説明

体動検出装置

【課題】所定間隔で検出される複数の体動を連続と判断し、前記体動の連続した検出に基づいて体動を計数し、体動を計数するごとに体動数を切り替えて表示する体動検出装置においてより的確な体動(歩数)表示をおこなうこと。
【解決手段】体動の連続検出中に、姿勢変化検出部44によって姿勢の変化が検出された場合に、当該姿勢の変化が検出されてから所定時間が経過するまで体動数の切り替え表示を停止し、姿勢の変化が検出された後、前記所定時間の間に検出された体動数を計数し、当該所定時間の経過後に、計数された体動数を表示が停止されていた体動数に加算して表示するので、姿勢変化後の歩行以外の振動に対応した歩数表示のカウントアップを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体動検出装置の一つに歩数計がある。歩数計は、加速度センサにより歩行者の上下方向の加速度を検出し、その検出値の変化に基づいて歩数(体動)を計数する。このような歩数計の場合、歩数計を操作する際の振動や、歩数計を着脱する際の振動などによって発生する加速度の変化を、歩行による加速度の変化であると誤って判断してしまい、表示装置には、カウントした歩数値に誤差が生じるおそれがある。これを回避するため、所定の判定期間、連続して歩行とみなされる加速度の変化を検出したときや、所定の判定回数、連続して歩行とみなされる加速度の変化を検出したときに、歩行であると判断するようにした歩数計が公知である。
【0003】
たとえば、歩行センサからの信号が所定数連続しない場合には歩行停止と判定し、歩行停止と判定した直後の所定時間内は第1の基準値を用いて歩行開始の有無を判定し、所定時間経過後は、第2の基準値を用いて歩行の有無を判定するようにした歩数計が公知である(たとえば、特許文献1参照。)。また、歩行信号のうちの第1の基準周期範囲内と判断された各信号を1歩分として計数するとともに、第1の基準周期範囲外の信号のうち、第2の基準周期範囲内の信号が所定数継続したと判断された場合に、その所定数の信号を所定数の歩数として計数するようにした歩数計が公知である(たとえば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−283340号公報
【特許文献2】特開2005−309692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の歩数計では、歩数計をズボンのポケットに携行した場合、座位から立位へあるいはその反対の動作をした場合、あるいはポケットの中から歩数計を取り出して歩数計の表示を確認したり表示切替の操作をしたりした場合に、歩数計の姿勢が変化や表示切替操作による振動を検出するが、その姿勢変化や表示切替操作による振動を誤って歩数として計数してしまうことになる。
【0006】
特に、被験者が歩行を継続して立ち止まって歩数計をポケット等から取り出し、歩数表示を確認する動作をおこなった場合、あるいは、被験者が歩行を継続させながら、歩数計をポケット等から取り出し、歩数表示を確認する動作や切替える操作をおこなった場合に、歩数確認中の手に持っている揺れによる振動や操作による振動が、歩行による振動に連続することによりこれらの振動を歩数として計数してしまい歩数の計測精度が悪くなるという問題点があった。このように、従来は、姿勢が変わっても操作に基づくノイズに連続性があれば、歩数としてカウントされていた。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、より精度の高い歩数計測をおこなうことができる体動検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる体動検出装置は、体動の連続を判定する連続歩行判定期間を有し、連続と判定された体動を歩数として計数する体動検出装置において、前記体動検出装置の姿勢変化に基づいて、前記連続歩行判定期間を開始することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明にかかる体動検出装置は、請求項1に記載の発明において、前記姿勢変化に基づき歩数カウント表示を停止するとともに、前記連続歩行判定期間の体動を計数し、前記連続歩行判定により連続した歩行であると判断された場合は、前記連続歩行判定期間に計数した体動を前記停止したカウント表示に加えてカウント表示を更新することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明にかかる体動検出装置は、請求項2に記載の発明において、前記連続歩行判定期間に姿勢変化を検出した場合に前記連続歩行判定期間中に計数した体動の計数をクリアすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明にかかる体動検出装置は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、前記体動検出装置は加速度センサを有し、前記姿勢変化は、前記加速度センサにより検出される加速度値から求められる重力加速度の変化により検出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明にかかる体動検出装置は、請求項4に記載の発明において、前記重力加速度の変化は、前回の姿勢変化を検出したときの重力加速度を基準として重力加速度が所定値以上変化した場合に姿勢変化を検出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明にかかる体動検出装置は、請求項4または5に記載の発明において、前記加速度センサは、直交する3軸方向の加速度を検出し、前記直交する3軸のうち少なくともいずれか1軸方向の重力加速度の変化により姿勢変化を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる体動検出装置によれば、姿勢変化を考慮し、姿勢変化があった場合に、歩行以外の振動が連続した場合でも連続判定を行なうことにより、精度よく歩数の計数をおこなうことが可能な体動検出装置が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる体動検出装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(体動検出装置のハードウェア構成)
図1は、この発明にかかる体動検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、体動検出装置11は、互いに異なる三方向(X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向とする)の加速度を検出可能な3軸加速度センサを備えている。ここでは、3軸加速度センサを、X軸方向の加速度を検出するX軸加速度センサ12、Y軸方向の加速度を検出するY軸加速度センサ13、およびZ軸方向の加速度を検出するZ軸加速度センサ14として示す。加速度センサとしては、周知のものを用いることができる。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、体動検出装置11に固有の方向であり、体動検出装置11の姿勢(向きや傾き)の変化に伴って変わる。
【0017】
また、体動検出装置11は、3軸加速度センサの出力信号に基づいて、体動検出装置11を携帯する被験者の体動であるか否かを判断し、体動をカウントする処理装置15を備えている。処理装置15の詳細な構成については、後述する。また、体動検出装置11は、処理装置15でカウントされた体動を表示する表示装置16を備えている。表示装置16は、たとえば、液晶パネルと液晶駆動回路を備えている。
【0018】
(処理装置の機能的構成)
図2は、この発明にかかる体動検出装置の処理装置の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、処理装置15は、X軸アナログ/デジタル変換部21、Y軸アナログ/デジタル変換部22、Z軸アナログ/デジタル変換部23、加速度取得部24、上弦ピーク値検出部25、下弦ピーク値検出部26、ピーク差検出部27、閾値判定部28
、フラグ制御部29、表示計数部30、切り替え部41、内部計数部42、計数更新部43および姿勢変化検出部44を備えている。これらの機能部については、ハードウェアにより実現されてもよいし、CPU等でプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0019】
X軸アナログ/デジタル変換部21、Y軸アナログ/デジタル変換部22およびZ軸アナログ/デジタル変換部23は、それぞれ、入力端子31,32,33を介してX軸加速度センサ12、Y軸加速度センサ13およびZ軸加速度センサ14に接続されており、それらのセンサから出力されるアナログ電圧信号を所定の周期でサンプリングしてデジタルデータに変換する。X軸アナログ/デジタル変換部21、Y軸アナログ/デジタル変換部22およびZ軸アナログ/デジタル変換部23は、同一のタイミングでそれぞれのセンサ出力信号をサンプリングするのが望ましい。
【0020】
