、レーザー回折(LD)、小角レーザー光散乱(LALLS)、中角レーザー光散乱(MALLS)、光掩蔽法(light obscuration methods)(例えば、コールター法)、レオロジー、もしくは上記の範囲内の顕微鏡検査(光学もしくは電子))により決定される有効平均直径をさす。「約Xnm未満の有効平均粒径」は、上記の技術により測定される場合に、その粒子の少なくとも90%が約Xnm未満の平均サイズを有する物質をさす。
【0025】
「固体分散体」という用語は、一方の成分がもう一方の成分もしくは複数の成分の全体にわたってほぼ均一に分散している、少なくとも2つの成分を含んでなる固体状態(液体もしくは気体状態とは対照的に)における系を定義する。全体にわたって化学的にそして物理的に均一もしくは均質であるかまたは熱力学において定義されるように1つの相からなる固体分散体はまた、「固溶体」と呼ぶこともできる(WO97/044014)。固体マトリックスは、結晶質もしくは非晶質のいずれかであることができる。薬剤は分子的に分散するか、もしくは非晶質粒子(クラスター)ならびに結晶質粒子(固体分散体)において存在することができる。そのような固体分散体の例はUS5,281,420に記述されるテブフェロン製剤およびWO2005/053727に記述される生物活性ペプチド製剤である。
【0026】
「透過性促進賦形剤」という用語には、透過性改善物質として既知である賦形剤、例えば粘膜接着性ポリマー、pH調整剤、透過促進剤および流出阻害剤が包含される。
【0027】
「形態」および「結晶形態」という用語には、同じ化合物の全ての固体形態が包含される。例えば:多形体、溶媒和物および非晶形。「共結晶」は、固有の格子を有する多成分結晶:中性化合物で製造される新規化学種である。「非晶形」は長距離秩序を有さない非結晶物質であり、そして一般に特徴的な粉末X線回折パターンを与えない。
【0028】
より簡潔な記述を提供するために、本明細書に示される量的表現のあるものは「約」という用語で修飾されない。「約」という用語が明白に用いられるかもしくはそうでないにしても、本明細書に示されるあらゆる量は実際の既定値をさすものとし、そしてまたそのような既定値の実験もしくは測定条件に起因する近似を包含する、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推定されるそのような既定値への近似もさすものとすることが理解される。
【0029】
本明細書の記述および請求項を通して、「含んでなる(comprise)」という用語ならびに「含んでなる(comprising)」および「含んでなる(comprises)」のような該用語のバリエーションは、他の添加剤、成分、整数もしくは段階を排除するものではない。
【0030】
本発明において、「崩壊時間」は、硬いコアを有さない膨潤した軟らかい塊に錠剤を転化するために必要な時間として定義される。
【0031】
「製薬学的組成物」は、その1つもしくはそれ以上の製薬学的に許容しうる担体と一緒に、そして1つもしくはそれ以上の他の治療成分と共にもしくはそれなしに、少なくとも1つの医薬品有効成分(API)を含んでなる。担体(1つもしくは複数)は、製剤の他の成分と適合しそしてそのレシピエントに有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。「組成物」という用語には、本明細書において用いる場合、既定の量もしくは割合の特定成分を含んでなる生成物、ならびに特定量の特定成分を組み合わせることにより直接的にもしくは間接的にもたらされる任意の生成物が包含される。製薬学的組成物に関連して、この用語には、1つもしくはそれ以上の有効成分、および不活性成分を含んでなる任意の担体を含んでなる生成物、ならびに成分の任意の2つもしくはそれ以上の組み合わせ、複合体形成もしくは凝集によって、または成分の1つもしくはそれ以上の解離によって、または成分の1つもしくはそれ以上の他のタイプの反応もしくは相互作用によって直接的にもしくは間接的にもたらされる任意の生成物が包含される。一般に、製薬学的組成物は、有効成分を液状担体もしくは微粉化固形担体もしくは両方と均一にそして密接に会合させ、そして次に、必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形することにより製造される。製薬学的組成物は、疾患の進行もしくは症状への所望の効果をもたらすための活性目的化合物の十分な量を含む。「製薬学的に許容しうる」により、担体、希釈剤もしくは賦形剤は製剤の他の成分と適合しなければならずそしてそのレシピエントに有害であってはならないものとする。
【0032】
「治療的に有効な量」という用語は、本明細書において用いる場合、本発明の組成物を投与することにより処置することができる症状を処置するための治療薬の量をさす。その量は、組織系、動物もしくはヒトにおいて検出可能な治療もしくは改善反応を示すために十分な量を含む。効果には、例えば、本明細書に記載される症状を処置することを包含することができる。患者の正確な製薬学的に有効な量は、患者のサイズおよび健康、処置する症状の性質および程度、処置する医師(研究者、獣医、医師もしくは他の臨床医)の推奨、ならびに投与に選択される治療法もしくは治療法の組み合わせにより決まる。従って、前もって正確な製薬学的に有効な量を特定することは有用でない。
【0033】
本発明の枠組みにおいて、「生物学的活性物質」、「製薬学的活性物質」、「薬剤」、「活性化合物」および「有効成分」という用語は、ヒトもしくは動物に投与した場合に薬理学的効果を引き起こす化学物質もしくは化学化合物をさすために互換的に用いられる。
【実施例1】
【0034】
製剤に使用する化合物
(4R)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−メチル−4−フェニル−N’−(1−ピペリジニルスルホニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミド(「化合物1」)はWO2003/026648に記載の通り合成し、そして(3S)−3−[[[1−[4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソ−(2S)−2−カルボキシブチル]シクロペンチル]カルボニル]−アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸(「化合物2」)はWO2005/030795に記載の通り合成した。
【0035】
【化1】

