説明

作業機械

【課題】 片手のみの操作でエンジンカバーを開扉状態に保持でき、開扉状態の開き角度を大きく確保できるようにする。
【解決手段】 開扉保持機構21のステーガイド27に、長尺の直線状ガイド部28AとV字状ガイド28Bからなるガイド穴28を設ける。V字状ガイド部28Bの第1の屈曲部28B1 は、直線状ガイド部28Aの他側となる位置でステー22の先端側が起伏動作するときの移動軌跡25に沿って折曲がるように形成する。また、第2の屈曲部28B2 は、第1の屈曲部28B1 の端部から略V字状に屈曲した形状に形成され、第1の屈曲部28B1 に対して移動軌跡25の径方向外側へと延びている。そして、エンジンカバー14を開扉状態に保持するときには、ステー22の先端側を第2の屈曲部28B2 に掛止めしてロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、クレーン、ホイールローダ、フォークリフト等の建設機械または運搬機械等として好適に用いられる作業機械に関し、特に、エンジン等の動力源を収容する建屋カバーを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の作業機械(建設機械)にあっては、車体のフレーム上に建屋カバーを設け、この建屋カバーによりエンジン等の動力源を収容する機械室を内部に画成する構成としている。また、建屋カバーの上部には、機械室内のエンジンを整備、点検するために点検用の開口部を設け、この開口部をエンジンカバー(ボンネット)により開閉可能に覆う構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、前記エンジンカバーと建屋カバーとの間には、エンジンカバーを開いた状態(開扉状態)に保持するために、スライドバー(ステー)とスライドレール(ステーガイド)とが設けられ、エンジンカバーを開扉操作するときには、前記スライドバーをスライドレールに沿って一側から他側へと摺動変位させる。
【0004】
そして、スライドレールの他側には、スライドバーを係止するための引掛部が設けられ、エンジンカバーを開扉状態に保持するときには、オペレータがスライドバーを把持してスライドレールの引掛部に手作業で係止させる。これにより、エンジンカバーは開扉状態に保持(固定)されるものである。
【0005】
【特許文献1】特開2001−180526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来技術では、スライドレールの端部に設けた引掛部にスライドバーを係止させることにより、エンジンカバーを開扉状態に保持する構成としているに過ぎず、エンジンカバーの開き角度(開扉角度)を必ずしも十分に大きな角度に設定することができないという問題がある。
【0007】
即ち、油圧ショベル等の建設機械は、最近の道路事情により車幅を可能な限り小さくしてコンパクトに形成することが要求されている。これにより、建屋カバーの幅寸法も小さく制限されることになり、建屋カバーに設ける点検用の開口部も必然的に小さくなってしまう。
【0008】
このため、点検用の開口部を開閉するエンジンカバーは、その開き角度(開扉角度)を十分に大きな角度に設定して開扉状態に保持しない限り、建屋カバー内のエンジンを整備、点検する上で、エンジンカバーが邪魔になることがあり、メンテナンス時の作業性が低下するという問題がある。
【0009】
また、従来技術にあっては、エンジンカバーを開扉状態に保持するときに、スライドレールの他側に設けた引掛部に対し、スライドバーを手作業で係止させる必要があるため、エンジンカバーを開扉状態に保持する作業に手間がかかり、オペレータの負担が増大するという問題がある。
【0010】
即ち、オペレータはエンジンカバーを開扉するときに、一方の手でエンジンカバーを開きながら、他方の手でスライドバーを把持してスライドレールの引掛部に手作業で係止させる必要があり、片手の操作ではエンジンカバーを開扉状態に保持することができない。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、片手のみの操作でエンジンカバーを開扉状態に保持することができ、オペレータの負担を確実に軽減できるようにした作業機械を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、エンジンカバーを開扉状態に保持するときの開き角度を大きくすることができ、建屋カバー内に収容したエンジン等の整備、点検を安定して行うことができると共に、オペレータの負担を軽減でき、メンテナンス時の作業性を向上できるようにした作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明は、作業装置が設けられた車体のフレームと、該フレーム上に搭載されたエンジンと、前記フレーム上に立設されて内部に該エンジンを収容する機械室を画成し上部に該エンジンを点検するための開口部が設けられた建屋カバーと、該建屋カバーの開口部を覆うように該建屋カバー上に開閉可能に設けられたエンジンカバーと、前記建屋カバーとエンジンカバーとの間に設けられ該エンジンカバーを上向きに開いたときに該エンジンカバーを開扉状態に保持する開扉保持手段とを備えてなる作業機械に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記開扉保持手段を、基端側が前記建屋カバーに回動可能に取付けられ先端側が前記エンジンカバーの開閉操作に追従して円弧状の移動軌跡を描くように起伏されるステーと、前記エンジンカバーに設けられ該エンジンカバーの開閉操作に伴って前記ステーの先端側をガイドするステーガイドとにより構成し、該ステーガイドは、前記エンジンカバーを閉扉位置から開扉位置へと開くときに前記ステーの先端側を前記エンジンカバーの開き角に応じて長さ方向の一側から他側へと直線状にガイドする直線状ガイド部と、該直線状ガイド部の他側位置にV字状をなして形成され前記エンジンカバーの開き角が最大となる最大開扉位置まで前記ステーの先端側をガイドして前記エンジンカバーの自重によりロック状態に掛止めするV字状ガイド部とを有する構成としたことにある。
【0015】
また、請求項2の発明によると、前記ステーガイドのV字状ガイド部は、前記ステーの先端側を前記直線状ガイド部の他側位置から前記エンジンカバーの最大開扉位置までガイドするため前記直線状ガイド部の他側位置から前記ステーの先端側が描く前記移動軌跡に沿って屈曲して延びた第1の屈曲部と、該第1の屈曲部の先端から前記移動軌跡の径方向外向きに屈曲し前記エンジンカバーの自重により前記ステーの先端側がロック状態に掛止めされる第2の屈曲部とにより構成している。
【0016】
さらに、請求項3の発明によると、前記エンジンカバーは、最大開扉位置まで開いたときに自重により閉扉方向に動くように該エンジンカバーの重心を前記ステーガイドのV字状ガイド部よりも下方となる位置に配置する構成としている。
【発明の効果】
【0017】
上述した如く、請求項1に記載の発明によれば、開扉保持手段のステーガイドに長尺の直線状ガイド部とV字状ガイド部とを設け、このうちのV字状ガイド部は、前記直線状ガイド部の他側となる位置でV字状をなすように形成する構成としているので、エンジンカバーの開扉角度が最大となる位置まで前記ステーの先端側を円滑に案内でき、開扉角度が最大となったときには、これ以上にステーが開扉方向へと移動するのを規制できる。そして、エンジンカバーを最大開扉位置まで開いた後にオペレータがエンジンカバーから手を離すと、該エンジンカバーが自重で閉扉方向に移動し始めることにより、前記ステーの先端側をV字状ガイド部の端部に掛止めすることができ、ステーの動きをロックできると共に、このときにエンジンカバーを開扉状態に掛止めして保持することができる。
【0018】
従って、エンジンカバーの開閉操作を行うオペレータは、片手のみの操作でエンジンカバーを開扉状態に保持することができ、オペレータの負担を確実に軽減できる。そして、ステーガイドに直線状ガイド部とV字状ガイド部とを設けることにより、エンジンカバーを開扉状態に保持するときの開き角度を大きくすることができ、建屋カバー内に収容したエンジン等の整備、点検(メンテナンス作業)を安定して行うことができる。これにより、オペレータの負担を軽減でき、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
【0019】
また、請求項2に記載の発明によれば、ステーガイドに設けたV字状ガイド部を、直線状ガイド部の他側位置からステーの先端側が描く移動軌跡に沿って屈曲して延びた第1の屈曲部と、該第1の屈曲部の先端から前記移動軌跡の径方向外向きに屈曲しエンジンカバーの自重により前記ステーの先端側がロック状態に掛止めされる第2の屈曲部とにより構成しているので、V字状ガイド部は、第1の屈曲部によりエンジンカバーの開扉角度が最大となる位置まで前記ステーの先端側を移動軌跡に沿って円滑に案内でき、開扉角度が最大となったときには、これ以上にステーが開扉方向へと移動するのを第1の屈曲部により規制することができる。そして、エンジンカバーを最大開扉位置まで開いた後にオペレータがエンジンカバーから手を離すと、該エンジンカバーが自重で閉扉方向に移動し始めることにより、前記ステーの先端側をV字状ガイド部の第2の屈曲部に掛止めし、ステーの動きをロックできると共に、このときにエンジンカバーを開扉状態に掛止めして保持することができる。また、エンジンカバーを開扉位置から閉扉するときには、ステーの先端側を第2の屈曲部から第1の屈曲部へと滑らかに移動させて掛止め状態を解除でき、その後はステーの先端側を第1の屈曲部から直線状ガイド部に向けて摺動変位させ、エンジンカバーを閉扉位置まで戻すことができる。
【0020】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、エンジンカバーを最大開扉位置まで開いたときに、その重心位置がステーガイドのV字状ガイド部よりも下方となる位置に配置されるので、ステーの先端側をステーガイドのV字状ガイド部に自重により掛止めしたときに、この掛止め状態(ロック状態)を安定して保持することができ、例えば風等の外力でエンジンカバーの開扉状態(ロック状態)が誤って解除されるのを防ぐことができる。このため、エンジンカバーの開扉状態で行うエンジン等の整備、点検(メンテナンス)作業を安心して行うことができ、メンテナンス作業に伴うオペレータの負担を軽減できると共に、作業性、安全性等を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態による作業機械を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0022】
