説明

低級アルカン系炭化水素のアンモ酸化及び/又は酸化のための混合金属酸化物触媒の製造方法

本発明は、気相中でプロパン又はイソブタンのアンモ酸化によりアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用する混合酸化物触媒の調製方法を含むものであって、アンチモン化合物、モリブデン化合物及びバナジウム化合物のいずれか1つと過酸化水素を接触させた後に、触媒中の残りの構成元素のソース化合物と一緒に混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低級アルカン系炭化水素のアンモ酸化又は酸化の際に触媒活性を呈し不飽和モノニトリル又は有機酸を高収率で製造する、混合金属酸化物を含有する固体組成物の調製方法に関する。本発明の混合金属酸化物触媒組成物は、構成元素としてモリブデン (Mo)、バナジウム (V)、アンチモン (Sb)、ニオブ (Nb)、酸素 (O)を含む。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル類は、合成繊維、合成樹脂、合成ゴム等の調製における重要な中間体として長い間工業生産されている。アクリロニトリルの主要用途は繊維形態である。アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン三元共重合体(ABS)は重要な熱可塑性構造体プラスチックである。ニトリル系ゴムとしては、最初の商品化は1930年のGerman Buna-Nタイプであるが、アクリロニトリルとジエン、通常はブタジエンとの共重合体である。
アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のニトリル類の現行の商業ベースの製造方法は、プロピレン又はイソブテン等のアルケンを触媒の存在下、アンモニア及び酸素と気相中、高温下で反応させる方法である。通常、使用する触媒組成は触媒メーカーに所有権があるが、この技術については十分に確立されている。更には、炭化水素出発物質とともに、分子状酸素及び/又は水蒸気等の追加反応体、ガス、窒素や二酸化炭素等の不活性物質をはじめとする追加出発物質が含まれることは公知である。
低級アルカン類が対応するアルケン類に対して比較的十分に存在することから、特に、プロパンとプロピレンとの間、又は、イソブタンとイソブテンとの間には価格差が生じる。そのため、より安価な低級アルカン類からニトリルを製造するための改良された触媒の開発に注目が集まっている。触媒の存在下、気相中でアンモニア及び酸素とのアンモ酸化反応においては、プロパン又はイソブタンが出発物質として使用される。
プロパンからアクリロニトリルへの変換及びイソブタンからメタクリロニトリルへの変換(アンモ酸化反応を介する)に有効であることがわかっている、モリブデン、バナジウム、アンチモン及びニオブを含む触媒、ならびに、その製造方法については、数多くの出版物、特許、特許出願に記載がある。例えば、米国特許第5,750, 760号(牛窪等に付与)、米国特許第6,036,880号(駒田等に付与)、米国特許第6,143,916号(日名子等に付与)及び米国特許第6,514,902(井上等に付与)が参照される。
【0003】
モリブデン、テルル、バナジウム及びニオブを含む酸化物触媒及び該触媒の製造方法は、米国特許第5,049,692号、米国特許第5,231,214号、米国特許第5,281,745号、米国特許第5,380,933号、米国特許第5,422,328号に記載されている。更に、モリブデン、バナジウム、ニオブ及びアンチモンを含む酸化物触媒については、例えば、米国特許第4,760,159号、米国特許第4,797,381号、米国特許第7,087,551号に記載がある。
一般に、これらの触媒の製造方法は、2つのグループ、即ち、水熱系と非水熱系とに分けることができる。通常、いわゆる水熱系製造方法では、構成成分による水性混合物を加温(例えば150〜250℃)や加圧(例えば200〜300psig)で処理することにより、混合酸化物触媒相が形成されよう。非水熱系製造方法においては、構成成分による水性混合物を通常100℃未満、周囲圧力で処理したのち乾燥して触媒前駆体を作成する。この触媒前駆体を熱処理又は焼成することにより触媒相を形成する。例えば、米国特許第5,750,760号、米国特許第6,514,902号、米国特許第6,610,629号、米国特許第7,087,551号、米国特許第7,109,144号、米国特許及びEP1,632,287号、EP1,806,178号、WO2007/119376には、モリブデン、バナジウム、アンチモン及びニオブを構成金属成分として含有する触媒組成物の非水熱系製造方法が開示されている。米国特許第5,750,760号は、式MoaVbSbcXxOn(式中、XはNb、Ta、W、Ti、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、B、In、Ce、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素である)で表わされる酸化物触媒のための前駆体水溶液の調製方法を、(1)Mo含有化合物とXで表わされる元素を含む化合物とを、成分VとSbとを含む水溶液に混合添加して水溶液を得る方法、又は、(2)V含有化合物とXで表わされる元素を含む化合物とを、成分MoとSbとを含む水溶液に混合添加して水溶液を得る方法として開示している。米国特許第6,514,902号には、Mo、V及びSbを必須構成成分として含有する酸化物化合物を含む酸化物触媒の製造方法が開示されているが、Mo化合物、V化合物及びSb化合物を必須原料として含む原料混合物の、水及び/又はアルコールを溶媒とした溶液又はスラリーに、酸化気体及び/又は酸化液体を用いて特定の酸化処理を施した後、該溶液又はスラリーを乾燥して焼成を行う工程を有する。上記方法により製造される触媒の選択率は十分ではなく、商業用として求められる収率が得られない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、アルカン類の選択的酸化及びアンモ酸化用触媒、及び、該触媒の製造方法を提供することである。
広い態様では、本発明は、飽和炭化水素を容易にアンモ酸化又は酸化して対応の不飽和ニトリル又は不飽和カルボン酸を高収率で生成する可能性を示す混合金属酸化物触媒組成物の製造方法と、低級アルカン炭化水素を経済的に変換するためのこれらの触媒を用いたプロセスに関する。通常、本発明の混合金属酸化物触媒組成物は、構成元素として、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)を含む。実施形態の1つでは、本発明の組成物は、モリブデンとバナジウムとアンチモンとテルルとニオブと、リチウム、セシウム、ルビジウム、チタニウム、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、ハフニウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムからなる群から選択される少なくとも1つの元素とを含む酸化物を有する。
【0005】
したがって、本発明は、気相中でアンモ酸化によりプロパン又はイソブタンからアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用する、構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)、酸素(O)を含む混合酸化物触媒の前駆体の改良された製造方法を開示するもので、該方法は、モリブデン化合物、バナジウム化合物、アンチモン化合物及び過酸化水素による反応混合物を作成する工程を有するものであり、その改良が、アンチモン化合物、モリブデン化合物及びバナジウム化合物のいずれか1つを過酸化水素に接触させた後に、残りの成分と混合することであって、過酸化水素の使用量が、該触媒における過酸化水素:アンチモンのモル比が0.1から5(0.1 of 5)の範囲となる量であり、更に、得られた混合物を乾燥して固体前駆体を形成する工程とを有する。
また、本発明は下記式で表わされる混合酸化物を含有する触媒を開示する。
Mo1VaSbbNbcTedMeXfZgOn
(式中、MはLi、Cs及びRbからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属であり、XはY、Ti、Sn、Ge、Zr及びHfの1種以上であり、ZはPr、La、Nd、Ce及びEuからなる群から選択される1種以上の希土類金属であり、
【0006】
0.1 ≦ a ≦ 1.0、0.05 ≦ b ≦ 1.0、0.001 ≦ c ≦ 1.0、0 ≦ d ≦ 1.0、0 ≦ e ≦ 0.1、0 ≦ f ≦ 0.6、0 ≦ g ≦ 0.1、nは、固体前駆体内に存在する他のすべての元素の原子価数条件を満たすのに必要な酸素原子の数であり、固体前駆体における他の元素1種以上が、最高酸化状態よりも低い酸化状態で存在できることを条件とするものであり、a、b、c、d、e、f及びgは 上記改良方法により製造された前駆体から作成される該触媒のモリブデン(Mo)1モルに対するそれぞれの元素の対応するモル比を表わす。)
