説明

作業機械のウォッシャタンク取付構造

【課題】作業機械のウォッシャタンク取付構造に関し、コストを抑えることができるようにする。
【解決手段】キャブに乗降するためのラダー28の一対の長尺材28b,28cにそれぞれ取り付けられてラダー28を機体に固定する一対の第一ラダーブラケット41及び第二ラダーブラケット42と、第一ラダーブラケット41及び第二ラダーブラケット42間に架設されてウォッシャタンクが載置されるタンク載置プレート43と、ウォッシャタンクを保護するタンクガードカバーと、ウォッシャタンクを固定する固定部材とを備え、第一ラダーブラケット41は一枚板が一箇所で曲げ加工されて断面L字状に成形された部材であり、タンク載置プレート43は突出片付きの略一枚板形状に成形された部材であり、タンクガードカバーは一枚板が二箇所で曲げ加工されて断面コ字状に成形された部材であるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールローダ等の作業機械において、キャブのウィンドガラス用のウォッシャタンクを取り付ける技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、ホイールローダ1は、前部車両10と後部車両20とに分割されるとともに、前部車両10と後部車両20とが連結部を介して左右揺動自在に連結されて構成されている。
前部車両10は、架台となるフロントフレーム11と、前輪12と、作業装置13とを備えている。後部車両20は、架台となるリヤフレーム21と、後輪22と、キャブ23と、エンジン(図示略)とを備えている。
【0003】
キャブ23のウィンドガラス(フロントウィンドガラスやリヤウィンドガラス等)25は、キャブ23内のウィンドウォッシャ用スイッチをオンにすることで、ウォッシャタンク26に貯留されたウォッシャ液によって洗浄されるようになっている。ウォッシャタンク26は、地上からウォッシャ液を補給できるように、オペレータがキャブ23に乗降するための右側のラダー27の内側に取り付けられている。なお、特許文献1には、ウォッシャタンクに貯留されたウォッシャ液によってウィンドガラスを洗浄することが開示されている。ただし、特許文献1の技術は、図4に示すホイールローダ1よりも小型のミニホイールローダに関するもので、ウォッシャタンクはキャブ内に配設されている。
【0004】
ウォッシャタンク26の取付構造について詳述する。
ラダー27は、図5に示すように、水平方向(前後方向)に延在するステップバー27aと、略上下方向に延在し、ステップバー27aの両端を支持する前後一対のラダーポール27b,27cとを有している。そして、前側ラダーポール27bに取り付けられた第一ブラケット31と後側ラダーポール27cに取り付けられた第二ブラケット32とによって、ラダー27はリヤフレーム21にボルト締結されている。
【0005】
第一ブラケット31は、車幅方向(左右方向)に広がる矩形状の主面部31aと、主面部31aの左縁から略直角に屈曲した取付面部31bと、主面部31aの上縁の一部から延長され、ウォッシャタンク26を保護する保護面部31cとを有している。主面部31aと保護面部31cとには、後述のタンクガードフレーム33をボルト34締結(図6参照)するためのボルト孔31dが穿たれ、取付面部31bには、リヤフレーム21へのボルト締結用のボルト孔31eが穿たれ、保護面部31cには、ウォッシャタンク26の注入口26a(図6参照)が嵌合する切欠き31fが形成されている。
【0006】
また、第二ブラケット32は、車幅方向に広がる矩形状の主面部32aと、主面部32aの左縁から略直角に屈曲した取付面部32bとを有している。取付面部32bには、リヤフレーム21へのボルト締結用のボルト孔32cが穿たれている。
そして、図6に示すタンクガードフレーム33が第一ブラケット31にボルト孔31dを介してボルト34締結され、ウォッシャタンク26は、このタンクガードフレーム33上に載置されるとともに、図5に示すバンド(固定部材)35によって固定されている。バンド35は水平方向に掛け渡されている。
【0007】
タンクガードフレーム33は、図6に示すように、ウォッシャタンク26が載置される底面部33aと、ウォッシャタンク26の後部に面してウォッシャタンク26を保護する後面部33bと、ウォッシャタンク26の右側部に面してウォッシャタンク26を保護する右側面部33cと、右側面部33cの前縁から略直角に屈曲し、第一ブラケット31へのボルト34締結用のボルト孔33dが穿たれた取付面部33eとを有している。
【0008】