ここで、図1ないし図11は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は作業機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、図1に示すように自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、例えば土砂等の掘削作業を行うため該上部旋回体3の前部に俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0023】
この場合、油圧ショベル1の上部旋回体3は、下部走行体2と共に作業機械の車体を構成するものである。そして、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、キャブ6、カウンタウエイト7、建屋カバー8、エンジン10およびエンジンカバー14等により構成されている。また、上部旋回体3の車幅は、図2中に示す寸法Wに設定され、後述の建屋カバー8は、この寸法Wの範囲で小さくコンパクトに形成されるものである。
【0024】
5は上部旋回体3の支持構造体(フレーム)を構成する旋回フレームで、該旋回フレーム5は、その前側に作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、後側には後述のカウンタウエイト7が取付けられている。
【0025】
6は旋回フレーム5の前部左側に配設されたオペレータの搭乗部となるキャブで、該キャブ6は、その内部に運転室を画成し、オペレータが着座する運転席、操作レバー、操作ペダル(いずれも図示せず)等が配設されている。
【0026】
7は旋回フレーム5の後端側に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト7は、旋回フレーム5の後端側に着脱可能に搭載され、前側の作業装置4に対して上部旋回体3全体の重量バランスをとるものである。また、カウンタウエイト7の前側には、後述のエンジン10等を収容する建屋カバー8が設けられている。そして、カウンタウエイト7の上面7Aは、図3に示すように後述の上部カバー8Bとほぼ同一の面上(高さ位置)に配置されるものである。
【0027】
8はキャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5上に立設された建屋カバーで、該建屋カバー8は、図1ないし図4に示すように鋼板等からなる複数枚の金属パネルを用いて形成され、内部に機械室を画成するものである。そして、建屋カバー8は、旋回フレーム5の左,右両側に立設されたサイドカバー8A,8Aと、該各サイドカバー8Aの上部側に設けられた上部カバー8B等とにより構成されている。
【0028】
9は建屋カバー8の上部カバー8Bに設けられた点検口となる開口部で、該開口部9は、図4に示す如く後述のエンジン10等を上方から点検したりするときにエンジンカバー14を介して開,閉されるものである。そして、開口部9は、カウンタウエイト7の前側に位置して上部カバー8Bの前,後方向と左,右方向に延びる略四角状の角穴として形成されている。
【0029】
ここで、開口部9は、上部カバー8Bの中央位置に対して左,右方向の一側(図4中の左側)にオフセットして配設され、後述するエンジン10のうち熱交換器11および冷却ファン12等の整備、点検を上方から有利に行い得るように形成されている。そして、この開口部9は、後述のエンジンカバー14によって上側から開閉可能に覆われるものである。
【0030】
10はカウンタウエイト7寄りに位置して旋回フレーム5の後部側に設けられた原動機としてのエンジンで、該エンジン10は、例えば図2、図4中に二点鎖線で示すように建屋カバー8内(機械室)に横置き状態で収容され、建屋カバー8内を左,右方向に延在している。そして、エンジン10の一側には、例えばラジエータ、オイルクーラ等からなる熱交換器11と冷却ファン12等とが配設され、エンジン10の他側には、複数台の油圧ポンプ13等が配設されるものである。
【0031】
14は建屋カバー8の開口部9を開,閉するエンジンカバーで、該エンジンカバー14は、図2ないし図6、図8に示す如く、略長方形状をなす上側の蓋板部14Aと、該蓋板部14Aの左,右方向両側に位置し斜め下向きに拡開して延びた左側板部14B,右側板部14Cと、蓋板部14Aの前,後方向両側に位置し斜め下向きに拡開して延びた前板部14D,後板部14Eとにより、四角形状をなす比較的扁平(浅底)なカバー体として形成されている。
【0032】
この場合、エンジンカバー14の左側板部14Bは、その下側部位が後述のヒンジ16等を用いて建屋カバー8(上部カバー8B)の上面に回動可能に連結されている。これにより、エンジンカバー14は、ヒンジ16を回動支点として上向きに開閉され、このときに右側板部14Cは、自由端となって図4に示す如く上,下に起伏される。
