説明

作業機用エンジンの液体タンクおよび液体タンクキャップ

【課題】雄ネジ型のオイルフィラーキャップが雌ネジ型の先端給油口に装着されている場合であっても、オイルフィラーパイプの先端給油口の近傍であってオイルフィラーパイプの周囲に粉塵等が付着してしまうことを防止できる雄ネジ型のオイルフィラーキャップおよびシール部材を提供する。
【解決手段】シール部材56には、周壁部70および突起部71が形成されており、オイルフィラーキャップ50が先端部41に装着されている状態において、周壁部70により、オイルフィラーパイプ40の外周側が覆われる構成としている。
このため、先端部41近傍であってオイルフィラーパイプ40の周囲に粉塵等が付着してしまうことを防止でき、その結果、オイル交換や補充のためオイルフィラーキャップ50が取り外された場合、オイルフィラーパイプ40の周囲に付着した粉塵等が、注入口43を介してオイルフィラーパイプ40内へ混入するのを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジンのオイルタンクに具え付けられるオイルフィラーパイプの先端給油口に装着されるオイルフィラーキャップ、および、オイルフィラーキャップのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雄ネジ型のオイルフィラーキャップが雌ネジ型のオイルフィラーパイプの先端給油口に装着されている状態において、オイルフィラーキャップとオイルフィラーパイプの先端部との間に、ゴム等から成るリング形状のシール部材を挟み込んで保持させることで、隙間を塞ぐとともにオイル漏れを防ぎ、外部からの異物の混入を防ぐ構成が知れられている(特許文献1)。
【0003】
そして、このようなオイルフィラーキャップは、オイルタンク内に溜められたオイルの交換や補充の際には、オイルフィラーパイプの先端給油口から取り外され、その他の場合には、オイルフィラーパイプの先端給油口に装着された状態が維持されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−277938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オイルフィラーパイプは大抵の場合、外部に曝されており、例えば、コンクリートカッターやチェーンソーなどによる物体の切断作業の現場においては、切断作業に伴った多量の粉塵等が発生し、当該コンクリートカッター等の作業機に備えられたオイルフィラーパイプの外周面には、多くの粉塵等が付着および蓄積することとなる。そのため、オイルフィラーキャップおよびシール部材では、オイルフィラーキャップが装着されている通常時においては、オイルフィラーパイプの中に粉塵等が混入することを防止できるものの、オイルフィラーキャップが取り外され、オイルフィラーパイプの先端給油口が開いているときに、オイルフィラーパイプの周囲に付着等した粉塵等が先端給油口からオイルフィラーパイプ内に入り込んでしまうことがある。
【0006】
また、先端給油口から取り外されたオイルフィラーキャップは、粉塵等が散乱した屋外の地面等に一時的に置かれることが多く、オイルの注入や補充が行われた後、再び先端給油口に装着させることで、オイルフィラーキャップに付着した粉塵等がオイルフィラーパイプ内に入り込んでしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、オイルフィラーパイプの先端給油口の近傍であってオイルフィラーパイプの周囲に粉塵等が付着してしまうことを防止するとともに、オイルの注入や補充が行われた後、先端給油口を閉める際に、オイルフィラーパイプの中に粉塵等が混入してしまうことを防止することができる補給管のキャップおよび補給管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、作業機用エンジンに搭載される液体タンクの補給管の先端部に備わる注入口を開閉するためのキャップであって、前記注入口を覆う上壁部と、前記注入口の内面と嵌め合わせられ、前記上壁部から突出する嵌合部と、前記キャップを前記注入口に装着した状態において前記補給管の外周を覆う周壁部と、を具えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップであって、前記上壁部と前記嵌合部とが一体成形されるとともに、前記注入口を密閉するためのシール部材が、前記上壁部および前記嵌合部に装着され、前記シール部材に前記周壁部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、キャップが装着されているときに、注入口の周囲に粉塵等が付着してしまうことを防止でき、その結果、キャップが取り外されたときに、注入口の近傍等に付着した粉塵等が注入口へ混入するのを低減することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップであって、前記シール部材は弾性部材で形成されるとともに、前記上壁部側において前記上壁部へ向けて突出する第1シールリブと、前記注入口側において前記注入口へ向けて突出する第2シールリブとが形成され、前記嵌合部に対して前記第1シールリブは、前記第