説明

作業機械の操作装置

【課題】初心者であっても長時間の作業を容易にかつ安定して行なえる操作性の良い作業機械の操作装置を提供する。
【解決手段】運転席11の一側のコンソールボックス14上に前後方向移動自在かつ内外方向回動自在に、オペレータの一側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する一側の腕部支持体15を設ける。この腕部支持体15の前方に少なくとも1つの関節部を介して、オペレータが掴むグリップ19を回動自在に設ける。腕部支持体15を前・後方向に移動させることでフロント作業装置5のブーム6をブーム下げ・上げ方向に回動操作するブーム操作部と、腕部支持体15を内・外方向に回動することでスティック7をスティックイン・アウト方向に回動操作するスティック操作部と、グリップ19を内・外方向に回動することでバケット8をバケットイン・アウト方向に回動操作するバケット操作部とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の運転席に添って設置された操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の油圧ショベルの操作装置は、運転席の左右に配置され、前後左右方向に回動傾斜可能な操作レバーで、それぞれブーム、スティック、バケット、上部旋回体の旋回を操作し、運転席の前方に配置された1対の走行ペダル・レバーを回動傾斜させることで下部走行体の左右のクローラをそれぞれ操作している。
【0003】
JISパターンを例にとると、右のレバーの前・後傾斜でブームの下げ・上げ、左・右傾斜でバケットのイン・アウト、左のレバーの前・後傾斜でスティックのアウト・イン、左・右傾斜で上部旋回体の左旋回・右旋回という操作になる。よって、フロント作業装置の動きは、右のレバーの前後左右方向の傾斜と、左のレバーの前後方向の傾斜を組合わせて操作することになり、初心者には操作し難い。
【0004】
また、油圧ショベルの運転室は左側にドアがあり、そこから出入りするが、全レバーを運転席から届く範囲に設置する必要があるため、左操作レバーと前方の走行レバーとの間隔が広く取れず、出入りが難しいと言う問題がある。
【0005】
そこで、これらの問題点を解決する種々の発明が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
【0006】
特許文献1〜3の各発明は、フロント作業装置の各機能を模擬した機構によって操作しようとする操作装置であるが、この操作装置は腕全体を使って模擬機構を動かす必要がある。つまり作業中、腕はずっと空中で繰り返し動かすことになり、長時間の作業に耐え得るものではない。
【0007】
特許文献4の発明は、各操作をスイッチで行わせるものであるが、フロント作業装置の微妙な動きをスイッチで行うのは無理があり、さらに操作杆を操作しながらスイッチを操作すると操作が不安定になる。
【0008】
すなわち、スイッチを操作するには手首もしくは掌を固定していなければならないが、固定する相手の操作杆が、前後左右およびその複合方向に動きうる自由度の大きいものであり、それを操作しているのでスイッチ操作および操作杆操作共に不安定になる。
【0009】
特許文献5の発明も、特許文献1〜3の発明と同様に腕を固定することができず、長時間の作業には耐えられない。
【特許文献1】特開平5−311693号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】実開平6−30254号公報(第1頁、第1図)
【特許文献3】特開2000−64361号公報(第4−5頁、図5)
【特許文献4】特開2001−65000号公報(第3−4頁、図2)
【特許文献5】特開2003−27527号公報(第3−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、従来の左右のレバー操作では、フロント作業装置の動きを左右のレバー操作で操縦することになり、初心者には操作し難い。また、操作レバーと走行レバーの間隔が狭く、出入りがしにくい。
【0011】
また、フロントの動きを模擬した操作装置では腕を固定することができず、長時間の作業には耐えられない。
【0012】
さらに、自由度の大きいレバーに設置したスイッチを操作するものでは、レバーを操作しながらのスイッチ操作が難しい。
【0013】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、初心者であっても長時間の作業を容易にかつ安定して行なえる操作性の良い作業機械の操作装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の発明は、機体に対しブーム、スティックおよびバケットを備えた作業装置のブームがブーム下げ・上げ方向に回動可能に設けられ、ブームの先端部に対してスティックがスティックイン・アウト方向に回動可能に設けられ、スティックの先端部に対してバケットがバケットイン・アウト方向に回動可能に設けられた作業機械の運転席に添って配置された操作装置であって、運転席の一側に配設された一側のベース部材と、この一側のベース部材上に運転席のオペレータから見て前後方向移動自在かつ内外方向回動自在に設けられオペレータの一側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する一側の腕部支持体と、この腕部支持体の前方に少なくとも1つの関節部を介して回動自在に設けられオペレータにより掴まれるグリップと、腕部支持体に支持された状態でグリップを掴んだオペレータの一側の腕部を前・後方向に動かして腕部支持体を前・後方向に移動させることによりこの腕部支持体とともに移動して作業装置のブームをブーム下げ・上げ方向に回動操作するブーム操作部と、オペレータの一側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして腕部支持体を内・外方向に回動することによりこの腕部支持体とともに回動して作業装置のスティックをスティックイン・アウト方向に回動操作するスティック操作部と、グリップを掴んだオペレータの一側の腕部の手首を内・外方向に動かしてグリップを内・外方向に回動することによりこのグリップとともに回動して作業装置のバケットをバケットイン・アウト方向に回動操作するバケット操作部とを具備した作業機械の操作装置であり、そして、運転席の一側に位置する一側のベース部材上の一側の腕部支持体またはグリップを動かして一側に設けられたブーム操作部、スティック操作部およびバケット操作部を操作することで作業装置の各動作を片側の腕部のみで操作するので、初心者にも操作し易く、また、腕部支持体およびグリップによりオペレータの腕部を支持して腕部の荷重を支えるので、長時間の作業にも耐えられ、さらに、腕部を前・後方向に動かすと腕部支持体を介してブーム操作部が移動してブームをブーム下げ・上げ方向に回動操作し、腕部を肘を支点として内・外方向に動かすと腕部支持体を介してスティック操作部が回動してスティックをスティックイン・アウト方向に回動操作し、手首を内・外方向に動かすとグリップを介してバケット操作部が回動してバケットをバケットイン・アウト方向に回動操作するので、作業装置の各操作を片側の腕部で容易に安定して行なえ、操作性が良い。