説明

低侵襲内部組織除去用の装置

【課題】サンプルの切断および除去を効果的かつ効率的にできる、中空プローブを含む器具を提供する。
【解決手段】少量の内部組織を生検用サンプリングまたは他の目的のために切断し、除去する医療装置が開示されている。この装置のバージョンは、組織収容開口部を有する中空プローブと、組織収容開口部を通過するカッティングエッジを有するカッターと、カッター駆動機構とを含んでいてもよい。装置のバーションはまた、プローブ内に減圧プランジャーを含み、減圧プランジャーとカッター駆動機構を連係して作動させ、プローブ内を効果的に減圧し、その減圧を維持して、カッターの切断ストロークの前、または、その間に組織を組織収容開口部に引き込むことができる。記載したバージョンは、複数の組織サンプルを、プローブを対象の組織塊の近傍に1回挿入している間に取り去るために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔背景〕
中空プローブによる吸引を利用する装置は、生検その他の目的のために、低侵襲経皮的手技で組織のサンプルを除去および/または取得するのに有用である。多くの潜在的な応用がこのような装置にはある。
【0002】
サンプルの切断および除去を効果的かつ効率的にでき、組織除去手技において組織および患者の外傷を最小限にでき、かつ、構造および製造を比較的簡単にできる中空プローブを含む器具のための追加の構造または代わりとなる構造を提供することが望ましいであろう。
【0003】
さまざまな生検装置が開発され、使用されたが、発明者の知る限り、発明者より前に添付した特許請求の範囲に記載の発明を創造または使用した者はいない。
【0004】
本明細書は、発明を詳しく示し、明瞭に主張する特許請求の範囲で締めくくられているが、本発明は、以下の説明を添付図面とともに考慮することにより、よりよく理解できると思われる。添付図面では、同様の参照符号が同じ要素を示している。以下の図面および詳細な説明は、単なる例示であることが意図されており、添付の特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0005】
〔発明の実施形態の詳細な説明〕
本明細書に説明し、図示する装置のバージョン(version)は、生検サンプリングまたは他の目的で低侵襲手技により組織を除去するための効率的なシステムおよび方法に向けられたものである。具体的には、本明細書に説明するバージョンは、経皮手技において効率的に組織を引き込み、切断し、除去するために、収容開口部がある中空のプローブと、プローブ内にあってカッティングエッジを有するカッターとを有する装置に向けられている。
【0006】
本明細書の説明上、本明細書に記載の構成要素および構成要素の動きに関しては、「前方へ」または「遠位へ」(およびこれらの変化形)が、前方へ、本明細書に記載の装置におけるプローブ部分の前にある遠位端に向けて、または、その方向へ、を意味し、「後方へ」または「近位へ」(およびこれらの変化形)は、後方へ、すなわち、本明細書に記載の装置におけるプローブ部分の前にある遠位端の方向とは逆の方向に、を意味する。しかし、当然のことながら、これらの用語のこのような用法は、本明細書の記載および図面に関する基準および向きを与えることを目的としており、特許請求の範囲の範囲を限定する意図はない。
【0007】
本明細書の説明上、本明細書に記載の構成要素に関し、用語「一体」は、2つ以上の識別可能な構成要素であって、単一ユニットとして形成されているか、さもなければ、実質的に単一のユニットとして動きおよび/または作動するように結合または取り付けてある構成要素をいう。用語「一体」は、連続している、すなわち、同種の連続した材料から形成された識別可能な構成要素に限定することを意図していない。しかし、当然のことながら、実質的に一体に作用するように一緒に結合された、別個に識別可能な構成要素の識別は、別個に識別可能な構成要素が必須であることを意味せず、また、特許請求の範囲の限定を意図するものではない。
【0008】
本明細書の説明上、「減圧(vacuum)」は、大気または周囲圧力よりも多少とも低い、ある空間内の圧力を意味し、空間内に空気、流体または他の物質が全くないことにより定義される絶対真空の状態を排除するものではないが、本明細書で使用される場合、この用語は、このような状態を不可欠とする、または、このような条件に限定する意味はない。
【0009】
次に図面を参照すると、図1および図3は、内部組織を切断し、その切断された組織を除去する装置の可能性のある一例を示している。装置100は、プローブ101を含んでおり、プローブ101は、穴あけ用先端部102と、収容開口部103とを有する。図1では、カッター132の遠位部分が収容開口部103内で見える。プローブ101は、前方栓部104内に止めねじにより、または、任意の適当な他の方法によって一体に取り付けられており、また、前方栓部104は、さらに、本体105内にねじによって、または、任意の適当な他の方法によって一体に取り付けられている。本体105は、ショルダーリング109を有し、ショルダーリング109は、任意の適当な方法によって本体105に取り付けられている。ショルダーリング109は、カッターラッチリング107を軸方向に支持しており、カッターラッチリング107は、回転用溝部149と、本体105と一体であり、回転用溝部149と相互作用をする(不図示の)回転制限ピンとによってつくりだされる制限の範囲内で、本体105上で回転させられることができる。カッターラッチリング107の中には、カッターラッチ108がさらに形成されている。
【0010】
展開前の配置で記載された典型的なバージョンを示す図1、図4および図5を参照し、また、図3の分解図をも参照すると、プローブ101が中空であり、そして、管状カッター132、収集管119、およびプランジャーロッド122がそれぞれプローブ101の中に同軸に配置されている。装置がその展開前の配置にあるときには、収集管119およびプランジャーロッド122の遠位端が実質的にカッター132の切断先端部133の近傍にある。切断先端部133は、その切断先端部上に鋭利に形成されたカッティングエッジを有する。カッター132は、そのカッター上に一体のカッターエンドカラー(cutter end collar)135を有し、このカッターエンドカラー135は、1つ以上の止めねじ、または、任意の他の適当な方法によってカッターブロック136内に一体に取り付けられている。カッターラッチピン113がカッターブロック136に任意の適当な方法によって一体に取り付けられており、図面から分かるように、解放されると、このカッターラッチピン113は、本体105にある外側発射溝部112に沿って長さ方向に動くことができる。
【0011】
描かれている例では、カッターブロック136が減圧ばね管127の中にあり、減圧ばね管127の中に任意の適当な方法によって取り付けられている後方ブロック129によって許される最も後方の限度まで、および、減圧ばね管127の中に任意の適当な方法によって取り付けられている前方ブロック125によって許される最も前方の限度まで減圧ばね管127の中を長さ方向に移動することができる。
