説明

住宅用緊急通報装置

【課題】 家屋内での緊急事態の発生を直ちに外部へ知らせる。
【解決手段】 家屋内に屋内照明具2と一体の装置本体1を設ける。装置本体1に、屋内照明具2と、家屋外に設置されて外部接続される緊急時点灯用外部灯7及び外部スピーカ8と、通信回線を介して外部へ通報を発信するための外部通報手段9と、緊急時操作ボタン4a,4b,4cを備えたリモコン3の信号を受信するための受信機5に接続された制御装置を備える。リモコン3の緊急時操作ボタン4a,4b,4cが操作されると、その信号が受信機5を介して入力される制御装置により、緊急時点灯用外部灯7及び上記屋内照明具2を予め設定した点灯方式で点灯させると共に、外部スピーカ8より音声出力による警報を出力させ、更に、外部通報手段9により通信回線10を介して所定の通報対象への外部通報を行うことで、緊急事態の発生を外部に通知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅内にて緊急を要する事態が発生したときに、住宅外部に通報して保安を図るために用いる住宅用緊急通報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、LEDと記す)は、消費電力が少ないことから、近年、照明装置の光源として用いられるようになってきている。
【0003】
更に、上記LEDを用いた照明装置に、バッテリーを備えるようにして、停電時に、該バッテリーより供給される電力で光源となるLEDを点灯させるようにする形式のLED非常灯も提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、一般に、住宅内では、火災、ガス漏れのような緊急事態が生じることがあり、これらの緊急事態への対策として、火災に対しては住宅用火災警報器が、又、ガス漏れに対してはガス警報器が、一般住宅においても設置されるようになってきている。
【0005】
更に、住宅では、不審者の侵入という緊急事態が生じる可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−234403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、近年では高齢者の一人住まいが多くなってきており、このような一人住まいの住宅では、該住宅内で居住者が体調の悪化や怪我等を生じて動くことが困難になると、自分で外部へ助けを求めることが難しくなることがあるというのが実状である。
【0008】
又、住宅用火災警報器やガス警報器は、警報音を発するようにしてあるが、これは、主として家屋内の居住者に対する警報の発信するためのものに過ぎないというのが実状である。
【0009】
そこで、本発明は、家屋における停電が生じたときに非常灯として使用でき、更に、居住者自身の体調の悪化や怪我等の緊急を要する事態が生じたときに、その緊急度に応じて、外部の必要とされる個所に容易に通知や警報を発することができ、更には、住宅に既設の住宅用火災警報器やガス警報器や侵入者検出用のセンサを利用しての火災、ガス漏れ、不審者の侵入等の緊急事態の発生を、外部の必要とされる個所に容易に通知や警報を発することができるようにする住宅用緊急通報装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、家屋内に設置する屋内照明具に、装置本体を一体に設け、該装置本体に、上記屋内照明具と、家屋外に設置して該装置本体に外部接続する緊急時点灯用外部灯と、家屋外に設置して該装置本体に外部接続する外部スピーカと、通信回線を介して外部へ通報を発信するための外部通報手段と、緊急時操作ボタンを備えたリモコンの信号を受信するための受信機に接続された制御装置を備えて、該制御装置は、上記リモコンの緊急時操作ボタンの操作信号が上記受信機を介して入力されると、該入力される信号を基に、上記緊急時点灯用外部灯及び上記屋内照明具の予め設定した点灯方式での点灯を行う機能と、上記外部スピーカによる音声出力を行う機能と、上記外部通報手段による通信回線を介した予め設定してある所定の通報対象への外部通報を行う機能を備えてなるものとした構成とする。
【0011】
又、上記構成において、装置本体に、外部電力が供給されるときに充電されるバッテリーを備えて、停電時に該バッテリーより制御装置、屋内照明具、緊急時点灯用外部灯及び外部スピーカに電力供給を行うことができるようにした構成とする。
【0012】
