説明

体調管理システム、体調管理方法、体調管理装置、体調管理プログラムおよび記録媒体

【課題】外出するユーザの体調の変化に応じて柔軟な対応を行う体調管理システムを提供する。
【解決手段】ユーザの移動端末11から体調管理装置13には、ユーザの体調データと位置情報とが所定周期で送られる。体調管理装置13は、送られてきた体調データを、第1及び第2の閾値を用いて監視する。ユーザからの体調データが第1の閾値を超えている場合には、ユーザの移動端末11に、ユーザの現在地の近くにある医療機関の通知を行って警告し、第2の閾値を超えている場合には、異常の度合いが重度であり、ユーザが自身で対処することが難しいとして、さらにユーザの家族等の第三者の通知先の端末16等に通知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが携帯する移動端末から体調データを送信して体調を管理する体調管理システム、体調管理方法、体調管理装置、体調管理プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、健康状態に懸念があるユーザに携帯される移動端末が、ユーザの体調を計測したセンサ計測値やユーザから入力される入力値を体調データとして体調管理装置等に送信し、体調管理装置が、受信した体調データに基づいてユーザの体調に異常があると判定すれば、ユーザの移動端末及び予め定められた担当機関に異常を通知する体調管理システムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、健康管理センタのホストコンピュータが、患者の保持する携帯電話端末から受けたセンサのセンサ計測値から異常を発見すると、直ちに携帯電話端末に異常を通報するものが記載されている。また、特許文献2には、医療端末により患者の健康状態を測定し、その測定結果に基づく情報を携帯端末により医療サーバに送信し、医療サーバによって患者の健康状態を分析するものが記載されている。また、特許文献3には、健康管理を必要とする被検者が活動量も含めて生体情報としてサーバ装置に送信し、記録することにより、生活習慣病の治療や指導に役立てるようにしたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−224674号公報
【特許文献2】特開2005−305105号公報
【特許文献3】特開2006−254948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に、ユーザの体調の異常の度合いには複数の段階がある。すなわち、異常の度合いが軽度であり緊急度が低い場合には、第三者の担当機関等に通知を行うまでもなく、ユーザ本人に注意を促せば足りる場合がある。一方、異常の度合いが重度であり緊急度が高い場合には、第三者等による緊急対応の必要が存在する場合がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、外出するユーザの体調の変化に応じて柔軟な対応を行う体調管理システム、体調管理方法、体調管理装置、体調管理プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、ユーザに携帯される移動端末と、移動端末と無線通信を行う体調管理装置とを備えた体調管理システムであって、移動端末は、ユーザの体調を数値によって示す体調データが入力される入力部と、自身の位置情報を示すユーザ位置情報を算出するGPS機能部と、体調データと、GPS機能部により取得されたユーザ位置情報とを、遠隔体調管理装置に送信する送信部と、を備え、体調管理装置は、体調データによって示される体調の度合いに応じてユーザに警告を通知するか否かを示す第1の閾値と、第1の閾値より警告の緊急度が高く、第三者端末に警告を通知するか否かを示す第2の閾値とが記憶される閾値記憶部と、第三者端末への通知先が記憶される通知先記憶部と、医療機関と、医療機関の位置を示す医療機関位置情報とが対応付けられた医療機関情報が予め記憶される医療機関記憶部と、送信部から送信されたユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す医療機関位置情報に対応付けられた医療機関を、医療機関記憶部から読み出す最寄医療機関検出部と、送信部から送信された体調データと第1の閾値とを比較し、体調データによって示される体調の度合いが第1の閾値を超えると判定すると、最寄医療機関検出部によって読み出された医療機関情報を、移動端末に送信する第1の通知部と、送信部から送信された体調データと第2の閾値とを比較し、体調データによって示される体調の度合いが第2の閾値を超えると判定すると、第三者の通知先に異常通知を送信する第2の通知部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ユーザに携帯される移動端末が、ユーザの体調を数値によって示す体調データを入力し、また、自身の位置情報を示すユーザ位置情報を算出し、体調データとユーザ位置情報とを体調管理装置に送信する工程と、体調管理装置が、移動端末から送信された体調データと第1の閾値とを比較し、体調データによって示される体調の度合いが第1の閾値を超えると判定すると、ユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す医療機関位置情報を移動端末に送信し、また、移動端末から送信された体調データと第1の閾値より緊急度が高い第2の閾値とを比較し、体調データによって示される体調の度合いが第2の閾値を超えると判定すると、第三者の通知先に異常通知を送信する工程を含むことを特徴とする体調管理方法である。
