説明

低燃費低排気ガス燃焼方法及びその装置

【課題】 燃焼性に優れ低燃費と低排気ガスを可能となす燃焼方法及び燃焼装置の提供。
【解決手段】 石油類やLPG若しくはLNG類の燃焼源に対して、最大60容量%割合の水が混合されたうえ衝突、撹乱、破砕を膨大数繰返して、極微細状で且均質に分散混合させた混合液若しくは混合気燃料となしたうえ、高温空気と共に燃焼バーナーで燃焼させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガソリンを初め灯油、軽油、重油等の石油類や、LPG若しくはLNG等のガス類の燃焼源に対し、水を最大60容量%割合で混合させ、以って燃焼性を保持しつつ低燃費化と低排気ガス化を可能とする燃焼方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンを初め灯油、軽油、重油等の石油類や、LPG若しくはLNG等のガス類においては車輌用内燃機や、加熱ボイラー等による加熱蒸気や温水形成のため、或いは有機物等の乾燥や焼却等における主たる燃焼源として膨大量の消費がなされているのもので、因みに石油類についての2007年度の消費統計(単位万kl)によれば、ガソリン5908、灯油2267、軽油3556、重油4671に及んでいる。
【0003】
そして今後も発展途上国の産業発展に伴うエネルギー確保や、自動車社会の拡大に伴い燃焼源の更なる膨大な消費を想定すると、これら燃焼源は専ら天然資源に依拠するものであるから資源の枯渇化は早晩に露呈する。
加えてこれら燃焼源の燃焼に際しては煤煙はもとより多種に亘る排気ガスの排出がなされて来ており、これによる地球規模での温暖化による異常気象はもとより、都市部の如き車輌の利用が激しい地域や生産工場の林立する地域においては健康被害も多発している。
【0004】
これがため一方における車輌用内燃機関においてはリーンバーンエンジン即ち希薄燃焼方式エンジンとして筒内直接噴射によりガソリンと空気の混合比を、従来の1:15から1:40〜50という超希薄状態での燃焼を可能にし、或いはミラーサイクルエンジン即ち吸気バルブの閉じるタイミングをずらすことにより圧縮比<膨張比として低ノッキング性や高効率燃焼等により燃費を削減し、更にはジーゼル内燃機関においても予燃焼室や渦流室を設けて燃焼性の向上による燃費の削減や排気ガスの削減への対策が施されつつある。
【0005】
他方加熱ボイラー等において燃焼源に水エマルジョンを用いる場合の液体燃焼バーナーにおいて、閉塞しないノズル構造として複数の傾斜エアースリットを内周に複数有し、中央に直管の燃料送油パイプを配置した構造の旋回外部混合噴霧燃焼ノズルを有する二流体バーナーや、該バーナーにおいて燃焼空気を旋回増速させるためウインドボックスの接線方向に二次空気ダクトを配置したバーナー等を使用することにより、有害排ガスを少なくコントロールすることが可能なる技術が公開されているものの、燃費の低減化や安定した燃焼性はもとより有害排ガスの削減効果の推定すら不能である。
【0006】
更には水電解ガスと気体化石燃料を混合させて燃焼させることにより、二酸化炭素の排出量が低減されると共に原料となる気体化石燃料の消費用の大幅な低減が可能で且強力な火力が持続的に得られる燃料を生成できる装置が同様に公開されている。しかしながらかかる技術においては水電解ガスの生成に大型且多重量の電解装置が要請されるとともに、水電解ガス生成のための電力も膨大となり生成コストも高価となるばかりか、気体化石燃料との混合装置も極めて大型となり、既設ボイラーに付帯させることはスペース面で全く不可能であり、而も水電解ガスは危険性が高く上市活動がなされているものの、未だ実用使用も見聞きされない。
【特許文献1】 特開2004−177096号公報
【特許文献2】 特開2009−203456号公報