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の作業機械が、左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に駆動する下部走行体に対して上部旋回体が右旋回・左旋回方向にスイング可能に設けられた機体を有し、この作業機械の運転席に添って配置された操作装置であって、オペレータの一側の腕部の手首を右捻り・左捻り方向に捻って一側の腕部支持体に対しグリップを右捻り・左捻り方向に捻じることによりこのグリップとともに捻じられて下部走行体に対し上部旋回体を右旋回・左旋回方向にスイング操作するスイング操作部を具備したものであり、そして、一側の腕部支持体またはグリップを動かして一側に設けられたブーム操作部、スティック操作部およびバケット操作部を操作する一側の腕部にて、その手首を右捻り・左捻り方向に捻じるとグリップを介しスイング操作部が捻じられて上部旋回体を右旋回・左旋回方向にスイング操作することで、作業装置の各動作とともに上部旋回体のスイング動作を片側の腕部のみで操作するので、初心者にも操作し易く、また、作業装置および上部旋回体の各操作を片側の腕部で容易に安定して行なえ、操作性が良い。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の作業機械の操作装置において、運転席の他側に配設された他側のベース部材と、この他側のベース部材上に運転席のオペレータから見て前後方向に設置されオペレータの他側の腕部を載せる腕部載せ台と、この腕部載せ台の先端部上にそれぞれ前・後方向回動自在に左右並設された2本のレバーを有しオペレータの指先によりこれらのレバーを前・後方向に回動することにより下部走行体の左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部とを具備したものであり、そして、運転席の他側に位置する他側のベース部材上にオペレータの他側の腕部を載せる腕部載せ台を設置し、この腕部載せ台の先端部上に左右の履帯を走行操作する2本のレバーを有する走行操作部を設置したので、従来のように運転席の前方に走行レバーを設置する必要がなく、操作レバーと走行レバーの間隔が狭く出入りがし難いという問題がないとともに、腕部載せ台上に手首などを固定した状態で指先により走行操作部のレバーを回動するので、初心者であっても長時間の作業を容易にかつ安定して行なえ、操作性が良い。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の作業機械が、左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に駆動する下部走行体に対して上部旋回体が右旋回・左旋回方向にスイング可能に設けられた機体を有し、この作業機械の運転席に添って配置された操作装置であって、運転席の他側に配設された他側のベース部材と、この他側のベース部材上に運転席のオペレータから見て内外方向回動自在に設けられオペレータの他側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する他側の腕部支持体と、他側の腕部支持体の前方に一体的に設置されオペレータの他側の腕部を載せる腕部載せ台と、オペレータの他側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして他側の腕部支持体を内・外方向に回動することによりこの腕部支持体とともに回動して下部走行体に対し上部旋回体を右旋回・左旋回方向にスイング操作するスイング操作部と、腕部載せ台の先端部上にそれぞれ前・後方向回動自在に左右並設された2本のレバーを有しオペレータの指先によりこれらのレバーを前・後方向に回動することにより下部走行体の左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部とを具備したものであり、そして、運転席の他側に位置する他側のベース部材上にオペレータの他側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する他側の腕部支持体が内外方向回動自在に設けられ、オペレータの他側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして他側の腕部支持体を内・外方向に回動することによりこの腕部支持体とともに回動するスイング操作部により上部旋回体を右旋回・左旋回方向にスイング操作するとともに、他側の腕部支持体の前方にオペレータの他側の腕部を載せる腕部載せ台を一体的に設置し、この腕部載せ台の先端部上に下部走行体の左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部を設置することで、一側の腕部による作業装置の操作と、他側の腕部による上部旋回体のスイング操作および下部走行体の走行操作とに分かれるので、これらの各操作がより容易になり、また、他側の腕部支持体の前方に一体的に設置した腕部載せ台の先端部上に左右の履帯を走行操作する2本のレバーを有する走行操作部を設置したので、従来のように運転席の前方に走行レバーを設置する必要がなく、操作レバーと走行レバーの間隔が狭く出入りがし難いという問題がないとともに、腕部載せ台上に手首などを固定した状態で指先により走行操作部のレバーを回動するので、初心者であっても長時間の作業を容易にかつ安定して行なえ、操作性が良い。