ここで、第一ブラケット31及び第二ブラケット32はそれぞれ、一枚板を一箇所で曲げ加工することにより上述の所望の構成に成形されるとともに、タンクガードフレーム33は、一枚板を三箇所で曲げ加工及び一箇所で溶接することにより上述の所望の構成に成形されている。
【特許文献1】特開2006−219827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、この第一ブラケット31は、ラダー27のリヤフレーム21への取り付けに加えて、ウォッシャタンク26のラダー27への取り付けのためにも使用しているために、肉厚の板で成形して第一ブラケット31の剛性を高める必要があり、コストがかかるという課題がある。
本発明はこのような課題に鑑みて案出されたもので、コストを抑えることができるようにした、作業機械のウォッシャタンク取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明の作業機械のウォッシャタンク取付構造は、キャブに乗降するためのラダーを有する作業機械において、該キャブのウィンドガラスを洗浄するためのウォッシャ液を貯留するウォッシャタンクを固定部材で固定して該ラダーに取り付ける構造であって、該ラダーが、水平方向に延在するステップバーと、該ステップバーの両端を支持する一対の長尺材とを有するとともに、該一対の長尺材それぞれに取り付けられ、該ラダーを機体に固定する一対の第一ラダーブラケット及び第二ラダーブラケットと、該第一ラダーブラケット及び該第二ラダーブラケット間に架設され、該ウォッシャタンクが載置されるタンク載置プレートと、該ウォッシャタンクを保護するタンクガードカバーとを備え、該第一ラダーブラケットは、一枚板が一箇所で曲げ加工されて断面L字状に成形された部材であり、該タンク載置プレートは、突出片付きの一枚板が該突出片の箇所で曲げ加工されて略一枚板形状に成形された部材であり、該タンクガードカバーは、一枚板が二箇所で曲げ加工されて断面コ字状に成形された部材であることを特徴としている。
【0011】
なお、該固定部材はバンドであって、該ウォッシャタンクに対し鉛直方向に掛け渡され、その端部が該タンク載置プレートにボルト締結されるのが好ましい。
請求項2記載の本発明の作業機械のウォッシャタンク取付構造は、請求項1記載の作業機械のウォッシャタンク取付構造において、該作業機械はホイールローダであることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の本発明の作業機械のウォッシャタンク取付構造は、請求項1又は2記載の作業機械のウォッシャタンク取付構造において、該ラダーは、機体左側(キャブへの乗降に通常使用される側)に配置されたものであることを特徴としている。
請求項4記載の本発明の作業機械のウォッシャタンク取付構造は、請求項1〜3の何れか1項に記載の作業機械のウォッシャタンク取付構造において、該ウォッシャタンクは、その注入口が機体外方を向く姿勢で該タンク載置プレート上に載置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の作業機械のウォッシャタンク取付構造によれば、ウォッシャタンクは、第一ラダーブラケットとタンク載置プレートとタンクガードカバーとによってラダーに取り付けられ且つ保護されているので、その取付構造に係るブラケット等の部材を従来よりも軽量化,形状簡素化及び加工容易化し、コストを抑えることができる。
つまり、図4〜図6に示す上記従来技術では、第一ブラケット(31)にラダー取付,ウォッシャタンク保持及びウォッシャタンク保護の機能を持たせていたために、第一ブラケットを肉厚の板で大きく且つ頑丈に形成しながら、保護面部(31c)を形成する必要があった。したがって、従来技術の第一ブラケット(31)は、保護面部(31c)があるばかりに形状が複雑であって、大板からの複雑な切断を強いられ、且つ、厚板であるために切断に費やす時間が長くかかっていた。
【0014】
これに対し、本発明では、上記従来技術の第一ブラケット(31)に相当する第一ラダーブラケットをラダー取付専用に用い、且つ、上記従来技術のタンクガードフレーム(33)をタンク載置プレートとタンクガードカバーとに分割して、タンク載置プレートにタンク載置(保持)の機能を持たせるとともにタンクガードカバーにタンク保護の機能を持たせる構成にしたので、第一ラダーブラケットに上記従来技術の保護面部(31c)のような部分を形成する必要がなく、上記従来技術に比べて第一ラダーブラケットを第一ブラケット(31)の保護面部(31c)の分だけ軽量化することができる。
