低誘電性有機シリケートポリマー複合体
有機/無機ハイブリッドポリマーを加熱することにより調製される細孔性有機シリケートポリマー複合体であって、末端に加水分解しうるアルコキシシリル基を有しコア分子として用いられる孔形成放射状ポリマーに対して、有機シリケートポリマーが化学結合する、細孔性有機シリケートポリマー複合体、および、前記細孔性有機シリケートポリマー複合体を含む有機シリケートポリマー複合体膜を用いる半導体装置が提供される。前記有機シリケートポリマー複合体膜は、非常に低い誘電率を有し、これにより、半導体装置の誘電性膜として有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体、およびこれを含む有機シリケートポリマー複合体膜に関する。より詳細には、本発明は、有機/無機ハイブリッドポリマーの単一の前駆体から調製され、情報伝送システム、プロセシングシステム、およびストレージシステムの主要な装置に用いられる高性能集積回路を作製しうる、超低誘電性のナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体、およびこれを含む有機シリケートポリマー複合体膜に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス分野の多層集積回路の性能および費用対効果を向上させるために、多層集積回路の密度を増加させる、例えば、メモリおよび論理チップの数を増加させるのが最近の傾向である。このため、チップサイズは減少しつつある。同時に、誘電体膜の誘電率を低減させうる新規な誘電性材料を開発すべく著しい努力が払われている。近年用いられている低誘電性膜材料は、約3.5〜4.0の誘電率を有する二酸化ケイ素である。この二酸化ケイ素は、半導体の作製法に関連する種々の化学的プロセスまたは熱的プロセスに充分耐えうる物理的強度および熱的安定性を有する。
【0003】
しかしながら、近年の高性能多層集積回路には、優れた導電性を有し比較的安価な銅の導体、および、2.5以下の誘電率を満足しうる新規な低誘電性材料が必要とされる。集積回路のサイズの減少に伴う信号遅延およびクロストークの現象は、装置性能の改善に対して深刻な阻害要因として作用する。かような信号遅延およびクロストークの問題を解決すべく、低誘電性材料に関する研究が活発になされている。超低誘電性の材料を開発するには、誘電性材料または誘電性膜にナノスケールの細孔を導入する必要がある。このため、ナノスケールの細孔を形成しうる有機ポリマーの熱分解が主に用いられる。しかしながら、最近の技術ではナノスケールの細孔のサイズおよび分布を理想的なレベルで制御することは困難である。これは、誘電性材料と孔形成ポリマーとの間で相分離現象が起こり、これにより細孔のサイズおよび分布の均一性が失われるという問題が生じるためである。
【発明の開示】
【0004】
技術的課題
近年、シリケートポリマーおよびナノ細孔性シリケートポリマー、芳香族ポリマー、フッ素化芳香族ポリマー、有機/無機複合材料などに基づく低誘電性材料を開発するために、多くの研究がなされている。超低誘電性材料の開発には、2.5以下の誘電率に加えて、熱的安定性、機械的特性、化学機械的研磨適合性、エッチング特性、界面適合性、および電気的特性のような、半導体装置の作製プロセスおよび半導体装置の耐久性に必要な特性の改善もまた必要である。
【0005】
技術的解決
本発明は、半導体装置の作製プロセスおよび半導体装置の耐久性に必要な種々の特性に優れた低誘電率を有する誘電性材料、およびこれから作製される誘電性膜を有する半導体装置を提供する。
【0006】
本発明の一形態によれば、有機シリケートポリマーが、末端に加水分解しうるアルコキシシリル基を有しコア分子として用いられる、孔形成放射状ポリマーに対して化学結合してなり、有機/無機ハイブリッドポリマーを加熱することにより調製される細孔性有機シリケートポリマー複合体が提供される。
【0007】
本発明の他の形態によれば、有機シリケートポリマー複合体を含む有機シリケートポリマー複合体を用いる半導体装置が提供される。
【0008】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.40〜2.00の超低誘電率を有する。
【0009】
図面の説明
図1は、本発明に係る放射状ポリマーの構造を説明する模式図であり;
図2は、本発明に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの構造を説明する模式図であり;
図3は、本発明に係るナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体の構造を説明する模式図であり;
図4は、実施例1−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーのFT−IRスペクトルであり;
図5は、実施例1−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの1H NMRスペクトルであり;
図6は、実施例2−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーのFT−IRスペクトルであり;
図7は、実施例2−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの1H NMRスペクトルであり;
図8A〜Cはそれぞれ、合成例1に係る放射状ポリマーのFT−IRスペクトル、1H NMRスペクトル、および13C NMRスペクトルであり;並びに、
図9A〜Cはそれぞれ、合成例2に係る放射状ポリマーのFT−IRスペクトル、1H NMRスペクトル、および13C NMRスペクトルである。
【0010】
最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明は、ナノスケールの細孔を形成しうる孔形成有機ポリマーに有機シリケートポリマーを化学的に結合させることにより得られるコポリマー、およびその調製方法を提供する。本発明はまた、前記コポリマーを前駆体として用いる、超低誘電性の、ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体、または有機シリケートポリマー複合体膜の調製方法をも提供する。前記ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体および前記有機シリケートポリマー複合体膜は、数ナノメートルの一定の細孔サイズ(直径5〜10nm)を有しうる。さらに、有機シリケートポリマーと孔形成ポリマーとの間の相分離は抑制され、これにより有機シリケートポリマー複合体および有機シリケートポリマー複合体膜において細孔が均一に分布しうる。
【0012】
本発明に係る有機/無機ハイブリッドポリマーは、下記の手法により調製される。
【0013】
まず、孔形成放射状ポリマーおよび有機シリケートポリマーと混合し、溶媒を添加して、均一な混合物を形成する。前記溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、エタノール、またはこれらの混合物であってもよい。トルエンおよびエタノール(体積比で1:1)の混合溶媒が好ましい。好ましくは、前記溶媒は前記孔形成放射状ポリマーおよび前記有機シリケートポリマーの合計重量(100重量部)に対して、500〜1,500重量部の量で用いられる。最終的に得られる有機/無機ハイブリッドポリマーにおける所望の細孔分布は、孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとの混合重量比を適切に調節することにより、達成されうる。好ましくは、孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとの間の混合重量比は、1:99〜40:60の範囲である。孔形成放射状ポリマーの比がこの範囲を外れると、ナノスケールの細孔の形成が困難となりうる。さらに、合成されたハイブリッドポリマーのゲル化が容易に起こり、これにより溶媒中での均一な溶液の作製が困難となりうる。
【0014】
次いで、上記の均一な混合物に酸触媒を添加して、当該混合物のpHを適切に調節する。
【0015】
前記酸触媒は、塩酸、硝酸、または硫酸であってもよい。好ましくは、前記酸触媒は、pH1.0〜3.0の塩酸水溶液である。pH2.0の塩酸水溶液は、有機シリケートポリマーの合計重量の2〜4倍に相当する体積で用いられる。
【0016】
塩酸水溶液のpHが3.0を超えると、ゾル−ゲル重合が妨害される虞があり、これにより適当な分子量範囲を有するハイブリッドポリマーの調製が困難となる。一方、塩酸水溶液のpHが1.0未満であると、ゾル−ゲル重合が過剰に進行し、溶媒に溶解しないポリマーゲルが容易に生じる原因となる。
【0017】
酸触媒の添加により所望のpHに調節された反応混合物を、室温にて約1時間、撹拌する。次いで、この反応混合物40〜80℃まで昇温させ、3〜6日間撹拌する。反応温度が高すぎる、または反応時間が長すぎると、過剰な重合が起こる虞があり、これにより不溶性のポリマーゲルが生じる虞がある。一方、反応温度が低すぎると、または反応時間が短すぎると、適切な分子量を有するハイブリッドポリマーの調製が困難となる虞がある。
【0018】
上記の調製プロセスを通して、孔形成放射状ポリマーの反応性トリアルコキシシリル基、および有機シリケートポリマーの反応性アルコキシシリル基が加水分解および脱水縮合を起こし、これにより孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとの間に化学結合が形成される。
【0019】
その後、得られた溶液を室温まで冷却し、次いで蒸留水を添加して、酸触媒を除去する。適当な分離プロセスを経て、所望の有機/無機ハイブリッドポリマーが得られる。
【0020】
有機/無機ハイブリッドポリマーは、図2に示すように、コア分子としての純粋な孔形成放射状ポリマーと、有機シリケートポリマーとの間に化学結合の構造を有する
前記分離プロセスは、出発物質として用いられる孔形成放射状ポリマーおよび有機シリケートポリマーのタイプに従って選択されうるが、好ましくは下記の手法により行われる。
【0021】
得られた溶液に、無水Na2SO4のような乾燥剤を過剰に添加して、残留水分を除去する。次いで、減圧下で得られた産物から溶媒を除去し、高粘度の孔形成放射状ポリマーをコア分子として有する有機/無機ハイブリッドポリマーを分離する。次いで、分離した有機/無機ハイブリッドポリマーにペンタンのような溶媒を添加して微量の反応溶媒を除去し、乾燥させて純粋な有機/無機ハイブリッドポリマーを得る。
【0022】
本願において用いられる孔形成放射状ポリマーは、図1に示すような構造を有する。図1を参照すると、孔形成放射状ポリマーは、中心部および分枝部を含む。前記分枝部は、末端官能基Xを有する。この末端官能基は、有機シリケートポリマーに対して化学的に結合しうる、加水分解しうるアルコキシシリル基である。分枝部のR’は、下記式1A〜1D:
【0023】
【化1】
【0024】
式中、aは2〜5である、
で表される環状有機モノマーの1つの開環重合により形成されてもよい。
【0025】
すなわち、本発明の孔形成放射状ポリマーは、ポリオールであるR−(OH)k(k≧2)の存在下での、式1A〜1Dで表される環状有機モノマーの開環重合と、これに続くメトキシシランまたはエトキシシラン化合物との反応により、調製されうる。好ましくは、前記ポリオールは、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリスリトール)、またはこれらの誘導体である。
【0026】
加水分解しうるアルコキシシリル基の例としては、−OCONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2が挙げられる。
【0027】
孔形成放射状ポリマーの中心部は、炭素原子数1〜30の脂肪族エーテルおよび炭素原子数6〜30の芳香族エーテルから選択されるエーテル構造を有する。前記エーテルの具体例としては、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリスリトール)、またはいくつかの末端ヒドロキシル基を有するこれらの誘導体が挙げられる。
【0028】
本願で用いられる孔形成放射状ポリマーは、以下の手法により調製される:まず、中心部を構成するポリオールと、式1A〜1Dで表される環状有機モノマーの1つとの間で開環重合を行い、図1のXがヒドロキシ基(−OH)である放射状ポリマーを得る。次いで、放射状ポリマーを、アルコキシ基を有するシラン化合物と反応させて、前記ヒドロキシル基を反応性アルコキシシリル基へと変換させる。
【0029】
孔形成放射状ポリマーは、下記式4:
【0030】
【化2】
【0031】
式中、nは2〜64であり、RはポリオールであるR−(OH)k(k≧2)由来であり、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2から選択される末端官能基である、
で表される末端メトキシシリル基または末端エトキシシリル基を有するエーテル構造を有する。
【0032】
孔形成放射状ポリマーは、下記式5:
【0033】
【化3】
【0034】
式中、R0は−CH2O−[CO−(CH2)5−O]a−Xであり、R1は、−C2H5または−CH2O−[CO−(CH2)5−O]a−Xであり、この際Xは、−OCONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2から選択される置換基であり、aは2〜20であり、R4は、置換されたもしくは非置換の炭素原子数1〜30のアルキレン基、または置換されたもしくは非置換の炭素原子数6〜30のアリーレン基である、
で表されるものであってもよい。
【0035】
好ましくは、前記孔形成放射状ポリマーは、下記式2または3により表される:
【0036】
【化4】
【0037】
式中、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2であり、nは2〜20である、
【0038】
【化5】
【0039】
式中、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2であり、nは2〜20である。
【0040】
本出願人により提出された、大韓民国特許出願第2003−0041384号に開示されている、孔形成放射状ポリマーおよびその調製方法は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0041】
