説明

低比重素材をチップとして用いて天然石質感を具現した人造大理石及びその製造方法

【課題】本発明は層化またはクランチ技術によって低比重素材を人造大理石用チップとして使って天然石の質感を具現した人造大理石及びその製造方法を提供する。
【解決手段】低比重素材よりなる低比重層と高比重の無機充填剤を含む高比重層で層化(lamination)して平板を製造し、これを粉砕してチップとして使用することによって、低比重素材よりなる低比重領域を高比重の無機充填剤を含む高比重スラリーでコーティングしてクランチ(crunch)形態のチップを製造することにより、既存に適用不可能であった低比重素材を人造大理石に適用して天然大理石の質感と著しく類似した外観効果を具現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低比重素材(比重0.2ないし2.0)を人造大理石用チップとして使って天然石の質感を具現した人造大理石及びその製造方法に係り、さらに詳しくは層化またはクランチ技術によって低比重素材を相対的に高比重化させたチップを使用することにより既存に適用不可能であった低比重素材を人造大理石に適用して天然石の質感とごく類似した人造大理石及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人造大理石は天然石粉や鉱物をアクリル、不飽和ポリエステル、エポキシなどの樹脂成分やセメントと配合し、顔料及び添加剤などを添加して天然石の質感を具現した人造合成体を通称し、代表的にはアクリル系人造大理石、ポリエステル系人造大理石、設計されたストーン(Engineered stone)系人造大理石などが挙げられる。
【0003】
ここで、設計されたストーンとは、天然石粉と石英、ガラス、鏡、水酸化アルミニウムなどを主材料にし15重量%以下の樹脂を使って作った人造大理石を指し、以下E-stoneと称する。
【0004】
従来の人造大理石製品は単色の製品であるか幾つかの有色チップだけを使用した単純な外観を有していて、天然大理石の外観を模倣する人造大理石を開発するための多くの研究が行われてきた。
【0005】
アクリル素材などの低比重素材は単独で使用する際比重差によってスラリーの上側に浮き上がるようになり、よって既存チップとの分離現象が発生して製品の表面に効果が具現されないため、既存の人造大理石の工程に低比重素材を使用できなかった。
【0006】
韓国特許公開第2004-59913号にはチップインチップを使用したことを特徴とするアクリル系人造大理石が開示されているが、これは単に比重に似ている素材をカラー効果次元で組み合わせたレベルであり、全体組成物において無機充填剤を使用して透明度に劣る。
【0007】
韓国特許登録第376605号にはチップが投入された人造大理石パネルにおいて、比重と色相が相異なるチップが低比重チップは表面に、中比重チップは中間に、高比重チップは裏面に分散され、表面と裏面とが相異なる模様及び色相を有することを特徴とする人造大理石パネルが開示されているが、本発明とは違ってチップの比重を相違にしてかえって層分離を誘導した場合である。
【0008】
韓国特許登録第491874号には、(A)アクリル樹脂シラップ100重量部に対して、無機充填物120ないし200重量部、架橋剤2ないし10重量部及び重合開始剤0.1ないし10重量部よりなる人造大理石スラリー100重量部、及び(B)アクリル樹脂シラップ100重量部に対して、無機充填物100ないし150重量部、架橋剤2ないし10重量部及び開始剤0.1ないし10重量部よりなるマーブルチップ5ないし70重量部よりなり、前記人造大理石スラリーの無機充填物混合比はマーブルチップの無機充填物混合比に比べて20ないし50重量部が多いことを特徴とする人造大理石が開示されているが、マーブルチップに無機充填剤を使って透明度に劣る。
【0009】
日本特許登録第3648592号には比重と模様を相違にした多種のチップを適用した人造大理石が開示されているが、本発明のように高比重化による低比重素材の活用とは関連がない。
【0010】
日本特許登録第3685116号には熱硬化性樹脂を主成分にする樹脂化合物を加熱硬化して得られる人造大理石であって、その人造大理石の表面側が非発泡人造大理石層になり、裏面側が非発泡人造大理石層より密度が低い発泡人造大理石層よりなっていることを特徴とする人造大理石が開示されているが、この発明の場合裏面を発泡層で構成してビス設置、リサイクル、カット加工などを容易にするものにすぎず、本発明で開示する高比重化による低比重素材の活用とは関係ない。
【0011】