【0015】
また、第一ラダーブラケットに保護面部(31c)のような部分がないために、その形状が簡素化し、材料の選択において帯鋼(フラットバー)の使用が可能となるので、切断加工の際に単純に短冊切りすれば良く、切断作業時間の短縮化を図れるという利点がある(すなわち、加工容易化する)。
また、上記従来技術のタンクガードフレーム(33)のような複雑な成形部材をタンク載置プレートとタンクガードカバーという簡素な部材に簡素化することができて、コストを抑えることができる。
【0016】
また、上記従来技術では、材料の切断後、曲げ,溶接の各プロセスに移行しなければならないことから、各段取り作業の煩わしさを強いられる。しかしながら、本発明によれば、各部材の一連の溶接作業のみで作業を進められることから、工程移行の必要性がなく、且つ、工程移行に伴う段取り作業を回避させることができる。
また、ウォッシャタンクが取り付けられるラダーを機体左側に配置されたものとすれば、キャブへの乗降の際にウォッシャ液の残量を容易に確認することができる。つまり、ホイールローダ等の作業機械は左側から乗降するのが一般的であるので、乗降の際に利用する左側のラダーにウォッシャタンクを取り付ければ、ウォッシャ液の残量を容易に確認することができる。
【0017】
また、ウォッシャタンクの注入口が機体外方を向く姿勢でタンク載置プレート上に載置されていれば、ウォッシャ液の補充にかかる作業性を向上させることができる。つまり、上記従来技術では、ウォッシャタンクはキャブ下に隠れるとともに、その注入口が真っ直ぐ前方を向く姿勢になっており、注入口へのアクセスが容易ではなかった。しかしながら、本発明では、ウォッシャタンクの注入口が機体外方を向くように載置されるので、上記従来技術に比べて注入口に容易にアクセスし、ウォッシャ液の補充にかかる作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
[一実施形態]
本発明の一実施形態について説明する。図1〜図3は本発明の一実施形態に係る作業機械のウォッシャタンク取付構造を示す図であって、図1はそのラダー,ラダーブラケット及びタンク載置プレートの斜視図、図2はそのウォッシャタンク及びタンクガードカバーの斜視図、図3はその作業機械の全体像の斜視図である。
【0019】
<構成>
本発明は、従来技術で説明した図4〜6に示すウォッシャタンク26の取付構造を、図1〜図3に示すウォッシャタンク40の取付構造に変更するものである。なお、この取付構造が適用されるホイールローダ1は、従来技術で説明したものと同様である。したがって、従来技術で説明したものと同じ部材には同じ符号を付して説明する。
【0020】
ホイールローダ(作業機械)1は、図3に示すように、前部車両10と後部車両20とに分割されるとともに、前部車両10と後部車両20とが連結部50を介して左右揺動自在に連結されて構成されている。
前部車両10は、架台となるフロントフレーム11と、前輪12と、作業装置13とを備えている。後部車両20は、架台となるリヤフレーム21と、後輪22と、キャブ23と、エンジン(図示略)とを備えている。
【0021】
キャブ23のウィンドガラス25は、キャブ23内のウィンドウォッシャ用スイッチをオンにすることで、ウォッシャタンク40に貯留されたウォッシャ液によって洗浄されるようになっている。ウォッシャタンク40は、地上からウォッシャ液を補給できるように、オペレータがキャブ23に乗降するための左側のラダー(レフトラダー)28の裏に取り付けられている。なお、ホイールローダ1には、従来技術で説明した右側のラダー(ライトラダー)27も備えられているが、本実施形態においては、ライトラダー27の取り付けに用いる第一ブラケット(図示略)は、従来技術で説明した第一ブラケット31の保護面部31cを欠いた簡素な構成のものになっている。
【0022】
ウォッシャタンク40の取付構造について詳述する。
レフトラダー28は、図1に示すように、水平方向(略前後方向)に延在するステップバー28aと、略上下方向に延在し、ステップバー28aの両端を支持する前後一対のラダーポール(長尺材)28b,28cとを有している。そして、前側ラダーポール28bに取り付けられた第一ラダーブラケット41と後側ラダーポール28cに取り付けられた第二ラダーブラケット42とによって、レフトラダー28はリヤフレーム21(機体)にボルト締結されている。
【0023】
