説明

低反発性高通気性ポリウレタンフォーム及びその利用

通気性に優れた低反発性ポリウレタンフォームは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、触媒、及び発泡剤を含むポリウレタン原料を発泡させた後、除膜処理して得られる。このポリウレタンフォームは、ガラス転移点が室温付近にあり、セル数が25PPI以下である。セル数が25PPI以下とフォームの気泡径が大きく、しかも除膜処理を施したポリウレタンフォームであるため、通気性に優れ、人体が接触した場合、その接点が疎らになるために、「蒸れ」等の不快感が軽減される。フォームの気泡が大きいため水切れも良く、速乾性にも優れる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、通気性に優れた低反発性ポリウレタンフォームと、この低反発性高通気性ポリウレタンフォームを用いて構成された寝具及び車両用シートパッドに関する。
【発明の背景】
【0002】
衝撃吸収性、振動吸収性に優れ、クッション材やマットレス素材等に用いた時に体圧分布が均一になり、疲労感や床ずれが軽減されるポリウレタンフォームとして、低反発性ポリウレタンフォームが知られており、その優れた衝撃吸収性、振動吸収性、クッション性を利用してマットレス、枕、自動車等の車両用シートパッド等の用途に既に広く実用化されている。
【0003】
この低反発性ポリウレタンフォームは、ポリウレタンフォームの組成、即ち、ポリイソシアネートの種類やポリオールの官能基数及び水酸基価などを選択して、そのポリウレタンフォームが使用される温度(一般的には室温)においてガラス転移が起こるように処方され、このガラス転移現象によって、低反発性が付与される(特開平11−286566号公報)。
【0004】
従来の低反発性ポリウレタンフォームは、いずれもフォームを構成する気泡径が小さく、一般的には25.4mmの直線上のセルの数として、20PPI(pores per inch)を超える、例えば40〜50PPI程度の微小気泡を有する。
【0005】
従来の低反発性ポリウレタンフォームは、上述の如く、フォームの気泡径が小さいために通気性に劣る。マットレス、枕、車両用シートパッド等の部材は、多くの場合、人体に長時間接触する。従って、通気性の悪い低反発性ポリウレタンフォームよりなる該部材は、人に対し、時間の経過により「蒸れ」を感じさせ、快適な使用感を与えず、著しい場合には床ずれを助長する。気泡径の小さい低反発性ポリウレタンフォームよりなる該部材は、洗濯された場合、水切れが悪く、乾燥に長時間を要する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記従来の低反発性ポリウレタンフォームの欠点を解決し、通気性に優れ、水切れの良い低反発性ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【0007】
本発明はまた、このような低反発性高通気性ポリウレタンフォームを用いて、快適な使用感を得ることができる寝具及び車両用シートパッドを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、触媒、及び発泡剤を含むポリウレタン原料を発泡させた後、除膜処理して得られるポリウレタンフォームよりなり、ガラス転移点が室温付近にあり、セル数が25PPI以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームは、セル数が25PPI以下とフォームの気泡径が大きく、しかも除膜処理を施したポリウレタンフォームであるため、通気性に優れる。このポリウレタンフォームに人体が接触した場合、その接点が疎らになるために、「蒸れ」等の不快感が軽減される。また、このポリウレタンフォームは、大きい気泡を有するため、水切れが良く、速く乾く。
【0010】
本発明の寝具は、この低反発性高通気性ポリウレタンフォームで構成されるものである。該寝具は、該低反発性高通気性ポリウレタンフォームのみから構成されるものであっても良い。該寝具は、該低反発性高通気性ポリウレタンフォームと別素材との複層構造を有し、低反発性高通気性ポリウレタンフォームが表層側に設けられているものであっても良い。
【0011】
本発明の車両用シートパッドは、シートパッド本体と、このシートパッド本体を被覆する表皮材とを備える車両用シートパッドにおいて、該表皮材が該低反発性高通気性ポリウレタンフォームで裏打ちされていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例4と比較例5のポリウレタンフォームの乾燥速度を示すグラフである。
【発明の好ましい形態の詳細な説明】
【0013】
以下に本発明の好ましい形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、触媒、発泡剤及び整泡剤を以下のような配合で含むポリウレタン原料を発泡させた後、除膜処理して製造することができる。ただし、該ポリウレタンフォームの製造方法はこれに限定されない。
【0015】
[ポリウレタン原料配合]
ポリオール成分:100重量部
ポリイソシアネート成分:35〜40重量部
発泡剤(水):1〜2重量部
アミン系触媒(泡化触媒のみ):0.20〜0.50重量部
錫系触媒:0.02〜0.1重量部
整泡剤:0〜0.1重量部
【0016】
ポリオール成分としては、ポリウレタンフォームの製造に通常使用されるポリオールを用いることができ、このようなポリオールは、得られたポリウレタンフォームに、室温付近(0〜60℃)において、ガラス転移点を与えることができるように、適宜選択して用いられる。
【0017】
ポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオール、ビニル重合体含有ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】
ポリオキシアルキレンポリオールは、水、アルコール類、アミン類、アンモニア等の開始剤にアルキレンオキサイドを付加させたものであってもよい。開始剤としてのアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール等の1価アルコール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール類、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール類、例えば、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類、例えば、ソルビトール等の6価アルコール類、例えば、ショ糖等の8価アルコール類等の1価又は多価のアルコール類が挙げられる。開始剤としてのアミン類は、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン等の1価アミン類、例えば、メチルアミン、エチルアミン等の2価アミン類、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の3価アミン類、例えば、エチレンジアミン等の4価アミン類、例えば、ジエチレントリアミン等の5価アミン類等の1価又は多価のアミン類であってもよい。開始剤は、好ましくは、1価ないし6価のアルコール類及び1価ないし5価のアミン類である。
【0019】
アルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−、1,4−及び2,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用であってもよい。アルキレンオキサイドは、これらのうち、好ましくは、プロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドであり、これらを併用する場合には、ブロック又はランダムのいずれの付加形式であってもよく、好ましくは、ブロックの付加形式が挙げられる。
【0020】
ビニル重合体含有ポリオキシアルキレンポリオールは、上記に例示したポリオキシアルキレンポリオール中で、ラジカル存在下、アクリロニトリル、スチレン等のビニルモノマーを重合し安定分散させたものであってもよい。ポリオキシアルキレンポリオール中のビニル重合体の含量は、通常15〜45重量%である。
【0021】
ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3又は1,4−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の水酸基を2つ以上有する化合物の1種又は2種以上と、例えば、アジピン酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等のカルボキシル基を2つ以上有する化合物の1種又は2種以上との縮合重合により得られるものであってもよい。ポリエステルポリオールは、ε−カプロラクトン等の開環重合により得られるものであってもよい。
【0022】
ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールとしては、例えば、特公昭48−10078号公報に記載されているように、ポリオキシアルキレンポリオールにポリエステル鎖をブロックした構造のもの、即ち、ポリオキシアルキレンポリオール又はヒドロキシル基を有するその誘導体の各ヒドロキシ基の水素原子と置換する部分が、下記一般式(1)で表されるものであってもよい。
【0023】
【化1】

(式中、R及びRはそれぞれ2価の炭化水素基であり、nは平均1より大きい数を示す。)
【0024】
一般式(1)中、Rで示される2価の炭化水素残基は、飽和脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸残基であってもよい。Rで示される2価の炭化水素残基は、環状エーテル基をもつ化合物が開裂した残基であってもよく、nは、好ましくは1〜20の数である。このポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールに、ポリカルボン酸無水物とアルキレンオキシドを反応させることにより得られる。
【0025】
ポリオールは、平均官能基数1.5〜4.5で、水酸基価20〜70mg−KOH/g、好ましくは水酸基価30〜60mg−KOH/gのポリオール(a−1)と、平均官能基数1.5〜4.5で、水酸基価140〜300mg−KOH/g、好ましくは、水酸基価200〜270mg−KOH/gのポリオール(a−2)とを含有していることが好ましい。平均官能基数が1.5より小さいと、得られたポリウレタンフォームの乾熱永久歪みのような物性が著しく低下し、また、平均官能基数が4.5より大きいと、得られたポリウレタンフォームの伸びが低下する一方で硬度が高くなるため、引張強度のような物性が低下する場合がある。水酸基価がそれぞれ異なる20〜70mg−KOH/gのポリオール(a−1)と、140〜300mg−KOH/gのポリオール(a−2)とにより得られるポリウレタンフォームは、0℃〜60℃の温度範囲だけでなく、−70℃〜−20℃の温度範囲にもガラス転移点を有しうる。このポリウレタンフォームは、室温において優れた低反発性を有し、かつ低温でも硬度の上昇が少ない。
【0026】