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、運転席の一側に位置する一側のベース部材上の一側の腕部支持体またはグリップを動かして一側に設けられたブーム操作部、スティック操作部およびバケット操作部を操作することで作業装置の各動作を片側の腕部のみで操作するので、初心者でも容易に操作でき、また、腕部支持体およびグリップによりオペレータの腕部を支持して腕部の荷重を支えるので、長時間の作業にも耐えることができ、さらに、腕部を前・後方向に動かすと腕部支持体を介してブーム操作部が移動してブームをブーム下げ・上げ方向に回動操作し、腕部を肘を支点として内・外方向に動かすと腕部支持体を介してスティック操作部が回動してスティックをスティックイン・アウト方向に回動操作し、手首を内・外方向に動かすとグリップを介してバケット操作部が回動してバケットをバケットイン・アウト方向に回動操作するので、作業装置の各操作を片側の腕部で容易に安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、一側の腕部支持体またはグリップを動かして一側に設けられたブーム操作部、スティック操作部およびバケット操作部を操作する一側の腕部にて、その手首を右捻り・左捻り方向に捻じるとグリップを介しスイング操作部が捻じられて上部旋回体を右旋回・左旋回方向にスイング操作することで、作業装置の各動作とともに上部旋回体のスイング動作を片側の腕部のみで操作するので、初心者でも容易に操作でき、また、作業装置および上部旋回体の各操作を片側の腕部で容易に安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、運転席の他側に位置する他側のベース部材上にオペレータの他側の腕部を載せる腕部載せ台を設置し、この腕部載せ台の先端部上に左右の履帯を走行操作する2本のレバーを有する走行操作部を設置したので、従来のように運転席の前方に走行レバーを設置する必要がなく、操作レバーと走行レバーの間隔が狭く出入りがし難いという問題を解決できるとともに、腕部載せ台上に手首などを固定した状態で指先により走行操作部のレバーを回動するので、初心者であっても長時間の作業を容易にかつ安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、運転席の他側に位置する他側のベース部材上にオペレータの他側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する他側の腕部支持体が内外方向回動自在に設けられ、オペレータの他側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして他側の腕部支持体を内・外方向に回動することによりこの腕部支持体とともに回動するスイング操作部により上部旋回体を右旋回・左旋回方向にスイング操作するとともに、他側の腕部支持体の前方にオペレータの他側の腕部を載せる腕部載せ台を一体的に設置し、この腕部載せ台の先端部上に下部走行体の左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部を設置することで、一側の腕部による作業装置の操作と、他側の腕部による上部旋回体のスイング操作および下部走行体の走行操作とに分かれるので、これらの各操作をより容易にでき、また、他側の腕部支持体の前方に一体的に設置した腕部載せ台の先端部上に左右の履帯を走行操作する2本のレバーを有する走行操作部を設置したので、従来のように運転席の前方に走行レバーを設置する必要がなく、操作レバーと走行レバーの間隔が狭く出入りがし難いという問題を解決できるとともに、腕部載せ台上に手首などを固定した状態で指先により走行操作部のレバーを回動するので、初心者であっても長時間の作業を容易にかつ安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を、図1乃至図3に示された第1の実施の形態、図4乃至図6に示された第2の実施の形態を参照して説明する。
【0023】
先ず、図1乃至図3に示された第1の実施の形態を説明する。
【0024】
図1に示されるように、作業機械としての油圧ショベルは、左右の履帯1aをそれぞれ前進・後進方向に駆動する下部走行体1に対して上部旋回体2が右旋回・左旋回方向にスイング可能に設けられた機体9を有し、この機体9に対し、キャブ3および動力装置4とともに作業装置としてのフロント作業装置5が搭載されている。
【0025】
このフロント作業装置5は、上部旋回体2に対してブーム6がブームシリンダ6cによりブーム下げ・上げ方向に回動可能に設けられ、ブーム6の先端部に対してスティック7がスティックシリンダ7cによりスティックイン・アウト方向に回動可能に設けられ、スティック7の先端部に対してバケット8がバケットシリンダ8cによりバケットイン・アウト方向に回動可能に設けられている。
【0026】
キャブ3の内部には、オペレータが座る運転席11の一側および他側に添って、オペレータにより操作される4方向制御レバー装置12と、走行制御レバー装置13とが設置されている。
【0027】
図2は、右側の4方向制御レバー装置12を示し、運転席11のオペレータから見て運転席11の右側に一側のベース部材としてのコンソールボックス14が設置され、この一側のコンソールボックス14上に、運転席11のオペレータから見て前後方向移動自在かつ内外方向回動自在に、オペレータの右側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する一側の腕部支持体15が設けられている。
【0028】
この腕部支持体15は、オペレータの右側の腕部の肘から先の部分を嵌着するための嵌着溝16を有し、この嵌着溝16の前端は、オペレータの腕部を突出させるために凹形に開口されている。
【0029】
この腕部支持体15の前方には、2つの関節部17,18を介して、オペレータにより掴まれるグリップ19が回動自在に設けられている。
【0030】
さらに詳しく説明すると、コンソールボックス14の上面部には前後方向に細長く形成された長穴21が設けられ、この長穴21を通して、コンソールボックス14の内部で前後方向移動自在に支持された垂直軸状のブーム操作部22が上方に突設されている。このブーム操作部22は、腕部支持体15に支持された状態でグリップ19を掴んだオペレータの右側の腕部を前・後方向に動かして腕部支持体15を前・後方向に移動させることにより、この腕部支持体15とともに移動してフロント作業装置5のブーム6をブーム下げ・上げ方向に回動操作するものである。
【0031】
さらに、腕部支持体15の後部下面に一体化された垂直軸状のスティック操作部23が、ブーム操作部22に対し回動自在に嵌合されている。このスティック操作部23は、オペレータの右側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして腕部支持体15を内・外方向に回動することにより、この腕部支持体15とともに回動してフロント作業装置5のスティック7をスティックイン・アウト方向に回動操作するものである。
