説明

作業工具

本発明に係る作業工具は、作業者が握柄部を持って開閉操作して作用部で所定の作業を行うに際して、握柄部を強握した後開放すると、磁石の反発力で二つの挟圧部材が握柄部において開放方向に付勢され、発条を用いることなく開閉操作がスムーズになされる。本発明に係る作業工具は、互いに中間部が重なり合うように交叉して各中間部が枢結された二つの挟圧部材A,Bによって各中間部の枢結箇所2よりも先端側に形成され、切断を行う作用部1と、二つの挟圧部材A,Bによって枢結箇所2よりも基端側に形成され、作用部1を開閉するために開閉操作される握柄部3とを備え、二つの挟圧部材A,Bの互いに対向する位置で枢結箇所2の握柄部3側の近傍に、同極で対向して反発し合う磁石4a,4bがそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンチ、ニッパ、剪定鋏等の作業工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペンチ、ニッパ、剪定鋏等の作業工具は、二つの挟圧部材を中間部が重なり合うように交叉させると共に各中間部を枢結して構成され、先部に挟持又は切断や曲げ等の加工をなす作用部を備え、基端側に作業者が握持する握柄部を備えている。
これらの作業工具は、握柄部の開閉操作に連動して開閉する作用部で所定の作業を行うものであり、握柄部の操作性を向上させるため、即ち、作業者による握柄部の開操作を省力化するため、一般的には握柄部を開放方向に付勢する発条を備えている。
しかし、発条を採用した場合には、発条の経年変化によって弾性力が減退したり発条が破損したりするので、その定期的な交換が必要であった。また、作業者の腱鞘炎を抑制するには、作業者が握柄部を閉じるために要する力、即ち、発条の弾性係数を小さくすることが望ましいが、発条の弾性係数をある程度小さくすると、閉じた握柄部を発条により開くための充分な反発力が得られなくなるという問題があった。
一方、従前から発条の弾性力に代えて磁石の磁力を採用することが提案されている。
即ち、特許文献1には、二つの挟圧部材の握柄部における一対の基端に同極が対面する磁石を設け、その一対の基端が接近した際に反発力が作用する工具が開示されている。
また、特許文献2には、更に、一方の挟圧部材の磁石が回動し、収納時に握柄部の一対の基端が互いに吸引して作用部が閉じた状態を維持する切り替え機能を備えた工具が開示されている。
これらの磁石を利用した作業工具は、握柄部の一対の基端に磁石を設けているものである。しかし、磁石の吸引力や反発力は磁石間の距離の二乗に反比例するものであり、特に、多用されている作業工具は、握柄部の一対の基端が当接に近い状態で接近する構造のものが少なく、逆に離れているものが多いので、このような工具の一対の基端に磁石を付設しても、握柄部を握持した後の充分な反発力を得ることは難しい。
また、特許文献2に記載された作業工具では、収納時においても磁石間(一対の基端間)の距離があるため、吸引力が小さく実用性に欠けるし、磁力の強い磁石を採用して反発力や吸引力を高めようとした場合には、各磁石が工具端部にあって、とりわけ回動側の磁石については、握柄部の外側にあって、他の工具等の金属部材を容易に吸着するので、その吸着した部材を外したりすることが非常に煩わしい。
【特許文献1】特開昭53−130600号公報
【特許文献2】実公昭60−1983号公報
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的は、握柄部における反発力を磁石により効率的に得ることができ、且つ、その磁石への他の部材の吸着を抑制することができる作業工具を提供することにある。
【0004】
この目的を達成するため、本発明に係る作業工具の一つは、互いに中間部が重なり合うように交叉して各中間部が枢結された二つの挟圧部材によって各中間部の枢結箇所よりも先端側に形成され、挟持又は加工を行う作用部と、二つの挟圧部材によって枢結箇所よりも基端側に形成され、作用部を開閉するために開閉操作される握柄部とを備え、二つの挟圧部材の互いに対向する位置で枢結箇所の握柄部側近傍に、同極で対向して反発し合う磁石がそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
従って、作業者が握柄部を持って開閉操作して作用部で所定の作業を行うに際して、握柄部を強握した後開放すると、磁石の反発力で二つの挟圧部材が握柄部において開放方向に付勢され、発条を用いることなく開閉操作がスムーズになされる。ここで、各挟圧部材の磁石が枢結箇所の近傍に設けられているから、作用部を閉じるに従いそれらの磁石は極めて接近して作用部全閉状態では近接又は当接し、磁石の反発力を有効に利用できる。一方、このような枢結箇所近傍における反発力に対しては、作業者は握柄部を枢結箇所から離れた位置で握ることによって容易に抗することができ、握柄部の閉操作に要する力は小さくて済む。
