説明

低圧電気計器用接続端子

【課題】 電力量計などの低圧電気計器について充電状態で計器作業を行う際、安全かつ容易に電線を接続できる計器用接続端子を提供する。
【解決手段】 低圧電気計器が備える端子台の端子挿入孔に挿入される導電性の挿入部と、長さ方向一端部に電線の端部導体を受け入れ、これと電気的に接続される円筒状導体およびその外周を被覆する絶縁材層を有する基端部とを備え、前記挿入部は前記円筒状導体と電気的に導通状態とされ、前記端子挿入口の内周に作用する押圧係合手段を備えてなる低圧電気計器用接続端子。挿入部は、前記端子挿入孔の内径よりも僅かに小さい外径を有することが好ましい。このような挿入部としてはジャックナットや円筒(例えば前記円筒状導体)などが挙げられる。後者の場合、押圧係合手段は円筒状導体の側壁の一部に穿設された貫通孔を通して外内に往復動可能に形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線端部に取り付け、電力量計などの低圧電気計器に充電状態で安全かつ容易に電線を接続できる計器用接続端子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば普通電力量計、精密電力量計などの低圧電気計器は、住宅ごと又は事業所ごとにそれぞれ個別に設置され、屋外からの引込線等を通して常時電力量を計量している。その計量値は電力の取引に使用されるため、常に正確に電力量を計量できるものでなければならず、通常一定期間、例えば普通電力量計であれば10年未満の周期で検定を受けた新品又は整備品と交換する必要がある。また、契約異動に伴い、このような低圧電気計器を変更または再使用のために交換する必要となる場合もある。
【0003】
この低圧電気計器の交換は、電源側の電線が充電状態で、当該低圧電気計器が装備する端子台の電源側端子及び負荷側端子に接続されたすべての電線を取外して行われることが多い。そのため、作業者は、標準作業手順に従い、低圧電気計器の端子台前面を覆う端子カバーを取り外して、そこに配列されている端子ネジを緩め、または締め付けることで、電線の取り外しおよび接続を行い、計器の交換作業を実施することになる。しかし、この作業中、端子台の前面では充電部が露出した状態であり、短絡事故や作業者の感電事故が発生する危険性を有している。
【0004】
従来から、電力量計などの端子台への電線の結線作業の効率化を図るために、端子挿入孔に差し込み可能な端子を備えた端末アダプターが種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの提案に係る端末アダプターは、端子挿入孔に挿入される部分が棒状に形成されているため、ワンタッチで容易に端子挿入孔に挿入できるが、端子ネジを締め付けてこれを固定する必要があるので、結果として端子カバーを外して端子台前面の充電部が露出されることで、短絡事故や感電事故の危険性があるという点では同様の問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−32037号公報
【特許文献2】特公平7−32038号公報
【特許文献3】特公平7−32039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記事情に鑑み、活線状態で電力量計などの低圧電気計器の作業を行う際、安全かつ容易に電線を接続できる計器用接続端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、本発明によれば、低圧電気計器が備える端子台の端子挿入孔に挿入される導電性の挿入部と、長さ方向一端部に電線の端部導体を受け入れ、これと電気的に接続される円筒状導体およびその外周を被覆する絶縁材層を有する基端部とを備え、前記挿入部は前記円筒状導体と少なくとも電気的に導通状態とされ、前記端子挿入口の内周に作用可能な押圧係合手段を備えてなることを特徴とする低圧電気計器用接続端子によって達成される。
【0008】
前記挿入部は、前記端子挿入孔に挿入可能であれば特にその外径や断面形状に特に制限はないが、その外径は、前記端子挿入孔の内径よりも僅かに小さく設定できる。また、その断面形状は、円形、略円形、楕円形、半円形、略四角形などから適宜選択することができる。
【0009】