【0012】
描かれている例では、減圧ばね管127、前方ブロック125、および後方ブロック129が部分的に密閉されたシリンダーを形成していて、また、実質的に一体となっている。減圧ばね139は、圧縮された状態で減圧ばね管137内にあり、その前方端部において前方ブロック125の減圧ばねボス部126に保持されている。減圧ばね139の後方端部は、カッターブロック136内の減圧ばね保持用ボア部137内に保持されている。減圧ばね139は、圧縮された状態で前方ブロック125と可動であるカッターブロック136との間にあり、前方ブロック125とカッターブロック136とを互いから離れるように押圧している。したがって、カッター132は、減圧ばね管127に対して後方に押圧されており、逆もまた同様である。減圧ばね管127は、後述するように、本体105内を長さ方向に移動することができる。
【0013】
描かれている例では、切断用ばね140が圧縮された状態で本体105の内部にあり、減圧ばね管127の後ろ側にある。切断用ばね140の前方端部は、減圧ばね管127の近位端および/または後方ブロック129と接触していて、減圧ばね管127の近位端および/または後方ブロック129よって拘束されている。切断用ばね140の後方端部は、切断ばね保持部141と接触し、切断ばね保持部141によって拘束されており、切断用ばね保持部141は、さらに、後方栓部106に押し付けられて支持されている。後方栓部106は、本体内に取り付けられており、ねじまたは任意の他の適当な方法によって本体と一体となっている。したがって、切断用ばね140は、減圧ばね管127を本体105に対して前方へ押圧する。切断用ばね保持部141はまた、切断用ばね保持部141から突出していて、傾斜端部を有するコッキングラッチフィンガー(cocking latch finger)142を有し、このコッキングラッチフィンガー142は、後述するように、互いの方へ向けて内側に曲がることができる。
【0014】
図1、図3、図5および図18を参照すると、適するプランジャーの可能性のある一例がプランジャーアセンブリ114によって表されている。プランジャーアセンブリ114は、保持管115を含んでおり、保持管115は、保持管115の遠位端に任意の適当な方法によって一体に取り付けられた保持管エンドカラー(retainer tube end collar)116と、保持管115の近位端に任意の適当な方法で一体に取り付けられた連結用ハブ118とを有する。展開前の配置にある典型的な装置100の内部では、保持管エンドカラー116を備える保持管115は、保持管エンドカラー116がカッターブロック136の後面および/またはカッターエンドカラー135と接触する位置まで前方へ延びている(図5参照)。保持管119の長さ方向後方への動きは、保持管エンドカラー116がガイド用ボス部150と接触することにより制限される。1つ以上のバンパーリング(bumper rings)117が、図3に示されている相対的な位置おいて保持用ロッド115上に含まれ、装置100が後述するように始動されたときに、保持管エンドカラー116とガイド用ボス部150の間における衝突の衝撃を減衰させるまたは吸収することであってもよい。連結用ハブ118は、図18に示されているように、その遠位端に雄ねじ部を有し、また、その遠位端にテーパー付きボア部144を有する。
【0015】
描かれている例では、収集管119は、保持管115内に同軸に配置されており、装置100が展開前の配置にある場合は、収集管119は、カッター132の切断用先端部133の近傍にある遠位端まで装置100内を前方へ延びている。スイベルハブ121が、任意の適当な方法によって収集管119の近位端に一体に取り付けられている。連結用ノブ120がスイベルハブ121に回転可能に取り付けられており、収集管119の長さ方向軸回りに、収集管119に対して回転可能となっている。連結用ノブ120は、示されているように雌ねじ部を有し、この雌ねじ部は、連結用ハブ118の雄ねじ部とかみあう。連結用ノブ120は、中に、収集管119回りにあるブッシング143をも有している。
【0016】
描かれている例では、プランジャーロッド122が収集管119内に同軸にあり、展開前の配置では、カッター132の切断用先端部133の近傍にある遠位端まで装置100内を前方に延びている。プランジャー質量部(plunger mass)123がプランジャーロッド122の近位端に任意の適当な方法によって一体に取り付けられている。
【0017】
前述したように、描かれている例では、プランジャーロッド122が収集管119内に同軸に配置されており、収集管119が保持管115内に同軸にあり、そして、これらの3つの部材は、後述するように、一緒に連結されていない場合には、互いに対して長さ方向に動くことができる。これらの3つの部材は、実質的にぴったりと同軸に嵌り合うような大きさに作られることもでき、この結果、後述するように装置100を始動し、効果的に減圧し、減圧を維持するために、多量の空気または他の流体がこれら3つの部材を通過できないようにすることができる。同時に、これら3つの部材の大きさは、これら3つの部材の間で実質的に自由な長さ方向の相対運動が妨げられるほどぴったりと嵌ることがないように選択することができる。
【0018】
描かれている例では、装置100が図5に示した展開前の配置状態にあると、収集管119およびプランジャーロッド22の遠位方向に延びている部分が保持管エンドカラー116から遠位方向に飛び出して前方へ延び、カッターエンドカラー135に入り、カッター132の切断用先端部133、収集管119の遠位端、および、プランジャーロッド122の遠位端が互いに隣接するようにカッター132の中を通って前方へ延びる。収集管119は、カッター132内に同軸に実質的にぴったりと嵌るような大きさに作られ、この結果、後述するように装置100を始動し、効果的に減圧し、その減圧を維持するために、多量の空気が収集管119およびカッター132の間を通過できないようにすることができる。同時に、収集管119およびカッター132の大きさは、あまりにもぴったりと嵌って、収集管119およびカッター132の間の実質的に自由な長さ方向の相対運動が妨げられることがないように選択することができる。収集管119は、カッター132内を長さ方向に移動することができる。
【0019】
