説明

低刺激性の湿潤性スルホスクシネートクレンジング組成物

エトキシスルホスクシネート界面活性剤と両性界面活性剤との組合せを基剤とし、極めて低刺激性でありながら使用特性および経済性は低下しない頭髪および皮膚の洗浄組成物が記載されている。長鎖アルキルエトキシスルホスクシネートと中鎖アルキルエトキシスルホスクシネートとの混合物を使用し、長鎖成分が中鎖成分の全重量を基準として約0.1%−約6%のレベルで組成物中に存在するのが望ましいことが知見された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、望ましい使用特性、例えば、望ましい起泡性を有しており、頭髪および皮膚に優れた湿潤効果およびコンディショニング効果を与え、また、貯蔵安定性である低刺激性クレンジング組成物である。
【背景技術】
【0002】
頭髪および皮膚に低刺激性であり、健康な潤いのある髪や肌につながる官能特性を消費者に実感させるクレンジング組成物の人気は近年、益々高くなっている。
【0003】
このようなクレンジング組成物の基剤としては様々な低刺激性の界面活性剤系が提案されたが、一般的に、組成物の低刺激性と潤沢な泡の発生能力とは相反する特性である。従って、低刺激性の界面活性剤を使用するときは起泡不足を補うために配合業者はしばしば界面活性剤の全含量を増やす。これは組成物の経済性に不利な影響を与えるばかりか、頭髪および皮膚に存在するタンパク質と相互作用する界面活性剤の能力は他の要因に加えて界面活性剤の全濃度に左右されるので、組成物の低刺激性が損なわれる。さらに、高濃度の界面活性剤は、湿潤性シャンプー組成物の望ましい添加成分である頭髪および皮膚の不溶性コンディショニング剤の効率的な配給を妨害する。
【0004】
従って、頭髪および皮膚に低刺激性であり、しかも、組成物中で過度のレベルの界面活性剤の使用を要せずに潤沢な泡を効率的に発生でき、不溶性ヘアコンディショニング剤と極めて適合性である界面活性剤組成物が依然として要望されている。
【0005】
様々な低刺激性クレンジング組成物が研究され、ある種のアルキルエトキシスルホスクシネート界面活性剤と両性界面活性剤との二成分混合物を単独で使用するかまたはさらにアルキルエトキシスルフェートおよびその他の界面活性剤と組合せることによってきわめて効率的で低刺激性のシャンプーおよびスキンクレンジングの基剤を提供できることが知見された。しかしながらこれらの基剤は、極めてばらつきの多い予測し難い貯蔵安定性を有していた。いくつかの組合せは貯蔵中に極度に粘性になってゲル化することさえあり、消費者には受け容れ難かったが、同じ“表示”組成を有すると考えられる他の組合せは違う結果を示した。このような貯蔵不安定性を解決するために特に界面活性剤を比較的低レベルで使用したとき、いくつかの組成物では適格な粘度を得るための増粘が難しくなってしまった。
【0006】
広汎な試験および化学分析は、貯蔵中の異常な増粘の原因はスルホスクシネート界面活性剤と両性界面活性剤との加水分解生成物の相互作用であることを示した。さらに、起泡安定性および特に製品テキスチャーを改善するためには炭素原子数16個以上のアルキル鎖長を有しているアルキルエトキシスルホスクシネートを限定された量で含有させるのが有利であることが知見された。しかしながら長鎖アルキルスルホスクシネートをあまりにも多量に含有させると、特に高温貯蔵条件下で貯蔵安定性に顕著で重大な影響を与えることが知見された。これらの知見が、スルホスクシネート界面活性剤と両性界面活性剤とを併用するシャンプーおよびスキンクレンジング組成物の実用化への基盤となった。これらの組合せは、頭髪および皮膚のコンディショニング剤に極めて適合性の低刺激性組成物を起泡性を損なうことなく効率的かつ経済的に提供するという利点を有している。
【0007】
本文中に開示した組成物のこれらの利点およびその他の利点は本発明の記載から明らかになるであろう。
【0008】
以下の特許および刊行物を考察した:
国際特許WO93/25650は、アルキルポリグリコシドと、無機および有機の電解質から成るグループから選択された有効量の粘度調整剤とを含む高度に濃縮された(30−90%)界面活性剤濃縮物を開示している。カルボン酸およびそれらの塩が有機電解質として挙げられている。
【0009】
米国特許第4,668,422号は、アルキルポリグリコシドおよび両性界面活性剤を基剤とし場合によっては少量のアニオン性界面活性剤を含む組成物を記載している。塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムが増粘剤、すなわち、組成物の粘度を向上させる材料として開示されている。
【0010】
米国特許第4,839,098号は、本質的にアルキルグルコシドとジアルキルスルホスクシネートとから成る食器洗浄用液体洗剤を開示している。塩化アンモニウムが粘度調整剤として開示されている。
【0011】
米国特許第6,165,454号は、アニオン性界面活性剤と水不溶性シリコーンとアクリル系安定剤とを含むヘアケア製品の低エネルギー製造方法を開示している。
【0012】
米国特許第6,306,805号は、カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤と架橋用界面活性剤とを含む界面活性剤組成物を開示している。
【0013】
本発明は公知技術の欠点の改善を追求する。解決すべき1つまたは複数の問題のうちに貯蔵不安定性が含まれている。
【発明の開示】
【0014】
本発明は、頭髪および皮膚に低刺激性であり、優れた起泡性を有しており、また必要な界面活性剤の全含量が比較的低いという点で極めて効率的でもある組成物を提供する。
【0015】
より具体的に、低刺激性の水性組成物は、
i)炭素原子数約10−約14の平均アルキル鎖長および約1−約5の平均エトキシル化度を有している中鎖アルキルエトキシスルホスクシネートと、
ii)両性界面活性剤と、
iii)炭素原子数約16−約18の平均アルキル鎖長を有している長鎖アルキルエトキシスルホスクシネートと、
を含み、長鎖アルキルエトキシスルホスクシネート成分(iii)が中鎖アルキルエトキシスルホスクシネート成分(i)の全重量を基準として約0.1%−約6%のレベルで組成物中に存在する。
【0016】
本発明の第二の好ましい実施態様では、中鎖スルホスクシネート/長鎖スルホスクシネート/両性界面活性剤の三成分混合物をさらに、好ましくはアルキルエトキシスルフェートを少なくとも1種類の界面活性剤として含有している1種類または複数の追加のアニオン性界面活性剤と組合せる。
【0017】
本文中に使用した%または重量%は、考察の対象である組成物または配合剤(component)の全重量に比較した成分の重量%を表す。
【0018】
処理実施例および比較実施例を除いて、または、他の明白な指示のある場合を除いて、本明細書中の材料の量、反応の条件、材料の物理的特性および/または使用を示すすべての数値は“約”という用語によって修飾されていると理解されたい。異なる指定がなければすべての量は最終組成物の重量%である。
【0019】
何らかの濃度範囲を特定するときは個々の上限濃度が個々の下限濃度に対応することに注目されたい。
【0020】
明確さを期して、“含む”という用語は“包含する”を意味しており、“から成る”または“から構成された”を必ずしも意味しないと定義しておく。言い換えると、段階または選択肢を網羅的に列挙する必要はない。
【0021】
本発明はヒトの頭髪および皮膚の清浄化に適した低刺激性組成物に関する。組成物は、界面活性剤系、および、場合によっては存在する様々な補助剤やヘアケアおよび/またはスキンケア用添加剤を含む。これらの成分について以下に詳細に説明する。
【0022】
界面活性剤系
界面活性剤系は、2つのクラスの必須界面活性剤の組合せから構成される。一方のクラスはアルキルエトキシスルホスクシネートアニオン性界面活性剤を含み、他方のクラスは両性界面活性剤を含む。
【0023】
アルキルエトキシスルホスクシネートアニオン性界面活性剤は好ましくは一般式:
【0024】
【化1】

を有している半エステルである。式中の、Rは直鎖状または分枝状のアルキル基であり、Xは平均エトキシル化度を表す数で、約1−約5であり、MおよびM’は互いに同じかまたは異なる一価のカチオンである。好ましいカチオンは、ナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または、モノエタノールアンモニウムイオンもしくはトリエタノールアンモニウムイオンのようなアルカノールアンモニウムイオンである。
