説明

体表面からの刺激性化合物の除去のための組成物およびキット

【課題】体表面からの有害物質または刺激性物質の除去のためのキット、組成物および方法、特に、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含有する組成物およびカプサイシンクレンジング組成物を含むキットを提供すること。
【解決手段】カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む第1のデバイスまたは組成物;およびカプサイシンが溶解可能な物質を含む第2のデバイスを備えるキットであって、ここで、第1および第2のデバイスまたは組成物は、別個に包装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国特許出願番号60/408,751(2002年9月5日出願)および、同60/410,616(2002年9月13日出願)の優先権を主張する。これらの出願の内容は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、体表面からの有害物質または刺激性物質の除去のためのキット、組成物および方法に関連し、特に、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含有する組成物およびカプサイシンクレンジング組成物を含むキットに関連する。このようなキットおよび組成物は、医薬および動物の健康における用途を見出す。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
多くの化合物は、対表面と接触する場合、刺激性または有痛性である。例としては、ウルシ、ツタウルシ、毒ウルシおよび他の刺激性特性を有する脂性植物樹脂から構成されるウルシオールが挙げられる。別の例はカプサイシンである。カプサイシンは、唐辛子スプレーの構成物質であり、カプサイシンおよびそのアナログは、痛みの軽減のために局所形態で使用される。低い濃度(例えば、0.075重量%)であっても、カプサイシン調製物は、灼熱痛および痛覚過敏を生じ得る。このことは、唐辛子スプレーにおいて考えられる効果であり、痛みの治療処置の副作用である。いくつかの難治性疼痛状態の処置のために使用されるカプサイシンのより高い濃度にて、カプサイシンの適用に付随する最初の痛みは、麻酔薬によって処置される(例えば、特許文献1および特許文献2を参照のこと)。
【特許文献1】米国特許第6,248,788号明細書
【特許文献2】米国特許第6,239,180号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の簡単な要旨)
本発明の1つの局面は、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む第1のデバイスまたは組成物;およびカプサイシンが溶解可能な物質を含む第2のデバイスを備えるキットを提供し、ここで、第1および第2のデバイスまたは組成物は、別個に包装されている。いくつかの実施形態において、第2の組成物は、カプサイシンが少なくとも約10%w/wの溶解性を有する組成物である。いくつかの実施形態において、第2の組成物は、カプサイシンが少なくとも約20%w/wの溶解性を有する組成物である。いくつかの実施形態において、第2の組成物は、カプサイシンが少なくとも約25%w/wの溶解性を有する組成物である。これらの組成物は、体表面から痛みおよび刺激を最小限にするために、迅速かつ効率的に体表面からカプサイシンおよび他の刺激性もしくは有痛性の樹脂もしくは油状物質を効率的に除去するために有用である。特定の実施形態において、このキットの第1の組成物は、カプサイシン応答性の状態を処置するのに十分な量(例えば、治療有効量)のカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含み得、これらとしては、例えば、約0.001%w/w〜約60%w/w、例えば、約0.001%w/w〜約1%w/w、または約0.1%w/w〜約15%w/wまたは約1%w/w〜約10%w/w;例えば、約5%w/w〜約10%w/wの間の濃度である。いくつかの実施形態において、カプサイシンまたはカプサイシンアナログは、スプレー、ローション、乳液、リニメント剤またはゲル中に含まれる。他の実施形態において、カプサイシンまたはカプサイシンアナログは、経皮パッチ中に含まれる。1つのこのような実施形態において、カプサイシンまたはカプサイシンアナログは、経皮パッチ中に、約0.64mg/cmの量で存在
する。本発明のこの局面のいくつかの実施携帯において、このキットの第2の組成物は、ポリエチレングリコールおよびポリアクリル酸増粘ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、このキットの第2の組成物は、約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG);約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG);約0.1%w/w〜約4.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;および平衡水(balance water)を含み、ここで、この組成物が、約6.0と約8.0との間のpHである。いくつかの実施形態において、このキットの第2の組成物は、約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール(PEG);約0.1%w/w〜約2%w/wポリアクリル酸増粘剤;および平衡水を含み、ここで、この組成物は、約7.0と約7.5との間のpHである。本発明のこの局面のさらなる実施携帯において、このキットの第2の組成物は、PEGおよびポリアクリル酸増粘剤に加えて、約0.005%w/w〜約0.05%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール;および約0.05%w/w〜約0.5%w/wのEDTA/EDTA塩を含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、キットは、麻酔薬を含む第3の組成物を含む。
【0006】
本発明のキットはまた、カプサイシン組成物の使用のための指示書およびクレンジング組成物を含み得る。
【0007】
1つの局面において、本発明は、カプサイシンおよびカプサイシンクレンジングジェルを含む経皮パッチを含むキットを提供する。このキットはまた、麻酔薬を提供する。例えば、1つの実施形態において、経皮パッチは、約0.64mg/cmの量のカプサイシン;約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール、約0.1%w/w〜約2%w/wのポリアクリル酸増粘剤、約0.005%w/w〜約0.05%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール、約0.05%w/w〜約0.5%w/wのEDTA/EDTA塩ならびに平衡水を含み、ここで、第2の組成物は、約7.0〜7.7のpHであり、そして、この組成物は麻酔薬を含む。この実施形態はさらに、使用のための指示書を含む。
【0008】
別の局面において、本発明は、体表面を洗浄するための組成物を提供する。実施形態において、本発明は、カプサイシンが少なくとも約10%w/w、または少なくとも約20%w/w、または少なくとも約25%w/wの溶解性を有する組成物を提供する。本発明により提供される組成物のいくつかの実施形態は、カプサイシンが溶解性である成分(例えば、カプサイシンが約10%w/wより大きいか、約20w/wより大きいか、または約25%w/wより大きくまで溶解性である成分)および増粘剤を含む。1つの実施形態において、本発明の組成物は、約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えばPEG 300)を含む。1つの実施形態において、本発明の組成物は、約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えばPEG
300)、約0.1%w/w〜約4%w/wの増粘剤および平衡水を含み;ここで、この組成物は、約6.0と約8.0との間のpHである。増粘剤は、ポリアクリル酸であり得る。別の実施形態において、組成物は、約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG 300)、約0.1%w/w〜約2%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および平衡水を含み、ここで、この組成物は、約7.0と約7.7との間のpHである。さらなる実施形態において、組成物は、約88%w/w〜約92%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG 300)、約0.1%w/w〜約2%w/wポリアクリル酸増粘剤、および平衡水を含み、ここで、この組成物は、約7.0と約7.7との間のpHである。なおさらなる実施形態において、組成物は、約90%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG 300)、約0.1%w/w〜約2%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および平衡水を含み、ここで、この組成物は、約7.0と約7.7との間のpHである。なお別の実施形態において、組成物