日本特開1999-343156号には人工大理石用シラップ100重量部に対して比重が0.5ないし1.5g/cmであり、平均粒径が3mm以下の無機質発泡粒状物を20ないし180重量部混合した配合物を加熱重合した軽量人工大理石が開示されており、日本特開2001-335382号にはメタクリル酸メチルを主成分にする重合性成分10ないし65重量%、無機物充填材30ないし85重量%、比重が0.05ないし0.7であり、平均粒径が10ないし300μmである有機中空充填材0.1ないし10重量%よりなる軽量人工大理石用組成物が開示されているが、これら発明の場合は人工大理石の軽量化に関するだけ、本発明で開示する高比重化による低比重素材の活用とは関係ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、その目的は天然大理石の質感を持たせる多様な低比重素材を人造大理石に活用し、比重差を克服して比重が既存のチップに似たまま人造大理石にチップとして適用することにより既存のチップとの分離現象を無くし、また既存の人造大理石と同じく表面を製品面として使用することによりその物性が安定的であり著しい天然大理石の質感の具現が可能な人造大理石及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために本発明は、ベース領域とチップとから構成される人造大理石において、前記チップとしてベース領域より小さい比重を有する低比重素材を使用し、ベース領域より大きい比重を有する高比重素材を用いて比重を高めた高比重化チップを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第1実施例によれば、前記高比重化チップは高比重素材を含んでベース領域比重が大きい高比重層及び低比重素材で構成されベース領域より比重が小さい低比重層よりなることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2実施例によれば、前記高比重化チップは高比重素材を含んでベース領域の比重より大きい高比重領域及び低比重素材で構成されベース領域の比重より小さい低比重領域よりなり、高比重領域をベースにして低比重領域が均一に分布することを特徴とする。
【0016】
本発明は高比重素材(比重2.0以上)を使用して低比重素材(比重0.2ないし2.0)に対する比重を高めて既存の人造大理石チップに似ている新たな形態のチップ(以下、高比重化チップと称する)を含む人造大理石に関する。
【0017】
本発明において高比重化チップは低比重素材を既存の人造大理石に適用するために高比重の充填剤を使って比重を既存のチップに類似に調節したチップを指す。
【0018】
本発明では層化法(lamination)またはクランチ(crunch)技術を使って低比重素材の比重を高くし、具体的に層化法によって低比重素材で構成される低比重層と高比重の充填剤を含有する比重調整層を層化によって一体化させたり、クランチ技術により低比重領域を高比重の充填剤を含有する高比重スラリーでコーティングしてクランチ状のチップを製造することにより、低比重素材を相対的に高比重化させて、この高比重化チップが適用される人造大理石と比重差が出る短所を解決することができる。
【0019】
本発明において高比重化チップの比重はこのチップが適用される人造大理石原料組成物の比重と同一になるか、その比重差が±0.2以下であることが望ましい。
【0020】
本発明は高比重化チップと該チップが適用される人造大理石原料組成物との比重差を最小化することを特徴とし、高比重化チップと原料組成物との比重差がないもの、すなわち比重が等しいか、その比重差が0.2以下の場合チップ分離現象が発生しない。
【0021】
本発明者は天然石に含まれた石英及び高純度のシリカのような透明性を再現して模様及び色相において天然石に似た人造大理石を製造するため、人造大理石原料にアクリル樹脂のような透明な低比重素材を導入したが、低比重素材の透明性を確保するために充填剤を添加しないことによって、低比重素材をチップ状で人造大理石に適用する際比重差によってチップの分離現象が発生した。
【0022】
具体的に説明すれば、一般にプラスチック樹脂は比重1.5以下の低比重素材であり、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)のような透明なアクリル樹脂の比重は概略1.17ないし1.20程度である。しかし、人造大理石原料組成物の比重は一般的に1.4ないし1.8程度である。
【0023】
このように透明樹脂と人造大理石原料組成物の比重差が存在することにより、このような樹脂で透明チップを製造して人造大理石に適用する際透明チップの分離現象が発生する。今のところ、高比重(1.6以上)の透明高分子がないことから、透明チップを適用した人造大理石製品がない実情である。
【0024】
本発明では透明な低比重素材を相対的に高比重化させて低比重素材を含むチップと人造大理石原料組成物との比重差を最小化させることにより、透明な低比重素材の分離現象を発生せず天然石英のような効果を演出することができる。
【0025】
