体組成改善装置
【課題】使用者の体組成を測定することで、使用者の体組成にあわせた最適な低周波電気刺激の付与を可能とする体組成改善装置を提供する。
【解決手段】体組成測定部100と刺激電流付与部200と主制御部300とを備え、体組成測定部100は、使用者に接触する体組成測定電極500を含み、刺激電流付与部200は、使用者に接触する刺激電流付与電極500を含み、主制御部300は、体組成測定電極500を用いて体組成測定部100によって得られた体組成情報に基づき、使用者に付与する刺激電流の付与条件を決定して、この付与条件に応じた刺激電流を刺激電流与電極500に与える。
【解決手段】体組成測定部100と刺激電流付与部200と主制御部300とを備え、体組成測定部100は、使用者に接触する体組成測定電極500を含み、刺激電流付与部200は、使用者に接触する刺激電流付与電極500を含み、主制御部300は、体組成測定電極500を用いて体組成測定部100によって得られた体組成情報に基づき、使用者に付与する刺激電流の付与条件を決定して、この付与条件に応じた刺激電流を刺激電流与電極500に与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康の維持および増進のための体組成改善装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の体組成改善装置の一例としては、特開2010−172562号公報(特許文献1)に開示されるような、電気筋肉刺激ベルトが挙げられる。この電気筋肉刺激ベルトは、低周波電気刺激を筋肉に与えることによって、筋肉を強制的に収縮・弛緩運動させて、筋肉の活動量(エネルギー消費)を増加させるとともに、筋肉量を増やすことによって基礎代謝も増加させて、ダイエットしやすい体に変化させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−172562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような体組成改善装置にあっては、低周波電気刺激の強度は使用者の主観的な判断で調節され、体組成の改善のための適切な強度になっていない場合がある。また、低周波電気刺激の強度パターンは、あらかじめ体組成改善装置に内蔵されたものを選択するしかなく、使用者の体組成に適合していない場合がある。その結果、効果的な体組成の改善が得られない場合がある。
【0005】
この発明は、このような課題を改善するためになされたもので、使用者の体組成を測定することで、使用者の体組成にあわせた最適な低周波電気刺激の付与を可能とする体組成改善装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に基づいた体組成改善装置においては、生体の体組成を測定する体組成測定部と、上記生体に対して電流による刺激を付与する刺激電流付与部と、制御部とを備え、上記体組成測定部は、上記生体の体組成を測定する際に上記生体に接触する体組成測定電極を含み、上記刺激電流付与部は、上記生体に対して電流による刺激を付与する際に上記生体に接触する刺激電流付与電極を含み、上記制御部は、上記体組成測定電極を用いて上記体組成測定部によって得られた体組成情報に基づき、上記生体に付与する刺激電流の付与条件を決定して、上記付与条件に応じた刺激電流を上記刺激電流付与電極に与える。
【0007】
他の形態においては、当該体組成改善装置は、上記生体の体組成の経時的変化を記録する記憶部をさらに含む。
【0008】
他の形態においては、上記制御部は、上記記憶部に記録された体組成の経時的変化の情報に基づき上記付与条件を決定する。
【0009】
他の形態においては、当該体組成改善装置は、上記記憶部に記録された上記体組成の経時的変化を表示する表示部をさらに含む。
【0010】
他の形態においては、上記体組成情報は、上記生体の体脂肪関連量または除脂肪関連量であり、上記付与条件として、上記刺激電流の強さ、刺激時間、および電極間隔が決定される。
【0011】
他の形態においては、上記体組成測定電極と上記刺激電流付与電極とは同一の生体接触電極が用いられ、上記制御部は、上記生体接触電極を上記体組成測定電極として用いる場合と、上記生体接触電極を上記刺激電流付与電極として用いる場合とを切り換える切り換え部を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者の体組成を測定することで、使用者の体組成にあわせた最適な低周波電気刺激の付与を可能とする体組成改善装置を提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態における体組成改善装置の使用者の装着状態の一例を示す模式図である。
【図2】実施の形態における体組成改善装置のブロック図である。
【図3】実施の形態における体組成改善装置の正面図である。
【図4】実施の形態における体組成改善装置の側面図である。
【図5】実施の形態における体組成改善装置の平面図である。
【図6】実施の形態における体組成改善装置の腹部電極および背部電極の配置状態を示す模式図である。
【図7】実施の形態における体組成改善装置の体組成改善フローを示す図である。
【図8】実施の形態における体組成改善装置を用いた体組成測定時の生体インピーダンス測定例(背側生体インピーダンス測定例)を示す模式図である。
【図9】実施の形態における体組成改善装置を用いた低周波刺激電流の印加時の状態を示す模式図である。
【図10】実施の形態における体組成改善装置の使用者の体型の具体的判断基準を示す図である。
【図11】実施の形態における体組成改善装置の刺激電流の設定の一例を示す図である。
【図12】実施の形態における体組成改善装置の肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(基本的な考え方)を示す図である。
【図13】実施の形態における体組成改善装置の肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満との組合)を示す図である。
【図14】実施の形態における体組成改善装置を用いた場合の、体組成改善の経時的変化を示す図である。
【図15】他の実施の形態における体組成改善装置の腹部電極および背部電極の配置状態を示す模式図である。
【図16】他の実施の形態における体組成改善装置の腹部電極および背部電極の配置状態を示す模式図である。
