説明

低ナトリウム塩組成物

【課題】低ナトリウム塩組成物・代替物、改良塩化カリウム(MPC)およびこれらの作成方法。
【解決手段】前記塩組成物・代替物は、好ましくはNaCl、KClおよび改良剤、好ましくは米粉などの穀粉を含む。好ましくは、食品用酸味料を含む。前記組成物・代替物は、好ましくは約0.1〜約9.0、最も好ましくは約1.0のNa/K比を有する。MPCは、好ましくはKClおよび改良剤、好ましくは米粉などの穀粉を含む。好ましくは、食品用酸味料を含む。前記塩組成物・代替物およびMPCは、好ましくはドラム乾燥、エクストルージョン・クッキングまたは凝集法によって作成される。MPCは、好ましくは非加工NaClと所望の比率、好ましくはNa/K比が約1(すなわち、ナトリウム20%およびカリウム20%)となる50/50でブレンドおよび/または共粉砕し、NaClを加工することなく、塩代替物を費用効率良く提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
[0001]本願は、2005年12月30日出願の米国特許出願第60/755,125号明細書、標題「低コスト塩代替物」および2005年9月14日出願の米国特許出願第60/717,001号明細書、標題「低コスト塩組成物」両者の優先権およびその利益を主張する、2006年4月27日出願の米国特許出願公開第11/380,522号明細書、標題「低ナトリウム塩組成物」に関し、その優先権を主張するものであり、前記米国特許出願公開明細書の開示事項は引用することにより本明細書の一部とされる。
【背景技術】
【0002】
[0002]食塩すなわち塩化ナトリウム(NaCl)は、食品保存剤および調味料として長年使用されてきた。調理済み食品が広く消費される一部の文化圏では、塩は最も広く利用される調味料となり、ほぼ間違いなく、本来使用されるべき量以上、または健康的食生活を維持するために推奨される量より少なくとも多く使用されている。
【0003】
[0003]塩の摂り過ぎは高血圧発症における重大なリスクファクターであり、それ自体が、世界で最も有害な疾患の一つである心臓疾患の発生率増加の原因または寄与因子であると一般に理解されている。高血圧は、高血圧(HBP)およびその他の心血管系病態から派生する合併症に関連する数十億ドルもの医療費を生み出すうえ、世界中で6億人の患者があり、年間700万人の死亡に関与している。
【0004】
[0004]米国および英国両国における医学会および政府当局は、一般に、一人あたりの塩消費量を、普通量と考えられる1日あたり約10〜12gから、ナトリウム2400mgに相当する1日あたり約6gの水準まで削減することを推奨している。
【0005】
[0005]米国で発行された最新の食事指針は、1日あたり2300mgというナトリウム消費限度を提唱し、全米科学アカデミー(NAS)は、1日あたり1500mgというより厳しいナトリウム消費限度さえ提言している。NASはまた、1日あたり4,700mgというカリウム消費限度も推奨しているが、実際の1人あたりのカリウム1日消費量は、その水準の半分未満である。
【0006】
[0006]主なナトリウム消費源は、調理済み食品およびレストランでの食事であると一般に考えられ、この両者を合わせると、先進国では恐らく食事によるナトリウム摂取の80%以上を占める。塩は、味と風味の両方のために調理済み食品やレストランの料理に含まれている。既存の技術を用いて、調理済み食品やレストランの料理における塩分を削減するこれまでの試みは、長年塩分およびナトリウムが比較的高い食品を食べることに慣れている消費者からはほとんど受け入れられなかった。しかしながら、食品業界は、伝統的に塩で味付けされる調理済み食品およびレストランの料理におけるナトリウム量を最小限に抑える新たな方法を探し続けている。
【0007】
[0007]多くの研究者たちが実に様々な塩代替物を開発してきた。塩代替物作製の古典的な方法として、ナトリウム塩とカリウム塩、または、時としてマグネシウム塩を、さまざまな比率で組み合わせ、この混合物に様々な他の添加物を添加する方法がある。前記他の添加物は、通常、カリウム含有塩代替物に伴うカリウムの一般に金属的味・苦味をマスキングするため、または、少なくとも部分的に低減させるため添加される。これらの製品の作成に使用される処理法としては、とりわけ、単純な混合、凝集、エクストルージョン・クッキングなどが挙げられる。
【0008】
[0008]添加物、結合剤または改良剤と様々な呼び名があるが、これらは一般に、自己消化酵母エキス、加水分解タンパク質および/またはアミノ酸、イノシン酸二ナトリウム、グアニル酸二ナトリウムおよび/またはグルタミン酸一ナトリウムなどのヌクレオチド、アスコルビン酸、糖アルコール、グルコン酸アルカリ金属塩、有機酸/塩、リン酸/塩、ブラウンシュガー、デキストリン、糖、化工デンプン、あらかじめゲル化したデンプン、親水コロイド、タンパク質、ガム、メチルセルロース、エチルセルロース、固形コーンシロップ、デンプン、マルトデキストリン、固形コーンシロップ、高融点脂肪などの化合物を含む。ごく最近は、果実および野菜に由来するフラボノイド並びにスパイス・調味料も使用されるようになってきている。
【0009】
[0009]米国特許第5,094,862号明細書(特許文献1)は、甘味のない炭水化物充填剤を含む内部コアを凝集または噴霧乾燥により塩化ナトリウムでコーティングした塩代替物の顆粒を開示している。
【0010】
[0010]米国特許第4,556,566号(特許文献2)、第4,556,567号(特許文献3)および第4,556,568号明細書(特許文献4)は、塩化カリウムのコアを、マルトデキストリン(’567)、マルトデキストリンと塩化ナトリウムのコーティング混合物(’566)ならびにマルトデキストリン、塩化ナトリウムおよび酒石英(重酒石酸カリウム)のコーティング混合物(’568)でコーティングした組成物を教示している。
【0011】
[0011]Popplewellら(米国特許第6,090,419号明細書(特許文献5))は、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび適切な可塑剤(例えば、水)の組合せと共に押し出した後、乾燥させ、用途に適した粒子径に粉砕する、マスキング剤または「結合剤」を含む塩代替物の調製を報告している。Popplewellらが使用または示唆した結合剤には、下記のタイプの成分が、単独または組み合わせで含まれる:デキストリン、糖、加工デンプン、あらかじめゲル化したデンプン、親水コロイド、タンパク質、ガム、メチルセルロース、エチルセルロース、固体コーンシロップおよび高融点脂肪。カルシウムイオンを含むアルギン酸塩、タマネギ顆粒・粉末、ニンニク顆粒・粉末、トウガラシ顆粒・粉末およびスパイスなどの架橋結合剤も、適用可能な結合剤として報告されている。
【0012】
[0012]しかしながら、これらの組成物の欠点の一つは、「マスキング」剤または「結合」剤のコストが比較的高く、それらが提供する限られたマスキング能力および結合剤に起因するさらなる味または色の変化である。もう一つの欠点は、塩化ナトリウムを改良剤とともに処理すると、塩化カリウムの苦味・金属的風味とともに塩化ナトリウムの「塩気のある風味」がマスキングされてしまうことである。
【0013】
[0013]これらの特許取得製法・混合物は、いずれも単塩の味と同等の水準には達しなかったが、塩代替物に関する技術水準を高めた。これらの製法を開示している特許のほとんどは、個別の官能検査に関して開示していない。これらの製法の中には、カリウムのある程度のマスキングを達成したものもあるが、多くの場合新たな「風味」が導入されることにより(添加物自体の風味)、その特定の塩代替物を許容できる用途数が制限されている。典型例は、酵母エキスおよび/またはアミノ酸によるこくのある風味(savory flavor)である。これらすべてが複雑な構成を作り出すのみならず、最終製品のコストを増加させる。したがって、これらの調合品や最終製品の中には、食塩に比べて極めて高価なものがある。このように、消費者による市場受容性を達成するには、感覚的にも価格・値打ちの点でもなお改善の余地がある。本明細書で説明する技術は、コストおよび感覚の両問題に取り組むものである。
【特許文献1】米国特許第5,094,862号明細書
【特許文献2】米国特許第4,556,566号明細書
【特許文献3】米国特許第4,556,567号明細書
【特許文献4】米国特許第4,556,568号明細書
【特許文献5】米国特許第6,090,419号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
[0014]このように、上記の欠点を持たない塩代替物の需要が依然として存在する。したがって、塩およびいかなる代替物も、食品業界内では本質的に商品生産物として取り扱われているため、調製コストは、食塩の代替物として使用される塩代替物の作成方法により得られる製品のコストパフォーマンスに直接関係する重要な要因である。具体的には、異臭が無く、食塩と同様の外観を備え、且つ、作成が容易で安価な塩代替物に対する需要が依然として存在する。そのような塩代替物の簡易な調製方法に対する需要も依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[0015]本発明の好ましい塩組成物または塩代替物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、米粉およびクエン酸を含み、ナトリウムのカリウムに対する重量比は、約0.1〜約9、好ましくは約0.4〜約3、より好ましくは約0.6〜約1.5、最も好ましくは約1.0である。この塩組成物または塩代替物は、ナトリウム量を減らすために食卓塩の代わりに使用することができる。好ましい実施形態において、これは2工程プロセスで作成される。工程1では、塩化カリウム(乾燥混合物中約45〜約85重量%)、米粉(乾燥混合物中約10〜約20重量%)、酸味料、好ましくはクエン酸(乾燥混合物中約0.5〜約3重量%)を適切な順序で、沸騰水(液体マトリックス中約50〜約60重量%)中で混ぜ合わせることによって、水性混合物を調製する。この水性スラリーまたは混合物は、さらに所望の稠度・粘度まで加熱した後、最適条件下でドラム乾燥する(実施例3〜5に詳述)。この工程、すなわち工程1では、一般に塩化カリウムに伴う典型的な苦味がなく、一般に良い(savory)風味や他の異風味もない改良塩化カリウム(Modified Potassium Chloride(「MPC」)を作製する。そして、工程2では、このMPCを、ナトリウムのカリウムに対する所望の重量比で塩化ナトリウムとブレンドし、所望の粒径に粉砕する。さらに、二酸化ケイ素を抗ケーキング剤として添加してもよい。例えば、MPCと塩化ナトリウムの50/50ブレンド物は、ナトリウムおよびカリウムがそれぞれ20重量%である塩組成物を提供する。参考までに、純塩化ナトリウム中ナトリウムは40重量%であり、純MPC中カリウムは40重量%である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[0016]MPCの好ましい製造方法は、その効率と低い資本・作業コストから、ドラム乾燥法であるが、本発明は、塩化カリウムおよび米粉を好ましくは1:1の比率で含有するブレンド物のエクストルージョン・クッキングにより作成されるMPCも含む。クエン酸も添加し得るが、必須ではない。そして、押し出された混合物を粉砕後、上記のように塩化ナトリウム(NaCl)と同時処理するか、または粉砕後NaClとブレンドする。別の実施形態では、MPCを下記の凝集工程により作成することができる。
【0017】
[0017]塩化ナトリウムとは別に塩化カリウムを処理するこの2工程プロセスは、塩化ナトリウムを不必要な処理工程にさらす工程を含まないことから、塩化ナトリウムの自然な味を温存し処理コストも削減するため非常に望ましい。さらに、MPCと塩化ナトリウムとの共粉砕は、処理によりNaClの塩味が低減する程度を制約することによって、最終塩組成物の味を改善する上でもさらに役立つ。
【0018】
