説明

低表面抵抗率のディップ成形品

本発明は、表面抵抗率が低く、さらに超純水で洗浄した後においても、従来品より表面抵抗率が低いディップ成形品に関する。本発明のディップ成形品は、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される表面抵抗率が10〜1010Ω/squareである。本発明のディップ成形品は、表面抵抗率が低いので、精密電子部品製造用および半導体部品製造用の手袋として好適に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ディップ成形品、その製造方法およびディップ成形用ラテックス組成物に関する。
【背景技術】
天然ゴムラテックスやアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスからなるディップ成形用ラテックス組成物をディップ成形したゴム手袋は、柔軟で、かつ十分な機械的強度を有することから、様々な分野で用いられている。
なかでも、精密電子部品製造や半導体部品製造においては、ゴム手袋表面に付着した微粒子や該ゴム手袋に含有する金属イオンが、半製品や製品に悪影響を与えるため、予め純水や超純水で洗浄したゴム手袋が用いられている。
しかしながら、天然ゴムラテックスやアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスを構成する重合体は、電気絶縁性が高く、これらのラテックスから製造されたゴム手袋の表面抵抗率は、1010Ω/squareを超える。さらに、純水や超純水で洗浄することより、洗浄後のゴム手袋の表面抵抗率は、より高くなる傾向にある。
ゴム手袋の表面抵抗率が1010Ω/squareを超えると、作業中に静電気が発生し、その静電気により、精密電子部品や半導体部品が破壊されてしまう問題がある。
【発明の開示】
本発明の目的は、上記の事情に鑑み、その表面抵抗率が低く、さらに超純水で洗浄した後においても、従来のものより表面抵抗率が低いディップ成形品およびその製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は以下の手段(1)〜(4)により達成された。
(1)20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される表面抵抗率が10〜1010Ω/squareであるディップ成形品、
(2)ディップ成形型上に、ディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成した後、該ディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させることを特徴とするディップ成形品の製造方法、
(3)ゴムラテックスにカチオン性界面活性剤を添加してなるディップ成形用ラテックス組成物、
(4)ディップ成形型上に、前記(3)のディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成させた後、該ディップ成形層を加硫することを特徴とするディップ成形品の製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
(ディップ成形品)
本発明のディップ成形品は、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される表面抵抗率が10〜1010Ω/squareのものである。ディップ成形品の表面抵抗率は、10〜1010Ω/squareであることが好ましい。表面抵抗率がさらに低いディップ成形品を製造するのは困難であり、逆に表面抵抗率が高いディップ成形品は、作業中に静電気が発生し、半導体部品の製造においては不適である。
本発明において、10とは1×10を意味する。1010、1011等についても同様である。また、10〜1010とは1×10以上1×1010以下を意味する。10〜1011等についても同様である。
表面抵抗率及び体積抵抗率は、ASTM D257−93に準じて測定する。測定方法の詳細は実施例に記載したとおりである。
本発明のディップ成形品は、30℃の超純水に2時間浸漬した後、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される表面抵抗率が10〜1010Ω/square、より好ましくは10〜1010Ω/squareであることが好ましい。超純水に浸漬した後においても、表面抵抗率がこの範囲にあるディップ成形品は、精密電子部品や半導体部品の製造において、より好適に使用できる。
本発明において、超純水は、25℃での比抵抗が16MΩcm以上の水を意味する。また、本発明においては、ディップ成形品を浸漬する超純水の温度は、30℃±10℃の範囲であれば支障がない。
本発明のディップ成形品は、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される体積抵抗率が10〜1011Ωcm、より好ましくは10〜1011Ωcmのものであることが好ましい。体積抵抗率がこの範囲にあるディップ成形品は、精密電子部品や半導体部品の製造において、より好適に使用できる。
本発明のディップ成形品は、30℃の超純水に2時間浸漬した後、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される体積抵抗率が10〜1011Ωcmのものであることが好ましい。超純水に浸漬した後においても、体積抵抗率がこの範囲にあるディップ成形品は、精密電子部品や半導体部品の製造において、より好適に使用できる。
本発明のディップ成形品は、ディップ成形用ラテックス組成物をディップ成形して得られるものである。
本発明に係るディップ成形品の製造方法は、2つの方法に大別できる。