は、約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG 300)、約0.3%w/w〜約1.5%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および平衡水を含み、ここで、この組成物は、約7.0と約7.7との間のpHである。さらになお別の実施形態において、組成物は、組成物は、約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG 300)、約1.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および平衡水を含み、ここで、この組成物は、約7.0と約7.7との間のpHである。本発明のいくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールは、PEG 200またはPEG 300を含む。
【0009】
本発明の組成物はまた、PEGおよび増粘剤に加えて、安定剤を含み得る。いくつかの実施形態において、本発明の安定剤は、約0.005%w/w〜約0.05%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール;および約0.05%w/w〜0.5%w/wのEDTA/EDTA塩を含む。安定剤を含むいくつかの実施形態は、約87%w/w〜約91%w/wのポリエチレングリコール;約0.3%w/w〜約1.5%w/wのポリアクリル酸増粘剤;約0.01%w/w〜約0.03%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール;約0.02%w/w〜約0.2%w/wのEDTA/EDTA塩;および平衡水を含み得;ここで、この組成物は、約7.0〜約7.7のpHである。さらなる実施形態は、約89.08%w/wのPEG 300;約1.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;約0.02%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール;約0.1%w/wのEDTA/EDTA塩;および平衡水を含み得;ここで、この組成物は、約7.5のpHである。
【0010】
別の局面において、本発明は、体表面を洗浄するための製品を含み、この製品は、(a)約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール(PEG);約0.1%w/w〜約2.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;および平衡水を含む組成物であって、ここで、この組成物は、約7.0と約7.7との間のpHである、組成物を含み;そして(b)(a)の組成物を分散するために適切な容器であって;ここで、容器は、(a)の組成物の使用のための指示書がラベル付けされているか、またはこの製造品は、(a)の組成物の使用のための指示書を別個に含むかのいずれかである。
【0011】
本発明のなお別の局面は、刺激性または有痛性の物質と接触している体表面を洗浄するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、(a)カプサイシンが、少なくとも約10%w/wより大きいか、または少なくとも約20%w/wより大きいか、または少なくとも約約25%w/wより大きい溶解性を有する組成物を体表面に適用する工程;および(b)体表面から工程(a)の組成物を除去する工程を包含する。いくつかの実施形態において、この方法は、(a)約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG 300)を含む組成物を体表面に適用する工程;および(b)工程(a)の組成物を体表面から除去する工程を包含する。いくつかの実施形態において、この方法は、約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG300)、約0.1%w/w〜約4%w/wの増粘剤、および平衡水を含む組成物であって、約6.0と約8.0との間のpHである組成物を体表面に適用する工程;ならびに(b)工程(a)の組成物を体表面から除去する工程を包含する。いくつかの実施形態において、この方法は、(a)約80%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール、約0.1%w/w〜約2%w/wのポリアクリル酸増粘剤および平衡水を含み、約7.0〜約7.7のpHである組成物を体表面に適用する工程;ならびに(b)工程(a)の組成物を体表面から除去する工程を包含する。他の実施形態において、この方法は、約87%w/w〜約91%w/wのポリエチレングリコール、約0.3%w/w〜約1.5%w/wのポリアクリル酸増粘剤、約0.01%w/w〜約0.03%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール、約0.02%w/w〜約0.2%w/wのEDTA/EDTA塩および平衡水を含み、約7.0〜約7.7のpHである組成物を体表面に適用する工程;ならびに(b)工程(a)の組成物を体表面から除去する
工程を包含する。
【0012】
本発明のなおさらに別の局面は、カプサイシン応答性の状態に罹患する個体を処置するための方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、個体における痛みを処置する方法を提供し、この方法は、(a)カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む組成物を有痛性の領域に適用する工程;ならびに(b)カプサイシンが、10%w/wより大きいか、または20%w/wより大きいか、または約25%w/wより大きい溶解性を有する成分を含む組成物を体表面に適用し、この領域から上記組成物を除去することによって、カプサイシンに曝露された体表面を洗浄する工程を包含する。本発明のこの局面のいくつかの実施形態において、カプサイシンまたはカプサイシンアナログは、約5重量%より多い総濃度でカプサイシン含有組成物中に存在する。本発明のこの局面のいくつかの実施形態において、この方法の工程(a)は、皮膚接着パッチを冒された領域に固定する工程を包含し、このパッチは、治療用処方物を含有するレザバを備え、これによって、処方物の約5重量%〜約10重量%の総濃度のカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む上記処方物が、皮膚の表面に適用される。本発明のこの局面のいくつかの実施形態において、この方法はさらに、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを適用する工程、およびカプサイシンまたはカプサイシンアナログを除去する工程に加えて、痛みが処置される個体に、カプサイシンまたはカプサイシンアナログの適用前に麻酔薬を適用する工程を包含する。これらの実施形態のいくつかにおいて、麻酔薬は、求心性神経遮断の形態で投与される。
・本発明は、以下をさらに提供し得る:
・(項目1)
キットであって、以下:
a)カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む第1の組成物;および
b)当該カプサイシンまたはカプサイシンアナログが可溶性である物質を含む第2の組成物
を含む、キット。
・(項目2)
上記第2の組成物が、上記カプサイシンまたはアナログが少なくとも約10%w/wの可溶性を有する物質を含む、項目1に記載のキット。
・(項目3)
上記第2の組成物が、上記カプサイシンまたはアナログが少なくとも約20%w/wの可溶性を有する物質を含む、項目1に記載のキット。
・(項目4)
上記第2の組成物が、上記カプサイシンまたはアナログが少なくとも約25%w/wの可溶性を有する物質を含む、項目1に記載のキット。
・(項目5)
上記第2の組成物が、ポリエチレングリコールおよびポリアクリル酸増粘ポリマーを含む、項目1に記載のキット。
・(項目6)
上記第2の組成物が、以下:
a)約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG);
b)約0.1%w/w〜約4.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;および
c)平衡水;
を含む項目1に記載のキットであって、ここで、当該組成物が、約6.0と約8.0との間のpHである、キット。
・(項目7)
項目6に記載のキットであって、上記第2の組成物が、以下:
a)約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール;
b)約0.1%w/w〜約2.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;および
c)平衡水;
を含み、ここで、当該組成物が、約7.0〜7.5のpHである、キット。
・(項目8)
項目7に記載のキットであって、上記第2の組成物がさらに、以下:
d)約0.005%w/w〜約0.05%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール;および
e)約0.05%w/w〜約0.5%w/wのエデト酸ナトリウム
を含む、キット。
・(項目9)
第3の組成物をさらに含む、項目1に記載のキットであって、当該第3の組成物は麻酔薬を含む、キット。
・(項目10)
使用のための指示書をさらに備える、項目1に記載のキット。
・(項目11)