加速度取得部24は、各軸のアナログ/デジタル変換部21,22,23の出力値に基づいて、重力加速度の影響を除いた加速度の大きさを取得する。加速度の大きさは、図3に示すように、増減を繰り返す。図3は、加速度取得部により取得される加速度の変化を示す波形図である。なお、図3には、X軸方向の加速度、Y軸方向の加速度およびZ軸方向の加速度を合成した加速度データが波形として示されているが、実際には、この加速度データは、連続したデータではなく、所定周期でサンプリングされた離散的なデータである。
【0021】
上弦ピーク値検出部25は、加速度取得部24により取得された加速度の大きさが増加傾向から減少傾向に切り替わるときのピーク値(上弦ピーク値とする)を検出する。図3に示す加速度の波形では、符号62、64、66、68、70、72および74で示すピークが上弦ピーク値である。上弦ピーク値を検出するために、上弦ピーク値検出部25は、たとえば、次のような処理をおこなう。
【0022】
上弦ピーク値検出部25は、加速度取得部24から出力された加速度の値をバッファに格納し、そのバッファの格納値と、その次に加速度取得部24から出力された加速度の値を比較し、大きい方の値でバッファの格納値を更新する。そして、上弦ピーク値検出部25は、加速度取得部24から出力された加速度の値がバッファの格納値よりも小さくなったら、そのときのバッファの格納値を上弦ピーク値とする。
【0023】
下弦ピーク値検出部26は、加速度取得部24により取得された加速度の大きさが減少傾向から増加傾向に切り替わるときのピーク値(下弦ピーク値とする)を検出する。図3に示す加速度の波形では、符号61、63、65、67、69、71および73で示すピークが下弦ピーク値である。下弦ピーク値を検出するために、下弦ピーク値検出部26は、たとえば、次のような処理をおこなう。
【0024】
下弦ピーク値検出部26は、加速度取得部24から出力された加速度の値をバッファに格納し、そのバッファの格納値と、その次に加速度取得部24から出力された加速度の値を比較し、小さい方の値でバッファの格納値を更新する。そして、下弦ピーク値検出部26は、加速度取得部24から出力された加速度の値がバッファの格納値よりも大きくなったら、そのときのバッファの格納値を下弦ピーク値とする。
【0025】
ピーク差検出部27は、下弦ピーク値検出部26により検出された下弦ピーク値および上弦ピーク値検出部25により検出された上弦ピーク値の差分を算出する。その際、ピーク差検出部27は、下弦ピーク値とその直後の上弦ピーク値との差分を算出してもよいし、上弦ピーク値とその直後の下弦ピーク値との差分を算出してもよい。図3には、下弦ピーク値とその直後の上弦ピーク値との差分を算出する例が示されている。閾値判定部28は、ピーク差検出部27により算出された、下弦ピーク値と上弦ピーク値の差分を、予め設定されている閾値と比較し、その結果に基づいて体動を検出したか否かを判定する。たとえば、閾値判定部28は、下弦ピーク値と上弦ピーク値の差分が閾値よりも大きいときに、体動を検出したと判定する。
【0026】
フラグ制御部29は、閾値判定部28により体動を検出したと判定された場合に、たとえば、加速度取得部24から出力された加速度データの値が初めてゼロになった時点で、体動検出フラグをオンにする。これは、上弦ピーク値および下弦ピーク値の近傍はノイズ等の影響を受けやすいので、そこを避けて体動検出フラグをオンにするためである。図3において、三角印は、体動検出フラグがオンになるタイミングを示し、その下の数字(1、2、3、4、5)は体動としてカウントされる数を示す。
【0027】
具体的には、図3に示す例において、第1の下弦ピーク61と第1の上弦ピーク62の差分、第3の下弦ピーク65と第3の上弦ピーク66の差分、第4の下弦ピーク67と第4の上弦ピーク68の差分、第6の下弦ピーク71と第6の上弦ピーク72の差分および第7の下弦ピーク73と第7の上弦ピーク74の差分が閾値よりも大きい。
【0028】
したがって、第1の上弦ピーク62、第3の上弦ピーク66、第4の上弦ピーク68、第6の上弦ピーク72および第7の上弦ピーク74の後で加速度データの値が初めてゼロになった時点で、体動検出フラグがオンになる。一方、第2の下弦ピーク63と第2の上弦ピーク64の差分および第5の下弦ピーク69と第5の上弦ピーク70の差分は閾値よりも小さいので、体動検出フラグはオフのままである。また、フラグ制御部29は、体動検出フラグをオンにした後、所定時間経過した時点で体動検出フラグをオフに切り替える。
【0029】
表示計数部30は、カウンタにより構成されており、切り替え部41から、体動検出フラグがオンになったことを示す信号(オン信号とする)が入力するたびに、カウント値をインクリメントする。表示計数部30のカウント値(表示カウント値とする)のデータは、出力端子34を介して前記表示装置16へ送られる。
【0030】