より完全に本発明を理解するために、本発明の例として更に詳細に記載した以下の実施形態を参照すべきものとする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明によるアクリロニトリルの収率の向上を図式的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、気相中、アンモ酸化によりプロパン又はイソブタンからアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用する、構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)、酸素(O)を含む混合酸化物触媒のための固体前駆体を製造する方法であって、前記方法は、モリブデン化合物、バナジウム化合物、アンチモン化合物及び過酸化水素を含む反応混合物を作成する工程を含み、前記反応混合物が、アンチモン化合物、モリブデン化合物、バナジウム化合物のいずれか1つを過酸化水素と接触させた後、混合酸化物触媒に含まれる残りの元素のソース化合物と混合することによって調製されるもので、過酸化水素の使用量が、触媒における過酸化水素:アンチモンのモル比が0.01〜20の範囲となる量であり、更に、得られた混合物を乾燥して固体前駆体を形成する工程とを有する。
本願明細書で使用する「ソース化合物」とは、混合酸化物触媒組成物に含まれる1種以上の元素を含む化合物、及び/又は、混合酸化物触媒組成物に含まれる1種以上の元素を提供する化合物を指す。
【0009】
本発明の実施形態の1つとして、モリブデン化合物を過酸化水素と接触させてMo-過酸化物反応混合物を形成し、バナジウム化合物をアンチモン化合物と混合してV-Sb反応混合物を作成し、このV-Sb反応混合物を前記Mo-過酸化物反応混合物と接触させてMo-V-Sb混合物を形成する。実施形態の1つによると、V-Sb反応混合物を約80℃〜混合物の還流温度あたりの範囲内の温度で約15〜約45分加熱した後、Mo-過酸化物反応混合物と接触させる。別の実施形態は、V-Sb反応混合物を約80〜約100℃の範囲の温度で約15〜約45分間加熱した後、Mo-過酸化物反応混合物と接触させる。更に別の実施形態では、V-Sb反応混合物を約90℃で約30分間加熱した後、Mo-過酸化物反応混合物と接触させる。本願明細書の「還流温度」とは、反応混合物が大気圧のもとで沸騰する温度を指す。水性反応混合物(即ち、金属元素の水性ソース化合物を混合して形成した反応混合物)は、還流温度が約100℃となる。
【0010】
本発明の実施形態の1つでは、バナジウム化合物 を過酸化水素と接触させてV-過酸化物反応混合物を形成し、モリブデン化合物をアンチモン化合物と混合してMo-Sb反応混合物とし、このMo-Sb反応混合物をV-過酸化物反応混合物と接触させてMo-V-Sb混合物を形成する。ある実施形態では、Mo-Sb反応混合物を約80℃〜混合物の還流温度あたりの範囲の温度で約15〜約45分加熱した後、V-過酸化物反応混合物と接触させる。また、ある実施形態では、Mo-Sb反応混合物を約80〜約100℃の範囲の温度で約15〜約45分間加熱した後、V-過酸化物反応混合物と接触させる。別の実施形態では、Mo-Sb反応混合物を約90℃で約30分間加熱した後、V-過酸化物反応混合物と接触させる。
【0011】
本発明の実施形態の1つでは、アンチモン化合物を過酸化水素と接触させてSb-過酸化物反応混合物を形成し、モリブデン化合物はバナジウム化合物と混合してMo-V反応混合物を作成する。このMo-V反応混合物を前記Sb-過酸化物反応混合物と接触させてMo-V-Sb混合物を形成する。実施形態の1つでは、Mo-V反応混合物を約80〜約80℃で約15〜約45分間加熱した後、Sb-過酸化物反応混合物と接触させる。別の実施形態では、Mo-V反応混合物を約80〜約100℃の範囲の温度で約15〜約45分間加熱した後、Sb-過酸化物反応混合物と接触させる。別の実施形態では、Mo-V反応混合物を約90℃で約30分間加熱した後、Sb-過酸化物反応混合物と接触させる。
別の実施形態では、Mo-V-Sb反応混合物を約80℃以下の温度で少なくとも約1時間加熱した後、混合酸化物触媒に含まれる残りの構成元素のソース化合物と接触させる。本願明細書で使用する「少なくとも約1時間」とは約1時間あまりを意味する。更に別の実施形態では、Mo-V-Sb反応混合物を約70℃以上の温度で約2時間加熱し、その後、混合酸化物触媒に含まれる残りの構成元素のソース化合物と接触させる。
【0012】
本発明の実施形態では、Sbに対するH2O2のモル比が1〜2の範囲である。
本発明の実施形態では、Sbに対するH2O2のモル比が0.5、1.0及び1.5である。
本発明の実施形態では、触媒が下記式で表わされる混合酸化物を含む。
Mo1VaSbbNbcTedMeXfZgOn
(式中、MはLi、Cs及びRbからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属であり、XはY、Ti、Sn、Ge、Zr、Hfからなる群から選択される1種以上であり、ZはPr、La、Nd、Ce及びEuからなる群から選択される1種以上の希土類金属であり、
0.1 ≦ a ≦ 1.0、0.05 ≦ b ≦ 1.0、0.001 ≦ c ≦ 1.0、0 ≦ d ≦ 1.0、0 ≦ e ≦ 0.1、0 ≦ f ≦ 0.6、0 ≦ g ≦ 0.1であり、nは、固体前駆体内に存在する他のすべての元素の原子価数条件を満たすのに必要な酸素原子の数であり、固体前駆体における他の元素1種以上が、最高酸化状態よりも低い酸化状態で存在できることを条件とするものであり、a、b、c、d、e、f及びgは、請求項1の方法により製造される前駆体から作成される該触媒のモリブデン1モルに対するそれぞれの元素の対応のモル比を表わす。)
本発明の実施形態として、触媒の成分XがLiを含む。
本発明の実施形態として、触媒の成分Zが、Nd、Ce、NdとCeとの混合物を含む群から選択される。
本発明の実施形態として、b + d ≧ aである。さらに、実施形態として0 ≦ d ≦ 0.06である。
【0013】
本発明は、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)による化合物を含む固体前駆体を加熱する工程と、前駆体固形混合物を、>約15℃/分の第1昇温速度で400℃以下の予備焼成温度に達するまで流動する気体と接触させる工程とを有する。
本発明の実施形態では、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)による化合物を含む前記固体前駆体を加熱する工程と、前駆体固形混合物を、>約20℃/分の第1昇温速度で300℃以下の予備焼成温度に達するまで流動する気体と接触させる工程と、前記前駆体固形混合物を、>約1℃/分の第2昇温速度でが300〜650℃の温度に達するまで接触させる工程とを有していてもよい。
【0014】
実施形態によると、飽和もしくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素混合物のアンモ酸化又は酸化により、不飽和ニトリル又は不飽和有機酸を製造する方法を提供するものであって、該方法は、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、ヒ素化合物、ホウ素化合物、セリウム化合物、ゲルマニウム化合物、リチウム化合物、ネオジム化合物、ニオブ化合物、リン化合物、セレン化合物、タンタル化合物、チタニウム化合物、タングステン化合物、バナジウム化合物、ジルコニウム化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される特性改質剤と、乾燥金属酸化物触媒とを物理的に混合して触媒混合物を形成する工程と、飽和もしくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素混合物を、触媒混合物の存在下、酸素含有ガス、又は、酸素含有ガスとアンモニアとに接触させる工程とを有するもので、前記乾燥金属酸化物触媒が本発明の前駆体から作成されている。
【0015】
本発明の特性改質剤には、酸化アンチモン(III)、二酸化アンチモン(Sb2O3)、シュウ酸アンチモン(III)、酒石酸アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、三酸化アンチモン、Sb6O13、酸化ゲルマニウム(IV)、テルル酸(H6TeO6)、二酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化リチウム(LiOH)、酸化セリウム(IV)又はこれらの混合物が含まれる。
実施形態の1つでは、特性改質剤は、混合金属酸化物触媒組成物中のモリブデン1モルに対して少なくとも約0.01モル含まれる。
【0016】
本発明は、気相中、アンモ酸化によりプロパン又はイソブタンからアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用する、構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ニオブ(Nb)、酸素(O)を含む混合酸化物触媒の固体前駆体の改良された製造方法であって、前記方法は、モリブデン化合物、バナジウム化合物、アンチモン化合物及び過酸化水素を含む反応混合物を作成する工程を含み、その改良が、アンチモン化合物、モリブデン化合物及びバナジウム化合物のいずれか1つを過酸化水素と接触させた後に、残りの成分と混合することであって、過酸化水素の使用量は、触媒における過酸化水素のアンチモンに対するモル比が0.01〜20の範囲となる量である。
本発明の実施形態の1つとして、過酸化水素の使用量は、触媒における過酸化水素のアンチモンに対するモル比が0.1〜5の範囲となる量である。
実施形態の1つとして、過酸化水素の使用量は、触媒における過酸化水素のアンチモンに対するモル比が0.5〜3の範囲となる量である。
【0017】