説明し、描かれているプランジャーアセンブリ114の典型的なバージョンでは、プランジャーロッド122、収集管119、および、保持管115を以下のように一緒に連結できることが分かるであろう。図18を参照すると、連結用ノブ120を連結用ハブ118と接触させ、それぞれのかみ合い用ネジ山が係合し、それぞれの部材をさらに引っ張り合わせるように一方または両方を回すと、収集管119周りにあるブッシング143が、テーパー付きボア部144に押し込まれる。この結果、ブッシング143は内側へ(アセンブリの中央長さ方向軸の方へ向けて)押圧され、収集管119を内側へプランジャーロッド122に押し付けるように締め付ける。これにより、収集管119がプランジャーロッド122を把持し、そして収集管119および保持管115が連結用ハブ118および連結用ノブ120を連結させることにより一緒に連結され、そして、これらの部材の全てが、単一体として一緒に動くように一緒に連結される。当然のことながら、連結用ハブ118および連結用ノブ120は、プランジャーロッド、収集管、および、保持管を連結させるために、プランジャーアセンブリの構成部分に動作可能に取り付けることができるさまざまな連結部材の代表例に過ぎず、他の相互作用を行う、および/または、係合連結部材をこのような連結を行うのに使用することもできる。収集管119でプランジャーロッド122を容易に把持できるが、解放して、プランジャーアセンブリ114を連結解除することも可能であるように、ブッシング143および収集管119を1つ以上の柔軟および/または弾性のある適当な材料、たとえば、プラスチック、または、比較的簡単に変形および/または圧縮できる他の適当な材料などから形成することが望ましいであろう。
【0020】
描かれている典型的なバージョンの保持管115、収集管119およびプランジャーロッド122が前述したように一緒に連結された場合、これらは、依然として、後方栓部106のガイド用ボス部150内で長さ方向に動くことができる。保持管115、収集管119およびプランジャーロッド122の長さ方向前方への移動は、保持管エンドカラー116がカッターエンドカラー135および/またはカッターブロック136と接触することにより制限され、また、長さ方向後方への移動は、保持管エンドカラー116がガイド用ボス部150の前方端部と接触することにより制限される。当然のことながら、プランジャーまたはプランジャーアセンブリの長さ方向の移動を制限して、装置から早すぎるまたは好ましくない飛び出しや抜けを防ぐあらゆる他の協働する適切な特徴部を、プランジャーまたはプランジャーアセンブリに提供すること、および収容用、維持用、案内用または保持用構造部に結合することができる。
【0021】
以下、典型的な装置100の作動を説明する。前述したように、図1、図4および図5は、展開前の配置にある装置100を示している。カッター132および切断用先端部133は、それらの最も前方の位置にあり、収容開口部103が閉じるように、プローブ101の穴あけ先端部102に隣接している。同様に、プランジャーアセンブリ114は、その最も遠位の位置にあり、この結果、収集管119およびプランジャーロッド122の遠位端がカッター132の切断用先端部133に隣接していて、プローブ101内で空気が入る空間が最小となっている。図18および上記の説明を参照すると、保持管115、収集管119およびプランジャーロッド122は、連結用ノブ120を連結用ハブ118に係合することによって一緒に連結されている。装置100がこのような配置にある状態で、プローブ101の穴あけ先端部102を患者の皮膚を通して、組織に挿入することができ、プローブ101は、任意の適切な方法により、組織を通って対象の組織塊に向けて、収容開口部103が対象の組織塊の中または近傍にくるまで押圧され、ガイドされることができる。あるいは、装置100は、プローブを組織に挿入する前にまずコッキング(cock)されてもよい。
【0022】
典型的な装置100をコッキングするためには、使用者は、コッキングハンドル部111を本体105に対して図2に示されている、そして図6および図7にも示されている位置まで後方に動かすことができる。図7から分かるように、コッキングハンドル111を動かすと、このコッキングハンドル111が前方ブロック125を介して一体となっている減圧ばね管127が、これに対応して、長さ方向後方へ動く。カッターブロック136が、そのスタート位置に動かずに止まり、カッターラッチリング107のカッターラッチ108に拘束されたカッターラッチピン113によってそこに保持されることも分かる。この結果、減圧ばね139が前方ブロック125およびカッターブロック136の間で長さ方向に圧縮される。同時に、切断用ばね140が減圧ばね管127の後端部、および/または、その減圧ばね管127と一体の後方ブロック129と、切断用ばね保持部141との間で長さ方向に圧縮される。切断用ばね保持部141から延びているコッキングラッチフィンガー142は、後方ブロック129のコッキングキャッチボア部130を通って係合し、図7に示されているようにコッキングキャッチボア部130内でラッチにより留まっている(latch)。したがって、図7から分かるように、装置100をコッキングすると、減圧ばね139が圧縮され、カッターブロック136を減圧ばね管127内でいつでも後方に駆動できるようになり、また、切断用ばね140が圧縮され、減圧ばね管127を本体105内でいつでも前方に駆動できるようになる。しかし、カッターブロック136がその最も前方のスタート位置に残っているので、カッター132および切断用先端部133もまたそれらの最も前方のスタート位置に、プローブ101の穴あけ先端部102と隣接した状態に残り、収容開口部103を閉じたままにする。同様に、プランジャーアセンブリ114は、その最も前側のスタート位置に残り、収集管119およびプランジャーロッド122の遠位端が、カッター132の切断用先端部133に隣接したままとなり、プローブ101内の空気が入る空間が最小となる。図18および上記の説明を参照すると、保持管115、収集用管119およびプランジャーロッド122は、連結用ノブ120が連結用ハブ118に係合することにより互いに連結した状態のままである。図2、図6および図7に示されているように、装置100は、組織をプローブに引き込んで、その組織を切断し、収集するようにいつでも始動できる。
【0023】
典型的な装置100を始動させるためには、使用者は、カッターラッチピン113がカッターラッチ108から解放されるまで、カッターラッチリング107を本体105回りに回転することができる。図8および図9は、カッターラッチピン113をはずした後、そしてそれ故に、カッターブロック136の後方ストローク(rearward stroke)の後であるが、カッター132が前方に発射される直前の装置100の一瞬の図(snapshot)を示している。図9を図7(コッキングされ、始動する前の配置にある装置100を示している)と比較すると、カッターラッチピン113をはずすことにより、カッターブロック136が減圧ばね139によって後方に駆動されることが分かる。カッターラッチピン113の後方への移動は、本体105にある外側発射用溝部112、および、減圧ばね管127にある内側発射用溝部128によって可能となっている。カッターブロック136が後方に駆動されると、カッターエンドカラー135が保持管エンドカラー116と接触することにより、カッター132およびプランジャーアセンブリ114もまたそれに応じて後方へ駆動される。図12を参照すると、収容開口部103が組織内に完全に入ってしまう深さまでプローブ101を組織に挿入すると、組織が収容開口部103を塞ぎ、収容開口部103が空気を引き込むのを防ぐ。よって、カッター132およびプランジャーアセンブリ114が全て一緒に後方に駆動されると、プローブ内および収容開口部103が減圧され、組織をプローブ内に引き込む。再び図9を参照すると、カッターブロック136が減圧ばね管127の中での最も後方の位置まで移動すると、カッターブロック136内のカッター発射用ボア部138のエッジがコッキングラッチフィンガー142の傾斜端部に接触し、前述したように、組織を収容開口部103に引き込むために減圧した直後に、コッキングラッチフィンガー142を内側に押圧する。
