説明

低粘度ポリα−オレフィンの製造

本発明は低流動点で優れたノアク揮発度を示すポリα-オレフィン(PAO)に関する。そのポリα-オレフィンはオクテン、デセン、及びドデセンのブレンドを含むオレフィン供給原料から調製され、その供給原料が少なくとも10質量%のオクテン及び少なくとも30質量%のドデセンを含む。その方法はオレフィンの合成と蒸留及びオレフィンのオリゴマー化の両方を含む。オリゴマー化オレフィン供給原料は約4cStの100℃の公称粘度を有する少なくとも50%の低粘度PAOを生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2008年6月30日に出願された先の米国特許出願第12/164,824号(これが参考として本明細書にそのまま含まれる)の利益を主張する。
本発明は低粘度ポリα-オレフィンの製造に関する。更に特別には、本発明はオレフィンの混合供給原料から調製された或る種の低粘度ポリα-オレフィン及びこのようなオリゴマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリα-オレフィンは潤滑油市場で重要性を得ていた炭化水素潤滑剤の一つのクラスを含む。これらの材料は典型的には1-オクテンから1-ドデセンまでの範囲のα-オレフィン(1-デセンが好ましい材料である)の重合により典型的に製造されるが、エチレン及びプロピレンの如き低級オレフィンのポリマー(エチレンと高級オレフィンのコポリマーを含む)がまた使用されてもよい。ポリα-オレフィン(PAO)製品は100℃で約2cStの高度に移動性の流体から高分子量まで変化する広範囲の粘度で得られてもよく、その粘稠な材料は100℃で100cStを超える粘度を有する。PAOはAlCl3、BF3、又はBF3錯体の如き触媒の存在下のオレフィン供給原料の重合により製造されてもよい。重合に続いて、潤滑剤範囲の製品が残留不飽和を減少するために水素化されてもよい。この反応の過程で、不飽和の量が一般に90%より大きく減少される。
自動車工業はエンジンオイルに一層大きい要求−長時間にわたって高温で運転すること、ノアク揮発度及び低温性能特性を所望しつつ、低粘度PAO(好ましくは4cSt)についての要望を誘導することを課している。こうして、要望が低ノアク揮発度(ノアク方法による潤滑油の蒸発損失についてのASTM D 5800規格試験方法)を示す低粘度PAOについて存する。
PAOの特別な等級の性質はその製品をつくるのに使用されるα-オレフィンに大きく依存する。一般に、α-オレフィンの炭素数が多い程、製品のノアク揮発度が低く、かつ流動点が高い。逆に、α-オレフィンの炭素数が少ない程、製品のノアク揮発度が高く、かつ流動点が低い。自動車適用のために、使用されるいずれのオレフィンについても、所望される低ノアク揮発度及び低流動点が一般にPAOについて相反する目標である。
4cStの粘度を有するPAOは典型的には1-デセンからつくられ、13-14%のノアク揮発度及び-60℃未満の流動点を有する。6cStの粘度を有するPAOは典型的には1-デセン又はα-オレフィンのブレンドから調製され、約7.0%のノアク揮発度及び-60℃の流動点を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
α-オレフィンのオリゴマー化方法が本明細書に開示される。その供給原料は少なくとも10質量%のオクテン、デセンと、少なくとも30質量%のドデセンのブレンドである。α-オレフィン供給原料及び少なくとも一種の触媒が反応器中でオリゴマー化条件に暴露される。反応後に、その混合物が蒸留にかけられて未反応のα-オレフィン及びα-オレフィンの二量体を除去する。得られる生成物が水素化されてもよい。最終生成物は異なる公称粘度のポリα-オレフィンの少なくとも2種のフラクションを含む。
種々の実施態様において、供給原料は下記の特徴を有してもよい。供給原料は少なくとも25%のデセンを含んでもよい。供給原料は約50%以下のデセンを含んでもよい。供給原料は約35%以下のオクテンを含んでもよい。供給原料は約45%以下のドデセンを含んでもよい。供給原料は約35%以下のデセンを含んでもよい。供給原料は約35%以下のオクテン、45%以下のドデセン、及び少なくとも25%だが60%以下のデセンを含んでもよい。開示された実施態様のいずれかの更に別の局面において、供給原料中のオクテン、デセン、及びドデセンの質量%が9.9〜10.5の範囲の平均炭素含量を生じる。