更に、上記各構成において、リモコンに、緊急時操作ボタンの操作に伴う装置本体側での処理を停止させるための緊急処理取消用操作ボタンを備えるようにした構成とする。
【0013】
更に又、上記各構成において、装置本体に、制御装置に接続された情報格納メモリを備えて、リモコンの緊急時操作ボタンの操作に伴って、緊急時点灯用外部灯及び屋内照明具を点灯させるときの点灯方式と、外部スピーカにより音声出力させる出力内容と、外部通報手段による通信回線を介して通報対象の設定及び該通報対象へ通報する内容を設定して記憶させることができるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の住宅用緊急通報装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)家屋内に設置する屋内照明具に、装置本体を一体に設け、該装置本体に、上記屋内照明具と、家屋外に設置して該装置本体に外部接続する緊急時点灯用外部灯と、家屋外に設置して該装置本体に外部接続する外部スピーカと、通信回線を介して外部へ通報を発信するための外部通報手段と、緊急時操作ボタンを備えたリモコンの信号を受信するための受信機に接続された制御装置を備えて、該制御装置は、上記リモコンの緊急時操作ボタンの操作信号が上記受信機を介して入力されると、該入力される信号を基に、上記緊急時点灯用外部灯及び上記屋内照明具の予め設定した点灯方式での点灯を行う機能と、上記外部スピーカによる音声出力を行う機能と、上記外部通報手段による通信回線を介した予め設定してある所定の通報対象への外部通報を行う機能を備えてなるものとした構成としてあるので、家屋で緊急事態に直面した居住者がリモコンの緊急時操作ボタンを操作することにより、上記家屋内で発生した緊急事態を、緊急時点灯用外部灯の所定の点等方式での点灯及び外部スピーカからの音声出力を行うことと、屋内照明具の所定の点灯方式での点灯を行うことと、外部通報手段による所定の通報対象への外部通報を行うことで、速やかに
外部へ伝えることができる。
(2)よって、家屋内に高齢者が一人でいる場合等であっても、容易に緊急事態の発生を外部へ伝えることができる。
(3)装置本体に、外部電力が供給されるときに充電されるバッテリーを備えて、停電時に該バッテリーより制御装置、屋内照明具、緊急時点灯用外部灯及び外部スピーカに電力供給を行うことができるようにした構成とすることにより、停電時に、上記屋内照明具を非常灯として用いることができる。しかも、停電時であっても、上記(1)に示したリモコンの緊急時操作ボタンの操作に伴い、緊急時点灯用外部灯の所定の点等方式での点灯及び外部スピーカからの音声出力を行うことと、屋内照明具の所定の点灯方式での点灯による外部への緊急事態発生の通知機能を保持することができる。
(4)リモコンに、緊急時操作ボタンの操作に伴う装置本体側での処理を停止させるための緊急処理取消用操作ボタンを備えるようにした構成とすることにより、上記リモコンの緊急時操作ボタンの操作者が該ボタン操作後に意識を失った場合であっても、上記リモコンの緊急処理取消用操作ボタンが操作されるまでは外部への緊急事態発生の通知や通報を継続して行うことができる。
(5)装置本体に、制御装置に接続された情報格納メモリを備えて、リモコンの緊急時操作ボタンの操作に伴って、緊急時点灯用外部灯及び屋内照明具を点灯させるときの点灯方式と、外部スピーカにより音声出力させる出力内容と、外部通報手段による通信回線を介して通報対象の設定及び該通報対象へ通報する内容を設定して記憶させることができるようにした構成とすることにより、緊急事態の発生時に、その緊急度や該緊急事態の内容に応じて、外部へ知らせる対象や順序を自在に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の住宅用緊急通報装置の実施の一形態の基本構成を示す概要図である。
【図2】図1の住宅用緊急通報装置を構成する機器の接続状態の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1及び図2は本発明の住宅用緊急通報装置の実施の一形態を示すもので、以下のような構成としてある。
【0018】
