作業用マスク装着具及びこれを用いたヘルメット
【課題】作業員の口元の位置に大きな個人差があっても、作業用マスク装着具のヘルメットへの取り付け角度の微調整を行なう必要がないようにする。
【解決手段】ヘルメットA1は、ヘルメットA1の縁部a1の左右耳部位に各々装着された作業用マスク装着具100と、各作業用マスク装着具100に接続された作業用マスクとを備える。作業用マスク装着具100は、保持部を有した第1のプレート10と、第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結された第2のプレート20とを備えている。第2のプレート20は、固定プレート部及び可動プレート部有し、第2のプレート20の可動プレート部が第1のプレート10に対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっている。
【解決手段】ヘルメットA1は、ヘルメットA1の縁部a1の左右耳部位に各々装着された作業用マスク装着具100と、各作業用マスク装着具100に接続された作業用マスクとを備える。作業用マスク装着具100は、保持部を有した第1のプレート10と、第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結された第2のプレート20とを備えている。第2のプレート20は、固定プレート部及び可動プレート部有し、第2のプレート20の可動プレート部が第1のプレート10に対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘルメットを被った状態で防塵マスクや防毒マスク等の作業用マスクを取り外しすることが可能な作業用マスク装着具等に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者は、工事現場等の人体に悪影響のある環境下で従事する作業員がヘルメットのみで作業用マスクを装着しない割合が依然として高いという実態に鑑み、ヘルメットを被った状態で作業用マスクを取り外しすることが可能な作業用マスク装着具の発明を既に提案している(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−75522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような作業用マスク装着具については非常に便利であり好評を得るに至っているものの、作業員の口元の位置に大きな個人差があることから、作業用マスクの紐と作業用マスク装着具とが必ずしも一直線状にならず、これに伴って作業用マスクが正しく装着されないケースがある。よって、ヘルメットの縁部への取り付け方を工夫する等して微調整を行なうことが必要となり、この作業が煩わしく、作業用マスクの装着率の向上に悪影響を及ぼしている。
【0004】
もっとも、ヘルメットへの取り付け角度を微調整可能なように設計変更をすると、微調整を行なった作業員については以後問題なく使用することが可能であるとはいえ、別の作業員が使用をするときには再度微調整を行なうことが必要となり、必ずしも抜本的な解決方法とはいえない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて創案されたもので、ヘルメットへの取り付け角度の微調整を行なう必要がない作業用マスク装着具及びこれを用いたヘルメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る作業用マスク装着具は、作業用マスクとヘルメットとの間を接続する作業用マスク装着具であって、ヘルメットの縁部を保持可能な保持部が一端側に設けられた第1のプレートと、一端側が第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である第2のプレートとを具備し、第1、第2のプレートには両プレートの外面同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための第1の固定手段が設けられ、第2のプレートの全体又は一部が第1のプレートに対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっている。
【0007】
この発明によると、作業用マスクを第2のプレートに接続して、第1のプレートの保持部を用いてヘルメットの端部に装着する。この状態で、第1、第2のプレートを閉状態にすると、両プレートの外面同士が重なり、これに伴って、ヘルメットと作業用マスクとの距離が小さくなり、作業用マスクが作業者の口元を覆うことになる。この過程で作業用マスクに引っ張られて第2のプレートの全体又はその一部がその方向に自然と傾き、その結果、第2のプレートの全体又は一部と作業用マスクの端部とが一直線状となり、作業用マスクが正しく装着される。これとは逆に、第1、第2のプレートを開状態にすると、ヘルメットと作業用マスクとの距離が大きくなり、第2のプレートの全体又はその一部が作業用マスクの自重により下方に傾くとともに、作業用マスクが作業者の口元から離れて垂れ下がることになる。
【0008】
よって、作業員の口元の位置に大きな個人差があってもヘルメットへの取り付け角度の微調整を行なうことなく、作業用マスクを正しく装着することが可能になる。これに伴って、使い勝手が良好になり、作業用マスクの装着率を向上させることが可能になる。
【0009】
好ましくは、第1の固定手段については、第2のプレートに設けられた爪部と、第1のプレートのプレート本体部の面上に形成され且つ爪部が挿入された状態でその爪部と係合する円弧穴とを有した構成にするとすると良い。
【0010】
この発明によると、爪部がガイドと係合片との両方を兼ねていることから、簡単な構成となっており、この面で低コスト化を図ることが可能になる。
【0011】
第2のプレートの例については、一端側が第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結された固定プレート部と、一端側が固定プレート部の他端側に回動自在に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である可動プレート部とを有した構成にすると良い。好ましくは、第2のプレートの固定プレート部には、可動プレート部の一部に接触してその回動角範囲を規制するストッパーを設けると良い。
【0012】
この発明によると、可動プレート部の回動角範囲がストッパーにより規制されることから、第1、第2のプレートが乱暴に開状態にされたとしても、可動プレート部がストッパーにより確実に当て止めされ、これに伴って作業用マスクが作業員の胸等に大きな力で接触せず、この面で使い勝手が良好になる。
【0013】
第2のプレートの例については、固定プレート部及び可動プレート部から構成されたメインプレートと、一端側がメインプレートの他端側に折り返し可能に連結され且つ他端側に作業用マスクの紐が通される挿通用穴が形成されたサブプレートとを備えたものを用いると良い。この場合、メインプレート、サブプレートには両プレートの内面同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための第2の固定手段を設けるようにする。
【0014】
この発明によると、作業用マスクの紐がサブプレートに形成された挿通用穴に通されていることから、第1、第2のプレートが開状態であるときに作業用マスクが作業者側に近づいて邪魔になることがない。また閉状態であるときの作業用マスクの装着もスムーズに行なうことが可能になる。これらの面で使い勝手が一層良好になる。
【0015】
第2の固定手段の例については、メインプレートの可動プレート部の内面上に設けられた凸部と、サブプレートの内面上に形成され且つ凸部が挿入された状態で当該凸部と係合する凹部とを有した構成とすると良い。
【0016】
第1のプレートの例については、保持部がプレート本体部の厚み方向に向けて張り出して設けられた構成とすると良い。
【0017】
この発明によると、第1のプレート等が作業者の顔に接触せず距離を持たせることが可能になることから、作業中に汗をかいても不快感を催したりすることが殆どなくなる。また眼鏡をかけた作業者であっても眼鏡のテンプルに接する部分が殆どなく、装着感が良好になる。これらの面で使い勝手が一層良好になる。
【0018】
第1のプレートの保持部の例については、ヘルメットの縁部に沿ってその下方に対向配置されるベース部と、このベース部の内側に立設され且つヘルメットの縁部の内側に接触する直線板状の内側爪部と、ベース部の外側に立設され且つヘルメットの縁部の外側に接触する断面略く字板状の外側爪部とを有した構成とすると良い。
【0019】
この発明によると、ヘルメットの縁部が内側爪部と外側爪部との間に挟んで保持するようになっているので、使用可能なヘルメットの種類等の範囲が広くなり、この面で一層使い勝手が良くなる。
【0020】
このような保持部を有する第1のプレートの場合、好ましくは、外側爪部及び/又はベース部には、ヘルメットの縁部に安定して取り付けるための環状のクッション部材を通すようにすると良い。
【0021】
この発明によると、ヘルメットの縁部に安定して取り付ける可能であるだけでなく、クッション部材の厚みを調整することにより、使用可能なヘルメットの種類等の範囲が一層広くなり、この面で一層使い勝手が良くなる。
【0022】
また、溝無しヘルメットの縁部に取り付ける場合、溝無しヘルメットの縁部を保持可能な先端部を有した第1のアタッチメント部材を備えるようにすると良い。この場合、第1のプレートの保持部のベース部には、第1のアタッチメント部材の基端部を第1のプレートに沿って上から装着するための穴を形成するようにする。同様に溝付きヘルメットの縁部に取り付ける場合、溝付きヘルメットの縁部を引っ掛けるための断面L字状の先端部を有した第2のアタッチメント部材を備えるようにすると良い。この場合、第1のプレートの保持部のベース部には、第2のアタッチメント部材の基端部を第1のプレートに沿って上から装着するための穴を形成するようにする。
【0023】
これらの発明によると、溝付きヘルメット/溝無しヘルメットの種類に関係なく作業用マスク装着具をこれらのヘルメットの端部に確実に取り付ける可能となることから、使用可能なヘルメットの種類等の範囲が一層広くなり、この面で一層使い勝手が良くなる。
【0024】
本発明に係るヘルメットは、同ヘルメットの縁部の左右耳部位に各々装着された上記した作業用マスク装着具と、各作業用マスク装着具の第2のプレートの端部に各々接続された作業用マスクとを備えている。また、作業用マスク装着具が縁部の左右耳部位に各々装着されているのではなく一体的にしても良い。