【0032】
さらに、腕部支持体15の前端面に一体に突出されたサポートブラケット24に、下部走行体1に対し上部旋回体2を右旋回・左旋回方向にスイング操作するスイング操作部25が、前後方向の回動軸26により回動自在に嵌合されている。このスイング操作部25は、オペレータの右側の腕部の手首を右捻り・左捻り方向に捻って一側の腕部支持体15に対しグリップ19を右捻り・左捻り方向に捻じることにより、このグリップ19とともに捻じられて回動するものである。
【0033】
さらに、スイング操作部25に対し、上下方向の回動軸27により、フロント作業装置5のバケット8をバケットイン・アウト方向に回動操作するバケット操作部28が回動自在に設けられている。このバケット操作部28は、グリップ19を掴んだオペレータの右側の腕部の手首を内・外方向に動かしてグリップ19を内・外方向に回動することにより、このグリップ19とともに上下方向の回動軸27を支点に回動するものである。
【0034】
このバケット操作部28上には、オペレータの右手の手首を載せるリストレスト・パッド29が設けられ、先端部上にはグリップ19が垂直状に立設されている。
【0035】
一方、図3は、左側の走行制御レバー装置13を示し、運転席11のオペレータから見て運転席11の左側には他側のベース部材としてのコンソールボックス31が配設され、この他側のコンソールボックス31上には、取付ブラケット32により、オペレータの左側の腕部の手首などを載せる腕部載せ台33が、運転席11のオペレータから見て前後方向に設置され、この腕部載せ台33上には、オペレータの左手の手首を載せるリストレスト・パッド34が設けられている。
【0036】
この腕部載せ台33内には走行制御装置が設けられ、腕部載せ台33の先端部上には、下部走行体1の左右の履帯1aをそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部35が設けられている。この走行操作部35は、2本のレバー36がそれぞれ前・後方向回動自在に左右並設され、オペレータの指先によりこれらのレバー36を前・後方向に回動することにより、下部走行体1の左右の履帯1aがそれぞれ前進・後進方向に走行操作される。
【0037】
腕部載せ台33内の走行制御装置は、例えば各レバー操作量に応じたパイロット圧を出力する減圧弁(所謂リモコン弁、図示せず)がそれぞれ設置されているか、またはスペース上これらの減圧弁を設置できない場合は、各レバー操作量を電気的に検出する回動型ポテンショメータなどの角度センサがそれぞれ設置されており、これらの角度センサにより検出された電気信号は、比例減圧弁などによりパイロット圧に変換される。
【0038】
このように、キャブ3の内部には運転席11が設置され、この運転席11の左右両側にはコンソールボックス14,31がそれぞれ配置され、一側には、コンソールボックス14上に4つの操作部22,23,25,28を有する4方向制御レバー装置12が設けられ、他側には、コンソールボックス31上に走行系の走行制御用のレバー36を有する走行操作部35が設けられている。
【0039】
これらの各操作部22,23,25,28,35の可動部には、操作量(移動量または回動量)に応じたパイロット圧を出力する減圧弁(所謂リモコン弁、図示せず)を設置するか、またはスペース上、これらの減圧弁を設置できない場所では、直動型または回動型ポテンショメータなどのストロークセンサまたは角度センサ(共に図示せず)を設置すると良い。
【0040】
これらのストロークセンサにより検出された移動量または角度センサにより検出された回動量に相当する各電気信号は、電磁比例弁、比例減圧弁などによりパイロット圧に変換され、これらのパイロット圧は油圧アクチュエータ制御回路のコントロール弁(図示せず)に入力され、コントロール弁は、それらのパイロット圧に応じてそれぞれストロークする複数のスプールにより、ブームシリンダ6c、スティックシリンダ7c、バケットシリンダ8c、走行モータ、旋回モータをそれぞれ方向制御および流量制御する。
【0041】
次に、この図1乃至図3に示された第1の実施の形態の作用効果を説明する。
【0042】
オペレータが、腕部支持体15の嵌着溝16内に嵌合支持された状態でグリップ19を掴んだ右側の腕部を前・後方向に動かすと、腕部支持体15が前・後方向に移動し、軸状のブーム操作部22が、コンソールボックス14の上面の長穴21に沿って前・後方向にスライド移動するので、長穴21の中央からのブーム操作部22の移動方向および移動量に応じてパイロット制御されるコントロール弁のブーム用スプールにより、ブーム操作部22の移動方向および移動量に応じた作動方向および作動速度でフロント作業装置5のブームシリンダ6cが作動制御され、ブーム6がブーム下げ・上げ方向に回動する。
【0043】
オペレータが、腕部支持体15の嵌着溝16内に嵌合支持された状態でグリップ19を掴んだ右側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かすと、すなわち左・右方向に水平に振ると、腕部支持体15およびサポートブラケット24が内・外方向に回動し、軸状のブーム操作部22に対し軸状のスティック操作部23が回動されるので、そのスティック操作部23の回動方向および回動量に応じてパイロット制御されるコントロール弁のスティック用スプールにより、スティック操作部23の回動方向および回動量に応じた作動方向および作動速度でフロント作業装置5のスティックシリンダ7cが制御され、スティック7がスティックイン・アウト方向に回動する。
【0044】
オペレータが、腕部支持体15の嵌着溝16内に嵌合支持された状態でグリップ19を掴んだ右側の腕部の手首を左・右方向すなわち内・外方向に動かすと、グリップ19とともにバケット操作部28が上下方向の回動軸27を支点に内・外方向に水平回動するので、そのバケット操作部28の回動方向および回動量に応じてパイロット制御されるコントロール弁のバケット用スプールにより、バケット操作部28の回動方向および回動量に応じた作動方向および作動速度でフロント作業装置5のバケットシリンダ8cが制御され、バケット8がバケットイン・アウト方向に回動する。
【0045】
オペレータが、腕部支持体15の嵌着溝16内に嵌合支持された状態でグリップ19を掴んだ右側の腕部の手首をオペレータから見て右捻り・左捻り方向に捻ると、腕部支持体15に対しグリップ19が右捻り・左捻り方向に捻じられ、サポートブラケット24と同心上に回動自在に設置されたスイング操作部25が、回動軸26を中心にグリップ19とともに捻じられて回動するので、そのスイング操作部25の回動方向および回動量に応じてパイロット制御されるコントロール弁の旋回用スプールにより、スイング操作部25の回動方向および回動量に応じた作動方向および作動速度で上部旋回体2の旋回モータが作動して、上部旋回体2が右旋回・左旋回方向にスイングする。