内部計数部42は、カウンタにより構成されており、切り替え部41からオン信号が入力するたびに、カウント値をインクリメントする。内部計数部42は、姿勢変化検出部44からの計数更新指示により、カウント値のデータを計数更新部43へ送る。内部計数部42は、体動計数処理が開始された直後、または姿勢変化検出部44からの内部計数リセット指示により、初期値にリセットされる。
【0031】
切り替え部41は、姿勢変化検出部44からの切り替え指示により、体動検出フラグがオンになった回数を表示計数部30でカウントするか否かを切り替える。切り替え部41は、体動検出装置11の体動計数処理が開始された直後、すなわち初期状態では、表示計数部30でカウントをおこなわない側になる。
【0032】
切り替え部41が、表示計数部30でカウントをおこなわない側にある間、表示計数部30は停止状態となる。したがって、以下の説明では、切り替え部41が、表示計数部30でカウントをおこなわない側にある(切り替わる)ことを、表示計数停止側にある(切り替わる)と表現し、表示計数停止側にある状態を、表示計数停止状態と表現する。
【0033】
計数更新部43は、表示カウント値のデータに、内部計数部42から送られてきたカウント値のデータを加算する。これによって、切り替え部41が、表示計数停止側にある間に内部計数部42でカウントされていたが、表示計数部30ではカウントされていなかった分の体動の検出回数が、表示カウント値に反映される。
【0034】
(姿勢変化の判定)
図4および図5は、姿勢変化検出部における姿勢変化の判定の内容を示す説明図である。姿勢変化は、各加速度センサ(X軸加速度センサ12、Y軸加速度センサ13、Z軸加速度センサ14)の出力を平均化した、いわゆる「みなし重力加速度」によって判定する。
【0035】
具体的には、まず、加速度センサデータを16Hzで取得し、取得された加速度センサデータを1秒おきに16個に平均化し、これをみなし重力加速度とする。そして、前回のみなし重力加速度値との差異が、閾値以上だった場合に姿勢変化があったとみなすことができる。
【0036】
前回のみなし重力加速度とは、前回姿勢変化があったと判断された時のみなし重力加速度を基準とする。そして、みなし重力加速度は、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれについて閾値判定をおこない、いずれか一つでも閾値以上の変化があった場合は、姿勢変化があったとする。
【0037】
図4において、判定タイミング「2(秒)」における各加速度センサにおけるみなし重力加速度値を基準として、X軸加速度センサ12およびZ軸加速度センサ14において判定閾値以上の変化があったことがわかる。三角印で示すように、閾値以上の変化が生じた判定タイミング「3(秒)」において姿勢変化があったと判定する。そして、判定タイミング「3(秒)」におけるみなし重力加速度値を基準として、つぎの姿勢変化を判定する。
【0038】
図4において、判定タイミング「7(秒)」においても、変化が生じているが、X軸、Y軸、Z軸のいずれも、閾値以上の変化ではない。そのため、判定タイミング「7(秒)」では姿勢変化があったとは判定していない(三角印が表示されていない)。
【0039】
また、図5に示すように、判定タイミング「3(秒)」および「5(秒)」において、変化があった場合であっても、X軸において前回姿勢変化があった時のみなし重力加速度値である、判定タイミング「2(秒)」の値から閾値以上の変化が生じた判定タイミング「5(秒)」において姿勢変化があったと判定する。このように、つぎの姿勢変化の判定のためのみなし重力加速度値の基準は、前回の判定タイミングにおけるみなし重力加速度値ではなく、前回姿勢変化があった時のみなし重力加速度とするとよい。
【0040】
(姿勢変化検出部の処理手順)
図6および図7は、この発明にかかる体動検出装置の体動計数処理手順を示すフローチャートである。姿勢変化検出部44では、姿勢変化があった場合に、連続歩行判定期間のみをクリア(リセット)する場合(パターンA)と、姿勢変化があった場合に、連続歩行判定期間と、内部カウント値の両方をクリア(リセット)する場合(パターンB)の2つのパターンの処理をおこなうことができる。
【0041】
図6のフローチャート(パターンA)において、姿勢変化があったか否かを判断する(ステップS1)。ここで、姿勢変化があった場合は、切り替え部41に対して、内部計数部42への切り替えをおこなうように切り替え指示信号を出力する(ステップS2)。ここで、すでに内部計数部42へ切り替えられた状態になっている場合は、そのまま内部計数部42へ切り替えられた状態を維持すればよい。
【0042】