上記第1の組成物が、約0.001%w/w〜約60%w/wの濃度でカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む、項目1に記載のキット。
・(項目12)
上記第1の組成物が、約1.0%w/w〜約10%w/wの濃度でカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む、項目1に記載のキット。
・(項目13)
上記第1の組成物が、約5%w/w〜約10%w/wの濃度でカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む、項目1に記載のキット。
・(項目14)
上記第1の組成物が、パッチに含まれたカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む、項目1に記載のキット。
・(項目15)
上記カプサイシンまたはアナログが、約0.64mg/cmの量で上記パッチ中に存在する、項目14に記載のキット。
・(項目16)
キットであって、以下:
a)約0.64mg/cmの量でカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含むパッチを含む、第1の組成物;
b)第2の組成物であって、以下:
i)約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール;
ii)約0.1%w/w〜約2.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;および
iii)約0.005%w/w〜約0.05%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール;
iv)約0.05%w/w〜約0.5%w/wのエデト酸ナトリウム;および
v)平衡水;
を含むクレンジングジェルを含む、組成物
を含み、ここで、当該第2の組成物は、約7.0〜約7.7のpHである、
キット。
・(項目17)
体表面を洗浄するための組成物であって、以下:
a)約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG);
b)約0.1%w/w〜約4.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;および
c)平衡水
を含み、ここで、当該組成物は、約6.0と約8.0との間のpHである、組成物。
・(項目18)
項目17に記載の組成物であって、以下:
a)約84%w/w〜約94%w/wのポリエチレングリコール(PEG);
b)約0.1%w/w〜約2.0%w/wポリアクリル酸増粘剤;および
c)平衡水
を含み、ここで、当該組成物は、約7.0と約7.7との間のpHである、組成物。
・(項目19)
安定剤をさらに含む、項目18に記載の組成物。
・(項目20)
冷却剤をさらに含む、項目19に記載の組成物。
・(項目21)
項目19に記載の組成物であって、以下:
a)約87%w/w〜約91%w/wのポリエチレングリコール;
b)約0.3%w/w〜約1.5%w/wのポリアクリル酸増粘剤;
c)約0.01%w/w〜約0.03%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール;
d)約0.02%w/w〜約0.2%w/wのエデト酸ナトリウム;および
e)平衡水
を含み、ここで、当該組成物は、約7.0〜約7.7のpHである、組成物。
・(項目22)
項目21に記載の組成物であって、以下:
a)約89.08%w/wのPEG 300;
b)約1.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;
c)約0.02%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール;
d)約0.1%w/wのエデト酸二ナトリウム;および
e)平衡水
を含み、ここで、当該組成物は、約7.5のpHである、組成物。
・(項目23)
疼痛に冒された身体の領域において、個体の疼痛を処置するための方法であって、以下:
a)当該冒された領域に求心性神経線維遮断局所麻酔薬を投与する工程;
b)当該冒された領域にデバイスを固定する工程であって、当該デバイスは、皮膚接着パッチを備え、当該パッチは、治療処方物を含むレザバを備え、それによって、当該処方物が、所定の時間の間、当該皮膚の表面に連続的に提供され、当該処方物は、当該処方物の約5重量%〜10重量%より多くの合計濃度のカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含み、当該パッチの単回の投与が、少なくとも数週間にわたって当該個体に対して当該疼痛の有意な軽減を提供する、工程;および
c)i)約80%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール、約0.1%w/w〜約2.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および平衡水を含む組成物を、当該領域に適用する工程であって、当該組成物が約7.0〜約7.7のpHである、工程;ならびに
ii)当該領域から工程(c)の組成物を除去する工程
により、工程b)のパッチが適用された当該領域を洗浄する工程
を包含する、方法。
・(項目24)
刺激性または有痛性の物質と接触した体表面を洗浄するための方法であって、以下:
a)当該体表面に、以下:
i)約80%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール;
ii)約0.1%w/w〜約2.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤;および
iii)平衡水
を含む組成物を適用する工程であって、当該組成物が、約7.0〜約7.7のpHである、工程;ならびに
b)当該体表面から工程(a)の組成物を除去する工程
を包含する、方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む成分、およびカプサイシンまたはカプサイシンアナログを洗浄するための別の成分を含むキット、ならびに、これらの使用方法を提供する。本発明はまた、有痛性または刺激性の化合物に曝露された皮膚および他の体表面(例えば、眼および粘膜)を洗浄するのに有用な組成物、ならびにこれらの使用方法を提供する。
【0014】
1つの局面において、本発明は、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを、カプサイシンクレンジング組成物と共に含む組成物を含むキットを提供し、このカプサイシンクレンジング組成物において、カプサイシンまたはカプサイシンアナログは可溶性である。いくつかの実施形態において、カプサイシンまたはカプサイシンアナログは、カプサイシンクレンジング組成物に少なくとも約10%w/w、少なくとも約20%w/w、または少なくとも約約25%w/wまで溶解性である。このキットはさらに、麻酔薬を含む組成物、指示書および他の任意の構成物質を含み得る。
【0015】
1つの局面において、本発明は、有通性または刺激性の物質(例えば、カプサイシンまたはカプサイシンアナログ)に曝露された皮膚および他の体表面を洗浄するための組成物を提供する。実施形態において、本発明は、無毒性であり、かつ、適用および除去が容易なカプサイシンが可溶性である組成物(例えば、カプサイシンが高い溶解性を有する組成物)を提供する。1つの実施形態において、組成物は、皮膚に容易に浸透しない。いくつかの実施形態において、組成物は、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸増粘剤および水を含み、局所使用に適切なpHである。いくつかの実施形態において、組成物はまた、抗酸化剤およびキレート化剤のような保存剤を含み得る。組成物は、カプサイシンまたは他の有通性もしくは刺激性の化合物に曝露された体表面に、例えば、組織にこの組成物を染み込ませることによって適用され得、次いで、体表面からぬぐい取られて、眼、皮膚、筋膜および粘膜への化合物(例えば、カプサイシン)の刺激性効果を中和する。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、本発明の化合物を体表面に適用し、次いで、これら
を除去することによって、体表面から刺激性または結う通性の物質を除去する方法を提供する。なおさらなる局面において、本発明は、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを体表面に適用し、次いで、過剰のカプサイシンまたはカプサイシンアナログを除去することによって、カプサイシン応答性の状態を処置する方法を提供する。これらの実施形態のいくつかにおいて、カプサイシン応答性の状態は、痛みである。
【0017】
本明細書中で使用される全ての割合および比率は、全組成の重量部(すなわちw/w)であり、全ての計測は、他に示されない限り25℃にて行われた。
【0018】
(I.組成物)
