説明

低ビルダー、高水溶性、低密度の固体洗濯洗剤組成物

本発明は、100g/L〜500g/Lの嵩密度を有する固体洗濯洗剤組成物に関し、該組成物は、(a)1重量%〜70重量%のアニオン性洗浄界面活性剤と、(b)0重量%〜10重量%のゼオライトビルダーと、(c)0重量%〜10重量%のリン酸塩ビルダーを含んでなり、前記組成物は、(I)61重量%〜90重量%の低密度粒子成分と、該低密度粒子成分が、100g/L〜426g/Lの嵩密度を有し、かつ、無機材料及び有機材料を含んでなり、(II)10重量%〜39重量%の高密度粒子成分とを含んでなり、該高密度粒子成分が、426g/Lを超える嵩密度を有してなり、(i)低密度粒子成分(I)に含まれる無機材料と有機材料の重量比と、(ii)固体洗濯洗剤組成物に含まれる無機材料と有機材料の重量比の比率は、0.3:1〜5:1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低ビルダー、高水溶性、低密度の固体洗濯洗剤組成物に関する。本発明の組成物は、消費者による定量を下回る又は上回る注入に対する感受性の低減を呈し、これによって、組成物の用量に関わらず、より一貫したクリーニング性能を提供する。また本発明の組成物は、特に、汚れが多量についている、又は、水の硬度が高い、といったストレスのある状態で、良好な全般的クリーニング性能、特に良好な染み除去性能及び白色度維持性能を提供する。更に、該組成物は、優れた溶解速度を呈し、水との接触により、比較的透明な洗浄液を素早く形成する。本発明の組成物は、20℃以下といった、冷水の洗浄温度において特に効果的である。
【背景技術】
【0002】
近年、固体洗濯洗剤製品の製造者は、水中での良好なクリーニング性能及び良好な溶解性能を呈する、水溶性洗濯洗剤組成物を調剤することへの取り組みに焦点を置いてきた。これらの取り組みの一部の例は、独国特許第19912679号及びWO特許第03/038028号(いずれもヘンケルKGaA(HenkelKGaA))、欧州特許第1416039号及び欧州特許第1416040号(いずれもDalli−Werke Wasche und Korperflege GmbH & Co.KG)、並びにWO特許第05/083046号、WO特許第05/083048号、WO特許第05/083049号、WO特許第06/020788号、WO特許第06/020789号、WO特許第06/088665号、WO特許第06/088666号、欧州特許第1690921号及び欧州特許第1690922号(全てプロクターアンドギャンブル社(The Procter & Gamble Company))に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第19912679号
【特許文献2】WO特許第03/038028号
【特許文献3】欧州特許第1416039号
【特許文献4】欧州特許第1416040号
【特許文献5】WO特許第05/083046号
【特許文献6】WO特許第05/083048号
【特許文献7】WO特許第05/083049号
【特許文献8】WO特許第06/020788号
【特許文献9】WO特許第06/020789号
【特許文献10】WO特許第06/088665号
【特許文献11】WO特許第06/088666号
【特許文献12】欧州特許第1690921号
【特許文献13】欧州特許第1690922号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者は、水溶性洗濯洗剤組成物が、特に軟水及び低い洗浄水温度等の条件下、特に洗剤組成物が漂白剤及び/又はポリマーを含んでなる場合、洗濯プロセス中、消費者が使用する用量に応じたそれらのクリーニング性能の有意な変異に感受性を有することを見出した。正確な注入が困難であることから、消費者は多くの場合、洗濯プロセス中、定量を有意に下回る、又は上回る洗濯洗剤製品を注入する。したがって、幅広い用量傾向にわたって、水溶性が高く、一貫して優れたクリーニング性能、特に優れた染み除去性能及び白色度維持性能を供給する、固体洗濯洗剤組成物の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、請求項1に記載の固体洗濯洗剤組成物を提供することにより、用量感受性の上記問題を克服した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