【0004】
一実施態様において、反応させられた混合物の開示された最後の蒸留が約4cStの100℃の粘度を有するポリα-オレフィンのフラクション及び約6cStの100℃の粘度を有するフラクションを生じ、100℃で約4cSt粘度のそのフラクションは収率の少なくとも50%である。
開示された実施態様のいずれかの別の局面は100℃で約4cStの粘度を有する得られるポリα-オレフィンが約-45℃〜-80℃の流動点(その流動点はASTM D5950により測定される)を有することである。
開示された実施態様のいずれかの別の局面は100℃で約6cStの粘度を有する得られるポリα-オレフィンが約-45℃〜-75℃の流動点(その流動点はASTM D5950により測定される)を有することである。
水素化にかけられたオリゴマー化α-オレフィンであるポリα-オレフィンがまた本明細書に開示される。そのオリゴマー化α-オレフィンはa)少なくとも10質量%のオクテン、デセンと、少なくとも30質量%のドデセンのブレンドを含むオレフィン供給原料を接触させてオレフィン3量体を含む中間体生成物を得、そしてb)その中間体生成物を蒸留することにより調製される。オリゴマー化α-オレフィンは約4cStの100℃の粘度、及びASTM D5950により測定して約-45℃〜-80℃の流動点を有する。
水素化にかけられたオリゴマー化α-オレフィンであるポリα-オレフィンがまた本明細書に開示される。そのオリゴマー化α-オレフィンはa)少なくとも10質量%のオクテン、デセンと、少なくとも30質量%のドデセンのブレンドを含むオレフィン供給原料を接触させてオレフィン3量体を含む中間体生成物を得、そしてb)その中間体生成物を蒸留することにより調製される。オリゴマー化α-オレフィンは約6cStの100℃の粘度、及びASTM D5050により測定して約-45℃〜-75℃の流動点を有する。
開示されたポリ-αオレフィンのいずれかに適用可能な、別の局面において、ポリα-オレフィンは少なくとも一種の付加的なAPIグループI〜グループV原料油と更にブレンドされてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0005】
特許請求された発明を理解する目的のために本明細書で適している好ましい実施態様及び定義を含む、本発明の種々の特別な実施態様、別型、及び例が今記載される。この記載は本発明の一般原理を説明する目的のためになされ、限定の意味にとられるべきではない。本発明の範囲は特許請求の範囲を参照して最良に決められる。
ポリα-オレフィン(PAO)は線状αオレフィンの供給原料を触媒及び少なくとも一種の補助触媒の存在下で重合する方法により調製される。次いでオリゴマー化生成物、又はオリゴマー化生成物の一部が、水素化されてPAOの飽和レベルを変化してもよい。オリゴマー化生成物又は水素化生成物の更なる加工が行なわれて所望のPAOを得てもよい。
線状α-オレフィンの供給原料はオクテン、デセン、及びドデセンのブレンドを含む。供給原料が1-オクテン、1-デセン、及び1-ドデセンのブレンドであることが好ましい。供給原料中のオクテンの量は少なくとも10質量%であり、10質量%より多くてもよく、一実施態様において少なくとも20質量%、また別の実施態様において少なくとも30質量%であってもよい。更に、供給原料中のオクテンの量は別の実施態様において約35質量%以下である。供給原料中のデセンの量は少なくとも25質量%であり、また一実施態様において少なくとも30質量%であってもよい。更に、供給原料中のデセンの量は別の実施態様において約40質量%、45質量%、又は50質量%であってもよい。デセンの量は約60質量%以下である。供給原料中のドデセンの量は少なくとも30質量%であり、一実施態様において40質量%以下、また更に別の実施態様において約45質量%以下であってもよい。