【図17】他の実施の形態における体組成改善装置の電極を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に基づいた実施の形態における体組成改善装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、各図中、同一符号は同一または相当部分を指し、重複する説明は繰返さない場合がある。
【0015】
まず、本発明の各実施の形態について説明するに先立ち、身体の部位を表わす用語の定義を行なう。「胴部」は、身体の頭部、頸部、および四肢を除く部位であり、いわゆる体幹に相当する。「背部」は、上記胴部のうちの背中側に位置する部分を意味し、上記胴部のうちの腹部側の部分および胸部側の部分を除く部分に相当する。「背部表面」は、上記背部の体表面全体を意味しており、使用者を背中側から観察した場合に視認可能な部分の胴部表面の全体を言う。また、「体軸」は、胴部の延在方向に沿って位置する軸、すなわち使用者の胴部の横断面に対して略垂直な方向に延びる軸を言う。
【0016】
(体組成改善装置1)
図1および図2を参照して、本実施の形態における体組成改善装置1について説明する。なお、図1は、体組成改善装置1の使用者1000の装着状態の一例を示す模式図であり、図2は、体組成改善装置1のブロック図である。
【0017】
この体組成改善装置1は、ベルト部材10を有し、使用者1000の胴部に装着して使用する。体組成改善装置1は、体組成測定部100と刺激電流付与部200とを含む。体組成測定部100は、制御部110、腹部形状測定部120および生体インピーダンス測定部130を有する。刺激電流付与部200は、制御部210および刺激波形発生部220を有する。
【0018】
また、体組成改善装置1は、主制御部300、電極切り換え部400、電極部500、操作部600、表示部700、および、記憶部800を含む。
【0019】
電極部500は、電極切り換え部400に接続され、電極切り換え部400は、生体インピーダンス測定部130および刺激波形発生部220に接続されている。腹部形状測定部120および生体インピーダンス測定部130は、体組成測定部100の制御部110に接続されている。刺激波形発生部220は、刺激電流付与部200の制御部210に接続されている。
【0020】
また、電極切り換え部400、体組成測定部100の制御部110、および刺激電流付与部200の制御部210は、主制御部300に接続されている。操作部600、表示部700、および、記憶部800も、主制御部300に接続されている。
【0021】
主制御部300は、電極部500を用いて体組成測定部100によって得られた体組成情報に基づき、使用者1000に付与する刺激電流の付与条件を決定する。その後、電極切り換え部400において、電極部500は体組成測定部100から刺激波形発生部220へ接続が切り換えられて、付与条件に応じた刺激電流が刺激波形発生部220から電極部500に与えられる。
【0022】
(電極の配置)
次に、図3から図6を参照して、ベルト部材10を用いた体組成改善装置1の具体的な電極配置について説明する。なお、図3は、体組成改善装置1の正面図、図4は、体組成改善装置1の側面図、図5は、体組成改善装置1の平面図、図6は、体組成改善装置1の腹部電極および背部電極の配置状態を示す模式図である。
【0023】
図5および図6を参照して、ベルト部材10には、電極部500として、複数の腹部電極510および背部電極520が配置されている。腹部側には、胴部周りに沿って4列、体軸方向に沿って2列、合計8個の腹部電極510が配置されている。同様に、背部側にも、胴部周りに沿って4列、体軸方向に沿って2列、合計8個の背部電極520が配置されている。
【0024】
腹部電極510および背部電極520には、表面積が3〜80cm2程度のステンレス材やチタン系金属や洋白などのような生体電極として通常に使用される金属や、さらにはこれらの表面に電解質を含む液体、ゲル、ペーストを塗布または貼り付けしたものが用いられる。配置間隔(図8中の寸法W)については、後述の刺激電流の設定において説明する。
【0025】
(体組成改善フロー)
次に、図7を参照して、上記体組成改善装置1を用いた体組成改善フローについて説明する。なお、図7は、体組成改善装置1の体組成改善フローを示す図である。なお、図7中の各ブロックにおいて、二重枠は使用者側の操作を示し、一重枠は体組成改善装置1側の動作を示す。
【0026】
まず、体組成改善装置1を使用者の胴部にベルト部材10を用いて装着する。次に、操作部600に設けられた、電源スイッチ(図示省略)を用いて体組成改善装置1の電源をON状態にする(ステップ10、以下S10と示す)。次に、体組成改善装置1側において初期設定が行なわれる(S20)。
【0027】
次に、体組成改善装置1の操作部600から、刺激メニューの選択を行なう(S30)。次に、体組成改善装置1側において、体組成の測定が行なわれる(S40)。具体的には、腹部形状の測定(S41)と生体インピーダンスの測定(S42)との測定が行なわれる。
【0028】
次に、腹部形状の測定および生体インピーダンスの測定によって得られた体組成に基づき、使用者に適した刺激パターンの生成を行なう(S50)。刺激パターンの生成においては、使用者1000の体組成の経時的変化を記録する記憶部800に記録された体組成の経時的変化の情報に基づき刺激パターンの付与条件が、主制御部300、体組成測定部の制御部110、および刺激電流付与部の制御部210において決定される。
【0029】
次に、電極を生体インピーダンス測定状態から刺激電流付与状態に切り換える(S60)。その後、刺激波形を有する電流を発生させて、電極に印加する(S70)。所定時間の経過を計測し(S80)、所定時間の経過後、刺激波形を有する電流の電極への印加を終了する(S90)。
【0030】
(腹部形状の測定および生体インピーダンスの測定)
次に、腹部形状の測定および生体インピーダンスの測定について説明する。まず、腹部形状の測定は、ベルトを用いて胴部周囲長(いわゆるウエスト長)を測定する方法や、胴部の横幅および縦幅を測定する方法がある。これらの腹部形状のデータが、制御部100に送られる。
【0031】
次に、図8を参照して、生体インピーダンスの測定について説明する。なお、図8は、体組成改善装置を用いた体組成測定時の生体インピーダンス測定例(背側生体インピーダンス測定例)を示す模式図である。
【0032】
使用者の体組成測定時の生体インピーダンスの測定においては、背側の生体インピーダンス測定の場合、内側に位置する2組1対の背部電極520を用いて定電流印加を行ない、外側に位置する2組1対の背部電極520を用いて背側の電圧測定を行なう。同様にして、腹側の電圧測定も行なう。このようにして検出された背側の電圧値および腹側の電圧値に基づき、全身の生体インピーダンスが算出される。