本明細書中に適用される組成物は、カプサイシンおよびそのアナログが可溶性である(例えば、高い可溶性を有する)第1の成分を含む。いくつかの実施形態において、祖背栄物は、増粘剤として働く第2の成分および水を含む。必要な場合、pHは、適切なpH調整剤によって、体表面に適用するのに適切な範囲(すなわち、非有害かつ非刺激性のpH)まで改変される。いくつかの実施形態において、組成物はまた、安定剤および/または他の成分を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、高濃度のポリエチレングリコール、およびCARBOPOL 1382もしくは類似のカルボマー、または、増粘剤を含み、必要に応じてBHAおよびEDTA/EDTA塩を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸増粘剤および水を含み、実質的に他の成分を含まない。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、クレンジング組成物は、界面活性剤および/または粒子状物質を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、界面活性剤および/または粒子状物質が組成物中に添加されず、任意のこのような成分は、多少なりとも存在するとしても、微量な不純物としてのみ存在することを意味する。これらの実施形態は、体表面に曝露されたカプサイシンを除去するのに特に役立つ。なぜならば、既存の病状に起因して表面がすでに過度に感受性であり、そして、粒子状物質、界面活性剤または他の添加物による任意の付加的な刺激が望ましくないからである。驚くべきことに、皮膚の刺激に到達することを補助し、油状組成物を洗浄することを補助するための粒子状物質および界面活性剤を欠くことにも関わらず、本発明の組成物は、体表面からカプサイシンを完全に浄化する。本発明の組成物はまた、体表面からの他の物質(例えば、毒素(例えば、殺虫剤、動物性毒素)、家庭用化学品(例えば、塗装、ニス)など)の除去のために使用され得る。実施例6に示すように、クレンジング溶液の成分は、代表的には、角質層に浸透しない。例示の目的で、非限定的ではない、組成物の種々の局面が、さらに詳細に記載される。
【0020】
(A.カプサイシン可溶化剤)
刺激性または有通性の物質に曝露された体表面に適用され得る組成物が提供される。これらの組成物は、本明細書中で「クレンジング組成物」として記載され得、刺激性または有通性の物質がカプサイシンである場合、「カプサイシン−クレンジング組成物」として記載され得る。本明細書中で使用される場合、組成物は、体表面の有通性もしくは刺激性の物質を「洗浄する」か、または、組成物が、有通性もしくは刺激性の物質に曝露されている体表面に適用され、次いで、体表面から除去される場合、また、有通性もしくは刺激性の物質の実質部分が体表面から除去される場合、「クレンジング組成物」である。理論に束縛されないが、曝露された体表面への適用の際に、組成物が、皮膚または体表面を有意に浸透することなく刺激性または有通性の物質と溶解または混合して作用し、それによって、有通性または刺激性の物質の実質部分を除去する場合に、組成物は、体表面を浄化し得る。
【0021】
1つの局面において、本発明は、カプサイシンまたはカプサイシンのアナログが溶解性
である成分を含む組成物を含み;いくつかの実施形態において、この成分は、カプサイシンが高い溶解性(すなわち、10%w/wより高いか、または、20%w/wより高いか、25%w/wより高い)を有するものである。カプサイシンまたはそのアナログが高い溶解性を有し得る物質の非限定的な例としては、低級一価アルコール(例えば、C〜C)ならびに低分子量グリコールおよびポリオール(プリピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、200〜600g/モル)、ポリプロピレングリコール(例えば、425〜2025g/モル)、グリセロール、ブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、イソプロパノール、ブタンジオール、エーテルプロパノール、エトキシル化エーテル、プロポキシル化エーテルおよびこれらの組合せが挙げられる)が挙げられる。
【0022】
1つの実施形態において、カプサイシンが高い溶解性を有する成分は、ポリエチレングリコール(PEG)である。ポリエチレングリコールは、エチレンオキシドと水の付加重合体であり、以下の式:
H(OCHCHOH
によって表され、ここで、nは、オキシエチレン基の平均数を表す。広範種々のPEGおよびこれらの誘導体が存在し、本発明のローションにおいて使用されるPEGまたはこれらの誘導体の選択は、粘性の考慮により主に駆動され;所望の粘性は、処方されるローション、ゲル、クリーム、リニメント剤、またはスプレーの型に依存する(粘性の節を参照のこと)。従って、本発明の実施形態において有用な適切なPEGとしては、例えば、PEG 200〜600が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において、PEG 300が使用される。PEG 300は、300の平均分子量を有し、平均n=6である。他のPEGが本発明の実施形態において使用され得る。非限定的な例としては、PEG 200およびPEG 400が挙げられる。エタノールおよび/またはメタノールを実質的に含まないPEGが使用され得る。PEG(例えば、PEG 300)は、例えば、約60%w/w〜約99.9%w/w、または約80%w/w〜約95%w/w、または約84%w/w〜約94%w/w、または約87%w/w〜約91%w/w、または約89%w/wの濃度で組成物中に提供され得る。驚くべきことに、水中90%w/wのPEG
300が、純粋なPEG 300としてカプサイシンに対してほとんど同じ溶解性を保持することが見出された(それぞれ、27.0%対27.5%のカプサイシンの溶解性、実施例2を参照のこと)。
【0023】
(B.増粘剤)
本発明の組成物における用途に適した増粘剤としては、架橋ポリアクリル酸ポリマー、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。例示的な増粘剤は、アクリル酸/エチルアクリル酸コポリマー、およびCARBOPOL樹脂という商品名でB.F.Goodrich Companyから販売されているカルボキシビニルポリマーを含むポリマー性増粘剤である。このような樹脂は、例えば、米国特許第5,288,814号および同第5,468,814号、ならびにAmjadら、Carbomer Resins:Past,Present and Future Cosmetics & Toiletries 107(1992)81−85頁に記載されている。これらの樹脂は、例えば、ポリアリルスクロースまたはポリアリルペンタエリスリトールのような、0.75%〜2.00%の架橋剤と架橋したアクリル酸のポリマーとのコロイド状の水溶性ポリアルケニルポリエーテル架橋ポリマーから本質的になる。例としては、Carbopol 934、Carbopol 940、Carbopol 950、Carbopol 980、Carbopol 951およびCarbopol 981が挙げられる。また、本明細書中における用途に適切なのは、Carbopol 1382、Carbopol 1342およびPemulen TR−1(CFTA Designation:アクリル酸/10〜30アルキルアクリル酸クロスポリマー)の商品名で入手可能な、両親媒性特性を有するアクリル酸の疎水性改変架橋ポリマー
である。Carbopol 1382は、本発明のいくつかの実施形態において使用される例示的なCARBOPOLポリマーである。例えば、米国特許第6,133,212号を参照のこと。他の有用な架橋非イオン性ポリアクリル酸ポリマーおよび架橋カチオン性ポリアクリル酸ポリマーは、米国特許第5,100,660号;同第4,849,484号;同第4,835,206号;同第4,628,078号;同第4,599,379号;およびFarrarらに対するEP 228,868(1987年7月15日公開)に記載される。
【0024】
他の増粘剤もまた、本発明において使用され得、これらとしては、アカシア、寒天、アルギン酸、モノステアリン酸アルミニウム、アタパルガイト(活性型またはコロイド状の活性型)、ベントナイト、精製ベントナイト、ベントナイトマグマ、カルボマー910、934、934P、940、941および/もしくは1342、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラゲナン、微結晶性セルロース、デキストリン、ゼラチン、グアールガム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トランガント、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウム、および当該分野で公知の他の増粘剤が挙げられる:
例えば、米国特許第4,387,107号、Lochheadら、Cosmetics & Toiletries 108:95−135(1993)およびUSP24/NF19 U.S.Pharmcopeia/National Formulary,p.2405(1999)を参照のこと。
【0025】
増粘剤は、皮膚および他の体表面に対する容易な適用および皮膚および他の体表面からの容易な除去のために、組成物に対して適切な粘度を提供するのに十分な濃度で存在する。ポリエチレングリコール、水、および必要に応じて組成物の他の成分と組み合わせて、増粘剤によって提供される粘度は、例えば、最低約100センチポアズ(cps)、または約300cps、または約700cps、または約2000cps、または約4000cpsから、最高約500cps、または約700cps、または約1000cps、または約5000cps、または8000cpsであり得る。所望の粘度は、適用の型に依存する。いくつかの実施形態において、組成物は、拭くことおよび/またはこすることによって適用されるべきローションを含む。このローションは、好ましくは、約4000cps〜約8000cpsの粘度である。他の実施形態において、組成物は、スプレーによって適用され得るより低い粘性の調製物を含む。この調製物は、好ましくは、約100cps〜約1000cpsの粘度である。スプレーとローションとの間の中間の粘度に関する他の実施形態もまた、有用であり得る。組成物中の増粘剤の百分率は、使用されるPEGの型(例えば、PEG200、PEG300、またはPEG400)およびPEGの百分率に依存する。使用されるべきカルボマーの量は、所望の粘度によって決定され、換言するとカルボマーの内因性粘度に依存する。内因性粘度は、存在するイオン強度、pH、および電解液型に依存する。いくつかの実施形態において、ポリアクリル酸ポリマー(例えば、CARBOPOL 1382TM)は、組成物の約0.1%w/w〜約8%w/w、または約0.1%w/w〜約2%w/w、または約0.1〜約1.5%w/w、または約0.3〜約1.5%w/w、または約1.0%w/wを占める。