そして、連続歩行判定期間をクリア(リセット)し(ステップS3)、ステップS4へ移行する。これによって、表示計数部30のカウント値はカウントアップ(インクリメント)されなくなる。ステップS1において、姿勢変化がない場合(ステップS1:No)は、何もせずに、ステップS4へ移行する。
【0043】
そして、連続歩行判定期間をカウントアップし(ステップS4)、つぎに、一歩(体動)を検出したか否かを判断する(ステップS5)。ここで、一歩の検出が無かった場合(ステップS5:No)は、1秒以上検出が無かったか否かを判断する(ステップS6)。ここで、1秒以上検出が無かった場合(ステップS6:検出無し1秒以上)は、歩行が停止した(立ち止まった)と判断し、内部計数部42に対して内部計数リセット指示信号を出力することで、内部カウント値をクリア(リセット)する(ステップS7)とともに、連続歩行判定期間をクリア(リセット)して(ステップS8)、その後、ステップS1へ戻る。ステップS6において、1秒経過していない場合(S6:検出無し1秒未満)は、何もせずに、ステップS1へ戻る。
【0044】
ステップS5において、一歩(体動)の検出があった場合(ステップS5:Yes)は、歩行が継続中であると判断し、内部計数部42の内部カウント値をカウントアップ(インクリメント)する(ステップS9)。つぎに、連続歩行判定期間が所定時間として設定した6秒が経過したか否かを判断する(ステップS10)。ここで、連続歩行判定期間が6秒未満である場合(ステップS10:No)は、ステップS1へ戻る。
【0045】
そして、ステップS10において、6秒が経過した場合(ステップS10:Yes)は、内部計数部42に対して、計数更新指示信号を出力することで、計数更新部43に内部カウント値を表示カウント値に加算させるようにする(ステップS11)。それとともに、内部計数部42に対して、内部計数リセット指示信号を出力することで、内部計数部42の内部カウント値をクリア(リセット)する(ステップS12)。さらに、切り替え部41に対して、表示計数部30への切り替えをおこなう切り替え指示信号を出力する(ステップS13)。その後、ステップS1へ戻る。
【0046】
図7のフローチャート(パターンB)において、姿勢変化があったか否かを判断する(ステップS20)。ここで、姿勢変化があった場合は、切り替え部41に対して、内部計数部42への切り替えをおこなうように切り替え指示信号を出力する(ステップS21)。そして、内部計数部30の内部カウンタのカウンタ値をクリア(リセット)する(ステップS22)とともに、連続歩行判定期間をクリア(リセット)し(ステップS23)、ステップS24へ移行する。これによって、表示計数部30のカウント値はカウントアップ(インクリメント)されなくなる。
【0047】
ステップS20において、姿勢変化がない場合(ステップS20:No)は、何もせずに、ステップS24へ移行する。ステップS24〜S33については、図5に示したフローチャートのステップS4〜S13と同様の内容であるので、その説明については省略する。
【0048】
(具体例)
つぎに、本実施の形態にかかる体動検出装置の使用の具体例について説明する。具体例1は、継続した歩行から立ち止まり、歩数を確認するために歩数計を取り出した場合を示すものである。図8−1〜図8−3は、具体例1における表示値と内部カウント(値)の内容を示す説明図であり、図8−1は、従来の歩数計を示しており、図8−2は、パターンAを示しており、図8−3は、パターンBを示している。なお、図8−1〜図8−3においては、歩数計の取り出しに際して姿勢変化が2回(三角印)発生した場合の例を示している。
【0049】
従来の歩数計であれば、歩数計を取り出す際の振動、取り出して歩数確認中に手に持っている揺れによる振動、スイッチ操作による振動を歩数としてカウントしてしまうという問題があった。すなわち、図8−1において、表示値が「62(歩)」までは歩行による振動であるが、表示値が「63(歩)」は、歩数計の取り出しの際の振動であり、それ以降も、立ち止まっているため歩行はおこなわれず、歩行による振動ではないにもかかわらず、振動がカウントされるとともに表示値がカウントアップ(インクリメント)されてしまうことになり歩数の計数精度が悪くなる。また、この表示値のカウントアップは、被験者が表示を確認している最中の誤カウントであり、誤動作しているのではと被験者に認識させてしまう。
【0050】