【0025】
これらの発明によると、上記した作業用マスク装着具と同様の効果を奏することになる。即ち、作業員の口元の位置に大きな個人差があっても微調整を行なうことなく、作業用マスクを正しく装着することが可能になる。これに伴って、使い勝手が良好になり、作業用マスクの装着率を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図12を参照して説明する。なお、図中に示された各構成部と特許請求の範囲に記載された発明特定事項との対応関係は下記の符号の説明の欄において併せて示すことにする。
【0027】
図1は溝無しヘルメットを被った状態を示す概略的側面図、図2は溝付きヘルメットを被った状態を示す概略的側面図である。A1、A2は溝無し型、溝付き型のヘルメット、a1、a2はヘルメットA1、A2の溝部、100は作業用マスク装着具、200は防塵マスク、防毒マスク等の作業用マスク、300は作業用マスク200と一緒に使用されることが多いゴーグルである。但し、図1及び図2中において作業用マスク装着具100の片方しか図示されていない。
【0028】
ヘルメットA1はABS、PC、PE又はEPF製の保護帽であって、図1に示すようにヘルメットA1の縁部a1の左右耳部位に各々装着された作業用マスク装着具100,100と、作業用マスク装着具100,100に接続可能な作業用マスク200とを備えている。作業用マスク200の左右両側には上下2連のゴムバンド等の伸縮帯201を有している。
【0029】
ヘルメットA2はヘルメットA1と同様の構成であって、図2に示すようにヘルメットA2の縁部a2の左右耳部位に各々装着された作業用マスク装着具100,100と、作業用マスク装着具100,100に接続可能な作業用マスク200とを備えている。両ヘルメットの相違については、作業用マスク装着具100に使用されるアタッチメント部材30、40だけである。ヘルメットA1にはアタッチメント部材30が使用される一方、ヘルメットA2にはアタッチメント部材40が使用される。
【0030】
以下、作業用マスク装着具100の構成をヘルメットA1に使用されるものを中心として説明する。図3はヘルメットA1の作業用マスク装着具100の開状態を示す正面図、図4は作業用マスク装着具100の開状態を示す裏面図、図5は作業用マスク装着具100の閉状態を示す正面図である。10は第1のプレート、20は固定プレート部211及び可動プレート部212等を有した第2のプレート、30はアタッチメント部材である。
【0031】
作業用マスク装着具100は、図3に示すように作業用マスク200とヘルメットA1との間を接続するのに使用されるプラスチック等の樹脂成形品の装置であって、ヘルメットA1の縁部a1を保持可能な保持部12が一端側に設けられた第1のプレート10と、一端側が第1のプレート10の他端側に折り返し可能に連結され且つ作業用マスク200の伸縮帯201(図1参照)の端部が他端側に接続可能である第2のプレート20と、ヘルメットA1の縁部a1を保持可能な保持部材31を有したアタッチメント部材30を備えている。なお、アタッチメント部材30については、作業用マスク装着具100をヘルメットA1の縁部a1に確実に装着するための任意の部品である。
【0032】
第1のプレート10及び第2のプレート20については、図3に示されているように全体として略く字状に折り曲げられた形状となっている。
【0033】
第1、第2のプレート10,20には、各プレートの外面(図2に示す正面)同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための手段として、第2のプレート20の可動プレート部212に設けられた爪部213と、第1のプレート10のプレート本体部11の面上に形成され且つ爪部213が挿入された状態でこれと係合する円弧穴13とを有している。この結果、第2のプレート20の可動プレート部212が第1のプレート10に対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっている(図3及び図5参照)。
【0034】
第1のプレート10は、作業者の顔の頬の面に沿うように若干湾曲させた板状のプレート本体部11と、ヘルメットA1の縁部a1に対して平行に配置される保持部12とを有している。
【0035】
プレート本体部11については、保持部12に対して約30°〜50°傾いた位置関係に配置されている。プレート本体部11の面上中心部分には上記した円弧穴13が貫通して形成されている。プレート本体部11の内面には、アタッチメント部材30を着脱自在に固定するための断面三角状の歯14が複数列形成されている(図4及び図10参照)。プレート本体部11の他端側には、第2のプレート20の一端側と開閉自在に連結するためのヒンジ軸部15、15(図4及び図7参照)が並設されている。
【0036】
プレート本体部11の端部にはゴーグル300の伸縮帯310(図1参照)を通すための切欠きフック穴16が形成されている。切欠きフック穴16はゴーグル300の伸縮帯310の幅に対応した幅寸法の円弧状穴であり、その一部を切り欠いた部分が伸縮帯310の挿入溝になっている。なお、ゴーグル300を使用しないときには切欠きフック穴16を省略すると良い。
【0037】
図6は第1のプレート10の保持部12の平面図である。保持部12は、同図に示すようにプレート本体部11の一端側に厚み方向に向けて張り出して設けられている(図10参照)。保持部12は、具体的には、ヘルメットA1の縁部a1に沿ってその下方に対向配置されるベース部121と、ベース部121の内側に立設され且つヘルメットA1の縁部a1の内側に接触する直線板状の内側爪部122,122(図10参照)と、ベース部121の外側に立設され且つヘルメットA1の縁部a1の外側に接触する断面略く字板状の外側爪部123,123(図10参照)とを有している。
【0038】
即ち、ヘルメットA1の縁部a1が内側爪部122、122と外側爪部123,123との間に弾性的に挟み付け、これにより作業用マスク装着具100がヘルメットA1の縁部a1に保持可能になっている。
【0039】
保持部12のベース部121の中央部における外側爪部123と外側爪部123との間の位置には、アタッチメント部材30の基端部をプレート本体部11に沿って上から挿入するための穴124が形成されている(図10参照)。
【0040】
このような保持部12にはヘルメットA1の縁部a1に安定して取り付けるための環状のゴム製のクッション部材50が合計4個設けられている。具体的には、クッション部材50が外側爪部122、122の各先端部に各々通されている他、ベース部121の内側爪部122と外側爪部122との間にも各々通されている。
【0041】
第2のプレート20は、図3に示すようにメインプレート21とサブプレート22とを有しており、サブプレート22の一端側がメインプレート21の他端側に折り返し可能に連結されている。第2のプレート20については、第1のプレート10のプレート本体部11に対して約120°〜150°傾いた位置関係に配置されている。
【0042】
メインプレート21、サブプレート22には、各プレートの内面(図4に示す裏面)同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための手段として、図4に示すように可動プレート部212の内面上に設けられた凸部2121(図7参照)と、サブプレート22の内面上に形成され且つ凸部2121が挿入された状態でこれと係合する凹部223(図7参照)とを有している。凸部2121の先端部分には凹部223の内面に付勢接触する二股状の係合片2125(図7参照)が一体的に形成されている。
【0043】
メインプレート21は、図3に示すように一端側が第1のプレート10の他端側に折り返し可能に連結された固定プレート部211と、一端側が固定プレート部211の他端側に回動自在に連結され且つ作業用マスク200の伸縮帯201の端部が他端側に接続可能である可動プレート部212とを有した構成となっている。
【0044】
固定プレート部211の一端側には第1のプレート10のヒンジ軸部15、15の対となるヒンジ軸受け2111、2111が並設されている。固定プレート部211の内面の他端側には可動プレート部212を軸支するためのビスである回動軸2112が設けられている。固定プレート部211の他端側の両側面には可動プレート部212の両端部に接触してその回動角範囲を規制するストッパー2113、2113が形成されている。
【0045】
可動プレート部212の一端側の中央部には略長方体状の凸部2121(図7参照)が固定プレート部211の内面に重なるように設けられており、凸部2121の中心部分に回動軸2112が通されている。可動プレート部212と固定プレート部211とは同一平面上に配置された状態で、可動プレート部212が回動軸2112を中心として所定範囲で回動可能になっている。
【0046】
可動プレート部212の他端側には開閉用押え片2122が斜め上向き(図7参照)に形成されている。開閉用押え片2122の近くには上記した爪部213が設けられている。爪部213の両側には作業用マスク200の伸縮帯201の端部を接続するための固定用穴2123、2123が並んで形成されている。
【0047】
固定用穴2123は、作業用マスク200の伸縮帯201の端部をU字状に折り返して固定するための上下一対の溝穴2123a、2123bであって、溝穴2123aは穴寸法が幅方向(図3中右方向)に向けて徐々に小さくなっており、溝穴2123bは穴寸法が上記とは反対の方向に徐々に小さくなっている。
【0048】
可動プレート部212の他端側には、サブプレート23の一端側と開閉自在に連結するためのヒンジ軸部2124,2124が固定用穴2123、2123に並べて設けられている。
【0049】
サブプレート22の一端側には、可動プレート部212のヒンジ軸部2124,2124の対となるヒンジ軸受け221,221が並設されている。サブプレート22の他端側には、作業用マスク200の伸縮帯201が通される挿通用穴222、222が並べて形成されている。
【0050】
図7は作業用マスク装着具100の一部省略概略側面図である。同図に示されているように、第1のプレート10と第2のプレート20とがA方向に開閉可能であり、第2のプレート20の爪部213が第1のプレート10の円弧穴13に挿入されると、第1のプレート10と第2のプレート20との閉状態が解除可能に維持されるようになっている。
【0051】