【0026】
(C.安定剤)
本発明の組成物は、必要に応じて、安定剤として作用する1以上の成分を含み得る。組成物中で有用な安定剤は、安定な組成物の確保および/または細菌の増殖の予防に役立つ物質である。安定度の基準としては、例えば、長期間にわたる粘度の維持、長期間にわた
るpHの維持、または長期間にわたる外観、均質性、および/もしくは色の維持が挙げられる。安定剤は1以上の抗酸化剤、キレート剤、抗菌剤、または長期間にわたり組成物の所望の特性を維持するように作用する任意の他の薬剤であり得る。適切な安定化剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エデト酸二ナトリウム、メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、ソルビン酸、イミド尿素、チメロサール、没食子酸プロピル、リン酸一ナトリウムおよび/もしくはリン酸二ナトリウム、およびクエン酸が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物で使用する抗酸化剤の例は、BHAであり、約0.05%w/w〜約0.1%w/w、または約0.01%w/w〜約0.05%w/w、または約0.01%w/w〜約0.03%w/w、または約0.02%w/wの濃度である。適切なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(例えば、EDTA二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、EDTA三ナトリウム、EDTA四ナトリウム、またはEDTA二カリウム)が挙げられる。1以上のキレート剤(例えば、EDTA二ナトリウム二水和物)は、必要に応じて、約0.005%w/w〜1%w/w、または約0.02%w/w〜約0.2%w/w、または約0.1%w/wの量で、組成物中に含まれ得る。いくつかの実施形態において、生理緩衝液(例えば、リン酸一ナトリウムまたはリン酸二ナトリウムのいずれか、あるいは両方)が、長期間にわたりpHを安定化するための緩衝液として作用する安定剤として、組成物中に含まれ得る。一塩基形態について、量は、約0.1%w/w〜約1.5%w/w、または約0.2%w/w〜約1%w/w、または約0.3%w/w〜約0.7%w/w、または約0.5%w/wであり得る。二塩基形態について、量は、約0.2%w/w〜約2%w/w、または約0.4%w/w〜約1.5%w/w、または約0.6%w/w〜約1.2%w/w、または約0.8%w/wであり得る。
【0028】
他の安定剤が、必要に応じて、本発明の組成物に添加され得る;例えば、米国特許第6,013,270号、および同第6,390,291号を参照のこと。
【0029】
(D.水)
組成物の成分は、水と共に混合されて、所望の粘度を有する組成物を生成する。一般的には、脱イオン化または逆浸透法のようなプロセスによって精製されて、給水中の溶存固体を減少するかまたは除去することにより、バッチ間処方物一貫性が改善された水を使用することが好ましい。組成物中の水の量は、組成物の他の成分の量に依存して変化する。
【0030】
(E.pH調整剤)
組成物のpHは、その組成物が提供される体表面の炎症の可能性に影響するだけでなく、いくつかの実施形態では、カルボキシ基の脱プロトン化によりカルボキシ基を含む増粘剤の膨潤に影響する。必要な場合には、pH調整剤が、組成物のpHを適切な範囲内のpHに調整するために使用され得る。pH調整剤は、組成物のpHをより低く(例えば、より酸性のpH値に)またはより高く(例えば、より塩基性のpH値に)調整する化合物である。適切なpH調整剤をしては、例えば、HCl、有機塩基(例えば、トリエタノールアミン)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化アンモニウムが挙げられる。増粘剤がポリアクリル酸ポリマーである実施形態において、pH調整剤は、ポリマーを中性にするために、例えば、水酸化ナトリウムであり得る。
【0031】
組成物は、組成物が意図される様式および期間で適用される体表面に対して損傷または炎症を引き起こさない任意のpHであり得る。例示的な適切なpHとしては、約6.0〜8.0の間、または約7.0〜約7.7の間、または約7.5が挙げられる。
【0032】
(F.他の任意成分)
本発明の組成物は、広範な付加的な任意成分を含み得る。これらは、組成物の使用目的に依存する。例えば、使用目的が眼の盲管の洗浄を含む場合、組成物は、好ましくは、眼の流体に対して等張性であり、かつ無菌性である。眼に対して等張性の溶液は、約270mOsm/kg〜約300mOsm/kgの浸透圧によって特徴付けられる。本発明の溶液の浸透圧は、ナトリウムまたはカリウムのクロライドおよび/もしくは重炭酸塩、乳酸ナトリウム、デキストロース、およびマンニトールを用いて調整され得る。眼に使用するための組成物は、必要に応じて、天然に生じる涙液の成分(例えば、タンパク質、酵素、脂質および代謝物)である他の成分を含む。例えば、米国特許第4,911,933号を参照のこと。組成物は眼に適用されるので、組成物は、無菌性であるべきである。
【0033】
使用目的に依存して添加され得る組成物の他の任意成分としては、例えば、界面活性剤、ナフトール石鹸(FELS−NAPHTHATMとして市販されている)、冷却剤、香料成分、皮膚鎮痛剤もしくは皮膚治癒剤、および/または組成物が皮膚の凹凸に到達するのを補助するためのポリエチレン顆粒(例えば、皮膚から刺激性物質(例えば、有毒オーク、ツタ、およびウルシ由来のウルシオール)を除去するのを補助するために使用される)が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ラウリルサルコシンナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ノノキシノール−9、および他の長鎖界面活性剤が挙げられる。本発明に有用な冷却剤の例としては、メントール、乳酸メチル、メンチルグリセロール、サリチル酸メンチル、メントングリセリンアセタール、アルコール、およびボルネオール(例えば、l−メントール、dl−メントール、d−カンファー、dl−カンファー、d−モルネオール、およびdl−ボルネオール)が挙げられる。1以上のこれらの化合物を含む植物抽出物(例えば、ペパーミント油、ペパーミント抽出物、Perilla frutescens Britton var.acuta Kudo抽出物、クスノキ抽出物、およびラベンダー抽出物)もまた、使用され得る。他の有用な冷却剤の例としては、J.Cosmet.Chem.、vol.29、185頁(1978)に記載されるような非対称カルボネート、チオカルボネート、およびウレタン、N−置換カルボキサミド、尿素もしくはホスフィンオキシドが挙げられる。これらの冷却剤は、単独かまたはそれらを組み合わせてかのいずれかで使用され得る。冷却成分は、好ましくは、0.001重量%、0.005重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、または10重量%から、0.005重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、12重量%、または14重量%までの割合で、組成物中に組み込まれる。冷却剤は、米国特許第6,277,385号および同第6,203,804号にさらに記載されている。香料は、本発明の組成物に対して見た目に美しい香りを与え得る芳香性物質である。代表的な香料としては、エッセンシャルオイルを製造するために単独かまたは組み合わせて使用され得る、植物源(例えば、バラの花弁、クチナシの花、ジャスミンの花など)から抽出された芳香族物質が挙げられる。1以上の香料が、必要に応じて、約0.001重量%、0.005重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、2重量%、3重量%、または4重量%から、約0.005重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、2重量%、3重量%、4重量%、または5重量%の範囲の量で、組成物中に含まれ得る。芳香剤は、米国特許第6,428,772号にさらに記載されている。本発明の組成物は、さらに皮膚鎮痛成分または皮膚治癒成分を含み得る。本発明で使用するために適切な皮膚鎮痛成分または皮膚治癒成分としては、例えば、パンテノン酸誘導体(例えば、パンテノール、デクスパンテノール、エチルパンテノールが挙げられる)、アロエ、アラントイン、ビサボロール、およびグリチルリチン酸二カリウムが挙げられる。皮膚鎮痛剤または皮膚治癒剤は、約0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、7重量%、10重量%、15重量%、20重量%、または25重量%から、約0.1重量%、0.5重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、7重量%、