第1のディップ成形品の製造方法は、ディップ成形型上に、ディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成した後、該ディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させることを特徴とする(以下、「製造方法1」ともいう。)。
第2のディップ成形品の製造方法は、ゴムラテックスにカチオン性界面活性剤を添加してなるディップ成形用ラテックス組成物を用い、ディップ成形型上に、該ディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成した後、該ディップ成形層を加硫することを特徴とする(以下、「製造方法2」ともいう。)
(第1のディップ成形品の製造方法)
まず、上記の製造方法1について以下に説明する。
製造方法1において使用するディップ成形用ラテックス組成物に用いるディップ成形用ラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックスや合成の共役ジエンゴムラテックスなどのゴムラテックスが挙げられる。なかでも、所望の特性を有するディップ成形品を容易に製造し易い点で、合成の共役ジエンゴムラテックスが好ましく使用できる。
合成の共役ジエンゴムラテックスは、共役ジエン単量体、または共役ジエン単量体および共役ジエン単量体と共重合可能な他の単量体を重合して得られるものである。
共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ハロゲン置換ブタジエンなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、1,3−ブタジエンが好ましく使用できる。共役ジエン単量体の使用量は、全単量体中、好ましくは30〜89.5重量%であり、より好ましくは45〜79重量%である。
共役ジエン単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン性不飽和ニトリル単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミドなどが挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和ニトリル単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体が好ましく、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体がより好ましく使用される。
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。なかでも、アクリロニトリルが好ましく使用できる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル;などを挙げることができる。なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましく使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
上記の単量体以外にも、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジンなどを用いることができる。
これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
共役ジエンゴムラテックスとしては、本発明の効果が発現し易い上に、柔軟、かつ耐油性および機械的強度に優れるディップ成形品が得られる点で、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体からなる単量体混合物を重合して得られるものが好ましく使用できる。この場合の組成比は、共役ジエン単量体30〜89.5重量%、好ましくは45〜79重量%、エチレン性不飽和ニトリル単量体10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲にあることが好ましい。
上記の組成の共役ジエンゴムラテックスは、製造方法1のみならず、後記の製造方法2においても好ましく使用できる。
共役ジエンゴムラテックスは、通常、上記の単量体を、従来公知の乳化重合法を用いて製造することができる。
ディップ成形用ラテックス組成物は、上記のディップ成形用ラテックス以外に、加硫剤および加硫促進剤を配合することが好ましく、さらに所望により、酸化亜鉛を配合してもよい。
加硫剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアミン類;などが挙げられる。なかでも、硫黄が好ましい。加硫剤の使用量は、ラテックス固形分100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜4重量部である。
加硫促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニリル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3−ビス(2−ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられる。なかでも、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。これらの加硫促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
加硫促進剤の使用量は、ディップ成形用ラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜4重量部である。