【0009】
また、本発明は、ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データと、ユーザ位置情報とを受信して体調管理を行う体調管理装置であって、体調データによって示される体調の度合いに応じてユーザに警告を通知する第1の閾値と、第1の閾値より緊急度が高く、第三者端末に通知する第2の閾値とが記憶される閾値記憶部と、第三者端末への通知先が記憶される通知先記憶部と、医療機関と、医療機関の位置を示す医療機関位置情報とが対応付けられた医療機関情報が予め記憶される医療機関記憶部と、送信部から送信されたユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す医療機関位置情報に対応付けられた医療機関を医療機関記憶部から読み出す最寄医療機関検出部と、送信部から送信された体調データと第1の閾値とを比較し、体調データによって示される体調の度合いが第1の閾値を超えると判定すると、最寄医療機関検出部によって読み出された医療機関情報を、移動端末に送信する第1の通知部と、送信部から送信された体調データと第2の閾値とを比較し、体調データによって示される体調の度合いが第2の閾値を超えると判定すると、第三者端末の通知先に異常通知を送信する第2の通知部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データと、ユーザ位置情報とを受信して体調管理を行う体調管理装置のコンピュータに、ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データとユーザ位置情報とを受信するステップと、受信した体調データと第1の閾値とを比較するステップと、体調データによって示される体調の度合いが第1の閾値を超えると判定すると、ユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す医療機関位置情報を移動端末に送信するステップと、受信した体調データと第1の閾値より緊急度が高い第2の閾値とを比較するステップと、体調データによって示される体調の度合いが第2の閾値を超えると判定すると、第三者端末の通知先に異常通知を送信するステップとを実行させる体調管理プログラムである。
【0011】
また、本発明は、ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データと、ユーザ位置情報とを受信して体調管理を行う体調管理装置のコンピュータに、ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データとユーザ位置情報とを受信するステップと、受信した体調データと第1の閾値とを比較するステップと、体調データによって示される体調の度合いが第1の閾値を超えると判定すると、ユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す医療機関位置情報を移動端末に送信するステップと、受信した体調データと第1の閾値より緊急度が高い第2の閾値とを比較するステップと、体調データによって示される体調の度合いが第2の閾値を超えると判定すると、第三者端末の通知先に異常通知を送信するステップとを実行させる体調管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動端末を携帯しているユーザの体調に異常に異変が生じたときに、異常の度合いに応じた対処を行うことができる。すなわち、本発明では、異常が軽度であり、緊急度が低い場合には、ユーザの移動端末に近くにある医療機関を通知して対応を行い、異常の度合いが重度であり、緊急度が高い場合には、第三者端末に通知して、緊急の対応を行うことができる。また、本発明によれば、移動端末からは、体調データと位置情報とを体調管理装置に送信している。この移動端末から送信されてきた位置情報を基に、医療機関データベースを検索することで、ユーザの現在地の近くにある医療機関を通知することができる。また、本発明によれば、移動端末から送信されてきた位置情報により、ユーザの所在地を第三者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の体調管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の体調管理システムにおける移動端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の体調管理システムにおける体調管理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の体調管理システムにおけるユーザ管理データベースの説明図である。
【図5】本発明の一実施形態の体調管理システムにおける医療機関データベースの説明図である。