オリゴマーに適した触媒として、BF3が挙げられ、オリゴマー化触媒が補助触媒の組み合わせとともに使用されることが好ましい。補助触媒の組み合わせは一層望ましい物理的性質及び生成物分布を有するオリゴマーを製造するように決められた。補助触媒の組み合わせとして、一種のアルコールと少なくとも一種のアルキルアセテートが挙げられる。好適なアルコールとして、C1-C10アルコール、好ましくはC1-C6アルコールが挙げられ、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、及びn-ヘキサノールが挙げられる。好適なアセテートとして、C1-C10アルキルアセテート、好ましくはC1-C6アルキルアセテート(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル等を含む)が挙げられる。補助触媒は主触媒と錯生成して触媒活性である配位化合物を生成する。補助触媒はα-オレフィン供給原料の質量を基準として、約0.01質量%から約10質量%まで、最も好ましくは約0.1質量%から6質量%までの量で使用される。
【0006】
触媒は補助触媒及びオレフィン供給原料と同時に反応器に導入される。反応ゾーンは過剰の触媒を含むことが好ましく、これは圧力及び触媒の分圧により支配される。これに関して、触媒が反応ゾーン中で約0.14kg/cm2〜約35kg/cm2ゲージ圧(約2psig〜約500psig)、好ましくは約0.14kg/cm2〜約3.5kg/cm2ゲージ圧(約2psig〜約50psig)の圧力に維持される。また、三フッ化ホウ素が、触媒を反応ゾーンに導入するためのその他の既知の方法により、反応混合物にスパージし得る。
その反応に適した温度はまた通常であり、約-20℃から約90℃まで変化してもよく、約15℃〜70℃の範囲が好ましい。
オリゴマー化反応は単一撹拌タンク反応器中の半回分方式又は一連の撹拌タンク反応器中の連続操作により行なわれてもよい。供給原料のオリゴマー化後に、その混合物が第一蒸留工程で蒸留されて未反応のモノマー及び若干の二量体を除去する。次いで供給原料が第二蒸留にかけられて残存二量体を除去する。次いで得られるボトム中間体が水素化されて残存3量体及び高級オリゴマーを飽和する。次いでこの水素化生成物が第三蒸留工程で蒸留される。ボトム生成物はオーバーヘッド生成物より高い粘度を有するであろう。先に説明された混合供給原料では、好ましいオーバーヘッド生成物は100℃で約4cStの公称粘度を有する。オーバーヘッド生成物はまた粘度の調節が必要とされる場合に第二蒸留工程からの生成物と合わされてもよい。オーバーヘッド生成物はボトム生成物より大きい割合の3量体を有するであろう。
混合供給原料流から、合成-蒸留方法を使用して、ボトム及びオーバーヘッド生成物分離(split)が4cStの100℃の公称粘度を有するPAOと6cStの100℃の公称粘度を有するPAOの両方を生じる。異なるPAOについての更なる言及は100℃のそれらの公称粘度値に速記される。一実施態様において、収率が4cSt PAOで少なくとも45%であり、6cSt PAOで55%以下である。別の実施態様において、収率が両方のPAOでほぼ等しい量である。更に別の実施態様において、4cST PAOの収率が6cSt PAOより大きい。
この方法の生成物は性質、特に低いノアク揮発度及び流動点の良好なバランスを有する。4cSt PAOのノアク揮発度は改良ASTM D5800方法により測定して、約10〜15%の質量損失、また11〜14%の質量損失の範囲である。4cSt PAOはASTM D5950により測定して、約-45℃〜-80℃、また-60℃〜-70℃の流動点を有する。6cSt PAOのノアク揮発度は改良ASTM D5800方法により測定して、約4〜12%の質量損失、また5〜8%の質量損失の範囲である。6cSt PAOはASTM D5950により測定して、約-45℃〜-75℃、また-50℃〜-70℃の流動点を有する。その改良ASTM D5800方法は温度計較正が2年に1回ではなく、1年に1回行なわれる以外はASTM D5800方法である。
オリゴマー化α-オレフィンの水素化はオリゴマー化後に残る残留不飽和の少なくとも一部を減少するために通常の水素化方法を使用して達成されてもよい。これに関して、典型的な水素化触媒、例えば、Pd、Pt、Ni等が利用し得る。水素化工程において、残留不飽和の少なくとも約90%が減少されることが好ましい。