酸化亜鉛の使用量は、ディップ成形用ラテックス固形分100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下である。
ディップ成形用ラテックス組成物には、さらに所望により、ディップ成形において通常使用される、pH調整剤、増粘剤、老化防止剤、分散剤、顔料、充填剤、軟化剤などを配合してもよい。
ディップ成形用ラテックス組成物の固形分濃度は、通常、20〜40重量%、好ましくは25〜35重量%である。ディップ成形用ラテックス組成物のpHは、通常、8以上、好ましくは9〜11の範囲である。
本発明の製造方法1においては、ディップ成形型上に、前記のディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成した後、該ディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させることを特徴とする。
ディップ成形型としては、例えば、磁器製、陶器製、金属製、ガラス製、およびプラスチック製のものなどが挙げられる。ディップ成形品が手袋である場合、成形型は人の手の輪郭に対応する形状を有するものであり、製造しようとする手袋の使用目的に応じて、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。
ディップ成形型上に、前記のディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成する方法としては、従来公知のディップ成形法を用いることができ、例えば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形品が得られやすい点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
アノード凝着浸漬法の場合、通常、ディップ成形型を凝固剤溶液に浸漬して、該型上に凝固剤を付着させた後、それをディップ成形用ラテックス組成物に浸漬して、該型上にディップ成形層を形成する。
凝固剤としては、電解質金属塩であれば特に限定されないが、例えば、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;などが挙げられる。なかでも、塩化カルシウム、硝酸カルシウムが好ましい。
凝固剤は、通常、水、アルコール、またはそれらの混合物の溶液として使用する。凝固剤濃度は、通常、5〜70重量%、好ましくは20〜50重量%である。
本発明の製造方法1においては、前記のディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させることが必須である。
本発明で用いるカチオン性界面活性剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、第1級アミンの塩、第2級アミンの塩、第3級アミンの塩、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩が好ましく使用できる。
第1級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18の、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第1級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。なお、上述の置換基における炭素数の下限はアルキル基において1であり、アルケニル基においては2であり、アリール基において6であり、アラルキル基においては7である。この下限の炭素数の規定は本発明における他の置換基の説明においても同様である。
第2級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第2級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
第3級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第3級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(1)で表されるもの、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
一般式(1)

式中、R〜Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子を表す。
製造方法1において使用される一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩におけるR〜Rで表される置換基に含まれる炭素原子数の合計(「置換基炭素原子数合計」ともいう。)は、好ましくは5〜30、より好ましくは8〜30、更に好ましくは12〜30であり、特に好ましくは14〜30である。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
ピリジニウム塩としては、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
一般式(2)

式中、R〜Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基および水素原子から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。R10は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれる基である。Xは、ハロゲン原子を表す。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムブロマイドなどが挙げられる。