[0018]本発明は、その最も広い応用範囲において、改良剤(modifier)、好ましくは穀粉、最も好ましくは米粉、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを含む塩組成物または塩代替物を含み、前記塩組成物は、好ましくは約1〜約80重量パーセント(重量%)の穀粉、約10〜約90重量%の塩化ナトリウム、および約2.5〜約80重量%の塩化カリウムを含む。好ましい実施形態において、前記塩組成物は約5〜約20重量%の改良剤、好ましくは穀粉、約40〜約60重量%の塩化ナトリウムおよび約30〜約50重量%の塩化カリウムを含む。前記塩組成物は、好ましくは約1〜約70重量%の穀粉、好ましくは米粉、約10〜約90重量%の塩化ナトリウム、および約2.5〜約80重量%の塩化カリウム、より好ましくは、約5〜約20重量%の穀粉、約10〜約90重量%の塩化ナトリウム、および約2.5〜約80重量%の塩化カリウムを含む乾燥混合物と、一定量の水とを混合し混合物を形成する工程と、前記混合物をドラム乾燥するか、押出機を使用するかのいずれかによって前記混合物を処理する工程を含むプロセスにより作成することができる。
【0019】
[0019]上記同様、好ましい実施形態においては、前記混合物をドラム乾燥機内で処理するが、これはドラム乾燥機が効果的、且つ、資本コストおよびエネルギーコストが低く、前記混合物が暴露される温度が一般に低く、最終製品の「ほんの少し」でも焦げた味がする程度を低下させるためである。好ましい実施形態は、食品用酸味料および改良剤を含むマスキング剤も含む。本発明に係る塩組成物の好ましい作成方法においては、穀粉またはおそらくこの場合穀物デンプンでも、あるいはそれらの組合せたものが、KCl単独の異臭をマスキングする改良剤として使用され、その後、乾燥した混合物中のこのマスキングされたKClを、前もって前記改良剤と混合されていないNaClと共粉砕する。このKCl−マスキング剤混合物は上記のようにして調製するが、NaClはただ放置しておく。熱い混合物を冷却した後、NaClと共粉砕し最終塩組成物を得る。あるいは、NaClを、粉砕したKCl−マスキング剤混合物とブレンドしてもよい。好ましい実施形態において、本発明の塩組成物は、改良剤、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを含み、前記塩組成物は、好ましくは約1〜約75重量パーセント(重量%)の改良剤、約10〜約90重量%の塩化ナトリウム、より好ましくは約25〜約75重量%の塩化ナトリウム、さらに好ましくは約40〜約60重量%の塩化ナトリウム、尚且つ、好ましくは約2.5〜約80重量%の塩化カリウム、より好ましくは約10〜約60重量%の塩化カリウム、さらに好ましくは約30〜約50重量%の塩化カリウムを含み、前記塩化ナトリウムは実質的に結晶状であり、前記塩化カリウムは、カリウムイオンと塩化物イオンが実質的に互いに解離し、前記改良剤と密接に結合している、実質的に非結晶状である。
【0020】
[0020]これらの方法では、意外にも、従来技術による塩代替物に一般的に採用される、他の添加剤/マスキング剤/阻害剤を用いる必要なく、適切な塩組成物または塩代替物が製造される。上記のように本発明の最も好ましい実施形態においては、ナトリウムのカリウムに対する重量比は一般に1:1であるが、その他の実施形態では、前記重量比は、最終製品に所望されるKCl/NaCl比によって、約1:2になることも1:4になることも場合によってはある。
【0021】
[0021]好ましい実施形態において、低ナトリウム塩組成物は2工程プロセスで作成される。これらの好ましいプロセスの一つは、約45〜約85重量%の塩化カリウム、最も好ましくは約82重量%の塩化カリウム、約10〜約20重量%、最も好ましくは約16.5重量%の米粉、約0.5〜約3.0重量%のクエン酸、最も好ましくは約1.5重量%のクエン酸、および様々な量の水を混合し混合物を形成することによって改良塩化カリウムをまず作成することを含む。つぎに、この混合物を加熱後、ドラム乾燥させる。第2工程では、前記改良塩化カリウムを、約10〜約90重量%、最も好ましくは約50重量%の塩化ナトリウムと共粉砕するかまたは混合する。このプロセスにより、約10〜約90重量%の塩化ナトリウム、最も好ましくは50重量%の塩化ナトリウム、約2.5〜約80重量%の塩化カリウム、最も好ましくは40重量%の塩化ナトリウム、約1〜約75重量%の米粉、最も好ましくは8重量%の米粉、および0.1〜約5重量%のクエン酸、最も好ましくは約1重量%のクエン酸を含む最終塩組成物が得られる。さらに、0.1〜約2重量%の二酸化ケイ素をケーキング防止のために添加してもよく、最も好ましくは約1重量%の二酸化ケイ素を加えてもよい。
【0022】
[0022]これらの好ましいプロセスの別のプロセスは、約25〜約75重量%の塩化カリウム、最も好ましくは約50重量%の塩化ナトリウムと、約25〜約75重量%、最も好ましくは約50重量%の米粉と、0.1〜約5重量%のクエン酸、最も好ましくは1重量%のクエン酸と、様々な量の水とを混合し水性混合物を形成することによってまず改良塩化カリウム(MPC)を作成することを含む。つぎに、前記水性混合物を押し出しMPCを形成する。第2工程において、前記改良塩化カリウムを、約10〜約90重量%、最も好ましくは約50重量%の塩化ナトリウムと共粉砕するかまたは混合する。このプロセスにより、約10〜約90重量%の塩化ナトリウム、最も好ましくは50重量%の塩化ナトリウムと、約2.5〜約80重量%の塩化カリウム、最も好ましくは40重量%の塩化カリウムと、約1〜約75重量%の米粉、最も好ましくは8重量%の米粉と、約0.1〜約5重量%の酸味料、好ましくはクエン酸、最も好ましくは約1重量%のクエン酸とを含む最終塩組成物が得られる。さらに、0.1〜約2重量%の二酸化ケイ素をケーキング防止のために添加してもよく、最も好ましくは約1重量%の二酸化ケイ素を加えてもよい。
【0023】
[0023]上記の特徴および利点は、新規性に係る様々な他の利点および特徴とともに、本明細書に添付された本明細書の一部を成す本願の特許請求の範囲に詳細に指摘されている。本発明の他の態様および利点は、実施例により本発明の原理を解説している以下の記述から明らかとなるであろう。
【0024】
[発明の詳細な記述]
[0028]本発明は、継続した開発過程中に順次開発された、いくつかの異なった態様を有し、その開発過程の目標は、食卓塩の代わりに使用され消費者に適切な塩味を提供する一方で、塩組成物を使用する食品中のナトリウム量を、食卓塩を使用した場合のそのような食品中のナトリウム含有量に比べ削減することのできる新規な健康的且つ費用効率の高い塩組成物または塩代替物を開発することにより、ナトリウム消費に伴う健康問題に取り組むことであった。
【0025】
[0029][用語の定義:]
[0030]本明細書において、以下の用語は下記の意味を持つ。用語「塩」とは、別の言葉で修飾される(例えば、還元塩、カリウム塩、カルシウム塩など)か、またはその用語自体が他の言葉を修飾する(例えば、塩代替物、塩組成物など)場合を除いて、食品にかける調味料または食品に含まれる調味料としての使用に適した形態の塩化ナトリウム(NaCl)を意味する。用語「塩代替物」とは、塩の代用品として使用される調味料またはその他の物質のことをいう。用語「塩組成物」とは、塩を含むが、塩以外の成分を含みつつ、なお塩の調味特性に似た調味特性を付与することにより、そのような組成物に塩の代替物となる能力を与えた組成物のことを言う。
【0026】
[0031][改良剤および方法の選択:]
[0032]この開発過程の初期段階では、食塩(NaCl)を、塩化カリウム(KCl)および、水性溶媒を含むかまたは水性溶媒に混入させた改良剤と混合した。改良剤は、一般にKClに伴う苦味または金属的異臭をマスキングすることを狙いとして添加される。当初、牛乳(スキムミルクまたは全乳)が改良剤であったが、その後バターミルクを試した。下記に考察するように、その他の改良剤としては、自己消化酵母および/またはL−リジン一塩酸塩のようなアミノ酸があった。上記混合物を乾燥させ、その結果得られる生成物を粉砕し、その結果塩組成物が得られる。これらの組成物の処理工程は、噴霧乾燥を必要とした。しかし、この方法において生じる熱処理された牛乳の風味のため、また自己消化酵素およびアミノ酸によって生じる風味(savory notes)のため、これらの研究は断念した。
【0027】
[0033]その後、多数のデンプン製品を改良剤として使用した。同時に、多数の穀粉も改良剤として試用した。これらの試みにおいて、処理工程は、エクストルージョン・クッキングおよび乾燥を必要とした。開発過程のこの段階において、穀粉、とりわけ米粉が特に良好な改良剤であることが証明されたものと判断した。何よりも、穀粉は一般に、通常、穀粒または、例えば、ジャガイモなどの他の植物から分離される分離デンプン製品よりも安価である。さらに、デンプンを分離する際に除去される穀粉中の残留成分は、改良剤が示す風味マスキングを促進する上で効果的であると考えられる。よって、穀粉製品、特に、非アレルギー性であり風味マスキング向上と処理の容易さの点でより効果的な米粉が好ましい。
【0028】
[0034]短時間/高温エクストルージョン・クッキング法を用い、改良剤としてジャガイモデンプンを採用し、更なる研究を行った。ジャガイモデンプンは押し出しが困難な改良剤であることが判明し、また、他の改良剤に比べかなり高価であると考えられる。
【0029】
[0035]これらの努力の結果、本発明者らは、様々な穀粉などのいくつかの安価な改良剤の使用を決定し、これらがエクストルージョン・クッキング法においてかなり良好に作用することを見出し、米粉が、ことに最終生成物が特別すっきりとした味を有し白色であることから、驚くほど効果的な改良剤であることに気付いた。さらに、最終生成物は、苦い後味を与えることなく、塩組成物におけるカリウムのナトリウムに対する比較的高い比率を維持することができた。そのうえ、米粉は非アレルギー性であると考えられるため、市場で成功を収める上での障害がもう一つ少なくなる。他の人たちが使用してきた他の改良剤と比べ、穀粉は低コストであるため、本発明が特に安価である点において、また穀粉改良剤が比較的使用しやすいと考えられる点において、また改良剤として米粉を利用する好ましい生成物が驚くほどさっぱりとした味と魅力的な白色を示す点において、本発明者らは、通常の食卓塩や、食品業界において製品調合に使用される市販の塩に代わる優れた塩組成物または塩代替品を発見したと考えた。改良剤として米粉を採用する好ましい最終生成物の非アレルギー性は、好ましい米粉よりも非アレルギー性がほぼまちがいなく低い穀粉改良剤を使用する本発明の他の塩組成物よりも、恐らくさらに広範囲の状況で本発明の好ましい塩組成物を使用可能にし、さらに価値を高める性質であると考えられた。本明細書において、ナトリウムのカリウムに対する比率またはカリウムのナトリウムに対する比率は重量比である。
【0030】
[0036]この点に関して、穀粉は非常に安価であるということが分かるであろう。穀粉は単に穀粒を乾燥製粉することにより作成される。他方、穀物デンプンは、一般に、主としてデンプンを得るために、穀物デンプンのコストにかなり上乗せすることになると考えられる抽出プロセスがはるかに多く必要となるため、一般にやや高価である。単純な穀粉は、押出しプロセスにおいて穀粉の場合に予想されるよりもかなり容易に使用し得る、より精製の進んだ穀物デンプンとは、かなり異なることも分かるであろう。
【0031】
[0037]さらに、デンプンを作成するために処理する際、穀粉から除去される物質、特にタンパク質画分は、一般にKClに伴う異臭をマスキングする上で非常に役立つと考えられる。この理由から、穀粉は、タンパク質画分を添加した同様の穀物デンプンと同等であり、除去された画分を精製画分に実質的に加え戻す。
【0032】
[0038]米粉は好ましい穀粉であると考えられる。小麦粉、燕麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ブルグア麦粉、大麦粉などを含む他の穀粉またはそれらの組合せも、本発明の別の実施形態において使用することができる。
【0033】
[0039]本発明の一部の実施形態においては、特にKClをドラム乾燥法で処理する実施形態においては、穀粉が好ましいが、穀物デンプンは、タンパク質画分や、処理済みの穀物デンプンから一般に除去された他の画分に由来する更なるマスキング力がたとえなくても、効果的に使用することができる。
【0034】
[0040]米デンプンが好ましい穀物デンプンであると考えられる。小麦デンプン、燕麦デンプン、ライ麦デンプン、トウモロコシデンプン、ブルグア麦デンプン、大麦デンプンなどを含む他のデンプンまたはこれらの組合せも、本発明の別の実施形態において使用することができる。
【0035】
[0041]穀粉がデンプンと比べどのように異なるかを示す比較表を下記に示す。しかしこれらの差は、単純な穀粉と、穀粉に比べてかなり精製されていることが明らかな、より複雑なデンプン製品との有意差を示すに十分である。
【0036】
【表1】