実施形態の1つとして、ニオブ(Nb)が、ニオブ酸、シュウ酸水素ニオブ(niobium hydrogen oxalate)、シュウ酸ニオブアンモニウム(niobium ammonium oxalate)又はこれらの混合物からなるニオブ化合物として供給される。
【0018】
本発明の実施形態の1つでは、ヘプタモリブデン酸アンモニウム (AHM)と過酸化水素(H2O2)とを予備混合しておく。メタバナジウム酸アンモニウム(AMV)と三酸化二アンチモン(Sb2O3)との反応物を、ヘプタモリブデン酸アンモニウム (AHM)と過酸化水素(H2O2)との予備混合物に添加して水性混合物(A)を得る。
或いは、メタバナジウム酸アンモニウム(AMV)と過酸化水素(H2O2)とを予備混合しておく。ヘプタモリブデン酸アンモニウム (AHM)と三酸化二アンチモン(Sb2O3)との反応物を、メタバナジウム酸アンモニウム(AMV) と過酸化水素(H2O2)との予備混合物に添加して水性混合物(A)を得る。
或いは、三酸化二アンチモン(Sb2O3)と過酸化水素(H2O2)とを予備混合しておく。ヘプタモリブデン酸アンモニウム (AHM)とメタバナジウム酸アンモニウム(AMV)との反応物を、三酸化二アンチモン(Sb2O3)と過酸化水素(H2O2)との予備混合物に添加して水性混合物(A)を得る。
【0019】
実施形態の1つとして、水性混合物(A)を撹拌しながら加熱を行う。水性混合物の加熱は、30℃〜混合物の通常の沸点の範囲の温度で行うことが有利である。加熱は、還流冷却器を有する装置を使って還流下で行ってもよい。還流加熱の場合、沸点は通常約101〜102℃の範囲である。昇温状態を0.5時間以上保つ。加熱温度が低いと(例えば、50℃未満)、長時間の加熱が必要である。加熱温度が80〜100℃の場合、加熱時間は通常1〜5時間である。
加熱後、シリカゾルと過酸化水素とを水性混合物(A)に添加する。過酸化水素を水性混合物(A)に加える場合、過酸化水素の量は、過酸化水素のアンチモン化合物(アンチモン換算)に対するモル比(H2O2/Sbモル比)が0.01〜20の範囲、0.1〜5の範囲、0.5〜3の範囲、1〜2.5の範囲となる量である。過酸化水素の添加後、水性混合物(A)を30〜70℃で30分から2時間撹拌する。
【0020】
水性液体(B)は、ニオブ化合物(例えばニオブ酸)を水に加え、得られた混合物を50〜約100℃の範囲の温度に加熱することにより得られる。水性液体(B)には、ニオブ化合物に加えてジカルボン酸(例えばシュウ酸)が含まれていることが有利である。通常、ジカルボン酸のニオブ化合物(ニオブ換算)に対するモル比は1〜4であり、2〜4が好ましい。即ち、この場合は、ニオブ酸とシュウ酸が水に添加され、得られた混合物を加熱撹拌することにより水性液体(B)が得られる。
前記水性液体(B)の調製方法は下記工程を有する。(1)水、ジカルボン酸(例えばシュウ酸)、ニオブ化合物(例えばニオブ酸)を混合して、予備ニオブ含有水溶液又はニオブ化合物の一部が懸濁したニオブ含有水性混合物とする工程、(2)予備ニオブ含有水溶液又はニオブ含有水性混合物を冷却してジカルボン酸の一部を析出させる工程、(3)析出したジカルボン酸を予備ニオブ含有水溶液から、又は、析出したジカルボン酸と懸濁しているニオブ化合物をニオブ含有水性混合物から取り除き、ニオブ含有水性液体(B)を得る工程を有する。前記方法で得られた水性液体(B)は、通常、ジカルボン酸/ニオブのモル比が約2〜4である。
【0021】
実施形態の1つでは、ジカルボン酸としてシュウ酸を含み、前記方法の工程(1)におけるニオブ化合物としてニオブ酸、シュウ酸水素ニオブ及びシュウ酸ニオブアンモニウムを含む。これらのニオブ化合物は、固体、混合物、適当な媒体を使った分散体の状態で使用することができる。シュウ酸水素ニオブ又はシュウ酸ニオブアンモニウムのいずれかをニオブ化合物として使用する場合、ジカルボン酸は使用しなくてもよい。ニオブ酸をニオブ化合物として使用する場合、ニオブ酸製造工程で混入した酸性不純物を取り除くために、使用に先だってアンモニア水溶液及び/又は水でニオブ酸を洗浄するとよい。実施形態の1つでは、ニオブ化合物として製造したばかりのニオブ化合物の使用が可能であるが、前記方法において、長期間の保存などによりわずかに変性した(例えば脱水による変性)ニオブ化合物を使うこともできる。本方法の工程(1)では、少量のアンモニア水溶液を添加したり、加熱することでニオブ化合物の溶解を促進することができる。
【0022】
予備ニオブ含有水溶液又は水性混合物におけるニオブ化合物(ニオブ換算)の濃度は、溶液又は混合物1kgに対して0.2〜0.8molの範囲に保つとよい。実施形態の1つでは、ジカルボン酸のニオブ化合物(ニオブ換算)に対するモル比がおよそ3〜6となるような量でジカルボン酸を使用するとよい。ジカルボン酸を過剰に使用する場合、ジカルボン酸水溶液に多量のニオブ化合物を溶解することはできるが、得られた予備ニオブ含有水溶液又は混合物の冷却によって析出するジカルボン酸の量が極めて多くなり、そのため、ジカルボン酸の利用率を低下させるという不都合が起きる可能性がある。一方、ジカルボン酸の使用量が不十分であると、多量のニオブ化合物が溶解されないままジカルボン酸水溶液中に懸濁して混合物を形成する。この懸濁したニオブ化合物を水性混合物から取り除くことになるので、ニオブ化合物の利用率を低下させるという不都合が起こる可能性がある。
【0023】
工程(2)では、いずれの好適な冷却方法も使用できる。例えば、単に氷浴を用いて冷却を行ってもよい。
工程(3)における析出したジカルボン酸(又は析出したジカルボン酸と分散されたニオブ化合物)の除去は、例えば、デカンテーション又は濾過等の従来からの方法により容易に行うことができる。
【0024】
得られたニオブ含有水溶液のジカルボン酸のニオブに対するモル比が約2〜4の範囲外の場合、ニオブ化合物かジカルボン酸のいずれかを水性液体(B)に添加して、溶液のジカルボン酸のニオブに対するモル比が前記範囲におさまるようにすればよい。しかしながら、一般にはそのような操作は不要である。ジカルボン酸のニオブに対するモル比が2〜4の範囲内にある水性液体(B)は、ニオブ化合物の濃度の調整、ジカルボン酸のニオブ化合物に対する比率の調整、前記予備ニオブ含有水溶液又は水性混合物の冷却温度の調整を適宜行うことにより製造することができる。
また、水性液体(B)は更なる成分を含んで調製してもよい。例えば、ニオブ化合物又はニオブ化合物とジカルボン酸との混合物を含む水性液体(B)の少なくとも一部を過酸化水素と一緒に用いる。この場合、過酸化水素のニオブ化合物(ニオブ換算)に対する比、即ち、H2O2/Nb モル比が0.5〜20、1〜20の範囲である過酸化水素の量ならば好適である。
【0025】
また別の実施例では、ニオブ化合物又はニオブ化合物とジカルボン酸との混合物又はその混合物と過酸化水素との混合物を含む水性液体(B)の少なくとも一部が、更に、アンチモン化合物(例えば三酸化二アンチモン)、チタニウム化合物(例えば二酸化チタニウムで、金紅石(ルチル型)と鋭錐石(アナテーズ型)の混合物でもよい)及び/又はセリウム化合物(例えば酢酸セリウム)を含む。この場合、過酸化水素の量は、過酸化水素のニオブ化合物(ニオブ換算)に対するモル比、即ち、H2O2/Nb モル比が0.5〜20、1〜20の範囲となる量である。別の実施例によると、水性液体(B)の少なくとも一部と過酸化水素と一緒に混合するアンチモン化合物は、アンチモン化合物(アンチモン換算)のニオブ化合物(ニオブ換算)に対するモル比、即ちSb/Nbモル比が5以下、0.01〜2の範囲となるようにする。
所望の触媒組成に応じて、水性混合物(A)と水性液体(B)とを適切な比率で混合する。それにより、構成成分による水性混合物はその典型としてスラリー状態となる。水性混合物中の成分の含有量は一般に約50から70〜95質量%、75〜90質量%である。
本発明のシリカ担体担持触媒を製造する場合は、シリカのソース(即ち、シリカゾル又はヒュームドシリカ)が含まれるように水性原料混合物を調製する。シリカのソース量は、目的の触媒におけるシリカ担体の量に応じて適宜調整することができる。
【0026】
成分で構成された水性混合物は、乾燥により乾燥触媒前駆体となる。乾燥は、噴霧乾燥又は蒸発乾燥などの従来からの方法により行うことができる。微細な球体乾燥触媒前駆体が得られることから、噴霧乾燥はとりわけ有用である。噴霧乾燥は、二相流ノズル法又は高圧ノズル法を用いて遠心分離により行うことができる。乾燥用の熱源としては、実施形態の1つでは、蒸気、電熱器等により加熱した空気を使用する。別の実施形態では、噴霧乾燥機の入り口から乾燥区域での温度を150〜300℃にする。
【0027】
本発明は、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)を含む化合物による固体前駆体を加熱する工程と、更に、前駆体固形混合物を、>約15℃/分の第1昇温速度で400℃以下の予備焼成温度に達するまで流動する気体と接触させる工程とを有する。本発明の実施形態の1つは、気相中、プロパン又はイソブタンのアンモ酸化によりアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用される、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)を含む混合酸化物触媒を製造する方法であって、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)で構成される化合物を含む前駆体固形混合物を加熱する工程と、前駆体固形混合物を、>約15℃/分の第1昇温速度で400℃以下の予備焼成温度に達するまで流動する気体と接触させる工程とを更に有する。
【0028】