固体洗濯洗剤組成物:該固体洗濯洗剤組成物は典型的に、100g/L〜700g/L、又は好ましくは100g/L〜、又は150g/L〜、又は200g/L〜、又は250g/L〜、又は300g/L〜、又は更に350g/L〜、かつ好適には〜600g/L、又は〜550g/L、又は〜500g/L、又は〜450g/L、又は〜425g/L、又は更に〜400g/Lの嵩密度を有してなる。該組成物の嵩密度を測定するための方法は、以下により詳細に説明する。
【0007】
該組成物は、低密度粒子成分及び高密度粒子成分を含んでなる。典型的に、好ましくは本質的に、低密度粒子成分及び高密度粒子成分は、共顆粒を形成するための共顆粒化を行わないが、その代わりに、好ましくは組成物内で粒子の別個の分散個体群の形態で残存する。好ましくは、低密度粒子成分は本質的に、均質の低密度粒子の1つの別個の分散個体群のみからなるが、高密度粒子成分は好ましくは、均質の高密度粒子の2つ以上の別個の分散個体群を含んでなる。低密度粒子成分及び高密度粒子成分は、以下により詳細に説明する。
【0008】
典型的に該組成物は、アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなり、典型的に、又は好ましくは、他の洗剤成分を含んでなる。アニオン性洗浄界面活性剤及び他の洗剤成分は、以下により詳細に説明する。
【0009】
好ましくは、該組成物は、15重量%未満のクエン酸又はその塩、好ましくは0重量%〜10重量%、又は更には〜8重量%のクエン酸又はその塩を含んでなる。
【0010】
低密度粒子成分:該組成物は典型的に、40重量%〜99重量%の低密度粒子成分、好ましくは50重量%〜、又は61重量%〜、又は65重量%〜、又は70重量%〜、又は更には75重量%〜、かつ好ましくは〜95重量%、又は〜90重量%、又は〜85重量%、又は更には〜80重量%の低密度粒子成分を含んでなる。
【0011】
低密度粒子成分は典型的に、100g/L〜426g/L、好ましくは〜400g/L、又は〜300g/L、又は更には〜200g/Lの嵩密度を有してなる。低密度粒子成分の嵩密度を測定するための方法は、以下により詳細に説明する。
【0012】
低密度粒子成分は典型的に、無機材料及び有機材料を含んでなる。無機材料及び有機材料は、以下により詳細に説明する。
【0013】
低密度粒子成分は、アニオン性洗浄界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホネートアニオン性洗浄界面活性剤を含んでなり得る。低密度粒子成分が、平均エトキシル化度が1〜10である、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、又は更には2重量%未満のエトキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなることも好ましい場合があり、これは、低密度粒子成分がアルキルベンゼンスルホネートを含んでなる場合に特に好ましい。低密度粒子成分が、平均エトキシル化度が1〜10であるエトキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まないことが、更に好ましい場合がある。平均エトキシル化度が1〜10であるエトキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まないとは、通常、該組成物が、平均エトキシル化度が1〜10である意図的に添加されたエトキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。これは、低密度粒子成分が、確実に良好な流動性特性を有し、べたつかないようにするために、特に好ましい。
【0014】