そこで、図8−2に示すように、姿勢変化(三角印)があった場合に、つぎの体動については、表示値をカウントアップせずに、内部カウンタのカウンタ値をアップするので、被験者が表示内容を確認している間は、表示値は「63(歩)」のまま停止している。このように、立ち止まって歩数計を取り出した際の姿勢変化により連続判定を開始するとともに表示値のカウントアップが一時的に抑制され、被験者が表示を確認している最中の誤カウントを防止することができる。連続判定をしている間も内部カウンタのカウント値のカウントアップは継続しているが、そのまま6秒以上信号が連続しなければ、歩行でないと判断され内部カウンタがクリアされるため、姿勢変化により連続判定を開始した後の振動は歩行としてカウントされず歩数計を取り出す操作による振動も表示値に反映されることはない。
【0051】
図8−3に示すように、姿勢変化があるごとに、内部カウンタのカウント値をクリア(リセット)するように構成すれば、立ち止まって歩数計を取り出した際の姿勢変化により連続判定を開始するとともに表示値のカウントアップが一時的に抑制され、被験者が表示を確認している最中の誤カウントを防止でき、さらに、姿勢が変化するごとに内部カウンタのカウント値がクリアされるため、そのまま6秒以上振動が連続した場合でも歩行以外の信号によるカウントを抑制することが可能となる。
【0052】
具体例2は、継続した歩行中に歩数計を取り出して歩数を確認し、歩数計をしまう場合を示すものである。図9−1、図9−2は、具体例2における表示値と内部カウント(値)の内容を示す説明図であり、図9−1は、従来の歩数計を示しており、図9−2は、本具体例2の歩数計を示している。なお、図9−1、図9−2においては、歩数計の取り出しに際して姿勢変化が2回(第1回目を示す三角印:歩数計を取り出す、第2回目を示す三角印:歩数計をしまう。)発生した場合の例を示している。
【0053】
従来の歩数計であれば、具体例1と同様に、歩数計を取り出す際の振動、取り出して歩数確認中に手に持っている揺れによる振動、スイッチ操作による振動を歩数としてカウントしてしまうという問題があった。すなわち、図9−1において、表示値が「62(歩)」までは歩行による振動であるが、表示値が「63(歩)」は、歩数計の取り出しの際の振動であり、それ以降も、歩行による振動の他に歩行でない振動まで、歩行としてカウントされるとともに表示値がカウントアップ(インクリメント)されてしまうことになり歩数の計数精度が悪くなる。この表示値のカウントアップは、被験者が表示を確認している最中の誤カウントであり、誤動作しているのではと被験者に認識させてしまう。
【0054】
そこで、図9−2に示すように、姿勢変化があるごとに、内部カウンタのカウント値をクリア(リセット)するように構成すれば、歩行継続中に歩数計を取り出した際の姿勢変化により表示値のカウントアップが一時的に抑制され、被験者が表示を確認している最中の誤カウントを防止でき、見た目によいだけでなく、さらに、内部カウンタのカウント値がクリアされるため、そのまま6秒以上振動が連続した場合に歩行以外の信号によるカウントを抑制することが可能となる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によれば、体動の連続検出中に、姿勢変化検出部44によって姿勢の変化が検出された場合に、当該姿勢の変化が検出されてから振動が連続歩行か判定するので、具体例1に示した、継続した歩行から立ち止まり、歩数を確認するために歩数計を取り出した場合に、姿勢変化後の歩行でない振動を歩数としてカウントせずに、歩数計数の精度を良くすることができる。また、歩行でない振動に対応した歩数表示のカウントアップを防止することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、さらに、前記姿勢の変化が検出された後、前記連続歩行判定の間に検出された体動数を計数し、当該連続歩行判定により連続歩行と判定された後に、連続歩行判定中に計数された体動数を表示が停止されていた歩数に加算して表示するので、継続した歩行中に歩数計を取り出して歩数を確認し、歩数計をしまう場合に、姿勢変化後に検出される振動が歩行でないと判定した振動はカウントに加えず、歩行と判定した振動を歩数としてカウントするので、歩数計数の精度を良くすることができる。また、歩行以外の振動に対応した歩数表示のカウントアップを防止することができる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、前記姿勢の変化が検出された後、前記連続歩行判定の間に、姿勢変化検出部44によって、姿勢の変化が検出されると、前記連続歩行判定の間に検出された振動の計数をクリアし、新たな連続歩行判定を行うので、具体例2に示した、継続した歩行中に歩数計を取り出して歩数を確認し、歩数計をしまう場合に、歩数計を取り出してからしまうまでの間の振動を計数しないので、歩数計数の精度を良くすることができる。