すなわち、本発明の住宅用緊急通報装置の基本構成は、図1に示すように、屋内照明具としてのLED照明具2を一体に装備して家屋内に設置するようにしてある装置本体1と、緊急時操作ボタン4a,4b,4cを備え且つ上記装置本体1に装備した受信機5との間で無線、たとえば、赤外線による通信を行うことができるようにしてある可搬式の遠隔操作機器(以下、リモコンと云う)3と、家屋の外部、たとえば、戸建て住宅の場合は図1に示すように門6の外部に面する個所等、又、図示してないが、集合住宅の場合は玄関の外壁等に設置して、上記装置本体1からの指令に応じて点灯できるようにしてある緊急時点灯用の外部灯としての外部LED灯7と、上記外部LED灯7と同様に家屋の外部に設置して、上記装置本体1からの指令に応じて音声出力できるようにしてある緊急時音声出力用の外部スピーカ8と、上記装置本体1からの指令により、予め設定してある外部の所定の図示しない通報対象(通報先)に向けて所定の通信回線10を通して緊急事態の発生を通報するための外部通報手段9を備えてなる構成としてある。なお、図1では、上記通信回線10の一例として、電話回線10aが示してある。
【0019】
詳述すると、上記装置本体1は、該装置本体1と一体に備えた上記LED照明具2を家屋内の照明機器として機能させるために、例えば、図1に示すように、家屋内の上部の図示しない壁面や天井面に設置するようにしてある。
【0020】
又、上記装置本体1には、図2に示すように、家庭用電源11に接続されたAC電源回路12と、該AC電源回路12に電源ライン13を介して接続されたDC電源回路14を備えて、該DC電源回路14より、装置本体1に内蔵した制御装置15と、上記LED照明具2及び外部LED灯7用の後述する各LEDドライバ18及び19と、上記外部スピーカ8より或る特定の音声を出力させるための後述する音声制御器20及び音声増幅器(アンプ)21へそれぞれ電力を供給できるようにしてある。且つ上記AC電源回路12には、上記電源ライン13と並列な接続となるように、充電回路16を介してバッテリー17を接続し、該バッテリー17を上記DC電源回路14に接続するようにしてある。更に、上記制御装置15に、上記バッテリー17の充電量や温度等のバッテリー情報aを監視すると共に、該バッテリー情報aに応じて上記充電回路16に充電制御指令bを与える機能を備えるようにしてあり、上記家庭用電源11よりAC電源回路12を経て上記充電回路16に電力供給が行われている間は、上記制御装置15により、上記バッテリー情報aに基く充電制御指令bを充電回路16へ与えることで、該充電回路16より上記バッテリー17へ供給する充電用電力を適宜制御して、該バッテリー17をほぼ満充電された状態に常に維持できるようにしてある。
【0021】
これにより、上記家庭用電源11よりAC電源回路12へ電力供給が行われている間は、上記DC電源回路14に対し、該DC電源回路14の負荷側の上記所定の機器の電力需要が高まる場合等の変動に応じて、上記AC電源回路12より電源ライン13を介した直接の電力供給に加えて、上記バッテリー17からも一部電力供給を行うことが可能となるようにしてある。
【0022】
一方、停電等により上記家庭用電源11よりAC電源回路12への電力供給が停止された場合は、上記したように常にほぼ満充電状態に維持されているバッテリー17より、上記DC電源回路14への電力供給を行うことで、該DC電源回路14より上記各LEDドライバ18及び19と、上記音声制御器20及び音声増幅器21に対して継続して電力供給を行うことができるようにしてある。
【0023】
上記装置本体1には、上記装置本体1に一体のLED照明具2の点灯を制御する屋内照明具用点灯制御器である内部用LEDドライバ18と、上記外部LED灯7の点灯の制御を行うための外部灯用点灯制御器としての外部用LEDドライバ19と、上記外部スピーカ8より出力させるための音声を制御するための音声制御器20と、該音声制御器20により制御された音声信号を増幅して出力できるようにした音声増幅器21を備え、上記外部用LEDドライバ19には上記外部LED灯7を、又、上記音声増幅器21には上記外部スピーカ8を、それぞれ外部接続した構成としてある。
【0024】
更に、上記各LEDドライバ18及び19は、上記制御装置15に接続して、上記内部用LEDドライバ18による上記LED照明具2の点灯と消灯、及び、上記外部用LEDドライバ19による上記外部LED灯7の点灯と消灯、更には、該LED照明具2と外部LED灯7の点灯の方式として、たとえば、常時点灯、点滅、照明色(点灯色)の制御を、該制御装置15により個別に行うことができるようにしてある。なお、上記LED照明具2と外部LED灯7は、いずれも照明色(点灯色)を変化させることが可能なように、複数の色の異なるLED光源を具備してなる構成としてあるものとする。
【0025】
又、上記音声制御器20も上記制御装置15に接続してあり、上記音声制御器20及び音声増幅器21を介して上記外部スピーカ8より出力させる音声出力の内容、たとえばメッセージや警報音及びそれらの種類と、該音声出力の実施と停止を制御できるようにしてある。
