説明

体幹部内臓・皮下脂肪測定方法および装置

【課題】 導電性の悪い内臓器組織および内臓脂肪組織の領域においても測定に必要な感度を確保した内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織層の測定。
【解決手段】 電流印加電極対から体幹部に電流を印加し、体幹部に生じた電位差を電圧計測電極対により測定し、体幹部のインピーダンスを測定することにより、体幹部の内臓脂肪組織情報、及び/又は、皮下脂肪組織層情報を求める方法であって、電流印加電極対の一方の電流印加電極は体幹部に配置し、他方の電流印加電極は体幹部から突出する部位に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体幹部内臓・皮下脂肪測定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体電気インピーダンスを利用した体脂肪組織の推定技術は、体脂肪組織および体脂肪率を計測する技術として世に広がってきたが、実際には、脂肪組織を直接的に測定するものとはなっておらず、脂肪組織以外の水が支配的な除脂肪組織を電気的に計測したものである。特に、全身(Whole Body)計測では、旧来のタイプでは仰臥位姿勢で片手-片足間を1つの円柱でモデル化している(片手-片足間誘導法)し、簡易型としては、立位姿勢で測定する両掌間誘導法や、体重計と一体になった両脚裏間誘導法、上肢と下肢または、上肢と下肢と体幹部、または、左右上肢、左右下肢、体幹部の様に5セグメントに分けて個別に円柱モデルを適用可能としてインピ−ダンスを計測した技術も顕在化してきている。また、インピ−ダンスCT計測技術を簡略して体幹部臍囲に電流印加・電圧計測電極を配置して腹部のインピ−ダンスを計測し、内臓脂肪組織量を推定する計測技術について、特許出願がなされている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3396677号
【特許文献2】特許第3396674号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、体脂肪組織の情報は、糖尿病や高血圧および高脂血症などの生活習慣病のスクリ−ニング用としての有用性が特に問われており、内臓器組織近辺に付着、蓄積した内臓脂肪組織や皮下脂肪組織に関して、その計測の重要性が日に日に高まってきている。
【0005】
特に、内臓脂肪組織は、体幹部の腹部付近に集中的に分布する体脂肪組織で、X線CТやMRI等による腹部横断画像でその体脂肪組織の横断面積で判断されてきていた。しかし、装置が大掛かりで、また、X線の場合被曝の問題もあり、費用面もあり、フィールドおよび家庭用での計測に適さない。そこで、内臓脂肪組織は、全身脂肪組織との相関または、全身の除脂肪組織との相関から推定するのが一般的で、スクリーニング用としても、十分な信頼性を確保するにいたらなかった。
【0006】
最近では、体幹部の臍囲周辺に電極を配置し、体幹部の内部インピ−ダンスを計測して、内臓脂肪組織情報を推定するといった方法も開発中である。しかしながら、この方法は、骨格筋組織層と皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織の間に有意な相関が存在することに基づくものであり、いずれかの組織の情報が捕捉出来ればおおよその情報の推定が可能であることを前提とするものである。このため、非常に有意な相関が存在し得る自立性の高い健康域の被験者については良好な結果が期待できるが、各組織間の相関が異なる対象者、例えば、内臓脂肪組織が顕著に肥大し、かつ、皮下脂肪組織層や骨格筋組織層との相関性が顕著に低い被験者における計測結果については大きな誤差を含んだものとなり得る。つまり、この開発中の方法にあっても、健康な自立生活が可能な被験者であれば、臍部全周囲のどこに電極を配置しても何とか計測の可能性は考えられるが、麻痺・介護患者等、特にベッド上の寝たきり患者での計測となると課題が大きい。
【0007】
また、この開発中の方法は、測定対象としている組織部位を腹部表面から電流を印加通電させて、内部の組織に関連するインピ−ダンス値を取得している点で高い技術と言えるが、測定部位である体幹部が有する内部構造上の問題から、測定されたインピ−ダンス情報そのものが内臓脂肪組織に対してほとんど有用な感度を有していないのが実情である。即ち、測定部位である体幹部は太短く、多層構造、つまり、測定対象である内臓脂肪組織は内臓器組織や背骨組織とともに非常に良好な導電性を示す骨格筋組織層で覆われ、更に、この骨格筋組織層は電気導電性が非常に悪い皮下脂肪組織層で覆われているといった構造になっている。特に、測定対象である内臓脂肪組織周辺は、骨格筋組織層より導電性が劣る内臓器組織とこの内臓器組織に付着・蓄積した導電性が悪い内臓脂肪組織が混在した複雑な構成のため、骨格筋組織層より内部の導電性はかなり劣るものと推測される。このため、単純に電流印加電極を腹周囲に配置したとしても、大半は、骨格筋組織層を通じた通電になり、電流密度分布も、骨格筋組織層に支配的な電位分布として表面計測電極から観測されることになる。さらに、電流印加電極の表面積または腹周囲方向への電極幅で印加電流密度の分布が決まり、電極直下の皮下脂肪組織層における電流密度が高い拡がり抵抗領域での情報の観測が支配的となってしまう。
【0008】
更に言えば、測定部位である体幹部は太短いため、電流印加電極直下の電流密度集中(広がり抵抗)領域の皮下脂肪組織層における感度が高くなり、さらに、骨格筋組織は脂肪組織に比べて導電性が相当高いことから、皮下脂肪組織層を通過した電流の大半が骨格筋組織層を介して対向する電流印加電極側に皮下脂肪組織層を通って戻るル−トを取り、結果的に、内部での電位分布はこの骨格筋組織層で大幅に歪められてしまう。よって、従来の方法では、測定される電位の大半は、皮下脂肪組織層の情報となってしまい、測定対象である内臓脂肪組織、即ち、内臓器組織およびその周囲に付着・蓄積する内臓脂肪組織への通電はほとんど期待できず、全インピ−ダンス計測区間の10%以下の極めて計測感度の低い情報しか捕捉出来ていないのである。
【0009】
これらの問題を回避するために、皮下脂肪組織層面積と相関性が高い腹囲長を推定式に組み込むことで、その推定誤差の拡大を防止する方法も考えられてはいるが、この方法はあくまで構成組織間の相関性による間接推定にほかならず、腹部中央に必要な通電感度を確保した計測法とは言いづらい。つまり、統計的相関デザインからずれる個々人の誤差は、保証出来ず、特に病的に皮下や内臓脂肪組織が多い場合や、中間の骨格筋組織層が多い/少ない場合などは顕著な誤差が生じ得る。尚、皮下脂肪組織層面積が腹囲長と相関性が高いのは、人間の体幹部は同心円状の組織配列デザインとなっており、皮下脂肪組織層は、最も外側の配置であるため、外周囲長と皮下脂肪組織厚でその面積が決まることになるからである。
【0010】
体幹部に対しての電極配置にも通常は、四電極法が用いられる。この方法は、被験者の体内に電流を印加するとともに、印加電流によって被験者の測定部位区間に生じた電位差を測定して測定部位区間の生体電気インピーダンスを測定するというものである。体幹部のような太短い測定部位に四電極法を適用した場合、電流が広がり始めの電流密度集中(即ち、広がり抵抗領域)が、例えば、電流印加電極直下のため、皮下脂肪組織層付近で大きな電位差を生じ、電圧計測電極間で計測される電位差の大半を占めることになる。この広がり抵抗による影響を小さくするためには、電流印加電極と電圧計測電極間距離を十分確保する配置とすることが重要である。一般的な測定では、測定区間が長く電圧計測電極間距離が十分確保できる条件での測定であるため、いわゆるS/N感度(Nは広がり抵抗による影響(ノイズ)、Sは電圧計測電極間で計測される信号)は十分確保されるはずである。しかしながら、体幹部のような太短い測定部位の場合は、Nを小さくすべく、電流印加電極からの距離を確保しようとして電圧計測電極を遠ざけると、逆に、電圧計測電極区間距離が小さくなり、この結果、Sが小さくなって、結局、S/Nは悪くなってしまう。さらに、電流密度が高い広がり抵抗部は、皮下脂肪組織層部であり、厚みがある肥満傾向の被験者が一般的であるため、かなり大きなNとなってしまい、二重にS/Nが悪くなってしまう。このように、体幹部のような太短い測定部位に対して四電極法を用いる場合には、単に臍囲周上に電極を配置しただけでは、内臓脂肪組織への有用なS/N感度を確保することにかなり無理があると推測される。尚、S/Nに関しては、後述する実施例についての説明において更に詳述する。
【0011】
本発明の目的は、これら従来技術における問題点を解消することにあり、導電性の悪い内臓器組織および内臓脂肪組織の領域においても測定に必要な感度を確保し、体幹部に蓄積される脂肪組織、特に、内臓器組織周辺に付着・蓄積する脂肪組織および皮下層に蓄積する皮下脂肪組織層情報を、切換えのみによって同時に測定可能とする方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一つの観点によれば、電流印加電極対から体幹部に電流を印加し、前記体幹部に生じた電位差を電圧計測電極対により測定し、前記体幹部のインピーダンスを測定することにより、前記体幹部の内臓脂肪組織情報、及び/又は、皮下脂肪組織層情報を求める方法であって、前記電流印加電極対の一方の電流印加電極は前記体幹部に配置し、他方の電流印加電極は前記体幹部から突出する部位に配置することを特徴とする体幹部内臓・皮下脂肪測定方法が提供される。
【0013】
本発明の一つの実施の形態によれば、前記体幹部から突出する部位は上肢、下肢、または頭部であってもよく、例えば、頭部の耳部であってもよい。
【0014】
本発明の別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極の近接位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極から体幹部長手方向の遠方位置に配置して、体幹部のインピーダンスを測定することにより体幹部皮下脂肪組織層情報を求めるものであってもよい。
【0015】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかに前記一方の電流印加電極と前記一方の電圧計測電極とを配置して測定をおこなってもよい。
【0016】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極から、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加し、前記電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置して、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極の間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層情報を得るものであってもよい。
【0017】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記他方の電圧計測電極は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定するものであってもよい。
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電流印加電極対を少なくとも1つ、及び、前記電圧計測電極対を少なくとも2つ設け、前記電流印加電極対の一方の電流印加電極から、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加し、前記少なくとも2つの電圧計測電極対の一方の電圧計測電極対に含まれる一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置して、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極の間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層情報を得;前記少なくとも2つの電圧計測電極対の他方の電圧計測電極対を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置して電位差を測定することにより内臓脂肪組織情報を得;前記一方の電圧計測電極対と前記他方の電圧計測電極対を選択して、前記皮下脂肪組織層情報と前記内臓脂肪組織情報を選択的に得るものであってもよい。
【0018】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記他方の電圧計測電極対は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定するものであってもよい。
【0019】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記広がり抵抗の影響が支配的な位置は、臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかであり、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置は、臍部と腸骨稜上縁部の間であってもよい。
【0020】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して近接位置に配置され、前記他方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して、前記一方の電圧計測電極より十分に遠方位置に配置され、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層の情報を得るものであってもよい。
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して近接位置に配置され、前記他方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して、近接位置に配置された前記一方の電圧計測電極より十分に遠方位置に配置され、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層の情報を得るものであってもよい。
【0021】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記十分に遠方位置とは、前記近接位置の3倍以上の位置であってもよい。
【0022】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記少なくとも2つの電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0023】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部の皮下脂肪組織量を求め、該求めた体幹部の皮下脂肪組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを求め、身体特定化情報に基づいて、体幹部の骨格筋組織量を求め、該求めた体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて、体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求め、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を求め、該求めた体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを求め、前記他方の電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求め、該求めた体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0024】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極から、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加して内臓脂肪組織情報を求めるものであってもよい。
また、本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対を前記体幹部から突出した部位に配置して測定するものであってもよい。
更に、本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対を前記体幹部から突出した部位で、かつ、前記電流印加電極対の他方側の電流印加電極が配置されていない体幹部から突出した部位に配置するものであってもよい。
【0025】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対を前記電流印加電極対から体幹部長手方向の遠方位置に配置して測定するものであってもよい。
【0026】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定するものであってもよい。
【0027】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、身体特定化情報に基づいて体幹部の骨格筋組織量を求め、該求めた体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求め、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を求め、該求めた体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを求め、前記求めた体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求め、該求めた体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0028】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記部位は、臍と腸骨稜上縁間の区間、又は、腹直筋と外腹斜筋間の結合腱部であってもよい。
【0029】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹部のインピーダンスの測定は、腹囲周付近で行われるものであってもよい。
【0030】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対の電極のいずれか1つ以上の電極が腹囲周上からずらした位置に配置されてもよい。
【0031】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極は対としてまたは対を形成する電極のうちの一方が前記腹囲周上から外れた位置に配置されてもよい。
【0032】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対は、臍を中心として見た場合の左右の上記部位間に配置されてもよい。
【0033】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対は、前記腹囲周上から外れた腹部領域内の体幹部長手方向に配置されてもよい。
【0034】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極を臍位より上部の体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群上に配置して体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群を仮想電極層として利用することによって骨格筋組織層より内側の内臓器組織及び内臓脂肪組織に対する電流通電量を増やすものであってもよい。
【0035】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、更に、体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群上に別の電圧計測電極対を更に配置して腹直筋組織層のインピーダンスを測定し、その測定した腹直筋組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0036】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、身体特定化情報に基づいて体幹部の骨格筋組織量を求め、該求めた体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求め、若しくは、前記腹直筋組織層のインピーダンスに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求め、若しくは、前記腹直筋組織層のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求めて、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を求め、該求めた体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを求め、前記体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求め、該求めた体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0037】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを測定する第2の電圧計測電極対を更に配置し、該第2の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な前記一方の電流印加電極に近接した位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで前記一方の電流印加電極から離れた位置に配置し、該第2の電圧計測電極対によって体幹部を測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0038】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記腹直筋組織層のインピーダンスの測定を、腹直筋組織層に対して感度の高い周波数f1の印加電流によって行い、前記体幹部のインピーダンスの測定を、f1よりも高い周波数で筋線維に対してほとんど影響を受けない周波数f2の印加電流によって行うものであってもよい。
【0039】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを測定する第3の電圧計測電極対を更に配置し、該第3の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な前記一方の電流印加電極に近接した位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで前記一方の電流印加電極から離れた位置に配置し、該電圧計測電極対によって測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0040】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記第3の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極に近接した位置に、第2の電流印加電極対の一方の電流印加電極を更に配置し、前記電圧計測電極対によって測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0041】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求める段階は、体幹部の電気的等価回路が、前記体幹部内臓器組織のインピーダンスと前記体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスとの直列回路に対して前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスが並列に接続されたものとしてもよい。
【0042】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求める段階は、体幹部の電気的等価回路が、前記体幹部内臓器組織のインピーダンスと前記体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスとの直列回路に対して、前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスと前記体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスとが並列に接続されたものとしてもよい。
【0043】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスは、更に、腱膜のインピーダンスと背筋と腹斜筋の骨格筋組織層のインピーダンスとの直列回路に対して腹直筋が支配的な骨格筋組織層のインピーダンスが並列に接続されたものであってもよい。
【0044】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群が腹直筋組織層であってもよい。
【0045】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極対を体幹部表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部と背面腰下部との間に配置するものであってもよい。
【0046】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極対を体幹部表側腹直筋組織層上に配置するものであってもよい。
【0047】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電流印加電極および電圧計測電極を、左右の腹直筋組織層に均等に通電および計測に寄与するように白線をまたいで両方に対称に配置するものであってもよい。
【0048】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電流印加電極および電圧計測電極を、左右の腹直筋組織層のいずれか一方のみに配置するものであってもよい。
【0049】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極を、腹直筋組織層の腱画部を基準として配置するものであってもよい。
【0050】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極を、臍部の凹部に配置するものであってもよい。
【0051】
本発明の別の観点によれば、体幹部に電流を印加する電流印加電極対と、前記体幹部に生じた電位差を測定する電圧計測電極対とを備え、前記体幹部のインピーダンスを測定することにより、前記体幹部の内臓脂肪組織情報、及び/又は、皮下脂肪組織層情報を求める装置であって、前記電流印加電極対の一方の電流印加電極は前記体幹部に配置し、他方の電流印加電極は前記体幹部から突出する部位に配置することを特徴とする体幹部内臓・皮下脂肪測定装置が提供される。
【0052】
本発明の一つの実施の形態によれば、前記体幹部から突出する部位は四肢または頭部、例えば、頭部の耳部であってもよい。
【0053】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極の近接位置に配置し、他方の電圧計測電極を前記一方の電流印加電極から体幹部長手方向の遠方位置に配置して、体幹部のインピーダンスを測定することにより体幹部皮下脂肪組織層情報を求めてもよい。
【0054】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかに前記一方の電流印加電極と前記一方の電圧計測電極とを配置して測定するものであってもよい。
【0055】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極は、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加し、前記電圧計測電極対の一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置され、他方の電圧計測電極は、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されて、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極の間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層情報を得るものであってもよい。
【0056】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記他方の電圧計測電極は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定するようにしてもよい。
【0057】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記広がり抵抗の影響が支配的な位置は、臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかであり、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置は、臍部と腸骨稜上縁部の間であってもよい。
【0058】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して近接位置に配置され、前記他方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して、近接位置に配置された前記一方の電圧計測電極より十分に遠方位置に配置され、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層の情報を得ることができる。
【0059】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記十分に遠方位置とは、前記近接位置の3倍以上の位置であってもよい。
【0060】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電流印加電極対を少なくとも1つ、及び、前記電圧計測電極対を少なくとも2つ有し;前記電流印加電極対の一方の電流印加電極は、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加し、前記少なくとも2つの電圧計測電極対の一方の電圧計測電極対に含まれる一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置され、他方の電圧計測電極は、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されて、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極の間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層情報を得るものであり;前記少なくとも2つの電圧計測電極対の他方の電圧計測電極対は、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されて電位差を測定することにより内臓脂肪組織情報を得るものであり;前記一方の電圧計測電極対と前記他方の電圧計測電極対を選択して、前記皮下脂肪組織層情報と前記内臓脂肪組織情報を選択的に得る切換装置を更に備えるものであってもよい。
【0061】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記他方の電圧計測電極対は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定するものであってもよい。