本願で用いられる有機シリケートポリマーは、水素、メチル基、またはエチル基を有するケイ素原子と、加水分解しうるメトキシもしくはエトキシ基のような炭素原子数1〜5の反応性末端アルコキシ基とを有する。前記有機シリケートポリマーは、3,000〜20,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0042】
有機シリケートポリマーは、特に限定されないが、1以上のシラン化合物の加水分解、脱水分解、および重縮合に基づくゾル−ゲル法により得られるものであってもよい。ここで、前記シラン化合物は、トリクロロシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルメタン、ビストリエトキシシリルオクタン、およびビストリメトキシシリルヘキサンからなる群から選択される。メチルシルセスキオキセン(Methyl silsesquioxene)、水素シルセスキオキセン(Hydrogen silsesquioxene)、またはエチルシルセスキオキセン(Ethyl silsesquioxene)もまた、有機シリケートポリマーとして用いられうる。
【0043】
上記の手法により調製される有機/無機ハイブリッドポリマーは、3,000〜100,000g/モルの重量平均分子量を有する。核磁気共鳴(NMR)スペクトルの分析結果によれば、有機/無機ハイブリッドポリマーは、1〜50重量%の放射状ポリマー、および50〜99重量%の有機シリケートポリマーを含む。
【0044】
上記の特性を有する有機/無機ハイブリッドポリマーは、低誘電率ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体および有機シリケートポリマー複合体膜の調製のための単一の前駆体として用いられる。
【0045】
低誘電性有機シリケートポリマー複合体は、ゾル−ゲル硬化および細孔形成が起こるように、1〜50重量%の孔形成放射状ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーを200〜500℃に加熱することにより得られる。
【0046】
低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜は、有機溶媒中の有機/無機ハイブリッドポリマーの均一な溶液を基板上にスピンコーティングし、次いで200〜500℃に加熱して硬化および細孔形成させることにより得られる。ここで、前記有機溶媒は、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、またはこれらの混合物であってもよく、有機/無機ハイブリッドポリマー100重量部に対して、50〜99重量部の量で用いられてもよい。
【0047】
好ましくは、前記加熱は不活性ガス(例えば、窒素もしくはアルゴン)下または真空雰囲気下で行われる。支持部材として用いられるのであれば、基板については限定されない。例えば、前記基板はシリコン基板またはガラス基板であってもよい。
【0048】
加熱の間、有機/無機ハイブリッドポリマーの有機シリケート部分は、ゾル−ゲル法により硬化する。一方、孔形成放射状ポリマー部分は、熱分解して名のスケールの細孔を形成する。孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとの間の化学結合により、熱硬化プロセス中の孔形成放射状ポリマーの相分離が抑制されうる。従って、熱分解により形成される細孔は、ナノスケールレベルに制御され、完全に硬化した有機シリケートポリマー中で均一に分布しうる。こうして調製される有機シリケートポリマー複合体の空隙率は、孔形成放射状ポリマーの初期含量に応じて変動する。有機シリケートポリマー複合体は一般的に、633nmの波長で1.40〜1.20の屈折率、1〜40%の空隙率、および1.40〜2.00の誘電率を有する。
【0049】
有機シリケートポリマー複合体の厚さは、均一な溶液中の有機/無機ハイブリッドポリマーの濃度およびスピンコーティングの回転速度を調節することにより、制御されうる。
【0050】
上述したように、本発明に係る有機/無機ハイブリッドポリマーは孔形成放射状ポリマーを有する。従って、有機シリケートポリマー複合体および有機シリケートポリマー複合体膜においてはナノスケールの細孔が均一に形成されうる。ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体は、非常に低い誘電率を有することができ、これにより、次世代の超低誘電性半導体装置の膜、特に誘電性膜の材料としてふさわしい。有機シリケートポリマー複合体膜が半導体装置に用いられる場合には、有機シリケートポリマー複合体膜の厚さを50〜2,000nmの範囲に設定することが好ましい。
【実施例】
【0051】
発明の形態
実施例
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。しかしながら、下記の実施例は例示のためのものであり、よって本発明は、下記の実施例に、または下記の実施例によって限定されない。
【0052】
合成例1:放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw(重量平均分子量)=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)
40g(344.5ミリモル)のε−カプロラクトンおよび2g(8.5ミリモル)のジ(トリメチロール)プロパンを、完全に乾燥した反応器中に仕込み、撹拌し、そして窒素雰囲気下にて110℃に加熱した。完全に溶融し混合した後に、反応混合物が透明になったら、これにジ(トリメチロール)プロパンの1/100モルに相当する量の錫2−エチルヘキサノエートを含有する1%トルエン溶液の4mLを添加した。全ての反応物を含む反応器を、110℃にて24時間、連続的に撹拌した。反応終了後、合成されたポリマーを少量のテトラヒドロフランに溶解させ、次いでこれに冷メタノールを添加して、ポリマーの沈殿を誘発した。沈殿したポリマーを分離し、真空乾燥させて、Mwが7,000g/モルで式2のXが水素である、4本に分枝した白色の放射状ポリマー(中間体)を得た(収率:90%以上)。
【0053】
12.0gの前記放射状ポリマーを、完全に乾燥した反応器中に仕込み、次いでこれに200mLのテトラヒドロフランを添加した。撹拌により反応混合物を完全に溶解させて、透明で均一な混合溶液を得た。この混合溶液に6.0gの3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランを添加し、窒素雰囲気下で60℃にて48時間撹拌した。反応終了後、減圧下で、得られた溶液から溶媒を除去し、次いでペンタンを添加して、Mwが8,000g/モルで式2のXが反応性末端トリエトキシシラン基を有する−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である、4本に分枝した放射状ポリマー(ポリマーA)を得た。この放射状ポリマーを沈殿により分離し、次いで真空乾燥させた。収率は90%以上であった。ポリマーAの存在は、赤外(IR)スペクトルおよび核磁気共鳴(NMR)スペクトルにより確認した(図8A〜8Cを参照)。
【0054】
合成例2:放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)
20g(175ミリモル)のε−カプロラクトン、0.9g(3.6ミリモル)のジ(ペンタエリスリトール)、および前記(ペンタエリスリトール)の1/100モルに相当する量の錫2−エチルヘキサノエートを用いたこと以外は、合成例1と同様の手法により、式3のXが水素である6本に分枝した白色の放射状ポリマーを合成した。収率は90%以上であり、Mwは8,000g/モルであった。
【0055】
合成例1と同様の手法により、10gの前記放射状ポリマーを8gの3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランと反応させて、Mwが9,000g/モルで式3のXが反応性末端トリエトキシシラン基を有する−OCONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である、6本に分枝した放射状ポリマー(ポリマーB)を得た。合成例1と同様に、ポリマーBの存在をNMRおよびIRにより確認した(図9A〜9Cを参照)。
【0056】
実施例1−1:孔形成ポリマーとして放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)を有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および9gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を、完全に乾燥した反応器中に仕込み、次いでこれにトルエンとエタノールとの混合溶媒(体積比で1:1)100mLを添加した。この反応混合物を、窒素雰囲気下で室温にて均一に撹拌した。この反応混合物に、30mLの塩酸水溶液(pH2.0)を徐々に添加した。
【0057】
反応器中の全ての反応物を、室温にて1時間、連続的に撹拌し、次いで60℃に4日間維持した。
【0058】
反応終了後、得られた溶液を室温まで冷却させ、次いでこれに蒸留水を添加して、触媒として用いた塩酸を抽出により除去した。次いで、得られた溶液に過剰の無水Na2SO4を添加して微量の水分を除去し、さらに濾過し、減圧下で反応溶媒を除去して、高粘度の有機/無機ハイブリッドポリマー中間体を得た。この有機/無機ハイブリッドポリマー中間体にペンタンを添加することにより残留溶媒を除去し、乾燥させて、図2に示すような、Mwが5,000g/モルの有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:80%)を得た。
【0059】
この有機/無機ハイブリッドポリマーの存在は、IRスペクトル、NMRスペクトル、および分子量測定により確認した(図4および5を参照)。
【0060】
実施例1−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,500g/モル)を調製した。
【0061】
実施例1−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,800g/モル)を調製した。
【0062】
実施例2−1:孔形成ポリマーとして放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)を有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)に代えて、1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,500g/モル)を調製した。
【0063】
この有機/無機ハイブリッドポリマーの存在は、IRスペクトル、NMRスペクトル、および分子量測定により確認した(図6および7を参照)。
【0064】
実施例2−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,000g/モル)を調製した。
【0065】
実施例2−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,700g/モル)を調製した。
【0066】
実施例3−1:孔形成ポリマーとして式2のXが−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)に代えて、式2のXが−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,000g/モル)を調製した。
【0067】
実施例3−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例3−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,200g/モル)を調製した。
【0068】
実施例3−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式2のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例3−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,000g/モル)を調製した。
【0069】
実施例4−1:孔形成ポリマーとして式3のXが−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)に代えて、放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:9,100g/モル)(式3のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,400g/モル)を調製した。
【0070】
実施例4−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,100g/モル)(式3のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例4−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,000g/モル)を調製した。
【0071】
実施例4−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式3のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例4−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,400g/モル)を調製した。
【0072】
実施例5−1:孔形成ポリマーとして式2のXが−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:8,100g/モル)(式2のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および9gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,000g/モル)を調製した。