また、第一ラダーブラケット41は、車幅方向に広がる矩形状の主面部41aと、主面部41aの右縁から主面部41aに対して垂直(略垂直)に屈曲した取付面部41bとを有し、横断面略L字状に形成されている。そして、主面部41aには、後述のタンクガードカバー44(図2参照)取付用のボルト孔41cが穿たれるとともに、取付面部41bには、リヤフレーム21へのボルト締結用のボルト孔41dが穿たれている。
【0024】
また、第二ラダーブラケット42は、第一ラダーブラケット41と同様に、車幅方向に広がる矩形状の主面部42aと、主面部42aの右縁から主面部42aに対して垂直(略垂直)に屈曲した取付面部42bとを有し、横断面略L字状に形成されている。そして、取付面部42bには、リヤフレーム21へのボルト締結用のボルト孔42cが穿たれている。
【0025】
さらに、第一ラダーブラケット41と第二ラダーブラケット42との間に、タンク載置プレート43が架け渡されている。タンク載置プレート43は、第一ラダーブラケット41と第二ラダーブラケット42とに溶接されている。また、タンク載置プレート43は、水平方向に広がる載置面部43aと、載置面部43aの縁の一部分から載置面部43aに対して垂直上方に屈曲した取付面部(突出片)43bとを有している。取付面部43bには、タンクガードカバー44取付用のボルト孔43cが穿たれている。なお、この取付面部43bは載置面部43aに比べてその面積が極めて小さく、そのため、タンク載置プレート43は、略一枚板形状とみなすことが可能である。
【0026】
このタンク載置プレート43の載置面部43a上にウォッシャタンク40が載置されるが、作業や走行に伴う土砂等の飛散からウォッシャタンク40を保護するように、図2に示すタンクガードカバー44が、第一ラダーブラケット41とタンク載置プレート43とにボルト孔41c及びボルト孔43cを介してボルト45締結される。
タンクガードカバー44は、ウォッシャタンク40の左側部に面してウォッシャタンク40を保護する左側面部44aと、ウォッシャタンク40の前部に面してウォッシャタンク40を保護する前面部44bと、ウォッシャタンク40の後部に面してウォッシャタンク40を保護する後面部44cとを有し、横断面略コ字状に形成されている。左側面部44aには、ウォッシャタンク40の胴体部40bに形成された突部40cが嵌合するスリット(嵌合部)44sが形成されている。
【0027】
ここで、第一ラダーブラケット41及び第二ラダーブラケット42はそれぞれ、略矩形状の一枚板を一箇所で曲げ加工することにより、上述の所望の形状・構成に成形されている。また、タンク載置プレート43は、小さな突出片(取付面部43b)の付いた略矩形状の一枚板に対し、その突出片の箇所を曲げ加工することにより、上述の所望の形状・構成に成形されている。また、タンクガードカバー44は、略矩形状の一枚板を二箇所で曲げ加工することにより、上述の所望の形状・構成に成形されている。そして、タンク載置プレート43及びタンクガードカバー44のための一枚板は、第一ラダーブラケット41及び第二ラダーブラケット42のための一枚板に比べて、厚みの薄いもの(肉薄の板)が用いられるようになっている。
【0028】
また、ウォッシャタンク40は、注入口40aが左斜め前方(機体外方)を向く姿勢で、タンク載置プレート43上に載置されるとともに、図2に示すバンド(固定部材)46で固定されるようになっている。詳しくは、バンド46はウォッシャタンク40の胴体部40bに鉛直方向(上下方向)に掛け渡されて、バンド46の端部がタンク載置プレート43の載置面部43aにボルト46aで締結されるようになっている。
【0029】
<作用・効果>
本発明の一実施形態にかかる作業機械のウォッシャタンク取付構造は上述のように構成されているので、以下のような作用・効果がある。
ウォッシャタンク40は、第一ラダーブラケット41とタンク載置プレート43とタンクガードカバー44とによってレフトラダー28に取り付けられ且つ保護されているので、その取付構造に係るブラケット等の部材41,43,44を従来よりも軽量化,形状簡素化及び加工容易化し、コストを抑えることができる。
【0030】
つまり、図4〜図6に示す従来技術では、第一ブラケット31にラダー取付,ウォッシャタンク保持及びウォッシャタンク保護の機能を持たせていたために、第一ブラケット31を肉厚の板で大きく且つ頑丈に形成しながら、保護面部31cを形成する必要があった。したがって、上記従来技術の第一ブラケット31は、保護面部31cがあるばかりに形状が複雑であって、大板からの複雑な切断を強いられ、且つ、厚板であるために切断に費やす時間が長くかかっていた。
【0031】