【0025】
大量の中鎖アルキルエトキシスルホスクシネートと少量の長鎖アルキルエトキシスルホスクシネートとから成るアルキルエトキシスルホスクシネートの混合物を使用するのが有利であることが意外にも知見された。
【0026】
本文中にRMCで示す中鎖アルキルエトキシスルホスクシネートは、直鎖状または分枝状アルキル鎖が炭素原子数約10−約14の平均鎖長を有しているスルホスクシネートであると定義する。
【0027】
本文中にRLCで示す長鎖アルキルエトキシスルホスクシネートは、直鎖状または分枝状アルキル鎖が炭素原子数約16−約18の平均鎖長を有しているスルホスクシネートであると定義する。
【0028】
組成物中に存在する長鎖アルキルエトキシスルホスクシネート成分のレベルは、中鎖アルキルエトキシスルホスクシネートの全重量を基準として約0.1%−約6%のレベル、好ましくは約0.2%−約5%のレベル、最も好ましくは約0.3%−約5%のレベルでなければならない。長鎖スクシネートのレベルが中鎖スルホスクシネートに対して約0.1%という下限値よりも低いと、初期粘度の向上および起泡安定性の改善に有効な結果が得られない。対照的に、長鎖スクシネートのレベルが中鎖スルホスクシネートに対して約5%という上限値よりも高いと、長期間貯蔵中、特に高温貯蔵中に粘度が許容できないほど増加し、貯蔵後粘度を初期粘度に維持することができない。
【0029】
“初期粘度”という用語は、組成物を調製し平衡に達するまでに十分に長い時間を室温(約25−27℃)で貯蔵した後の組成物の粘度を表す。一般には、初期粘度を記録する前にサンプルを一夜(15−24時間)平衡させる。
【0030】
“貯蔵後粘度を初期粘度に維持する”という表現は、組成物を正常に使用している素人が観察して貯蔵後の組成物の粘度が明らかな違いを生じていないことを意味する。このレベルの粘度“維持”を達成するためには、一般には貯蔵後の粘度が初期値の約75%以下しか変化(すなわち増加)しないこと、好ましくはその初期値の約65%以内であることが要求される。従って、長鎖スルホスクシネートのレベルは、貯蔵不安定性の上限閾値を超過しないで所望の初期粘度が得られるように選択される。しかしながら正確なレベルは、使用される具体的な組成物次第である。例えば、中鎖スルホスクシネートの全存在量が比較的少ない場合(例えば組成物の2−3重量%)には、長鎖スルホスクシネートをもっと高いレベルで使用できる。
【0031】
公知のように、長期貯蔵安定性の1つの指標として、被験組成物をより高い温度に暴露する加速貯蔵試験を利用するのが便利である。本発明の場合には、組成物が49℃で最低約4週間、最も好ましくは最低約11週間貯蔵された後でその粘度を維持しているのが好ましい。
【0032】
特に好ましい中鎖アルキルエトキシスルホスクシネートはlaurethスルホスクシネートとしても知られたラウロイルエトキシスルホスクシネートであり、特に好ましい長鎖スルホスクシネートはパルミトイルエトキシスルホスクシネートである。
【0033】
組成物中に存在する中鎖アルキルスルホスクシネート界面活性剤のレベルは、組成物の約1−約20重量%、好ましくは約1−約10重量%、最も好ましくは組成物の約1.5−約7重量%でよい。
【0034】
ときには、適切な鎖長のアルコールエトキシレートの組合せからアルキルエトキシスルホスクシネートを合成することによって中鎖スルホスクシネートと長鎖スルホスクシネートの望ましい混合物を製造するのが便利である。この場合、得られるアルキルエトキシスルホスクシネート混合物を分析して、中鎖種と長鎖種とが所望の比で存在することを確認できる。発明者らは標準液体クロマトグラフィーを質量分析デテクタと共に使用し、この分析を行った。より具体的には、Finnigan LCQイオントラップスペクトロメーター(エレクトロスプレーイオン化)に結合した水−メタノール勾配溶出用オクタデシルシランカラムを用いる標準逆相HPLCが好適であることを知見した。
【0035】
界面活性剤系の第二の必須成分は、両性界面活性剤である。
【0036】
特に好ましい両性界面活性剤は、以下の一般化学式:
【0037】
【化2】

を有しているベタイン界面活性剤である。式中のR1はアルキルまたはアルキルアミドアルキル基を表す。いずれの場合にもアルキル基は炭素原子数8−18、好ましくは10−16、最も好ましくは10−14を有している分枝状または直鎖状アルキル基でよい。入手可能なベタインは、オレイルベタイン、カプリルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、イソステアリルアミドプロピルベタインおよびココイミドアゾリニウムベタインである。
【0038】
特に好ましいベタインは、ラウリルまたはココベタイン、および、ラウリルまたはココアミドプロピルベタインである。“ラウリル”という用語は、主として鎖長C12の脂肪酸を表し、ココという用語は鎖長C12およびC14の脂肪酸の混合物を表す。
【0039】
第二のタイプの適切な両性界面活性剤は、ヒドロキシスルタイン(ヒドロキシプロピルスルホネート基を有しているスルホベタインのCTFA名称)であり、一般には第三級アミンとエピクロロヒドリンおよび亜硫酸水素塩との反応によって形成される。これらは一般式:
【0040】
【化3】

を有しており、式中のR1はアルキルまたはアミドアルキル基である。いずれの場合にもアルキル基は炭素原子数8−18、好ましくは10−16、最も好ましくは10−14を有している分枝状または直鎖状アルキル基でよい。市販のスルタインは、ラウリルヒドロキシスルタイン、タロウアミドプロピルヒドロキシスルタイン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、および、アルキルエーテルヒドロキシプロピルスルタインである。
【0041】
好ましいヒドロキシスルタインは、ココおよびラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタインおよびココアミドプロピルヒドロキシスルタインである。
【0042】
別のクラスの両性界面活性剤は、イミダゾリンとクロロ酢酸との反応によって形成される。このクラスは、以下に示す一般式をもつ脂肪アンホアセテートおよび脂肪アンホジアセテートを含む。これらの材料は正式にはそれぞれアンホグリシネートおよびアンホカルボキシグリシネートとして知られていた:
【0043】
【化4】

式中のRは炭素原子10−16個を有している直鎖状または分枝状アルキル鎖であり、R2はHであるかまたは−CH2−COOHである。
【0044】
好ましいアンホアセテートはココおよびラウロアンホアセテートであり、好ましいアンホジアセテートはラウロおよびココアンホジアセテートである。
【0045】
上記ほど好ましくはないその他の両性界面活性剤は、C10−C16脂肪アンホカルボキシプロピオネートおよびC10−C16脂肪アンホプロピオネートである。
【0046】
別のクラスの両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミンオキシドのような脂肪アミンオキシドである。これらの界面活性剤は様々な研究者によって“非イオン性” 界面活性剤、“カチオン性” 界面活性剤、および、“両性” 界面活性剤に分類されている。N−オキシド基は約9のpK値を有している弱塩基である。すなわち、pH5では分子の約50%が正電荷をもつN−OH種として存在するが、pH6.5では正電荷をもつ種として存在するのが約3%にすぎない。本発明の目的には、脂肪アミンオキシドを両性界面活性剤に分類する。
【0047】
組成物中に存在する両性界面活性剤のレベルは、組成物の約1−約20重量%、好ましくは約1−約10重量%、最も好ましくは組成物の約1.5−約5.5重量%の範囲でよい。
【0048】
中鎖スルホスクシネート界面活性剤対両性界面活性剤の比は、好ましくは約2:1−約1:2、より好ましくは約1.5:1−約1:1.25、最も好ましくは約1.5−約1:1の範囲である。
【0049】
