説明

作業機のスタンド装置

【課題】 トラクタ車体2に載ったままでロータリ耕耘機等の作業機のスタンドを簡単に姿勢変更できるようにする。
【解決手段】 トラクタ車体2にリンク手段を介して装着される作業機にスタンド49が作業機を自立させるスタンド姿勢Xと上方へ回動して収納される収納姿勢Yとに姿勢変更自在に取り付けられており、前記スタンド49をスタンド姿勢Xから収納姿勢Yへと付勢するスタンド付勢手段73が設けられ、スタンド49を収納姿勢Yからスタンド姿勢Xへと姿勢変更させるように遠隔操作するケーブルが設けられ、前記ケーブルが連結された操作レバー86がトラクタ車体2上から操作可能になるように作業機側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機のスタンド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ車体にリンク機構を介して装着されるロータリ耕耘機等の作業機には、スタンドが作業機を自立させるスタンド姿勢と上方へ回動して収納される収納姿勢とに姿勢変更自在に取り付けられたものがあり、この種の従来の作業機のスタンド装置ではスタンドをスタンド姿勢と収納姿勢とに固定するロック装置を設けたものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−276802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来では、スタンドをトラクタ車体側から遠隔操作で姿勢変更できるようにはなっておらず、スタンドをスタンド姿勢と収納姿勢とに姿勢変更する場合、トラクタ車体からわざわざ降りて、作業機のスタンドを姿勢変更しなければならず、スタンドの姿勢変更の作業が面倒であった。
本発明は上記問題点に鑑みて、トラクタ車体に載ったままでロータリ耕耘機等の作業機のスタンドを簡単に姿勢変更できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、トラクタ車体にリンク手段を介して装着される作業機にスタンドが作業機を自立させるスタンド姿勢と上方へ回動して収納される収納姿勢とに姿勢変更自在に取り付けられており、
前記スタンドをスタンド姿勢から収納姿勢へと付勢するスタンド付勢手段が設けられ、スタンドを収納姿勢からスタンド姿勢へと姿勢変更させるように遠隔操作するケーブルが設けられ、前記ケーブルが連結された操作レバーがトラクタ車体上から操作可能になるように作業機側に設けられている点にある。
【0006】
従って、ケーブルが連結された操作レバーをトラクタ車体上から操作して、トラクタ車体に載ったままでロータリ耕耘機等の作業機のスタンドを簡単にスタンド姿勢と収納姿勢との間で姿勢変更することができる。
また、本発明の他の技術的手段は、前記操作レバーはスタンドをスタンド姿勢にするスタンド位置とスタンドを収納姿勢にする収納位置とに枢軸廻りに揺動自在に支持されており、操作レバーを収納位置からスタンド位置へと付勢するレバー付勢手段が設けられ、操作レバーを収納位置に揺動したとき、前記スタンド付勢手段がレバー付勢手段よりも付勢力が大になり、操作レバーをスタンド姿勢に揺動したときレバー付勢手段がスタンド付勢手段よりも付勢力が大になるように設定されている点にある。
【0007】
従って、スタンドをスタンド姿勢と収納姿勢とに姿勢変更する際に、スタンド付勢手段の付勢力とレバー付勢手段の付勢力と互いに相殺させて、操作レバーの操作で軽い力で楽に姿勢変更することができる。
また、本発明の他の技術的手段は、前記スタンドを姿勢変更する際にケーブルをスタンドの回動中心廻りに案内するようにスタンドの基部側にスタンドの回動中心廻りの略円弧状に湾曲したケーブルガイドが設けられている点にある。
【0008】
従って、姿勢変更する際にスタンドを回動中心廻り均一な力でスムーズに回転させることができる。
また、本発明の他の技術的手段は、前記スタンドが作業機に対して左右一対設けられると共に、一対のスタンドに対応して、前記ケーブル、スタンド付勢手段及び操作レバーがそれぞれ左右一対設けられている点にある。
【0009】
従って、左右のバランスがよくなる。