【0024】
描かれている典型的な実施形態では、コッキングラッチフィンガー142の端部が内側に押圧されると、コッキングラッチフィンガー142がはずれ、後方ブロック129にあるコッキングキャッチボア部130内でのコッキングラッチフィンガー142の保持を解放し、減圧ばね管127の近位端および/または後方ブロック129に作用している切断用ばね140によって減圧ばね管127を前方に駆動できるようになる。この結果生じる減圧ばね管127の前方ストローク(forward stroke)は、図9および図11を比較すれば分かるであろう。図11では、減圧ばね管127が、そしてこの減圧ばね管127とともに後方ブロック129が、そしてそれ故にカッターブロック136およびカッター132が、切断用ばね140によって前方に駆動されたことが分かる。同時に、前述した後方ストロークの間に生じたプランジャーアセンブリ114の後方への運動量および運動エネルギーが、これは一部がプランジャー質量部123に蓄積されるであろうが、収集管119およびプランジャーアセンブリ114のプランジャーロッド122を後方へ移動させ続け、プローブ101の収容開口部103における減圧を維持して、組織をプローブ内に保ち、カッター132の切断用先端部133が収容開口部103を通過して前方へと進んだ際に、その組織が切断されるようにする。当然のことながら、カッター132の方向転換の間、および、それに続く前方への切断ストロークの間、プランジャーアセンブリ114の後方への運動量および運動を保存するのに有効な大きさの適切な質量部は、連結用ハブ118、連結用ノブ120および/またはプランジャー質量部123単独またはこれらの組み合わせに与えることができ、かつ、これらにより提供されることができ、そしてそれ故に、これらの構成要素のいずれもが単独で、または、組み合わせで有効なプランジャー質量部を構成することができる。プランジャーアセンブリ114の後方への移動は、保持管エンドカラー116が後方栓部106のガイド用ボス部150と接触することにより阻止される。1つ以上のバンパーリング117が含まれ、保持管エンドカラー116およびガイド用ボス部150の間における衝突の衝撃を減衰させるまたは吸収することであってもよい。カッター132は、前方へ進むと、プローブに引き込まれている組織を切断し、その組織をプローブ自体内に取り込む。図13は、プローブ101の遠位端と、切断ストローク後のカッター132、切断された組織145、収集管119およびプランジャーロッド122の位置を描いている。
【0025】
典型的な構成要素および典型的なバージョンについての上記した説明から分かるであろうが、ラッチカラー107を回転することによりラッチピン113を解放した後、その結果生じたカッター132およびプランジャー114の後方ストローク、収容開口部103の開口、および、それと同時に行われた、組織をプローブ101に引き込む減圧、その後の、組織を切断するためのカッター132の前方ストロークは、連係して、迅速に、次々と起こる。組織を収容開口部103に引き込むための減圧は、カッター132およびプランジャーアセンブリ114の後方移動で行われるので、収集管119およびプランジャーロッド122の遠位端が、装置が(たとえば、図7の)その駆動前の配置にあるときに、プローブ内の空気が入る空間を最小限の大きさにする十分な長さであるように装置を構成し、始動中に存在する空気であって、後方ストローク中にプローブ101内の減圧の大きさを小さくする、空気の量を最小にすることが望ましいであろう。これも当然のことであるが、後方ストロークにより作り出された減圧は、カッター(132)の方向が変わり、カッターが切断ストロークで前方へ駆動されたときに、後方ストローク中に生じた運動量によってプランジャーアセンブリ114が後方へ移動し続けることにより維持される。
【0026】
描かれている典型的なバージョンでの切断ストロークの後、カッターラッチリング107は、そのスタート位置(たとえば図4参照)まで回転させられ、カッターラッチピン113をカッターラッチ108に再び取り込むことができる。この配置では、装置100を再びコッキングして、プローブ101が組織内の所定位置にまだある間にもう一度始動して別の組織サンプルを切断するのに備えることができる。
【0027】
描かれている典型的なバージョンをもう一度始動する前に、使用者は、切断したその前のサンプルを収集するか、または、プランジャーアセンブリ114を調整し、再設定して効率を最大にすることを望むかも知れない。これは、描かれている典型的なバージョンでは、プランジャーアセンブリ114の連結を解くことによって行うことができる。図18を参照し、図13、図14および図15をも参照すると、使用者は、連結用ノブ120を連結用ハブ118から、ねじを逆に回してはずすことにより、最初にその典型的なプランジャーアセンブリ114の連結を解くことができる。これにより、保持管115、収集管119およびプランジャーロッド122を切り離す。連結用ノブ120および/または収集管119、そして、プランジャー質量部123および/またはプランジャーロッド122をつかみながら、使用者は、次に、収集管119を前進させ、そして、この収集管119とともにプランジャーロッド122を装置100内で長さ方向に進めることができる。図13を参照すると、収集管119およびプランジャーロッド122を切断された組織に接触する位置まで進めると、カッター132内のいずれかのスペースに溜まっている空気または他の流体は、プランジャーアセンブリをカッター132内で前進させたときに、通気口134から排出させることができ、この空気または他の流体は、プローブが組織に侵入した経路に沿って外に出る。プランジャーロッド122が切断された組織に接触した後、使用者は、プランジャーロッド122を進めるのを止め、その一方で、収集管119を切断された組織を通過して囲むようにその最も前方の位置まで続けて前進させ、切断された組織を収集管119内に取り込むことができる。(図14参照)。その後、使用者は、収集管119を装置100から後方へ完全に引き抜いて、プランジャーロッド122を収集管119の中で前進させることによって、収集管から切断された組織を排出するか、またはその代わりに、連結用ハブ118および連結用ノブ120を前述したように係合することにより、保持管115、収集管119、プランジャーロッド122を再び連結することもできる。
【0028】
図17は、切断された組織を収集管119のような収集管内に維持するための機構についての可能性のある一バージョンを描いている。このような機構は、たとえば、複数のサンプルを切断し、装置100からそれらのサンプルを取り除く前に収集管119に収集する場合に、それらの組織が、装置100を使用している間に、不注意により収集管119から排出されるのを防ぐのに好ましいであろう。二つの穴部が収集管119の遠位端近傍に形成されており、適当に形成された保持用ワイヤ148、たとえば、直径0.102mm(0.004インチ)のニチノール製ワイヤのような保持用ワイヤ148が、その二つの穴部に通されて、示されているように、端部が後方へと収集管の内腔部内へ突出している。組織が収集管119の遠位端に入り、保持用ワイヤ148の端部を通過すると、組織が前方へ押し動かされたときに、その端部が組織に引っかかり、これにより、組織が収集管119の遠位端から出てしまうのを防ぐ。切断された組織を収集管119の遠位端から、たとえばプランジャーロッド122を用いて排出したい場合には、保持用ワイヤ148を取り除いて、組織が収集管119から出ていけるようにすることができる。他の代わりとなる保持用装置または構造を収集管119の端部近傍に設けてもよく、このような装置または構造体としては、後方に向けて突出した棘部、または、組織を引っかける他の構造を有する装置または構造がある。
【0029】
図16に示されているように、プローブ101が通気用内腔部147を作る別個の管または他の構造を含み、この通気用内腔部147により、たとえば収集した組織サンプルを取り除くためにプランジャーアセンブリを後退させたときに、空気がプローブ101に流入するようにしてもよい。これは、プランジャーアセンブリを後退させることにより生じた減圧が、収集管を後退させているときに、収集管から組織サンプルを引っ張ることを防止するのに役立つ。たとえば通気用内腔部147のような、このような別個の通気用内腔部はまた、別の組織サンプルを切断するのに備えてプランジャーアセンブリ114のようなプランジャーを再挿入するときにプローブ101から空気を排気するのに利用できる。プランジャーを再挿入した後、通気用内腔部147には、たとえば、通気口栓146で栓をすることができる。さらに、通気用内腔部147のような通気用内腔部は、カッター132にある通気口134によって行われる通気機能を代用するまたは補充することができる。
【0030】
描かれている典型的なバーションでは、収集管119を前進させて切断された組織145を取り込んだ後、そして、プランジャーロッド122を前進させて切断された組織145と接触させた後、あるいは、切断された組織145を収集管119から除去し、そして、プランジャーアセンブリ114を装置100に再挿入した後、プランジャーアセンブリ114を前述したように再度連結することができ、また、もう一度始動させてさらに別の組織サンプルを切断し、取り込むのに備えて、装置100をコッキングすることができる。上記の説明から分かるであろうが、記載した典型的なバージョンを用いて、プローブ101が組織内の所定位置にあるままで、複数の組織サンプルを収集することができる。
【0031】
本明細書に記載の装置100の典型的な構成要素およびバージョンが減圧を行い、この減圧を利用して組織をプローブ101の収容開口部に引き込むことも分かるであろうし、この減圧は、装置100自体の中にある機構で行われ、外部減圧源に接続する必要がないことも分かるであろう。同様に、記載したバージョンでは、作動するために如何なる外部電源も必要とせず、これは、装置100内の機構に駆動機構、たとえば減圧ばね139とこれに付随する構成要素、および、切断用ばね140とこれに付随する構成要素があるためであるのは分かるであろう。
【0032】
組織を典型的なプローブ101に引き込むための減圧は、典型的な装置100では、実質的には、プランジャーの後方移動によって行われ、プランジャーは、たとえば、カッター管132内に事実上ぴったりとはまっているプランジャーアセンブリ114などである。装置の具体的な構成によるが、カッター132をプローブ101に実質的にぴったりとはめ込むことが望ましいであろうし、あるいは、別の適当な構成を設けて、組織サンプルを切断する前に、確実に、プローブ101内が十分に減圧され、維持されることが望ましいであろう。必要とする減圧は、代替案では、1つ以上の部材の動きによって、あるいは、代替プランジャーアセンブリの動きによって行え、その代替プランジャーアセンブリは、一本のプランジャーまたはプランジャーロッドなどであり、事実上ぴったりと、かつ、長さ方向に可動に長さ方向中空部材にはめ込まれていて、その中空部材は、プローブ101にある収容開口部103のような収容開口部と流体が流れるようにつながっていることも分かるであろう。
【0033】
本明細書に記載の典型的な構成要素およびバージョンでは、プランジャーアセンブリ114を後方に移動させる駆動力が圧縮ばね、すなわち、減圧ばね139によって与えられる。もっとも、当然のことながら、このような駆動力は、任意の他の適する駆動機構、たとえば、限定はしないが、圧縮された状態、張った状態、曲げた状態またはねじった状態にある他の種類のばねで与えることもできるし、他の長さ方向の原動力となる装置によって供給することをできる。長さ方向の原動力となる装置とは、ガスシリンダー、ガスレバー、流体レバーもしくは流体シリンダーおよび/または歯車駆動式の装置などであって、ポテンシャルエネルギーを蓄積、放出して、長さ方向の原動力を供給する、あるいは、他の機構が生成または供給した力を変換および/または伝達することによって長さ方向の原動力を供給するように動作可能に構成されたものである。たとえば、適当な長さ方向の力は、手動式の、または、モータ駆動式のレバーおよび/または歯車機構を、1つ以上のばね装置とともに使用することによって、または、ばね装置とともに使用することなく供給することができる。当然のことながら、プランジャーがロッドまたは他の部材であって、プローブ内の遠位端から装置の近位部分から突出している近位部分まで延びている部材という形態をとっている場合、プランジャーを後方に後退させ、これによりプローブ内を減圧するために必要な力は、手によって(プランジャーを後方に引っ張ることによって)または手動式機構によって供給することができる。
【0034】
同様に、本明細書に記載の典型的な構成要素およびバージョンでは、カッター132の後方(収容開口部103開口)移動と、そしてその後に、カッター132の前方(切断)移動を続けて行わせるための力もまた圧縮したコイルばね、減圧ばね139、および切断ばね140によって供給することができる。もっとも、当然のことながら、このような力は、任意の他の適する駆動機構、たとえば、限定はしないが、圧縮された状態、張った状態、曲げた状態またはねじった状態にある他の種類のばねで与えることもできるし、他の長さ方向の原動力となる装置によって供給することをできる。長さ方向の原動力となる装置とは、ガスシリンダー、ガスレバー、流体レバー、もしくは流体シリンダーおよび/または歯車駆動式の装置などであって、ポテンシャルエネルギーを蓄積、放出して、長さ方向の原動力を供給する、あるいは、他の機構が供給した力を変換および/または伝達することによって長さ方向の原動力を供給するように動作可能に構成されたものである。たとえば、適当な長さ方向の力は、手動式の、または、モータ駆動式のレバーおよび/または歯車機構を、1つ以上のばね装置とともに使用することによって、または、ばね装置とともに使用することなく供給することができる。
【0035】