【図6】本発明の一実施形態の体調管理システムの動作説明に用いるシーケンス図である。
【図7】本発明の一実施形態の体調管理システムの動作説明に用いるフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態の体調管理システムの動作説明に用いるフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態の体調管理システムの動作説明に用いるフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態の体調管理システムの動作説明に用いるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態の体調管理システムの構成を示すものである。
【0015】
図1において、移動端末11は、ユーザが携帯している端末である。移動端末11は、ユーザの体調データと位置情報とを体調管理装置13にインターネット12を介して周期的に送信する。ここで、体調データとは、より具体的には、例えば、体温、血圧、心拍数などを数値によって示すデータである。
【0016】
体調管理装置13は、インターネット12を介して、ユーザの移動端末11からの体調データを受信して、ユーザの体調管理を行う。すなわち、体調管理装置13は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)、SMPP(Short message peer-to-peer protocol)等のプロトコルに基づいて、インターネット12を通じて、移動端末11との間の接続を行い、移動端末11から体調データと位置情報とを収集する。そして、体調管理装置13は、移動端末11から周期的に送られてくる体調データを受信して、受信した体調データが第1及び第2の閾値を超えているかどうかを判定する。体調管理装置13は、受信した体調データが第1の閾値を超えていると判定すると、ユーザの移動端末11に、ユーザの移動端末11から送られてきた位置情報を基に、ユーザの現在地の近くにある医療機関を検索し、インターネット12を通じて、ユーザの現在地の近くにある医療機関をユーザの移動端末11に通知する。さらに、体調管理装置13は、体調データが第2の閾値を超えていると判定すると、インターネット12を通じて、ユーザの家族等の第三者の端末16に通知を行う。
【0017】
このように、本実施形態の体調管理システムでは、体調管理装置13は、ユーザの移動端末11から送られてくる体調データを、第1及び第2の閾値と比較して監視している。そして、体調管理装置13は、ユーザからの体調データが第1の閾値を超えている場合には、ユーザの移動端末11に、ユーザの現在地の近くにある医療機関の通知を行って警告し、第2の閾値を超えている場合には、異常の度合いが重度であり、ユーザが自身で対処することが難しいとして、さらにユーザの家族等の第三者の通知先の端末16に通知を行う。また、このとき、ユーザの現在地の近くにある医療機関の端末17やかかりつけの医療機関の端末18に通知を行うようにしても良い。
【0018】
また、本実施形態の体調管理システムでは、ユーザの現在の位置情報がGPS(Global Positioning System)機能部で検出され、この位置情報が体調管理装置13に送られる。体調管理装置13は、この位置情報から、ユーザが在宅か外出中かを判定することができる。本実施形態では、体調管理装置13は、ユーザの端末に医療機関を通知する際に、この位置情報により在宅か外出中かを判定し、在宅中ならかかりつけの医療機関を通知し、外出中なら、ユーザの現在地の近くの医療機関を検索し、その医療機関を通知する。
【0019】
さらに、本実施形態の体調管理システムでは、ユーザの移動端末11から送られてきた位置情報からユーザが在宅か外出中かを判定し、在宅か外出中かに応じて、ユーザの体調データを移動端末11から体調管理装置13に送信する周期を最適化するようにしている。
【0020】
次に、本実施形態の体調管理システムの各部の構成について詳細に説明する。図2は、本実施形態の体調管理システムにおける移動端末11の構成を示すものである。本実施形態では、移動端末11として携帯電話端末を適用することとして説明するが、例えば、ユーザが外出時に携帯することが可能であり、かつ無線通信が行えるものであれば、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報端末を適用することができる。図2において、移動端末11は、制御部21と、無線通信部22と、操作部23と、表示部24と、GPS機能部25と、体調データ入力部26を備えている。
【0021】
制御部21は、移動端末11の各部の制御を行う。無線通信部22は、制御部21からのアクセス指令に応じて、無線基地局(図示せず)を介して、インターネット12への接続を行い、無線信号の送受信を行う。操作部23は、ユーザの操作に応じてその操作情報を制御部21に入力する。表示部24は、各種の情報の表示を行う。GPS機能部25は、GPS衛星からの受信信号を用いて、ユーザの現在地の測位を行う。体調データ入力部26は、体温、血圧等のユーザの体調を数値によって示す体調データの入力を受付ける。体調データ入力部26には、例えば移動端末11に備えられたボタンを操作することによりユーザによって体調データが入力されるようにしても良いし、ユーザに備え付けられた各種センサ等により入力されるようにしても良い。