本発明に係る作業工具は、前記構成において、二つの挟圧部材に設けられた各磁石のいずれかの磁極が変更して各磁石が異極で対向することにより、各磁石が吸引し合って作用部が閉じた収納状態にロックされるように構成してもよい。磁石の磁極の変更は、例えばその磁石が回転することにより行うことができ、異極で対向した磁石を当接させることにより、吸引力を最大として効果的なロック状態を実現することができる。
あるいは、本発明に係る作業工具は、前記構成において、二つの挟圧部材のうち一方の挟圧部材に他方の挟圧部材にN極又はS極で対向する磁石がスライド可能に設けられ、他方の挟圧部材に一方の挟圧部材にN極で対向する磁石とS極で対向する磁石とが並設され、他方の挟圧部材に設けられた同極の磁石と対向するように一方の挟圧部材に設けられた磁石のスライド位置が調整されることにより、一方の挟圧部材に設けられた磁石と他方の挟圧部材に設けられた磁石とが反発し合って作用部による挟持又は加工が可能な使用状態となり、他方の挟圧部材に設けられた異極の磁石と対向するように一方の挟圧部材に設けられた磁石のスライド位置が調整されることにより、一方の挟圧部材に設けられた磁石と他方の挟圧部材に設けられた磁石とが吸引し合って作用部が閉じた収納状態にロックされるように構成してもよい。この場合にも、一方の挟圧部材の磁石が他方の挟圧部材の異極の磁石と対向したときにそれらを当接させることにより、吸引力を最大として効果的なロック状態を実現することができる。
更に、以上の各構成において、各磁石を二つの挟圧部材に対して脱着可能とすることにより、作業工具の組み付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】第一実施形態に係る作業工具の収納時の正面図である。
【図2】図1の作業工具の使用時の正面図である。
【図3】第二実施形態に係る作業工具の収納時の正面図である。
【図4】図3の作業工具の使用時の正面図である。
【図5】図3及び図4の作業工具の磁石保持機構部の分解斜視図である。
【図6】図5の磁石保持機構部の組み込み状態の断面図(平面視)である。
【図7】図5の磁石保持機構部の組み込み状態の断面図(正面視)である。
【図8】第三実施形態に係る作業工具の正面図である。
【図9】第三実施形態に係る作業工具の別例の収納時の正面図である。
【図10】図9の作業工具の使用時の正面図である。
【図11】第四実施形態に係る作業工具の第一の例の収納時の正面図である。
【図12】第四実施形態に係る作業工具の第二の例の収納時の正面図である。
【図13】第四実施形態に係る作業工具の第三の例の収納時の正面図である。
【図14】第四実施形態に係る作業工具の第四の例の収納時の正面図である。
【図15】図11乃至図14の各作業工具に用いられている磁石の斜視図である。
【図16】図11の作業工具のXVI−XVI線に沿った位置における断面図である。
【図17】第五実施形態に係る作業工具の収納時の正面図である。
【図18】図17の作業工具の使用時の正面図である。
【図19】第六実施形態に係る作業工具の収納時の正面図である。
【図20】図19の作業工具の使用時の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施の形態について説明する。以下の各実施形態では、作業工具として剪定鋏を例示するが、本発明はペンチ等の挟持工具にもニッパのような切断工具にも、更に、切断以外の加工(例えば曲げ加工)を行う工具にも適用できることはいうまでもない。以下の各実施形態に係る作業工具は、通常の作業工具と同様に二つの挟圧部材A,Bで構成され、先部に切断をなす作用部1を備えている。挟圧部材A,Bは中間部で交叉して各中間部が枢結(工具枢結部(枢結箇所)2)され、基端側に握柄部3が設けられ、この握柄部3の開閉操作によって作用部1で剪定作業が行われる。
また、以下の各実施形態では、挟圧部材Aの作用部1を構成する金属製の刃部に符合11aを、握柄部3を構成する樹脂製の柄部に符合35aを付し、挟圧部材Bの作用部1を構成する金属製の刃部に符合11bを、握柄部3を構成する樹脂製の柄部に符合35bを付す。
【0007】
<第一実施形態> 図1及び図2は本発明の第一実施形態を示したものである。この実施形態の作業工具S1は、握柄部3の把握(握持)箇所36a,36bよりも工具枢結部2に近接する位置における挟圧部材A,Bの対向面Ta,Tbに、同極で対向する磁石4a,4bを埋設したものである。