【0033】
(刺激波形を有する電流の印加)
次に、図9を参照して、刺激波形を有する電流の印加について説明する。なお、図9は、体組成改善装置を用いた低周波刺激電流の印加時の状態を示す模式図である。電極を生体インピーダンス測定状態から刺激電流付与状態に切り換えた後、刺激波形を有する電流を発生させて、背部電極520に印加することで電流は使用者の腹部を貫通するように、背部電極520から腹部電極510に向かって流れることになる。
【0034】
(刺激パターンの生成)
次に、図10から図13を参照して、主制御部300(図2参照)における刺激パターンの生成について説明する。なお、図10は、使用者の体型の具体的判断基準を示す図、図11は、刺激電流の設定の一例を示す図、図12は、肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(基本的な考え方)を示す図、図13は、肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満との組合)を示す図である。
【0035】
(体型の具体的判断基準)
使用者の体型の具体的判断基準について説明する。肥満の判定は、BMI>25の場合に肥満であると判断する。ここで、BMIは、体重(kg)/(身長(m))2で求まる数値である。
【0036】
「内臓脂肪型肥満」の判定は、内臓脂肪面積が100cm2以上、またはV/S比が0.4以上の場合には、「内臓脂肪型肥満」と判定する。ここで、Vは、内臓脂肪面積、Sは皮下脂肪面積である。「皮下脂肪型肥満」の判定は、BMI>25、かつ、腹囲長が基準値(男性で85cm、女性で90cm)未満の場合には、「皮下脂肪型肥満」と判定する。上記は、体脂肪関連量であるが、除脂肪関連量(筋肉量)で分類する方法も挙げられる。
【0037】
図10を参照して、「内臓脂肪型肥満」または「皮下脂肪型肥満」に大別し、それぞれ、「軽度」、「中度」、「重度」に場合分けを行なう。「内臓脂肪型肥満」の場合、内臓脂肪面積が100cm2未満の場合には「軽度」、内臓脂肪面積が100cm2〜150cm2の場合には「中度」、内臓脂肪面積が150cm2以上の場合には「重度」との判定を行なう。
【0038】
「皮下脂肪型肥満」の場合、皮下脂肪面積が180cm2未満であって、腹部体表からの生体インピーダンスが10Ω未満の場合には「軽度」、皮下脂肪面積が180cm2〜250cm2であって、腹部体表からの生体インピーダンスが10Ω〜15Ωの場合には「中度」、皮下脂肪面積が250cm2以上であって、腹部体表からの生体インピーダンスが15Ω以上の場合には「重度」との判定を行なう。
【0039】
なお、除脂肪関連量として筋肉量で分類する場合には、全身の生体インピーダンス(主に筋肉量を反映)が10Ω以上の場合には「少ない」、全身の生体インピーダンス(主に筋肉量を反映)が5Ω〜10Ωの場合には「標準」、全身の生体インピーダンス(主に筋肉量を反映)が5Ω未満の場合には「多い」との判定を行なう。
【0040】
(刺激電流の設定)
次に、図11を参照して、刺激電流の設定について説明する。標準体型の場合「刺激電流の強さ」は20mA、「刺激時間」は10分、「刺激電極間隔」は5cmである。一方、肥満体型の場合には、「軽度」の肥満体型の場合には、「刺激電流の強さ」は40mA(やや強め)、「刺激時間」は15分(やや長め)、「刺激電極間隔」は10cm(やや広く)である。「中度」の肥満体型の場合には、「刺激電流の強さ」は60mA(強め)、「刺激時間」は20分(長め)、「刺激電極間隔」は15cm(広く)である。「重度」の肥満体型の場合には、「刺激電流の強さ」は80mA(最強)、「刺激時間」は30分(最長)、「刺激電極間隔」は20cm(最も広く)である。
【0041】
刺激電極間隔の調整は、本実施の形態においては、たとえば5cm間隔(図8中のW=5cm)に格子状に配置された複数の電極510,520から、対となる電極の間隔が、5cm、10cm、15cmとなるように選択を行なう。なお、「刺激電流」に関しては、刺激の感じ方に使用者の個人差が生じることから、刺激電流が強いのが苦手な使用者の場合には、「刺激電流」の値を設定よりも弱くし、「刺激時間」を設定よりも長くするような設定方法も可能である。
【0042】
次に、図12を参照して、肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(基本的な考え方)について説明する。「内臓脂肪型肥満」の場合、「軽度」であれば、「刺激電流の強さ」は「標準」、「刺激時間」は「やや長め」、「電極間隔」は「標準(5cm)」となり、「中度」であれば、「刺激電流の強さ」は「標準」、「刺激時間」は「長め」、「電極間隔」は「標準(5cm)」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「標準」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「標準(5cm)」となる。
【0043】
また、「皮下脂肪型肥満」の場合、「軽度」であれば、「刺激電流」は「やや強め」、「刺激時間」は「やや長め」、「電極間隔」は「やや広く」となり、「中度」であれば、「刺激電流」は「強め」、「刺激時間」は「長め」、「電極間隔」は「広く」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「最強」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「最も広く」となる。
【0044】
次に、図13を参照して、肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満との組合せ)について説明する。「内臓脂肪型肥満」が「軽度」の場合において、「皮下脂肪型肥満」が「軽度」であれば、「刺激電流」は「やや強め」、「刺激時間」は「やや長め」、「電極間隔」は「やや広く」となり、「中度」であれば、「刺激電流」は「強め」、「刺激時間」は「長め」、「電極間隔」は「広く」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「最強」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「最も広く」となる。
【0045】