【0036】
Aeropearl 300V、Aerosil(R) 200V(非晶質無水コロイド状二酸化ケイ素)、クエン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E5およびHPMC E6)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、等級55(HPMC P)、Labrasol(R)、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドンK12、架橋されたポリビニルピロリドン、PRUV(R) (フマル酸ステアリルナトリウム)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびビタミンE TPGS 1000は、商業的供給源から入手した。
【実施例2】
【0037】
特定の製剤の製造
製剤1:
生物学的利用能増強経口固体投与形態物の製造(膨潤性賦形剤:架橋されたポリビニルピロリドン)。錠剤当たりの調合:

難溶性医薬品有効成分:化合物1: 25.0mg
ビタミンE TPGS 1000: 473.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E5): 150.0mg
クエン酸: 2.4mg
架橋されたポリビニルピロリドン: 400.0mg
Aeropearl 300V: 400.0mg
【0038】
10% m/m HPMC E5の溶液は、最初に水を65℃に加熱しそして均質な懸濁液が得られるまで攪拌しながらHPMC E5をその後で加えることにより調製した。これを冷却させ、清澄溶液をもたらした。一晩、攪拌しそして60℃で加熱することにより化合物1およびクエン酸をビタミンE TPGS 1000に溶解した。この溶液をHPMC E5溶液と混合し、そして噴霧乾燥させ(入口温度=160℃、出口温度=81℃)、「粉末A」とさらに呼ばれる、ビタミンE TPGS 1000および化合物1がHPMC E5マトリックスに熱安定的に埋め込まれたS粉末をもたらした。化合物1、Aeropearl 300Vおよび膨潤性賦形剤を含有する、錠剤を粉末混合物を用いて圧縮した。崩壊時間:>45分。
【0039】
製剤2:
生物学的利用能増強経口固体投与形態物の製造(膨潤性賦形剤:架橋されたポリビニルピロリドン)。錠剤当たりの調合:

難溶性医薬品有効成分:化合物1: 38.0mg
ビタミンE TPGS 1000: 719.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E5): 228.0mg
クエン酸: 1.6mg
架橋されたポリビニルピロリドン: 608.0mg
【0040】
「粉末A」を上記の通り製造し、そして「架橋されたポリビニルピロリドン」と混合した。液圧プレス(直径=52mm、厚さ±7mm、圧縮力=6トン)を用いてこの粉末混合物を大きい錠剤に圧縮し、次に顆粒に分割し、それを液圧プレス(長さ=22.3mm、幅=10.7mm、厚さ12.0mm、圧縮力=600kg)を用いて化合物1および膨潤性賦形剤を含有する錠剤に圧縮した。崩壊時間>30分。
【0041】
製剤3:
生物学的利用能増強経口固体投与形態物の製造(膨潤性賦形剤:架橋されたポリビニルピロリドン)。錠剤当たりの調合:

難溶性医薬品有効成分:化合物1: 38.0mg
ビタミンE TPGS 1000: 719.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E5): 228.0mg
クエン酸: 1.6mg
架橋されたポリビニルピロリドン: 608.0mg
【0042】
上記の通り製造した「粉末A」を液圧プレス(直径=52mm、厚さ±7mm、圧縮力=6トン)を用いて大きい錠剤に圧縮し、次に顆粒に分割した。架橋されたポリビニルピロリドンをこれらの顆粒と一緒に混合し、そして化合物1および膨潤性賦形剤を含有する、錠剤に液圧プレス(長さ=22.3mm、幅=10.7mm、厚さ12.0mm、圧縮力=600kg)を用いて圧縮した。崩壊時間>30分。
【0043】
製剤4:
生物学的利用能増強経口固体投与形態物の製造(膨潤性賦形剤:架橋されたポリビニルピロリドン)。錠剤当たりの調合:

難溶性医薬品有効成分:化合物1: 38.0mg
ビタミンE TPGS 1000: 719.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E5): 228.0mg
クエン酸: 1.6mg
架橋されたポリビニルピロリドン: 608.0mg
【0044】
架橋されたポリビニルピロリドンを液圧プレス(直径=52mm、厚さ±7mm、圧縮力=6トン)を用いて大きい錠剤に圧縮し、次に顆粒に分割した(スラッギングによるプレ圧縮)。これらの顆粒のふるい画分(500〜1250μm)を上記の通り製造した「粉末A」と混合した。化合物1およびプレ圧縮膨潤性賦形剤を含有する、錠剤を液圧プレス(長さ=22.3mm、幅=10.7mm、厚さ12.0mm、圧縮力=600kg)を用いて圧縮した。本発明のこの改善された製剤の崩壊時間は約5分であった。
【0045】
製剤5:
速崩壊性生物学的利用能増強経口固体投与形態物の製造(膨潤性賦形剤:架橋されたポリビニルピロリドン)。錠剤当たりの調合:

難溶性医薬品有効成分:化合物1: 21.0mg
ビタミンE TPGS 1000: 420.2mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E5): 49.3mg
クエン酸: 2.5mg
架橋されたポリビニルピロリドン: 187.0mg
【0046】
架橋されたポリビニルピロリドンを液圧プレス(直径=52mm、厚さ±7mm、圧縮力=6トン)を用いて大きい錠剤に圧縮し、次に顆粒に分割した。これらの顆粒のふるい画分(500〜1250μm)を上記の通り製造した「粉末A」と混合した。化合物1およびプレ圧縮膨潤性賦形剤を含有する、錠剤を粉末混合物を用いて圧縮した。本発明のこの改善された製剤の崩壊時間は約5分であった。
【0047】
製剤6:
速崩壊性生物学的利用能増強経口固体投与形態物の製造(膨潤性賦形剤:架橋されたポリビニルピロリドン)。錠剤当たりの調合:

難溶性医薬品有効成分:化合物2: 100.0mg
Labrasol(R): 12.5mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E6): 12.5mg
微結晶性セルロース: 102.6mg
架橋されたポリビニルピロリドン: 302.6mg
Aerosil(R) 200V(非晶質無水コロイド状二酸化ケイ素):2.6mg
P RUV(R)(フマル酸ステアリルナトリウム): 5.1mg
【0048】
10% m/m HPMC E6の溶液は、最初に水を65℃に加熱しそして均質な懸濁液が得られるまで攪拌しながらHPMC E6をその後で加えることにより調製した。これを冷却させ、清澄溶液をもたらした。Labrasol(R)をHPMC E6溶液に分散させ、そして噴霧乾燥させて(入口温度=145℃、出口温度=88℃)Labrasol(R)がHPMC E6マトリックスに熱安定的に埋め込まれた粉末を得た。架橋されたポリビニルピロリドンを液圧プレス(直径=52mm、厚さ±7mm、圧縮力=6トン)を用いて大きい錠剤に圧縮し、次に顆粒に分割した。これらの顆粒のふるい画分(500〜1250μm)を取り、そして化合物2、微結晶性セルロース、HPMCに埋め込まれたLabrasol(R)、Aerosil(R)およびPRUV(R)と一緒に混合した。化合物2およびプレ圧縮膨潤性賦形剤を含有する、錠剤を粉末混合物を用いて圧縮した。
【0049】
製剤7:
速崩壊性固体分散体経口投与形態物の製造(膨潤性賦形剤:架橋されたポリビニルピロリドン)。錠剤当たりの調合:

難溶性医薬品有効成分:化合物1: 200.0mg
ポリビニルピロリドンK12: 484.0mg
架橋されたポリビニルピロリドン: 516.0mg
【0050】
化合物1およびポリビニルピロリドンK12をアセトンとエタノール(3:1 v/v)の混合物に溶解した。溶媒をフラッシュ蒸発により除き、非晶質分散体をもたらした。架橋されたポリビニルピロリドンを液圧プレス(直径=52mm、厚さ±7mm、圧縮力=6トン)を用いて大きい錠剤に圧縮し、次に顆粒に分割した。これらの顆粒のふるい画分(500〜1250μm)を取り、そして化合物1の非晶質分散体と一緒に混合した。化合物1およびプレ圧縮膨潤性賦形剤を含有する、錠剤を液圧プレス(長さ=22.3mm、幅=10.7mm、厚さ9.8mm、圧縮力=600kg)を用いて圧縮した。本発明のこの改善された製剤の崩壊時間は約2〜3分であった。
【0051】
製剤8:
速崩壊性固体分散体経口投与形態物の製造(膨潤性賦形剤:架橋されたポリビニルピロリドン)。錠剤当たりの調合:

難溶性医薬品有効成分:化合物1: 200.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、
等級55(HPMC P): 460.0mg
架橋されたポリビニルピロリドン: 516.0mg
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS): 2.4mg
【0052】
化合物1、HPMC PおよびSDSをアセトンとエタノール(3:1 v/v)の混合物に溶解した。溶媒をフラッシュ蒸発により除き、非晶質分散体をもたらした。架橋されたポリビニルピロリドンを液圧プレス(直径=52mm、厚さ±7mm、圧縮力=6トン)を用いて大きい錠剤に圧縮し、次に顆粒に分割した。これらの顆粒のふるい画分(500〜1250μm)を取り、そして化合物1非晶質分散体と一緒に混合した。化合物1およびプレ圧縮膨潤性賦形剤を含有する、錠剤を液圧プレス(長さ=22.3mm、幅=10.7mm、厚さ9.8mm、圧縮力=600kg)を用いて圧縮した。本発明のこの改善された製剤の崩壊時間は約30秒であった。
【0053】
【表1】

【実施例3】
【0054】
崩壊の測定
崩壊試験は、800mlの精製水(温度37±3℃)を有するビーカー中で崩壊装置(PTZ−auto、Pharma−test、Hainburg、Germany)において行った。崩壊は、試験装置のスクリーン上に残っているかもしくはディスクの下面に付着する錠剤の任意の残留物が硬いコアを有さない軟らかい塊である状態として定義する。
【実施例4】
【0055】
EP 1 070 741のものと比較した本発明の製剤
異なる製剤はEP 1 070 741に開示される方法に従って製造され、そして本発明の製剤と比較されている。錠剤の組成を表2に示す。錠剤11AT、11BTおよび11CTは、EP 1 070 741に開示される方法に従って製造されている。錠剤09DT2は、本発明に従って製造された(実施例2、製剤5)。
【0056】
全ての製剤において、化合物1および架橋されたPVPの量を一定に保った。PVP−CL/ミクロセルロース(MCC)比、錠剤11AT、11BTおよび11CTにおいてそれぞれ60/40、3/97および10/90は、EP 1 070 741に開示される2つの極値内で異なった。錠剤は下記の通り製造した:MCCを有するもしくは有さない架橋されたポリビニルピロリドンを液圧プレス(直径=52mm、厚さ±7mm、圧縮力=6トン)を用いて大きい錠剤に圧縮し、そして顆粒に分割した。これらの顆粒のふるい画分(500〜1250μm)を実施例2に記載の通り製造した「粉末A」と混合し、そして液圧プレスを用いて錠剤に圧縮した。
【0057】
【表2】

【0058】
明らかに、各製剤の1個の錠剤を圧縮するために用いる顆粒の体積間の差はかなりであり:追加の結合剤(MCC)の使用は、錠剤の重量を考慮してもまた予想される、より大きい錠剤サイズをもたらす(表2)。最小の錠剤サイズは、錠剤が本発明に従って製造される場合に得られた。
【0059】
さらに、錠剤09AT、09BTおよび09CTはEP 1 070 741に従って、しかし錠剤09DT2(680mg)のものと同様の、一定重量で製造された。これらの製剤の組成および崩壊時間を表3に記載する。
【0060】
【表3】