【0073】
実施例5−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,100g/モル)(式2のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,200g/モル)を調製した。
【0074】
実施例5−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,100g/モル)(式2のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,000g/モル)を調製した。
【0075】
実施例6−1:孔形成ポリマーとして式3のXが−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:9,100g/モル)(式3のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および9gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,400g/モル)を調製した。
【0076】
実施例6−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,100g/モル)(式3のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例6−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,900g/モル)を調製した。
【0077】
実施例6−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,100g/モル)(式3のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例6−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,400g/モル)を調製した。
【0078】
実施例7−1:孔形成ポリマーとして式2のXが−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式2のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)に代えて、放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:8,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)を用いたこと以外は、実施例6−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,100g/モル)を調製した。
【0079】
実施例7−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例7−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,500g/モル)を調製した。
【0080】
実施例7−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例7−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,000g/モル)を調製した。
【0081】
実施例8−1:孔形成ポリマーとして式3のXが−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:9,000g/モル)(式3のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および9gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%以上、Mw:6,200g/モル)を調製した。
【0082】
実施例8−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例8−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,900g/モル)を調製した。
【0083】
実施例8−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例8−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,500g/モル)を調製した。
【0084】
下記の実施例は、上記の実施例に係る有機/無機ハイブリッドポリマーを単一の前駆体として用いた超低誘電性膜の形成を示す。
【0085】
実施例9−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例1−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0086】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる有機シリケートポリマーは熱硬化し、孔形成放射状ポリマーは250℃以上で熱分解して、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、図3に示すような超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。
【0087】
メチルシルセスキオキセンのみからなる薄膜は、約2.30〜3.00の屈折率を有する。本発明の実施例に係るポリマー複合体膜は、ナノスケールの細孔の存在により、メチルシルセスキオキセンのみからなる薄膜と比較して相対的に低い屈折率を有していた。
【0088】
本実施例のナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.140±0.020の誘電率を有していた。
【0089】
実施例9−2
実施例1−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、1gの実施例1−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例9−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0090】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.880±0.020の誘電率を有していた。
【0091】
実施例9−3
実施例1−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、1gの実施例1−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例9−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0092】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.740±0.040の誘電率を有していた。
【0093】
実施例10−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例2−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0094】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.120±0.020の誘電率を有していた。
【0095】
実施例10−2
実施例2−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例2−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例10−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0096】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.850±0.020の誘電率を有していた。
【0097】
実施例10−3
実施例2−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例2−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例10−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0098】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.700±0.040の誘電率を有していた。
【0099】
実施例11−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例3−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0100】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.040±0.020の誘電率を有していた。
【0101】
実施例11−2
実施例3−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、1gの実施例3−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例11−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0102】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.810±0.020の誘電率を有していた。
【0103】
実施例11−3
実施例3−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例3−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例11−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0104】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.710±0.040の誘電率を有していた。
【0105】
実施例12−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例4−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0106】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.050±0.020の誘電率を有していた。
【0107】
実施例12−2
実施例4−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例4−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例12−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0108】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.850±0.020の誘電率を有していた。
【0109】
実施例12−3
実施例4−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例4−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例12−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0110】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.730±0.040の誘電率を有していた。
【0111】
実施例13−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例5−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0112】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、1.990±0.020の誘電率を有していた。
【0113】
実施例13−2
実施例5−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例5−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例13−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0114】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.820±0.030の誘電率を有していた。
【0115】
実施例13−3
実施例5−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例5−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例13−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0116】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.690±0.030の誘電率を有していた。
【0117】
実施例14−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例6−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。この薄膜の厚さは、前記混合溶液の濃度またはスピンコーティングの回転速度を変化させることにより、調節されうる。こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、図3に示すような超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.100±0.030の誘電率を有していた。