また、第2のプレート20のメインプレート21とサブプレート22とがB方向に開閉可能であって、メインプレート21の凸部2121が、サブプレート22の凹部223に挿入されると、メインプレート21とサブプレート22との閉状態が解除可能に維持されるようになっている。
【0052】
図8はアタッチメント部材30の側面図及び正面図である。図10はアタッチメント部材30を第1のプレート10の保持部12に装着した様子を示す第1のプレート10の模式的断面図である。
【0053】
アタッチメント部材30は、作業用マスク装着具100を溝無しヘルメットに取り付ける場合に使用する部品であって、図8に示すようにヘルメットA1の縁部a1を保持可能な断面U字状の保持部材31と、保持部材31の下部に形成されており且つ第1のプレート10の保持部12の穴124に挿入可能な板状の装着部材32とを有している。装着部材32の外面には、第1のプレート10の歯14に係合可能な断面三角状の歯321が複数列形成されている。
【0054】
上記した保持部12だけでも作業用マスク装着具100をヘルメットA1の縁部a1に取り付けることは可能であるが、溝無しヘルメットの種類等の相違により確実に固定できない虞れがあるときにはアタッチメント部材30を使用するようにする。
【0055】
この場合、図10に示すようにアタッチメント部材30を第1のプレート10の保持部12の穴124に上から挿入すると、装着部材32の歯321が第1のプレート10の歯14に噛み合って係合される。アタッチメント部材30を取り外す際には、装着部材32をプレート本体部11の内面から若干浮かせながら引き抜くようにする。
【0056】
アタッチメント部材30の保持部材31がヘルメットA1の縁部a1の曲面に沿った形状になっていることから、保持部12の本来の機能と併せて、溝無しヘルメットの形状や大きさが多少変わってもヘルメットA1の縁部a1を確実に保持可能となる。
【0057】
図9はアタッチメント部材40の側面図及び正面図である。図11はアタッチメント部材40を第1のプレート10の保持部12に装着した様子を示す第1のプレート10の模式的断面図である。
【0058】
アタッチメント部材40は、作業用マスク装着具100を溝付きヘルメットに取り付ける場合に使用する部品であって、図9に示すようにヘルメットA2の縁部a2を保持可能な断面L字状の保持部材41と、保持部材41の下部に形成されており且つ第1のプレート10の保持部12の穴124に挿入可能な板状の装着部材42とを有している。装着部材42の外面には、第1のプレート10の歯14に係合可能な断面三角状の歯421が複数列形成されている。
【0059】
上記した保持部12だけでも作業用マスク装着具100をヘルメットA2の縁部a2に取り付けることは可能であるものの、溝付きヘルメットの種類等によっては確実に固定できない虞れがあるときには、アタッチメント部材40を使用するようにする。
【0060】
この場合、図11に示すようにアタッチメント部材40を第1のプレート10の保持部12の穴124に上から挿入すると、装着部材42の歯421が第1のプレート10の歯14に噛み合って係合される。アタッチメント部材40を取り外す際には、装着部材42をプレート本体部11の内面から若干浮かせながら引き抜くようにする。
【0061】
アタッチメント部材40の保持部材41がヘルメットA2の縁部a2を上から押さえ付ける形状になっていることから(図11参照)、保持部12の本来の機能と併せて、溝付きヘルメットの形状や大きさが多少変わってもヘルメットA2の縁部a2を確実に保持可能となる。
【0062】
このような構成されたヘルメットA1の使用方法を図1等を参照して説明する。まず、作業用マスク装着具100、100に作業用マスク200の伸縮帯201の両端部を各々接続する。この際、図7中破線で示すように作業用マスク200の伸縮帯201の端部を作業用マスク装着具100のサブプレート22の挿通用穴222に通した後、例えば、メインプレート21の固定用穴2123b、2123aに順次的に通すようにする。固定用穴2123a及び2123bの穴形状により、作業用マスク200の伸縮帯201が簡単に抜けることがない。
【0063】
なお、アタッチメント部材30を使用することが必要であるときは、作業用マスク装着具100、100の各々にアタッチメント部材30を予め装着する。
【0064】
次に、作業者がヘルメットA1を被り、ヘルメットA1の縁部a1に作業用マスク装着具100、100を開状態のままで若干斜めにしながら下から差し込むようにして各々取り付ける。作業用マスク200と共にゴーグル300を使用する場合には、ゴーグル300の伸縮帯310をプレート本体部11の切欠きフック穴113に通して、ゴーグル300を付けるようにする。図1(B)はこの状態を示している。
【0065】
そして、作業をする際には、作業用マスク装着具100、100の開閉用押え片2122を指で掴んでメインプレート21を第1のプレート10の方に各々倒し、メインプレート21の外面を第1のプレート10の外面に重ね合わす。第2のプレート20の爪部213が第1のプレート10の円弧穴13に入り込むと、爪部213の弾性力により第1のプレート10と第2のプレート20との閉状態が維持される。
【0066】
と同時に、作業用マスク200の伸縮帯201がサブプレート22を押圧することになり、これによりサブプレート22がメインプレート21の方に各々倒されて閉状態になる。即ち、サブプレート22の内面とメインプレート21の内面とが重なり合う。メインプレート21の凸部2121がサブプレート22の凹部223に入り込むと、凹部223に形成された係合片2125の弾性力によりサブプレート22とメインプレート21との閉状態が維持される。
【0067】
このように作業用マスク装着具100、100の第1のプレート10及び第2のプレート20が閉状態にされると、自重で落下状態にあった作業用マスク200が作業者の口元に向けて引っ張られ、最終的に作業者の口元に装着される。この際、可動プレート部212及びサブプレート22が作業用マスク200の伸縮帯201に引っ張られてその方向に自然と傾き、その結果、可動プレート部212及びサブプレート22と作業用マスク200の伸縮帯201とが一直線状となる。図1(A)はこの状態を示している。
【0068】
このように可動プレート部212及びサブプレート22と作業用マスク200の伸縮帯201とが一直線状になるのは、口元の位置に関する作業員の個人差に全く関係ないことから、従来の場合とは異なり、ヘルメットA1への取り付け角度の微調整を行なうことなく、作業用マスク200を正しく装着することが可能になる。
【0069】
上記とは反対に作業用マスク300を使用しないときには、作業用マスク装着具100、100の開閉用押え片2122を指で掴んで第2のプレート20を上記とは逆の方向に各々倒す。すると、第2のプレート20の爪部213が第1のプレート10の円弧穴13から外れて、作業用マスク20の自重により第1のプレート10、第2のプレート20が開状態になる。これに伴って、メインプレート21の凸部2121がサブプレート22の凹部223から外れ、作業用マスク20の自重によりサブプレート22、メインプレート21が開状態になる。
【0070】
このように作業用マスク装着具100、100の第1のプレート10及び第2のプレート20が開状態にされると、可動プレート部212及びサブプレート22が作業用マスク200の自重により下方に向く。これに伴って、作業用マスク200が作業者の口元から離れて落下する。図1(B)はこの状態を示している。作業用マスク200は作業者の顎の下方位置の顔よりやや前方に位置することから、特に邪魔になるようなことがない。
【0071】
また、図1(B)に示した状態で、ヘルメットA1を脱ぐようにすると、作業用マスク200が作業者の顎付近に接触して、ヘルメットA1が作業用マスク装着具100、100から外れ、これに伴って、作業用マスク装着具100、100が作業用マスク200及びゴーグル300と一緒に取り外される。
【0072】
なお、ヘルメットA2の使用方法についても上記と全く同様であるので、その説明は省略する。
【0073】
上記したように作業員の口元の位置に大きな個人差があっても従来とは異なりヘルメットA1又はA2への取り付け角度の微調整を行なうことなく、作業用マスク200を正しく装着することが可能になる。第1のプレート10及び第2のプレート20が作業者の顔から浮いていることから、作業者が使用中に汗をかいても不快感を催したりすることが殆どなくなる。作業用マスク200やゴーグル300で作業者の頭全体が締め付けられるという感覚もなくなり、装着感が非常に良好になる。特に、眼鏡をかけた作業者であっても、眼鏡のテンプルに接する部分がなく、装着感が悪くなることも殆どない。
【0074】
また、作業中において作業用マスク200を付けたり外したりする際、ヘルメットA1又はA2をその都度脱ぐ必要がなくなる。これはゴーグル300を付け外したりするときも同様である。作業用マスク装着具100,100を取り付けた状態でヘルメットA1又はA2を脱ぐと、作業用マスク装着具100、作業用マスク200及びゴーグル300も一緒に取り外される。
【0075】
それ故、従来例による場合とは異なり、使い勝手が非常に良好になり、人体に悪影響のある環境下であって、作業用マスク200の装着率を格段に向上させることが現実に可能になる。また、アタッチメント部材30、40を使い分けることにより、溝なしヘルメット、溝なしヘルメットに共用して適用可能になり、この面でも使い勝手が良好となる。メーカーの立場からすると、各種のアタッチメント部材を準備しておけば、作業用マスク装着具100の適用可能なヘルメットの種類等の範囲が広くなり、低コスト化を図る上でもメリットがある。
【0076】
次に、ヘルメットの変形例を図12を参照して説明する。図12はヘルメットの使用状態を説明するための溝無しヘルメットを被った状態を示す概略的側面図である。
【0077】
ここに掲げるヘルメットA3は、作業用マスク装着具10’,10’が縁部a3の左右耳部位に各々装着されているのではなくヘルメットA3に一体的になっている。作業用マスク装着具10’が上記した作業用マスク装着具10と大きく異なるのは、保持部12がなくプレート本体部11の一端側がヘルメットA3の縁部a3の左右耳部位に固定されている点である。なお、ヘルメットA3と作業用マスク装着具10’とを別体とし、ネジ等により両者を接続して一体的にするようにしても当然にかまわない。
【0078】