前記挿入部と前記円筒状導体とは、これらが電気的に導通状態にあればよく、その接続形態については特に制限されない。例えば、前記挿入部は、前記円筒状導体に直接的にまたは導電性の中間部材を介在させて間接的に接続することができる。「直接的に接続」する場合には、前記挿入部が前記円筒状導体の一部を構成する場合を含むものとする。
【0010】
前記押圧係合手段は、前記挿入部における側壁の一部に穿設された貫通孔を通して外力の作用により内外に往復動可能に構成したものであってもよく、前記挿入部の周壁が外力の作用を受けて放射状に広がるようなものであってもよい。後者の具体例としては、ジャックナットなどが挙げられる。なお、前記押圧係合手段の作用としては、主に押圧または係合が挙げられる。ここで、押圧とは、押圧係合手段によって端子挿入孔内周面の少なくとも1か所を径(放射)方向に加圧する状態を、また係合とは当該内周面に対して直角な方向に端子ネジ穴が設けられているような場合に、当該端子ネジ穴に対して押圧係合手段の径方向の変形部分が入りこんだ状態を指称している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の低圧電気計器用接続端子は、これに電線の端部導体を受け入れて電気的に接続するとともに、挿入部に押圧係合手段を備え、低圧電気計器が備える端子台の端子挿入孔に挿入した後にその内周面に対して押圧係合手段を作用させることとしたので、容易に当該端子台に接続することができる。また、本発明の低圧電気計器用接続端子は、これを端子台に接続するに際して、従来のように端子カバーを取り外して充電部を露出させる必要がなく、また端子台に複数条接続される電線のそれぞれを当該端子台の前面から端子ネジを締め付けることにより固定する作業を行う必要がないので、作業中の短絡事故や感電事故が生じることがなく、非常に安全に低圧電気計器の交換作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の低圧電気計器用接続端子の実施形態の一例を示す図である。
【図2】本発明の低圧電気計器用接続端子の実施形態の別の例を示す部分断面側面図である。
【図3】図1に示す低圧電気計器用接続端子の使用状態を示す図である。
【図4】本発明の低圧電気計器用接続端子の実施形態のさらに別の例を示す図である。
【図5】図4に示す低圧電気計器用接続端子の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下の各実施形態に限定されない。
【0014】
図1は、本発明の低圧電気計器用接続端子の実施形態の一例を示しており、(a)は未使用の状態、(b)は押圧係合手段が押圧状態となっている使用後の状態を示している。(a)、(b)いずれの図も、図面に向って上下方向に設けた1点鎖線の左側が外形を、右側が断面を表わしている。本実施形態の低圧電気計器用接続端子1は、挿入部8と、基端部9と、これらの間の中間部10とからなり、これら各部は、それぞれの軸線が合致するように連結されている。
【0015】
本実施形態における挿入部8は、低圧電気計器における端子台の端子挿入口19に挿入される部分であり、当該端子挿入孔19の内径よりもわずかに小さい外径のジャックナット11と、その中心に配置されるネジ12とからなっている。ジャックナット11は、2つの導電性を備えたフランジ11a、11bと、これらの向き合う端縁同士を連結するように円周方向に配置された導電性の細片11c、11c、・・・とからなる公知のものを適宜使用できる。フランジ11aの中心には、表裏面に貫通し、内周にネジ12と螺合するネジ部が刻設されたネジ孔11dが穿設されている。また、フランジ11bの中心にはネジ12の軸部の外径よりもわずかに大きい直径を有し、ネジ12の軸部が挿通可能なネジ12の挿通孔11eが設けられている。ネジ12は、フランジ11bの中央の挿通孔11eに挿通され、さらに他方のフランジ11aのねじ孔11dに螺合されており、時計方向または反時計方向に回転可能とされている。このネジ12は、各種の金属製またはプラスチック製の六角ボルトやキャップスクリューなどの中から適宜選択して使用できるが、導電性を備えた金属製の六角ボルトやキャップスクリューを用いるのが好ましい。
【0016】
このようにジャックナット11にネジ12を組み込んだ状態で、当該ネジ12をさらに時計方向に回転させると、前者のフランジ11bに対して後者のフランジ11aが接近していく。ネジ12は、その頭部12aがフランジ11bの外側に位置し、これによって前進が阻止され定位置で支持されるため、当該ネジ12の回転により可動のフランジ11aを強制的に移動させるためである。それに伴い、両フランジの端縁同士を連結する導電性の細片11c、11c、・・・が外側に座屈して外側に向けて放射状に膨出するようになるので、ジャックナット10は本発明の押圧係合手段として機能する。