【実施例】
【0007】
異なる供給原料ブレンドを使用してPAOの参考例及び実施例を調製した。特に示されない限り、全ての実施例を下記の方法により調製した。供給原料を22℃及び0.35kg/cm2ゲージ圧(5psig)で直列の二つの連続撹拌タンク反応器中でBF3及びBF3促進ブタノール-酢酸ブチル混合物を使用してオリゴマー化した。ブタノール対酢酸ブチルのモル比は3:1であった。一次反応器及び二次反応器中の滞留時間は夫々1.4時間及び1時間であった。定常状態条件に達した時に、サンプルを第二反応器から採取した。少量のサンプルをガスクロマトグラフ(GC)に注入して収率を測定した。サンプルの残部を蒸留して未反応のモノマー及び二量体を除去した。ボトム流を水素化して3量体、及び高級オリゴマーを飽和した。水素化生成物は一般に5cStの100℃の公称粘度を有していた。水素化生成物のサンプルを蒸留して6cStの100℃の公称粘度を有するボトム生成物を得た。オーバーヘッド生成物を5cSt PAOの一部とブレンドして4cStの100℃の公称粘度を有する生成物をつくった。収率をGC結果から測定した(C26以上の%)。
使用した供給原料ブレンド、異なるPAOの質量%、供給原料についての平均炭素値、及び収率を下記の表1に示す。
【0008】
表1

【0009】
参考例の供給原料は市販のPAOを製造するのに使用される通常の供給原料ブレンドである。その参考例の供給原料を例示の供給原料と同じ様式でオリゴマー化する。本発明の一つの目標は供給原料ブレンドを変化するとともに低粘度PAOの物理的性質を維持又は改良して、このようなPAOを高い要求の運転条件に一層適するようにすることである。
得られる100℃の公称4cSt PAOの性質を下記の表2に示す。
【0010】
表2 4cSt PAOの性質

【0011】
得られる100℃の公称6cSt PAOの性質を下記の表3に示す。
【0012】
表3 6cSt PAOの性質

【0013】
供給原料へのオクテンの添加による、実施例1につき、4cSt/6cSt PAO分離が参考例の供給原料と比較して多量の4cSt PAOを生じた。4cSt PAO生成物及び6cSt PAO生成物の両方の流動点が低下され、流動点特性を改良する。これらの改良は両方の生成物のノアク揮発度の増大の相殺であるが、両方のPAOにつき、ノアク揮発度値は許容し得る。
実施例2につき、オクテン供給原料がデセン量の相殺する増大でもって、実施例1と比較して減少される。収率%及び4cSt PAOの量の両方が実施例1及び参考例の供給原料の両方よりも増大される。図2及び3に示されるように、生成物の性質が実施例1の性質と同様である。
実施例3につき、実施例1と比較して、オクテン量及びデセン量が相当するドデセンの10%増加により、夫々5%減少される。収率%が低下されるが、4cSt PAOの分離が50%より上である。4cSt PAOは参考例のPAOよりも改良された流動点を有し、-40℃の粘度及びノアク揮発度が実施例2のそれらよりもわずかに良好である。6cSt PAOは実施例1及び2よりも改良された-40℃の粘度、並びに改良された流動点値を有する。
実施例4は調製された実施例の中で最低のデセンの量、及び最高のドデセンの量を有する。その収率は実施例3のそれに匹敵し、生成物分離が参考例よりも良好であるが、実施例1、2及び3のそれらよりも低い。加えて、両方の生成物の流動点は、許容し得るとしても、実施例1、2及び3の流動点よりも劣る。しかしながら、4cSt PAO生成物及び6cSt PAO生成物の両方の-40℃の粘度及びノアク揮発度は実施例3のそれらよりも良好であり、又は匹敵する。
実施例1と同様に、実施例5はドデセンの相当する増大とともに減少されたオクテン量を有する。両方のPAO生成物の性質は実施例4の性質と同様であるが、生成物分離は実施例4のそれよりも高い。生成物の性質、収率だけでなく、生成物分離は全て所望の範囲内である。
【0014】
実施例6の供給原料ブレンドにつき、デセン量の増大により、PAO生成物の性質は実施例5の性質と同様であるが、一層高い生成物分離を有する。