また、本発明の他の技術的手段は、前記スタンド付勢手段は捩りコイルバネ又は引っ張りコイルバネにより構成されている点にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケーブルが連結された操作レバーをトラクタ車体上から操作して、トラクタ車体に載ったままでロータリ耕耘機等の作業機のスタンドを簡単にスタンド姿勢と収納姿勢との間で姿勢変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示すトラクタ車体の後部にロータリ耕耘機が装着された状態を示す側面図である。
【図2】同スタンド部分の側面図である。
【図3】同スタンド部分の背面図である。
【図4】同スタンド部分の平面図である。
【図5】同スタンドをスタンド姿勢にした状態の背面図である。
【図6】同スタンドを収納姿勢にした状態の背面図である。
【図7】同挟持部材の側面図である。
【図8】同操作レバー部分の側面図である。
【図9】同トップマスト及び操作レバー部分の背面図である。
【図10】他の実施形態を示すスタンド部分の側面図である。
【図11】同スタンド部分の背面図である。
【図12】同スタンド部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1において、1はトラクタで、トラクタ車体2の後部上に左右のリフトアームを有する作業機昇降用の油圧装置が搭載されていると共に、トラクタ車体2の後面下部には後方に突出するPTO軸3を備え、左右の後輪4は後輪フェンダ5で覆われており、左右後輪フェンダ5間には運転席6が備えられている。
【0013】
トラクタ車体2の後部に連結装置(リンク手段を有するオートヒッチ)13を介してロータリ耕耘機(作業機)11が着脱自在に連結されている。
ロータリ耕耘機11は、本実施の形態ではサイドドライブ式ロータリが採用されており、該ロータリ耕耘機11は、ロータリ機枠14と、このロータリ機枠14の下部に設けられたロータリ耕耘部15と、このロータリ耕耘部15を覆うロータリカバー16とを備えている。
【0014】
ロータリ機枠14は、左右方向中央のギヤケース17と、このギヤケース17の左右両側から左右方向外方に突出する左右一対のサポートアーム18と、左側のサポートアーム18の外端側に上部が固定された伝動ケース19と、右側のサポートアーム18の外端側に上部が固定されたサイドフレーム(図示省略)とを備えてなる。
前記ロータリ耕耘部15は、伝動ケース19とサイドフレームとの下部間に左右方向の軸心回りに回転自在に支持された爪軸21と、この爪軸21上に取付固定された多数の耕耘爪22とを有し、爪軸21を、左右方向の軸心回りに、矢印A方向に回転駆動することにより、耕耘爪22が爪軸21回りに回転しながら土中に突入して、土が耕起されると共に砕土されて後方に放てきされるように構成されている。
【0015】
前記ギヤケース17には、トラクタ車体2の後部から後方に突出するPTO軸3にジョイント装置を介して連動連結されるPIC軸24が設けられ、PTO軸3からPIC軸24に伝達された動力はギヤケース17内の伝動機構に伝達され、このギヤケース17に入力された動力は左側のサポートアーム内に設けられた伝動軸から伝動ケース19内の伝動機構を経て爪軸21に伝達され、該動力により該爪軸21が矢示A方向に回転駆動されてダウンカット耕耘される。
【0016】
なお、ロータリ耕耘機11としては、センタードライブ式ロータリであってもよく、また、耕耘方法としては、爪軸21が矢示A方向とは逆に回転するアップカット耕耘であってもよい。
前記ギヤケース17にはトップマスト28が上方突出状に設けられていると共に、このトップマスト28の前側上部に、左右方向に配置されたピンによって構成された上連結部30が固定されている。
【0017】
前記左右各サポートアーム18には連結ブラケット31が固定され、この左右各連結ブラケット31の前端側には、左右方向外方に突出状に設けられたピンによって構成された下連結部32が設けられている。
前記連結装置13は、上部のトップリンク33と下部の左右一対のロワーリンク34とを有するリンク手段を備え、これらトップリンク33と左右ロワーリンク34との後端側(ロータリ耕耘機11側)に連結されていてこれらトップリンク33及び左右ロワーリンク34に定形を与えるヒッチフレーム35とを有する。
【0018】
トップリンク33の前端側(トラクタ車体2側)取付部33aは、トラクタ車体2の後部の背面上部に設けられたトップリンクブラケット36に枢支連結され、左右ロワーリンク34の前端側(トラクタ車体2側)取付部34aは、トラクタ車体2後部の左右方向で同じ側の側部下部に枢支連結されている。