【0017】
本実施形態における中間部10は、円柱状の導体13と、その外周を被覆し、操作ハンドル(操作手段)14が形成された絶縁材層14とから構成されている。操作ハンドル14は、導体13の軸心と同心にこれに固定された状態とされ、当該軸心を回転中心として回転操作可能とされ、この回転操作に伴って導体13は回転するようになっている。
【0018】
導体13の一端面には、ネジ12の頭部12aが埋め込まれて固定されているので、操作ハンドル14を回転させることで、結果としてその回転方向にネジ12が回転することになる。また、導体13の他端面には、中心に向けてその軸心と同心に開口が穿設されており、当該開口は内部にて不連続に拡径され相対的に大径の開口に連通している。この開口には、大径の頭部161および当該頭部よりも相対的に小径の軸部162を有するピン型導体16の頭部161側が収容され、軸部162側が当該端面から突出した状態とされている。ピン型導体16の頭部161は、導体13内で固定されていないので、これとは独立して回転自在とされている。
【0019】
本実施形態における基端部9は、円筒状導体18と、その外周を被覆する絶縁材層20とから構成されている。円筒状導体18は、その長さ方向に全長にわたり開口しており、その一端側の開口には中間部10の端面から突出するピン型導体16の軸部162が嵌め込まれ、例えば圧縮するなどして接続固定されている。また、他端側の開口には低圧電気計器の端子台に接続されるべき電線の端部に露出する端部導体が挿入され、圧縮などの公知の方法により、円筒状導体18に接続固定される。絶縁材層20は軟質の材質を有し、操作手段10とは反対側の端部寄りに拡径部分が形成されており、ここに、絶縁のために電線の被覆を嵌め込むことができるようになっている。
【0020】
図2は、本発明の低圧電気計器用接続端子の実施形態の別の例を示す部分断面側面図である。この図に示す実施形態の低圧電気計器用接続端子2は、挿入部8側の軸心と基端部9のそれとを互いに平行を維持しながらずらした構造を有する点が図1に示した実施形態とは相違しており、その他の構成については図1に示した実施形態と本質的に変わるところはない。
【0021】
本実施形態における中間部10は、長さ方向一端寄りにジャックナット11のフランジ11bが当接し、当該方向他端寄りの挿入部8とは反対側の面には円筒状導体18が埋め込み固定可能に構成された直方体状の導体17と、当該直方体状導体17の外周における導体露出部分を被覆する絶縁材層21と有している。直方体状導体17の挿入部8が当接される部分の中心には、直方体状導体17を短軸方向に貫通する貫通孔17aが穿設されている。この貫通孔17aの一方から他方にネジ12を貫通させ、直方体状導体17に当接されるジャックナット11のフランジ11bを挿通させたうえで、フランジ11aの中心のねじ穴に螺合するようにする。ネジ12は、図1に示した実施形態の場合から必要に応じて適宜その全長を変更することができる。直方体状導体17に固定される円筒状導体18は、図1に示した実施形態の場合と同様に、電線Wの端部導体55を挿入して固定できるものを使用することができる。直方体状導体17と円筒状導体18との固定は、溶接、圧縮などの公知の方法によって行うことができる。円筒状導体18の外周には、これらを被覆する絶縁材層20がそれぞれ設けられている。図2では、絶縁材層20の中間部10側の端部に設けられたフランジ20aを介して中間部15の絶縁材層21に固着されているが、これらの絶縁材層20、21はこのように別体で構成されていてもよく、一体で構成されていてもよい。
【0022】
図3は、本発明の低圧電気計器用接続端子の実施形態のさらに別の例を示しており、(a)は外形図、(b)は断面図である。この図に示す実施形態では、長さ方向に開口し、当該方向一端が閉塞された円筒状導体24と、円筒状導体24の他端側を被覆する絶縁材層20とから構成され、円筒状導体24の閉塞端寄りが挿入部とされ、絶縁材層20が基端部とされている。円筒状導体24の先端側、および当該円筒状導体24の軸線方向中間における絶縁材層20の端部寄りに、内外に貫通する貫通孔24a、24bが互いに反対方向に開口するように穿設されている。また、円筒状導体24の閉塞端とは反対側の絶縁材層20側の開口には、図3に示すように、電線Wの端部導体55が挿入され、圧縮などの公知の手段によって円筒状導体24と端部導体55とは接続固定可能に構成されている。