混合酸化物触媒の実施形態では、前駆体固形混合物が約590〜680℃に達するまで、第2の昇温速度である>約0.5℃/分で加熱する工程を含む。本発明では、第2の昇温速度が、>約1℃/分、>2℃/分又は>5℃/分であってもよい。また、第2の昇温速度は、実質的に酸素を除いた大気中で行う。更に、前駆体固形混合物では、温度約590〜680℃で約2時間保持する。
本発明における焼成は、不活性ガスの使用で行う。不活性ガスとして希ガス、窒素が挙げられる。気体として、空気、蒸気、過熱蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素から選択することができる。前駆体固形混合物の製造方法のなかで、バナジウム化合物と過酸化水素とを事前に混合する場合は、大気中で事前焼成を行うことが焼成方法として好適である。
気体の流量は約1.33〜1.67cm3/g/分とすればよい。気体の流量は反応器の大きさによって異なる。実施形態の1つでは、第1昇温速度が>約20℃/分である。
焼成工程において乾燥触媒前駆体が混合金属酸化物触媒に変換される。焼成は、回転キルン、流動層キルン、流動層反応器、固定層反応器等を使って行うことができる。焼成条件は、形成される触媒の比表面積が約5〜約35 m2/g、約15〜約20 m2/gになるようにあらかじめ設定する。
【0029】
焼成工程は、乾燥触媒前駆体を約550〜680℃の範囲の最終温度まで加熱することを含む。
本発明の焼成工程では、乾燥触媒前駆体を連続的又は断続的に加熱して、200℃未満の温度から約400℃以下、約350℃以下、約300℃以下の予備焼成温度まで、>15℃/分の速度で加熱する。実施形態の1つは、予備焼成温度が300℃である。実施形態の1つは、加熱速度が約20℃/分である。別の実施形態では加熱速度が25℃/分である。更に別の実施形態では、加熱速度は30℃/分である。別の実施形態によると、前駆体の温度がすみやかに約300℃に上昇できるよう、約300℃又はそれよりも若干高めに保持した焼成装置に乾燥触媒前駆体を導入する。
【0030】
予備焼成温度から最終温度までの昇温速度は約0.5℃/分、1℃/分、2℃/分又は5℃/分、或いは、0.5〜5℃/分の範囲のいずれの速度でもよい。実施形態の1つでは、約300℃から中間温度までの温度範囲の昇温速度は約1℃/分、中間温度から最終温度の昇温速度は、>15℃/分又は20℃/分以上、25℃/分以上、又は30℃/分以上である。別の実施形態では、固形物が中間温度に到達した後冷却し、更に昇温速度>約15℃/分又は20℃/分以上、25℃/分以上又は30℃/分以上で最終温度まで加熱する。
本発明の実施形態によると、(1)中間温度又は予備焼成温度までと、(2)中間温度又は予備焼成温度から最終温度までの2段階で焼成を行う。実施形態の1つでは、前駆体温度を速やかに最終温度まで上昇させるために、第1段階の焼成後、冷却をしてもよいが、ほぼ最終温度に相当する高温を保持した焼成装置に固形物を導入する。
【0031】
実施形態の1つでは、約300℃から約340〜350℃、たとえば345℃までの温度範囲の昇温速度が、約0.5℃/分又は1℃/分又は約2℃/分又は約5℃/分、或いは、0.5〜5℃/分の範囲のいかなる速度でもよい。実施形態の1つでは、300〜400℃の範囲、340〜350℃の範囲、例えば345℃で固形物を約1〜4時間保持する。実施形態の1つでは、345〜680℃の温度範囲を昇温速度2.45℃/分で固形物を加熱する。
固形物が最終温度に達したら、その温度で約1〜約3時間、約2時間ほど保持する。
最終温度は550℃、560℃、570℃、580℃、590℃、600℃、610℃、620℃、630℃、640℃、650℃、660℃、670℃、680℃或いは550〜680℃の範囲内のいかなる温度でもよい。実施形態の1つでは、0.5℃/分で約600℃から約680℃に固形物を加熱する。実施形態の1つでは、1℃/分で約600℃から約680℃に固形物を加熱する。
【0032】
焼成は大気中又は大気の気流下で行うことができる。しかしながら、焼成の少なくとも一部は、実質的に酸素を含まない窒素ガス等の気体の雰囲気下(例えば気体の気流下)で行う。本発明では不活性ガスの使用が考えられる。不活性ガスとして希ガス、窒素が挙げられる。気体として、空気、蒸気、過熱蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素から選択することができる。本発明の実施形態の1つでは、(1)約400〜450℃までと(2)約400〜450℃以上のいずれの温度範囲においても実質的に酸素を含まない窒素ガスの気流下で焼成を行う。本発明の別の実施形態では、(1)の約400〜450℃までの温度範囲においては空気を流入させて焼成を行い、(2)の約400〜450℃以上の温度範囲においては実質的に酸素を含まない窒素ガスの気流下で焼成を行う。気体の流量は、(1)約400〜450℃までの温度範囲が特に重要である。気体の流量は、1分あたり、触媒前駆体1gにつき約0.67〜約2.5sccmとすることができる。
【0033】
実施形態の1つとして、混合酸化物触媒は構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、アンチモン(Sb)及び酸素(O)を含む。また、実施形態の1つでは、混合酸化物触媒が構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)及び(O)を含む。
更に、実施形態として、本発明の前駆体固体混合物は構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、アンチモン(Sb)及び酸素(O)を含む。実施形態の1つとして、前駆体固体混合物は構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)及び酸素(O)を含む。
【0034】
本発明の実施形態の1つでは、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、ヒ素化合物、ホウ素化合物、セリウム化合物、ゲルマニウム化合物、リチウム化合物、ネオジム化合物、ニオブ化合物、リン化合物、セレン化合物、タンタル化合物、テルル化合物、チタニウム化合物、タングステン化合物、バナジウム化合物、ジルコニウム化合物、これらの混合物からなる群から選択されるアンモ酸化用の特性改質剤を固体状態で混合酸化物触媒と混合する。
本発明の実施形態の1つでは、混合酸化物触媒を、二酸化アンチモン(Sb2O3)、テルル酸(H6TeO6)、二酸化チタニウム(TiO2)及び酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる群から選択される固体化合物と一緒に混合する。
【0035】
実施形態の1つでは、固体前駆体が下記式を有する。
Mo1VaSbbTecNbdOn
(式中、0.1 ≦ a ≦ 1.0、0 ≦ b ≦ 1.0、0 ≦ c ≦ 1.0、0.001 ≦ d ≦ 0.25;nは、固体前駆体内に存在する他のすべての元素の原子価数条件を満たすのに必要な酸素原子の数であり、固体前駆体における他の元素1種以上が、最高酸化状態よりも低い酸化状態で存在できることを条件とするものであり、a、b、c、dはモリブデン(Mo)1モルに対するそれぞれの元素の対応するモル比を表わす)
実施形態の1つでは、固体前駆体が下記式を有する。
Mo1VaSbbTecNbdOn
(式中、0.1 ≦ a ≦ 1.0、0.05 ≦ b ≦ 1.0、0.001 ≦ c ≦ 1.0、0 ≦ d ≦ 1.0、b + c ≧ a;nは、固体前駆体内に存在する他のすべての元素の原子価数条件を満たすのに必要な酸素原子の数であり、固体前駆体における他の元素1種以上が、最高酸化状態よりも低い酸化状態で存在できることを条件とするものであり、a、b、c、dはモリブデン(Mo)1モルに対するそれぞれの元素の対応するモル比を表わす)
【0036】
本発明は、気相中、アンモ酸化によりプロパン又はイソブタンからアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用する、構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)を含む混合酸化物触媒の製造方法を提供するものであって、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)を含む化合物で構成される前駆体固体混合物を加熱する工程と、>約15℃/分の第1昇温速度で前駆体固体混合物が400℃を超えない温度に達するまで流動する気体と接触させる工程と、更に、前駆体固体混合物を約100℃を超える高温領域に接触させる工程を含む。本発明では、前駆体固体混合物を、>約100℃、>約200℃、>約300℃又は>約400℃の高温で流動する気体と接触させた後に、第2の昇温速度とする実施形態が提供される。本発明の実施形態の1つでは、気相中、アンモ酸化によりプロパン又はイソブタンからアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用する、構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)を含む混合酸化物触媒の製造方法を提供するものであって、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ニオブ(Nb)及び酸素(O)を含む化合物で構成される前駆体固体混合物を加熱する工程と、前駆体固体混合物を、>約15℃/分の第1昇温速度で400℃を超えない温度に達するまで流動する気体と接触させる工程と、更に、前駆体固体混合物を約100℃を超える高温領域に接触させる工程とを含む。