ヒッチフレーム35は、角パイプ材を正面視山形状に折曲して形成されたメインフレーム37と、このメインフレーム37の頂部に設けられた上部材38と、メインフレーム37の左右両側下部に設けられた下部材39とを備える。
【0019】
上部材38の前部側にはトップリンク33の後端側(ロータリ耕耘機11側)取付部33bが枢支連結されていると共に、該上部材38の後部側には前記上連結部30に下側から係合(嵌合)可能な上方に開放状の凹部からなる上被連結部40が形成されている。
左右各下部材39の前部側には、ロワーリンクピン27が外方突設されており、左右方向で同じ側にあるロワーリンク34の後端側(ロータリ耕耘機11側)取付部34bがロワーリンクピン27により枢支連結されていると共に、該下部材39の後部側には左右方向で同じ側にある前記下連結部32が後方から係合(嵌合)可能な後方開放状の凹部からなる下係合部41が形成されている。
【0020】
また、左右各下部材39には、下連結部32が下係合部41に係合した状態で下連結部32の下係合部41からの離反を阻止する係止部材が設けられ、係止部材は図示省略の解除レバーにより離反阻止が解除自在とされ、係止部材と下係合部41とで下連結部32を左右方向の軸心回りに回動可能に枢支連結する下被連結部が構成されている。
トラクタ車体2の後端側上方には左右一対のリフトアームが配置され、リフトロッドを介して左右方向で同じ側にあるロワーリンク34の前後方向中途部に連結され、リフトアームでロワーリンク34を昇降するように構成されている。
【0021】
左右の連結ブラケット31の後端部に支持アーム45がそれぞれ後方に突出され、複数の支持アーム45の基部は連結ブラケット31に横軸46廻りに揺動自在に連結されている。一対の支持アーム45の先端部間に横連結杆47が連結固定されている。横連結杆47の左右両側に一対のスタンド49が設けられている。
トップマスト28と支持アーム45の中途部との間に連結アーム52等を介してスタンド49を高さ調整するための高さ調整手段54が設けられている。
【0022】
この高さ調整手段54は、トップマスト28の上端側から連結アーム52の先端側に至るように配置されていて長さ方向に伸縮自在な伸縮ロッド55を有し、この伸縮ロッド55は、操作ハンドル57を回動操作することにより伸縮するように構成されている。操作ハンドル57は、トラクタ1の運転席6側から操作可能とされている。伸縮ロッド55を伸縮させて支持アーム45を横軸46廻り回動することにより、一対のスタンド49が上下調整される。
【0023】
図2〜図6において、横連結杆47の左右両側の下面にはコの字状の固定ブラケット60が設けられ、一対の固定ブラケット60は前側壁61と後側壁62と前後側壁61,62の上端間を連結する連結天壁63とを有し、連結天壁63がボルト等の締結具64により横連結杆47の下面に固定されている。
前記スタンド49の基部は固定ブラケット60の前後側壁61,62間に配置されて、前後方向の支軸65廻りに揺動自在に支持され、横連結杆47から下方に突出するスタンド姿勢Xと、スタンド姿勢Xから支軸65廻りに左右方向内方に揺動して横連結杆47の下面に沿う収納姿勢Yとに姿勢変更自在とされている。固定ブラケット60の前側壁61に筒部材69が前方突設されている。
【0024】
スタンド49の基部側の左側面側(スタンド姿勢X)乃至下面側(収納姿勢Y)に扇形の回動部材70が固設されている。
前記筒部材69には、捩りコイルバネ等からなるスタンド付勢手段73が套嵌されており、この捩りコイルバネ73の一端側は、スタンド49の中途部に設けられた係止ピン74に掛止され、捩りコイルバネ73の他端側は、固定ブラケット60の前側壁61に設けられたバネ掛け部76に掛止されており、この捩りコイルバネ73の付勢力によって、スタンド49が、スタンド姿勢Xから収納姿勢Yに回動させる方向に常時付勢されている。横連結杆47の左右方向内方側に、図3及び図7に示すように挟持部材75が設けられ、挟持部材75は収納姿勢Yに姿勢変更されたスタンド49の中途部を着脱自在に挟持して、スタンド49を収納姿勢Yに保持する。
【0025】
また、固定ブラケット60の後側壁62には、ボーデンケーブル79のアウターケーブル80の一端側を取り付けるアウター取付部81が設けられており、このアウター取付部81にアウターケーブル80が取付機構83を介して長さ方向位置調整自在に取り付けられている。取付機構83からインナーケーブル82が突出され、ケーブル連結体85を介して回動部材70に前後方向の支持軸87廻りに揺動自在に連結されている。