このように作業用マスク装着具10’がヘルメットA3に固定されていることから、アタッチメント部材30、40については不要となる。これ以外については上記した作業用マスク装着具10と全く同様であるので、その詳細については説明を省略することにする。
【0079】
なお、本発明に係る作業用マスク装着具は上記実施形態に限定されず、第2のプレートの一部が第1のプレートに対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっている限り、どのように設計変更してもかまわない。また、第1のプレートについては、ヘルメットの縁部を保持可能である限り、保持部の構造、全体の形状及び材質等が問われることはなく、ヘルメットの種類等に合わせて適宜設計変更すれば良い。第2のプレートについては、その全体が第1のプレートに対して回動自在に設計変更しても良く、一端側に第1のプレートに折り返し可能に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である限り、サブプレートの有無、プレートの連結方法、作業用マスクの接続方法、全体の形状及び材質等が問われることがない。作業用マスクの種類に応じて適宜設計すれば良い。第1、第2の固定手段については、両プレートの閉状態を解除可能に維持できる限り、どのような固定方法を採用しても良く、例えば、磁石やスプリング等を用いてもかまわない。
【0080】
本発明に係るヘルメットは上記実施形態に限定されず、作業用マスク装着具がヘルメットの縁部に設けられている限り、その固定方法や固定位置等についてはヘルメットの種類に応じて適宜設計変更すれば良い。特に作業用マスク装着具をヘルメット本体に完全に固定するのではなく、作業用マスク装着具を使用しないときには、それが邪魔にならないように開閉自在に設ける形態をとってもかまわない。また、作業用マスクの種類やゴーグルの有無についても問われない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態に係るヘルメットの使用状態を説明するための溝無しヘルメットを被った状態を示す概略的側面図であって、(A)は作業用マスク装着具が閉状態である状態を示す図、(B)は作業用マスク装着具が開状態である状態を示す図である。
【図2】図1と同様に溝付きヘルメットを被った状態を示す概略的側面図であって、(A)は作業用マスク装着具が閉状態である状態を示す図、(B)は作業用マスク装着具が開状態である状態を示す図である。
【図3】図1に示すヘルメットの作業用マスク装着具の開状態を示す正面図である。
【図4】同作業用マスク装着具の開状態を示す裏面図である。
【図5】同作業用マスク装着具の閉状態を示す正面図である。
【図6】同作業用マスク装着具の第1のプレートの保持部の平面図である。
【図7】同作業用マスク装着具の一部省略概略的側面図である。
【図8】同作業用マスク装着具の溝無しヘルメット用のアタッチメント部材を示す図であって、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【図9】図2に示すヘルメットに使用される溝付きヘルメット用のアタッチメント部材を示す図であって、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【図10】図8に示す溝無しヘルメット用のアタッチメント部材を第1のプレートの保持部に装着した様子を示す第1のプレートの模式的断面図である。
【図11】図9に示す溝付きヘルメット用のアタッチメント部材を第1のプレートの保持部に装着した様子を示す第1のプレートの模式的断面図である。
【図12】同ヘルメットの変形例を説明するための図1に対応する図であって、(A)は作業用マスク装着具が閉状態である状態を示す図、(B)は作業用マスク装着具が開状態である状態を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
A1 ヘルメット(溝無しヘルメット)
A2 ヘルメット(溝付きヘルメット)
A3 ヘルメット
a1,a2,a3 溝部
100,100’作業用マスク装着具
10 第1のプレート
11 プレート本体部
12 保持部
124 穴
13 円弧穴(第1の固定手段の一部)
20 第2のプレート
21 メインプレート
211 固定プレート部
212 可動プレート部
2121 凸部(第2の固定手段の一部)
213 爪部(第1の固定手段の一部)
22 サブプレート
222 挿通用穴
223 凹部(第2の固定手段の一部)
30 アタッチメント部材(第1のアタッチメント部材)
31 保持部材(第1のアタッチメント部材の先端部)
40 アタッチメント部材(第2のアタッチメント部材)
41 保持部材(第2のアタッチメント部材の先端部)
200 作業用マスク
201 伸縮帯(作業用マスクの端部:紐)
【技術分野】
【0001】
本発明はヘルメットを被った状態で防塵マスクや防毒マスク等の作業用マスクを取り外しすることが可能な作業用マスク装着具等に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者は、工事現場等の人体に悪影響のある環境下で従事する作業員がヘルメットのみで作業用マスクを装着しない割合が依然として高いという実態に鑑み、ヘルメットを被った状態で作業用マスクを取り外しすることが可能な作業用マスク装着具の発明を既に提案している(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−75522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような作業用マスク装着具については非常に便利であり好評を得るに至っているものの、作業員の口元の位置に大きな個人差があることから、作業用マスクの紐と作業用マスク装着具とが必ずしも一直線状にならず、これに伴って作業用マスクが正しく装着されないケースがある。よって、ヘルメットの縁部への取り付け方を工夫する等して微調整を行なうことが必要となり、この作業が煩わしく、作業用マスクの装着率の向上に悪影響を及ぼしている。
【0004】
もっとも、ヘルメットへの取り付け角度を微調整可能なように設計変更をすると、微調整を行なった作業員については以後問題なく使用することが可能であるとはいえ、別の作業員が使用をするときには再度微調整を行なうことが必要となり、必ずしも抜本的な解決方法とはいえない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて創案されたもので、ヘルメットへの取り付け角度の微調整を行なう必要がない作業用マスク装着具及びこれを用いたヘルメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る作業用マスク装着具は、作業用マスクとヘルメットとの間を接続する作業用マスク装着具であって、ヘルメットの縁部を保持可能な保持部が一端側に設けられた第1のプレートと、一端側が第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である第2のプレートとを具備し、第1、第2のプレートには両プレートの外面同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための第1の固定手段が設けられ、第2のプレートの全体又は一部が第1のプレートに対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっている。
【0007】
この発明によると、作業用マスクを第2のプレートに接続して、第1のプレートの保持部を用いてヘルメットの端部に装着する。この状態で、第1、第2のプレートを閉状態にすると、両プレートの外面同士が重なり、これに伴って、ヘルメットと作業用マスクとの距離が小さくなり、作業用マスクが作業者の口元を覆うことになる。この過程で作業用マスクに引っ張られて第2のプレートの全体又はその一部がその方向に自然と傾き、その結果、第2のプレートの全体又は一部と作業用マスクの端部とが一直線状となり、作業用マスクが正しく装着される。これとは逆に、第1、第2のプレートを開状態にすると、ヘルメットと作業用マスクとの距離が大きくなり、第2のプレートの全体又はその一部が作業用マスクの自重により下方に傾くとともに、作業用マスクが作業者の口元から離れて垂れ下がることになる。
【0008】
よって、作業員の口元の位置に大きな個人差があってもヘルメットへの取り付け角度の微調整を行なうことなく、作業用マスクを正しく装着することが可能になる。これに伴って、使い勝手が良好になり、作業用マスクの装着率を向上させることが可能になる。
【0009】
好ましくは、第1の固定手段については、第2のプレートに設けられた爪部と、第1のプレートのプレート本体部の面上に形成され且つ爪部が挿入された状態でその爪部と係合する円弧穴とを有した構成にするとすると良い。
【0010】
この発明によると、爪部がガイドと係合片との両方を兼ねていることから、簡単な構成となっており、この面で低コスト化を図ることが可能になる。
【0011】
第2のプレートの例については、一端側が第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結された固定プレート部と、一端側が固定プレート部の他端側に回動自在に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である可動プレート部とを有した構成にすると良い。好ましくは、第2のプレートの固定プレート部には、可動プレート部の一部に接触してその回動角範囲を規制するストッパーを設けると良い。
【0012】
この発明によると、可動プレート部の回動角範囲がストッパーにより規制されることから、第1、第2のプレートが乱暴に開状態にされたとしても、可動プレート部がストッパーにより確実に当て止めされ、これに伴って作業用マスクが作業員の胸等に大きな力で接触せず、この面で使い勝手が良好になる。
【0013】
第2のプレートの例については、固定プレート部及び可動プレート部から構成されたメインプレートと、一端側がメインプレートの他端側に折り返し可能に連結され且つ他端側に作業用マスクの紐が通される挿通用穴が形成されたサブプレートとを備えたものを用いると良い。この場合、メインプレート、サブプレートには両プレートの内面同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための第2の固定手段を設けるようにする。
【0014】