【0022】
ここで、本実施形態の体調管理システムにおいては、所定周期毎に、体調管理装置13から移動端末11に、情報取得要求が送られている。無線通信部22は、この情報取得要求を受信して、制御部21に送る。制御部21は、情報取得要求を受信すると、体調データ入力部26により入力された体調データと、GPS機能部25からの位置情報とを取得して、無線通信部22に送る。無線通信部22は、この体調データと位置情報とを体調管理装置13に向けて送信する。以上のような処理により、移動端末11から体調管理装置13には、ユーザの体調データと位置情報とが周期的に送信されることになる。
【0023】
次に、体調管理装置13について説明する。図3は、体調管理装置13の構成を示すものである。図3に示すように、体調管理装置13は、体調データ処理部30と、要求送信部31と、体調データ受信部32と、位置情報受信部33と、ユーザ体調データ保存部34と、ユーザ管理データベース35と、医療機関データベース36と、医療機関通知部37と、第三者通知部38とを備えている。
【0024】
要求送信部31は、体調データ処理部30の制御の下に、所定の周期毎に、ユーザの移動端末11に情報取得要求を送信する。体調データ受信部32は、ユーザの移動端末11から送られてきた体調データを受信して、体調データ処理部30に送る。位置情報受信部33は、ユーザの移動端末11から送られてきた位置情報を受信して、体調データ処理部30に送る。
【0025】
ユーザ体調データ保存部34は、ユーザの移動端末11から送られてきた体温や血圧等の体調データを、時間毎、日毎、月毎等に収集して、統計ファイルとして保存する。
【0026】
ユーザ管理データベース35は、ユーザ情報と、閾値情報と、ユーザの在宅時の位置情報と、ユーザのかかりつけの医療機関の情報と、異常時の通知先となる第三者の情報とを含んでいる。閾値情報としては、第1及び第2の閾値を有している。ユーザ管理データベース35は、契約時若しくは定期的にユーザの移動端末11から送られてくる情報に基づいて作成される。
【0027】
図4はユーザ管理データベース35の一例である。図4に示すように、このユーザ管理データベース35には、ユーザ名と、各ユーザの体調データの閾値と、ユーザの在宅時の位置情報と、ユーザのかかりつけの医療機関の名称、位置情報及び通知先と、家族等の第三者の名前、位置情報及び通知先と、最終収集時刻とが記述される。体調データの閾値としては、第1の閾値と第2の閾値との2段階が記述されている。例えば、体温の第1の閾値は「38度」とされ、第2の閾値は「39度」とされる。血圧についても、同様に、第1の閾値と第2の閾値が記述されている。
【0028】
図3において、医療機関データベース36は、ユーザが外出時に体調を崩したときに、ユーザの近くにある医療機関を検索するためのものである。医療機関データベース36には、図5に示すように、医療機関名と位置情報と通知先が対応付けて保存されている。図3における体調データ処理部30には、ユーザの現在の位置に最も近い医療機関を医療機関データベース36から検索する最寄医療機関検出部39が設けられている。なお、医療機関データベース36の情報には、対応する医療機関の位置を示す地図を含むようにしても良い。
【0029】
図3において、体調データ処理部30は、ユーザの移動端末11から送られてきた体調データを受信すると、この体調データと第1の閾値とを比較する。そして、体調データが第1の閾値を超えている判定されると、医療機関データベース36から、ユーザの現在地の近くにある医療機関を検索する。そして、医療機関通知部37は、検索された医療機関をユーザの移動端末11に通知する。ここで、通知は、例えば電子メールによって送信する。この場合は、ユーザの体調には何らかの軽度の異常が発生したと考えられる場合であり、ユーザに対して現在地から最寄の医療機関を通知することで、ユーザ自身により医療機関に出向くことを促す。
【0030】
さらに、体調データ処理部30は、体調データと第2の閾値とを比較する。ユーザの移動端末11から送られてきた体調データが第2の閾値を超えていると判定されると、第三者通知部38は、ユーザ管理データベース35中の異常時の第三者の通知先を参照して、第三者の端末16に通知を行う。この場合は、ユーザの体調には何らかの重度の異常が発生したと考えられる場合であり、ユーザ自身で対応できる状況ではない場合などが考えられるため、第三者に異常を通知することで、緊急の対応を促す。
【0031】
例えば、ユーザの移動端末11から体調データとして、体温「38.5度」が送られてきたとする。体調データ処理部30は、ユーザの移動端末11から体調データとして送られてきた体温「38.5度」と、図4に示すユーザ管理データベース35の体温の第1の閾値「38度」とを比較する。ここで、ユーザの移動端末11から送られてきた体温データ「38.5度」は、ユーザ管理データベース35の体温の第1の閾値「38度」より大きいので、ユーザの現在地の近くにある医療機関が図5に示す医療機関データベース36から検索され、医療機関通知部37により、ユーザの移動端末11に通知が行われる。さらに、ユーザの移動端末11から体調データとして送られてきた体温「38.5度」と、第2の閾値「39度」と比較する。ユーザの移動端末11から送られてきた体温データ「38.5度」は、ユーザ管理データベース35の体温の第2の閾値「39度」よりは小さいので、第三者への通知は行われない。