10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、または30重量%の割合で、本発明の組成物に添加され得る。CTFA 化粧品成分ハンドブック、第17版(1997)および第18版(2000)は、一般にスキンケア組成物中に使用される広範な他の化粧品成分および薬学的成分を記載し、これらは本発明の組成物に使用するのに適切である。この参考文献に開示されるこれらの機能性区分の例としては、吸湿剤、研磨剤、抗癌剤、消泡剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、充填剤、化学的添加剤、着色剤、香料成分、保湿剤、隠蔽剤、可塑剤、推進剤、還元剤、皮膚調整剤(皮膚軟化剤、保湿剤、雑剤(miscellaneous)、および閉塞剤)、皮膚保護剤、可溶化剤、および懸濁剤(非界面活性剤)が挙げられる。
【0034】
(G.組み合わせ)
クレンジング組成物についての成分の例示的な組み合わせとしては、例えば、ポリエチレングリコール、増粘剤、および水を含む組成物が挙げられ、ここで、その組成物は、例えば、約60%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG300)、約0.1%w/w〜約4%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および平衡水を含み得;ここで、その組成物は、約6.0〜約8.0の間のpHである。本発明で使用され得る組み合わせの別の例は、約84%w/w〜約94%w/wのPEG(例えば、PEG300)、約0.1%w/w〜約2%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および平衡水を含む組み合わせであり;ここで、その組成物は、約7.0〜約7.7のpHである。後者の組成物は、さらに安定剤(例えば、約0.005%w/w〜0.05%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール)、および約0.05%w/w〜約0.5%w/wのEDTA/EDTA塩を含み得る。別の実施形態において、組成物は、約87%w/w〜約91%w/wのPEG(例えば、PEG300)、約0.3%w/w〜約1.5%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および約0.01%w/w〜約0.03%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール、約0.02%w/w〜約0.2%w/wのEDTA/EDTA塩、および約9%w/w〜約13%w/wの水を含み得;ここで、その組成物は、約7〜約7.7のpHである。さらなる実施形態において、組成物は、約89.08%w/wのPEG300、約1.0%w/wのポリアクリル酸増粘剤、約0.02%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール、約0.1%w/wのエデト酸二ナトリウム、および平衡水を含み得;ここで、その組成物は、約7.5のpHである。さらなる実施形態において、組成物は、約87%w/w〜約91%w/wのPEG(例えば、PEG300)、約0.3〜約1.5%w/wのポリアクリル酸増粘剤、約0.01%w/w〜約0.03%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール、約0.02%w/w〜約0.2%w/wのEDTA/EDTA塩、および約9%w/w〜約13%w/wの水であり;ここで、その組成物は、約7.0〜約7.7のpHである。
【0035】
(H.組成物のための容器および包装)
組成物は、当該分野で公知かまたは当業者に明らかな適切な容器で提供され得る。組成物用の例示的な容器としては、組成物が含浸されるかまたは分散されるタオルもしくはタオル地、または組成物を保持しかつ組成物が調剤され得る容器が挙げられる。このような容器は、例えば、米国特許第6,013,270号に記載されるように、組成物の分散に好都合な要素(要素)を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、例えば、米国特許第6,015,763号に記載されるように、多孔性物質に含浸させて(例えば、タオル地)で提供され得る。容器は、さらに適切な包装に含まれ得る。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、組成物は、容器中、そして必要に応じて、さらなる包装中に提供され、そして組成物を使用して皮膚から刺激性物質(例えば、カプサイシン)を除去するための指示書のセットもまた、備えられる。指示書は、任意の形態であり得、そして別個の挿入物または容器もしくは包装に貼られるラベルとして提供さ得る。例示的な付加的要素としては、耐薬品性の廃棄物袋、クレンジング組成物を適用するため
の塗布具、カプサイシンクレンジングローション用のタオルもしくはタオル地、希釈剤、手袋、眼の保護具、はさみ、マーキングペン、および付加的な体表面クレンジング剤(例えば、アルコール綿棒)が挙げられる。
【0037】
(II.本発明のキット)
1つの局面において、本発明は、カプサイシン(またはカプサイシンアナログ)を含む組成物、およびカプサイシンが少なくとも約10%w/w、または少なくとも約20%w/w、または少なくとも約25%w/w溶解している組成物を備えるキットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明のキットは、上記のカプサイシンクレンジング組成物を備える。必要に応じて、麻酔薬を含む第3の組成物もまた、提供され得る。本発明のキットは、さらに各組成物の包装、指示書、および/または以下に開示される他の任意成分を備え得る。
【0038】
(A.カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む組成物)
本明細書中で提供されるキットは、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む組成物を備える。
【0039】
カプサイシンおよびそのアナログは、いずれも刺激物(例えば、唐辛子スプレー)として、そして疼痛を軽減する調製物に使用される。カプサイシンは、例えば、周辺組織における侵害受容器を活性化し、次いで感度を減じるなどの方法で、感覚神経線維を選択的に調節する。カプサイシンと同様の生理学的特性を有するカプサイシンのアナログもまた、本明細書中で提供されるキットに使用され得る;例示的なカプサイシンのアナログは、例えば、GovindarajanおよびSathyanrayana,Crit RevFood Sci Nutr 29:435−474(1991);米国特許第5,290,816号;同第4,812,446号;および同第4,424,205号;ならびにTonら、Brit J Pharmacol,10:175−182(1955)に記載されるノニバミド(nonivamido)、カプサイシンの異性体、およびジヒドロカプサイシンである。疼痛の軽減のためのカプサイシンおよびカプサイシンアナログの代表的な適用は、米国特許第6,239,180号および同第6,248,788号に記載されている。
【0040】
本発明のキットは、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを広範な濃度で含む組成物を備え得る。これらとしては、例えば、約0.001重量%〜約60重量%、例えば、約0.001重量%〜約1重量%;あるいは約0.05重量%〜約15重量%、または約1重量%〜約10重量%、または約5重量%〜約10重量%、または約7.5重量%が挙げられる。皮膚パッチ(以下)として提供される場合、カプサイシンまたはカプサイシンアナログは、約0.01mg/cm〜約1mg/cm、または約0.1mg/cm〜約1mg/cm、または約0.3mg/cm〜約0.9mg/cm、または約0.64mg/cmで存在し得る。
【0041】
キットのカプサイシン組成物またはカプサイシンアナログ組成物は、例えば、米国特許第6,239,180号および同第6,248,788号に記載されるような(これらに限定されない)、局所適用または皮膚適用に適切なビヒクルを備え得る。これらの特許文献は、局所適用のための高濃度(例えば、>5%w/w)カプサイシン組成物またはカプサイシンアナログ組成物(皮膚パッチを含む)を開示し、ここで、カプサイシンは、ローションのようなビヒクル(例えば、ベルバコール(Galderma USAから入手可能)およびEUCERINTM)中に存在し得る。パッチの事例では、カプサイシンは、皮膚浸透ローションを含むビヒクル中に含まれるか、またはポリマーマトリックスを含むビヒクル中に分散されるか、またはパッチに対して接着剤としての役割も果たすビヒクルと共に直接混合される。経皮パッチの作製および使用のための他の方法は、例えば、Dr
ug Delivery Systems Characteristics and Biomedical Application,R.L.Juiano編、Oxford University Press,N.Y.(1980);およびControlled Drug Delivery,Vol.I Basic Concepts,Stephen D.Bruck(1983)に見出され得る。
【0042】