【0026】
上記リモコン3は、たとえば、3つの緊急時操作ボタン4a,4b,4cを備えるようにして、それぞれの緊急時操作ボタン4a,4b,4cの操作毎に、個別の特定パターンの緊急信号を発信できるようにしてある。
【0027】
又、上記リモコン3は、緊急処理取消用操作ボタン22を備えてなり、該緊急処理取消用操作ボタン22の操作に伴って、装置本体1における後述するような緊急処理をすべて停止させるための緊急処理取消信号を発することができるようにしてある。このようにすれば、上記緊急時操作ボタン4a,4b,4cが操作された場合は、上記緊急処理取消用操作ボタン22を操作しない限り、上記バッテリー17の電力が尽きるまで上記外部LED灯7やLED照明具2の点灯や、外部スピーカ8からの音声出力、更には、上記外部通報手段9による外部通報を継続して行わせることができるようになることから、上記リモコン3の操作者が緊急時操作ボタン4a,4b,4cの操作後に意識を失ったりしても、緊急事態の発生の知らせを外部に伝えることができるようにしてある。
【0028】
更に、上記リモコン3には、平常時に上記LED照明具2を点灯させて家屋内の照明として機能させるための照明点灯用操作ボタン23と、平常時における照明消灯用の操作ボタン24が装備してある。更には、平常時に点灯させた上記LED照明具2の照明色を切り替える(変化させる)ための照明色切替用操作ボタン25を備えるようにしてもよい。
【0029】
装置本体1に備えた受信機5は、上記制御装置15に接続してあり、該受信機5でリモコン3より発信された信号を受けると、該信号が上記制御装置15へ入力されるようにしてある。
【0030】
上記外部通報手段9は、現状での普及率から考えると、通信回線10として、少なくとも図1及び図2に示すように、電話(固定電話)26用の電話回線10aを外部接続できるようにした電話回線用の外部通報器9aを備えることが望ましい。
【0031】
又、近年では、携帯電話やインターネットが普及するようになっていることに鑑みて、図1に示すように、上記外部通報手段9として、携帯電話(PHSを含む)27を外部接続し、該携帯電話27を制御することにより通信回線としての携帯電話回線10bに接続できるようにした携帯電話回線用の外部通報器9bや、インターネットの使用環境が整っている家屋であれば、インターネット接続機器28を外部接続し、該インターネット接続機器28を制御することにより通信回線としてのLAN回線やその他各種のインターネット網10cに接続できるようにしてあるインターネット接続用の外部通報器9cを備えるようにすることが望ましい。
【0032】
更に、上記制御装置15には、情報格納メモリ29が接続してあり、本発明の住宅用緊急通報装置の使用開始時に、この情報格納メモリ29に対して、上記リモコン3の各緊急時操作用ボタン4a,4b,4cが操作されたときに上記LED照明具2と外部LED灯7を点灯させるときの点灯方式と、上記外部スピーカ8より出力させる音声出力の内容と、上記外部通報手段9より通信回線10を介して緊急事態の発生を通報すべき上記外部の図示しない通報対象と、該通報対象が通報を受けたときに通報対象側で本発明の住宅用緊急通報装置の設置されている家屋(場所)を特定できるようにするための情報を含む通報内容を、所定の外部入力手段(図示せず)より入力して上記各緊急時操作用ボタン4a,4b,4c毎に個別に設定できるようにしてある。
【0033】
なお、上記情報格納メモリ29には、各緊急時操作ボタン4a,4b,4cに、たとえば、リモコン3の操作者が家屋内で体調不良や怪我等を生じた場合や、その他、家屋内で生じると想定される複数の緊急事態を個別に対応させて設定するようにすればよく、この際、上記各緊急時操作ボタン4a,4b,4cの操作の仕方に応じて警報の方式を変化させるように設定してもよい。具体的には、たとえば、上記各緊急時操作ボタン4a,4b,4cの操作回数に応じて、1回操作された場合は、外部LED灯7の点滅と外部スピーカ8からの音声出力を行わせ、2回操作された場合は、上記外部LED灯7の点滅に同期して家屋内のLED照明具2の点滅を開始させるようにし、更に、3回操作された場合は、上記外部通報手段9より通信回線10を介して上記予め設定してある図示しない通報対象への外部通報を開始させる等の設定を行うようにしてもよい。
【0034】