これに対し、本実施形態では、上記従来技術の第一ブラケット31に相当する第一ラダーブラケット41をラダー取付専用に用い、且つ、上記従来技術のタンクガードフレーム33をタンク載置プレート43とタンクガードカバー44とに分割して、タンク載置プレート43にウォッシャタンク載置(保持)の機能を持たせるとともにタンクガードカバー44にタンク保護の機能を持たせる構成にしたので、上記従来技術に比べて、第一ブラケット31の保護面部31cの分だけ第一ラダーブラケット41を軽量化することができる。
【0032】
また、第一ラダーブラケット41に保護面部31cのような部分がないために、その形状が簡素化し、材料の選択において帯鋼(フラットバー)の使用が可能となるので、切断加工の際に単純に短冊切りすれば良く、切断作業時間の短縮化を図れるという利点がある(すなわち、加工容易化する)。
また、上記従来技術のタンクガードフレーム33のような複雑な成形部材をタンク載置プレート43とタンクガードカバー44という簡素な部材に簡素化することができて、コストを抑えることができる。
【0033】
また、上記従来技術では、材料の切断後、曲げ,溶接の各プロセスに移行しなければならないことから、各段取り作業の煩わしさを強いられる。しかしながら、本実施形態によれば、各部材の一連の溶接作業のみで作業を進められることから、工程移行の必要性がなく、且つ、工程移行に伴う段取り作業を回避させることができる。
また、タンク載置プレート43が第一ラダーブラケット41及び第二ラダーブラケット42間に位置付けられ架設されているので、レフトラダー28をリヤフレーム21へボルト締結するためのボルト孔41d,42c間のピッチの寸法決めにおいて、注意を払う必要性を軽減することができる。
【0034】
また、ウォッシャタンク40がバンド46によって鉛直方向から固定されているので、上記従来技術のウォッシャタンク26がバンド35によって水平方向から固定されるのに比べて、固定にかかる作業性を向上させることができる。
つまり、上記従来技術のウォッシャタンク26の固定に利用するバンド35は、第一ブラケット31及び第二ブラケット32間の比較的狭い空間にあるために、バンド35のボルト締結のための工具のアクセス性が悪く、また、水平方向からのボルト締め付け作業を強いられ、作業性が悪かった。一方、本実施形態によれば、ウォッシャタンク40の固定に利用するバンド46は、第一ラダーブラケット41及び第二ラダーブラケット42間の比較的狭い空間にあるのは上記従来技術と同様であるが、上記従来技術と異なり鉛直方向に掛け渡されているので、締結用のボルト46aには上方からアクセス可能で、工具のアクセス性が良く、また、上方からボルト締め付け作業をすることができ、作業性を向上させることができる。
【0035】
また、ウォッシャタンク40がレフトラダー28の内側に取り付けられているので、キャブ23への乗降の際にウォッシャ液の残量を容易に確認することができる。つまり、ホイールローダ1等の作業機械は左側から乗降するのが一般的であるので、乗降の際に利用するレフトラダー28の内側にウォッシャタンク40を配置すれば、ウォッシャ液の残量を容易に確認することができる。
【0036】
また、ウォッシャタンク40の注入口40aが左斜め前方、即ち、機体外方を向く姿勢でタンク載置プレート43上に載置されるので、ウォッシャ液の補充にかかる作業性を向上させることができる。つまり、図4〜図6に示す従来技術では、ウォッシャタンク26はキャブ23下に隠れるとともに、その注入口26aが真っ直ぐ前方を向く姿勢になっており、注入口26aへのアクセスが容易ではなかった。しかしながら、本実施形態では、ウォッシャタンク40の注入口40aが機体外方を向くように載置されるので、図4〜図6に示す従来技術に比べて注入口40aに容易にアクセスし、ウォッシャ液の補充にかかる作業性を向上させることができる。
【0037】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上記実施形態では、タンク載置プレート43は、載置面部43aと取付面部43bとから構成されているが、単に載置面部43aだけで構成され、単純な一枚板形状になっていても良い。この場合、タンクガードカバー44は、第一ラダーブラケット41のみにボルト45締結される。
【0038】
また、上記実施形態では、ウォッシャタンク40はレフトラダー28に取り付けられているが、第一ラダーブラケット41,第二ラダーブラケット42,タンク載置プレート43及びタンクガードカバー44と同様の部材を用いてライトラダー27に取り付けられても良い。