【0037】
[0042]業界で入手可能であると報告されているデンプン中に、タンパク質、繊維、灰分および脂肪が実質的に不純物として存在するが、もち米デンプンであると報告されているカリフォルニア・ナチュラル・プロダクツ(California Natural Products)から入手可能な「天然の」米抽出製品がある。これは、実際は、主にタンパク質含有量が非常に高いため(報告によると6.0%)、現在業界で知られているデンプンのような「真の」デンプンではない。デンプンは、主に二つの画分、アミロースおよびアミロペクチンに分けることができる。天然デンプンはアミロース(10〜20%)とアミロペクチン(80〜90%)の混合物である。これらがデンプン内に残る程度に、これらはさらなる抽出によって除去することができる不純物である。穀粒製品の抽出を最小限しか行わない場合、その製品がデンプンであるというのは、実際には正確ではない。上記のように、デンプンは二つの画分、アミロースとアミロペクチンの混合物であるが、ある程度のタンパク質、繊維、灰分および脂肪不純物が残っており、これらの不純物を微量以上含む製品は、実際は単なる穀粒抽出物にすぎない。当然のことながら、標準的な米デンプンおよびマルトデキストリンなどのデンプン誘導体は、好ましくはタンパク質含有量が一般的に約0.5%未満であるが、穀粉は一般にタンパク質含有量が少なくともこの10〜30倍(例えば、一般的に、少なくとも約6〜約15重量%のタンパク質)であると考えられる。
【0038】
[0043]米粉は、好ましい穀粉であるが、小麦粉、燕麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ブルグア麦粉、大麦粉など他の穀粉またはそれらの組合せを含む他の穀粉も本発明の別の実施形態において使用することができる。米粉は、本発明の好ましい塩組成物の高度な白さにより、本発明者らには、他の穀粉よりもいく分優れているように思われる。しかし、これらの穀粉は全て、主として、塩化カリウムを含有する従来技術の塩組成物に一般に伴う「金属的な」後味の苦味をマスキングするかまたは最小限に抑えるうえでのそれら穀粉の予測有効性および低コストの点から望ましい。
【0039】
[0044]それぞれの穀粉中の特定なタンパク質は、塩化カリウムに対し結合効果を有し、これが、この苦味/金属的な後味を効果的に低減またはマスキングするため、より効果的な改良剤となっていると本発明者らは推測する。
【0040】
[0045][改良剤として米デンプンと米粉を用いてエクストルージョン・クッキングにより作成した生成物比較のためのX線およびDSC実験]
[0046]2種類の改良剤、米粉(サンプル801)および米デンプン(サンプル803)を用いて作成した塩組成物の二つのサンプルを、サンプル803において米粉の代わりに同量の米デンプンを使った以外は実施例1(下記)に説明する方法に従って作成し、この二つのサンプルのそれぞれを検査し、サンプル801がサンプル803と異なるかどうか判定した。
【0041】
[0047]X線およびDSC実験は、前記二つのサンプルについてパデュー(Purdue)大学(インディアナ州、ウェストラファイエット(West Lafayette))食品科学部のウィスラー炭水化物研究センター(Whistler Center for Carbohydrate research)で実施した。研究所の所見は以下のとおりであった。サンプル801および803のX線実験の結果、それぞれ図1および図2に示すX線回折図が得られ、これらの図は両サンプルとも主に微結晶性であることを示していると報告されている。サンプル803のデンプンプロファイル(2シータ領域、10〜27°F)は、28°F以上の残りのプロファイルにより矮小化され、主にそれぞれのサンプル中にかなりの量添加された食塩により散らさられるため、極めて低いと報告されている。これらの実験に基づいて、この実験を実施した研究者たちは、サンプル801はサンプル803とは異なるようであると結論を下した。
【0042】
[0048]DSC実験では、サンプル801およびサンプル803についてそれぞれ図3および図4に示した重複DSCサーモグラムが得られた。報告されたこれらの結果は、両サンプルとも約105〜約107℃において一つの吸熱ピークを示すのみであることを示している。サンプル801のエンタルピーは、1グラムあたり57ジュールであり、これは1グラムあたり35ジュールであったサンプル803のエンタルピーよりかなり高かった。このため、サンプル801において改良剤として使用される微細米粉は、サンプル803で使用される米デンプンよりも改良剤として好ましいと考えられる。上記二つのサンプルは、構成成分の量および性質が同一ではないことを示唆する、明確に異なるX線およびDCS特性を示し、これはこれらのサンプルの物性に反映されている。
【0043】
[0049]上記の実施例に基づき、たとえ米粉が、その独特のカリウム異臭マスキング力、非アレルギー性、その白さおよびその淡泊な風味により最も好ましくはあっても、他の穀粉および/または野菜粉を改良剤として使用できるものと考えられる。本発明者は、米粉がその最も単純な形態で、塩代替物、特にカリウム塩を含むものに伴うことの多い、予想される苦味または金属的な味のすべてをマスキングすることに、喜びもし、驚きもした。
【0044】
[0050][KClとともに行うNaCl処理とKClのみの処理の比較:]
[0051]処理を行う更なる実験により、本発明者は、本発明の塩組成物を調製する際に改良剤またはマスキング剤をNaClと混合する必要があるか否かを究明することとなった。この疑問については、塩化カリウム(KCl)のみをマスキング剤と混合した後ドラム乾燥させる実験を行った際、暫定的な答えが得られた。この結果得られた乾燥生成物をつぎにNaClと共粉砕/製粉した。代わりに、この乾燥生成物を粉砕後、食塩とブレンドすることも可能である。KClのみをマスキング剤とドラム乾燥によって、あるいは、エクストルージョン・クッキングまたは凝集によって処理すると、塩化ナトリウムまたは食塩を、その天然の、マスキングされていない状態に保つことになることから、結果として得られる本発明の好ましい低ナトリウム塩組成物の風味が向上すると考えられる。さらに、この方法は、完成品の主要成分の一つである食塩を、乾燥させる必要のある最初の混合物から除外することにより、乾燥させる混合物全体の量が低減するため、さらに費用効率が高い。
【0045】
[0052]つぎに、NaClをKClといつ混合すべきかについて考察した。このとき、NaClおよびKClを同時に処理せず、マスキング剤をKClに伴う金属風味のマスキングにのみ使用した場合、得られる塩組成物は、低コストでより効果的であり得ることが判明した。KClをマスキング剤と混合し、その後乾燥させる。次に、KCl異臭のみマスキングされたこの乾燥KCl含有混合物を粉砕し、その後塩とブレンドする。好ましい実施形態において、乾燥KCl含有混合物を塩と共粉砕し、好ましい塩組成物を得る。次の内容が新規な着想であることが直ちに分かった。すなわち、KClに伴う異臭や苦味のみをマスキングしNaClに伴う塩味はマスキングしないようにマスキング剤または改良剤を単独使用することである。
【0046】
[0053]KClを単独で処理すると、NaClに伴う塩味をより良好に温存すると考えられると同時に、処理コストも削減される。したがって、本発明の穀粉含有塩組成物も、本発明の共粉砕塩組成物も、いずれも本明細書に開示されており、新規であり特許性のある発明であると考えられる。
【0047】
[0054]本発明の好ましい実施形態において、KClを処理し改良塩化カリウム(MPC)を作成するが、このときKClは本発明の改良剤のいずれかと組み合わせることになり、NaClは、KClをその改良剤とともに処理した後添加するのみである。これらの実施形態において、KClは実質的に非結晶性無定形マトリックス中にあり、このマトリックス中では、KClを構成しているカリウム原子と塩化物原子が実質的に解離し非結晶性無定形マトリックス中に分散しており、一方、NaClは実質的に結晶状であり、前記NaClは実質的に、結合し結晶格子を形成する一連の繰り返し「構成単位(building blocks)」において、ナトリウム原子が実質的に塩化物原子と密接に結合した結晶格子状に構成されていると考えられるが、これに依拠しているわけではない。このような状態が生ずるのは、KClのカリウム原子および塩化物原子を互いに解離させ実質的に非結晶性無定形マトリックス中で改良剤と再結合させる水の存在下で改良剤とともにKClを処理することに起因すると考えられ、一方、NaClは処理されず、一般に解離せず、MPCと混合すると結晶状を保ち、ブレンディング、共粉砕または他の適切な混合法によって好ましい低ナトリウム塩組成物を形成する。別途述べたように、NaClは、MPCとのブレンド、MPCとの共粉砕、または乾燥成分を一般に混合する他の方法で混合することができる。
【0048】
[0055]好ましい実施形態において、改良剤は、好ましくは、食品用の有機酸、ならびに/または、クエン酸、酒石酸、酢酸、リンゴ酸、フマル酸および/もしくはそれらの誘導体などの有機酸を含む天然産物、また、このような酸などの天然源など、本発明の塩組成物が少なくとも部分的に溶解される水性溶液のpHを低下させる食品用酸味料を含むことのできる水性混合物中の穀粉、好ましくは米粉(その利点は先に説明した)を含む。これは、前記組成物中のKClに伴う金属的異臭および/またはその他の異臭のレベルを、おそらく最終塩組成物中のMPCの独特の構造により低下させるものと考えられる。
【0049】
[0056][塩の選択:]
[0057]本発明のさらに別の実施形態に採用される塩化物塩は、Na、K、Mg、Caの塩化物などの単一化合物であってもよく、また、おそらく二種類以上のこれら塩化物塩の混合物であってもよい。ハロゲン化物塩の混合物を採用することが可能であり、それが望ましい場合もあり、その場合、一つ以上の前記塩のハロゲン化物は、塩化物塩のものとは異なるハロゲン化物である。ハロゲン化物は二元化合物であり、その一方の部分はハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、他方はハロゲンより電気陰性度の低い元素またはラジカルであり、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物化合物を成す。多くの塩はハロゲン化物である。すべての第1族金属は、ハロゲンと白色固体のハロゲン化物を形成する。
【0050】
[0058]塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウムおよび塩化アンモニウムなどの他の塩化物塩も本発明に採用してもよいが、好ましい塩はNaClおよびKClである。様々な種類の塩の商業的使用は、米国における使用に関しては食品医薬品局(FDA)の認可を受けている物質にさらに限定される。乳酸塩の陽イオン塩などを含む他の塩組成物も、別の実施形態に使用してもよい。
【0051】
[0059][酸味料:]
[0060]本発明のすべての塩組成物および塩代替物の好ましい実施形態は、食品用酸味料、好ましくは約0.01〜約1.0重量%のそのような酸味料を含む。本発明に係る調合品用の好ましい食品用酸味料は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、酢酸、安息香酸などの食品用酸、好ましくはクエン酸を含む。当然のことながら、天然柑橘類果汁などの果実抽出物はクエン酸を含むため、それらも使用し得る。様々な処理工程において存在する水性混合物のpHを下げるための酸味料の使用は、KClの相対的溶解度を増加させると考えられる。好ましい実施形態において、これらの酸味料は、水性混合物のpHを下げ、それによってこれらの混合物および/またはそのような混合物の水性部分を、好ましくは約3.0〜約5.0、より好ましくは約3.5〜約4.5のpHまで、さらに好ましくは約4.0のpHまで酸性化する。
【0052】
[0061][処理法:]
[0062][エクストルージョン・クッキングとドラム乾燥の比較:]
[0063]続いて、より安価な処理法の開発に努力を注ぎ、NaClおよびKClに対し、改良剤としての穀粉の水性混合物またはマスキング剤を用いた各混合物が試みられた。ドラム乾燥が特に効果的であり、実施コストはエクストルージョン・クッキングに予想されるものよりかなり低いことが判明した。ドラム乾燥温度は、好ましくは約150〜約350°F、より好ましくは約160〜約300°F、さらに好ましくは約170〜約250°Fである。
【0053】
[0064]ドラム乾燥機を用いる最初の実験を受け、塩および改良剤またはマスキング剤の混合物のこの処理法が、カリウムに伴う金属的異臭がエクストルージョン・クッキングと同程度以上マスキングされた最終塩組成物を提供するうえで少なくとも同程度効果的であると判断され、ドラム乾燥はエクストルージョン・クッキングより費用効率がはるかに高いと考えられる。穀粉改良剤の使用は、ドラム乾燥および押出し乾燥のいずれの方法においても特に効果的である。デンプンは、ドラム乾燥において、実質的に同様に効果的であるが、上記のように穀粉のほうが好ましい。
【0054】
[0065]本発明の一定の塩組成物の処理にエクストルージョン・クッキングを利用することにより、生産の連続反応処理法を提供する。塩組成物の反応押出しは、乾燥した混合成分がホッパーから押出機内へ流入することで始まる。この押出機において、互いにかみ合う並列式オーガが前記成分を混合し、押出機内の急速に変化する圧力および温度のもとでこれら成分を反応させる。反応押出しは、融通がきくうえ、連続的であり、一般にバッチクッキングよりもエネルギー効率がよく効果的である。押出しは、十分な混合力、高いせん断力、高圧および高温を兼ね備え、調合品およびその構成分子をほぼ瞬間的に処理する。押出技術は、水分をほとんどまたは全く含まない成分を、融解し分子に分解するか、または他の物質と混合し反応させる。生じる圧力は350〜3000psiまで上昇することがあり、内部温度を、蒸気の発生や水分の損失なく、水の標準沸点以上に上昇させる。そのような条件下では、穀物ベースの食品成分は数秒足らずで100〜200°まで加熱され、均質の可塑化された塊に変わる。
【0055】
[0066]基本的な押出機のレイアウトには、駆動システムを支えるプラットフォーム、バレル、スクリュー軸上のスクリューエレメント、ならびにユーティリティおよび制御装置への接続部が含まれる。水を乾燥成分内に導入し、押出バレルの前に成分を事前に水和するために、調整シリンダーが含まれることが多い。水は注入ポートを通してバレル内にさらに導入することができ、この注入ポートは1箇所または複数箇所にあってもよい。押出バレルは、押出しスクリューを囲むフランジ付シリンダーである。押出バレルは、比較的高圧に耐えることができ、たるみや歪みを最小限に抑える上で十分な構造的剛性を備えている。押出バレルは、空気あるいは液体、通常は水、蒸気、または油を用いて外部からまたは内部から冷却または加熱することができる。
【0056】
[0067]同時回転し互いにかみ合うスクリューエレメントは、自己清拭作用を有し、高い混合度および積極的搬送を提供するため、混合用途に一般的に使用される。エレメントのデザインによって、スクリューは材料を搬送、混合、または混練できる。これらのエレメントは、粉末の多様性(例えば、かさ密度、流量、材料のすべり)に適応するため、様々な長さ、ピッチサイズおよび構造のものを入手することができる。設計は、1枚羽でも複数羽でもよい。スクリューエレメントの数および位置は、処理能力、最終生成物のパラメータおよび最終的な機能性品質を規定するのに役立つ。
【0057】
[0068]本明細書において、メッシュサイズは標準米国篩サイズを指し、パーセントは重量パーセントを指し、比率は重量比を指す。たとえば8メッシュ〜100メッシュのメッシュサイズ範囲は、8メッシュスクリーンを通り落下し100メッシュスクリーン上に残る粒子を意味する。また、−100メッシュといったメッシュサイズは、粒子が100メッシュスクリーンを通過することを意味する。
【0058】
[0069]米粉は、平均サイズが5〜100ミクロンの顆粒の形で植物体内に自然に存在し、何千という個々の米デンプン分子が緊密に結合していることが知られている。米粉を含む本発明の好ましい混合物の押出しにより、米粉に何らかの作用が及び、カリウム陽イオンが封入されることにより他の塩組成物/塩代替物に伴う塩化カリウムの苦味特性を制限し、また同時に、この方法は最終生成物に存在する塩化ナトリウムの「塩気」特性を高めると考えられるが、これに依拠しているわけではない。さらに、押出しにより、米粉の冷水への可溶化を可能にし、本発明の好ましい実施形態の迅速な溶解性を増進させ得る。
【0059】
[0070][改良塩化カリウム作製のためのドラム乾燥法のオプションとしての凝集:]