【0046】
一方、オペレータが走行系を操作するときは、左側の腕部の手首を左側のコンソールボックス31上に設置された腕部載せ台33のリストレスト・パッド34に載せて左側の腕部を固定し、その左手の指先により走行操作部35の左右のレバー36をそれぞれ前・後方向に回動することにより、下部走行体1の左右の履帯1aをそれぞれ前進・後進方向に走行操作する。
【0047】
このように、図2に示された4方向制御レバー装置12は、運転席11の一側に位置するコンソールボックス14上の一側の腕部支持体15またはグリップ19を動かして一側に設けられたブーム操作部22、スティック操作部23およびバケット操作部28を操作することでフロント作業装置5の各動作を片側の腕部のみで操作するので、初心者でも容易に操作でき、また、腕部支持体15およびグリップ19によりオペレータの腕部を支持して腕部の荷重を支えるので、長時間の作業にも耐えることができ、さらに、腕部を前・後方向に動かすと腕部支持体15を介してブーム操作部22が移動してブーム6をブーム下げ・上げ方向に回動操作し、腕部を肘を支点として内・外方向に動かすと腕部支持体15を介してスティック操作部23が回動してスティック7をスティックイン・アウト方向に回動操作し、手首を内・外方向に動かすとグリップ19を介してバケット操作部28が回動してバケット8をバケットイン・アウト方向に回動操作するので、フロント作業装置5の各操作を片側の腕部で容易に安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【0048】
さらに、図2に示された4方向制御レバー装置12は、一側の腕部支持体15またはグリップ19を動かして一側に設けられたブーム操作部22、スティック操作部23およびバケット操作部28を操作する右側の腕部にて、その手首を右捻り・左捻り方向に捻じるとグリップ19を介しスイング操作部25が捻じられて上部旋回体2を右旋回・左旋回方向にスイング操作することで、フロント作業装置5の各動作とともに上部旋回体2のスイング動作を片側の腕部のみで操作するので、初心者でも容易に操作でき、また、フロント作業装置5および上部旋回体2の各操作を片側の腕部で容易に安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【0049】
また、図3に示された走行制御レバー装置13は、運転席11の他側に位置するコンソールボックス31上にオペレータの左側の腕部の手首などを載せる腕部載せ台33を設置し、この腕部載せ台33の先端部上に左右の履帯1aを走行操作する2本のレバー36を有する走行操作部35を設置したので、従来のように運転席11の前方に走行レバーを設置する必要がなく、操作レバーと走行レバーの間隔が狭く出入りがし難いという問題を解決できるとともに、腕部載せ台33上に手首を固定した状態で、指先により走行操作部35の各レバー36を回動するので、初心者であっても長時間の作業を容易にかつ安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【0050】
このように、図2に示された一側のコンソールボックス14上の4方向制御レバー装置12によって、フロント作業装置5の全動作と上部旋回体2のスイング動作とが操作可能となるので、図3に示された他側のコンソールボックス31上には、走行制御レバー装置13のみを設置すれば良く、運転席11の前方に走行レバーを設ける必要がない。
【0051】
すなわち、他側のコンソールボックス31上に設置された腕部載せ台33に走行操作部35のレバー36を設置することで、走行レバーを手元に設置し、運転席11の前方に走行レバーを設置する必要がないので、運転室への出入りが容易になる。
【0052】
さらに、運転席11の前方に、走行レバーに替わり、アタッチメント操作用のアタッチメントペダルを装着することも可能で、従来はアタッチメントペダルを付けるために外していたフットレストを外すことなく、アタッチメントペダルの装着が可能になる。または、アタッチメントペダルを、従来の2個から4個に増加できる。
【0053】
また、図2に示された4方向制御レバー装置12で、従来どおり走行ペダルを運転席11の前方に設置すれば、片腕で油圧ショベルを操作できることになり、身障者にも操縦できる作業機械を提供することができる。
【0054】
さらに、オペレータは、その腕部を腕部支持体15に、手首をリストレスト・パッド29,34に預けて操作できるので、長時間の作業も問題なく、微操作性も良いものになる。
【0055】
次に、図4乃至図6に示された第2の実施の形態を説明する。
【0056】
図4に示されるように、作業機械としての油圧ショベルは、左右の履帯1aをそれぞれ前進・後進方向に駆動する下部走行体1に対して上部旋回体2が右旋回・左旋回方向にスイング可能に設けられた機体9を有し、この機体9に対し、キャブ3および動力装置4とともに作業装置としてのフロント作業装置5が搭載されている。
【0057】
このフロント作業装置5は、上部旋回体2に対してブーム6がブームシリンダ6cによりブーム下げ・上げ方向に回動可能に設けられ、ブーム6の先端部に対してスティック7がスティックシリンダ7cによりスティックイン・アウト方向に回動可能に設けられ、スティック7の先端部に対してバケット8がバケットシリンダ8cによりバケットイン・アウト方向に回動可能に設けられている。
【0058】
キャブ3の内部には、オペレータが座る運転席11の一側および他側に添って、オペレータにより操作される3方向制御レバー装置12aと、走行・旋回制御レバー装置13aとが設置されている。
【0059】
図5は、右側の3方向制御レバー装置12aを示し、運転席11のオペレータから見て運転席11の右側に一側のベース部材としてのコンソールボックス14が設置され、この一側のコンソールボックス14上に、運転席11のオペレータから見て前後方向移動自在かつ内外方向回動自在に、オペレータの右側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する一側の腕部支持体15が設けられている。
【0060】
この腕部支持体15は、オペレータの右側の腕部の肘から先の部分を嵌着するための嵌着溝16を有し、この嵌着溝16の前端は、オペレータの腕部を突出させるために凹形に開口されている。
【0061】