低密度粒子成分は典型的に、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、又は更には少なくとも5つの洗剤成分を含んでなる。低密度粒子成分は典型的に、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、又は更には5つの洗剤成分を含んでなる、均質の噴霧乾燥した粒子の個体群を形成するために、これらの洗浄性成分を噴霧乾燥塔で噴霧乾燥することによって形成される。好ましくは、低密度粒子成分は噴霧乾燥された形態である。低密度粒子成分は、液体及び/又は固体洗剤成分と更に混和してよいが、典型的に、好ましくは本質的に、他の固体洗剤成分とは共顆粒化されない。混和プロセス工程及び共顆粒化プロセス工程は、以下により詳細に説明する。
【0015】
本発明の目的のため、典型的に固体洗濯洗剤組成物を製造するためのプロセス中に行われる、低密度粒子成分、特に噴霧乾燥形態の低密度粒子成分を1つ以上の液体及び/又は固体洗剤成分と混合するプロセス工程は、低密度粒子成分の重量平均粒径が、元のサイズより少なくとも5%増加しないので、共顆粒化プロセス工程ではない。更に、本発明の目的のため、低密度粒子成分、特に噴霧乾燥形態の低密度粒子成分を、1つ以上のより小さな粒径の粒子流動助剤(通常、洗剤産業により、「ダスティング」として知られる)と混合するプロセス工程は、低密度粒子成分の重量平均粒径は、元のサイズより少なくとも5%増加しないので、共顆粒化プロセス工程ではない。これらの典型的なプロセスにおいて、低密度粒子成分は、共顆粒化されたとは見なされない。
【0016】
通常、低密度粒子成分は、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%が、150マイクロメートル〜1400マイクロメートルの範囲の粒径を有するように、粒径分布を有する。
【0017】
高密度粒子成分:該組成物は、1重量%〜50重量%の高密度粒子成分、好ましくは5重量%〜、又は10重量%〜、又は15重量%〜、又は20重量%〜、又は更には25重量%〜、かつ好ましくは〜39重量%、又は〜35重量%、又は更には〜30重量%の高密度粒子成分を含んでなる。
【0018】
高密度粒子成分は、426g/Lを超える、又は500g/Lを超える、又は600g/Lを超える、又は700g/Lを超える、又は800g/Lを超える、又は900g/Lを超える、又は更には1,000g/Lを超える嵩密度を有してなる。高密度粒子成分の嵩密度を測定するための方法は、以下に詳細に説明する。
【0019】
高密度粒子成分は典型的に、無機材料及び有機材料を含んでなる。無機材料及び有機材料は、以下により詳細に説明する。
【0020】
高密度粒子成分は好ましくは、アニオン性洗浄界面活性剤、最も好ましくは、平均エトキシル化度が1〜10のエトキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなる。高密度粒子成分が、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、又は更には2重量%未満のアルキルベンゼンスルホネートアニオン性洗浄界面活性剤を含んでなることが好ましい場合があり、これは、高密度粒子成分が平均エトキシル化度が1〜10のエトキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなる場合に特に好ましい。高密度粒子成分が、本質的にアルキルベンゼンスルホネートアニオン性洗浄界面活性剤を含まないことが更に好ましい場合がある。本質的にアルキルベンゼンスルホネートアニオン性洗浄界面活性剤を含まないとは、通常、組成物が、意図的に添加されたアルキルベンゼンスルホネートアニオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。これは、組成物が良好な分配性能を有することを確実とし、水での溶解中、高分子ゲル相の形成を回避するために、特に好ましい。
【0021】
また高密度粒子成分は、過炭酸ナトリウム、高分子カルボン酸塩、酵素、テトラアセチルエチレンジアミン等の漂白活性化剤、硫酸塩、炭酸塩及び審美成分等の洗剤成分を含んでなってもよい。好ましくは、高密度粒子成分は、過炭酸ナトリウム、最も好ましくは、少なくとも部分的に、好ましくは本質的に完全にコーティング材料でコーティングされた、過炭酸ナトリウムを含んでなる。最も好ましくは、高密度粒子成分は、均質の高密度粒子の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は更には少なくとも5つの別個の分散個体群を含んでなる。第1の粒子個体群は好ましくは、平均エトキシル化度が1〜10であるエトキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなり、第2の粒子個体群は好ましくは、過炭酸ナトリウム、好ましくは少なくとも部分的に、好ましくは本質的に完全にコーティング材料でコーティングされた過炭酸ナトリウムのみを含んでなり、好ましくはそれから本質的になる。