【0026】
また、回動部材70の左側又は下側には、前記支軸65を中心とする略円弧状に形成されていてインナーケーブル82をガイドするケーブルガイド84が設けられている。
前記構成のものにあっては、スタンド49が収納姿勢Yにあるときにあっては、インナーケーブル82がケーブルガイド84のケーブルガイド84に巻き掛けられていて、この状態からインナーケーブル82を引っ張ると、回動部材70がスタンド49と共に支軸65廻りに回動して、スタンド49をスタンド姿勢Xへと回動させる。
【0027】
ところで、インナーケーブル82によって回動部材70を直線的に引っ張ってスタンド49をスタンド姿勢Xへと回動させるように構成すると、スタンド49をスムーズに90°回転をさせることができないが、本実施の形態にあっては、支軸65を中心とする円弧状のケーブルガイド84を備えた回動部材70を設けていることにより、インナーケーブル82を引っ張ってスタンド49を回動させる際において、インナーケーブル82は直線的に引っ張られるのではなく、支軸65を中心とする円弧線上を移動するように引っ張られることで、スタンド49を均一な力で略90°スムーズに回転させることができるのである。
【0028】
また、スタンド49のスタンド姿勢Xにおいて、インナーケーブル82の前記引張力を解除すると、スタンド付勢手段73の付勢力によって、スタンド49が収納姿勢Yへと姿勢変更される。
なお、ケーブルガイド84は、前記構成のものに限定されることはなく、1本又は複数本のピンによってガイドするようにしてもよい。
【0029】
図1及び図8〜図9に示すように、トップマスト28には、スタンド49を遠隔操作する操作レバー86が、左右の各スタンド49に対応して左右一対設けられている。
図8〜図9に示すように、前記トップマスト28は、板材からなる左右一対の構成部材28aで構成されており、前記操作レバー86はトップマスト28の各構成部材28aの対向方向外側(左右方向外方側)に配置されている。
【0030】
トップマスト28の下部側には、左右方向の軸心を有する枢軸88が左右の構成部材28aにそれぞれ設けられており、この枢軸88に前記各操作レバー86の下部側前部が軸心廻りに回動自在で且つ軸心方向に移動不能に支持されていると共に各操作レバー86は左右方向に撓むように可撓性を有し、操作レバー86は回動支持部分を支点として左右に揺動可能とされている。
【0031】
左右各操作レバー86の中途部には、左右同じ側に位置するボーデンケーブル79のインナーケーブル82を連結するケーブル連結片89が設けられている。ケーブル連結片89は操作レバー86の取付孔90に挿入されて溶接等により固着されている。
各構成部材28aの後部側にガイド板92が固設されている。ガイド板92は外側壁部92aと外側壁部92aの後部側に直角状に屈曲したガイド壁部92bとを有し、ガイド壁部92bにコの字状に切り欠いてなるガイド溝93が設けられている。
【0032】
各ガイド板92の後側下部には、各操作レバー86の下方側に位置するケーブルステー95が後方側に突出状に固定され、このケーブルステー95の後端側に、左右同じ側に位置するボーデンケーブル79のアウターケーブル80が取付機構83を介して長さ方向位置調整自在に取り付けられている。
操作レバー86を、図8に実線で示す収納位置Y1から仮想線で示すスタンド位置X1に揺動させる(引き起こす)ことにより、インナーケーブル82が引っ張られてスタンド49が収納姿勢Yからスタンド姿勢Xへと姿勢変更操作されるように構成されている。従って、操作レバー86はスタンド49をスタンド姿勢Xにするスタンド位置X1とスタンド49を収納姿勢Yにする収納位置Y1とに枢軸88廻りに揺動自在に支持されている。
【0033】
ガイド溝93の前側に操作レバー86をスタンド位置X1に係合するスタンド位置係止部93aが設けられ、ガイド溝93の後側に操作レバー86を収納位置Y1に係合する収納位置係止部93bが設けられている。