明らかであろうが、プランジャーアセンブリ114のようなプランジャーによって行われ、描かれている典型的なバージョンでは組織を収容開口部103に引き込む減圧は、収容開口部103を開いている間または開いた後に、かつ、切断ストロークの前または切断ストローク中に行われる。当然のことながら、このような減圧は、事実上、収容開口部が開いている間に、そして、事実上、カッティングエッジが切断ストローク中にこの収容開口部を横断する前、または、横断する時間の少なくとも一部の間に行い、組織がプローブに引き込まれ、プローブ内に存在し、切断ストローク中に切断できるようにする。もっとも、当然のことながら、カッターおよびプランジャーが切断ストローク前に同時に移動することが、状況によっては、駆動機構または他の構造の構成上望ましいことかも知れないが、プローブ内で減圧を適切なタイミングで行うことが必須なのではない。したがって、プランジャーおよびカッターのそれぞれの動きは、切り離して、別個の機構で行い、切断ストロークに適切に合わせて減圧を行い、確実に組織をプローブに引き込み、付随する装置で効果的に切断し、取り去ることができる位置に配置することもできる。
【0036】
したがって、前方移動の代わりに後方移動中に切断を行うために、カッターの別のバージョン(不図示)を構成することができ、また、これを行う適切な機構を構成することができる。たとえば、プローブの内側または外側に配置され、プローブに沿って動く中空の代替カッター(不図示)を設けることができ、この代替カッターは中に窓部を有し、この窓部は、事実上、このプローブの収容開口部に対して長さ方向に位置が合わせてあり、収容開口部を後方へと通過するものであり、窓部の遠位端部は、その収容開口部を後方へと通過するカッティングエッジを形成するように適切にかつ鋭利に形成されている。このバージョンでは、このような代替カッターの窓部を、このような代替カッターをめいっぱい前進させたときに、その窓部が収容開口部を越えている、すなわち、収容開口部より遠位にあり、これにより収容開口部を閉じるように配置することができる。この代替カッターのバージョンを後方に引くと、窓部が収容開口部を横切って、収容開口部を開き、続けて後方へ動かすと、窓部の遠位端にあるカッティングエッジが収容開口部を後方へ横切る。当然のことながら、適当な機構を構成して、収容開口部と流体が流れるようにつながっている中空の縦部材内にあるプランジャーをこのような代替カッターのこのような後方移動に合わせて、および/または、このような後方移動と連係させて動かし、これにより、収容開口部を開いたとき、および、カッティングエッジが収容開口部を後方へ横断する前または横断中に、プローブ内を効果的に減圧することができる。
【0037】
可能性のある別のバージョンでは、回転式代替カッター(不図示)および付随する駆動機構(不図示)を設計することができ、このバージョンでは、この回転式代替カッターのプローブ回り、または、プローブ内の回転により、プローブの収容開口部が開き、次に、この回転式カッターの回転によりカッティングエッジが収容開口部を横切る。ここでも、当然のことながら、所定の機構を構成して、収容開口部と流体が流れるようにつながっている中空の縦部材の内部にあるプランジャーをこのような回転式カッターの回転と連係させて動かし、これにより、収容開口部を開いたとき、および、カッティングエッジが収容開口部を横断する前または横断中に、プローブ内が効果的に減圧されるようにすることができる。
【0038】
上記より分かるであろうが、カッターは、カッティングエッジを有するさまざまな形態であって、そのカッティングエッジがプローブの収容開口部を適する任意の動きで、適する任意の機構に駆動されて横切るように配置されているさまざまな形態を取ることができる。同様に、収容機構を開閉する機構は、カッターまたはカッターを動かす機構と組み合わせてもよいし、別個の構成であってもよい。
【0039】
本明細書に記載し、描かれている典型的なバージョンは、ばねが、構成要素を駆動するために力を加えている部材を交互に拘束、そして解放するための掛けはずし機構(たとえば、相互作用を行うカッターラッチリング107とカッターラッチピン113の組み合わせ、および、相互作用を行うコッキングラッチフィンガー142と、後方ブロック129のコッキングキャッチボア130と、カッターブロック136のカッター発射ボア138との組み合わせ)を含む。当然のことながら、ばね、または、中にポテンシャルエネルギーを蓄積した他の装置が原動力を供給するのに用いられた場合、このような装置を交互に拘束し、そして解放するための適当な掛けはずし機構は、本明細書に記載され、描かれている例に加えて、適するさまざまな形態をとることができる。
【0040】
管または円筒で、端部ブロックまたは栓が一体となっているもの、たとえば、前方栓部104および後方栓部106を備えた本体105、ならびに、前方ブロック125および後方ブロック129を備えた減圧ばね管127が、記載した機構を収容または保持するために、記載した典型的なバージョンに描かれている。もっとも、当然のことながら、他の形状および形態のハウジングも使用することができる。たとえば、本体には、適当なハンドル式特徴部または他の人間工学的特徴部を設けて、外観、有用性、有効性および/または利便性をよくすることであってもよい。同様に、関連する装置が、挿入−ガイド用、保持用および/または安定化(immobilizing)用装置、つまり、固定器とともに使用される場合には、本体に、適当な取り付け用特徴部を設けてもよい。たとえば減圧ばね管127のような内部部品に関しては、適する任意のハウジングまたは構造体を利用して、機構を動作可能に収容または保持し、カッターの連係した移動と、プランジャーおよび/またはプランジャーアセンブリの長さ方向移動をそれぞれプローブ内で行わせ、組織を引き込むための減圧と、その後の切断ストロークを協調して行わせることができる。
【0041】
これも当然であるが、本明細書に記載したプローブ101およびプランジャーアセンブリ114の典型的なバージョンは、依然として、プローブの収容開口部と流体が流れるようにつながっている中空の長さ方向本体内で動くプランジャーによって、組織を引き込むために減圧を行いながらも、変更することができる。たとえば、移動するカッターは、プローブの内側よりもむしろ外側に配置してもよい。プランジャーは、収容開口部と流体が流れるようにつながっている長さ方向中空部材の内部に配置され、その部材内で可動であってもよく、そして、このような中空部材は、中空カッター、中空プローブ、収集管を含んでいてもよく、または、減圧して収容開口部に組織を引き込むためにプローブの収容開口部に流体が流れるよう接続されている別個の中空部材を含んでいてもよい。プローブが自身の挿入経路を組織につくりだすことが望ましい場合、プローブは、遠位穴あけ先端部、または、切開用先端部を有することであってもよい。あるいは、最初に別の器具を使って挿入経路を組織につくりだし、そして、プローブは、その経路に沿って挿入しやすいように、丸くした、または、他の適切な形状にした先端部を有することであってもよい。
【0042】