この腕部支持体15の前方には、1つの関節部18を介して、オペレータにより掴まれるグリップ19が回動自在に設けられている。
【0062】
さらに詳しく説明すると、コンソールボックス14の上面部には前後方向に細長く形成された長穴21が設けられ、この長穴21を通して、コンソールボックス14の内部で前後方向移動自在に支持された垂直軸状のブーム操作部22が上方に突設されている。このブーム操作部22は、腕部支持体15に支持された状態でグリップ19を掴んだオペレータの右側の腕部を前・後方向に動かして腕部支持体15を前・後方向に移動させることにより、この腕部支持体15とともに移動してフロント作業装置5のブーム6をブーム下げ・上げ方向に回動操作するものである。
【0063】
さらに、腕部支持体15の後部下面に一体化された垂直軸状のスティック操作部23が、ブーム操作部22に対し回動自在に嵌合されている。このスティック操作部23は、オペレータの右側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして腕部支持体15を内・外方向に回動することにより、この腕部支持体15とともに回動してフロント作業装置5のスティック7をスティックイン・アウト方向に回動操作するものである。
【0064】
また、腕部支持体15の下面から前方へ一体に突出されたサポートブラケット24に対し、上下方向の回動軸27により、フロント作業装置5のバケット8をバケットイン・アウト方向に回動操作するバケット操作部28が回動自在に設けられている。このバケット操作部28は、グリップ19を掴んだオペレータの右側の腕部の手首を内・外方向に動かしてグリップ19を内・外方向に回動することにより、このグリップ19とともに上下方向の回動軸27を支点に水平に回動するものである。
【0065】
このバケット操作部28上には、オペレータの右手の手首を載せるリストレスト・パッド29が設けられ、先端部上にはグリップ19が垂直状に立設されている。
【0066】
一方、図6は、左側の走行・旋回制御レバー装置13aを示し、運転席11のオペレータから見て運転席11の左側には他側のベース部材としてのコンソールボックス31が配設され、この他側のコンソールボックス31上には、オペレータの左側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する他側の腕部支持体41が、運転席11のオペレータから見て内外方向回動自在に設けられている。
【0067】
この腕部支持体41は、オペレータの左側の腕部の肘から先の部分を嵌着するための嵌着溝42を有し、この嵌着溝42の前端は、オペレータの腕部を突出させるために凹形に開口されている。
【0068】
さらに、コンソールボックス31の上面部には固定ボス部43が上方に突設され、この固定ボス部43に、腕部支持体41の後部下面に一体化された垂直軸状のスイング操作部44が回動自在に嵌合されている。このスイング操作部44は、オペレータの左側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして左側の腕部支持体41を内・外方向に回動することにより、この腕部支持体41とともに回動して、下部走行体1に対し上部旋回体2を右旋回・左旋回方向にスイング操作するものである。
【0069】
さらに、腕部支持体41の下面に一体化され前端面より突出されたサポートブラケット45に、オペレータの左側の腕部の手首などを載せる腕部載せ台33が一体的に設置され、この腕部載せ台33上には、オペレータの左手の手首を載せるリストレスト・パッド34が設けられている。
【0070】
この腕部載せ台33内には走行制御装置が設けられ、腕部載せ台33の先端部上には、下部走行体1の左右の履帯1aをそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部35が設けられている。この走行操作部35は、2本のレバー36がそれぞれ前・後方向回動自在に左右並設され、オペレータの指先によりこれらのレバー36を前・後方向に回動することにより、下部走行体1の左右の履帯1aがそれぞれ前進・後進方向に走行操作される。
【0071】
腕部載せ台33内の走行制御装置は、例えば各レバー操作量に応じたパイロット圧を出力する減圧弁(所謂リモコン弁、図示せず)がそれぞれ設置されているか、またはスペース上これらの減圧弁を設置できない場合は、各レバー操作量を電気的に検出する回動型ポテンショメータなどの角度センサがそれぞれ設置されており、これらの角度センサにより検出された電気信号は、比例減圧弁などによりパイロット圧に変換される。
【0072】
このように、第2の実施の形態は、図5に示された3方向制御レバー装置12aと、図6に示された走行・旋回制御レバー装置13aとが、図4に示されるように運転席の右側と左側とに設置されたもので、要するに、図1乃至図3に示された第1の実施の形態のうち、スイング操作部25の回動軸26の回動を廃止し、その代替機構を走行制御レバー装置側に設置したものである。
【0073】
すなわち、一側のコンソールボックス14上には、3つの操作部22,23,28が設けられ、他側のコンソールボックス31上には、走行系の走行操作部35および旋回系のスイング操作部44が設けられている。
【0074】
これらの各操作部22,23,28,35,44の可動部には、操作量(移動量または回動量)に応じたパイロット圧を出力する減圧弁(所謂リモコン弁、図示せず)を設置するか、またはスペース上、これらの減圧弁を設置できない場所では、直動型または回動型ポテンショメータなどのストロークセンサまたは角度センサ(共に図示せず)を設置すると良い。
【0075】
これらのストロークセンサにより検出された移動量または角度センサにより検出された回動量に相当する各電気信号は、電磁比例弁、比例減圧弁などによりパイロット圧に変換され、これらのパイロット圧は油圧アクチュエータ制御回路のコントロール弁(図示せず)に入力され、コントロール弁は、それらのパイロット圧に応じてそれぞれストロークする複数のスプールにより、ブームシリンダ6c、スティックシリンダ7c、バケットシリンダ8c、走行モータ、旋回モータをそれぞれ方向制御および流量制御する。
【0076】
次に、この図4乃至図6に示された第2の実施の形態の作用効果を説明する。
【0077】
オペレータが、腕部支持体15の嵌着溝16内に嵌合支持された状態でグリップ19を掴んだ右側の腕部を前・後方向に動かすと、腕部支持体15が前・後方向に移動し、軸状のブーム操作部22が、コンソールボックス14の上面の長穴21に沿って前・後方向にスライド移動するので、長穴21の中央からのブーム操作部22の移動方向および移動量に応じてパイロット制御されるコントロール弁のブーム用スプールにより、ブーム操作部22の移動方向および移動量に応じた作動方向および作動速度でフロント作業装置5のブームシリンダ6cが作動制御され、ブーム6がブーム下げ・上げ方向に回動する。