【0022】
高密度粒子成分は典型的に、凝集体、押出物、フレーク、ヌードル、針、小粒若しくは高密度噴霧乾燥した粒子、又はその混合物、好ましくは押出品又は凝集体、最も好ましくは凝集体の形態である。高密度粒子成分は典型的に、1つ以上の洗浄性成分を含んでなる。これらの洗浄性成分は、その調製中ある段階で噴霧乾燥工程を施した可能性があるが、これらの材料が、高密度粒子成分に組み込まれる場合、それらは典型的に、噴霧乾燥工程を含まないプロセスにおいて、少なくとも1つの他の洗剤成分、好ましくは少なくとも1つの固体洗剤成分と共顆粒化する。このような非噴霧乾燥プロセスは、アグロメレーションプロセス、押出プロセス、及び/又はローラー圧縮プロセスを含む。典型的に、好ましくは本質的に、高密度粒子成分は、(i)それらの製造プロセス中にいずれの段階でも、噴霧乾燥プロセスを施さなかった1つ以上の洗剤成分、好ましくは1つ以上の固体洗剤成分のみから本質的になるか、又は(ii)それらの製造プロセス中に噴霧乾燥プロセス工程を施した可能性があるが、それらに噴霧乾燥プロセスを施した場合、それらはその後、噴霧乾燥プロセス工程を伴わないプロセスにおいて、少なくとも1つの他の洗剤成分、好ましくは少なくとも1つの他の固体洗剤成分と共顆粒化される、2つ以上の洗剤成分、好ましくは2つ以上の固体洗剤成分を含んでなるかのいずれかである。
【0023】
無機材料:本発明の目的のために、無機材料は、炭化水素部分を含まない、任意の材料と定義される。無機材料の例として、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0024】
有機材料:本発明の目的のために、有機材料は、炭化水素部分を含んでなる任意の材料と定義される。本発明の目的のために、炭化水素部分は、水素原子に共有結合した炭素原子を含んでなる。即ち、以下の一般式を有する。
【化1】

【0025】
有機材料の例として、アルキルベンゼンスルホネート及びクエン酸が挙げられる。
【0026】
無機材料対有機材料の比率:(i)低密度粒子成分に含まれる無機材料と有機材料の重量比と、(ii)固体洗濯洗剤組成物に含まれる無機材料と有機材料の重量比の比率は、0.1〜10:1、好ましくは0.2〜、又は0.3〜、かつ好ましくは〜5:1、又は〜4:1、又は3:1、又は〜2:1、又は〜1:1、又は〜0.9:1、又は〜0.8:1、又は〜0.7:1、又は〜0.6:1未満、又は〜0.55:1、又は更には〜0.5:1である。これは、組成物が、幅広い用量傾向にわたって、優れたクリーニング性能、特に優れた染み除去性能及び白色度維持性能を供給することを確実とするために、特に好ましい。
【0027】
好ましくは、低密度粒子成分に含まれる無機材料と有機材料の重量比(i)は、0.1:1〜10:1、好ましくは0.2:1〜、又は更には0.3:1〜、かつ好ましくは〜5:1、又は〜3:1、又は〜1.5:1、又は〜1.2:1、又は〜1.0:1、又は〜0.8:1、又は更には〜0.5:1の範囲である。好ましくは、固体洗濯洗剤組成物に含まれる無機材料と有機材料の重量比(ii)は、0.1:1〜10:1、好ましくは0.2:1〜、又は更には0.3:1〜、かつ好ましくは〜5:1、又は〜3:1、又は〜1.5:1、又は〜1.4:1、又は〜1.2:1、又は〜1.0:1、又は〜0.8:1、又は更には〜0.5:1の範囲である。
【0028】