本発明のさまざまなバージョンおよび概念を示し、説明したが、本明細書に記載の方法およびシステムは、当業者が適切に変更することにより、本発明の範囲から逸脱することなく、さらに改造することができる。このような潜在的な代替例、変更例および変形例のいくつかには言及しており、他の例は、上記に教示したから当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲に入る限り、このような代替例、変更例および変形例を全て包含することが意図されており、明細書および図面に示され、記載された構造および作用の詳細に、当然ながら、限定するものではない。
【0043】
〔実施の態様〕
(1)内部組織を切断し、除去するための装置において、
本体と、
前記本体に取り付けられた中空プローブであって、前記プローブ上の収容開口部、および遠位自由端を有する、中空プローブと、
前記プローブ内部に中空の遠位部分を有し、かつ、前記遠位部分に設けられたカッティングエッジを有するカッターであって、前記プローブ内を長さ方向に可動である、カッターと、
前記カッター内に遠位部分を有するプランジャーであって、前記カッター内を長さ方向に可動である、プランジャーと、
前記本体によって保持されており、前記カッターおよび前記プランジャーと機械的につながっている第1のばねと、
前記本体によって保持されており、前記カッターと機械的につながっている第2のばねと、
前記本体によって保持されている第1掛けはずし機構であって、前記第1のばねに負荷がかけられているときに前記第1のばねを拘束すること、および前記第1のばねを解放すること、を交互に行うように作動可能である、第1掛けはずし機構と、
前記本体によって保持されている第2掛けはずし機構であって、前記第2のばねに負荷がかけられているときに前記第2のばねを拘束すること、および前記第2のばねを解放すること、を交互に行うように作動可能である、第2掛けはずし機構と、
を備え、
前記第1のばねを解放することにより、前記第2掛けはずし機構がはずれて、前記第2のばねが解放される、
装置。
【0044】
(2)実施態様1記載の装置において、
前記プランジャーは、第1管部、および前記第1管部内に同軸に配置されているロッド部をさらに備えている、装置。
(3)実施態様2記載の装置において、
前記プランジャーは、前記第1管部の外側に同軸に配置されている第2管部をさらに備えている、装置。
(4)実施態様2記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられ、前記第1管部を前記ロッド部に選択的に連結したり、切り離したりするように操作可能である連結部材、
をさらに備える、装置。
(5)実施態様3記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた第1連結部材と、
前記プランジャーに取り付けられた第2連結部材と、
をさらに備え、
前記第1および第2の連結部材は、選択的に互いに係合されたり、係合解除されたりして、これにより、前記第1管部、前記第2管部、および前記ロッド部を一緒に、選択的に連結したり、切り離したりするように操作可能である、
装置。
【0045】
(6)実施態様1記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた質量部、
をさらに備える、装置。
(7)実施態様2記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた質量部、
をさらに備える、装置。
(8)内部組織を切断し、除去するための装置において、
本体と、
前記本体に取り付けられた中空プローブであって、前記中空プローブ上の収容開口部、および遠位自由端を有する、中空プローブと、
カッティングエッジを有するカッターであって、前記カッティングエッジは、前記収容開口部に隣接しており、かつ、前記カッターは、前記カッティングエッジが前記収容開口部を横断するように、前記収容開口部に対して可動である、カッターと、
前記プローブ内に遠位部分を有し、前記プローブ内を長さ方向に可動であるプランジャーと、
前記本体によって保持されており、かつ、前記カッターと機械的につながっているカッター駆動機構であって、前記カッティングエッジが前記収容開口部を横断するように前記カッターを駆動する、カッター駆動装置と、
を備える、装置。
【0046】
(9)実施態様8記載の装置において、
前記カッターは、遠位部分をさらに備えており、
前記カッティングエッジは、前記遠位部分に隣接しており、
前記カッターは、前記プローブに対して長さ方向に可動である、装置。
(10)実施態様9記載の装置において、
前記カッター駆動機構は、前記カッターを前記プローブに対して長さ方向に駆動するばねをさらに備えている、装置。
(11)実施態様8記載の装置において、
前記カッターは、前記プローブの外側にある、装置。
(12)実施態様8記載の装置において、
前記カッターは、前記プローブに対して回転する、装置。
(13)実施態様8記載の装置において、
前記本体に保持されており、かつ、前記プランジャーと機械的につながっているプランジャー駆動機構、
をさらに備える、装置。
【0047】
(14)実施態様13記載の装置において、
前記プランジャー駆動機構は、前記プランジャーを前記プローブ内で長さ方向に駆動するばねをさらに備えている、装置。
(15)実施態様8記載の装置において、
前記プランジャーは、管部、および前記管部内に同軸に配置されているロッド部をさらに備えている、装置。
(16)実施態様8記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた質量部、
をさらに備えている、装置。
(17)実施態様15記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた質量部、
をさらに備えている、装置。
【0048】
(18)内部組織を切断し、除去するための装置において、
本体と、
前記本体に取り付けられた中空のプローブであって、前記中空のプローブ上の収容開口部、および遠位自由端を有する、プローブと、
前記プローブ内に遠位部分を有し、かつ、前記プローブ内を長さ方向に可動であるプランジャーと、
前記本体によって保持されており、かつ、前記プランジャーと機械的につながっているプランジャー駆動機構と、
を備え、
前記プランジャー駆動機構が前記プランジャーを前記プローブ内で長さ方向に駆動し、
前記収容開口部がふさがれているときに前記プローブ内で前記プランジャーが長さ方向に前記収容開口部から離れるように動くと、前記プローブ内が減圧される、
装置。
【0049】
(19)実施態様18記載の装置において、
前記プランジャーは、
管部、
前記管部内に同軸に配置されたロッド部、および、
前記プランジャーに取り付けられた連結部材であって、前記ロッド部を前記管部に選択的に連結したり、切り離したりするように構成されている、連結部材、
をさらに備えている、装置。
(20)実施態様18記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた質量部、