このようにすれば、上記外部LED灯7の点滅と外部スピーカ8からの音声出力を行う状態では、近所の住人やその他の家屋の付近にいる人に対して緊急事態の発生を知らせることができ、又、LED照明具2の点滅を開始させた場合は、上記外部LED灯7の点滅と外部スピーカ8からの音声出力のみでは気付かない近所の住人に対して、家屋内の照明、すなわち、窓等から漏れる明りが点滅することによる緊急事態の発生を知らせることができ、更に、外部通報手段9より通信回線10を介した図示しない所定の通報対象への外部通報を開始させると、該通報対象に対し確実な通報を行うことができるようになるため、緊急事態が発生した際に、その緊急度に応じて、緊急事態の発生を知らせたり、助けを請う対象を適宜切り換えることが可能になる。
【0035】
なお、上記情報格納メモリ29にて、本発明の住宅用緊急通報装置より発信される外部通報を受けた図示しない通報対象側で該本発明の住宅用緊急通報装置の設置されている家屋(場所)を特定できるようにするための情報としては、たとえば、通報対象が警察や消防(救急)の場合には、固定電話の電話番号や住所と氏名等を、又、通報対象がガス会社の場合は、顧客管理用に付されている番号や住所と氏名等を、更に、通報対象が親族や知人等の個人の場合は、氏名と住所等を設定するようにすればよい。なお、通報先が携帯電話や携帯端末、FAX、その他の文字情報を表示可能な機器である場合は、文字データにより上記したような情報を発信するようにしてもよい。
【0036】
上記AC電源回路12には、家庭用電源11より該AC電源回路12への電力供給の有無を監視するための電源監視手段30を接続し、且つ該電源監視手段30より出力されるAC入力情報cを上記制御装置15に入力させるようにしてある。更に、上記制御装置15は、上記電源監視手段30より入力されるAC入力情報cを基に、上記家庭用電源11から上記AC電源回路12への電力供給の停止が検出されると、上記LED照明具2を、バッテリー17より供給される電力で点灯させる機能を備えるようにしてある。これにより、上記家庭用電源11側の停電が生じた場合には、上記LED照明具2を直ちに点灯させて、非常灯として使用できるようにしてある。なお、この際、上記LED照明具2の点灯は、30分程度は最大照度での点灯を行い、30分経過以降は、照度を絞ったり、点滅させるようにして、上記バッテリー17の電力消費を抑えるようにしてもよい。更には、図示しない光センサによって検出される家屋内の明るさに応じて、停電時に上記LED照明具2を点灯させるときの照度を調節することで、上記バッテリー17の電力消費を抑えるようにしてもよい。
【0037】
更に、家屋内で上記リモコン3の緊急時操作ボタン4a,4b,4cを操作した者が体調不良や怪我等で自力で玄関の鍵を開錠できない場合の対応として、装置本体1に、家屋の玄関に装備した電子錠32を外部接続する開錠制御器31を備えると共に、該開錠制御器31を上記制御装置15に接続し、且つ上記制御装置15に、上記リモコン3の緊急時操作ボタン4a,4b,4cが操作されると、上記開錠制御器31へ指令を与えて、上記電子錠32を解除させる機能を備えるようにしてもよい。
【0038】
このようにすれば、上記リモコン3の緊急時操作ボタン4a,4b,4cの操作に伴って、上記玄関の電子錠32を自動的に開錠して、救助者が家屋内への進入をより容易に行わせることが可能になる。
【0039】
又、装置本体1に、家屋内に装備された住宅用火災警報器35の近傍に設置するマイクのような火災警報器音検出手段34を外部接続するための火災センサ入力部33や、家屋内に装備されたガス警報器38の近傍に設置するマイクのようなガス警報器音検出手段37を個別に外部接続するためのガスセンサ入力部36を備えて、該火災センサ入力部33とガスセンサ入力部36を上記制御装置15に接続した構成としてもよい。
【0040】
かかる構成とすることにより、家屋内に既設あるいは新設する上記住宅用火災警報器35やガス警報器38に何ら機能や改変を加えることなく、家屋内での火災やガス漏れの発生を上記制御装置15で監視して、該火災やガス漏れの発生時には、本発明の住宅用緊急通報装置を機能させて、外部LED灯7、外部スピーカ8、LED照明具2、外部通報手段9により外部へ知らせることができるようになる。
【0041】
なお、上記住宅用火災警報器35や、ガス警報器38に火災やガス漏れの検出信号を外部出力する機能が存在する場合は、該住宅用火災警報器35やガス警報器38を、上記火災センサ入力部33やガスセンサ入力部36に直接接続するようにしてもよい。
【0042】