【0033】
また、エンジンカバー14を図2、図3に示す如く閉じたときには、左側板部14B、右側板部14Cおよび前板部14D等が上部カバー8Bの上面に後述のシール部材17等を介して当接し、後板部14Eはカウンタウエイト7の上面7Aにシール部材17等を介して当接する。これにより、閉扉状態のエンジンカバー14は、例えば雨水、ダスト等の異物が上部カバー8Bの開口部9から建屋カバー8内に浸入するのを防ぐものである。
【0034】
ここで、エンジンカバー14は、建屋カバー8の開口部9を開,閉するために上部カバー8Bの左,右方向一側(図2〜図4中の左側)にオフセットして配設されている。そして、エンジンカバー14の長さ(左,右方向の寸法)は、図2中の車幅(寸法W)に比較して、例えば1/3〜1/2程度まで小さく形成されている。
【0035】
これにより、エンジンカバー14は重量が軽減され、メンテナンス作業を行うオペレータは、後述の把手18を持ってエンジンカバー14を容易に開くことができるものである。また、エンジンカバー14の右側板部14Cには、上部カバー8Bとの間にロック機構(図示せず)等が設けられ、このロック機構は、エンジンカバー14で建屋カバー8の開口部9を閉じたときに、エンジンカバー14を閉扉状態に保持し、必要に応じてロックする構成となっているものである。
【0036】
一方、エンジンカバー14の蓋板部14Aと前板部14Dとの間には、後述のステーガイド27が溶接等の手段で固着して設けられている。そして、エンジンカバー14を開扉操作するときには、後述のステー22をステーガイド27のガイド穴28に沿って摺動変位させることにより、エンジンカバー14はステー22を介して図6に示す最大開扉位置まで開いた後に、その自重Wg によって図8に示す開扉位置に保持されるものである。
【0037】
また、エンジンカバー14の重心G(重心位置)は、図6および図7に例示する最大開扉位置(開き角θ1 の位置)において、後述する移動軌跡25よりも僅かに外側となる位置で、かつガイド穴28のV字状ガイド部28Bよりも下方となる位置に配置されるものである。そして、この重心Gには、エンジンカバー14の自重Wg が作用し、この自重Wg は、図7中に示すように縦方向成分Wg1と横方向成分Wg2との2軸方向の成分に分解される。このためエンジンカバー14は、自重Wg の横方向成分Wg2により閉扉方向の力を受けるものである。
【0038】
15はエンジンカバー14の左側板部14Bにヒンジ16を取付けるための取付板で、該取付板15は、例えば金属薄板を略コ字状に折曲げることにより図5に示すように形成され、エンジンカバー14の左側板部14B(内側面)に溶接等の手段を用いて固着されている。そして、取付板15は、エンジンカバー14の左側板部14Bを内側から補強すると共に、後述のヒンジ16を左側板部14Bに対して強固に取付けるものである。
【0039】
16,16は建屋カバー8の上部カバー8Bにエンジンカバー14を開閉可能に連結するヒンジで、これらのヒンジ16は、例えば蝶番等からなる連結具により構成されている。そして、ヒンジ16は、図2〜図6、図8に示すように建屋カバー8の上部カバー8Bとエンジンカバー14の取付板15との間に回動可能に取付けられ、エンジンカバー14を開,閉するときの支点(回動中心)を構成するものである。
【0040】
17はエンジンカバー14の下面側に設けられたシール部材で、該シール部材17は、図5に示すようにエンジンカバー14の下面全体(左側板部14B、右側板部14C、前板部14Dおよび後板部14Eの下面)に取付けられ、開口部9の周囲に位置する上部カバー8B、カウンタウエイト7の上面7Aとエンジンカバー14との間をシールするものである。
【0041】
18はエンジンカバー14の蓋板部14Aに固定して設けた把手で、該把手18は、図2、図3に示す如くエンジンカバー14の右側板部14Cに近い位置で蓋板部14Aの中央部(前,後方向の中間位置)に取付けられている。そして、メンテナンス作業等を行うオペレータは、把手18を片手で把持しつつエンジンカバー14を、ヒンジ16を回動支点として持上げることにより開扉操作を行うものである。
【0042】
19は図2に示すように建屋カバー8の右側に位置して旋回フレーム5上に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク19は、前記油圧ポンプ13の吸込側に接続されると共に、油圧アクチュエータ(図示せず)からの戻り油が還流されるものである。また、作動油タンク19の前側には、前記エンジン10に燃料を供給するための燃料タンク20等が設けられている。
【0043】
21は本実施の形態で採用した開扉保持手段としての開扉保持機構で、この開扉保持機構21は、図4〜図10に示す後述のステー22とステーガイド27等とにより構成され、エンジンカバー14を図8中に実線で示す開扉保持位置にロックするものである。そして、ステー22およびステーガイド27からなる開扉保持機構21は、エンジンカバー14の前板部14D側に位置して建屋カバー8の上部カバー8Bとエンジンカバー14との間に取付けられている。