また、「内臓脂肪型肥満」が「中度」の場合において、「皮下脂肪型肥満」が「軽度」であれば、「刺激電流」は「やや強め」、「刺激時間」は「やや長め」、「電極間隔」は「やや広く」となり、「中度」であれば、「刺激電流」は「強め」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「広く」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「最強」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「最も広く」となる。
【0046】
また、「内臓脂肪型肥満」が「重度」の場合において、「皮下脂肪型肥満」が「軽度」であれば、「刺激電流」は「やや強め」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「やや広く」となり、「中度」であれば、「刺激電流」は「強め」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「広く」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「最強」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「最も広く」となる。
【0047】
次に、図14を参照して、本実施の形態おける体組成改善装置1を用いた使用者の「内臓脂肪面積(BIA法)」、「体重」、「ウエスト周囲長」、および「体組成」の減量前からの平均変化率を示す。図14に示すグラフは、記憶部800に記録された体組成の経時的変化であり、体組成改善装置1の表示部700(図2参照)に測定日ごとに連続して表示される。
【0048】
体組成改善装置1において、使用者が体組成改善を行なった場合には、予め使用者の体組成が測定された後に、体組成改善装置1を装着した状態のまま、使用者の体組成に適合した、「刺激電流」、「刺激時間」および「電極間隔」が設定される。その結果、使用者の体組成にあわせた最適な低周波電気刺激の付与が可能となり、図14に示すように、内臓脂肪面積(BIA法)」、「体重」、「ウエスト周囲長」、および「体組成」の各パラメータを効果的に減少させることを可能としている。
【0049】
また、使用者は、上記各パラメータの減少を表示部700により確認することができるため、継続して体組成改善を行なうモチベーションを維持することができる。
【0050】
このように、本発明に基づいた体組成改善装置1によれば、使用者の生体インピーダンスを測定することにより使用者の体組成を知り、生体インピーダンス値やそれらから得られる体組成データに基づき、使用者の身体状況や目的に合せた体組成の改善を行なうことが可能となる。また、刺激電流を付与する電極と体組成測定用の電極を兼用することができるため、装置の大型化を抑制することができる。また、体組成改善効果の経時的変化を表示している。
【0051】
その結果、体組成測定と体組成改善とを一つの装置で行なえ、最適な設定値での体組成改善ができ、体組成改善の効果を最大化することができる。また、体組成改善の効果が使用者に理解しやすくなり、体組成改善のモチベーションとなり、体組成改善の成功率が上がる。
【0052】
なお、ベルト部材10への腹部電極510および背部電極520の配置については、図6に示す配置パターンに限定されるものではなく、図15に示すように、腹部側には、胴部周りに沿って4列、腹部周りに沿って1列、合計4個の腹部電極510を配置することも可能である。また、図16に示すように、腹部電極510の配置として、四角形の4つの角に相当する位置と、対角線が交わる位置との合計5箇所に、腹部電極510を配置するようにしてもかまわない。
【0053】
また、ベルト部材を用いて腹部周りに電極部500を配置する場合について説明しているが、図17に示すように、刺激用電極として、脚部、腕部、または背中に刺激電極530,540を設ける構成を採用することも可能である。
【0054】
なお、上記実施形態では、電極切り換え部400を設けることで、体組成測定電極と刺激電流付与電極とは同一の生体接触電極を用いる場合を説明したが、電極切り換え部400を設けることなく、体組成測定電極と刺激電流付与電極とをそれぞれ設ける構成を採用することも可能である。
【0055】
また、ベルト部材10を腹部に装着して、腹部における体組成の改善について説明したが腹部に限定されるものではない。たとえば、二の腕、太股等の身体の部位毎にベルト部材10を巻きつけて、部位毎に体組成の改善を行なうことも可能である。
【0056】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0057】
1 体組成改善装置、10 ベルト部材、100 体組成測定部、110,210 制御部、120 腹部形状測定部、130 生体インピーダンス測定部、200 刺激電流付与部、220 刺激波形発生部、300 主制御部、400 電極切り換え部、500 電極部、510 腹部電極、520 背部電極、530,540 刺激電極、600 操作部、700 表示部、800 記憶部、1000 使用者。
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康の維持および増進のための体組成改善装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の体組成改善装置の一例としては、特開2010−172562号公報(特許文献1)に開示されるような、電気筋肉刺激ベルトが挙げられる。この電気筋肉刺激ベルトは、低周波電気刺激を筋肉に与えることによって、筋肉を強制的に収縮・弛緩運動させて、筋肉の活動量(エネルギー消費)を増加させるとともに、筋肉量を増やすことによって基礎代謝も増加させて、ダイエットしやすい体に変化させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−172562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような体組成改善装置にあっては、低周波電気刺激の強度は使用者の主観的な判断で調節され、体組成の改善のための適切な強度になっていない場合がある。また、低周波電気刺激の強度パターンは、あらかじめ体組成改善装置に内蔵されたものを選択するしかなく、使用者の体組成に適合していない場合がある。その結果、効果的な体組成の改善が得られない場合がある。
【0005】