上記においては、リモコン3からの信号を受信する受信機5が装置本体1と一体に設けてあるため、上記LED照明具2と一体の装置本体1の設置を行う個所より家具、その他の障害物の存在により見通せない個所や大きく離れた個所、更には、壁や扉を隔てた別の部屋では、上記リモコン3の信号が、上記装置本体1と一体の受信機5に到達しない場合が考えられる。そのため、上記装置本体1には、追加設置用の受信機39を外部接続するための信号入力部40を設けて、該追加設置用受信機39からの信号を、上記信号入力部40を介して制御装置15に入力できるようにしてある。このようにすれば、上記追加設置用受信機39を家屋内の任意の個所に追加設置できるようになるため、家屋内のいかなる個所でリモコン3を操作しても、その操作に基づいて本発明の住宅用緊急通報装置を機能させることが可能になる。更には、図示してないが、浴室や脱衣所(洗面所)、トイレ等、リモコンの持込みが行い難い部屋、個所には、リモコン3を介さずに直接操作する形式の緊急時操作ボタンを設置する構成としてもよい。
【0043】
更に、上記装置本体1には、音声増幅器42を備えた追加設置用の外部スピーカ41を、上記音声制御器20に外部接続することができるようにしてもよい。このようにすれば、外部スピーカ8に加えて上記追加設置用外部スピーカ41からも音声出力による緊急事態の発生を外部に知らせることができるようになる。
【0044】
又、上記装置本体1に、制御装置15に接続された追加照明接続部43を設けて、該追加照明接続部43に、追加設置用照明具として、たとえば、LEDドライバ45を備えた追加設置用LED照明具44を外部接続できるようにした構成としてもよい。この場合、上記制御装置15では、上記追加設置用LED照明具44を、上記LED照明具2と同様に点灯させるようにすればよい。このようにすれば、平常時は、上記追加設置用LED照明具44を上記LED照明具2と一緒に家屋内の照明として用いることができる。
【0045】
又、停電が生じた場合は、上記追加設置用LED照明具44を上記LED照明具2と共に点灯させて、非常灯として用いることができる。更に、リモコン3の緊急時操作ボタン4a,4b,4cの操作に伴って、上記LED照明具2を点滅等の所定の点灯方式で点灯させる場合は、上記追加設置用LED照明具44も同様に点灯させることで、家屋内でより広範囲に亘り明りを点滅させる等の点灯操作ができるため、付近の住民等への緊急事態の発生を知らせる効果の確実性をより高めることができるようなる。
【0046】
図1の46は上述の電話26に接続された電話回線10aを分岐させて上記装置本体1の外部通報手段9に外部接続できるようにするために用いる分岐装置である。
【0047】
以上の構成としてある本発明の住宅用緊急通報装置を用いる場合は、平常時はリモコン3の照明点灯用操作ボタン23と照明消灯用操作ボタン24の操作により、上記LED照明具2、更に、追加設置用LED照明具44が設けてある場合は、該追加設置用LED照明具44を、家屋内の照明器具として用いることができる。
【0048】
又、本発明の住宅用緊急通報装置が接続してある家庭用電源11に停電が生じた場合は、上記LED照明具2、更に、追加設置用LED照明具44が設けてある場合は、該追加設置用LED照明具44を、家屋内の非常灯として用いることができるようになる。
【0049】
更に、平常時あるいは停電時のいずれの場合であっても、リモコン3の緊急時操作ボタン4a,4b,4c、又は、浴室や脱衣所、トイレ等に設置された図示しない直接操作する形式の緊急時操作ボタンのいずれかが操作者によって操作された場合は、操作された緊急時操作ボタン4a,4b,4cに対応して予め定められて情報格納メモリ29に保存されている処理手順、処理内容にしたがって、上記外部LED灯7の点灯や外部スピーカ8からの音声出力、更に、上記追加設置用外部スピーカ41が設置されている場合は、該追加設置用外部スピーカ41からの上記外部スピーカと同様の音声出力を行うことと、上記LED照明具2や必要に応じて追加設置された追加設置用LED照明具44の点滅等の所定の点灯方式での点灯を行うことと、外部通報手段による警察、消防(救急)、親族や知人等への電話26、携帯電話27、インターネットを介した通報を行うことにより、緊急事態の発生を、その緊急度や該緊急事態の内容に応じて、外部へ知らせることができるようになる。
【0050】
よって、家屋内に高齢者が一人でいる場合等であっても、容易に緊急事態の発生を外部へ伝えることができる。
【0051】