[0071]本発明の別の方法では、本発明に係る塩組成物の作成に凝集法が使用される。この方法では、好ましくはリウェット(Rewet)凝集システムを用い、塩化カリウム、米粉およびクエン酸の乾燥混合物が凝集チャンバーに搬送される。この粉末混合物は、空気中に分散させ、前記チャンバー内に噴霧される水と接触させ、分散混合物を形成する。この分散混合物の水分含有量は、好ましくは約5〜約25%、より好ましくは約10〜20%、最も好ましくは約15%である。続いて、多孔性の凝集体が形成され、そして、好ましくは約150〜約250°F、より好ましくは約175〜約225°F、最も好ましくは約200°Fの温度範囲での流動化条件下、好ましくは約20〜60分間、より好ましくは約30〜約50分間、最も好ましくは約40分間以下乾燥させる。乾燥後、この凝集体を室温まで冷却し、チャンバーから排出させ、分別して微粉を除去し、この微粉は後にリサイクルする。最終生成物は、改良塩化カリウムの成分を含有する粗粒子である。当然のことながら、湿潤速度および乾燥条件を変動させることによって、最終の凝集体サイズを調整することができる。
【0060】
[0072]凝集は、同様の方法を用いるあらゆる数の異なった調合品においても、本発明の改良塩化カリウムおよび塩組成物の両者を作成するために用いることができるが、上記の理由からエクストルージョン・クッキングがより好ましい乾燥方法であり、ドラム乾燥がなおさら好ましい。
【0061】
[0073]下記実施例(実施例1、下記)は、本発明の代替塩組成物を作成するための好ましいエクストルージョン・クッキング法を説明するものである。
【実施例1】
【0062】
[0074][改良塩化カリウム(「MPC」)作成のためのエクストルージョン・クッキング]
1.好ましくは約25〜約75重量%の穀粉、好ましくは米粉、約25〜約75重量%のKClを含む乾燥成分をブレンドする。
2.このブレンドした乾燥成分を、適量の水分とともに押出機内に供給し、この混合物を、約150〜約350°F、好ましくは210〜280°Fの温度で、約300psi〜約500psiの圧力で押出し、前記混合物を可塑化し無定形の可塑化された塊とし、その無定形可塑化混合物を押出機から押出す。
3.前記無定形可塑化混合物を乾燥させ、前記混合物の水分含有量を低下させる。
4.適切な水和作用、溶解度、ブレンド性および粘着性を得るために必要な粒径にこの乾燥させた混合物を分解する。
【0063】
[0075]上記の方法により、改良塩化カリウム(MPC)が得られる。そして、このMPCは、任意に塩化ナトリウムとブレンドするか、或いは、塩化ナトリウムと共粉砕し、本発明の低ナトリウム塩組成物を作製する。
【実施例2】
【0064】
[0076][低ナトリウム塩組成物を作成するためのエクストルージョン・クッキング]
[0077]ウェンガー(Wengar)TX−57押出機を用いて、本発明の好ましい低ナトリウム塩組成物を作製した。この押出機は、二軸押出バレルならびに内径(ID)4.5mmの2個のインサートおよびランド長約6.0mmの2個のインサートを有する押出ダイを備えたものであった。
【0065】
[0078]下記乾燥成分を下記の調合により混合ボウル内でブレンドした。
【0066】
1.塩化ナトリウム(カーギル・トップ・フロー(Cargill Top Flo)蒸発塩) 25%
2.塩化カリウム(ニュートリ‐K、リーシス社(Nutri−K、Rhesis Inc.)) 25%
3.米粉(セージ・ファイブ(Sage V)中粒) 50%。
【0067】
[0079]この乾燥ブレンド物を、「ロス・イン・ウェイト」フィーダーを介して、速度60kg/分、フィードスクリュー速度10rpmで、押出機のプレコンディショニングシリンダー内に供給した。プレコンディショニングチャンバー内において、水分含有量13.8%(乾燥重量基準)となるように、注入ポートを通して水を乾燥ブレンド物に添加した。プレコンディショニングシリンダー速度は、150rpmであり、水流は、0.138kg/分であった。プレコンディショナーの排出温度は72°F(22℃)であった。プレコンディショナーに蒸気は添加しなかった。そして、この混合物を二軸押出バレルのスロート内に搬送し、スクリュー速度300rpmで押出す際248°F(120℃)の温度まで加熱した。ダイスペーサー温度は232°F(111℃)。ダイにおける圧力は350psiであった。
【0068】
[0080]この押出法においては、高圧力、せん断力および温度により、可塑性の塊が生じ、この塊は、生成物が押出機のダイ部から周囲条件の中に押出されるにつれ急速に固化し無定形マトリックスとなった。押出機の最後部にあるナイフ装置によりこの生成物をカットし、容易に搬送できるペレットとした。これらのペレットは、長さ約1/2インチ、直径1/4インチにカットされた後、乾燥時間として合計22分間110℃で作動するガス燃焼二通路ベルト式乾燥機(gas−fired two pass belt dryer)に搬送された。この乾燥させたペレット状の好ましい塩組成物を粒径約40メッシュに製粉したが、別の実施形態では、40〜約100メッシュといったより大きなメッシュサイズが許容範囲とされ、これよりさらに大きなメッシュサイズや、おそらくさらに小さなメッシュサイズも多くの用途に関しては許容範囲となり得る。
【0069】
[0081]押出機の各ゾーンの温度は様々であったが、クッキング領域は一般に約100〜約120℃に達した。テストは、ダイ開口部で300〜500psiの圧力で実施された。
【0070】
[0082]ストランド状でダイから押出された熱間押出混合物、すなわち「押出物」は、上記のようにより小さな扱いやすい破片にカットされた後、上記のように乾燥機に搬送され、これらの破片ペレットは、水分が約3〜7%になるまで乾燥させた。
【0071】
[0083]別の実施形態において、それぞれの乾燥成分が適切な比率で供給流内においてブレンドされる場合、押出機内で乾燥成分を水とブレンドする前にそれぞれの乾燥成分をブレンドする必要はなく、押出機内で全ての混合が行われる。
【0072】
[0084][分析テスト]
[0085]実施例2で説明した方法によって作製した低ナトリウム塩組成物のサンプルを、メダリオン研究所(Medallion Labs)(ミネソタ州、ミネアポリス)にて分析してもらった。メダリオン研究所では、ナトリウムおよびカリウムの含有量は、原子吸光分析法を用いる標準的元素分析を用いて測定された。当然のことながら、食塩は一般に約40%のナトリウムを含有する。このテスト中、上記塩組成物のサンプルは下記水分含有量および元素組成を有することが分かった。
【0073】
水分(%) 5.16
ナトリウム(%) 10.40
カリウム(%) 10.60。
【0074】
[0086]すぐ上に記載した本発明の塩組成物は、前記サンプルをインスタントマッシュドポテトに(食塩の75%ナトリウム当量となるように、すなわち、ナトリウムが食塩より25%少なくなるように)添加することにより官能検査で評価し、同じインスタントマッシュドポテト上の食塩と比較した。
【0075】
[0087]官能検査用のサンプル作成のための調合は以下のとおりであった。
【0076】
インスタントマッシュドポテト26.5g
熱水71.5g
食塩1.0g(または上記実施例2の塩組成物のサンプル3.0g)。
【0077】
[0088]本発明を含むマッシュドポテトの評価を行ったところ、訓練を受けた官能検査官は、前記二つのサンプル間で塩味の有意差は無く、さらに重要なことは、代替塩組成物中のカリウム含有量またはその組成物中の米粉改良剤に伴う「苦味および/または異臭」は皆無であると判定した。さらに、水に良好に分散したこの代替塩組成物自体は、外見が白く質感は滑らかであった。
【実施例3】
【0078】
[0089][低ナトリウム塩組成物作成のためのドラム乾燥]
[0090]ドラム直径6インチ、ドラム長8インチ、ドラム表面2.1平方フィートの大気ダブルドラム乾燥機(Atmospheric Double Drum Dryer)(モデルNo.ALC−4(ブロー‐ノックス・フード・アンド・ケミカル・イクイップメント社、ニューヨーク州、バッファロー(Blaw−Knox Food and Chemical Equipment、Inc.、Buffalo、NY)、バフロバク事業部(Buflovak Division))を用いた。乾燥させる材料を二つのそれぞれのドラムの間のニップにポンプで送り込むか注入する。乾燥させた生成物のシートの厚さは、二つのドラム間のギャップの調整およびドラム回転速度により制御される。
【0079】
[0091]サンプル3a.次のものから成る乾燥ミックスを作成した。
【0080】
50%微細米粉
25%通常食品用塩
25%塩化カリウム。
【0081】
[0092]このプレミックスから100gを採取し、300gの水と混合し、ペースト化温度185°Fまでクッキングし、大気ダブルドラム乾燥機−モデルNo.ALC−46×8(ブロー‐ノックス・フード・アンド・ケミカル・イクイップメント社、バッファロー、ニューヨーク、バフロバク事業部)を用いて、蒸気圧25psig、ドラム速度約1.2rpmおよびギャップ間隔約0.25インチでドラム乾燥させた。この生成物は容易に乾燥し、きれいにシート状になり、非常に滑らかで均一なフレークとなった。最終生成物は、非常に白く、滑らかで、均一であり、より小さなフレークへと非常に砕けやすかった。この材料を室温で平衡化させた後、ユーディ・サイクロンミル(Udy Cyclone Mill)で1mmスクリーンを通して粉砕した。前記塩組成物のサンプルについて行った元素分析によると、ナトリウム約10%およびカリウム10%を有することが分かった。官能検査では、これは、エクストルージョン・クッキングにより処理した同様のミックスと同等以上に良好であった。
【0082】
[0093]サンプル3b. 次のものを含むプレミックスを作成した。
【0083】
50%微細米粉
50%塩化カリウム。
【0084】
[0094]このうち100gを400gの水と混合し、ペースト化温度180°Fまでクッキングし、その後25psig、1.2rpm、ギャップ間隔0.025インチでドラム乾燥した。このクッキングしたサンプルは、淡黄褐色であったが、乾燥後は白く見えた。良好なパリッとしたシートで、容易に乾燥しローラーから剥がれ落ちた。ここでもこれを室温で平衡化させ、ユーディ・サイクロンミルで1mmスクリーンを通して粉砕した。この材料は、前記塩組成物のサンプルについて行った元素分析によるとナトリウム<1%およびカリウム約25%を含むと報告された。このサンプルを純粋なレギュラーモートンソルト(Regular Morton’s Salt)と1:1の比率で混合し、ナトリウム20%およびカリウム12.5%の最終生成物組成を得た。このブレンド物は、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムをともに同時処理することにより得られる同様の組成物と比較した場合、溶解特性および官能特性において優れていることが分かった。
【実施例4】
【0085】
[0095][ドラム乾燥、続き]
[0096]実施例4で使用した大気ダブルドラム乾燥機(ドラム直径6インチ、ドラム長8インチおよびドラム表面2.1平方フィート)を用いて塩組成物のサンプルをさらに3つ作製した。乾燥させる材料を二つの反転するドラムの間のニップに注入し、これらのドラムを被覆する材料の厚さは、二つのドラム間のギャップの調整およびドラム回転速度により制御した。
【0086】
[0097]これら全てのサンプルは、ここに示した順序で添加を行う下記の方法を用いて調製した。
【0087】
[0098]サンプル4a:改良塩化カリウムのみ、製粉前に塩化ナトリウムとブレンドする
1.熱水(180°F/82℃)約500gを、1,000mlビーカーに秤取し、マグネチックスターラを用いるホットプレート上に置いた。
【0088】
2.塩化カリウム(ニュートリ‐K(登録商標)、リーシス社、ニュージャージー州、バークレーハイツ、 スナイダー アヴェニュー 235、(235 Snyder Ave.,Berkeley Heights,NJ))約250gを、常時撹拌しながら前記熱水に添加した。
【0089】
3.微細無水クエン酸(ロットNo.CA4L192B4、FCC、USP−テート&ライル、イリノイ州、ディケーター(USP−Tate&Lyle、Decatur、IL))約5gを添加し、全ての塩が溶液に溶解するまで混合し続けた。
【0090】
4.添加した最後の成分は、微細米粉(PGPインターナショナル、95776 カリフォルニア州、ウッドランド、ハンソンウェイ 351(PGP International、351 Hanson Way、Woodland、CA 95776)約50gであった。
【0091】
5.つぎにこのサンプル全体を約165°F/73℃まで加熱したが、このとき溶液は目に見えて粘度が増した。サンプルのpHは160°Fで3.61であり、粘度はブルックフィールド(Brookfield)粘度計(スピンドル3、速度30)を用いて180cpsと測定された。
【0092】
6.このサンプルを、蒸気圧40psig、ドラム速度約1.66rpmおよびギャップ間隔約0.25インチで、ドラム乾燥機で乾燥させた。
【0093】
[0099]この生成物は容易に乾燥し、きれいにシート状になり、非常に滑らかで均一なフレークとなった。最終生成物は、非常に白く、滑らかで、均一であり、より小さなフレークへと非常に砕けやすかった。最終収量は約280.0gであった。この材料を室温で平衡化させ、等重量の塩化ナトリウムとブレンドした後、ユーディ・サイクロンミルで1mmスクリーン(ユーディ社、80524 コロラド州、フォートコリンス、ローム コート 201(201 Rome Court、Fort Collins、CO 80524))を通して粉砕した。
【0094】
[0100]サンプル4b:50/50の塩化ナトリウムおよび塩化カリウム
1.熱水(180°F/82℃)約500gを、1,000mlビーカーに秤取し、マグネチックスターラを用いるホットプレート上に置いた。
【0095】
2.塩化ナトリウム(トップ‐フロー(Top−Flo)(登録商標)蒸発塩、カーギル社 ミネソタ州、ミネアポリス(Cargill,Inc.Minneapolis,MN))約125gおよび塩化カリウム(ニュートリ‐K(登録商標)、リーシス社、ニュージャージー州、バークレーハイツ、 スナイダー アヴェニュー 235)125gを、常時撹拌しながら前記熱水に添加した。
【0096】
3.微細無水クエン酸(ロットNo.CA4L192B4、FCC、USP−テート&ライル、イリノイ州、ディケーター)約5gを添加し、全ての塩が溶液に溶解するまで混合し続けた。
【0097】
4.添加した最後の成分は、微細米粉(PGPインターナショナル、95776 カリフォルニア州、ウッドランド、ハンソンウェイ 351)約50gであった。
【0098】
5.つぎにこのサンプル全体を約165°F/73℃まで加熱したが、このとき溶液は目に見えて粘度が増した。サンプルのpHは160°Fで2.62であり、粘度はブルックフィールド粘度計(スピンドル3、速度30)を用いて820cpsと測定された。
【0099】
6.このサンプルを、蒸気圧40psig、ドラム速度約1.66rpmおよびギャップ間隔約0.25インチで、ドラム乾燥機で乾燥させた。
【0100】
[0101]この生成物は容易に乾燥し、きれいにシート状になり、非常に滑らかで均一なフレークとなった。最終生成物は、非常に白く、滑らかで、均一であり、より小さなフレークへと非常に砕けやすかった。この材料を室温で平衡化させ、ユーディ・サイクロンミルで1mmスクリーン(ユーディ社、80524 コロラド州、フォートコリンス、ローム コート 201)を通して粉砕した。最終収量は約262.9gであった。
【0101】
[0102]サンプル4c:製粉前に塩化ナトリウムとブレンドした、リジンを含む改良塩化カリウム
1.熱水(180°F/82℃)約500gを1,000mlビーカーに秤取し、マグネチックスターラを用いるホットプレート上に置いた。
【0102】
2.塩化カリウム(ニュートリ‐K(登録商標)、リーシス社、ニュージャージー州、バークレーハイツ、 スナイダー アヴェニュー 235)約250gを、常時撹拌しながら前記熱水に添加した。
【0103】
3.微細無水クエン酸(ロット#CA4L192B4、FCC、USP−テート&ライル、イリノイ州、ディケーター)約5gを添加した。
【0104】
4.L−リジン一塩酸塩(味の素株式会社、日本、東京)約5.0gを上記サンプルに添加した。
【0105】
5.添加した最後の成分は、微細米粉(PGPインターナショナル、95776 カリフォルニア州、ウッドランド、ハンソンウェイ 351)約50gであった。
【0106】
6.つぎにこのサンプル全体を約165°F/73℃まで加熱したが、このとき溶液は目に見えて粘度が増した。サンプルのpHは160°Fで3.90であった。粘度は90cpsであり、ブルックフィールド粘度計(スピンドル3、速度30)を用いて測定された。
【0107】
7.このサンプルを、蒸気圧40psig、ドラム速度約1.66rpmおよびギャップ間隔約0.25インチで、ドラム乾燥機で乾燥させた。
【0108】
[0103]この生成物は容易に乾燥し、きれいにシート状になり、非常に滑らかで均一なフレークとなった。最終生成物は、非常に白く、滑らかで、均一であり、より小さなフレークへと非常に砕けやすかった。最終収量は約289.9gであった。この材料を室温で平衡化させ、等重量の塩化ナトリウムとブレンドした後、ユーディ・サイクロンミルで1mmスクリーン(ユーディ社、80524 コロラド州、フォートコリンス、ローム コート 201)を通して粉砕した。ナトリウム/カリウム分析のためサンプル20gをメダリオン研究所に提出した。
【0109】
【表2】