組成物の低刺激性を著しく損なうことがない限り、ヒトの頭髪および皮膚を清浄化するための適当な種々の界面活性剤を任意に組成物に含有させ得る。これらは、アシルイセチオネート、アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪サルコシネート、アルキルタウレートおよび種々のアミノ酸主体のアミドカルボキシレートのようなアニオン性界面活性剤;アルコールエトキシレート、脂肪アミド、アルキル(ポリ)多糖類、および、アルキルグルカミドのような非イオン性界面活性剤;および、長鎖脂肪アミンおよび長鎖脂肪エトキシル化アミンのようなカチオン性界面活性剤を含む。
【0050】
特に好ましい任意の界面活性剤は一般式:
R3−(O−CH−CH−)−OSO
を有しているアルキルエトキシスルフェートであり、式中のR3は直鎖状または分枝状アルキル鎖を有しているアルキル基である。このアルキル基は、炭素原子数8−20、好ましくは10−18、最も好ましくは12−15を有している。“X”は界面活性剤1分子あたりの平均エチレンオキシド含量を表し、概して約0.5−約10、好ましくは約0.5−約5、最も好ましくは約0.5−約3.5の範囲である。
【0051】
“M”はカチオン、好ましくは一価のカチオン、最も好ましくはナトリウム、アンモニウムまたはアルカノールアンモニウムイオンを表す。
【0052】
アルキルエトキシスルフェートは、組成物の全重量を基準として約1%−約25%、好ましくは約4%−約12%、最も好ましくは約4%−約8%の範囲の量で組成物中に存在できる。
【0053】
本発明の組成物の界面活性剤の全含量は、約1−約30重量%の範囲でよい。しかしながら、組成物が目的とする最終用途が消費者用の頭髪および皮膚の清浄化製品であって濃縮物ではないので、界面活性剤含量は好ましくは約3−約25%、最も好ましくは約4%−約15%である。
【0054】
任意成分
緩衝剤
組成物のpHは望ましくは約5−約7、好ましくは約6−約6.5、最も好ましくは約6.1−約6.4の範囲である。
【0055】
また、pH変化の影響を和らげる組成物の酸緩衝能が組成物の物理的貯蔵安定性を改善することが知見されたので、組成物が適正な酸緩衝能を持つようにするのが好ましい。
【0056】
酸緩衝能は、1pH単位だけpHを低下させるために1リットルの組成物に添加できる酸(例えば、プロトンまたはヒドロニウムイオン)のモル数であると定義される。酸緩衝能は、pH電極を使用し被験化合物(一般に10倍希釈物)をHClのような強酸の標準溶液で滴定することによって測定できる。実際、組成物の酸緩衝能は、組成物1リットルあたりヒドロニウムイオン少なくとも約0.01モル、好ましくは少なくとも約0.02モル、最も好ましくは少なくとも約0.03モルであることが知見された。
【0057】
当業界でよく知られているように、様々な酸/塩基対を緩衝系として使用できる。特に好適な緩衝剤は、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムで中和したクエン酸および水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムで中和したポリアクリル酸である。
【0058】
貯蔵安定剤
スルホコハク酸に加えて、ある種の可溶性カチオンを供給する電解質もまた高温貯蔵中のスルホスクシネート界面活性剤/両性界面活性剤の安定性を改善できることが知見された。これらの電解質の添加はまた、貯蔵中の組成物のスルホスクシネートおよび両性界面活性剤混合物の異常特性と考えられる不適格な粘度増加を防ぐのに役立つ。このような電解質は本発明の有用な任意成分である。
【0059】
本発明に使用できる好ましい電解質は、液体中で十分に解離しその構成イオンが完全に解離する電解質である。従って、好ましい電解質は様々な種のように組成物の他の成分と共に沈降することはない。
【0060】
好ましい電解質は、本発明の組成物に高度に可溶性であり、必要なカチオンの供給を最も効率的に行うことができ、低刺激性、pHまたは他の配合成分の溶解度に逆効果を与えることのない電解質である。
【0061】
一価の無機イオンの水溶性塩、特にアンモニウム塩、ナトリウム塩が特に好ましく、前二者ほどではないがカリウム塩も好ましい。これらは塩化物、硫酸塩、炭酸塩を包含し、また、有機弱酸の種々の塩、例えば、クエン酸塩、グリコール酸塩、コハク酸塩およびアクリル酸塩/ポリアクリル酸塩およびそれらの混合物を包含する。
【0062】
電解質のアニオンは好ましくは、組成物に使用されたレベルでそれ自体が水中でミセル化できる界面活性剤分子であってはならない。ミセル化が生じると溶液中のアニオンの利用効率が大幅に低下する。従って、アニオンが有機分子であるとき、該分子が約5個よりも多い炭素原子をもつ未置換炭化水素鎖を有していないのが好ましい。
【0063】
アンモニウムおよびナトリウムの塩化物、クエン酸塩およびポリアクリル酸塩とそれらの混合物が最も好ましい。
【0064】
組成物の粘度を初期値(この用語の意味は上述した)に維持するために必要な電解質の正確なレベルは、組成物の成分とそのレベルに依存する。特に、カチオンのレベルは、組成物に使用したスルホスクシネート界面活性剤の全重量パーセントに依存する。電解質のレベルは、組成物の約1重量%以上、好ましくは少なくとも約1.5重量%、最も好ましくは少なくとも約2重量%でなければならない。
【0065】
コンディショニング剤
本発明の組成物はまた、シリコーンコンディショニング剤および非シリコーンコンディショニング剤から選択された1種類または複数のコンディショニング剤を含有できる。
【0066】
コンディショニング剤は、小滴または微粒の形態で組成物中に存在し、完全配合製品中に実質的に均一に分散できるならば、実際には液体、半固体もしくは固体のいずれでもよい。油性コンディショニング剤の小滴は好ましくは液状または半固体状の小滴として、より好ましくは液滴として存在する。
【0067】
i)シリコーンコンディショニング剤
本発明の組成物はさらに、頭髪および皮膚にコンディショニング効果を与えるために有効な濃度でシリコーンコンディショニング剤を含み得る。このような濃度は、シャンプー組成物の約0.01−約5重量%、好ましくは約0.1−約5重量%、最も好ましくは約0.1−約3重量%の範囲である。
【0068】
シリコーンコンディショニング剤は好ましくは水不溶性で不揮発性のシリコーンであるが、水溶性で揮発性のシリコーンも使用できる。典型的にはシリコーンは、小滴と呼ばれる分散した不溶性粒子の独立の不連続相の形態となるように組成物に混合される。典型的にはこれらの小滴を、場合によっては存在する後述のような懸濁化剤によって懸濁させる。シリコーンコンディショニング剤相は、流体シリコーンコンディショニング剤を含んでもよく、また、流体シリコーンの付着効率を改善するためまたは光沢を増すため(特に、高屈折率のシリコーンを使用する場合)にシリコーン樹脂のような他の成分を含むこともできる。
【0069】
適当なシリコーンは、ポリジオルガノシロキサン、特に、CTFA名称でジメチコーンと呼ばれるポリジメチルシロキサンを包含する。CTFA名称でジメチコノールと呼ばれるヒドロキシル末端基をもつポリジメチルシロキサンも本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)に使用するために適当である。
【0070】
例えば国際特許WO96/31188に記載されているような多少の架橋度を有しているシリコーンガムまたは樹脂も本発明の組成物に使用するのに適している。頭髪に使用する場合、これらの材料は、髪に腰、ボリュームおよびスタイリング適性を与えることができ、また、濡れた髪および乾いた髪の双方にすぐれたコンディショニング効果を与える。このような材料の例は、General ElectricからGE SS4230およびGE SS4267として提供されている材料である。市販のシリコーン樹脂は一般には低粘度の揮発性または不揮発性のシリコーン流体に溶解した形態で提供されているが、プレフォームドエマルションとして使用することもできる。
【0071】
他方の種類である不揮発性、不溶性シリコーン流体コンディショニング剤は少なくとも約1.46、好ましくは少なくとも約1.48、より好ましくは少なくとも約1.52、もっとも好ましくは少なくとも約1.55の屈折率をもつ高屈折率シリコーンである。ポリシロキサン流体の屈折率は、一般には約1.70未満、典型的には約1.60未満であろう。この場合のポリシロキサン“流体”は、油およびガムを含む。高屈折率ポリシロキサン流体は、屈折率を上記のような所望のレベルまで増加させるために十分な量のアリール含有置換基を含有している。