この発明によると、作業用マスクの紐がサブプレートに形成された挿通用穴に通されていることから、第1、第2のプレートが開状態であるときに作業用マスクが作業者側に近づいて邪魔になることがない。また閉状態であるときの作業用マスクの装着もスムーズに行なうことが可能になる。これらの面で使い勝手が一層良好になる。
【0015】
第2の固定手段の例については、メインプレートの可動プレート部の内面上に設けられた凸部と、サブプレートの内面上に形成され且つ凸部が挿入された状態で当該凸部と係合する凹部とを有した構成とすると良い。
【0016】
第1のプレートの例については、保持部がプレート本体部の厚み方向に向けて張り出して設けられた構成とすると良い。
【0017】
この発明によると、第1のプレート等が作業者の顔に接触せず距離を持たせることが可能になることから、作業中に汗をかいても不快感を催したりすることが殆どなくなる。また眼鏡をかけた作業者であっても眼鏡のテンプルに接する部分が殆どなく、装着感が良好になる。これらの面で使い勝手が一層良好になる。
【0018】
第1のプレートの保持部の例については、ヘルメットの縁部に沿ってその下方に対向配置されるベース部と、このベース部の内側に立設され且つヘルメットの縁部の内側に接触する直線板状の内側爪部と、ベース部の外側に立設され且つヘルメットの縁部の外側に接触する断面略く字板状の外側爪部とを有した構成とすると良い。
【0019】
この発明によると、ヘルメットの縁部が内側爪部と外側爪部との間に挟んで保持するようになっているので、使用可能なヘルメットの種類等の範囲が広くなり、この面で一層使い勝手が良くなる。
【0020】
このような保持部を有する第1のプレートの場合、好ましくは、外側爪部及び/又はベース部には、ヘルメットの縁部に安定して取り付けるための環状のクッション部材を通すようにすると良い。
【0021】
この発明によると、ヘルメットの縁部に安定して取り付ける可能であるだけでなく、クッション部材の厚みを調整することにより、使用可能なヘルメットの種類等の範囲が一層広くなり、この面で一層使い勝手が良くなる。
【0022】
また、溝無しヘルメットの縁部に取り付ける場合、溝無しヘルメットの縁部を保持可能な先端部を有した第1のアタッチメント部材を備えるようにすると良い。この場合、第1のプレートの保持部のベース部には、第1のアタッチメント部材の基端部を第1のプレートに沿って上から装着するための穴を形成するようにする。同様に溝付きヘルメットの縁部に取り付ける場合、溝付きヘルメットの縁部を引っ掛けるための断面L字状の先端部を有した第2のアタッチメント部材を備えるようにすると良い。この場合、第1のプレートの保持部のベース部には、第2のアタッチメント部材の基端部を第1のプレートに沿って上から装着するための穴を形成するようにする。
【0023】
これらの発明によると、溝付きヘルメット/溝無しヘルメットの種類に関係なく作業用マスク装着具をこれらのヘルメットの端部に確実に取り付ける可能となることから、使用可能なヘルメットの種類等の範囲が一層広くなり、この面で一層使い勝手が良くなる。
【0024】
本発明に係るヘルメットは、同ヘルメットの縁部の左右耳部位に各々装着された上記した作業用マスク装着具と、各作業用マスク装着具の第2のプレートの端部に各々接続された作業用マスクとを備えている。また、作業用マスク装着具が縁部の左右耳部位に各々装着されているのではなく一体的にしても良い。
【0025】
これらの発明によると、上記した作業用マスク装着具と同様の効果を奏することになる。即ち、作業員の口元の位置に大きな個人差があっても微調整を行なうことなく、作業用マスクを正しく装着することが可能になる。これに伴って、使い勝手が良好になり、作業用マスクの装着率を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図12を参照して説明する。なお、図中に示された各構成部と特許請求の範囲に記載された発明特定事項との対応関係は下記の符号の説明の欄において併せて示すことにする。
【0027】
図1は溝無しヘルメットを被った状態を示す概略的側面図、図2は溝付きヘルメットを被った状態を示す概略的側面図である。A1、A2は溝無し型、溝付き型のヘルメット、a1、a2はヘルメットA1、A2の溝部、100は作業用マスク装着具、200は防塵マスク、防毒マスク等の作業用マスク、300は作業用マスク200と一緒に使用されることが多いゴーグルである。但し、図1及び図2中において作業用マスク装着具100の片方しか図示されていない。
【0028】
ヘルメットA1はABS、PC、PE又はEPF製の保護帽であって、図1に示すようにヘルメットA1の縁部a1の左右耳部位に各々装着された作業用マスク装着具100,100と、作業用マスク装着具100,100に接続可能な作業用マスク200とを備えている。作業用マスク200の左右両側には上下2連のゴムバンド等の伸縮帯201を有している。
【0029】
ヘルメットA2はヘルメットA1と同様の構成であって、図2に示すようにヘルメットA2の縁部a2の左右耳部位に各々装着された作業用マスク装着具100,100と、作業用マスク装着具100,100に接続可能な作業用マスク200とを備えている。両ヘルメットの相違については、作業用マスク装着具100に使用されるアタッチメント部材30、40だけである。ヘルメットA1にはアタッチメント部材30が使用される一方、ヘルメットA2にはアタッチメント部材40が使用される。
【0030】
以下、作業用マスク装着具100の構成をヘルメットA1に使用されるものを中心として説明する。図3はヘルメットA1の作業用マスク装着具100の開状態を示す正面図、図4は作業用マスク装着具100の開状態を示す裏面図、図5は作業用マスク装着具100の閉状態を示す正面図である。10は第1のプレート、20は固定プレート部211及び可動プレート部212等を有した第2のプレート、30はアタッチメント部材である。
【0031】
作業用マスク装着具100は、図3に示すように作業用マスク200とヘルメットA1との間を接続するのに使用されるプラスチック等の樹脂成形品の装置であって、ヘルメットA1の縁部a1を保持可能な保持部12が一端側に設けられた第1のプレート10と、一端側が第1のプレート10の他端側に折り返し可能に連結され且つ作業用マスク200の伸縮帯201(図1参照)の端部が他端側に接続可能である第2のプレート20と、ヘルメットA1の縁部a1を保持可能な保持部材31を有したアタッチメント部材30を備えている。なお、アタッチメント部材30については、作業用マスク装着具100をヘルメットA1の縁部a1に確実に装着するための任意の部品である。
【0032】
第1のプレート10及び第2のプレート20については、図3に示されているように全体として略く字状に折り曲げられた形状となっている。
【0033】
第1、第2のプレート10,20には、各プレートの外面(図2に示す正面)同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための手段として、第2のプレート20の可動プレート部212に設けられた爪部213と、第1のプレート10のプレート本体部11の面上に形成され且つ爪部213が挿入された状態でこれと係合する円弧穴13とを有している。この結果、第2のプレート20の可動プレート部212が第1のプレート10に対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっている(図3及び図5参照)。
【0034】
第1のプレート10は、作業者の顔の頬の面に沿うように若干湾曲させた板状のプレート本体部11と、ヘルメットA1の縁部a1に対して平行に配置される保持部12とを有している。
【0035】
プレート本体部11については、保持部12に対して約30°〜50°傾いた位置関係に配置されている。プレート本体部11の面上中心部分には上記した円弧穴13が貫通して形成されている。プレート本体部11の内面には、アタッチメント部材30を着脱自在に固定するための断面三角状の歯14が複数列形成されている(図4及び図10参照)。プレート本体部11の他端側には、第2のプレート20の一端側と開閉自在に連結するためのヒンジ軸部15、15(図4及び図7参照)が並設されている。
【0036】
プレート本体部11の端部にはゴーグル300の伸縮帯310(図1参照)を通すための切欠きフック穴16が形成されている。切欠きフック穴16はゴーグル300の伸縮帯310の幅に対応した幅寸法の円弧状穴であり、その一部を切り欠いた部分が伸縮帯310の挿入溝になっている。なお、ゴーグル300を使用しないときには切欠きフック穴16を省略すると良い。
【0037】
図6は第1のプレート10の保持部12の平面図である。保持部12は、同図に示すようにプレート本体部11の一端側に厚み方向に向けて張り出して設けられている(図10参照)。保持部12は、具体的には、ヘルメットA1の縁部a1に沿ってその下方に対向配置されるベース部121と、ベース部121の内側に立設され且つヘルメットA1の縁部a1の内側に接触する直線板状の内側爪部122,122(図10参照)と、ベース部121の外側に立設され且つヘルメットA1の縁部a1の外側に接触する断面略く字板状の外側爪部123,123(図10参照)とを有している。
【0038】
即ち、ヘルメットA1の縁部a1が内側爪部122、122と外側爪部123,123との間に弾性的に挟み付け、これにより作業用マスク装着具100がヘルメットA1の縁部a1に保持可能になっている。
【0039】
保持部12のベース部121の中央部における外側爪部123と外側爪部123との間の位置には、アタッチメント部材30の基端部をプレート本体部11に沿って上から挿入するための穴124が形成されている(図10参照)。
【0040】
このような保持部12にはヘルメットA1の縁部a1に安定して取り付けるための環状のゴム製のクッション部材50が合計4個設けられている。具体的には、クッション部材50が外側爪部122、122の各先端部に各々通されている他、ベース部121の内側爪部122と外側爪部122との間にも各々通されている。
【0041】
第2のプレート20は、図3に示すようにメインプレート21とサブプレート22とを有しており、サブプレート22の一端側がメインプレート21の他端側に折り返し可能に連結されている。第2のプレート20については、第1のプレート10のプレート本体部11に対して約120°〜150°傾いた位置関係に配置されている。
【0042】