【0062】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記広がり抵抗の影響が支配的な位置は、臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかであり、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置は、臍部と腸骨稜上縁部の間であってもよい。
【0063】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して近接位置に配置され、前記他方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して、前記一方の電圧計測電極より十分に遠方位置に配置され、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層の情報を得るものであってもよい。
【0064】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記十分に遠方位置とは、前記近接位置の3倍以上の位置であってもよい。
【0065】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記少なくとも2つの電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備えてもよい。
【0066】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部の皮下脂肪組織量を推定する体幹部皮下脂肪組織量推定手段と、前記推定した体幹部の皮下脂肪組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部の皮下脂肪組織量を推定する体幹部皮下脂肪組織量推定手段と、前記推定した体幹部の皮下脂肪組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを推定する体幹部皮下脂肪組織層インピーダンス推定手段と、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を推定し、該推定された体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓器組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部のインピーダンスと、前記推定した体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備えてもよい。
【0067】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極から皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加して内臓脂肪組織情報を求めるものであってもよい。
【0068】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対は前記電流印加電極対から体幹部長手方向の遠方位置に配置するものであってもよい。
【0069】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電圧計測電極対は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位において測定するものであってもよい。
【0070】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、身体特定化情報に基づいて体幹部の骨格筋組織量を推定する体幹部の骨格筋組織量推定手段と、前記推定した体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを推定する体幹部骨格筋組織層インピーダンス推定手段と、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を推定し、該推定された体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓器組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部のインピーダンスと、前記推定した体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備えるものであってもよい。
【0071】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極が臍位より上部の体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群上に配置されていてもよい。
【0072】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、更に、体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群上に腹直筋組織層のインピーダンスを計測するための別の電圧計測電極対が更に配置されていてもよい。
【0073】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、身体特定化情報に基づいて体幹部の骨格筋組織量を推定し該推定した体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを推定する体幹部骨格筋組織層インピーダンス推定手段、若しくは、前記腹直筋組織層のインピーダンスに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを推定する体幹部骨格筋組織層インピーダンス推定手段と、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を推定し、該推定した体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓器組織インピーダンス推定手段と、前記体幹部のインピーダンスと、前記推定した体幹部骨格筋組織層のインピーダンス及び体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備えていてもよい。
【0074】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを測定する第2の電圧計測電極対が更に配置され、該第2の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極が、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な前記一方の電流印加電極に近接した位置に配置され、他方の電圧計測電極が、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで前記一方の電流印加電極から離れた位置に配置され、該第2の電圧計測電極対によって測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0075】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記腹直筋組織層のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを推定する体幹部骨格筋組織層インピーダンス推定手段と、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を推定し、該推定された体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓器組織インピーダンス推定手段と、前記体幹部のインピーダンスと、前記推定した体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備えるものであってもよい。
【0076】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを測定する第3の電圧計測電極対が更に配置され、該第3の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極が、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な前記一方の電流印加電極に近接した位置に配置され、他方の電圧計測電極が、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで前記一方の電流印加電極から離れた位置に配置され、該電圧計測電極対によって測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0077】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記第3の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極に近接した位置に、第2の電流印加電極対の一方の電流印加電極が更に配置され、前記電圧計測電極対によって測定した皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求めるものであってもよい。
【0078】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段は、体幹部の電気的等価回路が、前記体幹部内臓器組織のインピーダンスと前記体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスとの直列回路に対して前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスが並列に接続されたものとして推定を行うものであってもよい。
【0079】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段は、体幹部の電気的等価回路が、前記体幹部の内臓器組織のインピーダンスと前記体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスとの直列回路に対して、前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスと前記体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスとが並列に接続されたものとして推定を行うものであってもよい。
【0080】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスは、更に、腱膜のインピーダンスと背筋と腹斜筋の骨格筋組織層のインピーダンスとの直列回路に対して腹直筋が支配的な骨格筋組織層のインピーダンスが並列に接続あってもよい。
【0081】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群が腹直筋組織層であってもよい。
【0082】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極対が体幹部表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部と背面腰下部との間に配置されていてもよい。
【0083】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記一方の電流印加電極対が体幹部表側腹直筋組織層上に配置されていてもよい。
【0084】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、呼吸周期時間より短いサンプリング周期で測定した体幹部のインピーダンスに基づいて呼吸による変動の影響を除去するための呼吸変動影響除去手段を更に備えていてもよい。
【0085】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記測定した体幹部のインピーダンスを集団の一般的な値と比較することにより異常値判定処理を行う異常値判定処理手段を更に備えていてもよい。
【0086】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記異常値判定処理手段による判定結果に基づいてアドバイス情報を表示する表示手段を更に備えていてもよい。
【0087】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記体幹部内臓脂肪組織量は、体幹部内臓脂肪率で表されてもよいし、体幹部内臓脂肪組織横断面積で表されてもよいし、体幹部内臓脂肪組織体積量で表されてもよいし、体幹部内臓脂肪組織重量で表されてもよい。
【発明の効果】
【0088】
本発明によれば、内臓器組織及び内臓脂肪組織層への通電量及び感度を引き上げて、体幹部内臓脂肪組織を精度よく測定できると同時に皮下脂肪組織層も測定できる。また、ノイズとなる骨格筋による電位の乱れによるN成分も、筋腹支配域を外す位置で電圧計測電極を配置することでS/N特性を改善できる。
【0089】
また、麻痺患者及び介護等によりベッド上で寝たきりの被験者においても、測定部を背中部を除く腹部前面とすることで、被験者が容易に測定を可能と出来る。更に、腹部への電極装着により、測定部位を被験者が意識できることによって、意識的拘束による測定精度の向上及びモチベ−ションの確保に有益となる。
【0090】
更に、内臓器組織付近に付着する蓄積脂肪組織の蓄積具合を従来の簡易計測法との組み合わせ及び簡便性を踏襲する中で、必要なレベルに応じた精度の高いスクリーニング情報を顕在化させることができる。
【0091】
更に、本発明によれば、小型で簡便な装置にて体幹部内臓脂肪組織や皮下脂肪組織層を精度よく測定できるので、家庭用として最適なものとすることもできる。しかも、測定前の腹部コンディションチェック、すなわち、内臓器組織等での炎症や病的な体液分布異常の早期チェック等も可能で、それに応じた適切な健康指針アドバイスも与えることができる。したがって、ユーザにとっては、食事および運動による日々のダイエットを適正に行い且つそのためのモチベーションを維持し、継続可能な健康の維持増進の自己管理をする上で役立つ諸情報を簡便な仕方で得ることができ、非常に有用なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
本発明の実施の形態および実施例について詳細に説明する前に、本発明の体幹部の内臓脂肪組織量の測定原理について説明する。本発明は、基本的には、上肢(腕)、下肢(脚)、体幹(体幹中部)等の四肢誘導法で得られるセグメント毎の生体電気インピーダンス情報と身体特定化情報を用いて、体幹腹部(中部)の内臓脂肪組織情報(横断面積量、体積量または重量)、体幹部内臓脂肪組織量と皮下脂肪組織量との比(V/S)、および皮下脂肪組織量と内臓脂肪組織量の合計脂肪組織量(体幹腹部脂肪組織量)を推定可能とすることにある。
【0093】
本発明は、このため次のような手法を駆使する。
(1)体幹腹部の生体電気インピーダンス情報に含まれる組織情報を骨格筋組織層と内臓器組織と内臓脂肪組織で直並列の等価回路モデルで仮定すること。内臓器組織と内臓脂肪組織を直列に考える。(したがって、内臓脂肪組織の大小により通電量の変化を期待できる)。
【0094】
(2)なお、腹囲長が身体特定化情報として確保できる場合は、皮下脂肪組織層も、等価回路モデルに含めた、高精度モデルとして、皮下脂肪組織層と骨格筋組織層と内臓器組織と内臓脂肪組織で直並列の等価回路モデルで仮定すること。
【0095】
(3)皮下脂肪組織量推定は、身体特定化情報のうち腹囲長を主体的な説明変数とした重回帰式で構成されること。さらに、腹囲長の二乗を主体的説明変数と置く。本発明技術によって、皮下脂肪組織層の層厚情報を支配的に有する体幹部インピーダンスが得られる場合には、この体幹部インピーダンスと腹囲長(一乗)の積を主体的説明変数とする。
【0096】
(4)上肢(腕)、下肢(脚)の四肢誘導法で得られるセグメント毎の生体電気インピーダンス情報と身体特定化情報を用いて、体幹腹部(中部)の骨格筋組織層情報を顕在化させ、内臓脂肪組織情報推定のための未確定情報の確定に用いる。
【0097】
(5)内臓器組織情報の確定は、身体特定化情報のうち、身長情報が主体的な説明変数とした重回帰式で構成し、内臓脂肪組織情報推定のための未確定情報の確定に用いる。
【0098】
(6)各組織を定量化するための重回帰分析(検量線作成手法)に用いる組織の基準測定は、臍位でのX線CT断層画像からの組織横断面積(CSA:Cross-Section Area)やMRI法によるCSA及び体幹腹部全体でのDEXA法,MRI法(長さ方向へ、スライス毎の積分処理)を用いた組織体積量,重量(体積量から重量への変換は、先行研究による組織密度情報より算出可能)で実現できる。DEXA法では、腹部内臓脂肪組織と皮下脂肪組織層の合計の総脂肪組織情報を基準測定できる。
【0099】
(7)上記の様な手法を用いて内臓脂肪組織の情報を高精度に捕捉可能とするためには、呼吸等による体幹部の計測インピ−ダンス情報の変動を一定条件値に置き換える手立てが必要となり、インピーダンス計測サンプリング周期を一般的な呼吸周期の1/2以内とし、呼吸変化を時系列的にモニタリングして、呼吸周期及び呼吸周期毎の最大値と最小値を呼吸周期毎に判別し、安静呼吸の中央値を捕捉可能とすること。
【0100】
(8)さらに、測定前の飲食及び膀胱尿の貯留などによる悪影響の事前チェックも、計測インピーダンス情報より可能とする。一般に、体幹腹部のインピーダンス値は、健康な一般的な被験者集団では、骨格筋組織層の情報が支配的に反映される。また、体幹部の骨格筋組織層の情報は、測定値としては非常に小さく個々人毎で大きな違いが認められない。理由は、地球重力下で自重を支えて発達する抗重力筋との相関の高いデザインとなるため、特別に寝たきりで重力の影響を受けない被験者とか、自重の数倍のストレスが加わる種目のアスリートなど、特殊な集団以外ではほぼ身体サイズで決定されてしまうためである。よって、前記体幹腹部の骨格筋組織量の推定は、四肢骨格筋からの方が測定感度の良い成果が期待できるわけである。ここで、骨格筋組織及び前記呼吸変動以外で体幹腹部のインピーダンスに影響が大きいのは、飲食及び膀胱尿の貯留などによる悪影響である。よって、集団デ−タとして体幹中部のインピーダンス値を収集し、平均値[mean]と偏差[SD]で見ると、飲食及び膀胱尿の貯留などによる影響は、2SDを超える範囲にあることがわかった。ただ、ある程度のアスリート等の準一般的集団まで踏まえると、3SDをクライテリアとすることで、本影響のスクリーニングを可能と出来る。
【0101】
(9)さらに、体幹腹部の骨格筋組織層及び内臓器組織の局部的炎症による変化部位の特定も、四肢誘導法の通電ルートの異なる誘導法(4種類)からの体幹腹部インピーダンス値の比較から、ある程度の特定が可能と出来る。よって、炎症等の病的とも取れる体幹腹部の体液分布変化の視点からの内臓器組織や骨格筋組織層のコンディションチェックも可能と考えられる。
【0102】
次に、前述したような手法に基づく本発明の測定原理につき、順を追って詳述していく。
【0103】
1.体幹区分の考え方
(1)体幹部を上部/中部/下部に分けた時、骨格筋の発達の関係は、次のようである。
(a)体幹上部は、上肢部との相関が高く、特に、近位上腕部の上腕の骨格筋との相関が高い。
(b)体幹下部は、下肢部との相関が高く、特に、近位大腿部の骨格筋との相関が高い。
(c)体幹中部は、下肢部の大腿部骨格筋との相関が高い(下肢部の大腿部をコントロールする大腰筋,腸腰筋等が占有骨格筋として大きいため)。
【0104】
(2)体幹中部(腹部)の骨格筋は、腹筋群と背筋群で構成されており、これらは、上肢と下肢のジョイント(左右の回転動作や前後への屈伸動作など)としての機能的発達を有している。
【0105】
2.四肢部からの体幹中部骨格筋の推定
(3)よって、体幹中部の骨格筋発達(組織量)は、上下肢部の骨格筋の発達と密接な関係がある。つまり、体幹中部の骨格筋組織層量は、上下肢部の骨格筋組織量より推定できる。体幹中部骨格筋組織量を従属変数として、上肢部骨格筋組織量及び下肢部骨格筋組織量を各々独立の説明変数と置いて、重回帰式を作ることで、体幹中部の骨格筋組織量を推定することが出来る。
体幹中部骨格筋組織量[MMtm]=a0*下肢骨格筋組織量[MMl] + b0*上肢骨格筋組織量[MMu] + c0・・・式1
ここで、a0、b0、c0は、回帰係数で定数である。
【0106】
(4)また、四肢の骨格筋組織量は、測定区間のインピーダンス計測値とその区間の長さ情報から、骨格筋組織量の推定が可能であることは、先行研究より明らかである。
下肢骨格筋組織量[MMl]=a1*Ll2/Zl + b1・・・式2
上肢骨格筋組織量[MMu]=a2*Lu2/Zu + b2・・・式3
ここで、a1,a2,b1,b2は、回帰係数で定数である。Ll:下肢の長さ、Luは、上肢部の長さ、Zlは、下肢部のインピーダンス値、Zuは、上肢部のインピ−ダンス値である。
【0107】
(5)四肢長は、一般的な対象者であれば身長、体重、性別、年齢等の身体(個人)特定化情報より推定しても良い(特に、性別毎での身長情報が有用性高い)。
【0108】
(6)同様に、上下肢部の骨格筋組織量及び体幹中部骨格筋組織量の推定式へも、説明変数として性別、年齢、体重等の身体特定化情報を付加することにより、発育発達及び加齢による神経系及び組織の質的変化を統計的に若干補正することも可能である。
【0109】
(7)尚、重回帰推定式を作成する折の基準側の測定は、MRI法、DEXA法で求めた骨格筋組織量を用いる。
【0110】
(8)また、もっとシンプルな精度向上が期待できる方法として、体幹及び四肢長情報が測定によって得られる以外の、身長等の身体特定化情報より体幹及び四肢長情報を推定する場合には、四肢部のインピーダンス情報を直接体幹中部骨格筋組織量の推定式に組み込む手法である。
体幹中部骨格筋組織量[MMtm]= a3*H2/Zl + b3*H2/Zu +c3・・・式4
ここで、a3、b3、c3は、回帰係数で定数である。Hは身長、Zlは下肢部のインピーダンス値、Zuは上肢部のインピ−ダンス値である。
【0111】
(9)より精度向上が期待できる方法として、体幹長情報が更に測定によって得られる場合には、下記の様な推定式の変形が考えられる。
式1〜3に対して、
体幹中部骨格筋組織量[MMtm]=a0’*下肢骨格筋組織量[MMl]*Ltm2/Ltm’2+ b0’*上肢骨格筋組織量[MMu ] *Ltm2 /Ltm’2+ c0’・・・式5
ここで、a0’、b0’、c0’は、回帰係数で定数である。そして、Ltmは体幹長(または体幹中部長)である。そして、Ltm’は、四肢長または身長からの体幹長(または体幹中部長)の推定値である。
Ltm’=aa*Ll+bb*Lu+cc ・・・式5-1
または
Ltm’=aa1*H+bb1 ・・・式5-2
ここで、aa、aa1、bb、bb1、ccは、回帰係数で定数である。
【0112】
(10)さらなる精度の向上を期待する場合は、測定に対する拘束性が増える(簡便性に劣る)デメリットはあるが、四肢の近位部の情報を用いる方法がある。膝肘に電圧計測電極を当てるまたは貼り付けることにより、四肢測定と同様の四肢誘導法で計測できる。つまり、遠位からの下肢や上肢の情報よりも、遠位部を除く近位部の情報の方が、体幹中部の骨格筋との関連情報として、有用性が高いからである。つまり、上腕(上肢近位)は体幹上部と、大腿(下肢近位)は体幹下部と高い相関を持ち、体幹上部と中部と下部間も、有用な関係を持っている。よって、上下肢部骨格筋組織量に対し、大腿部骨格筋組織量や上腕部骨格筋組織量を測定して、体幹中部の骨格筋組織量の推定に用いる方法も上記と同様の手順で推定式を作成可能である。
【0113】
(11)体幹部の骨格筋についての考え方の例として、
(a)体幹上部と下部は、上肢部と下肢部との相関が高いことから、上部は上肢部とみなし、下部は下肢部とみなす考え方。
(b)体幹上部と下部を体幹中部と合わせて、体幹部とみなす考え方がある。
いずれの方法でも、対象者を一般健常人または、それに近い自立生活が出来る範囲に置くことで、各々の相互間の相関が高いことから、いずれの考え方でも大きな違いは出てこない。
【0114】
3.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化
(12)四肢誘導法より求められる体幹部のインピーダンスは、体幹中部の情報となる。このインピーダンスについては、後述する実施例についての説明において詳述する。
【0115】
(13)体幹部は、主として、皮下脂肪組織層と、骨格筋組織層(腹筋群、背筋群)と、内臓器組織とその隙間に付着する内臓脂肪組織から成ると考えることが出来る。骨組織を構成組織として挙げていないのは、骨組織は骨格筋組織層と量的相関が非常に高く、一体の組織体として考えられるからである。体積抵抗率も、生体内では骨髄組織なども含めることでかなり導電性が良く、骨格筋組織層や内臓器組織に近い特性を有するものと考えられる。よって、この4組織を電気的な等価回路モデルで表すと、内臓器組織と内臓脂肪組織を直列に構成し、その直列の複合組織層に対して、皮下脂肪組織層及び骨格筋組織層がそれぞれ並列に構成される。この等価回路モデルについては、後述する実施例についての説明において詳述する。このモデルによると、体幹部の長さ方向への通電に対しては、骨格筋組織層に支配的に電流が流れる。内臓脂肪組織は、内臓器組織の周辺の隙間に付着することから、内臓脂肪組織が無い時、または少ない時、内臓器組織が骨格筋組織に近い導電性を示すことから、内臓器組織側にも電流が通電されることになる。また、内臓脂肪組織が多くなるほど、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合体としての複合組織層への通電量が低下してゆくことになる。体幹中部の計測インピーダンスと、それを構成する4組織を等価回路モデルで表した時のモデル式は、下記の様に表現できる。
Ztm = ZFS//ZMM//(ZVM+ZFV) ・・・式6
ここで、
体幹中部全体のインピーダンス:Ztm
皮下脂肪組織層のインピーダンス:ZFS・・・体積抵抗率は、大きい。
骨格筋組織層のインピーダンス:ZMM・・・体積抵抗率は、小さい。
内臓器組織のインピーダンス:ZVM・・・骨格筋組織層に近い体積抵抗率と考えられている。
内臓脂肪組織のインピーダンス:ZFV・・・体積抵抗率は、皮下脂肪組織と同等かそれよりも、やや小さ目と考えられる。脂肪組織の合成分解が皮下脂肪組織に比べて速いことから、組織内血管及び血液量が多いものと考えられる。
よって、各組織間の電気的特性の比較関係は、
ZFS >> (ZVM+ZFV) >> ZMM ・・・式7
と考えられる。
この式6、7の関係式から、次の様な二つのアプローチ案によって、内臓脂肪組織情報を推定可能とする手法が考えられる。
【0116】
(14)アプローチ1
皮下脂肪組織層は、他の構成組織と比較する中で体積抵抗率が高いことから体幹中部の等価回路から見て、省略して考える。つまり、体幹中部で計測されるインピーダンス値には、体幹中部の皮下脂肪組織層を除いた内臓脂肪組織を含む除脂肪組織の情報が計測されているものと考えることが出来る。よって、この関係式は、次の様に表現できる。
Ztm ≒ ZMM//(ZVM+ZFV) ・・・式8
式8を変形すると、
1/Ztm ≒ 1/ZMM + 1/(ZVM+ZFV) ・・・式9
この式中の骨格筋組織層のインピーダンスZMMおよび内臓器組織のインピーダンスZVMを下記で記述される手段で顕在化することで、内臓脂肪組織のインピーダンスZFVを算出可能となる。そして、この内臓脂肪組織のインピーダンス情報より、内臓脂肪組織量を推定可能と出来る。式9からZFVを誘導すると、次の式10となり、内臓脂肪組織の情報を有するインピーダンス情報を求めることができる。
ZFV= 1/[ 1/Ztm−1/ZMM] − ZVM・・・式10
【0117】
(15)アプローチ2
前記アプローチ1では皮下脂肪組織層を省略して考えたが、皮下脂肪組織層を大量に有する被験者に対しては誤差要因となりえるため、式6のままで進める方法である。
この式中の骨格筋組織層のインピーダンスZMMおよび内臓器組織のインピーダンスZVMは、前記手法と同様とし、皮下脂肪組織層のインピーダンスZFSに対して、インピーダンス情報は他の組織と同様の考え方で皮下脂肪組織量と有用な関係が有る。ここで、皮下脂肪組織量は、その組織表面での周囲長、つまり、腹囲長との相関が非常に高い関係があることが一般に報告されている(特に皮下脂肪組織が多い被験者に対して、または、皮下脂肪組織を除く除脂肪組織に比較して多い場合)ことから、皮下脂肪組織層は腹囲長情報から推定可能となる。よって、皮下脂肪組織層のインピーダンスは、腹囲長の情報から推定可能と出来る。以下、前記アプローチと同様の手法で内臓脂肪組織のインピーダンスZFVを算出可能となる。そして、この内臓脂肪組織のインピーダンス情報より、内臓脂肪組織量を推定可能と出来る。
式6を変形すると、
1/Ztm = 1/ZFS + 1/ZMM + 1/(ZVM+ZFV) ・・・式11
ZFV= 1/[ 1/Ztm−1/ZMM−1/ZFS] − ZVM・・・式12
【0118】
4.内臓器組織量[VM]からのインピーダンス[ZVM]の推定
(16)体幹中部の内臓器組織量[VM]は、身長、体重、性別、年齢等の身体(個人)特定化情報から推定することが出来る。説明変数の中で、身長項の影響が大きい。
男性用: 内臓器組織量[VM] = a4*身長[H]+ b4*体重[W] + c4*年齢[Age] + d4
・・・式13-1
女性用: 内臓器組織量[VM] = a5*身長[H]+ b5*体重[W] + c5*年齢[Age] + d5
・・・式13-2
ここで、a4、a5、b4、b5、c4、c5、d4、d5は、回帰係数で定数である。
なお、本検量線(回帰式)に用いる内臓脂肪組織量VMの基準量の計測は、MRI法やX線CТ法により得られるスライス毎のCSA(組織横断面積)を長さ方向に積分して求めた組織体積、または、臍位等の1スライスからのCSAとする。組織体積は、先行研究論文等で公知の組織密度情報から重量へ変換することで組織量とすることが出来る。
【0119】
(17)次に、内臓器組織のインピーダンスZVMを推定する。
各組織とも、インピーダンスと組織量との関係を式で表現可能とするために、円柱モデルを適用する。適用式は、下記の様に表現できる。
VM ∝ LVM2 / ZVM・・・式14-1
変形すると、
ZVM ∝ LVM2 / VM・・・式14-2
ここで、LVMは、円柱モデル化するときの仮想円柱長であるが、体幹長[Lt],体幹中部長[Ltm]および身長[H]との高い相関関係が有ることから、
LVM ∝ Lt ∝ Ltm ∝ H ・・・式15
よって、 LVMの代わりに身長H(体幹の実測情報が得られるのであれば、Ltまたは Ltmで式中に用いる)で代用するとすると、
ZVM = a6*H2 / VM + b6・・・式16
となり、内臓器組織のインピーダンスZVMを推定することが出来る。
ここで、a6、b6は、回帰係数で定数である。
この式16は、単回帰式であるが身体特定化情報を説明変数として組み込む重回帰式とすることで、推定精度向上が期待できる。
男性用:ZVM= a7*H2 /VM + b7*H + c7*W + d7*Age + e7・・・式17-1
女性用: ZVM= a8*H2 /VM + b8*H + c8*W + d8*Age + e8・・・式17-2
ここで、a7、a8、b7、b8、c7、c8、d7、d8、e7、e8は、回帰係数で定数である。
【0120】
5.骨格筋組織量[MM] からのインピーダンス[ZMM]の推定
(18)体幹中部の骨格筋組織量[MM]は、前記式1、4、5で求めた四肢骨格筋量(四肢インピーダンス情報)からの体幹中部骨格筋量[MMtm]を用いる。
MM=MMtm・・・式18
【0121】
(19)次に、骨格筋組織層のインピーダンスZMMを推定する。
各組織とも、インピーダンスと組織量との関係を式で表現可能とするために、円柱モデルを適用する。適用式は、下記の様に表現できる。
MM ∝ Ltm2 / ZMM・・・式19-1
変形すると、
ZMM ∝ Ltm2 / MM・・・式19-2
ここで、Ltmは、円柱モデル化するときの体幹中部長であるが、体幹長[Lt]および身長[H]との高い相関関係が有ることから、
Ltm ∝ Lt ∝ H ・・・式20
よって、 Ltmの代わりに身長H(体幹の実測情報Ltm、Ltが得られない場合)で代用するとすると、