【0023】
円筒状導体24の内部では、その軸線に直交する方向に設けられた軸32により、連結桿30がその略中間を回動可能に支持されている。連結桿30の貫通孔24b側は、略L字状に屈曲しており、その屈曲した部分の先端には操作ボタン26が設けられている。また、連結桿30の貫通孔24a側の端部には、押圧係合手段28が設けられている。操作ボタン26および押圧係合手段28の連結桿30の各端部への固定は、例えば溶接、半田付け、嵌め込み、ネジ止めなどの公知の方法を用いて実施することができる。連結桿30の操作ボタン26側の端部寄りには、付勢手段としてのばね34が設けられており、これによって操作ボタン26および押圧係合手段28はそれぞれ突出する方向に付勢された状態とされている。操作ボタン26は、その表面を絶縁材で被覆され、または全体が絶縁材で形成されている。そして、付勢力に抗して操作ボタン26を押し下げることで、押圧係合手段28は円筒状導体24の内部に概略収容されるように後退する。なお、図3において、バネ34の代わりに、これと同様の形態を有するバネを連結桿30の押圧係合手段28側の端部寄りに設けてもよく、あるいはコイルばねなどを軸32に嵌装し、連結桿30の押圧係合手段28側または操作ボタン26側を付勢するようにしてもよい。
【0024】
押圧係合手段28は、貫通孔24bを通して内外に出入り(往復動)するようになっている。その突出方向に向いた先端側の部分は鉤形、爪形などの薄板状のほか、略半球状、略円錐状、略円錐台状、略角錐状、略角錐台状などの形状に形成することができる。これらは、低圧電気計器の種類などを考慮して、適宜選択することができる。なお、押圧係合手段28の先端部分の形状は、低圧電気計器の端子挿入孔の内周を押圧または係合可能な形状であれば、これらに限定されず、さらに適宜の形状に形成することができる。
【0025】
本発明の低圧電気計器用接続端子は、例えば普通電力量計、精密電力量計などの各種電力量計や各種計測器などの低圧電気計器への接続に用いることができる。ここで、電力量計は、誘導型、電子式を問わず、単相3線式、三相3線式、三相4線式などの種々の相線式に対応したものが含まれる。また、電力量計は、その端子台を介しての入出力が低圧であればよく、例えば高圧または特別高圧の電路における電力量を計測可能なように、計器用変圧器や変流器などと組み合わせ、あるいはこれらを内蔵する電力量計も含まれる。また、計測器についても同様に、これと計器用変成器とを組み合わせたもの含まれる。
【0026】
次に、低圧電気計器として電力量計を例にとり、本発明の低圧電気計器用接続端子を低圧電気計器の端子台に接続する方法について説明する。なお、電力量計は汎用品(いわゆる普通電力量計)とし、端子台は、これに複数配列穿設された端子挿入孔のそれぞれに直角な方向から連通するネジ穴を備え、各端子挿入孔に電線の端部導体を挿入した後に、当該ネジ穴に端子ネジを螺合することで端部導体を締め付けるように構成されているものとする。本発明の低圧電気計器用接続端子を電力量計に接続するに先立ち、端子台前面の端子ネジをそれが脱落しない程度に適度に緩めた状態とするか、あるいは端子ネジを取り外した状態としておくことが好ましい。また、接続作業中は、端子カバーを取り付けておくことができる。
【0027】
図4は、図1に示す実施形態の低圧電気計器用接続端子の電力量計への接続方法を説明する図であり、(a)は接続前の状態を、(b)は接続中及び接続後の状態を示している。接続作業に先立って、作業者は、本発明の低圧電気計器用接続端子1を必要数用意し、それぞれの基端部9に設けられた端部導体挿入孔19に電線W1(およびW2)の端部に露出する端部導体を挿入し、圧縮などの公知の手段によって円筒状導体18と固定し、本発明の低圧電気計器用接続端子1と電線W1、W2、・・・とを接続しておく。この作業中には、電源側の電線は活線状態にあるので、他の金属製機器との接触による短絡や自身への感電を起こさないように注意する。なお、以下の説明では、本発明の低圧電気計器用接続端子1または3の各部について、図1または図3において当該各部に対応する符号を付している。
【0028】