【0032】
これに対して、例えば、ユーザの移動端末11から体調データとして、体温「40度」が送られてきたとする。この場合には、体調データ処理部30は、ユーザの移動端末11から体調データとして送られてきた体温「40度」と、図4に示すユーザ管理データベース35の体温の第1の閾値「38度」とを比較する。ここで、ユーザの移動端末11から送られてきた体温データ「40度」は、ユーザ管理データベース35の体温の第1の閾値「38度」より大きい。さらに、ユーザの移動端末11から体調データとして送られてきた体温「40度」と、第2の閾値「39度」と比較する。ここで、ユーザの移動端末11から送られてきた体温データ「40度」は、さらに、第2の閾値「39度」よりも大きい。この場合には、第三者通知部38により、第三者の端末16に通知が行われる。
【0033】
図6は、本実施形態のシステムの動作を示すシーケンス図である。図6において、体調管理装置13の体調データ処理部30は、所定時間毎に、移動端末11に情報処理要求を送信する(ステップS1)。移動端末11は、情報処理要求を受信すると、体調データと位置情報とを体調管理装置13に送信する(ステップS2)。体調管理装置13の体調データ処理部30は、体調データと位置情報とを受信すると、ユーザ管理データベース35をアクセスし(ステップS3)、第1及び第2の閾値情報を取得する(ステップS4)。そして、体調データ処理部30は、移動端末11から受信した体調データと、ユーザ管理データベース35からの体調データの第1及び第2の閾値との閾値判定処理を行う(ステップS5)。そして、第1の閾値を超えている場合には、体調データ処理部30は、医療機関の検索処理を行い(ステップS6)、医療機関を移動端末11に通知する(ステップS7)。さらに、第2の閾値を超えている場合には、体調データ処理部30は、第三者の端末16に通知する(ステップS8)。そして、体調データ処理部30は、統計ファイルを作成して(ステップS9)、この統計ファイルをユーザ体調データ保存部34に保存する(ステップS10)。
【0034】
図7は、ステップS5の閾値判定処理を示すフローチャートである。図7において、体調データ処理部30は、移動端末11から受信したユーザの体調データと第1の閾値とを比較し、ユーザの体調データが第1の閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS101)。ステップS101で、ユーザの体調データが第1の閾値未満なら、問題なしとして、処理を終了する。
【0035】
ステップS101で、ユーザの体調データが第1の閾値以上なら、体調データ処理部30は、移動端末11から受信したユーザの体調データと第2の閾値とを比較し、ユーザの体調データが第2の閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS102)。ステップS102で、ユーザの体調データが第2の閾値未満なら体調データ処理部30は、ユーザの移動端末11に通知するための処理を行う(ステップS103)。
【0036】
ステップS102で、ユーザの体調データが第2の閾値を超えていると判定されると、体調データ処理部30は、ユーザ管理データベース35から、家族等の第三者の情報を取得し、第三者の端末16に通知を行う処理を行う(ステップS104)。
【0037】
図8は、図6のステップS6で、医療機関の検索を行う際の処理を示すものである。本実施形態では、医療機関に通知する際に、ユーザの移動端末11から送られてくる位置情報により在宅か外出中かを判定する。そして、在宅ならユーザのかかりつけの医療機関の情報を読み出し、外出中なら、ユーザの現在地の近くの医療機関を検索し、その医療機関の情報を読み出すようにしている。図8は、このような処理を行うものである。
【0038】
図8において、体調データ処理部30は、移動端末11から受信したユーザの現在の位置情報と、図4のユーザ管理データベース35のユーザの在宅時の位置情報とを比較し、ユーザが外出中かどうかを判定する(ステップS201)。ユーザの現在の位置情報と、ユーザ管理データベース35のユーザの在宅時の位置情報と一致しており、ユーザが在宅中と判定されると、体調データ処理部30は、ユーザ管理データベース35から、かかりつけの医療機関の通知先の情報を読み出す(ステップS202)。
【0039】
これに対して、ステップS201で、ユーザの現在の位置情報と、ユーザ管理データベース35のユーザの在宅時の位置情報とが異なっており、ユーザが外出中であると判定されると、体調データ処理部30は、現在のユーザの位置情報を基に図5に示す医療機関データベース36を参照してユーザの近くの医療機関を検索する(ステップS203)。
【0040】
また、本実施形態では、図6のステップS1で体調管理装置13からの情報処理要求を行って、ユーザの移動端末11から体調データを取得している。この体調データを取得する周期は、ユーザが在宅か外出中かに応じて、最適化することができる。図9及び図10は、情報取得周期の最適化処理のフローチャートである。