ZMM = a9*H2 / MM + b9・・・式21
となり、骨格筋組織層のインピーダンスZMMを推定することが出来る。
ここで、a9、b9は、回帰係数で定数である。
この式21は、単回帰式であるが身体特定化情報を説明変数として組み込む前記同様の手順により重回帰式とすることで、推定精度向上が期待できる。
【0122】
6.皮下脂肪組織量[FS]からのインピーダンス[ZFS]の推定
(20)体幹中部の皮下脂肪組織量[FS]は、腹囲長[Lw]2から推定することが出来る。さらに、他の身体特定化情報を説明変数として付加して重回帰式とすることで精度向上が期待できる。
男性用: 皮下脂肪組織量[FS] = a10*腹囲長[Lw]2+b10*身長[H]+ c10*体重[W] + d10
*年齢[Age] + e10・・・式22-1
女性用: 皮下脂肪組織量[FS] = a11*腹囲長[Lw]2+b11*身長[H]+ c11*体重[W]+ d11*
年齢[Age] + e11・・・式22-2
ここで、a10、a11、b10、b11、c10、c11、d10、d11、e10、e11は、回帰係数で定数である。
なお、本検量線(回帰式)に用いる皮下脂肪組織量FSの基準量の計測は、MRI法やX線CТ法により得られるスライス毎のCSA(組織横断面積)を長さ方向に積分して求めた組織体積、または、臍位等の1スライスからのCSAとする。組織体積は、先行研究論文等で公知の組織密度情報から重量へ変換することで組織量とすることが出来る。
【0123】
(21)次に、皮下脂肪組織層のインピーダンスZFSを推定する。
各組織とも、インピーダンスと組織量との関係を式で表現可能とするために、円柱モデルを適用する。適用式は、下記の様に表現できる。
FS ∝ Ltm2 / ZFS・・・式23-1
変形すると、
ZFS ∝ Ltm2 / FS・・・式23-2
ここで、Ltmは、円柱モデル化するときの体幹中部長であるが、体幹長[Lt]および身長[H]との高い相関関係が有ることから、
Ltm ∝ Lt ∝ H ・・・式20
よって、 Ltmの代わりに身長H(体幹の実測情報Ltm、Ltが得られない場合)で代用するとすると、
ZFS = a12*H2 / FS + b12・・・式24
となり、皮下脂肪組織層のインピーダンスZFSを推定することが出来る。
ここで、a12、b12は、回帰係数で定数である。
この式24は、単回帰式であるが身体特定化情報を説明変数として組み込む前記同様の手順により重回帰式とすることで、推定精度向上が期待できる。
【0124】
7.内臓脂肪組織量[FV]の推定
(22)内臓脂肪組織のインピーダンス[ZFV]は、式10または式12へ、体幹中部の実測インピーダンス[Ztm]と、式16、17で求めた内臓器組織のインピーダンス[ZVM]と、式21で求めた骨格筋組織層のインピーダンス[ZMM]を、または式24で求めた皮下脂肪組織層のインピーダンス[ZFS]を代入することで求められる。
【0125】
(23)この内臓脂肪組織のインピーダンス[ZFV]情報から、内臓脂肪組織量[FV]を推定する。
各組織とも、インピーダンスと組織量との関係を式で表現可能とするために、円柱モデルを適用する。適用式は、下記の様に表現できる。
FV ∝ LFV2 / ZFV・・・式25
ここで、LFVは、円柱モデル化するときの仮想円柱長であるが、体幹長[Lt],体幹中部長[Ltm]および身長[H]との高い相関関係が有ることから、
LFV ∝ Lt ∝ Ltm ∝ H ・・・式26
よって、LFVの代わりに身長H(体幹の実測情報が得られるのであれば、Ltまたは Ltmで式中に用いる)で代用するとすると、
FV = a13*H2 / ZFV + b13・・・式27
となり、内臓脂肪組織量FVを推定することが出来る。
ここで、a13、b13は、回帰係数で定数である。
この式27は、単回帰式であるが身体特定化情報を説明変数として組み込む重回帰式とすることで、推定精度向上が期待できる。
男性用:FV = a14*H2 /ZFV + b14*H + c14*W + d14*Age + e14・・・式28-1
女性用: FV = a15*H2 /ZFV + b15*H + c15*W + d15*Age + e15・・・式28-2
ここで、a14、a15、b14、b15、c14、c15、d14、d15、e14、e15は、回帰係数で定数である。
【0126】
8.体幹腹部脂肪組織量[FM]の推定
(24)腹部脂肪組織量[FM]は、式22からの皮下脂肪組織量[FS]と式27または式28からの内臓脂肪組織量[FV]から求めることが出来る。
FM=FS+FV・・・式29
【0127】
(25)他の腹部脂肪組織量[FM]の推定法としては、基準計測情報としてDEXA法を用いて腹部脂肪組織量を計測し、式22からの皮下脂肪組織量[FS]と式27または式28からの内臓脂肪組織量[FV]の主要パラメータを説明変数に用いることで、腹部脂肪組織量[FM]の推定を可能とする。つまり、腹囲長[Lw]2とH2 /ZFVと身体特定化情報とから重回帰式を作成することである。
【0128】
9.体幹腹部内臓脂肪/皮下脂肪比[V/S]の推定
(26)内臓脂肪/皮下脂肪比[V/S]は、式22からの皮下脂肪組織量[FS]と式27または式28からの内臓脂肪組織量[FV]から求めることが出来る。
V/S=FV/FS・・・式30
【0129】
10.体幹腹部(中部)のインピーダンスによる内臓器組織異常判定の考え方
(27)前記で内臓脂肪組織量推定に必要な体幹腹部(中部)のインピーダンスZtmは、呼吸及び飲食等により変動が大きな部位でもあることから、安定性及び信頼性の高い情報の計測が必要となる。よって、次の様な処理を加えることで、信頼性の高い体幹腹部のインピーダンス情報を確保出来る。また、一部体幹の体液分布の乱れに関連する情報としての視点から、体幹腹部の組織異常の判定も可能と出来る。
【0130】
(28)呼吸による変動の影響除去処理
(a)一般的な呼吸周期時間の1/2より短いサンプリング周期で、体幹腹部のインピーダンスを測定する。
(b)サンプリング毎の測定デ−タに対して移動平均等によるスムージング処理を施す。
(c)処理後の時系列データより、呼吸の周期性と周期毎の最大値と最小値を検出する。
(d)毎周期毎の最大値と最小値を各々別個に平均処理する。
(e)最大値と最小値の平均処理後の値を平均して、呼吸の中央値を算出する。
(f)呼吸周期毎の呼吸の中央値が規定回数規定以内の安定域に入った時点で、呼吸中央値確定と判断し、確定した中央値のインピ-ダンス値を体幹腹部のインピーダンス値として登録し、測定を完了とする。
【0131】
(29)飲食及び膀胱等への水分貯留(尿等)による異常値判定処理
(a)体幹腹部のインピーダンスは、26.7±4.8Ω(mean±SD)が集団の一般的な値となる。
(b)反面、便秘及び膀胱尿の貯留や胃での飲食物の充満時の値は、mean±3SDの範囲を超える。
(c)よって、3SDを超える測定値が得られる場合には、飲食及び膀胱尿等の影響の可能性を被験者へ報知し、最善の環境で測定に望んで貰う様促す。ただし、実際にこれらの影響なしに骨格筋組織発達及び内臓器組織が標準サイズとは異なる被験者においては、測定を継続出来る様に進める。
(d)さらに、判定感度を上げる方法としては、性別、体重、身長別で規定値を細分化する。又は、体重で割るか、身長で割って単位当りの値として規定値を規定する。
【0132】
(30)腹部内臓器組織等異常判定処理
(a)体幹腹部のインピーダンス計測は、四肢からの通電ル−トの違いと観測側の電圧計測電極配置の組み合わせによって、体幹腹部への通電ル−トを異にした測定インピーダンス間のわずかな違いから、内部臓器組織や骨格筋組織の病気・炎症によるコンディション異常及びその部位の特定を検知可能とする。
(b)後述するような4つの誘導法からの体幹腹部計測値の違いを判別のための情報として用いる。
(c)右上肢部より通電した場合と、左上肢部からの通電ル−トとでは、心臓が左寄りである影響(左肺がその分小さい)から、左上肢部からの通電による体幹腹部のインピーダンス値の方が低めに観測される。
(d)その他は、左右ほぼ対称のバランスとみなせる測定値となるのが正常状態とする。
Ztmlr ≒ Ztmll < Ztmrr ≒ Ztmrl
ここで、電流通電ルートと体幹腹部インピーダンスの識別表記は、次のようである。
右上肢部と右下肢部間通電ルート体幹腹部生体インピーダンス Ztmrr
左上肢部と右下肢部間通電ルート体幹腹部生体インピーダンス Ztmlr
右上肢部と左下肢部間通電ルート体幹腹部生体インピーダンス Ztmrl
左上肢部と左下肢部間通電ルート体幹腹部生体インピーダンス Ztmll
(e)この関係を満足できなくなる場合に、体幹腹部内の内臓器組織または骨格筋組織及び骨格部(骨・関節)組織等の病気及び炎症の可能性が考えられる。
(f)例えば、左大腿付け根の関節部に炎症による浮腫が認められる場合は、Ztmlr > Ztmll 及びZtmrr > Ztmrl となる。
(g)また、便秘等で左大腸部異常の場合も、同様のバランスの違いが出てくる。
(h)また、右肺に水がたまった場合などでは、Ztmlr ≒ Ztmll >= Ztmrr ≒ Ztmrl となる。
(i)このような場合に、内臓器組織及び骨格筋組織,関節組織等の異常と判断して報知等の処理を設ける。
【0133】
<皮下脂肪組織量測定、或いは、皮下脂肪組織量及び内臓脂肪組織量の選択測定>
皮下脂肪組織量を、或いは、皮下脂肪組織量及び内臓脂肪組織量を、選択的に測定するにあたっては、特に、以下の11〜16を考慮する。
【0134】
11.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化(補足1)
(31)組織間の電気的特性は、インピーダンスよりはむしろ体積抵抗率ρ[Ωm]で決まる。「3.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化」で示した関係から、各組織の電気的特性値は一般に以下の関係で説明される。
ρMM<<ρ(VM+FV)<ρFS
ρVM<<ρFV
ρMM=ρMV、若しくは、ρMM<ρMV
ρFV=ρFS、若しくは、ρFV<FS
ここで、
皮下脂肪組織層の体積抵抗率:ρFS
骨格筋組織層の内側の内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層の体積抵抗率:ρ(VM+FV)
骨格筋組織層の体積抵抗率:ρMM
よって、式6との関連により、各組織間の電気的特性の比較関係は、
ZFS >> (ZVM+ZFV) >> ZMM ・・・式31
となる。
【0135】
12.体幹部骨格筋組織横断面積量(AMM)と体幹部骨格筋組織層インピーダンス(ZMM)の推定
(32)内臓脂肪組織量は横断面積量や体積量で表すことができる。横断面積量の場合は、臍囲周での計測においては、CT法(X線−CT、MRI)による横断面積量が一般的な計測基準と考えられる。一方、体積量の場合は、CT法によるスライスによる横断面積量を長さ方向に複数のスライス情報で積分することで求めることができる。骨格筋組織量(骨格筋量)は、これら横断面積量と体積量の双方に高い相関を有すると考えられる。ここでは横断面積量で考えることにする。骨格筋組織の横断面積量(AMM)は、身体特定化情報でおおよそ推定することができる。なぜなら、身体の骨格筋の発達デザインは、地球重力下で自重を支えるための発達、適応でほとんど決まってしまうからである。よって、アスリートや麻痺看者や介護者などの重力非適応者を除けば、身体特定化情報で推定可能となる。この推定は、身長H、体重W、年齢Ageを以下の式に代入することによって行う。
AMM=a*H+b*W+c*Age+d・・・式32
ここで、a、b、c、dは、定数である。
(33)体幹部骨格筋組織層インピーダンス(ZMM)も身体特定化情報によって推定できる。便宜上、ここでは上で求めた横断面積量(AMM)を利用する。この推定は以下の式を用いて行うことができる。
ZMM=a0*H/AMM+b0・・・式33
ここで、a0、b0は、定数である。
【0136】
13.内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)及び内臓脂肪組織量(AFV)の推定
式6、31の関係式から、次の様な2つのアプローチ案によって、内臓脂肪組織情報を推測可能とする手法が考えられる。
(34)アプローチ1
皮下脂肪組織層は、他の構成組織と比較する中で体積抵抗率が高いことから体幹部の等価回路から見て、省略して考える。つまり、体幹部で計測されるインピーダンス値には、体幹部の皮下脂肪組織層を除いた内臓脂肪組織を含む除脂肪組織の情報が計測されているものと考えることが出来る。よって、この関係式は、次の様に表現できる。
Ztm ≒ ZMM//(ZVM+ZFV) ・・・式34
式34を変形すると、
1/Ztm ≒ 1/ZMM + 1/(ZVM+ZFV) ・・・式35
この式中の骨格筋組織層のインピーダンスZMMおよび内臓器組織のインピーダンスZVMを下記で記述される手段で顕在化することで、内臓脂肪組織のインピーダンスZFVを算出可能となる。そして、この内臓脂肪組織のインピーダンス情報より、内臓脂肪組織量を推定可能と出来る。式35からZFVを誘導すると、次の式36となり、内臓脂肪組織の情報を有するインピーダンス情報を求めることができる。
ZFV= 1/[ 1/Ztm−1/ZMM] − ZVM・・・式36
【0137】
(35)アプローチ2
前記アプローチ1では皮下脂肪組織層を省略して考えたが、皮下脂肪組織を大量に有する被験者に対しては誤差要因となりえるため、式6のままで進める方法である。
この式中の骨格筋組織層のインピーダンスZMMおよび内臓器組織のインピーダンスZVMは、前記手法と同様とし、皮下脂肪組織層のインピーダンスZFSに対して、インピーダンス情報は他の組織と同様の考え方で皮下脂肪組織量と有用な関係がある。ここで、皮下脂肪組織量は、その組織表面での周囲長、つまり、腹囲長との相関が非常に高い関係があることが一般に報告されている(特に皮下脂肪組織が多い被験者に対して、または、皮下脂肪組織を除く除脂肪組織に比較して多い場合)ことから、皮下脂肪組織は腹囲長情報から推定可能となる。よって、皮下脂肪組織層のインピーダンスは、腹囲長の情報から推測可能と出来る。以下、前記アプローチと同様の手法で内臓脂肪組織のインピーダンスZFVを算出可能となる。そして、この内臓脂肪組織のインピーダンス情報より、内臓脂肪組織量を推定可能と出来る。
式6を変形すると、
1/Ztm = 1/ZFS + 1/ZMM + 1/(ZVM+ZFV) ・・・式37
ZFV= 1/[ 1/Ztm−1/ZMM−1/ZFS] − ZVM・・・式38
【0138】
(36)内臓脂肪組織量(AFV)は、ここでは内臓脂肪組織横断面積として取り扱う。内臓脂肪組織組織量(AFV)は、式39において、上記インピーダンス情報と身長情報から算出することができ、
AFV=aa*H/ZFV+bb・・・式39
ここで、aa、bbは定数である。
【0139】
14.内臓器組織量[AVM]及び内臓器組織インピーダンス [ZVM]の推定
(37)体幹部の内臓器組織量[VM]は、身長、体重、性別、年齢等の身体(個人)特定化情報から推定することが出来る。説明変数の中で、身長項の影響が大きい。
内臓器組織量[AVM] = a1*身長[H]+ b1*体重[W] + c1*年齢[Age] + d1・・・式40
ここで、a1、b1、c1、d1は、男女で別の値を与える定数である。
なお、本検量線(回帰式)に用いる内臓脂肪組織量VMの基準量の計測は、MRI法やX線CТ法により得られるスライス毎のCSA(組織横断面積)を長さ方向に積分して求めた組織体積、または、臍位等の1スライスからのCSAとする。組織体積は、先行研究論文等で公知の組織密度情報から重量へ変換することで組織量とすることが出来る。
【0140】
(38)次に、内臓器組織のインピーダンスZVMを推定する。
内臓器組織のインピーダンス[ZVM]は、身長、体重、性別、年齢等の身体(個人)特定化情報から推定することが出来る。説明変数の中で、身長項の影響が大きい。便宜上、ここでは上で求めた内臓器組織量[AVM]を利用する。この推定は、以下の式を用いて行うことができる。
ZVM=a2*H/AVM+b2・・・式41
ここで、a2、b2は、定数である。
【0141】
15.皮下脂肪組織量[AFS]の推定
(39)体幹部の皮下脂肪組織量[AFS]の測定方法については後述する。なお、本検量線(回帰式)に用いる皮下脂肪組織量FSの基準量の計測は、MRI法やX線CТ法により得られるスライス毎のCSA(組織横断面積)を長さ方向に積分して求めた組織体積、または、臍位等の1スライスからのCSAとする。組織体積は、先行研究論文等で公知の組織密度情報から重量へ変換することで組織量とすることが出来る。
【0142】
16.体幹部内臓脂肪/皮下脂肪比[V/S]の推定
(40)内臓脂肪/皮下脂肪比[V/S]は、式22-1、式22-2からの皮下脂肪組織量[AFS]や後述する式45からの皮下脂肪組織量[AFS]と式39からの内臓脂肪組織量[AFV]から求めることが出来る。
V/S=AFV/AFS・・・式42
【0143】
<腹直筋組織量を利用した内臓脂肪組織量等の測定>
腹直筋組織を、仮想電極として利用して、内臓脂肪組織量を測定することができる。腹直筋組織を仮想電極として内臓脂肪を測定するにあたっては、特に、以下の17、18を考慮する。
【0144】
17.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化(補足2)
体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化に関し、ここでは、前項「3.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化」及び「11.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化(補足1)」に加えて、以下の点を考慮する。
【0145】
(41)従来の方法で腹部臍囲周上に電極を配置するだけでは、電流印加電極直下での広がり抵抗の影響により、皮下脂肪組織層のインピ−ダンス分が支配的な計測となり、本来の理想的な四電極法による皮下脂肪組織層の分離除去が実現できなかった。本発明によれば、新電極配置法を適用することで、理想的な四電極法を実現可能とし、皮下脂肪組織層のインピ−ダンス分を削除可能とした。
後述するように、本発明の一つの電極配置法によれば、腹直筋組織層を仮想電極として利用している。したがって、電気的等価回路モデルは、後述する図29に示すように表現できる。すなわち、
Ztm = 2 * ZFS+ZMM2//(ZVM+ZFV) ・・・式43
(42)骨格筋組織層(MM)は、腹直筋組織層(MM1)と腹直筋組織層以外の筋線維走向が斜めのものが支配的な骨格筋組織層(MM2)とに分けられ、ZMM1及びZMM2は、それぞれ、MM1及びMM2のインピーダンスである。本発明の一つの電極配置法によれば、電流印加電極近辺の広がり抵抗の影響を無視できるまで離して配置しているため皮下脂肪組織層の分離除去することでき、また、腹直筋組織層を仮想電極として利用するために、さらに腹直筋組織層での電圧降下分の電極間距離を確保することで腹直筋組織層のインピーダンス直列分を外すことができる。そこで、ZMM=ZMM2とおくと、式43は次のように表される。
Ztm = ZMM//(ZVM+ZFV) ・・・式44
【0146】
18.皮下脂肪組織量[AFS]の推定
(43)体幹部の皮下脂肪組織量AFSは、前項「6.皮下脂肪組織量[FS]からのインピーダンス[ZFS]の推定」で説明したように、腹囲長[Lw]2から推定することもできるが、以下に示すように、皮下脂肪組織層のインピーダンス情報ZFSと腹囲長Lwから推定することも出来る。
皮下脂肪組織量[AFS] = aa0*ZFS*Lw+bb0・・・式45
ここで、aa0、bb0は、定数である。
尚、上の式45の導き方については後に詳述する。
【0147】
<腹直筋組織層のインピーダンスを利用した内臓脂肪組織等の測定>
腹直筋組織層のインピーダンスを利用して内臓脂肪組織等をより正確に測定することができる。この場合は、特に、以下の19、20をも考慮する。
【0148】
19.体幹部骨格筋組織横断面積量[AMM]および体幹部骨格筋組織層インピーダンス[ZMM]の推定
(44)体幹部骨格筋組織横断面積量(AMM)と体幹部骨格筋組織層インピーダンス(ZMM)の推定に関して、ここでは、上述した12に代えて、以下の考え方を採用する。体幹部骨格筋組織層インピーダンス(ZMM)を腹直筋組織層のインピ−ダンス(ZMM1)の計測情報より推定する。体幹腹部の骨格筋組織層は、背筋群と腹筋群に分けられ、背筋群は起立筋支配であるため、地球重力下で立って生活する中で決まるため、身体特定化情報との相関が高い。個人の活動能力に関連する筋発達の情報は、腹筋群に現れやすく、個人毎のバラツキも腹筋群で顕著に出てくる。腹筋群は、腹直筋組織層と腹斜筋組織層等で構成されており、腹直筋組織層が筋発達との関係が高い。また、本技術では、腹直筋組織層をインピ−ダンス情報として捕捉可能と出来る。よって、アスリ−トとか、麻痺患者や介護者などの重力非適応者を除けば、腹直筋組織層のインピ−ダンス情報と身体特定化情報とで推定可能となる。この推定は、腹直筋組織層のインピ−ダンスZMM1、身長H、体重W、年齢Ageを以下の式に代入することによって行う。
ZMM=a0*ZMM1+b0*H+c0*W+d0*Age+e0・・・式46
ここで、a0、b0、c0、d0、e0は、男女で別の値を与える定数である。
【0149】
20.内臓脂肪組織インピーダンス[ZFV]および内臓脂肪組織量[AFV]の推定
(45)内臓脂肪組織のインピーダンスZFVは、前項「13.内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)及び内臓脂肪組織量(AFV)の推定」に示した方法の他、以下のように推定することもできる。
先ず、式6を変形すると、
1/Ztm = 1/ZMM + 1/(ZVM+ZFV) ・・・式47
式47からZFVを誘導すると、次のようになり、内臓脂肪組織の情報を有するインピーダンス情報を求めることができる。
ZFV= 1/[ 1/Ztm−1/ZMM] − ZVM・・・式48
本式において、Ztmは実測値である。骨格筋組織層のインピ−ダンスZMMは2周波計測値を用いることができる。また、体幹部骨格筋組織層インピーダンスZMMと内臓器組織のインピ−ダンスZVMは、上述したように推定できるので、その推定値を代入することで、ZFVが抽出できる。すなわち、式48に、式46および式41を代入することによって、算出できる。
【0150】
次に、前述したような本発明の測定原理に基づいた、体幹部内臓脂肪組織量、及び/又は、皮下脂肪組織量を測定するための本発明の体幹部内臓・皮下脂肪測定方法及び装置の一実施例を説明する。
【0151】
図1は、本発明による体幹部内臓・皮下脂肪測定装置の一実施例の外観を示す概略斜視図であり、図2は、図1の装置の構成を示すブロック図、図3は、この装置に用いられているグリップ部の拡大斜視図である。これらの図に示されるように、本実施例の体幹部内臓・皮下脂肪測定は、主として、電力供給部1と、体重測定部2と、部位インピーダンス測定部3と、記憶部4と、表示兼入力部5と、印刷部6と、演算兼制御部7とを備える。
【0152】
電力供給部1は、本装置の電気系統各部に電力を供給する。
【0153】
体重測定部2は、公知の体重計の如き、重量検出部、増幅部およびAD変換部を備え、身体目方特定情報(体重)に基因する電圧を測定する。
【0154】
部位インピーダンス測定部3は、公知の生体インピーダンス測定装置(例えば、体脂肪計、体組成計等)の如き、電流供給部(単周波又は2周波駆動等)8、電流印加電極切替部9、電流印加電極10(10a〜10n)(n>5の整数)、電圧計測電極11(11a〜11n)(n>4の整数)、電圧計測電極切替部12および電圧測定部13を備え、各種の身体部位間の生体インピーダンス(各種の部位インピーダンス)に基因する電位差を測定する。
【0155】
記憶部4は、身長、四肢長、体幹長、体幹中部長等の身体特定化情報や前記の式1から式48等を記憶する。また、記憶部4は、後述するような健康指針アドバイスのための適当なメッセージ等も記憶する。
【0156】
表示兼入力部5は、入力部5aと表示部5bとが一体となったタッチパネル式の液晶表示器からなり、身長を含む身体特定情報を入力し、また、各種結果、アドバイス情報等を表示する。印刷部6は、表示部5bにて表示される各種結果、アドバイス情報等を印刷する。
【0157】
演算兼制御部7は、身体目方特定情報(体重)、各種の部位インピーダンス(上肢インピーダンス、下肢インピーダンス、体幹インピーダンス等)、前記式1から式48等に基づいて、体幹中部骨格筋組織量、下肢骨格筋組織量、上肢骨格筋組織量、内臓器組織量、皮下脂肪組織量、内臓脂肪組織量、体幹腹部脂肪組織量、腹部脂肪組織量、体幹腹部内臓脂肪/皮下脂肪比等を演算したり、呼吸による変動の影響除去処理や、内臓器組織異常判定等の処理を行ったり、その他、各種の入出力、測定、演算等行う。
【0158】
図1によく示されているように、本装置は、外観上は、概略L字型の形状をなし、体重測定部2を下部に、表示兼入力部5を上部に、印刷部6を前面に、およびグリップ部14a、14bを上部左右側面に配設している。
【0159】
体重測定部2には、左足電流印加電極10a、左足電圧計測電極11a、右足電流印加電極10bおよび右足電圧計測電極11bを配設し、グリップ部14aには、左手電流印加電極10cおよび左手電圧計測電極11cを、グリップ部14bには、右手電流印加電極10dおよび右手電圧計測電極11dを、それぞれ配設している。更に、例えば、グリップ部14bに、図3に示すような、体幹腹部用の電圧計測電極10eを配設することもできるし、図2に示すように、これらの電極10a〜e、11a〜dに加えて、必要に応じて、任意数の付加的な電流印加電極10f〜10nや電圧計測電極11e〜11nを配設することもできる。これらの電極は、電流印加電極切替部9や電圧計測電極切替部12によって、必要に応じて、任意に切替えて使用することができる。
【0160】
各グリップ部14a、14bを握ることにより、ユーザの左手と右手は、それぞれ、左手電流印加電極10cと左手電圧計測電極11c、及び、右手電流印加電極10dと右手電圧計測電極11dに、それぞれ接触し得る。また、体重測定部2に載ることにより、ユーザの左脚と右脚の足裏は、それぞれ、左足電流印加電極10aと左足電圧計測電極11a、及び、右足電流印加電極10bと右足電圧計測電極11bに、それぞれ接触し得る。更に、グリップ部14bの電流印加電極10eを、グリップ部14bを握ったまま移動させて、それを体幹腹部に押し当てることにより、電流印加電極10eから電流を印加して、体幹腹部組織の情報を測定することもできる。このように、本装置では、体組成を簡易に測定する象徴でもある手で握るグリップ電極14a、14b、及び、体重計の台座上に配置されたフット電極10a、10b、11a、11bを踏襲する中に、例えば、新たな測定情報として体幹腹部の内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織の情報を測定可能とするための体幹腹部への装着電極を新たに設けて、様々な部位についての測定を容易にすることができる。
【0161】
これら電流印加電極10と電圧計測電極11は、SUS材及び樹脂材表面を金属めっき処理等して実現されていてもよい。このタイプの電極は、金属電極表面に、保水性高分子膜をコ−ティングすることで、測定前に水分をふきつけるか、水にぬらして使用することにより、皮膚との電気的接触の安定性を確保することができる。また、特に図示しないが、粘着性貼り付けタイプの電極を用いることもできる。これは交換可能な粘着パッドを各電極のベ−ス電極面に貼り付けて皮膚との接触安定性を確保するタイプのものである。このタイプは、例えば、低周波治療器や心電図電極等でよく用いられており、測定後に取り外して廃棄するようなディスポ形態と、パッド表面が汚れて密着性が低下したり水分が蒸発した場合にのみ廃棄交換し、廃棄するまでの間はカバ−シ−ト等で保管する形態がある。
【0162】
また、電流印加電極10nや電圧計測電極11nを設ける位置は、特に限定されるものではない。例えば、電流印加電極10eは、ユーザの腹部に押し当てて使用するのに都合のよい位置に設けられていればよい。図3に示すように、グリップ部を握った手の側面側に位置付けられていてもよいし、或いはまた、図3に点線で示すような、グリップ部を握った手の甲側に位置付けられてもよい。このような構成とすることにより、簡便でシンプルな装置を実現することができる、つまり、片手ハンディタイプで、腹部に押し当て測定可能な小型シンプルな装置を提供することができる。ただし、両手で腹部に押し当てる形態としてもよく、この場合には、安定に押し当てることができる点で有利となる。
【0163】
図4に、図1乃至図3に示した本装置の他の実施例を簡略化して示す。この装置の基本構成は、図2のブロック図に示したものと同じものと考えてよい。尚、図1乃至図3に示した実施例と同様の部材については同様の番号を付している。この実施例では、操作パネル120がユーザ3の前面に配置されており、この操作パネル120の左右両側に、グリップ部14a’、14b’が設けてある。各グリップ部14a’、14b’には、上の実施例と同様に、左手電流印加電極10c’(図面には現れていない)や左手電圧計測電極11c’、右手電流印加電極10d’や右手電圧計測電極11d’が、それぞれ設けられており、更に、この実施例では、ユーザ3の右の腹側側面122に、腹部用の電流印加電極10e’が、設けてある。このような構成とすることにより、ユーザ3は、体重測定部2’に載って、グリップ部14a’、14b’を握った状態で、操作パネル120の側面に自身の腹部122を押し当てることにより、フリーハンドで、電流印加電極10e’からの電流も測定に用いることができる。
【0164】
次いで、図5を参照して、本装置にて用いられる四肢誘導法による各種の身体部位間の生体インピーダンスの測定のうち、特に、体幹インピーダンスのみを測定する場合の電極切替の態様を説明する。
【0165】
図5の(A)は、右手−右足間に通電し、左手−左足間にて電位差測定することにより、体幹部インピーダンスを測定する場合を示している(右上肢部と右下肢部間通電ルート体幹腹部生体インピーダンスZtmrrを示している)。この場合において、右手電流印加電極10dと右足電流印加電極10bとが電流印加電極として使用され、左手電圧計測電極11cと左足電圧計測電極11aとが電圧計測電極として使用される。
【0166】
図5の(B)は、左手−左足間に通電し、右手−右足間にて電位差測定することにより、体幹部インピーダンスを測定する場合を示している(左上肢部と左下肢部間通電ルート体幹腹部生体インピーダンスZtmllを示している)。この場合において、左手電流印加電極10cと左足電流印加電極10aとが電流印加電極として使用され、右手電圧計測電極11dと右足電圧計測電極11bとが電圧計測電極として使用される。
【0167】
図5の(C)は、右手−左足間に通電し、左手−右足間にて電位差測定することにより、体幹部インピーダンスを測定する場合を示している(右上肢部と左下肢部間通電ルート体幹腹部生体インピーダンスZtmrlを示している)。この場合において、右手電流印加電極10dと左足電流印加電極10aとが電流印加電極として使用され、左手電圧計測電極11cと右足電圧計測電極11bとが電圧計測電極として使用される。
【0168】
図5の(D)は、左手−右足間に通電し、右手−左足間にて電位差測定することにより、体幹部インピーダンスを測定する場合を示している(左上肢部と右下肢部間通電ルート体幹腹部生体インピーダンスZtmlrを示している)。この場合において、左手電流印加電極10cと右足電流印加電極10bとが電流印加電極として使用され、右手電圧計測電極11dと左足電圧計測電極11aとが電圧計測電極として使用される。このような四肢誘導法による各種の身体部位間の生体インピーダンスの測定における電極切替は、被測定者(ユーザ)が各電極にタッチした状態において、演算兼制御部7により制御のもとで、電流印加電極切替部9および電圧計測電極切替部12によって行われる。
【0169】
図6は、体幹腹部(中部)の構造を模式的に示す図であり、体幹腹部を構成する組織は、皮下脂肪組織層(FS)、骨格筋組織層(MM)、内臓器組織(VM)、その隙間に付着する内臓脂肪組織(FV)と考えることができる。体幹部へ通電する場合には、骨格筋組織層へ大半の電流が通電すると考えられる。何故ならば、骨格筋組織層の電気導電性が他の組織に比べて良いからである。内臓器組織は、内臓脂肪組織と直列に考えられ、内臓脂肪組織の大小により、通電量の変化を期待できることがわかる。