アニオン性洗浄界面活性剤:該組成物は、1重量%〜70重量%のアニオン性洗浄界面活性剤、好ましくは2重量%〜、又は5重量%〜、又は7重量%〜、又は更には10重量%〜、かつ好ましくは〜60重量%、又は〜50重量%、又は〜40重量%、又は更には〜30重量%のアニオン性洗浄界面活性剤を含んでなる。好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、平均エトキシル化度が1〜10、好ましくは3〜7である、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換エトキシル化C12〜18アルコール硫酸塩のようなアルコキシル化アルコール硫酸アニオン性洗浄界面活性剤である。他の好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換C8〜18アルキルベンゼンスルホネート、好ましくは直鎖の非置換C10〜13アルキルベンゼンスルホネートのようなアルキルベンゼンスルホネートアニオン性洗浄界面活性剤である。他の好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩又はそれらのいずれかの混合物である。
【0029】
ゼオライトビルダー:該組成物は、0重量%〜10重量%のゼオライトビルダー、好ましくは〜8重量%、又は〜6重量%、又は〜5重量%、又は〜4重量%、又は〜2重量%のゼオライトビルダーを含んでなる。組成物は、本質的にゼオライトビルダーを含まないことが更に好ましい場合がある。本質的にゼオライトビルダーを含まないとは、通常、組成物が、意図的に添加されたゼオライトビルダーを含まないことを意味する。これは、非水溶性の残留物(例えば、布地表面に沈着する可能性がある)の量を最小限にするために、組成物の水溶性が非常に高いことが望ましい場合、また透明な洗浄液を有することが極めて望ましい場合に、特に好ましい。ゼオライトビルダーとしては、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP、及びゼオライトMAPが挙げられる。
【0030】
リン酸塩ビルダー:該固体洗濯洗剤組成物は、0重量%〜10重量%のリン酸塩ビルダー、好ましくは〜8重量%、又は〜6重量%、又は〜5重量%、又は〜4重量%、又は〜2重量%のリン酸塩ビルダーを含んでなる。組成物は、本質的にリン酸塩ビルダーを含まないことが更に好ましい場合がある。本質的にリン酸塩ビルダーを含まないとは、通常、組成物が、意図的に添加されたリン酸塩ビルダーを含まないことを意味する。これは、組成物が非常に良好な環境特性を有することが望ましい場合に、特に好ましい。リン酸塩ビルダーとしては、トリポリリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0031】
ケイ酸塩:該固体洗濯洗剤組成物は、0重量%〜10重量%のケイ酸塩、好ましくは〜8重量%、又は〜6重量%、又は〜4重量%、又は〜2重量%のケイ酸塩を含んでなるのが好ましい。組成物は、本質的にケイ酸塩を含まないことが更に好ましい場合がある。本質的にケイ酸塩を含まないとは、通常、組成物が、意図的に添加されたケイ酸塩を含まないことを意味する。これは、組成物が非常に良好な分配及び溶解特性を有することを確実とするため、及び水に溶解する際に組成物が透明な洗浄液を提供することを確実とするために、特に好ましい。ケイ酸塩としては、非水溶性ケイ酸塩が挙げられる。ケイ酸塩としては、非晶質ケイ酸塩及び結晶性層状ケイ酸塩(例えば、SKS−6)が挙げられる。典型的なケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウムである。
【0032】
他の洗剤成分:該組成物は、典型的に洗剤成分を含んでなる。好適な洗剤成分としては、アニオン性洗浄界面活性剤、非イオン性洗浄界面活性剤、カチオン性洗浄界面活性剤、双極性イオンの洗浄界面活性剤、両性洗浄界面活性剤等の洗浄界面活性剤(好ましい非イオン性洗浄界面活性剤は、平均アルコキシル化度が1〜20、好ましくは3〜10であるC8〜18アルキルアルコキシル化アルコールであり、最も好ましいものは平均アルコキシル化度が3〜10であるC12〜18アルキルエトキシル化アルコールであり、好ましいカチオン性洗浄界面活性剤は、モノ−C6〜18アルキルモノ−ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライドであり、より好ましいものはモノ−C8〜10アルキルモノ−ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライド、モノ−C10〜12アルキルモノ−ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライド及びモノ−C10アルキルモノ−ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライドである);過炭酸塩及び/又は過ホウ酸塩等の過酸素源(好ましくは過炭酸ナトリウムであり、過酸素源は、好ましくは、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、特にホウケイ酸塩、又はその混合塩を含む混合物等のコーティング材料により、少なくとも部分的にコーティング、好ましくは完全にコーティングされる);テトラアセチルエチレンジアミン等の漂白活性化剤、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート等のオキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤、カプロラクタム漂白活性化剤、N−ノナノイル−N−メチルアセトアミド等のイミド漂白活性化剤、N,N−フタロイルアミノペルオキシカプロン酸、ノニルアミドペルオキシアジピン酸又はジベンゾイルペルオキシド等の予め形成された過酸;炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウム、好ましくは炭酸ナトリウム;ポリマーカルボキシレート、好ましくはマレイン酸及びアクリル酸のコポリマー、並びにその塩、並びにポリアクリル酸;アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、ペクチン酸リアーゼ及びマンナナーゼ等の酵素;シリコーン系泡抑制剤等の泡抑制系;蛍光増白剤;光漂白剤;硫酸塩、好ましくは硫酸ナトリウム等のフィラー塩;粘土、シリコーン及び/又は四級アンモニウム化合物等の繊維柔軟剤;ポリエチレンオキシド等の凝集剤;ポリビニルピロリドン、ポリ4−ビニルピリジンN−オキシド、及び/又はビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマー等の染料転移抑制剤;疎水変性したセルロース、並びにイミダゾール及びエピクロロヒドリンの凝縮により生成されたオリゴマー等の布帛統合成分;アルコキシル化ポリアミン及びエトキシル化エチレンイミンポリマー等の汚れ分散剤及び汚れ再付着防止剤;カルボキシメチルセルロース及びポリエステル等の再付着防止成分;香料;クエン酸又はその塩;並びに染料が挙げられる。
【0033】
好ましくは、組成物は、1重量%未満の塩素漂白剤及び1重量%未満の臭素漂白剤を含んでなる。好ましくは、組成物は、本質的に臭素漂白剤及び塩素漂白剤を含まない。「本質的に臭素漂白剤及び塩素漂白剤を含まない」とは、意図的に添加された臭素漂白剤及び塩素漂白剤を含まないということを通常意味する。
【0034】
混和プロセス工程:本発明の目的のために、混和プロセス工程は、固体粒子成分の重量平均粒径が、元のサイズから5%未満増大するように、固体粒子成分が別の材料と接触するプロセス工程として定義される。
【0035】
共顆粒化プロセス工程:本発明の目的のために、共顆粒化プロセス工程は、固体粒子成分の重量平均粒径が、元のサイズから少なくとも5%増大するように、固体粒子成分が別の材料と接触するプロセス工程として定義される。
【0036】
噴霧乾燥した粉末の嵩密度を測定するための方法:嵩密度は通常、以下の方法で測定される。
【0037】
概要:500mLのメスシリンダに粉末を充填し、試料の重量を測定し、粉末の嵩密度をg/Lで算出する。
【0038】
装置:
1.はかり。はかりは0.5gの感度を有する。
2.メスシリンダ。メスシリンダは、500mLの容量を有する。シリンダは、20℃で500gの水を使用して、500mLのしるしで検量される必要がある。シリンダは、500mLのしるしで切断し、滑らかに研削する。
3.じょうご。じょうごは、円筒形の円錐であり、上開口部の直径が110mm、底開口部の直径が40mmであり、水平に対して76.4°の傾斜の側面を有する。
4.スパチュラ。スパチュラは、メスシリンダの直径の少なくとも1.5倍の長さを有する平坦な金属片である。
5.ビーカー。ビーカーは、600mLの容量を有する。
6.トレイ。トレイは、金属又はプラスチックの正方形であり、滑らかかつ平らであり、メスシリンダの直径の少なくとも2倍の辺長を有する。