各対応するガイド板92の前側下部と操作レバー86の下部側中途部とに、引っ張りコイルバネにより構成したレバー付勢手段97が連結されている。レバー付勢手段97(引っ張りコイルバネ)は操作レバー86及びインナーケーブル82を介してスタンド付勢手段73(捩りコイルバネ)の付勢に抗してスタンド49を収納姿勢Y側からスタンド姿勢X側に引っ張っており、運転席6側から操作レバー86を上方乃至前側に引いて、操作レバー86をガイド溝93のスタンド位置係止部93aに係合したとき、スタンド49が前方側に引っ張られてスタンド姿勢Xになると共に、このとき、スタンド付勢手段73の付勢力がレバー付勢手段97の付勢力よりも大になって、スタンド付勢手段73(捩りコイルバネ)がインナーケーブル82を介して操作レバー86を下方乃至後方側に付勢する。また、運転席6側から操作レバー86を上方乃至前側に引い後、操作レバー86を後側又は下方側に揺動して収納位置係止部93bに係合したとき、スタンド49が後方側に引っ張られて収納姿勢Yになる。このとき、レバー付勢手段97の付勢力がスタンド付勢手段73の付勢力よりも大になって、レバー付勢手段97が操作レバー86を上方乃至前方側に付勢するようになっている。
【0034】
本発明は前記実施の形態に限定されることはなく、種種設計変更可能である。
また、本実施の形態では、作業機としてサイドドライブ式のロータリ耕耘機を例示したが、センタードライブ式のロータリ耕耘機又はその他の作業機であってもよい。
上記実施の形態によれば、連結装置13にロータリ耕耘機11を連結する場合、スタンド49をスタンド姿勢Xにしてロータリ耕耘機11を自立させ、この状態において、連結装置13の上被連結部40がロータリ耕耘機11側の上連結部30の下方に位置するようにトラクタ車体2をバックさせ、上被連結部40が上連結部30の下方に位置した状態でロワーリンク34及びヒッチフレーム35等を上昇させて上被連結部40によって上連結部30を下からすくい上げると、ロータリ耕耘機11が連結装置13(トラクタ車体2)に近づくように上連結部30回りに回動してロータリ耕耘機11側の下連結部32が連結装置13の下係合部41に係合すると共に下連結部32が係止部材によって抜止めされ、これによって下連結部32がヒッチフレーム35の下被連結部に左右方向の軸心回りに回動可能に枢支連結され、ロータリ耕耘機11が連結装置13に自動連結される。このとき、PTO軸3とPIC軸24とがジョイント装置により同時に接続される。
【0035】
そして、スタンド49をスタンド姿勢Xから収納姿勢Yにする場合には、図1に示すようにロータリ耕耘機11を持ち上げた状態で、運転席6側から操作レバー86をやや前側に引いた後、操作レバー86を後側に揺動して収納位置係止部93bに係合させればよく、スタンド49が左右方向内方側に引っ張られて収納姿勢Yになる。このとき、レバー付勢手段97の付勢力がスタンド付勢手段73の付勢力よりも大になって、レバー付勢手段97が操作レバー86を上方乃至前方側に付勢して、操作レバー86を収納位置係止部93bに係合保持し、スタンド49を収納姿勢Yに保持する。
【0036】
また、連結装置13からロータリ耕耘機11を取り外す場合には、まず、スタンド49を収納姿勢Yからスタンド姿勢Xにする。この場合、図1に示すようにロータリ耕耘機を持ち上げた状態で、運転席6側から操作レバー86をやや後側に押した後、操作レバー86を前側に揺動してスタンド位置係止部93aに係合すればよく、スタンド49が左右方向外方側に引っ張られてスタンド姿勢Xになる。このとき、スタンド付勢手段73の付勢力がレバー付勢手段97の付勢力よりも大になって、スタンド付勢手段73が操作レバー86を下方乃至後方側に付勢して、操作レバー86をスタンド位置係止部93aに係合保持し、スタンド49をスタンド姿勢Xに保持する。
【0037】
その後、連結装置13の解除レバーを引き下げて、係止部材が下連結部32から下側に外れた状態に保持しておき、この状態でロワーリンク34及びヒッチフレーム35を下降させることによりロータリ耕耘機11が連結装置13から取り外され、ロータリ耕耘機11はスタンド49により自立する。
従って、インナーケーブル82が連結された操作レバー86をトラクタ車体2の運転席6上から操作して、トラクタ車体2に載ったままでロータリ耕耘機11のスタンド49を簡単にスタンド姿勢Xと収納姿勢Yとの間で姿勢変更することができる。
【0038】
図7〜図9は他の実施形態を示し、スタンド付勢手段73として捩りコイルバネに代えて引っ張りコイルバネを使用し、引っ張りコイルバネ73の一端側は、スタンド49の中途部に設けられた係止ピン74に掛止され、引っ張りコイルバネ73の他端側は、回動部材70に連結した連結ケーブル99に連結され、連結ケーブル99は固定ブラケット60の前側壁61に突設した円弧状のガイド板100に巻回され、このスタンド付勢手段73の付勢力によって、スタンド49が、スタンド姿勢Xから収納姿勢Yに回動させる方向に常時付勢されている。その他の点は前記実施の形態の場合と同様の構成であり、同様の作用効果を有する。