【0007】
発明者等はかかる経緯をもとに鋭意研究を重ね且再々に亘って実験を重ねた結果、石油類やガス類等の天然資源の使用低減化と排気ガスの排出削減化の実現には、石油類やガス類等からなる燃焼源に対して水を加熱加温させながら、該燃焼源に対して最大60容量%割合まで混合し、且高圧高速で衝突撹乱破砕せしめて極微細状に分散混合させ、その微爆燃焼作用により、低燃費化と低排出ガス化が実現できることを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は燃焼性に優れ、低燃費で低排出ガスを可能とする低燃費低排出ガス燃焼方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために本発明が用いた燃焼方法に係る技術手段は、ガソリンを初め灯油、軽油、重油等の石油類や、LPG若しくはLNG等のガス類からなる燃焼源に対して、水を加熱若しくは加温させながら最大60容量%割合まで混合させて混合物となしたうえ、この混合物と高圧且高速で衝突撹乱破砕せしめて極微細状に分散混合させて混合液若しくは混合気燃料となしたうえ、燃焼ノズルを包被して加熱空気放射がなされるバーナー、若しくは燃焼ノズルに熱伝導性の低い素材が用いられたバーナー等で燃焼させる構成に存するものであり、更には燃焼源に対して少なくとも40容量%割合以上の水が混合され、且衝突撹乱破砕されて極微細状に分散混合された混合液若しくは混合気燃料の燃焼に際しては、予め燃焼源のみの混合液若しくは混合気燃料を燃焼させてバーナー近傍や炉内の温度を十分に高温化させたうえ、燃焼源と水との混合液若しくは混合気燃料に切替えてバーナーで燃焼させることにより、気化熱の剥奪による燃焼温度の低下防止と、且極微細粒径の水分の微爆性を促進せしめて燃焼させるハイブリッド燃焼をなす低燃費低排出ガス燃焼方法に存する。
【0010】
更に本発明低燃費低排出ガス燃焼装置においては、移送管の一側端にガソリン、灯油、軽油、若しくは重油等の石油類若しくはLPG或いはLNG等のガス類からなる燃焼源と水とが所要の容量%割合で混合された混合物を高圧且高速で移送させるための移送ポンプが設けられてなり、且移送管の適宜位置には所要量の燃焼源が貯留される燃焼源タンクより供給ポンプを介して燃焼源供給パイプ、及び水が貯留される水タンクより供給ポンプを介して水供給パイプがそれぞれ移送管に連結されている。加えて混合された水の燃焼に際しての気化熱の剥奪を抑制するため、水タンクからの水供給パイプには加熱加温水とするための加熱ヒーターが配備されている。
【0011】
そして所要の所要%割合で混合された混合物を、高圧且高速で衝突撹乱破砕を膨大数繰返して極微細状に分散混合させるために、平面円形状で表枠板と挟持板及び裏枠板とが嵌着しえ且表枠板の中央に供給口及び裏枠板の中央には供出口を有し、表枠板と裏枠板の内側に適宜形状の係合壁がその外周縁に向って放射状に略等間隔に形成され、且表枠板と裏枠板の間に嵌着保持される挟持板の表裏面には、係合壁と所要の係合間隙を保持しつつ膨大数の係合区画を形成する係合部が形成され、而もその供給口から高圧高速で流入し衝突撹乱破砕が繰返され流通する混合液若しくは混合気燃料は、外周縁に向って拡散流通したうえ、外周縁部近傍に設けられた流通孔より、他方側に形成された膨大数の係合間隙と係合区画を集中流通されて、極微細状に且均質に分散混合させた混合液若しくは混合気燃料として供出口から供出される衝突撹乱破砕具が適宜数連接された衝突撹乱破砕具連結管が移送管の他側に連結され、更にこの衝突撹乱破砕具連結管の他側には、燃焼ノズルを包被して加熱空気放射管が配位された燃焼バーナーとから構成される低燃費低排出ガス燃焼装置に存するものであり、若しくは燃焼ノズルに熱伝導性の低い素材を用いてなる構成に存する