【0118】
実施例14−2
実施例6−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例6−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例14−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0119】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.805±0.030の誘電率を有していた。
【0120】
実施例14−3
実施例6−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例6−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例14−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0121】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.710±0.040の誘電率を有していた。
【0122】
実施例15−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例7−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。
【0123】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、図3に示すような超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.100±0.020の誘電率を有していた。
【0124】
実施例15−2
実施例7−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例7−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例15−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0125】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.830±0.030の誘電率を有していた。
【0126】
実施例15−3
実施例7−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例7−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例15−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0127】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.680±0.050の誘電率を有していた。
【0128】
実施例16−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例8−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0129】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.110±0.020の誘電率を有していた。
【0130】
実施例16−2
実施例8−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例8−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例16−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0131】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.790±0.020の誘電率を有していた。
【0132】
実施例16−3
実施例8−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例8−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例16−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0133】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.650±0.040の誘電率を有していた。
【0134】
産業上の利用可能性
本発明の有機/無機ハイブリッドポリマーは、図1の反応性末端基を有する孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとを化学結合させることにより、調製される。この有機/無機ハイブリッドポリマーは、ナノスケールの細孔および低い誘電率を有する有機シリケートポリマー複合体および有機シリケートポリマー複合体膜を形成するための単一の前駆体として用いられうる。この有機シリケートポリマー複合体膜は、半導体装置用の誘電性膜として用いられうる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る放射状ポリマーの構造を説明する模式図である。
【図2】本発明に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの構造を説明する模式図である。
【図3】本発明に係るナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体の構造を説明する模式図である。
【図4】実施例1−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーのFT−IRスペクトルである。
【図5】実施例1−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図6】実施例2−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーのFT−IRスペクトルである。
【図7】実施例2−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図8A】合成例1に係る放射状ポリマーのFT−IRスペクトルである。
【図8B】合成例1に係る放射状ポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図8C】合成例1に係る放射状ポリマーの13C NMRスペクトルである。
【図9A】合成例2に係る放射状ポリマーのFT−IRスペクトルである。
【図9B】合成例2に係る放射状ポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図9C】合成例2に係る放射状ポリマーの13C NMRスペクトルである。
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体、およびこれを含む有機シリケートポリマー複合体膜に関する。より詳細には、本発明は、有機/無機ハイブリッドポリマーの単一の前駆体から調製され、情報伝送システム、プロセシングシステム、およびストレージシステムの主要な装置に用いられる高性能集積回路を作製しうる、超低誘電性のナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体、およびこれを含む有機シリケートポリマー複合体膜に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス分野の多層集積回路の性能および費用対効果を向上させるために、多層集積回路の密度を増加させる、例えば、メモリおよび論理チップの数を増加させるのが最近の傾向である。このため、チップサイズは減少しつつある。同時に、誘電体膜の誘電率を低減させうる新規な誘電性材料を開発すべく著しい努力が払われている。近年用いられている低誘電性膜材料は、約3.5〜4.0の誘電率を有する二酸化ケイ素である。この二酸化ケイ素は、半導体の作製法に関連する種々の化学的プロセスまたは熱的プロセスに充分耐えうる物理的強度および熱的安定性を有する。
【0003】
しかしながら、近年の高性能多層集積回路には、優れた導電性を有し比較的安価な銅の導体、および、2.5以下の誘電率を満足しうる新規な低誘電性材料が必要とされる。集積回路のサイズの減少に伴う信号遅延およびクロストークの現象は、装置性能の改善に対して深刻な阻害要因として作用する。かような信号遅延およびクロストークの問題を解決すべく、低誘電性材料に関する研究が活発になされている。超低誘電性の材料を開発するには、誘電性材料または誘電性膜にナノスケールの細孔を導入する必要がある。このため、ナノスケールの細孔を形成しうる有機ポリマーの熱分解が主に用いられる。しかしながら、最近の技術ではナノスケールの細孔のサイズおよび分布を理想的なレベルで制御することは困難である。これは、誘電性材料と孔形成ポリマーとの間で相分離現象が起こり、これにより細孔のサイズおよび分布の均一性が失われるという問題が生じるためである。
【発明の開示】
【0004】
技術的課題
近年、シリケートポリマーおよびナノ細孔性シリケートポリマー、芳香族ポリマー、フッ素化芳香族ポリマー、有機/無機複合材料などに基づく低誘電性材料を開発するために、多くの研究がなされている。超低誘電性材料の開発には、2.5以下の誘電率に加えて、熱的安定性、機械的特性、化学機械的研磨適合性、エッチング特性、界面適合性、および電気的特性のような、半導体装置の作製プロセスおよび半導体装置の耐久性に必要な特性の改善もまた必要である。
【0005】
技術的解決
本発明は、半導体装置の作製プロセスおよび半導体装置の耐久性に必要な種々の特性に優れた低誘電率を有する誘電性材料、およびこれから作製される誘電性膜を有する半導体装置を提供する。
【0006】
本発明の一形態によれば、有機シリケートポリマーが、末端に加水分解しうるアルコキシシリル基を有しコア分子として用いられる、孔形成放射状ポリマーに対して化学結合してなり、有機/無機ハイブリッドポリマーを加熱することにより調製される細孔性有機シリケートポリマー複合体が提供される。
【0007】
本発明の他の形態によれば、有機シリケートポリマー複合体を含む有機シリケートポリマー複合体を用いる半導体装置が提供される。
【0008】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.40〜2.00の超低誘電率を有する。
【0009】
図面の説明
図1は、本発明に係る放射状ポリマーの構造を説明する模式図であり;
図2は、本発明に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの構造を説明する模式図であり;
図3は、本発明に係るナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体の構造を説明する模式図であり;
図4は、実施例1−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーのFT−IRスペクトルであり;
図5は、実施例1−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの1H NMRスペクトルであり;
図6は、実施例2−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーのFT−IRスペクトルであり;
図7は、実施例2−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの1H NMRスペクトルであり;
図8A〜Cはそれぞれ、合成例1に係る放射状ポリマーのFT−IRスペクトル、1H NMRスペクトル、および13C NMRスペクトルであり;並びに、
図9A〜Cはそれぞれ、合成例2に係る放射状ポリマーのFT−IRスペクトル、1H NMRスペクトル、および13C NMRスペクトルである。
【0010】
最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明は、ナノスケールの細孔を形成しうる孔形成有機ポリマーに有機シリケートポリマーを化学的に結合させることにより得られるコポリマー、およびその調製方法を提供する。本発明はまた、前記コポリマーを前駆体として用いる、超低誘電性の、ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体、または有機シリケートポリマー複合体膜の調製方法をも提供する。前記ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体および前記有機シリケートポリマー複合体膜は、数ナノメートルの一定の細孔サイズ(直径5〜10nm)を有しうる。さらに、有機シリケートポリマーと孔形成ポリマーとの間の相分離は抑制され、これにより有機シリケートポリマー複合体および有機シリケートポリマー複合体膜において細孔が均一に分布しうる。
【0012】
本発明に係る有機/無機ハイブリッドポリマーは、下記の手法により調製される。
【0013】
まず、孔形成放射状ポリマーおよび有機シリケートポリマーと混合し、溶媒を添加して、均一な混合物を形成する。前記溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、エタノール、またはこれらの混合物であってもよい。トルエンおよびエタノール(体積比で1:1)の混合溶媒が好ましい。好ましくは、前記溶媒は前記孔形成放射状ポリマーおよび前記有機シリケートポリマーの合計重量(100重量部)に対して、500〜1,500重量部の量で用いられる。最終的に得られる有機/無機ハイブリッドポリマーにおける所望の細孔分布は、孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとの混合重量比を適切に調節することにより、達成されうる。好ましくは、孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとの間の混合重量比は、1:99〜40:60の範囲である。孔形成放射状ポリマーの比がこの範囲を外れると、ナノスケールの細孔の形成が困難となりうる。さらに、合成されたハイブリッドポリマーのゲル化が容易に起こり、これにより溶媒中での均一な溶液の作製が困難となりうる。