【実施例5】
【0110】
[0105][ドラム乾燥、続き]
[0106]実施例5は、上記実施例4に報告したものと同様のドラム乾燥法を利用する。
【0111】
[0107]装置:サンプルを混合し、容量約5ガロンのスイープ面スチームジャケット付ケトル(swept surface steam jacketed kettle)(グロエン(Groen)ケトル、モデルNo.TDB7−20内蔵電気スチームジャケットケトル、グロエン・ドーヴァー インダストリーズ、60007、イリノイ州、エルク グローブ、プラット ブールバード 1900(Groen/DoverIndustries、1900PrattBlvd.ElkGrove、IL60007))を用いて加熱した。
【0112】
[0108]すべてのサンプルに使用した乾燥装置はパイロットスケールの大気ダブルドラム乾燥機(ドラム直径6インチ、ドラム長8インチ、ドラム表面2.1平方フィート)であった。乾燥させる材料を二つの反転するドラムの間のニップに注入し、これらのドラムを被覆する材料の厚さは、二つのドラム間のギャップの調整およびドラム回転速度により制御した。具体的に使用したドラム乾燥機は、モデルNo.ALC−4(ブロー‐ノックス・フード・アンド・ケミカル・イクイップメント社、バッファロー、ニューヨーク、バフロバク事業部)であった。
【0113】
[0109]成分:
熱水道水、約180°F
塩化カリウム(ニュートリ‐K(登録商標)、リーシス社、ニュージャージー州、バークレーハイツ、 スナイダー アヴェニュー 235)
微細米粉(PGPインターナショナル、95776 カリフォルニア州、ウッドランド、ハンソンウェイ 351)
微細無水クエン酸(ロットNo.CA4L192B4、FCC、USP−テート&ライル、イリノイ州、ディケーター)
塩−塩化ナトリウム(トップ‐フロー(登録商標)蒸発塩、カーギル社 ミネソタ州、ミネアポリス)
二酸化ケイ素(ゼオフリー(Zeofree)(登録商標)80、JMフーバー(Huber)社、ジョージア州、アトランタ)。
【0114】
[0110]サンプル5a:ドラム乾燥による改良塩化カリウム
[0111]ここに示した順序で添加を行う下記の方法を用いて調製した。
1.熱水(180°F)約1000gをスチームケトルに秤取し、約500gの塩化カリウムを、常時撹拌しながら添加した。
2.クエン酸約10gを添加した。全成分が完全に溶解するまでこの溶液を撹拌した。
3.微細米粉約100gを、常時かき混ぜながら添加した。
4.つぎにこのサンプルを約165°Fまで加熱すると、目に見えて粘度が増した。
5.サンプルは、蒸気圧40psig、ドラム速度約1.66rpmおよびギャップ間隔約0.25インチで、ドラム乾燥機で乾燥させた。
【0115】
【表3】