2シールリブよりも外側に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、キャップが装着されているときに、第1シールリブ及び第2シールリブへ作用する圧力により、キャップのシール部材の周壁部が補給管の表面に向けて撓むことになるため、注入口とキャップの周壁部との間隔を狭めることができ、より確実に、防塵性能の向上を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップであって、前記周壁部が前記嵌合部よりも先に突出することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、注入口からキャップを取り外し、キャップを屋外の地面等に一時的に置いた場合であっても、嵌合部等、キャップの内側部分が粉塵や砂利等により汚れてしまうことを防止できる。
そのため、地面等に一時的に置いたキャップを再び注入口に装着しても、嵌合部などに粉塵等が付着していないため、注入口を清潔に保つことが可能となる。
さらに、キャップを取り外している最中に、キャップの内側部分の嵌合部と注入口とが互いに外れた状態になったとしても、その時点において、補給管の周囲に縁部が長い周壁部があるため、キャップの突然の脱落を防止することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップであって、前記周壁部の内周に、前記補給管に当接する突起部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、キャップが装着されているときに、キャップの周壁部と補給管の周囲との間である隙間に粉塵等が混入してしまうことを防ぐことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップであって、前記嵌合部の外周面には雄ネジが形成され、前記注入口の内面に形成された雌ネジと結合できることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、より確実に、キャップを補給管に装着することが可能となる。
また、嵌合部の外周面に雄ネジが形成されているため、キャップを補給管から取り外す際には、シール部材が雄ネジのネジ突起に引っ掛かることになり、より確実に、シール部材がキャップから外れることなく、キャップとともに移動することが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップであって、前記上壁部と前記嵌合部と前記周壁部とが一体成形されており、前記注入口を密閉するためのシール部材が前記周壁部内側の前記上壁部に装着されることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、キャップが装着されているときに、注入口の周囲に粉塵等が付着してしまうことを防止でき、その結果、キャップが取り外されたときに、注入口の近傍等に付着した粉塵等が注入口へ混入するのを低減することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、作業機用エンジンの液体タンクであって、前記補給管の外周は、前記注入口に向けて管径が細くなるテーパ加工が少なくとも部分的に施されており、請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の液体タンクキャップを前記注入口に装着した状態において、前記テーパ加工が施された部分に前記周壁部が当接することを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、キャップを取り外すときに、周壁部と補給管との接触を抑えることができるので、キャップからシール部材が外れることを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、キャップを装着している場合に、補給管の先端の注入口近傍であって補給管の周囲に粉塵等が付着してしまうことを防止できるため、オイル補給等の際にキャップが取り外されても、注入口の周囲に付着した粉塵等が補給管内へ入り込んでしまうことを低減できる。
また、注入口からキャップを取り外し、粉塵や砂利等が散乱した屋外の地面等に一時的に置いた場合であっても、嵌合部等、キャップの内側部分が粉塵等により汚れてしまうことを防止でき、地面等に一時的に置いたキャップを再び注入口に装着しても、嵌合部などに粉塵等が付着していないため、注入口を清潔に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明が適用されるコンクリートカッターの外観を示した側面図である。
【図2】オイルフィラーパイプの取付け状態について示す図1中のA−A矢視断面図である。
【図3】オイルフィラーパイプの先端部に装着されたオイルフィラーキャップの拡大図である。
【図4】は、本発明の変形例を示す図である。
【図5】は、本発明の変形例を示す図である。