例示のオリゴマー化された供給原料のうち、実施例7は供給原料中に最小量のオクテンを有する。この供給原料ブレンドは収率、生成物分離及び生成物の性質の間の良好なバランスを生じる。
上記データに基づいて、供給原料ブレンド中の増大されたオクテンにより、ノアク揮発度の一般の傾向は、-40℃の粘度と同様に、増大することがわかる。しかしながら、その流動点は増大するオクテン含量により減少する。これは本明細書で説明され、サンプルにされた両方の低粘度PAOについて当てはまる。これは高性能低粘度PAOを生じるために供給原料についてオクテンの好ましい最大量があることを示唆する。
供給原料中のデセン%の影響を研究するに際して、下記の理論が提出し得る。公称4cSt PAOにつき、供給原料中のデセン量が増大するにつれて、ノアク揮発度が増大するとともに、一層高いノアク揮発度値が一層多い量のオクテンを含む供給原料について観察される。また、公称4cSt PAOにつき、流動点が一層多いデセン量により減少するとともに、一層低い流動点が一層多い量のオクテンを含む供給原料で観察される。
供給原料中のドデセン量の影響を研究するに際し、公称4cSt PAOにつき、多量のドデセンがノアク揮発度値を減少することが明らかであるが、流動点が増大し、かつ所望の4cSt PAOの収率%が低下する。これは高性能公称4cSt PAOの製造につき、供給原料中のドデセンの好ましい最大量があることを示唆する。
供給原料中のトリ-ブレンドについての平均炭素含量値(供給原料中のC8、C10、及びC12の重量平均として計算される)の影響を研究する場合、流動点は一層低い平均炭素含量の供給原料について一層低く、一方、ノアク揮発度値は一層高い平均炭素含量の供給原料で低下する。供給原料をオクテン、デセン、及びドデセンの混合物とブレンドする際には、供給原料中のトリ-ブレンドのその平均炭素含量を得るためには9.9〜10.5の範囲、好ましくは9.9〜10.4の範囲、更に好ましくは10.2〜10.3の範囲であるべきである。
【0015】
炭化水素ブレンド、その種々の特徴及びその中の成分の局面を記載したので、炭化水素ブレンドが下記の例示の番号付き実施態様により更に記載し得る。
1. α-オレフィンのオリゴマー化方法であって、その方法がa)α-オレフィンの供給原料及び少なくとも一種のオリゴマー化触媒を反応器中でα-オレフィンをオリゴマー化するオリゴマー化条件下で接触させ(そのα-オレフィンの供給原料はデセン、少なくとも10質量%のオクテン、及び少なくとも30質量%のドデセンのブレンドである)、b)未反応のα-オレフィン及びα-オレフィンの二量体を除去して3量体を含むボトム中間体を得、c)ボトム生成物を水素化して水素化生成物を得、そしてd)水素化生成物を分離して異なる公称粘度のポリα-オレフィンの少なくとも2種のフラクションを得ることを含む上記オリゴマー化方法。
2. 供給原料が少なくとも25%のデセンを含む、番号付き実施態様1の方法。
3. 供給原料が約50%以下のデセンを含む、番号付き実施態様1又は2の方法。
4. 供給原料が約35%以下のオクテンを含む、上記番号付き実施態様のいずれかの方法。5. 供給原料が約45%以下のドデセンを含む、上記番号付き実施態様のいずれかの方法。6. 供給原料が約35%以下のデセンを含む、上記番号付き実施態様のいずれかの方法。
7. 供給原料が約35%以下のオクテン、45%以下のドデセン、及び少なくとも25%だが60%以下のデセンを含む、上記番号付き実施態様のいずれかの方法。
8. 供給原料中のオクテン、デセン、及びドデセンの質量%が9.9〜10.5の範囲の平均炭素含量を生じる、上記番号付き実施態様のいずれかの方法。
9. 工程b)の分離が約4cStの100℃の粘度を有するポリα-オレフィンのフラクション及び約6cStの100℃の粘度を有するフラクションを生じ、100℃で約4cStの粘度のフラクションが収率の少なくとも50%である、上記番号付き実施態様のいずれかの方法。
10. 100℃で約4cStの粘度を有するポリα-オレフィンが約-45℃〜-80℃の流動点(その流動点はASTM D5950により測定される)を有する、上記番号付き実施態様9の方法。
【0016】