【0170】
図7は、図6の体幹腹部の構造を電気的等価回路として表したもので、皮下脂肪組織層を省略して考えた簡略化体幹腹部等価回路を示しており、前項「3.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化」(14)におけるアプローチ1の手法にて考慮される体幹腹部等価回路である。また、図8は、同様に、図6の体幹腹部の構造を電気的等価回路として表したもので、皮下脂肪組織層を省略せずに考えた体幹腹部等価回路を示しており、前項「3.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化」(15)におけるアプローチ2の手法にて考慮される体幹腹部等価回路である。なお、これらの図において使用されている符号は、前述したとおり、Ztmは、体幹中部全体のインピーダンス、ZFSは、皮下脂肪組織層のインピーダンス、ZMMは、骨格筋組織層のインピーダンス、ZVMは、内臓器組織のインピーダンス、ZFVは、内臓脂肪組織のインピーダンスをそれぞれ示している。そして、前述したとおり、図7の等価回路においては、
Ztm ≒ ZMM//(ZVM+ZFV)の関係式が成り立ち、
図8の等価回路においては、Ztm = ZFS//ZMM//(ZVM+ZFV)の関係式が成り立つ。
【0171】
<皮下脂肪測定、或いは、皮下脂肪及び内臓脂肪の選択測定>
特に、皮下脂肪測定、或いは、皮下脂肪及び内臓脂肪の選択測定に用いられる技術を説明する。
【0172】
図9は、図6に示された体幹部の模式図を臍高さにおける腹囲周横断面にてモデル化した図である。この図に示すように、体幹部断面は、最も外側にある皮下脂肪組織層(FS)と、そのすぐ内側にある骨格筋組織層(MM)と、最も内側にある内臓器組織(VM)とそれに取り巻く内臓脂肪組織(FV)を含む。
【0173】
図10は、図9に示された模式図を更に電気的な等価回路として表したものである。例えば、電流印加電極10e、10fにおいて電流(I)を印加し、電流計測電極11e、11fで電位差(V)を測定するものとした場合、この等価回路における電気抵抗は、主として、臍前後付近の皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS1、ZFS2)と、腹周囲の皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS0)と、臍の左右各側の骨格筋組織層のインピーダンス(ZMM1、ZMM2)と、臍前後付近の内臓脂肪組織のインピーダンス(ZFV1、ZFV2)、更に、体幹部中心付近の内臓器組織のインピーダンス(ZVM)として現れる。
【0174】
図11に、図10を更に簡略化した回路を示す。ZFS1とZFS2は略同じ大きさと考えられるため、ここでは、それらを同値のZFSとして表し、また、ZMM1とZMM2、或いは、ZFV1とZFV2は、それぞれ、ZMM、ZFVとして表している。また、導電性が他の領域に比べて著しく低いと考えられるZFS0は省略した。これを省略できる点は、前項「3.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化」(13)の記載から明らかであろう。
【0175】
次に、図12を参照して、四電極法における電極間距離と広がり抵抗の関係を説明する。図12は、電極間距離と広がり抵抗の関係を示したものである。図中、丸い点線で囲った部分30は広がり抵抗領域を示す。電流印加電極からの電流は、印加後に徐々に被験者の体内に広がるが、印加直後の領域、即ち、広がり抵抗領域においては、それほど大きくは広がっておらず、このため、これらの領域では電流密度が他の領域に比べて非常に高くなる。したがって、電流印加電極10e、10fと電圧計測電極11e、11fをあまりに接近させて配置した場合には、電圧計測電極11e、11fにおいて測定される電位差は広がり抵抗領域における電流の影響を大きく受けてしまう。
【0176】
例えば、前述した式31より明らかなように、臍付近における皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS)と、腹周囲における皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS0)、骨格筋組織層のインピーダンス(ZMM)、内臓脂肪組織のインピーダンス(ZFV)、及び、体幹部中心付近の内臓器組織のインピーダンス(ZVM)の間には、
ZFS >> (ZVM+ZFV) >> ZMM
の関係がある。
したがって、I−V電極間距離がほとんど無く近接して配置されたときの電位差計測インピーダンスΣZ1は、
ΣZ1=2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)≒2*ZFS
となる。これにより明らかなように、広がり抵抗の影響でZFSが数倍に増幅されるため、ここでは、ZFSによる情報が支配的となる。
【0177】
広がり抵抗の影響を小さくするには、電流印加電極と電圧計測電極の間の距離を大きくする必要がある。例えば、I−V電極間距離を10cm程度確保して配置した場合の電位差計測インピーダンスΣZ2は、
ΣZ2≒2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)
である。明らかなように、I−V電極間距離を広げることによって、広がり抵抗の影響は多少小さくなっているが、この程度離しただけでは、まだZFSの情報が支配的である。
【0178】
この広がり抵抗の影響を詳細に検討するため、図13に示すように、電極11e、11f、11g、11hにおけるI−V電極間及びV−V電極間相互の距離が各々1/3程度になるよう10cm程度確保して配置した場合を考える。ただし、電極10e、11eや、電極10f、11hは、前記I−V電極間距離がほとんど無い近接配置とする。この場合の電位差計測インピーダンスΣZ3は、
ΣZ3≒2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)である。
このとき電極間で計測される電圧降下(電位差)の関係は、おおよそ次のようになる。
V1=I*ZMM//(ZVM+ZFV)
V2=V3=I*2*ZFS
V1:(V2+V3)≒1〜2:10〜20=S:N
上式におけるSの1〜2やNの10〜20のバラツキは、皮下脂肪組織層の厚みの個人差と骨格筋組織層の発達具合によるものである。この結果からも分かるように、たとえ電極間距離を調節しても、十分なS/Nが確保できるとは言いがたい。
【0179】
また、ほとんどの電流は骨格筋組織層で支配的に通電されるため、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層への通電感度を十分に確保することはできない。即ち、骨格筋組織層に流れる電流をI1、測定対象である内臓器組織と内臓脂肪組織に流れる電流をI2とすれば、
V1=I*ZMM//(ZVM+ZFV)=I1*ZMM=I2*(ZVM+ZFV)
I=I1+I2
となり、よって、
ZMM:(ZVM+ZFV)=I2:I1≒1:2〜5
となる。これより明らかなように、たとえ広がり抵抗の影響を排除できたとしても、骨格筋組織層に流れる電流は内臓器組織と内臓脂肪組織に流れる電流の2〜5倍にも及ぶため、この結果、S/N特性は更に悪くなる。このように、体幹部のような太短い測定部位においては、たとえ電極間距離を調整しても、電流印加電極間距離で上限が決まってしまうことから、S/N特性の改善には限界がある。
【0180】
図14に、図6と同様の方法で、皮下脂肪組織層情報を得るための電極配置方法の一例を示す。この電極配置方法を基礎として、皮下脂肪組織層情報のみならず、内臓脂肪組織情報をも互いに分離した情報として同時に計測することができる。本発明の装置は、内臓脂肪組織を計測するための電圧計測電極と、皮下脂肪組織層を計測するための電圧計測電極の双方を有し、これらの電極配置を切換手段で選択的に切換えることによって、内臓脂肪組織情報と皮下脂肪組織層情報の双方を計測することもできる。両方同時計測の目的は、呼吸等による測定中の変動誤差要因を呼吸の変動より速いサンプリングタイミングで計測する等、両測定を同じ環境で同時に測定することでその誤差要因を相対的に除去可能とすることにある。よって、呼吸以外に心拍その他の体動等による影響も考えられる。スピ−ドを早くする以外に、同一測定環境でのスム−ジング処理等でも、同様の目的を達することが出来る。
【0181】
図15乃至図18に、皮下脂肪組織層情報(内臓脂肪組織情報ではない)を得るための具体的な電極配置例を示している。ここで、図15は、左右の腱膜部15に配置した電流印加電極10e、10f直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測配置例を示す図であり、V2は、右前側部皮下脂肪組織層計測電位差を、V3は、左前側部皮下脂肪組織層計測電位差を、それぞれ示す。図16は、臍A付近部に配置した電流印加電極10f直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測配置例を示す図であり、V2は、臍付近部の皮下脂肪組織層計測電位差を示す。図17は、臍A下部に配置した電流印加電極10f直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測配置例を示す図であり、V2は、臍下部の皮下脂肪組織層計測電位差を示す。図18は、側腹部16に配置した電流印加電極10f直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測配置例を示す図であり、V2は、側腹部16の皮下脂肪組織層計測電位差を示す。
【0182】
皮下脂肪組織層情報(具体的には、電位差値やインピーダンス値)を得るために、ここでは広がり抵抗を利用する。広がり抵抗は一般には好ましくないものとして捉えられてきたが、特に、電流印加電極直下における広がり抵抗は皮下脂肪組織層に関する情報を表すものということができるため、この領域の電位差を計測することで有用な皮下脂肪組織層情報を得ることができる。
【0183】
広がり抵抗を測定するため、少なくとも1つの電流印加電極対と、この電流印加電極対から印加された電流によって被験者に生じた電位差を測定し得る、少なくとも1つの電圧計測電極対を備える。ここで、電流印加電極対に含まれる一方の電流印加電極、例えば、電流印加電極は、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加するように使用され、他方の電流印加電極、例えば、電流印加電極10aは、皮下脂肪組織層が厚い部位(又は、皮下脂肪組織層測定対象部位)に電流を印加するように使用される。
【0184】
一方、電圧計測電極対に含まれる一方の電圧計測電極11eは、電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置、つまり、電流印加電極に近接して配置される。これに対し、他方の電圧計測電極11fは、電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置(前記電流印加電極に対して、一方の電圧計測電極11eを近接配置する距離の3倍以上遠方となる位置)、つまり、電流印加電極直下の皮下脂肪組織層の影響を受けないまたは受け難い部位に配置される。前者の(一方の)電圧計測電極11eが配置される位置としては、例えば、体幹部において皮下脂肪組織層のつきやすい臍位近辺、側腹部(腸骨稜上縁部)、側背部等、皮下脂肪組織層が個人差を反映する非常に厚く蓄積される部位があり、後者の(他方の)電圧計測電極11fが配置される位置としては、例えば、臍部と腸骨稜上縁部の間(外腹斜筋と腹直筋の結合腱膜部近辺)等、皮下脂肪組織層が個人差を反映する脂肪組織層の付き難い部位である。電流印加電極に近接して設ける電圧計測電極の配置は、電流印加電極を中心とした全周どの位置にあっても同じ情報を捕捉することができる。例えば、図15に示されているように、各電圧計測電極対を、臍と背骨を中心軸とした対向する左右の電流印加電極位置に近接した位置に配置して、左右両側側部の皮下脂肪組織層を計測することもできる。
【0185】
電流印加電極から印加された電流によって電圧計測用電極11e、11f間や、電圧計測用電極11g、11h間、に生じた、電位差V2、V3等における電位差計測値は、皮下脂肪組織層部のインピーダンス(ZFS)値に比例し、また、皮下脂肪組織層の厚み(LFS)情報に比例する、インピーダンス情報と考えられる。広がり抵抗部のインピーダンスを△Z、電流印加電極の面積に相当する定数をA0とおけば、
△Z ∝ ZFS ∝ LFS/A0 ∝ LFS
である。故に、皮下脂肪組織層の横断面積量AFSは、
AFS=Lw*LFS=aa0*ZFS*Lw+bb0・・・式45
で求めることができる。尚、上式において、Lwは腹囲長、つまり、腹周囲の長さ、aa0、bb0は、男女で別の値となる定数である。
【0186】
皮下脂肪組織層情報とともに内臓脂肪組織情報(電位差値、インピーダンス値等)を得るには、皮下脂肪組織層情報を測定するための電圧電極配置とは異なる配置で設ける、少なくとももう1組の電圧計測電極対が必要である(以上の結果、皮下脂肪組織情報と内臓脂肪組織情報の双方を同時に計測するためには、少なくとも2つの電圧計測電極対が必要である)。
【0187】
図19乃至図22に、皮下脂肪組織層情報、若しくは、皮下脂肪組織層情報と内臓脂肪組織情報の双方を同時に(選択的に)計測するための具体的な電極配置例を示す。ここで、図19は、内臓脂肪組織と左右の腱膜部15R、15Lに配置した電流印加電極13R、13L直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測配置例を示す図であり、V1は、内臓脂肪組織計測電位差を、V2は、右前側部皮下脂肪組織層計測電位差を、V3は、左前側部皮下脂肪組織層計測電位差を、それぞれ示す。生体の左右の組織層バランスは、ほぼ対称と考えられるため、V2≒V3であり、また、電流印加電極に近接する四方に配置の電圧計測電極は、いずれの配置の電極を用いても同様の計測結果が得られる。図20は、内臓脂肪組織層と臍A付近部及び左腱膜部15Lに配置した電流印加電極直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測配置例を示す図であり、V1は、内臓脂肪組織計測電位差を、V2は、臍付近部皮下脂肪組織層計測電位差を、V3は、左前側部皮下脂肪組織層計測電位差を、それぞれ示す。図21は、内臓脂肪組織と右腱膜部15L及び左腱膜部15Rに配置した電流印加電極10e、10f直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測配置例を示す図であり、V1は、内臓脂肪組織計測電位差を、V2は、右側腹部皮下脂肪組織層計測電位差を、V3は、左前側部皮下脂肪組織層計測電位差を、それぞれ示す。図22は、内臓脂肪組織と複数部位に配置した電流印加電極直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測配置例を示す図であり、V1は、I1との組み合わせによって内臓脂肪組織計測電位差を、V2は、I1との組み合わせによって右前側部皮下脂肪組織層計測電位差を、V3は、I2との組み合わせによって臍付近部皮下脂肪組織層計測電位差を、V4は、I3との組み合わせによって左側腹部皮下脂肪組織層計測電位差を、それぞれ示す。
【0188】
内臓脂肪組織の計測は、内臓脂肪組織そのものの直接の計測ではなく、図9や図10のモデルを想定し、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織体として行う。内臓脂肪組織の測定にあたっては、最適なS/N条件を確保するため、骨格筋組織層より内側の内臓器組織及び内臓脂肪組織における電流印加電極からの電流通電量を増やし、測定対象組織への計測感度を確保する。更に言えば、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位から、電流印加電極によって電流を印加することによって、広がり抵抗の影響を最小限にとどめ、内臓器組織や内臓脂肪組織への通電感度を改善する。尚、腹囲周横断面積を測定基準とする場合、電流印加電極10e、10fから電流を印加する部位は、皮下脂肪組織層が最も薄く沈着する部位、または、導電性の良い骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは少ない筋結合領域である、例えば、腱部(腱画,腱膜部等)15、更に具体的に言えば、臍と腸骨稜上縁間の区間、腹直筋と外腹斜筋間の結合腱部(腱膜部)となる。
【0189】
皮下脂肪組織層情報のみならず、内臓脂肪組織情報をも得るために、図19乃至図22の実施例では、付加的な電圧計測電極対、即ち、図19、図21のV1や、図22のV1、V3が設けられている。これら付加的な電圧計測電極対を設ける位置は、通電性の良い、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位とする。図面から明らかなように、これら内臓脂肪組織情報を得るための付加的な電圧計測電極対に含まれる電圧計測電極と、皮下脂肪組織層情報を得るための電圧計測電極対に含まれる電圧計測電極11f、11gとは、互いに併用することができる。例えば、図19において、内臓脂肪組織情報を得るための電圧計測電極対V1に含まれる電圧計測電極11f、11gは、それぞれ、皮下脂肪組織層情報を得るための電圧計測電極対V2に含まれる電圧計測電極や、同様に皮下脂肪組織層情報を得るための電圧計測電極対V3に含まれる電圧計測電極としても使用され得る。
【0190】
このように、図19乃至図22の構成では、皮下脂肪組織層測定用の電圧電極対と内臓脂肪組織測定用の電圧電極対の少なくとも2つの電圧計測電極対が設けられることになるが、計測すべき電位差(V1乃至V3のいずれか)、つまり、計測すべき部位は、図2の電圧計測電極切替部9によって容易に選択することができる。したがって、内臓脂肪組織を計測するための配置と皮下脂肪組織層を計測するための配置の双方を有する電極配置構成により、切換手段で切換えて両組織情報を容易に分離計測することができる。
【0191】
上の説明から明らかなように、本発明の一つの態様では、臍囲周から離した電極配置を採ることで、最善の距離条件を確保し、また、皮下脂肪組織層のインピ−ダンス(ZFS)を本来の四電極法の計測として、分離除去するものである。更に、本発明の別の態様では、四電極の全てを腹囲周上に揃わせることはせず、少なくも1つの電極を腹囲周上からずらした位置に配置することによって、より最適なS/N条件を確保するよう構成されている。このような配置方法としては、図19乃至図22に示したように、例えば、電流印加電極対は臍(腹)囲周上に配置し、電圧計測電極のみを対としてまたは対を形成する電極のうちの一方を周上から外れた位置に配置する方法が考えられる。また、電流印加電極対のうちの一方を周上に配置し、他方を周上から外れた位置に配置してもよい。尚、電流印加電極対、或いは、電圧計測電極対は、被験者の臍を中心として見た場合の左右の上記部位間、つまり、皮下脂肪組織層の薄い部位に配置してもよい。但し、電圧計測電極は、例えば、臍(腹)囲周上から外れた腹部領域内の体幹部長手方向とする。
【0192】
<腱膜を利用した内臓脂肪等の測定>
次に、腱膜を利用した内臓脂肪等の測定について説明する。
図23の電気等価回路において、例えば、電流印加電極10e、10fで電流(I)を印加し、電圧計測電極11f、11eで電位差(V)を測定するものとした場合、この等価回路における電気抵抗は、主として、臍前後付近の皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS1、ZFS2)と、腹周囲の皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS0)と、臍の左右各側の骨格筋組織層のインピーダンス(ZMM1、ZMM2)と、臍前後付近の内臓脂肪組織のインピーダンス(ZFV1、ZFV2)、更に、体幹部中心付近の内臓器組織のインピーダンス(ZVM)として現れる。
【0193】
図23に、図9や図14と同様の方法で、本発明で使用することができる電極配置方法の一例を示す。最適なS/N条件を確保するため、ここでは、骨格筋組織層より内側の内臓器組織及び内臓脂肪組織における電流印加電極10e、10fからの電流通電量を増やし、測定対象組織への計測感度を確保する。更に言えば、皮下脂肪組織層の薄い部位、換言すれば、皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS)が小さい部位から電流を印加することによって、広がり抵抗の影響を最小限にとどめ、内臓器組織や内臓脂肪組織への通電感度を改善する。広がり抵抗の影響を少なくするため、電圧計測電極11e、11fによる電位差の測定も、皮下脂肪組織層による影響が少ない皮下脂肪組織層の薄い部位、換言すれば、皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS)が小さい部位で行うのが好ましい。尚、腹囲周横断面積を測定基準とする場合、電流印加電極10e、10fから電流を印加する部位は、皮下脂肪組織層が最も薄く沈着する部位、または、導電性の良い骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い骨格筋結合領域である、例えば、腱部(腱画,腱膜等)15、更に具体的に言えば、臍と腸骨稜上縁間の区間、腹直筋と外腹斜筋間の結合腱部(腱膜部)となる。
【0194】
更に、最適なS/N条件を確保するためには、四電極の全てを腹囲周上に揃わせることはせず、少なくとも一つの電極を腹囲周上からずらした位置に配置するのが好ましい。臍囲周から離した配置を取ることで、最善の距離条件を確保することができ、また、皮下脂肪組織層のインピ−ダンス(ZFS)を本来の四電極法の計測として、分離除去することができる。
【0195】
このような配置方法として、例えば、電流印加電極対は腹(臍)囲周上に配置し、電圧計測電極のみを対としてまたは対を形成する電極のうちの一方を周上から外れた位置に配置する方法が考えられる。また、電流印加電極対のうちの一方を周上に配置し、他方を周上から外れた位置に配置してもよい。尚、電流印加電極対、或いは、電圧計測電極対は、被験者の臍Aを中心として見た場合の左右の上記部位間、つまり、皮下脂肪組織層の薄い部位に配置してもよい。但し、電圧計測電極は、例えば、腹(臍)囲周上から外れた腹部領域内の体幹部長手方向とする。
【0196】
図24乃至図26に実際の電極配置例を示す。図24は、電圧計測電極を臍囲周より上部に配置したもの、図25は、電圧計測電極を臍囲周より下部に配置したもの、図26は、図24と同様に、臍囲周より上部であるが、腹直筋の臍Aより少し上の腱画位置の腱膜位置に配置したものである。
【0197】
<腹直筋を利用した内臓脂肪等の測定>
次に、腹直筋を利用した内臓脂肪等の測定について説明する。骨格筋(腹直筋)組織層を仮想電極層として利用することによって、骨格筋組織層より内側の内臓器組織及び内臓脂肪組織に電流通電量を増やし、内臓脂肪組織への計測感度を確保することができる。図27〜図29に、本発明で使用することができる、腹直筋組織層仮想電極の配置方法を示す。図27は、体幹腹部の実際の構造を表面側及び背面側から示したものであり、図28は、図27の構造を模式的に示した図である。図29は、図27を等価回路として表した図である。
【0198】
図27に示すように、腹直筋組織層50は、体幹部長手方向に沿って規則正しく筋線維が配列されており、50KHz近辺の筋線維に感度の高い周波数電流を体幹長に沿って通電させると、腹直筋組織層に支配的に電流が誘導される、導電ガイドとなる。他の外腹斜筋組織層20は、斜めに筋線維が走行していて、腹直筋組織層50に比べて通電性が悪くなる。
【0199】
特に、体幹長手方向の中でも、鳩尾下と背面腰部間に体幹を斜めに通電する区間では、外腹斜筋組織層20は、線維方向が通電方向に対して垂直に配列することとなり、一番体積抵抗率の高い条件となるため、通電ガイドとしての機能は低い。
【0200】
図28に示すように、体幹腹部の構造は、外側から内側に向かって、皮下脂肪組織層(FS)、骨格筋組織層(MM)、内臓脂肪組織(FV)及び内臓器組織(VM)の組織の層状構造として表される。これは、図6にも示した通りである。そして、骨格筋組織層(MM)は、腹直筋組織層(MM1)と腹直筋組織層以外の斜めに筋線維走向の骨格筋組織層(MM2)とに分けられる。
【0201】
組織間の電気的特性は、体積抵抗率ρ[Ωm]で決まり、腹直筋組織層(MM1)と、腹直筋組織層以外の斜めに筋線維走向の骨格筋組織層(MM2)の組織の電気的特性値を考慮すると、上記「3.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化」、「11.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化(補足1)」、「17.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化(補足2)」において説明された各組織の電気的特性値は一般に以下の関係で説明される。
ρMM1<<ρ(VM+FV)<ρFS
ρVM<<ρFV
ρMM1<ρMM2
ρMM2=ρVM、若しくは、ρMM2<ρVM
ρFV=ρFS、若しくは、ρFV<ρFS
ここで、
皮下脂肪組織層の体積抵抗率:ρFS
内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層の体積抵抗率:ρ(VM+FV)
骨格筋組織層の中の腹直筋組織層の体積抵抗率:ρMM1
腹直筋組織層以外の斜めに筋線維走向の骨格筋組織層の体積抵抗率:ρMM2
よって、インピーダンス情報に置き換えると上記式31は、次のように表される。
ZFS >>Z(VM+FV) >ZMM2> ZMM1
となる。
ここで、
皮下脂肪組織層のインピーダンス:ZFS
骨格筋組織層の中の腹直筋組織層のインピーダンス: ZMM1
腹直筋組織層以外の斜めに筋線維走向の骨格筋組織層のインピーダンス: ZMM2
内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層のインピーダンス: Z(VM+FV)=ZVM+ZFV
【0202】
図27〜図29に示す実施例では、一方の電流印加電極33が体幹表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部上端近くに配置され、他方の電流印加電極34が背面腰下部に配置されている。内臓脂肪組織計測用の電圧計測電極対の一方の電極36を、電流印加電極近辺の広がり抵抗の影響を無視できるまで離して配置する。他方の電極37は、腹直筋組織層のインピーダンス直列分を外すために、腹直筋組織層上の臍囲周近辺に配置する。
【0203】
電極33と電極34の間に電流Iが印加されると、その電流は図28及び図29の破線で示すような経路に沿って流れる。したがって、電極36と37で計測される電位差V1は、内臓脂肪組織計測電位差であり、V1の計測範囲は、S1で示される。ここで選定した電流印加電極位置は、表面側鳩尾下部と背面側腰下部とも、皮下脂肪組織層が非常に薄いため、広がり抵抗の影響回避のためのI−V電極間距離の確保は、容易でわずかで良い。したがって、I、V1から次のインピーダンスが得られる。
Ztm=V1/I=ZMM2//(ZVM+ZFV)
【0204】
ここで、Ztmは電圧計測電極36及び37で補足される体幹腹部の合成インピーダンスであり、ZMM=ZMM2とおくと、
Ztm=ZMM//(ZVM+ZFV)
となり、これは、上記式44と同じである。よって、上述した手法によって、内臓脂肪組織量を計測することができる。
【0205】
表面側電流印加電極33の位置としては、図30に示すように、腹直筋組織層50上の上部で、腱画21で6区分されている二段目上部ぐらいまで配置可能である。この場合、白線23を挟んだ左右の腹直筋組織層両方にまたがる電極幅を確保する。背面側電流印加電極34の位置としては、臍Aの位置(高さ)から左右大殿筋25の間の結合腱膜部までの範囲で配置可能である。なお、図30において、S3及びS4は、電極33及び34の電流印加電極配置の許容範囲を示す。
【0206】
また、表面側電圧計測電極37の位置としては、図31に示すように、腹直筋組織層上で臍位置よりやや上から臍位置より下部まで配置可能である。外腹斜筋組織層と腹直筋組織層の結合腱膜部も、腹直筋組織層との近接範囲では許容範囲となる。背面側電圧計測電極36の位置としては、電流印加電圧より広がり抵抗の影響分の距離を確保する中で、広背筋27と大殿筋25の結合腱膜部で腹側部までの範囲で配置可能である。なお、図31において、S5及びS6は、電極37及び36の電圧計測電極配置の許容範囲を示す。
【0207】
上述したような内臓脂肪組織の計測技術に皮下脂肪組織層の計測技術を組み合わせることもできる。このような計測技術の組み合わせについて、以下、説明する。
【0208】
図32〜図34は、皮下脂肪組織層のインピーダンス計測のための電極配置例並びに内臓脂肪組織の計測及び皮下脂肪組織層の計測のための組み合わせ電極配置例を示しており、図32が被験者の臍Aを中心として見た腹部の表面側の図であり、図33が被験者の背面側の図である。また、図34は、左側が被験者の背面側を示し、右側が被験者の表面側を示している。
【0209】
(i)腹直筋組織層部上に配置した電流印加電極直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測電極配置例
図32において、53及び54は電流印加電極を示し、55〜60は電圧計測電極を示す。電極53は、図27の33に相当するもので、その配置は、図27と同様である。電極53及び54は、皮下脂肪組織層計測用の電流印加電極対を構成する電極である。電極55及び56は腹部上部(鳩尾下部)皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。また、電極55及び58は、臍部周辺皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。電極56及び58は、電流印加電極53及び54にそれぞれ近接して、電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置され、電極55は、電流印加電極53及び54に対して電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されている。V2は、印加電流I2による腹部上部(鳩尾下部)皮下脂肪組織層計測電位差、V3は、印加電流I2による臍部周辺皮下脂肪組織層計測電位差をそれぞれ示す。
【0210】
電流印加電極に近接する電圧計測電極56及び58は、その電流印加電極の四方のいずれの位置に配置してもよい。例えば、破線の矢印で示すように、電極56に代えて電極57を配置し、また、電極58に代えて電極59又は電極60を配置することもできる。この場合、これら電流印加電極に近接して四方に配置された電圧計測電極は、いずれの配置の電極を用いてもほぼ同等の計測結果が得られる。
【0211】
(ii)背面腰部に配置した電流印加電極直下の皮下脂肪組織層のインピーダンス計測電極配置例
図33において、61及び62は電流印加電極を示し、63〜68は電圧計測電極を示す。電極61は、図27の34に相当するもので、その配置は、図27と同様である。電極61及び62は、皮下脂肪組織層計測用の電流印加電極対を構成する電極である。電極63及び64は臍部腰部付近部の皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。また、電極63及び66は、臍位腰部側腹付近部の皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。電極64及び66は、電流印加電極61及び62にそれぞれ近接して、電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置され、電極63は、電流印加電極61及び62に対して電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されている。V2は、印加電流I2による臍位腰部付近部の皮下脂肪組織層計測電位差、V3は、印加電流I2による臍位腰部側腹付近部の皮下脂肪組織層計測電位差をそれぞれ示す。
【0212】