ポリオール成分中には、上記ポリオール(a−1)が32〜80重量%、ポリオール(a−2)が20〜68重量%の範囲で含有されていることが好ましい。ポリオール(a−1)が32重量%より少なく、ポリオール(a−2)が68重量%を超える場合は、得られたポリウレタンフォームが高くなる場合があり、一方、ポリオール(a−1)が80重量%を超え、ポリオール(a−2)が20重量%より少ないと、室温での反発弾性が高くなる場合がある。特に、ポリオール成分は、ポリオール(a−1)が34〜75重量%、ポリオール(a−2)が25〜66重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0027】
ポリオール(a−1)は、ポリオキシアルキレンポリオールと、ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールとを含有していることが好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールとポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールとを含有することで、得られたポリウレタンフォームの反発弾性を低くすることができる。この場合、ポリオキシアルキレンポリオールとポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールとは、ポリオール(a−1)中に、それぞれ30〜70重量%の範囲で含有されていることが好ましい。この範囲において、反発弾性を低くする効果が最も発現される。
【0028】
ポリオール(a−2)は、オキシアルキレン単位中にオキシエチレン単位が含有されているポリオキシアルキレンポリオールであることが好ましい。ポリオール(a−2)が、ポリオキシアルキレンポリオールであって、オキシアルキレン単位中にオキシエチレン単位が含有されていると、得られたポリウレタンフォームに、−70℃〜−20℃の温度範囲と0℃〜60℃の温度範囲とのそれぞれに、ガラス転移点をより容易に与えることができる。この場合、オキシアルキレン単位中にオキシエチレン単位が20重量%以上、さらには、60重量%以上含有されていることが好ましい。オキシアルキレン単位中のオキシエチレン単位を増加させることにより、反発弾性をより低くすることができる。
【0029】
ポリイソシアネート成分は、ポリウレタンフォームの製造に通常使用される公知のポリイソシアネートであってもよい。ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ポリイソシアネート、例えば、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)等の脂環族ポリイソシアネート、及びこれらポリイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、又は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)等が挙げられ、これらは単独又は2種以上併用してもよい。これらのうち、好ましくは芳香族ポリイソシアネート、さらに好ましくはTDIであってもよい。
【0030】
ポリイソシアネート成分は、好ましくは、ポリオール成分100重量部配合に対して35〜40重量部配合される。
【0031】
触媒は、ポリウレタンフォームの製造に通常使用される公知の触媒でありうる。この触媒は、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等のアミン系触媒、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫クロライド等の有機錫系化合物、例えば、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等の有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケル等の有機ニッケル化合物等の有機金属系触媒等であってもよい。これら触媒のうち、アミン系触媒と有機金属系触媒とを併用することが好ましく、とりわけ、3級アミン類と有機錫化合物とを併用することが好ましい。
【0032】
従来、低反発性ポリウレタンフォームの製造には、アミン系触媒として、樹脂化触媒としてのトリエチレンジアミンと、泡化触媒としてのビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルとが併用されているが、このように2種類のアミン系触媒を併用すると、充分な連通気泡が得られず発泡後に収縮しやすくなり、気泡径の大きいポリウレタンフォームを得ることはできない。従って、本発明では、泡化触媒のみを用い、泡化触媒としてのビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルをポリオール成分100重量部に対して0.20〜0.50重量部、錫触媒をポリオール成分100重量部に対して0.02〜0.1重量部用いることが好ましい。
【0033】
発泡剤として、ポリウレタンフォームの製造に通常使用される公知の発泡剤が用いられる。発泡剤は、例えば、水及び/又はハロゲン置換脂肪族炭化水素系発泡剤、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化メチレン、トリクロロトリフルオロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、四塩化炭素等であってもよい。これらの発泡剤は、2種以上併用してもよいが、本発明においては、水を単独で使用することが好ましい。発泡剤は、ポリオール成分100重量部に対して1〜2重量部用いることが好ましい。
【0034】
整泡剤は、例えば、シロキサンーオキシアルキレンブロック共重合体等の、ポリウレタンフォームの製造に通常使用される公知の整泡剤であってもよく、具体的には、信越化学工業(株)製のF−242T等であってもよい。