この発明は、このような課題を改善するためになされたもので、使用者の体組成を測定することで、使用者の体組成にあわせた最適な低周波電気刺激の付与を可能とする体組成改善装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に基づいた体組成改善装置においては、生体の体組成を測定する体組成測定部と、上記生体に対して電流による刺激を付与する刺激電流付与部と、制御部とを備え、上記体組成測定部は、上記生体の体組成を測定する際に上記生体に接触する体組成測定電極を含み、上記刺激電流付与部は、上記生体に対して電流による刺激を付与する際に上記生体に接触する刺激電流付与電極を含み、上記制御部は、上記体組成測定電極を用いて上記体組成測定部によって得られた体組成情報に基づき、上記生体に付与する刺激電流の付与条件を決定して、上記付与条件に応じた刺激電流を上記刺激電流付与電極に与える。
【0007】
他の形態においては、当該体組成改善装置は、上記生体の体組成の経時的変化を記録する記憶部をさらに含む。
【0008】
他の形態においては、上記制御部は、上記記憶部に記録された体組成の経時的変化の情報に基づき上記付与条件を決定する。
【0009】
他の形態においては、当該体組成改善装置は、上記記憶部に記録された上記体組成の経時的変化を表示する表示部をさらに含む。
【0010】
他の形態においては、上記体組成情報は、上記生体の体脂肪関連量または除脂肪関連量であり、上記付与条件として、上記刺激電流の強さ、刺激時間、および電極間隔が決定される。
【0011】
他の形態においては、上記体組成測定電極と上記刺激電流付与電極とは同一の生体接触電極が用いられ、上記制御部は、上記生体接触電極を上記体組成測定電極として用いる場合と、上記生体接触電極を上記刺激電流付与電極として用いる場合とを切り換える切り換え部を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者の体組成を測定することで、使用者の体組成にあわせた最適な低周波電気刺激の付与を可能とする体組成改善装置を提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態における体組成改善装置の使用者の装着状態の一例を示す模式図である。
【図2】実施の形態における体組成改善装置のブロック図である。
【図3】実施の形態における体組成改善装置の正面図である。
【図4】実施の形態における体組成改善装置の側面図である。
【図5】実施の形態における体組成改善装置の平面図である。
【図6】実施の形態における体組成改善装置の腹部電極および背部電極の配置状態を示す模式図である。
【図7】実施の形態における体組成改善装置の体組成改善フローを示す図である。
【図8】実施の形態における体組成改善装置を用いた体組成測定時の生体インピーダンス測定例(背側生体インピーダンス測定例)を示す模式図である。
【図9】実施の形態における体組成改善装置を用いた低周波刺激電流の印加時の状態を示す模式図である。
【図10】実施の形態における体組成改善装置の使用者の体型の具体的判断基準を示す図である。
【図11】実施の形態における体組成改善装置の刺激電流の設定の一例を示す図である。
【図12】実施の形態における体組成改善装置の肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(基本的な考え方)を示す図である。
【図13】実施の形態における体組成改善装置の肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満との組合)を示す図である。
【図14】実施の形態における体組成改善装置を用いた場合の、体組成改善の経時的変化を示す図である。
【図15】他の実施の形態における体組成改善装置の腹部電極および背部電極の配置状態を示す模式図である。
【図16】他の実施の形態における体組成改善装置の腹部電極および背部電極の配置状態を示す模式図である。
【図17】他の実施の形態における体組成改善装置の電極を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に基づいた実施の形態における体組成改善装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、各図中、同一符号は同一または相当部分を指し、重複する説明は繰返さない場合がある。
【0015】
まず、本発明の各実施の形態について説明するに先立ち、身体の部位を表わす用語の定義を行なう。「胴部」は、身体の頭部、頸部、および四肢を除く部位であり、いわゆる体幹に相当する。「背部」は、上記胴部のうちの背中側に位置する部分を意味し、上記胴部のうちの腹部側の部分および胸部側の部分を除く部分に相当する。「背部表面」は、上記背部の体表面全体を意味しており、使用者を背中側から観察した場合に視認可能な部分の胴部表面の全体を言う。また、「体軸」は、胴部の延在方向に沿って位置する軸、すなわち使用者の胴部の横断面に対して略垂直な方向に延びる軸を言う。
【0016】
(体組成改善装置1)
図1および図2を参照して、本実施の形態における体組成改善装置1について説明する。なお、図1は、体組成改善装置1の使用者1000の装着状態の一例を示す模式図であり、図2は、体組成改善装置1のブロック図である。
【0017】
この体組成改善装置1は、ベルト部材10を有し、使用者1000の胴部に装着して使用する。体組成改善装置1は、体組成測定部100と刺激電流付与部200とを含む。体組成測定部100は、制御部110、腹部形状測定部120および生体インピーダンス測定部130を有する。刺激電流付与部200は、制御部210および刺激波形発生部220を有する。
【0018】
また、体組成改善装置1は、主制御部300、電極切り換え部400、電極部500、操作部600、表示部700、および、記憶部800を含む。
【0019】
電極部500は、電極切り換え部400に接続され、電極切り換え部400は、生体インピーダンス測定部130および刺激波形発生部220に接続されている。腹部形状測定部120および生体インピーダンス測定部130は、体組成測定部100の制御部110に接続されている。刺激波形発生部220は、刺激電流付与部200の制御部210に接続されている。
【0020】
また、電極切り換え部400、体組成測定部100の制御部110、および刺激電流付与部200の制御部210は、主制御部300に接続されている。操作部600、表示部700、および、記憶部800も、主制御部300に接続されている。
【0021】