7.リングスタンド。
8.リングクランプ。
9.金属ゲート。金属ゲートは、少なくともじょうごの底開口部の直径より大きな直径を有する滑らかな円形ディスクである。
【0039】
条件:手順は温度20℃、圧力1×10Nm−2及び相対湿度25%の条件で、室内で実施する。
【0040】
手順:
1.はかりを用いて、0.5g単位でメスシリンダの重量を計る。上方に面する開口部が水平であるように、トレイにメスシリンダを設置する。
2.リングクランプ上にじょうごを担持させ、次いで、じょうごの上部が水平かつ正確に適切な位置にあるように、それをリングスタンドに固定する。底部の位置が、メスシリンダの上端中心上38mmであるように、じょうごの高さを調節する。
3.じょうごの底開口部の気密閉鎖を形成するように、金属ゲートを担持する。
4.ビーカーに24時間後の粉末試料を完全に充填し、該粉末試料をじょうごの上端部上2cmの高さからじょうごの上開口部に注ぐ。
5.粉末試料をじょうご内に10秒間とどまらせ、次いでじょうごの底開口部が開口するよう迅速かつ完全に金属ゲートを除去し、メスシリンダが完全に充填され上端を超える(overtop)ように粉末試料をメスシリンダに注ぐ。粉末試料の流動以外の、タッピング、移動、接触、振盪等のような他の外力をメスシリンダに適用しない。これは、粉末試料の更なる圧密を最小限に抑えるためである。
6.粉末試料をメスシリンダ内に10秒間とどまらせ、次いでメスシリンダが正確に満ちるように、平坦なスパチュラの縁部を用いて上端を超えた部分を注意深く除去する。注意深く上端を超えた部分を除去する以外の、タッピング、移動、接触、振盪等のような他の外力をメスシリンダに適用しない。これは、粉末試料の更なる圧密を最小限に抑えるためである。
7.粉末試料を少しもこぼすことなく、早急にかつ注意深く、メスシリンダをはかりに移動させる。メスシリンダ及びその粉末試料内容物の重量を、0.5g単位で測定する。
8.工程7で測定したメスシリンダ及びその粉末試料内容物の重量から、工程1で測定したメスシリンダの重量を減じることにより、メスシリンダ内の粉末試料の重量を算出する。
9.他の2つの複製粉末試料について、早急に工程1〜8を繰り返す。
10.3つの粉末試料全ての平均重量を測定する。
11.工程10で算出した平均重量に2.0を乗じることにより粉末試料の嵩密度をg/Lで測定する。
【実施例】
【0041】
(実施例1)固体洗濯洗剤組成物及びその製造プロセス
【表1】

【0042】
噴霧乾燥された粉末の調製
上述の組成物を有する、含水率が34.0%の水性スラリーを調製する。液体形態の上記で添加したいずれの成分も、水性スラリーが決して70℃を下回る温度にならないように、70℃まで加熱する。調製の最後に、水性スラリーを80℃まで加熱し、圧力(5×10Nm−2)で、空気入口温度が290℃からである向流噴霧乾燥塔に投入する。水性スラリーは霧化され、霧化されたスラリーは乾燥されて固体混合物が生成され、次に冷却されて大きすぎる物質(>1.8mm)はふるいによって取り除かれ、自由流動性の噴霧乾燥粉末を形成する。微細物質(<0.15mm)は、噴霧乾燥塔内の排気で水簸して、塔後(post tower)の収容システム内に集められる。噴霧乾燥された粉末は、2.0重量%の含水率、310g/Lの嵩密度、及び90重量%を上回る噴霧乾燥された粉末が、150〜710マイクロメートルの粒径を有するような粒径分布を有する。噴霧乾燥された粉末の組成を以下に示す。
【表2】

【0043】
アニオン性界面活性剤粒子1の調製
アニオン性洗浄界面活性剤粒子1は、傾斜ピン(Tilt-A-Pin)ミキサー、次に傾斜プラウ(Tilt-A-Plow)ミキサー(いずれもプロセソール(Processall)製)を用いて520gバッチを基準にして作製される。供給された硫酸ナトリウム108gを、炭酸ナトリウム244gと共に傾斜ピン(Tilt-A-Pin)ミキサーに添加する。70%活性C25Sペースト(C12/15のアルコール及びエチレンオキシドをベースとするエトキシ硫酸ナトリウム)168gを傾斜ピン(Tilt-A-Pin)ミキサーに加える。次いで構成成分を1200rpmで10秒間混合する。得られた粉末を、次に、傾斜プラウ(Tilt-A-Plow)ミキサーに移して、200rpmで2分間混合し粒子を形成する。粒子を、次に、該粒子の平衡相対湿度が15%未満になるまで、2500L/分の速度で120℃にて流動床乾燥機内で乾燥させる。乾燥した粒子をその後ふるい分けして、1180μmを通過し250μm上にある分画を保管する。アニオン性洗浄界面活性剤粒子1の嵩密度は900g/Lである。アニオン性洗浄界面活性剤粒子1の組成は次の通りである。