本発明において高比重化チップの全体比重は人造大理石原料組成物の比重に似ていた1.3ないし2.0、特に1.6 ないし1.8であることが望ましい。高比重化チップの比重が前記範囲に至るように高比重層または高比重領域の比重は1.5ないし10、特に2.0ないし5.0であることが望ましい。低比重層または低比重領域の比重は0.2ないし2.0であり、通常1.5以下である。
【0026】
本発明において低比重層または低比重領域は光透過率が70ないし100%、望ましくは95%以上である透明層または透明チップであることが望ましい。既存のチップは水酸化アルミニウムのような充填剤を含有して光透過率が60%以下である半透明チップであった。同一な光透過率であっても厚さを調節することにより透明効果を増大させることができる。
【0027】
本発明において高比重層及び低比重層または高比重領域及び低比重領域に使われるベース樹脂はアクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、スチレン-メチルメタクリレート共重合体(SMMA:styrene-methylmethacrylate copolymer)樹脂などであり、アクリル樹脂(PMMA)、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのような透明な高分子樹脂が望ましく、特に低比重層または低比重領域はアクリル樹脂をベース樹脂にする透明アクリルチップであることが望ましい。
【0028】
本発明によれば、高比重層または高比重領域を導入することにより光透過率及び全般的な物性に優れた透明アクリルチップを直接に適用できることから、天然石英チップ効果の演出を通じた天然リアリティを確保できるのみならず、比重差によって適用が不可能であったキャスティング工法及び研磨のような後工程の適用が可能である。
【0029】
本発明において高比重層または高比重領域は低比重層または低比重領域の比重調節のために充填剤を含み、適切な充填剤としてバリウム、硬炭、石粉、シリカ、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、金属粉末、金属塩などを使用することができる。充填剤の比重は少なくとも2.5以上であるべき、望ましい充填剤の比重範囲は2.5ないし10である。使用量対比比重調節効果を高めるためには高比重充填剤を使用することが有利である。
【0030】
本発明の第1実施例による人造大理石最終製品の場合高比重層がサンディングにより除去され低比重層が表面に露出されることにより、透明な低比重層による独特な外観効果を具現することができる。
【0031】
本発明の第2実施例による人造大理石最終製品の場合高比重領域がサンディングにより部分的に除去され低比重領域が表面に露出されることにより、透明な低比重領域による独特な外観効果を具現することができる。
【0032】
本発明において高比重化チップの形状は別に制限されず、例えば円筒形または四面体、六面体などの多面体であり得、六面体形態が一般的である。
【0033】
本発明において外観効果及び成形性などを考慮して、高比重化チップの大きさは0.5ないし20mm、高比重化チップの投入量は人造大理石原料組成物100重量部を基準にして0.1ないし100重量部であることが望ましい。
【0034】
本発明に係る人造大理石はアクリル系人造大理石、不飽和ポリエステル系人造大理石、または天然石、石英、ガラス、鏡 無機充填物などを主原料にし、ベース樹脂シラップを人造大理石全体重量に対して15重量%以下に使用して作製するE-Stone系人造大理石でありうる。
【0035】
また、本発明は人造大理石より小さい比重を有する低比重層用平板を製造する段階と、低比重層用平板に人造大理石より大きい比重を有する高比重層用平板を積層する段階と、積層された平板を粉砕して低比重層と高比重層よりなる高比重化チップを製造する段階と、高比重化チップを人造大理石に適用する段階とを含む人造大理石の製造方法を提供する。
【0036】
また、本発明は人造大理石より小さい比重を有する低比重領域用チップを製造する段階と、低比重領域用チップを人造大理石より大きい比重を有する高比重領域用組成物に混合する段階と、混合物を平板化した後粉砕して高比重領域をベースとして低比重領域が均一に分布する高比重化チップを製造する段階と、高比重化チップを人造大理石に適用する段階とを含む人造大理石の製造方法を提供する。
【0037】
本発明において高比重層用平板または高比重領域用組成物に添加される充填剤の比重及び添加量を調節することにより、人造大理石原料組成物の比重と同一になるか近くなるように高比重化チップの比重を調節することができる。
【0038】
本発明の第1実施例によれば、高比重層用平板及び低比重層用平板の厚さを調節することにより、人造大理石原料組成物の比重と同一であるか近接するように高比重化チップの比重を調節できる。厚さ調節により高比重層及び低比重層の剥離を防止することもできる。
【0039】