電流印加電極に近接する電圧計測電極64及び66は、その電流印加電極の四方のいずれの位置に配置してもよい。例えば、破線の矢印で示すように、電極64に代えて電極65を配置し、また、電極66に代えて電極67又は電極68を配置することもできる。この場合、これら電流印加電極に近接して四方に配置された電圧計測電極は、いずれの配置の電極を用いてもほぼ同等の計測結果が得られる。
【0213】
(iii)内臓脂肪組織の計測と皮下脂肪組織層の計測の組み合わせ電極配置例
図34において、70〜73は電流印加電極を示し、74〜77は電圧計測電極を示す。電極61及び62は、内臓脂肪組織計測用の電流印加電極対を構成する電極である。また、電極70及び72は、臍位付近部皮下脂肪組織層計測用の電流印加電極対を構成する電極であり、電極71及び73は、背面腰側部皮下脂肪組織層計測用の電流印加電極対を構成する電極である。電極70及び71は、図27の33及び34にそれぞれ相当するもので、その配置は、図27と同様である。
【0214】
電極74及び75は臍位付近部の皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。また、電極76及び77は、背面腰側部の皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。電極75及び77は、電流印加電極72及び73にそれぞれ近接して、電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置され、電極74及び76は、それぞれ電流印加電極70、72及び71、73に対して電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されている。V1は、印加電流Iによる内臓脂肪組織計測電位差、V2は、印加電流I2による臍位付近部の皮下脂肪組織層計測電位差、V3は、印加電流I3による背面腰側部の皮下脂肪組織層計測電位差をそれぞれ示す。
【0215】
図34に示すように、電圧計測電極対によるインピーダンス計測を、電流印加電極直下の皮下脂肪組織層の影響を受けない又は受け難い組み合わせと、電流印加電極直下の皮下脂肪組織層の影響を大きく受ける(広がり抵抗域の計測)組み合わせの二組以上の電極対の組み合わせで実施し、皮下脂肪組織層の情報と内臓脂肪組織の情報の両方を同時に分離した情報として計測できる。
【0216】
例えば、皮下脂肪組織層計測電極と内臓脂肪組織(通電の主流は、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合体組織層への通電によって計測される組織層情報)計測電極の両配置を同時に持ち、図2の電流印加電極切替部9及び電圧計測電極切替部12によって電流印加電極対及び電圧計測電極対を適当に選択することによって、両組織情報を分離計測できる。
【0217】
両組織情報を同時に計測することによって、呼吸等による測定中の変動誤差要因を呼吸の変動より速いサンプリングタイミングで計測する等、両測定を同じ環境で同時に測定できるので、その誤差要因を相対的に除去できる。よって、呼吸以外に心拍等による影響も除去できる。スピードを早くする以外に、同一測定環境でのスムージング処理等でも、同様の効果が得られる。
【0218】
<腹直筋のインピーダンスを利用した内臓脂肪等の測定>
次に、腹直筋のインピーダンスを利用した内臓脂肪等の測定について説明する。
骨格筋(腹直筋)組織層を仮想電極層として利用することによって、骨格筋組織層より内側の内臓器組織及び内臓脂肪組織に電流通電量を増やし、内臓脂肪組織への計測感度を確保するとともに、腹直筋組織層自身のインピーダンスも計測する。図35〜図37に、本発明で使用することができる、腹直筋組織層仮想電極による腹直筋組織層の計測における電極配置方法を示す。図35は、体幹腹部の実際の構造を表面側および背面側から示したものであり、図36は、図35の構造を模式的に示した図である。図37は、図35を等価回路として表した図である。
【0219】
図35〜図37に示す実施例では、一方の電流印加電極43が体幹表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部上端近くに配置され、他方の電流印加電極44が背面腰下部に配置されている。内臓脂肪組織計測用の電圧計測電極対の一方の電極46を、電流印加電極近辺の広がり抵抗の影響を無視できるまで離して配置する。他方の電極47は、腹直筋組織層のインピーダンス直列分を外すために、腹直筋組織層上の臍囲周近辺に配置する。さらに、腹直筋組織層計測用の電圧計測電極対の一方の電極48を、電流印加電極近辺の広がり抵抗の影響を無視できるまで電流印加電極43から離して腹直筋組織層上に配置する。他の電極47は、上記内臓脂肪組織計測用の電圧計測電極と共用する。この腹直筋組織層計測用の電圧計測電極47は、腹直筋組織層中部から下部の臍Aの位置を基準として、臍上又は臍下部に、または、臍部を含めた位置に配置可能である。
【0220】
電極43と電極44の間に電流Iが印加されると、その電流は図11および図12の破線で示すような経路に沿って流れる。したがって、電極46と47で計測される電位差V1は、内臓脂肪組織計測電位差であり、V1の計測範囲は、S1で示される。また、電極47と48で計測される電位差V2は、腹直筋組織層計測電位差であり、V2の計測範囲は、S2で示される。ここで選定した電流印加電極位置は、表面側鳩尾下部と背面側腰下部とも、皮下脂肪組織層が非常に薄いため、広がり抵抗の影響回避のためのI−V電極間距離の確保は、容易でわずかで良い。したがって、I、V1、V2から次のインピーダンスが得られる。
Ztm=V1/I=ZMM2//(ZVM+ZFV)
ZMM1=V2/I
【0221】
上述したように、本発明の一つの態様では、骨格筋組織層のインピ−ダンスZMMは2周波計測値を用いることができる。これは、腹直筋組織層のインピーダンスの測定を、腹直筋組織層に対して感度の高い周波数f1の印加電流によって行い、前記体幹部の生体インピーダンスの測定を、f1よりも高い周波数で筋線維に対してほとんど影響を受けない周波数f2の印加電流によって行うものである。
【0222】
図38〜図41は、本発明で使用することができる内臓脂肪組織、腹直筋組織層および皮下脂肪組織層の計測のための組合せ電極配置例または電極配置の位置決め方法を示しており、いずれも図においても、右側が被験者の臍Aを中心として見た腹部の表面側の図であり、左側が被験者の背面側の図である。
【0223】
(i)内臓脂肪組織と腹直筋組織層と皮下脂肪組織層の計測電極配置
図38において、83〜85は電流印加電極を示し、86〜89は電圧計測電極を示す。電極83、84、86、87、88は、図35の43、44、47、48、46に相当するもので、その配置は、図35と同様である。電極86は、腹直筋組織層中部から下部の臍Aの位置を基準として、臍上又は臍下部に、または、臍部を含めた位置に配置可能である。S7は、電極86の配置における許容範囲を示す。
【0224】
電極84、85は、皮下脂肪組織層計測用の電流印加電極対を構成する電極であり、電極88、89は皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。電極89は、電流印加電極85に近接して、電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置され、電極88は、電流印加電極84に対して電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されている。V1は、印加電流Iによる内臓脂肪組織計測電位差、V2は、印加電流Iによる腹直筋組織層計測電位差、V3は、印加電流I3による皮下脂肪組織層計測電位差(特に電極85、89の位置を考慮して背面腰側部皮下脂肪組織層計測電位差)をそれぞれ示す。
【0225】
(ii)電圧電極共用の計測電極配置
図39において、90〜92は電流印加電極を示し、93〜95は電圧計測電極を示す。図39は、内臓脂肪組織計測用電極と腹直筋組織層計測用電極の配置については、図38と同じであり、皮下脂肪組織層計測用の電極配置のみが異なっている。電極90、92は、皮下脂肪組織層計測用の電流印加電極対を構成する電極であり、電極93、94は皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。また、電極93、94は腹直筋組織層計測用の電極も兼用している。これらの電圧計測電極は、電流印加電極直下の広がり抵抗の影響を考慮して印加電流電極と上述した関係に配置されている。V1は、印加電流Iによる内臓脂肪組織計測電位差、V2は、印加電流Iによる腹直筋組織層計測電位差、V3は、印加電流I2による皮下脂肪組織層計測電位差(特に電極93、94の位置を考慮して臍位近辺部皮下脂肪組織層計測電位差)をそれぞれ示す。
【0226】
(iii)電極配置位置決めに腱画または臍位置を用いた計測電極配置
図40において、100〜101は電流印加電極を示し、102〜104は電圧計測電極を示す。図40は、腹直筋組織層計測用の電圧計測電極を配置する際の位置決め方法を示したものであり、腹直筋組織層計測用電極102を配置する場合には、腱画部を電極貼り付けマーク位置とする。腹直筋組織層は、体幹部長手方向に配置されており、腱画(腱部)で上部、中部、下部(臍部が存在する)に分かれるが、この腱画部を電圧計測電極配置の目安位置として用いる。また、腹直筋組織層計測用電極104を配置する場合には、臍位部を電極貼り付けマーク位置とする。すなわち、腹直筋組織層中部から下部の臍Aの位置を基準として、臍上又は臍下部に、または、臍部を含めた位置に配置する。臍部の凹部は、電圧計測電極が一部で接触確保できる長さを持っていれば、測定エリアとしての許容範囲と考えられる。V1は、印加電流Iによる内臓脂肪組織計測電位差、V2は、印加電流Iによる腹直筋組織層計測電位差をそれぞれ示す。
【0227】
(iv)腹直筋組織層の左右何れか半分を計測に用いた計測電極配置
図41において、110〜112は電流印加電極を示し、113〜116は電圧計測電極を示す。図18は、内臓脂肪組織計測用電極と腹直筋組織層計測用電極の配置については、図38と同じであり、皮下脂肪組織層計測用の電極配置のみが異なっている。電極110、112は、皮下脂肪組織層計測用の電流印加電極対を構成する電極であり、電極114、115は、皮下脂肪組織層計測用の電圧計測電極対を構成する電極である。これらの電圧計測電極は、電流印加電極直下の広がり抵抗の影響を考慮して印加電流電極と上述した関係に配置されている。電流印加電極112と電圧計測電極115は、腹直筋組織層の左半分側に配置されている。腹直筋組織層は白線(図30参照)で左右に分離されているので、白線で分かれる左右何れかのみを計測および通電ガイドの対象とすることができる。そのため、電極の長さも他の電極よりも小さくなっている。図41では、左半分に配置されているが、右半分に配置することもできる。これに対し、腹直筋組織層上に配置される電流印加電極80および電圧計測電極113、114は、左右の腹直筋組織層に均等に通電および計測に寄与するように白線をまたいで両方に対象に計測可能な長さを有している。
【0228】
図35〜図41に示した実施例では、電流印加電極対が、体幹表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部と背面腰下部との間に配置されているが、電流印加電極対は、体幹部表側腹直筋組織層上に配置することもできる。その場合、電流印加電極対の一方の電極を体幹表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部上端近くに配置し、他方の電極を腹直筋組織層上の臍位置より下部に配置する。そして、電圧計測電極対の一方の電極を前記一方の電流印加電極から一定の距離を置いて配置する。体幹表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部上端近くは、皮下脂肪組織層が薄く分布しているため、広がり抵抗による影響も少なく、電流印加電極にある程度まで接近した配置が可能である。さらに、他方の電圧計測電極を、前記他方の電流印加電極から広がり抵抗の影響を回避できる距離を確保して腹直筋組織層上に配置する。臍近辺は、皮下脂肪組織層が厚く分布しているので、広がり抵抗の影響回避の距離を広めに確保する必要がある。
【0229】
<四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置による体幹部内臓・皮下脂肪の測定>
次に、上の技術を総合的に利用した、本発明による体幹部内臓・皮下脂肪について説明する。図42乃至図45に、図7、図8と同様の方法で、本発明の技術において前提とされる、上肢部及び下肢部をも含めた体幹腹部(体幹部)の電気的等価回路を示す。
【0230】
図42は、上肢部のインピーダンスZh及び下肢部のインピーダンスZfをも考慮した、体幹腹部の構造の電気的等価回路を示す図である。特に、右側に、骨格筋組織層インピーダンスZMMを求めるために、骨格筋組織層インピーダンスの構成をより詳細なものとして電気的等価回路を示している。この図に示すように、上肢部のインピーダンスZh、及び、下肢部のインピーダンスZfは、それぞれ、体幹中部のインピーダンスZtmに直列に接続された関係にあり、また、この体幹中部のインピーダンスZtmのうち、特に、骨格筋組織層インピーダンスZMMは、「腱膜ZAM1」と「背筋や腹斜筋等の骨格筋ZMM2」と「腱膜ZAM2」との直列回路に対して「腹直筋が支配的な骨格筋ZMM1」が並列に接続されたものとして捉えることができる。尚、これらのインピーダンスの間には、概ね、以下の関係式が成り立つ。
ZMM = ZMM1 // (ZAM1+ZMM2+ZAM2)
【0231】
図43乃至図45は、それぞれ、図42に示した電気的等価回路に基づいて、上肢部−下肢部間通電による誘導法、上肢部−体幹腹部間通電による誘導法、及び、下肢部−体幹腹部間通電による誘導法を示したものである。各図において、左側に示した回路は、右側に示した回路を簡略化したものと考えてよい。
【0232】
図43に示すように、上肢部−下肢部間に通電させるものとした場合、特に、骨格筋ZMMのインピーダンスについては、「腹直筋が支配的な骨格筋ZMM1」として捉えることができ、この結果、図43の右側に示すような電気的等価回路として簡略化して捉えることができる。更に詳細には、右側の電気的等価回路は、以下の関係式が成り立つことを前提とする。
ZAM1 ≒ ZAM2>>ZMM2>ZMM1
∴ZMM ≒ ZMM1
尚、この回路において、電流印加電極からの電流Iは、主に、骨格筋ZMM側のI21と、内臓ZMV及びZFV側のI11に分かれて流れる。
【0233】
図44に示すように、上肢部−体幹腹部間に通電させるものとした場合、腱膜ZAM2は低い抵抗しか有しないことから、電流は腱膜ZAM2を導通するものと考えられ、この結果、図44の右側に示すような電気的等価回路として簡略化して捉えることができる。尚、この回路図において、電流印加電極からの電流Iは、骨格筋ZMM側のI22と、内臓ZMV及びZFV側のI12と、に分かれて流れるが、この場合、それらの間には、I22<I12の関係がある。
【0234】
また、図45に示すように、下肢部−体幹腹部間に通電させるものとした場合、骨格筋ZMMの構成要素である「腱膜ZAM1」と「背筋や腹斜筋等の骨格筋ZMM2」との間から電流が印加されるものとして捉えることができ、この結果、図45の右側に示すような電気的等価回路として簡略化して捉えることができる。尚、この回路図において、電流印加電極からの電流Iは、骨格筋ZMM側のI23と、内臓ZMV及びZFV側のI13と、に分かれて流れるが、この場合、それらの間には、I23<I13の関係がある。
【0235】
次に、本発明による、体幹部内臓・皮下脂肪測定を行なうための、基本的な考え方について簡単に説明する。
【0236】
本発明では四電極法の考え方を用いる。四電極法で用いる基本的な4電極に関して、これらのうち、通電に必要な電流印加電極側の一方は、体幹部から突出する四肢部または頭部(例えば、頭部の耳部にクリップ電極として挟んで装着など)の何れかに配置するものとし、他方の電流印加電極は体幹腹部に配置するものとする。この構成によれば、例えば、耳部にクリップ電極として装着して体幹部との間での測定を行うことができるため、寝たきりで両手が不自由な被験者の測定も可能である(この場合、耳クリップ電極は、例えば、装置本体からリード線で引き出される形態にしてもよい)。また、本発明によれば、体幹部に配置する電極は、電流印加電極の一方のみとし、他の電極、つまり電圧計測電極は、二つとも他方の電流印加電極配置以外の残りの四肢部または頭部に配置するようにしてもよい。ここでは、Organらの誘導法を応用した新誘導法を導入することもできる。この方法によれば、体幹腹部に配置する電流印加電極を片側だけにすることで、体幹腹部へ配置する電圧計測電極側への制約が大幅に改善することができる。
【0237】
本発明では、体幹腹部の内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織層情報を簡便に測定するために、体幹部への通電を簡便にする。例えば、皮下脂肪組織層を測定するに際しては、測定対象とする体幹腹部に他方の電流印加電極を配置し、その電極直下の広がり抵抗成分を計測するための電圧計測電極配置として、電流印加電極に近接して電圧計測電極の一方を配置する。他方の電圧計測電極は、電流印加電極からの広がり抵抗の影響を受けない程度までの距離を確保して配置した電圧計測電極との間で得られる電位差から、皮下脂肪組織層(厚)の情報を確保する。この他方の電圧計測電極は、体幹腹部に配置されても良いし、Organらの誘導法を応用した新誘導法により、四肢部に配置されても良い。
【0238】
皮下脂肪組織層計測時の電圧計測電極配置では、体幹部に配置されている電流印加電極から電極直下の広がり抵抗の影響を支配的に受ける近接位置に配置し、他方をほぼ無視できる程度の距離を確保して電極を配置する。両電極とも臍囲周近辺上としても良いし、一方を体幹部長手方向としても良い。長手方向への配置は、測定対象電位位置と同等電位であれば、通電区間内で無くても良い。
【0239】
尚、臍囲周上の皮下脂肪組織層厚分布は、部位によって個人差があるため、個々人で特徴を有する複数部位の計測情報を確保できる方が皮下脂肪組織量推定精度向上に有利である。四肢部および頭部に配置される一方の電流印加電極と対応する体幹部側に配置される電流印加電極側を臍囲周近辺上に複数配置し、その電流印加電極直下の皮下脂肪組織層情報を計測可能とする電圧計測電極を必要数分配置する。
【0240】
本発明では、内臓脂肪組織を測定するに際しては、測定対象とする体幹腹部への他方の電流印加電極の配置を、体幹腹部を構成している骨格筋組織層を除いた通電性の悪い腱膜部(骨格筋との結合組織)とすることで、四肢部および頭部からの通電電流が体幹部表面の骨格筋組織層支配となることを回避し、深部の内臓器組織+内臓脂肪組織の複合組織層への通電電流比率を改善し、内臓脂肪組織の推定感度向上を可能とする。
【0241】
更に詳細に説明すると、ここでは、
1)体幹部からの突出部(例えば、四肢部や頭部)に通電用電流印加電極の一方を配置し、他方は、体幹腹部に配置する。
2)他方は、体幹腹部の骨格筋組織を除く腱膜部に配置する。
3)最適な腱膜部は、左右の腹直筋と外腹斜筋の結合区間とする。
4)上肢部および頭部より電流を印加する場合は、前記腱膜部内の臍囲周近辺に他方の電流印加電極を配置する。
5)下肢部より電流を印加する場合は、前記腱膜部内の臍囲周より上肢寄りの大隔膜寄りの近辺域に他方の電流印加電極を配置する。
6)体幹部に配置する電極は、電流印加電極の一方のみで、他の電極、つまり電圧計測電極は、二つとも他方の電流印加電極配置以外の残りの四肢部または頭部に配置することが出来る。ここでも、Organらの誘導法を応用した新誘導法を導入することができる。
【0242】
更に、内臓脂肪組織を測定するに際しては、測定対象とする体幹腹部への他方の電流印加電極の配置を、体幹腹部を構成している骨格筋組織層を除いた通電性の悪い腱膜部(骨格筋組織層との結合組織)とすることで、四肢部や頭部からの通電電流が体幹部表面の骨格筋組織層支配となることを回避し、深部の内臓器組織+内臓脂肪組織の複合組織層への通電電流比率を改善し、内臓脂肪組織の推定感度を向上させることができる。更に詳細に説明すると、ここでは、
1)電圧計測電極は、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織の両方の計測情報を確保する誘導法として、前記皮下脂肪組織層計測の配置と内臓脂肪組織計測の配置の両方の電極を体幹部に配置してもよい。
2)電圧計測電極は、計測用の2電極とも体幹腹部に配置しても良い。
3)上肢部および頭部より電流印加の場合、電圧計測電極の一方は前記電流印加電極とともに臍囲周近辺上に配置され、他方は臍囲周近辺上または体幹部長手方向の通電区間内に配置されるものとする。
4)下肢部より電流印加の場合、電圧計測電極の一方は前記電流印加電極に近接して配置され、他方は臍囲周近辺上または体幹部長手方向の通電区間内に配置されるものとする。
5)内臓脂肪組織測定時の電圧計測電極配置は、体幹部に配置されている電流印加電極から電極直下の広がり抵抗の影響をほぼ無視できる程度の距離を確保して両電圧計測電極を配置し、上肢部および頭部より電流印加の場合、一方を臍囲周近辺上とし、他方を体幹部長手方向の通電区間内とし、一方、下肢部より電流印加の場合、一方を臍囲周より上肢寄り域に配置し、他方を体幹部長手方向の通電区間内とする。
【0243】
次に、図46乃至図53を参照して、四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置による脂肪組織、ここでは特に、内臓脂肪組織を測定するための本発明による誘導法を説明する。
【0244】
図46A乃至Cに、通電用の電流印加電極の一方を(グリップ電極として)掌に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、その他2つの電圧計測電極対を体幹腹部上に配置する誘導法を示す。
【0245】
図46Aは、特に、右腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I1を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10dを(グリップ電極14bとして)右手の掌に設け、腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)に他方の電流印加電極10eを設け、更に、電位差V1、V1’を計測するため、電圧計測電極対11e、11gと電圧計測電極対11f、11gを、体幹腹部上にそれぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。特に、電圧計測電極11fは、臍囲周上の電流印加電極10eから、広がり抵抗の影響が回避できる距離以上を確保でき、また、同等電位が計測できる位置であればどこに配置されていてもよい。尚、電位差V1、電位差V1’のいずれによっても、略同じ測定結果を得ることができる。
【0246】
図46Bは、電流I2を印加して電位差V2、V2’を計測するための、左腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、図46Aとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0247】
図46Cは、図46A、Bを組み合わせた両腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I3を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10dを(グリップ電極14bとして)右手の掌部に設け、腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)に他方の電流印加電極10eを設け、若しくは、電流印加電極対の一方の電流印加電極10cを(グリップ電極14aとして)左手の掌部に設け、腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)に他方の電流印加電極10eを設け、更に、電位差V3、V3’を計測するため、電圧計測電極対11e、11gと電圧計測電極対11f、11gを、体幹腹部上にそれぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0248】
図47D乃至Fに、通電用の電流印加電極の一方を(フット電極として)足裏部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、その他2つの電圧計測電極対を体幹腹部上に配置する誘導法を示す。
【0249】
図47Dは、特に、右脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I4を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10aを(フット電極として)右脚の足裏部に設け、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V4、V4’を計測するため、電圧計測電極対11f、11gと電圧計測電極対11e、11gを、体幹腹部上にそれぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0250】
また、図47Eは、電流I5を印加して電位差V5、V5’を計測するための、左脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、図47Dとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0251】
図47Fは、図47D、Eを組み合わせた両脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I6を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10aを(フット電極として)右脚の足裏部に設け、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、若しくは、電流印加電極対の一方の電流印加電極10bを(フット電極として)左脚の足裏部に、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V6、V6’を計測するため、電圧計測電極対11e、11gと電圧計測電極対11f、11gを、体幹腹部上にそれぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0252】
図48G乃至Iに、頭部耳部に通電用の電流印加電極の一方を(耳たぶ等に挟むクリップ電極として)設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、1つ又は複数の電圧計測電極対を体幹腹部上等に配置する誘導法を示す。
【0253】
図48Gは、特に、右耳部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I7を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10fを(耳たぶ等に挟むクリップ電極として)右側の頭部耳部に設け、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V7を測定するため、電圧計測電極対11e、11fを体幹腹部上に、それぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0254】
また、図48Hは、電流I8を印加して電位差V8を測定するための、左耳部−体幹腹部通電計測に関するものであって、図48のGとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0255】
図48Iは、図48のG、Hを組み合わせた、Organの誘導法による右耳部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I7を印加してするため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10fを(耳たぶ等に挟むクリップ電極として)右側の頭部耳部に設け、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V9、V9’V9'’、V9'''を測定するため、電圧計測電極対11e、11d、11cと電圧計測電極対11f、11d、11cを、体幹腹部上にそれぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0256】
図49J、Kに、通電用の電流印加電極の一方を(グリップ電極として)掌部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、2つの電圧計測電極対の一方を電流印加電極と左右対向する掌部に(グリップ電極として)設け、他方を体幹腹部上に配置する誘導法を示す。
【0257】
図49Jは、特に、Organらの誘導法による右腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I1を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10dを(グリップ電極として)右手の掌部に設け、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V10、V10’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11cを電流印加電極10dと左右対向する掌部に(グリップ電極として)設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極11e、11fを、体幹腹部上に、それぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0258】
図49Kは、電流I2を印加して電位差V11、V11’を計測するための、Organらの誘導法による左腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、図49Jとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0259】
図50L、Mに、通電用の電流印加電極の一方を(フット電極として)足裏部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、2つの電圧計測電極対の一方を電流印加電極と左右対向する足裏部に(フット電極として)設け、他方を体幹腹部上に配置する誘導法を示す。
【0260】
図50Lは、特に、Organらの誘導法による右脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I4を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10aを(フット電極として)右脚の足裏部に設け、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V12、V12’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11aを電流印加電極10aと左右対向する足裏部に(フット電極として)設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極11e、11fを、体幹腹部上に、それぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0261】
また、図50Mは、電流I5を印加して電位差V13、V13’を計測するための、Organらの誘導法による左脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、図47Lとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0262】
図51N乃至Rに、通電用の電流印加電極の一方を四肢部(及び頭部)のいずれか1箇所に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、2つの電圧計測電極対の一方を四肢電流印加電極と左右対向する四肢に設け、他方を電流印加電極を設けていない上下肢の対向する二肢の左右いずれかに配置する誘導法を示す。