【0061】
表2および3に記載する製剤の崩壊時間を考慮して、以下の観察がなされた:
・錠剤09AT、09BTおよび09CTと同量の崩壊剤を含有する本発明に従って製造される錠剤09DT2は、はるかに短い崩壊時間を有した。
・本発明に従って製造される製剤09DT2の別の驚くべき態様は、崩壊時間の改善された再現性であった。
【0062】
PhEurに従って決定される崩壊時間のほかに、崩壊挙動もまた決定した。これは、「硬いコアなしに膨潤した軟らかい塊に錠剤を転化するために必要な時間」として定義した。製剤18ATおよび18DTの崩壊挙動を直接比較した。これらの錠剤は、それらのほぼ同様のサイズのために選択した。それらの組成、崩壊時間および崩壊挙動を表2に示す(ここで、錠剤はそれぞれ製剤11ATおよび09DT2に対応する)。
【0063】
1分以内、錠剤を水に浸すと、錠剤09DT2は崩壊し始めた。5分後に、まだ完全なままであった錠剤11ATとは対照的に、錠剤09DT2は軟らかい膨潤した物質に転化された。この時点で、製剤09DT2は上記に示した定義に従って「崩壊した」と見なされた。16分後に、錠剤09DT2は完全に溶解しており、一方、錠剤11ATはまだ完全なままであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)医薬品有効成分、(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMC E5およびHPMC E6、微結晶性セルロースならびにポリビニルピロリドンK12から選択される水膨潤性ポリマーならびに(3)架橋されたポリビニルピロリドンのプレ圧縮顆粒を含んでなる経口投与のための固体製薬学的製剤。
【請求項2】
架橋されたポリビニルポリピロリドンに圧縮力を適用することにより該プレ圧縮顆粒が製造される請求項1に記載の製薬学的製剤。
【請求項3】
該圧縮力が摩擦下ローラー、ローラーもしくはキューブプレス、押出機、リングマトリックスプレスおよびペレット化プレスから選択される装置により引き出される請求項2に記載の製薬学的製剤。
【請求項4】
該医薬品有効成分がナノ粒子の形態においてである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製薬学的製剤。
【請求項5】
1つもしくはそれ以上の透過促進賦形剤をさらに含んでなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の製薬学的製剤。
【請求項6】
界面活性剤をさらに含んでなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の製薬学的製剤。
【請求項7】
1つもしくはそれ以上の透過促進賦形剤および界面活性剤をさらに含んでなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の製薬学的製剤。
【請求項8】
該界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムおよび「ビタミンE TPGS 1000」から選択される請求項6もしくは請求項7に記載の製薬学的製剤。
【請求項9】
(i)水を加熱し、そして均質な懸濁液が得られるまで攪拌しながら水膨潤性ポリマーをその後で加えることにより、ヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMC E5およびHPMC E6、微結晶性セルロースおよびポリビニルピロリドンK12から選択される水膨潤性ポリマーの溶液を調製し、それを冷却させる段階、
(i)攪拌しそして加熱することにより、医薬品有効成分および弱酸を界面活性剤に溶解する段階、
(i)段階(i)から得られる溶液を段階(i)から得られるものと混合し、そして混合物を噴霧乾燥させる段階、
もしくは
(i)医薬品有効成分および水膨潤性ポリマーを溶媒に溶解し、そして溶媒を蒸発により除いて、非晶質分散体を生成せしめる段階、
(ii)架橋されたポリビニルポリピロリドンを錠剤に圧縮する段階、
(iii)大きい錠剤を顆粒に分割する段階、
(iv)これらの顆粒のふるい画分を段階(i)の噴霧乾燥生成物もしくは段階(i)において得られる非晶質分散体と混合する段階、
(v)得られる混合物の錠剤を圧縮する段階
を含んでなる請求項1に記載の製剤を製造する方法。

【公表番号】特表2012−512836(P2012−512836A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541447(P2011−541447)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067434
【国際公開番号】WO2010/070057
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(501439149)アボツト・ヘルスケア・プロダクツ・ベー・ブイ (71)
【氏名又は名称原語表記】Abbott Healthcare Products B.V.
【Fターム(参考)】