【0072】
乳化シリコーン自体(エマルションでなくまた頭髪または皮膚のコンディショニング用最終組成物でもない)の粘度は、典型的には少なくとも10,000cst、好ましくは少なくとも500,000cst、最も好ましくは少なくとも600,000cst、理想的には少なくとも1,000,000cstである。配合容易性の観点から粘度が10,000,000cstを超過しないのが好ましい。
【0073】
本発明の組成物に使用するための乳化シリコーンは、典型的には約0.1μm−約100μmの平均シリコーン小滴サイズを有するであろう。シャンプー用途では、もっと小さいシリコーン小滴サイズが好ましく、一般には30μm未満、好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満である。逆に、身体洗浄用には、約50μmから100μm以上までの範囲のもっと大きい小滴サイズを使用できる。
【0074】
本発明に使用するための適当なシリコーンエマルションはまた、慣用のまたはマイクロエマルションのようなプレ乳化形態で市販されている。適当なプレフォームドエマルションの例は、エマルションDC2−1766、DC2−1784およびマイクロエマルションDC2−1865、DC2−1870であり、これらはいずれもDow Corningから入手できる。これらはすべてジメチコノールのエマルション/マイクロエマルションである。架橋シリコーンガムもプレ乳化形態で入手でき、これは配合容易という利点を有している。好ましい例は、Dow CorningからDC X2−1787として入手可能な材料であり、これは架橋したジメチコノールガムのエマルションである。別の好ましい例は、Dow CorningからDC X2−1391として入手可能な材料であり、これは架橋したジメチコノールガムのマイクロエマルションである。
【0075】
国際特許WO99/53889には、乳化シリコーンとマイクロ乳化シリコーンとをシャンプー組成物で併用すると界面活性剤を基剤とするシャンプー組成物中のシリコーンのコンデイショニング性能が有意に強化されると報告されている。乳化シリコーン粒子対マイクロ乳化シリコーン粒子の重量比は4:1−1:4の範囲が適当である。好ましくは乳化シリコーン粒子対マイクロ乳化シリコーン粒子の比が3:1−1:3、より好ましくは2:1−1:1の範囲である。
【0076】
本発明のシャンプーおよびコンディショナーに特別に含有させるのが好ましい別のシリコーンのクラスは、アミノ官能性シリコーンである。“アミノ官能性シリコーン”という用語は、少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミン基を含有しているか、または、第四アンモニウム基を含有しているシリコーンを意味する。これらは典型的には約0.1−約8.0モル%、好ましくは約0.1−約5.0モル%、最も好ましくは約0.1−約2.0モル%の範囲のモル%アミン官能価を有するであろう。
【0077】
適当なアミノ官能性シリコーンの例は、CTFA名称で“アモジメチコーン”と呼ばれるポリシロキサン、“トリメチルシリルアモジメチコーン”と呼ばれるアミノ官能性シリコーン、General Electric Specialty Materialsから入手できる(以前はOSIから入手できた)SILSOFT TONEのようなジメチコーンとポリアルキレンオキシドとのアミノ官能性コポリマー、および、欧州特許公開EP−A−0530974に記載された第四級シリコーンコポリマーである。
【0078】
アミノ官能性シリコーンの粘度は特に厳密に限定されることはなく、約100−約500,000cstの範囲が適当である。
【0079】
また、非イオン性および/またはカチオン性界面活性剤を用いたアミノ官能性シリコーン油のエマルションも適当である。アミノ官能性シリコーンのプレフォームドエマルションもDow CorningおよびGeneral Electricのようなシリコーン油の供給業者から入手可能である。具体的な例は、DC929カチオン性エマルション、DC939カチオン性エマルション、および、非イオン性エマルションDC2−7224、DC2−8467、DC2−8177およびDC2−8154(すべてDow Corning製)である。マイクロ乳化したアミノシリコーンも極めて好適である。
【0080】
“混質性”頭髪(すなわち、毛根が脂性で毛先が乾燥性)のトリートメント用シャンプー組成物の場合、本発明の組成物中にアミノ官能性シリコーンと非アミノ官能性シリコーンとを併用するのが好ましい。このような場合、アミノ官能性シリコーン対非アミノ官能性シリコーンの重量比は、典型的には1:2−1:20、好ましくは1:3−1:20、より好ましくは1:3−1:8の範囲であろう。
【0081】
本発明の組成物には不揮発性シリコーンが好ましいが、髪のつやのような追加特性を付与する揮発性シリコーンも適当である。揮発性シリコーンコンディショニング剤は好ましくは大気圧下で約220℃未満の沸点を有している。揮発性シリコーンコンディショナーは、組成物の全重量を基準として0%−約3%、好ましくは約0.25%−約2.5%、より好ましくは約0.5%−約1.0%の量で存在する。適当な揮発性シリコーンの例は、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシクロシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、シクロメチコーン流体、例えば、Dow Corning Corporationから市販されているポリジメチルシクロシロキサンであるが、これらに限定はされない。
【0082】
上記ほど好ましくはないがやはり適当である水溶性不揮発性シリコーンの非限定例は、セチルトリエチルアンモニウムジメチコーンコポリオールフタレート、ステアラルコニウムジメチコーンコポリオールフタレート、ジメチコーンコポリオールおよびそれらの混合物である。
【0083】
特に好ましいシリコーンコンデイショニング剤を以下に挙げる:ジメチコノールエマルション、60%有効成分、Dow Corning製、DC1785(平均粒度約1μm、例えばD32);ジメチコノールエマルション、40%有効成分、Dow Corning製、DC1786(平均粒度約0.3μm);ジメチコノールエマルション、50%有効成分、Dow Corning製、DC1788(平均粒度約0.3μm);アモジメチコーンエマルション、35%有効成分、Dow Corning製、DC939(平均粒度約0.3μm);アモジメチコーンマイクロエマルション、General Electric製、SME253(平均粒度約20nm);および、シリコーンガム−アモジメチコーンブレンド、Basildon Silicones製、PCP2056S(平均粒度約1μm)。
【0084】
シリコーンを含む組成物中にはシリコーンの懸濁化剤も存在するのが好ましい。適当な懸濁化剤は独立の項目で後述する。
【0085】
ii)非シリコーン油性コンディショニング成分
本発明の組成物はまた、分散した不揮発性の水不溶性油性コンディショニング剤を含有し得る。“水不溶性”という表現は、250℃、0.1%(w/w)の濃度で材料が水に可溶性でないこと(蒸留されるかまたは等価)を意味する。
【0086】
油性コンディショニング成分のD3,2平均小滴サイズは適正には少なくとも0.4μm、好ましくは少なくとも0.8μm、より好ましくは少なくとも1μmである。
【0087】
油性または脂肪性材料またはそれらの混合物は本発明の組成物中の好ましいコンディショニング剤である。適当な油性または脂肪性材料は、炭化水素油、脂肪エステルおよびそれらの混合物から選択される。
【0088】