実施形態の1つでは、前駆体固体混合物を100〜250℃の温度範囲に7.5分以内、10分以内、15分以内又は30分以内の加熱状態に放置する。
本発明の予備焼成温度は400℃以下、350℃以下、又は300℃以下である。
【0037】
本発明の触媒は担持状態又は非担持状態のいずれでも使用できる(即ち、触媒が担体を有していてもよい)。好適な担体としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア又はこれらの混合物が挙げられる。ジルコニア又はチタニアを担体材料として使用する場合、ジルコニウム又はチタニウムに対するモリブデンの比率が前記式に示した値を上回り、MoのZrに対する又はMoのTiに対する比率は約1〜10となる。一般に担体は触媒のバインダーの役目を果たすので、摩耗抵抗が高くなり、より堅固な触媒となる。しかしながら商業用では、活性相(即ち、上記の触媒酸化物の複合体)と担体の両方を適宜併せたものが、触媒としての許容できる活性と堅牢さ(摩耗抵抗)を得るのに有用である。担体は、担持触媒の約10〜90質量%である。一般に、担体は担持される触媒の約40〜60質量%である。本発明の実施形態の1つでは、担体が担持される触媒の約10質量%と少量でもよい。本発明の実施形態の1つでは、担体が担持される触媒の約30質量%と少量でもよい。本発明の別の実施形態では、担体が担持される触媒の約70質量%と高い割合であってもよい。担体材料には1種以上の助触媒成分を含ませて使用することができ、このような助触媒成分は担体材料を介して触媒に合体させることができる。
【0038】
本発明は、軽質アルカン炭化水素化合物の触媒アンモ酸化によって得られた高温気体混合物から有機の等価物(organic values)を回収及び精製する連続的な方法を意図するものである。より具体的には、本発明は、プロパン及びイソブタンからなる群から選択される少なくとも1種の仕込み化合物を、アンモニア及び酸素の存在下で触媒酸化を行い、形成された有用な窒素含有有機化合物を回収、精製して、対応の不飽和モノニトリルを含む反応器流出ガスを生成することに関する。
【0039】
気相流動反応器に1種以上の前記触媒を投入し、酸素(例えば、空気などの酸素含有ガスを含む供給流の反応ゾーンに提供)及びアンモニアの存在下、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを形成するのに有効な反応条件のもと、該触媒をプロパン又はイソブタンと接触させることにより、プロパンはアクリロニトリルに、イソブタンはメタクリロニトリルに変換される。この反応のために、供給流にはプロパン又はイソブタン、空気等の酸素含有ガス、アンモニアが下記のモル比で含まれる。プロパン又はイソブタンは酸素に対し約0.1〜約10、約0.125〜約5、約0.25〜約2.5、更に、プロパン又はイソブタンはアンモニアに対し約0.2〜約20、約0.3〜約2.5、約0.5〜約2.0である。また、供給流には、生成物のアクリロニトリル又はメタクリロニトリル(例えば再循環流から、又は、多段反応器の初期工程から)及び蒸気をはじめとする1種以上の追加供給成分が含まれていてもよい。また、供給流には、生成物のアクリロニトリル又はメタクリロニトリル(例えば再循環流から、又は、多段反応器の初期工程から)又は蒸気をはじめとする1種以上の追加供給成分が含まれていてもよい。例えば、供給流には、供給流の全量に対して約5〜約30質量%、又は、供給流におけるプロパン又はイソブタンの量に対して約5〜約30モル%含むことができる。実施形態の1つによると、本願明細書に記載の触媒組成物は、回収された未反応仕込み原料を再循環させずに操作するワンススルー方式によるプロパンからアクリロニトリルへのアンモ酸化で用いられる。
【0040】
気相流動反応器の具体的な設計は細かなところは重要ではない(not narrowly critical)。したがって、気相流動反応器は、固定層反応器、流動層反応器、或いは別のタイプの反応器であってもよい。反応器は、単一の反応器であっても多段反応系の1つの反応器であってもよい。反応器は、反応体供給流を反応器の反応ゾーンに供給するための1個以上の供給口、混合金属酸化物触媒を有する反応ゾーン、反応生成物と未反応だった反応体とを排出する出口とを有する。
【0041】
反応条件は、プロパンからアクリロニトリル、イソブタンからメタクリロニトリルへのそれぞれの変換に有効であるように調整する。通常、反応条件として、温度は約300〜約550℃、約325〜約500℃、実施形態によっては約350〜約450℃や約430〜約520℃である。通常、気相流動反応器の反応ゾーンへのプロパン又はイソブタンを含む供給流の流量は、重量空間速度(WHSV)が約0.02〜約5、約0.05〜約1、実施形態によっては約0.1〜約0.5となるように調整する。上記はいずれの場合も触媒のグラム数に対するプロパン又はイソブタンのグラム数である。反応ゾーンの圧力は約0〜約200psig、約0〜約100psig、約0〜約50psig、約0〜約20psigに調整すればよい。
【0042】
得られたアクリロニトリル又はメタクリロニトリル生成物は、所望であれば当該分野で公知の方法により他の副産物及び未反応だった反応体から単離することができる。得られたアクリロニトリル又はメタクリロニトリル生成物は、所望であれば当該分野で公知の方法により他の副産物又は未反応だった反応体から単離することができる。
【0043】
本願明細書記載の触媒組成物が、シングルパス(即ち再循環しない)のプロパンのアンモ酸化に使用される場合、COx(二酸化炭素+一酸化炭素)、シアン化水素(HCN)、アセトニトリル又はシアン化メチル(CH3CN)とともにアクリロニトリルを生成することができる。反応器の流出物にも未反応だった炭化水素(プロパン又はイソブタン)、酸素(O2)、アンモニア(NH3)及び伴出された触媒微粒子が含まれることがある。
【0044】
反応生成物の回収と精製のプロセスは、反応器流出気体を冷却水性液で冷却する工程と、相当する不飽和モノニトリル、シアン化水素、他の有機の連産品(co-products)を含む水溶液を形成する工程と、蒸留と相分離の一貫したシーケンスを使って有用な水性液体を再循環のために回収し、有用な窒素含有有機化合物やシアン化水素生成物を得る工程とを含む。
【0045】
プロパン、アンモニア及び酸素が反応器で一緒になり、アンモニアの存在下、流動層触媒の表面でプロピレンの酸化が起こる。一連の複合的な発熱反応が起こり、それにより下記生成物が形成される。アクリロニトリル、シアン化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、アセトニトリル、アクロレイン、アクリル酸、水、他の高級ニトリル類、アルデヒド類、ケトン類、酢酸、多くの種々雑多な未知の有機化合物類。3種の供給材料の変換は通常は100パーセントには満たないので、未反応のプロパン、アンモニア、酸素及び窒素が反応器流出ガスに含まれる。3種の供給材料の変換は通常は100パーセントには満たないので、未反応のプロパン、アンモニア、酸素又は窒素が反応器流出ガスに含まれる。とりわけプロパンのソースには少量のプロピレンとより重質な炭化水素化合物が幾分か含まれるが、そのほとんどは未反応プロセスから取り除かれる。発熱反応の熱の一部は、一連のスチームコイルによって除去され、このスチームコイルが加圧約600psigで排気を産生し過熱して、プロセス中の製品回収や精製セクションにおける蒸留用の熱注入等のプロセスに使用される。反応器流出ガスがサイクロンを通過する際に、サイクロンはガスから触媒微粒子を取り除く。その後、ガスは反応器流出ガス冷却機のなかで更に冷却される。反応器流出ガス冷却機は、シェル部分とボイラー供給水を用いたチューブ交換器を冷却源として有する。
【0046】
当該技術分野では周知であるが、本件の酸化工程だけでなく他の酸化工程においても、経済性という観点で、酸化触媒の性能は重要な要因となり、おそらく最重要な要因となる。触媒性能は活性(即ち、反応体の変換)及び選択性(即ち、反応体から所望の生成物への転化率)、単位時間あたりの反応器の単位容積に対する所望の生成物への製造速度、及び、触媒の寿命(即ち、活性又は選択性が実質的に失われるまでの有効期間)で測定される。
【0047】
触媒性能が決まる要因には、組成、製造方法、担体及び焼成条件が挙げられる。化学的要求条件に加え、他の主要な特性としては、表面積、多孔度、密度、孔径分布、硬度、強度、更には、とりわけ流動床触媒については機械的摩耗に対する耐性が含まれる。
【0048】
一般に、アンモ酸化は流動層反応器で行われる。アルカンの高転化率が得られるのは、単回通過での滞留時間が何秒かある場合である。 商業ベースで回収可能な量のアセトニトリルとシアン化水素酸は、任意な連産品である。ほぼ理論量のプロパン、アンモニア及び二酸素を触媒粒子の流動層に投入する。好適な操作条件として、圧力は約3〜約35psig(20.7〜241.4kPaゲージ圧)、約5〜約25psig(34.5〜172.4kPaゲージ圧)である。一般に、温度は華氏約700〜1000度(摂氏371〜538℃)、華氏約750〜950度(摂氏399〜510℃)の範囲である。蒸気を生成することにより反応熱を除去して温度調整し、蒸気は、約300〜約500℃の高圧で生成する。
【0049】
本発明を説明するために触媒サンプルを調製し、同じ反応条件下で評価を行った。下記に示す組成は、触媒調製において添加した全金属をもとにした表示組成である。触媒調製中に消失したり完全に反応しない金属があるので、完成した触媒の実際の組成は下記に示す表示組成とは僅かに異なる場合もある。
【0050】
触媒試験