【0044】
22は建屋カバー8の上部カバー8B上に回動可能に取付けられたステーで、該ステー22は、例えば鋼鉄棒等からなる細長棒状体を図10に示すように折曲げることにより形成されている。そして、ステー22の基端側には枢着部23が設けられ、この枢着部23は、後述のブラケット26に抜止め状態で回動可能に連結されるものである。また、ステー22の自由端となる先端側には、後述するステーガイド27のガイド穴28に沿って摺動(滑動)する段付ローラ24が設けられている。
【0045】
ここで、ステー22は、図5〜図7に示す半径Rに対応した有効長さを有し、枢着部23を中心にして回動される。そして、ステー22の先端側(段付ローラ24)は、図5、図6および図8に示す如くエンジンカバー14を開閉操作するときに、これに追従して半径Rの円弧状をなす移動軌跡25を描くように上,下に起伏されるものである。
【0046】
26はステー22の基端側を回動可能に支持するブラケットで、該ブラケット26は、開口部9の周囲(前,後方向の前側)に位置して建屋カバー8の上部カバー8Bに図5に示す如くボルト等を用いて固定されている。そして、ブラケット26は、図5に示す如くエンジンカバー14を閉扉状態としたときに、後述のステーガイド27よりもヒンジ16に近い左側位置に配設されている。
【0047】
また、ブラケット26は、ステー22の枢着部23がヒンジ16から予め決められた寸法Lだけ右側に離間した位置に配置されている。これにより、エンジンカバー14を図8中に実線で示す開扉位置まで開いたときには、ステー22が正立位置(ブラケット26の上方位置)を超えてヒンジ16側へと逆向きに傾いた状態に配置され、ステー22の先端側(段付ローラ24)は、後述の第2の屈曲部28B2 に対し自重により掛止めされるものである。
【0048】
27はエンジンカバー14の前板部14D側に設けられるステーガイドで、該ステーガイド27は、例えば鋼板等の金属板材を図10に示すように曲げ加工することにより形成され、エンジンカバー14の長さ方向に延びる水平板部27Aと垂直板部27Bとを有している。そして、ステーガイド27の垂直板部27Bには、後述のガイド穴28が長尺に延びるように穿設され、垂直板部27Bの上端側には、庇状をなす折曲げ部27C,27Dが互いに異なる高さをもって曲げ成形されている。
【0049】
ここで、ステーガイド27は、エンジンカバー14の蓋板部14Aと前板部14Dとの間に、両者の角隅側を覆うように設けられる。即ち、ステーガイド27は、水平板部27Aの端縁部がエンジンカバー14の前板部14Dに溶接等の手段で接合され、水平板部27Aの下面は、前板部14Dの下面とほぼ同一の平面(面一)に配設される。また、ステーガイド27の垂直板部27Bは、折曲げ部27C,27Dが蓋板部14Aの内側面(下面)に突当てた状態で溶接されるものである。
【0050】
これにより、ステーガイド27は、前板部14Dに沿ってほぼ平行に延びるようにエンジンカバー14内に固着される。そして、ステーガイド27は、エンジンカバー14の長さ方向(車両の左,右方向)中間位置から右側面部14Cに向けて延びるようにエンジンカバー14内に配設されるものである。
【0051】
28はステーガイド27の垂直板部27Bに設けられた長尺のガイド穴で、該ガイド穴28は、ステーガイド27の板厚方向に穿設され、ステーガイド27の長さ方向一側から他側に向けて細長く延びる長穴として形成されている。また、ガイド穴28は、ステー22の段付ローラ24にほぼ対応した幅寸法を有し、ステー22の先端側(段付ローラ24)をガイド穴28の長さ方向に摺動(滑動)可能にガイドするものである。
【0052】
ここで、ガイド穴28は、エンジンカバー14を閉扉位置から開扉位置へと開くときにステー22の先端側をエンジンカバー14の開き角に応じて長さ方向の一側から他側へとガイドするため、ステーガイド27の長さ方向に直線状に延びた長尺の直線状ガイド部28Aと、該直線状ガイド部28Aの他側に位置しV字状に屈曲して形成されたV字状ガイド部28Bとにより構成されている。そして、このV字状ガイド部28Bは、エンジンカバー14の最大開扉位置までステー22の先端側をガイドしてエンジンカバー14の自重Wg (横方向成分Wg2)によりステー22をロック状態に掛止めするものである。
【0053】
即ち、ステーガイド27のガイド穴28に設けたV字状ガイド部28Bは、ステー22の先端側を直線状ガイド部28Aの他側位置からエンジンカバー14の最大開扉位置までガイドするため直線状ガイド部28Aの他側位置からステー22の先端側が描く移動軌跡25に沿って屈曲して延びた第1の屈曲部28B1 と、該第1の屈曲部28B1 の先端から移動軌跡25の径方向外向きに屈曲しエンジンカバー14の自重Wg によりステー22の先端側がロック状態に掛止めされる第2の屈曲部28B2 とにより構成されている。
【0054】
この場合、V字状ガイド部28Bを構成する第1の屈曲部28B1 は、図11中に示すように直線状ガイド部28Aに対して鈍角となる角度α(例えば、130〜140度)分だけ略「く」字状に屈曲して形成されている。また、第2の屈曲部28B2 は、第1の屈曲部28B1 対してほぼ直角となる角度β(例えば、85〜95度)分だけ略V字状に屈曲して形成されている。