【0263】
図51Nは、特に、Organらの誘導法による右腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I1を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10dを(グリップ電極として)右手の掌部に設け、他方の電流印加電極10e(左側)と10f(右側)を臍Aを中心とした左右各側に設け、更に、電位差V14を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11cを電流印加電極10dと左右対向する掌部に(グリップ電極として)設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極11a、11bを、左右の脚の足裏部に(フット電極として)配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0264】
また、図51Oは、電流I2を印加して電位差V15、V15’を計測するための、Organらの誘導法による左腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、図49Nとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0265】
図51Pは、Organらの誘導法による右耳部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I7を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10h(左側)又は10g(右側)を(耳たぶ等に挟むクリップ電極として)左右各側の頭部耳部に設け、これらにそれぞれ対応して、他方の電流印加電極10f(左側)又は10c(右側)を体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V16、16’を測定するため、一方の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極11dを右手の掌部に、他方の電圧計測電極11bを左脚又は右脚の足裏部に、また、他方の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極11cを左手の掌部に、他方の電圧計測電極11aを左脚又は右脚の足裏部に、それぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0266】
図51Qは、Organらの誘導法による右脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I4を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10aを(フット電極として)右脚の足裏に設け、他方の電流印加電極10e、10fを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、V17を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11aを左脚の足裏部に(フット電極として)設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極11c、11dを、左右の手の掌部にそれぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0267】
図51Rは、電流I5を印加して電位差V18、V18’を計測するための、Organらの誘導法による左脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、図49Nとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0268】
図52、図53は、内臓脂肪組織を測定するための、上に説明した配置方法の具体的な電極配置例を、図15等と同様の方法で示した図である。
【0269】
図52は、電流Iを印加するため、臍A周囲の体幹部の右側腱膜15Rに電流印加電極対の一方の電流印加電極10eを設け、他方の電流印加電極10cを、体幹部から十分離れた右上肢部側、例えば、右腕の手の掌部に設け、更に、電位差V、V’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11cを、他方の電流印加電極10cと対向する左上肢部側、例えば、左腕の手の掌部に設け、或いは、一方の電圧計測電極11eを、電流印加電極10eから十分に離れた右側の腱膜15Rに設けてよく、他方の電圧計測電極11fを、電流印加電極10eに近接させて配置し、更に、他方の電圧計測電極11gを、臍A周囲の体幹部の左側腱膜15Lに、それぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0270】
また、図53は、電流Iを印加するため、体幹部の右側腱膜15Rに電流印加電極対の一方の電流印加電極10eを設け、他方の電流印加電極10aを体幹部から十分離れた右下肢部側、例えば、右脚の足裏部に設け、更に、電位差Vを計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11aを、他方の電流印加電極10aと対向する左下肢部側、例えば、左脚の足裏部に設け、或いは、一方の電圧計測電極11fを、電流印加電極10eから十分に離れた臍A周囲の右側の腱膜15Rに、或いは、他方の電圧計測電極11eを、電流印加電極10eに近接させて配置し、更に設けてもよく、電位差V’を計測するため、電圧計測電極対の一方の電圧計測電極11eを、電流印加電極10eに近接させて設け、他方の電圧計測電極11gを、臍A周囲の体幹部の左側腱膜15Lに、それぞれ配置して、内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0271】
更に、図54乃至図59を参照して、四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置による脂肪組織、ここでは特に、皮下脂肪組織層を計測するための誘導法を説明する。
【0272】
図54S乃至Uに、通電用の電流印加電極の一方(グリップ電極)を掌部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、その他2つの電圧計測電極対を体幹腹部上に配置する誘導法を示す。
【0273】
図54Sは、特に、右腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I1a、I1bを印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10dを(グリップ電極14bとして)右手の掌部に設け、他方の電流印加電極10e(右側)、10f(左側)を腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)の臍Aを中心とした左右各側に設け設け、更に、電位差V1、V1’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11eを電流印加電極10e、10fから十分離して体幹腹部上に設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極11f(右側)、11g(左側)をそれぞれ、電流印加電極10e、10fに近接させて配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0274】
図54Tは、電流I2a、I2bを印加して電位差V2a、V2a’を計測するための、左腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、図54Sとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0275】
図54Uは、両腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I3a、I3bを印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10dと10cとを短絡配線するとともに、10dを(グリップ電極14bとして)右手の掌部に、かつ10cを(グリップ電極14aとして)左手の掌に設け、これに対応する他方の電流印加電極10fを腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)の臍Aを中心とした左側に設け、これに対応する他方の電流印加電極10eを腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)の臍Aを中心とした右側に設け、更に、V3b、V3b’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11eを電流印加電極10e、10fから十分離して体幹腹部上に設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極11f(右側)、11g(左側)をそれぞれ、電流印加電極10e、10fに近接させて配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0276】
図55に、通電用の電流印加電極の一方を(フット電極として)足裏部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、その他2つの電圧計測電極対を体幹腹部上に配置する誘導法を示す。
図55は、特に、右脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I4a、I4bを印加するため、電流印加電極対それぞれに共通する一方の電流印加電極10aを右脚の足裏部に(フット電極として)設け、他方の電流印加電極10e(右側)、10f(左側)を、体幹腹部内(腱膜上)の臍Aを中心とした左右各側に設け、更に、V4aを計測するため、電圧計測電極対の一方の電圧計測電極11eを電流印加電極10e、10fから十分離して体幹腹部上に設け、他方の電圧計測電極11fを、電流印加電極10eに近接させてその右側に、また、V4bを計測するため、電圧計測電極対の一方の電圧計測電極11eを電流印加電極10e、10fから十分離して体幹腹部上に設け、他方の電圧計測電極11gを、電流印加電極10eに近接させてその左側に、更に、V4cを計測するため、電圧計測電極対の一方の電圧計測電極11eを電流印加電極10e、10fから十分離して体幹腹部上に設け、他方の電圧計測電極11hを、電流印加電極10fに近接させてその右側に、更にまた、V4dを計測するため、電圧計測電極対の一方の電圧計測電極11eを電流印加電極10e、10fから十分離して体幹腹部上に設け、他方の電圧計測電極11iを、電流印加電極10fに近接させてその左側に、それぞれ配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0277】
図56に、通電用の電流印加電極の一方を(グリップ電極として)掌部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、2つの電圧計測電極対の一方を電流印加電極と左右対向する掌部に(グリップ電極として)設け、他方を体幹腹部上に配置する誘導法を示す。
図56は、特に、Organらの誘導法による右腕部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I1を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10dを(グリップ電極として)右手の掌部に設け、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V5、V5’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11cを電流印加電極10dと左右対向する左手の掌部に(グリップ電極として)設け、他方を電流印加電極10eに近接させて体幹腹部上におけるその左右各側にそれぞれ配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0278】
図57に、通電用の電流印加電極の一方を(フット電極として)足裏部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、2つの電圧計測電極対の一方を電流印加電極と左右対向する足裏部に(フット電極として)設け、他方を体幹腹部上に配置する誘導法を示す。
図57は、特に、Organらの誘導法による右脚部−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I4を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極10aを(フット電極として)右脚の足裏部に設け、他方の電流印加電極10eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V6、V6’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11aを、電流印加電極10aと左右対向する足裏部に(フット電極として)設け、他方の電圧計測電極11f、11eを、電流印加電極10eに近接させて体幹腹部上におけるその左右各側にそれぞれ配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0279】
図58、図59は、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定するための、上に説明した配置方法の具体的な電極配置例を、図15等と同様の方法で示した図である。
【0280】
図58は、電流Iを印加するため、臍A周囲の体幹部の右側腱膜15Rに電流印加電極対の一方の電流印加電極10eを設け、他方の電流印加電極10cを、体幹部から十分離れた右上肢部側、例えば、右腕の手の掌部に設け、更に、電位差V、V’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11cを、他方の電流印加電極10cと左右対向する左上肢部側、例えば、左腕の手の掌部に設け、或いは、一方の電圧計測電極11eを、電流印加電極10eから十分に離れた右側の腱膜15Rに設けてもよく、他方の電圧計測電極11fを、電流印加電極10eに近接させてその右側に配置し、更に、他方の電圧計測電極11gを、電流印加電極10eに近接させてその左側に配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0281】
また、図59は、電流Iを印加するため、体幹部の右側腱膜15Rに電流印加電極対の一方の電流印加電極10eを設け、他方の電流印加電極10aを体幹部から十分離れた右下肢部側、例えば、右脚の足裏部に設け、更に、電位差V、V’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極11aを、他方の電流印加電極10aと左右対向する左下肢部側、例えば、左脚の足裏に設け、或いは、一方の電圧計測電極11eを、電流印加電極10eから十分に離れた右側の腱膜15Rに配置してもよく、他方の電圧計測電極11fを、臍A周囲の体幹の右側腱膜15Rに電流印加電極10eに近接させて配置し、更に、他方の電圧計測電極11gを、臍A周囲の体幹の右側腱膜15Rに電流印加電極10eに近接させて、それぞれ配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0282】
最後に、図60に示すメインフローチャート、図61から図68に示すサブルーチンフローチャートを参照して、図1および図2に示す本発明の実施例での体幹内臓脂肪測定装置の操作および動作の一例を説明する。
【0283】
図60に示すメインフローチャートにおいては、先ず、入力部5aにおける電源スイッチ(図示していない)がオンされると、電力供給部1から電気系統各部に電力を供給し、表示部5bにより身長等を含む身体特定化情報(身長、体重、性別、年齢等)を入力するための画面が表示される(ステップS1)。
【0284】
続いて、この画面にしたがって、ユーザは、入力部5aから身長、体重、性別、年齢等を入力する(ステップS2)。この場合において、体重については、体重測定部2により身体目方特定情報(体重)に基因する電圧について測定し、演算兼制御部7により身体目方特定情報(体重)を演算するようにしてもよい。これら入力値は、記憶部4に記憶される。
【0285】
次に、ステップS3にて、四肢長、体幹長、腹囲長等の形態計測実測値を入力する否かの判断を行い、それら形態計測実測値を入力する場合には、ステップS4にて、形態計測を実施して、四肢長(上肢長、下肢長)、体幹長(体幹中部長)、腹囲長等の実測値を入力部5aから入力し、ステップS6へ移行する。ステップS3において、形態計測実測値を入力しないと判断する場合には、ステップS5に移行する。これら入力値も、記憶部4に記憶される。同様に、以下の処理において得られる数値情報等は、記憶部4に記憶される。
【0286】
ステップS5において、演算兼制御部7は、記憶部4に記憶された身長、体重、性別、年齢等の身体特定化情報から、上肢長、下肢長、体幹中部長、腹囲長等を推定する形態計測情報推定処理(例えば、人間身体情報データベースから作成した検量線使用)を行う。
【0287】
続いて、ステップS6において、部位インピーダンス測定部3により、四肢部、体幹部インピーダンス計測処理を行う。この四肢部、体幹部インピーダンス計測処理については、図64および図67に示すサブルーチンフローチャートを参照して後述する。
【0288】
次に、ステップS7において、演算兼制御部7により、体組成情報(体脂肪率等)演算処理を行う。この演算処理によれば、例えば、記憶部4に記憶された上肢部の長さLu、上肢部のインピーダンス値Zu、下肢部の長さLl、下肢部のインピーダンス値Zl、体幹長Ltm、体幹中部全体のインピーダンスZtmを用いて、次の演算式にて体脂肪率%Fatが求められる。
%Fat=a*Lu2/Zu+b*Ll2/Zl+c*Ltm2/Ztm+d
ここで、a、b、c、dは、定数である。
【0289】
次に、ステップS8において、演算兼制御部7により、四肢部骨格筋量の推定処理を行う。この四肢部骨格筋量の推定処理は、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式2にしたがって下肢部骨格筋量を算出し、また、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式3にしたがって上肢部骨格筋量を算出するような処理である。
【0290】
次に、ステップS9において、演算兼制御部7により、体幹中部骨格筋量の推定処理を行う。この体幹中部骨格筋量の推定処理は、記憶部4に記憶された諸数値や、ステップS8にて得られた下肢部骨格筋量および上肢部骨格筋量や、記憶部4に記憶された前述の式1または式4または式5、式5、式5−1、式5−2に基づいて、体幹中部骨格筋量が算出される。
【0291】
次に、ステップS10において、演算兼制御部7により、体幹中部骨格筋組織層インピーダンスの推定処理を行う。この推定処理は、記憶部4に記憶された諸数値およびステップ9において得られた体幹中部骨格組織量および前述の式19−1、19−2、式20、式21を用いて、体幹中部骨格筋組織層インピーダンスを算出するものである。
【0292】
ステップS11は、演算兼制御部7により、皮下脂肪組織量および皮下脂肪組織層インピーダンスの推定処理を行うものである。このステップ11については、図61に示すサブルーチンフローチャートを参照して後で詳述する。
【0293】
ステップS12は、演算兼制御部7により、内臓器組織量および内臓器組織インピーダンスの推定処理を行うものである。このステップ12については、図62に示すサブルーチンフローチャートを参照して後で詳述する。
【0294】
ステップS13は、演算兼制御部7により、内臓脂肪組織インピーダンスおよび内臓脂肪組織量の推定処理を行うものである。このステップ13については、図63に示すサブルーチンフローチャートを参照して後で詳述する。
【0295】
次に、ステップS14において、演算兼制御部7により、内臓脂肪/皮下脂肪比の演算処理を行う。この演算処理は、記憶部4に記憶された皮下脂肪組織量と内臓脂肪組織量を用いて記憶部4に記憶された前述の式29に従って、体幹腹部脂肪組織量を算出し、記憶部4に記憶された前述の式30にしたがって、内臓脂肪/皮下脂肪比を算出するものである。
【0296】
次に、ステップS15において、演算兼制御部7により、内臓脂肪率演算処理が行われる。この演算処理は、前述の演算処理により算出され記憶部4に記憶された体脂肪率%Fat、内臓脂肪組織V、皮下脂肪組織Sから次の式にて体幹内臓脂肪率%VFatを算出するものである。
%VFat=%Fat*(V/S)/[(V/S)+1]
【0297】
次に、ステップS16において、演算兼制御部7は、前述したような演算処理にて求められた内臓脂肪組織情報、体組成情報や、後述する処理によって得られるようなアドバイス指針等を、表示部5bに表示させるような表示処理を行う。これにより、一連の処理を終了する(ステップS17)。
【0298】
次に、前述のステップS11の皮下脂肪組織量および皮下脂肪組織層インピーダンスの推定処理について、図61のサブルーチンフローチャートを参照して詳述する。この推定処理は、ステップS18にて、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式22−1、式22−2を用いて皮下脂肪組織量を算出し、ステップS19にて、記憶部4に記憶された諸数値および皮下脂肪組織量および前述の式23−1、式23−2、式24を用いて皮下脂肪組織層インピーダンスを算出するものである。
【0299】
次に、前述のステップS12の内臓器組織量および内臓器組織インピーダンスの推定処理について、図62のサブルーチンフローチャートを参照して詳述する。この推定処理は、ステップS20において、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式13−1、式13−2を用いて内臓器組織量を算出し、ステップS21において、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式14−1、式14−2、式15、式16、式17−1、式17−2を用いて内臓器組織インピーダンスを算出するものである。
【0300】
次に、前述のステップS13の内臓脂肪組織インピーダンスおよび内臓脂肪組織量の推定処理について、図63のサブルーチンフローチャートを参照して詳述する。この推定処理は、ステップS22において、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式6から12、式16、式17、式21、式24を用いて内臓脂肪組織インピーダンスを算出し、ステップS23において、記憶部4に記憶された諸数値および算出した内臓脂肪組織インピーダンスおよび前述の式25、式26、式27、式28−1、式28−2を用いて内臓脂肪組織量を算出するものである。
【0301】
次に、ステップS6の四肢部、体幹部インピーダンス計測処理について、第一の実施形態を示す図64のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。この第一形態においては、前項10.(28)および(29)において説明したような「呼吸による変動の影響除去処理」および「飲食および膀胱等への水分貯留(尿等)による異常値判定処理」を行うものである。先ず、ステップS24において、演算兼制御部7は、入力部5a等からの指示に基づいて、体幹腹部(中部)のインピーダンスZtmの測定データの各種メモリカウンタ数及びフラグFの初期設定を行う。
【0302】
続いて、ステップS25において、演算兼制御部7は、測定タイミングか否かの判定を行う。そして、測定タイミングと判定された場合には、ステップS26にて、演算兼制御部7は、体幹中部インピーダンス(Ztm)測定電極配置設定処理を行い体幹中部インピーダンス(Ztmx)計測処理を行う。この場合において、演算兼制御部7は、図3を参照して説明したような電極配置のうちのいずれかを選択する。
次に、ステップS27において、Fが「”0”」かを、また、前回測定上肢部かを、判定し、そうでないでない場合には、ステップS28に移行して、演算兼制御部7は、上肢部インピーダンス(Zu)測定電極配置設定処理を行い、上肢部インピーダンス(Zux)計測処理を行う。そして、ステップS29にて、F「”0”」と設定する。
【0303】
ステップS27において、Fが「”0”」、また、前回測定上肢と判定される場合には、ステップS32にて、演算兼制御部7は、下肢部インピーダンス(Zl)測定電極配置設定処理を行い、下肢部インピーダンス(Zlx)計測処理を行い、ステップS31にて、Fを「”1”」と設定する。このようなステップS25からステップS31までの動作を繰り返す。
【0304】
ステップS25において測定タイミングでないと判定された場合には、ステップS32に移行して、計測インピーダンス(Zx)データスムージング処理(移動平均処理等)を行う。それから、ステップ33において、体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理を行う。この補正処理については、図65のサブルーチンフローチャートを参照して後述する。
【0305】
続いて、ステップS34にて、演算兼制御部7は、各部位毎の計測インピーダンスの時系列安定性確認処理を行う。これは、ステップS33の体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理後の各値が所定回数所定変動以内の値に収束したかどうかを判定することによって行われる。ステップS35において、演算兼制御部7は、測定したZlx、Zux、Ztmxの各々が安定条件を満足するか否かの判定を行う。この判定は、呼吸周期毎の呼吸の中央値が規定回数規定以内の安定域に入った時点で、呼吸中央値確定と判断するようなものである。このステップS35にて、安定条件が満足されたと判定される場合には、ステップS36に移行して、確定した中央値のインピーダンス値を体幹腹部のインピーダンス値として、最終安定条件判定値を測定値結果値として記憶部4に登録し、この測定を完了する。ステップS35において、安定条件が満足されないと判定される場合には、ステップS25に戻って同様の処理が繰り返される。
【0306】
ステップS36に続いて、ステップS37において、演算兼制御部7は、飲食および膀胱尿貯留等による異常値判定処理を行う。この異常値判定処理については、図66のサブルーチンフローチャートを参照して後述する。
【0307】
次に、ステップS33の体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理について、図65のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。先ず、ステップS38において、ステップS33にて処理後の時系列データから変極点検知処理を行う。ステップS39において、演算兼制御部7は、変極点か否かの判定を行う。これは、前後の微係数または差分値の極性変化位置のデータを検知することにより行われる。ステップS39にて変極点であると判定される場合には、ステップS40に進み、最大値か否かの判定がなされる。これは、最大値と最小値の振り分けを行うステップである。最大値でない場合には、ステップS41にて、記憶部4に記憶された次の式にて最小値判定データ移動平均化処理が行われる。
[Ztm]minx←([Ztm]minx-1+[Ztm]minx)/2
【0308】
ステップS40において最大値と判定される場合には、ステップS42において、記憶部4に記憶された次の式にて最大値判定データ移動平均化処理が行われる。
[Ztm]maxx←([Ztm]maxx-1+[Ztm]maxx)/2
【0309】
続いて、ステップS43において、一呼吸周期分の最大値と最小値データが確保されたかの判定がなされる。ステップS43において、そのデータが確保されたと判定された場合には、ステップS44にて、記憶部4に記憶された次の式にて呼吸変動中央値演算処理(最大値と最小値データの平均値演算)がなされる。
Ztmx←([Ztm]maxx+[Ztm]minx)/2
なお、ステップS39において、変極点でないと判定する場合には、戻るに進み、ステップ43において、一呼吸周期分の最大値と最小値データが確保されないと判定された場合には、戻るに進むことになる。
【0310】
次に、ステップS37の飲食および膀胱尿貯留等による異常値判定処理について、図66のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。先ず、ステップS45において、演算兼制御部7は、記憶部4に記憶された次の式にて、体幹中部インピーダンス(Ztm)が正常許容範囲内かのチェックを行う。
Mean−3SD≦Ztm≦Mean+3SD
ここで、許容値例としては、26.7±4.8(Mean±SD)に対して、26.7±14.4(Mean±3SD)が考えられる。
【0311】
ステップS46において、体幹中部インピーダンスが許容範囲内かの判定がなされる。許容範囲内でないと判定される場合には、ステップS47に移行して、演算兼制御部7にて、体幹中部(腹部)コンディション異常に関するメッセージ報知及びブザー報知処理がなされ、表示部5bにおいて適切なアドバイスの表示及びブザー報知部15においてブザー音の発生等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹部コンディション異常につき、排便、排尿等の準備処理を実施」の表示、「ピッ、ピッ、ピッ」の音等の報知がなされる。また、準備処理後も同様の判定結果となる場合は、異常値を用いて測定を完了させ、測定の中止はしないようにすることもできる。
【0312】
ステップS46において許容範囲内で判定される場合には、ステップS48において、演算兼制御部7は、体幹中部(腹部)コンディション正常に関するメッセージ報知及びブザー報知処理がなされ、表示部5bにおいて適切なアドバイスの表示及びブザー報知部15においてブザー音の発生等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹部コンディション正常」の表示、「ピッ」の音等によるの報知がなされる。
【0313】
次に、ステップS6の四肢部、体幹部インピーダンス計測処理について、第二の実施形態を示す図67のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。この第二の形態においては、前項10.(28)および(30)において説明したような「呼吸による変動の影響除去処理」および「腹部内臓器組織等の異常判定処理」を行うものである。先ず、ステップS49において、演算兼制御部7は、測定タイミングか否かの判定を行う。そして、測定タイミングと判定された場合には、体幹部計測の一環として、ステップS50にて、演算兼制御部7は、体幹中部インピーダンス(Ztmrr)測定電極配置設定処理(右腕−右脚間通電)(図3の(A)参照)を行い、体幹中部インピーダンス(Ztmrrx)計測処理を行う。次いで、ステップS51にて、演算兼制御部7は、体幹中部インピーダンス(Ztmll)測定電極配置設定処理(左腕−左脚間通電)(図3の(B)参照)を行い、体幹中部インピーダンス(Ztmllx)計測処理を行う。次いで、ステップS52にて、演算兼制御部7は、体幹中部インピーダンス(Ztmrl)測定電極配置設定処理(右腕−左脚間通電)(図3の(C)参照)を行い、体幹中部インピーダンス(Ztmrlx)計測処理を行う。次いで、ステップS53にて、演算兼制御部7は、体幹中部インピーダンス(Ztmlr)測定電極配置設定処理(左腕−右脚間通電)(図3の(D)参照)を行い、体幹中部インピーダンス(Ztmlrx)計測処理を行う。演算兼制御部7は、このような測定動作を所定のサンプル数を得るまで行う。
【0314】