【0014】
次いで、上記の均一な混合物に酸触媒を添加して、当該混合物のpHを適切に調節する。
【0015】
前記酸触媒は、塩酸、硝酸、または硫酸であってもよい。好ましくは、前記酸触媒は、pH1.0〜3.0の塩酸水溶液である。pH2.0の塩酸水溶液は、有機シリケートポリマーの合計重量の2〜4倍に相当する体積で用いられる。
【0016】
塩酸水溶液のpHが3.0を超えると、ゾル−ゲル重合が妨害される虞があり、これにより適当な分子量範囲を有するハイブリッドポリマーの調製が困難となる。一方、塩酸水溶液のpHが1.0未満であると、ゾル−ゲル重合が過剰に進行し、溶媒に溶解しないポリマーゲルが容易に生じる原因となる。
【0017】
酸触媒の添加により所望のpHに調節された反応混合物を、室温にて約1時間、撹拌する。次いで、この反応混合物40〜80℃まで昇温させ、3〜6日間撹拌する。反応温度が高すぎる、または反応時間が長すぎると、過剰な重合が起こる虞があり、これにより不溶性のポリマーゲルが生じる虞がある。一方、反応温度が低すぎると、または反応時間が短すぎると、適切な分子量を有するハイブリッドポリマーの調製が困難となる虞がある。
【0018】
上記の調製プロセスを通して、孔形成放射状ポリマーの反応性トリアルコキシシリル基、および有機シリケートポリマーの反応性アルコキシシリル基が加水分解および脱水縮合を起こし、これにより孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとの間に化学結合が形成される。
【0019】
その後、得られた溶液を室温まで冷却し、次いで蒸留水を添加して、酸触媒を除去する。適当な分離プロセスを経て、所望の有機/無機ハイブリッドポリマーが得られる。
【0020】
有機/無機ハイブリッドポリマーは、図2に示すように、コア分子としての純粋な孔形成放射状ポリマーと、有機シリケートポリマーとの間に化学結合の構造を有する
前記分離プロセスは、出発物質として用いられる孔形成放射状ポリマーおよび有機シリケートポリマーのタイプに従って選択されうるが、好ましくは下記の手法により行われる。
【0021】
得られた溶液に、無水Na2SO4のような乾燥剤を過剰に添加して、残留水分を除去する。次いで、減圧下で得られた産物から溶媒を除去し、高粘度の孔形成放射状ポリマーをコア分子として有する有機/無機ハイブリッドポリマーを分離する。次いで、分離した有機/無機ハイブリッドポリマーにペンタンのような溶媒を添加して微量の反応溶媒を除去し、乾燥させて純粋な有機/無機ハイブリッドポリマーを得る。
【0022】
本願において用いられる孔形成放射状ポリマーは、図1に示すような構造を有する。図1を参照すると、孔形成放射状ポリマーは、中心部および分枝部を含む。前記分枝部は、末端官能基Xを有する。この末端官能基は、有機シリケートポリマーに対して化学的に結合しうる、加水分解しうるアルコキシシリル基である。分枝部のR’は、下記式1A〜1D:
【0023】
【化1】
【0024】
式中、aは2〜5である、
で表される環状有機モノマーの1つの開環重合により形成されてもよい。
【0025】
すなわち、本発明の孔形成放射状ポリマーは、ポリオールであるR−(OH)k(k≧2)の存在下での、式1A〜1Dで表される環状有機モノマーの開環重合と、これに続くメトキシシランまたはエトキシシラン化合物との反応により、調製されうる。好ましくは、前記ポリオールは、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリスリトール)、またはこれらの誘導体である。
【0026】
加水分解しうるアルコキシシリル基の例としては、−OCONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2が挙げられる。
【0027】
孔形成放射状ポリマーの中心部は、炭素原子数1〜30の脂肪族エーテルおよび炭素原子数6〜30の芳香族エーテルから選択されるエーテル構造を有する。前記エーテルの具体例としては、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリスリトール)、またはいくつかの末端ヒドロキシル基を有するこれらの誘導体が挙げられる。
【0028】
本願で用いられる孔形成放射状ポリマーは、以下の手法により調製される:まず、中心部を構成するポリオールと、式1A〜1Dで表される環状有機モノマーの1つとの間で開環重合を行い、図1のXがヒドロキシ基(−OH)である放射状ポリマーを得る。次いで、放射状ポリマーを、アルコキシ基を有するシラン化合物と反応させて、前記ヒドロキシル基を反応性アルコキシシリル基へと変換させる。
【0029】
孔形成放射状ポリマーは、下記式4:
【0030】
【化2】
【0031】
式中、nは2〜64であり、RはポリオールであるR−(OH)k(k≧2)由来であり、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2から選択される末端官能基である、
で表される末端メトキシシリル基または末端エトキシシリル基を有するエーテル構造を有する。
【0032】
孔形成放射状ポリマーは、下記式5:
【0033】
【化3】
【0034】
式中、R0は−CH2O−[CO−(CH2)5−O]a−Xであり、R1は、−C2H5または−CH2O−[CO−(CH2)5−O]a−Xであり、この際Xは、−OCONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2から選択される置換基であり、aは2〜20であり、R4は、置換されたもしくは非置換の炭素原子数1〜30のアルキレン基、または置換されたもしくは非置換の炭素原子数6〜30のアリーレン基である、
で表されるものであってもよい。
【0035】
好ましくは、前記孔形成放射状ポリマーは、下記式2または3により表される:
【0036】
【化4】
【0037】
式中、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2であり、nは2〜20である、
【0038】
【化5】
【0039】
式中、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2であり、nは2〜20である。
【0040】
本出願人により提出された、大韓民国特許出願第2003−0041384号に開示されている、孔形成放射状ポリマーおよびその調製方法は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0041】
本願で用いられる有機シリケートポリマーは、水素、メチル基、またはエチル基を有するケイ素原子と、加水分解しうるメトキシもしくはエトキシ基のような炭素原子数1〜5の反応性末端アルコキシ基とを有する。前記有機シリケートポリマーは、3,000〜20,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0042】
有機シリケートポリマーは、特に限定されないが、1以上のシラン化合物の加水分解、脱水分解、および重縮合に基づくゾル−ゲル法により得られるものであってもよい。ここで、前記シラン化合物は、トリクロロシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルメタン、ビストリエトキシシリルオクタン、およびビストリメトキシシリルヘキサンからなる群から選択される。メチルシルセスキオキセン(Methyl silsesquioxene)、水素シルセスキオキセン(Hydrogen silsesquioxene)、またはエチルシルセスキオキセン(Ethyl silsesquioxene)もまた、有機シリケートポリマーとして用いられうる。
【0043】
上記の手法により調製される有機/無機ハイブリッドポリマーは、3,000〜100,000g/モルの重量平均分子量を有する。核磁気共鳴(NMR)スペクトルの分析結果によれば、有機/無機ハイブリッドポリマーは、1〜50重量%の放射状ポリマー、および50〜99重量%の有機シリケートポリマーを含む。
【0044】
上記の特性を有する有機/無機ハイブリッドポリマーは、低誘電率ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体および有機シリケートポリマー複合体膜の調製のための単一の前駆体として用いられる。
【0045】
低誘電性有機シリケートポリマー複合体は、ゾル−ゲル硬化および細孔形成が起こるように、1〜50重量%の孔形成放射状ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーを200〜500℃に加熱することにより得られる。
【0046】
低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜は、有機溶媒中の有機/無機ハイブリッドポリマーの均一な溶液を基板上にスピンコーティングし、次いで200〜500℃に加熱して硬化および細孔形成させることにより得られる。ここで、前記有機溶媒は、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、またはこれらの混合物であってもよく、有機/無機ハイブリッドポリマー100重量部に対して、50〜99重量部の量で用いられてもよい。
【0047】
好ましくは、前記加熱は不活性ガス(例えば、窒素もしくはアルゴン)下または真空雰囲気下で行われる。支持部材として用いられるのであれば、基板については限定されない。例えば、前記基板はシリコン基板またはガラス基板であってもよい。
【0048】
加熱の間、有機/無機ハイブリッドポリマーの有機シリケート部分は、ゾル−ゲル法により硬化する。一方、孔形成放射状ポリマー部分は、熱分解して名のスケールの細孔を形成する。孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとの間の化学結合により、熱硬化プロセス中の孔形成放射状ポリマーの相分離が抑制されうる。従って、熱分解により形成される細孔は、ナノスケールレベルに制御され、完全に硬化した有機シリケートポリマー中で均一に分布しうる。こうして調製される有機シリケートポリマー複合体の空隙率は、孔形成放射状ポリマーの初期含量に応じて変動する。有機シリケートポリマー複合体は一般的に、633nmの波長で1.40〜1.20の屈折率、1〜40%の空隙率、および1.40〜2.00の誘電率を有する。
【0049】
有機シリケートポリマー複合体の厚さは、均一な溶液中の有機/無機ハイブリッドポリマーの濃度およびスピンコーティングの回転速度を調節することにより、制御されうる。
【0050】
上述したように、本発明に係る有機/無機ハイブリッドポリマーは孔形成放射状ポリマーを有する。従って、有機シリケートポリマー複合体および有機シリケートポリマー複合体膜においてはナノスケールの細孔が均一に形成されうる。ナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体は、非常に低い誘電率を有することができ、これにより、次世代の超低誘電性半導体装置の膜、特に誘電性膜の材料としてふさわしい。有機シリケートポリマー複合体膜が半導体装置に用いられる場合には、有機シリケートポリマー複合体膜の厚さを50〜2,000nmの範囲に設定することが好ましい。
【実施例】
【0051】
発明の形態
実施例
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。しかしながら、下記の実施例は例示のためのものであり、よって本発明は、下記の実施例に、または下記の実施例によって限定されない。
【0052】
合成例1:放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw(重量平均分子量)=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)
40g(344.5ミリモル)のε−カプロラクトンおよび2g(8.5ミリモル)のジ(トリメチロール)プロパンを、完全に乾燥した反応器中に仕込み、撹拌し、そして窒素雰囲気下にて110℃に加熱した。完全に溶融し混合した後に、反応混合物が透明になったら、これにジ(トリメチロール)プロパンの1/100モルに相当する量の錫2−エチルヘキサノエートを含有する1%トルエン溶液の4mLを添加した。全ての反応物を含む反応器を、110℃にて24時間、連続的に撹拌した。反応終了後、合成されたポリマーを少量のテトラヒドロフランに溶解させ、次いでこれに冷メタノールを添加して、ポリマーの沈殿を誘発した。沈殿したポリマーを分離し、真空乾燥させて、Mwが7,000g/モルで式2のXが水素である、4本に分枝した白色の放射状ポリマー(中間体)を得た(収率:90%以上)。
【0053】
12.0gの前記放射状ポリマーを、完全に乾燥した反応器中に仕込み、次いでこれに200mLのテトラヒドロフランを添加した。撹拌により反応混合物を完全に溶解させて、透明で均一な混合溶液を得た。この混合溶液に6.0gの3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランを添加し、窒素雰囲気下で60℃にて48時間撹拌した。反応終了後、減圧下で、得られた溶液から溶媒を除去し、次いでペンタンを添加して、Mwが8,000g/モルで式2のXが反応性末端トリエトキシシラン基を有する−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である、4本に分枝した放射状ポリマー(ポリマーA)を得た。この放射状ポリマーを沈殿により分離し、次いで真空乾燥させた。収率は90%以上であった。ポリマーAの存在は、赤外(IR)スペクトルおよび核磁気共鳴(NMR)スペクトルにより確認した(図8A〜8Cを参照)。
【0054】
合成例2:放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)
20g(175ミリモル)のε−カプロラクトン、0.9g(3.6ミリモル)のジ(ペンタエリスリトール)、および前記(ペンタエリスリトール)の1/100モルに相当する量の錫2−エチルヘキサノエートを用いたこと以外は、合成例1と同様の手法により、式3のXが水素である6本に分枝した白色の放射状ポリマーを合成した。収率は90%以上であり、Mwは8,000g/モルであった。