実験用の直径1インチの40cc流動層反応器で触媒の評価を行った。反応器に約20〜約45gの触媒粒子又は触媒混合物を装填した。プロパンを約0.04〜約0.15WWH(即ち、プロパン質量/触媒質量/時)で反応器に導入した。反応器内の圧力は約2〜約15psigに保持した。反応温度は約420〜約460℃の範囲とした。通常、アンモニアのプロパンに対する比が約1〜約1.5となるような流量でアンモニアを反応器に投入した。酸素:プロパンの比が約3.4となる流量で酸素を反応器に投入した。窒素のプロパンに対する比が約12.6となる流量で窒素を反応器に投入した。
【0051】
本願明細書で用いる量を修飾する「約」という用語は、例えば実験室、実験工場又は製造施設において触媒又は触媒前駆体を製造する場合の現実の状況下で起こる量の変動を意味するものである。例えば、混合物に用いる成分の量を「約」という言葉で修飾する場合は、触媒又は触媒前駆体の製造工場又は実験室内で測定する際の変動と通常払われる配慮の程度が包含される。例えば、生成物の成分の量を「約」という言葉で修飾する場合は、触媒又は触媒前駆体の製造工場又は実験室でのバッチ間の差及び分析方法に固有の差異を含む。量に「約」という言葉の修飾があるなしに関わらず、当該量の等価量が包括される。本願明細書に記載された「約」という言葉で修飾された量はいかなるものも、本発明では「約」の修飾がない量としても適用される。
【実施例】
【0052】
実施例1:過酸化物+モリブデン法
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.08 Nd0.002 Ce0.003 Te0.04 Li0.013 Ox
5ガロンの反応容器で、(i)七モリブデン酸アンモニウム(2343g)を7537mlの脱イオン水に添加した後、(ii)過酸化水素(30質量%、360g)を撹拌しながら15分かけて滴下することによりに反応溶液A1を調製した。
反応混合物A1と同様な方法で反応溶液A2を調製した。
反応混合物Bは20ガロン反応器で調製した。まず、20159gの脱イオン水を加えて90℃に加熱した。その後、メタバナジウム酸アンモニウム(776g)を撹拌しながら添加し、この間、温度は90℃に保持した。次に、619gのSb2O3を添加した。得られた混合物を撹拌しながら90℃で1時間反応させ、反応混合物Bを得た。
835gのシュウ酸ニオブアンモニウムを2170gの脱イオン水に50℃で溶解した後、溶液を15分間50℃で撹拌して、反応溶液Cを調製した。
【0053】
その後、反応溶液A1及びA2を順次反応混合物Bに撹拌しながら添加した。撹拌して混合した反応混合物を更に1時間90℃で反応を続行した。
混合した反応混合物を70℃に冷却した。シリカゾル(Nalco、32.5質量% SiO2、9206g)を混合した反応混合物に添加した。混合した反応混合物を70℃でさらに30分間撹拌し続けた。
その後、混合した反応混合物を50℃に冷却した。反応溶液Cをこの混合した反応混合物に撹拌しながら添加した。
【0054】
得られた混合物に、13464gの脱イオン水に1496gのヒュームドシリカを分散させた分散液を加え、更に、Ce(OOCCH3)3・1.5H2O(27.4g)、Nd(OOCCH3)3・H2O(18.0g)、Te(OH)6(243.8g)とLiOH・H2O(14.5g)を添加した。
その後、得られた反応混合物をBowen乾燥機で噴霧乾燥した。噴霧乾燥機の入り口温度と出口温度はそれぞれ325℃と125℃で、ノズル圧は25psigであった。
噴霧乾燥した一部(550g)を、回転式焼成装置(直径3インチのガラス管)で窒素を流入して(500cc/分)焼成した。焼成プロトコルは、20℃/分で300℃まで、更に、1℃/分で630℃までとした。温度を630℃で2時間保持したのち、室温まで冷却した。
アンモ酸化の結果
【0055】

供給物:O2 3.39 /C3 1.0 / NH3 1.20/ N2 12.61,(16 空気) 10psig
【0056】
実施例2:過酸化物+モリブデン法
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.08 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Ox
七モリブデン酸アンモニウム(189.1g)を500mlの脱イオン水に添加した後、過酸化水素(30質量%、30.4g)を撹拌しながら15分かけて滴下することによりに反応混合物Aを調製した。
【0057】
反応混合物Bは、(i)メタバナジウム酸アンモニウム(31.3g)を400ccの水に加え、(ii)上記溶液を撹拌しながら90℃に加熱した後、(iii)酸化アンチモン(Sb2O3、26.1g)を加え、(iv)該混合物を撹拌しながら90℃で1時間反応させて調製した。
その後、反応混合物Aを反応混合物Bに撹拌しながら添加した。併せた混合物を撹拌しながら90℃に加熱した。この反応混合物を更に1時間90℃で撹拌しながら加熱した。
混合した反応混合物を70℃に冷却した。シリカゾル(Nalco、369g、32.5%シリカ)を添加した。反応混合物を70℃で30分間撹拌した。
【0058】
その後、混合した反応混合物を50℃に冷却した。この混合した反応混合物にシュウ酸ニオブ溶液(112.0g、溶液1kgに対してNbが0.765モル)を撹拌しながら添加した。次に、60.0gのヒュームドシリカを含む900mlの脱イオン水を加え、更に、Ce(OOCCH3)3・1.5H2O(1.11g)、Nd(OOCCH3)3・H2O(0.727g)、LiOH・H2O(0.584g)を添加した。得られた反応スラリーを撹拌しながら室温まで冷却した。
その後、反応混合物をNiro乾燥機で噴霧乾燥した。入り口温度と出口温度はそれぞれ325℃と125℃で、ノズル圧は25psigであった。
噴霧乾燥した一部(60g)を、1インチ径の流動層焼成装置で窒素を流入させて(100cc/分)焼成した。焼成プロトコルは、20℃/分で300℃まで、更に、1℃/分で630℃までとした。温度を630℃で2時間保持したのち、室温まで冷却した。
アンモ酸化の結果
【0059】

転化率77%、選択率59%、収率45%
【0060】
実施例3:過酸化物+アンチモン法
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.056 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Ox
七モリブデン酸アンモニウム(189.0g)とメタバナジウム酸アンモニウム(31.3g)とを500mlの脱イオン水に添加して反応混合物Aを調製した。
反応混合物Bは、酸化アンチモン(Sb2O3、26.1g)を400ccの水に添加して調製した。
【0061】
反応混合物Aを撹拌しながら90℃に加熱した後、その温度に1時間保持した。1時間が終了するころに過酸化水素(30質量%、30.4g)を反応混合物Bに撹拌しながら添加した。過酸化水素添加から2分後、反応混合物Aを反応混合物Bに加えた。併せた混合物を90℃にして、撹拌しながら90℃に3時間保持した。
併せた反応混合物を70℃に冷却した。シリカゾル(Nalco、369g、32.5%シリカ)を加えた。その後、反応混合物を70℃で30分間撹拌した。
混合した反応混合物を50℃に冷却した。シュウ酸ニオブアンモニウム(26.5g、21.0質量% Nb)を100gの脱イオン水に溶解させて、撹拌しながら添加した。次に、60.0gのヒュームドシリカを含む900mlの脱イオン水を添加した。この後、Ce(OOCCH3)3・1.5H2O(1.11g)、Nd(OOCCH3)3・H2O(0.727g)、LiOH・H2O(0.899g)を添加した。その後、反応スラリーを撹拌しながら室温に冷却した。
【0062】
その後、反応スラリーをNiro乾燥機で噴霧乾燥した。入り口温度と出口温度はそれぞれ325℃と125℃で、ノズル圧は25psigであった。
噴霧乾燥した一部(60g)を、1インチ径の流動層焼成装置で窒素を流入させて(100cc/分)焼成した。焼成プロトコルは、20℃/分で300℃まで、更に、1℃/分で630℃までとした。温度を630℃で2時間保持したのち、室温まで冷却した。
アンモ酸化の結果:転化率77%、選択率56%、収率43%
【0063】
実施例4:比較例 過酸化物+モリブデン/アンチモン法
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.08 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Ox
反応混合物Aは、(i)七モリブデン酸アンモニウム(189.1g)を500mlの脱イオン水に添加し、(ii)この混合物を撹拌しながら90℃に加熱し、(iii)酸化アンチモン(Sb2O3、26.1g)を添加したのち、(iv)混合物を10分間撹拌し、(v)温度を90℃に保持しながら、過酸化水素 (30質量%、30.4g)を30分かけて撹拌しながら滴下することにより調製した。
反応混合物Bは、メタバナジウム酸アンモニウム(31.3g)を400ccの水に加えて、得られた溶液を撹拌しながら90℃に加熱することによって調製した。
【0064】
さらに、反応混合物Bを反応混合物Aに撹拌しながら加え、併せた混合物を撹拌しながら1時間90℃に保持した。
併せた反応混合物を70℃に冷却した。シリカゾル(Nalco、369g、32.5%シリカ)を更に加えた。その後、反応混合物を70℃で30分間撹拌した。