ステップS49において測定タイミングでないと判定された場合には、ステップS54に移行して、計測インピーダンス(Zx)データスムージング処理(移動平均処理等)を行う(体幹中部:Ztmrrx、Ztmllx、Ztmrlx、Ztmlrx)。それから、ステップ55において、誘導法毎に体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理を行う。この誘導法毎における補正処理については、図65のサブルーチンフローチャートを参照して前述したのと同様であるので、繰り返し説明しない。
【0315】
続いて、ステップS56にて、演算兼制御部7は、誘導法毎の計測インピーダンスの時系列安定性確認処理を行う。これは、ステップS55の誘導法毎の体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理後の各値が所定回数所定変動以内の値に収束したかどうかを判定することによって行われる。ステップS57において、演算兼制御部7は、測定したZtmxの各々が安定条件を満足するか否かの判定を行う。この判定は、呼吸周期毎の呼吸の中央値が規定回数規定以内の安定域に入った時点で、呼吸中央値確定と判断するようなものである。このステップS57にて、安定条件が満足されないと判定される場合には、ステップ49に戻って、同様の測定動作および処理を繰り返す。
【0316】
ステップS57にて、安定条件が満足されたと判定される場合には、ステップS58に移行して、体幹腹部内臓器組織等異常判定処理を行う。この判定処理については、図68のサブルーチンフローチャートを参照して後述する。
【0317】
続いて、ステップS59において、演算兼制御部7は、体幹中部インピーダンスの測定における最終安定条件判定値を測定結果値として記憶部4に記憶させ登録する(Ztm←Ztmlrx)。ここでは、4つの体幹部インピーダンスの中から、Ztmlr(左腕−右脚間通電インピーダンス)を採用する。
【0318】
次に、演算兼制御部7は、四肢部計測のため、ステップ60に移行して、測定タイミングかの判定を行う。ここで、測定タイミングと判定された場合には、ステップS61において、演算兼制御部7は、下肢部インピーダンス(Zl)測定電極配置設定処理を行い、下肢部インピーダンス(Zlx)計測処理を行い、ステップS62にて、上肢部インピーダンス(Zu)測定電極配置設定処理を行い、上肢部インピーダンス(Zux)計測処理を行う。そして、演算兼制御部7は、このような測定動作を繰り返し行う。
【0319】
ステップS60において、測定タイミングでないと判定される場合に、ステップS63にて、演算兼制御部7は、計測インピーダンス(Zx)データスムージング処理(移動平均処理等)を行う(上肢部:Zux、下肢部Zlx)。それから、ステップ64において、演算兼制御部7は、各部位毎の計測インピーダンスの時系列安定性確認処理を行う。これは、ステップS64の処理後の各値が所定回数以上所定変動以内の値に収束したかどうかを判定することによって行われる。ステップS65において、演算兼制御部7は、測定したZlx、Zux、の各々が安定条件を満足するか否かの判定を行う。この判定は、呼吸周期毎の呼吸の中央値が規定回数規定以内の安定域に入った時点で、呼吸中央値確定と判断するようなものである。このステップS65にて、安定条件が満足されないと判定される場合には、ステップ60に戻って、同様の測定動作および処理を繰り返す。
【0320】
ステップS65にて、安定条件が満足されたと判定される場合には、ステップS66において、四肢部インピーダンスの測定における最終安定条件判定値を測定結果値として記憶部4に記憶させ登録する(Zl←Zlx、Zu←Zux)。
【0321】
次に、ステップS58の体幹腹部内臓器等異常判定処理について、図68のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。先ず、ステップS67において、演算兼制御部7は、各誘導法による体幹中部インピーダンス(Ztm)間の関係が、正常バランス条件を満足しているかのチェックを行う。前項10.(30)、(d)にて説明したように、正常条件は、Ztmlr ≒ Ztmll < Ztmrr ≒ Ztmrlの関係である。
【0322】
ステップS68において、正常条件を満足しないと判定された場合には、ステップS69に移行し、ステップ70にて、次の式を満足するか否かの判定を行う。
Ztmlr ≒ Ztmll および Ztmrr ≒ Ztmrl
この条件を満足しないと判定される場合には、ステップS71に移行し、ステップS72にて、次の式を満足するか否かの判定を行う。
Ztmrl < Ztmrr
この条件を満足しない場合には、ステップS73に移行し、ステップS74にて、次の式を満足するか否かの判定を行う。
Ztmrl > Ztmrl
この条件が満足されない場合には、体幹中部(腹部)の左上部組織に異常バランスがあると判定し、ステップS75にて、演算兼制御部7は、体幹中部(腹部)コンディション異常に関するメッセージ報知処理を行い、表示部5bに適切なアドバイスの表示等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹部コンディション左上部異常」等の報知が考えられる。
【0323】
ステップS74にて、その条件が満足されると判定される場合には、体幹中部(腹部)の右下部組織に異常バランスがあると判定し、ステップS76にて、演算兼制御部7は、体幹中部(腹部)コンディション異常に関するメッセージ報知処理を行い、表示部5bに適切なアドバイスの表示等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹部コンディション右下部異常」等の報知が考えられる。
【0324】
ステップS72にて、その条件が満足されると判定される場合には、体幹中部(腹部)の左下部組織に異常バランスがあると判定し、ステップS77にて、演算兼制御部7は、体幹中部(腹部)コンディション異常に関するメッセージ報知処理を行い、表示部5bに適切なアドバイスの表示等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹部コンディション左下部異常」等の報知が考えられる。
【0325】
ステップS70にて、その条件が満足されると判定される場合には、体幹中部(腹部)の右上部組織に異常バランスがあると判定し、ステップS78にて、演算兼制御部7は、体幹中部(腹部)コンディション異常に関するメッセージ報知処理を行い、表示部5bに適切なアドバイスの表示等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹部コンディション右上部異常」等の報知が考えられる。
【0326】
こうして、演算兼制御部7は、ステップS79にて、体幹中部(腹部)コンディション異常に関するメッセージ報知及びブザー報知処理を行う。例えば、表示部5bにおいて「体幹部コンディション異常につき、排便、排尿等の準備処理を実施」等のメッセージの表示及びブザー報知部15においてブザー音「ピッ、ピッ、ピッ」の発生等がなされる。また、準備処理後も同様の判定結果となる場合は、異常値を用いて測定を完了させ、測定の中止はしないようにすることもできる。
【0327】
ステップS68において、その条件が満足されると判定される場合には、ステップS80にて、演算兼制御部7は、体幹中部(腹部)コンディション正常に関するメッセージ報知及びブザー報知処理を行い、表示部5bにおいて適切なアドバイスの表示及びブザー報知部15においてブザー音の発生等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹部コンディション正常」の表示、「ピッ」の音等の報知がなされる。
【0328】
<皮下脂肪の測定>
次に、図69に示す基本フローチャートと図70から図72、及び図64、図65に示すサブルーチンフローチャートを参照して、主に、皮下脂肪組織層の測定のための動作について説明する。
【0329】
図69に示す基本フローチャートにおいては、先ず、表示兼入力部5における電源スイッチ(図示していない)がオンされると、電力供給部1から電気系統各部に電力を供給し、表示部5bにより身長等を含む身体特定化情報(身長、体重、性別、年齢等)を入力するための画面が表示される(ステップS81)。
【0330】
続いて、この画面にしたがって、ユーザは、表示兼入力部5から身長、体重、性別、年齢等を入力する(ステップS82)。この場合において、体重については、表示兼入力部5から入力してもよいが、体重測定部2により測定したデータを自動的に入力して、演算兼制御部7により身体目方特定情報(体重)を演算するようにしてもよい。これら入力値は、記憶部4に記憶される。
【0331】
次に、ステップS83にて、体幹部長、腹囲長等の形態計測実測値を入力するか否かの判断を行い、それら形態計測実測値を入力する場合には、ステップS84にて、形態計測を実施して、体幹部長、腹囲長等の実測値を表示兼入力部5から入力し、ステップS86へ移行する。ステップS83において、形態計測実測値を入力しないと判断する場合には、ステップS85に移行する。これら入力値も、記憶部4に記憶される。同様に、以下の処理において得られる数値情報等は、記憶部4に記憶される。
【0332】
ステップS85において、演算兼制御部7は、記憶部4に記憶された身長、体重、性別、年齢等の身体特定化情報から、体幹(部)長、腹囲長等を推定する形態計測情報推定処理(例えば、人間身体情報データベースから作成する検量線使用)を行う。
【0333】
続いて、ステップS86において、インピーダンス測定部により、体幹部インピーダンス計測処理を行う。この体幹部インピーダンス計測処理については、図72に示すサブルーチンフローチャートを参照して後述する。
【0334】
次に、ステップS87において、演算兼制御部7により、体幹部骨格筋組織横断面積量(AMM)の推定処理を行う。この演算処理は、例えば、記憶部4に記憶された身長H、体重W、年齢Ageを用いて、前述の式32に基づいて行われる。
【0335】
次に、ステップS88において、演算兼制御部7により、体幹部骨格筋組織層インピーダンス(ZMM)の推定処理を行う。このZMMは、記憶部4に記憶された身長Hと、ステップS87で求めたAMMとを用いて、前述の式33に基づいて行われる。
【0336】
次に、ステップ89において、演算兼制御部7により、皮下脂肪組織量(AFS)の推定処理を行うものである。この推定処理は、前述した式45にて算出され得る。
【0337】
ステップS90は、演算兼制御部7により、内臓器組織量(AVM)および内臓器組織インピーダンス(ZVM)の推定処理を行うものである。このステップ90については、図71に示すサブルーチンフローチャートを参照して後で詳述する。
【0338】
ステップS91は、演算兼制御部7により、内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)および内臓脂肪組織量(AFV)の推定処理を行うものである。このステップ91については、図72に示すサブルーチンフローチャートを参照して後で詳述する。
【0339】
次に、ステップS92において、演算兼制御部7により、内臓脂肪/皮下脂肪比(V/S)の演算処理を行う。この処理は、記憶部4に記憶された前述した式42に従って行われる。
【0340】
次に、ステップS93において、演算兼制御部7により、体格指数(BMI)の演算処理を行う。この演算処理は、記憶部4に記憶された体重Wと身長Hから次の式にて算出され得る。
BMI=W/H2
【0341】
更に、ステップS94において、演算兼制御部7により、体幹部体脂肪率(%Fatt)の演算処理を行う。この演算処理は、記憶部4に記憶された皮下脂肪組織量(AFS)、内臓脂肪組織量(AFV)、体幹部骨格筋組織横断面積量(AMM)、及び、内臓器組織量(AVM)から次の式にて算出されるものである。
%Fatt=(AFS+AFV)/[(AFS+AFV)+AMM+AVM]*100
【0342】
次に、ステップS95において、演算兼制御部7により、内臓脂肪率(%VFat)の演算処理が行われる。この処理は、前述の演算処理により算出され記憶部4に記憶された体幹部体脂肪率(%Fatt)、内臓脂肪/皮下脂肪比(V/S)から次の式にて行われる。
%VFat=%Fatt*(V/S)/[(V/S)+1]
【0343】
最後に、ステップS96において、演算兼制御部7は、前述したような演算処理にて求められた内臓脂肪組織情報(AFV、%VFat)、体組成情報(%Fatt、AMM、AFS、AVM)、体格指数(BMI)や、後述する処理によって得られるアドバイス指針等を、表示部5bに表示させるような表示処理を行う。これにより、一連の処理を終了する(ステップS97)。
【0344】
次に、前述のステップS90の内臓器組織量(AVM)および内臓器組織インピーダンス(ZVM)の推定処理について、図70のサブルーチンフローチャートを参照して詳述する。この推定処理は、ステップS98において、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式40を用いて内臓器組織量(AVM)を算出し、ステップS19において、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式41を用いて実行される。
【0345】
次に、前述のステップS91の内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)および内臓脂肪組織量(AFV)の推定処理について、図71のサブルーチンフローチャートを参照して詳述する。この推定処理は、ステップS100において、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式36を用いて内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)を算出し、ステップS101において、記憶部4に記憶された身長Hおよび算出した内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)および前述の式39を用いて内臓脂肪組織量(AFV)を算出するものである。
【0346】
次に、ステップS86の体幹部インピーダンス計測処理について、第一の実施形態を示す図72のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。この第一形態においては、前項10.(28)および(29)において説明したような「呼吸による変動の影響除去処理」および「飲食および膀胱等への水分貯留(尿等)による異常値判定処理」を行うものである。先ず、ステップS102において、演算兼制御部7は、表示兼入力部5等からの指示に基づいて、カウンター等の初期設定体幹部のインピーダンスZtmの測定データのサンプル数の初期設定を行う。
【0347】
続いて、ステップS103において、演算兼制御部7は、測定タイミングか否かの判定を行う。そして、測定タイミングと判定された場合には、ステップS104にて、演算兼制御部7は、体幹部インピーダンス(Ztm)測定電極配置設定処理を行い体幹部インピーダンス(Ztmx)計測処理を行う。更に、ステップ105において、皮下脂肪組織層インピーダンス(ZFS)測定電極配置設定処理と皮下脂肪組織層インピーダンス(ZFSx)計測処理を行い、ステップ103に戻る。
【0348】
一方、ステップS103において測定タイミングでないと判定された場合には、ステップS106に移行して、体幹部インピーダンス(Ztmx)と皮下脂肪組織層インピーダンス(ZFSx)に対して、計測インピーダンス(Zx)データスムージング処理(移動平均処理等)、即ち、Zx=(Zx-1+Zx)/2を行う。それから、ステップ107において、体幹部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理を行う。この補正処理については、図65で説明したものと同様である。尚、皮下脂肪組織層インピーダンス(ZFSx)は、呼吸変動の影響を受けがたいため、体幹部インピーダンスのように補正処理は行われない。
【0349】
続いて、ステップS108にて、演算兼制御部7は、各部位毎の計測インピーダンスの時系列安定性確認処理を行う。これは、ステップS107の体幹部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理後の各値が所定回数所定変動以内の値に収束したかどうかを判定することによって行われる。ステップS109において、演算兼制御部7は、測定したZtmxとZFSxが安定条件を満足するか否かの判定を行う。この判定は、呼吸周期毎の呼吸の中央値が規定回数規定以内の安定域に入った時点で、呼吸中央値確定と判断するようなものである。このステップS109にて、安定条件が満足されたと判定される場合には、ステップS110に移行して、確定した中央値のインピーダンス値を体幹部のインピーダンス値や皮下脂肪組織層インピーダンス値として、最終安定条件判定値を測定値結果値として記憶部4に登録する。一方、ステップS109において、安定条件が満足されないと判定される場合には、ステップS103に戻って同様の処理が繰り返される。
【0350】
ステップS110に続いて、ステップS111において、演算兼制御部7は、飲食および膀胱尿貯留等による異常値判定処理を行い、更に、ステップS112において、測定の完了を報知器ブザー15(図2参照)等を用いてブザー等で報知し、測定を完了する。尚、ステップ111の異常値判定処理については、図68のサブルーチンフローチャートに示した通りである。
【0351】
<腱膜を利用した内臓脂肪組織等の測定>
最後に、腱膜を利用した内臓脂肪組織等の測定のための動作について説明する。この動作は、図69乃至図72に説明したものと略同様のものである。したがって、ここでは、それらの相違点のみ説明する。
【0352】
先ず、この実施例では、ステップS89における皮下脂肪組織量(AFS)の推定処理が、図73に示すサブルーチンチャートに従って行われる。図73に示すように、この推定処理は、ステップS113にて、記憶部4に記憶された諸数値および前述の式22-1、22-2を用いて行われる。
【0353】
また、この実施例では、ステップ105の計測処理、つまり、皮下脂肪組織層インピーダンスに関する処理は行わず、これに関連して、ステップ103、107、109、110における皮下脂肪組織層インピーダンスに関連する処理は行われない。
その他の点については、図69乃至図72に説明したものと同様のものと考えてよい。
【0354】
このような操作および動作にて、体幹部(体幹部腹部)の内臓脂肪組織情報を求めることができ、しかも、呼吸による変動の影響除去処理や飲食および膀胱等への水分貯留(尿等)による異常判定処理を行い、それに応じたアドバイス情報も提供できる。なお、前述の実施例では、体幹部内臓脂肪組織情報を体脂肪率として求めるものとしたが、これに限らず、適当な変換式等を用いることにより、横断面積量や、体積量や重量等として求めることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0355】
本発明によれば、そのレベルに応じた内臓器組織付近付着、蓄積脂肪組織の蓄積具合を従来の簡易計測法を踏襲する中で、精度の高いスクリーニング情報を顕在化させることができる。
【0356】
本発明によれば、小型で簡便な装置にて体幹部内臓脂肪組織を精度よく測定できるので、家庭用として最適なものとすることもできる。しかも、測定前の腹部コンディションチェック、すなわち、内臓器組織等での炎症や病的な体液分布異常の早期チェック等も可能で、それに応じた適切な健康指針アドバイスも与えることができる。したがって、ユーザにとっては、食事および運動による日々のダイエットを適正に行い且つそのためのモチベーションを維持し、継続可能な健康の維持増進の自己管理をする上で役立つ諸情報を簡便な仕方で得ることができ、非常に有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0357】
【図1】本発明の一実施例として体幹内臓脂肪測定装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の体幹内臓脂肪測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の装置に用いられているグリップ部の拡大斜視図である。
【図4】図1乃至図3に示した本装置の他の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明において使用する四肢誘導法について説明するための模式図である。
【図6】体幹腹部の構造を模式的に示す図である。
【図7】図4の体幹腹部の構造を、皮下脂肪組織層を省略して考えた体幹腹部の電気的等価回路として示す図である。
【図8】図4の体幹腹部の構造を、皮下脂肪組織層を省略せずに考えた体幹腹部の電気的等価回路として示す図である。
【図9】図6に示した体幹部の模式図を臍高さにおける腹囲周横断面にてモデル化した図である。
【図10】図9のモデル図を電気的等価回路として表した図である。
【図11】図10の回路を簡略化して示したものである。
【図12】電極間距離と広がり抵抗の関係を説明する図である。
【図13】電極間距離と広がり抵抗の関係を説明する図である。
【図14】本発明で使用することができる電極配置の一例を体幹部腹部の構造とともに模式的に示す図である。
【図15】皮下脂肪組織層のみの情報を計測するための電極配置例を示す図である。
【図16】皮下脂肪組織層のみの情報を計測するための電極配置例を示す図である。
【図17】皮下脂肪組織層のみの情報を計測するための電極配置例を示す図である。
【図18】皮下脂肪組織層のみの情報を計測するための電極配置例を示す図である。
【図19】皮下脂肪組織層情報と内臓脂肪組織情報の両方を同時に分離した情報として計測するための電極配置例を示す図である。
【図20】皮下脂肪組織層情報と内臓脂肪組織情報の両方を同時に分離した情報として計測するための電極配置例を示す図である。
【図21】皮下脂肪組織層情報と内臓脂肪組織情報の両方を同時に分離した情報として計測するための電極配置例を示す図である。
【図22】皮下脂肪組織層情報と内臓脂肪組織情報の両方を同時に分離した情報として計測するための電極配置例を示す図である。
【図23】本発明で使用することができる電極配置の一例を体幹部腹部の構造とともに模式的に示す図である。
【図24】電極配置の一例を示す図である。
【図25】電極配置の一例を示す図である。
【図26】電極配置の一例を示す図である。
【図27】本発明で使用することができる電極配置の一例を示す体幹腹部の構造図である。
【図28】図27の体幹腹部の構造を模式的に示す図である。
【図29】図28の電気的等価回路を示す図である。
【図30】本発明で使用することができる電極配置の一例を示す体幹腹部の構造図である。
【図31】本発明で使用することができる電極配置の一例を示す体幹腹部の構造図である。
【図32】本発明で使用することができる皮下脂肪組織層計測を行うための電極配置例を示す図である。
【図33】本発明で使用することができる内臓脂肪組織計測と皮下脂肪組織層計測の組み合わせ合せ計測を行うための電極配置例を示す図である。
【図34】本発明で使用することができる組合せ計測における電極配置のための電極位置決め法を示す図である。
【図35】本発明で使用することができるる電極配置の一例を示す体幹腹部の構造図である。
【図36】図35の体幹腹部の構造を模式的に示す図である。
【図37】図36の電気的等価回路を示す図である。
【図38】本発明で使用することができる組合せ計測を行うための電極配置例を示す図である。
【図39】本発明で使用することができる組合せ計測を行うための電極配置例を示す図である。
【図40】本発明で使用することができる組合せ計測における電極配置のための電極位置決め法を示す図である。
【図41】本発明で使用することができる組合せ計測を行うための電極配置例を示す図である。
【図42】上肢部のインピーダンス及び下肢部のインピーダンスをも考慮した、体幹腹部の構造の電気的等価回路を示す図である。
【図43】図42に示した電気的等価回路に基づいて、上肢部−下肢部間通電による誘導法を示す図である。
【図44】図42に示した電気的等価回路に基づいて、上肢部−体幹腹部間通電による誘導法を示す図である。
【図45】図42に示した電気的等価回路に基づいて、下肢部−体幹腹部間通電による誘導法を示す図である。
【図46】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に内臓脂肪組織を測定するための誘導法を説明する図である。
【図47】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に内臓脂肪組織を測定するための誘導法を説明する図である。
【図48】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に内臓脂肪組織を測定するための誘導法を説明する図である。
【図49】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に内臓脂肪組織を測定するための誘導法を説明する図である。
【図50】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に内臓脂肪組織を測定するための誘導法を説明する図である。
【図51】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に内臓脂肪組織を測定するための誘導法を説明する図である。
【図52】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に内臓脂肪組織を測定するための誘導法を説明する図である。
【図53】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に内臓脂肪組織を測定するための誘導法を説明する図である。
【図54】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に、皮下脂肪組織層を計測するための誘導法を説明する図である。
【図55】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に、皮下脂肪組織層を計測するための誘導法を説明する図である。
【図56】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に、皮下脂肪組織層を計測するための誘導法を説明する図である。
【図57】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に、皮下脂肪組織層を計測するための誘導法を説明する図である。
【図58】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に、皮下脂肪組織層を計測するための誘導法を説明する図である。
【図59】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置により脂肪組織、特に、皮下脂肪組織層を計測するための誘導法を説明する図である。
【図60】本発明の一つの実施例としての体幹への通電誘導法による内臓脂肪組織の特定計測基本フローを示す図である。
【図61】図60の基本フローのサブルーチンとしての皮下脂肪組織量および皮下脂肪組織層インピーダンスの推定処理フローを示す図である。
【図62】図60の基本フローのサブルーチンとしての内臓器組織量および内臓器組織インピーダンスの推定処理フローを示す図である。
【図63】図60の基本フローのサブルーチンとしての内臓脂肪組織インピーダンスおよび内臓脂肪組織量の推定処理フローを示す図である。
【図64】図60の基本フローのサブルーチンとしての四肢部、体幹部インピーダンス計測処理フローを示す図である。
【図65】図64の四肢部、体幹部インピーダンス計測処理フローのサブルーチンとしての体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理フローを示す図である。
【図66】図64の四肢部、体幹部インピーダンス計測処理フローのサブルーチンとしての飲食および膀胱尿貯留等による異常値判定処理フローを示す図である。
【図67】図60の基本フローのサブルーチンとしての図64のフローとは別の四肢部、体幹部インピーダンス計測処理フローを示す図である。
【図68】図67の四肢部、体幹部インピーダンス計測処理フローのサブルーチンとしての体幹腹部内臓器等異常判定処理フローを示す図である。
【図69】本発明の一つの実施例による体幹部内臓・皮下脂肪組織測定用の基本フローチャートを示す図である。
【図70】図69の基本フローのサブルーチンとしての内臓器組織量および内臓器組織インピーダンスの推定処理フローを示す図である。
【図71】図69の基本フローのサブルーチンとしての内臓脂肪組織インピーダンスおよび内臓脂肪組織量の推定処理フローを示す図である。
【図72】図69の基本フローのサブルーチンとしての体幹部インピーダンス計測処理フローを示す図である。
【図73】図69の基本フローのサブルーチンとしての皮下脂肪組織量の推定処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0358】
1 電力供給部
2 体重測定部
3 部位インピーダンス測定部
4 記憶部
5 表示兼入力部
6 印刷部
7 演算兼制御部
8 電流供給部
9 電流印加電極切替部
10 電流印加電極
11 電圧計測電極
12 電圧計測電極切替部
13 電圧測定部
14 グリップ部
15 腱膜部
16 側腹部
20 外腹斜筋組織層
21 腱画
23 白線
25 左右大殿筋
27 広背筋
30 広がり抵抗領域
33 電流印加電極
34 電流印加電極
36、37、38 電極
43、44 電流印加電極
46、47 電圧計測電極
50 腹直筋組織層
53、54 電流印加電極
55〜60 電圧計測電極
61、62 電流印加電極
63〜68 電圧計測電極
70〜73 電流印加電極
74〜77 電圧計測電極
112 操作パネル
120 右側腹側側面部
A 臍

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流印加電極対から体幹部に電流を印加し、前記体幹部に生じた電位差を電圧計測電極対により測定し、前記体幹部のインピーダンスを測定することにより、前記体幹部の内臓脂肪組織情報、及び/又は、皮下脂肪組織層情報を求める方法であって、前記電流印加電極対の一方の電流印加電極は前記体幹部に配置し、他方の電流印加電極は前記体幹部から突出する部位に配置することを特徴とする体幹部内臓・皮下脂肪測定方法。
【請求項2】
前記体幹部から突出する部位は上肢、下肢、または頭部である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記体幹部から突出する部位は頭部の耳部である請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極の近接位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極から体幹部長手方向の遠方位置に配置して、体幹部のインピーダンスを測定することにより体幹部皮下脂肪組織層情報を求める請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかに前記一方の電流印加電極と前記一方の電圧計測電極とを配置して測定する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記一方の電流印加電極から、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加し、
前記電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置して、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極の間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層情報を得る請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記他方の電圧計測電極は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定する請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記電流印加電極対を少なくとも1つ、及び、前記電圧計測電極対を少なくとも2つ設け、