【図6】(a)および(b)は、別の実施例における、オイルフィラーパイプの先端部に装着されたオイルフィラーキャップの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、粉塵等が多く発生する現場で用いられる作業機であって、特に、コンクリートカッターやチェーンソーなど、物体の切断作業のための作業機に搭載される4サイクルエンジンに適用されるものであり、以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明を適用させたコンクリートカッターの概観を示しており、4サイクルエンジン10は、エンジン本体部11、燃料タンクの給油口に装着される燃料キャップ12、潤滑オイルを貯留するオイルタンク13、エンジン始動用のリコイルスタータ14を備えている。
そして、リコイルスタータ14の下方側にはオイルフィラーパイプ40が備えられており、当該オイルフィラーパイプ40の先端部にはオイルフィラーキャップ50が装着されている。
【0027】
ここにおいて、図1中におけるオイルフィラーパイプ40は、筒状に形成され、オイルタンク13内部と連通するようにネジ等により一体的に接続固定されている。
そして、図に示すように、オイルタンク13におけるオイルフィラーパイプ40の接続部の下方側には、エンジン本体11から潤滑オイルEOを排出するためのドレン孔30が備えられており、通常はボルトにより閉栓されている。
【0028】
ここで、本実施形態におけるオイルフィラーパイプ40、および、オイルフィラーパイプ40に装着されるオイルフィラーキャップ50について、図2を用いて説明する。
図2は、図1中のA−A矢視断面図であり、オイルタンク13にパッキン部材60を介して固着されるとともに、注入口43を閉鎖するため、先端部41にオイルフィラーキャップ50が装着されたオイルフィラーパイプ40を示す図である。
【0029】
図に示す通り、オイルフィラーキャップ50は、キャップ本体51およびシール部材56から構成されており、キャップ本体51は、指当て部材52、上壁部53、注入口43に挿入される嵌合部54、嵌合部54の外側表面部に形成された雄ネジ部55から構成されている。また、シール部材56はゴム製であり、当該シール部材56の弾性により、上壁部53と雄ネジ部55との間で保持されることとなる。
このオイルフィラーキャップ50は、作業者が指当て部材52を回転させることによって、雄ネジ部55がオイルフィラーパイプ40の内周面に形成された雌ネジ部42に締結され、オイルフィラーパイプ40の先端部41に装着される。
そして、この装着された状態にあって、先端部41とキャップ本体51の上壁部53との間にシール部材56が挟持されることにより、隙間を塞ぐこととしている。
【0030】
次に、図3を用いて、オイルフィラーキャップ50の構成について詳細に説明する。
図に示す通り、シール部材56は、オイルフィラーパイプ40の先端部41とキャップ本体51の上壁部53との間に挟持されることにより、隙間を塞ぐこととしている。
さらに、雄ネジ部55と雌ネジ部42との締結状態が解除されつつある最中、つまり、指当て部材52の回転操作により上壁部53が先端部41から離れていく場合であっても、雄ネジ部55のネジ突起に引っ掛かることで、シール部材56がオイルフィラーキャップ50から外れることなく、当該オイルフィラーキャップ50とともに移動することとなる。
【0031】
また、本実施形態において、シール部材56には周壁部70が形成されており、この周壁部70を具えることにより、オイルフィラーキャップ50が先端部41に装着されている状態において、先端部41近傍におけるオイルフィラーパイプ40の外周側が覆われる構成としている。
このため、オイルフィラーキャップ50が先端部41に装着されているときに、先端部41近傍であってオイルフィラーパイプ40の周囲に粉塵等が付着してしまうことを防止でき、その結果、オイル交換や補充のためオイルフィラーキャップ50が取り外された場合、オイルフィラーパイプ40の周囲に付着した粉塵等が、注入口43を通ってオイルフィラーパイプ40内へ混入するのを低減することができる。
【0032】
さらに、本実施形態においては、図に示す通り、周壁部70の内周面に、オイルフィラーパイプ40の外周面に向けて突出する突起部71を具えており、そのため、オイルフィラーパイプ40の外周面との間に形成される空間47の内側に粉塵等が混入してしまうことを防ぐことができる。
【0033】
また、図に示す通り、上壁部53の位置を基準として、周壁部70の長さL1を嵌合部54の長さL2よりも長くすることで、オイルフィラーパイプ40の先端部41からオイルフィラーキャップ50を取り外し、オイルフィラーキャップ50を屋外の地面等に一時的に置いた場合であっても、嵌合部54や雄ネジ部55など、オイルフィラーパイプ40の内側に進入する部分が砂利等により汚れてしまうことを防止できる。
このため、地面等に一時的に置いたオイルフィラーキャップ50を再び注入口43に装着しても、嵌合部54や雄ネジ部55などに粉塵等が付着していないため、注入口43を清潔に保つことが可能となる。
【0034】
加えて、指当て部材52の回転操作によりオイルフィラーキャップ50を取り外している間に、オイルフィラーキャップ50の内側部分の雄ネジ部55とオイルフィラーパイプ40の雌ネジ部42との締結が解除された状態になったとしても、その時点において、オイルフィラーパイプ40の周囲に裾が長い筒状の周壁部70があるため、オイルフィラーキャップ50の突然の脱落を防止することができる。