本発明の第2実施例によれば、高比重化チップ用平板の製造時に平板の鋳型厚さを低比重領域用チップの最大直径と同じく調節することにより、高比重化チップの内部で低比重領域のチップの偏り現象を防止することができる。
【0040】
本発明の第1実施例によれば、人造大理石を硬化させた後サンディングして高比重層の一部ないし全部を除去して低比重層を表面に露出させることにより、透明な低比重層による独特な外観効果を奏することができる。
【0041】
本発明の第2実施例によれば、人造大理石を硬化させた後サンディングして高比重領域を部分的に除去して低比重領域を表面に露出させることにより、透明な低比重領域による独特な外観効果を具現することができる。
【0042】
本発明において各平板の硬化方法はキャスティング法、プレス法、振動バイブレータ(vibrator)法、UV硬化法などが適用可能である。
【発明の効果】
【0043】
以上述べたように、本発明により透明アクリル素材など人造大理石製造スラリーより比重が低い素材を適用することによって極めて多様な素材を人造大理石に適用でき、これにより天然大理石の質感とごく類似した外観効果を具現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、添付した図面に基づき本発明を詳述する。
【0045】
図1は本発明の第1実施例による高比重化チップの断面図であって、この高比重化チップ10は低比重層11及び高比重層12より構成されている。
【0046】
高比重化チップ10の形状は六面体形態が適切であるが、これに制限されず円筒形、四面体なども可能であり、また規則的か不規則的でありうる。
【0047】
高比重化チップ10の積層構造は図面に示された2層構造に限定されず、多数の低比重層11及び高比重層12で構成される多層構造でありうる。多層構造の場合低比重層11と高比重層12は部分的に交代に積層されうる。
【0048】
図2は本発明の第1実施例による高比重化チップを適用した人造大理石の断面図であって、この人造大理石1はベース領域1aとチップで構成され、チップは本発明に係る高比重化チップ10及び一般の単色チップ20で構成されている。
【0049】
高比重化チップ10はベース領域1aより小さい比重を有する低比重素材を使用し、ベース領域1aより大きい比重を有する高比重素材を用いて比重を高めたチップであって、高比重素材を含んでベース領域1aより比重が大きい高比重層12及び低比重素材より構成されベース 領域1aより比重が小さい低比重層11よりなっている。
【0050】
図2から確認できるように、高比重化チップ10はベース領域1aと比重差が殆んどなくて、一般の単色チップ20との分離現象がなく均一に分布されている。実質的には高比重化チップ10の比重がベース領域1aよりやや高くなるように作製することにより、高比重化チップ10を表面側に分布させるのが外観具現及び製造工程面において望ましい。高比重化チップ10の配列は高比重層12の影響から図面に示したように表面方向に規則的である。
【0051】
図3は図2の人造大理石をサンディングした後の断面図であって、サンディングにより高比重層12の一部ないし全部が除去されることにより、透明な低比重層11が表面に露出されることにより独特であり高級な外観効果を奏することができる。
【0052】
図4は本発明の第1実施例による人造大理石の表面写真であって、天然大理石の質感とごく類似した外観効果を確かめることができる。
【0053】
本発明の第1実施例による人造大理石の製造方法は高比重化チップの製造工程及びこれを用いた人造大理石の製造工程で構成され、高比重化チップの製造工程は低比重層及び高比重層用平板の製造工程、層化工程及び粉砕工程とから構成される。
【0054】
高比重化チップ製造用人造大理石平板は重合可能な樹脂及び無機物などを混合したコンパウンドを硬化させることにより得られ、低比重層用平板の場合無機充填剤が排除される。
【0055】
低比重層用平板は低比重素材(比重0.2ないし2.0)を使って平板状に硬化させ製造する。低比重素材としては一般的な透明樹脂ならば全て使用可能であるが、物性及び効果を考慮して高透明性樹脂であるPMMA、PCなどが適当である。また透明平板はその製造方式にはいずれも構わない。
【0056】
透明樹脂を低比重層として使用する場合比重が人造大理石のベースと差が大きくて硬化時製品裏面(スチルベルトを基準にしてこれと接する面が製品表面になり、その反対側に空気と接する面が裏面になる)に浮き上がって実際製品面ではその効果が大幅に制限されるという短所がある。これを解決するため、低比重層用平板を高比重フィラーを使った高比重層と一体化させる。
【0057】
高比重層用平板はベース樹脂シラップ100重量部に対して無機充填剤50ないし1500重量部、架橋剤0.1ないし10重量部、重合開始剤0.1ないし10重量部、顔料0.1ないし5重量部を含むスラリーを使って平板状に硬化させ製造する。
【0058】