11. 100℃で約6cStの粘度を有するポリα-オレフィンが約-45℃〜-75℃の流動点(その流動点はASTM D5950により測定される)を有する、上記番号付き実施態様9の方法。
12. 水素化にかけられたオリゴマー化α-オレフィンを含むポリα-オレフィンであって、前記オリゴマー化α-オレフィンがa)デセン、少なくとも10質量%のオクテン、及び少なくとも30質量%のドデセンのブレンドを含むオレフィン供給原料を接触させてオレフィン3量体を含む中間体生成物を得、そしてb)その中間体生成物を分離することにより調製され、前記オリゴマー化α-オレフィンが約4cStの100℃の粘度、及びASTM D5950により測定して約-45℃〜-80℃の流動点を有する、前記ポリα-オレフィン。
13. 供給原料が実質的に約35%以下のオクテン、約45%以下のドデセン、及び少なくとも25%だが約60%以下のデセンからなる、上記番号付き実施態様12のポリα-オレフィン。
14. ポリα-オレフィンが更に少なくとも一種の付加的なAPIグループI〜グループV原料油とブレンドされる、番号付き実施態様12又は13のいずれかのポリα-オレフィン。
15. 水素化にかけられたオリゴマー化α-オレフィンを含むポリα-オレフィンであって、前記オリゴマー化α-オレフィンがa)デセン、少なくとも10質量%のオクテン、及び少なくとも30質量%のドデセンのブレンドを含むオレフィン供給原料を接触させてオレフィン3量体を含む中間体生成物を得、そしてb)その中間体生成物を分離することにより調製され、前記オリゴマー化α-オレフィンが約6cStの100℃の粘度、及びASTM D5950により測定して約-45℃〜-75℃の流動点を有する、前記ポリα-オレフィン。
16. 供給原料が実質的に約35%以下のオクテン、約45%以下のドデセン、及び少なくとも25%だが約60%以下のデセンからなる、上記番号付き実施態様15のポリα-オレフィン。
17. ポリα-オレフィンが更に少なくとも一種の付加的なAPIグループI〜グループV原料油とブレンドされる、番号付き実施態様15又は16のポリα-オレフィン。
【0017】
本明細書に教示されたように製造されたPAOはそれら自体で潤滑剤又は機能性流体として有益であり、又はそれらは種々の通常の添加剤と混合されてもよい。それらはまたその他の原料油、例えば、米国石油協会(API)グループI〜III及びV、又はその他の通常のPAO(APIグループIV)、そしてまたその他の炭化水素流体、例えば、イソパラフィン、ノルマルパラフィン等とブレンドされてもよい。潤滑剤をPAOと配合する場合、PAO、その他の原料油、及びその他の炭化水素流体が全体の潤滑剤組成物の過半量部分又は少量部分を形成してもよく、これらの選択及び量だけでなく、付加的な添加剤は、所望の最終用途の基準を満足するように適合し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-オレフィンのオリゴマー化方法であって、
a)α-オレフィンの供給原料及び少なくとも一種のオリゴマー化触媒を反応器中でα-オレフィンをオリゴマー化するオリゴマー化条件下で接触させ、ここで、そのα-オレフィンの供給原料はデセン、少なくとも10質量%のオクテン、及び少なくとも30質量%のドデセンのブレンドである、
b)未反応のα-オレフィン及びα-オレフィンの二量体を除去して3量体を含むボトム中間体を得、
c)ボトム生成物を水素化して水素化生成物を得、そして
d)水素化生成物を分離して異なる公称粘度のポリα-オレフィンの少なくとも2種のフラクションを得ることを特徴とする上記オリゴマー化方法。
【請求項2】
供給原料が少なくとも25%のデセンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
供給原料が約50%以下のデセンを含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
供給原料が約35%以下のオクテンを含む、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
供給原料が約45%以下のドデセンを含む、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