メインプレート21、サブプレート22には、各プレートの内面(図4に示す裏面)同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための手段として、図4に示すように可動プレート部212の内面上に設けられた凸部2121(図7参照)と、サブプレート22の内面上に形成され且つ凸部2121が挿入された状態でこれと係合する凹部223(図7参照)とを有している。凸部2121の先端部分には凹部223の内面に付勢接触する二股状の係合片2125(図7参照)が一体的に形成されている。
【0043】
メインプレート21は、図3に示すように一端側が第1のプレート10の他端側に折り返し可能に連結された固定プレート部211と、一端側が固定プレート部211の他端側に回動自在に連結され且つ作業用マスク200の伸縮帯201の端部が他端側に接続可能である可動プレート部212とを有した構成となっている。
【0044】
固定プレート部211の一端側には第1のプレート10のヒンジ軸部15、15の対となるヒンジ軸受け2111、2111が並設されている。固定プレート部211の内面の他端側には可動プレート部212を軸支するためのビスである回動軸2112が設けられている。固定プレート部211の他端側の両側面には可動プレート部212の両端部に接触してその回動角範囲を規制するストッパー2113、2113が形成されている。
【0045】
可動プレート部212の一端側の中央部には略長方体状の凸部2121(図7参照)が固定プレート部211の内面に重なるように設けられており、凸部2121の中心部分に回動軸2112が通されている。可動プレート部212と固定プレート部211とは同一平面上に配置された状態で、可動プレート部212が回動軸2112を中心として所定範囲で回動可能になっている。
【0046】
可動プレート部212の他端側には開閉用押え片2122が斜め上向き(図7参照)に形成されている。開閉用押え片2122の近くには上記した爪部213が設けられている。爪部213の両側には作業用マスク200の伸縮帯201の端部を接続するための固定用穴2123、2123が並んで形成されている。
【0047】
固定用穴2123は、作業用マスク200の伸縮帯201の端部をU字状に折り返して固定するための上下一対の溝穴2123a、2123bであって、溝穴2123aは穴寸法が幅方向(図3中右方向)に向けて徐々に小さくなっており、溝穴2123bは穴寸法が上記とは反対の方向に徐々に小さくなっている。
【0048】
可動プレート部212の他端側には、サブプレート23の一端側と開閉自在に連結するためのヒンジ軸部2124,2124が固定用穴2123、2123に並べて設けられている。
【0049】
サブプレート22の一端側には、可動プレート部212のヒンジ軸部2124,2124の対となるヒンジ軸受け221,221が並設されている。サブプレート22の他端側には、作業用マスク200の伸縮帯201が通される挿通用穴222、222が並べて形成されている。
【0050】
図7は作業用マスク装着具100の一部省略概略側面図である。同図に示されているように、第1のプレート10と第2のプレート20とがA方向に開閉可能であり、第2のプレート20の爪部213が第1のプレート10の円弧穴13に挿入されると、第1のプレート10と第2のプレート20との閉状態が解除可能に維持されるようになっている。
【0051】
また、第2のプレート20のメインプレート21とサブプレート22とがB方向に開閉可能であって、メインプレート21の凸部2121が、サブプレート22の凹部223に挿入されると、メインプレート21とサブプレート22との閉状態が解除可能に維持されるようになっている。
【0052】
図8はアタッチメント部材30の側面図及び正面図である。図10はアタッチメント部材30を第1のプレート10の保持部12に装着した様子を示す第1のプレート10の模式的断面図である。
【0053】
アタッチメント部材30は、作業用マスク装着具100を溝無しヘルメットに取り付ける場合に使用する部品であって、図8に示すようにヘルメットA1の縁部a1を保持可能な断面U字状の保持部材31と、保持部材31の下部に形成されており且つ第1のプレート10の保持部12の穴124に挿入可能な板状の装着部材32とを有している。装着部材32の外面には、第1のプレート10の歯14に係合可能な断面三角状の歯321が複数列形成されている。
【0054】
上記した保持部12だけでも作業用マスク装着具100をヘルメットA1の縁部a1に取り付けることは可能であるが、溝無しヘルメットの種類等の相違により確実に固定できない虞れがあるときにはアタッチメント部材30を使用するようにする。
【0055】
この場合、図10に示すようにアタッチメント部材30を第1のプレート10の保持部12の穴124に上から挿入すると、装着部材32の歯321が第1のプレート10の歯14に噛み合って係合される。アタッチメント部材30を取り外す際には、装着部材32をプレート本体部11の内面から若干浮かせながら引き抜くようにする。
【0056】
アタッチメント部材30の保持部材31がヘルメットA1の縁部a1の曲面に沿った形状になっていることから、保持部12の本来の機能と併せて、溝無しヘルメットの形状や大きさが多少変わってもヘルメットA1の縁部a1を確実に保持可能となる。
【0057】
図9はアタッチメント部材40の側面図及び正面図である。図11はアタッチメント部材40を第1のプレート10の保持部12に装着した様子を示す第1のプレート10の模式的断面図である。
【0058】
アタッチメント部材40は、作業用マスク装着具100を溝付きヘルメットに取り付ける場合に使用する部品であって、図9に示すようにヘルメットA2の縁部a2を保持可能な断面L字状の保持部材41と、保持部材41の下部に形成されており且つ第1のプレート10の保持部12の穴124に挿入可能な板状の装着部材42とを有している。装着部材42の外面には、第1のプレート10の歯14に係合可能な断面三角状の歯421が複数列形成されている。
【0059】
上記した保持部12だけでも作業用マスク装着具100をヘルメットA2の縁部a2に取り付けることは可能であるものの、溝付きヘルメットの種類等によっては確実に固定できない虞れがあるときには、アタッチメント部材40を使用するようにする。
【0060】
この場合、図11に示すようにアタッチメント部材40を第1のプレート10の保持部12の穴124に上から挿入すると、装着部材42の歯421が第1のプレート10の歯14に噛み合って係合される。アタッチメント部材40を取り外す際には、装着部材42をプレート本体部11の内面から若干浮かせながら引き抜くようにする。
【0061】
アタッチメント部材40の保持部材41がヘルメットA2の縁部a2を上から押さえ付ける形状になっていることから(図11参照)、保持部12の本来の機能と併せて、溝付きヘルメットの形状や大きさが多少変わってもヘルメットA2の縁部a2を確実に保持可能となる。
【0062】
このような構成されたヘルメットA1の使用方法を図1等を参照して説明する。まず、作業用マスク装着具100、100に作業用マスク200の伸縮帯201の両端部を各々接続する。この際、図7中破線で示すように作業用マスク200の伸縮帯201の端部を作業用マスク装着具100のサブプレート22の挿通用穴222に通した後、例えば、メインプレート21の固定用穴2123b、2123aに順次的に通すようにする。固定用穴2123a及び2123bの穴形状により、作業用マスク200の伸縮帯201が簡単に抜けることがない。
【0063】
なお、アタッチメント部材30を使用することが必要であるときは、作業用マスク装着具100、100の各々にアタッチメント部材30を予め装着する。
【0064】
次に、作業者がヘルメットA1を被り、ヘルメットA1の縁部a1に作業用マスク装着具100、100を開状態のままで若干斜めにしながら下から差し込むようにして各々取り付ける。作業用マスク200と共にゴーグル300を使用する場合には、ゴーグル300の伸縮帯310をプレート本体部11の切欠きフック穴113に通して、ゴーグル300を付けるようにする。図1(B)はこの状態を示している。
【0065】
そして、作業をする際には、作業用マスク装着具100、100の開閉用押え片2122を指で掴んでメインプレート21を第1のプレート10の方に各々倒し、メインプレート21の外面を第1のプレート10の外面に重ね合わす。第2のプレート20の爪部213が第1のプレート10の円弧穴13に入り込むと、爪部213の弾性力により第1のプレート10と第2のプレート20との閉状態が維持される。
【0066】
と同時に、作業用マスク200の伸縮帯201がサブプレート22を押圧することになり、これによりサブプレート22がメインプレート21の方に各々倒されて閉状態になる。即ち、サブプレート22の内面とメインプレート21の内面とが重なり合う。メインプレート21の凸部2121がサブプレート22の凹部223に入り込むと、凹部223に形成された係合片2125の弾性力によりサブプレート22とメインプレート21との閉状態が維持される。
【0067】
このように作業用マスク装着具100、100の第1のプレート10及び第2のプレート20が閉状態にされると、自重で落下状態にあった作業用マスク200が作業者の口元に向けて引っ張られ、最終的に作業者の口元に装着される。この際、可動プレート部212及びサブプレート22が作業用マスク200の伸縮帯201に引っ張られてその方向に自然と傾き、その結果、可動プレート部212及びサブプレート22と作業用マスク200の伸縮帯201とが一直線状となる。図1(A)はこの状態を示している。
【0068】
このように可動プレート部212及びサブプレート22と作業用マスク200の伸縮帯201とが一直線状になるのは、口元の位置に関する作業員の個人差に全く関係ないことから、従来の場合とは異なり、ヘルメットA1への取り付け角度の微調整を行なうことなく、作業用マスク200を正しく装着することが可能になる。
【0069】
上記とは反対に作業用マスク300を使用しないときには、作業用マスク装着具100、100の開閉用押え片2122を指で掴んで第2のプレート20を上記とは逆の方向に各々倒す。すると、第2のプレート20の爪部213が第1のプレート10の円弧穴13から外れて、作業用マスク20の自重により第1のプレート10、第2のプレート20が開状態になる。これに伴って、メインプレート21の凸部2121がサブプレート22の凹部223から外れ、作業用マスク20の自重によりサブプレート22、メインプレート21が開状態になる。
【0070】