【0058】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。たとえば、内部計数部42と表示計数部30を別々に設けずに、一つのカウンタで兼用にしてもよい。この場合、表示計数停止状態になるときにそれまでのカウンタのカウント値をメモリに退避しておき、判定期間中にカウンタを内部計数部として用い、判定期間の終了時に、メモリに退避してあるカウント値をカウンタのカウント値で更新するようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる体動検出装置は、被験者に携帯されて被験者の体動を検出するのに有用であり、特に、歩数計に適している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明にかかる体動検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】この発明にかかる体動検出装置の処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】加速度の変化を示す波形図である。
【図4】この発明にかかる体動検出装置の姿勢変化検出部における姿勢変化の判定の内容を示す説明図(その1)である。
【図5】この発明にかかる体動検出装置の姿勢変化検出部における姿勢変化の判定の内容を示す説明図(その2)である。
【図6】この発明にかかる体動検出装置の体動計数処理手順を示すフローチャートである(パターンA)。
【図7】この発明にかかる体動検出装置の体動計数処理手順を示すフローチャートである(パターンB)。
【図8−1】具体例1における表示値と内部カウント(値)の内容を示す説明図(従来の歩数計)である。
【図8−2】具体例1における表示値と内部カウント(値)の内容を示す説明図(パターンA)である。
【図8−3】具体例1における表示値と内部カウント(値)の内容を示す説明図(パターンB)である。
【図9−1】具体例2における表示値と内部カウント(値)の内容を示す説明図(従来の歩数計)である。
【図9−2】具体例2における表示値と内部カウント(値)の内容を示す説明図(具体例2の歩数計)である。
【符号の説明】
【0061】
11 体動検出装置
12 X軸加速度センサ
13 Y軸加速度センサ
14 Z軸加速度センサ
30 表示計数部
42 内部計数部
43 計数更新部
44 姿勢変化検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体動の連続を判定する連続歩行判定期間を有し、連続と判定された体動を歩数として計数する体動検出装置において、
前記体動検出装置の姿勢変化に基づいて、前記連続歩行判定期間を開始することを特徴とする体動検出装置。
【請求項2】
前記姿勢変化に基づき歩数カウント表示を停止するとともに、前記連続歩行判定期間の体動を計数し、前記連続歩行判定により連続した歩行であると判断された場合は、前記連続歩行判定期間に計数した体動を前記停止したカウント表示に加えてカウント表示を更新することを特徴とする請求項1に記載の体動検出装置。
【請求項3】
前記連続歩行判定期間に姿勢変化を検出した場合に前記連続歩行判定期間中に計数した体動の計数をクリアすることを特徴とする請求項2に記載の体動検出装置。
【請求項4】
前記体動検出装置は加速度センサを有し、前記姿勢変化は、前記加速度センサにより検出される加速度値から求められる重力加速度の変化により検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の体動検出装置。
【請求項5】
前記重力加速度の変化は、前回の姿勢変化を検出したときの重力加速度を基準として重力加速度が所定値以上変化した場合に姿勢変化を検出することを特徴とする請求項4に記載の体動検出装置。
【請求項6】
前記加速度センサは、直交する3軸方向の加速度を検出し、前記直交する3軸のうち少なくともいずれか1軸方向の重力加速度の変化により姿勢変化を検出することを特徴とする請求項4または5に記載の体動検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8−1】
image rotate

【図8−2】
image rotate

【図8−3】
image rotate

【図9−1】
image rotate

【図9−2】
image rotate


【公開番号】特開2009−187068(P2009−187068A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23266(P2008−23266)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】