【0055】
合成例1と同様の手法により、10gの前記放射状ポリマーを8gの3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランと反応させて、Mwが9,000g/モルで式3のXが反応性末端トリエトキシシラン基を有する−OCONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である、6本に分枝した放射状ポリマー(ポリマーB)を得た。合成例1と同様に、ポリマーBの存在をNMRおよびIRにより確認した(図9A〜9Cを参照)。
【0056】
実施例1−1:孔形成ポリマーとして放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)を有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および9gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を、完全に乾燥した反応器中に仕込み、次いでこれにトルエンとエタノールとの混合溶媒(体積比で1:1)100mLを添加した。この反応混合物を、窒素雰囲気下で室温にて均一に撹拌した。この反応混合物に、30mLの塩酸水溶液(pH2.0)を徐々に添加した。
【0057】
反応器中の全ての反応物を、室温にて1時間、連続的に撹拌し、次いで60℃に4日間維持した。
【0058】
反応終了後、得られた溶液を室温まで冷却させ、次いでこれに蒸留水を添加して、触媒として用いた塩酸を抽出により除去した。次いで、得られた溶液に過剰の無水Na2SO4を添加して微量の水分を除去し、さらに濾過し、減圧下で反応溶媒を除去して、高粘度の有機/無機ハイブリッドポリマー中間体を得た。この有機/無機ハイブリッドポリマー中間体にペンタンを添加することにより残留溶媒を除去し、乾燥させて、図2に示すような、Mwが5,000g/モルの有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:80%)を得た。
【0059】
この有機/無機ハイブリッドポリマーの存在は、IRスペクトル、NMRスペクトル、および分子量測定により確認した(図4および5を参照)。
【0060】
実施例1−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,500g/モル)を調製した。
【0061】
実施例1−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,800g/モル)を調製した。
【0062】
実施例2−1:孔形成ポリマーとして放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)を有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)に代えて、1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,500g/モル)を調製した。
【0063】
この有機/無機ハイブリッドポリマーの存在は、IRスペクトル、NMRスペクトル、および分子量測定により確認した(図6および7を参照)。
【0064】
実施例2−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,000g/モル)を調製した。
【0065】
実施例2−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,700g/モル)を調製した。
【0066】
実施例3−1:孔形成ポリマーとして式2のXが−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)に代えて、式2のXが−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,000g/モル)を調製した。
【0067】
実施例3−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例3−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,200g/モル)を調製した。
【0068】
実施例3−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式2のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例3−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,000g/モル)を調製した。
【0069】
実施例4−1:孔形成ポリマーとして式3のXが−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式3のXは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3である)に代えて、放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:9,100g/モル)(式3のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,400g/モル)を調製した。
【0070】
実施例4−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,100g/モル)(式3のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例4−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,000g/モル)を調製した。
【0071】
実施例4−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式3のXは、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例4−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,400g/モル)を調製した。
【0072】
実施例5−1:孔形成ポリマーとして式2のXが−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:8,100g/モル)(式2のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および9gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,000g/モル)を調製した。
【0073】
実施例5−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,100g/モル)(式2のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,200g/モル)を調製した。
【0074】
実施例5−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,100g/モル)(式2のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,000g/モル)を調製した。
【0075】
実施例6−1:孔形成ポリマーとして式3のXが−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:9,100g/モル)(式3のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および9gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,400g/モル)を調製した。
【0076】
実施例6−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,100g/モル)(式3のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例6−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,900g/モル)を調製した。
【0077】
実施例6−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,100g/モル)(式3のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例6−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,400g/モル)を調製した。
【0078】
実施例7−1:孔形成ポリマーとして式2のXが−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(式2のXは、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2である)に代えて、放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:8,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)を用いたこと以外は、実施例6−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,100g/モル)を調製した。
【0079】
実施例7−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例7−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:5,500g/モル)を調製した。
【0080】
実施例7−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=8,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例7−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,000g/モル)を調製した。
【0081】
実施例8−1:孔形成ポリマーとして式3のXが−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である放射状(ε−カプロラクトン)ポリマーを有する有機/無機ハイブリッドポリマーの調製
1gの放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw:9,000g/モル)(式3のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および9gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の手法により、図2に示すような、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%以上、Mw:6,200g/モル)を調製した。
【0082】
実施例8−2
2gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および8gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例8−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:6,900g/モル)を調製した。
【0083】
実施例8−3
3gの前記放射状(ε−カプロラクトン)ポリマー(Mw=9,000g/モル)(式2のXは、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である)、および7gのメチルシルセスキオキセン(Mw=3,000g/モル)を用いたこと以外は、実施例8−1と同様の手法により、有機/無機ハイブリッドポリマー(収率:約80%、Mw:7,500g/モル)を調製した。
【0084】
下記の実施例は、上記の実施例に係る有機/無機ハイブリッドポリマーを単一の前駆体として用いた超低誘電性膜の形成を示す。
【0085】
実施例9−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例1−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0086】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる有機シリケートポリマーは熱硬化し、孔形成放射状ポリマーは250℃以上で熱分解して、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、図3に示すような超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。
【0087】
メチルシルセスキオキセンのみからなる薄膜は、約2.30〜3.00の屈折率を有する。本発明の実施例に係るポリマー複合体膜は、ナノスケールの細孔の存在により、メチルシルセスキオキセンのみからなる薄膜と比較して相対的に低い屈折率を有していた。
【0088】
本実施例のナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.140±0.020の誘電率を有していた。
【0089】
実施例9−2
実施例1−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、1gの実施例1−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例9−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0090】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.880±0.020の誘電率を有していた。
【0091】
実施例9−3