カプサイシンもしくはカプサイシンアナログ、およびビヒクルは、さらに、キットの他の成分からの分離のため、そして組成物の調剤を容易にするために、任意の適切な包装に包装され得る。
【0043】
(B.クレンジング組成物)
キットのクレンジング組成物は、カプサイシンが、少なくとも約10%w/w、または少なくとも20%w/w、または少なくとも約25%w/w溶解している組成物であり;例えば、本明細書中に記載される任意のカプサイシンクレンジング組成物である。その組成物は、上記のような任意の適切な容器中に提供され得る。その容器は、例えば、米国特許第6,013,270号に記載されるように、クレンジング組成物を調剤するのに好都合な要素を備え得る。いくつかの実施形態において、クレンジング組成物は、例えば、米国特許第6,015,763号に記載されるように、多孔性物質に含浸させて提供され得る。容器は、さらに、キットの他の成分からの分離のため、そしてクレンジング組成物の調剤を容易にするために、任意の適切な包装に包装され得る。
【0044】
(C.麻酔薬)
本発明のキットは、必要に応じて、さらに麻酔組成物を備え得る。熱および接触の両方に対する灼熱痛および痛覚過敏は、代表的には、当該分野で公知の比較的低濃度のカプサイシン軟膏の適用後でも生じる。このような灼熱痛は、第一に麻酔薬を投与して、処置されるべき領域において局所麻酔を引き起こすことによって回避され得る。必要に応じて本発明のキットに備えられる麻酔組成物に使用される例示的な局所麻酔薬は、ナトリウムチャンネル遮断薬である。リドカイン、テトラカイン、ブピバカイン、およびクロロプロカインのような種々のナトリウムチャンネル遮断性麻酔薬が、公知であり、そして有用である。適切な麻酔薬は、ローションまたはゲル(カプサイシン組成物についての説明を参照のこと)、あるいはパッチデバイス(カプサイシン組成物についての説明を参照のこと)のようなビヒクル中に含まれ得る。カプサイシン組成物と共に使用するための麻酔薬は、米国特許第6,239,180号および同第6,248,788号にさらに記載されている。
【0045】
麻酔薬およびビヒクルは、さらに、キットの他の成分からの分離のため、そして組成物の調剤を容易にするために、任意の適切な包装に包装され得る。
【0046】
(D.指示書)
本発明のキットは、さらに、クレンジング組成物を使用するための指示書を備え得る。指示書は、別個の挿入物および/または包装もしくは容器の一部分(例えば、容器に貼られるラベル、または容器の一部分として組み込まれた文書もしくは他の伝達物)として備えられ得る。指示書は、クレンジング組成物を適用する方法および/もしくは取り除く方法、事前注意および刺激性物質もしくは有痛性物質で汚染された物質を扱うことに関する方法、期待される結果、不適切な使用に関する警告などの情報を、使用者に提供し得る。
【0047】
(E.本発明のキットの付加的な任意成分)
本発明のキットは、さらに、カプサイシンまたはカプサイシンアナログの適用または除去に有用な成分を含み得る。例示的な付加的成分としては、耐薬品性の廃棄物袋、塗布具、体表面クレンジング剤(例えば、アルコール綿棒)、希釈剤、カプサイシンクレンジン
グローションの使用前に余分なクリームを拭き取るためおよびクレンジングローションを拭き取るためのタオルもしくはタオル地、手袋、はさみ、マーキングペン、および眼の保護具が挙げられる。
【0048】
(III.クレンジングローションの作製)
本発明によって提供されるクレンジングローションのいくつかの実施形態を作製するための1つの方法が、図1に示される。PEG、水、および(使用される場合)BHAのような安定剤、および/またはEDTA、および/またはリン酸ナトリウムが、製造容器中に入れられ、そして溶解するまで混合される。増粘剤(例えば、CARBOPOL 1382)が、その混合物に添加、分散され、そしてポリマーが適切に水和するまで混合が続けられる。次いで、必要な場合には、pH調整剤(例えば、10% 水酸化ナトリウム溶液)が添加され、そしてゲルが形成されるまで混合が続けられる。
【0049】
(IV.本発明の方法)
本発明はまた、本発明の組成物およびキットを使用するための方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、刺激性物質または有痛性物質(例えば、カプサイシンもしくはカプサイシンアナログ、またはウルシオール)と接触された体表面を洗浄する方法を提供する。処置されるべき体表面としては、皮膚、眼、粘膜、毛髪、そして動物の事例(例えば、刺激性物質、有痛性物質、または有毒物質と接触した状態になった動物を洗浄すること)では毛皮が挙げられる。体表面は、その体表面に、ポリエチレングリコール、増粘剤、および水を含むクレンジング組成物を適用し、そしてその体表面からその組成物を取り除くことによって洗浄される。本明細書中に記載される任意の組成物が、この方法に使用され得る。1つの実施形態において、クレンジング組成物は、約80%w/w〜約99%w/wのポリエチレングリコール、約0.1%w/w〜約2%w/wのポリアクリル酸増粘剤、および約1%w/w〜約20%w/wの水を含み得;ここで、その組成物は、約7.0〜約7.7のpHである。別の実施形態において、クレンジング組成物は、約87%w/w〜約91%w/wのポリエチレングリコール、約0.3%w/w〜約1.5%w/wのポリアクリル酸増粘剤、約0.01%w/w〜約0.03%w/wのブチル化ヒドロキシアニソール、約0.02%w/w〜約0.2%w/wのEDTA/EDTA塩、および約9%w/w〜約13%w/wの水を含み得;ここで、その組成物は、約7.0〜約7.7のpHであり;次いで、その組成物を、体表面から取り除く。
【0050】
本発明の方法はまた、本発明のキットを用いて、カプサイシン応答性状態を患っている個体を処置するための方法を包含する。限定のためではなく例示のために、カプサイシン応答性状態としては、神経障害性疼痛(糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、HIV/AIDS、外傷性損傷、複合局所疼痛症候群、三叉神経痛、肢端紅痛症、および幻想痛に関連する疼痛を含む)、混合侵害病因および/または神経障害性混合病因(例えば、癌、変形性関節症、線維筋痛、および腰痛)によって生じる疼痛、炎症性痛覚過敏、膣前庭または外陰疼痛、間質性膀胱炎、神経因性膀胱または過活動膀胱、前立腺肥大、鼻炎、直腸過形成、口腔灼熱症候群、口腔粘膜炎、ヘルペス(または他のウイルス感染症)、前立腺肥大、皮膚炎、掻痒、痒み、耳鳴り、乾癬、疣、癌(特に、皮膚癌)、頭痛、および皺が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「個体」は、脊椎動物(例えば、哺乳動物(例えば、ヒト))である。状態は、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む組成物を、その状態に冒された領域に適用し、次いで、その領域を本発明の組成物で洗浄することによって処置される。カプサイシンは、多くの手段(例えば、ローション、クリーム、乳濁液、塗布薬、スプレー、経皮パッチ、ゲルなど)で投与され得る。この方法は、さらに、カプサイシン含有組成物の適用前に麻酔薬を投与する工程(例えば、求心性神経線維遮断性局所麻酔薬を患部に投与する工程)を包含し得る。1つの実施形態において、カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む組成物は、経皮パッチに含まれ得る。このような実施形態において、カプサイシンクレンジング組成物は、パッチが接着された後の
パッチの周辺領域だけでなく、不注意にもカプサイシンに曝された任意の領域をも洗浄するために使用され得る。さらに、カプサイシンクレンジング組成物は、パッチが取り除かれた後に、そのパッチが接着されていた領域を洗浄するために使用され得る。パッチの適用およびパッチの除去の後にその領域を洗浄するために、例えば、50mgのクレンジングジェルを備える管が、カプサイシンパッチ(例えば、8% カプサイシンパッチ)が取り除かれた後の部位に適用され得る。クレンジングジェルは、カプサイシンを体表面からそのゲルに移動させるのに十分な一定期間の間(例えば、1分間)、その領域に放置され、次いで、乾燥したガーゼまたは乾燥した紙タオルで拭き取られる。処置領域からの除去の際、その処置領域に接触したすべての使用済みガーゼ、紙タオルまたは他の物質は、すぐに医療用ビニール袋に廃棄され、次いで、その袋は閉じられそして密閉される。
【0051】
いくつかの実施形態において、パッチは、治療用処方物を含むレザバを備え、ここでその処方物は、皮膚の表面に提供され、そしてその処方物は、処方物の約5重量%を超える総濃度でカプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む。いくつかの実施形態において、カプサイシン濃度は、組成物の約5重量%以下である。
【実施例】
【0052】
(V.実施例)
(実施例1)
いくつかの物質を、カプサイシンを溶解する能力について評価した。サンプルを90分間の超音波処理に曝し、そして水浴温度を約40℃に上昇させることによって、様々な溶媒におけるカプサイシンの溶解度を決定した。物理学的評価(すなわち、視覚評価)を、溶解度を決定するためのサンプルで行った。これらの物質におけるカプサイシンの溶解度を、表1に示す。
【0053】
(表1)
(種々の物質におけるカプサイシンの溶解度)
【0054】
【表1】

本実施例の結果は、カプサイシンが、PEG300において高い溶解度を有することを示し、このことはまた、炎症の可能性が低く、種々の賦形剤に適合することも示す。
【0055】
(実施例2)