25Sエトキシ硫酸ナトリウム 25.0重量%
硫酸ナトリウム 18.0重量%
炭酸ナトリウム 57.0重量%
【0044】
粒状洗濯洗剤組成物の調製
実施例1の噴霧乾燥された粉末、アニオン性洗浄界面活性剤粒子1及び他の個々に注入された乾燥添加された材料を組み合わせて、粒状洗濯洗剤組成物を形成する。粒状洗濯洗剤組成物の配合を以下に示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
100g/L〜500g/Lの嵩密度を有する固体洗濯洗剤組成物であって、
該組成物が、
(a)1重量%〜70重量%のアニオン性洗浄界面活性剤と、
(b)0重量%〜10重量%のゼオライトビルダーと、
(c)0重量%〜10重量%のリン酸塩ビルダーを含んでなり、
前記組成物が、
(I)61重量%〜90重量%の低密度粒子成分と、
該低密度粒子成分が、100g/L〜426g/Lの嵩密度を有し、かつ、無機材料及び有機材料を含んでなり、
(II)10重量%〜39重量%の高密度粒子成分とを含んでなり、
該高密度粒子成分が、426g/Lを超える嵩密度を有してなり、
(i)前記低密度粒子成分(I)に含まれる前記無機材料と前記有機材料の重量比と、(ii)前記固体洗濯洗剤組成物に含まれる前記無機材料と前記有機材料の重量比の比率が0.3:1〜5:1である、組成物。
【請求項2】
0重量%〜5重量%のケイ酸塩を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、
(i)61重量%〜75重量%の前記低密度粒子成分(I)と、及び
(ii)25重量%〜39重量%の前記高密度粒子成分(II)を含んでなる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、300g/L〜425g/Lの嵩密度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、
(i)0重量%〜5重量%のゼオライトビルダー(b)と、及び
(ii)0重量%〜5重量%のリン酸塩ビルダー(c)を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記低密度粒子成分(I)に含まれる前記無機材料と前記有機材料の重量比が、0.3〜1.2の範囲である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記固体洗濯洗剤組成物に含まれる前記無機材料と前記有機材料の重量比が、0.3〜1.4の範囲である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(i)前記低密度粒子成分(I)に含まれる前記無機材料と前記有機材料の重量比と、(ii)前記固体洗濯洗剤組成物に含まれる前記無機材料と前記有機材料の重量比の比率が、0.3:1〜0.6:1未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記高密度粒子成分(II)が、アルキルアルコキシル化硫酸アニオン性洗浄界面活性剤を含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記高密度粒子成分が、過炭酸ナトリウムを含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−506030(P2010−506030A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531974(P2009−531974)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054199
【国際公開番号】WO2008/047302
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】