【0116】
[0113]混合方法の要約:水を180°Fまで加熱後、KClを添加し、2〜3分間混合し、クエン酸を添加し、完全に溶解するまで撹拌した。塊ができないように常時混合しながら米粉を添加。最終温度165°Fまで加熱。この最終混合物は、滑らかには見えず、ややざらついていたが、容易且つ滑らかに乾燥した。
【0117】
【表4】

【0118】
[0115]この生成物は容易に乾燥し、きれいにシート状になり、非常に滑らかで均一なフレークとなった。最終生成物は、非常に白く、滑らかで、均一であり、より小さなフレークへと非常に砕けやすかった。この試験から得られた乾燥物質の総量は560グラムであった。
【0119】
[0116]サンプル5b:改良塩化カリウム
[0117]ここに示した順序で添加を行う下記の方法を用いて調製した。
1.熱水(180°F)約2000gをスチームケトルに秤取し、195°Fまで加熱し、塩化カリウム約500gを、常時撹拌しながら添加した。
2.クエン酸約20gを添加した。全成分が完全に溶解するまでこの溶液を撹拌した。
3.微細米粉約200gを、常時かき混ぜながら添加した。
4.つぎにこのサンプルを約180°Fまで加熱すると、目に見えて粘度が増した。
5.サンプルは、蒸気圧40psig、ドラム速度約1.66rpmおよびギャップ間隔約0.25インチで、ドラム乾燥機で乾燥させた。
【0120】
[0118]この混合物は、サンプルNo.5aよりやや粘度が高く、非常に滑らか且つ均一であった。この生成物は、容易に乾燥し、きれいにシート状になり、非常に滑らかで均一なフレークとなった。最終生成物は、非常に白く、滑らかで、均一であり、より小さなフレークへと非常に砕けやすかった。この試験から得られた乾燥物質の総量は1060gであった。
【0121】
[0119]サンプル5aおよび5bを合わせ、つぎに通常のカーギル・トップ・フロー塩と50/50でブレンドし、ユーディ・サイクロンミルを用いて1mmスクリーン(ユーディ社、80524 コロラド州、フォートコリンス、ローム コート 201)を通して粉砕した。保存中の凝集およびケーキングを防ぐため、1%二酸化ケイ素(ゼオフリー80、JMフーバー社、ジョージア州、アトランタ)を添加した。
【0122】
【表5】