高比重層に使われる無機充填剤はバリウム、硬炭、石粉、シリカ粉末などの高比重(比重2.0以上)を有する素材である。
【0059】
各平板の製造及び積層順序は別に制限されず、各平板の硬化方法は一般的に使用されているキャスティング法、プレス法、振動バイブレータ法、UV硬化法などが適用可能である。
【0060】
高比重層及び低比重層は2層以上の多層で構成することができ、例えば1層の低比重層に1ないし3層の高比重層を形成することができる。
【0061】
高比重化チップの適用サイズに応じて粉砕時高比重層と低比重層が剥離されないように低比重層の厚さと高比重層の厚さ調節が必要である。
【0062】
各平板の製造及び積層が完了すれば積層された平板を粉砕して高比重化チップを製造し、この高比重化チップを適用して人造大理石を製造する。
【0063】
人造大理石の製造時一般の単色チップを混用する場合、図2のようなパターンが形成され、サンディングを施すと図3のようなパターンが形成される。
【0064】
図5は本発明の第2実施例による高比重化クランチチップの断面図であって、この高比重化クランチチップ10は高比重領域11をベースにしてチップ状の低比重領域12が均一に分布したクランチ状の構造を有する。クランチチップとはお菓子類から頻繁に見られる構造であって、アーモンドのような粒がチョコレートなどのベースに充填されているような構造のチップである。
【0065】
高比重化クランチチップ10の形状は別に制限されず、例えば六面体、円筒形などが可能であり、また規則的か不規則的でありうる。
【0066】
図6は本発明の第2実施例による高比重化クランチチップを適用した人造大理石の断面図であって、この人造大理石1はベース領域1aとチップで構成され、チップは本発明に係る高比重化クランチチップ10及び一般の単色チップ20で構成されている。
【0067】
高比重化クランチチップ10はベース領域1aより小さい比重を有する低比重素材を使用し、ベース領域1aより大きい比重を有する高比重素材を用いて比重を高めたチップであって、高比重素材を含んでベース領域1aより比重が大きい高比重領域11及び低比重素材で構成されベース領域1aより比重が小さい低比重領域12よりなり、高比重領域11に基づきチップ状の低比重領域12が均一に分布する。
【0068】
図6から分かるように、高比重化クランチチップ10はベース領域1aと比重差が殆んどなくて、一般の単色チップ20との分離現象なしで均一に分布されている。実質的に高比重化クランチチップ10の比重がベース領域1aよりやや高くなるように作製することによって、高比重化クランチチップ10を表面側に分布させるのが外観具現及び製造構成面において望ましい。
【0069】
図7は図6の人造大理石をサンディングした後の断面図であって、サンディングにより高比重領域11が部分的に除去されることにより、透明な低比重領域12が表面に露出されることによって独特で高級な外観効果を具現することができる。
【0070】
図8は本発明の第2実施例による人造大理石の表面写真であって、天然大理石の質感と著しく類似した外観効果を確めることができる。
【0071】
本発明の第2実施例に係る人造大理石の製造方法は高比重化クランチチップの製造工程及びこれを用いた人造大理石の製造工程とに区分され、高比重化クランチチップの製造工程は低比重領域用チップの製造工程、クランチチップ製造工程及び粉砕工程で構成される。
【0072】
高比重化クランチチップ製造用人造大理石平板は重合可能な樹脂及び無機物などを混合したコンパウンドを硬化指せることにより得られ、低比重領域用平板の場合無機充填剤が排除される。
【0073】
低比重領域用チップは低比重素材(比重0.2ないし2.0)を使って平板状に硬化させた後粉砕して製造する。
【0074】
透明樹脂を低比重領域用チップとして使用する場合、比重が人造大理石のベースと差が大きくて硬化時製品裏面に浮き上がった実際製品面ではその効果が大幅に制限されるという短所がある。これを解決するために低比重領域用チップを高比重フィラーを使った高比重スラリーでクランチ状のチップを製造する。
【0075】
高比重領域用組成物はベース樹脂シラップ100重量部に対して無機充填剤50ないし1500重量部、架橋剤0.1ないし10重量部、重合開始剤0.1ないし10重量部、顔料0.1ないし5重量部を含む。
【0076】
高比重領域用組成物に使われる無機充填剤はバリウム、硬炭、石粉、シリカ粉末などの高比重(比重2.0以上)を有する素材である。
【0077】
高比重化クランチチップは高比重領域用組成物に低比重領域用チップ50ないし500重量部を混合して平板状に硬化させた後粉砕して製造する。
【0078】
この際高比重化チップ用平板の鋳型厚さを低比重領域用チップの最大直径等しくすることによって、同時に高比重領域用組成物の粘度を調節することにより、高比重化クランチチップの内部で低比重領域のチップ偏り現象を防止することができる。
【0079】