また、上記実施形態では、ホイールローダ1においてウォッシャタンク40をラダー28(27)に取り付けることを説明したが、キャブに乗降するためのラダーを有する作業機械であれば、ホイールローダ1以外の作業機械に適用されてももちろん良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る作業機械のウォッシャタンク取付構造のうちのラダー,ラダーブラケット及びタンク載置プレートを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る作業機械のウォッシャタンク取付構造のうちのウォッシャタンク及びタンクガードカバーを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る作業機械の全体像を示す斜視図である。
【図4】本発明の従来技術に係る作業機械の全体像を示す斜視図である。
【図5】本発明の従来技術に係る作業機械のウォッシャタンク取付構造のうちのラダー及びブラケットを示す斜視図である。
【図6】本発明の従来技術に係る作業機械のウォッシャタンク取付構造のうちのウォッシャタンク及びタンクガードフレームを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ホイールローダ(作業機械)
10 前部車両
11 フロントフレーム
12 前輪
13 作業装置
20 後部車両
21 リヤフレーム
22 後輪
23 キャブ
25 ウィンドガラス
26 ウォッシャタンク
27 右側のラダー(ライトラダー)
28 左側のラダー(レフトラダー)
28a ステップバー
28b,28c ラダーポール(長尺材)
31 第一ブラケット
32 第二ブラケット
33 タンクガードフレーム
34 ボルト
35 バンド(固定部材)
40 ウォッシャタンク
40a 注入口
40b 胴体部
40c 突部
41 第一ラダーブラケット
41a 主面部
41b 取付面部
41c ボルト孔
42 第二ラダーブラケット
42a 主面部
42b 取付面部
42c ボルト孔
43 タンク載置プレート
43a 載置面部
43b 取付面部
43c ボルト孔
44 タンクガードカバー
44a 左側面部
44b 前面部
44c 後面部
44s スリット
45 ボルト
46 バンド(固定部材)
50 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブに乗降するためのラダーを有する作業機械において、該キャブのウィンドガラスを洗浄するためのウォッシャ液を貯留するウォッシャタンクを固定部材で固定して該ラダーに取り付ける構造であって、
該ラダーが、水平方向に延在するステップバーと、該ステップバーの両端を支持する一対の長尺材とを有するとともに、
該一対の長尺材それぞれに取り付けられ、該ラダーを機体に固定する一対の第一ラダーブラケット及び第二ラダーブラケットと、
該第一ラダーブラケット及び該第二ラダーブラケット間に架設され、該ウォッシャタンクが載置されるタンク載置プレートと、
該ウォッシャタンクを保護するタンクガードカバーとを備え、
該第一ラダーブラケット及び該第二ラダーブラケットは、一枚板が一箇所で曲げ加工されて断面L字状に成形された部材であり、
該タンク載置プレートは、突出片付きの一枚板が該突出片の箇所で曲げ加工されて略一枚板形状に成形された部材であり、
該タンクガードカバーは、一枚板が二箇所で曲げ加工されて断面コ字状に成形された部材である
ことを特徴とする、作業機械のウォッシャタンク取付構造。
【請求項2】
該作業機械はホイールローダである
ことを特徴とする、請求項1記載の作業機械のウォッシャタンク取付構造。
【請求項3】
該ラダーは、機体左側に配置されたものである
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の作業機械のウォッシャタンク取付構造。
【請求項4】
該ウォッシャタンクは、その注入口が機体外方を向く姿勢で該タンク載置プレート上に載置される
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の作業機械のウォッシャタンク取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−84322(P2010−84322A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251048(P2008−251048)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】