イミダゾリウム塩としては、例えば、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
一般式(3)

式中、R11およびR12は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。R13は、炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基である。Xは、ハロゲン原子である。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、2−ラウリル−N−メチル−N−ラウリルイミダゾリウムクロライド、2−ラウリル−N−エチル−N−ラウリルイミダゾリウムクロライドなどが挙げられる。
上記の第4級アンモニウム塩のなかでも、前記一般式(1)で示されるものが好ましく、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライドがより好ましく、セチルトリメチルアンモニウムクロライドが特に好ましく使用できる。
カチオン性界面活性剤は、水、アルコール、またはそれらの混合物の溶液として使用することが、より均一にディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させることができる点で好ましい。その濃度は、特に限定されないが、通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%である。濃度が低すぎると、得られたディップ成形品の表面抵抗率が高くなる傾向があり、逆に高すぎても、表面抵抗率を低下させる効果が頭打ちとなり、ディップ成形層に過剰に付着したカチオン性界面活性剤の除去がし難くなる傾向にある。
ディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させる方法は特に限定されないが、例えば、刷毛やスプレー装置を用いて、カチオン性界面活性剤溶液をディップ成形層に塗布する方法、カチオン性界面活性剤溶液にディップ成形層を浸漬する方法が採用できる。より均一にディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させることができる点で、後者の方法が好ましい。
カチオン性界面活性剤溶液にディップ成形層を浸漬する場合、カチオン性界面活性剤溶液の温度は、通常、0〜80℃、好ましくは20〜60℃であり、浸漬時間は、通常、1秒間〜10分間、好ましくは30秒間〜5分間である。
ディップ成形層とカチオン性界面活性剤との接触は、ディップ成形型上にディップ成形層を形成した後であれば、特に限定されないが、より表面抵抗率の低いディップ成形品を得られる点で、ディップ成形層を加硫する前に行なうことが好ましい。
得られたディップ成形層は、通常、加熱処理により加硫(架橋)する。
ディップ成形層の加硫は、通常、80〜150℃の温度で、10〜120分間加熱して行う。加熱の方法としては、赤外線や熱空気による外部加熱または高周波による内部加熱による方法が採用できる。なかでも、熱空気による加熱が好ましい。
なお、ディップ成形層を加硫する前にリーチングを行ってもよい。リーチングは、通常、ディップ成形型上のディップ成形層を、20〜60℃の温水に、1〜30分間程度、浸漬して行われる。リーチングを行なうことで、ディップ成形層中に含まれる水溶性不純物(例えば、余剰の乳化剤や凝固剤など)が除去され、より機械的強度に優れるディップ成形品が得られる。
このリーチングは、ディップ成形層を加硫した後に行ってもよいが、より効率的に水溶性不純物を除去できる点から、ディップ成形層を加硫する前に行なうのが好ましい。
ディップ成形層を加硫した後、該加硫物をディップ成形型から脱着することによって、ディップ成形品が得られる。脱着方法は、手で型から剥がしたり、水圧や圧縮空気の圧力により剥がしたりする方法が採用できる。脱着後、さらに60〜120℃の温度で、10〜120分の加熱処理を行ってもよい。
(第2のディップ成形品の製造方法)
本発明の製造方法2においては、ゴムラテックスにカチオン性界面活性剤を添加してなるディップ成形用ラテックス組成物を用いる。
ゴムラテックスとしては、製造方法1において例示したものを用いることができ、好ましく用いることができるものも製造方法1と同様である。
ゴムラテックスに添加されるカチオン性界面活性剤としては、特に限定がなく、製造方法1において例示したものを使用することができる。なかでも、第4級アンモニウム塩が好ましく使用できる。第4級アンモニウム塩としては、前記一般式(1)で表されるもの、前記一般式(2)で表されるピリジニウム塩、前記一般式(3)で表されるイミダゾリウム塩が同様に使用できるが、前記一般式(1)で表されるものが好ましく使用できる。
製造方法2においては、前記一般式(1)のR〜Rで表される置換基に含まれる炭素原子数の合計(置換基合計炭素数)は、好ましくは5〜30、より好ましくは8〜30である。
なかでも、セチルトリメチルアンモニウムクロライドおよびジアリルジメチルアンモニウムクロライドが好ましく使用できる。
カチオン性界面活性剤の使用量は、ゴムラテックス重合体100重量部に対し、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部、特に好ましくは0.1〜2重量部である。カチオン性界面活性剤の使用量が少なすぎると所望の低い表面抵抗率が達成できなくなるおそれがあり、逆に、多すぎるとディップ成形用ラテックス組成物の安定性が損なわれる可能性がある。