作業者は、図4に示すように、電線W1、W2、・・・を接続した本発明の低圧電気計器用接続端子1を電力量計50の端子台51における所定の端子挿入穴52に挿入し、その状態で中間部10の操作ハンドル14を時計方向に回転させることで、ネジ12を時計方向に回転させる。そうすると、ジャックナット11の側壁に円周方向に等間隔に配置された細片11c、11c、・・・のそれぞれが外側に向けて座屈していき、端子台53の端子挿入孔52の内周を押圧するようになる。このとき、少なくとも1つの細片11cを端子台53の前面側に配置することにより、この細片11cが座屈によって端子台53の前面から各端子挿入孔に連通する端子ネジ穴内に入りこむようにするのが好ましい。これにより、本発明の接続端子1は端子挿入孔52内で強固に係合するので、接続端子1の抜け落ちが防止し、確実な接続端子の接続が可能となる。
【0029】
また、図5は図3に示した実施形態の低圧電気計器用接続端子の電力量計への接続方法を説明する図であり、(a)は接続前の状態を、(b)は接続中及び接続後の状態を示している。接続作業に先立って、本発明の接続端子3の基端部9に電線の端部導体を挿入して接続固定しておく点は、前記の図1の実施形態を接続する場合と同様である。
【0030】
図3に示す実施形態の低圧電気計器用接続端子3の場合、作業者70は、前記のように接続端子3から側方に突出する操作ボタン26を押し下げ押圧係合手段28が内部に引きこまれた状態にして端子台53の所定の端子挿入孔52に挿入する。その後、作業者70は操作ボタン26から手を離してこれを開放することで、押圧係合手段28もまた端子挿入孔52の内部でばね34の付勢力によって外側に向けて突出し、内部の適宜の位置に係合するようになる。このとき、本発明の低圧電気計器用接続端子3をその押圧係合手段28が端子台51の前面に向けて突出するように端子挿入孔52に挿入することで、端子ネジ穴に内側から押圧係合手段28が嵌りこんで係合し、確実な接続端子の接続が可能となる。
【0031】
以上説明したように、本発明の低圧電気計器用接続端子は、低圧電気計器の端子台に設けられる端子カバーを取り外すことなく、これを端子挿入孔から挿入して内部で押圧係合させることができるので、短絡事故、感電事故が生じることがなく、容易に低圧電気計器端子台に電線を接続することができる。
【符号の説明】
【0032】
1〜3 低圧電気計器用接続端子
8 挿入部
9 基端部
10、15 中間部
11 押圧係合手段(ジャックナット)
11a、11b フランジ
11c 細片
11d ネジ孔
11e 挿通孔
12 ネジ
12a ネジ頭部(操作手段)
13 導体
14 操作ハンドル(操作手段)
17 連結用導体
17a 絶縁材層
18 円筒状導体
19 端部導体挿入孔
26 操作ボタン
28 押圧係合手段
30 連結桿
32 軸
34 バネ
55 端部導体
W 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧電気計器が備える端子台の端子挿入孔に挿入される導電性の挿入部と、長さ方向一端部に電線の端部導体を受け入れ、これと電気的に接続される円筒状導体およびその外周を被覆する絶縁材層を有する基端部とを備え、前記挿入部は、前記円筒状導体と電気的に導通状態とされ、前記端子挿入孔の内周に作用可能な押圧係合手段を備えてなることを特徴とする低圧電気計器用接続端子。
【請求項2】
前記挿入部は、前記端子挿入孔の内径よりも僅かに小さい外径を有する請求項1に記載の低圧電気計器用接続端子。
【請求項3】
前記挿入部は、ジャックナットからなる押圧係合手段と、その中心に部分的に螺合され、外部から回転操作可能に保持されるネジとで形成されてなる請求項1または2に記載の低圧電気計器用接続端子。
【請求項4】
前記挿入部は前記円筒状導体の一部に形成されてなる求項1または2に記載の低圧電気計器用接続端子。
【請求項5】
前記押圧係合手段は、前記挿入部における側壁の一部に穿設された貫通孔を通して外力の作用により内外に往復動可能に形成されたものである請求項1、2または4に記載の低圧電気計器用接続端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−108539(P2011−108539A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263610(P2009−263610)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】