【0041】
図9において、体調データ処理部30は、移動端末11から受信したユーザの現在の位置情報と、ユーザ管理データベース35のユーザの在宅時の位置情報とを比較し、ユーザが外出中かどうかを判定する(ステップS301)。ステップS301で、ユーザの現在の位置情報と、ユーザ管理データベース35のユーザの在宅時の位置情報とが一致しており、ユーザが在宅中と判定されると、体調データ処理部30は、情報取得周期として在宅用の周期を定める(ステップS302)。ステップS301で、ユーザの現在の位置情報と、ユーザ管理データベース35のユーザの在宅時の位置情報と一致せず、外出中であると判定されると、体調データ処理部30は、情報取得周期とすして外出用の周期を定める(ステップS303)。
【0042】
また、図10に示すように、体調データ処理部30は、最新収集時刻と最終収集予定時刻とを比較し(ステップS401)、等しくない場合は、収集周期を変更し、ユーザ端末10に対してデータ入力を催促する旨の情報取得要求をプッシュ配信する(ステップS402)。収集周期判定においては、このようなフローを多段にすることにより、詳細な収集周期管理が可能となる。
【0043】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0044】
このように、本実施形態によれば、ユーザが外出時にユーザの体調に異常が発生し、ユーザ自身は体調の変化に気付いていない場合に、軽度の異常が発生していることをユーザに通知して医療機関へ出向くことを促し、体調の変化に対する早期の対応を行なうことが可能となるものである。
さらに、ユーザの体調の変化が緊急を要する程に変化した場合で、ユーザ自身が医療機関に出向いたり連絡を行なったりすることが困難である場合には、第三者に警告を通知し、ユーザの介護、介助、救助、を促すことができる。これにより、ユーザが外出時に同伴者がいないような場合でも、緊急時にも円滑に早期の対応を行なうことが可能となるものである。
【0045】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより体調管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0046】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0047】
11 移動端末
12 インターネット
13 体調管理装置
16 第三者の端末
17 医療機関の端末
18 かかりつけの医療機関の端末
21 制御部
22 無線通信部
23 操作部
24 表示部
25 GPS機能部
26 体調データ入力部
30 体調データ処理部
31 要求送信部
32 体調データ受信部
33 位置情報受信部
34 ユーザ体調データ保存部
35 ユーザ管理データベース
36 医療機関データベース
37 医療機関通知部
38 第三者通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに携帯される移動端末と、当該移動端末と無線通信を行う体調管理装置とを備えた体調管理システムであって、
前記移動端末は、
前記ユーザの体調を数値によって示す体調データが入力される入力部と、
自身の位置情報を示すユーザ位置情報を算出するGPS機能部と、
前記体調データと、前記GPS機能部により取得されたユーザ位置情報とを、前記遠隔体調管理装置に送信する送信部と、を備え、
前記体調管理装置は、
前記体調データによって示される体調の度合いに応じて前記ユーザに警告を通知するか否かを示す第1の閾値と、当該第1の閾値より警告の緊急度が高く、第三者端末に警告を通知するか否かを示す第2の閾値とが記憶される閾値記憶部と、
前記第三者端末への通知先が記憶される通知先記憶部と、
医療機関と、当該医療機関の位置を示す医療機関位置情報とが対応付けられた医療機関情報が予め記憶される医療機関記憶部と、
前記送信部から送信された前記ユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す前記医療機関位置情報に対応付けられた前記医療機関を、前記医療機関記憶部から読み出す最寄医療機関検出部と、
前記送信部から送信された前記体調データと前記第1の閾値とを比較し、前記体調データによって示される体調の度合いが前記第1の閾値を超えると判定すると、前記最寄医療機関検出部によって読み出された前記医療機関情報を、前記移動端末に送信する第1の通知部と、
前記送信部から送信された前記体調データと前記第2の閾値とを比較し、前記体調データによって示される体調の度合いが前記第2の閾値を超えると判定すると、前記第三者端末の通知先に異常通知を送信する第2の通知部と、
を備えることを特徴とする体調管理システム。
【請求項2】
前記通知先記憶部には、予め定められた前記ユーザのかかりつけ医療機関と、前記ユーザの家族とのいずれかまたは双方の端末の通知先が記憶される
ことを特徴とする請求項1に記載された体調管理システム。
【請求項3】
前記医療機関情報記憶部に記憶された前記医療機関情報には、当該医療機関の端末への通知先が含まれ、