ゴムラテックスへのカチオン性界面活性剤の添加方法としては、カチオン性界面活性剤の水溶液の状態で添加することが好ましい。カチオン性界面活性剤水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1.0〜15重量%である。上記範囲の濃度のカチオン性界面活性剤水溶液を用いることにより、添加の際の粗大凝集物の発生を抑制することができ、安定なディップ成形用ラテックス組成物が調製できる。
上記カチオン性界面活性剤水溶液は、置換基合計炭素数が13以上の場合には、pHが好ましくは9以上、より好ましくは9.5以上、特に好ましくは9.5〜13になるように塩基性化合物が添加されたものであることが好ましく、置換基合計炭素数が5〜12の場合には、pHが好ましくは5.5以上、より好ましくは6以上、特に好ましくは6〜8になるように調節することが好ましい。添加するカチオン性界面活性剤水溶液のpHが低すぎるとゴムラテックスが凝固するおそれがある。
該塩基性化合物は特に制限されず、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム等が使用できるが、特に水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが好ましい。
上記カチオン性界面活性剤をゴムラテックスに添加した後、5〜50℃で30分〜24時間熟成させることが好ましい。この熟成により、カチオン性界面活性剤がラテックス重合体に均一に分配され、より低表面抵抗率のディップ成形品を製造することができる。
製造方法2で用いるディップ成形用ラテックス組成物は、前記した点を除き、加硫剤、加硫促進剤、その他の配合剤、固形分濃度、pHなどの条件は、製造方法1で述べたと同様である。
製造方法2は、ディップ成形型上に、前記のディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成した後、該ディップ成形層を加硫することを特徴とする。
製造方法2におけるディップ成形型、ディップ成形方法、加硫条件、加硫物の脱着方法などは、製造方法1において述べたと同様である。但し、製造方法2においては、前記のディップ成形用ラテックス組成物を用いることで、十分に低表面抵抗率のディップ成形品が得られるので、形成されたディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させる必要はない。
本発明のディップ成形品としては、厚みが約0.1〜3ミリのものが製造でき、特に厚みが0.1〜0.3ミリの薄手のものが好適に使用できる。その具体例としては、例えば、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕などの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具や運動具;加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグなどの工業用品;各種手袋;及び指サックなどが挙げられる。手袋として使用するのに適しており、手術用、家庭用、農業用、漁業用および工業用のアンサポート型手袋またはサポート型手袋が例示できる。本発明のディップ成形品は、表面抵抗率が低いので、精密電子部品製造用、半導体部品製造用の手袋として好適に使用できる。
【実施例】
以下に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載における「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準である。
ゴム手袋の評価は以下のように行なった。
(超純水に浸漬する前の表面抵抗率および体積抵抗率)
得られたゴム手袋の手の平部分から、10cm角の試験片を切り抜いた。
この試験片を20℃、相対湿度が65%の恒温恒湿室で1夜放置した後、同じ雰囲気下で、ASTM D257−93に準じて、測定電圧250Vで、試験片の表面抵抗率および体積抵抗率を測定した。なお、この測定における上限界値は、それぞれ、3.8×1010Ω/square、3.8×1011Ωcmであった。
(超純水に浸漬した後の表面抵抗率および体積抵抗率)
得られたゴム手袋の手の平部分から、10cm角の試験片を切り抜き、それを比抵抗が18.3MΩcmの超純水500mlに、30℃で2時間浸漬し、浸漬した後の試験片を70℃で乾燥した。乾燥後の試験片を20℃、相対湿度が65%の恒温恒湿室で1夜放置した後、同じ雰囲気下で、ASTM D257−93に準じて、測定電圧250Vで、試験片の表面抵抗率および体積抵抗率を測定した。なお、この測定における上限界値は、それぞれ、3.8×1010Ω/square、3.8×1011Ωcmであった。
【実施例1】
硫黄1部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、酸化亜鉛0.5部および酸化チタン1.5部を、水3.5部に分散して、加硫剤分散液を調製した。
アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体ラテックス(1,3−ブタジエン単位67.5%、アクリロニトリル単位27%およびメタクリル酸単位5.5%、固形分濃度40%、ラテックスpH8.5)250部に、上記の加硫剤分散液7部を添加した後、水酸化カリウム水溶液および水を添加して、pH9.5、固形分濃度30%のディップ成形用ラテックス組成物を調製した。
60℃に加熱した手型を、硝酸カルシウム25%水溶液(凝固剤溶液)に浸漬した後、60℃で、10分間乾燥した。この凝固剤が付着した手型を、前記のディップ成形用ラテックス組成物に10秒間浸漬し、手型上にディップ成形層を形成した。次いで、これを30℃のセチルトリメチルアンモニウムクロライド1%水溶液に2分間浸漬した後、40℃の脱イオン水で5分間リーチングした。次いで、60℃で10分間乾燥した後、120℃で20分間ディップ成形層を加硫した。得られた加硫物を、手型から反転させながら脱着して、ゴム手袋を得た。このゴム手袋の評価を行い、その結果を表1に示す。