【0055】
そして、第1の屈曲部28B1 は、図6、図7に示す如くエンジンカバー14を最大開扉位置(開き角θ1 の位置)まで開くときに、ステー22の先端側を半径Rの移動軌跡25に沿って円滑に案内し、エンジンカバー14の開扉角度(開き角θ1 )が最大となったときには、これ以上にステー22が開扉方向へと移動するのを第1の屈曲部28B1 の端部で規制するものである。
【0056】
また、第2の屈曲部28B2 は、図11に示すように第1の屈曲部28B1 の端部から略V字状に屈曲した形状に形成され、第1の屈曲部28B1 に対して移動軌跡25の径方向外側へと延びている。そして、第2の屈曲部28B2 は、エンジンカバー14を図6、図7中に実線で示す最大開扉位置(開き角θ1 の位置)まで開いた状態でオペレータがエンジンカバー14から手を離す(開扉方向の力を解除する)と、エンジンカバー14が自重Wg (横方向成分Wg2)により閉扉方向に移動し始めるのを許すと共に、ステー22の先端側を図8に示すように第2の屈曲部28B2 内に導くことよりロック状態に掛止めするものである。
【0057】
この場合、ガイド穴28のV字状ガイド部28Bは、エンジンカバー14を図6、図7に例示した最大開扉位置(開き角θ1 の位置)まで開いたときに、エンジンカバー14の重心G(重心位置)よりも上方となる位置に配置される。このため、ステー22の先端側を第1の屈曲部28B1 から第2の屈曲部28B2 へと自重により掛止めしたときに、この掛止め状態(ロック状態)を安定して保持できるものである。
【0058】
また、ガイド穴28には、直線状ガイド部28Aの途中位置に大径のローラ挿通部28Cが穿設されている。そして、ステー22の先端側に設けた段付ローラ24(図10参照)をガイド穴28内に摺動(滑動)可能に取付けるときには、段付ローラ24がローラ挿通部28Cを介して挿通され、これにより段付ローラ24は、ガイド穴28に対して抜止め状態に保持されるものである。
【0059】
即ち、開扉保持機構21を組立てる(または分解する)ときには、段付ローラ24をローラ挿通部28Cの位置に位置合わせした状態で、段付ローラ24をローラ挿通部28C内に挿通(または、ローラ挿通部28C内から抜き出したり)して、ガイド穴28に対する段付ローラ24の組付け(取外し)を行うものである。
【0060】
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0061】
まず、油圧ショベル1のキャブ6内に乗り込んだオペレータが始動スイッチを操作し、建屋カバー8内のエンジン10を起動すると、該エンジン10によって油圧ポンプ13等が駆動される。そして、オペレータがキャブ6内の操作レバー等を適宜に傾動操作することにより、油圧ポンプ13からの圧油が作業装置4の各油圧シリンダ、旋回用の油圧モータ、または下部走行体2の走行用油圧モータ(いずれも図示せず)等に給排され、土砂等の掘削作業を行うものである。
【0062】
また、建屋カバー8内に設けたエンジン10、熱交換器11および冷却ファン12等の保守、点検を行うときには、オペレータが把手18を片方の手で把持して持上げることにより、エンジンカバー14の開扉操作を行う。この場合、エンジンカバー14を、片手のみの操作でヒンジ16を回動支点として上方に開きつつ、開扉保持機構21により図8、図9中に実線で示す開き角θ2 の開扉保持位置にロック(掛止め)することができる。
【0063】
即ち、オペレータが片手のみの操作でエンジンカバー14を閉扉位置から開扉位置へと開くときに、ステー22の先端側(段付ローラ24)がステーガイド27に設けたガイド穴28のうち、その長さ方向に直線状に延びた直線状ガイド部28Aの一側から他側へとガイドされ、ステー22は図5〜図9中に示す半径Rの移動軌跡25に沿って起伏動作する。
【0064】
そして、エンジンカバー14の開扉操作をさらに続けると、ステー22の先端側(段付ローラ24)がガイド穴28(V字状ガイド部28B)の第1の屈曲部28B1 に達し、図6、図7中に実線で示すようにステー22の先端側を第1の屈曲部28B1 により移動軌跡25に沿って円滑に案内できる。そして、エンジンカバー14の開扉角度が開き角θ1 の最大開扉位置となったときには、これ以上にステー22が開扉方向へと移動するのを第1の屈曲部28B1 の端部で規制することができる。
【0065】
次に、この状態(図6、図7中に実線で示す最大開扉位置)で、オペレータがエンジンカバー14(把手18)から手を離すように開扉方向の力を解除すると、エンジンカバー14が自重Wg (横方向成分Wg2)により閉扉方向に移動し始めるため、ステー22の先端側(段付ローラ24)が図8、図9に示す如く第1の屈曲部28B1 から第2の屈曲部28B2 内に導かれ、ステー22の先端側を自動的に第2の屈曲部28B2 内へとロック状態に掛止めすることができる。
【0066】
この場合、エンジンカバー14を図6、図7に例示した最大開扉位置(開き角θ1 の位置)まで開いたときに、エンジンカバー14の重心Gを、移動軌跡25よりも僅かに外側となる位置で、かつガイド穴28のV字状ガイド部28Bよりも下方となる位置に配置するようにしている。