このように作業用マスク装着具100、100の第1のプレート10及び第2のプレート20が開状態にされると、可動プレート部212及びサブプレート22が作業用マスク200の自重により下方に向く。これに伴って、作業用マスク200が作業者の口元から離れて落下する。図1(B)はこの状態を示している。作業用マスク200は作業者の顎の下方位置の顔よりやや前方に位置することから、特に邪魔になるようなことがない。
【0071】
また、図1(B)に示した状態で、ヘルメットA1を脱ぐようにすると、作業用マスク200が作業者の顎付近に接触して、ヘルメットA1が作業用マスク装着具100、100から外れ、これに伴って、作業用マスク装着具100、100が作業用マスク200及びゴーグル300と一緒に取り外される。
【0072】
なお、ヘルメットA2の使用方法についても上記と全く同様であるので、その説明は省略する。
【0073】
上記したように作業員の口元の位置に大きな個人差があっても従来とは異なりヘルメットA1又はA2への取り付け角度の微調整を行なうことなく、作業用マスク200を正しく装着することが可能になる。第1のプレート10及び第2のプレート20が作業者の顔から浮いていることから、作業者が使用中に汗をかいても不快感を催したりすることが殆どなくなる。作業用マスク200やゴーグル300で作業者の頭全体が締め付けられるという感覚もなくなり、装着感が非常に良好になる。特に、眼鏡をかけた作業者であっても、眼鏡のテンプルに接する部分がなく、装着感が悪くなることも殆どない。
【0074】
また、作業中において作業用マスク200を付けたり外したりする際、ヘルメットA1又はA2をその都度脱ぐ必要がなくなる。これはゴーグル300を付け外したりするときも同様である。作業用マスク装着具100,100を取り付けた状態でヘルメットA1又はA2を脱ぐと、作業用マスク装着具100、作業用マスク200及びゴーグル300も一緒に取り外される。
【0075】
それ故、従来例による場合とは異なり、使い勝手が非常に良好になり、人体に悪影響のある環境下であって、作業用マスク200の装着率を格段に向上させることが現実に可能になる。また、アタッチメント部材30、40を使い分けることにより、溝なしヘルメット、溝なしヘルメットに共用して適用可能になり、この面でも使い勝手が良好となる。メーカーの立場からすると、各種のアタッチメント部材を準備しておけば、作業用マスク装着具100の適用可能なヘルメットの種類等の範囲が広くなり、低コスト化を図る上でもメリットがある。
【0076】
次に、ヘルメットの変形例を図12を参照して説明する。図12はヘルメットの使用状態を説明するための溝無しヘルメットを被った状態を示す概略的側面図である。
【0077】
ここに掲げるヘルメットA3は、作業用マスク装着具10’,10’が縁部a3の左右耳部位に各々装着されているのではなくヘルメットA3に一体的になっている。作業用マスク装着具10’が上記した作業用マスク装着具10と大きく異なるのは、保持部12がなくプレート本体部11の一端側がヘルメットA3の縁部a3の左右耳部位に固定されている点である。なお、ヘルメットA3と作業用マスク装着具10’とを別体とし、ネジ等により両者を接続して一体的にするようにしても当然にかまわない。
【0078】
このように作業用マスク装着具10’がヘルメットA3に固定されていることから、アタッチメント部材30、40については不要となる。これ以外については上記した作業用マスク装着具10と全く同様であるので、その詳細については説明を省略することにする。
【0079】
なお、本発明に係る作業用マスク装着具は上記実施形態に限定されず、第2のプレートの一部が第1のプレートに対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっている限り、どのように設計変更してもかまわない。また、第1のプレートについては、ヘルメットの縁部を保持可能である限り、保持部の構造、全体の形状及び材質等が問われることはなく、ヘルメットの種類等に合わせて適宜設計変更すれば良い。第2のプレートについては、その全体が第1のプレートに対して回動自在に設計変更しても良く、一端側に第1のプレートに折り返し可能に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である限り、サブプレートの有無、プレートの連結方法、作業用マスクの接続方法、全体の形状及び材質等が問われることがない。作業用マスクの種類に応じて適宜設計すれば良い。第1、第2の固定手段については、両プレートの閉状態を解除可能に維持できる限り、どのような固定方法を採用しても良く、例えば、磁石やスプリング等を用いてもかまわない。
【0080】
本発明に係るヘルメットは上記実施形態に限定されず、作業用マスク装着具がヘルメットの縁部に設けられている限り、その固定方法や固定位置等についてはヘルメットの種類に応じて適宜設計変更すれば良い。特に作業用マスク装着具をヘルメット本体に完全に固定するのではなく、作業用マスク装着具を使用しないときには、それが邪魔にならないように開閉自在に設ける形態をとってもかまわない。また、作業用マスクの種類やゴーグルの有無についても問われない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態に係るヘルメットの使用状態を説明するための溝無しヘルメットを被った状態を示す概略的側面図であって、(A)は作業用マスク装着具が閉状態である状態を示す図、(B)は作業用マスク装着具が開状態である状態を示す図である。
【図2】図1と同様に溝付きヘルメットを被った状態を示す概略的側面図であって、(A)は作業用マスク装着具が閉状態である状態を示す図、(B)は作業用マスク装着具が開状態である状態を示す図である。
【図3】図1に示すヘルメットの作業用マスク装着具の開状態を示す正面図である。
【図4】同作業用マスク装着具の開状態を示す裏面図である。
【図5】同作業用マスク装着具の閉状態を示す正面図である。
【図6】同作業用マスク装着具の第1のプレートの保持部の平面図である。
【図7】同作業用マスク装着具の一部省略概略的側面図である。
【図8】同作業用マスク装着具の溝無しヘルメット用のアタッチメント部材を示す図であって、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【図9】図2に示すヘルメットに使用される溝付きヘルメット用のアタッチメント部材を示す図であって、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【図10】図8に示す溝無しヘルメット用のアタッチメント部材を第1のプレートの保持部に装着した様子を示す第1のプレートの模式的断面図である。
【図11】図9に示す溝付きヘルメット用のアタッチメント部材を第1のプレートの保持部に装着した様子を示す第1のプレートの模式的断面図である。
【図12】同ヘルメットの変形例を説明するための図1に対応する図であって、(A)は作業用マスク装着具が閉状態である状態を示す図、(B)は作業用マスク装着具が開状態である状態を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
A1 ヘルメット(溝無しヘルメット)
A2 ヘルメット(溝付きヘルメット)
A3 ヘルメット
a1,a2,a3 溝部
100,100’作業用マスク装着具
10 第1のプレート
11 プレート本体部
12 保持部
124 穴
13 円弧穴(第1の固定手段の一部)
20 第2のプレート
21 メインプレート
211 固定プレート部
212 可動プレート部
2121 凸部(第2の固定手段の一部)
213 爪部(第1の固定手段の一部)
22 サブプレート
222 挿通用穴
223 凹部(第2の固定手段の一部)
30 アタッチメント部材(第1のアタッチメント部材)
31 保持部材(第1のアタッチメント部材の先端部)
40 アタッチメント部材(第2のアタッチメント部材)
41 保持部材(第2のアタッチメント部材の先端部)
200 作業用マスク
201 伸縮帯(作業用マスクの端部:紐)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用マスクとヘルメットとの間を接続する作業用マスク装着具であって、ヘルメットの縁部を保持可能な保持部が一端側に設けられた第1のプレートと、一端側が第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である第2のプレートとを具備し、第1、第2のプレートには両プレートの外面同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための第1の固定手段が設けられ、第2のプレートの全体又は一部が第1のプレートに対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項2】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第1の固定手段は、第2のプレートに設けられた爪部と、第1のプレートのプレート本体部の面上に形成され且つ前記爪部が挿入された状態で当該爪部と係合する円弧穴とを有していることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項3】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第1のプレート及び第2のプレートが全体として略く字状に折り曲げられており、第1のプレートについては、前記プレート本体部が前記ヘルメットの縁部に対して平行に配置された前記保持部に対して約30°〜50°傾いた位置関係にあり、第2のプレートについては、第1のプレートのプレート本体部に対して約120°〜150°傾いた位置関係にあることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項4】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第2のプレートは、一端側が第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結された固定プレート部と、一端側が固定プレート部の他端側に回動自在に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である可動プレート部とを有していることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項5】
請求項4記載の作業用マスク装着具において、第2のプレートの固定プレート部には、可動プレート部の一部に接触してその回動角範囲を規制するストッパーが設けられていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項6】