【0123】
[0121][混合方法]:水を195°Fまで加熱後、KClを添加し、2〜3分間混合し、クエン酸を添加し、完全に溶解するまで撹拌した。塊ができないように常時混合しながら米粉を添加。最終温度185°Fまで加熱。この最終混合物は、バッチNo.1より滑らかでやや粘度が高かった。容易且つ滑らかに乾燥した。
【0124】
【表6】

【0125】
[0123]その後、さらにドラム乾燥に関する検討を続け、KClを米粉および処理助剤(クエン酸)のみとドラム乾燥した後、食塩と50/50ブレンドするという同様のコンセプトにより、「専門家の見解」によれば、ここでも、さらに「許容可能な」最終生成物が生じることを見出した。
【実施例6】
【0126】
[0124][ポテトチップスを適用した官能検査]
[0125]本発明の低ナトリウム塩組成物は、クッキー、ケーキ、トルテ、パイおよびその他の焼き菓子;チップス、クラッカー、フレンチフライ、電子レンジ調理可能なポップコーンおよびその他のスナック食品製品;アイスクリーム、ヨーグルト、チーズおよびその他の乳製品;注入処理した食肉および家禽肉、保存処理した食肉および家禽肉、ならびにその他の食肉および家禽肉製品;改良果実および野菜製品;果汁およびその他の飲料製品;マリネード、スパイス、サラダドレッシング、調味料および、それ以外の一般に塩を含むその他香味料ブレンド物;それ以外の一般に塩を含むその他調理済み食品などの食品品目のナトリウム含有量を低減させるために使用されるであろう。
【0127】
[0126]サンプルをネブラスカ大学リンカーン官能検査室(Lincoln’s Sensory Laboratory)に送付した。次の実施例では、A、B、C、Dのラベルを付した、塩または塩組成物の四つのサンプルを塩気のないポテトチップスに適用し、次の特質の強度/許容性の検査を行った。すなわち、外見、ぱりぱり感、塩味、ポテトの風味、後味および全体的な許容性の検査を行った。計41名がこれらのサンプルを評価した。その結果は、検査したどの特質においても各サンプル間に有意差は見られなかったと報告された。
【0128】
[0127][検査プロトコール]:塩味をつけたポテトチップスサンプルは、味覚検査審査員委員会がこのチップスの味見をする前日に調製した。委員会の日には、それぞれの処理、すなわち、それぞれサンプルA、B、CおよびDで処理した塩気のないポテトチップスを3袋分ずつ大きなボウルに入れ、静かに混ぜ、各処理を施したチップスにつき一つのサンプルを作成した。つぎに3枚のチップスを一連の皿のそれぞれに載せ、それぞれのサンプルごとに1シリーズとした。各皿に各特定の処理に割り当てられた3桁の乱数を表示した。これらのサンプルは、審査委員に出されるまでサラン(プラスチック)ラップ(SARAN Wrap)で覆った。これは、各試食時間の直前に行い、試食時間は2回に分けられており、1回は午前9〜10時、もう1回は午後2〜3時であった。計41名の審査員がこの検査のための委員会に参加した。
【0129】
[0128]それぞれのサンプルは、以下のようにして調達または作成した。
【0130】
[0129][サンプルA]:カーギル・トップ‐フロー塩であり、ユーディ粉砕機で1mmスクリーンを通して粉砕したもの。サンプルAは、ナトリウム40%を含有する。
【0131】
[0130][サンプルB]:50%微細米粉および50%KClを水と混合し、この混合物を上記実施例2で報告した方法により押し出した後、この乾燥生成物を粉砕し、その粉砕生成物をサンプルA(カーギル・トップ‐フロー塩)とブレンド後、50/50の比率で共粉砕し、ナトリウム20%およびカリウム12.5%を含有する本発明の塩組成物を得ることにより作成した。
【0132】
[0131][サンプルC]:KCl250g、クエン酸5gおよび米粉50gを熱水500ccと混合することにより作成した。そして、この水性混合物を、上記実施例3で説明した方法によりドラム乾燥後、サンプルAと50/50の比率で共粉砕してブレンドし、ナトリウム20%およびカリウム20%を含有する本発明の塩組成物を得る。
【0133】
[0132][サンプルD]:モートンレギュラーソルト(Morton’s Regular Salt)であって、ユーディ粉砕機で1mmスクリーンを通して粉砕したもの。サンプルDはナトリウム40%を含有する。
【0134】
[0133]サンプルAおよびDは、チップス100gあたり1.5g(600mgのNaを提供する)の割合で適用した。
【0135】
[0134]サンプルBおよびCはチップス100gあたり2.25g(450mgのNaを提供する)の割合で適用した。
【0136】
[0135]結果:下記表1に示した結果は、各種サンプル間において、どの特質についても有意差は認められなかったことを示していると報告されている。訓練を受けた審査員たちは、そのような質問を受けることを予想するであろうと考えられるため、外見とぱりぱり感を検討に加えた。最も重要な特質は、塩味、ポテトの風味、後味および全体的な許容性であった。
【0137】
[0136]この実験の目的は、塩の上記二つのサンプルと、本発明の各塩組成物、すなわちサンプルBおよびCとの間に何らかの有意差があるかどうかを知り、最終的には、サンプルBおよびCなどの本発明の実施形態が、サンプルBおよびCなどの本発明の実施形態を用い、またそれぞれカーギル社およびモートンソルトにより販売されている標準的な塩と対比してこれらのサンプルを検査し、上記チップスのNa含有量を25%(100gあたり600mg〜450mg)削減する上で効果的であるかどうか判定することであった。上記サンプル間に有意差は全く報告されなかったが、サンプルCは塩分強度が比較的高いと報告された。
【0138】
【表7】

【0139】
[0138][最も好ましい実施形態]
[0139]最も好ましい発明は、改良剤として米粉および好ましい酸味料としてクエン酸を含むマスキング剤とともにKClをドラム乾燥した後、この生成物を食塩と50/50でブレンドすることによって作成される。注目すべきは、前記生成物が「塩味が濃すぎる」と感じられた場合、全体的許容性の低下につながることである。
【実施例7】
【0140】
[0140][サンプルC(「S&P塩組成物」)の官能検査]
[0141]サンプルをレザーヘッド・フード・インタナショナル、KT22 7RY、サリー州、レザーヘッド、ランドールズ ロード(LeatherheadFoodInternational、Randalls Road、Leatherhead、Surrey KT227RY)に送付し、提供したそれらの塩生成物間に相違の兆候がないかどうか評価した。全てのサンプルは、S&PディベロップメントLLC(S&P Development LLC)によりフォイル袋に入れて供給された。これらのサンプルは次のとおりである。
【0141】
[0142]評価1:ナトリウム50%削減
対照−砕いたプレーンポテトチップス上に1.5%塩組成物Cを添加したもの(LIMS 0602012)
S&P塩組成物−砕いたプレーンポテトチップス上に1.5%S&P塩組成物を添加したもの(LIMS 0602013)。
【0142】
[0143]評価2:ナトリウム25%削減
対照−砕いたプレーンポテトチップス上に1.5%塩組成物Cを添加したもの(LIMS 0602014)
S&P塩組成物−砕いたプレーンポテトチップス上に2.25%S&P塩組成物を添加したもの(LIMS 0602015)。
【0143】
[0144]評価3:当量のナトリウム
対照−砕いたプレーンポテトチップス上に1.5%塩組成物Cを添加したもの(LIMS 0602016)
S&P塩組成物−砕いたプレーンポテトチップス上に3.0%S&P塩組成を添加したもの(LIMS 0602017)。
【0144】
[0145][サンプル調製]
[0146]ウォーカーのソルト&シェーク(Walker’s Salt&Shake)ポテトチップスを現地のスーパーマーケットで購入した(塩はチップスとは別の小袋に入っている)。このチップスをステファン(Stephan)ミキサーで30秒間粉砕し、塩組成物はこの粉砕の途中で添加する。
【0145】
[0147]評価方法
[0148]各検査につき評価(30回判定)のために3点比較法を設定した。強制選択法を採用した。各検査において、審査員は、審査員間で無作為の提示順序により、一方の材料2点ともう一方の材料1点のサンプル3点を受け取った。一定分量ずつ(各サンプル小さじ約1杯)3桁の乱数を付与した使い捨てプラスチックポットに入れて提示された。口腔内洗浄剤として非発泡性のミネラルウオーターを利用することができ、審査員たちはサンプルとサンプルの間に口内を十分すすぐよう指示された。審査員たちはサンプルを味わった後、吐き出すように指示された。試食の指示が出され、データ収集はコンピュータ化データ収集システムであるコンピュセンス5(Compusense5)(コンピュセンス社(Conpusense Inc.)、カナダ)を用いて実施された。評価用質問表の一例を添付した。
【0146】
[0149]審査員たちは自分のコンピュータ上に示された順序でサンプルを評価し、他と違ったサンプルを識別するよう求められた。つぎに、あらかじめ決められた特質一覧表を用いるか、または審査員たちが適切だと感じるその他の記述用語を付け加えることによって、その差異の性質を記述するよう求められた。記述用語の一覧表は、審査員たちを誘導するリスクを最小限に抑えるために追加された、注意をそらせる記述用語を含む。審査員たちは自分がどのサンプルを好むかも示し、尚且つ、他と違ったサンプルの選別における自信も述べた。
【0147】
[0150]評価はすべて個別に区切られたブースの中で、一定の室温(約22℃)、ノースライト(Northlight)照明下で実施された。評価は、レザーヘッド・フード・インタナショナルの訓練を受けた官能審査員によって実施された。
【0148】
[0151]評価1
[0152]下記表1および表2は、評価1−1.5%の対照対1.5%S&P塩組成物の結果および詳述をまとめたものである。
【0149】
【表8】

【0150】
[0154]サンプル間に有意差は認められなかった。
【0151】
【表9】

【0152】
[0156]サンプル間に有意差は識別されなかったが、6人の評価者が、対照のほうが塩味が濃いと記述した。
【0153】
[0157]評価2
[0158]下記表3および表4は、評価2−1.5%の対照対2.25%S&P塩組成物の結果および詳述のまとめである。
【0154】
【表10】

【0155】
[0160]サンプル間に有意差は認められなかった。
【0156】
【表11】

【0157】
[0162]大半の回答者は、自分の判定に「それほど確かではない」と記載したが、これはこの二つのサンプル間の差異が容易には検知されないことを示している。これは、審査員がサンプル間の差異を詳述するために使用した記述が決定的なものではなく、塩味は、対照のほうが濃いというものもあり、塩組成物S&Pのほうが濃いというものもあることより再確認される。
【0158】
[0163]上記の二つの配合物の相対的塩味に関して述べられたコメントの数を比較すると、S&P塩組成物サンプルのほうが、塩味が濃いと結論することができた。
【0159】
[0164]評価3
[0165]表5および表6は、評価3−1.5%塩組成物C対3.0%S&P塩組成物の結果および詳述のまとめである。
【0160】
【表12】