【0067】
このため、ステー22の先端側(段付ローラ24)を第1の屈曲部28B1 から第2の屈曲部28B2 へと自重により掛止めしたときに、この掛止め状態(ロック状態)を安定して保持することができ、例えば風等の外力でエンジンカバー14の開扉状態(ロック状態)が誤って解除される等の不具合をなくすことができる。
【0068】
また、上述の如き開扉操作を行うときにエンジンカバー14は、開き角θ1 の最大開扉位置から開き角θ2 の開扉保持位置まで角度Δθ(Δθ=θ1 −θ2 )分だけ僅かに戻される。しかし、この角度Δθを、例えば2〜3度の小さな角度に抑えることができ、開扉保持位置での開き角θ2 を、例えば74〜75度となる大きな開扉角度に設定し、大なる開き角θ2 を確保することができる。
【0069】
このように、ステー22およびステーガイド27等からなる開扉保持機構21を用いてエンジンカバー14を、図4中に二点差線で示す開扉保持位置にロックすることにより、上部カバー8Bに設けた開口部9を外部に大きく開放することができる。そして、この状態で開口部9を点検窓として用い、建屋カバー8内のエンジン10、熱交換器11および冷却ファン12等に対してメンテナンス(保守、点検)作業を容易に行うことができる。
【0070】
特に、熱交換器11のラジエータに用いる防塵ネットの脱着作業等を行うときには、エンジンカバー14を大きく開扉した状態に保持する必要がある。しかし、前述の如く開扉保持位置での開き角θ2 を大きな開扉角度(例えば、74〜75度)に設定できるため、エンジンカバー14の開扉状態で行う整備、点検(メンテナンス)作業を安心して行うことができ、メンテナンス作業に伴うオペレータの負担を軽減できると共に、作業性、安全性等を向上することができる。
【0071】
また、メンテナンス作業の終了後にエンジンカバー14を図8に示す開扉保持位置から閉扉方向に戻すときには、オペレータが一方の手でエンジンカバー14を最大開扉位置に向けて少し持上げることにより、ステー22の先端側をガイド穴28の第2の屈曲部28B2 から第1の屈曲部28B1 内へと移動させることができる。
【0072】
そして、このときにオペレータは他方の手でステー22を把持し、ステー22の先端側を第1の屈曲部28B1 から直線状ガイド部28Aに向けて強制的に動かすことにより、ステー22の掛止め状態を解除することができ、その後はステー22の先端側を直線状ガイド部28Aの一側へと摺動変位させることにより、エンジンカバー14を図5に実線で示す閉扉位置まで戻すことができる。
【0073】
かくして、本実施の形態によれば、開扉保持機構21のステーガイド27に、長尺の直線状ガイド部28AとV字状ガイド部28Bとからなるガイド穴28を設け、このV字状ガイド部28Bは、その第1の屈曲部28B1 が直線状ガイド部28Aの他側位置からステー22の先端側が描く円弧状の移動軌跡25に沿って折曲がるように屈曲させる構成としている。
【0074】
これにより、オペレータがエンジンカバー14を開扉操作するときに、その開扉角度が最大となる位置(開き角θ1 の位置)までステー22の先端側を移動軌跡25に沿って円滑に案内でき、開扉角度が最大となったときには、これ以上にステー22が開扉方向へと移動するのを第1の屈曲部28B1 により規制することができる。
【0075】
そして、エンジンカバー14を最大開扉位置まで開いた後には、オペレータがエンジンカバー14の把手18から手を離しても、エンジンカバー14が自重Wg で閉扉方向に移動し始めることにより、ステー22の先端側をステーガイド27(V字状ガイド部28B)の第2の屈曲部28B2 に掛止めでき、ステー22の動きをロックできると共に、このときにエンジンカバー14を開扉状態(開き角θ2 の位置)に掛止めして保持することができる。
【0076】
従って、本実施の形態によれば、エンジンカバー14の開閉操作を行うオペレータは、片手のみの操作によってエンジンカバー14を開扉状態に保持することができ、開扉操作を行うオペレータの負担を確実に軽減することができる。
【0077】
そして、ステーガイド27のガイド穴28にV字状ガイド部28B(第1,第2の屈曲部28B1 ,28B2 )を設けることにより、エンジンカバー14を開扉状態に保持するときの開き角θ2 を、例えば75度に近い角度まで大きくすることができ、建屋カバー8内に収容したエンジン10等の整備、点検(メンテナンス作業)を安定して行うことができる。これにより、オペレータの負担を軽減でき、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
【0078】
なお、前記実施の形態では、直線状ガイド部28AとV字状ガイド部28Bとからなるガイド穴28をステーガイド27に設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばガイド穴に替えてほぼ同様の形状を有するガイド溝、ガイドレールまたはガイド突部等を設ける構成としてもよい。
【0079】