【0035】
従来、低反発性ポリウレタンフォームの製造において、整泡剤は、ポリオール成分100重量部に対して1〜2重量部程度用いられている。しかしながら、このような整泡剤の配合量では、気泡径の大きいポリウレタンフォームを製造することはできない。従って、本発明においては、整泡剤は使用しないか、或いは、ポリオール成分100重量部に対して0.1重量部以下、好ましくは0.03〜0.1重量部配合することが好ましい。
【0036】
本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームの製造原料には、上記成分以外に更に必要に応じて難燃剤、その他の助剤が配合されても良い。難燃剤は、トリス(2−クロロエチル)フォスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)フォスフェート等のような従来公知の難燃剤の他、尿素、チオ尿素のような有機質粉末或いは金属水酸化物、三酸化アンチモン等の無機質粉末であってもよい。その他の助剤は、顔料、染料などの着色粉末、タルク、グラファイトなどの粉末、ガラス短繊維、その他の無機増量剤や有機溶媒などであってもよい。
【0037】
このポリウレタン原料を発泡成形することにより、セル数25PPI以下、好ましくは20PPI以下、より好ましくは9〜20PPI程度の、気泡径が大きなフォームが得られる。このフォームに除膜処理を施すことによって高通気性のポリウレタンフォームを得ることができる。
【0038】
本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームは、JIS L 1096により測定した通気性が200cc/cm/sec以上の通気性を有する。特にセル数20以下のポリウレタンフォームは、250cc/cm/sec以上の高通気性を有する。
【0039】
本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームは、好ましくは、密度45〜60kg/m程度に発泡成形される。
【0040】
本発明の寝具は、本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームで構成されるものである。この寝具は、本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームのみから構成されるものであっても良い。この寝具は、本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームと別素材との複層構造であり、低反発性高通気性ポリウレタンフォームが表層側に設けられているものであっても良い。別素材は
i) ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを主原料とするポリウレタンフォーム
ii) 不織布
iii) 織布
iv) 水などの液体を密封した構造体
v) ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)を主原料とするポリオレフィン系発泡体
の少なくとも1つであってもよい。
【0041】
この寝具は、枕又はマットレスであってもよい。
【0042】
本発明の車両用シートパッドは、シートパッド本体と、このシートパッド本体を被覆する表皮材とを備える車両用シートパッドにおいて、表皮材が、このような本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームで裏打ちされているものである。表皮材は、皮、布、合成皮革等であってもよい。この表皮材に、本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームよりなる厚さ2〜50mm程度のシート材をウレタン系接着剤等により貼り合わせてもよい。
【0043】
これらの枕、マットレス、車両用シートにあっては、通気性に優れた低反発性ポリウレタンフォームが少なくともその表層に位置することにより、「蒸れ」を防止して快適な使用感を得ることができる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0045】
以下の実施例及び比較例において用いた原料は次の通りである。
ポリオール1:三井武田(株)製「G250」
ポリエーテルポリオール
平均官能基数:3
水酸基価:250mg−KOH/g
ポリオール2:三井武田(株)製「3P56B」
ポリエーテルポリオール
平均官能基数:3
水酸基価:56mg−KOH/g
ポリオール3:三洋化成(株)製「GP−3000」
ポリエーテルポリオール
平均官能基数:3
水酸基価:56mg−KOH/g
ポリイソシアネート:三井武田ケミカル(株)製「TDI」
発泡剤:水
アミン系触媒1:東ソー(株)製「TEDAL−33」
トリエチレンジアミンのDPG溶液
(表中の配合量はトリエチレンジアミン純分の配合量である。)
アミン系触媒2:東ソー(株)製「TOYOCAT−ET33B」
ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルのDPG溶液
(表中の配合量はビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル純分
の配合量である。)
錫触媒:ゴールドシュミット社製「KOSMOS29」
エチルヘキサン酸スズ塩
整泡剤:信越化学工業(株)製「シリコーン整泡剤」
F242Tシリコーン
【0046】
また、得られたポリウレタンフォームの各種評価は次のような方法で行った。
[発泡性]