【0035】
なお、図4は、図3の変形例を示す図であり、オイルフィラーパイプ40の外周側を覆う周壁部70aをキャップ本体51に形成した構成を示す。
この場合においても、図中の周壁部70aを具えたことによる作用および効果は、図3における周壁部70と同様である。
また、図4においては、上壁部53と嵌合部54と周壁部70aとが一体成形されており、嵌合部54と周壁部70aとの間であって上壁部53の表面にリング状のシール部材56を具えており、先端部41と上壁部53との間を塞いでいる。
【0036】
また、図5は、図3の更なる変形例を示す図であり、シール部材56にシールリブ(図中56aおよび56b)を形成した構成を示す。
具体的には、図に示す通り、シール部材56は、オイルフィラーパイプ40の先端部41とキャップ本体51の上壁部53との間に挟持される密閉部56cと、周壁部70とで形成される。
更に、密閉部56cには、上壁部53に向けて突出する第1シールリブ56aが上壁部53との装着面80に設けられ、かつ、先端部41に向けて突出する第2シールリブ56bが先端部41との当接面90に設けられる。
そして、第1シールリブ56a及び第2シールリブ56bはシール部材56の表面において円周形状となっており、第1シールリブ56aの径は、第2シールリブ56bの径よりも大きく形成されている。
【0037】
このため、オイルフィラーキャップ50が注入口43に装着されている際には、上壁部53から第1シールリブ56aへ作用する圧力と、先端部41から第2シールリブ56bへ作用する圧力との同時作用により、図に示す通り、上壁部53と先端部41との間におけるシール部材56は、外側にいくほど先端部41側に向けて曲がる、又は、傾くこととなる。
その結果、シール部材56の周壁部70がオイルフィラーパイプ40の外周表面に向けて撓むことになるため、より確実に、周壁部70とオイルフィラーパイプ40との間に粉塵等が混入してしまうことを防ぐことができ、注入口43とオイルフィラーキャップ50との密閉性を向上させることができる。
【0038】
この場合、シール部材56は、アクリルゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴムなど、弾性部材によって形成されることが望ましい。
【0039】
次に、別の変形例について、図6(a)および(b)を用いて説明する。
図6(a)は、オイルタンク13から先端部41に向けてオイルフィラーパイプ40の管径が細くなるテーパ加工領域44を部分的に形成した構成、および、雄ネジ部55と雌ネジ部42とが締結又は解除されている最中において、周壁部70の内周面とオイルフィラーパイプ40の外周面とが接触することのない構成を示している。
そして、図6(b)は、雄ネジ部55と雌ネジ部42との締結操作の結果、周壁部70の端部72がテーパ加工領域44の表面に当接された状態を示している。
【0040】
この構成により、指当て部材52の回転操作によって雄ネジ部55と雌ネジ部42との締結が行われた結果、周壁部70の端部72がテーパ加工領域44の表面に当接されることとなり、オイルフィラーパイプ40の外周面との間に形成される空間47の内側に粉塵等が混入してしまうことを防ぐことができる。
【0041】
また、オイルフィラーパイプ40の先端部41について、図6(a)および(b)に示す通り、シール部材56の周壁部70の内径に比べて管径を細く形成することで、締結又は解除操作の際には、周壁部70が先端部41およびオイルフィラーパイプ40の外周面に接触することが無くなり、互いに摩擦を生じないため締結操作がスムーズに行われ、解除操作の際に、シール部材56がオイルフィラーキャップ50から外れる心配も無い。
【0042】
更に、図6(a)および(b)に示す周壁部70の端部72の位置において、先述した突起部71を設けてもよく(図示省略)、この場合、雄ネジ部55と雌ネジ部42との締結操作の結果、テーパ加工領域44の表面に突起部71が当接されることとなり、空間47の内側に粉塵等が混入してしまうことを防ぐことができる。
そして、オイルフィラーパイプ40の先端部41について、図6(a)および(b)に示す通り、シール部材56の周壁部70の内径に比べて管径を細く形成することで、締結又は解除操作の際には、突起部71等の周壁部70が先端部41およびオイルフィラーパイプ40の外周面に接触することが無くなり、互いに摩擦を生じないため締結操作がスムーズに行われ、解除操作の際に、シール部材56がオイルフィラーキャップ50から外れる心配も無い。
【0043】
また、図6(a)および(b)に示すシール部材56において、先述した第1シールリブおよび第2シールリブを形成してもよく(図示省略)、この場合、上壁部53から第1シールリブへ作用する圧力と、先端部41から第2シールリブへ作用する圧力との同時作用により、先述した通り、周壁部70がオイルフィラーパイプ40の外周表面に向けて撓むことになるため、注入口とキャップの周壁部との間隔を狭めることができ、より確実に、防塵性能の向上を図ることができる。
【0044】
なお、図6(a)および(b)に示す構成は、オイルフィラーパイプ40の外周側を覆う周壁部70をシール部材56に形成した構成を示しているものの、周壁部70をキャップ本体51と一体形成した場合であってもよいものである。