前記第2の通知部による異常通知の通知先には、前記最寄医療機関検出部により検出された前記医療機関の端末の通知先が含まれる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された体調管理システム。
【請求項4】
前記医療機関情報には、対応する医療機関の位置を示す地図が含まれる
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された体調管理システム。
【請求項5】
ユーザに携帯される移動端末が、ユーザの体調を数値によって示す体調データを入力し、また、自身の位置情報を示すユーザ位置情報を算出し、当該体調データと当該ユーザ位置情報とを体調管理装置に送信する工程と、
前記体調管理装置が、前記移動端末から送信された前記体調データと第1の閾値とを比較し、前記体調データによって示される体調の度合いが前記第1の閾値を超えると判定すると、前記ユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す医療機関位置情報を前記移動端末に送信し、また、前記移動端末から送信された前記体調データと前記第1の閾値より緊急度が高い第2の閾値とを比較し、前記体調データによって示される体調の度合いが前記第2の閾値を超えると判定すると、第三者端末の通知先に異常通知を送信する工程を含む
ことを特徴とする体調管理方法。
【請求項6】
ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データと、ユーザ位置情報とを受信して体調管理を行う体調管理装置であって、
前記体調データによって示される体調の度合いに応じて前記ユーザに警告を通知する第1の閾値と、当該第1の閾値より緊急度が高く、第三者に通知する第2の閾値とが記憶される閾値記憶部と、
前記第三者端末への通知先が記憶される通知先記憶部と、
医療機関と、当該医療機関の位置を示す医療機関位置情報とが対応付けられた医療機関情報が予め記憶される医療機関記憶部と、
前記送信部から送信された前記ユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す前記医療機関位置情報に対応付けられた前記医療機関を前記医療機関記憶部から読み出す最寄医療機関検出部と、
前記送信部から送信された前記体調データと前記第1の閾値とを比較し、前記体調データによって示される体調の度合いが前記第1の閾値を超えると判定すると、前記最寄医療機関検出部によって読み出された前記医療機関情報を、前記移動端末に送信する第1の通知部と、
前記送信部から送信された前記体調データと前記第2の閾値とを比較し、前記体調データによって示される体調の度合いが前記第2の閾値を超えると判定すると、前記第三者端末の通知先に異常通知を送信する第2の通知部と、
を備えることを特徴とする体調管理装置。
【請求項7】
ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データと、ユーザ位置情報とを受信して体調管理を行う体調管理装置のコンピュータに、
ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データとユーザ位置情報とを受信するステップと、
前記受信した体調データと第1の閾値とを比較するステップと、
前記体調データによって示される体調の度合いが前記第1の閾値を超えると判定すると、前記ユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す医療機関位置情報を前記移動端末に送信するステップと、
前記受信した体調データと前記第1の閾値より緊急度が高い第2の閾値とを比較するステップと、
前記体調データによって示される体調の度合いが前記第2の閾値を超えると判定すると、第三者端末の通知先に異常通知を送信するステップと
を実行させる体調管理プログラム。
【請求項8】
ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データと、ユーザ位置情報とを受信して体調管理を行う体調管理装置のコンピュータに、
ユーザに携帯される移動端末から送られてきた体調データとユーザ位置情報とを受信するステップと、
前記受信した体調データと第1の閾値とを比較するステップと、
前記体調データによって示される体調の度合いが前記第1の閾値を超えると判定すると、前記ユーザ位置情報に示される位置に最も近い位置を示す医療機関位置情報を前記移動端末に送信するステップと、
前記受信した体調データと前記第1の閾値より緊急度が高い第2の閾値とを比較するステップと、
前記体調データによって示される体調の度合いが前記第2の閾値を超えると判定すると、第三者端末の通知先に異常通知を送信するステップと
を実行させる体調管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−232963(P2010−232963A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78184(P2009−78184)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】