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述の如き構成からなるものであって、本発明の燃焼方法においては石油類やガス類等からなる燃焼源に対して、水を加熱加温させつつ最大60容量%割合まで混合させて混合物となしたるうえ、この混合物を高圧且高速で膨大数からなる係合間隙及び係合区画内を衝突撹乱破砕せしめることにより、極微細状即ちより詳しくは最大でも30μm以下の極微細状で且燃焼源と水とが均質に分散混合された混合液若しくは混合気燃料になるとともに、燃焼ノズルを包被して加熱空気放射がなされるバーナー、若しくは燃焼ノズルに熱伝導性の低い素材が用いられるバーナーで燃焼されるものであるから、多量の水が混合された混合液若しくは混合気の燃焼に際しても気化熱の剥奪が著しく減少し、而も極微細状の水の微爆作用も積極的に発揮されて、高い燃焼性とともに当然の事ながら燃料費の著しい低減化はもとより排出ガスの大幅な削減化も実現される。
そして特段に燃焼性の安定が求められ、若しくは水の混合割合の多い混合液若しくは混合気燃料が使用され且燃焼が間断してなされる場合の燃焼装置の燃焼の確実化や腐蝕の対処手段としては、燃焼開始時には燃焼源のみの混合液若しくは混合気燃料で燃焼し、バーナー近傍や炉内温度が十分に上昇した時点で燃焼源と水との混合液若しくは混合気燃料に転換させ、而して燃焼を終了し若しくは中断する前に再び燃焼源のみの混合液若しくは混合気燃料に変換させるハイブリッド燃焼が挙げられる。
【0013】
更に本発明の燃焼装置においては、移送管の一側端には、該移送管内にて混合される燃焼源と水との混合物を高圧且高速で他側端に連結される衝突撹乱破砕具連結管3B内に、適宜数で連接される衝突撹乱破砕具に衝突させ撹乱させるための移送ポンプが設けられてなるため、移送ポンプの操作次第で混合物の衝突撹乱に係る圧力や速度も自在に調整ができる。
そして移送管には燃焼源タンク内の燃焼源が供給ポンプを介して燃焼源供給パイプにより供給され、且水も水タンクより供給ポンプを介して水供給パイプより供給されるものであるから、移送管内に供給された混合物に、所要の移送圧が付加されても燃焼源タンクや水タンク内への逆流も防止される。
加えて移送管内で混合される水は、加熱ヒーターにより加熱加温水として供給されるため、引続いてなされる衝突撹乱性や分散混合性も促進されるばかりか、混合液や混合気燃料化されてバーナーでの燃焼に際しても気化熱の剥奪が大幅に減少する。
【0014】
そして衝突撹乱破砕具は平面円形状で、その表材板と挟持板及び裏枠板とが一体的に嵌着でき、且その中央には供給口若しくは供出口が設けられ、而も表枠板及び裏枠板の内側には適宜形状の係合壁が外周縁に向って放射状に略等間隔で形成され、更には挟持板の表裏面には係合壁と所要の係合間隙を保持しつつ膨大数の係合区画を形成する係合部が形成され、且挟持板の外周縁近傍には表裏面を流通しえる流通孔が形成されてなるから、移送に係る高圧且高速で移送される混合物は、供給口より膨大数に形成される表枠板内側の係合間隙や係合区画を衝突や撹乱を繰返して外周縁に拡散流通し、而も外縁近傍の流通孔を経由して裏枠板内側の膨大数に形成された係合間隙や係合区画を、衝突や撹乱を繰返し供出口へと集中流通し供出されることにより、その微細化も略30μm以下と極微細状で、且燃焼源と水とも均質に分散混合された混合液若しくは混合気燃料が形成される。
【0015】