【0039】
なお、前記実施の形態では、連結装置13は、トップリンク33と、左右一対のロワーリンク34と、ヒッチフレーム35とを有しているが、これに代え、連結装置13を、ヒッチフレーム35を省略してトップリンク33と左右一対のロワーリンク34とを有する三点リンク機構により構成するようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、捩りコイルバネ又は捩りコイルバネにより構成したスタンド付勢手段73の他に、レバー付勢手段97を設け、軽い力で操作レバー86を操作できるようにしているが、これに代え、レバー付勢手段97を省略するようにしてもよい。
【0040】
また、トラクタ車体2に装着する作業機はロータリ耕耘機11に限定されず、ロータリ耕耘機11に代えて畝塗り装置、施肥装置その他の作業機をトラクタ車体2に装着するようにした作業機にも本願発明を適用実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 トラクタ
2 トラクタ車体
11 ロータリ耕耘機(作業機)
49 スタンド
73 スタンド付勢手段
82 インナーケーブル
84 ケーブルガイド
86 操作レバー
88 枢軸
97 レバー付勢手段
X スタンド姿勢
Y 収納姿勢
X1 スタンド位置
Y1 収納位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ車体(2)にリンク手段を介して装着される作業機(11)にスタンド(49)が作業機(11)を自立させるスタンド姿勢(X)と上方へ回動して収納される収納姿勢(Y)とに姿勢変更自在に取り付けられており、
前記スタンド(49)をスタンド姿勢(X)から収納姿勢(Y)へと付勢するスタンド付勢手段(73)が設けられ、スタンド(49)を収納姿勢(Y)からスタンド姿勢(X)へと姿勢変更させるように遠隔操作するケーブル(82)が設けられ、前記ケーブル(82)が連結された操作レバー(86)がトラクタ車体(2)上から操作可能になるように作業機(11)側に設けられていることを特徴とする作業機のスタンド装置。
【請求項2】
前記操作レバー(86)はスタンド(49)をスタンド姿勢(X)にするスタンド位置(X1)とスタンド(49)を収納姿勢Yにする収納位置(Y1)とに枢軸(88)廻りに揺動自在に支持されており、操作レバー(86)を収納位置(Y1)からスタンド位置(X1)へと付勢するレバー付勢手段(97)が設けられ、操作レバー(86)を収納位置(Y1)に揺動したとき、前記スタンド付勢手段(73)がレバー付勢手段(97)よりも付勢力が大になり、操作レバー(86)をスタンド姿勢(X)に揺動したときレバー付勢手段(97)がスタンド付勢手段(73)よりも付勢力が大になるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機のスタンド装置。
【請求項3】
前記スタンド(49)を姿勢変更する際にケーブル(82)をスタンド(49)の回動中心廻りに案内するようにスタンド(49)の基部側にスタンド(49)の回動中心廻りの略円弧状に湾曲したケーブルガイド(84)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機のスタンド装置。
【請求項4】
前記スタンド(49)が作業機に対して左右一対設けられると共に、一対のスタンド(49)に対応して、前記ケーブル(82)、スタンド付勢手段(73)及び操作レバー(86)がそれぞれ左右一対設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機のスタンド装置。
【請求項5】
前記スタンド付勢手段(73)は捩りコイルバネ又は引っ張りコイルバネにより構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業機のスタンド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−55718(P2011−55718A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205894(P2009−205894)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】