また、前記実施の形態では、建屋カバー8の上部カバー8B上でエンジンカバー14を開閉するときに、その開扉方向を車両の左,右方向にする場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば車両の前,後となる方向でエンジンカバーを上向きに開閉する構成としてもよい。
【0080】
また、前記実施の形態では、作業機械として油圧ショベルを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、ホイールローダ、フォークリフト等の建設機械または運搬機械等のように、建屋カバーの上部に設けた点検用の開口部を、エンジンカバーで開閉する構成とした種々の作業機械にも広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す全体図である。
【図2】図1中の上部旋回体を上側からみた平面図である。
【図3】上部旋回体の後部側を拡大して示す斜視図である。
【図4】建屋カバーの開口部およびエンジンカバー等を図2中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】図4中のエンジンカバーおよび開扉保持機構を拡大して示す断面図である。
【図6】図5中のエンジンカバーを最大開扉位置まで開いた状態を示す断面図である。
【図7】図6中の開扉保持機構を拡大して示す動作説明図である。
【図8】エンジンカバーを開扉保持位置まで開いた状態を示す断面図である。
【図9】図8中の開扉保持機構を拡大して示す動作説明図である。
【図10】開扉保持機構のステーとステーガイドとを示す分解斜視図である。
【図11】図10中のステーガイドを示す正面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 油圧ショベル(作業機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
5 旋回フレーム(フレーム)
6 キャブ
7 カウンタウエイト
8 建屋カバー
8A サイドカバー
8B 上部カバー
9 開口部
10 エンジン
11 熱交換器
12 冷却ファン
13 油圧ポンプ
14 エンジンカバー
16 ヒンジ
17 シール部材
18 把手
21 開扉保持機構(開扉保持手段)
22 ステー
23 枢着部(基端側)
24 段付ローラ(先端側)
25 移動軌跡
26 ブラケット
27 ステーガイド
28 ガイド穴
28A 直線状ガイド部
28B V字状ガイド部
28B1 第1の屈曲部
28B2 第2の屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置が設けられた車体のフレームと、該フレーム上に搭載されたエンジンと、前記フレーム上に立設されて内部に該エンジンを収容する機械室を画成し上部に開口部が設けられた建屋カバーと、該建屋カバーの開口部を覆うように該建屋カバー上に開閉可能に設けられたエンジンカバーと、前記建屋カバーとエンジンカバーとの間に設けられ該エンジンカバーを上向きに開いたときに該エンジンカバーを開扉状態に保持する開扉保持手段とを備えてなる作業機械において、
前記開扉保持手段は、基端側が前記建屋カバーに回動可能に取付けられ先端側が前記エンジンカバーの開閉操作に追従して円弧状の移動軌跡を描くように起伏されるステーと、前記エンジンカバーに設けられ該エンジンカバーの開閉操作に伴って前記ステーの先端側をガイドするステーガイドとにより構成し、
該ステーガイドは、前記エンジンカバーを閉扉位置から開扉位置へと開くときに前記ステーの先端側を前記エンジンカバーの開き角に応じて長さ方向の一側から他側へと直線状にガイドする直線状ガイド部と、該直線状ガイド部の他側位置にV字状をなして形成され前記エンジンカバーの開き角が最大となる最大開扉位置まで前記ステーの先端側をガイドして前記エンジンカバーの自重によりロック状態に掛止めするV字状ガイド部とを有する構成としたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記ステーガイドのV字状ガイド部は、前記ステーの先端側を前記直線状ガイド部の他側位置から前記エンジンカバーの最大開扉位置までガイドするため前記直線状ガイド部の他側位置から前記ステーの先端側が描く前記移動軌跡に沿って屈曲して延びた第1の屈曲部と、該第1の屈曲部の先端から前記移動軌跡の径方向外向きに屈曲し前記エンジンカバーの自重により前記ステーの先端側がロック状態に掛止めされる第2の屈曲部とにより構成してなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記エンジンカバーは、最大開扉位置まで開いたときに自重により閉扉方向に動くように該エンジンカバーの重心を前記ステーガイドのV字状ガイド部よりも下方となる位置に配置する構成としてなる請求項1または2に記載の作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−69673(P2007−69673A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256766(P2005−256766)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】