かくしてなる混合液若しくは混合気燃料は、混合される水が加熱加温されてなるため十分に加温されてなるから、燃焼に際しての気化熱の剥奪が著しく防止されて燃焼性が保持されるものであるが、本発明では燃焼源に対して最大60容量%割合の水が混合されるため、極微細化による水の微爆作用の発揮に加えて燃焼時の気化熱剥奪の防止を図るうえから燃焼に際して燃焼ノズルを包被して加熱空気放射管を配位させ、加熱空気と共に燃焼させることで極めて安定した高い燃焼性の燃焼が可能となり、併せて燃焼ノズルを熱伝導性の低い素材で形成することによっても同様に安定した高い燃焼性の燃焼がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ガソリン、灯油、軽油、重油等の石油類や、LPG若しくはLNG等のガス類からなる燃焼源に対し、加熱加温された水が60容量%割合まで混合された混合物を高圧且高速で衝突撹乱破砕せしめて極微細状で且分散混合させて混合液若しくは混合気となしたうえ、燃焼ノズルを包被して加熱空気放射管を配位させたうえ加熱空気と共にバーナーで燃焼させ若しくは燃焼ノズルが熱伝導性の低い素材で形成されたバーナーで燃焼させる。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は本発明燃焼方法のフロー図であって、本発明は一方における課題は燃料費の低減化であり、他方の課題としては燃焼後における排気ガスの大幅な削減化を図るものであって、当然にこれら課題の達成と共に燃焼エネルギーが従来以上に発揮されることが前提となる。
してみると課題の一つである燃料費の低減化にはガソリンや灯油、軽油、重油等の石油類、或いはLPGやLNGの使用量の低減化を図ることであり、他方排気ガスの削減は同様に排気ガスを発生させる石油類やガス類の燃焼を低減することである。
しかしながら石油類やガス類の使用量の低減化や燃焼の削減化は、同時にエネルギー量の低下に他ならず、産業活動にしろ自動車社会にしろ重大な支障が発生することとなる。
【0018】
かかる問題に対して石油類に水を乳化混合させてエマルジョン燃料として燃焼することにより燃焼された水が水蒸気改質反応を創出し或いは燃焼性の高い石油類やガス類の中での燃焼では、水が水性ガス反応なる作用を創出してエネルギーを十分に発揮させることも解明されている。
そして前記特開2004−177096号は、かかる水蒸気改質反応や水性ガス反応等を参考になされたものと推定されるが、実態は廃油等の燃焼処理に一部活用されている状態で、燃焼バーナーの改善で燃焼がなされているに過ぎない。
そこで発明者等はエマルジョン燃料について広範囲の研究機関の協力を得て研究を重ねた結果、燃焼性に優れる石油類やガス類等を燃焼源1Aとした場合には、該燃焼源に対するエマルジョン化条件並びに燃焼化条件が整合した場合には、水1Bを燃焼源1の容量に対して最大60容量%割合まで混合させたエマルジョン燃料を以って実用使用が可能なことを究明した。
【0019】
そこで図1の混合工程1においては、ガソリンを初め灯油、軽油、重油等からなる石油類、或いはLPGやLNGからなるガス類を燃焼源1Aとし、且水1Bを該燃焼源1Aの容量に対して最大60容量%割合まで混合させる。かかる場合の混合工程1は混合される燃焼源1A及び水1Bとを、高圧且高速で衝突撹乱破砕具3Aに衝突させ撹乱させるうえから、その一側端に移送ポンプ2Aが連結されてなる移送管2Bからなる移送工程2の一部でなされる。
そして高圧且高速で移送され衝突撹乱破砕工程3における衝突撹乱破砕具3Aにより極微細状で且均質分散混合されて形成される混合液若しくは混合気燃料4は、以後の燃焼工程5における燃焼に際して、気化熱の剥奪を抑制して安定した燃焼を図るうえから、予め混合工程1における水1Bには加熱加温水が望ましいことから、望ましくは70乃至100℃に加熱加温されたものが使用される。
【0020】
かくして形成された混合液若しくは混合気燃料4は、燃焼工程5において燃焼がなされるものであるが、該混合液若しくは混合気燃料4は水1Bが最大60容量%割合まで混合されてなるため安定した燃焼と高い燃焼性の発揮には、燃焼に際しての気化熱の剥奪を防止して燃焼ノズル部やバーナー近傍の温度低下の変動の防止が要点となる。