実施例1−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、1gの実施例1−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例9−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0092】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.740±0.040の誘電率を有していた。
【0093】
実施例10−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例2−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0094】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.120±0.020の誘電率を有していた。
【0095】
実施例10−2
実施例2−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例2−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例10−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0096】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.850±0.020の誘電率を有していた。
【0097】
実施例10−3
実施例2−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例2−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例10−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0098】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.700±0.040の誘電率を有していた。
【0099】
実施例11−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例3−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0100】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.040±0.020の誘電率を有していた。
【0101】
実施例11−2
実施例3−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、1gの実施例3−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例11−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0102】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.810±0.020の誘電率を有していた。
【0103】
実施例11−3
実施例3−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例3−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例11−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0104】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.710±0.040の誘電率を有していた。
【0105】
実施例12−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例4−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0106】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.050±0.020の誘電率を有していた。
【0107】
実施例12−2
実施例4−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例4−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例12−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0108】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.850±0.020の誘電率を有していた。
【0109】
実施例12−3
実施例4−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例4−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例12−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0110】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.730±0.040の誘電率を有していた。
【0111】
実施例13−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例5−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0112】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、1.990±0.020の誘電率を有していた。
【0113】
実施例13−2
実施例5−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例5−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例13−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0114】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.820±0.030の誘電率を有していた。
【0115】
実施例13−3
実施例5−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例5−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例13−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0116】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.690±0.030の誘電率を有していた。
【0117】
実施例14−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例6−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。この薄膜の厚さは、前記混合溶液の濃度またはスピンコーティングの回転速度を変化させることにより、調節されうる。こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、図3に示すような超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.100±0.030の誘電率を有していた。
【0118】
実施例14−2
実施例6−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例6−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例14−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0119】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.805±0.030の誘電率を有していた。
【0120】
実施例14−3
実施例6−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例6−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例14−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0121】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.710±0.040の誘電率を有していた。
【0122】
実施例15−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例7−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。
【0123】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、図3に示すような超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.100±0.020の誘電率を有していた。
【0124】
実施例15−2
実施例7−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例7−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例15−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0125】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.830±0.030の誘電率を有していた。
【0126】
実施例15−3
実施例7−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例7−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例15−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0127】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.680±0.050の誘電率を有していた。
【0128】
実施例16−1:超低誘電性有機シリケートポリマー複合体膜の形成
1gの実施例8−1の有機/無機ハイブリッドポリマーを、9gのメチルイソブチルケトンに均一に溶解させて、混合溶液を調製した。この混合溶液をシリコン基板上に約1,000〜5,000rpmでスピンコーティングして、薄膜を形成した。当該薄膜の厚さは、約100nmであった。
【0129】
こうして調製された薄膜を、窒素雰囲気下で2℃/分の速度で400℃まで昇温させ、同温度に60分間維持した。この際に、薄膜中に含まれる孔形成放射状ポリマーは熱分解することで、薄膜中に細孔を形成した。熱処理の後、前記薄膜を昇温速度と同じ速度で冷却して、超低誘電率を有するナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜を得た。このナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体膜は、2.110±0.020の誘電率を有していた。
【0130】
実施例16−2
実施例8−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例8−2の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例16−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0131】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.790±0.020の誘電率を有していた。
【0132】
実施例16−3
実施例8−1の有機/無機ハイブリッドポリマーに代えて、実施例8−3の有機/無機ハイブリッドポリマーを用いたこと以外は、実施例16−1と同様の手法により、有機シリケートポリマー複合体膜を形成した。
【0133】
この有機シリケートポリマー複合体膜は、1.650±0.040の誘電率を有していた。
【0134】
産業上の利用可能性
本発明の有機/無機ハイブリッドポリマーは、図1の反応性末端基を有する孔形成放射状ポリマーと有機シリケートポリマーとを化学結合させることにより、調製される。この有機/無機ハイブリッドポリマーは、ナノスケールの細孔および低い誘電率を有する有機シリケートポリマー複合体および有機シリケートポリマー複合体膜を形成するための単一の前駆体として用いられうる。この有機シリケートポリマー複合体膜は、半導体装置用の誘電性膜として用いられうる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る放射状ポリマーの構造を説明する模式図である。
【図2】本発明に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの構造を説明する模式図である。
【図3】本発明に係るナノ細孔性有機シリケートポリマー複合体の構造を説明する模式図である。
【図4】実施例1−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーのFT−IRスペクトルである。
【図5】実施例1−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図6】実施例2−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーのFT−IRスペクトルである。
【図7】実施例2−1に係る有機/無機ハイブリッドポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図8A】合成例1に係る放射状ポリマーのFT−IRスペクトルである。