特に握柄部3(柄部35a,35b)の基端には、握柄部3の開放を阻止する公知のロックレバー31を設けている。ロックレバー31は、その基端を柄部35bの基端に枢結(レバー枢結部32)し、その先端を柄部35aの基端に係止することができる鉤部33としてなるものである。
作業工具S1は、ロックレバー31に対する鉤部33の係止を解除して通常の作業工具同様に使用する。特に、握柄部3を強握した後開放すると、近接又は当接した磁石4a,4bの反発力で柄部35a,35bが開放方向に付勢され、開閉操作がスムーズになされる。
また、使用後、そのままの状態では、作用部1(刃部11a,11b)が磁石4a,4bの反発力により開いた状態であるので、ロックレバー31の鉤部33を柄部35aの基端に係止して挟圧部材A,Bを閉じた状態として収納する。特に、この係止状態(ロック状態)においては、磁石4a,4bは当接しない状態としておくことで、磁力の減衰を抑えることができる。
【0008】
<第二実施形態> 図3乃至図7は本発明の第二実施形態を示したものである。この実施形態の作業工具S2は、一方の磁石4bの向きを変更できるようにしたもので、磁石4bを装着した磁石回転機構部5を、磁石4aと対向する位置に組み込んだものである。
磁石回転機構部5は、磁石保持部51と、操作軸52と、クリック軸53と、クリック用板バネ54と、操作摘み55とを備える。
磁石保持部51は、丸形で柱状の磁石4bをその両柱端の磁極部分が露出するように保持している。挟持部材Bの握柄部3における工具枢結部2近傍の対向面Tbには、磁石収納凹部34が設けられ、対向面Tbに直交する面Pb,Qbには、凹部34の内外を連通する軸孔37,38が設けられている。磁石4bを装着した磁石保持部51にクリック軸53を連結し、これをクリック軸53が軸孔37に挿入されるように凹部34に内置し、操作軸52を軸孔38に外側から挿入して磁石保持部51に連結することにより、磁石保持部51が凹部34内で回転自在となっている。
特に、磁石保持部51の回転に際して、作用部1の全閉状態では磁石4bが磁石4aに対して同極で対向する場合には近接し、異極で対向する場合には当接するように磁石回転機構部5を挟圧部材Bの柄部35bに組み込んでいる。
また、操作軸52は、握柄部3の面Qbから外部に突出させ、この突出部分に操作摘み55を装着している。また、クリック軸53は、軸孔37に挿入する部分は円柱形状とし、軸孔37と磁石保持部51の側面との間に位置する部分は角柱形状としたものである。
更に、クリック用板バネ54は長方形状を呈し、その長手方向一端がクリック軸53の角柱部分を押圧するように、クリック用板バネ54の長手方向他端を凹部34内の適宜箇所にネジ56により止着している。
この作業工具S2は、操作摘み55を回転操作することで、磁石4bの磁極の向きを選択でき、且つクリック軸53及びクリック用板バネ54のクリック作用によって当該選択位置を維持できるもので、使用時には同極対向位置(磁石4bが磁石4aに同極で対向する向き)にし、磁石4a,4bの反発力を利用して握柄部3の操作性を向上させ、収納時には異極対向位置(磁石4bが磁石4aに異極で対向する向き)にし、磁石4a,4bの当接・吸着によって作用部1を閉じた収納状態とするものである。
尚、本実施形態では、工具枢結軸(図3及び図4において紙面に垂直な軸)と平行な回転軸で磁石保持機構部5を回転(横回転)させるようにしたが、挟圧部材Bの延在方向Lに沿った回転軸を中心として回転(縦回転)させるようにしてもよい。
【0009】
<第三実施形態> 図8乃至図10は本発明の第三実施形態を示したものである。この実施形態の作業工具S3,S4は、一方の挟圧部材Aに複数の磁石4a,4cを設け、他方の挟圧部材Bに設けた磁石4bは位置変更を可能としたものである。
作業工具S3は、具体的には適宜長さの回動腕6の先部に磁石4bを装着し、回動腕6が図8において紙面と平行な面内で回動するように回動腕基部を挟持部材Bの握柄部3の適宜箇所に枢結(腕枢結部61)し、回動腕6を工具枢結部2側に回動させた際の磁石4bに対して同極で対向するように、対向側の挟圧部材Aに磁石4aを装着し、回動腕6を工具基部側に回動させた際の磁石4bに対して異極で対向するように、対向側の挟圧部材Aに磁石4cを装着したものである。
従って、使用時には回動腕6を回動させて同極対向にすると、磁石4a,4bの反発力によって操作性を向上させることができ、収納時には、回動腕6を工具基部側に回動させて、異極対向にして磁石4b,4cを当接・吸着させ、作用部1を閉じた収納状態とすることができる。