供給原料が約35%以下のデセンを含む、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
供給原料が約35%以下のオクテン、45%以下のドデセン、及び少なくとも25%だが60%以下のデセンを含む、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
供給原料中のオクテン、デセン、及びドデセンの質量%が9.9〜10.5の範囲の平均炭素含量を生じる、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程b)の分離が約4cStの100℃の粘度を有するポリα-オレフィンのフラクション及び約6cStの100℃の粘度を有するフラクションを生じ、100℃で約4cStの粘度のフラクションが収率の少なくとも50%である、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
100℃で約4cStの粘度を有するポリα-オレフィンが約-45℃〜-80℃の流動点(その流動点はASTM D5950により測定される)を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
100℃で約6cStの粘度を有するポリα-オレフィンが約-45℃〜-75℃の流動点(その流動点はASTM D5950により測定される)を有する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
水素化にかけられたオリゴマー化α-オレフィンを含むポリα-オレフィンであって、前記オリゴマー化α-オレフィンがa)オレフィン供給原料を接触させてオレフィン3量体を含む中間体生成物を得、そしてb)その中間体生成物を分離することにより調製され、
そのオリゴマー化α-オレフィンがデセン、少なくとも10質量%のオクテン、及び少なくとも30質量%のドデセンのブレンドを含むオレフィン供給原料を特徴とし、かつ前記オリゴマー化α-オレフィンが約4cStの100℃の粘度、及びASTM D5950により測定して約-45℃〜-80℃の流動点を有することを特徴とする、前記ポリα-オレフィン。
【請求項13】
供給原料が実質的に約35%以下のオクテン、約45%以下のドデセン、及び少なくとも25%だが約60%以下のデセンからなる、請求項12記載のポリα-オレフィン。
【請求項14】
ポリα-オレフィンが更に少なくとも一種の付加的なAPIグループI〜グループV原料油とブレンドされる、請求項12又は13記載のポリα-オレフィン。
【請求項15】
水素化にかけられたオリゴマー化α-オレフィンを含むポリα-オレフィンであって、前記オリゴマー化α-オレフィンがa)オレフィン供給原料を接触させてオレフィン3量体を含む中間体生成物を得、そしてb)その中間体生成物を分離することにより調製され、
そのオリゴマー化α-オレフィンがデセン、少なくとも10質量%のオクテン、及び少なくとも30質量%のドデセンのブレンドを含むオレフィン供給原料を特徴とし、かつ前記オリゴマー化α-オレフィンが約6cStの100℃の粘度、及びASTM D5950により測定して約-45℃〜-75℃の流動点を有することを特徴とする、前記ポリα-オレフィン。
【請求項16】
供給原料が実質的に約35%以下のオクテン、約45%以下のドデセン、及び少なくとも25%だが約60%以下のデセンからなる、請求項15記載のポリα-オレフィン。
【請求項17】
ポリα-オレフィンが更に少なくとも一種の付加的なAPIグループI〜グループV原料油とブレンドされる、請求項15又は16記載のポリα-オレフィン。

【公表番号】特表2011−522954(P2011−522954A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513513(P2011−513513)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/038007
【国際公開番号】WO2010/002485
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】