併せた反応混合物を50℃に冷却した。シュウ酸ニオブ溶液(112.0g、1kgの溶液あたりニオブ0.765モル)を撹拌しながら加えた。次に、60.0gのヒュームドシリカを含む900mlの脱イオン水を添加した。この後、Ce(OOCCH3)3・1.5H2O(1.11g)、Nd(OOCCH3)3・H2O(0.727g)、LiOH・H2O(0.584g)を添加した。この反応スラリーを撹拌しながら室温に冷却した。
【0065】
その後、反応スラリーをNiro乾燥機で噴霧乾燥した。入り口温度と出口温度はそれぞれ325℃と125℃で、ノズル圧は25psigであった。
噴霧乾燥した一部(60g)を、1インチ径の流動層焼成装置で窒素を流入させて(100cc/分)焼成した。焼成プロトコルは、20℃/分で300℃まで、更に、1℃/分で630℃までとした。温度を630℃で2時間保持したのち、室温まで冷却した。
アンモ酸化の結果:転化率41%、選択率41%、収率17%
【0066】
実施例5:酸化物+モリブデン法(カルシウム助触媒)
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.056 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Te0.04 Ca0.02 Ox
反応混合物Aは、(i)七モリブデン酸アンモニウム(182.2g)を500mlの脱イオン水に添加したのち、(ii)過酸化水素(30質量%、29.3g)を撹拌しながら15分かけて滴下して調製した。
反応混合物Bは、(i)メタバナジウム酸アンモニウム(30.2g)を400ccの水に添加し、(ii)得られた溶液を撹拌しながら90℃に加熱した後、(iii)酸化アンチモン(Sb2O3、25.1g)を添加し、混合物を撹拌しながら90℃で1時間反応させて調製した。
【0067】
反応混合物Aを反応混合物Bに撹拌しながら加え、併せた混合物を撹拌しながら90℃に加熱した。この反応混合物を更に1時間撹拌しながら90℃で加熱した。
併せた反応混合物を70℃に冷却した。シリカゾル(Nalco、369g、32.5% シリカ)を添加した。この混合物を70℃で30分間撹拌した。
こうして得られた混合物を50℃に冷却した。シュウ酸ニオブアンモニウム(25.5g、21.0質量% Nb)を溶解した100gの脱イオン水を撹拌しながら添加した。次に、60.0gのヒュームドシリカを含む900mlの脱イオン水を添加した。続いて、Ce(OOCCH3)3・1.5H2O(1.07g)、Nd(OOCCH3)3・H2O(0.700g)、Ca(OOCCH3)2・1H2O(3.64g)、LiOH・H2O(0.563g)を添加した。得られた反応スラリーを撹拌しながら室温に冷却した。
【0068】
その後、得られた反応混合物をNiro乾燥機で噴霧乾燥した。入り口温度と出口温度はそれぞれ325℃と125℃で、ノズル圧は25psigであった。
噴霧乾燥した一部(60g)を、1インチ径の流動層焼成装置で窒素を流入させて(100cc/分)焼成した。焼成プロトコルは、20℃/分で300℃まで、更に、1℃/分で630℃までとした。温度を630℃で2時間保持したのち、室温まで冷却した。
アンモ酸化の結果:転化率83%、選択率56%、収率46%
【0069】
実施例6:過酸化物+バナジウム
MoV0.25Sb0.167Nb0.08Li0.013Ox
25.1gの五酸化バナジウム(V2O5)をビーカーの600mlの蒸留水に撹拌しながら添加した。続いて、30%過酸化水素を3回のアリコート(70g、70g、35g)に分けておよそ10分間隔で加え、過酸化バナジウムの赤茶褐色の溶液を作成した。別のビーカーで、三酸化アンチモン粉末の存在下、194.6gの七モリブデン酸アンモニウムを600mlの蒸留水に溶解した。
この混合物に過酸化バナジウム溶液を加え、得られた混合物を還流温度に2.5時間加熱した。上記混合物を70℃に冷却した後、369gのシリカゾル(30質量% シリカ)を添加して30分間撹拌した。
【0070】
得られた混合物を更に50℃まで冷却し、60gのヒュームドシリカと34.7gのシュウ酸ニオブアンモニウムとを含む900mlの水を撹拌しながら添加した。更に、0.6gの水酸化リチウムを加えた。
この最終混合物を更に30分間撹拌して、噴霧乾燥を行い微小な回転楕円体(microspheroidal)の粉末を得た。蓋をしたビーカーに入れて、この粉末をマッフル炉内で大気中350℃で3時間熱処理を行い、630℃で2時間窒素の気流下で焼成を行った。この材料のおよそ35gを40cc流動層反応器に装填し、プロパンのアンモ酸化の試験を行った。440℃で、WWH(プロパン質量/触媒質量/時)を0.06、圧力を10psig、供給比率は、プロパン1/ アンモニア1/酸素3.39/窒素12.61。57.8%の選択率でアクリロニトリルを収率45.8%で得た。さらに、5.3%HCN、3.0%アセトニトリル及び2.2%アクリル酸も得た。
【0071】
表1

【0072】
表2

【0073】
実施例7:過酸化物+モリブデン法
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.056 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Te0.04
反応混合物Aは、(i)七モリブデン酸アンモニウム(183.4g)を500mlの脱イオン水に添加した後、(ii)過酸化水素(30質量%、29.5g)を15分かけて撹拌しながら滴下して加えることにより調製した。
反応混合物Bは、(i)メタバナジウム酸アンモニウム(30.38g)を400ccの水に添加し、(ii)その溶液を撹拌しながら90℃に加熱し、(iii)酸化アンチモン(Sb2O3、25.3g)を添加した後、(iv)混合物を撹拌しながら90℃で30分間反応させて調製した。
その後、反応混合物Aを反応混合物Bに添加し、併せた反応混合物を撹拌しながらさらに1時間70℃で加熱した。
併せた反応混合物を70℃に冷却した。シリカゾル(Nalco、369g、32.5%シリカ)を添加し、得られた混合物を50℃で30分間撹拌した。シュウ酸ニオブアンモニウム(36.8g、21.0質量% Nb)を溶解した200gの脱イオン水を、前記混合物に撹拌しながら添加した。次に、60gのヒュームドシリカを含む800mlの脱イオン水を添加した。続けて、Ce(OOCCH3)3・1.5H2O(1.073g)、Nd(OOCCH3)3・H2O(0.705g)、LiOH・H2O(0.567g)を添加した。得られた反応スラリーを撹拌しながら室温に冷却した。
【0074】
その後、得られた反応スラリーをNiro乾燥機で噴霧乾燥した。噴霧乾燥機の入り口温度と出口温度はそれぞれ325℃と125℃で、ノズル圧は25psigであった。
噴霧乾燥した一部(60g)を、1インチ径の流動層焼成装置で窒素を流入させて(100cc/分)焼成した。焼成プロトコルは、20℃/分で300℃まで、更に、1℃/分で630℃までとした。温度を630℃で2時間保持したのち、室温まで冷却した。
アンモ酸化の結果:転化率81.98%、選択率61.16%、収率50.1%
【0075】
実施例8
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.056 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Te0.04
反応混合物Aと反応混合物Bとをあわせた混合物を70℃で2時間反応させた以外は実施例7と同じ。
アンモ酸化の結果:転化率85.9%、選択率61.0%、収率52.4%
【0076】
実施例9
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.056 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Te0.04
反応混合物Aと反応混合物Bとをあわせた混合物を90℃で1時間反応させた以外は実施例7と同じ。
アンモ酸化の結果:転化率74.1%、選択率60.7%、収率45.0%
【0077】
実施例10
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.056 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Te0.04
反応混合物Bを70℃で1時間反応させ、反応混合物Aと反応混合物Bとをあわせた混合物を70℃で1時間反応させた以外は実施例7と同じ。
アンモ酸化の結果:転化率59.9%、選択率60.4%、収率36.2%
【0078】
実施例11
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.056 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Te0.04
反応混合物Aと反応混合物Bとをあわせた混合物を70℃で20分間反応させた以外は実施例Aと同じ。
アンモ酸化の結果:転化率78.2%、選択率55.8%、収率43.6%
【0079】
実施例12
Mo1.0 V0.25 Sb0.167 Nb0.056 Nd0.002 Ce0.003 Li0.013 Te0.04
反応混合物Bを70℃で30分間反応させ、反応混合物Aと反応混合物Bとをあわせた混合物を70℃で1時間反応させた以外は実施例Aと同じ。