炭化水素油は、環状炭化水素、直鎖状脂肪族炭化水素(飽和または不飽和)、および、分枝状脂肪族炭化水素(飽和または不飽和)を含む。直鎖状炭化水素油は、好ましくは約12−約30個の炭素原子を含有するであろう。分枝状炭化水素油は、もっと多い数の炭素原子を含有でき、典型的にはそうである。また、C2−C6アルケニルモノマーのようなアルケニルモノマーの高分子炭化水素も適当である。これらのポリマーは直鎖状または分枝状のポリマーである。直鎖状ポリマーの長さは典型的には比較的短く、一般に直鎖状炭化水素について上述したような炭素原子総数を有している。分枝状ポリマーは実質的にもっと長い鎖長を有している。適当な炭化水素油の具体例は、パラフィン油、鉱油、飽和および不飽和のドデカン、飽和および不飽和のトリデカン、飽和および不飽和のテトラデカン、飽和および不飽和のペンタデカン、飽和および不飽和のヘキサデカンおよびそれらの混合物である。これらの化合物およびもっと長い鎖長の炭化水素の分枝状異性体も使用できる。代表的な分枝状異性体は、ペルメチル置換異性体のような高度に枝分かれした飽和または不飽和のアルカン、例えば、2,2,4,4,6,6,8,8−ジメチル−10−メチルウンデカンおよび2,2,4,4,6,6−ジメチル−8−メチルノナンのようなヘキサデカンおよびエイコサンのペルメチル置換異性体、イソブチレンとブテンとのコポリマーのようなポリブテンである。特に好ましい炭化水素油は、様々な銘柄の鉱油、および、特にスキンケア用途のペトロラタムである。
【0089】
適当な脂肪エステルの特徴は、少なくとも10個の炭素原子を有することであり、脂肪酸またはアルコール鎖に由来のヒドロカルビル鎖をもつエステル、例えば、モノカルボン酸エステル、多価アルコールエステル、並びに、ジ−およびトリカルボン酸エステルを含む。
【0090】
モノカルボン酸エステルは、式R’COORのアルコールおよび/または酸のエステルを含み、式中のR’およびRは独立にアルキルまたはアルケニルラジカルを表し、R’およびRに存在する炭素原子の総和は少なくとも10、好ましくは少なくとも20である。
【0091】
カルボン酸のジ−およびトリアルキルおよびアルケニルエステルも使用できる。これらは例えば、C4−C8ジカルボン酸のエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘキサン酸およびオクタン酸のC1−C22(好ましくはC1−C6)エステルを包含する。
【0092】
アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールのモノ、ジおよびトリエステルのような多価アルコールエステルも本発明の組成物に使用するのに適している。特に好ましい脂肪エステルは、モノ−、ジ−およびトリグリセリド、より具体的にはグリセロールとC1−C22カルボン酸のような長鎖カルボン酸とのモノ−、ジ−およびトリエステルである。これらの種類の様々な材料が、ココヤシ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ピーナツ油、ラノリンおよびダイズ油のような植物性および動物性の油脂から得られる。合成油はトリオレインおよびトリステアリングリセリルジラウレートを包含する。
【0093】
好ましい材料の具体例は、カカオ脂、パームステアリン、ヒマワリ油、ダイズ油およびココヤシ油である。
【0094】
油性または脂肪性の材料は適正には0.05%−10%、好ましくは約0.2%−約5%、より好ましくは約0.5%−約3%のレベルで存在する。
【0095】
カチオン性ポリマー
場合によっては、不揮発性の水不溶性シリコーンの付着を増進するためおよび適切なコンディショニング効果を発揮するためにカチオン性ポリマーが使用される。組成物中のカチオン性ポリマーのレベルは、約0.01−約2%、好ましくは約0.1−約0.6%、最も好ましくは約0.15−約0.45%の範囲にできる。
【0096】
カチオン性コンディショニングポリマーは、第四アンモニウムのようなカチオン性窒素含有基またはプロトン化アミノ基を含有する。カチオン性プロトン化アミンは、シャンプー組成物の個々の種および選択pH次第で第一級、第二級または第三級アミン(好ましくは、第二級または第三級)であろう。カチオン性コンディショニングポリマーの平均分子量は、約10,000,000−約5,000である。ポリマーはまた、約0.2meq/gm−約7meq/gmの範囲のカチオン電荷密度を有している。
【0097】
コンディショニングポリマーが水、組成物または組成物のコアセルベート相に可溶性または易分散性であり、対イオンが組成物のアニオン性必須成分と物理的および化学的に適合性であり、製品の性能、安定性または美的特性を不当に損なうことがない限り、カチオン性コンディショニングポリマーと共にアニオン性対イオンを使用できる。このような対イオンの非限定例はハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、硫酸塩およびメチル硫酸塩である。
【0098】
カチオン性ポリマーのカチオン性窒素含有部分は、一般にはポリマーの全部のモノマー単位またはより典型的にはいくつかのポリマー単位に置換基として存在している。従って、組成物に使用するためのカチオン性ポリマーは、第四アンモニウムまたはカチオン性アミン置換モノマー単位のホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを、場合によっては本文中でスペーサーモノマーと呼ぶ非カチオン性モノマーと共に含む。このようなポリマーの非限定例は、CTFA Cosmetic,Ingredient Dictionary, 6th edition、Wenninger,JA and McEwen Jr,GN編(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,1995)に記載されており、該文献の記載内容は参照によって本発明に含まれる。組成物に使用するための特に好適なカチオン性ポリマーは、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体およびカチオン性グアーのような多糖ポリマーである。
【0099】
カチオン性セルロースポリマーの例は、Amerchol Corp.(Edison,NJ)からPOLYMER JRおよびLRシリーズのポリマーとして入手できるトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、業界(CTFA)でポリクオタニウム10と呼ばれている。別のタイプのカチオン性セルロースは、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドで処理したヒドロキシエチルセルロースの高分子第四アンモニウム塩であり、業界(CTFA)でポリクオタニウム24と呼ばれている。これらの材料は、Amerchol Corp.(Edison,NJ)から商品名Polymer LM−200として入手できる。
【0100】
特に好ましいカチオン性ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドのようなカチオン性グアーガム誘導体であり、その具体例は、Rhodia Corporationから市販されているJAGUARシリーズ(例えば、JAGUAR EXCELまたはJAGUAR C13S)である。別の適当なカチオン性ポリマーは、第四窒素含有セルロースエーテルであり、米国特許第3,962,418号にそのいくつかの例が記載されている。該米国特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。その他の適当なカチオン性ポリマーは、エーテル化セルロース、グアーおよびデンプンのコポリマーであり、米国特許第3,958,581号にそのいくつかの例が記載されている。該米国特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0101】
場合によっては存在する適当な合成カチオン性ポリマーの非限定例は、カチオン性プロトン化アミンまたは第四アンモニウム官能価を有しているビニルモノマーと水溶性スペーサーモノマー、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキルおよびジアルキルアクリルアミド、アルキルおよびジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルカプロラクトンまたはビニルピロリドンとのコポリマーである。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC−Cアルキル基、より好ましくはC−Cアルキル基を有している。別の適当なスペーサーモノマーは、ビニルエステル、ビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解によって生成)、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールである。