【0045】
上述したように、本発明の構成によれば、オイルフィラーキャップ50を装着している状態で、オイルフィラーパイプ40の先端部41の近傍周囲に粉塵等が付着してしまうことを防止でき、その結果、オイルの注入や補充の際にオイルフィラーキャップ50が取り外されても、オイルフィラーパイプ40の周囲に付着した粉塵等がオイルフィラーパイプ40内へ入り込んでしまうことを低減できる。
【0046】
また、周壁部70の長さが嵌合部54の長さよりも長いため、オイルフィラーパイプ40の先端部41からオイルフィラーキャップ50を取り外し、オイルフィラーキャップ50を屋外の地面等に一時的に置いた場合であっても、嵌合部54や雄ネジ部55など、オイルフィラーパイプ40の内側が地面の上に散乱した粉塵等により汚れてしまうことを防止できる。
そして、地面等に一時的に置いたオイルフィラーキャップ50を再び注入口43に装着しても、嵌合部54や雄ネジ部55などに粉塵等が付着していないため、注入口43を清潔に保つという効果を奏する。
【0047】
また、本発明について、オイルタンクの給油口に適用させた場合について説明したが、本実施形態に限ることなく、エンジンの燃料タンクの給油口あるいは一般的な容器の液体供給口に対しても適用が可能なものである。
【0048】
さらに、注入口に挿入される嵌合部について、オイルフィラーパイプの内周面と締結するためのネジ部を具えた構成について述べたが、この実施形態に限らず、ネジ部を形成しなくとも、嵌合部の注入口への圧入により、嵌合部がオイルフィラーパイプと嵌合するとの構成でもよいものである。
【符号の説明】
【0049】
10 4サイクルエンジン
11 エンジン本体
12 燃料キャップ
13 オイルタンク
14 リコイルスタータ
30 ドレン孔
40 オイルフィラーパイプ
41 先端部
42 雌ネジ部
43 注入口
44 テーパ加工領域
50 オイルフィラーキャップ
51 キャップ本体
52 指当て部材
53 上壁部
54 嵌合部
55 雄ネジ部
56 シール部材
60 パッキン部材
70、70a 周壁部
71 突起部
72 端部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体タンクの補給管の先端部に備わる注入口を開閉するためのキャップであって、
前記注入口を覆う上壁部と、
前記注入口の内面と嵌め合わせられ、前記上壁部から突出する嵌合部と、
前記キャップを前記注入口に装着した状態において前記補給管の外周を覆う周壁部と、 を具えることを特徴とする、
作業機用エンジンの液体タンクキャップ。
【請求項2】
前記上壁部と前記嵌合部とが一体成形されるとともに、
前記注入口を密閉するためのシール部材が、前記上壁部および前記嵌合部に装着され、
前記シール部材に前記周壁部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップ。
【請求項3】
前記シール部材は弾性部材で形成されるとともに、前記上壁部側において前記上壁部へ向けて突出する第1シールリブと、前記注入口側において前記注入口へ向けて突出する第2シールリブとが形成され、前記嵌合部に対して前記第1シールリブは、前記第2シールリブよりも外側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップ。
【請求項4】
前記周壁部が前記嵌合部よりも先に突出することを特徴とする、請求項1乃至請求項3に記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップ。
【請求項5】
前記周壁部の内周に、前記補給管に当接する突起部が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップ。
【請求項6】
前記嵌合部の外周面には雄ネジが形成され、前記注入口の内面に形成された雌ネジと結合できることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップ。
【請求項7】
前記上壁部と前記嵌合部と前記周壁部とが一体成形されており、前記注入口を密閉するためのシール部材が前記周壁部内側の前記上壁部に装着されることを特徴とする、請求項1に記載の作業機用エンジンの液体タンクキャップ。
【請求項8】
前記補給管の外周は、前記注入口に向けて管径が細くなるテーパ加工が少なくとも部分的に施されており、請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の液体タンクキャップを前記注入口に装着した状態において、前記テーパ加工が施された部分に前記周壁部が当接することを特徴とする、作業機用エンジンの液体タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−36884(P2012−36884A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290781(P2010−290781)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】