各平板の硬化方法は一般的に使われているキャスティング法、プレス法、振動バイブレータ法、UV硬化法などが適用可能である。
【0080】
このように製造した高比重化クランチチップを適用して人造大理石を製造し、人造大理石製造時一般単色チップを混用する場合、図6のようなパターンが形成され、サンディングを施すと図7のようなパターンが形成される。
【実施例1】
【0081】
アクリル樹脂(比重:1.19、光透過率:95%)を使って透明な低比重層用平板を製造した後、この透明平板上にアクリル系樹脂100重量部、高比重の充填剤である硫酸バリウム(比重4.499)150重量部を含むスラリーを使って高比重層用平板(比重3.175)を形成してから、積層物を粉砕して高比重化チップを製造した。
【0082】
このように製造された高比重化チップの比重は1.65であったし、人造大理石製造時投入して(投入量10重量%)比重差(±0.1)による既存の一般チップとの層分離なしで良質の製品が得られた。
【実施例2】
【0083】
アクリル樹脂(比重:1.19、光透過率:95%)を使って透明な低比重平板を製造した後粉砕して低比重透明チップを製造した。この透明チップ110重量部をアクリル系樹脂100重量部、高比重の充填剤である硫酸バリウム(比重4.499)160重量部を含むスラリー(比重3.175)に硬化剤と添加剤とを混合して高比重化チップ用平板を形成してから粉砕して高比重化クランチチップを製造した。
【0084】
このように製造された高比重化クランチチップの比重は1.64であったし、人造大理石製造時投入して(投入量10重量%)比重差(±0.1)による層分離が起らず良質の製品が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によって透明アクリル素材など人造大理石製造スラリーより低比重の素材を適用することによって極めて多様な素材を人造大理石に適用することができ、これにより天然大理石の質感と著しく類似した外観効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1実施例による高比重化チップの断面図である。
【図2】本発明の第1実施例による高比重化チップを適用した人造大理石の断面図である。
【図3】図2の人造大理石をサンディングした後の断面図である。
【図4】本発明の第1実施例による人造大理石の表面写真である。
【図5】本発明の第2実施例による高比重化クランチチップの断面図である。
【図6】本発明の第2実施例による高比重化クランチチップを適用した人造大理石の断面図である。
【図7】図6の人造大理石をサンディングした後の断面図である。
【図8】本発明の第2実施例による人造大理石の表面写真である。
【符号の説明】
【0087】
1: 人造大理石
1a: ベース 領域
10: 高比重化チップ
11: 高比重層(領域)
12: 低比重層(領域)
20: 単色チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース領域とチップとから構成される人造大理石において、
前記チップとしてベース領域より小さい比重を有する低比重素材を使用し、ベース領域より大きい比重を有する高比重素材を用いて比重を高めた高比重化チップを含むことを特徴とする人造大理石。
【請求項2】
高比重化チップが高比重素材を含んでベース領域より比重が大きい高比重層及び低比重素材で構成されベース領域より比重が小さい低比重層よりなることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。
【請求項3】
高比重化チップが高比重素材を含んでベース領域の比重より大きい高比重領域及び低比重素材で構成されベース領域の比重より小さい低比重領域よりなり、高比重領域をベースにして低比重領域が均一に分布することを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。
【請求項4】
高比重化チップの比重がこのチップが適用される人造大理石原料組成物の比重と等しいか、その比重差が±0.2以下であることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。
【請求項5】
高比重化チップの全体比重が1.3ないし2.0であることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。
【請求項6】
高比重層または高比重領域の比重が1.5ないし10であることを特徴とする請求項2または3に記載の人造大理石。
【請求項7】
低比重層または低比重領域の比重が0.2ないし2.0であることを特徴とする請求項2または3に記載の人造大理石。
【請求項8】
低比重層または低比重領域が70ないし100%の光透過率を有する透明層または透明チップであることを特徴とする請求項2または3に記載の人造大理石。
【請求項9】