主制御部300は、電極部500を用いて体組成測定部100によって得られた体組成情報に基づき、使用者1000に付与する刺激電流の付与条件を決定する。その後、電極切り換え部400において、電極部500は体組成測定部100から刺激波形発生部220へ接続が切り換えられて、付与条件に応じた刺激電流が刺激波形発生部220から電極部500に与えられる。
【0022】
(電極の配置)
次に、図3から図6を参照して、ベルト部材10を用いた体組成改善装置1の具体的な電極配置について説明する。なお、図3は、体組成改善装置1の正面図、図4は、体組成改善装置1の側面図、図5は、体組成改善装置1の平面図、図6は、体組成改善装置1の腹部電極および背部電極の配置状態を示す模式図である。
【0023】
図5および図6を参照して、ベルト部材10には、電極部500として、複数の腹部電極510および背部電極520が配置されている。腹部側には、胴部周りに沿って4列、体軸方向に沿って2列、合計8個の腹部電極510が配置されている。同様に、背部側にも、胴部周りに沿って4列、体軸方向に沿って2列、合計8個の背部電極520が配置されている。
【0024】
腹部電極510および背部電極520には、表面積が3〜80cm2程度のステンレス材やチタン系金属や洋白などのような生体電極として通常に使用される金属や、さらにはこれらの表面に電解質を含む液体、ゲル、ペーストを塗布または貼り付けしたものが用いられる。配置間隔(図8中の寸法W)については、後述の刺激電流の設定において説明する。
【0025】
(体組成改善フロー)
次に、図7を参照して、上記体組成改善装置1を用いた体組成改善フローについて説明する。なお、図7は、体組成改善装置1の体組成改善フローを示す図である。なお、図7中の各ブロックにおいて、二重枠は使用者側の操作を示し、一重枠は体組成改善装置1側の動作を示す。
【0026】
まず、体組成改善装置1を使用者の胴部にベルト部材10を用いて装着する。次に、操作部600に設けられた、電源スイッチ(図示省略)を用いて体組成改善装置1の電源をON状態にする(ステップ10、以下S10と示す)。次に、体組成改善装置1側において初期設定が行なわれる(S20)。
【0027】
次に、体組成改善装置1の操作部600から、刺激メニューの選択を行なう(S30)。次に、体組成改善装置1側において、体組成の測定が行なわれる(S40)。具体的には、腹部形状の測定(S41)と生体インピーダンスの測定(S42)との測定が行なわれる。
【0028】
次に、腹部形状の測定および生体インピーダンスの測定によって得られた体組成に基づき、使用者に適した刺激パターンの生成を行なう(S50)。刺激パターンの生成においては、使用者1000の体組成の経時的変化を記録する記憶部800に記録された体組成の経時的変化の情報に基づき刺激パターンの付与条件が、主制御部300、体組成測定部の制御部110、および刺激電流付与部の制御部210において決定される。
【0029】
次に、電極を生体インピーダンス測定状態から刺激電流付与状態に切り換える(S60)。その後、刺激波形を有する電流を発生させて、電極に印加する(S70)。所定時間の経過を計測し(S80)、所定時間の経過後、刺激波形を有する電流の電極への印加を終了する(S90)。
【0030】
(腹部形状の測定および生体インピーダンスの測定)
次に、腹部形状の測定および生体インピーダンスの測定について説明する。まず、腹部形状の測定は、ベルトを用いて胴部周囲長(いわゆるウエスト長)を測定する方法や、胴部の横幅および縦幅を測定する方法がある。これらの腹部形状のデータが、制御部100に送られる。
【0031】
次に、図8を参照して、生体インピーダンスの測定について説明する。なお、図8は、体組成改善装置を用いた体組成測定時の生体インピーダンス測定例(背側生体インピーダンス測定例)を示す模式図である。
【0032】
使用者の体組成測定時の生体インピーダンスの測定においては、背側の生体インピーダンス測定の場合、内側に位置する2組1対の背部電極520を用いて定電流印加を行ない、外側に位置する2組1対の背部電極520を用いて背側の電圧測定を行なう。同様にして、腹側の電圧測定も行なう。このようにして検出された背側の電圧値および腹側の電圧値に基づき、全身の生体インピーダンスが算出される。
【0033】
(刺激波形を有する電流の印加)
次に、図9を参照して、刺激波形を有する電流の印加について説明する。なお、図9は、体組成改善装置を用いた低周波刺激電流の印加時の状態を示す模式図である。電極を生体インピーダンス測定状態から刺激電流付与状態に切り換えた後、刺激波形を有する電流を発生させて、背部電極520に印加することで電流は使用者の腹部を貫通するように、背部電極520から腹部電極510に向かって流れることになる。
【0034】
(刺激パターンの生成)
次に、図10から図13を参照して、主制御部300(図2参照)における刺激パターンの生成について説明する。なお、図10は、使用者の体型の具体的判断基準を示す図、図11は、刺激電流の設定の一例を示す図、図12は、肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(基本的な考え方)を示す図、図13は、肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満との組合)を示す図である。
【0035】
(体型の具体的判断基準)
使用者の体型の具体的判断基準について説明する。肥満の判定は、BMI>25の場合に肥満であると判断する。ここで、BMIは、体重(kg)/(身長(m))2で求まる数値である。
【0036】
「内臓脂肪型肥満」の判定は、内臓脂肪面積が100cm2以上、またはV/S比が0.4以上の場合には、「内臓脂肪型肥満」と判定する。ここで、Vは、内臓脂肪面積、Sは皮下脂肪面積である。「皮下脂肪型肥満」の判定は、BMI>25、かつ、腹囲長が基準値(男性で85cm、女性で90cm)未満の場合には、「皮下脂肪型肥満」と判定する。上記は、体脂肪関連量であるが、除脂肪関連量(筋肉量)で分類する方法も挙げられる。
【0037】
図10を参照して、「内臓脂肪型肥満」または「皮下脂肪型肥満」に大別し、それぞれ、「軽度」、「中度」、「重度」に場合分けを行なう。「内臓脂肪型肥満」の場合、内臓脂肪面積が100cm2未満の場合には「軽度」、内臓脂肪面積が100cm2〜150cm2の場合には「中度」、内臓脂肪面積が150cm2以上の場合には「重度」との判定を行なう。
【0038】