【実施例2】
セチルトリメチルアンモニウムクロライド濃度を1%から2%に変更する以外は、実施例1と同様にゴム手袋を得た。このゴム手袋の評価を行い、その結果を表1に示す。
【実施例3】
セチルトリメチルアンモニウムクロライドをラウリルトリメチルアンモニウムクロライドに代えた以外は、実施例1と同様にゴム手袋を得た。このゴム手袋の評価を行い、その結果を表1に示す。
【実施例4】
セチルトリメチルアンモニウムクロライドをヘキサデシルピリジニウムクロライドに代えた以外は、実施例1と同様にゴム手袋を得た。このゴム手袋の評価を行い、その結果を表1に示す。
【実施例5】
セチルトリメチルアンモニウムクロライドをラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライドに代えた以外は、実施例1と同様にゴム手袋を得た。このゴム手袋の評価を行い、その結果を表1に示す。
【実施例6】
ディップ成形層を加硫した後、手型から脱着する前に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬して加硫物表面を塩素化した後、水酸化カリウム水溶液で中和する操作を加える以外は、実施例1と同様にゴム手袋を得た。このゴム手袋の評価を行い、その結果を表1に示す。
(比較例1)
セチルトリメチルアンモニウムクロライド1%水溶液への浸漬を行なわない以外は、実施例1と同様にゴム手袋を得た。このゴム手袋の評価を行い、その結果を表1に示す。

表1から次のようなことがわかる。
従来のゴム手袋は、表面抵抗率が1010Ω/squareを超えており、超純水に浸漬することにより、体積抵抗率がさらに高くなる(比較例1)。
この比較例に対して、カチオン性界面活性剤を接触されて得られる本発明のゴム手袋は、表面抵抗率が低く、超純水に浸漬しても、その表面抵抗率は、1010Ω/square未満である(実施例1〜6)。本発明のゴム手袋は、精密電子部品や半導体部品の製造において、好適に使用できるものである。
【実施例7】
セチルトリメチルアンモニウムクロライド10%水溶液に5%水酸化カリウム水溶液を加えpHを10に調整してカチオン性界面活性剤水溶液を調製した。
アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体ラテックス(1,3−ブタジエン単位67.5%、アクリロニトリル単位27%およびメタクリル酸単位5.5%、固形分濃度40%、ラテックスpH8.5)250部に、硫黄1部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、酸化亜鉛0.5部および酸化チタン1.5部を添加した後、水酸化カリウムおよび水を添加してpH9.5、固形分濃度30%とした後、上記カチオン性界面活性剤水溶液を、ゴムラテックス重合体100部に対してセチルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部の割合で配合してディップ成形用ラテックス組成物を調製した。ディップ成形用ラテックス組成物を30℃で16時間撹拌して熟成してから、80メッシュの金網でろ過したが、凝集物は見られなかった。
60℃に加熱したセラミック製の手型を、ディップ成形用凝固剤溶液である硝酸カルシウム25%水溶液に浸漬して引き上げ、60℃で10分間乾燥した。この凝固剤が付着した手型を、前記のディップ成形用ラテックス組成物に10秒間浸漬して引き上げ、手型上にディップ成形層を形成した。次いで、これを40℃の脱イオン水で5分間リーチングしてから60℃で10分間乾燥した後、120℃で20分間ディップ成形層を加硫した。得られた加硫物を、手型から反転させながら脱着して、ゴム手袋を得た。このゴム手袋の超純水浸漬前後の表面抵抗率および体積抵抗率を測定した結果を表2に示す。
【実施例8】
実施例7において、ゴムラテックスに配合するカチオン性界面活性剤水溶液の量を、ラテックス重合体100部に対してセチルトリメチルアンモニウムクロライド1部の割合としてディップ成形用ラテックス組成物を調製したほかは実施例1と同様に行った。得られたゴム手袋の表面抵抗率、体積抵抗率を測定した結果を表2に示す。
【実施例9】
実施例7において、手型から反転させながら脱着して得たゴム手袋を、次亜塩素酸ナトリウム1%水溶液に10秒間浸漬し、次いで、塩酸0.64%水溶液に10秒間浸漬してディップ成形品の表面を塩素化した。その後この手袋を30℃の流水で20分間洗浄した後、80℃で1時間乾燥し、次いで、20℃、相対湿度65%の環境に一晩置いて調湿した。調湿した手袋の表面抵抗率、体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【実施例10】
カチオン性界面活性剤としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド10%水溶液を調製し、pHを6.5に調整した後、ゴムラテックス重合体100部に対してジアリルジメチルアンモニウムクロライド1部の割合で配合してディップ成形用ラテックス組成物を調製した以外は実施例7と同様にして手袋を作製した。この手袋を実施例9と同様にして手袋表面を塩素化・洗浄・乾燥・調湿してゴム手袋を得た。このゴム手袋の超純水浸漬前後の表面抵抗率および体積抵抗率を測定した結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例7において、ゴムラテックスにカチオン性界面活性剤水溶液を配合しなかった他は、実施例7と同様に行った。得られたゴム手袋の表面抵抗率、体積抵抗率を測定した結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例1と同様にして得られた手袋に対して、実施例9と同様にして、次亜塩素酸ナトリウム水溶液浸漬以降の処理を行った。調湿した手袋の表面抵抗率、体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。