しかも、本発明の住宅用緊急通報装置では、リモコン3に緊急時操作ボタン4a,4b,4cが設けてあると共に、その受信機5を、通常、壁や天井等の家屋内で見通し易い個所に設置されるLED照明具2と一体の装置本体1に備えるようにしてあるため、家屋内の広い範囲で人が動く場合であっても、上記リモコン3を携帯するようにすることで、緊急事態が生じたときに直ちにその知らせを外部へ向けて発することが可能になる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、上記追加設置用外部スピーカ41の音声増幅器42や、追加設置用LED照明具44のLEDドライバ45、更には、外部通報手段9のように、消費電力が大きい機器は、上記装置本体1に備えたバッテリー17以外の外部の無停電電源装置より電力供給を行うようにしてもよい。この場合、上記外部通報手段9の筐体を、上記装置本体1と別体とするようにしてもよい。
【0053】
更に、家屋内に設置される警報器として、たとえば、図2に二点鎖線で示すように、家屋の出入口の施錠部や施錠した窓等に設置する侵入者検出用のセンサ48を、上記制御装置15に接続された外部センサ接続部47に外部接続して、上記侵入者検出用センサ48の出力が上記制御装置15に入力されると、その入力に基いて、外部へ警報や通報を発信するようにした構成としてもよい。
【0054】
屋内照明具及び緊急時点灯用外部灯としては、消費電力を低減するという観点から考えると、LED照明具2と外部LED灯7を用いることが望ましいが、LED以外の光源を使用した形式の屋内照明具及び緊急時点灯用外部灯を用いるようにしてもよい。
【0055】
リモコン3は、電波の届く範囲が家屋内に限定できる程度の出力としてあれば、電波式のリモコン3としてもよい。
【0056】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1 装置本体
2 LED照明具(屋内照明具)
3 リモコン
4a,4b,4c 緊急時操作ボタン
5 受信機
7 外部LED灯(緊急時点灯用外部灯)
8 外部スピーカ
9 外部通報手段
10 通信回線
15 制御装置
17 バッテリー
22 緊急処理取消用操作ボタン
29 情報格納メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋内に設置する屋内照明具に、装置本体を一体に設け、該装置本体に、上記屋内照明具と、家屋外に設置して該装置本体に外部接続する緊急時点灯用外部灯と、家屋外に設置して該装置本体に外部接続する外部スピーカと、通信回線を介して外部へ通報を発信するための外部通報手段と、緊急時操作ボタンを備えたリモコンの信号を受信するための受信機に接続された制御装置を備えて、該制御装置は、上記リモコンの緊急時操作ボタンの操作信号が上記受信機を介して入力されると、該入力される信号を基に、上記緊急時点灯用外部灯及び上記屋内照明具の予め設定した点灯方式での点灯を行う機能と、上記外部スピーカによる音声出力を行う機能と、上記外部通報手段による通信回線を介した予め設定してある所定の通報対象への外部通報を行う機能を備えてなるものとした構成を有することを特徴とする住宅用緊急通報装置。
【請求項2】
装置本体に、外部電力が供給されるときに充電されるバッテリーを備えて、停電時に該バッテリーより制御装置、屋内照明具、緊急時点灯用外部灯及び外部スピーカに電力供給を行うことができるようにした請求項1記載の住宅用緊急通報装置。
【請求項3】
リモコンに、緊急時操作ボタンの操作に伴う装置本体側での処理を停止させるための緊急処理取消用操作ボタンを備えるようにした請求項1又は2記載の住宅用緊急通報装置。
【請求項4】
装置本体に、制御装置に接続された情報格納メモリを備えて、リモコンの緊急時操作ボタンの操作に伴って、緊急時点灯用外部灯及び屋内照明具を点灯させるときの点灯方式と、外部スピーカにより音声出力させる出力内容と、外部通報手段による通信回線を介して通報対象の設定及び該通報対象へ通報する内容を設定して記憶させることができるようにした請求項1、2又は3記載の住宅用緊急通報装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−59231(P2012−59231A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204890(P2010−204890)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(510246367)樫木総業株式会社 (1)
【出願人】(510247205)株式会社システムクリエイト (1)
【Fターム(参考)】