【0161】
[0167]サンプル間にかなりの有意差があった。好みは対照のほうに強く傾き、選別における自信は強かった。
【0162】
【表13】

【0163】
[0169]S&Pサンプルは対照よりもはるかに塩味が濃いと記述された。
【0164】
[0170][まとめおよび結論:]
1.ナトリウム含有量を25%削減するためにS&P塩組成物を使用した場合、対照とS&P塩組成物との間に有意差は認められなかった。
2.チップスの上に同量のナトリウムがある場合、S&P塩組成物は「塩味が濃すぎる」と感じられ、その結果、全体的な許容性の評点が下がるが、これは実際には適用量のみに起因するものであり、低ナトリウム塩組成物の許容性に起因するものではない。
【0165】
[0171]最も好ましい実施形態:
【0166】
【表14】

【0167】
【表15】

【0168】
【表16】

【0169】
[0172]本発明はその好ましい実施形態に言及しつつ詳細に示し記述したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなくその範囲内で形態および細部を種々変化させることができることを、当業者たちは理解するであろう。よって、本発明に従って、複数の新規塩組成物および製造方法が提供されていることは明らかである。本発明は、その特定の実施形態とともに説明されているが、多くの代替、変更および変形が、先行する記述を踏まえ当業者たちにとって明白であることは明らかである。したがって、そのような代替、変更および変形のすべてが、添付のクレームの精神および範囲内で説明されたものとして含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、サンプル801のX線回折図から読取ったデータを示す。
【図2】図2は、サンプル803のX線回折図から読取ったデータを示す。
【図3】図3は、サンプル801の重複DSCサーモグラムについて読取ったデータを示す。
【図4】図4は、サンプル803の重複DSCサーモグラムについて読取ったデータを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)穀粉、b)塩化ナトリウム、およびc)塩化カリウムを含む塩組成物であって、
前記塩組成物が、約1〜約80重量パーセントの穀粉、約10〜約60重量%の塩化ナトリウム、および約10〜約60重量%の塩化カリウムを含む塩組成物。
【請求項2】
前記穀粉が実質的に米粉から成る、請求項1に記載の塩組成物。
【請求項3】
さらに、食品用酸味料を含む、請求項1に記載の塩組成物。
【請求項4】
前記食品用酸味料がクエン酸である、請求項3に記載の塩組成物。
【請求項5】
a)穀粉、b)塩化ナトリウム、およびc)塩化カリウムを含む塩組成物であって、
前記塩組成物が、約1〜約80重量%の穀粉、約10〜約60重量%の塩化ナトリウム、および約10〜約60重量%の塩化カリウムを含み、
前記塩組成物が、約150〜約350°Fの温度で、約1〜約80重量%の穀粉、約10〜約40重量%の塩化ナトリウム、および約10〜約40重量%の塩化カリウムのブレンド物と一定量の水との半固体混合物のドラム乾燥、押出しおよび凝集から成る群から選択される工程を含む方法により作成される塩組成物。
【請求項6】
改良剤が実質的に米粉から成る、請求項5に記載の塩組成物。
【請求項7】
さらに、食品用酸味料を含む、請求項5に記載の塩組成物。
【請求項8】
前記食品用酸味料がクエン酸である、請求項7に記載の塩組成物。
【請求項9】
a)実質的に米粉から成る穀粉、b)塩化ナトリウム、c)塩化カリウム、およびd)食品用酸味料を含む塩組成物であって、
前記塩組成物が、約1〜約80重量%の穀粉、約10〜約60重量%の塩化ナトリウム、約10〜約60重量%の塩化カリウム、および約0.01〜約1.0重量%の食品用酸味料を含む塩組成物。
【請求項10】
前記食品用酸味料がクエン酸である、請求項9に記載の塩組成物。
【請求項11】
改良塩化カリウム生成物であって、
a)塩化カリウム、食品用酸味料、水、および改良剤を準備する工程と、
b)前記改良剤、食品用酸味料および塩化カリウムを水と混合し混合物を形成する工程であって、前記混合物が、前記改良剤および前記塩化カリウムを混合させるのに十分な量の水と、前記混合物を酸性化するのに十分な量の前記食品用酸味料と、約2〜約20重量%の前記改良剤と、約10〜約90重量%の塩化カリウムとを含む工程と、
c)ドラム乾燥機で前記混合物を処理し、乾燥混合物を形成する工程と、
d)前記乾燥混合物を冷却し、冷却混合物を形成する工程と、
e)前記冷却混合物を製粉する工程とを含む方法により作成される改良塩化カリウム生成物。
【請求項12】
前記準備工程が、さらに塩化ナトリウムを準備することを含み、
前記製粉工程が、さらに約10〜約90重量%の塩化ナトリウムを前記冷却混合物と共に製粉することを含む請求項11に記載の前記方法により作成される改良塩化カリウム生成物。
【請求項13】
さらに、前記製粉された冷却混合物を約10〜約90重量%の塩化ナトリウムとブレンドする工程を含む、請求項11に記載の前記方法により作成される改良塩化カリウム生成物。
【請求項14】
前記改良剤が、穀粉、穀物デンプン、およびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項11に記載の前記方法により作成される改良塩化カリウム生成物。
【請求項15】
前記改良剤が実質的に米粉から成る、請求項14に記載の前記方法により作成される改良塩化カリウム生成物。
【請求項16】
前記塩化カリウムが、実質的に非結晶状である[準備工程が食品用酸味料を準備することを含み、前記混合工程が、前記改良剤、前記塩化カリウム、および前記食品用酸味料を水と混合することを含む]請求項11に記載の前記方法により作成される改良塩化カリウム生成物。
【請求項17】
前記食品用酸味料がクエン酸である、請求項11に記載の改良塩化カリウム生成物。
【請求項18】
塩代替物の作成方法であって、前記方法が、
a)塩化カリウム、食品用酸味料、水、および改良剤を準備する工程と、
b)前記塩化カリウム、食品用酸味料、水、および改良剤を混合し水性混合物を形成する工程であって、前記水性混合物が、前記改良剤および前記塩化カリウムを混合させるのに十分な量の水と、前記混合物を酸性化するのに十分な量の前記食品用酸味料と、約2〜約20重量%の前記改良剤および約10〜約90重量%の塩化カリウムを含む乾燥混合物とを含む工程と、
c)前記水性混合物を処理し、乾燥混合物を形成する工程と、
d)前記乾燥混合物を冷却し、冷却混合物を形成する工程と、
e)前記冷却混合物を製粉する工程とを含む方法。
【請求項19】
前記製粉工程が、さらに約10〜約90重量%の塩化ナトリウムを前記冷却混合物と共に製粉することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記製粉された冷却混合物を、約10〜約90重量%の塩化ナトリウムとブレンドする工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記処理工程が、前記水性混合物をドラム乾燥機内で処理することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記食品用酸味料がクエン酸である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記改良剤が、穀物デンプン、穀粉、およびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
塩代替物の作成方法であって、前記方法が、
a)塩化カリウム、水、および穀粉を準備する工程と、
b)前記穀粉および塩化カリウムを前記水と混合し、水性混合物を形成する工程であって、前記混合物が、約20〜約80重量%の穀粉と約10〜約40重量%の塩化カリウムとを含む乾燥混合物および一定量の水を含む工程と、
c)前記混合物をドラム乾燥機内で処理し、乾燥混合物を形成する工程と、
d)前記乾燥混合物を冷却し、冷却混合物を形成する工程と、
e)前記冷却混合物を製粉する工程とを含む方法。
【請求項25】
前記製粉工程が、さらに約10〜約90重量%の塩化ナトリウムを前記冷却混合物と共に製粉することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記製粉された冷却混合物を、約10〜約90重量%の塩化ナトリウムとブレンドする工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記穀粉が実質的に米粉から成る、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記準備工程が、食品用酸味料を準備することを含み、
前記混合工程が、前記食品用酸味料を、前記穀粉、前記塩化ナトリウム、前記塩化カリウムおよび前記水と混合することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記食品用酸味料がクエン酸である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
塩組成物の作成方法であって、前記方法が、
a)塩化ナトリウム、塩化カリウム、水、および穀粉を準備する工程と、
b)押出機内で、前記穀粉、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを前記水と混合し半固体混合物を形成する工程であって、前記半固体混合物が、好ましくは約20〜約80重量%の穀粉と、約10〜約60重量%の塩化ナトリウムと、約10〜約60重量%の塩化カリウムとを含む乾燥混合物および一定量の水を含む工程と、
c)前記半固体混合物を押出し、押出された塊にする工程と、
d)前記押出された塊を冷却し、冷却混合物を形成する工程と、
e)前記冷却混合物を使用に適したサイズに製粉する工程とを含む方法。
【請求項31】
前記穀粉が実質的に米粉から成る、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記準備工程が、食品用酸味料を準備することを含み、
前記混合工程が、前記食品用酸味料を、前記穀粉、前記塩化ナトリウム、前記塩化カリウムおよび前記水と混合することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記食品用酸味料がクエン酸である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
a)改良剤、b)塩化ナトリウム、およびc)塩化カリウムを含む塩組成物であって、
前記塩組成物が、約10〜約90重量パーセント(重量%)の前記改良剤と、約10〜約40重量%の塩化ナトリウムと、約5〜約40重量%の塩化カリウムとを含み、
前記塩化ナトリウムが、実質的に結晶状であり、
前記塩化ナトリウムは、ナトリウム原子が実質的に塩化物原子と密接に結合した結晶格子状に構成され、前記塩化カリウムが、実質的に非結晶性無定形マトリックス中にあり、このマトリックス中では、カリウム原子と塩化物原子が実質的に解離し、前記カリウム原子と塩化物原子が実質的に前記改良剤と密接に結合している塩組成物。
【請求項35】
前記改良剤が、穀粉、穀物デンプン、およびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項34に記載の塩組成物。
【請求項36】
前記改良剤が実質的に米粉から成る、請求項35に記載の塩組成物。
【請求項37】
さらに、食品用酸味料を含む、請求項34に記載の塩組成物。
【請求項38】
前記食品用酸味料がクエン酸である、請求項37に記載の塩組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−507517(P2009−507517A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531165(P2008−531165)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/034325
【国際公開番号】WO2007/032941
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(508039951)
【出願人】(508039973)エス アンド ピー デベロプメント, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】