【図8B】合成例1に係る放射状ポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図8C】合成例1に係る放射状ポリマーの13C NMRスペクトルである。
【図9A】合成例2に係る放射状ポリマーのFT−IRスペクトルである。
【図9B】合成例2に係る放射状ポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図9C】合成例2に係る放射状ポリマーの13C NMRスペクトルである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機/無機ハイブリッドポリマーを加熱することにより調製される細孔性有機シリケートポリマー複合体であって、
末端に加水分解しうるアルコキシシリル基を有しコア分子として用いられる孔形成放射状ポリマーに対して、有機シリケートポリマーが化学結合する、細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項2】
前記加熱が200〜500℃にて行われる、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項3】
前記有機シリケートポリマーが、前記孔形成放射状ポリマーに対して、加水分解、脱水分解(dehydrolysis)、および重縮合によって化学結合する、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項4】
前記孔形成放射状ポリマーの前記加水分解しうるアルコキシシリル基が、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項5】
前記孔形成放射状ポリマーが、末端に前記加水分解しうるアルコキシシリル基を有する分枝部と、前記分枝部に結合した中心部とを含み、前記中心部が、炭素原子数1〜30の脂肪族エーテルおよび炭素原子数6〜30の芳香族エーテルから選択されるエーテルにより形成される、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項6】
前記孔形成放射状ポリマーの前記中心部が、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリスリトール)、またはいくつかの末端ヒドロキシル基を有するこれらの誘導体を用いて形成される、請求項5に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項7】
前記孔形成放射状ポリマーの分枝部が、下記式1A〜1D:
【化1】
式中、aは2〜5である、
で表される環状化合物の1つの開環重合により調製される、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項8】
前記孔形成放射状ポリマーが、下記式4:
【化2】
式中、nは2〜64であり、RはポリオールであるR−(OH)k(k≧2)由来であり、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2から選択される末端官能基である、
で表される末端メトキシシラン基または末端エトキシシラン基を有するエーテル構造を有する、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項9】
前記孔形成放射状ポリマーが、下記式5:
【化3】
式中、R0は−CH2O−[CO−(CH2)5−O]a−Xであり、R1は、−C2H5または−CH2O−[CO−(CH2)5−O]a−Xであり、この際Xは、−OCONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2から選択される置換基であり、aは2〜20であり、R4は、置換されたもしくは非置換の炭素原子数1〜30のアルキレン基、または置換されたもしくは非置換の炭素原子数6〜30のアリーレン基である、
で表される、請求項8に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項10】
前記有機シリケートポリマーが、メチルシルセスキオキセン(methyl silsesquioxene)、エチルシルセスキオキセン(ethyl silsesquioxene)、および水素シルセスキオキセン(hydrogen silsesquioxene)からなる群から選択される、請求項1に記載の細孔性シリケートポリマー複合体。
【請求項11】
前記有機シリケートポリマーが、1以上のシラン化合物の加水分解、脱水分解、および重縮合により得られるものであり、前記シラン化合物が、トリクロロシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルメタン、ビストリエトキシシリルオクタン、およびビストリメトキシシリルヘキサンからなる群から選択される、請求項1に記載の細孔性シリケートポリマー複合体。
【請求項12】
前記孔形成放射状ポリマーが、下記式2:
【化4】
式中、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2であり、nは2〜20である、
で表される、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項13】
前記孔形成放射状ポリマーが、下記式3:
【化5】
式中、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2であり、nは2〜20である、
で表される、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項14】
前記孔形成放射状ポリマーが500〜20,000g/モルの重量平均分子量を有し、前記有機シリケートポリマーが3,000〜20,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項15】
前記有機/無機ハイブリッドポリマーが3,000〜100,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項16】
前記孔形成放射状ポリマーが1〜50重量%であり、前記有機シリケートポリマーが50〜99重量%である、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体を含む有機シリケートポリマー複合体膜を用いる半導体装置。
【請求項18】
前記有機シリケートポリマー複合体膜が、1.40〜2.00の誘電率を有する、請求項17に記載の半導体装置。
【請求項1】
有機/無機ハイブリッドポリマーを加熱することにより調製される細孔性有機シリケートポリマー複合体であって、
末端に加水分解しうるアルコキシシリル基を有しコア分子として用いられる孔形成放射状ポリマーに対して、有機シリケートポリマーが化学結合する、細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項2】
前記加熱が200〜500℃にて行われる、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項3】
前記有機シリケートポリマーが、前記孔形成放射状ポリマーに対して、加水分解、脱水分解(dehydrolysis)、および重縮合によって化学結合する、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項4】
前記孔形成放射状ポリマーの前記加水分解しうるアルコキシシリル基が、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2である、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項5】
前記孔形成放射状ポリマーが、末端に前記加水分解しうるアルコキシシリル基を有する分枝部と、前記分枝部に結合した中心部とを含み、前記中心部が、炭素原子数1〜30の脂肪族エーテルおよび炭素原子数6〜30の芳香族エーテルから選択されるエーテルにより形成される、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項6】
前記孔形成放射状ポリマーの前記中心部が、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリスリトール)、またはいくつかの末端ヒドロキシル基を有するこれらの誘導体を用いて形成される、請求項5に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項7】
前記孔形成放射状ポリマーの分枝部が、下記式1A〜1D:
【化1】
式中、aは2〜5である、
で表される環状化合物の1つの開環重合により調製される、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項8】
前記孔形成放射状ポリマーが、下記式4:
【化2】
式中、nは2〜64であり、RはポリオールであるR−(OH)k(k≧2)由来であり、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2から選択される末端官能基である、
で表される末端メトキシシラン基または末端エトキシシラン基を有するエーテル構造を有する、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項9】
前記孔形成放射状ポリマーが、下記式5:
【化3】
式中、R0は−CH2O−[CO−(CH2)5−O]a−Xであり、R1は、−C2H5または−CH2O−[CO−(CH2)5−O]a−Xであり、この際Xは、−OCONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−OCH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、および−OCH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2から選択される置換基であり、aは2〜20であり、R4は、置換されたもしくは非置換の炭素原子数1〜30のアルキレン基、または置換されたもしくは非置換の炭素原子数6〜30のアリーレン基である、
で表される、請求項8に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項10】
前記有機シリケートポリマーが、メチルシルセスキオキセン(methyl silsesquioxene)、エチルシルセスキオキセン(ethyl silsesquioxene)、および水素シルセスキオキセン(hydrogen silsesquioxene)からなる群から選択される、請求項1に記載の細孔性シリケートポリマー複合体。
【請求項11】
前記有機シリケートポリマーが、1以上のシラン化合物の加水分解、脱水分解、および重縮合により得られるものであり、前記シラン化合物が、トリクロロシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルメタン、ビストリエトキシシリルオクタン、およびビストリメトキシシリルヘキサンからなる群から選択される、請求項1に記載の細孔性シリケートポリマー複合体。
【請求項12】
前記孔形成放射状ポリマーが、下記式2:
【化4】
式中、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2であり、nは2〜20である、
で表される、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項13】
前記孔形成放射状ポリマーが、下記式3:
【化5】
式中、Xは、−CONH−(CH2)3−Si(OC2H5)3、−CH2CH(CH3)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)2(OC2H5)、−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH2H5)2、または−CH2CH(OH)−CH2O(CH2)3−Si(CH3)(OCH3)2であり、nは2〜20である、
で表される、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項14】
前記孔形成放射状ポリマーが500〜20,000g/モルの重量平均分子量を有し、前記有機シリケートポリマーが3,000〜20,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項15】
前記有機/無機ハイブリッドポリマーが3,000〜100,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項16】
前記孔形成放射状ポリマーが1〜50重量%であり、前記有機シリケートポリマーが50〜99重量%である、請求項1に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の細孔性有機シリケートポリマー複合体を含む有機シリケートポリマー複合体膜を用いる半導体装置。
【請求項18】
前記有機シリケートポリマー複合体膜が、1.40〜2.00の誘電率を有する、請求項17に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公表番号】特表2006−515644(P2006−515644A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518200(P2005−518200)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002104
【国際公開番号】WO2005/019303
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(500345478)ポステック・ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002104
【国際公開番号】WO2005/019303
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(500345478)ポステック・ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】
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