【0078】
オペレータが、腕部支持体15の嵌着溝16内に嵌合支持された状態でグリップ19を掴んだ右側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かすと、すなわち左・右方向に水平に振ると、腕部支持体15およびサポートブラケット24が内・外方向に回動し、軸状のブーム操作部22に対し軸状のスティック操作部23が回動されるので、そのスティック操作部23の回動方向および回動量に応じてパイロット制御されるコントロール弁のスティック用スプールにより、スティック操作部23の回動方向および回動量に応じた作動方向および作動速度でフロント作業装置5のスティックシリンダ7cが制御され、スティック7がスティックイン・アウト方向に回動する。
【0079】
オペレータが、腕部支持体15の嵌着溝16内に嵌合支持された状態でグリップ19を掴んだ右側の腕部の手首を左・右方向すなわち内・外方向に動かすと、グリップ19とともにバケット操作部28が上下方向の回動軸27を支点に内・外方向に水平回動するので、そのバケット操作部28の回動方向および回動量に応じてパイロット制御されるコントロール弁のバケット用スプールにより、バケット操作部28の回動方向および回動量に応じた作動方向および作動速度でフロント作業装置5のバケットシリンダ8cが制御され、バケット8がバケットイン・アウト方向に回動する。
【0080】
一方、オペレータが旋回系を操作するときは、左側のコンソールボックス31上に設置された腕部支持体41の嵌着溝42内に嵌合支持された状態で腕部載せ台33のリストレスト・パッド34に手首を固定した左側の腕部を、肘を支点として内・外方向に動かすと、すなわち左・右方向に水平に振ると、腕部支持体41および腕部載せ台33が内・外方向に回動し、軸状のスイング操作部44が回動されるので、そのスイング操作部44の回動方向および回動量に応じてパイロット制御されるコントロール弁の旋回用スプールにより、スイング操作部44の回動方向および回動量に応じた作動方向および作動速度で上部旋回体2の旋回モータが制御され、上部旋回体2が右旋回・左旋回方向にスイングする。
【0081】
さらに、オペレータが走行系を操作するときは、左側の腕部支持体41の嵌着溝42内に左腕の肘などを嵌入した状態で、その手首を腕部載せ台33のリストレスト・パッド34に載せて左側の腕部を固定し、その左手の指先により走行操作部35の左右のレバー36をそれぞれ前・後方向に回動することにより、下部走行体1の左右の履帯1aをそれぞれ前進・後進方向に走行操作する。
【0082】
このように、図5に示された3方向制御レバー装置12aは、運転席11の一側に位置するコンソールボックス14上の一側の腕部支持体15またはグリップ19を動かして一側に設けられたブーム操作部22、スティック操作部23およびバケット操作部28を操作することでフロント作業装置5の各動作を片側の腕部のみで操作するので、初心者でも容易に操作でき、また、腕部支持体15およびグリップ19によりオペレータの腕部を支持して腕部の荷重を支えるので、長時間の作業にも耐えることができ、さらに、腕部を前・後方向に動かすと腕部支持体15を介してブーム操作部22が移動してブーム6をブーム下げ・上げ方向に回動操作し、腕部を肘を支点として内・外方向に動かすと腕部支持体15を介してスティック操作部23が回動してスティック7をスティックイン・アウト方向に回動操作し、手首を内・外方向に動かすとグリップ19を介してバケット操作部28が回動してバケット8をバケットイン・アウト方向に回動操作するので、フロント作業装置5の各操作を片側の腕部で容易に安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【0083】
また、図6に示された走行・旋回制御レバー装置13aは、運転席11の他側に位置するコンソールボックス31上にオペレータの左側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する他側の腕部支持体41が内外方向回動自在に設けられ、オペレータの左側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして他側の腕部支持体41を内・外方向に回動することによりこの腕部支持体41とともに回動するスイング操作部44により上部旋回体2を右旋回・左旋回方向にスイング操作するとともに、他側の腕部支持体41の前方にオペレータの左側の腕部の手首などを載せる腕部載せ台33を一体的に設置し、この腕部載せ台33の先端部上に下部走行体1の左右の履帯1aをそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部35を設置することで、右側の腕部によるフロント作業装置5の操作と、左側の腕部による上部旋回体2のスイング操作および下部走行体1の走行操作とを分けて操作できるので、これらの各操作をより容易にでき、また、他側の腕部支持体41の前方に一体的に設置した腕部載せ台33の先端部上に左右の履帯1aを走行操作する2本のレバー36を有する走行操作部35を設置したので、従来のように運転席11の前方に走行レバーを設置する必要がなく、操作レバーと走行レバーの間隔が狭く出入りがし難いという問題を解決できるとともに、腕部載せ台33のリストレスト・パッド34上に手首を固定した状態で指先により走行操作部35の各レバー36を回動するので、初心者であっても長時間の作業を容易にかつ安定して行なうことができ、操作性を向上できる。
【0084】
このように、図5に示された3方向制御レバー装置12aと、図6に示された走行・旋回制御レバー装置13aとが、運転席11の一側と他側とに分かれた方式は、一方の片側がフロント作業装置5の操作、他方の片側が上部旋回体2のスイング操作および下部走行体1の走行操作に分かれるので、操作がよりしやすくなる。
【0085】
さらに、これらの操作装置であれば、フロント作業装置5の3方向の動きを水平に展開した状態で模擬操作できるので、初心者でも操作しやすい操作装置を提供できる。
【0086】
また、オペレータは、その腕部を腕部支持体15,41に、手首をリストレスト・パッド29,34に預けて操作できるので、長時間の作業も問題なく、微操作性も良いものになる。
【0087】
また、走行操作部35のレバー36により走行レバーを手元に設置でき、運転席11の前方に設置する必要がないので、運転室への出入りが容易になる。