【0102】
場合によっては存在するその他の適当な合成ポリマーは、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリロイアリルアンモニウム塩、ジアリル第四アンモニウム塩、および、ピリジニウム、イミダゾリウムおよび第四級化ピロリドンのような環状カチオン性窒素含有基を有しているビニル第四アンモニウムモノマー、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリドン塩で置換されたビニル化合物である。これらのモノマーのアルキル部分は、好ましくはC、CまたはCアルキルのような低級アルキルである。
【0103】
場合によっては存在するまた別の適当なシャンプー組成物用合成ポリマーは、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば、塩化物塩)とのコポリマー(業界でCosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,“CTFA”ではポリクオタニウム−14と呼ばれている)、例えば、BASF Wyandotte Corp.(Parsippany,NJ.J.S.A)から市販されている商品名LUVIQUAT(例えば、LUVIQUAT FC370);1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー(業界でCTFAによってポリクオタニウム−11と呼ばれる)、例えば、ISP Corporation(Wayne,NJ,U.S.A.)から市販されている商品名GAFQUAT(例えば、GAFQUAT 755N);カチオン性ジアリル第四アンモニウム含有ポリマー、例えば、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマーおよびコポリマー、業界(CTFA)ではそれぞれポリクオタニウム6およびポリクオタニウム7と呼ばれている;炭素原子数3−5の不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノ−アルキルエステルの無機酸塩、などである。
【0104】
増粘剤および懸濁化剤
本発明の組成物はさらに、不溶性材料を確実に安定させる増粘剤/懸濁化剤を含んでいるのが好ましい。様々の材料を使用できる。これらは、膨潤性および会合性ポリマー、微細分割された結晶質または非晶質の無機および有機の網状結合形成材料、電解質およびそれらの組合せである。
【0105】
有機ポリマーは、参照によってその記載内容が本発明に含まれる米国特許第2,798,053号に記載されているポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸コポリマーのようなカルボキシビニルポリマーを含む。これらのポリマーの例は、NOVEONから入手可能なCARBOPOL934,940,941および956、Rohm and Haasから商品名ACRYSOLまたはACULYNで販売されているアルカリ膨潤性アクリルラテックスポリマーである。
【0106】
他の適当な懸濁化剤は、組成物の約0.3−約3重量%、好ましくは約0.4−約1.2重量%の範囲の濃度のキサンタンガムである。
【0107】
セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース)、グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーガム、デンプンおよびデンプン誘導体などの水溶性またはコロイド的に水溶性のポリマーのような、組成物にグル様粘度を与える他の適当な高分子懸濁化剤、および、その他の増粘剤、粘度変性剤、ゲル化剤なども組成物に使用し得る。これらの材料の混合物も使用できる。
【0108】
場合によっては存在する結晶質懸濁化剤は、アシル誘導体、長鎖アミンオキシドまたはそれらの組合せを含む。その濃度は、シャンプー組成物の約0.1−約5重量%、好ましくは約0.5−約3重量%の範囲である。シャンプー組成物中に使用するとき、これらの懸濁化剤は、結晶質形態で存在する。これらの懸濁化剤は、米国特許第4,741,855号に記載されている。該特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。これらの懸濁化剤は、好ましくは約16−約22個の炭素原子を有している脂肪酸のエチレングリコールエステルを含む。実例は、エチレングリコールステアレートであり、モノおよびジステアレートの双方を含むが、約7%未満のモノステアレートを含有するジステアレートが特に好ましい。他の適当な懸濁化剤は、脂肪酸、好ましくは約16−約22個の炭素原子、より好ましくは約16−18個の炭素原子を有している脂肪酸のアルカノールアミドを含む。その好ましい実例は、ステアリックモノエタノールアミド、ステアリックジエタノールアミド、ステアリックモノイソプロパノールアミドおよびステアリックモノエタノールアミドステアレートである。他の長鎖アシル誘導体は、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(例えば、ステアリルステアレート、セチルパルミテート、など);グリセリルエステル(例えば、グリセリルジステアレート)および長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル(例えば、ステアラミドジエタノールアミドジステアレート、ステアラミドモノエタノールアミドステアレート)などである。上記に挙げた好ましい材料に加えて、長鎖アシル誘導体、長鎖カルボン酸のエチレングリコールエステル、長鎖アミンオキシドおよび長鎖カルボン酸のアルカノールアミドも懸濁化剤として使用できる。例えば、C−C22の鎖を有している長鎖ヒドロカルビルをもつ懸濁化剤が考えられる。
【0109】
懸濁化剤として使用するための適当な長鎖アミンオキシドの例は、アルキル(C16−C22)ジメチルアミンオキシド、例えばステアリルジメチルアミンオキシドである。
【0110】
別の有用な結晶質懸濁化剤は、商品名THIXCIN Rで販売されているトリヒドロキシステアリンである。
【0111】
網状結合形成無機材料の非限定例は、クレーおよびシリカである。クレーの例は、ベントナイト、ヘクトライトおよびそれらの混合物から成るグループから選択されたスメクタイトクレーである。合成ヘクトライト(ラポナイト)クレーはしばしばクレーを増粘し得る電解質塩(アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、例えば、ハロゲン化物、アンモニウム塩および硫酸塩)と共に使用される。ベントナイトはコロイド状アルミニウムクレースルフェートである。シリカの例は、アモルファスシリカを含み、ヒュームドシリカ、沈降シリカおよびそれらの混合物を含む。
【0112】
会合性ポリマーは、単独でまたは界面活性剤ミセルと共に置換活性架橋を形成できる疎水性基を有しているポリマーである。会合性ポリマーの一例は、商品名PEMULENでNOVEONから販売されている疎水的に改質された架橋ポリアクリレートである。別の例は、疎水的に改質されたセルロースエーテルおよび疎水的に改質されたポリウレタンである。
【0113】
本発明の増粘剤および懸濁化剤の特に好ましいクラスは、疎水的に改質された水溶性非イオン性ポリオールである。本発明に使用するための適当な疎水的に改質された水溶性非イオン性ポリオールは、PEG120メチルグルコシドジオレエート(Amercholから商品名GLUCAMATE DOE 120で入手可能)、PEG−150ペンタエリトリチルテトラステアレート(Crodaから商品名CROTHIXで入手可能)、PEG−75ジオレエート(Kesscoから商品名PEG−4000DIOLEATEで入手可能)、および、PEG150−ジステアレート(Witcoから商品名WITCONAL L32で入手可能)である。
【0114】
ポリエチレングリコールの長鎖脂肪エステル、例えばPEG−150ステアレートが本発明に特に好ましい増粘剤および懸濁化剤である。PEG脂肪エステルは、単独使用もできるが、ある種の電解質と併用するとそれらの効果および効率が大幅に向上することが知見された。PEG−150ジステアレートと併用するための特に好ましい電解質は、クエン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムであり、これらは、界面活性剤の全濃度が低い組成物、例えば界面活性剤の全濃度が約15重量%である組成物に低レベルで含有させると適正な増粘効果を与える相乗的増粘系を形成する。