アンモ酸化の結果:転化率60.8%、選択率59.7%、収率36.3%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相中、アンモ酸化によりプロパン又はイソブタンからアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用する、構成元素としてモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)、酸素(O)を含む混合酸化物触媒の固体前駆体を製造する方法であって、前記方法は、モリブデン化合物、バナジウム化合物、アンチモン化合物及び過酸化水素を含む反応混合物を作成する工程を含み、前記反応混合物が、アンチモン化合物、モリブデン化合物、バナジウム化合物のいずれか1つを過酸化水素と接触させた後、混合酸化物触媒に含まれる残りの元素のソース化合物と混合することによって調製されるもので、過酸化水素の使用量は、触媒におけるアンチモンに対する過酸化水素のモル比が0.01〜20の範囲となる量であり、更に前記得られた混合物を乾燥して固体前駆体を形成する工程を含む製造方法。
【請求項2】
モリブデン化合物を過酸化水素と接触させてMo-過酸化物反応混合物を形成し、バナジウム化合物をアンチモン化合物と混合してV-Sb反応混合物を形成し、V-Sb反応混合物を前記Mo-過酸化物反応混合物と接触させて混合Mo-V-Sb反応混合物を形成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記V-Sb反応混合物を約80℃〜還流温度程度の範囲内の温度で約15〜約45分間加熱した後に、前記Mo-過酸化物反応混合物と接触させることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記V-Sb反応混合物を約90℃で約30分間加熱した後に、前記Mo-過酸化物反応混合物と接触させることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項5】
混合したMo-V-Sb反応混合物を約80℃以下の温度で少なくとも約1時間加熱した後に、前記混合酸化物触媒中の残りの元素のソース化合物と接触させることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項6】
混合したMo-V-Sb反応混合物を約70℃で約2時間加熱した後に、前記混合酸化物触媒中の残りの元素のソース化合物と接触させることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記バナジウム化合物を過酸化水素と接触させてV-過酸化物反応混合物を形成し、前記モリブデン化合物をアンチモン化合物と混合してMo-Sb反応混合物を作成し、前記Mo-Sb反応混合物を前記V-過酸化物反応混合物と接触させることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記アンチモン化合物を過酸化水素と接触させてSb-過酸化物反応混合物を形成し、前記モリブデン化合物をバナジウム化合物と混合してMo-V反応混合物を作成し、前記Mo-V反応混合物を前記Sb-過酸化物反応混合物と接触させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項9】
Sbに対するH2O2のモル比が1〜2の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記触媒が、下記式:
Mo1VaSbbNbcTedMeXfZgOn
(式中、MはLi、Cs及びRbからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属であり、XはY、Ti、Sn、Ge、Zr及びHfからなる群から選択される1種以上であり、ZはPr、La、Nd、Ce及びEuからなる群から選択される1種以上の希土類金属であり、
0.1 ≦ a ≦ 1.0、0.05 ≦ b ≦ 1.0、0.001 ≦ c ≦ 1.0、0 ≦ d ≦ 1.0、0 ≦ e ≦ 0.1、0 ≦ f ≦ 0.6、0 ≦ g ≦ 0.1、nは、前駆体内に存在する他のすべての元素の原子価数条件を満たすのに必要な酸素原子の数であり、前駆体における他の元素1種以上が、最高酸化状態よりも低い酸化状態で存在できることを条件とするものであり、a、b、c、d、e、f及びgは、請求項1記載の方法により製造された前駆体から調製される前記触媒のモリブデン(Mo)1モルに対するそれぞれの元素の対応のモル比を表わす)で表わされる混合酸化物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
XがLiである、請求項10記載の触媒。
【請求項12】
ZがNd、Ce及びNdとCeとの混合物からなる群から選択される、請求項10記載の触媒。
【請求項13】
b + d ≧ aである、請求項10記載の触媒。
【請求項14】
0 ≦ d ≦ 0.06である、請求項6記載の触媒。
【請求項15】
前記前駆体混合物を、>約15℃/分の第1昇温速度で400℃以下の予備焼成温度に達するまで流動する気体と接触させることにより前記前駆体を加熱する工程を更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体固体混合物を、>約20℃/分の第1昇温速度で300℃以下の予備焼成温度に達するまで流動する気体と接触させ、>約1℃/分の第2昇温速度で300〜650℃の範囲の温度に達するまで流動する気体と接触させることにより前記前駆体を加熱する工程を更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
飽和もしくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素混合物のアンモ酸化又は酸化により、不飽和ニトリル又は不飽和有機酸を製造する方法であって、
アルミニウム化合物、アンチモン化合物、ヒ素化合物、ホウ素化合物、セリウム化合物、ゲルマニウム化合物、リチウム化合物、ネオジム化合物、ニオブ化合物、リン化合物、セレン化合物、タンタル化合物、チタニウム化合物、タングステン化合物、バナジウム化合物、ジルコニウム化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される特性改質剤と、乾燥金属酸化物触媒とを物理的に混合して触媒混合物を形成する工程と、
前記飽和もしくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素混合物を、前記触媒混合物の存在下、酸素含有ガス、又は、酸素含有ガスとアンモニアとに接触させる工程とを有するもので、
前記乾燥金属酸化物触媒が請求項1記載の方法により製造された前駆体から調製された、製造方法。
【請求項18】
特性改質剤が、酸化アンチモン(III)、二酸化アンチモン(Sb2O3)、シュウ酸アンチモン(III)、酒石酸アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、三酸化アンチモン、Sb6O13、酸化ゲルマニウム(IV)、テルル酸(H6TeO6)、二酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化リチウム(LiOH)、酸化セリウム(IV)又はこれらの混合物を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
気相中でプロパン又はイソブタンのアンモ酸化によりアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に使用する、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ニオブ(Nb)、酸素(O)を構成元素として含む混合酸化物触媒の前駆体の改良された製造方法であって、
モリブデン化合物、バナジウム化合物、アンチモン化合物及び過酸化水素で構成される反応混合物を作成する工程を有し、アンチモン化合物、モリブデン化合物、バナジウム化合物のいずれか1つと過酸化水素とを混合した後に、残りの構成成分と混合し、過酸化水素の使用量が、前記触媒におけるアンチモンに対する過酸化水素のモル比が0.01〜20の範囲になる量とする、改良された方法。
【請求項20】
過酸化水素の使用量が、前記触媒におけるアンチモンに対する過酸化水素のモル比が0.1〜5の範囲となる量であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項21】
過酸化水素の使用量が、前記触媒におけるアンチモンに対する過酸化水素のモル比が0.5〜3の範囲となる量であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項22】
ニオブ(Nb)が、ニオブ酸、シュウ酸水素ニオブ、シュウ酸ニオブアンモニウム又はこれらの混合物からなるニオブ化合物として供給される、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記特性改質剤が、前記混合金属酸化物触媒組成物中のモリブデン(Mo)1モルに対して少なくとも約0.01モル含まれる、請求項14記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−529777(P2011−529777A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521118(P2011−521118)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/004355
【国際公開番号】WO2010/014206
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(509230757)イネオス ユーエスエイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (13)
【Fターム(参考)】