表2が示すように、本発明の製造方法によるディップ成形品は、表面抵抗率はいずれも1010Ω/square未満であり、また、体積抵抗率はいずれも1011Ω/cm未満で、共に低い抵抗率であり、また、超純水に浸漬しても同様であった(実施例7〜10)。
これに対して従来のゴム手袋は、表面抵抗率が1010Ω/squareを超え、また体積抵抗率も1011Ω/cmを超えるものであった。(比較例2および3)。
本発明の製造方法によれば、その表面抵抗率が低く、さらに超純水で洗浄した後においても、従来のものより表面抵抗率が低いディップ成形品が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される表面抵抗率が10〜1010Ω/squareであるディップ成形品。
【請求項2】
30℃の超純水に2時間浸漬した後、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される表面抵抗率が10〜1010Ω/squareである請求の範囲1記載のディップ成形品。
【請求項3】
20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される体積抵抗率が10〜1011Ωcmである請求の範囲1または2記載のディップ成形品。
【請求項4】
30℃の超純水に2時間浸漬した後、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定される体積抵抗率が10〜1011Ωcmである請求の範囲1〜3のいずれか一に記載のディップ成形品。
【請求項5】
手袋である請求の範囲1〜4のいずれか一に記載のディップ成形品。
【請求項6】
精密電子部品製造用または半導体部品製造用の手袋である請求の範囲1〜5のいずれか一に記載のディップ成形品。
【請求項7】
ディップ成形型上に、ディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成した後、該ディップ成形層とカチオン性界面活性剤とを接触させることを特徴とするディップ成形品の製造方法。
【請求項8】
カチオン性界面活性剤を、水、アルコール、またはそれらの混合物に対し濃度0.1〜10重量%の溶液として使用することを特徴とする、請求の範囲7記載のディップ成形品の製造方法。
【請求項9】
カチオン性界面活性剤が第4級アンモニウム塩である請求の範囲7または8記載のディップ成形品の製造方法。
【請求項10】
第4級アンモニウム塩がセチルトリメチルアンモニウムクロライドである請求の範囲9記載のディップ成形品の製造方法。
【請求項11】
ゴムラテックスにカチオン性界面活性剤を添加してなるディップ成形用ラテックス組成物。
【請求項12】
カチオン性界面活性剤の濃度が0.1〜20重量%であるカチオン性界面活性剤水溶液を添加してなる請求の範囲11記載のディップ成形用ラテックス組成物。
【請求項13】
カチオン性界面活性剤の使用量が、ゴムラテックスを構成する重合体100重量部に対して、0.01〜5重量部である請求の範囲11または12記載のディップ成形用ラテックス組成物。
【請求項14】
カチオン性界面活性剤が第4級アンモニウム塩である請求の範囲11〜13のいずれか一に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
【請求項15】
第4級アンモニウム塩がセチルトリメチルアンモニウムクロライドである請求の範囲14記載のディップ成形用ラテックス組成物。
【請求項16】
第4級アンモニウム塩がジアリルジメチルアンモニウムクロライドである請求の範囲14記載のディップ成形用ラテックス組成物。
【請求項17】
ゴムラテックスが共役ジエンゴムラテックスである請求の範囲11〜16のいずれか一に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
【請求項18】
共役ジエンゴムラテックスが、共役ジエン単量体単位30〜89.5重量%、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位10〜50重量%およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.5〜20重量%からなる共重合体のラテックスである請求の範囲17記載のディップ成形用ラテックス組成物。
【請求項19】
ディップ成形型上に、請求の範囲11〜18のいずれか一に記載のディップ成形用ラテックス組成物からなるディップ成形層を形成した後、該ディップ成形層を加硫することを特徴とするディップ成形品の製造方法。
【請求項20】
ディップ成形層を形成する方法として、アノード凝着浸漬法を用いる請求の範囲19記載のディップ成形品の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/069902
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【発行日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504816(P2005−504816)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001000
【国際出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】