発泡成形により得られたフォームが連続気泡となっているものを「良好」とし、独立気泡のものを「不良」とした。
[セル数]
水平裁断面を写真撮影して直径1インチ上に並ぶ気泡径をカウントすることにより測定した。
[密度]
JIS K 6400により測定した。
[通気性]
JIS L 1096により測定した。
[反発性]
JIS K 6400により測定した。
【0047】
実施例1〜4
表1に示す配合で常法に従って発泡成形することによりポリウレタンフォームを得、このときの発泡性及びセル数を評価した。その後、除膜処理を行い、得られた除膜処理フォームの密度、通気性、反発性を評価し、これらの結果を表1に示した。
【0048】
比較例1〜8
表1に示す配合で常法に従って発泡成形することによりポリウレタンフォームを得、除膜処理を行うことなく、発泡性、セル数、密度、通気性、反発性を評価し、これらの結果を表1に示した。
【0049】
【表1】

【0050】
表1より、本発明によれば通気性に優れた低反発性ポリウレタンフォームが提供されることが分かる。
【0051】
なお、実施例4のポリウレタンフォームと比較例5のポリウレタンフォームについて、水洗い後、80℃のオーブン中で乾燥したときの重量変化を調べたところ、図1に示す如く、本発明品は速乾性に優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の低反発性高通気性ポリウレタンフォームは、枕、マットレス等の寝具や、車両用シートパッド等の用途に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、触媒、及び発泡剤を含むポリウレタン原料を発泡させた後、除膜処理して得られる、
ガラス転移点が室温付近にあり、セル数が25PPI以下である低反発性高通気性ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
請求項1において、セル数が20PPI以下であることを特徴とする低反発性高通気性ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
請求項1において、セル数が9〜20PPI以下であることを特徴とする低反発性高通気性ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
請求項1において、JIS L 1096(不織布における通気性)により測定した通気性が200cc/cm/sec以上であることを特徴とする低反発性高通気性ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
請求項1において、45〜60kg/mの密度を有することを特徴とする低反発性高通気性ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
請求項1において、該ポリウレタン原料中の整泡剤の量がポリオール成分100重量部に対して0〜0.1重量部であることを特徴とする低反発性高通気性ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
請求項1において、該ポリウレタン原料が、アミン系触媒として泡化触媒を含む、アミン系樹脂化触媒非含有ポリウレタン原料であることを特徴とする低反発性高通気性ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
請求項7において、該泡化触媒がビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルであることを特徴とする低反発性高通気性ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
請求項1に記載の低反発性高通気性ポリウレタンフォームで構成されることを特徴とする寝具。
【請求項10】
請求項1に記載の低反発性高通気性ポリウレタンフォームと別素材との複層構造であり、該低反発性高通気性ポリウレタンフォームが表層側に設けられていることを特徴とする寝具。
【請求項11】
請求項10において、該別素材は、
i) ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを主原料とするポリウレタンフォーム
ii) 不織布
iii) 織布
iv) 水などの液体を密封した構造体
v) ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)を主原料とするポリオレフィン系発泡体
よりなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする寝具。
【請求項12】
請求項9において、枕又はマットレスであることを特徴とする寝具。
【請求項13】
請求項10において、枕又はマットレスであることを特徴とする寝具。
【請求項14】
シートパッド本体と、このシートパッド本体を被覆する表皮材とを備える車両用シートパッドにおいて、該表皮材が請求項1に記載の低反発性高通気性ポリウレタンフォームで裏打ちされていることを特徴とする車両用シートパッド。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/077998
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【発行日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518023(P2005−518023)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002300
【国際出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】