【0088】
さらに、運転席11の前方に、走行レバーに替わり、アタッチメントペダルを装着することも可能で、従来はアタッチメントペダルを付けるために外していたフットレストを外すことなく、アタッチメントペダルの装着が可能になる。または、アタッチメントペダルを、従来の2個から4個に増加できる。
【0089】
なお、本発明は、旋回型の油圧ショベルだけでなく、非旋回型のバックホーなどにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る作業機械の操作装置の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上操作装置の右側の4方向制御レバー装置を示す斜視図である。
【図3】同上操作装置の左側の走行制御レバー装置を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る作業機械の操作装置の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】同上操作装置の右側の3方向制御レバー装置を示す斜視図である。
【図6】同上操作装置の左側の走行・旋回制御レバー装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1 下部走行体
1a 履帯
2 上部旋回体
5 作業装置としてのフロント作業装置
6 ブーム
7 スティック
8 バケット
9 機体
11 運転席
14 一側のベース部材としてのコンソールボックス
15 一側の腕部支持体
17,18 関節部
19 グリップ
22 ブーム操作部
23 スティック操作部
25 スイング操作部
28 バケット操作部
31 他側のベース部材としてのコンソールボックス
33 腕部載せ台
35 走行操作部
36 レバー
41 他側の腕部支持体
44 スイング操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に対しブーム、スティックおよびバケットを備えた作業装置のブームがブーム下げ・上げ方向に回動可能に設けられ、ブームの先端部に対してスティックがスティックイン・アウト方向に回動可能に設けられ、スティックの先端部に対してバケットがバケットイン・アウト方向に回動可能に設けられた作業機械の運転席に添って配置された操作装置であって、
運転席の一側に配設された一側のベース部材と、
この一側のベース部材上に運転席のオペレータから見て前後方向移動自在かつ内外方向回動自在に設けられオペレータの一側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する一側の腕部支持体と、
この腕部支持体の前方に少なくとも1つの関節部を介して回動自在に設けられオペレータにより掴まれるグリップと、
腕部支持体に支持された状態でグリップを掴んだオペレータの一側の腕部を前・後方向に動かして腕部支持体を前・後方向に移動させることによりこの腕部支持体とともに移動して作業装置のブームをブーム下げ・上げ方向に回動操作するブーム操作部と、
オペレータの一側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして腕部支持体を内・外方向に回動することによりこの腕部支持体とともに回動して作業装置のスティックをスティックイン・アウト方向に回動操作するスティック操作部と、
グリップを掴んだオペレータの一側の腕部の手首を内・外方向に動かしてグリップを内・外方向に回動することによりこのグリップとともに回動して作業装置のバケットをバケットイン・アウト方向に回動操作するバケット操作部と
を具備したことを特徴とする作業機械の操作装置。
【請求項2】
左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に駆動する下部走行体に対して上部旋回体が右旋回・左旋回方向にスイング可能に設けられた機体を有する作業機械の運転席に添って配置された操作装置であって、
オペレータの一側の腕部の手首を右捻り・左捻り方向に捻って一側の腕部支持体に対しグリップを右捻り・左捻り方向に捻じることによりこのグリップとともに捻じられて下部走行体に対し上部旋回体を右旋回・左旋回方向にスイング操作するスイング操作部
を具備したことを特徴とする請求項1記載の作業機械の操作装置。
【請求項3】
運転席の他側に配設された他側のベース部材と、
この他側のベース部材上に運転席のオペレータから見て前後方向に設置されオペレータの他側の腕部を載せる腕部載せ台と、
この腕部載せ台の先端部上にそれぞれ前・後方向回動自在に左右並設された2本のレバーを有しオペレータの指先によりこれらのレバーを前・後方向に回動することにより下部走行体の左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部と
を具備したことを特徴とする請求項2記載の作業機械の操作装置。
【請求項4】
左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に駆動する下部走行体に対して上部旋回体が右旋回・左旋回方向にスイング可能に設けられた機体を有する作業機械の運転席に添って配置された操作装置であって、
運転席の他側に配設された他側のベース部材と、
この他側のベース部材上に運転席のオペレータから見て内外方向回動自在に設けられオペレータの他側の腕部の肘から先の部分を一体的に支持する他側の腕部支持体と、
他側の腕部支持体の前方に一体的に設置されオペレータの他側の腕部を載せる腕部載せ台と、
オペレータの他側の腕部を肘を支点として内・外方向に動かして他側の腕部支持体を内・外方向に回動することによりこの腕部支持体とともに回動して下部走行体に対し上部旋回体を右旋回・左旋回方向にスイング操作するスイング操作部と、
腕部載せ台の先端部上にそれぞれ前・後方向回動自在に左右並設された2本のレバーを有しオペレータの指先によりこれらのレバーを前・後方向に回動することにより下部走行体の左右の履帯をそれぞれ前進・後進方向に走行操作する走行操作部と
を具備したことを特徴とする請求項1記載の作業機械の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−28953(P2006−28953A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211391(P2004−211391)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】