勿論、磁石4bの位置変更は前記の回動腕に限定されるものではなく、図9、図10に例示する作業工具S4のように挟持部材Bの対向面Tbにスライド溝7を形成し、磁石4bをスライド溝7に沿って移動させて所定の位置(反発作用をなす箇所と吸着作用をなす箇所)で固定できるようにしてもよい。
【0010】
<第四実施形態> 図11乃至図16は本発明の第四実施形態を示したものである。この実施形態の作業工具S5,S6,S7,S8は、柄の形状(握柄部3の形状)及び刃の形状(作用部1の形状)を異にするが、いずれも磁石4a,4bに関する共通の構造を有する。
磁石4aは角形の磁石で(図16参照)、ここではN極が挟圧部材Bに面している。磁石4bは図15に示す円環形の磁石で、この磁石4bでは軸線Oを挟んで一方がN極、他方がS極となっている。また、作業工具S5,S6,S7,S8はいずれも挟圧部材Bに操作部81を有し、この操作部81の回転操作により磁石4bが軸線Oを中心として回転する。
即ち、作業工具S5について図16に示すように(作業工具S6,S7,S8についても同様である。)、挟持部材Bの柄部35bには凹部34と同様に凹部36が形成され、この凹部36には磁石4b、遮蔽板82及び刃部11bが積層状態で内設されている。遮蔽板82はアルミニウム製又はポリカーボネート製で磁力を遮蔽し、磁石4bと刃部11bとの吸着を防止している。操作部81には底部中央から下方に筒状部83が延設され、筒状部83が図16における上方から凹部36内の磁石4b、遮蔽板82及び刃部11bを貫いた状態で筒状部83の筒内に下方からネジ84が螺着されることにより、これらが組み付けられている。筒状部83と磁石4bとの間には、筒状部83の外形及び磁石4bの円環内形を角形状とする等により滑り防止構造(筒状部83及び磁石4bの一方が回転したときに他方が追従する構造)が施され、これにより操作部81の操作により磁石4bが軸線Oを中心として柄部35b及び刃部11bとは独立に回転し、磁石4bの挟圧部材Aに面する磁極が変更されるようになっている。
よって、作業者は使用時には操作部81を回転させて磁石4bの挟圧部材Aに面する磁極をN極とすることにより、磁石4a,4bの反発力を得ることができ、未使用持には操作部81を回転させて磁石4bの挟圧部材Aに面する磁極をS極に変更することにより、磁石4a,4bを吸引させて作業工具S5,S6,S7,S8を刃部11a,11b及び柄部35a,35bが閉じた収納状態にロックすることができる。
この実施形態に係る作業工具S5,S6,S7,S8では、軸線Oを挟んでN極、S極を有する磁石4bをその軸線Oを中心として回転させることにより、工具枢結部2の近傍のコンパクトなスペースで磁極の切り替えが可能となっている。
尚、上記各実施形態と同様に、本実施形態でも磁石4a,4bによる反発力を効率的に得ることができるので、園芸鋏について作業工具S8のように環状でない(指の背をかける場所のない)柄部を環状の柄部と組み合わせて採用することができ、これにより親指側の柄部と他の指側の柄部との持ち間違えを容易に防止することができる。
【0011】
<第五実施形態> 図17及び図18は本発明の第五実施形態を示したものである。この実施形態の作業工具S9は、作業工具S4と同様に磁石4a,4b,4cを備え、磁石4bがスライドして同極の磁石4aに対向すると使用状態となり、磁石4bがスライドして異極の磁石4cに対向すると収納状態となる。この作業工具S9と作業工具S4との相違は、磁石4a,4cがいずれも工具枢結部2の近傍に互いに接近して並設されている点、及び、磁石4a,4b,4cが挟圧部材A,Bに対して脱着可能な点にある。
詳細には、作業工具S9において、挟圧部材Aには角形の磁石4a,4cが工具枢結部2の側からこの順に設けられ、挟圧部材Bに対して磁石4aはN極が面し、磁石4cはS極が面している。磁石4a,4cはホルダー91に保持されて磁石ユニット92を構成し、この磁石ユニット92は図示を略すネジにより挟圧部材Aに脱着可能に取り付けられている。
一方、挟圧部材Bには、角形の磁石4bを有する磁石ユニット93が図示を略すネジにより脱着可能に取り付けられている。磁石ユニット93は、一面(挟圧部材Aに対向する面)が開口した直方体状のケース94と、その開口からN極が露出するようにケース94の内部に設けられ、ケース94の内部で挟圧部材Bの延在方向Lに沿うようにスライド可能な磁石4bと、磁石4bのスライド位置を調整するための操作部95とを備えている。
作業者は使用時には操作部95を操作して磁石4bをスライドさせ、それが磁石4aと対向するようにスライド位置を調整することにより、磁石4a,4bの反発力を得ることができる。また、作業者は未使用時には操作部95を操作して磁石4bが磁石4cと対向するようにスライド位置を調整することにより、磁石4b,4cを吸引させて作業工具S9を刃部11a,11b及び柄部35a,35bが閉じた収納状態にロックすることができる。