「皮下脂肪型肥満」の場合、皮下脂肪面積が180cm2未満であって、腹部体表からの生体インピーダンスが10Ω未満の場合には「軽度」、皮下脂肪面積が180cm2〜250cm2であって、腹部体表からの生体インピーダンスが10Ω〜15Ωの場合には「中度」、皮下脂肪面積が250cm2以上であって、腹部体表からの生体インピーダンスが15Ω以上の場合には「重度」との判定を行なう。
【0039】
なお、除脂肪関連量として筋肉量で分類する場合には、全身の生体インピーダンス(主に筋肉量を反映)が10Ω以上の場合には「少ない」、全身の生体インピーダンス(主に筋肉量を反映)が5Ω〜10Ωの場合には「標準」、全身の生体インピーダンス(主に筋肉量を反映)が5Ω未満の場合には「多い」との判定を行なう。
【0040】
(刺激電流の設定)
次に、図11を参照して、刺激電流の設定について説明する。標準体型の場合「刺激電流の強さ」は20mA、「刺激時間」は10分、「刺激電極間隔」は5cmである。一方、肥満体型の場合には、「軽度」の肥満体型の場合には、「刺激電流の強さ」は40mA(やや強め)、「刺激時間」は15分(やや長め)、「刺激電極間隔」は10cm(やや広く)である。「中度」の肥満体型の場合には、「刺激電流の強さ」は60mA(強め)、「刺激時間」は20分(長め)、「刺激電極間隔」は15cm(広く)である。「重度」の肥満体型の場合には、「刺激電流の強さ」は80mA(最強)、「刺激時間」は30分(最長)、「刺激電極間隔」は20cm(最も広く)である。
【0041】
刺激電極間隔の調整は、本実施の形態においては、たとえば5cm間隔(図8中のW=5cm)に格子状に配置された複数の電極510,520から、対となる電極の間隔が、5cm、10cm、15cmとなるように選択を行なう。なお、「刺激電流」に関しては、刺激の感じ方に使用者の個人差が生じることから、刺激電流が強いのが苦手な使用者の場合には、「刺激電流」の値を設定よりも弱くし、「刺激時間」を設定よりも長くするような設定方法も可能である。
【0042】
次に、図12を参照して、肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(基本的な考え方)について説明する。「内臓脂肪型肥満」の場合、「軽度」であれば、「刺激電流の強さ」は「標準」、「刺激時間」は「やや長め」、「電極間隔」は「標準(5cm)」となり、「中度」であれば、「刺激電流の強さ」は「標準」、「刺激時間」は「長め」、「電極間隔」は「標準(5cm)」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「標準」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「標準(5cm)」となる。
【0043】
また、「皮下脂肪型肥満」の場合、「軽度」であれば、「刺激電流」は「やや強め」、「刺激時間」は「やや長め」、「電極間隔」は「やや広く」となり、「中度」であれば、「刺激電流」は「強め」、「刺激時間」は「長め」、「電極間隔」は「広く」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「最強」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「最も広く」となる。
【0044】
次に、図13を参照して、肥満の状態に対応した場合の刺激強度の設定の一例(皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満との組合せ)について説明する。「内臓脂肪型肥満」が「軽度」の場合において、「皮下脂肪型肥満」が「軽度」であれば、「刺激電流」は「やや強め」、「刺激時間」は「やや長め」、「電極間隔」は「やや広く」となり、「中度」であれば、「刺激電流」は「強め」、「刺激時間」は「長め」、「電極間隔」は「広く」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「最強」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「最も広く」となる。
【0045】
また、「内臓脂肪型肥満」が「中度」の場合において、「皮下脂肪型肥満」が「軽度」であれば、「刺激電流」は「やや強め」、「刺激時間」は「やや長め」、「電極間隔」は「やや広く」となり、「中度」であれば、「刺激電流」は「強め」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「広く」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「最強」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「最も広く」となる。
【0046】
また、「内臓脂肪型肥満」が「重度」の場合において、「皮下脂肪型肥満」が「軽度」であれば、「刺激電流」は「やや強め」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「やや広く」となり、「中度」であれば、「刺激電流」は「強め」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「広く」となり、「重度」であれば、「刺激電流」は「最強」、「刺激時間」は「最長」、「電極間隔」は「最も広く」となる。
【0047】
次に、図14を参照して、本実施の形態おける体組成改善装置1を用いた使用者の「内臓脂肪面積(BIA法)」、「体重」、「ウエスト周囲長」、および「体組成」の減量前からの平均変化率を示す。図14に示すグラフは、記憶部800に記録された体組成の経時的変化であり、体組成改善装置1の表示部700(図2参照)に測定日ごとに連続して表示される。
【0048】
体組成改善装置1において、使用者が体組成改善を行なった場合には、予め使用者の体組成が測定された後に、体組成改善装置1を装着した状態のまま、使用者の体組成に適合した、「刺激電流」、「刺激時間」および「電極間隔」が設定される。その結果、使用者の体組成にあわせた最適な低周波電気刺激の付与が可能となり、図14に示すように、内臓脂肪面積(BIA法)」、「体重」、「ウエスト周囲長」、および「体組成」の各パラメータを効果的に減少させることを可能としている。
【0049】
また、使用者は、上記各パラメータの減少を表示部700により確認することができるため、継続して体組成改善を行なうモチベーションを維持することができる。
【0050】