請求項4記載の作業用マスク装着具において、第2のプレートは、前記固定プレート部及び可動プレート部から構成されたメインプレートと、一端側がメインプレートの他端側に折り返し可能に連結され且つ他端側に作業用マスクの紐が通される挿通用穴が形成されたサブプレートとを備え、メインプレート、サブプレートには両プレートの内面同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための第2の固定手段が設けられていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項7】
請求項6記載の作業用マスク装着具において、第2の固定手段は、前記メインプレートの可動プレート部の内面上に設けられた凸部と、前記サブプレートの内面上に形成され且つ前記凸部が挿入された状態で当該凸部と係合する凹部とを有していることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項8】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第1のプレートは、前記保持部がプレート本体部の厚み方向に向けて張り出して設けられていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項9】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第1のプレートの保持部は、前記ヘルメットの縁部に沿ってその下方に対向配置されるベース部と、このベース部の内側に立設され且つ前記ヘルメットの縁部の内側に接触する直線板状の内側爪部と、前記ベース部の外側に立設され且つ前記ヘルメットの縁部の外側に接触する断面略く字板状の外側爪部とを有していることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項10】
請求項9記載の作業用マスク装着具において、前記外側爪部及び/又はベース部には、前記ヘルメットの縁部に安定して取り付けるための環状のクッション部材が通されていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項11】
請求項9記載の作業用マスク装着具において、溝無しヘルメットの縁部を保持可能な先端部を有した第1のアタッチメント部材を備え、第1のプレートの保持部のベース部には、第1のアタッチメント部材の基端部を第1のプレートに沿って上から装着するための穴が形成されていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項12】
請求項9記載の作業用マスク装着具において、溝付きヘルメットの縁部を引っ掛けるための断面L字状の先端部を有した第2のアタッチメント部材を備え、第1のプレートの保持部のベース部には、第2のアタッチメント部材の基端部を第1のプレートに沿って上から装着するための穴が形成されていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項13】
ヘルメットの縁部の左右耳部位に各々装着された請求項1乃至12の作業用マスク装着具と、各作業用マスク装着具の第2のプレートの端部に各々接続された作業用マスクとを備えることを特徴とするヘルメット。
【請求項14】
請求項11記載のヘルメットにおいて、請求項1乃至8の作業用マスク装着具が縁部の左右耳部位に各々装着されているのではなく一体的になっていることを特徴とするヘルメット。
【請求項1】
作業用マスクとヘルメットとの間を接続する作業用マスク装着具であって、ヘルメットの縁部を保持可能な保持部が一端側に設けられた第1のプレートと、一端側が第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である第2のプレートとを具備し、第1、第2のプレートには両プレートの外面同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための第1の固定手段が設けられ、第2のプレートの全体又は一部が第1のプレートに対して開状態だけでなく閉状態においても回動可能になっていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項2】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第1の固定手段は、第2のプレートに設けられた爪部と、第1のプレートのプレート本体部の面上に形成され且つ前記爪部が挿入された状態で当該爪部と係合する円弧穴とを有していることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項3】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第1のプレート及び第2のプレートが全体として略く字状に折り曲げられており、第1のプレートについては、前記プレート本体部が前記ヘルメットの縁部に対して平行に配置された前記保持部に対して約30°〜50°傾いた位置関係にあり、第2のプレートについては、第1のプレートのプレート本体部に対して約120°〜150°傾いた位置関係にあることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項4】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第2のプレートは、一端側が第1のプレートの他端側に折り返し可能に連結された固定プレート部と、一端側が固定プレート部の他端側に回動自在に連結され且つ作業用マスクの端部が他端側に接続可能である可動プレート部とを有していることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項5】
請求項4記載の作業用マスク装着具において、第2のプレートの固定プレート部には、可動プレート部の一部に接触してその回動角範囲を規制するストッパーが設けられていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項6】
請求項4記載の作業用マスク装着具において、第2のプレートは、前記固定プレート部及び可動プレート部から構成されたメインプレートと、一端側がメインプレートの他端側に折り返し可能に連結され且つ他端側に作業用マスクの紐が通される挿通用穴が形成されたサブプレートとを備え、メインプレート、サブプレートには両プレートの内面同士が重なる閉状態を解除可能に維持するための第2の固定手段が設けられていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項7】
請求項6記載の作業用マスク装着具において、第2の固定手段は、前記メインプレートの可動プレート部の内面上に設けられた凸部と、前記サブプレートの内面上に形成され且つ前記凸部が挿入された状態で当該凸部と係合する凹部とを有していることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項8】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第1のプレートは、前記保持部がプレート本体部の厚み方向に向けて張り出して設けられていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項9】
請求項1記載の作業用マスク装着具において、第1のプレートの保持部は、前記ヘルメットの縁部に沿ってその下方に対向配置されるベース部と、このベース部の内側に立設され且つ前記ヘルメットの縁部の内側に接触する直線板状の内側爪部と、前記ベース部の外側に立設され且つ前記ヘルメットの縁部の外側に接触する断面略く字板状の外側爪部とを有していることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項10】
請求項9記載の作業用マスク装着具において、前記外側爪部及び/又はベース部には、前記ヘルメットの縁部に安定して取り付けるための環状のクッション部材が通されていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項11】
請求項9記載の作業用マスク装着具において、溝無しヘルメットの縁部を保持可能な先端部を有した第1のアタッチメント部材を備え、第1のプレートの保持部のベース部には、第1のアタッチメント部材の基端部を第1のプレートに沿って上から装着するための穴が形成されていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項12】
請求項9記載の作業用マスク装着具において、溝付きヘルメットの縁部を引っ掛けるための断面L字状の先端部を有した第2のアタッチメント部材を備え、第1のプレートの保持部のベース部には、第2のアタッチメント部材の基端部を第1のプレートに沿って上から装着するための穴が形成されていることを特徴とする作業用マスク装着具。
【請求項13】
ヘルメットの縁部の左右耳部位に各々装着された請求項1乃至12の作業用マスク装着具と、各作業用マスク装着具の第2のプレートの端部に各々接続された作業用マスクとを備えることを特徴とするヘルメット。
【請求項14】
請求項11記載のヘルメットにおいて、請求項1乃至8の作業用マスク装着具が縁部の左右耳部位に各々装着されているのではなく一体的になっていることを特徴とするヘルメット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−125370(P2009−125370A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304585(P2007−304585)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(505350363)
【出願人】(507388720)
【出願人】(507389141)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(505350363)
【出願人】(507388720)
【出願人】(507389141)
【Fターム(参考)】
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