前記電流印加電極対の一方の電流印加電極から、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加し、
前記少なくとも2つの電圧計測電極対の一方の電圧計測電極対に含まれる一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置して、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極の間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層情報を得、
前記少なくとも2つの電圧計測電極対の他方の電圧計測電極対を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置して電位差を測定することにより内臓脂肪組織情報を得、
前記一方の電圧計測電極対と前記他方の電圧計測電極対を選択して、前記皮下脂肪組織層情報と前記内臓脂肪組織情報を選択的に得る請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記他方の電圧計測電極対は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定する請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記広がり抵抗の影響が支配的な位置は、臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかであり、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置は、臍部と腸骨稜上縁部の間である請求項6乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して近接位置に配置され、前記他方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して、前記一方の電圧計測電極より十分に遠方位置に配置され、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層の情報を得る請求項8乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して近接位置に配置され、前記他方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して、近接位置に配置された前記一方の電圧計測電極より十分に遠方位置に配置され、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層の情報を得る請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記十分に遠方位置とは、前記近接位置の3倍以上の位置である請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つの電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項8乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記一方の電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部の皮下脂肪組織量を求め、該求めた体幹部の皮下脂肪組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを求め、身体特定化情報に基づいて、体幹部の骨格筋組織量を求め、該求めた体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて、体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求め、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を求め、該求めた体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを求め、前記他方の電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求め、該求めた体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を求める8乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記一方の電流印加電極から、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加して内臓脂肪組織情報を求める請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記電圧計測電極対を前記体幹部から突出した部位に配置して測定する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記電圧計測電極対を前記体幹部から突出した部位で、かつ、前記電流印加電極対の他方側の電流印加電極が配置されていない体幹部から突出した部位に配置する請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記電圧計測電極対を前記電流印加電極対から体幹部長手方向の遠方位置に配置して測定する請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記電圧計測電極対は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定する請求項16又は19記載の方法。
【請求項21】
身体特定化情報に基づいて体幹部の骨格筋組織量を求め、該求めた体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求め、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を求め、該求めた体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを求め、前記求めた体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求め、該求めた体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項16乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記部位は、臍と腸骨稜上縁間の区間、又は、腹直筋と外腹斜筋間の結合腱部である請求項16乃至21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記体幹部のインピーダンスの測定は、腹囲周付近で行われる請求項16乃至22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記電圧計測電極対の電極のいずれか1つ以上の電極が腹囲周上からずらした位置に配置される請求項16乃至23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記電圧計測電極は対としてまたは対を形成する電極のうちの一方が前記腹囲周上から外れた位置に配置される請求項16乃至24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記電圧計測電極対は、臍を中心として見た場合の左右の上記部位間に配置される請求項18乃至25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記電圧計測電極対は、前記腹囲周上から外れた腹部領域内の体幹部長手方向に配置される請求項16乃至24のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記一方の電流印加電極を臍位より上部の体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群上に配置して体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群を仮想電極層として利用することによって骨格筋組織層より内側の内臓器組織及び内臓脂肪組織に対する電流通電量を増やす請求項1乃至27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
更に、体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群上に別の電圧計測電極対を更に配置して腹直筋組織層のインピーダンスを測定し、その測定した腹直筋組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項28記載の方法。
【請求項30】
身体特定化情報に基づいて体幹部の骨格筋組織量を求め、該求めた体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求め、若しくは、前記腹直筋組織層のインピーダンスに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求め、若しくは、前記腹直筋組織層のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを求めて、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を求め、該求めた体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを求め、前記体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求め、該求めた体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを測定する第2の電圧計測電極対を更に配置し、該第2の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な前記一方の電流印加電極に近接した位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで前記一方の電流印加電極から離れた位置に配置し、該第2の電圧計測電極対によって体幹部を測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項28乃至30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記腹直筋組織層のインピーダンスの測定を、腹直筋組織層に対して感度の高い周波数f1の印加電流によって行い、前記体幹部のインピーダンスの測定を、f1よりも高い周波数で筋線維に対してほとんど影響を受けない周波数f2の印加電流によって行うことを特徴とする請求項28乃至31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを測定する第3の電圧計測電極対を更に配置し、該第3の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な前記一方の電流印加電極に近接した位置に配置し、他方の電圧計測電極を、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで前記一方の電流印加電極から離れた位置に配置し、該電圧計測電極対によって測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項28乃至32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記第3の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極に近接した位置に、第2の電流印加電極対の一方の電流印加電極を更に配置し、前記電圧計測電極対によって測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求める段階は、体幹部の電気的等価回路が、前記体幹部内臓器組織のインピーダンスと前記体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスとの直列回路に対して前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスが並列に接続されたものとしている請求項15、21、30、32のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記体幹部のインピーダンスと、前記求めた体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを求める段階は、体幹部の電気的等価回路が、前記体幹部内臓器組織のインピーダンスと前記体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスとの直列回路に対して、前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスと前記体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスとが並列に接続されたものとしている請求項15、31、33、34に記載の方法。
【請求項37】
前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスは、更に、腱膜のインピーダンスと背筋と腹斜筋の骨格筋組織層のインピーダンスとの直列回路に対して腹直筋が支配的な骨格筋組織層のインピーダンスが並列に接続されたものである請求項35又は36記載の方法。
【請求項38】
前記体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群が腹直筋組織層である請求項28乃至37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記一方の電流印加電極対を体幹部表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部と背面腰下部との間に配置する請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記一方の電流印加電極対を体幹部表側腹直筋組織層上に配置する請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記電流印加電極および電圧計測電極を、左右の腹直筋組織層に均等に通電および計測に寄与するように白線をまたいで両方に対称に配置する請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
前記電流印加電極および電圧計測電極を、左右の腹直筋組織層のいずれか一方のみに配置する請求項39又は40に記載の方法。
【請求項43】
前記電圧計測電極を、腹直筋組織層の腱画部を基準として配置する請求項39又は40のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記電圧計測電極を、臍部の凹部に配置する請求項39又は40のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
体幹部に電流を印加する電流印加電極対と、前記体幹部に生じた電位差を測定する電圧計測電極対とを備え、前記体幹部のインピーダンスを測定することにより、前記体幹部の内臓脂肪組織情報、及び/又は、皮下脂肪組織層情報を求める装置であって、前記電流印加電極対の一方の電流印加電極は前記体幹部に配置し、他方の電流印加電極は前記体幹部から突出する部位に配置することを特徴とする体幹部内臓・皮下脂肪測定装置。
【請求項46】
前記体幹部から突出する部位は四肢または頭部である請求項45記載の装置。
【請求項47】
前記体幹部から突出する部位は頭部の耳部である請求項46記載の装置。
【請求項48】
前記電圧計測電極対の一方の電圧計測電極を、前記一方の電流印加電極の近接位置に配置し、他方の電圧計測電極を前記一方の電流印加電極から体幹部長手方向の遠方位置に配置して、体幹部のインピーダンスを測定することにより体幹部皮下脂肪組織層情報を求める請求項45乃至47のいずれかに記載の装置。
【請求項49】
臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかに前記一方の電流印加電極と前記一方の電圧計測電極とを配置して測定する請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記一方の電流印加電極は、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加し、
前記電圧計測電極対の一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置され、他方の電圧計測電極は、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されて、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極の間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層情報を得る請求項45乃至49のいずれかに記載の装置。
【請求項51】
前記他方の電圧計測電極は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定する請求項50記載の装置。
【請求項52】
前記広がり抵抗の影響が支配的な位置は、臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかであり、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置は、臍部と腸骨稜上縁部の間である請求項50又は51に記載の装置。
【請求項53】
前記一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して近接位置に配置され、前記他方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して、近接位置に配置された前記一方の電圧計測電極より十分に遠方位置に配置され、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層の情報を得る請求項50乃至52のいずれかに記載の装置。
【請求項54】
前記十分に遠方位置とは、前記近接位置の3倍以上の位置である請求項53記載の装置。
【請求項55】
前記電流印加電極対を少なくとも1つ、及び、前記電圧計測電極対を少なくとも2つ有し、
前記電流印加電極対の一方の電流印加電極は、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加し、
前記少なくとも2つの電圧計測電極対の一方の電圧計測電極対に含まれる一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な位置に配置され、他方の電圧計測電極は、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されて、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極の間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層情報を得るものであり、
前記少なくとも2つの電圧計測電極対の他方の電圧計測電極対は、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置に配置されて電位差を測定することにより内臓脂肪組織情報を得るものであり、
前記一方の電圧計測電極対と前記他方の電圧計測電極対を選択して、前記皮下脂肪組織層情報と前記内臓脂肪組織情報を選択的に得る切換装置を更に備える請求項45乃至47のいずれかに記載の装置。
【請求項56】
前記他方の電圧計測電極対は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位にて測定する請求項55記載の装置。
【請求項57】
前記広がり抵抗の影響が支配的な位置は、臍位近辺、側腹部、側背部のいずれかであり、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで離れた位置は、臍部と腸骨稜上縁部の間である請求項55又は56に記載の装置。
【請求項58】
前記一方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して近接位置に配置され、前記他方の電圧計測電極は、前記一方の電流印加電極に対して、前記一方の電圧計測電極より十分に遠方位置に配置され、前記一方の電圧計測電極と前記他方の電圧計測電極間の電位差を測定することにより皮下脂肪組織層の情報を得る請求項55乃至57のいずれかに記載の装置。
【請求項59】
前記十分に遠方位置とは、前記近接位置の3倍以上の位置である請求項58記載の装置。
【請求項60】
前記少なくとも2つの電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備える請求項55乃至59のいずれかに記載の装置。
【請求項61】
前記一方の電圧計測電極対によって測定された電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部の皮下脂肪組織量を推定する体幹部皮下脂肪組織量推定手段と、前記推定した体幹部の皮下脂肪組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部の皮下脂肪組織量を推定する体幹部皮下脂肪組織量推定手段と、前記推定した体幹部の皮下脂肪組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを推定する体幹部皮下脂肪組織層インピーダンス推定手段と、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を推定し、該推定された体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓器組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部のインピーダンスと、前記推定した体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備える請求項55乃至60のいずれかに記載の装置。
【請求項62】
前記一方の電流印加電極から皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に電流を印加して内臓脂肪組織情報を求める請求項45乃至61のいずれかに記載の装置。
【請求項63】
前記電圧計測電極対は前記電流印加電極対から体幹部長手方向の遠方位置に配置する請求項62記載の装置。
【請求項64】
前記電圧計測電極対は、前記電位差を、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位において測定する請求項62または63記載の装置。
【請求項65】
身体特定化情報に基づいて体幹部の骨格筋組織量を推定する体幹部の骨格筋組織量推定手段と、前記推定した体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを推定する体幹部骨格筋組織層インピーダンス推定手段と、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を推定し、該推定された体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓器組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部のインピーダンスと、前記推定した体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備える請求項62乃至64のいずれかに記載の装置。
【請求項66】
前記一方の電流印加電極が臍位より上部の体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群上に配置されている請求項45乃至65のいずれかに記載の装置。
【請求項67】
更に、体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群上に腹直筋組織層のインピーダンスを計測するための別の電圧計測電極対が更に配置されている請求項66記載の装置。
【請求項68】
身体特定化情報に基づいて体幹部の骨格筋組織量を推定し該推定した体幹部の骨格筋組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを推定する体幹部骨格筋組織層インピーダンス推定手段、若しくは、前記腹直筋組織層のインピーダンスに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを推定する体幹部骨格筋組織層インピーダンス推定手段と、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を推定し、該推定した体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓器組織インピーダンス推定手段と、前記体幹部のインピーダンスと、前記推定した体幹部骨格筋組織層のインピーダンス及び体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備える請求項66又は67に記載の装置。
【請求項69】
体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを測定する第2の電圧計測電極対が更に配置され、該第2の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極が、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な前記一方の電流印加電極に近接した位置に配置され、他方の電圧計測電極が、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで前記一方の電流印加電極から離れた位置に配置され、該第2の電圧計測電極対によって測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項66乃至68のいずれかに記載の装置。
【請求項70】
前記腹直筋組織層のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部骨格筋組織層のインピーダンスを推定する体幹部骨格筋組織層インピーダンス推定手段と、身体特定化情報に基づいて体幹部の内臓器組織量を推定し、該推定された体幹部の内臓器組織量と身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓器組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓器組織インピーダンス推定手段と、前記体幹部のインピーダンスと、前記推定した体幹部骨格筋組織層のインピーダンスおよび体幹部内臓器組織のインピーダンスとに基づいて体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスを推定する体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段と、前記推定した体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスと身体特定化情報とに基づいて体幹部内臓脂肪組織量を推定する体幹部内臓脂肪組織量推定手段とを更に備える請求項66乃至69のいずれかに記載の装置。
【請求項71】
体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを測定する第3の電圧計測電極対が更に配置され、該第3の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極が、前記一方の電流印加電極直下の広がり抵抗の影響が支配的な前記一方の電流印加電極に近接した位置に配置され、他方の電圧計測電極が、前記広がり抵抗の影響が軽減されるまで前記一方の電流印加電極から離れた位置に配置され、該電圧計測電極対によって測定した体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項66乃至70のいずれかに記載の装置。
【請求項72】
前記第3の電圧計測電極対の一方の電圧計測電極に近接した位置に、第2の電流印加電極対の一方の電流印加電極が更に配置され、前記電圧計測電極対によって測定した皮下脂肪組織層のインピーダンスを利用して体幹部内臓脂肪組織量を求める請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段は、体幹部の電気的等価回路が、前記体幹部の内臓器組織のインピーダンスと前記体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスとの直列回路に対して前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスが並列に接続されたものとして推定を行う請求項60又は70に記載の装置。
【請求項74】
前記体幹部内臓脂肪組織インピーダンス推定手段は、体幹部の電気的等価回路が、前記体幹部の内臓器組織のインピーダンスと前記体幹部内臓脂肪組織のインピーダンスとの直列回路に対して、前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスと前記体幹部皮下脂肪組織層のインピーダンスとが並列に接続されたものとして推定を行う請求項71又は72に記載の装置。
【請求項75】
前記体幹部骨格筋組織層のインピーダンスは、更に、腱膜のインピーダンスと背筋と腹斜筋の骨格筋組織層のインピーダンスとの直列回路に対して腹直筋が支配的な骨格筋組織層のインピーダンスが並列に接続されたものである請求項73又は74記載の装置。
【請求項76】
前記体幹腹部長手方向に長く配列する骨格筋群が腹直筋組織層である請求項66乃至75のいずれかに記載の装置。
【請求項77】
前記一方の電流印加電極対が体幹部表側鳩尾下部の腹直筋組織層上部と背面腰下部との間に配置されている請求項76に記載の装置。
【請求項78】
前記一方の電流印加電極対が体幹部表側腹直筋組織層上に配置されている請求項76に記載の装置。
【請求項79】
呼吸周期時間より短いサンプリング周期で測定した体幹部のインピーダンスに基づいて呼吸による変動の影響を除去するための呼吸変動影響除去手段を更に備える請求項45乃至78のいずれかに記載の装置。
【請求項80】
前記測定した体幹部のインピーダンスを集団の一般的な値と比較することにより異常値判定処理を行う異常値判定処理手段を更に備える請求項45乃至79のいずれかに記載の装置。
【請求項81】
前記異常値判定処理手段による判定結果に基づいてアドバイス情報を表示する表示手段を更に備える請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記体幹部内臓脂肪組織量は、体幹部内臓脂肪率で表される請求項68乃至81のいずれかに記載の装置。
【請求項83】
前記体幹部内臓脂肪組織量は、体幹部内臓脂肪組織横断面積で表される請求項68乃至81のいずれかに記載の装置。
【請求項84】
前記体幹部内臓脂肪組織量は、体幹部内臓脂肪組織体積量で表される請求項68乃至81のいずれかに記載の装置。
【請求項85】
前記体幹部内臓脂肪組織量は、体幹部内臓脂肪組織重量で表される請求項68乃至81のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【公開番号】特開2007−14552(P2007−14552A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199169(P2005−199169)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】