【0115】
上記の増粘剤および構造化剤は、単独でまたは混合物で使用でき、組成物の約0.1−約10重量%の量で存在し得る。
【0116】
美的および補助的成分
組成物が与える低刺激性およびヘアコンディショニング効果を妨害しない範囲で配合物に多種多様な任意成分を添加できる。これらの非限定例は、香料;高級脂肪酸およびアルコール、エトキシル化脂肪酸、固体エステル、真珠光“干渉顔料”例えばTiO2コーテッドマイカのような真珠光沢剤および乳白剤;色素、顔料、着色剤;メントールのような清涼剤;抗酸化剤およびキレート化剤のような貯蔵剤;エマルション安定剤;補助増粘剤;およびそれらの混合物である。
【0117】
補助的な頭髪および皮膚の有益物質
頭髪および頭皮の健康を増進するために本発明の組成物に様々な任意成分を含有させ得る。しかしながらこれらの成分は、組成物の低刺激性に整合するように選択する必要がある。見込まれる有益物質の非限定例は、コレステロール、セラミドおよび擬似セラミドのような脂質;合成または天然の炭化水素エステルおよびワックスのような補助的な非シリコーンヘアコンディショニング剤;グリセロールおよびソルビトールのような保湿剤;ピリチオン亜鉛およびトリクロサンのような抗菌剤;シンナメートおよびそれらの混合物のような日光遮蔽剤である。
【0118】
評価方法
配合物粘度測定プロトコル
6オンスのガラス瓶に入れたシャンプー標本を26.7℃に設定した水浴に配置した。26.7℃で1日間維持した後、シャンプー標本を取出して直ちに、RV4スピンドルの付いたブルックフィールド粘度計を使用し回転速度20rpmで粘度を測定した。粘度測定値を記録する前にスピンドルを20rpmで1分間回転させた。
【0119】
貯蔵安定性試験プロトコル
シャンプー標本を6オンスの瓶に入れ、貯蔵すべき時間を記入したラベルを各瓶に貼付した。シャンプー収容瓶を必要な貯蔵温度、例えば49℃に設定したオーブンに配置した。各々の瓶の貯蔵時間が経過すると、瓶を取出し、貯蔵したシャンプー標本の粘度を上述の配合物粘度測定プロトコルによって測定した。
【0120】
ゼイン溶解度In−Vitroアッセイ
ゼイン溶解度は低刺激性の単一方向性指標であり、界面活性剤原料、シャンプーおよびスキンクレンジング組成物の低刺激性を試験するために当業界で広く使用されている。ゼインは、界面活性剤に応答して皮膚のケラチンタンパク質と同様に膨潤し変性するタンパク質(トウモロコシに由来のアミノ酸のブレンド)である。この手順は、標準化試験条件下で所与の界面活性剤組成物によって溶解されたゼインの量が多いほど組成物の刺激性が高いという原理に基づいて開発された。ゼイン溶解度は、合理的な相関関係が証明されても、臨床検査または生物学的にもっと根拠のあるFluorescein Leakage In−Vitroアッセイに代替することはできない。従ってゼイン溶解度の主な用途は、最終的な刺激の見込みを適切に予測する初期スクリーニングである。使用した後述の試験条件下で1%未満のゼイン溶解度は低刺激性組成物の可能性を適切に表す指標であり、1%を上回るゼイン溶解度は組成物が眼に刺激性であることを適切に表す指標である。
【0121】
装置
化学天秤、100mlビーカー、撹拌棒、培地撹拌プレート、10mlシリンジ、20mlシンチレーションバイアル、慣用のオーブン、75℃に設定。
【0122】
手順
1.6.25gのシャンプーを計量し、100mlのビーカーに入れ、脱イオン水で50gに希釈する。
2.溶液を撹拌プレートに載せ、溶液が均質に見えるかまたは全サンプルが溶解するまで300rpm(撹拌プレートの目盛4に設定)で撹拌する。
3.溶液のpHを記録する。
4.シリンジを使用して6mlの溶液を取り出す。
5.0.45ミクロンのシリンジフィルターで溶液を濾過し、シンチレーションバイアルに集める。
6.バイアルに蓋をし、ブランクのラベルを貼る。ブランクは可溶物を補正するために必要である。
7.残りの溶液に2gのゼインを添加し、一定の撹拌速度(300rpm)で1時間平衡させる。10分間の撹拌後にゼインが完全にまたは殆ど溶解したならば、更に1gのゼインを追加する。以後、溶液中に浮遊する未溶解のゼインが観察されるようになるまで5−10分毎に1gのゼインを追加する。
8.一定速度で1時間撹拌後、溶液を5分間静置する。
9.シリンジを使用して6mlの上清溶液を取出し、0.45ミクロンのシリンジフィルターで濾過し、シンチレーションバイアルに集める。
10.バイアルに蓋をし、標本のラベルを貼る。
11.75℃に設定した慣用のオーブンを使用して双方の標本の不揮発分を測定する。
12.ゼインの溶解%を計算する。
【0123】
計算
ゼインの溶解%=標本の不揮発分%−ブランクの不揮発分%
【0124】
主観的起泡評価パネル
被験シャンプー組成物の全体的な起泡を、ヘアピースを使用する少なくとも10名の参加者から成る素人のパネルによって主観的に評価した。以下の試験プロトコルを使用した。
1)水温を40℃に調整する。
2)最初に手とヘアピースを濡らす(4gのヘアピース)。
3)0.5mlのシャンプーを塗布する(シリンジで予め測定)。
4)起泡を評価するためにヘアピースを1分間揉み洗いする。
5)ヘアピースを十分にすすぐ。次のシャンプー標本で上記の段階を繰り返す。
6)4つのシャンプー全部でヘアピースを処理した後、各シャンプーの起泡を最良(4)から最悪(1)の段階に格付けする。
【0125】
注:参加者に与えたサンプルの順序は、参加者毎に無作為にした。
【0126】
(実施例)
以下の実施例は本発明の代表として示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0127】
この実施例は、中鎖アルキルエトキシスルホスクシネート界面活性剤対長鎖アルキルエトキシスルホスクシネート界面活性剤の比の重大性を示す。
【0128】
表1に示す組成を有している実施例Ex1AからEx1Eまでは、以下に記載のプレミックスの組合せによって以下のごとく調製した。
【0129】
A.プレミックス調製
必要なCarbomer 980プレミックス(A):このプレミックスは、Carbomer 980を室温の水に溶解し、完全に水和および溶解するまで(“フィッシュアイ”の塊がなくなるまで)混合することによって調製する。
【0130】
Jaguar C13Sプレミックス(B)(または他のカチオン性ポリマー)は、Jaguar C13Sをプロピレングリコール中で10分間または完全に溶解して均一になるまで混合することによって調製する。
【0131】
塩化アンモニウム(またはNaCl)/クエン酸ナトリウム二水和物25重量%プレミックス(C)は、塩化アンモニウム(または、塩化ナトリウム)とクエン酸ナトリウム二水和物とを水に添加し、完全に溶解するまで混合することによって調製する。
【0132】
PEG−150ジステアレート(5重量%)プレミックス(D)は、65℃に加熱したCAPB(または他の両性界面活性剤)溶液の一部に添加することによって調製する。混合物を室温に冷却し、必要な追加量の水を加える。
【0133】
B.メーンバッチ調製:
ミキサーに水を入れ、次いでCarbomerプレミックス(A)を加える。混合下で、Laureth硫酸ナトリウムのような場合によっては必要な界面活性剤を添加し(例えば、SLES−1,70%)、分散するまで混合する。次いでJaguar C13Sプレミックス(B)を添加し、バッチを100rpmで30分間混合する。次いで、Laurethスルホコハク酸二ナトリウムを添加し、分散させた後、残りの両性界面活性剤を添加する。次いで、真珠光沢剤、シリコーン、保存剤および水酸化ナトリウムを加えて分散させる。その後に塩化アンモニウム(またはNaCl)/クエン酸ナトリウム二水和物プレミックス(C)を加える。次いで粘度およびpHを測定し、それぞれを追加の塩ppg−9またはPEG−150DSプレミックス(D)、および、NaOHまたはクエン酸によって調整する。
【0134】
表1の下部に、実施例の組成物の初期粘度および貯蔵後粘度を記録する。
【0135】