これがためには燃焼ノズルを包被して加熱空気放射管を配位させ、加熱空気と共にバーナーで燃焼させること、若しくは燃焼ノズルを熱伝導性の低い素材で形成させることで温度変動を抑制できることとなる。かかる場合の素材としてはステンレスでは18−18ステンやチタン、ニクロム及び耐熱セラミックス、磁器、石英等が挙げられる。
【0021】
更に水の混合割合の多い混合液若しくは混合気燃料4の燃焼に際して、若しくは燃焼使用が間断してなされる場合等においては、始動時や終了時前後に、図1の燃焼源1Aのみを一時に使用するハイブリッド燃焼が望まれる。
【0022】
次に本発明燃焼装置について詳細に述べれば、図2は本発明燃焼装置10の説明図であって、移送管2Bの一側端には該移送管2B内において所要の割合で混合される燃焼源1A及び水1Bが混合されたうえ、この混合物を高圧且高速で該移送管2Bの他側端に適宜数連接配位される衝突撹乱破砕具3Aに衝突させ撹乱させ破砕させるものであって、その移送に係る移送圧力や移送容量は使用目的によって異なるが、例えばボイラー等の場合ではその移送圧力は略10乃至100kg/cmで且移送容量としては10乃至100l/min程度が望まれる。
そして該移送管2B内では燃焼源1A及び水1Bが所要の容量割合を以って混合されるものであるから、燃焼源タンク1Cからは供給ポンプ1Eを介して燃焼供給パイプ1Gが移送管2Bと連結され、更に水タンク1Dからは供給ポンプ1Eを介して水供給パイプ1Hが移送管2Bと連結されてなるとともに、水1Bは少なくとも70℃から100℃程度に加熱加温されることが望まれるため、該水供給パイプ1Hの適宜位置には加熱ヒーター1Fが配備されている。
【0023】
そして混合物を高圧且高速で衝突させ撹乱させ破砕させて極微細状で且相互が均質に分散混合されて混合液若しくは混合気4を生成する衝突撹乱破砕具3Aは、図3の断面説明図で明らかな如く表枠板30Aと挟持板30B及び裏枠板30Cが一体的に嵌着できるもので、表枠板30Aの中央には供給口31Aが裏枠板30Cの中央には供出口31Cが設けられてなるとともに、表枠板30Aと裏枠板30Cの内側には、それぞれ適宜の形状の係止壁32Aが外周縁33Aに向って放射状に略等間隔で形成されてなるとともに、挟持板30Bの表裏面には係合壁32Aと所要の係合間隙34Aを保持しつつ膨大数の係合区画35Aを形成する係合部32Bが形成されている。
更に挟持板30Bの外周縁近傍には表裏面を流通しえる流通孔36Aが形成されている。
【0024】
従って高圧且高速で移送される混合物は供給口31Aより膨大数に形成される係合間隙34A及び係合区画35Aを激しく衝突し撹乱し破砕を繰返しながら、外周縁方向に拡散流通し、而して外周縁近傍に形成された流通孔36Aを経由して裏枠板30C内面に形成された膨大数の係合間隙34A及び係合区画35Aを激しく衝突し撹乱し破砕を繰り返しながら中央の供出口31Cに集中流通のうえ供出されて、極微細で均質分散混合された混合液若しくは混合気燃料4が形成される。
【0025】
ところで、かくして形成された混合液若しくは混合気燃料4は水1Bが燃焼源1Aに対して最大60容量%割合で混合されてなり、燃焼に際しての気化熱を多量に剥奪し低温度化による燃焼不良が招来される危険がある。
これがためには燃焼ノズル5A近傍を高温度に保持させることで、これがためには図2に示されてなる如く燃焼バーナー5Bの外側より燃焼ノズル5Aを包被して加熱空気放射管5Cを配位させて、高温空気と共に燃焼バーナー5Bで燃焼させることが提案され、更には燃焼ノズル5Aを熱伝導性の低い、即ち温度変化にも緩慢な素材で形成させることが望まれる。
【0026】