本実施例では、3つの異なる形態のPEGにおけるカプサイシンの溶解度、および様々な濃度のPEGにおけるカプサイシンの溶解度を試験した。混合物を、2時間超音波処理し、そして周囲条件への到達を可能にした。次いで、サンプルを遠心分離し、そしてHPLCにより洗浄する前に濾過した。3つの異なる分子量のPEGにおけるカプサイシンの溶解度、および水中の様々な濃度のPEG300におけるカプサイシンの溶解度を、表2
に示す。
【0056】
(表2)
【0057】
【表2】

試験したPEGについて、PEG300は、27.5%w/wのカプサイシン溶解度を伴って、カプサイシンに対して最も大きい受容能力を有する。90%のPEG300は、80%のPEG300よりもカプサイシンに対する溶解度が大きい(それぞれ、27.0% 対 12.5%)。カプサイシンはまた、27%でPEG200に非常に溶解性である。
【0058】
(実施例3)
本実施例では、処方物を、種々のpH調整剤を使用して、BHAおよび/またはEDTA、あるいはリン酸ナトリウムを含むかまたは含まずに調製し、そしてそれらの安定度を、長期間にわたって3つの異なる温度で観察した。安定度を、外観、pH、および粘度を評価することによって評価した。使用した処方物を、表3に示す。
【0059】
(表3)
(安定度について試験した処方物)
【0060】
【表3】

安定度データは、表4に示す(サンプルを水で1:9に希釈したので、pHは、処方したpHより小さい)。調製方法は、図1に示す。
【0061】
(表4)
(種々の処方物についての安定度データ)
【0062】
【表4−1】

【0063】
【表4−2】

【0064】
【表4−3】

本実施例は、いくつかの処方物(特に、BHAおよびEDTAの両方を含む処方物(例えば、790−54B))が、長時間にわたって安定であることを示す。
【0065】
(実施例4)
表面から刺激性物質を除去するクレンジングジェルの能力を決定するために、揮発性溶媒中の広範な濃度のカプサイシン溶液を、ステンレススチール試片に適用した。ステンレススチールの表面上に残存するカプサイシンの薄いフィルム(4μg/cmからの16μg/cm範囲である)は、8重量%のカプサイシンパッチの臨床適用後に皮膚上に残るカプサイシンの最大予測量に相当する。表面の1cm当たりに使用したクレンジングジェルの量、および適用時間を、クレンジングジェル使用の臨床経験から適合させた。
【0066】
(カプサイシン溶液の調製)
100mLの容量フラスコ中に103.1mg/100mLのカプサイシン((LotF0010103)Formosa研究室、台湾)を含む、メタノール中のカプサイシンのストック溶液を調製した。その溶液は、無色透明であった。4種類の濃度のカプサイシン(0.4mg/mL、0.3mg/mL、0.2mg/mL、0.1mg/mL)の各10mLを、上記ストック溶液から調製した。
【0067】
(カプサイシン溶液に曝したスチール試片の洗浄)
各5cm×5cmの4つのスチール試片(Globe Pharma製の316 SS
Finish)を、メタノールでリンスし、そして完全に乾燥させた。0.1mg/mLのカプサイシン溶液(1mL)を、40℃(ホットプレート上)で試片にゆっくりと適用して、端から溶液を滴らせることなくメタノールをエバポレートした。
【0068】
これらの実験について、以下の成分を含むクレンジングジェルを使用した:
【0069】
【表5】

乾燥させた試片に、1mLのクレンジングジェルを塗布し、これを、1分後に予め洗浄した単一の綿棒(これはまた、クレンジングジェルの適用のためにも使用した)で取り除いた。綿棒と共に回収したゲルを、小さい磁気攪拌棒を備える予め洗浄したシンチレーションバイアルに添加した。9mLのメタノールを添加し、そしてサンプルを10分間攪拌した。さらに3つのサンプルを、0.4mg/mL、0.3mg/mL、0.2mg/mLのカプサイシン溶液を使用して、同様の様式で調製した。表5は、異なる初期カプサイシン量を含む4つのサンプルからのカプサイシン回収率を記載する。
【0070】
(表5)
(カプサイシンの回収率)
【0071】
【表6】

表3の結果が示唆するように、クレンジングジェルは、平均88.4%のカプサイシン回収を達成した。0.1mg/mLのカプサイシン濃度の事例では、実験誤差がより大きな数(すなわち、117.7%)をもたらしたようである。このデータポイントの排除は、不活性表面からのカプサイシンの残存量に関する平均回収率を、78.6%の除去に引き下げる。
【0072】
(実施例5)
本実施例は、冷却剤としてメントールを含むクレンジングジェルの調製を記載する。
【0073】
1%のL−メントールを含むクレンジングジェル処方物を、1.20gのL−メントール(Spetram RL 1492)を118.8gのクレンジングジェルと組み合わせ、それを一晩混合し、さらにスチームバス中で1時間混合することによって調製した。得られた処方物は、少量の白色固体、メントールの特徴的な香り、そして7,250cpsの粘度を有する無色のゲルであった。
【0074】
3%のL−メントールを含むクレンジングジェル処方物を、3.61gのL−メントール(Spetram RL 1492)を116.41gのクレンジングジェルと組み合わせ、それを一晩攪拌し、さらにスチームバス中で1時間攪拌することによって調製した
。得られた処方物は、少量の白色固体、メントールの特徴的な香り、そして6,500cpsの粘度を有する無色のゲルであった。
【0075】
10%のL−メントールを含むクレンジングジェル処方物を、1.20gのL−メントール(Spetram RL 1492)を118.8gのクレンジングジェルと組み合わせ、それを一晩攪拌し、さらにスチームバス中で1時間攪拌することによって調製した。得られた処方物は、少量の白色固体、メントールの特徴的な香り、そして4,750cpsの粘度を有する無色のゲルであった。
【0076】
(実施例6)
本実施例は、PEG300を構成するポリエチレングリコールの皮膚透過の欠如を記載する。
【0077】
PEG300は、エチレングリコールのポリマーである。ポリマーの分子量は、すべての構成画分の平均として報告される。PEGは、300の平均分子量を有する。PEG300を分析して、300を中心とする範囲を構成する分子量である5個〜8個のモノマー単位を含むポリマー単位を検出し、そして推定した(すなわち、PEG239、PEG283、PEG327、およびPEG371)。これらの分子が、LC−MSにより決定したときに、本発明によって提供されるクレンジング組成物中に豊富であると期待された場合、本実施例における代表的な分子として使用した。
【0078】
実施例4に記載されるクレンジングジェルを、Oリング上に乗せたヒトの死体の皮膚上に配置し、そしてFranz拡散セルのドナーチャンバーとレシーバチャンバーとの間に配置した。4つの成分について皮膚を越えての透過を、3時間の期間にわたって調査した。これらの結果を、高い透過度についての参照化合物であるカフェイン、および低い透過度についての参照化合物であるアテノロールについての結果と比較した。表6は、モニターしたクレンジングジェル組成物の成分、および2つの参照化合物についての皮膚透過係数(Papp)を提供する。ドナー番号1は、処置しなかった皮膚である。ドナー番号2は、8%のカプサイシン組成物で60分間処置した皮膚である。
【0079】
(表6)
(PEG、カフェイン、およびアテノロールに対する皮膚の透過度)
【0080】
【表7】

クレンジングジェルの4つの主成分について、各Pappは、低い透過度参照よりも有意に低かった。このことは、クレンジングジェルのポリエチレングリコール成分に対する皮膚の透過度は、非常に低く、例えば、1×10−6cm/時間よりも、あるいは5×10−7cm/時間よりも低いPappを有することを示す。
【0081】
本明細書中に記載される実施例および実施形態は、例示目的のみのためであり、それらを考慮に入れると、種々の改変または変更が当業者に示唆され、そして本特許出願の精神
および範囲、ならびに添付した特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書中に引用されるすべての公開公報、特許および特許出願は、あたかも各々の個別の公開公報、特許および特許出願が、明示的かつ個別に参考として援用されることを意図されていたかのように、同一の範囲におよぶすべての目的に対してその全体が本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、クレンジング溶液のための製造プロセスを模式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キットであって、以下:
a)カプサイシンまたはカプサイシンアナログを含む第1の組成物;および
b)該カプサイシンまたはカプサイシンアナログが可溶性である物質を含む第2の組成物
を含む、キット。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−84289(P2009−84289A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289299(P2008−289299)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【分割の表示】特願2004−534582(P2004−534582)の分割
【原出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【出願人】(505080910)ニューロジェシックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】