Ex1Aからは、0.1%よりも低い長鎖アルキルエトキシスルホスクシネートのレベル(この場合0.04%のパルミトイルエトキシスルホスクシネート)では初期粘度が約5500CPSの平坦値よりも約30%低い値になることが観察された。逆に、この実施例では、長鎖スルホスクシネートの濃度を中鎖スルホスクシネートに対して5%よりも高い値にすると組成物の貯蔵後粘度が75%以上増加する。これは、組成物Ex1Eを比較実施例C1AおよびC1Bに比較することによって判明する。この場合、粘度増加は、最小二乗モデルを使用する外挿法によって実施例Ex1AからEx1Eまでの実験結果から計算した。
【0136】
【表1】

【実施例2】
【0137】
この実施例は、スルホスクシネート界面活性剤と両性界面活性剤との組合せが粘度の増加を生じることを示す。
【0138】
表2に示す組成を有している実施例Ex2AおよびEx2Bと比較実施例C2A−C2Dを実施例1に記載の方法に従って調製した。
【0139】
【表2】

【0140】
表2の下部には、加速貯蔵(49℃で11週)後の粘度変化が記録されている。いくつかの点が注目に値する。
【0141】
加速貯蔵後の粘度の最大増加はスルホスクシネート界面活性剤と両性界面活性剤この場合ベタインとの双方を含有している組成物で生じた。(Ex2AおよびEx2BとC2A−C2Cの比較)。さらに、長鎖アルキルエトキシスルホスクシネートの上限レベルが貯蔵安定性に重大であるのはこれらの組合せの場合だけである(Ex2AとEx2Bとの貯蔵後粘度の比較)。
【0142】
逆に、両性界面活性剤およびアルキルエトキシスルホスクシネート界面活性剤を含有しない組成物は貯蔵後にこのような大幅な粘度増加を示さない。また、それらの粘度は長鎖アルキルエトキシスルホスクシネートのレベルにそれほど反応しない。
【実施例3】
【0143】
この実施例はスルホスクシネート界面活性剤と両性界面活性剤との併用が低刺激性および起泡性に与える効果を説明する。
【0144】
表3に示した組成を有している実施例Ex3および比較実施例C3A−C3Cを実施例1に記載の方法によって調製した。
【0145】
【表3】

【0146】
表3の下部に、平均起泡スコア(方法の項で前述した主観的起泡評価パネルによって測定)およびin−vitro低刺激性(やはり方法の項で前述したゼイン溶解度試験によって測定)が記録されている。
【0147】
これらの結果から、試験したすべての界面活性剤組合せのうちで、アルキルエトキシスルフェート、アルキルエトキシスルホスクシネート界面活性剤および両性界面活性剤の組合せ(Ex3)が最も低いゼイン溶解度を有しており、従って皮膚および頭髪に最も低刺激性であると期待できることが判明する。さらに、この組合せは優れた起泡性を有しており、従って低刺激性と引き換えに使用特性および効率が低下することもない(Ex3とC3Bとの比較)。
【0148】
従ってこの実施例は、ヒトの頭髪および皮膚を清浄化するためにスルホスクシネート界面活性剤と両性界面活性剤との組合せが望ましいことを証明し、また、このような組合せに固有の貯蔵安定性の問題の適当な解決方法を示している。
【0149】
低刺激性(ゼイン溶解度)および起泡性能に基づいて判明した特に好ましい本発明の実施態様は本質的に以下の成分から成る組成物である:
laurethスルホコハク酸二ナトリウム 2%−6%
パルミトイルエトキシスルホコハク酸二ナトリウム 0.1%−6%
(laurethスルホコハク酸二ナトリウムに対する%)
ココアミドプロピルベタイン 2%−5%
ラウリルエトキシスルフェート(1−3EO) 5%−9%
この組成物は、ゼイン溶解度試験で測定したゼイン溶解度が2以下であり、主観的起泡評価パネルによって測定した起泡スコアが少なくとも3である。
【0150】
本発明の文脈に使用した“本質的にから成る”という用語は、組成物の低刺激性および起泡性能を上記に定義の閾値以下に下落させる(すなわち、低下させる)ことがない限り様々な任意成分が含まれてもよいことを意味する。有用な任意成分を以下に挙げる:
塩化アンモニウムおよび/または塩化ナトリウム 0%−2.5%
クエン酸ナトリウム 0%−2%
カチオン性ポリマー 0%−1%
シリコーン 0%−5%
増粘剤 0%−10%
美観補助剤 0%−5%
(色素、香料、殺生物剤、など)。
【0151】
実施例4−6は、本発明に有用な組成物のいくつかの変形例を示すものであり使用できる官能的添加剤、補助剤および有益物質の範囲はこれらの実施例の記載に限定されない。
【実施例4】
【0152】
表4の組成物は本発明の種々の界面活性剤系を示す。
【0153】
【表4】


【実施例5】
【0154】
表5の組成物は本発明の種々のコンディショニング系を示す。
【0155】
【表5】


【実施例6】
【0156】
表6の組成物は本発明の種々の有益物質系を示す。
【0157】
【表6】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ii)を有している中鎖アルキルエトキシスルホスクシネートと、
ii)炭素原子数10−14の平均アルキル鎖長および1−5の平均エトキシル化度、
iii)両性界面活性剤と、
iV)炭素原子数16−18の平均アルキル鎖長を有している長鎖アルキルエトキシスルホスクシネートと、
を含み、長鎖アルキルエトキシスルホスクシネート成分(iii)が中鎖アルキルエトキシスルホスクシネート成分(i)の全重量を基準として0.1%−6%のレベルで組成物中に存在する水性クレンジング組成物。
【請求項2】
前記アルキルエトキシスルホスクシネート界面活性剤対前記両性界面活性剤の比が2:1−1:2の範囲である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
両性界面活性剤が、ベタイン、アンホアセテート、ヒドロキシスルタイン、アミンオキシドおよびそれらの混合物から成るグループから選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ベタインがC10−C18アルキルベタインまたはC10−C18アルキルアミドプロピルベタインまたはそれらの混合物である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、1−5個のエチレンオキシド基を有しているC10−C22のアルキルエトキシスルフェート界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
アルキルエトキシスルフェート界面活性剤対スルホスクシネート界面活性剤の重量比が2:1−1:1の範囲である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
さらに、塩化アンモニウムまたは塩化ナトリウムまたはそれらの混合物を組成物の全重量を基準として少なくとも1%のレベルで含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、シリコーンを含み、該シリコーンが好ましくは揮発性または不揮発性の有機シリコーン、アミノ官能性有機シリコーン、アミノ官能性有機シリコーンポリエーテルコポリマーおよびそれらの混合物から成るグループから選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
さらに、カチオン性ポリマーを含み、該カチオン性ポリマーが好ましくは、カチオン性改質デンプン、カチオン性改質セルロース、カチオン性改質グアーおよびそれらの混合物から成るグループから選択されたカチオン性改質多糖である請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が5−7の範囲のpHを有しており、また、組成物1リットルあたり少なくとも0.02モルの酸という酸緩衝能を有している請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−506727(P2008−506727A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521819(P2007−521819)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006701
【国際公開番号】WO2006/007925
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】