本発明における衝突撹乱破砕具3は、直径50mm、厚さ6mm供給口及び、供出口8mm、係合間隙0.3mm、係合区画3×3×3mmでの衝突撹乱流通量としては、加圧2.5kg/cmの場合で20l/minであって、燃焼ボイラー用としては1,200/時程度の能力に対処できる。そして本発明の衝突撹乱破砕具3は、その直径において最少5乃至10mm、厚さ2乃至3mm程度まで形成しえるとともに、極微細な噴霧も可能であるところから、当然に内燃機関のリーンバーンエンジン用としての利用も有望視されている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
ボイラーの燃焼バーナーに変換することで即時に稼動が可能であり、軽油や重油の他にLPG若しくはLNGでも対処できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 本発明燃焼方法のフロー図である。
【図2】 本発明燃焼装置の説明図である。
【図3】 衝突撹乱破砕具の断面説明図である。
【図4】 係合壁と係合部の係合説明図である。
【図5】 係合壁の見取図である。
【符号の説明】
【0029】
1 混合工程
1A 燃焼源
1B 水
1C 燃焼源タンク
1D 水タンク
1E 供給ポンプ
1F 加熱ヒーター
1G 燃焼源供給パイプ
1H 水供給パイプ
2 移送工程
2A 移送ポンプ
2B 移送管
3 衝突撹乱破砕工程
3A 衝突撹乱破砕具
3B 衝突撹乱破砕具連結管
30A 表枠板
10 燃焼装置
30B 挟持板
30C 裏枠板
31A 供給口
31C 供出口
32A 係止壁
32B 係合部
33A 外周縁
34A 係止間隙
35A 係合区画
36A 流通孔
4 混合液若しくは混合気燃料
5 燃焼工程
5A 燃焼ノズル
5B 燃焼バーナー
5C 加熱空気放射管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリン、灯油、軽油若しくは重油からなる石油類、及びLPG若しくはLNGからなるガス類の燃焼源に対して、水が最大60容量%割合で混合する混合工程と、該混合工程で混合された混合物を少なくとも2.5kg/cm以上の移送圧を以って衝突撹乱破砕具に移送させて衝突撹乱させる移送工程と、衝突撹乱破砕具内を膨大数に亘って衝突、撹乱、破砕せしめて極微細状で均質分散混合された混合液若しくは混合気燃料を生成する衝突撹乱破砕工程と、生成された混合液若しくは混合気を高温空気と共に燃焼させる燃焼工程からなる、低燃費低排気ガス燃焼方法。
【請求項2】
燃焼工程における燃焼バーナーのノズルが、熱伝導性の低い素材で形成されてなる、請求項1記載の低燃費低排気ガス燃焼方法。
【請求項3】
移送管の一側端に移送ポンプが連結され、且該移送管には、燃焼源タンクから供給ポンプを介して燃焼源供給パイプ、及び水タンクから供給ポンプを介して水供給パイプが連結されてなり且移送管の他側端には、平面円形で表枠板、挟持板、裏枠板が一体的に嵌着でき、更に表枠板及び裏枠板の中央には、それぞれ供給口及び供出口が形成され、而も表枠板及び裏枠板の内側には適宜形状の係止壁が外周縁に向って放射状に、且略等間隔で形成され、且挟持板の表裏面には係合壁と所要の係合間隙を保持しつつ膨大数の係合区画を形成する係合部が形成され、而も挟持板の外周縁近傍には表裏面を流通しえる流通孔が形成されてなり、更には燃焼ノズルを包被して加熱空気放射管が配位された構成からなる低燃費低排気ガス燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−117797(P2012−117797A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280972(P2010−280972)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(501489786)
【Fターム(参考)】