をさらに備えている、装置。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】内部組織を切断し、その切断された組織を除去する装置の典型的なバージョンの斜視図であって、展開前の配置を示す図である。
【図2】図1の装置の斜視図であって、装置をコッキングし、これにより何時でも始動できるようにした後の図である。
【図3】図1の装置に示した装置の分解斜視図であって、図1の装置の構成要素を示す図である。
【図4】展開前の配置にある、図1の装置の側面図である。
【図5】図4に示した装置の縦断面図である。
【図6】装置をコッキングすることにより、何時でも始動できるようにした後の、図1の装置の側面図である。
【図7】図6に示した装置の縦断面図である。
【図8】装置を始動させ、カッターおよびプランジャーアセンブリが後方へ駆動した後の、図1の装置の側面図である。
【図9】図8に示した装置の縦断面図である。
【図10】カッターを前方へ駆動した後の、図1の装置の側面図である。
【図11】図10に示した装置の縦断面図である。
【図12】図1の装置におけるプローブの端部の縦断面図であって、組織に挿入されたところを示しており、カッターが方向を変えた直後のカッターおよびプランジャーアセンブリの位置を図示している。
【図13】図1の装置におけるプローブの端部の縦断面図であって、カッターによって組織が切断され、プローブに取り込まれた後であって、プランジャーアセンブリを前進させて切断された組織を収集する前を示す図である。
【図14】図1の装置におけるプローブの端部の縦断面図であって、収集管を前進させて切断された組織を収集した後の図である。
【図15】図1の装置におけるプローブの端部の一部斜視図であり、カッターにおける通気口の配置を、プローブを通気するための可能性のある1つの機構として図示する図である。
【図16】プローブ端部の代替バージョンの縦断面図であって、プローブを通気するための代わりの一機構を図示している。
【図17】切断された組織を収集管の中に維持するための、可能性のある1つの機構を有する収集管の一バージョンにおける遠位端の縦断面図である。
【図18】プランジャーアセンブリの典型的なバージョンにおける後方の構成要素の縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部組織を切断し、除去するための装置において、
本体と、
前記本体に取り付けられた中空プローブであって、前記プローブ上の収容開口部、および遠位自由端を有する、中空プローブと、
前記プローブ内部に中空の遠位部分を有し、かつ、前記遠位部分に設けられたカッティングエッジを有するカッターであって、前記プローブ内を長さ方向に可動である、カッターと、
前記カッター内に遠位部分を有するプランジャーであって、前記カッター内を長さ方向に可動である、プランジャーと、
前記本体によって保持されており、前記カッターおよび前記プランジャーと機械的につながっている第1のばねと、
前記本体によって保持されており、前記カッターと機械的につながっている第2のばねと、
前記本体によって保持されている第1掛けはずし機構であって、前記第1のばねに負荷がかけられているときに前記第1のばねを拘束すること、および前記第1のばねを解放すること、を交互に行うように作動可能である、第1掛けはずし機構と、
前記本体によって保持されている第2掛けはずし機構であって、前記第2のばねに負荷がかけられているときに前記第2のばねを拘束すること、および前記第2のばねを解放すること、を交互に行うように作動可能である、第2掛けはずし機構と、
を備え、
前記第1のばねを解放することにより、前記第2掛けはずし機構がはずれて、前記第2のばねが解放される、
装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記プランジャーは、第1管部、および前記第1管部内に同軸に配置されているロッド部をさらに備えている、装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記プランジャーは、前記第1管部の外側に同軸に配置されている第2管部をさらに備えている、装置。
【請求項4】
請求項2記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられ、前記第1管部を前記ロッド部に選択的に連結したり、切り離したりするように操作可能である連結部材、
をさらに備える、装置。
【請求項5】
請求項3記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた第1連結部材と、
前記プランジャーに取り付けられた第2連結部材と、
をさらに備え、
前記第1および第2の連結部材は、選択的に互いに係合されたり、係合解除されたりして、これにより、前記第1管部、前記第2管部、および前記ロッド部を一緒に、選択的に連結したり、切り離したりするように操作可能である、
装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた質量部、
をさらに備える、装置。
【請求項7】
請求項2記載の装置において、
前記プランジャーに取り付けられた質量部、
をさらに備える、装置。
【請求項8】
内部組織を切断し、除去するための装置において、
本体と、
前記本体に取り付けられた中空プローブであって、前記中空プローブ上の収容開口部、および遠位自由端を有する、中空プローブと、
カッティングエッジを有するカッターであって、前記カッティングエッジは、前記収容開口部に隣接しており、かつ、前記カッターは、前記カッティングエッジが前記収容開口部を横断するように、前記収容開口部に対して可動である、カッターと、
前記プローブ内に遠位部分を有し、前記プローブ内を長さ方向に可動であるプランジャーと、
前記本体によって保持されており、かつ、前記カッターと機械的につながっているカッター駆動機構であって、前記カッティングエッジが前記収容開口部を横断するように前記カッターを駆動する、カッター駆動装置と、
を備える、装置。
【請求項9】
内部組織を切断し、除去するための装置において、
本体と、
前記本体に取り付けられた中空のプローブであって、前記中空のプローブ上の収容開口部、および遠位自由端を有する、プローブと、
前記プローブ内に遠位部分を有し、かつ、前記プローブ内を長さ方向に可動であるプランジャーと、
前記本体によって保持されており、かつ、前記プランジャーと機械的につながっているプランジャー駆動機構と、
を備え、
前記プランジャー駆動機構が前記プランジャーを前記プローブ内で長さ方向に駆動し、
前記収容開口部がふさがれているときに前記プローブ内で前記プランジャーが長さ方向に前記収容開口部から離れるように動くと、前記プローブ内が減圧される、
装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−263963(P2007−263963A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−85200(P2007−85200)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】