このように、本発明に基づいた体組成改善装置1によれば、使用者の生体インピーダンスを測定することにより使用者の体組成を知り、生体インピーダンス値やそれらから得られる体組成データに基づき、使用者の身体状況や目的に合せた体組成の改善を行なうことが可能となる。また、刺激電流を付与する電極と体組成測定用の電極を兼用することができるため、装置の大型化を抑制することができる。また、体組成改善効果の経時的変化を表示している。
【0051】
その結果、体組成測定と体組成改善とを一つの装置で行なえ、最適な設定値での体組成改善ができ、体組成改善の効果を最大化することができる。また、体組成改善の効果が使用者に理解しやすくなり、体組成改善のモチベーションとなり、体組成改善の成功率が上がる。
【0052】
なお、ベルト部材10への腹部電極510および背部電極520の配置については、図6に示す配置パターンに限定されるものではなく、図15に示すように、腹部側には、胴部周りに沿って4列、腹部周りに沿って1列、合計4個の腹部電極510を配置することも可能である。また、図16に示すように、腹部電極510の配置として、四角形の4つの角に相当する位置と、対角線が交わる位置との合計5箇所に、腹部電極510を配置するようにしてもかまわない。
【0053】
また、ベルト部材を用いて腹部周りに電極部500を配置する場合について説明しているが、図17に示すように、刺激用電極として、脚部、腕部、または背中に刺激電極530,540を設ける構成を採用することも可能である。
【0054】
なお、上記実施形態では、電極切り換え部400を設けることで、体組成測定電極と刺激電流付与電極とは同一の生体接触電極を用いる場合を説明したが、電極切り換え部400を設けることなく、体組成測定電極と刺激電流付与電極とをそれぞれ設ける構成を採用することも可能である。
【0055】
また、ベルト部材10を腹部に装着して、腹部における体組成の改善について説明したが腹部に限定されるものではない。たとえば、二の腕、太股等の身体の部位毎にベルト部材10を巻きつけて、部位毎に体組成の改善を行なうことも可能である。
【0056】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0057】
1 体組成改善装置、10 ベルト部材、100 体組成測定部、110,210 制御部、120 腹部形状測定部、130 生体インピーダンス測定部、200 刺激電流付与部、220 刺激波形発生部、300 主制御部、400 電極切り換え部、500 電極部、510 腹部電極、520 背部電極、530,540 刺激電極、600 操作部、700 表示部、800 記憶部、1000 使用者。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の体組成を測定する体組成測定部と、
前記生体に対して電流による刺激を付与する刺激電流付与部と、
主制御部と、を備え、
前記体組成測定部は、前記生体の体組成を測定する際に前記生体に接触する体組成測定電極を含み、
前記刺激電流付与部は、前記生体に対して電流による刺激を付与する際に前記生体に接触する刺激電流付与電極を含み、
前記主制御部は、前記体組成測定電極を用いて前記体組成測定部によって得られた体組成情報に基づき、前記生体に付与する刺激電流の付与条件を決定して、前記付与条件に応じた刺激電流を前記刺激電流付与電極に与える、体組成改善装置。
【請求項2】
当該体組成改善装置は、前記生体の体組成の経時的変化を記録する記憶部をさらに含む、請求項1に記載の体組成改善装置。
【請求項3】
前記主制御部は、前記記憶部に記録された体組成の経時的変化の情報に基づき前記付与条件を決定する、請求項2に記載の体組成改善装置。
【請求項4】
当該体組成改善装置は、前記記憶部に記録された前記体組成の経時的変化を表示する表示部をさらに含む、請求項2または3のいずれかに記載の体組成改善装置。
【請求項5】
前記体組成情報は、前記生体の体脂肪関連量または除脂肪関連量であり、
前記付与条件として、前記刺激電流の強さ、刺激時間、および電極間隔が決定される、請求項1から4のいずれかに記載の体組成改善装置。
【請求項6】
前記体組成測定電極と前記刺激電流付与電極とは同一の生体接触電極が用いられ、
前記主制御部は、前記生体接触電極を前記体組成測定電極として用いる場合と、前記生体接触電極を前記刺激電流付与電極として用いる場合とを切り換える切り換え部を有する、請求項1から5のいずれかに記載の体組成改善装置。
【請求項1】
生体の体組成を測定する体組成測定部と、
前記生体に対して電流による刺激を付与する刺激電流付与部と、
主制御部と、を備え、
前記体組成測定部は、前記生体の体組成を測定する際に前記生体に接触する体組成測定電極を含み、
前記刺激電流付与部は、前記生体に対して電流による刺激を付与する際に前記生体に接触する刺激電流付与電極を含み、
前記主制御部は、前記体組成測定電極を用いて前記体組成測定部によって得られた体組成情報に基づき、前記生体に付与する刺激電流の付与条件を決定して、前記付与条件に応じた刺激電流を前記刺激電流付与電極に与える、体組成改善装置。
【請求項2】
当該体組成改善装置は、前記生体の体組成の経時的変化を記録する記憶部をさらに含む、請求項1に記載の体組成改善装置。
【請求項3】
前記主制御部は、前記記憶部に記録された体組成の経時的変化の情報に基づき前記付与条件を決定する、請求項2に記載の体組成改善装置。
【請求項4】
当該体組成改善装置は、前記記憶部に記録された前記体組成の経時的変化を表示する表示部をさらに含む、請求項2または3のいずれかに記載の体組成改善装置。
【請求項5】
前記体組成情報は、前記生体の体脂肪関連量または除脂肪関連量であり、
前記付与条件として、前記刺激電流の強さ、刺激時間、および電極間隔が決定される、請求項1から4のいずれかに記載の体組成改善装置。
【請求項6】
前記体組成測定電極と前記刺激電流付与電極とは同一の生体接触電極が用いられ、
前記主制御部は、前記生体接触電極を前記体組成測定電極として用いる場合と、前記生体接触電極を前記刺激電流付与電極として用いる場合とを切り換える切り換え部を有する、請求項1から5のいずれかに記載の体組成改善装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−210375(P2012−210375A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78287(P2011−78287)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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