この実施形態に係る作業工具S9では、磁石4a,4cがいずれも工具枢結部2の近傍に設けられているので、使用状態と収納状態とを切り替える際の磁石4bの移動量が小さくて済み、操作部95によるその切り替えが容易である。この操作部95の操作は、作業者が作業工具S9を握持したときに操作部95が親指付近に位置するので、作業工具S9を改めて持ち変えることなく親指により容易に行うことができる。
また、磁石4a,4b,4cが磁石ユニット92,93として挟圧部材A,Bに対して脱着可能であるので、作業工具S9の組付作業時に磁石4a,4b,4cを挟圧部材A,Bに容易に取り付けることができる。つまり、各磁石の組み付けは、磁石への汚れ付着防止等の理由から組付工程の最終段階で行うことが望ましいが、挟圧部材A,Bを枢結した後にそれらに磁石を脱着不能な複雑な態様で(例えば図16に示すような形態で)組み込もうとすると、磁石同士の吸着等により組み付けを容易に行うことができない。これに対し、本実施形態では、各磁石が磁石ユニットとして脱着可能に用意されていることにより、挟圧部材A,Bに対する各磁石の組付作業性が良好である。更に、もし、磁石に破損が生じた場合にはその磁石ユニットだけを交換すればよいので、メンテナンス性も良好である。
【0012】
<第六実施形態> 図19及び図20は本発明の第五実施形態を示したものである。この実施形態の作業工具S10は、磁石4a,4bが上記各作業工具よりも工具枢結部2により近接して設けられているので、磁石4a,4bの反発力を一層効率的に生じさせることができる。尚、先に説明した同部材には、同じ参照符号が付されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに中間部が重なり合うように交叉して各中間部が枢結された二つの挟圧部材によって前記各中間部の枢結箇所よりも先端側に形成され、挟持又は加工を行う作用部と、
前記二つの挟圧部材によって前記枢結箇所よりも基端側に形成され、前記作用部を開閉するために開閉操作される握柄部とを備え、
前記二つの挟圧部材の互いに対向する位置で前記枢結箇所の握柄部側近傍に、同極で対向して反発し合う磁石がそれぞれ設けられていることを特徴とする作業工具。
【請求項2】
請求項1に記載の作業工具において、
前記二つの挟圧部材に設けられた各磁石のいずれかの磁極が変更して前記各磁石が異極で対向することにより、前記各磁石が吸引し合って前記作用部が閉じた収納状態にロックされることを特徴とする作業工具。
【請求項3】
請求項2に記載の作業工具において、
前記二つの挟圧部材に設けられた各磁石のいずれかが回転することによりその磁石の磁極が変更し、前記各磁石が異極で対向することを特徴とする作業工具。
【請求項4】
請求項1に記載の作業工具において、
前記二つの挟圧部材のうち一方の挟圧部材には他方の挟圧部材にN極又はS極で対向する磁石がスライド可能に設けられ、前記他方の挟圧部材には前記一方の挟圧部材にN極で対向する磁石とS極で対向する磁石とが並設され、
前記他方の挟圧部材に設けられた同極の磁石と対向するように前記一方の挟圧部材に設けられた磁石のスライド位置が調整されることにより、前記一方の挟圧部材に設けられた磁石と前記他方の挟圧部材に設けられた磁石とが反発し合って前記作用部による挟持又は加工が可能な使用状態となり、
前記他方の挟圧部材に設けられた異極の磁石と対向するように前記一方の挟圧部材に設けられた磁石のスライド位置が調整されることにより、前記一方の挟圧部材に設けられた磁石と前記他方の挟圧部材に設けられた磁石とが吸引し合って前記作用部が閉じた収納状態にロックされることを特徴とする作業工具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の作業工具において、
前記二つの挟圧部材に設けられた各磁石が、前記二つの挟圧部材に対して脱着可能であることを特徴とする作業工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【国際公開番号】WO2005/060732
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516416(P2005−516416)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012200
【国際出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(593043048)株式会社若狭屋 (2)
【Fターム(参考)】