高比重層及び低比重層または高比重領域及び低比重領域に使われるベース樹脂がアクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、スチレン-メチルメタクリレート共重合体(SMMA)の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の人造大理石。
【請求項10】
低比重層または低比重領域がアクリル樹脂をベース樹脂とする透明アクリルチップであることを特徴とする請求項2または3に記載の人造大理石。
【請求項11】
高比重層または高比重領域が比重2.5ないし10の充填剤を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の人造大理石。
【請求項12】
充填剤がバリウム、硬炭、石粉、シリカ、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、金属粉末、金属塩の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項11に記載の人造大理石。
【請求項13】
高比重層がサンディングにより除去され低比重層が表面に露出されることを特徴とする請求項2に記載の人造大理石。
【請求項14】
高比重領域がサンディングにより部分的に除去され低比重領域が表面に露出されることを特徴とする請求項3に記載の人造大理石。
【請求項15】
高比重化チップの大きさが0.5ないし20mmであることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。
【請求項16】
高比重化チップの投入量が人造大理石原料組成物100重量部を基準にして0.1ないし100重量部であることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。
【請求項17】
人造大理石がアクリル系人造大理石、不飽和ポリエステル系人造大理石または設計されたストーン(Engineered stone)系人造大理石であることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石。
【請求項18】
人造大理石より小さい比重を有する低比重層用平板を製造する段階と、
低比重層用平板に人造大理石より大きい比重を有する高比重層用平板を積層する段階と、
積層された平板を粉砕して低比重層と高比重層よりなる高比重化チップを製造する段階と、
高比重化チップを人造大理石に適用する段階とを含む人造大理石の製造方法。
【請求項19】
人造大理石より小さい比重を有する低比重領域用チップを製造する段階と、
低比重領域用チップを人造大理石より大きい比重を有する高比重領域用組成物に混合する段階と、
混合物を平板化した後粉砕して高比重領域に基づき低比重領域が均一に分布する高比重化チップを製造する段階と、
高比重化チップを人造大理石に適用する段階とを含む人造大理石の製造方法。
【請求項20】
高比重層用平板または高比重領域用組成物に添加される充填剤の比重及び添加量を調節することにより、人造大理石原料組成物の比重と同一になるか近くなるように高比重化チップの比重を調節することを特徴とする請求項18または19に記載の人造大理石の製造方法。
【請求項21】
高比重層用平板及び低比重層用平板の厚さを調節することにより、人造大理石原料組成物の比重と同一になるか近くなるように高比重化チップの比重を調節することを特徴とする請求項18に記載の人造大理石の製造方法。
【請求項22】
高比重化チップ用平板の製造時に平板の鋳型厚さを低比重領域用チップの最大直径に類似に調節することを特徴とする請求項19に記載の人造大理石の製造方法。
【請求項23】
人造大理石を硬化させた後サンディングして高比重層の一部ないし全部を除去することを特徴とする請求項18に記載の人造大理石の製造方法。
【請求項24】
人造大理石を硬化させた後サンディングして高比重領域を部分的に除去して低比重領域を表面に露出させることを特徴とする請求項19に記載の人造大理石の製造方法。
【請求項25】
各平板の硬化方法がキャスティング法、プレス法、振動バイブレータ法またはUV硬化法であることを特徴とする請求項18または19に記載の人造大理石の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−529958(P2008−529958A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520197(P2008−520197)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003796
【国際公開番号】WO2007/142391
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】